JP2012006990A - プリプレグの製造方法、及びプリプレグ - Google Patents

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Abstract

【課題】機械強度、及びピール強度に優れた積層体の製造に有用なプリプレグを提供すること。
【解決手段】第1架橋性樹脂及び第1無機充填剤を含有する第1樹脂組成物を、強化繊維に含浸させてなる樹脂含浸強化繊維層を形成する工程と、前記樹脂含浸強化繊維層の両表面上に、第2架橋性樹脂及び第2無機充填剤を含有する第2樹脂組成物からなる外側樹脂層を形成する工程と、を備えるプリプレグの製造方法であって、前記第1無機充填剤の平均粒子径が、前記第2無機充填剤の平均粒子径未満であることを特徴とするプリプレグの製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、プリプレグの製造方法、及びこの製造方法により得られるプリプレグに関する。さらに詳しくは、機械強度、及びピール強度に優れた積層体の製造に有用なプリプレグの製造方法、及びこの製造方法により得られるプリプレグに関する。
電子機器の小型・高性能化にともない、電子機器に用いられるプリント配線板についても、高密度化や薄型化が求められている。このような高密度化や薄型化に対応するために、プリント配線板には、低線膨張率や高弾性率などの機械強度の向上が求められている。
例えば、特許文献1では、機械強度の向上されたプリント配線板を形成するための樹脂組成物として、無機充填剤と熱硬化樹脂とを必須成分とし、無機充填剤として、平均粒子径が1.0μm〜5.0μmであり、粒子径0.5μm以下の粒子が0.2質量%以下、BET比表面積が1.5m/g以下、粒子径45μm以上の粗大粒子量が20ppm以下である水酸化アルミニウムを含む樹脂組成物が開示されている。なお、この特許文献1では、無機充填剤として、平均粒子径が1〜5μmである水酸化アルミニウムに加えて、平均粒子径が0.4〜0.7μmである球状シリカを用い、これらと、所定の樹脂材料及び溶剤とを配合することでワニスを得て、得られたワニスを、ガラス布に含浸させることで、プリプレグを得る態様が開示されている。
特開2007−146095号公報
しかしながら、上記特許文献1のように、無機充填剤として、大粒径の無機充填剤(水酸化アルミニウム)と、小粒径の無機充填剤(球状シリカ)とを同時に含有するワニスを、ガラス布に含浸させて得られるプリプレグは、該プリプレグを複数積層して積層体とした場合、あるいは、他の材料と積層して積層体とした場合に、得られる積層体は、ピール強度に劣り、さらには、その機械強度についても、近年の電子機器の小型・高性能化に対応するためには未だ不充分であることが、本発明者らの検討により明らかとなった。
特に、上記特許文献1に開示されたプリプレグは、小粒径の無機充填剤が、プリプレグを構成する強化繊維層及び表面樹脂層に、分散した構造となっており、そのため、表面樹脂層にも、小粒径の無機充填剤が相当量含まれることとなり、この表面樹脂層に含まれている小粒径の無機充填剤により、ピール強度の低下が起こっていること、さらには、強化繊維層内には、小粒径の無機充填剤の一部が分散しているものの、大粒径の無機充填剤は、強化繊維を構成する単繊維間に入り込み難く、結果として、強化繊維層内には無機充填剤が充分含浸しておらず、これにより、機械強度が不足していることが、本発明者らの検討により明らかとなった。
本発明は、機械強度、及びピール強度に優れた積層体の製造に有用なプリプレグの製造方法、及びこの製造方法により得られるプリプレグを提供することを目的とする。また、本発明は、このプリプレグを用いて得られる積層体及びプリント配線板を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討の結果、プリプレグに含有させる無機充填剤として、大粒径の無機充填剤と、小粒径の無機充填剤との2種類の無機充填剤を組み合わせて用い、これらのうち、小粒径の無機充填剤を、樹脂含浸強化繊維層中に局在化させ、大粒径の無機充填剤を、樹脂含浸強化繊維層の両表面を構成する外側樹脂層中に局在化させることで、機械強度、及びピール強度に優れた積層体の製造に有用なプリプレグが得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、
〔1〕第1架橋性樹脂及び第1無機充填剤を含有する第1樹脂組成物を、強化繊維に含浸させてなる樹脂含浸強化繊維層を形成する工程と、前記樹脂含浸強化繊維層の両表面上に、第2架橋性樹脂及び第2無機充填剤を含有する第2樹脂組成物からなる外側樹脂層を形成する工程と、を備えるプリプレグの製造方法であって、前記第1無機充填剤の平均粒子径が、前記第2無機充填剤の平均粒子径未満であることを特徴とするプリプレグの製造方法、
〔2〕前記第1架橋性樹脂及び/又は前記第2架橋性樹脂が、シクロオレフィンポリマーであることを特徴とする上記〔1〕に記載のプリプレグの製造方法、
〔3〕シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、及び前記第1無機充填剤を含む第1重合性組成物を、前記強化繊維に含浸させて、塊状重合させることにより、前記樹脂含浸強化繊維層を形成することを特徴とする上記〔2〕に記載のプリプレグの製造方法、
〔4〕シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、及び前記第2無機充填剤を含む第2重合性組成物を、塊状重合させることにより、前記外側樹脂層を形成することを特徴とする上記〔2〕又は〔3〕に記載のプリプレグの製造方法、
〔5〕前記第1無機充填剤の平均粒子径が1μm未満であり、前記第2無機充填剤の平均粒子径が1μm以上5μm未満であることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のプリプレグの製造方法、
〔6〕上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の製造方法により得られるプリプレグ、
〔7〕上記〔6〕に記載のプリプレグを架橋してなる層を有する積層体、
〔8〕上記〔7〕に記載の積層体に導体層を形成してなるプリント配線板、
が提供される。
本発明によれば、機械強度、及びピール強度に優れた積層体の製造に有用なプリプレグの製造方法、及びこの製造方法により得られるプリプレグ、ならびに、このプリプレグを用いて得られる積層体及びプリント配線板が提供される。本発明の積層体及びプリント配線板は、機械強度、及びピール強度に優れているため、各種電子機器の基板に好適に使用することができる。
本発明のプリプレグの製造方法は、第1架橋性樹脂及び第1無機充填剤を含有する第1樹脂組成物を、強化繊維に含浸させてなる樹脂含浸強化繊維層を形成する工程と、前記樹脂含浸強化繊維層の両表面上に、第2架橋性樹脂及び第2無機充填剤を含有する第2樹脂組成物からなる外側樹脂層を形成する工程と、を備えるプリプレグの製造方法であって、前記第1無機充填剤の平均粒子径が、前記第2無機充填剤の平均粒子径未満であることを特徴とする。
(樹脂含浸強化繊維層)
まず、本発明の製造方法により形成される樹脂含浸強化繊維層について、説明する。本発明において、樹脂含浸強化繊維層は、第1架橋性樹脂及び第1無機充填剤を含有する第1樹脂組成物を、強化繊維に含浸させてなる層である。
第1樹脂組成物に含有される第1架橋性樹脂としては、架橋可能な官能基又は架橋性の炭素―炭素不飽和結合を有する樹脂であればよく、特に限定されない。当該樹脂としては、例えば、シクロオレフィンポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂や、これらを変性して得られる変性樹脂などが挙げられ、これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、得られる積層体を誘電正接が小さいものとすることができ、これにより、積層体を回路基板に適用した際に、高周波における伝送ロスの少ないものとすることができるという観点より、シクロオレフィンポリマーが好ましく、このようなシクロオレフィンポリマーとしては、シクロオレフィンモノマーを公知の方法により開環重合することにより得られるものを用いることがより好ましい。前記架橋可能な官能基としては、例えば、エポキシ基、水酸基、イソシアネート基、及びスルホン酸基などが挙げられる。架橋性の炭素―炭素不飽和結合については後述する。
第1樹脂組成物に含有される第1無機充填剤としては、特に限定されないが、後述する外側樹脂層に含有される第2無機充填剤の平均粒子径未満の平均粒子径を有するものであればよく、特に限定されない。樹脂含浸強化繊維層に、第1無機充填剤を含有させることで、得られる積層体を線膨張率が低く、かつ、弾性率が高いものとすることができ、これにより、機械強度の向上が可能となる。
第1無機充填剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物;酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタンなどの酸化物;塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどの塩化物;硫酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの硫酸塩;硝酸ナトリウム、硝酸カルシウムなどの硝酸塩;リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウムなどのリン酸塩;マイカ、カオリン、フライアッシュ、タルク、雲母などのケイ酸塩;チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウムなどのチタン酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムなどの炭酸塩;炭化ケイ素、炭化硼素などの炭化物;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素などの窒化物;ガラス粉末;カーボンブラック;アルミニウムやニッケル、マグネシウム、銅、亜鉛、鉄などの金属粒子;Mn−Mg−Zn系、Ni−Zn系、Mn−Zn系等のフェライト;カルボニル鉄、鉄−珪素系合金、鉄−アルミニウム−珪素系合金、鉄−ニッケル系合金等の強磁性金属粉;などが例示される。
