JP2012056987A - ポリマー分散ポリオールの製造方法および硬質発泡合成樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリオールX中で重合性不飽和基を有するモノマーMを重合してポリマー分散ポリオールを製造する方法であって、ポリオールXが、水酸基価5〜84mgKOH/g、オキシエチレン基含有量40〜100質量%のポリエーテルポリオールYと、アミン化合物に環状エーテルを付加重合した水酸基価250〜900mgKOH/gのアミン系ポリオールZとを含み、(Y+Z)がXのうちの80質量%以上であり、質量比Y:Zが85:15〜97:3であり、Xの平均水酸基価が20〜180mgKOH/gであり、Mがエチレン性二重結合含有ニトリルと、エチレン性二重結合含有カルボン酸、その誘導体およびカルボン酸ビニルエステルから選ばれる1種以上とを含む。
【選択図】なし
Description
そこで、フォーム収縮を防止するために、硬質ポリウレタンフォームの製造に用いるポリオールの一部としてポリマー分散ポリオールを用いる方法が提案されている。
ポリマー分散ポリオールとは、分散媒であるポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール等のベースポリオール中に、分散質であるポリマー粒子が安定に分散した分散系をいう。
また、硬質フォームのポリオールシステム液に含有させるポリマー分散ポリオールの量が多いほど、ポリオールシステム液中における均一分散性が損なわれやすい。ポリオールシステム液に含有させるポリマー粒子の量が少ないほど硬質フォームの機械特性を向上させやすい。したがってポリマー分散ポリオールによる硬質フォームの寸法安定性向上効果が良好で、ポリマー粒子を多量に含有させなくても所期の効果が得られることが望ましい。
[1]ポリオール(X)中で、重合性不飽和基を有するモノマー(M)を重合してポリマー分散ポリオールを製造する方法であって、前記ポリオール(X)が、下記ポリエーテルポリオール(Y)および下記アミン系ポリオール(Z)を含み、該ポリエーテルポリオール(Y)と該アミン系ポリオール(Z)の合計がポリオール(X)のうちの80質量%以上であり、該ポリエーテルポリオール(Y)と該アミン系ポリオール(Z)の質量比(Y):(Z)が85:15〜97:3であり、該ポリオール(X)の平均水酸基価が20〜180mgKOH/gであり、前記モノマー(M)が、エチレン性二重結合含有ニトリルと、エチレン性二重結合含有カルボン酸およびその誘導体、ならびにカルボン酸ビニルエステルからなる群より選択される1種以上とを含むことを特徴とする、ポリマー分散ポリオールの製造方法。
ポリエーテルオール(Y):水酸基価が5〜84mgKOH/g、オキシエチレン基含有量が40〜100質量%であるポリエーテルポリオールの1種以上。
アミン系ポリオール(Z):アミン化合物に環状エーテルを開環付加重合して得られ、水酸基価が250〜900mgKOH/gであるアミン系ポリオールの1種以上。
[2]前記重合性不飽和基を有するモノマー(M)が、エチレン性二重結合含有ニトリルとカルボン酸ビニルエステルを含み、両者の合計がモノマー(M)のうちの80質量%以上である、[1]のポリマー分散ポリオールの製造方法。
[3]前記エチレン性二重結合含有ニトリルがアクリロニトリルであり、前記カルボン酸ビニルエステルが酢酸ビニルであり、アクリロニトリル:酢酸ビニルの質量比が75:25〜5:95である、[2]のポリマー分散ポリオールの製造方法。
[5]前記ポリオール組成物(P)の平均水酸基価が100〜800mgKOH/gであり、平均官能基数が2〜10である、[4]の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
[6]前記ポリオール組成物(P)におけるポリマー粒子含有量が0.01〜8質量%である、[4]または[5]の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
[7]ポリオール組成物(P)がマンニッヒポリオールを含む、[4]〜[6]の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
[8]前記発泡剤が水を含む、[4]〜[7]の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
[9]前記発泡剤が水のみである、[4]〜[8]の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
[10]前記水の使用量が、ポリオール組成物(P)の100質量部に対して、0.1〜10質量部である、[8]または[9]の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
本発明の硬質発泡合成樹脂の製造方法によれば、低臭気のポリマー分散ポリオールを用いて、貯蔵安定性が良好なポリオールシステム液を用いて、良好な寸法安定性を有する硬質フォームを製造できる。
本発明における「発泡原液組成物」とは、ポリオールシステム液と、ポリイソシアネート化合物と、任意に残りの成分とを混合した液である。
「マンニッヒ縮合物」とは、一般にアニリン、フェノール類等の芳香族化合物と、アルデヒド類と、アミン類とを縮合反応させて得られる化合物を意味する。本発明では、フェノール類と、アルデヒド類と、アルカノールアミン類を反応させて得られるマンニッヒ縮合物を用いる。
本発明における「マンニッヒポリオール」とは、マンニッヒ縮合物を開始剤として、アルキレンオキシドなどの環状エーテルを付加して得られるポリエーテルポリオールである。
本明細書中におけるポリオールの水酸基価はJIS K1557(2007年版)に準拠して測定した値である。
本発明のポリマー分散ポリオールは、ベースポリオールであるポリオール(X)中で、重合性不飽和基を有するモノマー(M)を重合して得られる、ポリマー分散ポリオールである。ポリオール(X)は、ポリエーテルポリオール(Y)とアミン系ポリオール(Z)とを含む。
[ポリエーテルポリオール(Y)]
本発明におけるポリエーテルポリオール(Y)は、水酸基価が5〜84mgKOH/g、オキシエチレン基含有量が40〜100質量%であるポリエーテルポリオールの1種以上からなる。1種のポリエーテルポリオールのみであるのが好ましい。
ポリエーテルポリオール(Y)は、開始剤に触媒を用いて環状エーテルを開環付加重合して得られるポリエーテルポリオールであることが好ましい。ポリエーテルポリオール(Y)の平均官能基数は2〜8が好ましく、3〜6がより好ましく、3〜4が特に好ましい。該平均官能基数が上記範囲の上限値以下であると、ポリマー分散ポリオールにおけるポリマー粒子の良好な分散安定性が得られやすく、ポリマー分散ポリオールの粘度が低粘度になり、取り扱いやすい。
多価アルコールとしては水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド等の4価アルコール;ソルビトール、マンニトール、ズルシトール等の6価アルコール;シュークロース等の8価アルコールが挙げられる。
多価フェノールとしてはビスフェノールAなどのビスフェノール化合物;フェノール−ホルムアルデヒド初期縮合物等が挙げられる。
複合金属シアン化物錯体触媒としては、亜鉛ヘキサシアノコバルテートに有機配位子が配位した複合金属シアン化物錯体触媒が好ましい。有機配位子としては、tert−ブタノール、tert−ペンチルアルコール、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、tert−ブタノールとエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルとの組み合わせ等が挙げられる。
ルイス酸触媒としては、BF3錯体、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム等が挙げられる。
