JP2012052158A - アルミニウム箔と容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄以外の添加元素を特に必要としないで、汎用性があり、かつ成形加工性に優れたアルミニウム箔とそれを用いて成形加工された容器を提供する。
【解決手段】アルミニウム箔は、鉄を0.7質量%以上1.7質量%以下、含み、厚みが10μm以上150μm以下であり、X線回折において(111)面、(100)面、(110)面、および、(311)面のそれぞれを示す各回折強度の合計である合計回折強度に対する(100)面を示す回折強度の比率が30%以上50%以下であり、上記の合計回折強度に対する(110)面を示す回折強度の比率が15%以上40%以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、一般的にはアルミニウム箔と容器に関し、特定的には成形加工用アルミニウム箔とそれを用いて成形加工された容器に関する。なお、本明細書においては、「アルミニウム箔」という用語は、純アルミニウム箔だけでなく、アルミニウム合金箔も含む意味で用いられる。
従来、深絞り成形性などの成形加工性に優れるアルミニウム材として、JIS H 4000−2006で規定される5000系、6000系のアルミニウム合金が開発されている。しかしながら、これらのアルミニウム合金は、製造するためには種々の添加元素が必要で、製造コストが高く、用途によって使い分けられており、汎用性に乏しい。また、上記のアルミニウム合金は、延性が低いため、薄箔への圧延加工には適さない。そこで、製造コスト、汎用性、延性の観点から、1000系の純アルミニウム、8000系のアルミニウム合金を用いることが期待されるが、成形加工性に優れた厚みが10μm以上のアルミニウム箔は工業的には未だ開発されていない。
たとえば、特開平9‐272938号公報(以下、特許文献1という)では、強度が高く伸びのある絞り成形性の良好なアルミニウム箔およびその製造方法が提案されている。
また、特許第2754263号公報(以下、特許文献2という)では、強度と成形加工性に優れ、かつピンホールの少ないアルミニウム箔とその製造方法が提案されている。
特開平9‐272938号公報 特許第2754263号公報
しかしながら、特許文献1に記載のアルミニウム箔は、Fe:0.10〜0.8wt%、Ti:0.001〜0.02wt%を含有し、残部が不可避的不純物およびAlからなり、不可避的不純物中Siが0.15wt%未満と、その組成が限定されているだけでなく、その製造方法が連続鋳造圧延材に限定されていることから、汎用性に乏しく、工業的生産には適していない。
また、特許文献2に記載のアルミニウム箔も、Fe:0.8〜2.0重量%、Si:0.15重量%以下、かつFe/Si比を15以上、不可避的不純物をそれぞれ0.05重量%以下と、その組成が限定されているだけでなく、その製造方法においては、均質化熱処理を施すに際し、加熱温度T(℃)が400℃以上500℃以下の範囲で、保持時間t(hr)が式 t≦(55−0.1T)(ただし、t≦10)を満足しなければならないことから、工程管理が難しい。また、その製造方法では、均質化熱処理温度が低いことから、十分に均質化されたスラブが得られないため、その後、圧延されたアルミニウム箔の品質上のバラツキが大きく、特許文献2に記載のアルミニウム箔も工業的生産には適していない。
いずれにしても、組成が限定されないで汎用性があり、かつ、成形加工性に優れた、厚みが10μm以上のアルミニウム箔は工業的には未だ開発されていない。
そこで、本発明の目的は、鉄以外の添加元素を特に必要としないで、汎用性があり、かつ成形加工性に優れたアルミニウム箔とそれを用いて成形加工された容器を提供することである。
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、添加元素を必要としないで、特定の物性を有するアルミニウム箔が成形加工性に優れることを見出した。すなわち、本発明のアルミニウム箔とそれを用いて成形加工された容器は、以下の特徴を有する。
本発明に従ったアルミニウム箔は、鉄を0.7質量%以上1.7質量%以下、含み、厚みが10μm以上150μm以下であり、X線回折において(111)面、(100)面、(110)面、および、(311)面のそれぞれを示す各回折強度の合計である合計回折強度に対する(100)面を示す回折強度の比率が30%以上50%以下であり、上記の合計回折強度に対する(110)面を示す回折強度の比率が15%以上40%以下である。
