JP2012050961A - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents
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Abstract
【課題】Pdを用いる触媒において、硫化水素排出量を増加させることなく、触媒性能を向上させる。
【解決手段】排ガス流れ方向に対して垂直に、触媒担体上に設けられた上層及び下層の2層構造の触媒層を備えた排ガス浄化用触媒であって、前記上層がRhを担持したZrとCeの複合酸化物とアルミナからなり、前記下層がPdを担持したZrとCeの複合酸化物とアルミナからなる排ガス上流側の前段部とRhを担持したZrとCeの複合酸化物とアルミナからなる排ガス下流側の後段部からなり、前記前段部にのみ塩基性物質が添加されており、さらに前記上層部の排ガス流れ方向の長さが前記下層部の排ガス方向の長さよりも短いことを特徴とする排ガス浄化用触媒。
【選択図】図1
【解決手段】排ガス流れ方向に対して垂直に、触媒担体上に設けられた上層及び下層の2層構造の触媒層を備えた排ガス浄化用触媒であって、前記上層がRhを担持したZrとCeの複合酸化物とアルミナからなり、前記下層がPdを担持したZrとCeの複合酸化物とアルミナからなる排ガス上流側の前段部とRhを担持したZrとCeの複合酸化物とアルミナからなる排ガス下流側の後段部からなり、前記前段部にのみ塩基性物質が添加されており、さらに前記上層部の排ガス流れ方向の長さが前記下層部の排ガス方向の長さよりも短いことを特徴とする排ガス浄化用触媒。
【選択図】図1
Description
本発明は、排気ガス流路に配置される、排ガス浄化用触媒に関する。
自動車用エンジン等の内燃機関から排出される排気ガスには一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOX)等が含まれ、これらの有害物質は、一般に、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属を触媒成分とする排気ガス浄化用触媒によって浄化される。
このような触媒において、温度安定性を向上させ、低温域における触媒活性度を高くするため、触媒層を2層以上にわけ、例えば触媒担体上にRhを担持させた上層とPdを担持させた下層を設けた触媒が提案されている(特許文献1〜4参照)。
このような従来の排ガス浄化用触媒では、排ガス中の硫黄成分が、燃料リッチ雰囲気において触媒上で還元され、H2Sとなり腐乱臭を発する。またPdを用いる触媒においては、活性を促進するために塩基性物質を添加することが知られているが、この塩基性物質は硫黄の吸着を促進するため、活性を促進するための背反点となる。このため、Pdを用いる触媒において、硫化水素排出量を増加させることなく、触媒性能を向上させることが望まれている。
上記問題点を解決するために本発明によれば、排ガス流れ方向に対して垂直に、触媒担体上に設けられた上層及び下層の2層構造の触媒層を備えた排ガス浄化用触媒であって、前記上層がRhを担持したZrとCeの複合酸化物とアルミナからなり、前記下層がPdを担持したZrとCeの複合酸化物とアルミナからなる排ガス上流側の前段部とRhを担持したZrとCeの複合酸化物とアルミナからなる排ガス下流側の後段部からなり、前記前段部にのみ塩基性物質が添加されており、さらに前記上層部の排ガス流れ方向の長さが前記下層部の排ガス方向の長さよりも短いことを特徴とする排ガス浄化用触媒が提供される。
本発明の排ガス浄化用触媒1は、その基本的構成を図1に示すように、排ガス流れ方向に対して垂直に、触媒担体2上に設けられた上層及び下層の2層構造の触媒層を備えた排ガス浄化用触媒であって、前記上層5がRhを担持したZrとCeの複合酸化物とアルミナからなり、前記下層がPdを担持したZrとCeの複合酸化物とアルミナからなる排ガス上流側の前段部3とRhを担持したZrとCeの複合酸化物とアルミナからなる排ガス下流側の後段部4からなり、前記前段部3にのみ塩基性物質が添加されており、さらに前記上層部の排ガス方向の長さが前記下層部の排ガス方向の長さよりも短いことを特徴とするものである。
触媒担体2としては、排ガス浄化用触媒において一般に用いられている担体を用いることができ、ハニカム状のモノリス型担体が好ましく、その材質としてはコージェライト等を用いることができる。
