JP2012057130A - トリアセチルセルロース用粘着剤組成物及びそれを用いた積層体 - Google Patents

トリアセチルセルロース用粘着剤組成物及びそれを用いた積層体 Download PDF

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慎吾 生田目
Takashi Hirai
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Abstract

【課題】トリアセチルセルロース基材とガラス基材とを粘着層を介して積層した際に、ガラス基材の反りを防止できる粘着剤組成物を提供すること。
【解決手段】トリアセチルセルロース基材上に形成される粘着層を構成する組成物であって、アクリル系粘着剤の固形分100質量部に対して硬化剤を0.34質量部以上0.51質量部以下含有し、アクリル系粘着剤の質量平均分子量が100万以上200万以下であることが好ましい。この組成物を粘着層とすることで、トリアセチルセルロース基材の収縮応力を緩和でき、ガラス基材と積層した際にガラス基材の反りを低減することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、液晶ディスプレイ等の画像表示装置に用いる光学部材に関し、更に詳しくは、トリアセチルセルロース基材とガラス基材とを粘着層を介して積層した際に、ガラス基材の反りを防止できる粘着剤組成物に関する。
液晶ディスプレイ等の画像表示装置を構成する光学フィルムとして、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムが用いられている。TACは偏光板を保護する等の役割を有しており、必要に応じてその表面に耐擦過性付与のためのハードコート層や、耐擦傷性はそのままに反射防止機能により液晶画面の見易さの向上に寄与する反射防止層等が形成されるタイプもある。
TACフィルムは粘着層を介してガラス基材と積層され、光学部材として使用される。しかし、一般にTACは湿熱条件で収縮する性質を有している一方、近年、ガラス基材の方は薄膜化の傾向がある。このため、TACフィルムとガラス基材とを粘着層を介して積層すると、TACの収縮によってガラス基材が反って変形するという問題が生じてしまう。
このガラス基材の反りの問題を解決するために、例えば特許文献1には、アクリル系粘着剤とイソシアネート系硬化剤の他に、過酸化物を含有させることによって、過酸化物による熱分解反応を併用し、充分な応力緩和性を維持することが開示されている。
また、特許文献2には、同じくガラス基材の反りを防止するために、粘着剤組成物からなる層を架橋して得られる粘着層の、23℃における貯蔵弾性率(G’)が32000〜70000Pa及び80℃における貯蔵弾性率(G’)が20000〜45000Paになるように、粘着剤組成物からなる層を加熱処理する工程、を含む光学部材用粘着層の製造方法が開示されている。
特開2006−183022号公報 特開2009−316181号公報
特許文献1、2の粘着剤は、その実施例から明らかなように、いずれも過酸化物を含有させることによって、過酸化物による熱分解反応を併用し、充分な応力緩和性を維持するものである。
しかしながら、硬化剤以外の第3成分として過酸化物を含有させると、残留した過酸化物によって、その後経時で架橋反応が進行し粘着物性が変化してしまうという問題や、残留した過酸化物が光や熱で分解し、ラジカルを発生するため粘着剤が経時劣化してしまうという問題が生じる。このため、過酸化物を含有させずに反りを抑制する方法が望まれていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、トリアセチルセルロース基材とガラス基材とを粘着層を介して積層した際に、ガラス基材の反りを防止できる粘着剤組成物を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねたところ、アクリル系粘着剤と、極狭い特定の範囲量の硬化剤との組み合わせによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1) トリアセチルセルロース基材上に形成される粘着層を構成する組成物であって、アクリル系粘着剤の固形分100質量部に対して硬化剤を0.34質量部以上0.51質量部以下含有するトリアセチルセルロース用粘着剤組成物。
(2) 前記アクリル系粘着剤の質量平均分子量が100万以上200万以下である(1)記載のトリアセチルセルロース用粘着剤組成物。
(3) 前記アクリル系粘着剤の質量部数官能基含有率が0.035以上0.10以下である(1)又は(2)記載のトリアセチルセルロース用粘着剤組成物。
(4) (1)から(3)いずれか記載のトリアセチルセルロース用粘着剤組成物を厚さ30μm以上100μm以下で粘着層としてトリアセチルセルロース上に形成してなる積層体。