これらのなかでも、水酸化物、酸化物、チタン酸塩及び炭酸塩が好ましく、水酸化物では水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム、酸化物では酸化ケイ素(シリカ)、チタン酸塩ではチタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム及びチタン酸カルシウム、炭酸塩では炭酸カルシウムがより好ましい。これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、これらの充填剤は、公知の、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等で表面処理したものを用いることもできる。
第1無機充填剤の平均粒子径は、後述する外側樹脂層に含有される第2無機充填剤の平均粒子径未満であればよいが、好ましくは、1μm未満であり、より好ましくは0.3μm以上1μm未満、さらに好ましくは0.5μm以上1μm未満である。第1無機充填剤の平均粒子径が大きすぎると、強化繊維を構成する単繊維間に入り込み難くなり、機械強度の向上効果が得難くなる。なお、第1無機充填剤の平均粒子径は、第1無機充填剤を構成する各粒子を三次元的にみたときの長手方向と短手方向の長さの平均値である。
第1樹脂組成物100体積%中、第1無機充填剤の含有量は、通常、10〜45体積%、好ましくは15〜40体積%、より好ましくは20〜35体積%である。第1無機充填剤の含有量が少なすぎると、また、多すぎても第1無機充填剤の強化繊維への分散性が低下することから、強化繊維中に第1無機充填剤が十分に入り込まないおそれがあるため、得られる積層体において機械強度の向上効果が得難くなる。本発明のプリプレグの製造方法により得られるプリプレグでは、第1無機充填剤は、概して樹脂含浸強化繊維層の強化繊維周辺に局在することになる。
強化繊維としては、無機系及び/又は有機系の繊維が使用でき、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維、超高分子ポリエチレン繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、及び液晶ポリエステル繊維などの有機繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、ブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、及びシリカ繊維などの無機繊維;などを挙げることができる。これらの中でも、有機繊維やガラス繊維が好ましく、特にアラミド繊維、液晶ポリエステル繊維、及びガラス繊維が好ましい。ガラス繊維としては、Eガラス、NEガラス、Sガラス、Dガラス、Hガラス、及びTガラス等の繊維を好適に用いることができる。これらは1種単独で、又は2種以上を組合せて用いることができる。繊維状強化材の形状としては、特に限定されず、例えば、マット、クロス、及び不織布などが挙げられる。
得られるプリプレグ中における、強化繊維の含有割合は、プリプレグ100体積%中、通常、5〜70体積%、好ましくは10〜60体積%、より好ましくは15〜50体積%の範囲である。この範囲にあれば、得られる積層体の誘電特性と機械強度がバランスされ、好適である。
また、本発明においては、第1樹脂組成物を構成する第1架橋性樹脂が、シクロオレフィンポリマーである場合には、樹脂含浸強化繊維層を、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、及び上述した第1無機充填剤を含む第1重合性組成物を、上述した強化繊維に含浸させて、塊状重合させることにより形成することが好ましい。
第1重合性組成物を構成するシクロオレフィンモノマーは、炭素原子で形成される脂環構造を有し、かつ該脂環構造中に開環重合性の炭素−炭素二重結合を1つ有する化合物である。
シクロオレフィンモノマーの脂環構造としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環及びこれらの組み合わせ多環などが挙げられる。各脂環構造を構成する炭素数に特に限定はないが、通常、4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。
シクロオレフィンモノマーは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、及びアリール基などの、炭素数1〜30の炭化水素基や、カルボキシル基又は酸無水物基などの極性基を置換基として有していてもよいが、得られる積層体を低誘電正接とする観点から、極性基を持たない、すなわち、炭素原子と水素原子のみで構成されるものが好ましい。
シクロオレフィンモノマーとしては、単環のシクロオレフィンモノマーと多環のシクロオレフィンモノマーのいずれをも用いることができる。得られる積層体の誘電特性、及び耐熱性の特性を高度にバランスさせる観点から、多環のシクロオレフィンモノマーが好ましい。多環のシクロオレフィンモノマーとしては、特にノルボルネン系モノマーが好ましい。「ノルボルネン系モノマー」とは、ノルボルネン環構造を分子内に有するシクロオレフィンモノマーをいう。例えば、ノルボルネン類、ジシクロペンタジエン類、及びテトラシクロドデセン類などが挙げられる。
シクロオレフィンモノマーとしては、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たないものと、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するもののいずれをも用いることができる。本明細書において「架橋性の炭素−炭素不飽和結合」とは、開環重合には関与せず、架橋反応に関与可能な炭素−炭素不飽和結合をいう。架橋反応とは橋架け構造を形成する反応であり、縮合反応、付加反応、ラジカル反応、及びメタセシス反応など、種々の形態のものが存在するが、本発明においては、通常、ラジカル架橋反応又はメタセシス架橋反応、特にラジカル架橋反応をいう。架橋性の炭素−炭素不飽和結合としては、芳香族炭素−炭素不飽和結合を除く炭素−炭素不飽和結合、すなわち、脂肪族炭素−炭素二重結合又は三重結合が挙げられ、本発明においては、通常、脂肪族炭素−炭素二重結合をいう。架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するシクロオレフィンモノマー中、不飽和結合の位置は特に限定されるものではなく、炭素原子で形成される脂環構造内の他、該脂環構造以外の任意の位置、例えば、側鎖の末端や内部に存在していてもよい。例えば、前記脂肪族炭素−炭素二重結合は、ビニル基(CH=CH−)、ビニリデン基(CH=C<)、又はビニレン基(−CH=CH−)として存在し得、良好にラジカル架橋性を発揮することから、ビニル基及び/又はビニリデン基として存在するのが好ましく、ビニリデン基として存在するのがより好ましい。
架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマーとしては、例えば、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3,5−ジメチルシクロペンテン、3−クロロシクロペンテン、シクロへキセン、3−メチルシクロへキセン、4−メチルシクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロヘキセン、3−クロロシクロヘキセン、及びシクロへプテンなどの単環シクロオレフィンモノマー;ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロピル−2−ノルボルネン、5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、1−メチル−2−ノルボルネン、7−メチル−2−ノルボルネン、5,5,6−トリメチル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン(TCD)、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロへキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロ−2−ノルボルネン、5,5−ジクロロ−2−ノルボルネン、5−フルオロ−2−ノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−2−ノルボルネン、5−クロロメチル−2−ノルボルネン、5−メトキシ−2−ノルボルネン、5,6−ジカルボキシル−2−ノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノ−2−ノルボルネン、及び5−シアノ−2−ノルボルネンなどのノルボルネン系モノマー;を挙げることができ、好ましくは架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たないノルボルネン系モノマーである。
架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するシクロオレフィンモノマーとしては、例えば、3−ビニルシクロヘキセン、4−ビニルシクロヘキセン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロへキサジエン、1,4−シクロへキサジエン、5−エチル−1,3−シクロへキサジエン、1,3−シクロへプタジエン、及び1,3−シクロオクタジエンなどの単環シクロオレフィンモノマー;5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−アリル−2−ノルボルネン、5,6−ジエチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、及び2,5−ノルボルナジエンなどのノルボルネン系モノマー;を挙げることができ、好ましくは架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するノルボルネン系モノマーである。
これらのシクロオレフィンモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に使用されるシクロオレフィンモノマーとしては、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するシクロオレフィンモノマーを含むものが好ましい。このようなシクロオレフィンモノマーを用いると、得られる積層体において耐クラック性等の信頼性が向上し、好適である。
シクロオレフィンポリマーを形成するためのシクロオレフィンモノマー中、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するシクロオレフィンモノマーと架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマーとの配合割合は所望により適宜選択すればよいが、重量比(架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するシクロオレフィンモノマー/架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマー)で、通常、5/95〜100/0、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは15/85〜70/30の範囲である。当該配合割合がかかる範囲にあれば、得られる積層体において、耐熱性、及び耐クラック性等の特性を高度に向上させることができ、好適である。
なお、第1重合性組成物には、本発明の効果の発現が阻害されない限り、上述したシクロオレフィンモノマーと共重合可能な任意のモノマーが含まれていてもよい。
第1重合性組成物を構成するメタセシス重合触媒としては、上述したシクロオレフィンモノマーをメタセシス開環重合可能な、通常、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン、及び化合物などが結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表による。以下、同じ。)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、5族の原子としては、例えば、タンタルが挙げられ、6族の原子としては、例えば、モリブデンやタングステンが挙げられ、8族の原子としては、例えば、ルテニウムやオスミウムが挙げられる。遷移金属原子の中でも、8族のルテニウムやオスミウムが好ましい。すなわち、本発明に使用されるメタセシス重合触媒としては、ルテニウム又はオスミウムを中心原子とする錯体が好ましく、ルテニウムを中心原子とする錯体がより好ましい。ルテニウムを中心原子とする錯体としては、カルベン化合物がルテニウムに配位してなるルテニウムカルベン錯体が好ましい。ここで、「カルベン化合物」とは、メチレン遊離基を有する化合物の総称であり、(>C:)で表されるような電荷のない2価の炭素原子(カルベン炭素)を持つ化合物をいう。ルテニウムカルベン錯体は、塊状重合時の触媒活性に優れるため、第1重合性組成物を塊状重合させた場合に、未反応のモノマーに由来する臭気が少なく、生産性良く良質な成形体を得ることができる。また、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも使用可能である。
ルテニウムカルベン錯体の具体例としては、下記一般式(1)又は(2)で表される錯体が挙げられる。
Figure 2012006990
上記一般式(1)及び(2)において、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい、環状又は鎖状の、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。X及びXは、それぞれ独立して任意のアニオン性配位子を示す。L及びLはそれぞれ独立して、ヘテロ原子含有カルベン化合物又はヘテロ原子含有カルベン化合物以外の中性電子供与性化合物を表す。また、RとRは互いに結合して、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環又は芳香族環を形成してもよい。さらに、R、R、X、X、L及びLは、任意の組合せで互いに結合して多座キレート化配位子を形成してもよい。
ヘテロ原子とは、周期律表15族及び16族の原子を意味し、具体的には、窒素原子(N)、酸素原子(O)、リン原子(P)、硫黄原子(S)、砒素原子(As)、セレン原子(Se)などを挙げることができる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、N、O、P、及びSなどが好ましく、Nが特に好ましい。
上記ルテニウムカルベン錯体としては、得られるプリプレグ及び積層体の機械強度と耐衝撃性とが高度にバランスされ得ることから、ヘテロ原子含有カルベン化合物としてヘテロ環構造を有するカルベン化合物を配位子として少なくとも1つ有するものが好ましい。ヘテロ環構造としては、イミダゾリン環構造又はイミダゾリジン環構造が好ましい。
ヘテロ環構造を有するカルベン化合物としては、下記一般式(3)又は(4)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2012006990
上記一般式(3)又は(4)において、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい、環状又は鎖状の、炭素数1〜20個の炭化水素基を表す。また、R〜Rは任意の組合せで互いに結合して環を形成していてもよい。
上記一般式(3)又は(4)で表される化合物としては、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデンなどが挙げられる。
また、上記一般式(3)又は(4)で示される化合物のほかに、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデンなどのヘテロ原子含有カルベン化合物を用いることもできる。
上記一般式(1)及び(2)において、アニオン(陰イオン)性配位子X、Xは、中心金属原子から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子である。例えば、弗素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、及び沃素原子(I)などのハロゲン原子、ジケトネート基、置換シクロペンタジエニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、及びカルボキシル基などを挙げることができる。これらの中でもハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
また、中性の電子供与性化合物は、中心金属から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子であればいかなるものでもよい。その具体例としては、カルボニル類、アミン類、ピリジン類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、チオエーテル類、芳香族化合物、オレフィン類、イソシアニド類、チオシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、ホスフィン類、エーテル類及びピリジン類が好ましく、トリアルキルホスフィンがより好ましい。
上記一般式(1)で表される錯体化合物としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)[(フェニルチオ)メチレン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの、ヘテロ原子含有カルベン化合物及び中性の電子供与性化合物が各々1つ結合したルテニウム錯体化合物;
ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの、2つの中性電子供与性化合物が結合したルテニウム化合物;
ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドなどの、2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウム錯体化合物;などが挙げられる。
上記一般式(2)で表される錯体化合物としては、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらの錯体化合物の中でも、上記一般式(1)で表され、かつ配位子として上記一般式(4)で表される化合物を1つ有するものが最も好ましい。
これらのルテニウムカルベン錯体は、Org. Lett., 1999年, 第1巻, 953頁や、Tetrahedron. Lett., 1999年, 第40巻, 2247頁などに記載された方法によって製造することができる。
メタセシス重合触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。メタセシス重合触媒の使用量は、モル比(メタセシス重合触媒中の金属原子:シクロオレフィンモノマー)で、通常、1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
メタセシス重合触媒は所望により、少量の不活性溶媒に溶解又は懸濁して使用することができる。このような溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、及びミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、及びシクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素;インデンやテトラヒドロナフタレンなどの脂環と芳香環とを有する炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、及びアセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では、鎖状脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、及び脂環と芳香環とを有する炭化水素の使用が好ましい。
