JP2012007079A - ポリ乳酸系樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

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淳一 三井
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Abstract

【課題】高温高湿度下での長期使用に耐えうる耐加水分解性及び耐久性を有したポリ乳酸系樹脂組成物及びそれより得られる成形体を提供する。
【解決手段】本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対し、カルボジイミド化合物0.2〜10質量部およびワックス0.1〜3質量部を含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、高温高湿度下での長期使用に耐えうる耐加水分解性及び耐久性を有したポリ乳酸系樹脂組成物及びその成形体に関する。
近年、環境負荷低減の観点から、生分解性や植物由来という特長を有する脂肪族ポリエステルが注目されている。脂肪族ポリエステルの中でもポリ乳酸樹脂は機械的特性が優れていることに加え、デンプンやトウモロコシを原料としており大量生産可能であるため、コストが低く特に注目されている。
しかし、ポリ乳酸樹脂は、長期使用に耐えうる耐加水分解性及び耐久性に乏しいという欠点がある。特に高温高湿度下においてはこの傾向が非常に顕著である。ポリ乳酸樹脂の加水分解反応は、分子鎖末端のカルボキシル基を触媒として進行し、特に高温高湿度下ではそれが加速度的に進行する。このため、ポリ乳酸樹脂単体で作製した成形体は、長期使用や高温高湿度下での使用においては加水分解による劣化や強度低下、分子量低下などが大きな問題となり、実用上の使用に耐えられなかった。さらに、ポリ乳酸樹脂単体で作製した成形体は、ひび割れ、ブリードアウト、粉ふき、変形などの外観が悪化するという問題もあった。
この問題を解決する方法として、ポリ乳酸樹脂などの脂肪族ポリエステルの分子鎖末端のカルボキシル基を、特定のカルボジイミド化合物で封鎖する技術が既に多く開示されている(例えば特許文献1)。しかし、この場合は、末端のカルボキシル基の等量以上のカルボジイミドを過剰に添加しないと十分な耐加水分解性が得られない。従って、十分な耐加水分解性を付与するためにカルボジイミド化合物を過剰に添加した場合は、コストの問題や、他の物性(成形性、耐熱性、機械的強度等)に悪影響を及ぼすといった問題があった。
一方、ポリ乳酸にワックスを配合する技術が、従来から多数報告されている。しかし、既に報告されている先行技術に記載されているワックスの役割としては、結晶核剤及び結晶化促進剤としての役割(特許文献2)、滑剤としての役割(特許文献3)、ポリ乳酸からなるフィルムの防湿性を向上させる積層材を構成する役割(特許文献4)、ポリ乳酸樹脂微粒子の発泡成形性を向上させる添加剤としての役割(特許文献5)などに留まっている。
また、特許文献6において、ポリ乳酸とガラス転移温度が0℃以下の脂肪族ポリエステルからなる樹脂組成物に対する加水分解防止剤としてカルボジイミド化合物又はワックスが開示されている。しかしながら、かかる場合は、カルボジイミド化合物、またはワックスのいずれか一方を単独で添加するものであり、カルボジイミド化合物とワックスを併用することは全く示されておらず、もちろん併用することによる効果については一切記載されていない。
特開2001−261797号公報 特開平11−106628号公報 特開2004−352844号公報 特開2006−231859号公報 特開2006−233192号公報 特開2002−309074号公報
本発明は、上記のような問題点を解決するものであり、高温高湿度下で長期間使用しても耐加水分解性に優れるとともに、強度の低下や外観の悪化のなく耐久性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物を提供すること、さらにはこのポリ乳酸系樹脂組成物からなる成形体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸樹脂にカルボジイミド化合物とワックスの両者を適量添加したポリ乳酸系樹脂組成物においては、ワックスを添加することにより、カルボジイミド化合物を添加することによる耐加水分解性及び耐久性の効果が予測できないほど大きく向上することを見出し、かかる知見に基づき本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)ポリ乳酸樹脂100質量部に対し、カルボジイミド化合物0.2〜10質量部およびワックス0.1〜3質量部を含有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
(2)カルボジイミド化合物とワックスの含有比であるカルボジイミド化合物/ワックスが、質量比で、100/1〜1/1であることを特徴とする(1)のポリ乳酸系樹脂組成物。
(3)カルボジイミド化合物が、モノカルボジイミド化合物であることを特徴とする(1)のポリ乳酸系樹脂組成物。
(4)ワックスが、非極性ワックスであることを特徴とする(1)または(2)のポリ乳酸系樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)いずれかのポリ乳酸系樹脂組成物からなる成形体。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、カルボジイミド化合物とワックスの両者を適量含有するものであるため、高温高湿度下で長期間使用しても、耐加水分解性に優れるとともに、強度の低下や外観の悪化がなく、耐久性に優れる。さらに、ワックスを少量含有させることにより、樹脂組成物中のカルボジイミド化合物の含有量を少なくしても十分な効果を奏することが可能となり、ワックス及びカルボジイミド化合物の含有量を少なくすることができる。このため、これらを添加することによる樹脂組成物の成形性、耐熱性、機械的強度等の性能を悪化させることを最小限に抑えることができ、コスト的にも有利である。
