JP2012036865A - 噴射ノズル - Google Patents

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Abstract

【課題】高噴霧角度で噴霧むらを防止でき、噴射量制御により無駄な噴射を抑え得る、燃費悪化や排出ガス性能の低下を防止できる低コストで高性能の噴射ノズルを提供する。
【解決手段】バルブニードル20と、これを変位可能に収納するノズルボディ10とを備え、ノズルボディ10には、噴孔11aに燃料を導入する燃料通路30が形成されるとともに、バルブニードル20との間で燃料通路30の一部を開閉する錐面状のバルブシート部12が設けられ、ノズルボディ10は、バルブシート部12を構成する円錐面13と、噴孔11aが開口する凹壁面14と、円錐面13および凹壁面14の間で軸方向に対し略平行に延在する筒状面15とを有する内壁面16を形成している。なお、軸方向における筒状面15の長さは、凹壁面14および筒状面15によって形成されるサック室17の直径Dscに対して35%を超えかつ50%以下となる範囲内に設定されるのがよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、流体を噴射する噴射ノズル、特に液体を噴霧状にして噴射する噴孔の近傍にその噴孔が開口する液溜り室を有する噴射ノズルに関する。
ノズル先端部の噴孔の近傍にその噴孔が開口する液溜り室(以下、サック室という)を有する噴射ノズルは、例えば車両用内燃機関の燃料噴射ノズルに使用されている。また、車両用内燃機関の燃料噴射ノズルにおいては、一般に、燃料噴霧が微粒化されるようになっている。
この種の噴射ノズルとしては、例えば車両用内燃機関の燃料噴射ノズルにおいて、バルブニードルの先端側の外周面とノズルボディとの間に環状隙間を形成する一方、バルブニードルの先端側の中心部分に開弁時に噴孔に連通する燃料通路孔を形成し、燃料通路孔への燃料供給圧力に応じたバルブニードル先端部の弾性変形により前記環状隙間を変化させることで、高圧燃料の低圧部への漏れを防止するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、噴射燃料に旋回力を付与する旋回通路がニードル先端部の近傍に配置された円筒部材とノズルボディの間に形成されるとともに円筒部材の内周面に開口することで、ニードルのリフト量が小さいときにはその旋回通路の通路断面積が小さくなり、ニードルのリフト量が大きいときにはその旋回通路の通路断面積が大きくなるようにして、噴射量のダイナミックレンジを大きくした噴射ノズルも知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、隣り合う2つの噴孔の入口部を近接させて各噴孔内で旋回流を形成し、低噴射領域において低貫徹力および高噴霧角度(広噴霧角度)の燃料噴霧を形成するようにしたものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2001−221132号公報 特開平10−288130号公報 特開2003−161230号公報
しかしながら、上述のような従来の噴射ノズルにあっては、ノズルボディへの複数の噴霧孔加工が必要で、燃料噴霧の微粒化を促進するために広噴霧角とする場合には噴孔の総開口面積を大きくする必要があったり、燃料の旋回力を得るためにノズルボディ内に収納される部品の形状を複雑にする必要があったりしていたため、噴射ノズルがコスト高になってしまうという問題があった。加えて、高噴射域での噴射量の確保と低噴射域での高精度の噴射量制御を両立させることが困難になり、内燃機関の燃費向上や排出ガス性能の向上が困難になるという問題があった。
また、噴孔がノズル先端部の内方に設けられたサック室(液溜まり)に開口し、そのサック室の上流側にサック室の内周壁面に対し傾斜した円錐面状のバルブシートが配置される場合、スラッジの発生を抑制したり噴射応答性(開弁時にサック室内に燃料を再充填するのに要する時間)を向上させたりするべくサック室の容積が小さく抑えられていたため、サック室内に流入する燃料の流線がサック室の内周壁面から剥離することで噴孔入口部における燃料流線分布にばらつきが生じてしまい、噴霧角度の低下や噴霧のむらが生じ易くなるという問題があった。
さらに、気筒内に燃料を直接噴射する直噴ガソリンエンジン等では、貫徹力に優れ、エンジン内の気流のアシスト無しでも点火プラグの近傍に可燃混合気を形成できるスリットノズルが使用され始めているが、このスリットノズルにおいても、サック室の容積が小さく抑えられていたため、サック室内に流入する燃料の流線がサック室の内周壁面から剥離することでスリット状の噴孔の入口部における燃料流線の分布にばらつきが生じ易く、噴霧角度の低下や噴霧のむらが生じていた。そのため、エンジンオイルの希釈化や排出ガス性能の低下を招来する可能性があった。
そこで、本発明は、高噴霧角度であって噴霧のむらを確実に防止でき、高精度の噴射量制御により無駄な燃料噴射を抑えることができ、燃費の悪化や排出ガス性能の低下を防止することのできる低コストで高性能の噴射ノズルを提供するものである。
