以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。以下では、複合機(MFP:Multi Function Peripheral)としての画像形成装置について例示する。本実施形態にかかる画像形成装置は、電子写真方式による画像形成装置であり、感光体に静電潜像を形成するための光書き込み装置における副走査方向の画像の書き込み位置の補正がその要旨である。また、以下に示す複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態にかかる画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態にかかる画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成に加えて、画像形成を実行するエンジンを有する。すなわち、本実施形態にかかる画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10や、RAM(Random Access Memory)11、ROM(Read Only Memory)12、エンジン13、HDD(Hard Disk Drive)14、I/F15、不揮発性の記憶部としてのNVRAM(Non Volatile RAM)19等が、バス18を介して接続されている。また、I/F15には、LCD(Liquid Crystal Display)16および操作部17が接続されている。
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM11は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM12は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。NVRAM19は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶部であり、位置ずれ補正処理で用いられる補正値や差分等(後に詳述)が記憶される。エンジン13は、画像形成装置1において実際に画像形成を実行する機構である。
HDD14は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。インタフェース(I/F)15は、バス18と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD16は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部17は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
このようなハードウェア構成において、ROM12やHDD14もしくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM11に読み出され、CPU10の制御にしたがって動作することにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態にかかる画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、図2を参照して、本実施形態にかかる画像形成装置1の機能構成の一例について説明する。図2は、本実施形態にかかる画像形成装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態にかかる画像形成装置1は、コントローラ20や、ADF(Auto Document Feeder:原稿自動搬送装置)21、スキャナユニット22、排紙トレイ23、ディスプレイパネル24、給紙テーブル25、プリントエンジン26、排紙トレイ27、ネットワークI/F28等を有する。
そして、コントローラ20は、主制御部30や、エンジン制御部31、入出力制御部32、画像処理部33、操作表示制御部34等を有する。図2に示すように、本実施形態にかかる画像形成装置1は、スキャナユニット22およびプリントエンジン26を有する複合機として構成されている。なお、図2では、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
ディスプレイパネル24は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであるとともに、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作しもしくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F28は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、イーサネット(Ethernet、登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェース等が用いられる。
コントローラ20は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、例えば、ROM12や不揮発性メモリ並びにHDD14や光学ディスク等の不揮発性記録媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM11等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU10の制御にしたがって構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ20が構成される。コントローラ20は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
主制御部30は、コントローラ20に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ20の各部に命令を与える。エンジン制御部31は、プリントエンジン26やスキャナユニット22等を制御もしくは駆動する駆動手段としての役割を担う。また、エンジン制御部31は、プリントエンジン26に含まれる光書き込み装置における光ビームの走査位置を算出する機能を含む。
入出力制御部32は、ネットワークI/F28を介して入力される信号や命令を主制御部30に入力する。また、主制御部30は、入出力制御部32を制御し、ネットワークI/F28を介して他の機器にアクセスする。
画像処理部33は、主制御部30の制御にしたがい、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。ここで、描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン26が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、印刷ジョブに含まれる印刷情報とは、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置にインストールされたプリンタドライバによって画像形成装置1が認識可能な形式に変換された画像情報である。操作表示制御部34は、ディスプレイパネル24に情報表示を行いもしくはディスプレイパネル24を介して入力された情報を主制御部30に通知する。