アルカリ金属触媒としては、水酸化セシウム、水酸化カリウム、および水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属化合物が挙げられる。特に水酸化カリウムが好ましい。
本発明におけるポリエーテルポリオール(Y)の製造に用いる触媒としては、水酸化カリウムを用いるのが最も好ましい。
なお、エチレンオキシドと他の環状エーテルを併用する場合、ブロック重合でもよく、ランダム共重合でもよいが、常温液状のポリエーテルポリオール(Y)が得られやすい点でランダム共重合が好ましい。ブロック重合する場合には、エチレンオキシド、他の環状エーテル、エチレンオキシドの順か、他の環状エーテル、エチレンオキシドの順に付加するのが好ましい。
本発明におけるアミン系ポリオール(Z)は、開始剤としてのアミン化合物に環状エーテルを開環付加重合して得られる、水酸基価250〜900mgKOH/gのポリエーテルポリオールの1種以上からなる。1種のポリエーテルポリオールのみであるのが好ましい。
該水酸基価は300〜800mgKOH/gが好ましく、350〜800mgKOH/gが特に好ましい。上記範囲内であれば、ポリマー分散ポリオールにおけるポリマー粒子の良好な分散安定性が得られやすく、ポリマー分散ポリオールの粘度上昇も起こりにくい。
アミン系ポリオール(Z)のオキシエチレン基含有量が高いと、ポリオール(X)の粘度が下がりやすく、取り扱いが容易になる場合もあるが、アミン系ポリオール(Z)の色度が高くなり、臭気が強くなるため、オキシエチレン基含有量が30質量%以下であることが好ましい。アミン系ポリオール(Z)の製造に用いられる環状エーテルがプロピレンオキシドのみであることが特に好ましい。
ポリオール(X)は、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエーテルポリオール(Y)またはアミン系ポリオール(Z)のいずれにも該当しない他のポリオールを含むことができる。例えば、水酸基価がポリエーテルポリオール(Y)と同等の84mgKOH/g以下でオキシエチレン基含有量が40質量%未満のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール等が挙げられる。他のポリオールは、ポリマー分散ポリオールのベースポリオールとして公知のものを1種または2種以上用いることができる。
本発明におけるポリオール(X)は、ポリマー分散ポリオールのベースポリオールである。
ポリオール(X)はポリエーテルポリオール(Y)とアミン系ポリオール(Z)とを含むポリオール混合物である。本発明の効果を損なわない範囲で、他のポリオールを含むこともある。
ポリオール(X)の平均水酸基価は20〜180mgKOH/gである。40〜160mgKOH/gが好ましく、75〜150mgKOH/gが特に好ましい。該平均水酸基価が上記範囲の上限値以下であると、ポリマー分散ポリオール中におけるポリマー粒子の良好な分散安定性が得られ、かつ臭気も低減されやすい。上記範囲の下限値以上であると、高水酸基価の硬質フォーム用ポリオールとポリマー分散ポリオールとの良好な相溶性が得られやすい。
ポリエーテルポリオール(Y)とアミン系ポリオール(Z)の質量比(Y):(Z)は85:15〜97:3である。87:13〜96:4が好ましく、90:10〜95:5が特に好ましい。
ポリオール(X)の主成分がポリエーテルポリオール(Y)およびアミン系ポリオール(Z)の混合物であり、これらのうちポリエーテルポリオール(Y)の割合が上記範囲の下限値以上であると、ポリマー分散ポリオールにおけるポリマー粒子の良好な分散安定性が得られるとともに、硬質フォーム用ポリオールとポリマー分散ポリオールとの良好な相溶性が得られやすく、またポリマー分散ポリオールの臭気が低減されやすい。ポリエーテルポリオール(Y)およびアミン系ポリオール(Z)の合計のうち、アミン系ポリオール(Z)の割合が上記範囲の下限値以上であると、硬質フォームの良好な寸法安定性向上効果が得られる。
ポリマー粒子の良好な分散安定性については、ベースポリオール中で重合性不飽和基を有するモノマーを重合させる際、ベースポリオールが高分子量(低水酸基価)であるため、ベースポリオールによる粒子安定化作用が得られ、重合反応により粒子が成長する過程で粒子同士の凝集が起こりにくいと考えられる。
ポリマー分散ポリオールと硬質フォーム用ポリオールとの相溶性が良好で、かつ、ポリマー粒子の分散安定性が良好であれば、ポリマーシステム液の貯蔵安定性は良好になる。
硬質フォームの寸法安定性向上については、アミン系ポリオール(Z)が、ポリマー粒子の表面改質に寄与すると推測される。具体的には、アミン系ポリオール(Z)が、ポリマー粒子と水素結合、またはポリマー粒子表面の一部とエステル交換反応するなどして、ポリマー粒子の表面が改質され、硬質フォーム中のポリマー粒子によるフォーム収縮抑制効果が十分に発揮されると推測される。
重合性不飽和基を有するモノマー(M)は、エチレン性二重結合含有ニトリルを含み、そのほかにエチレン性二重結合含有カルボン酸およびその誘導体、ならびにカルボン酸ビニルエステルからなる群より選択される1種以上を含む。これらを必須のモノマーとして用いると、硬質フォームの良好な寸法安定性向上効果が得られやすい。
これらのいずれにも該当しない、重合性不飽和基を有する他のモノマーを、本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよい。モノマー(M)中におけるエチレン性二重結合含有ニトリルと、エチレン性二重結合含有カルボン酸およびその誘導体と、カルボン酸ビニルエステルの合計が占める割合は80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。該合計が上記下限値以上であると、ポリマー分散ポリオールと硬質フォーム用ポリオールとの良好な相溶性が得られやすい。
また、[エチレン性二重結合含有ニトリル]:[エチレン性二重結合含有カルボン酸およびその誘導体、ならびにカルボン酸ビニルエステルからなる群より選択される1種]の質量比が75:25〜5:95であることが好ましく、50:50〜10:90がより好ましく、40:60〜15:85が特に好ましい。
エチレン性二重結合含有ニトリルの含有割合が上記範囲の下限値より多いと、硬質フォームの寸法安定性向上効果が良好なポリマー分散ポリオールが得られやすく、上記範囲の上限値よりも少ないと、粘度が低く、ポリマー粒子の分散性が良いポリマー分散ポリオールが得られやすい。
この場合、エチレン性二重結合含有ニトリル:カルボン酸ビニルエステルの質量比が75:25〜5:95であることが好ましく、50:50〜10:90がより好ましく、40:60〜15:85が特に好ましい。
エチレン性二重結合含有カルボン酸およびその誘導体は1種でもよく2種以上を併用してもよい。エチレン性二重結合含有カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられ、エチレン性二重結合含有カルボン酸の誘導体の具体例としては、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアクリル系モノマーが挙げられる。なお、本発明において、エチレン性二重結合含有ニトリルに該当するものは、エチレン性二重結合含有カルボン酸およびその誘導体には含まれないものとする。
カルボン酸ビニルエステルは1種でもよく2種以上を併用してもよい。モノカルボン酸ビニルエステルが好ましく、下記一般式(I)で表される化合物がより好ましい。式中のRは炭素数1〜3のアルキル基を示す。
CH2=CHOCOR …(I)
一般式(I)で示される化合物としては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。酢酸ビニルが特に好ましい。
本発明のポリマー分散ポリオールの製造方法は、ポリオール(X)中で重合性不飽和基を有するモノマー(M)を重合させる工程を有する。
公知の回分法、半回分法、連続法のいずれも用いることができる。いずれの方法においても、重合反応は重合開始剤の分解温度以上、通常は50〜150℃で行われることが好ましく、80〜150℃がより好ましく、100〜130℃が特に好ましい。