本発明は、上記目的達成のため、(1)バルブニードルと、該バルブニードルを軸方向に変位可能に収納するノズルボディと、を備えた噴射ノズルであって、前記ノズルボディには、流体を噴出する噴孔と該噴孔に前記流体を導入する流体通路が形成されるとともに、前記バルブニードルが前記軸方向に変位するとき該バルブニードルとの間で前記流体通路の一部を開閉するよう前記軸方向に対し傾斜した錐面状のバルブシート部が設けられ、前記ノズルボディが、前記バルブシート部を構成する錐面と、前記噴孔が開口する凹壁面と、前記錐面および前記凹壁面の間で前記軸方向に対し略平行に延在しつつ前記錐面および前記凹壁面に接続する筒状面とを有する内壁面を形成していることを特徴とするものである。
この構成により、バルブシート部を構成する錐面からサック室内に流入する流体がサック室の入口側の筒状面の端部付近で剥離を生じて、渦が生じたりしても、噴孔の入口部での流線が均一にばらける状態、例えば気相と液相が混在する燃料の密度が均一に分布する状態を確保することが可能になり、大きな噴霧角度でしかも噴霧のむらを低減させることができる。したがって、高精度の噴射量制御により無駄な燃料噴射を抑えることができ、燃費の悪化や排出ガス性能の低下を防止することのできる性能の向上した低コストの噴射ノズルとなる。
上記(1)に記載の噴射ノズルは、好ましくは、(2)前記軸方向における前記筒状面の長さが、前記凹壁面および前記筒状面によって形成されるサック室の直径に対して35%を超えかつ50%以下となる範囲内に設定されていることを特徴とするものである。
この構成により、筒状面の長さはサック室の半径に近いものとなり、噴孔の入口部での流線が均一にばらける状態を安定して確保することが可能になる。
上記(1)または(2)に記載の噴射ノズルにおいては、(3)前記バルブニードルの外周面と前記ノズルボディの前記内壁面との半径方向の離間距離が、前記バルブシート部より下流側の前記流体通路内で前記噴孔に近付くほど大きくなっていることが好ましい。この構成により、サック室の入口側の筒状面の端部付近で剥離が生じてもサック室内に大きな渦が生じ難くなり、流線の束状の偏りや曲がり難さが抑えられることで、噴孔の入口部で流線が均一にばらける状態が助長される。
上記(1)〜(3)のいずれに記載の噴射ノズルにおいても、(4)前記バルブニードルが、前記ノズルボディの錐面より前記サック室側に前記筒状面の長さ以上に及んで挿入される先端凸状部を有することが好ましい。この構成により、バルブニードルのリフト量が変化してもサック室の入口側から噴孔の入口部までの間の流体通路の断面積をバルブニードルのリフト量に応じた適度な範囲内に維持することができる。
上記(4)に記載の噴射ノズルにおいては、(5)前記先端凸状部は、前記軸方向に対する外周面の傾斜方向が前記ノズルボディの前記錐面と同一方向で、かつ、前記軸方向に対する外周面の傾斜角度が前記ノズルボディの前記錐面の傾斜角度より小さくなっているのがよい。この構成により、サック室内の流体が流線の均一なばらつき状態で噴孔の入口部に誘導され易くなる。
上記(4)または(5)に記載の噴射ノズルにおいては、(6)前記ノズルボディの前記凹壁面および前記バルブニードルの前記先端凸状部の先端面がそれぞれ略半球面状に形成され、前記噴孔が前記先端凸状部の先端面に対向する位置で前記凹壁面上に開口していることが好ましい。この構成により、噴孔がバルブニードルの軸線に対し傾斜した軸線を有している場合であっても、サック室の入口側から噴孔の入口部までの間の流体通路の断面積をバルブニードルのリフト量に応じた適度な範囲内に容易に設定できる。なお、凹壁面上の噴孔の開口中心がバルブニードルおよびノズルボディの中心軸線上に位置していてもよいし、その中心軸線上から径方向にオフセットしていてもよい。
上記(1)〜(6)のいずれに記載の噴射ノズルにおいても、(7)前記噴孔が、スリット状の噴孔であることが好ましい。この構成により、スリット状の噴孔から噴射される流体の液膜振動による***と周囲気体からの剪断力によって微粒化が助長される一方で、高貫徹力の噴霧が形成可能となり、しかも、スリット状の噴孔の拡開方向両側に高噴出角度となる部分を生じさせるとともにその拡開方向両端での流体流速を適度に抑制し、高貫徹力の好ましい噴霧形状を得ることが可能になる。
上記(7)に記載の噴射ノズルにおいては、(8)前記噴孔が、前記ノズルボディの先端側の壁部を前記軸方向に対し第1の傾斜角だけ傾斜した傾斜軸線方向に貫通するとともに、前記傾斜軸線方向および前記軸方向に対し直交する方向の両側にそれぞれ前記第1の傾斜角より大きい第2の傾斜角だけ拡開した略扇形をなしていることが好ましい。この構成により、高噴霧角度(高分散)および高貫徹力でむらのない噴霧を形成でき、例えば火花点火式内燃機関の気筒内においてスワール等の気流のアシスト無しでも点火プラグの近傍に緻密に濃度制御可能な可燃混合気を形成可能となる。
上記(1)〜(8)のいずれに記載の噴射ノズルにおいても、(9)前記噴孔から内燃機関の気筒の内部に前記内燃機関の燃料を噴射することが好ましい。この構成により、高噴霧角度でむらのない燃料噴霧を形成し、燃料噴霧の微粒化を促進して、筒内噴射を行う内燃機関の燃費や排気浄化性能を向上させることが可能になる。