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合、まず、入出力制御部32がネットワークI/F28を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部32は、受信した印刷ジョブを主制御部30に転送する。主制御部30は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部33を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
画像処理部33によって描画情報が生成されると、エンジン制御部31は、生成された描画情報に基づき、給紙テーブル25から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。すなわち、プリントエンジン26が画像形成部として機能する。プリントエンジン26によって画像形成が施された文書は排紙トレイ27に排紙される。
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル24の操作もしくはネットワークI/F28を介して外部のPC等から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部34もしくは入出力制御部32が主制御部30にスキャン実行信号を転送する。主制御部30は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部31を制御する。
エンジン制御部31は、ADF21を駆動し、ADF21にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット22に搬送する。また、エンジン制御部31は、スキャナユニット22を駆動し、ADF21から搬送される原稿を撮像する。また、ADF21に原稿がセットされておらず、スキャナユニット22に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット22は、エンジン制御部31の制御にしたがい、セットされた原稿を撮像する。すなわち、スキャナユニット22が撮像部として動作する。
撮像動作では、スキャナユニット22に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部31は、スキャナユニット22が生成した撮像情報を画像処理部33に転送する。画像処理部33は、主制御部30の制御にしたがい、エンジン制御部31から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部33が生成した画像情報はHDD40等の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存される。すなわち、スキャナユニット22、エンジン制御部31および画像処理部33が連動して、原稿読み取り部として機能する。
画像処理部33によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD14等に格納されもしくは入出力制御部32およびネットワークI/F28を介して外部の装置に送信される。すなわち、ADF21およびエンジン制御部31が画像入力部として機能する。
一方、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部31がスキャナユニット22から受信した撮像情報もしくは画像処理部33が生成した画像情報に基づき、画像処理部33が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部31がプリントエンジン26を駆動する。
次に、本実施形態にかかるプリントエンジン26の構成について、図3を参照して説明する。図3に示すように、本実施形態にかかるプリントエンジン26は、無端状移動手段である搬送ベルト105に沿って各色の画像形成部106が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ101から給紙ローラ102と分離ローラ103とにより分離給紙される用紙(記録紙)104を搬送する搬送ベルト105に沿って、この搬送ベルト105の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)106BK,106M,106C,106Yが配列されている。
これら複数の画像形成部106BK,106M,106C,106Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部106BKはブラックの画像を、画像形成部106Mはマゼンタの画像を、画像形成部106Cはシアンの画像を、画像形成部106Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。なお、以下の説明では、画像形成部106BKについて具体的に説明するが、他の画像形成部106M,106C,106Yは、画像形成部106BKと同様であるので、その画像形成部106M,106C,106Yの各構成要素については、画像形成部106BKの各構成要素に付したBKに替えて、M、C、Yによって区別した符号を図に表示するにとどめ、詳細な説明を省略する。
搬送ベルト105は、回転駆動される駆動ローラ107と従動ローラ108とに架け渡されたエンドレスのベルト、すなわち無端状ベルトである。この駆動ローラ107は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ107と、従動ローラ108とが、無端状移動手段である搬送ベルト105を移動させる駆動手段として機能する。
画像形成に際して、給紙トレイ101に収納された用紙104は最も上のものから順に送り出され、静電吸着作用により搬送ベルト105に吸着されて回転駆動される搬送ベルト105により最初の画像形成部106BKに搬送され、ここで、ブラックのトナー画像を転写される。すなわち、搬送ベルト105が、画像の転写対象である用紙を搬送する搬送体として機能する。
画像形成部106BKは、感光体としての感光体ドラム109BKや、この感光体ドラム109BKの周囲に配置された帯電器110BK、光書き込み装置111、現像器112BK、感光体クリーナ(図示せず)、除電器113BK等から構成されている。光書き込み装置111は、それぞれの感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yに対して光ビーム(一例としてはレーザビーム)114Y,114C,114M,114BKを照射するように構成されている。
画像形成に際し、感光体ドラム109BKの外周面は、暗中にて帯電器110BKにより一様に帯電された後、光書き込み装置111からのブラック画像に対応した光ビーム114BKにより書き込みが行われ、静電潜像を形成される。現像器112BKは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム109BK上にブラックのトナー画像が形成される。
このトナー画像は、感光体ドラム109BKと搬送ベルト105上の用紙104とが当接する位置(転写位置)で、転写器115BKの働きにより用紙104上に転写される。この転写により、用紙104上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム109BKは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより払拭された後、除電器113BKにより除電され、次の画像形成のために待機する。
