JP2012036856A - 触媒劣化診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒上での化学反応に係る物理量を的確に把握して、触媒の劣化度を正確に判定する。
【解決手段】触媒2,5の上流側の第一NOx量を取得する第一NOx量取得手段7aと、触媒2,5の下流側の第二NOx量に対応する検出値を出力する下流NOxセンサ9とを備える。前記下流側の排気中に含まれるNO2量の前記第二NOx量に対するNO2比率と、下流NOxセンサ9における前記検出値の前記第一NOx量に対応する検出値に対する比との対応関係を記憶するセンサ特性記憶手段7bを備える。第一NOx量取得手段7aで取得された前記第一NOx量と、下流NOxセンサ9で検出された前記検出値と、センサ特性記憶手段7bに記憶された前記対応関係とに基づき、前記NO2比率を演算するNO2比率演算手段7eを設ける。NO2比率演算手段7eで演算された前記NO2比率に基づき、触媒2,5の劣化度を判定する劣化判定手段7hを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンの排気通路上に設けられた触媒の劣化を診断する触媒劣化診断装置に関する。
ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガスには、粒子状物質(Particulate Matter、以下PMと呼ぶ)や一酸化窒素(NO)及び二酸化窒素(NO2)を含む窒素酸化物(以下、NOxと呼ぶ)が含有されている。従来、これらの物質を排ガス中から除去するための触媒劣化診断装置として、パティキュレートフィルタ(Diesel Particulate Filter、以下、フィルタと呼ぶ)やDOC触媒(Diesel Oxidation Catalyst),SCR触媒〔尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)触媒、選択還元触媒〕等が知られている。
フィルタは、排気中のPMを捕集するとともに捕集したPMを酸化させて除去する濾過装置である。また、PMの燃焼反応を促進すること等を目的として、フィルタに触媒層を設けたもの(コーテッドDPF)も開発されている。
DOC触媒は、排気中の成分に対する酸化能を持った酸化触媒であり、PMを燃焼させる酸化剤となるNO2を排気中のNOから生成する。また、DOC触媒は、フィルタでPMを強制的に燃焼させる際に排気温度を昇温させる機能も有する。
SCR触媒は、排気通路の上流側に供給される尿素からアンモニア(NH3)を生成し、NOxをNH3で窒素及び水に還元するものである。尿素SCRシステムは、ディーゼルエンジンの排気のように酸素濃度が比較的高い雰囲気下や低温時におけるNOxの浄化に有効である。
ところで、担体に触媒が担持されたDOC触媒やSCR触媒は、使用を続けることで、排気熱等の影響により徐々に劣化していく。このような経時劣化が進行すると触媒反応の活性や反応速度の低下に伴い、排気浄化性能が低下するおそれが生じる。したがって、触媒を利用した触媒劣化診断装置では、触媒劣化の度合いを正確に把握する必要がある。
このような課題に対し、SCR触媒に関して、触媒温度と触媒下流のNOx排出量とに基づいて劣化状態を判定する技術が知られている(特許文献1参照)。例えば、触媒温度に対するNOx浄化率の変化パターンにより、NOx浄化率の低下の原因が触媒の劣化に起因するものであるか否かを判定するものである。
また、DOC触媒に関しては、触媒に与えられた熱量の大きさを積算することで劣化の進行を予測する技術が知られている(特許文献2参照)。例えば、触媒の上流側及び下流側のそれぞれに排気温度センサを配置し、触媒上での化学反応によって生じる熱量の積算値の大きさに基づいて触媒の劣化状態を判断するものである。
特開2009−138626号公報 特開2010−112220号公報
しかしながら、従来の技術では、触媒の劣化状態を迅速かつ正確に判定することが難しい。例えば、特許文献1の技術では、触媒温度に対するNOx浄化率の変動パターンの形状に基づく判定を行うため、正確に判定するには触媒温度を変動させる必要が生じる場合がある。また、特許文献2の技術では、触媒反応熱の積算値に基づく判断がなされるが、例えばSCR触媒のように触媒上で複数の化学反応が同時に進行するものにあっては、触媒反応熱と触媒劣化との間の相関が弱い場合がある。この場合、正確に触媒反応熱を演算したとしても、それを以て触媒の劣化状態を正確に判断できない。
このように、従来の排気浄化システムでは、触媒の劣化状態を正確に把握することが困難であるという課題がある。
本件は上記のような課題に鑑み創案されたもので、触媒上での化学反応に係る物理量を的確に把握して、触媒の劣化度を正確に判定することができるようにした触媒劣化診断装置を提供することを目的とする。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
(1)ここで開示する触媒劣化診断装置は、エンジンの排気通路上に設けられた触媒の劣化を診断する触媒劣化診断装置であって、前記触媒の上流側の排気中に含まれる第一NOx量を取得する第一NOx量取得手段と、前記触媒の下流側に設けられ、前記下流側の排気中に含まれる第二NOx量に対応する検出値を出力する下流NOxセンサとを備える。
また、前記下流側の排気中に含まれるNO2量の前記第二NOx量に対するNO2比率と、前記下流NOxセンサにおける前記検出値の前記第一NOx量に対応する検出値に対する比との対応関係を記憶するセンサ特性記憶手段を備える。
さらに、前記第一NOx量取得手段で取得された前記第一NOx量と、前記下流NOxセンサで検出された前記検出値と、前記センサ特性記憶手段に記憶された前記対応関係とに基づき、前記NO2比率を演算するNO2比率演算手段と、前記NO2比率演算手段で演算された前記NO2比率に基づき、前記触媒の劣化度を判定する劣化判定手段とを備える。
なお、前記センサ特性記憶手段に記憶された対応関係は、一次関数で表される関係に限られない。なぜならば、センサの出力値は必ずしもNO2量に対する一次式で表現されるものではないからである。したがって、使用するセンサに係る対応関係をマップ化したものをセンサ特性記憶手段に記憶させておくことが好ましい。
(2)また、前記センサ特性記憶手段が、前記NO2比率と前記比とが一対一に対応する前記対応関係を記憶することが好ましい。
この場合、前記NO2比率の変動に対する前記比の変化量が大きいほど好ましい。これにより、NO2比率演算手段で演算されるNO2比率の誤差を小さくすることができ、演算精度を向上させることができる。
(3)また、前記NO2比率演算手段が、前記触媒の上流側及び下流側の排気中に含まれるNO及びNO2を合計した総量が変化しない状況下で前記NO2比率を演算することが好ましい。
例えば、エンジンの排気中のNOxを窒素に還元する選択還元触媒の上流側に尿素を供給する構成を備えた排気システムにおいては、尿素の供給を停止させた状態、かつ、選択還元触媒上にアンモニアが吸着していないときに、NO2比率を演算する。
(4)また、前記触媒の温度を取得する触媒温度取得手段を備え、前記劣化判定手段が、前記NO2比率演算手段で演算された前記NO2比率と、前記触媒温度取得手段で取得された前記温度とに基づき、前記触媒の劣化度を判定することが好ましい。
(5)また、前記触媒の上流側から下流側に流通する排気流量を取得する流量取得手段と、前記NO2比率演算手段で演算された前記NO2比率と、前記下流NOxセンサで検出された前記検出値と、前記流量取得手段で取得された前記排気流量とに基づき、前記下流側に流出したNO2量を演算するNO2量演算手段とを備え、前記劣化判定手段が、前記NO2量演算手段で演算された前記NO2量に基づき、前記触媒の劣化度を判定することが好ましい。