本発明によれば、ノズルボディの内壁面のうち筒状面の長さがサック室の半径に近くなるようにして、バルブシート部を構成する錐面からサック室内に流入する流体がサック室の入口側の筒状面の端部付近で剥離を生じても、噴孔の入口部での流線が均一にばらける状態を確保するようにしているので、高噴霧角度であって噴霧のむらを確実に防止でき、高精度の噴射量制御により無駄な燃料噴射を抑えることができ、燃費の悪化や排出ガス性能の低下を防止することのできる低コストで高性能の噴射ノズルを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る噴射ノズルの要部拡大断面図である。 図1のII−II矢視断面図を含む本発明の一実施形態の噴射ノズルの要部概略構成図である。 図3(a)は、本発明の一実施形態に係る噴射ノズルにおける流体通路の各位置における断面積の変化を説明する説明図であり、図3(b)は、噴孔を有する一実施形態の噴射ノズルの先端部形状に応じてその噴孔の拡開面であるJK面上に定義される複数の円筒面および噴霧角度方向と噴孔出口側におけるJK流速および噴出角度との説明図である。 図4(a)は、本発明の一実施形態に係る噴射ノズルの噴孔入口部における流線分布の説明図であり、図4(b)は、比較例の噴射ノズルの噴孔入口部における流線分布の説明図である。 図5(a)は、本発明の一実施形態の噴射ノズルにおけるスリット状噴孔の拡開方向両端側におけるJK流速の抑制効果を示すグラフで、縦軸が比較例に対するJK流速比を、横軸が矢視分割数の単位で表した噴霧角度をそれぞれ示しており、図5(b)は、本発明の一実施形態の噴射ノズルにおける噴霧角度の増大効果を示すグラフで、縦軸が比較例に対する噴出角度比を、横軸が矢視分割数の単位で表した噴霧角度をそれぞれ示している。 本発明の一実施形態の噴射ノズルにおける筒状面の長さH1とその長さに対する噴霧角度の増大効果の関係を示すグラフで、縦軸は比較例に対する噴出角度比を、横軸は筒状面長さH1をそれぞれ示している。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1および図2は、本発明の一実施形態に係る噴射ノズルの概略構成を示している。
なお、本実施形態の噴射ノズルは、本発明をポート噴射と筒内噴射(気筒内直接噴射)とを実行するデュアル噴射方式のガソリンエンジン(内燃機関;以下、単にエンジンという)において、気筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射用のインジェクタ(燃料噴射弁)に適用したものであり、そのエンジンの各気筒に対応して設けられている。ただし、本発明は、直噴タイプ以外のインジェクタにも適用できるし、流体を噴霧状に噴射する他の噴射ノズルにも適用できるものである。
まず、本実施形態の構成について説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態の噴射ノズルを構成するインジェクタ1は、スリット状の噴孔11aが形成された先端部11およびその近傍に位置する略円錐面状のバルブシート部12(図2中にクロスハッチングで示す部分)を有する有底筒状のノズルボディ10と、バルブシート部12に着座可能な弁体部21および先端側でこの弁体部21を支持する軸部22を有し、ノズルボディ10内に軸方向に変位可能に収納されたバルブニードル20と、を備えている。このインジェクタ1のノズルボディ10およびバルブニードル20の間には、燃料(流体)であるガソリンを導入して噴孔11aから噴出させることができる燃料通路30(流体通路)が形成されており、燃料通路30は少なくとも弁体部21の近傍で環状の横断面を有している。
ノズルボディ10の先端部11は、エンジンの各気筒2内の燃焼室(詳細図示せず)の上部側(圧縮行程後期のピストンヘッドよりわずかに上方)に各気筒2の内方、例えば略半径方向で斜下方向きに突出および露出するよう凸形状をなしており、その先端面11bに薄い扇形の噴孔11aが矩形状に開口している。
また、ノズルボディ10のバルブシート部12は、バルブニードル20がその軸方向に変位するときにバルブニードル20の弁体部21との間で燃料通路30の一部を開閉する弁座となっており、ノズルボディ10の軸方向(中心軸線Cnの延在方向)に対して一定角度(例えば、45°)に傾斜した凹円錐面状に形成されている。そして、このバルブシート部12にバルブニードル20の弁体部21の外周面の一部である円錐面状のバルブフェース21aが係合および離脱することで、燃料通路30の一部が気密的に閉止および開放されるようになっている。
より具体的には、ノズルボディ10は、バルブシート部12により一部が形成される円錐面13と、噴孔が開口する凹球面状の凹壁面14と、円錐面13および凹壁面14の間でノズルボディ10の軸方向に対し略平行に延在しつつその両端で円錐面13および凹壁面14に接続する筒状面15と、を有している。これら円錐面13、凹壁面14および筒状面15は、ノズルボディ10の内壁面16のうちバルブシート部12の近傍から噴孔11aまでの下流側の通路区間を構成している。