以上のようにして、画像形成部106BKでブラックのトナー画像を転写された用紙104は、搬送ベルト105によって次の画像形成部106Mに搬送される。画像形成部106Mでは、画像形成部106BKでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム109M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が用紙104上に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
用紙104は、さらに次の画像形成部106C,106Yに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム109C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム109Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、用紙104上に重畳されて転写される。こうして、用紙104上にフルカラーの画像が形成される。このフルカラーの重ね画像が形成された用紙104は、搬送ベルト105から剥離されて定着器116にて画像を定着された後、画像形成装置1の外部に排紙される。
このような画像形成装置1では、感光体ドラム109BK,109M,109Cおよび109Yの軸間距離の誤差、感光体ドラム109BK,109M,109Cおよび109Yの平行度誤差、光書き込み装置111内での偏向ミラーの設置誤差、感光体ドラム109BK,109M,109Cおよび109Yへの静電潜像の書き込みタイミング誤差等により、本来重ならなければならない位置に各色のトナー画像が重ならず、各色官で位置ずれが生ずることがある。
また、同様の原因により、転写対象である用紙において本来画像が転写される範囲から外れた範囲に画像が転写されることがある。このような位置ずれの成分としては、主にスキュー、副走査方向のレジストずれ、主走査方向の倍率誤差、主走査方向のレジストずれ等が知られている。また、装置内温度変化や経時劣化による搬送ベルト105の伸縮等が知られている。
そして、このような位置ずれを補正するため、パターン検知センサ117が設けられている。パターン検知センサ117は、感光体ドラム109BK,109M,109Cおよび109Yによって搬送ベルト105上に転写された位置ずれ補正用パターンを読み取る(例えば撮像する)光学センサである。図3に示すように、パターン検知センサ117は、感光体ドラム109BK,109M,109Cおよび109Yの下流側において、搬送ベルト105の搬送方向と直行する方向に沿って同一の基板上に支持されている。
次に、本実施形態にかかる光書き込み装置111について説明する。図4は、本実施形態にかかる光書き込み装置111を上面から見た図である。また、図5は、本実施形態にかかる光書き込み装置を側面から見た断面図である。図4,5に示すように、各色の感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yに書き込みを行う光ビームは光源である光源装置281BK,281Y,281M,281C(以降、総じて光源装置281とする)から照射される。なお、本実施形態にかかる光源装置281は、半導体レーザ、コリメータレンズ、スリット、プリズム、シリンダレンズ等で構成されている。
光源装置281から照射された光ビームは、反射鏡280によって反射される。各光ビームは図示しないfθレンズ等の光学系によってそれぞれミラー282BK,282Y,282M,282C(以降、総じて282とする)に導かれ、さらにその先の光学系によって各感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yの表面へと走査される。
反射鏡280は6面体のポリゴンミラーであり、回転することによってポリゴンミラー1面につき主走査方向のライン分の光ビームを走査することができる。本実施形態にかかる光書き込み装置111は、4つの光源装置を281BK,281Yと、281M,281Cの2色ずつの光源装置に分けて反射鏡280の異なる反射面を用いて走査を行うことによって、1つの反射面のみを用いて走査する方式よりコンパクトな構成で、同時に異なる4つの感光体ドラムに書き込むことを可能としている。
また、反射鏡280によって光ビームが走査される範囲の走査開始位置近傍には、水平同期検知センサ283が設けられている。光源装置281から照射された光ビームが水平同期検知センサ283に入射することにより、主走査ラインの走査開始位置のタイミングが検知され、光源装置281を制御する制御装置と反射鏡280との同期がとられる。
次に、本実施形態にかかる光書き込み装置111の制御ブロックについて、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態にかかる光書き込み装置111を制御する光書き込み装置制御部120の機能構成および各部との接続関係を示す図である。
図6に示すように、本実施形態にかかる光書き込み装置制御部120は、一例として、書き込み制御部121や、カウント部122、センサ制御部123、補正制御部124A、伸縮率算出部124B、オフセット算出部124C、接離差分算出部124D、データ記憶処理部124E、温度検出部125等を含む。なお、本実施形態にかかる光書き込み装置111は、図1で説明したようなCPU10や、RAM11、ROM12、NVRAM19、HDD14等の情報処理/機構を含み、図6に示すような光書き込み装置制御部120は、画像形成装置1のコントローラ20と同様に、ROM12もしくはHDD14に記憶されている制御プログラムがRAM11にロードされ、CPU10の制御にしたがって動作することによって、構成される。
書き込み制御部121は、コントローラ20のエンジン制御部31から入力される画像情報に基づき、水平同期検知センサ283による同期検知信号に応じて光源装置281を制御する。本実施形態では、書き込み制御部121が光源制御部に相当する。また、書き込み制御部121は、エンジン制御部31から入力される画像情報に基づいて光源装置281を制御する他、位置ずれ補正用の描画パターン400(400A,400B、図9,10参照)を描画するために、光源装置281を制御する。
カウント部122は、位置ずれ補正処理において、書き込み制御部121が光源装置281を制御して感光体ドラム109BKの露光を開始すると同時にカウントを開始する。カウント部122は、センサ制御部123が、パターン検知センサ117の出力信号に基づいてパターンを検知することによりカウントを停止する。これにより、カウント部122は、位置ずれ補正処理において、書き込み制御部121が光源装置281を制御して感光体ドラム109BKの露光を開始してから、パターン検知センサ117が、第一の描画パターン(一例としては描画パターン411Aまたは描画パターン411B)を検知するまでの検知期間(第一の検知期間)をカウントする第一の検知期間カウント部として機能する。以下、このカウント値を、書き込み開始タイミングカウント値と称する。また、カウント部122は、各色のトナー画像のずれを補正するための位置ずれ補正処理では、間欠的に描画された描画パターン412(図9,10参照)の検知タイミングをそれぞれカウントする。以降、このカウント値を、ドラム間隔カウント値と称する。さらに、カウント部122は、搬送ベルト105上に描画された第二の描画パターン411(図9,10参照)に対するパターン検知センサ117による第二の検知期間(本実施形態では、描画パターン411Aと描画パターン411Bとの検知タイミングの間隔)をカウントする第二の検知期間カウント部としても機能する。以下、このカウント値を、参照パターンカウント値と称する。