そして、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物より各種の成形体を得ることが可能であり、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物からなる本発明の成形体は、長期間の耐加水分解性や耐久性を必要とする様々な用途に好適に利用することができる。さらに、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物や成形体は、植物由来のポリ乳酸樹脂を含有するため、環境負荷の低減と石油資源の枯渇防止に貢献することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」と称する場合がある)は、ポリ乳酸樹脂、カルボジイミド化合物及びワックスを含有している。
ポリ乳酸樹脂について、以下に説明する。
ポリ乳酸樹脂としては、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、及びこれらの混合物又は共重合体、ステレオコンプレックス共晶体などを挙げることができる。
ポリ乳酸樹脂は、工業的な生産の容易さを考慮すると、ポリ(L−乳酸)とポリ(D−乳酸)の含有比率であるL/D比(mol%比)が、0.05/99.95〜99.95/0.05のものが好ましい。ポリ乳酸樹脂は結晶性のものがより耐加水分解性に優れるものである。従って、上記の範囲のなかでも、結晶性を向上させるためには、L/D比(mol%比)が0.05/99.95〜5/95、もしくは、99.95/0.05〜95/5とすることがより好ましい。さらには、L/D比(mol%比)が0.05/99.95〜2/98(mol%)、もしくは99.95/0.05〜98/2(mol%)であることが好ましい。
本発明におけるポリ乳酸樹脂のL/D比(mol%)は、実施例にて後述するように、ポリ乳酸樹脂を分解して得られるL−乳酸とD−乳酸を全てメチルエステル化し、L−乳酸のメチルエステルとD−乳酸のメチルエステルとをガスクロマトグラフィー分析機で分析する方法により算出するものである。
本発明において、ポリ乳酸樹脂の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)が5万〜30万の範囲であることが好ましく、より好ましくは8万〜25万の範囲であり、さらに好ましくは10万〜20万の範囲である。重量平均分子量が30万を超えると、ポリ乳酸樹脂の溶融粘度が高すぎて、溶融混練時の流動性が損なわれることで操業性が低下したり、成形加工時の負荷が大きくなったりして、成形性が低下する場合がある。一方、5万未満であると機械的強度や耐熱性が低下する場合がある。なお、重量平均分子量(Mw)は、示差屈折率検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)装置を用い、テトラヒドロフランを溶出液として、40℃において標準ポリスチレン換算で求めた値である。
また、溶融粘度を分子量の指標として用いる場合には、JIS K7210に従って測定したポリ乳酸樹脂の190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が0.1g/10分〜50g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.2g/10分〜40g/10分である。MFRが50g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて成形体の機械的特性や耐熱性が劣る場合がある。一方、MFRが0.1g/10分未満の場合は、溶融混練時の流動性が損なわれることで操業性が低下したり、成形加工時の負荷が大きくなり、成形性が低下したりする場合がある。
また、本発明において、ポリ乳酸樹脂の融点は、成形加工性の観点から、140〜240℃が好ましく、より好ましくは150〜220℃である。
さらに、本発明に用いるポリ乳酸樹脂は、公知慣用の方法により、一部が架橋されていてもよい。また、エポキシ化合物などで修飾(すなわち、グラフト重合)されていてもよい。
カルボジイミド化合物について以下に説明する。本発明においては、ポリ乳酸樹脂の耐加水分解性及、耐久性および成形性を向上させることを目的として、カルボジイミド化合物を含有することが必要である。カルボジイミド化合物としては、同一分子内に1個のカルボジイミド基を有するモノカルボジイミド化合物、同一分子内に2個以上のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物が挙げられる。本発明においては、耐加水分解性や耐久性の向上効果に優れ、機械的強度や成形性、耐熱性等を悪化させないことから、モノカルボジイミド化合物が好適に用いられる。
モノカルボジイミド化合物の具体例として、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−o−トリルカルボジイミド、N,N´−ジフェニルカルボジイミド、N,N´−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N−トリル−N´−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−tert−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリル−N´−フェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−トリルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジ−o−トリルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド、ヘキサメチレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド、エチレン−ビス−ジフェニルカルボジイミド,N,N′−ベンジルカルボジイミド、N−オクタデシル−N′−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N′−フェニルカルボジイミド、N−オクタデシル−N′−トリルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N′−トリルカルボジイミド、N−フェニル−N′−トリルカルボジイミド、N−ベンジル−N′−トリルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−エチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−エチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジエチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2−エチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2−イソブチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリメチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリイソブチルフェニルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミドなどが挙げられる。
モノカルボジイミド化合物のなかでも、耐加水分解性や耐久性の向上効果に優れる観点から、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドが特に好ましい。
なお、ポリカルボジイミドとしては、芳香族ポリカルボジイミド、脂肪族ポリカルボジイミド、脂環族ポリカルボジイミドなどが挙げられる。
これらのカルボジイミド化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
さらに、カルボジイミド化合物としては、市販品を好適に使用することができ、モノカルボジイミド化合物としては、例えば、ラインケミー社製「スタバックゾールI」「スタバックゾールI−LF」、松本油脂社製「EN160」などが挙げられる。ポリカルボジイミド化合物としては、例えば、ラインケミー社製「スタバックゾールP」、「スタバックゾールP−400」、松本油脂社製「EN180」、日清紡績社製「カルボジライトLA−1」などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物中のカルボジイミド化合物の含有量は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.2〜10質量部であることが必要であり、好ましくは0.5〜8質量部、さらに好ましくは1〜5質量部である。0.2質量部未満では本発明の目的とする高温高湿度下における長期の耐加水分解性や耐久性が得られないという問題がある。一方、10質量部を超えると機械的強度が低下したり、長期保存後にブリードアウトすることにより外観が悪化したりするなど、他の物性に悪影響を与える。
ワックスについて以下に説明する。本発明においては、ポリ乳酸樹脂に上記したようなカルボジイミド化合物を添加するとともに、ワックスを添加することにより、カルボジイミド化合物を添加することによる耐加水分解性及び耐久性を向上させる効果をさらに優れたものとすることができる。ワックスは蝋とも呼ばれ、常温にて固体状態で加熱すると低粘度の液体となる有機物のことである。本発明にて用いられるワックスは、天然ワックス、合成ワックスのいずれでも良い。
天然ワックスとしては、石油ワックス、鉱物ワックス、動物ワックス、植物ワックスなどが挙げられる。石油ワックスは、飽和脂肪族炭化水素を主成分とするワックスであり、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムなどが挙げられる。鉱物ワックスは、長鎖エステルと遊離高級脂肪酸と遊離高級アルコールの混合物や、オゾケライトやセレシンのように炭化水素を主とするワックスであり、モンタンワックスなどが挙げられる。
動物ワックスは、長鎖エステルを主とするワックスであり、蜜蝋やウールワックスなどが挙げられる。植物ワックスは、長鎖エステルと遊離高級脂肪酸と遊離高級アルコールの混合物や、木蝋のようにグリセライドを主とするワックスであり、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックスなどが挙げられる。
合成ワックスは、重合、反応、熱分解等により製造されたワックスであり、その具体例としては、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリオレフィンワックス、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドなどが挙げられる。ポリオレフィンワックスは、オレフィンの重合やポリオレフィンの熱分解により作られたものであり、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。脂肪酸エステル、脂肪酸アミドの具体例としては、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、アジピン酸、フタル酸、トリメリット酸、セバシン酸のエステル化物、12−ヒドロキシステアリン酸およびそのエステル化物やアミド化合物、ケン化物などが挙げられる。