(6)また、前記触媒が、前記エンジンの排気中のNOxを窒素に還元する選択還元触媒を有し、前記選択還元触媒の触媒温度を取得する第二触媒温度取得手段と、前記第一NOx量取得手段で取得された前記第一NOx量と、前記下流NOxセンサで検出された前記第二NOx量とに基づき、前記選択還元触媒でのNOx浄化率を演算する浄化率演算手段と、前記劣化判定手段が、前記浄化率演算手段で演算された前記NOx浄化率と、前記NO2比率演算手段で演算された前記NO2比率と、前記第二触媒温度取得手段で取得された前記触媒温度とに基づき、前記選択還元触媒の劣化度を判定することが好ましい。
(7)前記劣化判定手段で判定された前記劣化度を報知する報知手段を備えることが好ましい。
(1)開示の触媒劣化診断装置によれば、触媒通過後のNO2量を演算することで、触媒での化学反応量を把握することができ、触媒の劣化度を正確に判定することができる。また、NO2比率と検出値の比との対応関係をマップ化することにより、例えば非線形の複雑な対応関係であっても正確に記憶することができる。このような正確な対応関係を用いてNO2比率を演算することで、触媒の劣化度をより正確に判定することができる。
(2)センサ特性記憶手段に記憶された対応関係で、NO2比率と比とが一対一に対応するため、下流NOxセンサでの検出値の大きさに関わらずNO2比率を一意に決定することができる。これにより、劣化判定手段における劣化診断の信頼性を向上させることができる。
(3)触媒の上流側及び下流側のNOx総量が変化しない状況下でのみNO2比率を演算するため、正確なNO2比率を得ることができ、劣化診断の信頼性を向上させることができる。
(4)触媒温度とNO2比率とを用いることで、触媒上での反応性と温度との関係を把握することができ、触媒の劣化度を正確に判定することができる。
(5)NO2量を演算することで、実際のNO2の変化量を把握することができ、触媒の劣化度を正確に判定することができる。
(6)選択還元触媒でのNOx浄化率を演算することで、選択還元触媒の劣化度を正確に判定することができる。
(7)報知手段を設けた場合は、触媒の劣化度を例えばドライバーや乗員等に報知することで、メンテナンスや点検,触媒の交換を促すことができる。
一実施形態に係る触媒劣化診断装置の全体構成を模式的に例示する図である。 図1の診断装置に係るDOC触媒の特性を例示するグラフである。 図1の診断装置に係るSCR触媒の触媒温度とNH3最大吸着量との関係を例示するグラフである。 図1の診断装置に係るNO2比率と排気温度との関係を例示するグラフである。 図1の診断装置に係るDOC触媒の劣化とNO2比率との関係を例示するグラフである。 図1の診断装置に係るDOC触媒の劣化とNO2生成量との関係を例示するグラフである。 (a)〜(c)は、図1の診断装置に係るSCR触媒の劣化,触媒温度,NO2比率及びSCR触媒でのNOx浄化率の関係を例示する三次元グラフである。 図1のエンジンの運転状態と排気中に含まれる窒素酸化物濃度との関係を例示するグラフである。 図1の触媒劣化診断装置で用いられるNOxセンサの出力特性を示すグラフである。 図1の触媒劣化診断装置におけるDOC触媒の劣化診断に係る制御内容を例示するフローチャートである。 図1の触媒劣化診断装置におけるDOC触媒の劣化診断に係る制御内容を例示するフローチャートである。 図1の触媒劣化診断装置におけるSCR触媒の劣化診断に係る制御内容を例示するフローチャートである。 図1の触媒劣化診断装置におけるSCR触媒の劣化診断に係る制御内容を例示するフローチャートである。 (a),(b)はともに、変形例としての触媒劣化診断装置におけるNOxセンサの出力特性を例示するグラフである。
以下、図面を参照して開示の触媒劣化診断装置について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
[1.構成]
[1−1.全体構成]
本実施形態の触媒劣化診断装置10は、図1に例示する車両の吸排気システムに適用されている。図1中のエンジン20は軽油を燃料とするディーゼルエンジンであり、このエンジン20には排気通路16及び吸気通路17が接続される。エンジン20の各気筒の燃焼室には吸気通路17を介して吸気が導入され、燃焼後の排気は排気通路16を介して外部へ排出される。
排気通路16には排気の流れの上流側から順に、ターボチャージャー18,DPF装置1及びSCR装置4が介装される。DPF装置1は連続再生方式及び強制再生方式を併用した濾過装置であり、SCR装置4は排気中に含まれるNOxを除去するための浄化装置である。
ターボチャージャー18は、排気通路16及び吸気通路17のそれぞれを跨ぐように介装された過給器であり、排気通路16を流通する排気の排気圧でタービンを回転させ、その回転力を利用してコンプレッサを駆動することにより、吸気通路17からの吸気を圧縮してエンジン20への過給を行う。
排気通路16上におけるDPF装置1とSCR装置4との間には、ユリアインジェクタ11が設けられる。ユリアインジェクタ11は、排気中に尿素〔CO(NH2)2〕の水溶液を噴霧供給するノズルである。ここで排気中に添加された尿素は排気熱によって熱分解,加水分解されNH3となる。
DPF装置1よりも上流側には、温度センサ14(触媒温度取得手段)が設けられる。温度センサ14は、DPF装置1に流入する排気温度T1を検出する。また、DPF装置1とSCR装置4との間の排気通路上には、SCR装置4に流入する排気温度T2を検出する第二温度センサ19(第二触媒温度取得手段)が設けられる。さらに、SCR装置4の下流側には、排気中に含まれるNOxの濃度C2(第二NOx量)を検出するNOxセンサ9(下流NOxセンサ)が設けられる。これらの各センサで検出された排気温度T1,T2及びNOx濃度C2は、後述するコントローラ7へと入力される。
吸気通路17上の任意の位置(例えば、スロットルバルブよりも上流側)には、エアフローセンサ22が設けられる。エアフローセンサ22は、エンジン20のシリンダ内に導入される吸気量Qを検出する流量センサである。また、本吸排気システムの任意の位置には、アクセル開度センサ23が設けられる。アクセル開度センサ23は運転者によるアクセルペダルの操作量θAC(アクセル開度)を検出するものである。なお、エンジン20は図示しないエンジンECUの働きによりアクセル開度θACに応じた出力となるように制御される。したがって、アクセル開度θACはエンジン20のトルク(負荷)の指標となる。
さらに、エンジン20のクランクシャフト21の近傍には、エンジン回転数Nを検出するエンジン回転数センサ24が設けられる。エアフローセンサ22で検出された吸気量Q,アクセル開度センサ23で検出されたアクセル開度θAC,エンジン回転数センサ24で検出されたエンジン回転数Nは、後述するコントローラ7へと入力されている。
[1−2.DPF装置]
DPF装置1は、上流側に配置されるDOC(Diesel Oxidation Catalyst)触媒2と下流側に配置されるフィルタ3とを内蔵する。このDPF装置1は、排気中に含まれるPM(Particulate Matter,粒子状物質)を捕集する機能と、捕集したPMを連続的に酸化させて除去する機能とを併せ持つ。なお、PMとは、炭素からなる黒煙(すす)の周囲に燃え残った燃料や潤滑油の成分,硫黄化合物等が付着した粒子状の物質である。
DOC触媒2(酸化触媒)は、排気中の成分に対する酸化能を持った酸化触媒であり、金属,セラミックス等からなるハニカム状の担体に触媒物質を担持したものである。DOC触媒2によって酸化される排気中の成分には、一酸化窒素(NO)や未燃燃料中の炭化水素等が挙げられる。例えば、NOがDOC触媒2で酸化されると二酸化窒素(NO2)が生成される。なお、DOC触媒2におけるNOの酸化反応の化学反応式を以下に例示する。