センサ制御部123は、パターン検知センサ117を制御する制御部であり、上述したように、パターン検知センサ117の出力信号に基づき、搬送ベルト105上に形成された第一の描画パターン(一例としては描画パターン411Aまたは描画パターン411B)が、パターン検知センサ117に対向する位置にまで到達したことを検知する。本実施形態では、センサ制御部123が、画像検知部に相当する。センサ制御部123は、各描画パターン400が、パターン検知センサ117の位置にまで到達したことを検知すると、検知信号をカウント部122に入力する。
補正制御部124Aは、パターン検知センサ117の検知結果に基づいて書き込み制御部121を制御して、描画タイミングを補正する。ここで、図7,8を参照して、本実施形態での補正処理の概念について説明する。図7は、第一の基準値、第一の検知期間、オフセット、および接離差分の関係の一例を示す模式図である。また、図8は、第二の基準値、第二の検知期間、および伸縮率の関係の一例を示す模式図である。なお、ここでは、一例として、光書き込み装置111で、複数の感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yのうちの一つが搬送ベルト105に当接した状態(以下、離間状態と称する)と、複数の感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yの全てが搬送ベルト105に当接した状態(以下、当接状態と称する)とで、画像形成処理が実行される場合について例示する。
書き込み開始タイミングは、搬送ベルト105の初期の誤差等によって、当初の設計値と異なっている場合がある。また、搬送ベルト105の伸び等の経時変化に伴って、書き込み開始タイミングが当初の値からずれる場合もある。離間時オフセットとは、離間時における第一の検知期間と、当該第一の検知期間に対応する書き込み開始タイミングの基準値としての第一の基準値との差分である。また、当接時オフセットとは、当接時における第一の検知期間と、当該第一の検知期間に対応する書き込み開始タイミングの基準値としての第一の基準値との差分である。すなわち、補正制御部124Aは、第一の基準値に対応する書き込み開始タイミングを、第一の検知期間(離間時オフセット、または当接時オフセット)に対応する書き込み開始タイミングに補正するよう、書き込み制御部121を制御する。これにより、精度の高い描画が可能となる。なお、離間時と当接時とで、第一の基準値は共通である。
ここで、図7に示すように、同一の画像形成装置1であっても、離間時と当接時とで第一の検知期間が変化する場合がある。これは、一例としては、感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yの搬送ベルト105に対する当接状況が変化することで、搬送ベルト105の位置や姿勢等が変化するのに対し、パターン検知センサ117の位置が変化しないことにより、画像形成装置1内で第一の検知期間に対応する距離が変化すること等に起因する。本実施形態では、離間時と当接時との第一の検知期間の差分、すなわち、離間時オフセットと当接時オフセットとの差分を、接離差分と称する。なお、本実施形態では、離間時オフセットが当接時オフセットより長い場合を例示するが、当接時オフセットが離間時オフセットより長くなる場合もありうる。
光書き込み装置111で、画像形成を実行する直前のタイミングで、常に第一の検知期間を検知してオフセットを算出し、当該オフセットに基づいて書き込みタイミングを補正する処理を実行することができれば、精度の高い画像形成処理を行えるかもしれない。しかし、こうすると、トナーの消費量が増大したり、全体として画像形成処理に時間を要したりするなど、不都合な点もある。この点では、描画パターンを描画してオフセットを算出して当該オフセットに基づいて書き込みタイミングを補正する一連の処理を実行するタイミングを限定するとともに、さらに、予め取得しておいた接離差分を用いて、離間時および当接時の検出結果(第一の検知期間またはオフセット)のうち一方から、他方を推定する処理を実行するのが、有利となる。
すなわち、一例として、光書き込み装置制御部120は、フルカラーモードで、複数の感光体ドラム109BK,109M,109C,109Y全てが搬送ベルト105に当接している当接時に、モノクロの描画パターン400A(図9)あるいはフルカラーの描画パターン400B(図10)を描画して当該描画パターン400A、400Bに基づく当接時オフセットを取得しておき、これを記憶部126に格納しておく。そして、この後、モノクロモードで、複数の感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yのうち一つの感光体ドラム109BK(黒の感光体ドラム)のみが搬送ベルト105に当接する離間状態となった場合には、光書き込み装置制御部120は、改めてモノクロの描画パターン400Aを描画して当接時オフセットを取得するのではなく、上記当接時に取得して記憶部126に格納しておいた当接時オフセットに、予め記憶部126に記憶されている接離差分(修正された接離差分)を加算して、離間時オフセットを取得する。
また、別の一例として、以下のような処理も可能である。すなわち、光書き込み装置制御部120は、モノクロモードで、複数の感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yのうち一つの感光体ドラム109BK(黒の感光体ドラム)のみが搬送ベルト105に当接している離間時に、モノクロの描画パターン400A(図9)を描画して当該描画パターン400Aに基づく離間時オフセットを取得しておき、これを記憶部126に格納しておく。そして、この後、フルカラーモードで、複数の感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yの全てが搬送ベルト105に当接する当接状態となった場合には、光書き込み装置制御部120は、改めてフルカラーの描画パターン400B(図10)を描画して当接時オフセットを取得するのではなく、上記離間時に取得して記憶部126に格納しておいた離間時オフセットから、予め記憶部126に記憶されている接離差分(修正された接離差分)を減算して、当接時オフセットを取得する。このように、本実施形態では、描画パターン400を描画する手間を減らしながら、より精度の高い画像形成を実現することができる。なお、上記加算および減算は、装置の仕様等によって変化するため、当接時オフセットと離間時オフセットの大小関係によっては逆転する場合もあり得る。
ただし、接離差分は、経時的に変化する場合も考えられる。そこで、光書き込み装置制御部120は、適宜、離間時および当接時に、第一の検知期間あるいはオフセットを取得し、これらから接離差分、すなわち当接時の第一の検知期間と離間時の第一の検知期間との差分を算出して、記憶部126に記憶される接離差分を更新しておくのが、好適である。接離差分の更新は、所定の時間間隔で行ってもよいし、所定の画像形成回数毎に行ってもよいし、時間間隔や画像形成回数の設定を可変設定できるようにしてもよい。その場合には、ユーザ(オペレータ)が操作部17等を操作することにより、設定を変更することができる。