これらの天然ワックスおよび合成ワックスは、さらに樹脂を配合したり、酸化、ケン化、エステル化などの反応を施したりしたものでもよい。また、これらのワックスは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ワックスの中でも、耐加水分解性や耐久性の向上効果に優れる観点から、非極性ワックスが好ましい。非極性ワックスとは、エステル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミド基などの極性基を持たないワックスのことを指す。非極性ワックスの具体例としては、天然ワックスとしては石油ワックスが挙げられ、合成ワックスとしてはフィッシャー・トロプシュワックス、ポリオレフィンワックス、が挙げられる。
本発明においては、ワックスの数平均分子量は100〜10000であることが好ましく、200〜3000がより好ましく、300〜2000の間がさらに好ましい。分子量が100未満であると、耐熱性に乏しくなったり、揮発成分が多く、高温での使用時に問題があったり、ブリードアウトなどの外観不良が発生したりする場合がある。また分子量が10000を超えると、樹脂組成物中の分散状態が悪くなる場合がある。
本発明の樹脂組成物中のワックスの含有量は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.1〜3質量部であることが必要であり、好ましくは0.2〜2.5質量部であり、さらに好ましくは0.2〜2質量部である。含有量が0.1質量部未満であると、カルボジイミド化合物を添加することによる耐加水分解性や耐久性の向上効果をさらに優れたものとすることが困難になる。一方、3質量部を超える量のワックスをポリ乳酸樹脂に均一に練り込むことは実用上困難である。また、練り込めたとしてもその後の成形時にスクリュー上で滑って操業性や成形性が悪化したり、長期保存後にブリードアウトして外観が悪化したり、機械的強度が低下するという問題がある。
本発明においては、ポリ乳酸系樹脂組成物が、カルボジイミド化合物とともにワックスを含有し、かつ上記の含有量を満足することで、カルボジイミド化合物を単独で含有するときに比べて、本発明の目的とするポリ乳酸系樹脂組成物の耐加水分解性及び耐久性を大幅に向上させることができる。ワックスの添加量は少量でも、カルボジイミド化合物を添加することによるこれらの効果を向上させることができるので、樹脂組成物中のカルボジイミド化合物の含有量を少なくすることが可能である。したがって、カルボジイミド化合物とワックスを添加することによる樹脂組成物の他の物性(成形性、耐熱性、機械的強度)に与える影響を最小限に抑えることができる。また、高価なカルボジイミド化合物の含有量を少なくすることで、樹脂組成物のコストを抑えることができる。
また、上記のように、本発明においては、ワックスはカルボジイミド化合物の働きをより向上させるものであり、少量でも効果を有し、樹脂組成物中のカルボジイミド化合物の含有量を減少させるためのものであることから、樹脂組成物中のワックスの含有量は、カルボジイミド化合物の含有量より多くないことが好ましい。つまり、カルボジイミド化合物とワックスの含有比が、質量比(カルボジイミド化合物/ワックス)で、100/1〜1/1の間であることが好ましく、中でも質量比は80/1〜1.5/1であることが好ましく、10/1〜2/1であることがさらに好ましい。
カルボジイミド化合物の含有量が多くなりすぎて、上記した含有比を外れる場合は、ワックスの含有量が少量となりすぎて、ワックスを添加する効果に乏しくなる。一方、ワックスの含有量がカルボジイミド化合物の含有量よりも多くなると、ワックスを添加することによる効果が飽和するとともに、カルボジイミド化合物とワックスの添加量を減少させるという目的を達成できず、樹脂組成物の他の物性に悪影響を与えることとなりやすい。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、本発明で規定した以外の熱安定剤や酸化防止剤、顔料、耐候剤、難燃剤、架橋剤、可塑剤、ワックス以外の滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填材、分散剤、結晶核剤等の添加剤を添加することができる。
熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、イオウ系難燃剤、酸系難燃剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いられてもよいし2種類以上組み合わせて用いられてもよい。
架橋剤としては、有機過酸化物、2官能以上の(メタ)アクリル酸エステル化合物、2官能以上のエポキシ化合物、2官能以上のビニル化合物、およびこれらの複合が挙げられる。
充填材としては、無機充填材と有機充填材が挙げられる。無機充填材としては、タルク、ハイドロタルサイト化合物、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ、ケナフ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品などが挙げられる。
分散剤としては、流動パラフィン、ミネラルオイル、クレオソート油、潤滑油、シリコーンオイルなどの工業用オイル;コーン油、大豆油、菜種油、パーム油、亜麻仁油、ホホバ油などの植物油;イオン性又はノニオン性の界面活性剤などが挙げられる。