本発明の一つの局面に従った容器は、上記の特徴を有するアルミニウム箔を成形加工することにより製造されたものである。
また、本発明のもう一つの局面に従った容器は、上記の特徴を有するアルミニウム箔と、樹脂フィルムとを含むラミネート材を成形加工することにより製造されたものである。
さらに、本発明の別の局面に従った容器は、上記の特徴を有するアルミニウム箔と、樹脂フィルムと、熱接着層とを含むラミネート材を成形加工することにより製造されたものである。
以上の特徴を有する本発明のアルミニウム箔は、高いエリクセン値を示すので、良好な成形性を有する。したがって、本発明によれば、鉄以外の添加元素を特に必要としないで、汎用性があり、かつ成形加工性に優れたアルミニウム箔を得ることができる。
また、本発明のアルミニウム箔を成形加工することにより、成形深さが大きい容器、または、成形割れなどの不良が生じ難い容器を得ることができる。
さらに、本発明のアルミニウム箔と樹脂フィルムとを含むラミネート材を成形加工することにより、成形深さが大きいラミネート材の容器、または、成形割れなどの不良が生じ難いラミネート材の容器を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明のアルミニウム箔は、鉄(Fe)を0.7質量%以上1.7質量%以下、含む。Feの含有量は、好ましくは0.95質量%以上1.7質量%以下、さらに好ましくは1.1質量%以上1.7質量%以下であればよい。アルミニウム結晶粒を微細化し、粗大な金属間化合物の発生を抑制し、かつ適度な強度と伸びを確保するためには、Feの含有量は0.7質量%以上1.7質量%以下の範囲内であるのが適している。しかし、Feの含有量が0.7質量%未満では、アルミニウム結晶粒を微細化する効果が不十分で、箔の強度が十分でなく、冷間圧延後にピンホールが比較的多く発生する傾向がある。他方、Feの含有量が1.7質量%を超えると、粗大な金属間化合物が発生しやすくなり、加工性(圧延性、成形性)が劣るとともに、ピンホールも発生しやすくなる。
本発明のアルミニウム箔においてシリコン(Si)の含有量は、好ましくは0.30質量%以下、さらに好ましくは0.15質量%以下であればよい。Siの含有量が0.30質量%を超えると、粗大な晶出物が発生しやすくなり、アルミニウム結晶粒を微細化する効果が低減するとともに、強度と加工性も低下する傾向にある。なお、Siは工業用アルミニウム中に不可避的に存在するので、Si含有量の下限値を0.01質量%としてもよい。
本発明のアルミニウム箔において銅(Cu)の含有量は、好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以下であればよい。Cuの含有量が0.05質量%を超えると、加工性と耐食性が低下するおそれがある。なお、Cuは工業用アルミニウム中に不可避的に存在するので、Cu含有量の下限値を0.001質量%としてもよい。
本発明のアルミニウム箔において上記の元素以外の残部はアルミニウム(Al)である。しかし、本発明のアルミニウム箔は、上記のFe、Si、Cu以外の微量元素をそれぞれ0.05質量%以下含んでもよい。微量元素としては、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ガリウム(Ga)、クロム(Cr)、バナジウム(V)等が挙げられる。これらの元素はアルミニウム中に微量、不可避不純物元素として存在する場合がある。
以上、本発明のアルミニウム箔の組成を説明したが、本発明のアルミニウム箔の組成は、たとえば、工業的には市販されている、JIS H 4160−1994で規定された合金番号8021と8079に相当する組成であるのが好ましい。したがって、本発明のアルミニウム箔は、高価な添加元素を必要としないで、8000系または8000系に近い組成を有する汎用性のアルミニウム箔であって、かつ成形加工性に優れるものである。
本発明のアルミニウム箔の厚みは10μm以上150μm以下であり、好ましくは20μm以上80μm以下であればよい。アルミニウム箔の厚みが10μm未満であれば、成形時に破断したり、ピンホールが発生(または拡大)したりするおそれがある。アルミニウム箔の厚みが150μmを超えると、本発明で規定する範囲のX線回折強度比を得ることが困難であるだけでなく、容器に成形加工した場合に重量が増加し、成形圧力が上昇する。
