JP2012042312A - 蓄電デバイスの状態検知方法及びその装置 - Google Patents

蓄電デバイスの状態検知方法及びその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】充放電中か充放電を停止しているかによらず適切な放電能力が維持されているかを判定することが可能な蓄電デバイスの状態検知方法及びその装置を提供する。
【解決手段】ステップS7では、記憶部120に保存されていた充放電停止時の電圧V_endと現在の電圧V_nowから電圧変化量ΔVa_nを算出する。ステップS9では、ステップS8で読み込んだ劣化度SOH_n1に対応する放電能力補正関数F(SOH_n1、x)を記憶部120から読み込み、ステップS10で変数xにΔVa_nを代入して放電能力補正量COD_SOH_nを算出する。ステップS11では、現在の電圧V_nowとステップS10で算出した放電能力補正量COD_SOH_nから、現在の放電能力COD_nowを算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電デバイスの状態検知方法及びその装置に関し、特に蓄電デバイスの放電能力に係る状態検知方法及びその装置に関するものである。
近年、蓄電デバイスに対するニーズが高まっており、例えば自動車では蓄電デバイスである蓄電池から電源供給を受けて動作する電気機器が多く搭載されるようになり、蓄電池の重要度がますます高まっている。近年はバイワイヤー化が進み、電動ブレーキ(EPB)に代表される安全系の部品を電気で制御するようになってきている。また、省エネや二酸化炭素の排出規制に伴って、交差点などでの短時間停止時のアイドリングストップ機能とその再始動能力の確保が求められている。
自動車以外の分野でも、例えば太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの利用を進める上で、発電電力量の平準化や余剰電力の蓄電のために蓄電デバイスが用いられる。さらに、停電時等に電気機器に電力供給を行うための安定化電源、補助電源等のバックアップ電源にも蓄電デバイスが用いられる。このような蓄電デバイスには、二次電池やキャパシタ等の電解液の移動を伴うものが用いられている。
一般に、蓄電デバイスが充放電停止後十分に安定した条件下では、その開放端電圧(OCV)と残容量(SOC:State of charge)との間に、図35の符号81に示すような1:1に対応する関係がある。しかしながら、このような1:1の関係は、実験室のような安定した条件下で得られるものである。充放電後の蓄電デバイスは、例えば電解液を含む蓄電池の場合、電気化学反応による極板表面でのイオンの生成・消滅反応、及び電解液の拡散や対流等によるイオンの移動、のそれぞれの影響を受けている。
このような影響は、Liイオン電池や鉛蓄電池のような電解液中をイオンが移動する蓄電デバイスでは必ず生じる。また、キャパシターの類であっても、蓄電の媒体として電解液を利用する場合には、その媒体の濃度変化が生じるため、やはりイオンの拡散などの影響を受ける。電解液の代わりに媒体として固体電解質を用いた場合であっても、その電解質中のイオンは、蓄電作用によって偏りが生じる。そのため、媒質または媒体に応じて安定した状態に到達するのに時間がかかり、安定したOCVが得られるまでに、蓄電デバイスごとの特性に応じた収束時間が必要になる(例えば液式鉛蓄電池の場合は20時間程度)。
上記のように、電解質又は電解液中のイオン濃度が過渡的に変化する場合には、イオン濃度が十分に均質な状態になるまでに長時間を必要とするため、限られた測定時間内で電池電圧を測定した結果では、OCVとSOCとの間で1:1の関係が成立していない。図36、37は、蓄電池のSOC及び温度が一定のときのOCVの過渡変化の一例を示す図である。図36は、SOCが一定であってもOCV(符号82)が一定値に安定するまでに時間がかかることを示している。また、図37では、SOH(劣化度、State of health)が異なるときの蓄電池におけるOCV(符号83、84、85)の変化を示しているが、SOCや温度を同一条件に調整し直近の充放電条件も同一とした場合でも、SOHが異なると同じOCVには収束しないことを示している。
このように、OCVからSOCを高精度に求めるためには、蓄電デバイスのSOHを適切に反映したSOCを用いる必要がある。また、充放電停止後の過渡変化は、イオンの生成消滅反応のような反応時間が短く変化の速いものと、電解液の拡散や対流等のような反応時間が長く変化の遅いものが含まれている。このような反応時間の異なる過渡変化も、それぞれSOCやSOHによって異なってくる。
蓄電デバイスを安定して利用できるようにするには、その状態検知を高精度に行って放電能力の不足等が発生するおそれがある場合には、これを早期に検知して対応できるようにする必要がある。蓄電デバイスを用いたシステムでは、システム内の電気機器等を正常に動作させるために、充放電中も維持することが要求される蓄電デバイスの下限電圧(放電能力の限界点)が設定されている。そこで、蓄電デバイスの状態検知では、その放電能力((COD:Capability of Discharge)の判定として、蓄電デバイスの電圧が上記の下限電圧より高いかを精度よく判定することが重要となる。
蓄電デバイスのCODは、どのような負荷に対しても蓄電デバイスの電圧を常に下限電圧より高く維持できるか否かで判定される。放電時の蓄電デバイスの電圧変化の一例を図38に示す。図38は、蓄電池に負荷を接続して放電させたときの電池電圧33の時間変化を模式的に示している。放電時の電池電圧33は、時間とともに低下していくが、システム要求の下限電圧、すなわち放電能力の限界点に達すると、システムの電気機器等に適切な電力を供給できなくなってしまう。
初期電池電圧31からの電圧降下量は、次式のように表すことができる。
電圧降下量=反応抵抗(増大)x電流+内部電位(低下)
ここで、反応抵抗による電圧降下(矢印D)は、電気化学反応を起こさせるのに必要なエネルギーに伴うものであり、蓄電デバイスの劣化(SOH)によって変化する。また、内部電位低下(矢印C)は、電気化学反応が行われたことによる活物質の変化等によるものであり、蓄電デバイスの残容量(SOC)によって変化する。図38より、内部電位34が下限電圧35より高くても放電反応抵抗による低下分が大きいと放電能力の限界点に達してしまう。このように、電気化学反応を伴う蓄電デバイスでは、蓄電池の内部電位C、放電反応抵抗D、及びシステム仕様で定められた下限電圧35によって放電能力CODが決まることから、放電能力を精度よく判定するためには、放電反応抵抗D(劣化)と内部電位C(残容量)を分けて判断する必要がある。
蓄電デバイスの放電能力を判定する方法として、システムを休止させて蓄電デバイスを完全に放電させ、その後再び満充電させることで、残容量を直接測定して判定する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、残容量測定のために蓄電デバイスが使用不可の状態となってしまい、特に蓄電デバイスがバックアップ用途で用いられるシステムでは本来の機能を実現できなくなるおそれがある。また、全容量を放電して実測するには、放電時間と充電時間の両方で相当の時間がかかるため、システムの稼動効率を大幅に低下させてしまう。
蓄電デバイスの劣化状態を判定する方法として、インピーダンス法により内部状態を推定し、その情報に基づいて放電能力を推定する方法が知られている。しかしながら、この方法は、蓄電デバイスが満充電あるいはそれに近い状態で用いられるときに適用できるが、蓄電デバイスが部分充電状態(PSOC:Partial State of charge)で運用されるような場合には適用できない。近年、蓄電デバイスが自然エネルギーの平準化用途に利用されるようになっており、このような用途では、残容量が満充電から大きく異なる部分充電状態で蓄電デバイスが運用される。
蓄電デバイスを満充電で運用するときと、PSOCで運用するときの運用方式の相違を、図39を用いて説明する。同図(a)は従来の運用方法における状態検知を示し、同図(b)はPSOCの運用方法における状態検知を示している。従来の運用方法では、劣化による劣化マージン42の減少分42aを検知して残された劣化マージン42bを判定することが要求される。これに対し、PSOCの運用方法では、劣化による充電領域44及び劣化マージン45のそれぞれの減少分44a、45aを検知し、必要な充電容量及び放電容量を確保するために、運用領域43の範囲を変更して新たに充電領域44b及び劣化マージン45bを設ける、といった制御が必要となる。
常にほぼ満充電の状態で用いられる従来の蓄電デバイスの運用方法では、蓄電デバイスのインピーダンスが劣化のみの影響を受けて変化していると考えられる。そこで、インピーダンスを測定することで蓄電デバイスの劣化度(SOH)を知ることができる。これに対し、PSOCによる運用では、インピーダンスが劣化と残容量の両方の影響を受けているため、インピーダンスから劣化度を求めることはできない。
蓄電デバイスでは、充放電後に反応時間の異なる過渡変化が生じることを上記で説明したが、このような反応時間の違いを反映するために、例えば特許文献1では、過渡変化を3つの時定数の成分に分けて評価する方法が記載されている。ここでは、充放電時間に応じて過渡応答が変わり、抵抗成分や電池の内部反応に応じた分極成分や電解液の拡散速度についての言及がある。
特開平2005−106615号公報
しかしながら、システム運用中の充放電を行っているときの蓄電デバイスの状態検知を精度良く行う方法がこれまで知られていなかった。システム運用中の残容量を判定するための補足手段として、蓄電デバイスの充放電時の電流積算値をもとに現在の残容量を推定し、これを用いて放電能力を判定する方法がある。しかしながら、充電電流及び放電電流の積算値だけでは、蓄電デバイスの劣化等の内部の状態量の変化に伴う充放電効率の低下を反映させることはできず、電流積算値から算出される蓄電デバイスの残容量と実際に利用できる蓄電デバイスの残容量との間に差が生じ、放電能力が正確に算出できないことがある。また、残容量を監視するだけでは、蓄電デバイスの電圧がシステム要求の電圧より高くなるように維持できるかといった放電能力の判定を行うことはできない。
電流積算値が同じであっても蓄電デバイスの電圧が異なってしまう一例を、図40を用いて以下に説明する。同図は、充電と放電とで電流積算値が同じになる充放電を繰り返したときの充電終了時の電圧を、横軸を繰返しサイクル数として表示したものである。1回のサイクルにおける充電積算量及び放電積算量はともに5%(ΔSOC=5%)としており、各サイクルの充放電積算量が0となるようにしている。また、図40では蓄電デバイスの充放電開始時の残容量(SOC)が90%(符号51〜53)、80%(符号54)、70%(符号55〜60)、60%(符号61)の場合について示している。
図40より、充放電サイクル数が増加するとともに充電終了時の電圧が上昇することがわかる。これは、充放電サイクルを繰り返すに伴って蓄電デバイス内部の状態量が変化することを示している。また、電流積算値の変化量が0であっても蓄電デバイスの状態量は変化していることを示している。なお、図40に示すデータは、古河電池製液式鉛蓄電池(JIS規格55D23)を用いて行った実験データである。
一方、充放電停止後の状態検知においても、蓄電デバイスの内部で反応時間の異なる過渡変化が生じていることから、これらの過渡変化による影響を適切に推定して状態検知を行う方法がこれまで知られていない。特許文献1に記載の状態検知方法のように、充放電停止後の過渡変化を異なる時定数の成分に分けて状態検知を行う場合でも、蓄電デバイスのSOCやSOHが変化すると、各時定数もそれに合わせて調整する必要があるが、異なるSOCやSOHに対する時定数を高精度に求めることが難しく、蓄電池の状態検知を高精度に行うのが困難になるといった問題があった。
そこで、本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、充放電中か充放電を停止しているかによらず適切な放電能力が維持されているかを判定することが可能な蓄電デバイスの状態検知方法及びその装置を提供することを目的とする。
本発明の蓄電デバイスの状態検知方法の第1の態様は、充放電中及び充放電停止中の放電能力を所定の周期毎に判定する蓄電デバイスの状態検知方法であって、最後の充放電停止直後に測定された前記蓄電デバイスの電圧測定値が充放電停止時電圧V_endとして所定の記憶部に保存されており、前記記憶部から前記充放電停止時電圧V_endを読み込み、前記充放電停止時電圧V_endから現在(サイクル数nとする)の電圧測定値V_nowを減算して現在の電圧変化量ΔVa_nを算出し、前記蓄電デバイスの劣化度SOH及び前記電圧変化量ΔVa_nから事前に作成された放電能力補正関数F(SOH、ΔVa_n)を用いて前記蓄電デバイスの放電能力補正量COD_SOH_nを算出し、前記蓄電デバイスの現在の放電能力COD_nowを次式
COD_now=V_now−COD_SOH_n
で算出し、前記放電能力COD_nowが所定の閾値COD_Thより大きいときに前記蓄電デバイスの放電能力が維持されていると判定することを特徴とする。
本発明の蓄電デバイスの状態検知方法の他の態様は、前記劣化度SOHは、現在に最も近い充放電停止中のサイクル数n1(n1≦n)のときに算出された劣化度SOH_n1であり、前記放電能力補正量COD_SOH_nは、前記劣化度SOH_n1に対応する前記放電能力補正関数F(SOH_n1、x)(xは変数)を前記記憶部から読み込み、前記変数xに前記電圧変化量ΔVa_nを代入して算出されることを特徴とする。
本発明の蓄電デバイスの状態検知方法の他の態様は、前記放電能力補正関数F(SOH、ΔVa)は、前記蓄電デバイス内部の過渡変化の速度に対応して事前に作成された2以上(m個とする)の反応速度毎緩和関数fi(i=1〜m)の線形結合で表され、前記蓄電デバイスの充放電停止中は前記電圧測定値を前記記憶部に保存し、前記反応速度毎緩和関数fiは、前記充放電停止からの経過時間に応じて前記記憶部に保存されている前記電圧測定値を用いて最適化されることを特徴とする。
本発明の蓄電デバイスの状態検知方法の他の態様は、前記蓄電デバイスが充放電停止中でかつ充放電停止からの経過時間が所定の時間(第1緩和時間とする)を超えているとき、
速い過渡変化に対応する前記反応速度毎緩和関数fiを前記記憶部に保存されている前記電圧測定値を用いて最適化し、前記最適化された反応速度毎緩和関数fiを用いて速い過渡変化に依存する劣化度SOH_fast_nを算出し、現在に最も近い充放電停止中のサイクル数n2(n2≦n)のときに算出された遅い過渡変化に依存する劣化度SOH_slow_n2と前記劣化度SOH_fast_nとから所定の関数Gを用いて現在の劣化度SOH_nを次式
SOH_n=G(SOH_fast_n,SOH_slow_n2)
で算出し、前記放電能力補正量COD_SOH_nは、前記劣化度SOH_nに対応する前記放電能力補正関数F(SOH_n、x)を前記記憶部から読み込み、前記変数xに前記電圧変化量ΔVa_nを代入して算出されることを特徴とする。
本発明の蓄電デバイスの状態検知方法の他の態様は、前記蓄電デバイスが充放電停止中でかつ充放電停止からの経過時間が前記第1緩和時間より長い所定の第2緩和時間を超えているとき、さらに、遅い過渡変化に依存する前記反応速度毎緩和関数fiを前記記憶部に保存されている前記電圧測定値を用いて最適化し、前記最適化された反応速度毎緩和関数fiを用いて遅い過渡変化に依存する劣化度SOH_slow_nを算出し、算出された前記速い過渡変化に依存する劣化度SOH_fast_nと前記遅い過渡変化に依存する劣化度SOH_slow_nとから前記関数Gを用いて現在の劣化度SOH_nを次式
SOH_n=G(SOH_fast_n,SOH_slow_n)
より算出することを特徴とする。
本発明の蓄電デバイスの状態検知方法の他の態様は、充放電停止直後に前記蓄電デバイスに所定容量の充電(状態検知前充電)を行い、前記状態検知前充電終了直後に測定した前記電圧測定値を前記充放電停止時電圧V_endとして前記記憶部に保存することを特徴とする。