上層5は、ZrとCeの複合酸化物とアルミナからなる母材にRhを担持させてなるものである。この母材として従来は一般にアルミナが用いられているが、CeとZrの複合酸化物酸素吸蔵放出能を有し、触媒反応において有効な雰囲気を保持するために添加されている。上層におけるZrとCeの複合酸化物におけるZrとCeの割合は、Ce/Zrのモル比を0.1〜10とすることが好ましい。
下層は排ガス上流側の前段部3と排ガス下流側の後段部4からなる。この後段部4は上層5と同様の構成であり、すなわちZrとCeの複合酸化物とアルミナからなる母材にRhを担持させてなるものである。前段部3は、ZrとCeの複合酸化物とアルミナからなる母材にPdを担持させてなるものである。前段部におけるZrとCeの複合酸化物におけるZrとCeの割合は、Ce/Zrのモル比を0.1〜10とすることが好ましい。
この前段部3にはPdの活性を促進させるために塩基性物質が添加されている。この塩基性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素等の化合物を用いることができる。この塩基性物質の添加量は2.0×10-2モル/Pd量(g)とすることが好ましい。
上記前段部と後段部は、排ガス流れ方向の長さの比が1:3〜3:1であることが好ましい。
本発明の排ガス浄化用触媒においては、触媒層を2層構造とし、下層の前段部にPdと塩基性物質を配置することにより、硫化水素の排出量を悪化させることなく触媒性能を向上させることが可能となる。これは、下層後段に塩基性物質をおかないことで、硫化水素の脱離しやすい温度に塩基性物質が曝されないためであると考えられる。
本発明の排ガス浄化用触媒は、従来より行われている一般的な方法により製造することができる。例えば、アルミナ及びCeとZrの複合酸化物の各粉末を混合し、これに塩基性物質の塩の水溶液を加え、乾燥、焼成を行うことによって母材を形成する。この母材とPdの硝酸塩水溶液とを混合し、蒸発乾固させることにより母材にPdを担持させ、更に焼成を行うことによりPd触媒を得る。このPdの硝酸塩に代えてRhの硝酸塩を用い、母材に塩基性物質を添加しないで同じ方法によりRh触媒を得ることができる。このPd触媒にバインダと水を加え、Pd触媒スラリーを調製し、担体上の所定の部位に塗布し、乾燥することにより、下層の前段部を形成する。次いでRh触媒のスラリーを同様にして調製し、後段部を形成し、さらに上層を形成することにより、本発明の排ガス浄化用触媒が得られる。
実施例1(下層への塩基性付与の効果)
下層コート用の材料として、CeO2−ZrO2粉末、La2O3添加Al2O3、BaSO4を用いて、Pdに対して塩基性物質を振り、3種類のPd触媒スラリーを調製した。得られたPd触媒スラリーを触媒前段側半分に塗布した。また、上層コート用の材料として、CeO2−ZrO2粉末、Al2O3を用いて、Rh触媒スラリーを調製し、このスラリーを、上記Pd触媒スラリーの塗布後乾燥した触媒基材に対し、一面に塗布した。こうして得られた図1に示す触媒について、エンジン排ガス条件を酸化雰囲気、還元雰囲気に振った条件で高温で触媒劣化耐久を実施し、排ガス雰囲気を燃料リッチ(A/F=14.1)にしたときのNOx排出量を測定した。下層前段部中の塩基性物質の量に対するNOx排出量の関係を図2に示す。この結果より、下層の前段部に塩基性物質をPd量あたり2.0×10-2モル以上添加することによって、NOx浄化能が向上した。
下層コート用の材料として、CeO2−ZrO2粉末、La2O3添加Al2O3、BaSO4を用いて、Pdに対して塩基性物質を振り、3種類のPd触媒スラリーを調製した。得られたPd触媒スラリーを触媒前段側半分に塗布した。また、上層コート用の材料として、CeO2−ZrO2粉末、Al2O3を用いて、Rh触媒スラリーを調製し、このスラリーを、上記Pd触媒スラリーの塗布後乾燥した触媒基材に対し、一面に塗布した。こうして得られた図1に示す触媒について、エンジン排ガス条件を酸化雰囲気、還元雰囲気に振った条件で高温で触媒劣化耐久を実施し、排ガス雰囲気を燃料リッチ(A/F=14.1)にしたときのNOx排出量を測定した。下層前段部中の塩基性物質の量に対するNOx排出量の関係を図2に示す。この結果より、下層の前段部に塩基性物質をPd量あたり2.0×10-2モル以上添加することによって、NOx浄化能が向上した。
実施例2(上層への塩基性付与の影響)
実施例1と同様にし、下層中の塩基性物質の量が3.9×10-2モルである触媒を調製し、これとは別に、さらに上層のAl2O3をLa2O3添加Al2O3に変え、上層にも塩基性を付与させた触媒を調製し、実施例1と同様にして触媒劣化耐久を実施し、排ガス雰囲気を燃料リッチ(A/F=14.1)にしたときのNOx浄化温度を測定した。この結果を図3に示すが、上層に塩基性を付与することにより、触媒性能が悪化することがわかる。これは、塩基性がRhの還元性を悪化させるため、Rhの性能が低下するためであると考えられる。