2NO + O2 → 2NO2 ・・・(式1)
DOC触媒2は、図2中に実線で示す触媒特性を有する。横軸は触媒近傍の排気温度(単に、触媒温度ともいう)を示し、縦軸は排気中のNO濃度に対してDOC触媒2が生成するNO2濃度の割合を示す。DOC触媒2は、触媒温度が極低温であるときにはNOに対する酸化能をほとんど発揮せず、触媒温度が上昇するにつれてNO2の生成量を増大させる。また、触媒温度が所定の第一活性温度TA以上の領域になると、NO濃度に対してほぼ一定の割合でNO2を生成する。なお、第一活性温度TAは触媒の種類や担持量等に応じた値であり、例えば200[℃]程度である。
図2中に破線で示すグラフは、DOC触媒2が劣化したときの触媒特性の変化を示す。DOC触媒2が劣化や被毒を受けると低温でのNO2生成量が減少し、触媒温度の上昇に対するNO2生成率の増加勾配が小さくなる。図2中に白抜き矢印で示すように、劣化が進行するに連れてグラフが右方向へ移動し、同じNO2生成率を得るための触媒温度が上昇する。
フィルタ3は、PMを捕集する多孔質フィルタ(例えば、セラミックフィルタ)である。フィルタ3の内部は、多孔質の壁体によって排気の流通方向に沿って複数に分割されている。この壁体には、PMの微粒子に見合った大きさの多数の細孔が形成される。排気が壁体の近傍や内部を通過する際に壁体内,壁体表面にPMが捕集され、排気が濾過される。
また、フィルタ3の表面では、排気中のNO2等を酸化剤として排気微粒子が連続的に焼却される。このようなPMの除去方式を連続再生方式と呼ぶ。この方式は、車両の通常走行時にフィルタを浄化再生させたい場合に用いて好適である。なお、PMの燃焼反応を促進すること等を目的として、フィルタに触媒層を設けたもの(コーテッドDPF)も開発されている。
また、本実施形態のフィルタ3では、連続再生方式の再生制御だけでなく、フィルタ3の温度を上昇させることによってPMを強制的に燃焼させる強制再生方式の再生制御も実施される。フィルタ3の温度を上昇させる手法は任意であり、例えば、DOC触媒2に炭化水素(未燃燃料,HC)等を供給して酸化熱を発生させることで排気温度を上昇させる手法や、フィルタ3をヒーター等で加熱する手法等を採用することができる。強制再生方式の再生制御時にフィルタ3上でPMを燃焼させるのに必要な排気温度のことを再生温度TF(例えば550〜600[℃])と呼ぶ。
これらのようなフィルタ3の再生制御は、後述するコントローラ7によって制御される。再生制御によってフィルタ3に捕集されたPMが除去され、フィルタ3が再生浄化される。なお、フィルタ3におけるPMの燃焼反応の化学反応式を以下に例示する。式2に示す反応は低温時のPM燃焼反応であり、おもに連続再生方式による再生制御時に進行する。また、式3に示す反応は高温時のPM燃焼反応であり、おもに強制再生方式による再生制御時に進行する。
2NO2 + C → 2NO + CO2 ・・・(式2)
C + O2 → CO2 ・・・(式3)
[1−3.SCR装置]
SCR装置4は、筒状のケーシング内の上流側に配置されるSCR触媒5(選択還元触媒)とその下流側に配置されるCUC触媒6(後段酸化触媒)とを有する。
SCR触媒5は、尿素添加型の窒素酸化物選択還元触媒であり、上流側のユリアインジェクタ11から供給される尿素水を受けてNH3を生成し、そのNH3を吸着するとともに、吸着したNH3を還元剤として排気中のNOxを窒素へと還元する機能を持つ。
SCR触媒5へのNH3の吸着量の最大値は、図3に示すように、SCR触媒5の触媒温度が低温であるほど増大し、高温であるほど減少する。また、触媒温度が所定の温度TC以上(例えば、400℃程度以上)になると、ほぼ完全にNH3の吸着量がなくなる。触媒の種類は任意であり、例えばゼオライト系,バナジウム系等の触媒を用いることが考えられる。
SCR触媒5でのNOxの還元反応は、SCR触媒5の触媒温度が所定の第二活性温度TB以上(例えば、200℃程度以上)であるときに生じ、触媒温度が高温であるほど反応速度が上昇する。なお、尿素の分解反応の化学反応式を以下に例示する。
CO(NH2)2 → HNCO + NH3 ・・・(式4)
HNCO + H2O → NH3 + CO2 ・・・(式5)
また、SCR触媒5におけるNOxの還元反応の化学反応式を以下に例示する。SCR触媒5では、三種類の反応が生じる。これらの反応のうち、NOとNO2とが等モルで反応する式8の反応は、触媒温度が200[℃]以下の温度域から、他の式6,式7の反応よりも速い速度で進行する。また、最も反応速度が遅いのは式6の反応である。
4NH3 + 4NO + O2 → 4N2 + 6H2O ・・・(式6)
8NH3 + 6NO2 → 7N2 + 12H2O ・・・(式7)
NO + NO2 + 2NH3 → 2N2 + 3H2O ・・・(式8)
CUC触媒6は、SCR触媒5での還元反応における余剰分のNH3(スリップNH3)を除去するための酸化触媒である。CUC触媒6は、NH3を酸化させる酸化触媒層と、NH3の酸化によって生じたNOxを還元する還元触媒層とを有する。酸化触媒層におけるNH3の酸化反応の化学反応式を以下に例示する。なお、還元触媒層における還元反応例としては、上記の式6〜式8に示すものが挙げられる。CUC触媒6の酸化触媒層で発生したNOxは還元触媒層でNH3と反応してN2となる。
4NH3 + 3O2 → 2N2 + 6H2O ・・・(式9)
4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O ・・・(式10)
4NH3 + 7O2 → 4NO2+ 6H2O ・・・(式11)
[1−4.NO2比率]
ここで、排気中に含まれるNOxのモル分率(モル濃度,物質量)に対するNO2のモル分率をNO2比率Rと呼ぶ。例えば、NO2が存在しない排気のNO2比率Rは0であり、NOとNO2とが等モルで存在する排気のNO2比率Rは0.5である。また、NOxの全成分がNO2である状態(すなわち、NOが存在しない状態)では、NO2比率Rが1.0となる。
なお、NO2比率Rの代わりにNO及びNO2のモル分率(物質量)の比を用いてもよい。これらの値は互いに換算することができる。例えば、NO2比率Rが0.5であることと、NO及びNO2の数(物理量)の比が一対一であることとは同義である。
図4に、典型的な車両の排気システムを想定した場合のNO2比率Rの上限値と排気温度との関係を示す。NO2比率Rの上限値は、排気温度が低温であるときには1.0である。例えば、DOC触媒2近傍の排気温度が第一活性温度TA程度であるときには、生成されたNO2のほぼ全てが排気中に存在可能であることが示されている。
一方、排気温度が高温になるほど活性の高いNO2が安定したNOに変化(熱解離)し、NO2比率Rが減少する。この熱解離するNO2量は温度などで決まり、比率は常に一定である。例えば、図4中に示すNO2比率Rが0となる温度を所定温度TDとおくと、排気温度が所定温度TDであるときにはNO2が排気中に存在できないため、仮にDOC触媒2でNO2が生成されたとしても、化学平衡によりNO2は直ちにNOに熱解離する。
図5に示すように、DOC触媒2の下流側における排気のNO2比率Rと排気温度との関係は図2及び図4のグラフの重ね合わせとして表現することができる。ここでは、排気温度が第一活性温度TA未満であるときには、NO2比率RがDOC触媒2の触媒特性(NO2の生成能力)によって規定され、第一活性温度TA以上であるときには、NO2比率RがNO及びNO2の平衡作用によって規定される。