また、ノズルボディ10の凹壁面14および筒状面15は、円錐面13と噴孔11aとの間に、中心軸線Cnに沿う縦断面が円錐面13側で方形断面となり噴孔11a側で略半円形断面となるサック室17を形成している。
バルブニードル20の外周面20aとノズルボディ10の内壁面16との半径方向(図1中の左右方向)の離間距離は、バルブシート部12より下流側の燃料通路30内において噴孔11aに近付くほど大きくなっている。
図3(a)に模式的に示すように、バルブニードル20の外周面20aとノズルボディ10の内壁面16との間に形成される燃料通路30は、バルブシート部12より下流側(通路位置P0より下流側)の区間におけるその通路断面積がバルブシート部12より上流側の区間におけるその通路断面積より小さくなっている。また、燃料通路30は、バルブシート部12より下流側、特にサック室17内において、噴孔11aの入口部の位置P5a,P5bに達するまで噴孔11aの断面積より十分に大きい一定通路面積以上となるように形成されている。
なお、図3(a)の中央部に示す破線S1は、図1に実線で示す開弁状態より大開度で開弁しているときのバルブシート部12の近傍における燃料通路30の通路断面積の変化を示しており、図3(a)の中央部に示す二点鎖線S2は、図1に実線で示す開弁状態より小開度で実質的に閉弁しているとき(図1中に二点差線で示す弁***置のとき)のバルブシート部12の近傍における燃料通路30の通路断面積の変化を示している。また、図3(a)中に示す通路位置P0〜P6a(P6b)は、図1中に示す通路位置P0〜P6a(P6b)に対応するものである。
また、ノズルボディ10の先端部11の噴孔11aは、ノズルボディ10の先端部11を構成する錐壁部分を、ノズルボディ10の軸方向に対し第1の傾斜角α(図2参照)だけ傾斜した傾斜軸線方向に略一定のスリット厚さtを保って貫通するとともに、その傾斜軸線方向およびバルブニードル20の軸方向に対し直交する方向(図1の左右方向)の両側にそれぞれ第1の傾斜角αより大きい第2の傾斜角βだけ拡開した略扇形のスリット形状を有している。なお、第1の傾斜角αは、例えばエンジンの気筒内壁に対し略半径方向の斜下方(例えば下方側に30°の向き)に向けられたインジェクタ1の中心軸線Cnに対して、さらに燃料噴霧の向きを図示しない圧縮行程後期のピストンヘッド上面付近に向けるための下向き(シリンダヘッド側を上側とするとき下側となる向き)寄りの傾斜角度であり、例えば10°以内の角度である。
さらに、バルブシート部12は、ノズルボディ10の中心軸線Cnを中心とする外側および上流端側の直径Dv1と内側および下流端側の直径Dv2とを有する円錐面状のシート面12a(弁座面;図2参照)を形成しており、シート面12aの内側および下流端側の直径Dv2は、サック径Dscより大径となっている。
また、ノズルボディ10には、バルブシート部12の外側および上流端側の直径Dv1より内径が大きいニードル収納孔18が形成されており、ニードル収納孔18の略円筒状の筒状内壁面18aに対し一定角度、例えば45°の傾斜角度をなして円錐面上に傾斜する円錐面13の一部によって、シート面12aが形成されている。なお、ノズルボディ10の筒状内壁面18aと円錐面13との接続部分や、円錐面13と筒状面15との接続部分は、図中では屈曲しているが、湾曲させてもよい。
バルブニードル20の先端側に設けられた弁体部21のバルブフェース21aは、ノズルボディ10の中心軸線Cnと一致するバルブニードル20の中心軸線(以下、共に中心軸線Cnという)に対して傾斜角θv1をなしている。また、バルブニードル20の弁体部21は、このバルブフェース21aよりもバルブニードル20の先端側に、バルブニードル20の中心軸線Cnに対して傾斜角θv1と同方向に傾斜角θv2をなす中間傾斜面21bと、この中間傾斜面21bよりもバルブニードル20の先端側で中心軸線Cnに対して傾斜角θv1と同方向に小さい傾斜角θv3をなす先端側傾斜面21cと、を有している。すなわち、弁体部21は、噴孔11aに対向するバルブニードル20の先端側で噴孔11aに近付くほど小径となっている。
ここで、弁体部21の中間傾斜面21bは、バルブニードル20のリフト量が大きいときにはノズルボディ10の軸方向において円錐面13の範囲内に位置するが、バルブニードル20のリフト量が小さいときには、ノズルボディ10の軸方向において円錐面13から筒状面15に内壁面16が屈曲する位置P2を越えて、中間傾斜面21bの先端部がサック室17内に進入する。また、弁体部21の先端側傾斜面21cは、バルブニードル20のリフト量の大小にかかわらず、少なくともその一部が常時サック室17内に挿入された状態となっており、筒状面15との間で燃料通路30の一部を形成している。さらに、弁体部21の中間傾斜面21bと先端側傾斜面21cとの接続部分は、サック室17の入口側における弁体部21の先端側傾斜面21cと筒状面15との離間距離程度の曲率半径で湾曲した環状湾曲面となっている。
弁体部21のバルブフェース21aは、弁体部21がニードル収納孔18の内底部であるノズルボディ10の先端部11に接近するようにバルブニードル20が軸方向変位するとき、バルブシート部12のシート面12aに当接する。そして、弁体部21とバルブシート部12との当接時に、両者間の燃料通路30が噴孔11aの近傍で気密的に閉止されるようになっている。