回分法は、反応器に、ポリオール(X)の全量、モノマー(M)の全量、及び重合開始剤の全量を仕込んだ後、昇温を開始し、反応を行う方法である。ポリマー粒子の分散安定性に優れる点で好ましい。
回分法において、重合反応は重合開始剤の分解温度以上、通常は50〜120℃で行われることが好ましく、55〜110℃がより好ましく、60〜100℃が特に好ましい。
半回分法は、反応器にポリオール(X)の一部を仕込み、撹拌下、この反応器に残りのポリオール(X)、モノマー(M)、重合開始剤等の混合物を徐々にフィードして重合を行う方法である。
連続法は、ポリオール(X)、モノマー(M)、重合開始剤等の混合物を撹拌下反応器に連続的にフィードし、これと同時に生成したポリマー組成物を連続的に反応器から排出する方法である。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘキセン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ベンジルエチルエーテル、1,1−ジエトキシエタン、アセタール、アニソール、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテル類;クロロベンゼン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼン等のニトロ化合物;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等のアミン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物などが挙げられる。
これら溶媒は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。モノマー(M)の重合が終了した後、溶媒は除去されることが好ましい。溶媒除去は、通常減圧加熱により行われるが、常圧加熱または減圧常温下に行うこともできる。この際、溶媒とともに未反応モノマーも除去される。
かかる安定化剤またはグラフト化剤の具体例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等の二重結合含有基を有する活性水素化合物を開始剤として環状エーテルを反応させて得られた高分子量のポリエーテルポリオールまたはポリエーテルモノオール;ポリエーテルポリオールまたはポリエーテルモノオールに、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸またはその酸無水物を反応させた後、必要に応じて環状エーテルを付加して得られた高分子量のポリオールまたはモノオール;2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブテンジオール等の不飽和基含有アルコールと他のポリオールとポリイソシアネートとの反応物;アリルグリシジルエーテル等の不飽和基含有エポキシ化合物とポリオールとの反応物;などが挙げられる。これらの化合物は水酸基を有することが好ましいがそれに限定されない。
本発明のポリマー分散ポリオールがこのように分散安定性に優れる理由としては、モノマー(M)を重合して得られるポリマー粒子の大きさが微細かつ均一であるためと推定できる。
なお、本発明で得られるポリマー分散ポリオールにおいては、モノマー(M)を重合して得られるポリマーのポリオール(X)に対する親和性が高いため、該ポリマーの一部がポリオール(X)中に溶解していてもよい。
本発明の硬質発泡合成樹脂の製造方法は、ポリオール組成物(P)とポリイソシアネート化合物(I)を、発泡剤、製泡剤および触媒の存在下で反応させる工程を有する。ポリオール組成物(P)は、本発明の製造方法で得られるポリマー分散ポリオールを含む。
ポリマー分散ポリオールは単独で硬質ポリウレタンフォームの原料として使用できる。すなわちポリオール組成物(P)の100質量%をポリマー分散ポリオールとすることは可能であるが、ポリマー分散ポリオールと、ポリマー粒子を含まない硬質フォーム用ポリオールの混合物とをポリオール組成物(P)として使用することが好ましい。
本明細書において、ポリオール組成物(P)のうち、ポリマー分散ポリオール以外のポリオールを、硬質フォーム用ポリオールという。
本発明の硬質フォーム用ポリオールは、得ようとする硬質フォームの物性等に応じて適宜選択される。ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、主鎖が炭化水素系ポリマーからなり末端部分に水酸基を導入してなるポリマー(以下、末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマーという。)等がある。硬質フォーム用ポリオールは1種のポリオールであってもよく、2種以上を併用してもよい。
硬質フォーム用ポリオールとして、特に、ポリエーテルポリオールのみを用いるか、またはポリエーテルポリオールを主成分として、ポリエステルポリオールを併用することが好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば多価アルコール、多価フェノール等のポリヒドロキシ化合物やアミン化合物などの開始剤に、アルキレンオキシドなどの環状エーテルを付加して得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
開始剤としてのポリヒドロキシ化合物の具体例は、上記にポリエーテルポリオール(Y)の開始剤として記載した化合物が挙げられる。アミン化合物の具体例は、上記にアミン系ポリオール(Z)の開始剤として記載した脂肪族アミン化合物、飽和環状アミン化合物、および芳香族アミン化合物のほか、マンニッヒ縮合物も挙げられる。
エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブチレンオキシド、2−ブチレンオキシド、トリメチルエチレンオキシド、テトラメチルエチレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、スチレンオキシド、α−メチルスチレンオキシド、エピクロロヒドリン、エピフルオロヒドリン、エピブロモヒドリン、グリシドール、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−クロロエチルグリシジルエーテル、o−クロロフェニルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド、ジヒドロナフタレンオキシド、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロヘキサン等の3員環状エーテル基を有する化合物;オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の4〜6員環状エーテル基を有する化合物。
ポリエーテルポリオールとして、フェノール類とアルカノールアミン類とアルデヒド類とをマンニッヒ反応させて得られる反応物(マンニッヒ縮合物ともいう)に環状エーテルを付加して得られるポリエーテルポリオール(本明細書ではマンニッヒポリオールという。)を用いることが好ましい。
すなわち、フェノールの水酸基に対して少なくとも1か所のオルト位に水素原子を有していればよく、フェノールであってもよく、フェノール誘導体であってもよい。
フェノール誘導体としては、フェノールの水酸基に対して少なくとも1か所のオルト位に水素原子を有し、それ以外の水素原子の1個以上が炭素数1〜15のアルキル基で置換されたアルキルフェノールが好ましい。アルキル基の置換位置はオルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよい。アルキルフェノールの1分子中、アルキル基で置換された水素原子の数は1〜4個が好ましく、1〜2個がより好ましく、1個が特に好ましい。
アルキルフェノールにおけるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10である。該アルキルフェノールとして、ノニルフェノール、クレゾールが好ましく用いられる。特にノニルフェノールは、マンニッヒポリオールとポリイソシアネート化合物(I)との相溶性を向上させ、セル外観を向上させる点で好ましい。
マンニッヒ縮合反応に用いる原料において、フェノール類の1モルに対する、アルデヒド類の割合は0.3モル以上3モル以下が好ましい。該アルデヒド類の割合が0.3モル以上であると、硬質フォームの良好な寸法安定性が得られやすい。3モル以下であると低粘度のマンニッヒポリオールを得やすくなる。また、マンニッヒポリオールの粘度がより低くなりやすい点では、0.3モル以上0.9モル未満が好ましく、得られる硬質フォームの強度の点からは0.9モル以上1.5モル以下がより好ましい。
マンニッヒ縮合反応に用いる原料において、アルデヒド類の1モルに対する、アルカノールアミン類の割合は0.7モル以上12モル以下が好ましい。該アルカノールアミン類の割合が0.7モル以上であると、良好な強度の硬質フォームが得られやすい。12モル以下であると良好な難燃性の硬質フォームが得られやすい。また、得られる硬質フォームの難燃性の点からは、0.7モル以上5モル以下が好ましい。低粘度のマンニッヒポリオールを得る点からは、0.7モル以上5モル以下が好ましく、0.7モル以上3.5モル以下がより好ましい。
開始剤に付加するアルキレンオキシドの付加量は、マンニッヒ縮合反応に使用するフェノール類1モルに対して2〜30モルが好ましく、4〜20モルが特に好ましい。アルキレンオキシドの付加量が上記範囲の下限値以上であると、生成するマンニッヒポリオールの水酸基価および粘度が低くなりやすい。アルキレンオキシドの付加量が上記範囲の上限値以下であると、硬質フォームの収縮を抑えやすい。
開環付加重合反応に使用する全アルキレンオキシドを100質量%とする時、そのうちのエチレンオキシドの比率が10〜100質量%であることが好ましく、20〜100質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であるとマンニッヒポリオールの粘度が低くなりやすく、ポリオール組成物(P)の粘度およびポリオールシステム液の粘度を低くするうえで好ましい。
またエチレンオキシドはマンニッヒポリオールの親水性の向上に寄与する。マンニッヒポリオールの親水性が高いと、発泡剤として水を含むポリオールシステム液における水との相溶性およびポリオールの溶解性が向上する。
なお、マンニッヒポリオールとして、複数種のポリオールを組み合わせて用いる場合、該エチレンオキシドの比率は、マンニッヒポリオール全体としての値である。
マンニッヒポリオールとして、複数種のポリオールを組み合わせて用いる場合は、各マンニッヒポリオールの水酸基価がそれぞれ上記の範囲内であればよい。
マンニッヒポリオールの水酸基価が上記範囲の下限値以上であると、得られる硬質フォームの強度が確保し易く、良好な寸法安定性が得られやすいため好ましい。一方、該水酸基価が上限値以下であると、マンニッヒポリオール中に存在するアルキレンオキシド由来のオキシアルキレン鎖の量が増え、マンニッヒポリオールの粘度が下がりやすく好ましい。また、製造される硬質フォームの脆さが抑制され接着性が出やすい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば多価アルコールと多価カルボン酸との重縮合によって得られるポリエステルポリオールがある。そのほか、ヒドロキシカルボン酸の重縮合、環状エステル(ラクトン)の重合、ポリカルボン酸無水物への環状エーテルの重付加、廃ポリエチレンテレフタレートのエステル交換反応により得られるポリエステルポリオールなどがある。
好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリンなどの多価アルコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、及び水酸基価が300mgKOH/g以上のポリエーテル系ポリオールが鎖延長剤、架橋剤として用いられる。
また、モノアミン、ポリアミンなどのアミン化合物などを、ポリオール組成物(P)と併用することもできる。好ましくはヘキサメチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどが用いられる。
また、硬質フォーム用ポリオールが、上記芳香族アミン化合物を開始剤とするポリエーテルポリオールおよび/またはマンニッヒポリオールを含む場合に、ポリエステルポリオールおよびビスフェノール化合物を開始剤とするポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる1種以上を併用することが、硬質フォームの難燃性を向上させる点で好ましい。
該ビスフェノール化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、および2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンからなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。より好ましいものは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSである。
本発明におけるポリオール組成物(P)は、ポリマー分散ポリオールのみ、またはポリマー分散ポリオールと硬質フォーム用ポリオールとからなる。ポリマー分散ポリオールのみであると、ポリマー粒子の分散がより安定しやすい。
ポリオール組成物(P)の平均水酸基価は100〜800mgKOH/gであることが好ましく、150〜500mgKOH/gが特に好ましい。該平均水酸基価が上記範囲の下限値以上であると柔軟性のある硬質フォームが得られやすく、上記範囲の上限値以下であると得られる硬質フォームの脆性が抑制されるやすい。
ポリオール組成物(P)の平均官能基数は2〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。該平均官能基数が上記範囲の下限値以上であると適度な圧縮強度を有する硬質フォームが得られやすく、上記範囲の上限値以下であると粘度の低いポリオールが得られやすい。
ポリオール組成物(P)において、ポリマー分散ポリオールに由来するポリマー粒子の含有量は0.01質量%以上が好ましい。ポリマー粒子の割合がこれより少ないと、硬質フォームの十分な寸法安定性向上効果が得られにくい。0.05質量%以上がより好ましい。上限は8質量%以下であることが好ましく、6質量%以下がより好ましい。さらに好ましくは5質量%以下、最も好ましくは2質量%未満である。ポリマー粒子の含有量が8質量%以下であると得られる硬質フォームの脆性が抑えられやすい。
ポリオール組成物(P)の好ましい組成としては、例えば以下のポリオール組成物(P1)〜(P4)が挙げられる。
ポリマー分散ポリオールの0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜6質量%と、マンニッヒポリオールの20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%と、ポリエステルポリオールの20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%とからなるポリオール組成物(P1)。このポリオール組成物(P1)は、特に得られる硬質フォームの収縮を抑える点で好ましい。ポリオール組成物(P1)は連続ボード成形法またはスプレー法に好適であり、特に発泡剤として水のみ、または水とHFC化合物を用いるスプレー法に好適である。
ポリマー分散ポリオールの0.05〜8質量%、好ましくは0.1〜6質量%と、マンニッヒポリオールの20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%と、ビスフェノール化合物を開始剤とするポリエーテルポリオールの20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%とからなるポリオール組成物(P2)。このポリオール組成物(P2)は、特に得られる硬質フォームの収縮を抑制および、施工性の点で好ましい。ポリオール組成物(P2)は連続ボード成形法またはスプレー法に好適であり、特に発泡剤として水のみを用いるスプレー法に好適である。