また、接離差分は、経時的な要因以外の搬送ベルト105の伸縮(一例としては温度変化による伸縮等)によっても変化する場合がある。そこで、本実施形態では、光書き込み装置制御部120は、搬送ベルト105の伸縮率を所定のタイミングで適宜に算出して、接離差分に反映させる。具体的には、図9に示すように、搬送ベルト105上には、所定の間隔Lをあけた二箇所に描画パターン411(411A,411B)が形成されている。そして、光書き込み装置制御部120は、パターン検知センサ117でこれら二箇所の描画パターン411が検知されたタイミングをカウント部122でカウントした値を、第二の検知期間D2として取得する。光書き込み装置制御部120は、図8に示すように、伸縮率Reを、第二の検知期間D2(参照パターンカウント値)の第二の基準値S2に対応する比率として算出する。そして、一例として、光書き込み装置制御部120は、記憶部126に、一例として基礎となる接離差分に伸縮率Reを乗算した値として、修正された接離差分を記憶する。この場合、接離差分は、描画パターン411の間隔がLとなる条件(例えば温度が所定の値である場合)での値に相当し、修正された接離差分は、描画パターン411の間隔がLより伸びた状態での接離差分に相当する。そして、上記オフセットの演算には、修正された接離差分が用いられる。
すなわち、本実施形態では、光書き込み装置制御部120に含まれる伸縮率算出部124Bが、上記伸縮率を算出し、光書き込み装置制御部120に含まれるオフセット算出部124Cが、上記オフセット(離間時オフセットおよび当接時オフセット)を算出し、接離差分算出部124Dが、上記接離差分を算出する。また、データ記憶処理部124Eが、記憶部126に、算出されたオフセット、接離差分、修正された接離差分等を記憶する。なお、算出されたオフセットは、当接状態を示すパラメータ(例えば、離間状態:0、当接状態:1等)と対応づけて格納される。これにより、光書き込み装置制御部120は、当接時オフセットと離間時オフセットとを区別することができる。
なお、描画パターン411A,411Bの間隔Lは、感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yの円周の整数倍、搬送ベルト105を駆動する駆動ローラ107の円周の整数倍、または感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yの円周の整数倍でありかつ駆動ローラ107の円周の整数倍、すなわち、感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yの円周と駆動ローラ107の円周との公倍数であるのが好適である。本実施形態では、一例として、描画パターン411A,411Bの間隔Lは、感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yの円周の1倍である。こうすることで、感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yや、駆動ローラ107等の周期変動によって、伸縮率に誤差が生じるのを抑制することができる。すなわち、伸縮率の算出精度をより向上することができる。
また、補正制御部124Aは、カウント部122によるカウント値のうち、ドラム間隔カウント値とそれに対応するドラム間隔基準値とを比較し、両者の差分に基づいてドラム間隔の補正値を算出する。このようにして算出された補正値は、上述したように記憶部126に記憶される。このように、記憶部126に補正値が記憶されることにより、書き込み制御部121は、その補正値を参照して光源装置281を駆動することが可能となる。
そして、本実施形態では、図9,10に示すように、搬送ベルト105上に形成される描画パターン400A(以下補正パターンAとも称する)および描画パターン400B(以下補正パターンBとも称する)は、副走査方向に種々のパターンが並ぶパターン列401A,401Bが、主走査方向に複数(本実施形態では3つ)並べられて構成される。
そして、図9,10に示すように、パターン検知センサ117は、主走査方向に複数(本実施形態では3つ)のセンサ素子170を有し、パターン列401A,401Bは、それぞれのセンサ素子170に対向する位置に描画される。これにより、光書き込み装置制御部120は、搬送ベルト105上の主走査方向の複数の位置でパターンの検出を行うことが可能となり、それぞれの平均値を算出することによって位置ずれ補正動作の精度を向上することができる。
図9に示すように、パターン列401Aは、副走査方向に所定の間隔Lをあけて配置された一対の描画パターン411A,411B(411)を含む。上述したように、これら描画パターン411A,411Bは、第二の描画パターンとして機能するとともに、描画パターン411A,411Bのうちいずれか一方は、第一の描画パターンとして機能する。
一方、図10に示すように、パターン列401Bは、それぞれ、全ドラム当接パターン410および感光体ドラム109BKによる描画パターン411を含む。全ドラム当接パターン410は、感光体ドラム109BK,109M,109Cおよび109Yの全てが搬送ベルト105に当接した状態において描画されたパターンである。なお、図10において、実線が感光体ドラム109BK、点線は感光体ドラム109Y、破線は感光体ドラム109C、一点鎖線は感光体ドラム109Mによってそれぞれ描画されたパターンを示す。
全ドラム当接パターン410は、開始位置補正用の描画パターン411とドラム間隔補正用の描画パターン412を含む。また、ドラム間隔補正用の描画パターン412は、繰り返し描画されている。
また、開始位置補正用の描画パターン411は、主走査方向に沿って平行な描画パターン411A,411Bを有している。2本目の描画パターン411Bは、1本目の描画パターン411Aの検知に失敗した場合のバックアップとして用いることができる。
ドラム間隔補正用の描画パターン412は、上述したドラム間隔カウント値をカウントするために描画されるパターンである。図10に示すように、ドラム間隔補正用の描画パターン412は、副走査方向補正用の描画パターン413および主走査方向補正用の描画パターン414を含む。光書き込み装置制御部120は、パターン検知センサ117による、副走査方向補正用の描画パターン413の読取信号に基づき、感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yそれぞれの副走査方向の位置ずれ補正を行い、主走査方向補正用の描画パターン414の読取信号に基づき、上記各感光体ドラムの主走査方向の位置ずれ補正を行う。
すなわち、記憶部126に記憶されているドラム間隔基準値は、光源装置281が書き込み制御部121の制御にしたがって、ドラム間隔補正用の描画パターン412の描画を開始してから、描画されたドラム間隔補正用の描画パターン412に含まれる各パターンがパターン検知センサ117によって読み取られ、センサ制御部123によって検知されるまでの期間の基準となる値である。
図9,10に示すような位置ずれ補正用の描画パターン400により、全ての感光体ドラムが搬送ベルト105に当接した当接時と、感光体ドラム109BKのみが搬送ベルト105に当接した離間時の双方で、描画される画像の位置ずれ補正を実行することが可能となる。
そして、上述したように、本実施形態では、図9に示すモノクロの描画パターン(補正パターンA)400Aを構成する一対の描画パターン411A,411Bが、第一の描画パターンとして機能するとともに第二の描画パターンとしても機能する。また、図10に示すフルカラーの描画パターン(補正パターンB)400Bに含まれる一対の描画パターン411A,411Bも同様である。さらに、図10の描画パターン411Bは、ドラム間隔の副走査方向補正用の描画パターン413の一部となっている。
そして、本実施形態では、全ての感光体ドラムを搬送ベルト105に当接させた状態の他、感光体ドラム109BKのみを搬送ベルト105に当接させたモノクロ印刷の状態について、描画される画像の位置を補正する場合を例として説明する。この他、単色印刷としては、モノクロに限らず、他の色を用いる場合も考慮し、感光体ドラム109BK以外の他の感光体ドラムのみを搬送ベルト105に当接させる場合もあり得る。