なお、本発明で用いる第1重合性組成物は、上記成分を混合して得ることができる。混合方法としては、常法に従えばよく、例えば、メタセシス重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(触媒液)を調製し、別にシクロオレフィンモノマー、及び所望により添加されるその他の配合剤(その他の配合剤については、後述する。)等を配合した液(モノマー液)を調製し、該モノマー液に該触媒液を添加し、攪拌することによって調製することができる。
(外側樹脂層)
次いで、本発明の製造方法により形成される外側樹脂層について、説明する。本発明において、外側樹脂層は、上述した樹脂含浸強化繊維層の両表面上に形成される、第2架橋性樹脂及び第2無機充填剤を含有する第2樹脂組成物からなる層である。
第2樹脂組成物に含有される第2架橋性樹脂としては、架橋可能な官能基又は架橋性の炭素―炭素不飽和結合を有する樹脂であればよく、特に限定されないが、上述した第1架橋性樹脂と同様に、シクロオレフィンポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂や、これらを変性して得られる変性樹脂などを用いることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、シクロオレフィンポリマーが好ましい。なお、第2架橋性樹脂と、第1架橋性樹脂とは、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
また、第2樹脂組成物に含有される第2無機充填剤としては、特に限定されないが、上述した樹脂含浸強化繊維層に含有される第1無機充填剤の平均粒子径を超える平均粒子径を有するものであればよく、特に限定されず、平均粒子径が第1無機充填剤の平均粒子径を超えること以外は、上述した第1無機充填剤と同様のものを用いることができる。外側樹脂層に、第2無機充填剤を含有させることで、得られるプリプレグ表面における樹脂流動性の向上、及び得られる積層体のピール強度の向上が可能となる。なお、第2無機充填剤と、第1無機充填剤とは同一の材質からなるものであってもよいし、あるいは互いに異なる材質からなるものであってもよい。
第2無機充填剤の平均粒子径は、上述した樹脂含浸強化繊維層に含有される第2無機充填剤の平均粒子径を超えておればよいが、好ましくは、1μm以上5μm未満であり、より好ましくは1〜4μm、さらに好ましくは1〜3μmである。第2無機充填剤の平均粒子径が小さすぎると、得られる積層体においてピール強度の向上が得難くなるおそれがある。一方、大きすぎると、線膨張率を十分に低減することができない傾向にある。なお、第2無機充填剤の平均粒子径は、第2無機充填剤を構成する各粒子を三次元的にみたときの長手方向と短手方向の長さの平均値である。
第2樹脂組成物100体積%中、第2無機充填剤の含有量は、通常、20〜80体積%、好ましくは25〜70体積%、より好ましくは30〜60体積%である。第2無機充填剤の含有量が少なすぎると、得られる積層体において機械強度の向上効果が得難くなる。一方、多すぎると、ピール強度が低下するおそれがある。本発明のプリプレグの製造方法により得られるプリプレグでは、第2無機充填剤は、概して外側樹脂層中に局在することになる。
なお、外側樹脂層を構成する第2樹脂組成物には、本発明の作用効果を損なわない範囲で、上述した第2無機充填剤以外の充填剤、例えば、上述した第1無機充填剤と同様な平均粒子径を有する無機充填剤が含有されていてもよい。
また、本発明においては、第2樹脂組成物を構成する第2架橋性樹脂が、シクロオレフィンポリマーである場合には、外側樹脂層を、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、及び上述した第2無機充填剤を含む第2重合性組成物を、上述した樹脂含浸強化繊維層の両表面上で、塊状重合させることにより形成することが好ましい。
第2重合性組成物を構成するシクロオレフィンモノマーとしては、上述した第1重合性組成物と同様のものを用いることができる。また、上述した第1重合性組成物と同様に、シクロオレフィンモノマーと共重合可能な任意のモノマーが含まれていてもよい。なお、第2重合性組成物を構成するシクロオレフィンモノマーと、第1重合性組成物を構成するシクロオレフィンモノマーとは、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
第2重合性組成物を構成するメタセシス重合触媒としては、上述した第1重合性組成物と同様のものを用いることができ、配合量も、上述した第1重合性組成物と同様とすればよい。
本発明で用いる第2重合成組成物は、上述した第1重合性組成物と同様にして、調製することができる。
(他の配合剤)
上述した樹脂含浸強化繊維層を形成する第1樹脂組成物、及び上述した外側樹脂層を形成する第2樹脂組成物は、所望により、架橋剤、反応性流動化剤、又は架橋助剤を含有していてもよい。なお、上述したように、樹脂含浸強化繊維層を、第1重合性組成物を用いて形成する場合や、外側樹脂層を、第2重合性組成物を用いて形成する場合には、これらの架橋剤、反応性流動化剤、又は架橋助剤は、それぞれ、第1重合性組成物、及び第2重合性組成物に含有させればよい。
架橋剤は、樹脂含浸強化繊維層を形成する第1架橋性樹脂及び/又は外側樹脂層を形成する第2架橋性樹脂を、架橋反応させる目的で使用される。架橋剤を含有させることにより、第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂を、効果的に後架橋可能なものとすることができる。ここで「後架橋可能な」とは、加熱することで架橋反応が進行し架橋樹脂になり得ることを意味する。この場合、本発明により得られるプリプレグは、第1架橋性樹脂及び第2架橋性樹脂をマトリックス樹脂としており、加熱により溶融しても高粘度であり、その形状を保持する一方、任意の部材を接触させた場合、その表面では、該部材の形状に対し追従性を発揮し、最終的に架橋して硬化する。本発明のプリプレグのこのような特性は、これを積層し、加熱により溶融、架橋させて得られる積層体において配線埋め込み性及び層間密着性の向上に寄与するものと考えられる。
上記架橋剤としては、特に限定されないが、通常、ラジカル発生剤が好適に用いられる。ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、ジアゾ化合物、及び非極性ラジカル発生剤などが挙げられ、好ましくは有機過酸化物、及び非極性ラジカル発生剤である。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、及びクメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシドやベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、及び1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテートやt−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナートやジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキシド類;3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン、及び3,6−ジエチル−3,6−ジメチル−1,2,4,5−テトロキサンなどの環状パーオキサイド類;が挙げられる。中でも、重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシド類、ペルオキシケタール類、及び環状パーオキサイド類が好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノンや2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルエタン、及び1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
ラジカル発生剤を架橋剤として使用する場合、1分間半減期温度は、硬化(プリプレグの架橋)の条件により適宜選択されるが、通常、100〜300℃、好ましくは150〜250℃、より好ましくは160〜230℃の範囲である。ここで1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。ラジカル発生剤の1分間半減期温度は、例えば、各ラジカル発生剤メーカー(例えば、日本油脂株式会社)のカタログやホームページを参照すればよい。
上記ラジカル発生剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ラジカル発生剤の配合量としては、第1架橋性樹脂又は第2架橋性樹脂100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
反応性流動化剤は、第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂中において、実質的に遊離の状態で存在することで、流動化剤として第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂のガラス転移温度(Tg)を低下させて加熱溶融時における第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂の流動性を高め、本発明のプリプレグを加熱溶融させた際、プリプレグ表面における、当該表面に接触させる任意の部材の形状に対する追従性を向上させる一方、第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂を架橋反応させた際に、該架橋反応に関与して第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂への結合反応性を示す単官能化合物である。反応性流動化剤は、かかる特性を有するものであることから、プリプレグの外側樹脂層を構成する第2樹脂組成物中に含有させるのが好ましい。
