JP2012001865A - 繊維状複合材料及びその製造方法、並びに繊維状複合材料を用いた繊維部材及び機能性デバイス - Google Patents

繊維状複合材料及びその製造方法、並びに繊維状複合材料を用いた繊維部材及び機能性デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】異なる組成の2種類以上の繊維状材料の一部同士が相互に接合した構造を有する繊維状複合材料を提供する。
【解決手段】本発明の繊維状複合材料は、異なる組成の2種類以上の繊維状材料の一部同士が相互に接合した構造を有し、2種類以上の繊維状材料は、それぞれの繊維状材料の直径が10nm〜50μmであるとともに、それぞれの繊維状材料の直径に対する長さの比の割合が10以上である。本発明の繊維状複合材料は、各繊維状材料を形成するための一の原料液7aと他の原料液7bとに、それぞれ極性の異なる±0.5kV/cm以上の高電界を印加してそれぞれ噴射し、それぞれの繊維状材料が独立した連続構造を有した状態で複合化させる静電紡糸工程によって得ることができる。
【選択図】図1A

Description

本発明は、繊維状複合材料及びその製造方法、並びに繊維状複合材料を用いた繊維部材及び機能性デバイスに関する。更に詳しくは、異なる組成の2種類以上の繊維状材料の一部同士が相互に接合した構造を有する繊維状複合材料及びその製造方法、並びに繊維状複合材料を用いた繊維部材及び機能性デバイスに関する。
近年、エネルギー・環境デバイスは、低炭素排出を目的として高性能化が強く求められている。また、キャパシタや電気化学反応器をはじめとする電気化学デバイスは、その電気物性に電極形状が大きく起因することが知られている。特に、電極微構造については、ガスとの気固接触面積の向上(即ち、反応比表面積の向上)が、反応性の向上、更には、発電量や反応量の増加につながるため、ナノ〜ミクロレベルへの微細粒子の構造制御技術が重要であり、多くの検討が試みられている。
上述した反応比表面積の向上については、単に平均粒子サイズを小さくさせることで達成できるが、電気化学デバイスの電極として使用する場合に、電子又はイオン等のキャリアを効率的に受け渡しするためには、伝導経路を確保するための連結構造も重要なファクターとなる。そのため、これらの技術的な要請に適合可能なナノ〜サブミリ形状での伝導通路を制御可能な繊維材料、或いは上記繊維材料からなる1次元構造体は、これらの用途において利用価値が高い。既に、スーパーキャパシタ等の蓄電への応用において、カーボンのナノ繊維やナノチューブを用いた電極等が実用化され、注目されている。
このように、電気化学デバイス等において、比表面積と単位体積当たりの性能向上を実現させる手段として、繊維構造を有する電極部材の形成技術が重要となっている。また、細線状構造体自体は、動植物の繊維を利用した紙や布を代表として、古くからフィルター材料としても利用されている。近年では、更に高いアスペクト比を持つ材料からなる繊維構造を利用した高透過性フィルタや、バイオ応用としての細胞培養担体等、様々な材料化技術への展開が期待され、その利用及び用途が広がることが期待されている。
繊維状材料(細線状構造体ともいう)の製造方法に関する技術としては、例えば、以下の特許文献1〜3、及び非特許文献1〜9がある。
例えば、特許文献1,2、及び非特許文献1,2には、装置が簡便で、より高いアスペクト比を持つ繊維状材料を得られる方法として、静電紡糸法(エレクトロスピニング法ともいう)を用いた有機物の繊維状構造体の製造方法が報告されており、有機物の不織紙フィルタ等を形成するナノ繊維の高速成形技術として期待されている。
近年、原料溶液に無機原料を混ぜることで、金属やセラミックス等の無機材料のナノ繊維(例えば、特許文献3)を製造することも可能となり、金属である白金の繊維状構造体の合成(例えば、非特許文献3)や、単一組成のセラミックス繊維として酸化チタンの合成(例えば、非特許文献4)など、様々な材料により細線状構造体の形成が試みられている。