DOC触媒2が劣化すると、図5中に白抜き矢印で示すようにグラフが高温側へシフトし、NO2比率Rは破線で示すように変化する。このとき、前者によって規定されるNO2比率Rが減少するのに対し、後者によって規定されるNO2比率Rは変化しない。例えば、後者によって規定されるNO2比率Rが0.5となる排気温度がTEであるとき、DOC触媒2の劣化の度合いに関わらず、排気温度がTEのときのNO2比率Rは0.5となる。以下、NO2の熱解離(NO2からNOへの解離時における平衡)によってNO2比率Rが0.5となる排気温度のことを熱解離温度TE(NO2→NO熱解離温度)と呼ぶ。
なお、後者によって規定されるNO2比率Rと温度との関係は、NOとNO2との化学平衡反応に応じて変動する。つまり、図4のグラフの形状や熱解離温度TEは、NO及びNO2が存在する排気の状態(例えば、排気温度,排気圧,酸素濃度等)に応じて変化する。
DOC触媒2では排気中のNOがNO2に変換されるため、排気のNO2比率RはDOC触媒2の通過前よりも通過後の方が増加する。また、フィルタ3では排気中のNO2がPMの燃焼時に消費されるため、排気のNO2比率Rはフィルタ3の通過前よりも通過後の方が減少する。一方、DOC触媒2及びフィルタ3の何れにおいても、通過の前後で排気中に含まれるNO及びNO2の総量は変化しないため、NOx濃度の真の値も変化しない。
また、SCR触媒5では、NH3が触媒上に吸着しておらず、かつ、尿素水の供給も受けていない状態ではNOxが浄化されない。つまりこの場合も、通過の前後で排気中に含まれるNO及びNO2の総量は変化せず、NOx濃度の真の値も変化しない。
したがって、このような条件下において、NOx濃度の検出値が通過の前後で変化したとすれば、その変化はNO2比率Rの変動のみの影響で生じた変化であるとみなすことができる。
ここで、DOC触媒2の上流側から一定濃度のNOを供給したときに生成されるNO2生成量MとDOC触媒2の劣化度との関係を図6に示す。図6中の実線グラフは新品の状態(以下、劣化度小の状態ともいう)を示し、細破線のグラフは劣化した状態(以下、劣化度中の状態ともいう)を示す。また、図6中の太破線は、一般的な車両に搭載された触媒の最も劣化した状態(これを劣化度大の状態ともいう)を想定した試験によって得られたグラフである。
ここでいう劣化度とは、触媒反応の起こりやすさ(触媒活性)の低下の度合いを表す指標であり、例えば新品の状態を基準とする。また、排気成分の濃度や温度条件を同一として、触媒反応で生成,消費される物質量が新品の状態よりも減少したときに、その減少の割合を劣化度としてもよい。あるいは、上記のように、一般的な車両に搭載された触媒の最も劣化した状態を、「劣化度が大の状態」と定義してもよい。少なくとも、触媒反応性が低下した触媒であるほど、その劣化度が大きいものとする。本実施形態における劣化度大の状態は、実使用を考慮して設定されたものであり、触媒活性がほとんどないことを意味するものではない。
NO2生成量は、DOC触媒2の触媒温度が高温であるほど増大する。DOC触媒2の触媒温度が一定であれば、劣化度が高いほどNO2生成量が減少する。また、同一量のNO2を生成するのに要する触媒温度は、劣化度が高いほど高温となる。つまり、DOC触媒2が劣化すると、図6中に白抜き矢印で示すようにグラフが高温側へシフトする。本実施形態の触媒劣化診断装置10は、このようなDOC触媒2の特性を利用して、DOC触媒2の劣化度を判定する。
また、SCR触媒5におけるNOx浄化率P,NO2比率R及びSCR触媒5の触媒温度の関係を図7(a)〜(c)に示す。これらの図7(a)〜(c)は劣化度の異なる三種類のSCR触媒5のそれぞれについての特性を示すものであり、(a)は劣化度が低い新品の状態(以下、劣化度小の状態ともいう)、(c)は使用可能な状態ではあるものの劣化度が高い状態(以下、劣化度大の状態ともいう)、(b)は(a)及び(c)に示すものの中間の劣化度の状態(以下、劣化度中の状態ともいう)の場合にそれぞれ対応する。
これらの三次元グラフでは、NO2比率Rが0.5近傍であれば、SCR触媒5の触媒温度に関わらず高いNOx浄化率Pが得られることが示されている。つまり、SCR触媒5に流入する排気のNO2比率Rがほぼ0.5であるときには、適正量の尿素水を供給することでエンジン20から排出されたほぼ全てのNOxがN2に還元される。
一方、NO2比率Rが0又は1.0に近い値であるときには、おおむね触媒温度に関わらず、劣化度が高いほどNOx浄化率Pが低下している。本実施形態の触媒劣化診断装置10は、このようなSCR触媒5の特性を利用して、SCR触媒5の劣化度を判定する。
[2.コントローラでの制御]
コントローラ7〔ECU,Engine (electronic) Control Unit〕は、エンジン20を含む吸排気システムを統括管理する電子制御装置であり、マイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスである。コントローラ7では、DOC触媒2及びSCR触媒5の劣化判定のほか、フィルタ3の再生制御やユリアインジェクタ11からの尿素水の噴射制御等が実施されている。
コントローラ7の入力側には、前述のNOxセンサ9,温度センサ14,第二温度センサ19,エアフローセンサ22,アクセル開度センサ23及びエンジン回転数センサ24が接続される。また、コントローラ7の出力側には、ユリアインジェクタ11やエンジン20の制御装置(エンジンECU),報知装置15(報知手段)が接続される。報知装置15は、ディスプレイ,ランプ等の表示装置とスピーカ,ブザー等の音響装置とを内蔵した出力装置であり、例えば車室内のインストルパネルに取り付けられる。
本実施形態では、コントローラ7に実装される機能のうち、おもにDOC触媒2の劣化判定制御及びSCR触媒5の劣化判定制御について説明する。
DOC触媒2の劣化判定制御は、図5に示すようなNO2比率R、あるいは、図6に示すようなNO2生成量Mに基づいてDOC触媒2の劣化度を判定し、報知装置15に出力する制御である。本触媒劣化診断装置10では、NOxセンサ9がSCR触媒5の下流側に設けられているため、DOC触媒2の劣化の判定に係るNO2比率R,NO2生成量Mの演算時には以下の条件が要求される。
条件〔A〕ユリアインジェクタ11からの尿素水の添加を停止していること。
条件〔B〕SCR触媒5にNH3が吸着していないこと。
上記の条件〔A〕及び〔B〕のいずれか一方でも満たさない場合、SCR触媒5でNOxが還元され、NOxセンサ9での検出値が、DOC触媒2を通過した直後のNOx値から変化してしまう。つまり、NOx総量が減少するため、NO2比率R,NO2生成量Mを演算しない。
また、DOC触媒2の劣化度を判定するには、以下の条件を要する。
条件〔C〕DOC触媒2の触媒温度が150[℃]〜400[℃]であること。
これは、触媒の劣化度によりNO2生成量に大きな差が現れるのが大体150[℃]以上であること、及び、400[℃]近くまで高温となると、熱解離により生成されたNO2がNOに解離してしまうことによる。なお、条件〔C〕は、例えばフィルタ3の強制再生時、特に強制再生開始時であれば、容易に成立する。
SCR触媒5の劣化判定制御は、図7(a)〜(c)に示すような特性に基づいてSCR触媒5の劣化度を判定し、報知装置15に出力する制御である。この制御では、SCR触媒5でのNOx浄化率P,NO2比率R及びSCR触媒5の触媒温度に基づいて、SCR触媒5の劣化度が判定される。この劣化判定においても、上記の条件〔A〕及び〔B〕がともに成立する場合にのみ正確なNO2比率Rが把握される。したがって、まず尿素水の添加が停止された状態でNO2比率Rを演算した後にユリアインジェクタ11から尿素水を添加し、その時のNOx浄化率Pと触媒温度とを把握する。