また、単色印刷であっても、例えば赤、緑、青等の色で単色印刷を行う場合等、感光体ドラム109M、109C、109Yのうち2つを搬送ベルト105に当接させる場合もあり得る。単色印刷に限らず、フルカラーではない印刷を行う場合も同様である。これらの場合であっても、位置ずれ補正用の描画パターン400を構成するにあたり、それぞれに対応した状態、すなわち、当接させるべき感光体ドラムのみを当接させた状態でパターンを描画するとともに、記憶部126にそれぞれのパターンに対応した基準値を記憶させることにより、上記と同様に位置ずれ補正を実行することが可能となる。
次に、本実施形態にかかるプリントエンジン26の構成において、各感光体ドラム109BK,109M,109C,109Y(以降、総じて感光体ドラム109と称することがある)を、搬送ベルト105に当接および離間させる機構について説明する。図3では、図示されるように、全ての感光体ドラム109が、搬送ベルト105から離間している状態が示されている。図11に、全ての感光体ドラム109と搬送ベルト105とが当接している状態を示す。
図3に示す状態と図11に示す状態との間を遷移させるには、感光体ドラム109を上下させても良いし、搬送ベルト105を保持している駆動ローラ107および従動ローラ108を上下させても良い。
図12は、感光体ドラム109BKのみを搬送ベルト105に当接させる場合の一態様を示す図である。図12の態様では、駆動ローラ107と従動ローラ108の高さを異ならせることにより、感光体ドラム109に対向する搬送ベルト105の面を傾いた状態に保持して、感光体ドラム109BKのみが搬送ベルト105に当接するように配置している。これは、本実施形態にかかるプリントエンジン26のように、感光体ドラム109BKが副走査方向の端部に配置されている場合に可能な態様である。
図13は、感光体ドラム109BKのみを搬送ベルト105に当接させる場合の他の態様を示す図である。図13の態様では、図12と同様に、駆動ローラ107を従動ローラ108よりも低い位置に配置させた上で、感光体ドラム109BKと感光体ドラム109Mとの間にベルト高調整ローラ118を設け、かつベルト高調整ローラ118の上側の高さと従動ローラ108の上側の高さとが等しくなるように配置している。これにより、搬送ベルト105がベルト高調整ローラ118と従動ローラ108とによって支持され、感光体ドラム109BKに当接するように配置される。
図14は、図13の変形例として、二つの感光体ドラムを搬送ベルト105に当接させる場合の例を示す図である。図14の態様では、図12と同様に、駆動ローラ107を従動ローラ108よりも低い位置に配置させた上で、感光体ドラム109Mと感光体ドラム109Cとの間にベルト高調整ローラ118を設け、かつベルト高調整ローラ118の上側の高さと従動ローラ108の上側の高さとが等しくなるように配置している。これにより、搬送ベルト105がベルト高調整ローラ118と従動ローラ108とによって支持され、感光体ドラム109BK,109Mのみに当接するように配置される。
図15は、感光体ドラム109BKのみを搬送ベルト105に当接させる場合のさらに他の態様を示す図である。図15の態様では、図3の場合と同様に駆動ローラ107および従動ローラ108を配置させた上で、感光体ドラム109BKと従動ローラ108との間、および感光体ドラム109BKと感光体ドラム109Mとの間にベルト高調整ローラ118を設け、2つのベルト高調整ローラ118の上側の高さが等しくかつ駆動ローラ107および従動ローラ108よりも高くなるように配置している。これにより、搬送ベルト105が2つのベルト高調整ローラ118によって支持され、感光体ドラム109BKに当接するように配置される。
このような感光体ドラム109と搬送ベルト105との当接・離間機構により、例えば、図11の状態から図12の状態に遷移させた場合、駆動ローラ107と従動ローラ108との配置が変わることによって、搬送ベルト105に僅かな伸縮が生じる可能性がある。これにより、感光体ドラム109上に形成された画像が搬送ベルト105によって搬送される用紙に転写されるタイミングにずれが生じ、結果的に用紙上に転写された画像の位置ずれとなる。
また、搬送ベルト105の伸縮によって搬送ベルト105の搬送速度が変化すると、上述した画像の位置ずれに加えて、感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yのそれぞれに形成された画像が用紙に転写されるタイミングにずれが生じ、結果的に用紙上に転写された画像におけるそれぞれの色のずれ、すなわち色ずれとなる。
また、図11の状態では、感光体ドラム109BKと搬送ベルト105とは、感光体ドラム109BKの鉛直方向の一番下の点において接触するが、図12の状態では、搬送ベルト105が傾いているため、感光体ドラム109BKと搬送ベルト105との接触位置が変化する。これによっても、感光体ドラム109上に形成された画像が搬送ベルト105によって搬送される用紙に転写されるタイミングにずれが生じ、結果的に用紙上に転写された画像の位置ずれとなる。
上述した搬送ベルト105の伸縮によるずれに対して、図12の場合のような、感光体ドラム109BKと搬送ベルト105との接触位置の変化によるずれは、影響が大きい。したがって、本実施形態にかかる位置ずれ補正機構は、図11のような当接/離間機構を採用するプリントエンジン26において、特に有効である。図11に示すようなプリントエンジン26の当接/離間機構は、例えば、駆動ローラ107の高さのみを上下する機構を設けることにより実現可能であるため、他の態様に比べてコスト的に有利である。
また、搬送ベルト105に当接している感光体ドラム109の数が変わることにより、搬送ベルト105が搬送される際の摩擦力が変化するため、搬送ベルト105の搬送速度が変化する可能性がある。これにより、上述した画像の位置ずれおよび画像の色ずれが発生する可能性がある。さらに、図13,14の場合、ベルト高調整ローラ118によって搬送ベルト105を伸縮させているため、上述したように、画像の位置ずれおよび色ずれが発生する可能性がある。
このような、位置ずれや色ずれの課題に対し、図9,10に示すような位置ずれ補正用の描画パターン400を用いて補正動作を行うことが、本実施形態にかかる光書き込み装置111(光書き込み装置制御部120)の一つの要旨である。本実施形態では、図9,10に示す位置ずれ補正用の描画パターン400のうち、図9の感光体ドラム109BKによる描画パターン411(400A)のみを描画することにより実行される補正動作(以降、位置ずれ補正Aとする)と、図10の描画パターン400Bを描画することにより実行される補正動作(以降、位置ずれ補正Bとする)との何れかが選択的に実行される。