このような反応性流動化剤を用いることにより、本発明により得られるプリプレグを回路基板などと積層する際、加熱することで容易に溶融積層することができ、しかも得られる積層体を層間密着性と配線埋め込み性により優れたものとすることができる。さらに、反応性流動化剤は、加熱により、第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂を架橋反応させる際に、第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂への結合反応性を示すため、架橋反応の進行と共に、第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂中において、遊離の状態で存在するものが減少し、架橋反応の終了時点では実質的に遊離の状態で存在するものがないと推定される。従って、いわゆる可塑剤のように、得られる積層体の耐熱性を低下させる因子となることがなく、むしろ、得られる積層体において耐熱性や耐クラック性をより高める効果を奏することができる。
このような反応性流動化剤としては、例えば、重合性の炭素−炭素不飽和結合(炭素−炭素二重結合又は三重結合)を持たず、かつ第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂の架橋反応に関与して、第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂への結合反応性を示す基を1つ有する単官能化合物が挙げられる。重合性の炭素−炭素不飽和結合としては、例えば、重合性の炭素−炭素二重結合や、ビニル基などの、開環重合に関与し得る脂肪族炭素−炭素不飽和結合基などが挙げられる。架橋反応に関与して第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂への結合反応性を示す基としては、例えば、架橋性の炭素−炭素不飽和結合、又は結合反応性を示す有機基が挙げられる。これらのなかでも、第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂への結合反応性に優れることから、反応性流動化剤としては、重合性の炭素−炭素不飽和結合を持たず、かつ架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1つ有する単官能化合物が好ましい。反応性流動化剤を構成する化合物中に含有される架橋性の炭素−炭素不飽和結合は、例えば、分子末端に存在するビニリデン基として存在することが好ましく、特に、イソプロペニル基やメタクリル基として存在することがより好ましく、メタクリル基として存在することがさらに好ましい。また、前記結合反応性を示す有機基としては、例えば、エポキシ基、水酸基、イソシアネート基、及びスルホン酸基などが挙げられる。
本発明において反応性流動化剤としては、第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂に対する結合反応性に特に優れることから、下記一般式(5)で示される環状炭化水素基含有メタクリレート化合物が特に好ましい。
Figure 2012006990
上記一般式(5)中、Rは、置換もしくは非置換の炭素数3〜30の飽和脂環式基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜30の芳香族基を示し、nは0〜10の整数である。
炭素数3〜30の飽和脂環式基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基などの単環式基;ビシクロヘキシル基などの二環式基;トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基(ジシクロペンタニル基ともいう。)などの三環式基;アダマンチル基などの四環式基;などが挙げられる。飽和脂環式基としては、得られる積層体の耐熱性を向上させる観点から、三環式基又は四環式基が好ましく、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基又はアダマンチル基がより好ましく、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基が特に好ましい。
炭素数6〜30の芳香族基としては、例えば、フェニル基などの単環式基;ナフチル基やビフェニル基などの二環式基;フルオレニル基などの三環式基;などが挙げられる。芳香族基としては、飽和脂環式基と同様の観点から、単環式基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
前記飽和脂環式基及び芳香族基の置換基としては、炭素数3〜11のアルキル基や炭素数3〜11のアルコキシ基、カルボキシル基や酸無水物基などの極性基などが挙げられる。
nは、好ましくは0〜5の整数、特に好ましくは1である。
上記一般式(5)で表される化合物の具体例としては、シクロヘキシルメタクリレート、シクロオクチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、トリルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、及びジシクロペンタニルメタクリレートなどが挙げられ、好ましくは、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、トリルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、及びジシクロペンタニルメタクリレート、より好ましくは、ベンジルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、及びジシクロペンタニルメタクリレート、さらに好ましくは、ベンジルメタクリレートである。
本発明で用いられる反応性流動化剤としては、上記化合物の他、例えば、ラウリルメタクリレート、シクロオクテニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、及びメトキシジエチレングリコールメタクリレートなどの、メタクリル基を1つ有する単官能化合物;イソプロペニルベンゼンなどの、イソプロペニル基を1つ有する単官能化合物;などを挙げることもでき、これらのなかでも、メタクリル基を1つ有する単官能化合物が好ましい。
反応性流動化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。反応性流動化剤の配合量は、特に限定されないが、第1架橋性樹脂又は第2架橋性樹脂100重量部に対して、通常、0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部である。
架橋助剤としては、重合性の炭素−炭素不飽和結合を持たず、第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂の架橋反応に関与可能な架橋性の炭素−炭素不飽和結合を2以上有する多官能化合物が挙げられる。架橋助剤を構成する化合物中に含有される架橋性の炭素−炭素不飽和結合は、例えば、分子末端に存在するビニリデン基として存在することが好ましく、特に、イソプロペニル基やメタクリル基として存在することがより好ましく、メタクリル基として存在することがさらに好ましい。
架橋助剤の具体例としては、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、及びo−ジイソプロペニルベンゼンなどの、イソプロペニル基を2つ有する多官能化合物などの、イソプロペニル基を2以上有する多官能化合物;エチレンジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、1,4−ブチレンジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、及び2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパンなどの、メタクリル基を2つ有する多官能化合物や、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレートやペンタエリトリトールトリメタクリレートなどの、メタクリル基を3つ有する多官能化合物などの、メタクリル基を2以上有する多官能化合物;などを挙げることができる。これらのなかでも、架橋助剤としては、得られる積層体の耐熱性や耐クラック性をより向上させる観点から、メタクリル基を2以上有する多官能化合物が好ましい。メタクリル基を2以上有する多官能化合物の中では、特に、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレートやペンタエリトリトールトリメタクリレートなどの、メタクリル基を3つ有する多官能化合物がより好適である。
架橋助剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋助剤の配合量は、第1架橋性樹脂又は第2架橋性樹脂100重量部に対して、通常、0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部である。