[3.コントローラの機能]
コントローラ7の内部にソフトウェア又はハードウェア回路としてプログラミングされている機能を、図1中に模式的に示す。なお、ソフトウェアとする場合には、そのソフトウェアを図示しないメモリや記憶装置に記録し、図示しないCPU(Central Processing Unit,中央処理装置)に随時読み込むことによって以下に説明する機能を実現する。
コントローラ7には、第一NOx量取得部7a,センサ特性記憶部7b,触媒温度取得部7c,流量取得部7d,NO2比率演算部7e,NO2量演算部7f,浄化率演算部7g及び劣化判定部7hが設けられる。
第一NOx量取得部7a(第一NOx量取得手段)は、エンジンアウトの第一NOx濃度C1を演算するものである。図8に示すように、第一NOx量取得部7aには、エンジン20の運転状態とその時にエンジン20から排出される(エンジンアウトの)NOx濃度との対応関係が記述されたマップが記憶されている。第一NOx量取得部7aは、このマップとアクセル開度θAC及びエンジン回転数Nとに基づいて第一NOx濃度C1を演算する。なお、第一NOx濃度C1に排気流量を乗じるとエンジン20から排出されるNOx量MEが算出される。また、排気流量の代わりに吸気流量Qを用いてもよい。
第一NOx濃度C1は、エンジン20に作用する負荷が大きいほど(エンジン20で発生するトルクが大きいほど)増加する傾向にある。また、図8中に破線で示すように、運転状態をエンジン回転数Nの大きさに応じて便宜的に三つの領域に分割すると、低回転領域及び高回転領域の運転状態では、その中間の中回転領域の運転状態よりもエンジン20で発生するNOx濃度が増大する傾向が見られる。このような傾向は、エンジン20に作用する負荷が大きいほど顕著となる。
ここで演算された第一NOx濃度C1は、NO2比率演算部7eに伝達される。なお、図8のようなマップを用いる代わりに、図1中に破線で示すように、DPF装置1よりも上流側にNOxセンサ13(上流NOxセンサ)を設け、このNOxセンサ13で検出されたNOx濃度C0を第一NOx濃度C1としてもよい。この場合、エンジンアウトのNOx濃度を正確に取得することができ、触媒の劣化判定精度を向上させることができる。
センサ特性記憶部7b(センサ特性記憶手段)は、排気中のNO2の割合によって変動するNOxセンサ9の出力特性を記憶するものである。ここには、図9に示すようなセンサ出力特性マップが記憶されている。この特性マップは、排気中のNO2がNOxセンサの出力に与える影響を調査した結果として得られたマップである。
このセンサ出力特性マップの縦軸の値は、NOxセンサ9の出力誤差Gであり、真のNOx濃度に対応する検出値に対して、実際にNOxセンサ9で検出された検出値の比である。本触媒劣化診断装置10では、NOx濃度の真の値をエンジンアウトのNOx濃度とし、エンジンアウトのNOx濃度として第一NOx濃度C1を用いる。したがって、NOxセンサ9の出力誤差は以下の式12で与えられる。
Figure 2012036856
また、センサ出力特性マップの横軸の値は、NOxセンサ9での検出に係る排気のNO2比率Rである。なお、NOxセンサ9はエンジン20から排出された直後の排気中に含まれるNOx濃度が正確に計測されるようにその出力が調整されている。エンジンアウトの排気のNO2比率RをX(エンジン20の典型的な運転状態では、X=0.1前後である)とおくと、NO2比率RがXよりも高くなるほどNOxセンサ9の出力値は低下し、Xよりも低くなるほどNOxセンサ9の出力値は上昇する。
センサ出力特性マップ中における出力誤差GとNO2比率Rとの関係は一対一である。なお、NO2比率Rの変動に対する出力誤差Gの変化量が大きいほど好ましい。これにより、NO2比率Rの誤差が小さくなり、演算精度が向上する。また、図9では直線的なグラフが示されているが、出力誤差GとNO2比率Rとの関係は一次関数で表現されるような関係に限定されない。例えば、図14(a)に示すように、出力誤差GとNO2比率Rとの関係が折れ線状に表現されるものであってもよいし、図14(b)に示すように、曲線状に表現されるものであってもよい。センサ出力特性マップは、NOxセンサ9の実際の出力特性に忠実なものであることが好ましい。
触媒温度取得部7c(触媒温度取得手段,第二触媒温度取得手段)は、DOC触媒2及びSCR触媒5の触媒温度を推定演算するものである。ここではまず、温度センサ14で検出された排気温度T1に基づき、DOC触媒2の内部の触媒温度TG(DOC触媒2の触媒温度)が推定される。また、第二温度センサ19で検出された排気温度T2に基づき、SCR触媒5の内部の触媒温度TH(SCR触媒5の触媒温度)が推定される。なお、DOC触媒2及びSCR触媒5の触媒温度TG,THの推定手法はこれに限定されず、例えば、DOC触媒2の下流側の排気温度を用いて触媒温度TGを推定してもよいし、DOC触媒2の上流側及び下流側の両方の排気温度を用いて触媒温度TGを推定してもよい。同様に、SCR触媒5の下流側の排気温度を用いて触媒温度THを推定してもよい。ここで推定された触媒温度TG,THは劣化判定部7hに伝達される。
流量取得部7d(流量取得手段)は、エアフローセンサ22で検出された吸気量Qに基づき、排気流量QEを推定するものである。なお、エンジン20のエキゾーストマニホールドに設けられた排気流量センサ等を用いて直接的に排気流量QEを検出する構成としてもよい。ここで取得された排気流量QEは、NO2量演算部7fに伝達される。
NO2比率演算部7e(NO2比率演算手段)は、第一NOx量取得部7aで演算された第一NOx濃度C1と、NOxセンサ9で検出されたNOx濃度C2と、センサ特性記憶部7bに記憶されたマップとに基づいて、DOC触媒2の下流側の排気のNO2比率R1を演算するものである。ここでは、上記の条件〔A〕及び〔B〕がともに成立する状態でのみ、NO2比率Rが演算される。ここで演算されたNO2比率Rは、NO2量演算部7f及び劣化判定部7hに伝達される。
なお、図1中に破線で示すように、DOC触媒2の直下流(例えば、DOC触媒2とフィルタ3との間の排気通路上)にNOxセンサ12を設け、このNOxセンサ12で検出されたNOx濃度C3を用いてNO2比率R1を演算してもよい。この場合、上記の条件〔A〕及び〔B〕が不要となり、常時NO2比率Rが演算される。
例えば、NOxセンサ12で検出されたNOx濃度C2と第一NOx濃度C1とが同一であれば、出力誤差GがG=1.0となり、これに対応するNO2比率R1はR1=X(エンジンアウトの排気のNO2比率と同一の値)となる。NOxセンサ12で検出されたNOx濃度C2が小さいほど出力誤差Gの値も小さくなり、NO2比率R1が増大する。
NO2量演算部7f(NO2量演算手段)は、NO2比率演算部7eで演算されたNO2比率R1と、第一NOx量取得部7aで演算された第一NOx濃度C1と、流量取得部7dで推定された排気流量QEとに基づき、DOC触媒2の下流側のNO2生成量Mを演算するものである。
まず、エンジンアウトの排気のNO2比率がXであるとすると、この排気中に含まれるNO2量ME1は以下の式13で与えられる。また、DOC触媒2の下流側の排気中に含まれるNO2量ME2は以下の式14で与えられる。したがって、DOC触媒2でのNO2の生成量Mは、式15に示すように、これらの差(ME2−ME1)として算出される。ここで演算されたNO2生成量Mは、劣化判定部7hに伝達される。
Figure 2012036856