無機結晶核剤としては、タルク、カオリン等が挙げられ、有機結晶核剤としては、ソルビトール化合物、安息香酸及びその化合物の金属塩、リン酸エステル金属塩、ロジン化合物の他に、アミド化合物としてエチレンビスオレイン酸アミド、メチレンビスアクリル酸アミド、エチレンビスアクリル酸アミド、ヘキサメチレンビス−9、10−ジヒドロキシステアリン酸ビスアミド、p−キシリレンビス−9、10ジヒドロキシステアリン酸アミド、デカンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド、ヘキサンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアニリド、N,N′,N″−トリシクロヘキシルトリメシン酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアニリド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、N,N′−ジベンゾイル−1,4−ジアミノシクロヘキサン、N,N′−ジシクロヘキサンカルボニル−1,5−ジアミノナフタレン、エチレンビスステアリン酸アミド、N、N′−エチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸)アミド、オクタンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド等が挙げられる。なお、本発明の樹脂組成物にこれらの添加剤を混合する方法は特に限定されない。
また、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、主成分であるポリ乳酸樹脂以外に他の樹脂成分を含有していてもよい。また、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物に他の樹脂成分を配合し、アロイとして使用することもできる。このようなポリ乳酸以外の他の樹脂成分としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリブタジエン、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート及びそれらの共重合体等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物の製造方法について説明する。まず、ポリ乳酸樹脂は公知の溶融重合法で、あるいは必要に応じてさらに固相重合法を併用して製造される。
ポリ乳酸樹脂にカルボジイミド化合物やワックスを配合する際には、一般的な押出機を用いて、ポリ乳酸樹脂、カルボジイミド化合物、ワックスをドライブレンドし、ホッパーから投入して溶融混練する方法や、カルボジイミド化合物やワックスを加熱し液状にしたのち、加熱定量送液装置などを利用して、押出機の供給部及び/又は途中から供給して溶融混練する方法が挙げられる。中でも、操業性の観点から、ワックスを加熱して液状にしたものを加熱定量送液装置で押出機の供給部及び/又は途中から供給する方法が好ましい。熱安定剤などのその他の添加剤は、一般に溶融混練時あるいは重合時に添加することができる。溶融混練に際しては、単軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー等の一般的な溶融押出機を使用することができる。混合均一性や分散性を高める観点から二軸押出機を使用することが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂の大きな欠点であった高温高湿度下での長期使用時の耐加水分解性や耐久性が大幅に改善されている。そのため、各種成形体とした場合に、従来のポリ乳酸樹脂では実用化において耐加水分解性や耐久性(強度や外観の維持)が不十分であった用途にも使用することができる。例えば、夏場の自動車内での高温高湿度下の過酷な状況でも、劣化に伴う強度低下や、分子量低下などが起きず、長期間使用できるという利点がある。
本発明の成形体は、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物より得られたものであり、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を、射出成形、ブロー成形、押出成形、発泡成形など公知の成形方法により、各種成形体としたものが挙げられる。
射出成形法としては、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形、射出プレス成形等を採用できる。本発明において、射出成形条件は特に限定されないが、例えば、シリンダ温度はポリ乳酸樹脂の融点(Tm)又は流動開始温度以上であり、好ましくは180〜230℃、最適には190〜220℃の範囲である。シリンダ温度が低すぎると、樹脂の流動性の低下により成形不良や装置の過負荷に陥りやすい。逆にシリンダ温度が高すぎるとポリ乳酸樹脂が分解し、成形体の強度低下、着色等の問題が発生するため好ましくない。
また、本発明において、射出成形の際の金型温度は特に限定されないが、例えば、成形サイクル短縮の観点から、樹脂組成物のTg(ガラス転移温度)以下とすることが好ましく、(Tg−10)℃以下であることがより好ましい。また、射出成形の際の金型温度がTg以上、(Tm−30)℃以下である場合には、結晶化が促進され、樹脂組成物の剛性、耐熱性が向上し得る。
ブロー成形法としては、例えば、原料チップから直接成形を行うダイレクトブロー法や、まず射出成形で予備成形体(有底パリソン)を成形後にブロー成形を行う射出ブロー成形法、さらには延伸ブロー成形法等が挙げられる。また、予備成形体を成形後に連続してブロー成形を行うホットパリソン法、いったん予備成形体を冷却し取り出してから再度加熱してブロー成形を行うコールドパリソン法のいずれの方法も採用できる。
押出成形法としては、Tダイ法、丸ダイ法等を適用することができる。押出成形温度は原料のポリ乳酸樹脂の融点又は流動開始温度以上であることが必要であり、好ましくは180〜230℃、さらに好ましくは190〜220℃の範囲である。成形温度が低すぎると操業が不安定になるという問題や、過負荷に陥りやすいという問題がある。逆に成形温度が高すぎるとポリ乳酸樹脂が分解し、押出成形体の強度低下や着色等の問題が発生するため好ましくない。押出成形によりシートやパイプ等を作製することができる。