これらの製造方法は、直径数nmから数百nmという微細な構造体を様々な材料で形成することを可能にする非常に有効な方法であるが、単一の出発原料を用いた形成方法がほとんどである。
一般的に、電気化学デバイスなどの電極等においては、組成及び性質の異なる材料が接合した複合材料は、その接合界面が特異な電子物性の発現の起点や化学反応の反応点となり易く、細線状構造体についてデバイス材料としての応用を考えた場合、上述したような組成や性質の異なる材料が接合した複合材料の開発が期待されている。
特開2006−283241号公報 特開2007−186831号公報 特開2009−197351号公報
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しかしながら、例えば2種類以上の異なる種類の細線状試料(即ち、繊維状材料)が複合化した材料の開発は極めて困難なものであり、簡便で且つ実用化可能な技術の開発が要望されている。
従来、複合構造を有する細線状構造体としては、特許文献2に記載されているような、複数の高分子原料を用いて混紡する方法や、細線状構造体に微粒子が分散した材料の合成が知られている。例えば、非特許文献3には、酸化チタンに銀粒子が分散した繊維の合成方法が報告されており、また、非特許文献4には、カーボンにニッケルが分散した繊維の合成方法が既に報告されている。但し、上記した合成方法のいずれにおいても、2種類以上の材料が、それぞれの組成ごとに独自の連続構造を維持し、且つ各材料が複合化したような構造は検討されていない。それは、複数の原料溶液を用いて同時にエレクトロスピニング法による紡糸を行った場合、従来の方法では電荷によって原料溶液同士が反発してしまうため、異なる原料溶液からなる繊維状材料を複合化することができないためである(例えば、非特許文献9)。そのため、エレクトロスピニング法による複合繊維合成の試みは行われていないのが実情であった。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、異なる組成の2種類以上の繊維状材料の一部同士が相互に接合した構造を有する繊維状複合材料及びその製造方法、並びに繊維状複合材料を用いた繊維部材及び機能性デバイスを提供するものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、エレクトロスピニング法による繊維の作製において、紡糸用原料液の種類や紡糸用原料液に印加する電界の種類と印加方法、紡糸用原料液の配置方法及び回収に関して新たな手法を構築することにより、2種類以上の繊維状材料が複合化した繊維状複合材料を製造することに成功し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、以下の繊維状複合材料及びその製造方法、並びに繊維状複合材料を用いた繊維部材及び機能性デバイスが提供される。
[1] 異なる組成の2種類以上の繊維状材料の一部同士が相互に接合した構造を有し、前記2種類以上の繊維状材料は、それぞれの前記繊維状材料の直径が10nm〜50μmであるとともに、それぞれの前記繊維状材料の直径に対する長さの比の割合が10以上である繊維状複合材料。
[2] 前記2種類以上の繊維状材料のうちの少なくとも1種類の繊維状材料は、セラミックス材料、有機物材料、金属材料、又はそれらの複合材料のいずれかを含む材料が繊維状に形成されたものである前記[1]に記載の繊維状複合材料。
[3] 前記2種類以上の繊維状材料のうちの少なくとも1種類の繊維状材料は、絶縁性、電子導電性、イオン導電性、及び混合キャリア導電性からなる群より選択される少なくとも一の電気的特性を有するものである前記[1]に記載の繊維状複合材料。
[4] 2種類以上の紡糸用原料液を調製する原料液工程と、得られた前記2種類以上の紡糸用原料液を、前記紡糸用原料液を噴射するノズルが間隔を空けて対向するように配置された2以上の溶液供給部にそれぞれ導入し、前記2種類以上の紡糸用原料液のうちの少なくとも一の原料液と、前記2種類以上の紡糸用原料液のうちの前記一の原料液以外の他の原料液とに、それぞれ極性の異なる±0.5kV/cm以上の高電界を印加してそれぞれ噴射し、前記一の原料液からなる繊維状材料と、前記他の原料液からなる繊維状材料とを、それぞれの繊維状材料が独立した連続構造を有した状態で混合化又は複合化させる静電紡糸工程と、を備えた繊維状複合材料の製造方法。