本発明の蓄電デバイスの状態検知装置の第1の態様は、充放電中及び充放電停止中の放電能力を所定の周期毎に判定する蓄電デバイスの状態検知装置であって、前記蓄電デバイスの電圧測定値を保存する記憶部と、前記記憶部に保存されているデータを読み込んで前記蓄電デバイスの放電能力を前記周期毎に判定する状態検知部と、前記状態検知部から判定結果を入力して外部に出力する状態出力手段と、を備え、前記記憶部は、最後の充放電停止直後に測定された前記蓄電デバイスの前記電圧測定値を充放電停止時電圧V_endとして保存し、前記状態検知部は、前記記憶部から前記充放電停止時電圧V_endを読み込み、前記充放電停止時電圧V_endから現在(サイクル数nとする)の電圧測定値V_nowを減算して現在の電圧変化量ΔVa_nを算出し、前記蓄電デバイスの劣化度SOH及び前記電圧変化量ΔVa_nから事前に作成された放電能力補正関数F(SOH、ΔVa_n)を用いて前記蓄電デバイスの放電能力補正量COD_SOH_nを算出し、前記蓄電デバイスの現在の放電能力COD_nowを次式
COD_now=V_now−COD_SOH_n
で算出し、前記放電能力COD_nowが所定の閾値COD_Thより大きいときに前記蓄電デバイスの放電能力が維持されていると判定することを特徴とする。
本発明によれば、充放電中か充放電を停止しているかによらず適切な放電能力が維持されているかを判定することが可能な蓄電デバイスの状態検知方法及びその装置を提供することが可能となる。
本発明の第1の実施形態の蓄電デバイスの状態検知方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 第1実施形態の蓄電デバイスの状態検知装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態の蓄電デバイスの状態検知方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 安定時の蓄電デバイスの放電時電圧とSOHの関係を示すグラフである。 第1の放電を停止後のOCVの過渡変化を示すグラフである。 第1の放電停止後の経過時間の異なる時点で第2の放電を行ったときの電圧降下量の経時変化を示すグラフである。 充電停止後のOCV及びOCV変化量の時間変化を示すグラフである。 本発明の第3の実施形態の蓄電デバイスの状態検知方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 本発明の第4の実施形態の蓄電デバイスの状態検知方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 第1参照例の状態検知方法を説明する流れ図である。 第1参照例の状態検知方法を用いた状態検知装置の概略構成を示すブロック図である。 状態検知に必要なデータ測定を行うタイミングを判定する流れ図である。 充放電停止を判定する方法を説明する流れ図である。 OCV20hrの選択方法を説明する流れ図である。 F(t)の最適化を行う方法を説明する流れ図である。 F(t)の最適化を行う方法を説明する流れ図である。 状態量SOH、SOCを算出する方法を説明する流れ図である。 緩和関数および反応速度毎緩和関数の一例を示すグラフである。 反応速度毎緩和関数およびその比の一例を示すグラフである。 安定OCV推定式の一例を示すグラフである。 第2参照例の状態検知方法を説明する流れ図である。 充電効率η1、η2の一例を示すグラフである。 第3参照例の状態検知方法を説明する流れ図である。 反応速度毎緩和関数の変化の一例を示すグラフである。 速い反応速度に対するSOHの変化の一例を示すグラフである。 SOHに対する補正係数の一例を示すグラフである。 第3参照例における状態量の判定方法を説明する流れ図である。 蓄電デバイスの成層化を説明するための模式図である。 第4参照例に係る蓄電デバイスの状態検知方法の概略を説明する流れ図である。 第4参照例に係る蓄電デバイスの状態検知装置のブロック図である。 運転中の充放電と状態検知前充電による電流、電圧の変化を示すグラフである。 状態検知モードが要求されてから状態検知前充電が終了するまでの処理を説明する流れ図である。 状態検知モードが成立しているときの処理を説明する流れ図である。 本発明の他の実施形態に係る蓄電デバイスの状態検知方法の概略を説明する流れ図である。 安定開放端電圧とSOCとの関係を示すグラフである。 SOCが一定のときのOCVの変化を示すグラフである。 SOHが異なるときのOCVの変化を示すグラフである。 蓄電池に負荷を接続して放電させたときの電池電圧の時間変化を模式的に示す図である。 蓄電デバイスを満充電で運用するときとPSOCで運用するときの運用方式の相違を説明する説明図である。 電流積算値が同じ充電と放電とを繰り返したときの充放電終了時の電圧を示すグラフである。
本発明の好ましい実施の形態における蓄電デバイスの状態検知方法及びその装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。以下では、蓄電デバイスとして車両に搭載される液式鉛蓄電池等の蓄電池を一例に、本発明の蓄電デバイスの状態検知方法及び状態検知装置について説明する。但し、以下で説明する内容は、車載蓄電池に限らず、太陽光発電や風力発電などに用いられる蓄電デバイスや、安定化電源、補助電源等のバックアップ電源に用いられる蓄電デバイスにも同様に適用できるものである。
本発明の蓄電デバイスの状態検知方法及びその装置は、蓄電デバイスが充放電中かあるいは充放電停止中かにかかわらず、蓄電デバイスの放電能力の判定を可能にするものである。初めに、本発明の蓄電デバイスの状態検知方法に係る基本的な処理内容を、充放電停止後の過渡変化が緩和しているときの状態検知(以下では、緩和時状態検知という)の場合を対象に説明する。以下では、蓄電デバイスが充放電を停止して所定の安定条件を満たす状態に達したときの電圧を停止時安定電圧とし、蓄電デバイスが充放電を停止してから時間t経過したときの電圧測定値の停止時安定電圧からの変化量を停止時電圧変化量とする。
上記の停止時電圧変化量を算出するための関数として、蓄電デバイスの所定の状態量に依存する緩和関数F(t)を事前に作成して用いる。そして、電圧測定値から得られる停止時電圧変化量を用いて緩和関数F(t)を最適化し、最適化された緩和関数F(t)から所定の状態量を推定して状態検知を行う。本発明の蓄電デバイスの状態検知方法では、上記の緩和関数F(t)を用いて放電能力(COD)を推定し、この推定したCODをあらかじめ設定された閾値と比較することにより、蓄電デバイスの放電能力が適切に維持されているかを判定する。
本発明では、放電能力の判定に用いるCODとして、蓄電デバイスの安定時の電池電圧を緩和関数F(t)を用いて推定する。また、閾値として、推定されたCODがこの閾値より大きいときには、その状態から充放電を行っても電池電圧がシステムで要求される下限電圧以下とならないように設定された電圧値を用いる。この閾値は、少なくとも通常の充放電による電圧変動量により、電池電圧がシステム要求の下限電圧以下となることがないように設定される。また、緩和関数F(t)から推定可能な状態量として、例えば蓄電デバイスの劣化度の指標であるSOH(State of health)や残容量を示すSOCなどがある。
充放電停止後の蓄電デバイスの過渡変化には、イオンの生成・消滅反応のように反応速度の速いものから、電解液の移動等の反応速度の遅いものまであり、これらが充放電停止後の上記の状態量の変化に影響している。そこで、本発明の蓄電デバイスの状態検知方法では、緩和関数F(t)を用いて反応速度毎の状態量の変化を推定し、これらを統合して状態量の判定を行う。
上記の停止時安定電圧として、充放電を停止してから十分な時間が経過したときの蓄電デバイスの開放端電圧(以下では安定時OCVとする)を用いることができる。開放端電圧OCVは、蓄電デバイスの端子が開放されて放電が停止されているときの端子間電圧である。本発明の蓄電デバイスの状態検知方法で用いる停止時安定電圧は、安定OCVに限らず、蓄電デバイスへの過渡的な影響が限定されている場合には、そのときの安定電圧を用いることができる。一例として、蓄電デバイスから負荷への電力供給を停止している間に、負荷の制御装置等に微小な電流(暗電流)が供給されている場合があるが、このような暗電流等が供給されている場合でも、負荷を停止してから十分な時間が経過したときの電圧を停止時安定電圧とすることができる。
また、蓄電デバイスからの充放電量が常に一定値の場合でも、蓄電デバイスに与える過渡的な影響が十分に小さいと考えられることから、負荷を停止してから十分な時間が経過したときの電圧を停止時安定電圧とすることができる。このように、充放電による電流が微小あるいは一定値で蓄電デバイス内部の過渡変化に与える影響が所定の範囲内に限定される場合には、負荷への電力供給を停止したときに蓄電デバイスからの放電を停止したと判定するとともに、微小電流あるいは一定電流を継続した状態で充放電停止後長時間経過したときの電圧を停止時安定電圧とすることができる。この場合、微小電流あるいは一定電流による電圧変化を補正する電圧補正量を事前に決定し、これを用いて電圧測定値を補正するようにするのが好ましい。
以下では、停止時安定電圧の一例として、安定時OCVを用いて説明する。安定時OCVを用いた場合には、図35に示した関係を用いて状態量SOCを次式のように表すことができる。
SOC=FS(OCVs’(SOC’,SOH,T)) (1)
OCVs(SOC,SOH,T)=lim(Vmes(t)) (2)
ここで、OCVsは今回算出の安定時OCV、OCV’は前回算出の安定時OCV、tは充放電停止からの経過時間、SOC’は前回算出の残容量、Vmes(t)は経過時間tにおける電圧測定値、Tは蓄電デバイスの温度、をそれぞれ表している。式(2)のlimは、充放電停止からの経過時間tを無限大にすることを示しており、式(2)の右辺は、充放電停止後の経過時間tが無限大のときの蓄電デバイスの電圧測定値Vmes(t)を示している。安定時OCV以外の停止時安定電圧を用いる場合にも、SOCとの間に上記と同様の関係式を事前に作成して用いることができる。
上式では、SOCが前回算出のOCVs’に依存して決定されると同時に、OCVsもSOCに依存しており、さらに別の状態量であるSOHと蓄電デバイスの温度Tにも依存して変化することを示している。また、OCVsが状態量SOHに依存していることから、状態量SOCもSOHに依存していることになり、それぞれの更新を適切なタイミングで行う必要がある。
OCVsは、式(2)に示すように、充放電停止からの経過時間tが無限大のときのVmes(t)であるが、実用上はVmes(t)の変化が十分小さくなると考えられる経過時間tの時点のVmes(t)とすることができる。また、蓄電デバイスが液式鉛蓄電池の場合には、OCVsは、OCVの1時間当たりの変化量が5mV以下となるか、あるいは、充放電停止から20時間経過したときのVmes(t)とすることができる。以下では、蓄電池の充放電停止から20時間経過したときのVmes(t)を次式のOCV20hrとし、これをOCVsに用いるものとする。
OCV20hr=Vmes(t=20hr)
OCVs(SOC,SOH,T)≒OCV20hr (3)
充放電停止後の電圧測定値Vmes(t)の安定時OCVからの変化量、すなわちOCV変化量(停止時電圧変化量)をΔV(t)とするとき、
ΔV(t)=Vmes(t)−OCV20hr (4)
と表すことができる。このOCV変化量ΔV(t)は、従来の電気化学の定義では「分極」という言葉を用いて全ての過渡変化を含めて扱われてきた。しかしながら、ΔV(t)は安定OCVに近づくまでの緩和過程によって生じる電圧変化であることから、以下に挙げる電圧変化の要因による影響を受けている。
電圧変化の要因として、極板状態、極板近傍でのイオン濃度、それらの固相反応、固液反応、さらには電解液の沈殿や対流、拡散に伴うイオンの移動などがある。OCV変化量ΔV(t)は、これらの反応速度の異なる緩和過程が組み合わさって生じていると考えられる。このように、蓄電デバイスの充放電停止後の過渡変化は速度の異なる反応過程を含んでいることから、充放電停止後の蓄電デバイスの放電能力を高精度に判定するためには、反応速度毎の状態変化を評価する方法を用いて状態検知を行うのがよい。
反応速度の違いに応じてm個の多項式からなる関数F(t)を用いて、OCV変化量ΔV(t)を次式のように表すものとする。
ΔV(t)=F(t)
=f1(t)+f2(t)+・・・fm(t)=Σfi(t) (5)
上記の緩和関数F(t)では、各項fi(t)が蓄電デバイスの反応速度の異なる緩和過程毎の電圧変化への寄与分を示しており、以下では反応速度毎緩和関数fi(t)とする。各fi(t)は、蓄電デバイスの状態量である劣化度SOH、残容量SOC、および温度Tに依存する関数である。式(5)の反応速度毎緩和関数fi(t)は、充放電停止後の電圧測定値Vmes(t)から算出されるOCV変化量ΔV(t)を用いて、これに最適化されるように決定することができる。
本発明の状態検知方法を用いた状態検知装置では、状態検知が開始される前のSOC,SOH、OCV20hrのそれぞれの初期値SOC0、SOHi 0、OCV20hr 0を、状態検知装置内に事前に保存されているそれぞれの参照値SOCref(0)、SOHi ref(0)、OCV20hr ref(0)を用いて、下記のように設定することができる。
SOC0=SOCref(0)
SOHi 0=SOHi ref(0)
OCV20hr 0=OCV20hr ref(0)
状態検知装置で蓄電デバイスの状態検知が開始された後の、n回目(nは1以上の整数)の充放電停止後において、OCV変化量ΔV(t)を表す式(5)の緩和関数F(t)および反応速度毎緩和関数fi(t)を、それぞれFn(t)、fi n(t)としたとき、SOCおよびi番目の反応速度に対応するSOH(それぞれSOCn、SOHi nとする)から、反応速度毎緩和関数fin(t)が次式で表わされるものとする。
in(t)=fi ref(t)*{SOCn/SOCref
*{SOHi n/SOHi ref}*g(T) (6)
ここで、fi ref(t)、SOCref、SOHi refは、あらかじめ設定された初期状態(たとえば未使用状態)でのfi(t)、SOC、SOHiであり、g(T)は温度依存性を表す関数である。
式(6)において温度TとSOCが時間によらず一定とした場合には、SOHi n
SOHi n={fi n(t)/fi ref(t)}*SOHi ref (7)
から算出することができる。よって、電圧測定値Vmes(t)から算出されたΔV(t)に式(5)のfi n(t)を最適化し、これを用いて式(7)からSOHi nを算出することができる。
反応速度の異なる過渡応答毎のSOHi nを式(7)から算出すると、これらを統合して算出される全体のSOHnは、所定の関数Gを用いて
SOHn=G(SOH1 n、SOH2 n、・・・、SOHm n) (8)
のように表すことができる。例えば、m個のSOHiに対して、それぞれの係数をA〜Mとすると、
SOHn=A*SOH1 n+B*SOH2 n+・・・+M*SOHm n
=A*{f1 n(t)/f1 ref(t)}SOH1 ref
B*{f2 n(t)/f2 ref(t)}SOH2 ref+・・・+
M*{fm n(t)/fm ref(t)}SOHm ref (8−1)
と表すことができる。但し、式(8−1)は式(8)の関係式を表す一例であり、これに限定されるものではない。上記のようにして算出されたSOHnを用いて、蓄電デバイスの劣化状態の検知を行うことができる。同様にして、別の状態量であるSOCnを、最適化された緩和関数F(t)を用いて算出することができる。
式(7)で算出されたSOHi nを用いて次式でfi n(t)を更新し、これをSOCi nの算出に用いる。
i n(t)=fi ref(t)*{SOCi n-1/SOCref
*{SOHi n/SOHi ref}*g(T) (6−1)
式(4)と式(6−1)から、OCV20hrは次式によって算出できる。
OCV20hr=Vmes(t)―Σ[fi ref(t)*{SOCn-1/SOCref
