JP2012051633A - 分離可能な蓋材及びそれを用いた容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フランジ付き成形容器の開口部を覆い、成形容器周縁のフランジ部分と密封シールされる、外周縁にプルタブが形成された蓋材において、外側から基材/押出しポリエチレン樹脂シーラントからなるバリア性を有する上層と、外側から剥離層/印刷層/印刷基材層/シーラント層からなり通気性を有する貫通孔を設けた下層とが順次積層された複合シートからなり、プルタブ基部に剥離開始部となる切り込みを設けたことを特徴とする分離可能な蓋材。
【選択図】図1
Description
この特許文献1で提案されている発明によれば、一工程のシールで密封が可能であり、転倒しても内容物がこぼれ出ることのない、通気層とバリア層に分離が可能な蓋材を提供できるとされている。しかしながら被着体である容器構成に制約があり、また特に、内容物の溶媒成分が常温では飛散しにくい水等の成分である場合、溶媒・香料飛散量にも制約がある。
かけとしているが、容器シール時にハーフカット部の再融着が発生することがあるため、この構成でこの剥離きっかけ手法を利用することは困難であることがわかった。
この蓋材は、外側から基材、分離層、透過層が順次積層された複合フィルムからなる蓋材であって、分離層がポリマーアロイ単層から成ることを特徴とする、分離可能な蓋材である。
が順次積層された複合シートからなり、プルタブ基部に剥離開始部となる切り込みを設けたことを特徴とする分離可能な蓋材である。
また、容器フランジのプルタブ基部の下層に部分的に剥離開始部となる切り込みを設けたことにより開封時に上層のみを下層から分離して下層表面を露出させ、下層の透過性を発現させるとともに下層の表面から印刷情報を読み取るという動作が容易に行えるようになった。
容器の開封前には見る必要がない情報かまたは見られたくない情報であって開封時あるいは開封後に初めて必要となる情報を下層の印刷層に形成した場合には、上層の基材に隠蔽層を備えることが機密保持の点からも有効である。この場合には開封前に容器外面から視認する商品情報等は隠蔽層より上面の印刷層として形成することになる。
請求項2記載の発明によれば、上層の基材に隠蔽層を設けることによって上層の印刷層に記録された絵柄や文字等の情報が読み取りやすくなることや、光による内容物の変質を軽減する効果があることも容易に想像されることである。
ールしたことを特徴とする容器である。
請求項3の発明によれば、バリア性を有する上層と通気性を有する下層からなる複合シートを用いた蓋材によって、揮発または蒸発する液体や固体を入れたフランジ付き成形容器の開口部を封止し、使用時に上層のみを剥離した時点で、容器のフランジにシールされている下層は通気性を維持したまま、下層表面から視認出来る印刷を備えた容器を提供することができる。
請求項4の発明によれば、請求項1または請求項2の分離可能な蓋材をフランジ部にシールした容器が通常の個別の容器ではなく内容物の収納部が2室以上に分かれている場合に、それぞれの室の機能的な表示を下層に印刷しておくことにより開封後に間違うことなく安心して使用することが出来る。たとえば、容器の一室には芳香剤を収納してあり、他の一室には吸湿剤を収納してある場合である。
また、開封時の内容物表示等の確認が簡単に出来るのみならず、開封後の使用中においても任意の時期にサイド確認することも容易である。
そこで、本発明者等は、少なくとも下層の剥離層とシーラント層との間に印刷可能な延伸フィルム層を設け、フィルム上に印刷層を形成し、さらにフィルムを貫通する通気性の貫通孔を設けることによってこの問題を解決するに至った。
図1には本発明の分離可能な蓋材の上層と下層の層構成の例を示した。図1(a)は蓋材を容器フランジにシールした状態の断面の略図であり、タブ近辺の積層状態を模式的に示した。図1(b)は上層に印刷層を有する層構成の場合のタブ近辺のシール時の断面を示したものである。
図2には本発明の分離可能な蓋材を用いた容器の層構成の例を示した。図2(a)は内容物を封入して容器本体に蓋材をシールした時の断面、(b)は使用開始のためにプルタブから蓋材を開封剥離時の断面をそれぞれ模式的に示している。