[5] 2種類以上の紡糸用原料液を調製する原料液工程と、得られた前記2種類以上の紡糸用原料液を、前記紡糸用原料液を噴射するノズルが間隔を空けて対向するように配置された2以上の溶液供給部にそれぞれ導入し、前記2種類以上の紡糸用原料液のうちの少なくとも一の原料液と、前記2種類以上の紡糸用原料液のうちの前記一の原料液以外の他の原料液とに、それぞれ極性の異なる±0.5kV/cm以上の高電界を0.001〜500Hzの変調周波数で変調させて印加してそれぞれ噴射し、前記一の原料液からなる繊維状材料と、前記他の原料液からなる繊維状材料とを、それぞれの繊維状材料が独立した連続構造を有した状態で混合化又は複合化させる静電紡糸工程と、を備えた繊維状複合材料の製造方法。
[6] 前記[1]〜[3]のいずれかに記載の繊維状複合材料を、少なくとも1種類含み、前記繊維状複合材料が、単一で又は複数組み合わされて構成された繊維部材。
[7] 前記[6]に記載の繊維部材が、燃料電池若しくは電気化学反応器の電極、機能性フィルタ、又は、電気化学キャパシタ、化学センサ若しくはエネルギー・環境デバイス用の構成部材である機能性デバイス。
本発明の繊維状複合材料は、異なる組成の2種類以上の特定形状の繊維状材料を備え、それぞれの繊維状材料の一部同士が相互に接合した構造を有する繊維状複合材料、即ち、2種類以上の繊維状材料が、それぞれの組成の材料ごとに独自の連続構造を維持し、且つ各材料が複合化した構造を有するものであり、燃料電池若しくは電気化学反応器の電極、機能性フィルタ、又は、電気化学キャパシタ、化学センサ若しくはエネルギー・環境デバイス用の構成部材として好適に利用することができる。特に、組成及び性質の異なる材料が接合した繊維状複合材料は、その接合界面が特異な電子物性の発現の起点や化学反応の反応点となり易く、上記各構成部材が、機能性に極めて優れたものとなる。
また、本発明の繊維状複合材料の製造方法は、静電紡糸法(エレクトロスピニング法)において、それぞれ極性の異なる高電界を印加して噴射された2以上の繊維状材料同士を引き寄せ合わせて、上記2以上の繊維状材料を混合化又は複合化することができ、極めて簡便に繊維状複合材料を作製することが可能である。特に、紡糸過程において繊維状材料を混合化又は複合化するため、各繊維状材料を均質に、また、繊維状材料の長さを長く保持した状態のまま、複合材料の作製が可能となる。また、混合化又は複合化する各繊維状材料の組成及び性質の選択も極めて容易であり、種々の材料への展開が可能となる。
更に、本発明の繊維部材及び機能性デバイスは、本発明の繊維状複合材料が単一で又は更に複数組み合わされて構成されたものであり、1種類の繊維状材料からなる繊維部材では実現不可能であった優れた機能性を発現させることができる。
本発明の繊維状複合材料の製造方法に用いられる静電紡糸装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の繊維状複合材料の製造方法に用いられる静電紡糸装置の構成の他の例を示す模式図である。 本発明の繊維状複合材料の製造方法に用いられる静電紡糸装置の構成の更に他の例を示す模式図である。 粉末原料を用いた原料液により作製した繊維状複合材料の電子顕微鏡写真である。 硝酸塩水溶液原料を用いた原料液により作製した複合繊維の電子顕微鏡写真である。 粉末原料及び硝酸塩水溶液原料を用いた原料液を組み合わせて作製した繊維状複合材料の電子顕微鏡写真である。 積層繊維構造体の電子顕微鏡写真である。 繊維構造を形成可能な原料液と、繊維構造を形成不可能な原料液を利用して作製した繊維状複合材料の電子顕微鏡写真である。 従来の静電紡糸装置の構成を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
[1]繊維状複合材料:
まず、本発明の繊維状複合材料の一の実施形態について説明する。本実施形態の繊維状複合材料は、異なる組成の2種類以上の繊維状材料の一部同士が相互に接合した構造を有し、上記2種類以上の繊維状材料は、それぞれの繊維状材料の直径が10nm〜50μmであるとともに、それぞれの繊維状材料の直径に対する長さの比の割合(以下、「アスペクト比」ということがある)が10以上である。
即ち、本実施形態の繊維状複合材料は、2種類以上の繊維状材料が、それぞれの組成の材料ごとに独自の連続構造を維持し、且つ各材料が複合化した構造を有するものであり、燃料電池若しくは電気化学反応器の電極、機能性フィルタ、又は、電気化学キャパシタ、化学センサ若しくはエネルギー・環境デバイス用の構成部材として好適に利用することができる。特に、組成及び性質の異なる材料が接合した繊維状複合材料は、その接合界面が特異な電子物性の発現の起点や化学反応の反応点となり易く、上記各構成部材が、機能性に極めて優れたものとなる。
なお、本実施形態の繊維状複合材料は、後述する本発明の繊維状複合材料の製造方法によって、各繊維状材料が静電紡糸工程において複合化したものであることが好ましい。このような静電紡糸工程において複合化した繊維状複合材料は、各繊維状材料が均質に、また、繊維状材料の長さを長く保持した状態のままでも複合化が可能である。即ち、本実施形態の繊維状複合材料は、別途作製された異なる組成の繊維状材料を、各繊維状材料が紡糸された後に複合化されたものではなく、紡糸過程において複合化された繊維状複合材料とすることで、各繊維状材料の特性を繊維状複合材料全体に良好に反映させることが可能となり、機能性に極めて優れたものとなる。例えば、各繊維状材料が紡糸された後に複合化された繊維状複合材料は、繊維状材料の長さが限定されてしまったり、繊維状材料の配置分布にばらつきが生じたりすることがある。
また、本実施形態の繊維状複合材料としては、上述したように、静電紡糸工程において2種類以上の繊維状材料を絡み合わせたものであれば、実質的な接合部分がほとんどなく、単に混合化した状態の2種類以上の繊維状材料からなる構造体(即ち、混合した繊維状材料)であってもよい。但し、このような混合した繊維状材料の場合には、別途作製された繊維状材料を単に接触させた繊維状材料ではなく、各繊維状材料の紡糸過程において相互に密接に絡み合い(例えば、均質に絡み合い)混合した材料であることが好ましい。
本実施形態の繊維状複合材料においては、上記のように、それぞれの繊維状材料の直径が10nm〜50μmであるとともに、それぞれの繊維状材料のアスペクト比(長さ/直径)が10以上である。なお、繊維状材料の直径が10nm未満であると、その作製が困難になるという問題や、ハンドリングの際の強度が不足するという問題があり、一方、繊維状材料の直径が50μmを超えると、表面積や複合化における接触面積の減少の問題がある。繊維状材料の直径は、10nm〜5μmであることが好ましく、10nm〜500nmであることが更に好ましく、10nm〜200nmであることが特に好ましい。
また、繊維状材料のアスペクト比(長さ/直径)が10未満であると、独立した連続構造を有した状態で複合化させることが極めて困難となる。なお、繊維状材料のアスペクト比は、500以上であることが好ましく、5000以上であることが更に好ましい。なお、繊維状材料のアスペクト比の上限については特に制限はないが、製造上の観点から、1000000程度である。
本実施形態の繊維状複合材料を構成する2種類以上の繊維状材料の各原料(材料)の種類については制限はなく、それぞれの材料を任意に選択することで様々な組成の繊維状材料からなる繊維状複合材料とすることが可能である。なお、本実施形態の繊維状複合材料において、2種類以上の繊維状材料のうちの少なくとも1種類の繊維状材料は、セラミックス材料、有機物材料、金属材料、又はそれらの複合材料のいずれかを含む材料が繊維状に形成されたものであることが好ましい。このような材料からなる繊維状材料を用いることによって、機能性に優れた繊維状複合材料とすることができる。