浄化率演算部7g(浄化率演算手段)は、SCR触媒5によるNOx浄化率Pを演算するものである。ここでは、以下の式16に従ってNOx浄化率Pが演算される。ただし、このNOx浄化率Pの演算は、ユリアインジェクタ11から尿素水が添加された時点を基準として所定時間が経過したときに実施される。ここで演算されたNOx浄化率Pは、劣化判定部7hに伝達される。
Figure 2012036856
劣化判定部7h(劣化判定手段)は、DOC触媒2及びSCR触媒5の劣化度を判定するものであり、DOC劣化判定部8a及びSCR劣化判定部8bを有する。DOC劣化判定部8aには、図5に示すNO2比率Rと排気温度との対応マップと、図6に示すNO2生成量MとDOC触媒2の劣化度との対応マップとが記憶されている。
DOC劣化判定部8aでの第一の劣化判定手法は、触媒温度取得部7cで推定されたDOC触媒2の触媒温度TGとNO2量演算部7fで演算されたNO2生成量Mとに基づき、DOC触媒2の劣化度を判定するものである。
例えば、図6に示すように、DOC触媒2の触媒温度がTX[℃]であるときに、NO2生成量MがMX[g/h]であれば、DOC触媒2の劣化度が中程度(劣化度中の状態)であると判定する。なお、図6では、劣化度小,中及び大の状態のそれぞれに対応するラインが示されているが、ラインの数と劣化度の判定の種類数とがこれに限定されることを意味しない。つまり、ライン数を増やしてより細分化したマップとしてもよい。
DOC劣化判定部8aでの第二の劣化判定手法は、DOC触媒2を通過後の排気のNO2比率Rと触媒温度とに基づき、DOC触媒2の劣化度を判定するものである。図5に示すように、NO2比率Rが0.5となる触媒温度は、劣化が進行するに連れて上昇する。したがって、所定のNO2比率Rとなる触媒温度を検出することで、劣化がどの程度進行しているのかを把握することができる。例えば、NO2比率Rが0.5となる触媒温度がTXであるときに、DOC触媒2の劣化度が中程度(劣化度中の状態)であると判定する。
DOC劣化判定部8aでの第三の劣化判定手法は、DOC触媒2を通過後の排気のNO2比率Rが所定値(例えば、R=0.5)又は所定範囲内となる温度又は温度帯におけるNO2生成量Mに基づき、DOC触媒2の劣化度を判定するものである。換言すれば、NO2比率Rが一定であるときのNO2生成量Mから、DOC触媒2の劣化度を判定する。
例えば、第二の劣化判定手法においてNO2比率Rが0.5となる触媒温度がTXであることが検出された場合、引き続き第一の劣化判定手法を用いて触媒温度がTXであるときのNO2生成量MからDOC触媒2の劣化度を判定する。
SCR劣化判定部8bには、図7(a)〜(c)に示すような、SCR触媒5におけるNOx浄化率P,NO2比率R及びSCR触媒5の触媒温度の対応関係をSCR触媒5の劣化度毎に記述したマップが記憶されている。これを用いて、SCR劣化判定部8bは、劣化判定部7hで演算されたNOx浄化率P,NO2比率演算部7eで演算されたNO2比率R及び触媒温度取得部7cで推定されたSCR触媒5の触媒温度THに基づき、SCR触媒5の劣化度を判定する。
例えば、NO2比率RがXであり、NOx浄化率PがYであり、触媒温度THがZであって、これらの各パラメータを座標とする点が図7(b)に示す三次元グラフの面上に位置している場合には、SCR触媒5の劣化度が中程度(劣化度中の状態)であると判定される。
なお、図7(a)〜(c)に示すように、NO2比率Rが0.5前後であるときには、触媒温度や劣化度に関わらず、高いNOx浄化率Pが得られることがわかる。つまり、仮にSCR触媒5が劣化していたとしても、その劣化がNOx浄化率Pに及ぼす影響は、NO2比率RがNOx浄化率Pに及ぼす影響よりも小さいといえる。したがって、SCR触媒5の劣化度を判定する上では、NO2比率Rが0.5でないこと(例えば、NO2比率Rが0〜0.4又は0.6〜1.0であること)が好ましい。
劣化判定部7hでの判定結果は、報知装置15に伝達される。報知装置15では、例えばディスプレイにDOC触媒2及びSCR触媒5の劣化度が表示され、乗員への報知がなされる。また、劣化度が大きい場合には、画面表示に加えて警告ランプやブザー等によって警告が報知され、触媒の点検,メンテナンス,交換が促される。
[4.フローチャート]
[4−1.NO2比率によるDOC劣化判定]
図10,図11は、触媒劣化診断装置10でのDOC触媒2の劣化判定に係る制御の一例を説明するためのフローチャートである。これらのフローは、コントローラ7の内部で繰り返し実施されている。
図10のフローチャートは、DOC劣化判定部8aでの第二の劣化判定手法に基づく制御内容を例示するものである。このフローのステップA10では、コントローラ7において劣化判定条件が成立したか否かが判定される。この劣化判定条件とは、上記の条件〔A〕〜〔C〕の全てが成立することである。ここで、劣化判定条件が満たされる場合には制御がステップA20へ進み、劣化判定条件が満たされない場合はそのまま制御が終了する。
ステップA20では、エアフローセンサ22で検出された吸気量Q,アクセル開度センサ23で検出されたアクセル開度θAC及びエンジン回転数センサ24で検出されたエンジン回転数Nがコントローラ7に入力される。続くステップA30では、第一NOx量取得部7aにおいて、エンジンアウトの第一NOx濃度C1が演算される。また、続くステップA40では、NOxセンサ9で検出されたNOx濃度C2がコントローラ7に入力される。
ステップA50では、NO2比率演算部7eにおいて、第一NOx濃度C1,NOx濃度C2及びセンサ特性記憶部7bに記憶されたマップに基づきNO2比率R1が演算される。また、ステップA60では、触媒温度取得部7cにおいて、DOC触媒2の内部の触媒温度TGが演算される。そしてステップA70では、DOC劣化判定部8aにおいて、図5に例示するマップを用いた劣化判定が実施され、劣化度が判定される。続くステップA80では、DOC触媒2の劣化度がディスプレイに表示される。なお、劣化度が高く交換が必要な場合等には、画面表示に加えて警告ランプやブザー等によって警告が報知される。
[4−2.NO2量によるDOC劣化判定]
図11のフローチャートは、DOC劣化判定部8aでの第三の劣化判定手法に基づく制御内容を例示するものである。このフローのステップB10〜B50は、上記のフローのステップA10〜50に対応し、説明を省略する。
ステップB60では、DOC劣化判定部8aにおいて、NO2比率Rが所定範囲内(例えば、0.4<R<0.6)であるか否かが判定される。この条件が成立しない場合にはそのままこのフローを終了する。一方、この条件が成立する場合にはステップB70に進む。
ステップB70では、触媒温度取得部7cにおいて、DOC触媒2の内部の触媒温度TGが演算される。また続くステップB80では、NO2量演算部7fにおいて、NO2生成量Mが演算される。ここでの演算は、所定期間(例えば、20〜30秒間)の積算値とすることが好ましい。これにより、NOxセンサ9による検出結果のばらつきの影響が抑制され、判定精度が向上する。
ステップB90では、DOC劣化判定部8aにおいて、図6に例示するマップを用いた劣化判定が実施され、劣化度が判定される。続くステップB100では、DOC触媒2の劣化度がディスプレイに表示される。
[4−3.SCR劣化判定]
図12のフローチャートは、SCR劣化判定部8bでの制御内容を例示するものである。このフローのステップC10では、フラグFがF=0であるか否かが判定される。フラグFの初期値はF=0であり、最初はステップC20へ進む。
ステップC20では、コントローラ7において、ユリアインジェクタ11から尿素水が添加されていない状態であるか否かが判定される。ここで尿素水の添加が停止していればステップC30へ進み、尿素水を添加中である場合はそのままフローを終了する。