ノズルボディ10のバルブシート部12の軸方向長さ(高さ)Hb0は、バルブニードル20のバルブフェース21aの軸方向長さ(高さ)Hv0と略同等になっており、バルブシート部12からサック室17の入口までの円錐面13の下部13eの高さHb1は、バルブニードル20の中間傾斜面21bの軸方向長さHv1と等しくなっている。
中心軸線Cnに対するバルブフェース21aの傾斜角度θv1は、中心軸線Cnに対する円錐面13の傾斜角度θsよりわずかに(例えば、1°以下の差で)大きくなっており、バルブニードル20のバルブフェース21aとバルブシート部12のシート面12aとがそれらの外側および上流端側の部分で互いに圧接するようになっている。また、中心軸線Cnに対する中間傾斜面21bの傾斜角度θv2は、中心軸線Cnに対する円錐面13の傾斜角度θv1より十分に大きくなっている。
また、ノズルボディ10の軸方向における筒状面15の長さHb2は、略凹球面状の凹壁面14および略円筒面状の筒状面15によって形成されるサック室17の直径(以下、サック径という;図2参照)Dscに対して35%を超える長さであって、サック室17の直径に対して50%以下となる長さの範囲内に設定されている。ここで、サック室17の深さは、筒状面15の長さHb2と凹壁面14の曲率半径Rscとの和に相当し、凹壁面14の曲率半径Rscは、サック径Dscの約1/2の長さである。
一方、バルブニードル20の弁体部21の先端側傾斜面21cは、ノズルボディ10の円錐面13よりサック室17側に筒状面15の長さ以上に及んで挿入される先端凸状部21pの外周面を構成しており、この先端側傾斜面21cは、バルブニードル20の軸方向(軸部22の中心軸線方向)に対する傾斜方向がノズルボディ10の円錐面13と同一方向となっている。ここで、バルブニードル20の軸方向に対する先端側傾斜面21cの傾斜角度θv3は、ノズルボディ10の円錐面13の傾斜角度θsより小さくなっているが、径方向に対向するノズルボディ10の内壁面16に対して内側に傾斜する角度(下流側ほど開くように傾斜する角度)はバルブニードル20のバルブフェース21aがバルブシート部12のシート面12aに対して内側に傾斜する角度(例えば、1°以下)より大きくなっている。
ノズルボディ10の凹壁面14およびバルブニードル20の先端凸状部21pの先端面21dは、それらの半径が大小に異なる略半球面状に形成されており、スリット状の噴孔11aの内端は、先端凸状部21pの先端面21d(図1参照)に対向する位置で凹壁面14上に開口している。
ノズルボディ10の軸方向における凹壁面14の曲率中心位置から凹壁面14上の噴孔11aの開口幅方向両端位置までの離間距離Hb3は、バルブニードル20が閉弁位置にあるときのサック室17の入口から先端凸状部21pの先端面21dの頂点までの軸方向高さHv2よりも大きくなるように設定されている。
また、ノズルボディ10およびバルブニードル20は、図1中にはそれぞれの先端部のみを示しているが、バルブニードル20の上端部又は軸方向中間部分は、例えばバルブニードル20とノズルボディ10の間に縮設された圧縮ばね41(付勢手段)によりバルブニードル20の軸方向一方側、例えば閉弁方向である図2中の下方側に常時付勢されている。
より具体的には、ノズルボディ10の上端部(上下方向は図2中の上下方向をいう)又は軸方向中間部には電磁コイル(ピエゾ素子でもよい)42が収納されており、その内方に、バルブニードル20の上端部又は軸方向中間部分に装着された可動プランジャ43と、ノズルボディ10側に固定された固定プランジャ44とが、それぞれ収納されている。そして、圧縮ばね41は可動プランジャ43と固定プランジャ44の間に縮設されることで、バルブニードル20を閉弁方向に付勢している。また、電磁コイル42は図示しない導線を介して通電されたとき、可動プランジャ43と固定プランジャ44を通る磁気回路を形成して可動プランジャ43によりバルブニードル20を圧縮ばね41の付勢力に抗して開弁方向に付勢させることができるようになっており、これら圧縮ばね41、電磁コイル42、可動プランジャ43および固定プランジャ44によって弁開閉駆動手段40が構成されている。この弁開閉駆動手段40の電磁コイル42への通電は、図外の電子制御ユニット(以下、ECUという)からの開弁信号によって、要求される燃料噴射量に応じた弁開度となるようにデューティー制御されるようになっている。なお、このような弁開閉駆動方式自体は公知であるので、これ以上詳述しない。
燃料通路30は図外のデリバリーパイプ内に連通しており、このデリバリーパイプを介して図外の燃料ポンプから吐出された燃料がデリバリーパイプ内に蓄圧・貯留され、燃料通路30内に所定の燃圧で供給されるようになっている。したがって、ECUによって弁開閉駆動手段40の電磁コイル42に対して要求燃料噴射量に応じたデューティー比での通電制御がなされるとき、エンジンの複数の気筒の筒内にインジェクタ1によって燃料が噴射され、さらに、図示しないポート噴射用のインジェクタによって選択的に各気筒に対応する吸気ポート内に必要な量の燃料が噴射される。