セラミックス材料としては、例えば、ペロブスカイト型酸化物、ガドリニアやサマリア等を添加して酸化物イオン導電性を向上させた酸化セリウム、イットリアやカルシアやスカンジアを添加して酸化物イオン導電性を向上させたジルコニア、酸化ニッケル、LiCoO、LiMn、LiFePO、チタン酸リチウム、LiNiO等を挙げることができる。上記ペロブスカイト型酸化物としては、Fe、Mn、Co、Niの3d遷移金属、Ca、Ba、Srのアルカリ土類金属、及び希土類金属を少なくとも2種類含む結晶性のペロブスカイト型酸化物材料等を好適例として挙げることができる。
有機物材料としては、例えば、熱可塑性ポリマーであるポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポロビニルピロリドン、ポロビニルアルコール、デンプン、ゼラチン、カルボキシ化メチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ乳酸等の水溶性高分子やポリビニルブチラール等のアセトンやトルエンやアルコール系の溶剤に可溶な材料、その他、導電性高分子であるポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン等を挙げることができる。
金属材料としては、例えば、白金、金、銀、ニッケル、銅等を挙げることができる。
また、2種類以上の繊維状材料のうちの少なくとも1種類の繊維状材料は、絶縁性、電子導電性、イオン導電性、及び混合キャリア導電性からなる群より選択される少なくとも一の電気的特性を有するものであることが好ましい。このように構成することによって、燃料電池若しくは電気化学反応器の電極、機能性フィルタ、又は、電気化学キャパシタ、化学センサ若しくはエネルギー・環境デバイス用の構成部材として、繊維状複合材料を良好に用いることができる。
本実施形態の繊維状複合材料は、各繊維状材料が相互に結合したものであれば、その全体形状については特に制限はなく、種々の形状をとることができる。例えば、その全体形状は、糸状、リボン状、樹状、シート状、バルク状等の形状を挙げることができる。
また、本実施形態の繊維状複合材料は、2種類以上の繊維状材料のうちの少なくとも一の繊維状材料について、その構成成分を変質或いは消失させて、更に別の特性を有する材料として用いることもできる。例えば、一の繊維状材料の構成成分に有機物が含まれている場合には、例えば、400℃以上の温度に加熱することによって、その成分を変質、消失させることができる。また、貴金属以外の金属が含まれている場合には、例えば、酸化雰囲気で400℃程度に加熱することにより、その金属成分を酸化物とすることができる。更に、セラミックス成分を含む場合には、加熱温度を上昇させることにより、結晶粒が成長してその構造が変化するものがあり、例えば、600℃程度を超えると他の材料と固相反応するものもある。
[2]繊維状複合材料の製造方法:
次に、本発明の繊維状複合材料の製造方法の実施形態について説明する。本実施形態の繊維状複合材料の製造方法は、2種類以上の紡糸用原料液を調製する原料液工程と、得られた2種類以上の紡糸用原料液を、紡糸用原料液を噴射するノズルが間隔を空けて対向するように配置された2以上の溶液供給部にそれぞれ導入し、2種類以上の紡糸用原料液のうちの少なくとも一の原料液と、2種類以上の紡糸用原料液のうちの一の原料液以外の他の原料液とに、それぞれ極性の異なる±0.5kV/cm以上の高電界を印加してそれぞれ噴射し、一の原料液からなる繊維状材料と、他の原料液からなる繊維状材料とを、それぞれの繊維状材料が独立した連続構造を有した状態で混合化又は複合化させる静電紡糸工程と、を備えた繊維状複合材料の製造方法である。
また、本発明の繊維状複合材料の製造方法の別の実施形態として、上述した静電紡糸工程において、2種類以上の紡糸用原料液のうちの少なくとも一の原料液と、2種類以上の紡糸用原料液のうちの一の原料液以外の他の原料液とに、それぞれ極性の異なる±0.5kV/cm以上の高電界を0.001〜500Hzの変調周波数で変調させて印加してそれぞれ噴射し、一の原料液からなる繊維状材料と、他の原料液からなる繊維状材料とを、それぞれの繊維状材料が独立した連続構造を有した状態で混合化又は複合化させるものを挙げることができる。