*{SOHi n/SOHi ref}]*g(T) (9)
このOCV20hrを(式1)に代入することによりSOCnを算出することができ、SOCの状態検知に用いることができる。
上記のとおり、m種類の反応速度に対応するm個の参照値fi ref(t)(i=1〜m)と、m個の劣化度の参照値SOHi ref(i=1〜m)と、1個の残容量の参照値SOCrefをもとに、n回目の充放電停止後のm個の反応速度毎緩和関数fi n(t)(i=1〜m)を算出することができる。これより、異なる反応速度に応じた劣化度を反映したOCV、SOCおよびSOHを求めて精度の高い状態検知を行うことが可能となる。
上記では、充放電停止後の緩和時状態検知を対象に、状態検知方法に係る基本的な処理内容を説明したが、本発明の蓄電デバイスの状態検知方法は、緩和時状態検知に限定されるものではなく、充放電中であっても蓄電デバイスの状態検知を行うことが可能となっている。以下では、システムが運用中で蓄電デバイスが充放電を行っているときの状態検知を充放電時状態検知とする。上記説明では、緩和時状態検知のみを対象としたため、状態検知のサイクル数nを充放電停止の回数としたが、充放電時状態検知を含む状態検知では、サイクル数nを例えば所定の時間間隔で周期的に状態検知を行うときのサイクル数とするのがよい。
また、緩和時状態検知では、OCVが充放電停止からの経過時間tとともに安定時OCVに収束していく(OCV変化量ΔV(t)が0に収束していく)緩和過程における状態検知に限られていたことから、緩和関数を単に経過時間tの関数F(t)と表すことができた。しかしながら、充放電中の蓄電デバイスの放電能力CODは、直近の充放電停止からの経過時間が短いときは充放電停止時の電圧からの電圧変化量の影響を強く受け、経過時間が長くなると劣化度SOHの影響を強く受ける。
そこで、充放電停止後の緩和時状態検知で緩和関数として用いていた関数Fを、以下では緩和時状態検知と充放電時状態検知の両方で用いる関数として放電能力補正関数Fとする。また、充放電停止時の電圧からの電圧変化量を、式(4)のOCV変化量ΔV(t)と区別するために、ΔVa(t)とする。このとき、放電能力補正関数Fは、電圧変化量ΔVa(t)と劣化度SOHの関数としてF(SOH,ΔVa)と表わされる。ここで、経過時間tに対する依存性は、電圧変化量ΔVa(t)の時間依存性に含まれている。
直近の充放電停止時の電圧、すなわち状態検知時点(現在)から見て最後の充放電停止がなされたときの電圧を充放電停止時電圧とし、これをV_endと表す。また、最後の充放電停止から状態検知時点(現在)までの経過時間をtとし、現在の電圧をV_nowとするとき、電圧変化量ΔVa(t)は
ΔVa(t)=V_end−V_now (10)
で算出される。ここで、充放電停止時電圧V_endは、充電停止のときはV_cha_endとし、放電のときはV_dis_endとする。
充放電停止中におけるOCV変化量ΔV(t)と上記の電圧変化量ΔVa(t)との関係を以下に説明する。式(4)のVmes(t)は、ここではV_nowとなることから、式(4)に示すOCV変化量ΔV(t)の算出式は、次式のように書き換えることができる。
ΔV(t)=V_now−OCV20hr (4−1)
=F(SOH,ΔVa)
式(10)と式(4−1)より、電圧変化量ΔVa(t)とOCV変化量ΔV(t)との間には
ΔVa(t)+ΔV(t)=V_end−OCV20hr (11)
の関係がある。
充放電停止中の放電能力(COD_nowとする)は、安定したときのOCV、すなわちOCV20hrに等しいことから、式(4−1)より、
COD_now=OCV20hr=V_now−ΔV(t)
=V_now−F(SOH,ΔVa) (12)
で与えられる。すなわち、放電能力COD_nowは、現在の電圧V_nowから放電能力補正量、すなわち放電能力補正関数F(SOH,ΔVa)の値を減じた値となる。
上記の充放電停止中と同様に、充放電中の放電能力COD_nowも式(12)を用いて算出することができる。放電能力補正関数F(SOH,ΔVa)の値である放電能力補正量をCOD_SOHと表すとき、本発明の蓄電デバイスの状態検知方法では、充放電時状態検知及び緩和時状態検知とも、蓄電デバイスの放電能力COD_nowを次式で算出することができる。
ΔVa(t)=V_end−V_now
COD_SOH=F(SOH,ΔVa)
COD_now=V_now−COD_SOH
上式で算出された放電能力COD_nowが閾値COD_Thより大きいときを放電能力が維持されていると判定し、閾値COD_Th以下のときを放電能力不足と判定する。
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る蓄電デバイスの状態検知方法及びその装置を、図1、2を用いて説明する。図1は、本実施形態の蓄電デバイスの状態検知方法の処理の流れを説明するためのフローチャートであり、図2は、本実施形態の蓄電デバイスの状態検知装置の構成を示すブロック図である。
図2に示す本実施形態の状態検知装置100は、対象システムの車両1に搭載された蓄電デバイス(蓄電池)10の状態検知を行うものである。車両1は、エンジン作動中に蓄電池10を充電するための充電手段(オルタネータ)11と、充電手段11による充電等を制御する制御手段12を備えている。また、車両1には各種電装品の負荷2が搭載されており、蓄電池10に接続されて受電が可能となっている。蓄電池10には電圧測定手段20、電流測定手段21及び温度測定手段22が設けられており、状態検知装置100はそれぞれの測定値を入力して状態検知を行う。
状態検知装置100は、状態検知部110と、記憶部120と、状態出力手段130とを備えている。状態検知部110は、電圧測定手段20、電流測定手段21及び温度測定手段22からそれぞれ蓄電池10の電圧測定値、電流測定値及び温度測定値を入力し、本実施形態の状態検知方法による処理を行って蓄電池10の状態検知を行う。記憶部120は、状態検知の処理に必要な各種参照データや測定データ等を保存する。さらに、状態出力手段130は、状態検知結果等を運転者等に通知する手段である。
本実施形態の蓄電デバイスの状態検知方法は、蓄電池10が充放電中か否かにかかわらず、状態検知装置100の起動後、状態検知部110において所定の時間間隔で周期的に実行される。図1において、ステップS1でn回目の状態検知が開始されると、ステップS2で蓄電池10の電圧測定値を電圧測定手段20を用いて取得し、これを現在の電圧V_nowとする。
ステップS3では、蓄電池10が充放電中(判定結果がYES)か、あるいは充放電停止中(判定結果がNO)かを判定し、判定結果がYESのときはステップS8に進み、判定結果がNOのときはステップS4に進む。この判定は、蓄電池10の電流測定値を電流測定手段21を用いて取得し、その値が0のときを充放電停止中と判定し、0以外のときを充放電中と判定する。あるいは、電流測定値の絶対値が所定の電流閾値以下のときを充放電停止中と判定し、それ以外のときを充放電中と判定するようにしてもよい。
ステップS3で充放電停止中(判定結果がNO)と判定されると、次にステップS4で蓄電池10が充放電停止直後か否かの判定を行い、判定結果がYESのときはステップS5に進み、NOのときはステップS7に進む。この判定は、前回(n−1回目)の状態検知で充放電中と判定されているときに充放電停止直後と判定することができる。ステップS4で充放電停止直後(判定結果がYES)であると判定されると、ステップS5において現在の電圧V_nowを充放電停止時の電圧V_end(充電停止時はV_cha_end、放電停止時はV_dis_end)に設定し、これを記憶部120に記憶した後ステップS7に進む。
ステップS7では、記憶部120に保存されている充放電停止時の電圧V_endを読み出す。この充放電停止時の電圧V_endは、現在に最も近い充放電停止時にステップS5で記憶部120に保存されたものである。この充放電停止時の電圧V_endと現在の電圧V_nowから次式を用いて電圧変化量ΔVa_nを算出する。
ΔVa_n=V_end−V_now
ステップS8では、記憶部120に保存されている劣化度SOH_n1を読み込む。ここで、n1はSOHが最後に更新されたときのサイクル数を示し(n1≦n)、劣化度SOH_n1は最後に更新された前回のSOHである。SOH_nの初期値SOH_0は、新品時の蓄電池10の特性値を参照データとして予め記憶部120に保存させておき、この参照データからSOHを読み込んで用いる。あるいは、一般的な蓄電デバイスの特性値を参照データとして予め記憶部120に保存させておき、この参照データのSOHをSOH_0とする。このSOH_0は、蓄電池10を搭載した後の初回の状態検知時に算出されたSOH_1で書き換えられる。ステップS9では、ステップS8で読み込んだ劣化度SOH_n1に対応する放電能力補正関数F(SOH_n1、x)を記憶部120から読み込む。
ステップS10では、放電能力補正関数F(SOH_n1、x)の変数xにステップS7で算出したΔVa_nを代入して放電能力補正量COD_SOH_nを算出する。
COD_soh_n=F(SOH_n1, ΔVa_n)
ステップS11では、現在の電圧V_nowとステップS10で算出した放電能力補正量COD_SOH_nから、次式を用いて現在の放電能力COD_nowを算出する。
COD_now=V_now−COD_SOH_n
ステップS12では、ステップS11で算出した現在の放電能力COD_nowを放電能力の閾値COD_Thと比較し、現在の放電能力COD_nowが閾値COD_Thより大きいときには蓄電池10の放電能力が維持されていると判定する(ステップS13)一方、現在の放電能力COD_nowが閾値COD_Th以下ときには放電能力が不足していると判定する(ステップS14)。この判定結果は、適宜状態出力手段130に出力して運転者等に通知することができる。
上記のように、本実施形態の蓄電デバイスの状態検知方法及び状態検知装置によれば、充放電中か充放電を停止しているかによらず、放電能力が適切に維持されているかを判定することが可能となる。本実施形態では、放電能力補正量の算出に必要な劣化度SOHとして、記憶部に記憶されている現在に最も近い前回のSOH_n1を用いているが、短期的にはSOHの変化が十分小さいことから、SOH_n1を用いても現在の放電能力COD_nowを高精度に推定することが可能となっている。
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る蓄電デバイスの状態検知方法を、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態の蓄電デバイスの状態検知方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。本実施形態では、充放電停止時の状態検知において、充放電停止後の短期間の過渡変化を反映させた放電能力の判定が可能となっている。
以下ではまず、蓄電デバイスのCODが充放電停止後の過渡変化から受ける影響を説明する。放電時のSOHと放電能力CODとの関係を図4に示す。図4では、放電停止後20時間経過して蓄電デバイスが安定したときの電圧測定値(D1)を放電能力CODとして縦軸に示し、そのときの条件で算出したSOHを横軸に示している。また、電圧測定値を近似する破線L1を併せて示したが、破線L1が示すように、SOHとCODとの間にはほぼ1対1の関係があることがわかる。これより、安定時のSOHを精度良く算出することで、CODを高精度に求めることができることがわかる。
一方、充電停止後の蓄電デバイスが安定していないときの過渡変化の影響を以下に検討する。充電停止後のOCVの過渡変化を図5に示す。同図(a)は横軸の時間軸を対数目盛で示したときのOCVの変化を示しており、同図(b)は横軸の時間軸を線形目盛としたときの同図(a)のOCVの変化を模式的に示したものである。同図に示すように、充電を停止した後は充電による過渡変化が徐々に緩和していき、OCVが安定OCVに漸次収束していく。
しかし、充電停止後の経過時間が短いほど充電による過渡変化の影響が大きいことから、その時点で放電を行うと、先の充電の影響を強く受けると考えられる。そこで、充電停止後の経過時間の異なる複数時点で放電を行ったときの電圧降下量の経時変化を図6に示す。ここでは、充電停止からの経過時間が30秒(符号t1),100秒(符号t2),300秒(符号t3),3600秒(符号t4),36000秒(符号t5)、及び72000秒(符号t6)の時点で放電を行ったときの電圧降下量の経時変化を示している。ここでは、放電として、100[A]の放電を30秒間継続させている。
図6より、充電停止後の経過時間が短いほど電圧降下量が大きくなることがわかる。特に、充電停止後30秒経過した時点で放電を行ったときの電圧降下量(符号t1)は、充電停止から放電開始までの経過時間をより長くした場合に比べて大きくなっている。充電停止からの経過時間をある程度以上長くしていくと、電圧降下量はほとんど差が見られなくなる。このような電圧降下量ΔVaの差がCODに影響することから、充電停止からの経過時間が短い時点でCODを判定するときは、電圧降下量ΔVaの差に対応するCODの補正を行うのが好ましい。
本実施形態では、上記の電圧降下量ΔVaの差が、速い過渡変化による劣化度SOH_fastの変化によるものと考え、式(7)に基づいてSOH_fastを算出し、さらに予め作成して記憶部120に記憶させた式(8)に示す関数G(SOH_fast,SOH_slow)を用いてSOHを算出する。ここで、SOH_slowは、直近の充放電停止時に算出された遅い過渡変化による劣化度を示す。速い過渡変化による劣化度SOH_fastを精度よく算出するために、放電能力補正関数F(SOH,ΔVa)の反応速度毎緩和関数fi(t)のうち反応速度の速いものについて、電圧測定値を用いて最適化を行う。この最適化は、充放電停止から所定の時間(第1緩和時間とする)経過した後可能となる。
これに対し、放電停止からの経過時間が長い時点でCODを判定するときは、電圧降下量ΔVaによる影響は小さく、図4を用いて説明したSOHの精度が大きな影響を与える。なお、上記の図4〜6では充電停止後の過渡変化の影響について説明したが、放電停止後の過渡変化の影響についても同様である。
本実施形態の蓄電デバイスの状態検知方法では、充放電停止からの経過時間が短いときは、速い過渡変化に伴う電圧変化量ΔVaの差に対応するSOH_fastを精度良く算出し、これを用いて放電能力CODを推定している。ここで、速い過渡変化を区分するための充放電停止からの経過時間について、図7を用いて以下に説明する。上記の第1緩和時間は、この速い過渡変化を区分する経過時間とすることができる。図7(a)は、鉛液式蓄電池(電池容量48[Ah])における充電停止後のOCV(符号71)及びOCV変化量ΔV(符号72)の時間変化を示し、図7(b)は、鉛小型シール式蓄電池(電池容量5.5[Ah])における充電停止後のOCV(符号73)及びOCV変化量(符号74)の時間変化を示す。
図7(a)に示す液式の蓄電池では、その構造上電解液の安定にかかる時間が長く、OCV変化量ΔVの絶対値が0.2Vより小さくならないと安定したとはいえない。そこで、図7(a)においてOCV変化量ΔVの絶対値が略0.2Vに低下するときの充放電停止からの経過時間t_fastを、速い過渡変化に対応する経過時間とする。一方、図7(b)に示すシール式の蓄電池では、その構造上電解液の安定にかかる時間が短く、OCV変化量ΔVの絶対値が0.3Vに低下するときの充放電停止からの経過時間t_fastを、速い過渡変化に対応する経過時間とする。速い過渡変化に対応する経過時間t_fastを、以下では第1緩和時間として用いる。
本実施形態の蓄電デバイスの状態検知方法を、図3に示すフローチャートを用いて以下に説明する。n回目の状態検知が開始してからステップS3の充放電停止中か否かの判定までは、図1のフローチャートに示したステップS1〜S3と同じ処理を行う。また、ステップS3で充放電中と判定されたときは、図1のステップS7〜S10(以上を処理ブロックAとする)、ステップS11、及びステップS12〜S14(以上を処理ブロックBとする)と同じ処理を行う。