発泡成形法としては、押出発泡法、ビーズ発泡法、又はその複合法等を適用することができる。押出発泡法では、押出時に発泡剤を添加することにより、スリット状ノズルから押出してシート状にしたり、丸形ノズルから押出してストランド形状にしたりすることができる。ビーズ発泡法では、樹脂組成物の微粒子に発泡剤を加圧下にて含浸させた後、温度や圧力の変化で発泡させて発泡粒子を作製し、さらに型内発泡成形により発泡成形体を得ることができる。あるいは押出発泡法により作製した発泡ストランドを切断して発泡粒子とし、型内発泡成形に供する複合法も適用できる。
本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形体は、その優れた特性を活かして自動車用部品に特に適する。上記自動車用部品の具体例としては、バンパー部材、インストルメントパネル、トリム、トルクコントロールレバー、安全ベルト部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、サンバイザーブラケット、コンソールボックス、トランクカバー、スペアタイヤカバー、天井材、床材、内板、シート材、ドアパネル、ドアボード、ステアリングホイール、バックミラーハウジング、エアーダクトパネル、ウィンドモールファスナー、スピードケーブルライナー、サンバイザーブラケット、ヘッドレストロッドホルダー、各種モーターハウジング、各種プレート、各種パネルなどが挙げられる。
また、他にも耐久性を要する事務機器、家電製品などの筐体、食品用容器、各種部品などの用途に好適に用いることができる。事務機器の具体例としては、プリンター、複写機、ファックス、コンピュータ、サーバ、モニタなどが挙げられる。食品用容器の具体例としては、生鮮食品のトレー、インスタント食品容器、ファーストフード容器、弁当箱等が挙げられる。また、ブリスターパック容器の具体例としては、事務用品、玩具、乾電池等の多様な商品群の包装容器が挙げられる。他にも、電気・電子部品、医療、食品、家庭・事務用品、OA機器、建材関係部品、家具用部品など耐久性を必要とする各種用途に好適に用いることができる。
本発明の樹脂組成物を用いて製造されるその他の成形品としては、皿、椀、鉢、箸、スプーン、フォーク、ナイフ等の食器;流動体用容器;容器用キャップ;定規、筆記具、クリアケース、CDケース等の事務用品;台所用三角コーナー、ゴミ箱、洗面器、歯ブラシ、櫛、ハンガー等の日用品;植木鉢、育苗ポット等の農業・園芸用資材;プラモデル等の各種玩具類等が挙げられる。なお、流動体用容器の形態は特に限定されないが、流動体を収容するためには深さ20mm以上に成形されていることが好ましい。容器の厚さは特に限定されないが、強力の点から、0.1mm以上であることが好ましく、0.1〜5mmであることがより好ましい。流動体用容器の具体例としては、乳製品や清涼飲料水及び酒類等の飲料用コップ及び飲料用ボトル;醤油、ソース、マヨネーズ、ケチャップ、食用油等の調味料の一時保存容器;シャンプー・リンス等の容器;化粧品用容器;農薬用容器等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物から得られる成形体は繊維であってもよい。繊維の製造方法は特に限定されないが、例えば、溶融紡糸した後、延伸する方法が好ましい。溶融紡糸温度としては、160℃〜260℃が好ましく、170℃〜230℃がより好ましい。160℃未満では溶融押出が困難となる場合があり、一方、260℃を超えると、樹脂の分解が顕著となり、高強度の繊維を得ることが困難な場合がある。溶融紡糸した繊維糸条は、目的とする強度や伸度となるように、Tg以上の温度で延伸させるとよい。
上記方法により得られた繊維は、衣料用繊維、産業資材用繊維として使用されたり、短繊維として使用されたりすることで、織編物や不織布などの製品を得ることができる。
さらに、本発明の樹脂組成物から得られる成形体は、長繊維不織布であってもよい。長繊維不織布の製造方法は特に限定されないが、樹脂組成物を用いて高速紡糸法により繊維を作製し、該繊維を堆積した後ウェブ化し、さらに熱圧接等の手段を用いて布帛化する方法などが挙げられる。
以下本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、実施例及び比較例中の特性値の測定及び評価は以下のように行った。
(1)ポリ乳酸樹脂のL/D比(mol%)
得られた樹脂組成物を0.3g秤量し、1N−水酸化カリウム/メタノール溶液6mLに加え、65℃にて十分撹拌した。次いで、硫酸450μLを加えて、65℃にて撹拌し、ポリ乳酸を分解させ、サンプルとして5mLを計り取った。このサンプルに純水3mL、および、塩化メチレン13mLを混合して振り混ぜた。静置分離後、下部の有機層を約1.5mL採取し、孔径0.45μmのHPLC用ディスクフィルターでろ過後、HewletPackard製HP−6890SeriesGCsystemを用いてガスクロマトグラフィー測定した。乳酸メチルエステルの全ピーク面積に占めるD−乳酸メチルエステルのピーク面積の割合(%)を算出し、これよりL/D比を求めた。
(2)曲げ破断強度
得られた樹脂組成物を用い、下記に示す射出成形条件で射出成形して、(5インチ)×(1/2インチ)×(1/8インチ)の成形片を得た。射出成形の際に、金型温度を15℃として、結晶化させずに成形片を得、これをアニール処理(120℃のオーブン中で30分間加熱処理)したものを試験片とした。次いで、この試験片にASTM−790に従って変形速度1mm/分で荷重をかけ、曲げ破断強度(初期曲げ破断強度)を測定した。
(射出成形条件)
装置:射出成形機(東芝機械社製、商品名「IS−80G型」)
シリンダ温度:160〜210℃
金型温度:15℃
金型の規格:ASTM規格、1/8インチ3点曲げ試験片用金型
(3)湿熱試験