なお、前記ECUは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ等を利用するバックアップメモリ、図示しない入力インターフェース回路および出力インターフェース回路等を含んで構成されている。そして、ECUの入力インターフェース回路には、エアフローメータ、回転数センサおよびスロットルセンサと、図示しない酸素センサ、気筒判別センサ、吸気温センサ、水温センサ等のセンサ群が接続されており、これらセンサ群からのセンサ情報がECUに取り込まれるようになっている。また、ECUの出力インターフェース回路には、インジェクタと、図示しない点火プラグを駆動するイグナイタと、前記燃料ポンプの駆動回路等が接続されている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
上述のように構成された本実施形態の燃料噴射弁では、図外の燃料ポンプから吐出された燃料がデリバリーパイプを介して燃料通路30内に所定の燃圧で供給される一方、ECUによって噴射時期のインジェクタ1の弁開閉駆動手段40に対し要求噴射量に応じたデューティー比での通電制御がなされるとき、そのインジェクタ1から対応する気筒内に必要量の燃料が噴射される。
すなわち、まず、ECUからの開弁信号によって弁開閉駆動手段40の電磁コイル42に通電がなされ、バルブニードル20の弁体部21とノズルボディ10の先端部11とが当接した閉弁状態(図1中に二点鎖線で示す状態)から、バルブニードル20の上昇による開弁動作が開始され、弁体部21のバルブフェース21aがバルブシート部12のシート面12aから離れて燃料通路30を通してサック室17内に燃料が充填されるとともに、噴孔11aから燃焼室内に燃料が噴射される。
このとき、サック室17の入口側に位置する筒状面15の長さがサック室17の半径Rscに近いものとなっていることから、バルブシート部12を構成する円錐面13からサック室17内に流入する流体がサック室17の入口側の筒状面15の端部付近で剥離を生じたり渦を生じたりしても、噴孔11aの入口部付近での流線が均一にばらける状態、例えば気相と液相が混在する燃料の密度が比較的均一に分布する状態を確保することが可能になり、噴孔11aから噴出する略扇形の噴霧を大きな噴霧角度で噴出させるとともにその噴霧のむらを低減させることができる。したがって、高精度の噴射量制御により無駄な燃料噴射を抑えることができ、燃費の悪化や排出ガス性能の低下を防止することのできる低コストのインジェクタ1となる。
また、本実施形態においては、バルブニードル20の外周面20aとノズルボディ10の内壁面16との半径方向の離間距離が、バルブシート部12より下流側の燃料通路30内で噴孔11aに近付くほど大きくなっており、バルブシート部12より下流側の燃料通路30の断面積がバルブニードル20のリフト量にかかわらず噴孔11aの近傍に達するまで徐々に増加する程度に必要な通路断面積が確保されることになり、サック室17の入口側の筒状面15の端部付近で剥離が生じても、サック室17内に大きな渦が生じ難くなり、流線の束状の偏りや曲がり難さが抑えられることで、噴孔11aの入口部で流線が均一にばらける状態が助長されることになる。
図3(b)に示すように、噴孔11aを有する本実施形態のインジェクタ1(噴射ノズル)の先端部11の形状に応じて、その噴孔11aの拡開面であるJK面上に定義される複数の円筒面および噴霧の噴出角度方向を考え、噴孔11aの出口側におけるJK流速および噴出角度を比較例と対比して解析・検討すると、図4(a)および図4(b)に示すような結果となった。
本実施形態に係る噴射ノズル1の噴孔11aの入口部における流線分布は図4(a)に示し、比較例の噴射ノズルの噴孔入口部における流線分布は図4(b)に示している。
これらの図から明らかなように、図4(b)に示す比較例では、シート面出口付近b1での流線束の影響から同図中に左下向きの白抜き矢印で示すような流れ成分が強くなり、噴孔の拡開方向の中央部に流線が偏るとともに噴孔の拡開方向両端側における噴霧のむらが大きくなってしまう。これに対し、本実施形態では、図4(a)に示すように、白抜き矢印の流れ成分に対するシート面出口付近a1での流線束の影響が抑えられ、流線の噴孔11a側への曲がり難さが解消され、噴孔11aの入口部で流線が均一にばらける状態が得られている。
本実施形態では、さらに、バルブニードル20が、ノズルボディ10の円錐面13よりサック室17側に筒状面15の長さ以上に及んで挿入される先端凸状部21pを有するので、バルブニードル20のリフト量が変化してもサック室17の入口側から噴孔11aの入口部までの間の燃料通路30の断面積をバルブニードル20のリフト量に応じた適度な範囲内に維持することができる。しかも、先端凸状部21pの外周面である先端側傾斜面21cの中心軸線Cnに対する傾斜方向が中心軸線Cnに対するノズルボディ10の円錐面13の傾斜方向と同一方向で、かつ、その傾斜角度がノズルボディ10の円錐面13の傾斜角度θsより小さくなっているので、サック室17内の流体が流線の均一なばらつき状態で噴孔11aの入口部に誘導され易くなる。