一方、ステップS3で充放電中でない(充放電停止中)と判定されたときは、図1のステップS4、S5と同じ処理を行った後、ステップS20で充放電停止からの経過時間が第1緩和時間より長いか否かを判定する。そして、経過時間が第1緩和時間以下のときは、第1実施形態と同様に、処理ブロックA、ステップS11、及び処理ブロックBの処理を行う。これに対し、ステップS20で充放電停止からの経過時間が第1緩和時間より長いと判定されると、本実施形態では以下のステップS21〜S27の処理を行う。
ステップS21では、処理ブロックAのステップS7と同様にして電圧変化量ΔVa_nを算出する。次のステップS22では、式(7)を用いて速い過渡変化による劣化度SOH_fast_nを算出する。ステップS23では、記憶部120に保存されている遅い過渡変化による劣化度SOH_slow_nを読み込み、ステップS24でSOH算出式G(SOH_fast、SOH_slow)を記憶部120から読み込む。ステップS25では、上記で算出したSOH_fast_nと読み込んだSOH_slow_nを、SOH算出式G(SOH_fast、SOH_slow)のSOH_fast及びSOH_slowにそれぞれ代入することにより、現在のSOH_nを算出する。
ステップS26では、ステップS9と同様に、ステップS25で算出した劣化度SOH_nに対応する放電能力補正関数F(SOH_n、x)を記憶部120から読み込む。そして、ステップS27において、放電能力補正関数F(SOH_n、x)の変数xにステップS21で算出したΔVa_nを代入して放電能力補正量COD_SOH_nを算出する。
COD_soh_n=F(SOH_n1, ΔVa_n)
その後、ステップS11において、現在の電圧V_nowとステップS27で算出した放電能力補正量COD_SOH_nから現在の放電能力COD_nowを算出する。さらに、現在の放電能力COD_nowを用いて処理ブロックBの処理を行う。
本実施形態の蓄電デバイスの状態検知方法及び該状態検知方法を用いた本実施形態の蓄電デバイスの状態検知装置によれば、充放電中か充放電を停止しているかによらず適切な放電能力が維持されているかを判定することが可能となるのに加えて、充放電停止時間が短いときには速い過渡特性に基づいて劣化度SOHを算出することにより、第1実施形態のSOH_n1を用いる場合よりもさらに高精度に現在の放電能力COD_nowを推定することが可能となる。
(第3実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る蓄電デバイスの状態検知方法を、図8を用いて説明する。図8は、本実施形態の蓄電デバイスの状態検知方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。本実施形態では、充放電停止時の状態検知として、充放電停止後の過渡変化を反映した放電能力を算出できるようにしている。すなわち、蓄電デバイスの充放電停止中は、速い過渡変化による劣化度SOH_fastだけでなく、遅い過渡変化による劣化度SOH_slowも算出して劣化度SOHを高精度に求め、これを用いて蓄電デバイスの放電能力を高精度に推定して判定する。以下では、遅い過渡変化に対応する経過時間を第2緩和時間とする。
図8のフローチャートにおいて、n回目の状態検知が開始してからステップS20の経過時間が第1緩和時間より大きいかの判定までは、図3のフローチャートに示した第2の実施形態の状態検知方法と同じ処理を行う。そして、ステップS20で経過時間が第1緩和時間以下と判定されたときは、図3の処理ブロックA、ステップS11、及び処理ブロックBの処理を行う。一方、ステップS20で経過時間が第1緩和時間より長いと判定されたときは、第2実施形態と同様に、ステップ21において電圧変化量ΔVa_nを算出し、その後ステップS30の処理に進む。
ステップS30では、充放電停止からの経過時間が第2緩和時間より長いか否かを判定する。その結果、経過時間が第2緩和時間以下のときは、第2実施形態と同様に、ステップS22〜S27(処理ブロックCとする)の処理を行う。これに対し、ステップS30で充放電停止からの経過時間が第2緩和時間より長いと判定されると、本実施形態では以下のステップS31〜S34の処理を行う。
ステップS31では、式(4)に基づいてOCV変化量ΔV_nを算出し、これを用いてステップS32において式(5)の関係より放電能力補正関数F(SOH, ΔVa)を最適化する。ステップS33では、式(7)及び式(8)を用いて現在の劣化度SOH_nを算出する。さらに、ステップS34では、最適化された放電能力補正関数F(SOH, ΔVa)にステップS21で算出したΔVa_n及びステップS33で算出したSOH_nを代入して放電能力補正量COD_SOH_nを算出する。
その後、ステップS11において、現在の電圧V_nowとステップS27で算出した放電能力補正量COD_SOH_nから現在の放電能力COD_nowを算出する。さらに、現在の放電能力COD_nowを用いて処理ブロックBの処理を行う。
本実施形態の蓄電デバイスの状態検知方法及び該状態検知方法を用いた本実施形態の蓄電デバイスの状態検知装置によれば、充放電中か充放電を停止しているかによらず放電能力が適切に維持されているかを判定することが可能となるのに加えて、充放電停止時には停止後の経過時間によらず劣化度SOHを高精度に算出することにより、さらに高精度に現在の放電能力COD_nowを推定することが可能となる。
(第4実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る蓄電デバイスの状態検知方法を、図9を用いて説明する。図9は、本実施形態の蓄電デバイスの状態検知方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
充放電停止後に蓄電デバイスの状態検知を行う場合、それ以前の充放電履歴等によって過渡変化が大きく異なってくる。例えば、自動車に搭載された蓄電池では、車両運行中にさまざまな充放電が繰り返されるため、蓄電池中の電解液に生じる泳動、沈殿、対流、拡散なども車両運行条件によってさまざまに異なってくる。そのため、充放電停止後の蓄電池の過渡変化は、それまでの車両運行条件によって異なり、同等あるいは傾向が同じとみなせるような再現性のある停止状態を作り出すことはできない。
本実施形態はこれらの問題を解決するためになされたものであり、蓄電デバイスの停止前の充放電の影響を低減させて状態検知を行う蓄電デバイスの状態検知方法及びその装置を提供する。本実施形態では、充放電停止後に状態検知を行うとき、充放電停止直後に蓄電池10に対し所定容量の充電(以下では状態検知前充電と称する)行い、状態検知前充電が終了した後に蓄電デバイスの状態検知を行う。状態検知前充電として、例えば定格容量の5%の充電を行わせるのがよい。
図9に示すフローチャートは、充放電停止直後を除いて、図8に示した第3の実施形態の状態検知方法と同じ処理の流れとなっており、本実施形態でも停止後の経過時間によらず劣化度SOHを高精度に算出して現在の放電能力COD_nowを高精度に推定することが可能となっている。これに加えて、本実施形態ではステップS4で充放電停止直後と判定されると、ステップS40で状態検知前充電を行う。このような状態検知前充電を行うことにより、蓄電デバイスが再現性のある過渡変化の状態に移行する。これにより、同等あるいは傾向が同じとみなせるような再現性のある過渡状態で状態検知を行うことが可能となり、蓄電デバイスの状態検知をさらに高精度に行うことが可能となる。
上記説明の本発明の蓄電デバイスの状態検知方法及びその装置は、従来のエンジン駆動の車両に搭載された蓄電デバイスに限定されず、電気自動車、携帯電話、停電時に稼動するバックアップ用バッテリ、さらには、電力系統との連携において太陽光や風力による自然エネルギーの発電の電力の平準化に用いられる蓄電装置、およびそれを組み込んだシステムに適用可能である。本発明の蓄電デバイスの状態検知方法及びその装置は、蓄電デバイスが搭載され、監視または状態判断が必要な装置であれば、上記用途に限定されない。蓄電デバイスとしては、蓄電池やキャパシタなどがあり、電子またはイオンの移動を経由してデバイス内部のエネルギーを増加または低下させ、その内部エネルギーを外部から電力として取り出すことができる装置が対象となる。例えばLiイオン電池、Ni水素電池、ナトリウムー硫黄電池、鉛電池、キャパシタなどがあり、これらを複合した蓄電システムにも適用できる。上記蓄電デバイスの例は一部であり、上記蓄電池またはキャパシタに限定されない。
本発明の蓄電デバイスの状態検知方法及びその装置によれば、必ずしもシステムが停止中でなくとも蓄電デバイスの放電能力判定が可能なため、放電能力の誤判定に起因する蓄電デバイス搭載システムの誤動作がなくなる。また、蓄電デバイスの放電能力判定方法が、蓄電デバイスの外部の要因を強く受ける条件とそれ以外の条件に分けて算出するアルゴリズムを構築しているため、状況に応じた使い分けが可能になる。その結果、判定結果に基づく制御方法の選択の幅が広がり、より柔軟なシステム運用が可能となる。
以下では、充放電停止後の状態検知方法について、参照例を用いてさらに詳細に説明する。
第1参照例の蓄電デバイスの状態検知方法及びその装置では、充放電停止後の蓄電デバイスの過渡変化を、蓄電デバイスから測定可能な電圧の変化で見ている。すなわち、蓄電デバイスが充放電を停止して所定の安定条件を満たす状態に達したときの電圧を停止時安定電圧とし、充放電停止後の電圧測定値の停止時安定電圧からの変化量を用いて蓄電デバイスの過渡的な状態における状態検知を行う。以下では、蓄電デバイスが充放電を停止してから時間t経過したときの電圧測定値の停止時安定電圧からの変化量を、停止時電圧変化量とする。
本参照例の蓄電デバイスの状態検知方法及びその装置では、上記の停止時電圧変化量を算出する関数として、蓄電デバイスの所定の状態量に依存する緩和関数F(t)を事前に作成して用いている。そして、電圧測定値から得られる停止時電圧変化量を用いて緩和関数F(t)を最適化し、最適化された緩和関数F(t)から所定の状態量を推定して状態検知を行っている。本参照例の状態検知方法では、充放電停止直前の電圧状態を検知するとともに、上記の緩和関数F(t)を用いて所定の状態量を推定し、この推定した状態量をあらかじめ設定されたそれぞれの判定基準と比較することにより、蓄電デバイスの放電能力(COD)が適切に維持されているかを判定している。所定の状態量として、例えば蓄電デバイスの劣化度の指標であるSOH(State of health)や残容量を示すSOCなどを用いることができる。
充放電停止後の蓄電デバイスの過渡変化には、イオンの生成・消滅反応のように反応速度の速いものから、電解液の移動等の反応速度の遅いものまであり、これらが充放電停止後の上記の状態量の変化に影響している。そこで、本参照例の蓄電デバイスの状態検知方法では、緩和関数F(t)を用いて反応速度毎の状態量の変化を推定し、これらを統合して状態量の判定を行っている。例えば、充放電終了後の経過時間が短い時点における状態量を、遅い反応速度の影響も考慮して判定している。
上記の停止時安定電圧として、充放電を停止してから十分な時間が経過したときの蓄電デバイスの開放端電圧OCV(以下では安定時OCVとする)が知られている。OCVは、蓄電デバイスの端子が開放されて放電が停止されているときの端子間電圧である。本参照例の蓄電デバイスの状態検知方法で用いる停止時安定電圧は、OCVに限らず、蓄電デバイスへの過渡的な影響が限定されている場合には、そのときの安定電圧を用いることができる。一例として、蓄電デバイスから負荷への電力供給を停止している間に、負荷の制御装置等に微小な電流(暗電流)が供給されている場合があるが、このような暗電流等が供給されている場合でも、負荷を停止してから十分な時間が経過したときの電圧を停止時安定電圧とすることができる。
また、蓄電デバイスからの充放電量が常に一定値の場合にも、蓄電デバイスに与える過渡的な影響が十分に小さいと考えられることから、負荷を停止してから十分な時間が経過したときの電圧を停止時安定電圧とすることができる。このように、充放電による電流が微小あるいは一定値で蓄電デバイス内部の過渡変化に与える影響が所定の範囲内に限定される場合には、負荷への電力供給を停止したときに蓄電デバイスからの放電を停止したと判定するとともに、微小電流あるいは一定電流を継続した状態で充放電停止後長時間経過したときの電圧を停止時安定電圧とすることができる。この場合、微小電流あるいは一定電流による電圧変化を補正する電圧補正量を事前に決定し、これを用いて電圧測定値を補正するようにするのが好ましい。
以下では、停止時安定電圧の一例として、安定時OCVを用いて説明する。安定時OCVを用いた場合には、図35に示した関係を用いて状態量SOCを次式のように表すことができる。
SOC=FS(OCVs’(SOC’,SOH,T)) (1−1)
OCVs(SOC,SOH,T)=lim(Vmes(t)) (1−2)
ここで、OCVsは今回算出の安定時OCV、OCV’は前回算出の安定時OCVを表しており、SOC’は前回算出の残容量、Tは蓄電デバイスの温度を示している。また、上式のlimは、充放電停止からの経過時間tを無限大にすることを示しており、式(1−2)の右辺は、充放電停止後の経過時間が無限大のときの蓄電デバイスの電圧測定値Vmes(t)を示している。同様に、安定時OCV以外の停止時安定電圧を用いる場合にも、SOCとの間に上記と同様の関係式を事前に作成することができる。
上式では、SOCが前回算出のOCVs’に依存して決定されると同時に、OCVsもSOCに依存しており、さらに別の状態量であるSOHと蓄電デバイスの温度Tにも依存して変化することを示している。また、OCVsが別の状態量SOHに依存していることから、状態量SOCもSOHに依存していることになり、それぞれの更新を適切なタイミングで行う必要がある。
OCVsは、式(1−2)に示すように、充放電停止からの経過時間tが無限大のときのVmes(t)であるが、実用上はVmes(t)の変化が十分小さくなると考えられる経過時間tの時点のVmes(t)とすることができる。また、蓄電デバイスが液式鉛蓄電池の場合には、OCVsは、OCVの1時間当たりの変化量が5mV以下となるか、あるいは、充放電停止から20時間経過したときのVmes(t)とすることができる。以下では、蓄電デバイスが液式鉛蓄電池等の蓄電池の場合を一例に、本発明の蓄電デバイスの状態検知方法を説明する。
以下では、蓄電池の充放電停止から20時間経過したときのVmes(t)を次式のOCV20hrとし、これをOCVsに用いるものとする。
OCV20hr=Vmes(t=20hr)
OCVs(SOC,SOH,T)≒OCV20hr (1−3)
充放電停止後の電圧測定値Vmes(t)の安定時OCVからの変化量、すなわちOCV変化量(停止時電圧変化量)をΔV(t)とするとき、
ΔV(t)=Vmes(t)−OCV20hr (1−4)
と表すことができる。この電圧変化量ΔV(t)は、従来の電気化学の定義では「分極」という言葉を用いて全ての過渡変化を含めて扱われてきた。しかしながら、ΔV(t)は安定OCVに近づくまでの緩和過程によって生じる電圧変化であることから、以下に挙げる電圧変化の要因の影響を受けている。電圧変化の要因として、極板状態、極板近傍でのイオン濃度、それらの固相反応、固液反応、さらには電解液の沈殿や対流、拡散に伴うイオンの移動などがある。ΔV(t)は、これらの反応速度の異なる緩和過程が組み合わさって生じていると考えられる。そこで、蓄電デバイス11の充放電停止後の過渡変化は、速度の異なる反応過程を含んでいることから、充放電停止後の蓄電デバイス11の放電能力を高精度に判定するためには、反応速度毎の状態変化を評価することができる方法を用いて状態検知を行うのがよい。
反応速度の違いに応じてm個の多項式からなる関数F(t)を用いて、ΔV(t)を次式のように表すものとする。
ΔV(t)=F(t)
=f1(t)+f2(t)+・・・fm(t)=Σfi(t) (1−5)