なお、上述した反応性流動化剤と架橋助剤とはいずれも、第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂中、実質的に遊離の状態で存在しており、従って、これら第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂に対し可塑効果を発現する。そのため、これら反応性流動化剤や架橋助剤を添加した場合には、本発明により得られるプリプレグを加熱すると、第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂が溶融し、適度な樹脂流動性を示すこととなる。一方、該プリプレグの加熱を続けると、第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂は架橋反応するが、上述の反応性流動化剤と架橋助剤とはいずれも、架橋反応に関与して第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂に対する結合反応性を示すことから、架橋反応の進行と共に、遊離の状態で存在するものが減少し、架橋反応の終了時点では実質的に遊離の状態で存在するものがないと推定される。このように、反応性流動化剤と架橋助剤とは同様の特性を有するが、第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂への結合反応性は、反応性流動化剤に比べて架橋助剤の方が高いものと考えられ、従って、可塑効果は、架橋助剤に比べて反応性流動化剤で、より長く発現され得る。架橋助剤の使用は、得られる積層体において架橋密度を高める観点から好ましいが、プリプレグの加熱時に、より早期に架橋構造が形成されると、第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂の流動性が不充分となり、プリプレグ表面の他の部材に対する追従性が低下する。これに対して、反応性流動化剤と架橋助剤とを併用すると、第1架橋性樹脂及び/又は第2架橋性樹脂において、架橋助剤による可塑効果の発現が消失した後においても、反応性流動化剤による可塑効果の持続的発現が期待され、得られる積層体では、配線埋め込み性、耐熱性、及び耐クラック性が非常にバランス良く向上することになり、好適である。架橋助剤は、反応性流動化剤と同様、プリプレグの外側樹脂層を構成する第2樹脂組成物中に含有させるのが好ましい。
反応性流動化剤と架橋助剤とを共に配合する場合においては、得られる積層体において、配線埋め込み性、耐熱性、及び耐クラック性をバランス良く向上させる観点から、反応性流動化剤(単官能化合物)、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を2つ有する多官能化合物(ニ官能化合物)、及び架橋性の炭素−炭素不飽和結合を3つ有する多官能化合物(三官能化合物)を組み合わせて用いることが好ましい。
反応性流動化剤と架橋助剤との配合割合は、所望により適宜選択すればよいが、重量比(反応性流動化剤/架橋助剤)で、通常、5/95〜90/10、好ましくは10/90〜70/30、より好ましくは15/85〜70/30の範囲である。配合割合を上記範囲とすることにより、プリプレグにおいては、加熱時の表面の樹脂流動性が向上し、また、該プリプレグを架橋してなる層を有する積層体においては配線埋め込み性、耐熱性及び耐クラック性の各特性がバランスされ、好適である。
また、反応性流動化剤と架橋助剤との組合せとしては、ベンジルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート及びジシクロペンタニルメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物(以上、反応性流動化剤)と、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレート(以上、架橋助剤)とからなる組合せが挙げられる。このような組合せによれば、架橋助剤としてニ官能化合物を含まずとも、プリプレグにおいては、加熱時の表面の樹脂流動性が向上し、また、積層体においては配線埋め込み性、耐熱性及び耐クラック性の各特性が高度にバランスされ、非常に好適である。
反応性流動化剤と架橋助剤とを組み合わせて用いる場合における、配合量(反応性流動化剤と架橋助剤との合計配合量)としては、第1架橋性樹脂又は第2架橋性樹脂100重量部に対して、通常、0.2〜200重量部、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは2〜60重量部である。
また、上述したように、樹脂含浸強化繊維層を、第1重合性組成物を用いて形成する場合や、外側樹脂層を、第2重合性組成物を用いて形成する場合には、第1重合性組成物及び/又は第2重合性組成物には、重合調整剤、重合反応遅延剤、連鎖移動剤、老化防止剤をさらに含有させてもよい。
重合調整剤は、重合活性を制御したり、重合反応率を向上させたりする目的で配合されるものであり、例えば、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、及びテトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。これらの重合調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合調整剤の配合量は、例えば、モル比(メタセシス重合触媒中の金属原子:重合調整剤)で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
重合反応遅延剤は、第1重合性組成物及び/又は第2重合性組成物の粘度増加を抑制し得るものである。重合反応遅延剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、ビニルジフェニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、トリアリルホスフィン、及びスチリルジフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物;アニリンやピリジンなどのルイス塩基;等を用いることができる。その配合量は、所望により適宜調整すればよい。
連鎖移動剤としては、1−ヘキセン、2−ヘキセン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、アリルアミン、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、及び4−ビニルアニリンなどの、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たない連鎖移動剤;ジビニルベンゼン、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸スチリル、アクリル酸アリル、メタクリル酸ウンデセニル、アクリル酸スチリル、及びエチレングリコールジアクリレートなどの、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1つ有する連鎖移動剤;アリルトリビニルシランやアリルメチルジビニルシランなどの、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を2以上有する連鎖移動剤;などが挙げられる。これらの中でも、得られる積層体において、配線埋め込み性、耐熱性、及び耐クラック性の各特性を高度にバランスさせる観点から、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するものが好ましく、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1つ有するものがより好ましい。このような連鎖移動剤の中でも、ビニル基とメタクリル基とを1つずつ有する連鎖移動剤が好ましく、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸スチリル、及びメタクリル酸ウンデセニルなどが特に好ましい。
第1重合性組成物及び/又は第2重合性組成物の重合時、連鎖移動剤は生ずる重合体に結合しうるが、連鎖移動剤が架橋性の炭素−炭素不飽和結合を有すると、かかる炭素−炭素不飽和結合により、第1樹脂組成物及び/又は第2樹脂組成物に含まれる樹脂に架橋性が付与されうる。
これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明に用いる重合性組成物への連鎖移動剤の配合量としては、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
老化防止剤としては、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、リン系老化防止剤及びイオウ系老化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の老化防止剤が挙げられる。これら老化防止剤を配合することにより、架橋反応を阻害しないで、得られる積層体の耐熱性を高度に向上させることができ、好適である。これら老化防止剤の中でも、フェノール系老化防止剤とアミン系老化防止剤が好ましく、フェノール系老化防止剤がより好ましい。これらの老化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。老化防止剤の使用量は、所望により適宜選択されるが、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜2重量部の範囲である。
また、第1樹脂組成物及び/又は第2樹脂組成物(ならびに、第1重合性組成物及び/又は第2重合性組成物)には、例えば、着色剤、光安定剤、顔料、発泡剤などの上記以外の配合剤を含有していてもよい。着色剤としては、染料や顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。これらのその他の配合剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
(プリプレグの製造方法)
本発明のプリプレグは、第1架橋性樹脂及び第1無機充填剤を含有する第1樹脂組成物を、強化繊維に含浸させてなる樹脂含浸強化繊維層を形成し、樹脂含浸強化繊維層の両表面上に、第2架橋性樹脂及び第2無機充填剤を含有する第2樹脂組成物からなる外側樹脂層を形成することにより、製造される。
このような本発明のプリプレグは、例えば、以下の(A)〜(H)の方法により製造することができる。