ポリマー分散ポリオールの0.1〜10質量%、好ましくは1〜8質量%と、脂肪族アミン化合物を開始剤とするポリエーテルポリオールの20〜60質量%、好ましくは30〜50質量%と、芳香族アミン化合物(マンニッヒ縮合物を含まない)を開始剤とするポリエーテルポリオールの10〜50質量%、好ましくは20〜40質量%と、マンニッヒポリオールの5〜30質量%、好ましくは5〜20質量%と、ポリエステルポリオールの5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%とからなるポリオール組成物(P4)。このポリオール組成物(P4)は、特に硬質フォームを成形時に、良好な流動性が得られ、断熱性能に優れた硬質フォームが得られる点で好ましい。ポリオール組成物(P4)は連続ボード成形法またはスプレー法に好適であり、特に発泡剤として水と炭化水素化合物とを併用するボード法に好適である。
ポリイソシアネート化合物(I)としては、イソシアネート基を2以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系等のポリイソシアネート;前記ポリイソシアネートの2種類以上の混合物;これらを変性して得られる変性ポリイソシアネート等が挙げられる。
具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(通称:クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等のポリイソシアネートまたはこれらのプレポリマー型変性体、イソシアヌレート変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体等が挙げられる。このうち、クルードMDI、またはその変性体が好ましく、クルードMDIの変性体が特に好ましい。
触媒としてウレタン化触媒を主に用いるウレタン処方の場合、ポリイソシアネート化合物(I)の使用量は、前記イソシアネート指数で100〜170が好ましく、100〜150が特に好ましい。
触媒としてイソシアネート基の三量化反応を促進させる三量化反応促進触媒を主に用いるイソシアヌレート処方の場合、ポリイソシアネート化合物(I)の使用量は、前記イソシアネート指数で100〜300が好ましく、100〜250が特に好ましい。
発泡剤としては、水、炭化水素化合物、HFC化合物、塩化メチレン、その他のハロゲン化炭化水素が好ましい。発泡剤は2種以上併用してもよい。
炭化水素化合物の例としては、ブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。中でもノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタンが好ましい。
HFC化合物の例としては、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)等が挙げられる。
これらのうち、水を単独で用いるか、または水とそれ以外の発泡剤の1種以上とを併用することが好ましい。水と併用する発泡剤としては、炭化水素化合物、HFC化合物が好ましい。水と併用する炭化水素化合物としては、特に、シクロペンタン、イソペンタン、ノルマルペンタンまたはこれらの混合物が好ましく、水と併用するHFC化合物としては、特にHFC−134a、HFC−245fa、HFC−365mfcまたはこれらの混合物が好ましい。環境への配慮からは、発泡剤として水のみを用いることがより好ましい。
発泡剤としての水の使用量は、ポリオール組成物(P)の100質量部(水はポリオールとしては計算しない。以下同様。)に対し0.1〜10質量部が好ましく、1.0〜10質量部が特に好ましい。
炭化水素化合物を水と併用する場合、その使用量はポリオール組成物(P)の100質量部に対し5〜40質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。
HFC化合物を水と併用する場合、その使用量はポリオール組成物(P)の100質量部に対し5〜50質量部が好ましく、10〜40質量部が特に好ましい。
整泡剤としては例えば、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤が挙げられる。本発明においては良好な気泡を形成するためシリコーン系整泡剤を用いることが好ましい。
[触媒]
触媒としては、硬質ポリウレタンフォームの製造において公知の触媒を適宜用いることができる。第3級アミンなどのアミン系触媒や有機スズ化合物などの有機金属化合物が適する。
[その他の添加剤]
さらに安定剤、着色剤、充填剤、難燃剤、その他の添加剤を使用してもよい。
本発明においてスプレー法により成形される硬質発泡合成樹脂の密度(フォームコア密度)は、10〜50kg/m3が好ましく、15〜45kg/m3がより好ましく、20〜40kg/m3が特に好ましい。該密度が上記範囲であると、軽量であるため、施工時の原料使用量を少なくできる。
連続ボード成形法により成形される硬質発泡合成樹脂の密度(パネルコア密度)は、10〜50kg/m3が好ましく、15〜45kg/m3がより好ましく、20〜40kg/m3が特に好ましい。該密度が上記範囲であると、軽量であるため、搬送が容易である。
本発明の硬質発泡合成樹脂は、以下の方法で好ましく製造できる。
予め、ポリオール組成物(P)を調製し、該ポリオール組成物(P)と、ポリイソシアネート化合物(I)以外の成分の一部または全部とを混合して、ポリオールシステム液を調製しておく。その後、ポリオールシステム液と、ポリイソシアネート化合物(I)と残りの成分を混合して発泡原液組成物とし、これを発泡しながら硬化させる方法が好ましい。
発泡剤は、ポリオールシステム液に予め配合しておいてもよく、ポリオールシステム液とポリイソシアネート化合物(I)を混合した後に配合してもよい。好ましくは、ポリオールシステム液に予め配合しておく。
整泡剤および触媒は、ポリオールシステム液と、ポリイソシアネート化合物(I)を含む液のどちらに含有させてもよい。ポリオールシステム液の分離等の問題、すなわち安定的な性能を発揮させる点からは、ポリオールシステム液に含有させることが好ましい。
成形法としては、たとえば注入法、連続ボード成形法、スプレー法が挙げられる。
注入法とは、金型等の枠内に硬質フォーム原料を注入し、発泡させる方法である。連続ボード成形法とは、2枚の面材間に硬質フォーム原料を供給して発泡させることにより、これらの面材の間に硬質フォームが挟まれた積層体を製造する方法であり、建築用途の断熱材の製造等に用いられる。スプレー法とは、硬質フォームをスプレーで吹き付け施工する方法である。
特に、本発明のポリマー分散ポリオールを含むポリオール組成物(P)を用いることにより、連続ボード成形法では、硬質フォームの軽量化を良好に行いやすく、スプレー法では施工後の硬質フォームの収縮抑制を良好に行いやすい。
また、ポリマー分散ポリオールにおけるポリマー粒子の分散安定性が良好であり、ポリマー分散ポリオールと硬質フォーム用ポリオールとの相溶性が良好であり、ポリオールシステム液の貯蔵安定性に優れる。
さらに、後述の実施例に示すように、ポリマー分散ポリオールを添加することによる硬質フォームの寸法安定性向上効果が高く、所期の効果を得るために必要なポリマー分散ポリオールの添加量を低減することができる。ポリマー分散ポリオールの添加量が少ないと、
ポリオール組成物(P)における均一分散性が向上し、硬質フォームの物性を向上させる点で好ましい。
表1に示す原料を用いた。その詳細は以下のとおりである。略号のANはアクリロニトリル、Stはスチレン、VAcは酢酸ビニル、POはプロピレンオキシド、EOはエチレンオキシド、EO基含有量はオキシエチレン基含有量をそれぞれ表す。AMBNは2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリルを表し、重合開始剤である。