実施例1と同様にし、下層中の塩基性物質の量が3.9×10-2モルである触媒を調製し、これとは別に、さらに上層のAl2O3をLa2O3添加Al2O3に変え、上層にも塩基性を付与させた触媒を調製し、実施例1と同様にして触媒劣化耐久を実施し、排ガス雰囲気を燃料リッチ(A/F=14.1)にしたときのNOx浄化温度を測定した。この結果を図3に示すが、上層に塩基性を付与することにより、触媒性能が悪化することがわかる。これは、塩基性がRhの還元性を悪化させるため、Rhの性能が低下するためであると考えられる。
実施例3(上層及び下層における塩基性の影響)
実施例1と同様にし、上層及び下層のそれぞれに塩基性を付与したもしくは付与しない触媒を調製した。この触媒について(具体的な方法を追加してください)によりSO2を触媒に吸着させた後、高負荷停止したSを還元した際の、硫化水素排出量を測定した。この結果を図4に示す。下層への塩基性付与による硫化水素排出量は悪化がみられないが、上層への塩基性付与では大幅に悪化した。これは、上層のコート層が長いため、硫化水素が脱離しやすい温度に曝されやすいためであると考えられる。
実施例1と同様にし、上層及び下層のそれぞれに塩基性を付与したもしくは付与しない触媒を調製した。この触媒について(具体的な方法を追加してください)によりSO2を触媒に吸着させた後、高負荷停止したSを還元した際の、硫化水素排出量を測定した。この結果を図4に示す。下層への塩基性付与による硫化水素排出量は悪化がみられないが、上層への塩基性付与では大幅に悪化した。これは、上層のコート層が長いため、硫化水素が脱離しやすい温度に曝されやすいためであると考えられる。
Claims (1)
- 排ガス流れ方向に対して垂直に、触媒担体上に設けられた上層及び下層の2層構造の触媒層を備えた排ガス浄化用触媒であって、前記上層がRhを担持したZrとCeの複合酸化物とアルミナからなり、前記下層がPdを担持したZrとCeの複合酸化物とアルミナからなる排ガス上流側の前段部とRhを担持したZrとCeの複合酸化物とアルミナからなる排ガス下流側の後段部からなり、前記前段部にのみ塩基性物質が添加されており、さらに前記上層部の排ガス流れ方向の長さが前記下層部の排ガス方向の長さよりも短いことを特徴とする排ガス浄化用触媒。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010197850A JP2012050961A (ja) | 2010-09-03 | 2010-09-03 | 排ガス浄化用触媒 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2010197850A JP2012050961A (ja) | 2010-09-03 | 2010-09-03 | 排ガス浄化用触媒 |
Publications (1)
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Country Status (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112371118A (zh) * | 2020-11-27 | 2021-02-19 | 中自环保科技股份有限公司 | 一种高效汽车尾气处理催化剂及其制备方法 |
JP2022039147A (ja) * | 2020-08-28 | 2022-03-10 | トヨタ自動車株式会社 | 排ガス浄化装置 |
-
2010
- 2010-09-03 JP JP2010197850A patent/JP2012050961A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2022039147A (ja) * | 2020-08-28 | 2022-03-10 | トヨタ自動車株式会社 | 排ガス浄化装置 |
JP7235417B2 (ja) | 2020-08-28 | 2023-03-08 | トヨタ自動車株式会社 | 排ガス浄化装置 |
CN112371118A (zh) * | 2020-11-27 | 2021-02-19 | 中自环保科技股份有限公司 | 一种高效汽车尾气处理催化剂及其制备方法 |
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