(5) 前記粘着層の25℃と60℃における貯蔵弾性率E’の比である、E’(25℃)/E’(60℃)が、1.3以上1.7以下である(4)記載のトリアセチルセルロース積層体。
(6) 前記粘着層の25℃と85℃における貯蔵弾性率E’の比である、E’(25℃)/E’(85℃)が、1.6以上2.3以下である(4)記載のトリアセチルセルロース積層体。
(7) (4)から(6)いずれか記載のトリアセチルセルロース積層体を備える光学フィルム。
(8) (7)記載の光学フィルムとガラス基材とが前記粘着層を介して積層されている光学部材。
本発明のトリアセチルセルロース用粘着剤組成物によれば、当該組成物を粘着層とすることで、過酸化物を使用することなく、トリアセチルセルロース基材の収縮応力を緩和でき、ガラス基材と積層した際にガラス基材の反りを低減することができる。
本発明の実施形態に係る光学部材の構成を模式的に示す光学部材の断面図である。 本発明の実施例・比較例(粘着層40μm)の湿熱試験投入後のカール高さ変位を示す図である。 本発明の実施例・比較例(粘着層60μm)の湿熱試験投入後のカール高さ変位を示す図である。 本発明の実施例・比較例(粘着層20μm)の湿熱試験投入後のカール高さ変位を示す図である。 本発明の実施例・比較例の各温度における貯蔵弾性比率E’の値を示す図である。 本発明の実施例・比較例の25℃と60℃における貯蔵弾性率E’の比を示す図である。 本発明の実施例・比較例の25℃と85℃における貯蔵弾性率E’の比を示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<粘着剤組成物>
本発明のトリアセチルセルロース用粘着剤組成物は、主剤としてのアクリル系粘着剤と硬化剤を必須成分とする。以下、これらの必須成分について説明する。
[アクリル系粘着剤]
好ましいアクリル系粘着剤としては、例えば、アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させたアクリル酸エステル共重合体が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、アクリル酸グリシジル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本発明では、上記アクリル酸エステルの中でも、アクリル酸−n−ブチル及びアクリル酸−2−エチルヘキシルが、耐熱性、耐湿熱性、耐久性、透明性に優れる点において好ましい。他の単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸−tert−ブチルアミノエチル、メタクリル酸−n−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本発明では、上記他の単量体の中でも、(メタ)アクリル酸−n−ブチルが好ましい。
アクリル系粘着剤として用いられるアクリル酸エステル共重合体の質量平均分子量(Mw)は、100万以上200万以下の範囲内であることが好ましく、130万以上170万以下の範囲内であることがより好ましい。質量平均分子量が100万未満であると、粘着層が軟らかくなり、トリアセチルセルロース基材の収縮量には十分追従するが、高温多湿の長期条件下で繰り返される内部応力に耐えることができず、質量平均分子量が200万を超えると粘着層が硬くなり、トリアセチルセルロース基材の収縮量と粘着層の変化量の差が大きくなるため収縮応力が生じ、いずれの場合もトリアセチルセルロース基材の収縮応力を適度に緩和することができないので好ましくない。なお、質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際の、ポリスチレン換算の値である。
またアクリル系粘着剤として用いられるアクリル酸エステル共重合体の官能基含有率は、0.035以上0.10以下であることが好ましく、0.04以上0.06以下であることがより好ましい。官能基含有率が、0.035未満であると、架橋点が少ないために、架橋密度が低くなることから粘着層が軟らかくなり、トリアセチルセルロース基材の収縮量には十分追従するが、高温多湿の長期条件下で繰り返される内部応力に耐えることができない。また、官能基含有率が0.10を超えると、架橋点が多いために、架橋密度が高くなることから粘着層が硬くなり、トリアセチルセルロース基材の収縮量と粘着層の変化量の差が大きくなるため収縮応力が生じない。いずれの場合もトリアセチルセルロース基材の収縮応力を適度に緩和することができない。なお、官能基含有率は、粘着剤の主剤を構成する(メタ)アクリル酸エステルの固形量に対して、官能基(例えば、水酸基やカルボキシル基)が導入されたアクリルモノマーの固形比である。
なお、上記アクリル系粘着剤の市販品としては、例えば、SKダイン2003(綜研化学株式会社製)、等を好適に用いることができる。ここで、SKダイン2003は、(メタ)アクリル酸−n−ブチルからなるアクリル系粘着剤である。