恒温恒湿器(ヤマト科学社製、商品名「IG400型」)を用い、上記(2)で得られた試験片を、温度70℃、相対湿度95%の環境下に保存することにより湿熱処理を施した。保存時間(湿熱処理時間)を、100時間、500時間、1000時間、1500時間、2000時間とし、それぞれの処理時間、湿熱処理を施した試験片を回収し、上記(2)と同様にして曲げ破断強度を測定した。そして、以下の式に基づいて、曲げ強度保持率を算出した。
曲げ強度保持率(%)=(湿熱処理後の曲げ破断強度)/(初期曲げ破断強度)×100
本発明においては、曲げ強度保持率が80%以上を保っているとき、実用に耐えうると判断する。
(4)外観評価
上記(3)の湿熱処理を100時間、500時間、1000時間、1500時間、2000時間施した試験片の表面を目視で観察し、湿熱処理前の試験片の表面外観と比較し、以下の基準で評価した。
◎:全く変化なし。
○:表面が若干白化した。
△:表面が粉状に変質した。
×:成形片にひび割れ、又はブリードアウトが発生、又は変形した。
本発明においては、○以上であるものが実用に耐えうるものであるとする。
(5)成形性評価
上記(2)において、得られた樹脂組成物より射出成形片を得る際の成形性を以下の基準で評価した。
○:問題なく射出成形できる
×:成形中にペレットの食い込み不良などの工程不良の問題が起きて、連続成形できない
以下に、実施例及び比較例において用いた各種原料を示す。
(1)ポリ乳酸樹脂
・ポリ乳酸1(以下、PLA1と称する場合がある)
NatureWorks社製「4032D」、{L/D比(mol%比):98.6/1.4、重量平均分子量(Mw):170,000、融点:170℃、MFR:2.5g/10分
・ポリ乳酸2(以下、PLA2と称する場合がある)
NatureWorks社製「4060D」、{L/D比(mol%比):88/12、重量平均分子量(Mw):176,000、MFR:11.6g/10分
・ポリ乳酸3(以下、PLA3と称する場合がある)
トヨタ自動車社製「S−12」、{L/D比(mol%比)99.9/0.1、重量平均分子量(Mw):135,000、MFR:8g/10分}
(2)カルボジイミド化合物
・松本油脂社製「EN160」(N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)(以下、CD1と称する場合がある)
・ラインケミー社製「スタバックゾールI−LF」(N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)(以下、CD2と称する場合がある)
・日清紡ケミカル社製「LA−1」(脂肪族系ポリカルボジイミド)(以下、CD3と称する場合がある)
(3)ワックス
・マイクロクリスタリンワックス(以下、WAX1と称する場合がある)
日本精鑞社製「Hi−Mic−1080」
・パラフィンワックス(以下、WAX2と称する場合がある)
日本精鑞社製「FT−115」
・キャンデリラワックス(以下、WAX3と称する場合がある)
東亜化成社製「キャンデリラワックス」
(4)その他の添加剤
・ホホバ油
香栄興業社製「精製ホホバ油」
・高密度ポリエチレン(以下、HDPEと称する場合がある)
日本ポリエチレン社製「HJ490」
実施例1
二軸混練押出機(池貝社製、商品名「PCM−30」、スクリュー径:29mm、L/D:30、ノズル直径:4mm、孔数:3孔、温度:210℃)を用い、ポリ乳酸樹脂としてPLA1を100質量部とカルボジイミド化合物としてCD1を4質量部とワックスとしてWAX1を0.2質量部とをドライブレンドして供給した。吐出速度6kg/hで押し出し、ペレット状に加工した。真空乾燥機にて、温度60℃で48時間乾燥処理し、樹脂組成物を得た。
実施例2〜7、10〜15
カルボジイミド化合物及びワックスの種類と添加量を表1に示すようにそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
実施例8〜9
カルボジイミド化合物としてCD2を用い、CD2を90℃に加熱溶融させて加熱液体定量供給装置(富士テクノ工業社製、商品名「HYM−JS−06」)にて押出機途中から供給し、カルボジイミド化合物の添加量とワックスの添加量を表1に示すようにそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
実施例16〜17
ポリ乳酸樹脂をPLA2に変更し、カルボジイミド化合物の添加量とワックスの添加量を表1に示すようにそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
実施例18、20
ポリ乳酸樹脂をPLA3に変更し、カルボジイミド化合物の種類と添加量、ワックスの添加量を表1に示すようにそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
実施例19
ポリ乳酸樹脂をPLA3に変更したこと以外は、実施例9と同様にして樹脂組成物を得た。
実施例1〜20で得られた樹脂組成物の特性値および評価結果を表1に示す。
Figure 2012007079
比較例1〜6、9〜15
カルボジイミド化合物及びワックスの種類と添加量を表2に示すようにそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
比較例7〜8
カルボジイミド化合物及びワックスの種類と添加量を表2に示すようにそれぞれ変更したこと以外は、実施例8と同様にして樹脂組成物を得た。
比較例16〜19
ワックスの代わりに、その他の添加剤の種類と添加量を表2に示すものとしたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
比較例1〜19で得られた樹脂組成物の特性値および評価結果を表2に示す。
Figure 2012007079
表1から明らかなように、実施例1〜19の樹脂組成物は、耐加水分解性が大きく向上しており、また、良好な外観を長期間保持することができ、すなわち、耐久性も大きく向上していた。さらに、成形性においても優れていた。