(A)第1架橋性樹脂及び第1無機充填剤を含有する第1樹脂組成物を強化繊維に含浸させて樹脂含浸強化繊維層を形成し、この樹脂含浸強化繊維層の両表面上に、第2架橋性樹脂及び第2無機充填剤を含有する第2樹脂組成物からなる外側樹脂層を加熱圧着することで、プリプレグを得る方法。
(B)第1架橋性樹脂及び第1無機充填剤を含有する第1樹脂組成物を強化繊維に含浸させて樹脂含浸強化繊維層を形成し、この樹脂含浸強化繊維層の両表面上に、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、及び第2無機充填剤を含む第2重合性組成物からなる外側モノマー層を形成し、これを加熱することにより、第2重合性組成物を塊状重合させることで、プリプレグを得る方法。
(C)シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、及び第1無機充填剤を含む第1重合性組成物を、強化繊維に含浸させて、モノマー含浸強化繊維層を形成し、このモノマー含浸強化繊維層の両表面上に、第2架橋性樹脂及び第2無機充填剤を含有する第2樹脂組成物からなる外側樹脂層を形成し、これを加熱することにより、第1重合性組成物を塊状重合させることで、プリプレグを得る方法。
(D)シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、及び第1無機充填剤を含む第1重合性組成物を、強化繊維に含浸させて、モノマー含浸強化繊維層を形成し、このモノマー含浸強化繊維層の両表面上に、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、及び第2無機充填剤を含む第2重合性組成物からなる外側モノマー層を形成し、これを加熱することにより、第1重合性組成物及び第2重合性組成物を塊状重合させることで、プリプレグを得る方法。
(E)第1架橋性樹脂及び第1無機充填剤を含有する第1樹脂組成物に溶剤を添加してなるワニスを、強化繊維に含浸させて、溶剤を乾燥することにより、樹脂含浸強化繊維層を形成し、この樹脂含浸強化繊維層の両表面上に、第2架橋性樹脂及び第2無機充填剤を含有する第2樹脂組成物に溶剤を添加してなるワニスを、基材上に塗布し、次いで、溶剤を乾燥することにより得られる外側樹脂層を加熱圧着することで、プリプレグを得る方法。
(F)第1架橋性樹脂及び第1無機充填剤を含有する第1樹脂組成物に溶剤を添加してなるワニスを、強化繊維に含浸させて、溶剤を乾燥することにより、樹脂含浸強化繊維層を形成し、この樹脂含浸強化繊維層の両表面上に、第2架橋性樹脂及び第2無機充填剤を含有する第2樹脂組成物に溶剤を添加してなるワニスを塗布して、外側ワニス層を形成し、これを加熱することにより溶剤を除去することで、プリプレグを得る方法。
(G)第1架橋性樹脂及び第1無機充填剤を含有する第1樹脂組成物に溶剤を添加してなるワニスを、強化繊維に含浸させて、ワニス含浸強化繊維層を形成し、このワニス含浸強化繊維層の両表面上に、第2架橋性樹脂及び第2無機充填剤を含有する第2樹脂組成物に溶剤を添加してなるワニスを、基材上に塗布し、次いで、溶剤を乾燥することにより得られる外側樹脂層を積層し、これを加熱することにより溶剤を除去することで、プリプレグを得る方法。
(H)第1架橋性樹脂及び第1無機充填剤を含有する第1樹脂組成物に溶剤を添加してなるワニスを、強化繊維に含浸させて、ワニス含浸強化繊維層を形成し、このワニス含浸強化繊維層の両表面上に、第2架橋性樹脂及び第2無機充填剤を含有する第2樹脂組成物に溶剤を添加してなるワニスを塗布して、外側ワニス層を形成し、これを加熱することにより溶剤を除去することで、プリプレグを得る方法。
上記(A)〜(H)の方法のなかでも、樹脂含浸強化繊維層と外側樹脂層との間の界面を強固なものとすることができるという観点より、(B)、(C)、及び(D)の方法が好ましく、特に、(D)の方法がより好ましい。
上記(A)及び(B)の方法において、第1樹脂組成物を、強化繊維へ含浸させる方法としては特に限定されないが、例えば、第1架橋性樹脂を形成することとなるモノマーと、第1無機充填剤とを含有する組成物(たとえば、上述した第1重合性組成物)を、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、及びスリットコート法等の公知の方法により強化繊維に塗布し、所望によりその上に保護フィルムを重ね、上側からローラーなどで押圧し、次いで、加熱などによりモノマーを重合することにより行うことができる。
上記(A)及び(C)の方法において、第2架橋性樹脂及び第2無機充填剤を含有する第2樹脂組成物からなる外側樹脂層を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、第2架橋性樹脂を形成することとなるモノマーと、第2無機充填剤とを含有する組成物(たとえば、上述した第2重合性組成物)を、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、及びスリットコート法等の公知の方法により基材上に塗布し、次いで、加熱などによりモノマーを重合し、得られた重合体を、基材から剥離することにより重合体シート又はフィルムを得、当該シート又はフィルムにより外側樹脂層を形成することができる。
上記(C)〜(H)の方法において、第1重合性組成物又はワニスを、強化繊維へ含浸させる方法としては特に限定されないが、例えば、第1重合性組成物又はワニスを、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、及びスリットコート法等の公知の方法により強化繊維に塗布し、所望によりその上に保護フィルムを重ね、上側からローラーなどで押圧することにより行うことができる。
また、上記(B)〜(D)の方法において、第1重合性組成物及び/又は第2重合性組成物を重合させるための加熱温度は、通常、30〜250℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは90〜150℃の範囲であり、かつ架橋剤としてラジカル発生剤を含有する場合には、通常、ラジカル発生剤の1分間半減期温度以下、好ましくは1分間半減期温度の10℃以下、より好ましくは1分間半減期温度の20℃以下である。また、重合時間は適宜選択すればよいが、通常、1秒間〜20分間、好ましくは10秒間〜5分間である。第1重合性組成物及び/又は第2重合性組成物をこのような条件で加熱することにより未反応モノマーの少ないプリプレグが得られるので好適である。
さらに、上記(E)〜(H)の方法において、第1樹脂組成物及び第2樹脂組成物を希釈してワニス化するために用いる溶剤としては特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール等が挙げられる。なお、ワニスの固形分濃度は、特に限定されないが、50質量%〜80質量%の範囲が好ましい。
また、プリプレグの厚さは、特に限定されないが、通常、0.001〜10mm、好ましくは0.005〜1mm、より好ましくは0.01〜0.5mmの範囲である。この範囲にあれば、積層時の賦形性、及び積層体の機械強度や靭性などが向上し、好適である。
さらに、プリプレグを構成する強化繊維の厚さとしては、厚さの比(強化繊維/プリプレグ)で、通常、10/100〜4000/100、好ましくは20/100〜3000/100、より好ましくは30/100〜2500/100である。
以上のようにして得られるプリプレグを構成する第1架橋性樹脂及び第2架橋性樹脂は、実質的に架橋構造を有さず、例えば、トルエンに可溶である。第1架橋性樹脂及び第2架橋性樹脂の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(溶離液:テトラヒドロフラン)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲である。ただし、第1架橋性樹脂及び第2架橋性樹脂は、その一部が架橋されたものであってもよい。
また、本発明のプリプレグを構成する樹脂含浸強化繊維層と、外側樹脂層とは、その界面付近においては、必ずしも明確に区別されている必要はなく、例えば、本発明のプリプレグの断面を光学顕微鏡などで観察した場合に、樹脂含浸強化繊維層と、外側樹脂層とが、およそ確認できる状態で存在していればよい。
(積層体)
本発明の積層体は、上述した本発明のプリプレグを架橋してなる層を少なくとも含む積層体である。例えば、本発明の積層体としては、本発明のプリプレグを架橋してなる層が複数積層された構成であってもよいし、あるいは、本発明のプリプレグを架橋してなる層と、他の層とが積層された構成であってもよい。
例えば、本発明の積層体が、本発明のプリプレグを架橋してなる層と、他の層とが積層された構成である場合には、本発明のプリプレグを、任意に積層し、さらに、これに金属箔を積層し、熱プレスして架橋することにより、本発明の積層体を得ることができる。なお、金属箔としては、その表面が平滑であるものが好ましく、その表面粗度(Rz)としては、AFM(原子間力顕微鏡)により測定される値で、通常、10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。金属箔の表面粗度が上記範囲にあれば、例えば、本発明の積層体として得られる高周波回路基板において、高周波伝送におけるノイズ、遅延、及び伝送ロス等の発生が抑えられ、好ましい。また、金属箔の表面は、シランカップリング剤、チオールカップリング剤、及びチタネートカップリング剤などの公知のカップリング剤や接着剤などで処理されているのが好ましい。熱プレスするときの圧力は、通常、0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。熱プレスは、真空又は減圧雰囲気下で行ってもよい。熱プレスは、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)などのプレス成形機を用いて行なうことができる。