[硬化剤]
本発明の粘着剤組成物において、硬化剤は、上記アクリル系粘着剤を架橋できるものであれば特に限定されず、例えば、エポキシ系硬化剤、イソシアネート系硬化剤等が挙げられる。エポキシ系硬化剤としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル等の多官能エポキシ系化合物が挙げられる。また、イソシアネート系硬化剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物の3量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマー、該ウレタンプレポリマーの3量体等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができ、粘着剤の種類等に応じて、適宜選択するとよい。本発明においては、エポキシ系硬化剤とイソシアネート系硬化剤を組み合わせて用いることが好ましい。
なお、上記エポキシ系架橋剤の市販品としては、例えば、E−5XM(綜研化学株式会社製)を好適に用いることができる。また、上記イソシアネート系架橋剤の市販品としては、例えば、L−45(綜研化学株式会社製)を好適に用いることができる。
本発明の粘着剤組成物における上記硬化剤の含有量は、アクリル系粘着剤100質量部に対して0.34質量部以上0.51質量部以下であることが好ましく、0.35質量部以上0.44質量部以下であることがより好ましい。この範囲であれば、適度な弾性を有する粘着層を形成することができ、トリアセチルセルロース基材の収縮応力を緩和して、ガラス基材の反りを低減することができる。
<トリアセチルセルロース積層体>
本発明のトリアセチルセルロース積層体は、トリアセチルセルロース基材上に上記粘着剤組成物による粘着層を形成したものである。トリアセチルセルロースは、不燃性、透明性、表面外観、電機絶縁性に優れる点において光学フィルムの基材として好ましい。トリアセチルセルロースは湿熱環境下において収縮する性質があるが、粘着層が一定の厚みと弾性を有する場合、トリアセチルセルロース基材の収縮応力を緩和して、トリアセチルセルロース積層体に積層されたガラス基材の反りを低減することができる。
本発明のトリアセチルセルロース積層体の製造方法は、上記の粘着剤組成物の調製以外の点においては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。一例として、トリアセチルセルロース基材上に、上記粘着剤組成物をアプリケータ等により全面塗工し、粘着層を形成することにより製造することができる。
[トリアセチルセルロース基材]
トリアセチルセルロース基材の厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができる。通常50μm以上150μm以下であるが、好ましくは50μm以上100μm以下である。上記範囲より薄いと、機械的強度が不十分であり、また湿熱条件下における反りによって破断を生じる場合があり、上記範囲より厚いと、過剰性能でコスト高になる場合がある。
トリアセチルセルロース基材の形成方法は、特に限定されず、例えば、溶液流延法、溶融押出法、カレンダー法等の従来公知の製膜方法を用いることができる。また、上記方法によりあらかじめフィルム状に製膜された市販の基材を使用してもよい。
なお、基材には、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理等の公知の易接着処理を行ってもよい。
[粘着層]
粘着層の厚みは、通常、30μm以上100μm以下であるが、好ましくは40μm以上60μm以下である。厚みが30μm未満であると、トリアセチルセルロースの収縮に粘着層の大部分が追従してしまい、トリアセチルセルロース基材の収縮応力を緩和することができない。100μmを超えると、応力緩和特性について問題はないが、光線透過率等の光学特性に悪影響を及ぼす場合があり好ましくない。
粘着層の弾性については、25℃と60℃における貯蔵弾性率E’の比である、E’(25℃)/E’(60℃)が、1.3以上1.7以下であることが好ましく、1.3以上1.5以下であることがより好ましい。この比の値が、1.3未満であると、温度上昇による硬さの変化が小さいためトリアセチルセルロース基材の収縮に十分追従できない。そのため、基材の収縮量と粘着層の変化量の差が大きくなり収縮応力が生じることになるため、トリアセチルセルロース基材の収縮応力を適度に緩和することができない。また、1.7より大きいと、温度上昇による硬さの変化が大きすぎるため、トリアセチルセルロース基材の収縮量には十分追従するが、高温多湿の長期条件下で繰り返される内部応力に耐えることができないため、やはりトリアセチルセルロース基材の収縮応力を適度に緩和することができない。