そして、図6に示すように、記憶部126は、上述したように、第一の基準値や、第二の基準値、ドラム間隔基準値、オフセット(離間時オフセットおよび当接時オフセットのうち少なくともいずれか一方)、(基礎となる)接離差分、修正された接離差分、当接状態等を記憶する。また、記憶部126は、第一の検知期間および第二の検知期間のうち少なくともいずれか一方や、温度、伸縮率等を記憶してもよい。第一の基準値が記憶されている状況にあっては、第一の検知期間からオフセットを算出することができ、また、第二の基準値が記憶されている状況にあっては、第二の検知期間から修正された接離差分や伸縮率を算出することができるからである。また、光書き込み装置111は、温度センサ127を有するとともに、光書き込み装置制御部120は、温度センサ127の検知結果に基づいて温度を取得する温度検出部125を有することができる。また、記憶部126に、温度に替えて、温度に連動して変化するパラメータ(装置の動作パラメータ等)を記憶することができる。また、記憶部126に、オフセットや接離差分を取得した日時を記憶することができる。温度や、伸縮率、パラメータ、日時等は、オフセットや修正された接離差分等に対応づけて記憶するのが好適である。なお、記憶部126は、図6に示すパラメータを全て記憶するのではなく、各処理に支障を来さない必要最低限のパラメータを選択して記憶することができる。記憶部126は、好適には、不揮発性の書き換え可能な記憶部であり、一例としては、HDD14や、NVRAM19として構成することができる。
次に、本実施形態にかかる画像形成装置1の位置ずれ補正動作用のパラメータの取得について説明する。図16に示すように、光書き込み装置制御部120は、カラー印刷前あるいはカラー印刷中であるか、否かにより、異なる処理を実行する。具体的には、図17に示すように、カラー印刷の実行前あるいは実行中にあっては、図10の補正パターンBを使用して処理を実行する一方、カラー印刷の実行後、モノクロ印刷の実行前、実行中、および実行後にあっては、図10の補正パターンAを使用して処理を実行する。なお、カラー印刷の実行後の補正パターンAは、複数の感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yの全てが搬送ベルト105に当接した状態では描画されず、黒の感光体ドラム109BKのみが当接した状態となってから描画される。また、電源がオン(ON)された際のウォーミングアップ時等には、黒の感光体ドラム109BKのみが当接した状態で、補正パターンAによる処理が実行される。
図16に示すように、ステップS10で、カラー印刷前あるいはカラー印刷中でなかった場合には(ステップS10でNo)、光書き込み装置制御部120の書き込み制御部121は、光源装置281等を制御して、搬送ベルト105上に、一例としては図9のようなモノクロの補正パターンAを印字する(ステップS11)。次いで、光書き込み装置制御部120のセンサ制御部123やカウント部122等は、上述したようにして補正パターンAを検知する(ステップS12)。次いで、光書き込み装置制御部120の伸縮率算出部124Bは、補正パターンAに含まれる第二の描画パターン411の検知結果から、上述したようにして伸縮率を算出する(ステップS13)。次いで、光書き込み装置制御部120の接離差分算出部124Dは、記憶部126に記憶された基礎となる接離差分を取得し、これに伸縮率を乗算して、伸縮率を反映させた修正された接離差分を算出する(ステップS14)。次いで、光書き込み装置制御部120のオフセット算出部124Cは、離間時オフセットを算出するとともに、この離間時オフセットから修正された接離差分を減算して、当接時オフセットを算出する(ステップS15)。そして、光書き込み装置制御部120のデータ記憶処理部124Eがこれら離間時オフセットおよび当接時オフセットを記憶部126に記憶する(ステップS16)。ステップS11〜S16は、補正パターンAを用いて離間時オフセットを算出し、さらに接離差分を用いて当接時オフセットを算出する(推定する)処理である。このステップS11〜S16を実行することで、離間時に、離間時オフセットに加えて当接時オフセットを更新することができる。したがって、離間状態から当接状態に移行したような場合にあっても、光書き込み装置制御部120は、当接状態での後述のステップS17〜S21を実行することなく、更新された当接時オフセット(推定されたオフセット)に基づいて、位置ずれ補正処理を実行することができる。
一方、ステップS10で、カラー印刷前あるいはカラー印刷中であった場合には(ステップS10でYes)、光書き込み装置制御部120の書き込み制御部121は、光源装置281等を制御して、搬送ベルト105上に、一例としては図10に示すような補正パターンBを印字する(ステップS17)。次いで、光書き込み装置制御部120のセンサ制御部123やカウント部122等は、上述したようにして補正パターンBを検知する(ステップS18)。次いで、光書き込み装置制御部120の伸縮率算出部124Bは、補正パターンBに含まれる第二の描画パターン411の検知結果から、上述したようにして伸縮率を算出する(ステップS19)。次いで、光書き込み装置制御部120の接離差分算出部124Dは、記憶部126に記憶された基礎となる接離差分を取得し、これに伸縮率を乗算して、伸縮率を反映させた修正された接離差分を算出する(ステップS20)。次いで、光書き込み装置制御部120のオフセット算出部124Cは、当接時オフセットを算出するとともに、この当接時オフセットに修正された接離差分を加算して、離間時オフセットを算出する(ステップS21)。そして、光書き込み装置制御部120のデータ記憶処理部124Eがこれら離間時オフセットおよび当接時オフセットを記憶部126に記憶する(ステップS16)。ステップS17〜S21,S16は、補正パターンBを用いて当接時オフセットを算出し、さらに接離差分を用いて離間時オフセットを算出する(推定する)処理である。このステップS17〜S21,S16を実行することで、当接時に、当接時オフセットに加えて離間時オフセットを更新することができる。したがって、当接状態から離間状態に移行したような場合にあっても、光書き込み装置制御部120は、離間状態でのステップS11〜S15を実行することなく、更新された離間時オフセット(推定されたオフセット)に基づいて、位置ずれ補正処理を実行することができる。
そして、光書き込み装置制御部120の書き込み制御部121ならびに補正制御部124Aは、印刷処理を実行する際に、ステップS16で更新されたパラメータ(一例としてはオフセット等)を用いて、光源装置281が光ビームを照射するタイミングを制御する。
以上説明したように、本実施形態にかかる光書き込み装置111を含む画像形成装置1は、光源制御部の一例としての光書き込み制御部121が搬送体の一例としての搬送ベルト105上に第一の描画パターンの一例としての描画パターン411Aおよび描画パターン411Bのうち少なくとも一方を形成する処理を開始してから画像検知部の一例としてのセンサ制御部123が当該描画パターン411Aおよび描画パターン411Bのうち少なくとも一方を検知するまでの期間としての第一の検知期間をカウントする第一の検知期間カウント部の一例としてのカウント部122と、第一の検知期間と当該第一の検知期間の基準としての第一の基準値との差分としてのオフセットを算出するオフセット算出部の一例としてのオフセット算出部124Cと、搬送ベルト105上に描画された第二の描画パターンの一例としての描画パターン411A,411Bの二箇所を画像検知部の一例としてのセンサ制御部123が検知した期間としての第二の検知期間をカウントする第二の検知期間カウント部の一例としてのカウント部122と、第二の検知期間と当該第二の検知期間の基準としての第二の基準値とを比較して搬送体の一例としての搬送ベルト105の伸縮率を算出する伸縮率算出部の一例としての伸縮率算出部124Bと、複数の感光体ドラム109の一部が搬送ベルト105に当接した状態での第一の検知期間と複数の感光体109の全てが搬送ベルト105に当接した状態での第一の検知期間との差分としての接離差分を算出する接離差分算出部の一例としての接離差分算出部124Dと、複数の感光体ドラム109の一部が搬送ベルト105に当接した状態および複数の感光体ドラム109の全てが搬送ベルト105に当接した状態のうち一方の状態に対応するオフセット、算出された接離差分、および算出された伸縮率に基づいて、他方の状態で光源の一例としての光源装置281に光ビームを照射させるタイミングを補正する補正制御部の一例としての補正制御部124Aと、を備えた。