このように、本実施形態の繊維状複合材料の製造方法(以下、単に「本実施形態の製造方法」ということがある)は、上記静電紡糸工程において、それぞれ極性の異なる高電界を印加して噴射された2以上の繊維状材料同士を引き寄せ合わせて、上記2以上の繊維状材料を混合化、又は上記2以上の繊維状材料の一部同士を複合化することができ、極めて簡便に繊維状複合材料を作製することが可能である。特に、紡糸過程において繊維状材料を混合化又は複合化するため、各繊維状材料を均質に、また、繊維状材料の長さを長く保持した状態のまま、複合材料の作製が可能となる。また、複合化する各繊維状材料の組成及び性質の選択も極めて容易であり、種々の材料への展開が可能となる。
即ち、本実施形態の製造方法は、組成の異なる出発原料がそれぞれ用いられた複数の紡糸用原料液と、極性や強度の異なる複数の高電界とを組み合わせて、静電紡糸工程における雰囲気調整を行い、得られた繊維状複合材料の回収を行うことによって、例えば、異なる組成の2種類以上の繊維状材料の一部同士が相互に接合した構造を有する繊維状複合材料を極めて簡便に得ることができる。また、本実施形態の製造方法においては、各繊維状材料同士が物理的に接合した繊維状複合材料だけでなく、静電紡糸工程における雰囲気調整等により、異なる組成の繊維状材料を各組成の線形構造が維持されたままで、単に混合化した(例えば、各繊維状材料が複雑に絡み合った状態の)繊維状材料を得ることもできる。なお、2以上の繊維状材料の一部同士を複合化する際には、2以上の繊維状材料同士が絡み合うように混合した状態で複合化することもできる。即ち、本発明における「複合化」には、繊維状材料が相互に混合した状態において、互いの一部が複合化(即ち、接合)するものも含まれる。
従来のエレクトロスピニング法では、単一の直流高電圧源を利用し、図7に示すように、注射器32及びニードル34を備えたシリンジ等によって少しずつ吐出される原料液33に、正の高電界を印加することで原料液33を正に帯電させ、帯電した原料液33が自らの帯電した電荷によって反発細分化しながらコレクター36まで到達する。この時、原料液33内に高分子を適量溶解させ、且つ液滴がグランドに到達するまでに溶媒が乾燥するように調整すると、液滴が反発細分化してコレクター36に到達する間に高分子を基にナノ繊維が形成されコレクター36上に堆積する。このような従来法では、1種類の原料液33のみの場合には均質なナノ繊維を得ることが可能であるが、ある程度距離を開けて複数の原料液を吐出させた場合、それぞれの原料液間での静電的な反発が大きく混合することがなく分離する。若しくは、ごく近接して吐出した場合は単独の組成のナノ繊維として得ることができずに、1本の繊維を所々に各組成が占める若しくは不均質に混合したナノ繊維が形成され、上述した本発明の繊維状複合材料のような複合体を得ることは不可能である。ここで、図7は、従来の静電紡糸装置の構成を示す模式図である。
これに対して、本実施形態の繊維状複合材料の製造方法では、極性及び強度の異なる複数の高電界、又は電圧変調可能な高電界を、組成の異なる複数の出発原料を用いた原料液が吐出される部分若しくは吐出された後の原料液(換言すれば、原料液の吐出部分とコレクターの間の空間)に個別に印加するものである。
このような製造方法によれば、様々な極性及び強度の電荷を帯びた組成の異なる出発原料を用いた原料液を同時に吐出することを可能とし、帯電状態の異なる異組成のナノ繊維(繊維状材料)を同時に形成した際に、成形課程において異なる極性の電荷を帯びたナノ繊維同士を引き寄せ合わせて、コレクターへ到達するまでの間に、各繊維状材料が、互いの電荷を相互に打ち消し合うように接合或いは混合する性質を利用して、従来のエレクトロスピニング法では実現困難であった、異組成の繊維状材料が複合化した繊維状複合材料を形成することができる。