上記の緩和関数F(t)では、各項fi(t)が蓄電池の反応速度の異なる緩和過程の電圧変化への寄与分を示しており、以下では反応速度毎緩和関数fi(t)とする。各fi(t)は、蓄電池の状態量である劣化度SOH、残容量SOC(イオン濃度)、および温度Tに依存する関数である。式(1−5)の反応速度毎緩和関数fi(t)は、充放電停止後の電圧測定値Vmes(t)から算出されるΔV(t)を用いて、これに最適化されるように決定することができる。
本参照例の状態検知方法を用いた状態検知システムでは、状態検知が開始される前のSOC,SOH、OCV20hrのそれぞれの初期値SOC0、SOHi 0、OCV20hr 0を、状態検知システム内に事前に保存されているそれぞれの参照値SOCref(0)、SOHi ref(0)、OCV20hr ref(0)を用いて、下記のように設定することができる。
SOC0=SOCref(0)
SOHi 0=SOHi ref(0)
OCV20hr 0=OCV20hr ref(0)
ここで、参照値SOCref(0)、SOHi ref(0)、OCV20hr ref(0)は、それぞれ予め別の電池で取得した値である。
状態検知システムで状態検知が開始された後の、n回目(nは1以上の整数)の充放電停止後において、OCV変化量ΔV(t)を表す式(1−5)の緩和関数F(t)および反応速度毎緩和関数fi(t)を、それぞれFn(t)、fi n(t)としたとき、i番目の反応速度に対応するSOCおよびSOH(それぞれSOCn、SOHi nとする)から、反応速度毎緩和関数fin(t)が次式で表わされるものとする。
i n(t)=fi ref(t)*{SOCn/SOCref
*{SOHi n/SOHi ref}*g(T) (1−6)
ここで、fi ref(t)、SOCref、SOHi refは、あらかじめ設定された初期状態(たとえば未使用状態)でのfi(t)、SOC、SOHiであり、g(T)は温度依存性を表す関数である。
式(1−6)において温度TとSOCが時間によらず一定とした場合には、SOHi n
SOHi n={fi n(t)/fi ref(t)}*SOHi ref (1−7)
から算出することができる。よって、電圧測定値Vmes(t)から算出されたΔV(t)に式(1−5)のfi n(t)を最適化し、これを用いて式(1−7)からSOHi nを算出することができる。
反応速度の異なる過渡応答毎のSOHi nを式(1−7)から算出すると、これらを統合して算出される全体のSOHnは、
SOHn=(SOH1 n、SOH2 n、・・・、SOHm n) (1−8)
のように表すことができる。例えば、m個のSOHiに対して、それぞれの係数をA〜Mとすると、
SOHn=A*SOH1 n+B*SOH2 n+・・・+M*SOHm n
=A*{f1 n(t)/f1 ref(t)}SOH1 ref
B*{f2 n(t)/f2 ref(t)}SOH2 ref+・・・+
M*{fm n(t)/fm ref(t)}SOHm ref (1−8−1)
と表すことができる。但し、式(1−8−1)は式(1−8)の関係式を表す一例であり、これに限定されるものではない。上記のようにして算出されたSOHnを用いて、蓄電池の劣化状態の検知を行うことができる。同様にして、別の状態量であるSOCnを、最適化された緩和関数F(t)を用いて算出することができる。
式(1−5)で示した緩和関数F(t)は、反応速度の異なる反応速度毎緩和関数fi(t)を有していることから、n回目の充放電停止後において、経過時間が短い場合には、遅い反応速度に対応するfi n(t)を最適化して求めることができない。その結果、緩和関数F(t)を用いてSOCn、SOHi nを更新することができない。そこで、遅い反応速度に対応するfi n(t)の最適化が可能となるまでは、SOCn、SOHi nに代えて前回の充放電停止時の値SOCn-1、SOHi n-1を用いることとし、式(1−6)を近似的に次式のように表すものとする。
i n(t)=fi ref(t)*{SOCn-1/SOCi ref
*{SOHi n-1/SOHi ref}*g(T) (1−6−1)
遅い反応速度に対応するfi n(t)に対して式(1−6−1)を用いることができる場合には、充放電停止後の短時間経過した時点から状態検知を行うことが可能となる。特に、充放電が所定の閾値以下でしか行われない場合には、前回の充放電終了後のSOCn-1、SOHi n-1を用いた緩和関数Fn(t)を状態検知に用いることが可能となる。
一方、蓄電池の残容量SOCについては、前回(n−1回目)の充放電停止を終了してから今回(n回目)の充放電停止までの期間の充放電については、その間の充放電電流を積算して残容量変化分ΔSOCを算出することができ、これを用いて前回の残容量SOCn-1を補正してSOCnを算出することができる。すなわち、
SOCn-1’=SOCn-1+ΔSOC
とし、これをSOCnの代わりに用いて式(1−6)を近似的に次式のようにすることができる。
i n(t)=fi ref(t)*{SOCn-1'/SOCref
*{SOHi n-1/SOHi ref}*g(T) (1−6−2)
式(1−7)で算出されたSOHi nを用いて次式でfi n(t)を更新し、これをSOCi nの算出に用いる。
i n(t)=fi ref(t)*{SOCi n-1/SOCref
*{SOHi n/SOHi ref}*g(T) (1−6−3)
式(1−4)と式(1−6−3)から、OCV20hrは次式によって算出できる。
OCV20hr=Vmes(t)―Σ[fi ref(t)*{SOCn-1/SOCref
*{SOHi n/SOHi ref}]*g(T) (1−9)
このOCV20hrを式(1−1)に代入することによりSOCnを算出することができ、SOCの状態検知に用いることができる。
上記のとおり、m種類の反応速度に対応するm個の参照値fi ref(t)(i=1〜m)と、m個の劣化度の参照値SOHi ref(i=1〜m)と、1個の残容量の参照値SOCrefをもとに、n回目の充放電停止後のm個の反応速度毎緩和関数fi n(t)(i=1〜m)を算出することができる。これより、異なる反応速度に応じた劣化度を反映したOCV、SOCおよびSOHを求めて精度の高い状態検知を行うことが可能となる。
第1参照例の蓄電デバイスの状態検知方法を、図10、11を用いて以下に説明する。図10は、本参照例の状態検知方法による処理の流れを示す流れ図である。また、図11は、本参照例の状態検知方法を用いた状態検知装置の概略構成を示すブロック図である。図11に示す状態検知装置210は、一例として、車両に搭載された蓄電池1の状態検知を行うように構成されている。蓄電池201には、充電手段202と負荷203が接続されており、充電手段202による充電と負荷203への放電が可能となっている。また、蓄電池201には温度測定手段201a、電圧測定手段201b及び電流測定手段201cが設けられており、入力手段204を介してそれぞれの測定値を状態検知装置210へ入力することが可能となっている。さらに、蓄電池201の充放電を制御する制御装置205が設けられている。制御装置205から状態検知装置210への入力手段204を介して、制御情報を入力することも可能となっている。
状態検知装置210は、演算装置211と、固定記憶手段(ROM)212と、一時記憶手段(RAM)213と、タイマ214と状態出力手段215とを備えている。演算装置211は、入力手段204を用いて蓄電池201の温度測定値、電圧測定値及び電流測定値を入力し、これを一時記憶手段213に保存する。また、固定記憶手段212には、反応速度毎緩和関数fi(t)や各種状態量の初期値や参照値が格納されている。演算装置211は、固定記憶手段212に保存された初期値や参照値、及び一時記憶手段213に保存された電圧測定値などを用いて、タイマ214でカウントされる所定の時間周期で蓄電池201の状態検知を行い、結果を状態出力手段215に出力するように構成されている。状態出力手段215の出力情報は制御装置205が用いるための制御パラメータの情報を供給することも可能となっている。
本参照例の状態検知方法を、図10に示す流れ図を用いて以下に説明する。まず、ステップS201において、入力手段204を用いて蓄電池の電圧測定値及び電流測定値を入力する。次のステップS202では、入力した電流測定値から充放電停止が開始されたかを判定する。充放電停止が開始されたと判定されると、ステップS203では直前の電圧測定値を放電終了時電圧VDEまたは充電終了時電圧VCEとして一時記憶手段213に保存する。そして、ステップS204において、放電終了時電圧VDEまたは充電終了時電圧VCEを固定記憶手段212に保存されている参照値のVrefと比較し、参照値Vrefより高い場合には次のステップS205に進む。一方、放電終了時電圧VDEまたは充電終了時電圧VCEが参照値Vrefより低い場合には、放電能力CODが不足していると判定し、ステップS213に進んでCOD不足を状態出力手段215に出力して終了する。
ここでVrefは、予め別の電池で測定した値(例えば、12.8V)である。
ステップS204で放電終了時電圧VDEまたは充電終了時電圧VCEがVref以上と判定された場合には、ステップS205で充放電停止中かあるいは充放電が再開されたかを判定する。充放電が再開されたと判定された場合には、状態検知を終了する。一方、充放電停止が継続されている場合には、ステップS206において電圧測定値をVmesに設定して一時記憶手段213に保存する。次のステップS207では、停止時安定電圧であるOCV20hrを選択し、これと電圧測定値をVmesを用いてステップS208でΔV(t)を算出する。
ステップS209では、ステップS208で算出されたΔV(t)を用いて緩和関数F(t)を最適化する。フィッティング方法に関しては、最小二乗法などの回帰計算を利用して算出する方法が種々考えられるが、本フィッティングではΔV(20hr)=0となってしまうため、単純に指数関数の和を用いて回帰計算を行うと誤差が大きくなってしまう。そこで、ΔV(20hr)=0付近での接線の傾きを差し引き、ΔV(20hr)>0が常に成り立つような関数(例えば、後述する式(1−10−4))を導入し、その差分に対して指数関数の和によるフィッティングを行うのが望ましい。
ステップS210において、最適化された緩和関数F(t)を用いて所定の状態量(以下ではSで表す)を推定する。ステップS211では、推定した状態量Sを固定記憶手段212に保存されている参照値Srefと比較し、状態量Sが所定の条件を満たしていると判定したときはステップS212に進んでCODが確保されていることを状態出力手段215に出力する。一方、ステップS211の判定において、状態量Sが所定の条件を満たしていないと判定したときはステップS213に進んでCODが不足していることを状態出力手段215に出力する。
本参照例の蓄電池の状態検知方法では、式(1−1)のSOC算出式及びSOC、SOH、OCV20hrの初期値に対応した参照値SOCref(0)、SOHref(0)、OCV20hr ref(0)を固定記憶手段212に予め保存しておき、これを用いてそれぞれの初期値をSOC0=SOCref(0)、SOHi 0=SOHi ref(0)、OCV20hr 0=OCV20hr ref(0)と設定する。
ステップS201の処理の詳細を図12に示す。図12では、予め定められた確認タイミングにタイマーカウント値の確認を行い、決められた測定タイミングに対して、タイマーカウント(t_count)がその測定タイミング値を超えたときに(ステップS201−2)、入力手段214から蓄電池201の電圧、電流を入力する(ステップS201−4)。
ステップS202において、蓄電池1の充放電停止を判定する方法の一例を図13に示す。充放電停止は、ステップS202−2で測定した電流測定値が固定記憶手段212に保存されている所定の閾値以下のときに判定される(ステップS202−4)が、例えば、制御装置205で自動車が駐車又は停車していると判断されたり、あるいは状態検知装置210が蓄電池201に接続されたことを示す情報が演算装置211に入力された場合(ステップS202−1)、これらの情報を用いて充放電停止を判定することもできる(ステップS202−3)。
ステップS207のOCV20hrの選択方法を図14の流れ図に示す。n回目のOCV20hr算出開始時のSOCn、SOHnには、前回の算出値SOCn-1、SOHn-1を用いる(ステップS207−1)。蓄電池201の現在の温度Tは入力手段204から入力される測定値を用いる(ステップS207−2)。これにより選択されるOCV20hrをOCV20hr tempとすると、複数のSOC、SOHの値および温度を組み合わせたh種類の条件で事前に作成された関係式
H(SOC_j,SOH_k,T_l) =OCV20hr ref(h) (h,j,k,lは自然数)
を用いて(ステップS207−4)、OCV20hr tempを次式で設定する(ステップS207−5)。
OCV20hr temp=OCV20hr ref(h)
以下では、簡単のため式(1−5)を下記の4項からなるものとする。
F(t)=ffast(t)+fslow(t)
={ffast1(t)+ffast2(t)}+
{fslow1(t)+fslow2(t)} (1−10)
1例として例えば、(式1−10)を
速い緩和速度の関数1:ffast1(t)= A*exp(-B*t^C) (1−10−1)
速い緩和速度の関数2:ffast2(t)= D*exp(-E*t^F) (1−10−2)
遅い緩和速度の関数1:fslow1(t)= G*exp(-H*t^I) (1−10−3)
遅い緩和速度の関数2:fslow2(t)= -a /72000*t+b (1−10−4))
と表すことによって、ΔV(t)を最適化する関数を作成することが容易となる。但し、演算装置211の演算速度や固定記憶手段212、一時記憶手段213のメモリ容量と、測定センサに要求される精度の条件等によって、この関数を複雑化したもの、あるいは簡略化したものを用いてもよい。
タイマカウントの経過時間に応じて、ΔV(t)からFn(t)を求める方法(ステップS209)を、図15および図16を用いて説明する。式(1−10−1)〜(1−10−4)で示した関数は、4つの基準時間(10秒、1000秒、36000秒、72000秒)で分けられる区間で、それぞれが支配的となるようにフィッティングして各係数が決定される。ここで、基準時間(10秒、1000秒、36000秒、72000秒)は一例であり、蓄電池の反応速度の緩和特性に応じて設定することができる。また、蓄電池内部の反応速度だけでなく、実車での走行条件や休止条件、センサの要求精度等によって、この基準となる時間を変更することができる。
充放電停止後の経過時間が20時間より短い場合に、ΔV(t)からFn(t)を求める方法を図15を用いて説明する。時間tが第1の基準時間(10秒)より短いと判定されたときは(ステップS209−1)、前回の充放電停止後の算出値Fn-1(t)をもとに、Fn(t)を次式で算出する(ステップS209−2)。
n(t)=ffast1 n-1(t)+ffast2 n-1(t)+
slow1 n-1(t)+fslow2 n-1(t)} (1−11)
以下同様に、時間tが第1の基準時間以上で第2の基準時間(1000秒)より短いと判定されたときは(ステップS209−3)、前回の充放電終了後のFn-1(t)と最新のデータをもとに、Fn(t)を次式で算出する(ステップS209−4)。
n(t)=ffast1 n(t)+ffast2 n-1(t)+
slow1 n-1(t)+fslow2 n-1(t)} (1−12)
また、時間tが第2の基準時間以上で第3の基準時間(36000秒)より短いと判定されたときは(ステップS209−5)、前回の充放電終了後のFn-1(t)と最新のデータをもとに、Fn(t)を次式で算出する(ステップS209−6)。
n(t)=ffast1 n(t)+ffast2 n(t)+
slow1 n-1(t)+fslow2 n-1(t)} (1−13)
また、時間tが第3の基準時間以上で第4の基準時間(72000秒)より短いと判定されたときは(ステップS209−7)、前回の充放電終了後のFn-1(t)と最新のデータをもとに、Fn(t)を次式で算出する(ステップS209−8)。
n(t)=ffast1 n(t)+ffast2 n(t)+
slow1 n(t)+fslow2 n-1(t)} (1−14)
