JP2012019178A - 圧電素子及び圧電素子製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の圧電素子1は、電圧印加時に形状が変化する2以上の第1の領域3と、電圧印加時の形状の変化量が第1の領域3より小さい第2の領域5とを、該第2の領域5が該第1の領域3同士の間に位置するように積層することにより作られる。第1の領域3は、正極電極及び負極電極に挟まれたセラミックス材料からなり、第2の領域5は、同じ極の電極に挟まれたセラミックス材料からなる。
【選択図】図1
Description
例えば、下記特許文献1には、側面に極性の異なる一対の外部電極を有する圧電アクチュエータであって、複数の圧電体と内部電極層とが積層され、各内部電極層に接続される外部電極の極性が一層ごとに異なるように作られている圧電アクチュエータが開示されている。この圧電アクチュエータでは、一方の外部電極に接続された内部電極と他方の外部電極とを離間する必要があるので、かかる内部電極と外部電極との間付近には、圧電体のうち、電圧印加時に変形しない(電位差が生じない)領域が存在する。
本発明は、より耐久性の高い圧電素子を提供することを目的とする。
また別の実施態様では、前記第2の領域は、それぞれ前記圧電素子の厚みの3%以上の厚みに作るのがよい。圧電素子の厚みとは、第1及び第2の領域を積層する方向の長さをいう。
また別の実施態様では、前記第2の領域は、それぞれ前記圧電素子の厚みの4%以上の厚みに作るとより好ましい。
本発明の圧電素子は、電圧印加時に形状が変化する2以上の第1の領域と、形状の変化量が前記第1の領域より小さい第2の領域とを、該第2の領域が該第1の領域の間に位置するように積層することにより作られる、ことを特徴とする。
図1(A)は、圧電素子1を模式的に示し、図1(B)は、圧電素子1の一部を拡大して示す。
圧電素子1は、図1(A)に示すように、電圧を印加することにより形状が変化する2以上の第1の領域3と、形状の変化量が第1の領域3より小さい第2の領域5とを有し、第1の領域3及び第2の領域5を、第2の領域5が第1の領域3の間に位置するように積層して作られている。
第1の領域3は、図1(B)に示すように、極性の異なる内部電極7a,7bが交互に積層されるように、内部電極7a又は内部電極7bと該内部電極7a,7bのいずれかに接続された外部電極9a,9bとを有する圧電体(例えば、圧電セラミックスなど)11を重ね合わせて作られる。例えば、圧電体11は、いずれも同じ厚み(例えば100μm厚)で作られている。
より詳細には、内部電極7a,7bは、圧電体11を重ね合わせた場合に極性の異なる外部電極9b,9aと接触しないように、図1(B)に示すように、圧電体11の一方の端とは離間するように圧電体11の表面に形成される。例えば、正極の内部電極7aは、圧電体11を重ね合わせた場合に負極の外部電極9bと接触しないように、圧電体11の右端(図において右端)から離間されている。なお、かかる第1の領域3の形成方法は、従来の圧電素子の製造方法と同様である。
第2の領域5を形成する不活性層13としては、例えば圧電体11と同様の材料を用いることができる。図示の例では、第2の領域5は、圧電体を用いて形成されるものとするが、第1の領域3とは異なり、その上面に内部電極を有していない。また、図1(B)に示すように、第2の領域5の上端と下端とに同じ極性の内部電極(図では内部電極7a)がそれぞれ配置されるように、第1の領域3が形成されている。これにより、かかる同じ極性の内部電極7a間に配置された圧電体(第2の領域5)は、圧電素子1に電圧を印加しても電圧の影響を受けない(電圧が印加されない)ので、形状が変化しない。
[試験方法]
圧電素子の実施例及び比較例に対し、下記の試験を実施した。
(1)DC電源(KENWOOD PA500−0.1A)を用いて一定の電圧(70〜200V)を3秒間印加する。
(2)3秒間の電圧印加が終了する度にインピーダンスアナライザ(hp 4294A)で波形を確認して、波形異常が認められない場合は合格とし、波形異常(例えば、図2における破線で囲った部分を参照)が認められる場合はマイクロクラック(破壊)が発生したものと推定し、不合格とする。
まず、実施例1、実施例2、及び比較例それぞれの構成について説明する。
[実施例1]
(1)全長=10mm、
(2)分割数(第1の領域3の個数)=2(第2の領域5を1つ有する)、
(3)圧電体の厚み=100μm、
(4)不活性層13の厚みの合計(第2の領域5の厚み)D2=400μm(例えば、100μm×4層)、
(5)供試体の数=10個、
(6)印加電圧=70V、100V、120V、150V。
(1)全長=10mm、
(2)分割数(第1の領域3の個数)=2(第2の領域5を1つ有する)、
(3)圧電体の厚み=100μm、
(4)不活性層13の厚みの合計(第2の領域5の厚み)D2=800μm(例えば、100μm×8層)、
(5)供試体の数=10個、
(6)印加電圧=70V、100V、120V、150V。
(1)全長=10mm、
(2)分割数(第1の領域3の個数)=1(第2の領域5を有しない)、
(3)圧電体の厚み=100μm、
(4)供試体の数=10個、
(5)印加電圧=70V、80V、90V、100V、110V、120V。