複合シート(1)の上層(2)は外側からバリア性シート(2a)、印刷層(2c)、隠蔽層であるベタ印刷層(2d)、中間層である延伸ナイロン樹脂層(2e)、上層シーラント(2b)をこの順で含み、複合シートの下層(3)は外側からレトルト用CPPもしくはイージーピールフィルムからなる剥離層(3a)と表面に印刷層(3c)を形成した延伸プラスチックフィルム(3d)からなる印刷基材と下層シーラント(3b)を含む層からなる。
ここでは、印刷層(2c)と隠蔽層であるベタ印刷層(2d)はバリア性シート(2a)の裏面にこの順で印刷されているが、中間層である延伸ナイロン樹脂層(2e)の上面であっても構わない。
特に透明でアルミニウム箔並みのガスバリア性が要求される場合には片面に酸化アルミニウムや酸化ケイ素などの無機化合物の薄膜を物理蒸着あるいは化学蒸着などの蒸着法により20〜100nm程度の厚さに設けた無機化合物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(GLフィルム)等のバリア性の高い透明フィルム層を単体あるいは積層して用いることも可能である。
また、バリア性シート(2a)には裏面または表面に印刷層(2c)を設けることができる。印刷層の内側には隠蔽層(2d)を設けることが出来る。
上層シーラント(2b)は、バリア性フィルム(2a)と溶融押出法やドライラミネート法等の公知の方法で積層することが出来、厚みは特に限定はないが5〜30μm程度が適当である。
このような樹脂としてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、またはPETシーラント等が挙げられる。下層シーラント(3b)は公知の方法で作成できる。下層シーラント層の厚みは20μm〜120μmの範囲であることが好ましい。
通気孔(13)の形成方法としては複合シート(1)の積層前に下層(3)のみのシートの状態で穿孔を行うことも可能であるが、上層とのラミネートの際の方法が限定される等の不都合が懸念されることを考慮すると上記の方法がより好ましい。
この貫通孔の配置パターンはたとえば孤立した配置の直線状あるいは曲線状の微細孔であったり、V字状やU字状あるいはC字状の片方が開いた配置の微細孔であったり、○や◇等の閉領域を形成する配置の微細孔であったりするが、使用中に内容物が漏出せず必要な効果を実現する通気性を保持できる範囲であればとくに限定はない。
このような配置の微細孔は、開口面積が大きいことが要求されるが内容物のこぼれのおそれのある用途の場合に、パターンの部分が下層表面に残り内容物の外部漏出を阻害する効果を期待してよく用いられる。
通気孔(13)の径はおおむね1mm以下であり、下層(3)を貫通する深さとなっていることが必要であるが、下層(3)を貫通して上層(2)の途中まで達していても構わない。孔開け手法としてはトムソン刃によるハーフカットや、ポーラス加工、熱針加工等の公知の方法が挙げられる。
図2(a)に模式的に示したように 本発明の分離可能な蓋材を用いた容器においては、容器外周のプルタブ部分(8)基部のフランジ(6)に切り込み(12)を入れて切り込みより外側のフランジ部分は複合シートの蓋材と一緒に開封時に剥離する側(上側)に持ち上げることが出来るようにする。
この剥離開始ハーフカット(4)は確実に上層を分離するために複数本設けても良く、配置平面形状は直線形状でも曲線形状でも構わない。
容器(7)に内容物を封入してから容器本体のフランジ(6)上面に蓋材をヒートシールした時の断面は、図2(a)に示すようにプルタブ部分(8)を含む容器開口部外縁のフランジ(6)上面のリング状の領域で蓋材と容器がヒートシールされている状態となっている。図2(b)には、開封時に図2(a)のプルタブ部分(8)を持ち上げてフランジ切り込み(12)から外側の部分を上方に折り曲げて下層のハーフカット(4)の上部から上層のみを剥離する様子を示した。
図3(a)には内容物を封入して容器本体に蓋材をヒートシールした時の上方から見た容器の平面略図を図3(b)には断面略図を示した。
図3(a)ではプルタブ部分(8)の基部に容器フランジ(6)への切り込み(12)が設けてあり、すぐ内側に蓋材の下層(2)を貫通するハーフカット(4)が一本設けられている。蓋材と容器本体(7)とは容器開口部を形成する外周部のフランジ(6)及びプルタブ部分(8)のヒートシール部分(5)でリング状に密封されている。
図4(a)には隣接する二室からなる容器の場合の、内容物を封入して容器本体に蓋材をヒートシールした時の上方から見た容器の平面略図を、図4(b)には断面略図を示した。