上記の式(1−11)〜(1−14)から求まったFn(t)に対し、t=20時間を代入して
OCV20hr n=Fn(20hr)
が得られる(ステップS209−11)。
時間tが第4の基準時間以上(例えば20時間)と判定されたときは(ステップS209−7)、図16に示すように、最新のVmes(20hr)から求められたOCV20hr tempと、これまで記録したΔV(t)(ΔV(t)tempとする)をもとに
ΔVn(t)=ΔV(t)temp+OCV20hr temp−OCV20hr n (1−15)
として、ΔVn(t)を算出し(ステップS209−13)、Fn(t)を次式で算出する(ステップS209−15)。
n(t)=ffast1 n(t)+ffast2 n(t)+
slow1 n(t)+fslow2 n(t)} (1−16)
図17は、図15及び図16の処理で算出されて一時記憶手段213に保存されたfi(t)と、予め固定記憶手段212に保存された参照値fi ref(t)、SOHi refを用いて、SOHi n、SOCを算出するステップS210の処理の流れを示している。上記で得られたOCV20hr nと参照値fi ref(t)とSOHi refと温度Tnとを各記憶手段212,213から読み出し(ステップS210−1、2)、固定記憶手段212に保存されている関数I(OCV20hr_ n, SOHi n,Tn)=SOCref_nの関係式にそれぞれの値を代入することによってSOCref_nを算出し(ステップS210−6)、これからSOCn=SOCref_nを算出する(ステップS210−7)。
本参照例の蓄電池の状態検知方法における緩和関数F(t)の最適化の一例として、緩和関数F(t)を式(1−10)のように表したときの各項の変化の一例を図18に示す。図18は、横軸を充放電終了からの経過時間としたときのΔV(t)(=F(t))の変化を示すグラフであり、符号251〜254はそれぞれ式(1−10)の各項(ffast1(t)、ffast2(t)、fslow1(t)、fslow2(t))の変化を示している。また、符号250が真値を示しており、符号255が式(1−10)から算出されたF(t)の値を示している。本参照例のF(t)を用いることにより、ΔV(t)を高精度に予測できることが示されている。
以下では、遅い反応速度の成層化度合い(電解液の拡散等)を式(1−7)のSOH1(i=1)とし、n回目の充放電後のSOH1 nを、
SOH1 n=fslow n(t)/fslow ref*SOH1 ref
={fslow1 n(t)+fslow2 n(t)}/
{fslow1 ref(t)+fslow2 ref(t)}*SOH1 ref
(1−17)
で算出するものとする。上記では、式(1−7)のfi n(t)、fi ref(t)をさらに2つの項の和{fslow1 n(t)+fslow2 n(t)}、{fslow1 ref(t)+fslow2 ref(t)}から算出されるものとしている。
一例として、古河バッテリー製のサイズ型番:55D23の液式鉛蓄電池を用いて、環境温度25℃、DOD(Depth of discharge)10%の条件下で、未使用状態から充放電サイクルを20回、50回および100回実施した。20サイクルの充放電後、50サイクルの充放電後、および100サイクルの充放電後の測定データをもとに、20サイクル時を基準として、充放電停止から5時間経過(t=5時間)したときのOCV変化量fi n(5hr)からSOH1 nが次式のように算出される。
SOH1 50={fslow1 50(5hr)+fslow2 50(5hr)}/
{fslow1 20(5hr)+fslow2 20(5hr)}*SOH1 20 (1−18)
SOH1 100={fslow1 100(5hr)+fslow2 100(5hr)}/
{fslow1 20(5hr)+fslow2 20(5hr)}*SOH1 20 (1−19)
図19に、測定データから算出したfslow n(t)/fslow 20(t)を示す。符号261、262、263がそれぞれfslow 20(t)、fslow 50(t)、fslow 100(t)を示しており、符号264、265がそれぞれfslow 50(t)/fslow 20(t)、fslow 100(t)/fslow 20(t)を示している。同図より、例えばt=18000秒の時点で
{fslow1 50(5hr)+fslow2 50(5hr)}/
{fslow1 20(5hr)+fslow2 20(5hr)}
=Fslow 50(5hr)/Fslow 20(5hr)
=1.52
同様に、
slow 100(5hr)/fslow 20(5hr)
=1.63
が得られる。このように、充放電サイクル数に応じた電池状態の変化をOCVの変化量F(t)から捉えることが可能となる。
また、一例として充放電終了後20時間経過したときのOCVは、充放電サイクル数20、50、100に対し
OCV20hr 20=12.896[V]
OCV20hr 50=13.032[V]
OCV20hr 100=13.036[V]
上記のfslow n(t)/fslow 20(t)とOCV20hr 20との関係を図20に示す。図20に示す結果を、同種の蓄電池のOCV20hrを推定する安定OCV推定式に用いることができる。
上記説明の通り、本発明によれば速度の異なる反応過程による劣化を評価して状態検知を行う蓄電池の状態検知方法を提供することができる。電池の劣化度SOHを検知することによって、残容量SOCを精度良く検知することが可能になる。
第2参照例に係る蓄電デバイスの状態検知方法を、図21を用いて以下に説明する。図21は、本参照例の状態検知方法による処理の流れを示す流れ図である。本参照例では、第1の参照例のステップS204で放電終了時電圧VDEまたは充電終了時電圧VCEをもとにCODを判定した後に、ステップS221で充放電停止時の残容量SOCstop nを用いてCODを判定するようにしている。すなわち、ステップ221では、残容量SOCstop nを固定記憶手段212に保存されている参照値のSOCstop refと比較し、残容量SOCstop nが参照値SOCstop ref以上の場合には次のステップS205以降に進み、参照値SOCstop refより小さい場合にはCODが不足していると判定してステップS213に進む。これにより、蓄電池201の放電能力をさらに高精度に判定することができる。
充放電停止時の残容量SOCstop nの算出方法を、図22を用いて説明する。前記の充放電停止時に算出されたSOCstop n-1に対し、その後充放電を再開してから今回の充放電停止までの間に増減したSOC(これを残容量増減量ΔSOCとする)を補正することで、今回の充放電停止時の残容量SOCstop nを算出することができる。残容量増減量ΔSOCは、前回の充放電再開から今回の充放電停止までの間の蓄電池1の充放電電流を積算することで算出することができる。
本参照例では、上記のように算出したΔSOCに対し、さらに所定の補正を行うことで、残容量増減量をさらに高精度に算出できるようにしている。本参照例の状態検知方法においては、充放電停止時の残容量SOCstop nを次式で算出している。
SOCstop n=SOCstop n-1+ΔSOC*η1 n-1*η2 n-1 (1−20)
ここで、η1 n-1は図22(a)に示すように、遅い緩和速度の関数fslow(10hr)(式(1−10−3)のfslow1または式(1−10−4)のfslow2)に依存して決定される補正係数であり、η2 n-1は図22(b)に示すように、充電終了時電圧VCE nに依存して決定される補正係数である。これらの補正係数は、蓄電池201の充電効率を補正するものである。
本発明の第3の参照例に係る蓄電デバイスの状態検知方法を、図23を用いて以下に説明する。図23は、本参照例の状態検知方法による処理の流れを示す流れ図である。本参照例では、図23に示した第2の参照例の処理において、ステップS210、S211の処理方法を変更してステップS230としている。第2の参照例のステップS210、S211では(第1の参照例でも同じ)、所定の状態量Sを算出して固定記憶手段212に保存されている参照値Srefと比較することで、状態量Sが放電能力を維持していることを示す条件を満たしているかを判定していた。これに対し、本参照例のステップS230では、状態量Sを反応速度毎に評価して反応速度毎に放電能力維持の条件を満たしているかを判定するようにしている。また、遅い反応速度と速い反応速度の比率に基づく判定も行うようにしている。
状態量Sとして劣化度SOHを一例に、反応速度毎の判定及び遅い反応速度と速い反応速度の比率に基づく判定の方法を以下に説明する。反応速度毎の劣化度SOHfast n、SOHslow nは、式(1−7)を用いて以下のように算出することができる。
SOHfast n’={ffast n(t)/ffast ref_n(t)}*SOHfast ref
(1−21)
SOHslow n={fslow n(t)/fslow ref_n(t)}*SOHslow ref
(1−22)
さらに、反応速度毎の劣化度SOHfast n、SOHslow nを統合した全体のSOHnは、式(1−8)のように表され、例えば式(1−8−1)から算出することができる。
遅い反応速度と速い反応速度の比率に基づいて算出される劣化度SOHfast/slownについても、上記と同様に次式で算出することができる。
SOHfast/slow n={ffast/slow n(t)/ffast/slow ref_n(t)}
*SOHfast/slow _ref (1−23)
遅い反応速度と速い反応速度の比率に基づいて算出される劣化度SOHfast/slow nは、図24に一例を示すように、遅い反応速度と速い反応速度との比率を用いることによって、速い反応速度の過渡事象または遅い反応速度の過渡事象のいずれか変化の大きな事象に基づく劣化度の変化を評価することが可能となる。
上記の式(1−21)で算出したSOHfast n’に対しては、充放電停止時の状態量である残容量SOCstop n及び充電終了時電圧VCE nの影響を補正するために、補正後の劣化度SOHfast nを次式で算出している。この補正は、速い反応速度に対してSOHfast nが図25に示すような変化を示すことを補正するものである。
SOHfast n=SOHfast n’*α1 n*α2 n (1−24)
補正パラメータα1 n、α2 nは、残容量SOCstop n及び充電終了時電圧VCE nに対し、例えば図26(a)、(b)に示すような変化を示す。そこで、図26(a)、(b)に示す変化を所定の関数(高速過渡変化補正量算出式)で表すことで、残容量SOCstop n及び充電終了時電圧VCE nから補正パラメータα1 n、α2 nを算出するようにすることができる。
上記では、SOHfast nの補正について説明したが、SOHslow nについても、例えば補正パラメータβ1 n、β2 nを算出する式を事前に作成し、これを用いて同様に補正するようにすることが可能である。
上記のようにして算出したSOHfast n、SOHslow n、及びSOHfast/slow nを用い、図27に示すようにそれぞれの参照値と比較することで、蓄電池1のCODを判定することができる。図27では状態量をSfast等で表しているが、SOHを評価するときはこれをSOHfast n等に置き換えて用いる。ステップS231では、式(1−22)を用いてSOHslow nを算出し、ステップS232では参照値SOHslow ref_nと比較する。その結果、SOHslow nがSOHslow ref_n未満のときはCODが不足と判定してステップS213に進み、それ以外のときは次のステップS233に進む。
同様にして、ステップS233、S234ではSOHfast nを判定し、ステップS235、S236ではSOHfast/slow nを判定する。そして、いずれでも所定の条件を満たす場合に、ステップS212に進んでCODが維持されていると判定する。本参照例では、図23及び27に示すような処理を行うことにより、蓄電池1の状態検知を高精度に行うことが可能となる。
上記では、蓄電デバイスの状態量としてSOC,SOHを算出し、これを用いて状態検知を行う参照例について説明した。本発明の蓄電デバイスの状態検知方法では、これに限らず蓄電デバイスの放電能力に関わるその他の状態量を用いることができる。SOC,SOH以外に、蓄電デバイスの放電能力の判定に利用可能な状態量として、蓄電デバイス内の電解液の濃度変化量がある。電解液の濃度は充放電に伴って変化しており、充放電停止後も安定するまでに時間がかかる。
そこで、電解液濃度変化量を状態検知に用いるために、緩和関数F(t)の各項ffast(t)、fslow(t)及びffast(t)/fslow(t)に対する電解液濃度変化量を算出する濃度変化量算出式を事前に作成して固定記憶手段212に保存しておく。そして、最適化された緩和関数F(t)を用いて濃度変化量算出式から電解液濃度変化量を算出し、これが所定の条件を満たしているか否かを判定することで状態検知を行うようにすることができる。蓄電デバイスの状態検知方法に、さらに電解液濃度変化量を用いるようにすることで、高精度な状態検知が可能となる。
蓄電デバイスの放電能力の判定に利用可能な別の状態量として、電解液の濃度分布の偏り(成層化)の変化がある。蓄電デバイスの電解液の濃度分布の一例を図28に示す。図28は、正極291と負極292とを中心に電解液293の濃度分布が変化して成層化294が形成されている状態を模式的に示している。蓄電デバイスでは、充放電に伴って電解液の濃度分布が変化して同図に示すような成層化294が形成される。この成層化には、電解液の液面に対して横方向(矢印295)の濃度分布の偏りである横成層化と、電解液の液面に対して縦方向(矢印296)の濃度分布の偏りである縦成層化がある。この成層化の変化は、充放電によって電解液濃度が変化するのに伴って生じており、電解液濃度の変化と同様に充放電停止後安定するまでに時間がかかる。
そこで、成層化変化量を状態検知に用いるために、緩和関数F(t)の各項ffast(t)、fslow(t)及びffast(t)/fslow(t)に対する成層化変化量を算出する成層化変化量算出式を事前に作成して固定記憶手段212に保存しておく。そして、最適化された緩和関数F(t)を用いて成層化変化量算出式から成層化変化量を算出し、これが所定の条件を満たしているか否かを判定することで状態検知を行うようにすることができる。蓄電デバイスの状態検知方法に、さらに成層化変化量を用いるようにすることで、高精度な状態検知が可能となる。
蓄電デバイスの放電能力の判定に利用可能なさらに別の状態量として、電解液の液面に対して横方向の濃度分布の偏り(横成層化)の変化がある。この横成層化の変化は、充放電によって電解液濃度が変化するのに伴って生じており、電解液濃度の変化と同様に充放電停止後安定するまでに時間がかかる。
そこで、横成層化変化量を状態検知に用いるために、緩和関数F(t)の各項ffast(t)、fslow(t)及びffast(t)/fslow(t)に対する横成層化変化量を算出する横成層化変化量算出式を事前に作成して固定記憶手段212に保存しておく。そして、最適化された緩和関数F(t)を用いて横成層化変化量算出式から横成層化変化量を算出し、これが所定の条件を満たしているか否かを判定することで状態検知を行うようにすることができる。蓄電デバイスの状態検知方法に、さらに横成層化変化量を用いるようにすることで、高精度な状態検知が可能となる。
蓄電デバイスの放電能力の判定に利用可能なさらに別の状態量として、電解液の液面に対して横方向及び縦方向の濃度分布の偏り(横成層化、縦成層化)の変化がある。これを縦横成層化変化量とするとき、縦横成層化変化量は充放電によって電解液濃度が変化するのに伴って生じており、電解液濃度の変化と同様に充放電停止後安定するまでに時間がかかる。
そこで、縦横成層化変化量を状態検知に用いるために、緩和関数F(t)の各項ffast(t)、fslow(t)及びffast(t)/fslow(t)に対する縦横成層化変化量を算出する縦横成層化変化量算出式を事前に作成して固定記憶手段12に保存しておく。そして、最適化された緩和関数F(t)を用いて縦横成層化変化量算出式から縦横成層化変化量を算出し、これが所定の条件を満たしているか否かを判定することで状態検知を行うようにすることができる。蓄電デバイスの状態検知方法に、さらに縦横成層化変化量を用いるようにすることで、高精度な状態検知が可能となる。