本発明のアルミニウム箔のX線回折において、(111)面、(100)面、(110)面、および、(311)面のそれぞれを示す各回折強度の合計である合計回折強度に対する(100)面を示す回折強度の比率が30%以上50%以下である。また、上記の合計回折強度に対する(110)面を示す回折強度の比率が15%以上40%以下である。(100)面を示す回折強度の比率と(110)面を示す回折強度の比率とを上記の範囲内に限定することにより、優れた成形加工性を得ることができる。
X線回折における(100)面を示す回折強度の比率(P100)は、X線回折装置で、回折チャート上の(111)面、(100)面、(110)面、および、(311)面のそれぞれを示す各回折強度を、バックグラウンド(BG)除去後の積分強度として測定し、上記の各回折強度の合計である合計回折強度に対する比率として、以下の式1により算出される。実際の積分強度の測定は、使用したX線回折装置の解析ソフトウエアである積分強度計算プログラムを用いて読取ることによって行う。また、X線回折の強度のバックグラウンド除去は、上記の積分強度計算プログラム内にあるマニュアル法を用いて行う。
100=[[(100)面の回折強度]/[(111)面、(100)面、(110)面、および、(311)面の各回折強度の合計]]×100[%]・・・式1
X線回折における(110)面を示す回折強度の比率(P110)も同様に求めることができる。すなわち、上式の分子を「(110)面の回折強度」に置き換えればよい。なお、X線回折強度を測定する面は、アルミニウム箔の圧延面、すなわち、アルミニウム箔を製造する際の冷間圧延時に圧延ロールと接する面である。
本発明のアルミニウム箔の成形加工性は、アルミニウム箔のエリクセン試験(JIS Z 2247)で測定されエリクセン値(深さ)で評価される。このエリクセン値を向上させることにより、アルミニウム箔の成形加工性を改善することができる。
アルミニウム箔のエリクセン値を向上させるためには、一般的には引張試験における引張伸びを向上させることが検討され、引張伸びを向上させる一般的な手段としてはアルミニウム結晶粒を微細化することが図られる。しかし、本発明のアルミニウム箔におけるアルミニウムの平均結晶粒径は5〜10μm程度であり、さらなる結晶粒の微細化を図ることは技術的に困難である。このことから、引張伸びをさらに向上させることは困難である。そこで、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、厚みが10〜150μmのアルミニウム箔において、アルミニウム箔のエリクセン値の向上が、引張伸びよりも、所定の結晶方位と関係していることを見出した。すなわち、X線回折で検出される回折強度において、上記の合計回折強度に対して、(100)面を示す回折強度の比率が30%以上50%以下で、かつ、(110)を示す回折強度の比率が15%以上40%以下の範囲内に入っていれば、そのアルミニウム箔のエリクセン値は優れたものとなることを見出した。(100)面と(110)面を示す回折強度の各比率が上記の範囲を外れると、各結晶方位のバランスが悪くなり、結果としてエリクセン値が低下するものと考えられる。
そして、(100)面と(110)面を示す回折強度の各比率を所定の範囲に収めるためには、特に制限されるものではないが、上記のアルミニウム箔の組成の鋳塊を均質化熱処理する際に、均質化熱処理温度を、従来、一般的に実施されている温度(500〜540℃程度)よりも高い温度(たとえば570℃〜630℃)で均質化熱処理を行えばよく、その後の製板工程(熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍)の作業条件と製箔工程(冷間圧延)の作業条件は一般的な条件に設定すればよい。このようにして得られた厚みが10〜150μmのアルミニウム箔を最終焼鈍することにより、安定的にエリクセン値の高いアルミニウム箔を製造することができる。
なお、本発明のアルミニウム箔を用いることにより、アルミニウム箔と樹脂フィルムとを含むラミネート材における成形加工性も向上させることができる。
上記のように本発明のアルミニウム箔の製造方法は特に限定されるものではないが、工業的に実施されている圧延法によるのが好ましい。たとえば、半連続鋳造法で得られた所定の成分を有するスラブを均質化熱処理(ソーキングともいう)し、続いて熱間圧延、中間焼鈍、冷間圧延、最終焼鈍という工程を経て、本発明のアルミニウム箔を得ることができる。ここで、均質化熱処理の条件を570℃以上で行うことが好ましく、600℃以上で行うことがさらに好ましい。このようにすることにより、本発明で規定される適切なX線回折強度比を有するアルミニウム箔が得られやすくなる。均質化熱処理時間は、スラブの大きさと熱処理炉の性能に応じて適宜決めればよいが、通常、1時間〜20時間、好ましくは2〜10時間程度であればよい。均質化熱処理に続いて、400℃〜500℃の温度で熱間圧延を行い、室温付近まで冷却後、冷間圧延を所定の厚みになるまで実施すればよい。必要に応じて冷間圧延の途中で中間焼鈍(300〜400℃)を実施してもよい。冷間圧延終了後は250〜450℃程度で最終焼鈍を実施する。なお、各熱処理時間は、炉の容量と製品(または試料)の量および大きさとによって適宜決めればよいが、通常、数時間〜数十時間とすればよい。なお、工業的量産時には熱間圧延工程は必要であるが、ラボベースの実験と試作では、熱間圧延工程は必ずしも必要ではない。
本発明のアルミニウム箔はそのままでもプレス機等により成形加工(好ましくは冷間成形加工)して容器を製造することができるが、樹脂フィルムおよび/または熱接着層(シーラントフィルムなど)を適宜積層した後、冷間成形することによって容器を製造することもできる。
樹脂フィルムとしては、厚みが5μm〜500μmの樹脂フィルムが好ましい。樹脂フィルムの材質は、たとえば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン‐プロピレン共重合体、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン‐アクリル酸エチル共重合体、エチレン‐アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル‐スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース、セロハン等の各種の樹脂から選択することができる。樹脂フィルムは、一軸方向または二軸方向に延伸されているものでもよい。また、必要であれば、樹脂フィルムの表面にアンカーコート剤等をコ−ティングして表面平滑化処理等を施すこともできる。樹脂フィルムをラミネートすることにより、耐食性、絶縁性、安全性、強度、耐突刺性、耐磨耗性等を向上させることができる。
熱接着層としては、たとえば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等を主成分とする熱接着剤または熱接着性フィルムを積層して形成することができる。熱接着層を積層することにより、密封性、経時安定性等をアルミニウム箔に付与することができる。
樹脂フィルムおよび/または熱接着層の積層方法は特に制限されるものではなく、ドライラミネート法、押出しラミネート法、ウエットラミネート法、ヒートラミネート法、ロールコーティング、グラビア印刷による塗布などの公知の方法を採用することができる。
本発明のアルミニウム箔をそのままの状態で、または、本発明のアルミニウム箔に上記の樹脂フィルムおよび/または熱接着層を積層(ラミネート)した状態で、プレス機等により成形加工(好ましくは冷間成形加工、冷間塑性加工)することにより容器(好ましくはフランジ付きの容器)を製造することができる。製造された容器は、食品、飲料品、コンタクトレンズ、化学品、電子部品、薬品、薬剤等の収容容器、電池の外装容器、等として好適に利用することができる。
以下に説明するように本発明の実施例と比較例のアルミニウム箔の試料を作製した。
表1に示す合金A〜Fを用いて、表2に示す製造工程A〜Jに従って、表3に示す実施例1〜12と比較例1〜6のアルミニウム箔の試料を作製した。なお、表1において「その他元素計」とは、JISで規定される元素以外の不可避不純物元素(B、Bi、Pb、Naなど)の合計含有量を示す。
表2に示すように、製造工程A〜Fでは、DC鋳造によって得られたアルミニウム合金の鋳塊を加熱炉にて所定の温度と時間で均質化熱処理を行った。その後、熱間圧延を行わずに、複数回の冷間圧延を行い、冷間圧延の途中で所定の温度と時間で中間焼鈍を実施し、厚みが50μmになるまで冷間圧延を行った。さらに、所定の温度と時間で最終焼鈍を行うことにより、表3に示すように厚みが50μmのアルミニウム箔の試料を作製した。なお、製造工程A〜Fでは、鋳塊の製造工程以外の工程1、3〜6を研究設備で行った。