ステップC30では、SCR触媒5上にNH3が脱離済みであるか否かが判定される。この判定は、例えば、NOxセンサ9での検出値が予め設定された所定値まで上昇したら離脱完了と判定するようにしてもよく、あるいは、尿素水の添加を停止してから所定時間が経過した時点で脱離完了と判定するようにしてもよい。いずれの場合にしても、尿素水の添加を停止すれば、SCR触媒5上に吸着していたNH3によりNOxの浄化が継続して行われるが、所定時間が経てば、吸着したNH3の全てがNOxの還元に消費される。なお、ステップC20及びステップC30では、上記の条件〔A〕及び〔B〕を満たしている否かが判定されている。
ステップC30において、NH3が脱離済みと判定されればステップC40に進む。一方、ステップS30において、NH3が脱離済みでない場合はそのままフローを終了する。
ステップC40では、エアフローセンサ22で検出された吸気量Q,アクセル開度センサ23で検出されたアクセル開度θAC及びエンジン回転数センサ24で検出されたエンジン回転数Nがコントローラ7に入力される。続くステップC50では、第一NOx量取得部7aにおいて、エンジンアウトの第一NOx濃度C1が演算される。また、続くステップC60では、NOxセンサ9で検出されたNOx濃度C2がコントローラ7に入力される。
ステップC70では、NO2比率演算部7eにおいて、第一NOx濃度C1,NOx濃度C2及びセンサ特性記憶部7bに記憶されたマップに基づきNO2比率R1が演算される。ここでNO2比率R1を取得した後、ステップC80では、NOx浄化率を取得するために、ユリアインジェクタ11から排気中に還元剤としての尿素水が添加される。また、続くステップC90では尿素水を添加してからの経過時間を計測するためのタイマーが開始され、続くステップC100でフラグFがF=1に設定される。
ステップC110では、タイマーの値が時間経過に応じて増大するように、所定値を加算したものが代入される。なお、図12中のtnは今回の制御周期でのタイマーの値を示し、tn-1は前回の制御周期でのタイマーの値を示す。
ステップC120では、タイマーの値tnが所定時間t0を越えたか否かが判定される。ここで所定時間t0を越えていなければそのまま制御が終了し、ステップC10からステップC110へと制御がスキップされる。したがって、タイマーの値tnが所定時間t0を越えるまで、タイマーの値の積算が繰り返される。一方、所定時間t0が経過したらステップC130へ進む。
所定時間t0は、尿素水がSCR触媒5に向かう排気中に添加されることによりNOxが浄化され、NOxセンサ9で検出されるNOx濃度が安定するまでに要する時間であり、実験等によって予め取得可能である。なお、ステップC110での判定条件を変更して、NOxセンサ9で検出されるNOx濃度が安定した時点でステップC130に進むような制御としてもよい。
ステップC130ではタイマーが停止され、続くステップC140ではフラグFがF=0に設定される。また、続くステップC150では、NO2比率演算部7eにおいて、第一NOx濃度C1,NOx濃度C2及びセンサ特性記憶部7bに記憶されたマップに基づきNO2比率R1が再び演算される。
ステップD160では、浄化率演算部7gにおいて、SCR触媒5によるNOx浄化率Pが演算される。また、続くステップC170では、触媒温度取得部7cにおいて、SCR触媒5の内部の触媒温度THが演算される。
ステップC180では、SCR劣化判定部8bにおいて、図7(a)〜(c)に例示するマップを用いた劣化判定が実施され、劣化度が判定される。続くステップC190では、SCR触媒5の劣化度がディスプレイに表示される。
[4−3.SCR劣化判定]
図13のフローチャートは、図1中に破線で示すNOxセンサ25を備えた触媒劣化診断装置10におけるSCR劣化判定部8bでの制御内容を例示するものである。つまり、SCR触媒5を挟むように二つのNOxセンサを設けた場合を想定したものである。
NOxセンサ25は、SCR触媒5に流入する前の排気中のNOx濃度C4を検出し、これをコントローラ7に伝達する。一方、コントローラ7のNO2比率演算部7eは、第一NOx量取得部7aで演算された第一NOx濃度C1と、NOxセンサ25で検出されたNOx濃度C4と、センサ特性記憶部7bに記憶されたマップとに基づいて、DOC触媒2の下流側の排気のNO2比率R1を演算する。
この場合、第一NOx濃度C1とNOx濃度C4とではNOxの総量が変化しないため、条件〔A〕及び〔B〕が成立していなくても、正確なNO2比率を演算可能となる。
例えば、ステップD10では、エアフローセンサ22で検出された吸気量Q,アクセル開度センサ23で検出されたアクセル開度θAC及びエンジン回転数センサ24で検出されたエンジン回転数Nがコントローラ7に入力される。続くステップステップD20では、第一NOx量取得部7aにおいて、エンジンアウトの第一NOx濃度C1が演算される。また、続くステップD30では、NOxセンサ25で検出されたNOx濃度C4がコントローラ7に入力される。
ステップD40では、NO2比率演算部7eにおいて、第一NOx濃度C1,NOx濃度C4及びセンサ特性記憶部7bに記憶されたマップに基づきNO2比率R1が演算される。また、ステップD50では、触媒温度取得部7cにおいて、SCR触媒5の内部の触媒温度THが演算される。
続くステップD60では、コントローラ7において、ユリアインジェクタ11から尿素水が添加されているか否かが判定される。ここで尿素水が添加されていればステップD70へ進み、添加されていなければそのままフローを終了する。
ステップD70では、浄化率演算部7gにおいて、SCR触媒5によるNOx浄化率Pが演算される。その後、ステップD80では、SCR劣化判定部8bにおいて、図7(a)〜(c)に例示するマップを用いた劣化判定が実施され、劣化度が判定される。また、ステップD90では、SCR触媒5の劣化度がディスプレイに表示される。
[5.作用,効果]
このように、上記の触媒劣化診断装置10では、DOC触媒2を通過した後のNO2比率を演算することで、DOC触媒2及びSCR触媒5での化学反応量を把握することができ、これらの触媒の劣化度を正確に判定することができる。また、図6や図7(a)〜(c)に示すようなマップと劣化度との対応関係を利用して、劣化の進行度合いを数値で表現することも可能であり、この場合触媒の劣化度を正確に把握することができる。
また、図9に示すようなセンサ出力特性マップを記憶するセンサ特性記憶部7bをコントローラ7に設けることで、例えば、図14(a),図14(b)等に示すような非線形の複雑な対応関係であっても正確に記憶することができる。このような正確な対応関係を用いてNO2比率を演算することで、DOC触媒2及びSCR触媒5のそれぞれの劣化度をより正確に判定することができる。
また、上記の触媒劣化診断装置10では、センサ特性記憶部7bに記憶された対応関係において、出力誤差GとNO2比率とが一対一に対応するため、NOxセンサ9での検出値の大きさに関わらずNO2比率を一意に決定することができる。これにより、劣化判定部7hにおける劣化診断の信頼性を向上させることができる。
また、上記の触媒劣化診断装置10では、NO2比率R,NO2生成量Mを演算するための条件として、条件〔A〕及び〔B〕を設定している。これにより、触媒の上流側及び下流側のNOx総量が変化しない状況下でのみNO2比率を演算することになるため、正確なNO2比率を得ることができ、劣化診断の信頼性を向上させることができる。
さらに、DOC触媒2の劣化度の判定に関して、第二及び第三の劣化判定手法では、DOC触媒2の触媒温度TGとNO2比率とを用いることで、DOC触媒2上での反応性と温度との関係を把握することができ、DOC触媒2の劣化度を正確に判定することができる。