充放電停止後の別の状態検知方法について、さらに詳細に説明する。
充放電停止後に蓄電デバイスの状態検知を行う場合、それ以前の充放電履歴等によって過渡変化が大きく異なってくるため、充放電履歴の影響を強く受けて放電能力等を高精度に判定することが困難になるといった問題があった。
例えば、自動車に搭載された蓄電池では、車両運行中にさまざまな充放電が繰り返されるため、蓄電池中の電解液に生じる泳動、沈殿、対流、拡散なども車両運行条件によってさまざまに異なっている。そのため、充放電停止後の蓄電池の過渡変化は、それまでの車両運行条件によって異なり、同等あるいは傾向が同じとみなせるような再現性のある停止状態を作り出すことはできない。特許文献1に記載の状態検知方法のように、充放電停止後の過渡変化を異なる時定数の成分に分けて状態検知を行う場合でも、充放電停止後の蓄電池の過渡変化が大きく異なると、各時定数成分を高精度に求めることが困難となり、蓄電池の状態検知を高精度に行うのが困難になるといった問題があった。
そこで、これらの問題を解決するために、蓄電デバイスの停止前の充放電の影響を低減させて状態検知を行う蓄電デバイスの状態検知方法及びその装置を提供する。
第4の参照例の蓄電デバイスの状態検知方法では、蓄電デバイスの放電能力を適切に維持できるようにするために、蓄電デバイスの状態検知を適宜行うための状態検知モードを設けている。状態検知モードは、蓄電デバイスを備えたシステムにおいて、例えば運転を停止して蓄電デバイスの充放電が停止された時点や、充放電が停止された後相当の時間が経過した時点等において、ユーザあるいは保守員等によって実行されるものである。蓄電デバイスに対し状態検知モードが要求されると、該蓄電デバイスの状態検知を高精度に行うものである。
以下では、蓄電デバイスとして車両に搭載されたバッテリを一例に、本参照例の蓄電デバイスの状態検知方法及び状態検知装置について説明する。但し、以下で説明する内容は、車載バッテリに限らず、太陽光発電や風力発電などに用いられる蓄電デバイスや、安定化電源、補助電源等のバックアップ電源に用いられる蓄電デバイスにも同様に適用できるものである。
本参照例の蓄電デバイスの状態検知方法及びその装置を、図29、図30を用いて以下に説明する。図29は、本参照例の蓄電デバイスの状態検知方法の概略を説明するための流れ図であり、図30は、本参照例の蓄電デバイスの状態検知装置のブロック図である。
本参照例の状態検知装置400は、車両310に搭載されて蓄電デバイス(蓄電池)311の状態検知を行うものであり、信号入力手段401、出力表示手段402、測定手段403、及び状態検知部410を備えている。蓄電デバイス311には車載電気機器等の負荷312が接続されており、さらにオルタネータ等の車載充電器314が接続されている。信号入力手段401は、運転者等のユーザが状態検知モードを要求するための信号(以下では状態検知モード開始信号と称する)を入力するのに用いるものであり、出力表示手段402は、状態検知を行った結果等をユーザに通知するのに用いる。信号入力手段401及び出力表示手段402は、ともに運転者が使用するものであることから、運転席またはその近傍に設けるのがよい。
状態検知部410は、測定手段403から蓄電デバイス311の電圧、電流等の測定値を入力し、これを用いて蓄電デバイス311の状態検知を高精度に行う処理を行っている。また、状態検知部410は状態検知モード用スイッチ411を具備しており、信号入力手段401から状態検知モード開始信号を入力する代わりに、状態検知モード用スイッチ411をオンにすることで、状態検知モード開始信号が状態検知部410に出力される。状態検知モード用スイッチ411は、定期点検時等のメンテナンス時に保守員等が蓄電デバイス311の状態検知を速やかに行えるように設けられたものである。
状態検知部410は、状態検知を行う前に蓄電デバイス311に対し所定容量の充電(以下では状態検知前充電と称する)を行わせるように構成されている。すなわち、状態検知部410が制御手段313に対し蓄電デバイス311の状態検知前充電を要求すると、制御手段313がエンジンを起動させて車載充電器314を動作させ、これにより蓄電デバイス311に所定容量の充電を行わせるように制御する。あるいは、上記の蓄電デバイス311の状態検知前充電を保守員等が行うことも可能となっている。この場合には、状態検知前に保守員等が蓄電デバイス311に外部充電器320を接続して充電させる。状態検知部410は、車載充電器314あるいは外部充電器320による状態検知前充電が行われた後に、蓄電デバイス311の状態検知を行うように構成されている。なお、状態検知部410と信号入力手段401、出力表示手段402、測定手段403、及び制御手段313との間の通信手段として、LIN(Local Interconnect Network)またはCAN(Controller Area Network)等の通信バスを用いることができる。
次に、図29に示す流れ図を用いて、本参照例の状態検知方法の概要を説明する。本参照例の状態検知装置400を用いて蓄電デバイス311の状態検知を行う場合には、まず、状態検知部410に状態検知モード開始信号を入力する(ステップS301)。これにより、状態検知部410では、所定の状態検知許可条件が成立しているかの判定を行う(ステップS302)。この状態検知許可条件として、少なくとも蓄電デバイス311が充放電を停止していることを含む。
ステップS302で状態検知許可条件が成立していると判定されると、ステップS303で状態検知モードがオンに設定され、次のステップS304で蓄電デバイス311に対し状態検知前充電が行われる。状態検知前充電が終了すると、状態検知部410で蓄電デバイス311の状態検知が行われる(ステップS305)。状態検知として、例えば蓄電デバイス311の残容量SOCを推定し、これをもとに蓄電デバイス311の放電能力を判定することができる。状態検知の処理により蓄電デバイス311の放電能力が判定されると、その結果が出力表示手段402に出力され、ユーザや保守員等に通知される(ステップS306)。一方、ステップS302で状態検知許可条件が不成立と判定されると、ステップS303〜S306の処理を行わないで終了する。
以下では、状態検知部410において行われる蓄電デバイス311の状態検知方法について説明する。バッテリ311の充放電停止後の過渡変化は、速度の異なる反応過程を含んでいることから、充放電停止後のバッテリ311の放電能力を高精度に判定するためには、反応速度毎の状態変化を評価することができる方法を用いて状態検知を行うのがよい。例えば、充放電停止後のバッテリの電圧変化ΔV(t)を、反応速度の違いに応じてm個の多項式からなる関数(以下では緩和関数と称する)F(t)を用いて次式のように表すことができる。
ΔV(t)=F(t)
=f1(t)+f2(t)+・・・fm(t)=Σfi(t) (2−1)
ここで、電圧変化量ΔV(t)は、状態検知前充電を終了してから時間tが経過したときの電圧測定値Vmes(t)と、充放電停止後十分な時間(例えば20時間)経過して略一定となったときの停止時安定電圧(以下ではOCV20hrとする)との差を表している。
ΔV(t)=Vmes(t)―OCV20hr (2−2)
本参照例では、上式を用いて状態検知を行うものとする。
上記の緩和関数F(t)では、各項fi(t)がバッテリ311の反応速度の異なる緩和過程の電圧変化への寄与分を示しており、以下では反応速度毎緩和関数fi(t)とする。各fi(t)は、バッテリ311の状態量である劣化度SOH、残容量SOC(イオン濃度)、および温度Tに依存する関数である。電圧測定値Vmes(t)からΔV(t)を算出し、式(2−1)を電圧測定値Vmes(t)から算出したΔV(t)で最適化することで、各反応速度毎緩和関数fi(t)を決定することができる。
本参照例の状態検知方法は、状態検知前充電の終了後所定の周期で蓄電デバイス311の電圧測定値を入力し、電圧測定値を入力する毎に緩和関数F(t)の最適化を行って更新している。n回目に測定した電圧測定値を用いて最適化されたときの反応速度毎緩和関数をfi n(t)とするとき、fi n(t)は次式のように表すことができる。
i n(t)=fi ref(t)*{SOCn/SOCref
*{SOHi n/SOHi ref}*G(T) (2−3)
ここで、fi ref(t)、SOCref,およびSOHi refは、それぞれ所定の基準状態における反応速度毎緩和関数、残容量SOC,および反応速度毎の劣化度SOHを表し、G(T)は蓄電デバイスの温度Tに対する依存性を表している。式(2−3)より、n回目の電圧測定値を用いて推定される残容量SOCn及び反応速度毎劣化度SOHi nを算出することができる。SOCnより蓄電デバイス311の放電能力を判定することができる。また、反応速度毎劣化度SOHi nを全反応速度について積算した劣化度SOHより、蓄電デバイス311の劣化度を判定することができる。
式(2−1)に示す緩和関数F(t)の最適化を高精度に行うためには、状態検知を行う時点の過渡変化が、常に同等あるいは傾向が同じとみなせるような再現性のある状態であることが好ましい。そこで、本参照例の蓄電デバイス311の状態検知方法では、状態検知を行う前にその充放電状態をできるだけ再現性のある状態に移行させ、その後に状態検知を行うようにしている。状態検知開始前の充放電状態をできるだけ再現性のある状態に移行させるために、本参照例では、図29のステップS304において所定容量の充電(状態検知前充電)を行っており、その後に電圧変化等の測定を行って状態検知を行うようにしている。
蓄電デバイス311を再現性のある状態に移行させるための適切な状態検知前充電の容量として、車両運行中の充放電に伴う電解液の電気泳動のうち、放電に伴う電気泳動の影響を打ち消すのに十分な容量とするのが好ましい。これにより、状態検知前充電が車両運行中の放電による影響を低減し、状態検知時は充電分極に伴う電圧変化を測定するようにすることができる。以下では、状態検知前充電として適切な容量を、自動車の蓄電池を対象として説明する。
自動車の実際の走行では、充放電容量が任意にかつ頻繁に変化するため、走行中の充放電容量を測定して積算し、これをもとに状態検知前充電の容量を決定する方法が考えられる。しかしながら、走行中の充放電容量を積算する方法では、必ずしも精度の高い充放電容量が得られず、状態検知モードに移行したときに適切な充電容量を決定するのが難しい。また、アイドリングストップが繰り返し行われるなど、大容量の放電が行われた後に状態検知モードに移行した場合には、状態検知前充電の必要容量が大きくなってしまうおそれがあり、その場合には充電に要する時間が長くなってしまう等の問題がある。
そこで、本参照例の状態検知方法では、走行中の充放電を積算したものを用いて状態検知前充電の容量を決めるのではなく、対象の蓄電デバイス毎に充電時の過渡変化を事前に調べ、それをもとに状態検知前充電の容量を予め決めておくようにしている。一例として、古河電池製蓄電池55B24(36[Ah])を搭載した車両の場合では、1〜2時間程度通常の走行を行ったとき、走行中の蓄電池の充放電容量(ΔSOC)の大きさ(絶対値)が0.5%以下となる。
そこで、状態検知前充電の容量として、このような走行時の充放電量より十分大きい容量とすることで、状態検知モードに移行する前の充放電の影響を十分に低減することができる。その結果、本参照例の状態検知方法では、状態検知を行うときの蓄電池状態が、状態検知前充電によって生じる過渡変化に支配されるため、再現性のある過渡状態になっているということができる。状態検知前充電を行った後の蓄電池の過渡変化が、直前の走行時の充放電容量の大きさによってどのように変化するかを、図31を用いて説明する。図31は、運転中から停止後の状態検知時の蓄電池の電流及び電圧の変化を示しており、運転中の充放電容量と状態検知前充電容量との大小関係によって過渡変化がどのように変化するかを模式的に示したグラフである。ここでは、状態検知前充電容量を定格容量の5%としている。
図31(a)は、運転中の充放電容量に比べて状態検知前充電の容量が大きい場合の電流、電圧の変化を示し、図31(b)は、運転中の充放電容量と状態検知前充電容量が同程度の場合の電流、電圧の変化を示し、図31(c)は、運転中の充放電容量が状態検知前充電容量より大きい場合の電流、電圧の変化を示している。図31(a)に示す状態検知前充電容量の方が大きい場合として、運転中の充放電容量を1%以下としている。この場合には、運転中の充放電の影響が状態検知前充電によって低減される結果、状態検知前充電後の電圧変化が単調に減少して安定電圧に収束する傾向を示す。
また、図31(b)に示す運転中の充放電容量と状態検知前充電容量が同程度の場合として、運転中の充放電容量を1%以上5%以下としている。この場合にも、運転中の充放電の影響を状態検知前充電によって低減することができ、状態検知前充電後の電圧変化は、図31(a)と同様に単調に減少して安定電圧に収束する傾向を示す。さらに、図31(c)に示す運転中の充放電容量が状態検知前充電容量より大きい場合には、状態検知前充電を終了した後も電圧が単調増加の傾向にあり、図31(a)、(b)と全く異なる傾向を示す。
車両走行時の充放電容量は、通常は1%程度以下であり、状態検知前充電容量を5%とした場合には、通常の車両走行時の充放電による充放電分極の影響を十分に低減することができる。その結果、状態検知前充電を行った後の状態検知では、5%容量の充電による図31(a)、(b)に示すような過渡変化をもとに放電能力を検知することになる。式(2−1)の緩和関数F(t)として、5%容量の充電による過渡変化を最適に近似できるような関数形を用いることで、緩和関数F(t)を用いた状態検知を高精度に行うことが可能となる。
これに対し、図31(c)に示すような運転中の充放電容量が状態検知前充電容量より大きくなる場合には、安定電圧より低い電圧が測定されるので、これを検知することで放電能力が低下していることをユーザ等に通知することができる。運転中の放電容量が大きくなる一例として、アイドリングストップを短期間に繰り返し行った後に運転を停止した場合がある。電圧測定値が安定電圧より低くなるのは、運転中の放電量が特に大きい場合のほか、蓄電池11の劣化が進んでいたり、長期間放置されていた場合等もある。このような場合でも、本参照例の状態検知方法により容量低下(容量不足)や劣化の増大を検出することができる。
なお、状態検知前充電の容量は、通常の車両走行としてどのような走行形態までを対象とするかによって異なる値を設定することができ、また車両に搭載される蓄電池のサイズ、特性等を考慮して決定するのがよい。例えば、アイドリングストップによる放電も対象として状態検知前充電の容量を設定する場合には、アイドリングストップ時に放電される容量以上の充電容量を設定するのが好ましい。運転中の放電容量より大きな充電を行うようにすることで、図31(a)、(b)に示すように、状態検知時の電圧が単調減少するような過渡状態で状態検知を行うことができる。
図29を用いて概略を説明した本参照例の状態検知方法について、以下では図32、33を用いてさらに詳細に説明する。図32は、状態検知モードが要求されてから状態検知前充電が終了するまでの処理を説明するための流れ図である。図32(a)は、運転者等が信号入力手段401から状態検知モード開始信号を入力したときの処理の流れを示しており、図32(b)は、保守員等が状態検知モード用スイッチ411をオンにしたときの処理の流れを示している。
信号入力手段401から状態検知モード開始信号を入力する場合、あるいは状態検知モード用スイッチ411をオンにする場合のいずれも、誤操作で信号入力が行われるおそれがある。そこで、図32(a)では誤操作を防止するように構成したときの処理の流れについて説明し、図32(b)では誤操作防止を考慮しないときの処理の流れについて説明する。但し、図32(b)でも図32(a)と同様に誤操作を防止するように構成することができ、また図32(a)で誤操作防止の処理を省略することも可能である。