また、表2に示すように、製造工程G〜Jでは、DC鋳造によって得られたアルミニウム合金の鋳塊を加熱炉にて所定の温度と時間で均質化熱処理を行った。その後、480℃の開始温度で厚みが約6.5mmになるまで熱間圧延を行った。得られた熱間圧延材を用いて複数回の冷間圧延を行い、冷間圧延の途中で所定の温度と時間で中間焼鈍を実施し、厚みが所定の値になるまで冷間圧延を行った。さらに、所定の温度と時間で最終焼鈍を行うことにより、表3に示す厚みのアルミニウム箔の試料を作製した。なお、製造工程G〜Jでは、鋳塊の製造工程だけでなく、すべての工程1〜6を量産機で行った。また、製造工程G〜Jでは、均質化熱処理温度が高温であることから、鋳塊の温度が均質化熱処理温度に達すれば、その後、熱間圧延が開始可能な温度まで鋳塊を冷却してもよい。さらに、均質化熱処理時間は、一般的な処理時間内であればよく、表2に示す時間に限定されるものではない。中間焼鈍条件は、本発明の特性に大きな影響を及ぼさないことから、表2に示す温度と時間に限定されるものではなく、一般的な操業条件の範囲内であればよい。
得られたアルミニウム箔の各試料について、(100)面を示す回折強度の比率と(110)面を示す回折強度の比率を算出するためにX線回折強度を測定した。また、アルミニウム箔の各試料について成形加工性を評価するためにエリクセン値を測定した。なお、アルミニウム箔の各試料について引張強度、耐力および伸びも測定した。
X線回折強度の測定は、株式会社リガク製(形式:RINT−2000)のX線回折装置を用いて、CuKα線、40kV、40mAの条件でX線回折を行い、X線回折で(111)面、(100)面、(110)面、および、(311)面のX線回折強度(バックグラウンド除去後の積分強度)を測定することによって行った。得られた各面のX線回折強度の値を用いて、その相対的な回折強度比率を上記の式1で算出した。
エリクセン試験は、株式会社安田精機製作所製の電動エリクセン塗膜試験機(516‐M)を用いて、JIS Z 2247−2006に準じて行った。エリクセン試験によって測定されたエリクセン値は、JIS Z 8401‐1999に従って、小数点第一位に丸めたものを使用した。ただし、試験時にアルミニウム箔の試料に塗布するグリースとしてはスプレー式ハイグリース(株式会社タイホーコーザイ製)を用い、グリースは、試験ポンチが接触するアルミニウム箔の面(片面)のみに塗布した。
引張強度、耐力および伸びの測定は、引張試験機(株式会社東洋精機製 ストログラフVE50D、歪速度:20mm/分、試料幅:15mm、チャック間距離:100mm)を用いて行った。
以上の測定結果を表3に示す。なお、表3において下線を付した値は、回折強度比率が本発明の範囲外であることを示す。また、合金Aと合金Bを用いて作製された試料(実施例1〜8と比較例1〜4)については、最も低い温度で均質化熱処理された鋳塊を用いて作製された試料のエリクセン値を基準にして、エリクセン値の増減率を参考に示した。
Figure 2012052158
Figure 2012052158
Figure 2012052158
表3に示す結果から、実施例のアルミニウム箔は、回折強度比率を本発明の範囲内に限定することにより、高いエリクセン値を示すことがわかる。また、実施例9〜12では、15〜150μmの範囲内のさまざまな厚みのアルミニウム箔が、回折強度比率を本発明の範囲内に限定することにより、高いエリクセン値を示すことがわかる。
今回開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものであることが意図される。
本発明のアルミニウム箔を成形加工することにより製造された容器は、食品、医薬品等の収納または包装に利用することができ、また、電解質と集電体を収容するための電池パックに利用することもできる。

Claims (4)

  1. 鉄を0.7質量%以上1.7質量%以下、含み、厚みが10μm以上150μm以下であり、X線回折において(111)面、(100)面、(110)面、および、(311)面のそれぞれを示す各回折強度の合計である合計回折強度に対する(100)面を示す回折強度の比率が30%以上50%以下であり、前記合計回折強度に対する(110)面を示す回折強度の比率が15%以上40%以下である、アルミニウム箔。
  2. 請求項1に記載のアルミニウム箔を成形加工することにより製造された容器。
  3. 請求項1に記載のアルミニウム箔と、樹脂フィルムとを含むラミネート材を成形加工することにより製造された容器。
  4. 請求項1に記載のアルミニウム箔と、樹脂フィルムと、熱接着層とを含むラミネート材を成形加工することにより製造された容器。
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