また、粘着層の弾性については、25℃と85℃における貯蔵弾性率E’の比である、E’(25℃)/E’(85℃)が、1.6以上2.3以下であることが好ましく、1.63以上2.0以下であることがより好ましい。1.6未満であると、温度上昇による硬さの変化が小さいためトリアセチルセルロース基材の収縮に十分追従できない。そのため、基材の収縮量と粘着層の変化量の差が大きくなり収縮応力が生じることになるため、トリアセチルセルロース基材の収縮応力を適度に緩和することができない。また、2.3より大きいと、温度上昇による硬さの変化が大きすぎるため、トリアセチルセルロース基材の収縮量には十分追従するが、高温多湿の長期条件下で繰り返される内部応力に耐えることができないため、やはり、トリアセチルセルロース基材の収縮応力を適度に緩和することができない。
なお、本発明における貯蔵弾性率E’とは、動的機械特性のひとつであり、試料に時間によって変化(振動)する歪み又は応力を与え、それによって発生する応力又は歪みを検出することにより、試料の力学的な性質を測定する方法で得られる値のうちの試料の内部に貯蔵された値のことをいう。
<光学フィルム>
本発明のトリアセチルセルロース積層体は、トリアセチルセルロース基材の粘着層と反対側の面に、ハードコート層、反射防止層等を更に形成することにより、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRTディスプレイ、ELディスプレイ、電界放出ディスプレイ等の各種画像表示装置において、反射防止、表面の保護、防眩等の目的で使用される光学フィルムとして好適に用いることができる。ハードコート層はアクリル系の紫外線硬化型樹脂による硬化皮膜をトリアセチルセルロース基材の表面に付加する方式等にて形成することができる。反射防止層はシリカ等の微粒子の添付により形成することができる。
<光学部材>
本発明の光学フィルムは、上記粘着層を介してガラス基材を貼着することにより、液晶ディスプレイ等の各種画像表示装置において使用される光学部材として好適に用いることができる。図1に、本発明の光学部材の構成の一例を示した。光学部材1は、トリアセチルセルロース基材11の一方の面には、ハードコート層14、反射防止層15が順次積層されており、他方の面には粘着層12が形成されており、粘着層12を介してガラス基材13が貼着されている。ガラス基材13を貼着する方法としては、特に限定されないが、通常、圧着方式が用いられる。なお、ガラス基材13は近年0.5mm程度まで薄型化の傾向があり、本発明の粘着層は、ガラス基材13の厚さが0.1mmから0.7mmの場合に好適に用いられる。
本発明の光学部材は、湿熱条件下において長期間使用しても、ガラス基材の反りが少なく、安定した光学特性を保つので、光学部材として好適に用いることができる。また粘着剤組成物に過酸化物を含まないため、残留した過酸化物によって、その後経時で架橋反応が進行し粘着物性が変化してしまうおそれや、残留した過酸化物が、光や熱で分解することにより発生するラジカルの影響で粘着剤が劣化してしまうおそれもない。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<試験例1>
以下の試験を行うことによって、本発明のトリアセチルセルロース用粘着剤の応力緩和特性について、粘着剤組成物の組成の面から検証した。
[粘着剤組成物の製造]
粘着剤組成物は、トルエン及びメチルエチルケトンの混合溶媒(商品名:KT−11,質量費1:1、DICグラフィクス社製)を用い、表1に示す通り、異なる質量平均分子量をもつ2種類のアクリル系粘着剤を主剤とし、表2に示す通り、各実施例・比較例ごとに異なる組成により、粘着剤硬化剤を混合して作成した。
Figure 2012057130
Figure 2012057130
[試験用サンプル]
試験用サンプルを、トリアセチルセルロースを基材とした市販の光学フィルムであるAR5.5(Sony Chemical & Information Device)を用いて作成した。AR5.5の構成は、図1に示した光学部材と同様、トリアセチルセルロース基材の一方の面にハードコート層、反射防止層を順次積層したものである。その反対側の面に、実施例・比較例ごとに用意した上記粘着剤組成物をアプリケータによって塗布して粘着層を形成し、粘着層には、ガラス基材に替えて剥離フィルムであるPETフィルム(東レフィルム加工社製セラピールBX9A(RX)PET38μm)を貼着して試験用サンプルとした。いずれのサンプルも、反射防止層の厚さは0.1μm、ハードコート層の厚さは10μm、トリアセチルセルロース基材の厚さは80μmである。ただし、粘着層については、20μm、40μm、60μmの3種類の厚さで上記粘着剤組成物を塗布して各実施例、比較例について、それぞれ3種類のサンプルを作成した。
[カール高さ変位測定試験]