また、第一及び第三の劣化判定手法では、DOC触媒2でのNO2生成量Mを演算することで、実際のNO2の変化量を把握することができ、DOC触媒2の劣化度をさらに正確に判定することができる。
一方、SCR触媒5の劣化度の判定では、NOx浄化率を演算することで、SCR触媒5の劣化度を正確に判定することができる。
また、上記の触媒劣化診断装置10では、エンジン20の運転状態からDOC触媒2の上流側の第一NOx量C1を取得するため、DOC触媒2よりも上流側にNOxセンサを設ける必要がなくなり、コストを削減しつつ触媒の劣化診断を実施することができる。
なお、図1中に破線で示すように、DPF装置1よりも上流側にNOxセンサ13を設けた場合には、上記の触媒劣化診断装置10と比較すると若干コストが増大するものの、エンジンアウトのNOx濃度を正確に取得することができ、触媒の劣化判定精度を向上させることができる。
さらに、DOC触媒2及びSCR触媒5の劣化度が随時、報知装置15から乗員に報知されるため、乗員は排気浄化システムの状態を確認しながら車両を運転することができ、ユーザビリティを向上させることができる。
[6.変形例]
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述の実施形態の触媒劣化診断装置10は、NO2濃度(NO2量)に対するセンサ出力特性の変動に着目して正確なNO2比率を取得し、これを用いて触媒の劣化判定を行うものである。したがって、DOC触媒2やSCR触媒5といった触媒を備えた排気システムであって、触媒の下流側にNOxセンサを備えたものであれば適用可能である。例えば、フィルタ3やCUC触媒6といった要素は必須の要素ではない。
また、上述の実施形態では、エンジン20の運転状態から第一NOx濃度C1を演算する第一NOx量取得部7aを例示し、これに代えてNOxセンサ13を設ける点について述べたが、第一NOx量取得部7aで演算された第一NOx濃度C1とNOxセンサ13で検出されたNOx濃度C0との双方を用いることも考えられる。例えば、どちらか一方でもう一方の取得結果を検算するように構成してもよく、それぞれの検出結果を平均化してもよい。マップ及びセンサを併用することで、さらに正確なエンジンアウトNOx値を取得することができる。
また、上述の実施形態ではディーゼルエンジンの排気系に本発明を適用したものが例示したが、ガソリンエンジンの排気系への適用も可能である。
1 DPF装置
2 DOC触媒(酸化触媒)
3 フィルタ
4 SCR装置(選択還元触媒)
5 SCR触媒
6 CUC触媒
7 コントローラ
7a 第一NOx量取得部(第一NOx量取得手段)
7b センサ特性記憶部(センサ特性記憶手段)
7c 触媒温度取得部(触媒温度取得手段,第二触媒温度取得手段)
7d 流量取得部(流量取得手段)
7e NO2比率演算部(NO2比率演算手段)
7f NO2量演算部(NO2量演算手段)
7g 浄化率演算部(浄化率演算手段)
7h 劣化判定部(劣化判定手段)
8a DOC劣化判定部
8b SCR劣化判定部
9 NOxセンサ(下流NOxセンサ)
10 触媒劣化診断装置
11 ユリアインジェクタ
13 NOxセンサ(上流NOxセンサ)
14 温度センサ(触媒温度取得手段)
15 報知装置(報知手段)
19 第二温度センサ(第二触媒温度取得手段)

Claims (7)

  1. エンジンの排気通路上に設けられた触媒の劣化を診断する触媒劣化診断装置であって、
    前記触媒の上流側の排気中に含まれる第一NOx量を取得する第一NOx量取得手段と、
    前記触媒の下流側に設けられ、前記下流側の排気中に含まれる第二NOx量に対応する検出値を出力する下流NOxセンサと、
    前記下流側の排気中に含まれるNO2量の前記第二NOx量に対するNO2比率と、前記下流NOxセンサにおける前記検出値の前記第一NOx量に対応する検出値に対する比との対応関係を記憶するセンサ特性記憶手段と、
    前記第一NOx量取得手段で取得された前記第一NOx量と、前記下流NOxセンサで検出された前記検出値と、前記センサ特性記憶手段に記憶された前記対応関係とに基づき、前記NO2比率を演算するNO2比率演算手段と、
    前記NO2比率演算手段で演算された前記NO2比率に基づき、前記触媒の劣化度を判定する劣化判定手段と
    を備えたことを特徴とする、触媒劣化診断装置。
  2. 前記センサ特性記憶手段が、前記NO2比率と前記比とが一対一に対応する前記対応関係を記憶する
    ことを特徴とする、請求項1記載の触媒劣化診断装置。
  3. 前記NO2比率演算手段が、前記触媒の上流側及び下流側の排気中に含まれるNO及びNO2を合計した総量が変化しない状況下で前記NO2比率を演算する
    ことを特徴とする、請求項2記載の触媒劣化診断装置。
  4. 前記触媒の温度を取得する触媒温度取得手段を備え、
    前記劣化判定手段が、前記NO2比率演算手段で演算された前記NO2比率と、前記触媒温度取得手段で取得された前記温度とに基づき、前記触媒の劣化度を判定する
    ことを特徴とする、請求項3記載の触媒劣化診断装置。
  5. 前記触媒の上流側から下流側に流通する排気流量を取得する流量取得手段と、
    前記NO2比率演算手段で演算された前記NO2比率と、前記下流NOxセンサで検出された前記検出値と、前記流量取得手段で取得された前記排気流量とに基づき、前記下流側に流出したNO2量を演算するNO2量演算手段とを備え、
    前記劣化判定手段が、前記NO2量演算手段で演算された前記NO2量に基づき、前記触媒の劣化度を判定する
    ことを特徴とする、請求項3記載の触媒劣化診断装置。
  6. 前記触媒が、前記エンジンの排気中のNOxを窒素に還元する選択還元触媒を有し、
    前記選択還元触媒の触媒温度を取得する第二触媒温度取得手段と、
    前記第一NOx量取得手段で取得された前記第一NOx量と、前記下流NOxセンサで検出された前記第二NOx量とに基づき、前記選択還元触媒でのNOx浄化率を演算する浄化率演算手段と、
    前記劣化判定手段が、前記浄化率演算手段で演算された前記NOx浄化率と、前記NO2比率演算手段で演算された前記NO2比率と、前記第二触媒温度取得手段で取得された前記触媒温度とに基づき、前記選択還元触媒の劣化度を判定する
    ことを特徴とする、請求項3〜5の何れか1項に記載の触媒劣化診断装置。
  7. 前記劣化判定手段で判定された前記劣化度を報知する報知手段を備えた
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の触媒劣化診断装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111022164A (zh) * 2018-10-09 2020-04-17 日本碍子株式会社 催化器的劣化诊断装置及催化器的劣化诊断方法
CN112649320A (zh) * 2020-12-25 2021-04-13 潍柴动力股份有限公司 确定氧化催化剂doc老化程度的方法及相关设备
US11118495B2 (en) 2017-04-26 2021-09-14 Cataler Corporation Exhaust gas-purifying system and automotive vehicle
WO2023167202A1 (ja) * 2022-03-04 2023-09-07 コベルコ建機株式会社 作業機械、酸化触媒の劣化検知装置、酸化触媒の劣化検知方法、および、酸化触媒の劣化検知プログラム

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