加えて、ノズルボディ10の凹壁面14およびバルブニードル20の先端凸状部21pの先端面21dがそれぞれが略半球面状に形成され、噴孔11aが先端凸状部21pの先端面21dに対向する位置で凹壁面14上に開口しているので、噴孔11aが中心軸線Cnに対し傾斜した軸線を有しているものの、サック室17の入口側から噴孔11aの入口部までの間の燃料通路30の断面積をバルブニードル20のリフト量に応じた適度な範囲内に容易に設定できる。
本実施形態においては、特に、噴孔11aがスリット状であることから、スリット状の噴孔11aから噴射される燃料の液膜振動による***と周囲の気体からの剪断力とによって微粒化が助長される一方で、高貫徹力の噴霧が形成可能となる。しかも、図5(b)に比較例との噴出角度比を示すように、スリット状の噴孔11aの拡開方向両側(同図中の点線Z2で囲む領域)に高噴出角度となる部分を生じさせるとともに、図5(a)に示すように、その拡開方向両端付近(同図中の点線Z1で囲む領域)での燃料の流速を適度に抑制しているので、高貫徹力でありながら噴射燃料の壁面付着を抑えることのできる好ましい噴霧形状を得ることができる。
また、噴孔11aが、ノズルボディ10の先端部11を中心軸線Cnに対し第1の傾斜角αだけ傾斜した傾斜軸線方向に貫通するとともに、傾斜軸線方向および軸方向に対し直交する方向の両側にそれぞれ第1の傾斜角αより大きい第2の傾斜角βだけ拡開した略扇形をなしているので、高噴霧角度(高分散)および高貫徹力でむらのない噴霧を形成でき、例えば火花点火式内燃機関の気筒内においてスワール等の気流のアシスト無しでも点火プラグの近傍に緻密に濃度制御可能な可燃混合気を形成することが可能となる。
さらに、インジェクタ1の噴孔11aからエンジンの気筒内部に燃料を噴射する、高噴霧角度でむらのない燃料噴霧を形成し、燃料噴霧の微粒化を促進して、筒内噴射を行うエンジンの燃費や排気浄化性能を向上させることができる。
図6は、インジェクタ1の筒状面15の軸方向長さHb2を変化させた場合に特定の噴霧角度方向(矢視分割数21付近)で噴孔11aの出口において噴出角度がどのように変化するかを分析した結果を示しており、縦軸は、筒状面15の軸方向長さHb2を従来と同等(サック径に対し35%未満)にした比較例との噴出角度の比であり、横軸は、筒状面15の軸方向長さHb2の大きさである。なお、図中の二点鎖線は、点で示す分析データを曲線回帰したものである。
この図から明らかなように、筒状面15の軸方向長さHb2を従来より大きくし、サック径Dsに対する軸方向長さHb2の比が図中のr1以上の大きさにすると、スリット状の噴孔11aの拡開方向両側における噴出角度の拡大効果が明確に出現する。ただし、サック径Dsに対する軸方向長さHb2の比が図中のr2を超え程度まで増加すると、スリット状の噴孔11aの拡開方向両側における噴出角度の拡大効果が低下し始めるとともに、サック室17の容積の増加によるデメリット(例えば、噴射開始時の燃料充填時間の増大やデポジットの増加)が現れてくる。そこで、複数の特定の噴霧角度方向についてサック径Dsに対する軸方向長さHb2の比r1,r2を観察したところ、比r1を35%以上とし、比r2を50%未満にすると、好ましい矢視分割数の範囲内で高噴出角度比が得られた。したがって、ノズルボディ10の軸方向における筒状面15の長さHb2は、サック室17の直径Dscに対して35%を超える長さ、より好ましくは45%を超える長さであって、このサック径Dscに対して50%以下となる長さの範囲内に設定される。なお、一般に、流体の揮発性が高い場合、燃料の供給圧力に応じたインジェクタ1内のキャビテーションの発生感度が低下する傾向となるが、筒状面15の設定長さHb2の好ましい範囲に大きな変化はない。
このように、本実施形態においては、ノズルボディ10の内壁面16のうち筒状面15の長さHb2がサック室17の半径Rscに近くなるようにして、バルブシート部12を構成する円錐面13からサック室17内に流入する燃料がサック室17の入口側の筒状面15の端部付近で剥離を生じても、噴孔11aの入口部での流線が均一にばらける状態を確保するようにしているので、高噴霧角度であって噴霧のむらを確実に防止できる。したがって、高精度の噴射量制御により無駄な燃料噴射を抑えることができ、燃費の悪化や排出ガス性能の低下を防止することのできる低コストで高性能の噴射ノズル1を提供することができる。
なお、上述の一実施形態においては、凹壁面14上の噴孔11aの開口中心がバルブニードル20およびノズルボディ10の中心軸線Cn上に位置していたが、凹壁面14上の噴孔11aの開口中心は、中心軸線Cn上に位置していてもよいし、その中心軸線Cn上から径方向にオフセットしていてもよい。
スリット状の噴孔11aの厚差tは、燃料圧力や要求される貫徹力(噴霧の到達距離)に応じて設定され、拡開方向の第2の傾斜角βは、第1の傾斜角αより大きく、90°より小さい。ただし、図1中において、Hv2<Hb2+Hb3が成立する限り、中心軸線Cnに対してスリット状の噴孔11aの拡開方向両端側の内壁面の傾斜角度が90°となってもよい。