一方、不活性層を有する実施例1と実施例2それぞれの圧電素子は、100Vの電圧印加に対する合格率が90%であり、比較例の圧電素子より明らかに電圧印加(詳細には、電圧印加時に生ずる変形に基づく物率的な損傷)に対する耐久性が高いことがわかる。さらに、150Vの電圧を印加した場合、実施例1の圧電素子の合格率は50%であるのに対し、実施例2の圧電素子の合格率は80%である。
この試験により、圧電素子中に不活性層を設けることにより、圧電素子の耐久性が高まるという傾向が確認された。また、不活性層の厚みの合計(第2の領域5の厚み)を大きくすることにより、圧電素子の耐久性がより高まるという傾向が確認された。
図4は、圧電素子の比較例2(実施例1)、実施例3、及び実施例4それぞれの構成と試験結果とを示す。この試験は、第2の領域5の数を増やすことの効果を検証するために行った。なお、比較例2(実施例1)の構成及び試験結果は、図3を参照して説明したものと同じである。
[実施例3]
(1)全長=10mm、
(2)分割数(第1の領域3の個数)=3(第2の領域5を2つ有する)、
(3)圧電体の厚み=100μm、
(4)不活性層13の厚みの合計(第2の領域5の厚み)D2=400μm(例えば、100μm×4層)、
(5)供試体の数=10個、
(6)印加電圧=100V、120V、150V、200V。
(1)全長=10mm、
(2)分割数(第1の領域3の個数)=4(第2の領域5を3つ有する)、
(3)圧電体の厚み=100μm、
(4)不活性層13の厚みの合計(第2の領域5の厚み)D2=400μm(例えば、100μm×4層)、
(5)供試体の数=10個、
(6)印加電圧=100V、120V、150V、200V。
図5に示す試験結果によれば、1.5kV/mmの分極電圧を印加した場合には、分極後の合格率がいずれも高くないものの、1.0kv/mmの分極電圧を印加した場合には、分極後の合格率は実施例9(90%)を除き、いずれも100%である。また、150Vの電圧を印加した場合の合格率は、実施例9が70%、実施例11が100%であり、200Vの電圧を印加した場合の合格率は、実施例9が20%、実施例11が100%である。この試験により、第2の領域5の厚みD2を大きくすることにより、圧電素子の耐久性が高まるという傾向がより明確に確認された。また、実施例11の構成によれば、150〜200Vの電圧にも耐えられるため、通常時に100〜150Vの電圧が印加され得る環境で利用することができる。
以上のように、実施形態の圧電素子1によれば、電圧を印加することにより形状が変化する2以上の第1の領域3と、形状の変化量が第1の領域3より小さい第2の領域5とを、第2の領域5が第1の領域3の間に位置するように積層することにより、従来の圧電素子と比較して電圧印加時の変形に基づく物理的損傷に対してより高い耐久性を得ることができる。
より詳細には、前述の試験結果を踏まえると、第2の領域5を、それぞれ圧電素子1の厚みの3%以上の厚み、より好ましくは4%以上の厚みに作ることにより、圧電素子1の耐久性がより高くなる傾向があるといえる。また、第2の領域5は、圧電素子1を二等分するよりも三等分するように、より好ましくは四等分するように設けることにより、より高い耐久性を得ることができる。
以上、本発明の実施形態及び実施例を説明したが、本発明は、上記に限定されることなく種々に変形して適用することが可能である。
例えば、実施形態では、第2の領域5を形成する不活性層13として、第1の領域3を形成する圧電体11と同じ材料を用いているが、圧電素子1に対する電圧印加時の変形量が第1の領域3より小さい任意の材料を用いることができる。或いは、不活性層13として、そもそも電圧を印加しても変形(膨張)しない材料を用いてもよい。
Claims (8)
- 電圧を印加することにより形状が変化する2以上の第1の領域と、
形状の変化量が前記第1の領域より小さい第2の領域と、
を有し、前記第1の領域及び前記第2の領域は、該第2の領域が該第1の領域の間に位置するように積層されている、ことを特徴とする圧電素子。 - 前記第2の領域は、前記圧電素子に電圧を印加しても形状が変化しない不活性層を積層して作られている請求項1に記載の圧電素子。
- 前記第1の領域は、正極電極及び負極電極に挟まれたセラミックス材料からなり、
前記第2の領域は、同じ極の電極に挟まれたセラミックス材料からなる
請求項2に記載の圧電素子。 - 前記第2の領域は、それぞれ前記圧電素子の厚みの3%以上の厚みに作られている請求項1又は2に記載の圧電素子。
- 前記第2の領域は、それぞれ前記圧電素子の厚みの4%以上の厚みに作られている請求項1又は2に記載の圧電素子。
- 前記第2の領域は、前記圧電素子を二等分、三等分、又は四等分するように設けられている請求項4又は5に記載の圧電素子。
- 電圧印加時に形状が変化する2以上の第1の領域と、形状の変化量が前記第1の領域より小さい第2の領域とを、該第2の領域が該第1の領域の間に位置するように積層することにより作られる、ことを特徴とする圧電素子。
- 電圧印加時に形状が変化する2以上の第1の領域と、形状の変化量が前記第1の領域より小さい第2の領域とを、該第2の領域が該第1の領域の間に位置するように積層して圧電素子を形成する、ことを特徴とする圧電素子製造方法。
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