ポリオール(X)は下記ポリオールを製造して用いた。ポリオール(X)の平均水酸基価(単位:mgKOH/g)を表1に示す。
・ポリオールY−1(ポリエーテルポリオール(Y)の例):グリセリンを開始剤として、水酸化カリウム触媒存在下、POとEOとをランダムに付加して得られる水酸基価が50mgKOH/g、EO基含有量70質量%のポリエーテルポリオール。
・ポリオールZ−1(アミン系ポリオール(Z)の例):エチレンジアミンを開始剤として、POのみを付加して得られる水酸基価が760mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
・ポリオールA−1:グリセリンを開始剤として、水酸化カリウム触媒存在下、POとEOとをランダムに付加して得られる水酸基価が50mgKOH/g、EO基含有量25質量%のポリエーテルポリオール。
・ポリオールB−1:グリセリンを開始剤として、水酸化カリウム触媒存在下、POのみを付加して得られる水酸基価が650mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
例1〜7は実施例、例8〜16は比較例である。
5L加圧反応槽に表1に示したポリオール、モノマーおよびAMBNを全て仕込んだ後、撹拌しながら昇温を開始し、反応液を80℃に保ちながら10時間反応させた。全ての例においてモノマーの反応率は80%以上を示した。反応終了後、110℃、−0.10MPa(ゲージ圧力)で2時間加熱減圧脱気して未反応モノマーを除去し、ポリマー分散ポリオールを製造した。
ポリマー分散ポリオールの平均水酸基価は、JIS K 1557−1:2007、粘度はJIS K 1557−5:2007に従い、測定を行った。
ポリマー分散ポリオール中に含まれるポリマー粒子含有量(ポリマー濃度)は、以下の方法で測定した。
遠心分離管にポリマー分散ポリオールの5±0.01g(α1)を入れ、メタノールの25gを加えた。良く攪拌してポリマー分散ポリオール中のポリマー粒子を分散させ、遠心分離管に蓋をした。該遠心分離管を、遠心分離機にて毎分12,000回転で30分間回転させた。遠心分離機が停止してから遠心分離管を取り出し、上澄み液を捨てた。真空乾燥機を用いて、40℃、ゲージ圧力でマイナス0.10MPaにて1時間乾燥し、ポリマー質量(α2)を測定した。ポリマー中の固形物を粉砕し、再度ポリマー質量(α3)を測定した。もう一度真空乾燥機を用いて、40℃、ゲージ圧力でマイナス0.10MPaにて2時間乾燥し、ポリマー質量(α4)を測定する。その後、下記計算式にて、ポリマー粒子含有量を算出した。
ポリマー粒子含有量(%)=(α2×α4)×100/(α1×α3)
臭気の評価は、人による官能試験を行った。臭気の激しいものを×(不可)、臭気が無いまたは極めて少ないものを○(良好)、どちらとも言えないものを△(可)として評価した。
分散安定性の評価は、製造したポリマー分散ポリオールを40℃の環境下に静置して3ヶ月保管した後に観察し、ポリマー粒子の沈降や凝集が無く、均一な分散状態にあるものを○(良好)とした。
例8は、ポリエーテルポリオール(Y)であるポリオールY−1を、EO基含有量の低いポリオールA−1に置き換えてポリマー分散ポリオールを製造した比較例である。粒子が沈降したり、または激しく凝集したりすることにより、ポリマー分散ポリオール全体が凝固したり、または層分離を起こし、均一な分散体は得られず、平均水酸基価および粘度の測定はできなかった。
例9、10は、本発明における(Y):(Z)の質量比の範囲よりも、アミン系ポリオール(Z)が少ない比較例である。非常に低臭気であり、3ヶ月保管後も安定な分散体であった。例9、10で得られたポリマー分散ポリオールをそれぞれPOP8、9とする。
例14〜16のいずれにおいても、非常に低臭気であり、3ヶ月保管後も安定な分散体であった。例14〜16で得られたポリマー分散ポリオールをそれぞれPOP13〜15とする。
用いた原料は、以下のとおりである。
[ポリエステルポリオール]
・ポリオールC−1:ジエチレングリコールとテレフタル酸とを重縮合して得られた、水酸基価が200mgKOH/gの芳香族ポリエステルポリオール。(商品名:PHANTOL SV−165、日立化成ポリマー社製)。
・ポリオールC−2:水酸基価が245mgKOH/gの芳香族ポリエステルポリオール。(商品名:TEROL 563、オキシド社製)。
・ポリオールC−3:水酸基価が250mgKOH/gの芳香族ポリエステルポリオール。(商品名:TEROL 693、オキシド社製)。
・ポリオールD−1:ノニルフェノールの1モルに対し、ホルムアルデヒドの1.5モルおよびジエタノールアミンの2.2モルを反応させて得られた反応生成物を開始剤として、PO、EOをこの順で開環付加重合させて得られた水酸基価が300mgKOH/gのポリエーテルポリオール。アルキレンオキシドの付加量はノニルフェノールの1モルに対し15.4モルである。付加させたPOとEOとの合計量に対するEOの割合は58質量%である。25℃における粘度(以下、同様。)は1,000mPa・s。
・ポリオールD−2:ノニルフェノールの1モルに対し、ホルムアルデヒドの0.75モルおよびジエタノールアミンの2.2モルを反応させて得られた反応生成物を開始剤として、EO、PO、EOをこの順序で開環付加重合させて得られた水酸基価が300mgKOH/gのポリエーテルポリオール。アルキレンオキシドの付加量はノニルフェノールの1モルに対し16.7モルである。付加させたPOとEOとの合計量に対するEOの割合は75質量%である。25℃における粘度は470mPa・s。
・ポリオールD−4:ノニルフェノールの1モルに対し、ホルムアルデヒドの1.3モルおよびジエタノールアミンの2.2モルを反応させて得られた反応生成物を開始剤として、PO、EOをこの順序で開環付加重合させて得られた水酸基価が300mgKOH/gのポリエーテルポリオール。アルキレンオキシドの付加量はノニルフェノールの1モルに対し15.8モルである。付加させたPOとEOとの合計量に対するEOの割合は55質量%である。粘度は800mPa・s。
・ポリオールE−1:開始剤としてビスフェノールAを用い、開始剤にEOのみを開環付加重合させた、水酸基価が270mgKOH/gのポリエーテルポリオール。25℃における粘度は11,000mPa・s。
・ポリオールE−2:開始剤としてビスフェノールAを用い、開始剤にEOのみを開環付加重合させた、水酸基価が150mgKOH/gのポリエーテルポリオール。25℃における粘度は1,200mPa・s。
・ポリオールF:開始剤としてN−(2−アミノエチル)ピペラジンを用い、開始剤にEOのみを開環付加重合させた、水酸基価が350mgKOH/gのポリエーテルポリオール。25℃における粘度は700mPa・s。
・ポリオールG:開始剤としてトリレンジアミンを用い、開始剤にEOとPOとEOとを、この順序で開環付加重合させた、水酸基価が350mgKOH/gであり、EOとPOとの合計に対するEOの割合が33質量%のポリエーテルポリオール。25℃における粘度は7,000mPa・s。
・ポリオールH:開始剤としてシュークロースとグリセリンとの混合物(質量比で5:4)を用い、該混合物に、POのみを開環付加重合させた、水酸基価が380mgKOH/gのポリエーテルポリオール。25℃における粘度は2,300mPa・s。
・ポリオールI:開始剤としてエチレンジアミンを用い、開始剤にPOのみを開環付加重合させて得られた水酸基価が760KOH/gのポリエーテルポリオール。25℃における粘度は45,000mPa・s。
ポリオール組成物中に含まれるポリマー粒子含有量(単位:質量%)は、使用するポリマー分散ポリオール中のポリマー粒子含有量(単位:質量%)と、ポリマー組成物(P)の質量から計算した。
なお、ポリマー分散ポリオール中に含まれるポリマー粒子含有量と同様に、以下の方法で測定しても同等の結果が得られるため、以下の方法で測定してもよい。