実施例1〜4の樹脂組成物は、ワックスを用いていない比較例4の樹脂組成物と比較して耐加水分解性が大きく向上していた。また、良好な外観を長期間保持することができ、耐久性も向上していた。
4質量部のカルボジイミド化合物とワックスを併用した実施例1〜4の樹脂組成物は、カルボジイミド化合物を6質量部のみを用いている比較例5の樹脂組成物、カルボジイミド化合物を6質量部とワックスを0.05質量部用いている比較例13の樹脂組成物よりも、耐加水分解性に優れるだけではなく、初期曲げ破断強度に優れていた。すなわち、カルボジイミド化合物とともにワックスを適正量用いることで、カルボジイミド化合物の含有量を低減させることができ、耐加水分解性、耐久性および強度に優れた樹脂組成物を得ることが可能であることがわかる。
実施例5および6の樹脂組成物は、ワックスを用いていない比較例3の樹脂組成物と比較して、耐加水分解性および耐久性が向上していた。
実施例7の樹脂組成物は、ワックスを用いていない比較例6の樹脂組成物と比較して、耐加水分解性および耐久性が向上していた。
1質量部のCD2を用いた実施例8の樹脂組成物は、1質量部のCD3を用いた実施例10の樹脂組成物と比較して、耐加水分解性および耐久性が向上していた。
実施例9の樹脂組成物は、ワックスを用いていない比較例7の樹脂組成物と比較して、耐加水分解性および耐久性に優れていた。また、カルボジイミド化合物を6質量部のみを用いた比較例8の樹脂組成物よりも、耐加水分解性および耐久性に優れていた。さらに、4質量部のCD2を用いた実施例9の樹脂組成物は、4質量部のCD3を用いた実施例11と比較して、耐加水分解性および耐久性が向上していた。すなわち、耐加水分解性および耐久性向上の観点からは、ポリカルボジイミド化合物よりも、モノカルボジイミド化合物を含有させることがより好ましいということがわかった。
実施例11の樹脂組成物は、カルボジイミド化合物を4質量部のみを用いている比較例9やカルボジイミド化合物を6質量部のみを用いている比較例10よりも、耐加水分解性および耐久性に優れていた。
ワックスとしてパラフィンワックスを用いた実施例12および13の樹脂組成物と、ワックスとしてキャンデリラワックスを用いた実施例14および15の樹脂組成物を比較すると、実施例12および13の樹脂組成物は、耐加水分解性および耐久性により優れていた。
実施例16の樹脂組成物は、D−乳酸の含有量が12mol%と高いポリ乳酸を用いたため、実施例5の樹脂組成物と比較すると、耐加水分解性、耐久性および初期曲げ破断強度において、劣ったものとなった。
実施例17の樹脂組成物は、D−乳酸の含有量が12mol%と高いポリ乳酸を用いたため、実施例2の樹脂組成物と比較すると、耐加水分解性、耐久性および初期曲げ破断強度において、劣ったものとなった。
実施例18の樹脂組成物は、D−乳酸の含有量が0.1mol%と低いポリ乳酸を用いたため、実施例2の樹脂組成物と比較すると、耐加水分解性、耐久性および初期曲げ破断強度がより向上していた。
実施例19の樹脂組成物は、D−乳酸の含有量が0.1mol%と低いポリ乳酸を用いたため、実施例9の樹脂組成物と比較すると、耐加水分解性および耐久性がより向上していた。
実施例20の樹脂組成物は、D−乳酸の含有量が0.1mol%と低いポリ乳酸を用いたため、実施例4の樹脂組成物と比較すると、耐加水分解性、耐久性および初期曲げ破断強度がより向上していた。
比較例1の樹脂組成物は、カルボジイミド化合物、ワックスのいずれも用いられていないため、耐加水分解性および耐久性に劣っていた。
比較例2の樹脂組成物は、カルボジイミド化合物が用いられていないため、ワックスを同量含有する実施例3および実施例6の樹脂組成物と比較して、耐加水分解性および耐久性に劣っていた。
比較例11の樹脂組成物は、ワックスの含有量が過少であったため、実施例1〜4の樹脂組成物と比較して、耐加水分解性および耐久性に劣っていた。
比較例12の樹脂組成物は、ワックスの含有量が過多であったため、実施例1〜4の樹脂組成物と比較して、耐加水分解性、耐久性、成形性および初期曲げ破断強度に劣っていた。
比較例14の樹脂組成物は、カルボジイミド化合物の含有量が過少であったため、ワックスを同量含有する実施例3の樹脂組成物と比較して、耐加水分解性および耐久性に劣っていた。
比較例15の樹脂組成物は、カルボジイミド化合物の含有量が過多であったため、ワックスを同量含有する実施例3の樹脂組成物と比較して、成形性および初期曲げ破断強度に劣っていた。
比較例16および比較例17の樹脂組成物は、ワックスの代わりにホホバ油を含有したものであったため、実施例1〜4の樹脂組成物と比較して、耐加水分解性、耐久性および初期曲げ破断強度に劣っていた。
比較例18および19の樹脂組成物は、ワックスの代わりに高密度ポリエチレンを含有したものであったため、実施例1〜4の樹脂組成物と比較して、耐加水分解性、耐久性および初期曲げ破断強度に劣っていた。

Claims (5)

  1. ポリ乳酸樹脂100質量部に対し、カルボジイミド化合物0.2〜10質量部およびワックス0.1〜3質量部を含有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
  2. カルボジイミド化合物とワックスの含有比であるカルボジイミド化合物/ワックスが、質量比で、100/1〜1/1であることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  3. カルボジイミド化合物が、モノカルボジイミド化合物であることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  4. ワックスが、非極性ワックスであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物からなる成形体。
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