本実施例では上層と下層からなる構成の複合シート(1)を作製した。複合シート上層はバリア性シート(2a)としては厚さ12μmの透明蒸着PETフィルム(GX−P−F)を使用し、バリア性シート(2a)の内側には表面側から順に印刷インキによる印刷絵柄(2c)と下層の印刷絵柄を隠蔽するための白ベタ層(2d)を形成し、中間層(9)として強度補完のための延伸ナイロンフィルムをポリウレタン樹脂系の接着剤によるドライラミネートにより貼り合わせた層構成とした。
また、複合シート下層は、剥離層(3a)としてはPP用イージーピールフィルムを使用し、延伸プラスチックフィルム(3d)として絵柄印刷層(3c)を表面に設けた延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび下層シーラント(3b)として直鎖低密度ポリエチレン樹脂を貼り合わせた層構成とした。上層と下層のラミネートは押出し低密度ポリエチレン樹脂を上層シーラント(2b)として用いた。
被着体である成形容器(7)としてはポリエチレンテレフタレートフィルムとポリエチレンフィルムのラミネート品の成形容器を使用した。
厚さ12μmの透明蒸着PETフィルム(GX−P−F)を印刷基材としてグラビア印刷法によりその蒸着面側に絵柄を印刷し同時に白ベタを重ねて上層のバリア性フィルムを作成した。この印刷面側に中間層フィルムとして厚さ15μmの延伸ナイロンフィルムをドライラミネート法により積層して上層を形成する積層体を準備した。
上層となる積層体の延伸ナイロンフィルム面と下層となる積層体のイージーピールフィルム面を厚さ15μmの低密度ポリエチレン樹脂を溶融押出法によりラミネートして分離可能な剥離蓋に用いる複合シートを作成した。
成形容器の形状としてフランジ部分が連続していて、通気孔(13)の配置パターンを変えた、隣接した2つの内容物収納空間からなる容器を用いた以外は実施例1と同様の構成として複合シートの作成と分離可能な剥離蓋の評価を行った。通気孔の配置パターンを複数の短い直線形状とした蓋材部分で封止された成形容器の一室には内容物としてゲル状芳香性消臭剤(PH;2)を適量充填し、通気孔の配置パターンを複数のU字形状とした蓋材部分で封止された他の一室には吸湿剤としてシリカゲルを適量充填した。
その後複合シートの下層側を容器フランジ上面にヒートシール(5)して、内容物を封入した容器(図4参照:平面図ではヒートシール領域の図示は省略した)を作成した。この容器を用いて、蓋材の剥離しやすさと上層剥離後の情報視認性等の効果を目視で評価した。
また、実施例1〜2の容器では開封時に剥離蓋の上層を剥離した後に下層に印刷された記録情報を容易に読み取ることが出来た。
さらに実施例2の容器では隣接した2つの室それぞれの機能がどう違うかを下層に印刷された記録情報から容易に読み取ることが出来ただけでなく、下層に空けられた通気孔の配置形状が異なることによって2つの室それぞれの役割が異なることを一目瞭然で直感的にも実感することが出来るという効果も見られた。
2…上層
2a…バリア性シート
2b…上層シーラント
2c…印刷層
2d…ベタ印刷層
3…下層
3a…剥離層
3b…下層シーラント
3c…印刷層
3d…延伸フィルム
4…剥離開始ハーフカット
5…ヒートシール部分
6…フランジ
7…成形容器
8…プルタブ部分
9…中間層
10…印刷層
12…フランジカット
13…通気孔(貫通孔)
Claims (4)
- フランジ付き成形容器の開口部を覆い、成形容器周縁のフランジ部分と密封シールされる、外周縁にプルタブが形成された蓋材において、外側から基材/押出しポリエチレン樹脂シーラントからなるバリア性を有する上層と、外側から剥離層/印刷層/印刷基材層/シーラント層からなり通気性を有する貫通孔を設けた下層とが順次積層された複合シートからなり、プルタブ基部に剥離開始部となる切り込みを設けたことを特徴とする分離可能な蓋材。
- 前記上層の基材が印刷層及び隠蔽層を有することを特徴とする、請求項1に記載の分離可能な蓋材。
- 請求項1または請求項2の分離可能な蓋材をフランジ部にシールしたことを特徴とする容器。
- 隣接した2室からなることを特徴とする請求項3に記載の容器。
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