遠心分離管にポリオール組成物(P)の5±0.01g(α1’)を入れ、メタノールの25gを加えた。良く攪拌してポリオール組成物(P)中のポリマー粒子を分散させ、遠心分離管に蓋をした。該遠心分離管を、遠心分離機にて毎分12,000回転で30分間回転させた。遠心分離機が停止してから遠心分離管を取り出し、上澄み液を捨てた。真空乾燥機を用いて、40℃、ゲージ圧力でマイナス0.10MPaにて1時間乾燥し、ポリマー質量(α2’)を測定した。ポリマー中の固形物を粉砕し、再度ポリマー質量(α3’)を測定した。もう一度真空乾燥機を用いて、40℃、ゲージ圧力でマイナス0.10MPaにて2時間乾燥し、ポリマー質量(α4’)を測定する。その後、下記計算式にて、ポリマー粒子含有量を算出した。
ポリマー粒子含有量(%)=(α2’×α4’)×100/(α1’×α3’)
・発泡剤A:蒸留水。
・発泡剤B:シクロペンタン。
・発泡剤C:245faおよび、365mfcを70:30の質量比で混合したもの。
[難燃剤]
・トリスクロロプロピルフォスフェート(スプレスタジャパン社製、商品名:ファイロー
ルPCF)。
[整泡剤]
・シリコーン系整泡剤(商品名:SH−193、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製
)。
・触媒A:反応型泡化触媒(ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルの70質量%D
PG(ジプロピレングリコール)溶液、商品名:TOYOCAT RX7、東ソー社製)
。
・触媒B:樹脂化触媒(N,N‘,N’‘−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン 商品名:ポリキャット41 、エアプロダクツ社製)。
・触媒C:第4級アンモニウム塩とエチレングリコールの混合物(商品名:TOYOCA
T TRX、東ソー社製)。
・触媒D:樹脂化触媒(N,N,N‘,N’,−テトラメチルヘキサンジアミン 商品名:TOYOCAT MR、東ソー社製)。
・触媒E:1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7のオクチル酸塩
(商品名:U−CAT SA 102、サンアプロ社製)。
・触媒F:樹脂化触媒(トリエチレンジアミン 商品名:TEDA−L33、東ソー社製)。
・触媒G:三量化触媒(オクチル酸カリウム塩 商品名:プキャット15G、日本化学産業社製)。
・ポリイソシアネート−1:ポリメリックMDI(MDIとクルードMDIの混合物)、商品名:コロネート1130、日本ポリウレタン工業社製、25℃における粘度:130mPa・s、イソシアネート基含有率:31質量%)。
・ポリイソシアネート−2:ポリメリックMDI(MDIとクルードMDIの混合物)、商品名:ミリオネート MR−200、日本ポリウレタン工業社製、25℃における粘度:200mPa・s、イソシアネート基含有率:31質量%)。
・ポリイソシアネート−3:ポリメリックMDI(MDIとクルードMDIの混合物)、商品名:スミジュール 44V20、住化バイエルポリウレタン社製、25℃における粘度:200mPa・s、イソシアネート基含有率:31質量%)。
(反応性)
簡易発泡においては、クリームタイム/ライズタイムの測定を行った。ボックスフリー発泡においては、クリームタイム/ゲルタイム/タックフリータイムの測定を行った。
[クリームタイム]
ポリオールシステム液とポリイソシアネート化合物との混合開始時刻を0秒とし、発泡原液組成物が泡立ちを始めるまでの時間をクリームタイム(秒)として測定した。
[ライズタイム]
ポリオールシステム液とポリイソシアネート化合物との混合開始時刻を0秒とし、発泡原液組成物が発泡し始め、フォームの上昇が停止する時間をライズタイム(秒)として測定した。
[ゲルタイム]
ポリオールシステム液とポリイソシアネート化合物との混合開始時刻を0秒とし、ゲル化の進行に伴い、ゲル化の進行に伴い、細いガラスまたは金属製の棒を発泡中の発泡原液組成物上部に軽く差した後、素早く引き抜いた時に発泡原液組成物が糸を引き始めるまでの時間をゲルタイム(秒)として測定した。
[タックフリータイム]
ポリオールシステム液とポリイソシアネート化合物との混合開始時刻を0秒とし、発泡が終了し、フォームにベトツキが無くなるまでの時間をタックフリータイム(秒)として測定した。
簡易発泡およびボックスフリー発泡により得られた硬質フォームにおいては、硬質フォームの中央付近を10cm角に切り出した試験片の密度を、JIS A 9526に準拠する方法で測定した。
スプレー発泡により得られた硬質フォームにおいては、硬質フォームの中央付近を70mm×100mm×100mmに切り出した試験片を、JIS A 9526に準拠する方法で測定した。
パネル発泡により得られた硬質フォームにおいては、硬質フォームの中央付近を25mm×200mm×200mmに切り出した試験片を、JIS A 9526に準拠する方法で測定した。
(圧縮強さ)
圧縮強さは、JIS A9511に準拠して測定した。試料片の大きさは、50mm×50mm×50mmとした。重力方向に対して平行方向および垂直方向の圧縮強さについてそれぞれ測定した。
高温収縮は、ASTM D 2126−75に準じた方法で測定し、発泡剤が水のみの場合は高温寸法安定性および湿熱寸法安定性を評価し、発泡剤が炭化水素化合物もしくはHFC化合物を併用する場合は低温寸法安定性の評価を行った。
各例の硬質フォームを用い、1時間養生の後、表に示す寸法で横(X)×縦(Y)×高さ(Z)を切り出したものを試験片として用いた。
高温寸法安定性は前記試料片を70℃、湿熱寸法安定性は70℃で相対湿度95%、低温寸法安定性は−30℃の雰囲気下に、24時間保存し、増加した長さ(厚さ)を、保存前の長さ(厚さ)に対する寸法変化率(単位:%)で表した。すなわち、2条件で各3方向(X、Y、Z)の全6方向について寸法変化率をそれぞれ測定した。なお、低温条件では3方向について測定した。
寸法変化率において、負の数値は収縮を意味し、絶対値が大きいことは、寸法変化が大きいことを意味する。
外観収縮の評価は、各条件での全3方向についての寸法変化率(単位%)に基づいて、下記の評価基準で寸法安定性を評価した。
[評価基準]
○(良好):全3方向の寸法変化率の中の絶対値の最大値が3%未満であった。
△(可):全3方向の寸法変化率の中の絶対値の最大値が3%以上10%未満であった。
×(不可):全3方向の寸法変化率の中の絶対値の最大値が10%以上であった。
(熱伝導率)
熱伝導率(単位:mW/m・K)は、JIS A1412に準拠し、熱伝導率測定装置(製品名:オートラムダHC−074型、英弘精機社製)を用いて測定した。
表2〜6に示す配合で、簡易発泡により硬質フォームを製造し、表に示す項目について評価した。
表2、3の例21〜37は実施例であり、前記ポリオール組成物(P1)を用い、発泡剤として水のみを使用した配合である。いずれも特にスプレー法に最適な配合である。
表4、5の例41〜53は比較例である。
表6の例61〜65は実施例であり、前記ポリオール組成物(P2)を用い、発泡剤として水のみを使用した配合である。いずれも特にスプレー法に最適な配合である。
すなわち表に示す配合で、ポリオール成分、発泡剤、整泡剤、難燃剤および触媒を撹拌機でよく混合してポリオールシステム液を得た。ポリオールシステム液とポリイソシアネート化合物と撹拌混合後(液温10℃)1Lのポリエチレンデスカップ内で発泡させて硬質フォームを製造した。
表7、表8に示す配合で、ボックスフリー発泡により硬質フォームを製造し、表に示す項目について評価した。
表7の例71〜74は実施例であり、前記ポリオール組成物(P3)を用い、発泡剤として水のみを使用した配合である。いずれも特に連続ボード成形法に最適な配合である。例75は比較例である。
表8の例81〜83は実施例であり、前記ポリオール組成物(P4)を用い、発泡剤として水と炭化水素化合物とを併用した配合である。いずれも特に連続ボード成形法に最適な配合である。例84は比較例である。