本発明の積層体は、上述した本発明のプリプレグを用いて得られるものであるため、機械強度及びピール強度に優れるものである。また、本発明の積層体は、機械強度及びピール強度に加えて、耐熱性、ドリル磨耗性及び絶縁信頼性にも優れるものでもある。そのため、本発明の積層体は、各種電子機器の基板など広範囲の用途に好適に用いることができ、なかでも、本発明の積層体は、該積層体上に回路層などの導体層を形成してなるプリント配線板として特に好適である。かかるプリント配線板は、本発明のプリプレグを用いて公知の方法に従って適宜製造することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例及び比較例における各特性は、以下の方法に従い測定し、評価した。
(1)曲げ弾性率
積層体の曲げ弾性率の測定は、JIS C−6481に規定する試験方法に従い行った。
(2)ピール強度
積層体から銅箔(厚さ12μm)を引き剥がすときの強度を、JIS C6481に基づいて測定し、以下の基準で、ピール強度を評価した。
A:0.45kN/m超
B:0.4kN/m超、0.45kN/m以下
C:0.4kN/m以下
実施例1
ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド51部と、トリフェニルホスフィン79部とを、トルエン952部に溶解させて触媒液を調製した。これとは別に、シクロオレフィンモノマーとしてテトラシクロドデセン(TCD)100部、第1無機充填剤として所定量の酸化ケイ素(アドマテックス社製、商品名SOC02、平均粒子径0.5μm)、連鎖移動剤としてスチレン0.74部、架橋剤として3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン(1分間半減期温度205℃)2部、反応性流動化剤としてベンジルメタクリレート15部、架橋助剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレート20部、難燃剤としてジメチルホスフィン酸アルミニウム50部、フェノール系老化防止剤として3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール1部を混合してモノマー液を調製した。ここに上記触媒液をシクロオレフィンモノマー100gあたり0.12mLの割合で加えて撹拌し、第1重合性組成物を調製した。
一方、上記とは別に、第1無機充填剤としての酸化ケイ素の代わりに、第2無機充填剤として所定量の水酸化アルミニウム〔昭和電工社製、商品名ハイジライト(登録商標)360、平均粒子径2.7μm〕を用いた以外は、上記と同様にして、第2重合性組成物を調製した。
次いで、上記にて得られた第1重合性組成物を、厚さ70μmのガラスクロス(Eガラス)に含浸させて、モノマー含浸強化繊維層を得て、得られたモノマー含浸強化繊維層の両表面に、上記にて得られた第2重合性組成物を塗布し、これを120℃にて5分間で重合反応を行い、厚さ0.11mmのプリプレグを得た。プリプレグのガラスクロス含有量は25体積%であった。
なお、前記モノマー含浸強化繊維層(第1重合性組成物層に相当)、及び当該層の表面に形成した第2重合性組成物層をそれぞれ別々に調製し、それらの層を構成する重合性組成物を重合反応に供して、樹脂含浸強化繊維層と外側樹脂層とを分けて作製したところ、樹脂含浸強化繊維層を構成する第1樹脂組成物100体積%中、第1無機充填剤である酸化ケイ素の含有量は20体積%であり、外側樹脂層を構成する第2樹脂組成物100体積%中、第2無機充填剤である水酸化アルミニウムの含有量は40体積%であった。
次いで、上記にて作製したプリプレグシート6枚を重ね、さらに厚さ12μmのF2銅箔(シランカップリング剤処理電解銅箔、粗度Rz=1,600nm、古河サーキットホイル社製)で、積層したプリプレグシートを挟み、205℃で20分間、3MPaにて加熱プレスを行い、プリプレグシートが積層された積層体を得た。そして、得られた積層体について、上記方法にしたがい、機械強度及びピール強度の各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
シクロオレフィンモノマーとして、テトラシクロドデセン(TCD)100部に代えて、テトラシクロドデセン80部、及びジシクロペンタジエン20部に変更した以外は、実施例1と同様にして、プリプレグ及び積層体を得て、各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
第1重合性組成物を調製する際に、第1無機充填剤として、酸化ケイ素 の代わりに、チタン酸バリウム(日本化学工業株式会社製、商品名バルセラムBT、平均粒子径0.6μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、プリプレグ及び積層体を得て、各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
第2重合性組成物を調製する際に、第2無機充填剤として、水酸化アルミニウムの代わりに、水酸化マグネシウム〔協和化学社製、商品名Kisuma(登録商標)8、平均粒子径1.8μm〕を用いた以外は、実施例1と同様にして、プリプレグ及び積層体を得て、各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例5
プリプレグの製造を以下の方法により行なった以外は、実施例1と同様にして、プリプレグ及び積層体を得て、各特性の評価を行った。
すなわち、実施例1と同様にして得られた第1重合性組成物を、厚さ70μmのガラスクロス(Eガラス)に含浸させて、モノマー含浸強化繊維層を得て、120℃にて5分間で重合反応を行い、樹脂含浸強化繊維層とした後に、実施例1と同様にして得られた第2重合性組成物を塗布し、第2重合性組成物を120℃にて5分間で重合反応させることにより、プリプレグを製造した。結果を表1に示す。
実施例6
プリプレグの製造を以下の方法により行なった以外は、実施例1と同様にして、プリプレグ及び積層体を得て、各特性の評価を行った。
すなわち、実施例1と同様にして得られた第2重合性組成物を、基材上に塗布し、次いで、これを120℃にて5分間で重合反応させて、得られた重合体を、基材から剥離することにより、外側樹脂層用シートを得た。また、上記とは別に、実施例1と同様にして得られた第1重合性組成物を、厚さ70μmのガラスクロス(Eガラス)に含浸させて、モノマー含浸強化繊維層を得た。そして、得られたモノマー含浸強化繊維層を、上記にて得られた外側樹脂層用シート2枚で挟み、第1重合性組成物を、120℃にて5分間で重合反応させることにより、プリプレグを製造した。結果を表1に示す。
実施例7
プリプレグの製造を以下の方法により行なった以外は、実施例1と同様にして、プリプレグ及び積層体を得て、各特性の評価を行った。
すなわち、実施例7では、実施例1と同様にして得られた第1重合性組成物を、厚さ70μmのガラスクロス(Eガラス)に含浸させて、モノマー含浸強化繊維層を得て、120℃にて5分間で重合反応を行い、樹脂含浸強化繊維層を得た。また、上記とは別に、実施例1と同様にして得られた第2重合性組成物を、基材上に塗布し、次いで、これを120℃にて5分間で重合反応させて、得られた重合体を、基材から剥離することにより、外側樹脂層用シートを得た。そして、上記にて得られた樹脂含浸強化繊維層を、上記にて得られた外側樹脂層用シート2枚で挟み、205℃、20分の条件で熱圧着させることにより、プリプレグを製造した。結果を表1に示す。
比較例1
第1無機充填剤としての酸化ケイ素に加えて、第2無機充填剤としての水酸化アルミニウムを用いて第1重合性組成物を調製し、かつ第2重合性組成物により外側樹脂層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを得た。
すなわち、得られた第1重合性組成物を、厚さ70μmのガラスクロス(Eガラス)に含浸させて、これを120℃にて5分間で重合反応を行うことで、厚さ0.11mmのプリプレグを得、次いで、得られたプリプレグシートを用い、実施例1と同様にして、積層体を得て、各特性の評価を行った。結果を表1に示す。なお、得られたプリプレグのガラスクロス含有量は25体積%であった。
Figure 2012006990
表1より、実施例1〜7で得られた積層体は、いずれも機械強度及びピール強度に優れていることが分かる。一方、第1無機充填剤と第2無機充填剤とを同時に配合してなる重合性組成物を用いて得られた比較例1の積層体は、機械強度及びピール強度に劣ることがわかる。

Claims (8)

  1. 第1架橋性樹脂及び第1無機充填剤を含有する第1樹脂組成物を、強化繊維に含浸させてなる樹脂含浸強化繊維層を形成する工程と、
    前記樹脂含浸強化繊維層の両表面上に、第2架橋性樹脂及び第2無機充填剤を含有する第2樹脂組成物からなる外側樹脂層を形成する工程と、を備えるプリプレグの製造方法であって、
    前記第1無機充填剤の平均粒子径が、前記第2無機充填剤の平均粒子径未満であることを特徴とするプリプレグの製造方法。
  2. 前記第1架橋性樹脂及び/又は前記第2架橋性樹脂が、シクロオレフィンポリマーであることを特徴とする請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
  3. シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、及び前記第1無機充填剤を含む第1重合性組成物を、前記強化繊維に含浸させて、塊状重合させることにより、前記樹脂含浸強化繊維層を形成することを特徴とする請求項2に記載のプリプレグの製造方法。
  4. シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、及び前記第2無機充填剤を含む第2重合性組成物を、塊状重合させることにより、前記外側樹脂層を形成することを特徴とする請求項2又は3に記載のプリプレグの製造方法。
  5. 前記第1無機充填剤の平均粒子径が1μm未満であり、前記第2無機充填剤の平均粒子径が1μm以上、5μm未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られるプリプレグ。
  7. 請求項6に記載のプリプレグを架橋してなる層を有する積層体。
  8. 請求項7に記載の積層体に導体層を形成してなるプリント配線板。
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