すなわち、本実施形態によれば、感光体の一部が搬送体に当接した状態および複数の感光体の全てが搬送体に当接した状態のうち一方の状態で取得されたオフセットおよび接離差分を含むパラメータを用いて、他方の状態で光源の一例としての光源に光ビームを照射させるタイミングを補正することができるので、各状態で印刷を実行する前に一々描画パターンの描画や、描画パターンの検出、オフセットの算出等を行うことなく、比較的精度良く位置ずれが補正された状態で印刷を実行することができる。さらに、本実施形態によれば、接離差分に搬送体の伸縮率を反映することができるので、位置ずれ補正の精度をより一層向上することができる。
また、本実施形態にかかる光書き込み装置111を含む画像形成装置1は、補正制御部の一例としての補正制御部124Aは、複数の感光体の一例としての感光体ドラム109の一つ(一例としては黒の感光体ドラム109BK)が搬送体の一例としての搬送ベルト105に当接した状態で算出されたオフセットに基づいて、複数の感光体の一例としての感光体ドラム109の全てが搬送体の一例としての搬送ベルト105に当接した状態で光源の一例としての光源装置281に光ビームを照射させるタイミングを補正する。また、本実施形態にかかる光書き込み装置111を含む画像形成装置1は、補正制御部の一例としての補正制御部124Aは、複数の感光体の一例としての感光体ドラム109の全てが搬送体の一例としての搬送ベルト105に当接した状態で算出されたオフセットに基づいて、複数の感光体の一例としての感光体ドラム109の一つが搬送体の一例としての搬送ベルト105に当接した状態で光源の一例としての光源装置281に光ビームを照射させるタイミングを補正する。したがって、画像形成装置で設定される場合が多いモノクロモードおよびフルカラーモードについて、それらのうち一方のモードで取得されたオフセットおよび接離差分を含むパラメータを用いて他方のモードでの処理を、より効率良く実行することができる。
また、本実施形態では、第二の描画パターンの一例としての描画パターン411A,411Bの一部を第一の描画パターンとして用いた。よって、第一の描画パターンと第二の描画パターンとを別個に描画する場合に比べて、トナーの量をより削減できるとともに、処理の手間をより減らすことができる。
また、本実施形態では、第二の描画パターンの一例としての描画パターン411Aおよび描画パターン411Bのうち少なくとも一方は、黒色の感光体の一例としての黒の感光体ドラム109BKによって描画された黒色の描画パターンである。よって、画像形成装置で設定される場合が多いモノクロモードおよびフルカラーモードのモノクロモードを利用して、それらのうち一方のモードで取得されたオフセットおよび接離差分を含むパラメータを用いて他方のモードでの処理を、より効率良く実行することができる。
また、本実施形態では、第二の描画パターンの一例としての描画パターン411A,411Bは、二つの描画パターン411A,411Bを含み、それら二つの描画パターン411A,411Bの間隔Lが、一つの感光体の一例としての感光体ドラム109の円周の整数倍、搬送体の一例としての搬送ベルト105を駆動する駆動ローラの一例としての駆動ローラ107の円周の整数倍、または感光体の一例としての感光体ドラム109の円周の整数倍でありかつ駆動ローラの一例としての駆動ローラ107の円周の整数倍、に設定される。よって、感光体ドラム109BK,109M,109C,109Yや、駆動ローラ107等の周期変動によって、伸縮率に誤差が生じるのを抑制することができる。すなわち、伸縮率の算出精度をより向上することができる。
また、本実施形態では、光書き込み装置111のウォームアップ動作時には、搬送体の一例としての搬送ベルト105の表面に複数の感光体のうちの一部の感光体の一例としての感光体ドラム109BKを用いて少なくとも第一の描画パターンの一例としての描画パターン411A,411Bが描画され、補正制御部の一例としての補正制御部124Aが、第一の描画パターンの一例としての描画パターン411Aおよび描画パターン411Bのうち少なくとも一方に基づいて算出されたオフセットと接離差分に基づいて光源の一例としての光源装置281に光ビームを照射させるタイミングを補正する。すなわち、本実施形態によれば、ウォームアップ時に感光体の一例としての感光体ドラム109の全てを用いて描画パターンを形成した場合に比べて、カラートナーの消費量を削減することができて有利である。
<第2実施形態>
本実施形態では、画像形成装置1の位置ずれ補正動作用のパラメータの取得を、図18に示すフローチャートにしたがって行う。すなわち、ステップS22に示すように、光書き込み装置制御部120のデータ記憶処理部124Eがこれら離間時オフセットおよび当接時オフセットを記憶部126に記憶する際、温度検出部125で検出された温度に対応づけて記憶する。すなわち、一例としては、図19に示すような、検出された温度と対応付けた当接時オフセットおよび離間時オフセットが、記憶部126に格納される。なお、図19に示すように、当接時オフセットと離間時オフセットとの差分は接離差分であるから、本実施形態では、実質的に、記憶部126には、接離差分も温度に対応づけて記憶されていることになる。本実施形態では、データ記憶処理部124Eがデータ蓄積処理部に相当する。
そして、光書き込み装置制御部120の書き込み制御部121ならびに補正制御部124Aは、印刷処理を実行する際に、記憶部126に記憶されたデータから、その時点で検出されている温度に対応する当接時オフセットあるいは離間時オフセットならびに接離差分を、直接的に、あるいは補間や最小自乗近似等の推定によって取得し、光源装置281が光ビームを照射するタイミングを制御することができる。これにより、位置ずれに対する温度の影響をより小さくすることができる。なお、本実施形態では、上述した印刷実行時における光書き込み装置制御部120の書き込み制御部121ならびに補正制御部124Aの処理や、データ記憶処理部124EによるステップS16での処理、記憶部126における記憶形態等以外は、上記第1実施形態と全く同様である。また、光書き込み装置制御部120は、補間や最小自乗近似を、所定のタイミングで予め実行し、一例としては図19に破線で示すようなデータを取得して、記憶部126に予め格納しておくことができる。こうすれば、書き込み制御部121ならびに補正制御部124Aは、印刷処理の実行時には、そのときに検出された温度に対応するパラメータをより迅速かつより容易に取得することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。また、画像形成装置や、光書き込み装置、光源、光源制御部、画像検知部、第一の検知期間カウント部、オフセット算出部、第二の検知期間カウント部、伸縮率算出部、接離差分算出部、温度検出部、データ蓄積処理部、搬送体、描画パターン等は、適宜に変更して実施することができる。
例えば、本発明は、図20に示すように、感光体の一例としての感光体ドラム109から搬送体の一例としての搬送ベルト105上に転写されて形成された画像をさらに用紙の紙面上に転写する中間転写方式の光書き込み装置あるいは画像形成装置としても、実施することができ、同様の効果を得ることができる。この場合は、中間転写ベルトである搬送ベルト105が搬送体として画像を搬送する。また、第二の描画パターンを一つの描画パターンとして形成し、当該描画パターンの検知開始から検知終了までのカウントを、第二の検知期間としてカウントしてもよい。