すなわち、表2〜6の例と同様にして調製したポリオールシステム液とポリイソシアネートとを撹拌混合後(液温20℃)、200mm×200mm×200mmの木製のボックス内に投入し、発泡させて硬質フォームを製造した。
表9に示す配合でボックスフリー発泡により硬質フォームを製造し、表に示す項目について評価した。
表9の例91〜93は実施例であり、前記ポリオール組成物(P1)を用い、発泡剤として水とHFC化合物とを併用した配合である。いずれも特にスプレー法に最適な配合である。例94は比較例である。
すなわち、表7、8の例において、ポリオールシステム液とポリイソシアネートの撹拌混合後の液温を15℃に変更したほかは同様にして木製のボックス内で発泡させて硬質フォームを製造した。
一方、ポリマー分散ポリオールを添加しなかった例41、75、84、94で得られた硬質フォームは収縮が大きい。
比較例のポリマー分散ポリオール(POP8〜15)を用いた例42〜53では、ポリマー分散ポリオールの添加量が3質量部では収縮が大きく、6質量部にまで増やしても充分に改善されなかった。
例23、27、33、41、91〜94において、発泡評価を行った配合において、ガスマー社製スプレー発泡機(商品名:FF−1600)を用いて、液温40℃、室温20℃の条件下で、発泡、反応させて硬質フォームを製造した。
施工する基材は、縦が600mm、横が600mm、厚さが5mmのフレキシブル板を用い、これに対して、吹き付け施工を行った。吹き付けは、厚さ1mmの下吹き層を施工した後に、一層の厚さが25〜30mmとなるように2層吹き付け施工し、合計で3層積層した。
スプレー施工における接着性、施工性、成形性、混合性、得られた硬質フォームの密度(フォームコア密度)、熱伝導率、圧縮強さおよび寸法安定性の評価を行った。接着性、施工性、成形性、および混合性の評価は以下の方法で行った。評価結果を表10、11に示す。
施工したフォームの端部をカットし、基材とフォームを引き剥がす感触を確認し、以下の基準で評価した。
○(良好):基材にフォームが残り、強固に接着しフォームの剥離が困難。
×(不可):基材にフォームが残らず、簡単にフォームが剥離する。
[スプレー施工性]
スプレーミストの広がり具合を目視にて確認し、以下の3段階で評価した。
○(良好):充分にミストの開きが広角となり、平滑な吹き付けが可能である状態。
△(可):ミストの開きがやや不充分であり、平滑な吹き付けがやや困難な状態。
×(不可):ミストの開きが不充分であり、平滑な吹き付けが困難な状態。
[成形性(フォーム内部の状態)]
施工したフォームの端部をカットし、断面の状態を確認し以下の基準で評価した。
○(良好):フォーム内部にスコーチ等による着色や割れや、セル不均一などがない。
×(不可):フォーム内部にスコーチ等による着色や割れがある、および/またはセル不均一などの不良部分がある。
[混合性]
吹きつけ直後のフォーム外観を観察し、セルの大きさと色相の均一性を目視にて確認した。評価は以下の基準で、3段階評価とした。
○(良好):セルの大きさおよび色相が均一で、混合斑がない状態。
△(可):セルの大きさが不均一、色相が不均一、または混合斑の存在のうちのいずれか1つが確認される状態。
×(不可):セルの大きさの不均一、色相の不均一、または混合斑の存在のうち2つ以上が確認される状態。
一方、ポリマー分散ポリオールを添加しなかった例41、94では、接着性、施工性、成形性、および混合性は良好であったが、得られた硬質フォームは収縮が大きかった。
例72〜75、81〜84において、発泡評価を行った配合において、厚み50mm×縦400mm×横400mmの金属製金型を用いて、金属製金型の表面温度40℃の条件下で、発泡、反応させて硬質フォームを製造した。
パネル成形により得られた硬質フォームの密度(パネルコア密度)、圧縮強さ、寸法安定性、および熱伝導率の評価を行った。評価結果を表12、13に示す。
一方、ポリマー分散ポリオールを添加しなかった例75、84では、得られた硬質フォームは収縮が大きかった。
例21、23、26、30〜33、44、46、48において、寸法安定性の評価に用いたポリオールシステム液を40℃で2週間保管した後にも、同様に硬質フォームを製造し、上述の高温寸法安定性を評価した。評価基準は上述と同様である。その結果を表14、15に示す。
これに対して、比較例のポリマー分散ポリオール(POP10〜12)を用いた例44、46、48に使用のポリマーシステム液では、保管後のポリオールシステム液を用いて製造した硬質フォームの寸法安定性が低下した。すなわち、ポリオールシステム液の貯蔵安定性が不十分であった。
Claims (10)
- ポリオール(X)中で、重合性不飽和基を有するモノマー(M)を重合してポリマー分散ポリオールを製造する方法であって、
前記ポリオール(X)が、下記ポリエーテルポリオール(Y)および下記アミン系ポリオール(Z)を含み、該ポリエーテルポリオール(Y)と該アミン系ポリオール(Z)の合計がポリオール(X)のうちの80質量%以上であり、該ポリエーテルポリオール(Y)と該アミン系ポリオール(Z)の質量比(Y):(Z)が85:15〜97:3であり、
該ポリオール(X)の平均水酸基価が20〜180mgKOH/gであり、
前記モノマー(M)が、エチレン性二重結合含有ニトリルと、エチレン性二重結合含有カルボン酸およびその誘導体、ならびにカルボン酸ビニルエステルからなる群より選択される1種以上とを含むことを特徴とする、ポリマー分散ポリオールの製造方法。
ポリエーテルオール(Y):水酸基価が5〜84mgKOH/g、オキシエチレン基含有量が40〜100質量%であるポリエーテルポリオールの1種以上。
アミン系ポリオール(Z):アミン化合物に環状エーテルを開環付加重合して得られ、水酸基価が250〜900mgKOH/gであるアミン系ポリオールの1種以上。 - 前記重合性不飽和基を有するモノマー(M)が、エチレン性二重結合含有ニトリルとカルボン酸ビニルエステルを含み、両者の合計がモノマー(M)のうちの80質量%以上である、請求項1に記載のポリマー分散ポリオールの製造方法。
- 前記エチレン性二重結合含有ニトリルがアクリロニトリルであり、前記カルボン酸ビニルエステルが酢酸ビニルであり、アクリロニトリル:酢酸ビニルの質量比が75:25〜5:95である、請求項2に記載のポリマー分散ポリオールの製造方法。
- ポリオール組成物(P)とポリイソシアネート化合物(I)を、発泡剤、製泡剤および触媒の存在下で反応させて硬質発泡合成樹脂を製造する方法であって、
該ポリオール組成物(P)が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法で得られるポリマー分散ポリオールを含む、硬質発泡合成樹脂の製造方法。 - 前記ポリオール組成物(P)の平均水酸基価が100〜800mgKOH/gであり、平均官能基数が2〜10である、請求項4に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
- 前記ポリオール組成物(P)におけるポリマー粒子含有量が0.01〜8質量%である、請求項4または5に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
- ポリオール組成物(P)がマンニッヒポリオールを含む、請求項4〜6のいずれか一項に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
- 前記発泡剤が水を含む、請求項4〜7のいずれか一項に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
- 前記発泡剤が水のみである、請求項4〜8のいずれか一項に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
- 前記水の使用量が、ポリオール組成物(P)の100質量部に対して、0.1〜10質量部である、請求項8または9に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
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