また、上述の一実施形態では、本発明をデュアル噴射方式のエンジンにおける筒内噴射用のインジェクタに適用していたが、本発明はポート噴射用のインジェクタにも適用可能であるし、スリットノズルでなく他形状の噴孔を有する噴射ノズルにも適用可能である。
また、上述の一実施形態では、インジェクタ1は、気筒2内の燃焼室(詳細図示せず)の上部側、すなわち圧縮行程後期のピストンヘッドよりわずかに上方に位置するとともに気筒2の略半径方向に突出および露出するものとしたが、燃焼室の頂部付近に下向き(シリンダヘッド側からピストンヘッドに向かう方向)に設置されてもよい。
以上説明したように、本発明は、ノズルボディの内壁面のうち筒状面の長さがサック室の半径に近くなるようにして、バルブシート部を構成する錐面からサック室内に流入する流体がサック室の入口側の筒状面の端部付近で剥離を生じても、噴孔の入口部での流線が均一にばらける状態を確保するようにしているので、高噴霧角度であって噴霧のむらを確実に防止でき、高精度の噴射量制御により無駄な燃料噴射を抑えることができ、燃費の悪化や排出ガス性能の低下を防止することのできる低コストで高性能の噴射ノズルを提供することができるという効果を奏するものであり、液体を噴霧状にして噴射する噴孔の近傍にその噴孔が開口する液溜り室を有する噴射ノズル全般に有用である。
1 インジェクタ(噴射ノズル)
2 気筒
10 ノズルボディ
11 先端部
11a 噴孔
11b 先端面
12 バルブシート部
12a シート面(弁座面)
13 円錐面(錐面)
13e 下部
14 凹壁面
15 筒状面
16 内壁面
17 サック室
18 ニードル収納孔
18a 筒状内壁面
20 バルブニードル
20a 外周面
21 弁体部
21a バルブフェース
21b 中間傾斜面
21c 先端側傾斜面
21d 先端面
21p 先端凸状部
22 軸部
30 燃料通路(流体通路)
40 弁開閉駆動手段
Hb2 筒状面の軸方向長さ
θs シート面の傾斜角度
θv1,θv2,θv3 傾斜角
α 第1の傾斜角
β 第2の傾斜角

Claims (9)

  1. バルブニードルと、該バルブニードルを軸方向に変位可能に収納するノズルボディと、を備えた噴射ノズルであって、
    前記ノズルボディには、流体を噴出する噴孔と該噴孔に前記流体を導入する流体通路が形成されるとともに、前記バルブニードルが前記軸方向に変位するとき該バルブニードルとの間で前記流体通路の一部を開閉するよう前記軸方向に対し傾斜した錐面状のバルブシート部が設けられ、
    前記ノズルボディが、前記バルブシート部を構成する錐面と、前記噴孔が開口する凹壁面と、前記錐面および前記凹壁面の間で前記軸方向に対し略平行に延在しつつ前記錐面および前記凹壁面に接続する筒状面とを有する内壁面を形成していることを特徴とする噴射ノズル。
  2. 前記軸方向における前記筒状面の長さが、前記凹壁面および前記筒状面によって形成されるサック室の直径に対して35%を超えかつ50%以下となる範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の噴射ノズル。
  3. 前記バルブニードルの外周面と前記ノズルボディの前記内壁面との半径方向の離間距離が、前記バルブシート部より下流側の前記流体通路内で前記噴孔に近付くほど大きくなっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の噴射ノズル。
  4. 前記バルブニードルが、前記ノズルボディの錐面より前記サック室側に前記筒状面の長さ以上に及んで挿入される先端凸状傾斜面部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1の請求項に記載の噴射ノズル。
  5. 前記先端凸状部は、前記軸方向に対する外周面の傾斜方向が前記ノズルボディの前記錐面と同一方向で、かつ、前記軸方向に対する外周面の傾斜角度が前記ノズルボディの前記錐面の傾斜角度より小さくなっていることを特徴とする請求項4に記載の噴射ノズル。
  6. 前記ノズルボディの前記凹壁面および前記バルブニードルの前記先端凸状部の先端面がそれぞれ略半球面状に形成され、前記噴孔が前記先端凸状部の先端面に対向する位置で前記凹壁面上に開口していることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の噴射ノズル。
  7. 前記噴孔が、スリット状の噴孔であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のうちいずれか1の請求項に記載の噴射ノズル。
  8. 前記噴孔が、前記ノズルボディの先端側の壁部を前記軸方向に対し第1の傾斜角だけ傾斜した傾斜軸線方向に貫通するとともに、前記傾斜軸線方向および前記軸方向に対し直交する方向の両側にそれぞれ前記第1の傾斜角より大きい第2の傾斜角だけ拡開した略扇形をなしていることを特徴とする請求項7に記載の噴射ノズル。
  9. 前記噴孔から内燃機関の気筒の内部に前記内燃機関の燃料を噴射することを特徴とする請求項1ないし請求項8のうちいずれか1の請求項に記載の噴射ノズル。
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