各サンプルを温度60℃、湿度90%におき、168時間後の反りの高さの初期値からの変位量を評価した。サンプルの端部の高さを測定し、計4頂点の変位量の平均値をカール高さ変位とした。実施例1から4及び比較例1から5の粘着剤組成物により粘着層を形成した上記各試験サンプルについて、カール高さ変位の値を評価した結果を、図2、図3、図4に示す。
図2より、粘着層の厚さが40μmの場合には、硬化剤の処方部数が、0.34〜0.51の範囲である実施例1から4の粘着剤を用いた場合にのみ、カール高さ変位を2.5mm以下に抑えることができ、それより硬化剤の処方部数が多い場合と少ない場合は、いずれもカール高さ変位を2.5mm以下に抑えることができないことが分かる。
図3より、粘着層の厚さが60μmの場合には、40μmの場合に比べて全般にカール高さ変位は小さいが、硬化剤処方部数が0.34未満である場合に、カール高さ変位を2.5mm以下に抑えることができないことが分かる。
図4より、粘着層の厚さが20μmの場合には、いずれの実施例、比較例の粘着剤組成物を用いても、カール高さ変位を2.5mm以下に抑えることができないことが分かる。
この試験結果より、質量平均分子量が100万以上のアクリル系粘着剤の固形分100質量部に対して硬化剤を0.34質量部以上0.51質量部以下含有する粘着剤組成物を用いて一定の厚みを持つ粘着層を形成することにより、トリアセチルセルロース基材の収縮応力を緩和できることが分かる。
<試験例2>
以下の試験を行うことによって、本発明のトリアセチルセルロース積層体の応力緩和特性について、その粘着層の弾性の面から検証した。
試験例1で作成した各実施例・比較例の粘着層について、貯蔵弾性率E’を測定し、室温(25℃)と高温状態(60℃又は80℃)のときの貯蔵弾性比率E’の比を算出した。貯蔵弾性率E’の測定はティー・エイ・インスツルメント社製の固体粘弾性アナライザーRSA−IIIを用い、JIS K7244−1に準拠した動的粘弾性測定法(アタッチメントモード:圧縮モード,周波数:1Hz,温度:−50〜150度、昇温速度:5度/分)にて行った。各温度における貯蔵弾性比率E’の値を図5に、室温(25℃)と高温状態(60℃又は85℃)のときの貯蔵弾性比率E’の比(25℃/60℃又は25℃/80℃)を、それぞれ、図6、図7に示す。
図6及び図7より、試験例1においてカール変位量が2.5mm以下であった実施例1から4の粘着層については貯蔵弾性比率E’の比(25℃/60℃)が1.3以上1.7以下の範囲に、又、貯蔵弾性比率E’の比(25℃/80℃)が1.6以上2.3以下の範囲にあることが分かる。
この試験結果より、粘着層の貯蔵弾性比率E’の比(25℃/60℃)が1.3以上1.7以下の範囲にあり、又、貯蔵弾性比率E’の比(25℃/80℃)が1.6以上2.3以下である場合にあるとき、トリアセチルセルロース積層体において、トリアセチルセルロース基材の収縮応力を適切に緩和できることが分かる。
1 光学部材
11 トリアセチルセルロース基材
12 粘着層
13 ガラス基材
14 ハードコート層
15 反射防止層

Claims (8)

  1. トリアセチルセルロース基材上に形成される粘着層を構成する組成物であって、
    アクリル系粘着剤の固形分100質量部に対して硬化剤を0.34質量部以上0.51質量部以下含有するトリアセチルセルロース用粘着剤組成物。
  2. 前記アクリル系粘着剤の質量平均分子量が100万以上200万以下である請求項1記載のトリアセチルセルロース用粘着剤組成物。
  3. 前記アクリル系粘着剤の質量部数官能基含有率が0.035以上0.10以下である請求項1又は2記載のトリアセチルセルロース用粘着剤組成物。
  4. 請求項1から3いずれか記載のトリアセチルセルロース用粘着剤組成物を厚さ30μm以上100μm以下で粘着層としてトリアセチルセルロース上に形成してなる積層体。
  5. 前記粘着層の25℃と60℃における貯蔵弾性率E’の比である、E’(25℃)/E’(60℃)が、1.3以上1.7以下である請求項4記載のトリアセチルセルロース積層体。
  6. 前記粘着層の25℃と85℃における貯蔵弾性率E’の比である、E’(25℃)/E’(85℃)が、1.6以上2.3以下である請求項4記載のトリアセチルセルロース積層体。
  7. 請求項4から6いずれか記載のトリアセチルセルロース積層体を備える光学フィルム。
  8. 請求項7記載の光学フィルムとガラス基材とが前記粘着層を介して積層されている光学部材。
JP2010204595A 2010-09-13 2010-09-13 トリアセチルセルロース用粘着剤組成物及びそれを用いた積層体 Pending JP2012057130A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014084386A (ja) * 2012-10-23 2014-05-12 Dainippon Printing Co Ltd 粘着剤組成物、粘着シート及び画像表示装置

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