図32(a)において、信号入力手段401から状態検知モード開始信号が入力されると(ステップS311)、この信号が状態検知部410に出力される。状態検知部410は、状態検知モード開始信号を入力すると、状態検知が要求されたことを確認するための確認メッセージを出力表示部402に表示する(ステップS312)。確認メッセージに基づき、例えば信号入力手段401から確認信号が入力されると(ステップS313)、次に所定の状態検知許可条件が成立しているか判定する(ステップS314)。
上記の状態検知許可条件として、少なくとも蓄電池311が充放電を行っていないことが要求される。蓄電池311が充放電を行っていないことを判定する方法として、例えば車両310が停止状態にある(キースイッチがオフの位置にある)ことを確認する。また、状態検知部410と周辺装置との通信が可能か、測定手段403からの測定値が正常範囲内の値を示すか、エンジンを起動させて車載充電器314を正常に動作させることができるか、等を確認させるようにし、いずれかが異常となっている場合も、状態検知許可条件を不成立にするようにしてもよい。
ステップS314の判定の結果、状態検知許可条件が成立している場合には、ステップS315で状態検知モードをオンに設定する。このとき、状態検知モードがオンになったことを出力表示手段402に表示させるようにしてもよい。ステップS316では、車載充電器314を用いて蓄電池311に対し状態検知前充電を開始させる。車載充電器314を用いた状態検知前充電は、状態検知部410が制御手段313に対して所定容量の充電を要求し、制御手段313がエンジンを起動して車載充電器314を動作させて行う。
一方、ステップS314の判定で状態検知許可条件が不成立の場合には、ステップS315、S316の処理を行わないで終了する。このとき、状態検知許可条件のどれが不成立となったかを出力表示手段402に表示させるようにしてもよい。
次に、状態検知モード用スイッチ411をオンにして状態検知を開始する処理の流れを、図32(b)を用いて説明する。保守員等が状態検知モード用スイッチ411をオンにすると(ステップS321)、状態検知モード開始信号が状態検知部410に出力される。状態検知部410は、状態検知モード開始信号を入力すると次に所定の状態検知許可条件が成立しているか判定する(ステップS322)。状態検知許可条件は、図32(a)の場合と同じとすることができる。
ステップS322の判定の結果、状態検知許可条件が成立している場合には、ステップS323で状態検知モードをオンに設定し、ステップS324では、外部充電器320を用いて蓄電池311に対し状態検知前充電を開始させる。外部充電器320による充電は、保守員等が行う。そこで、ステップS324では出力表示手段402に充電開始要求のメッセージを表示し、保守員等がこれを確認して充電を行うようにするのがよい。また、所定容量の充電が終了すると、保守員等が状態検知モード用スイッチ411を操作するか、あるいは信号入力手段401から状態検知前充電が終了したことを通知する信号を入力するようにしてもよい。
一方、ステップS322の判定で状態検知許可条件が不成立の場合には、ステップS323、S324の処理を行わないで終了する。このとき、状態検知許可条件のどれが不成立となったかを出力表示手段402に表示させるようにしてもよい。
次に、状態検知モードが成立しているときの処理の流れを、図33を用いて説明する。図33に示す処理は、所定の周期で実行される。まず、ステップS331において、状態検知モードがオンになっているかを判定する。その結果、状態検知モードがオンの場合にはステップS332に進み、状態検知モードがオフの場合には以下の処理を行わずに終了する。次のステップS332では、上記の状態検知許可条件が成立しているかを判定する。状態検知許可条件の確認は、状態検知モード期間中は常に行うものとする。その結果、状態検知許可条件が成立している場合には、次のステップS333に進む一方、態検知許可条件が不成立の場合には、ステップS339に進む。この場合、状態検知許可条件のどれが不成立となったかを出力表示手段402に表示させるようにしてもよい。
ステップS333では、状態検知前充電が終了したか否かを判定する。状態検知前充電が車載充電器314を用いて行われている場合には、制御手段313に対し充電が終了したかを確認して判定することができる。あるいは、充電開始からの経過時間で判定させるようにすることもできる。また、状態検知前充電が外部充電器320を用いて行われている場合には、状態検知モード用スイッチ411あるいは信号入力手段401から充電終了の信号が入力されることで判定する。ステップS333での判定の結果、状態検知前充電が終了している場合には、次のステップS334に進む。一方、状態検知前充電が終了していないと判定された場合には、以下の処理を行わずに処理を終了する。
ステップS334では、測定手段403を用いて現時点の電圧測定値Vmes(t)を入力し、ステップS335では、それまでに入力した電圧測定値Vmes(t)を用いて緩和関数F(t)を最適化する。次のステップS336では、最適化されたF(t)を用いて蓄電池311の放電能力を推定する。放電能力として、例えば式(2−1)、(2−2)から停止時安定電圧OCV20hrの推定値を更新し、これと図35に示すようなOCV20hrとSOCとの関係から求めたSOCを用いることができる。ステップS337では、このようにして推定されたSOCを、所定の記憶部に一時的に保存する。
ステップS338では、状態検知を開始してからの経過時間tが所定時間に達したかを判定し、経過時間tが所定時間に達している場合にはステップS339に進む。一方、経過時間tが所定時間に達していない場合には、以下の処理を行わずに終了する。ステップS339では、ステップS337で一時保存された放電能力を読み出し、これが所定の閾値以上のときを放電能力が正常と判定し、所定の閾値未満のときを放電能力が異常と判定する。ステップS340では、放電能力を判定した結果を出力表示手段402に出力する。さらに、ステップS341で状態検知モードをオフにして処理を終了する。
蓄電デバイスの状態検知方法の別の参照例を、図34に示す流れ図を用いて以下に説明する。本参照例の状態検知方法では、状態検知モードによる蓄電池311の状態検知を行う前に、パルス放電による状態検知(ステップS351)とインピーダンス測定による状態検知(ステップS352)を行っている。パルス放電による状態検知は、蓄電池311をパルス放電させたときの電流、電圧を測定し、それをもとに蓄電池311の放電能力や劣化状態を検知するものである。また、インピーダンス測定による状態検知では、電流、電圧の測定値から蓄電池311の内部インピーダンスを推定し、これをもとに蓄電池311の劣化状態を検知するものである。
本参照例の状態検知モードによる状態検知方法は、第4の参照例のようにこれを単独に行ってもよく、あるいは本参照例のように、パルス放電による状態検知及びインピーダンス測定による状態検知と組み合わせて行うこともできる。また、パルス放電による状態検知及びインピーダンス測定による状態検知の両方と組み合わせる必要は必ずしもなく、パルス放電による状態検知及びインピーダンス測定による状態検知のいずれか一方と状態検知モードによる状態検知とを組み合わせて行うことも可能である。
上記では、蓄電池311の充放電を停止した直後に状態検知を行う場合について説明したが、これに限らず、例えば長期間蓄電池311の充放電が停止されている場合にも状態検知を行わせることができる。例えば、1か月に1回程度の頻度で状態検知モードを実行することで、蓄電池311の放電能力を確認することができる。それと同時に、状態検知モードによる状態検知前充電によって、長時間駐車時も安全に効率よく蓄電池311の回復充電(5%充電)を実施することができる。
なお、本参照例では、状態検知前充電を行う方法として、状態検知部410からの要求により、制御手段313がエンジンを起動して車載充電器314を動作させることで蓄電池311に充電を行わせるようにしたが、これに代えて、運転者が走行を終了してエンジンを停止する直前に状態検知モード開始信号を入力するようにしてもよい。この場合には、例えばキースイッチをオフにしてもエンジンを停止させずに車載充電器314による状態検知前充電を直ちに行わせ、充電が終了するとエンジンを自動停止させるようにすることができる。
また、上記参照例では、蓄電デバイスの状態検知として放電能力が確保されているかを検知する場合について説明したが、これに限定されず、さらにSOH等の劣化を判定するようにすることも容易である。緩和関数F(t)は、SOHに対する依存性も有していることから、緩和関数F(t)からSOHを算出する式を導出することができる。このような式を用いることで、SOHを推定して蓄電デバイスの劣化状態を判定することが可能となる。
上記説明のように、本参照例の蓄電デバイスの状態検知方法および状態検知装置によれば、状態検知を行う前に所定容量の充電を行うことで、蓄電デバイスが再現性のある過渡変化の状態に移行している。これにより、同等あるいは傾向が同じとみなせるような再現性のある過渡状態で状態検知を行うことが可能となり、蓄電デバイスの状態検知を高精度に行うことが可能となる。その結果、蓄電デバイスの充電不足や故障等を早期に検知することができ、車両運行や補機のバックアップとしての信頼性を高めることができる。さらに、状態検知前充電により、大幅な容量不足を防止して蓄電デバイスの劣化を低減することができ、システムの安定運用の実現や蓄電デバイスの長寿命化を図ることも可能となる。
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る蓄電デバイスの状態検知方法の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における蓄電デバイスの状態検知方法の細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1:車両
2:負荷
10:蓄電池
11:充電手段
12:制御手段
20:電圧測定手段
21:電流測定手段
22:温度測定手段
100:状態検知装置
110:状態検知部
120:記憶部
130:状態出力手段

Claims (7)

  1. 充放電中及び充放電停止中の放電能力を所定の周期毎に判定する蓄電デバイスの状態検知方法であって、
    最後の充放電停止直後に測定された前記蓄電デバイスの電圧測定値が充放電停止時電圧V_endとして所定の記憶部に保存されており、
    前記記憶部から前記充放電停止時電圧V_endを読み込み、
    前記充放電停止時電圧V_endから現在(サイクル数nとする)の電圧測定値V_nowを減算して現在の電圧変化量ΔVa_nを算出し、
    前記蓄電デバイスの劣化度SOH及び前記電圧変化量ΔVa_nから事前に作成された放電能力補正関数F(SOH、ΔVa_n)を用いて前記蓄電デバイスの放電能力補正量COD_SOH_nを算出し、
    前記蓄電デバイスの現在の放電能力COD_nowを次式
    COD_now=V_now−COD_SOH_n
    で算出し、
    前記放電能力COD_nowが所定の閾値COD_Thより大きいときに前記蓄電デバイスの放電能力が維持されていると判定する
    ことを特徴とする蓄電デバイスの状態検知方法。
  2. 前記劣化度SOHは、現在に最も近い充放電停止中のサイクル数n1(n1≦n)のときに算出された劣化度SOH_n1であり、
    前記放電能力補正量COD_SOH_nは、前記劣化度SOH_n1に対応する前記放電能力補正関数F(SOH_n1、x)(xは変数)を前記記憶部から読み込み、前記変数xに前記電圧変化量ΔVa_nを代入して算出される
    ことを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイスの状態検知方法。
  3. 前記放電能力補正関数F(SOH、ΔVa)は、前記蓄電デバイス内部の過渡変化の速度に対応して事前に作成された2以上(m個とする)の反応速度毎緩和関数fi(i=1〜m)の線形結合で表され、
    前記蓄電デバイスの充放電停止中は前記電圧測定値を前記記憶部に保存し、
    前記反応速度毎緩和関数fiは、前記充放電停止からの経過時間に応じて前記記憶部に保存されている前記電圧測定値を用いて最適化される
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の蓄電デバイスの状態検知方法。
  4. 前記蓄電デバイスが充放電停止中でかつ充放電停止からの経過時間が所定の時間(第1緩和時間とする)を超えているとき、
    速い過渡変化に対応する前記反応速度毎緩和関数fiを前記記憶部に保存されている前記電圧測定値を用いて最適化し、
    前記最適化された反応速度毎緩和関数fiを用いて速い過渡変化に依存する劣化度SOH_fast_nを算出し、
    現在に最も近い充放電停止中のサイクル数n2(n2≦n)のときに算出された遅い過渡変化に依存する劣化度SOH_slow_n2と前記劣化度SOH_fast_nとから所定の関数Gを用いて現在の劣化度SOH_nを次式
    SOH_n=G(SOH_fast_n,SOH_slow_n2)
    で算出し、
    前記放電能力補正量COD_SOH_nは、前記劣化度SOH_nに対応する前記放電能力補正関数F(SOH_n、x)を前記記憶部から読み込み、前記変数xに前記電圧変化量ΔVa_nを代入して算出される
    ことを特徴とする請求項3に記載の蓄電デバイスの状態検知方法。
  5. 前記蓄電デバイスが充放電停止中でかつ充放電停止からの経過時間が前記第1緩和時間より長い所定の第2緩和時間を超えているとき、
    さらに、遅い過渡変化に依存する前記反応速度毎緩和関数fiを前記記憶部に保存されている前記電圧測定値を用いて最適化し、
    前記最適化された反応速度毎緩和関数fiを用いて遅い過渡変化に依存する劣化度SOH_slow_nを算出し、
    算出された前記速い過渡変化に依存する劣化度SOH_fast_nと前記遅い過渡変化に依存する劣化度SOH_slow_nとから前記関数Gを用いて現在の劣化度SOH_nを次式
    SOH_n=G(SOH_fast_n,SOH_slow_n)
    より算出する
    ことを特徴とする請求項4に記載の蓄電デバイスの状態検知方法。
  6. 充放電停止直後に前記蓄電デバイスに所定容量の充電(状態検知前充電)を行い、前記状態検知前充電終了直後に測定した前記電圧測定値を前記充放電停止時電圧V_endとして前記記憶部に保存する
    ことを特徴とする請求項1乃至5にいずれか1項に記載の蓄電デバイスの状態検知方法。
  7. 充放電中及び充放電停止中の放電能力を所定の周期毎に判定する蓄電デバイスの状態検知装置であって、
    前記蓄電デバイスの電圧測定値を保存する記憶部と、
    前記記憶部に保存されているデータを読み込んで前記蓄電デバイスの放電能力を前記周期毎に判定する状態検知部と、
    前記状態検知部から判定結果を入力して外部に出力する状態出力手段と、を備え、
    前記記憶部は、最後の充放電停止直後に測定された前記蓄電デバイスの前記電圧測定値を充放電停止時電圧V_endとして保存し、
    前記状態検知部は、
    前記記憶部から前記充放電停止時電圧V_endを読み込み、
    前記充放電停止時電圧V_endから現在(サイクル数nとする)の電圧測定値V_nowを減算して現在の電圧変化量ΔVa_nを算出し、
    前記蓄電デバイスの劣化度SOH及び前記電圧変化量ΔVa_nから事前に作成された放電能力補正関数F(SOH、ΔVa_n)を用いて前記蓄電デバイスの放電能力補正量COD_SOH_nを算出し、
    前記蓄電デバイスの現在の放電能力COD_nowを次式
    COD_ow=V_ow−COD_SOH_n
    で算出し、
    前記放電能力COD_owが所定の閾値COD_hより大きいときに前記蓄電デバイスの放電能力が維持されていると判定する
    ことを特徴とする蓄電デバイスの状態検知装置。



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