本実施形態の製造方法では、紡糸用原料液(以下、単に「原料液」ということがある)の種類を任意に選択することで、様々な組成の2種類以上の繊維状材料が複合化した繊維状複合材料を製造することができる。例えば、一般的な単一の直流高電圧源を利用した従来のエレクトロスピニング法を利用した製造方法において使用可能な材料を2種類以上適宜選択し、本実施形態の製造方法における紡糸用原料液として用いることができる。
上記紡糸用原料液として、例えば、高分子材料を用いた高分子溶液を用いることができる。このような高分子溶液としては、例えば、ポロビニルピロリドン、ポロビニルアルコール、デンプン、ゼラチン、カルボキシ化メチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ乳酸等の水溶性高分子やポリビニルブチラール等のアセトンやトルエンやアルコール系の溶剤に可溶な材料を挙げることができる。
高分子溶液の濃度は、高分子の種類や分子鎖長、溶媒の種類により混合する量が異なるが、溶媒を用いて原料液とする場合において、溶媒に対する高分子の濃度は0.5〜30質量%程度であることが好ましく、3〜15質量%であることが更に好ましい。例えば、高分子の濃度が0.5質量%未満の場合には、原料液を吐出して回収する際に、粉末状或いはシート状の成形体となってしまうことがあり、繊維状の材料が得られ難くなる。一方、30質量%を超える場合には、原料液が固まり状となってしまい、紡糸(スピニング)が困難になることがあり、ナノメートルサイズの直径の繊維状材料の作製が容易に行えるというエレクトロスピニング法の長所が失われてしまうことがある。
また、高温で溶融し且つ低温で固化する溶融ポリマーやガラス等も紡糸用原料液として用いることができる。このような原料液を用いる場合には、冷却過程を制御することで単一組成又は複合組成で使用可能である。
また、単体では繊維状になり得ないようなポリマー等においても、繊維形状を成形可能な材料と混合して紡糸用原料液として用いることができる。このように、1種類の紡糸用原料液に対して、複数の原料を混合(ブレンド)したものを用いてもよい。
金属系の繊維状材料を得るためには、紡糸用原料液として、例えば、金属微粒子と上記高分子材料と溶媒とを混ぜたスラリー状の溶液を用いることができる。また、上記ポリマー等を数質量%から20質量%程度添加した溶液に、金属の硝酸塩、金属の塩化物等と、これらを可溶な溶媒を用いた上記高分子溶液を混ぜた原料液、或いは、金属微粒子を上記高分子溶液と混合した溶液等を用いることもできる。
このような紡糸用原料液を用いて、本実施形態の製造方法における静電紡糸工程を行って繊維状の複合繊維を得、更に、還元雰囲気等で熱処理することによって、金属又は金属−ポリマー複合繊維(繊維状複合材料)を得ることができる。
また、セラミックス繊維を得る場合には、紡糸用原料液として、例えば、セラミックス微粒子と上記高分子材料と溶媒とを混ぜたスラリー状溶液を用いることができる。また、上記高分子材料を溶解した溶液に、金属の硝酸塩、金属塩化物等を0.01〜40モル/lとなるように溶解させた原料溶液や、金属アルコキシド溶液等の縮重合反応を起こす原料溶液単体若しくは高分子を溶解した溶液との混合材料等を用いることもできる。
このような紡糸用原料液を用いて、本実施形態の製造方法における静電紡糸工程を行って高分子が複合化した複合繊維を得、更に、得られた複合繊維を焼成することによって、セラミックスからなる繊維状複合材料を得ることができる。
出発原料としての粒子状の材料を分散させたスラリー状の原料液(即ち、一の紡糸用原料液)を用いる場合、その粒子状の材料が100μm程度以下の粒子径であれば、繊維状材料の成形に使用することが可能であるが、繊維状材料をより細く且つより均一にしたい場合には、粒子状の材料の粒子径がより小さいことが好ましい。粒子状の材料の粒子径は、100nm以下であることが好ましく、10nm以下であることが更に好ましい。なお、粒子状材料の粒子径は、原料液に分散させた状態で一次粒子が均質に単分散している場合は、一次粒子の50%粒子径の値を意味し、原料液に分散させた状態で凝集している場合は、その凝集粒子の大きさを基準とした50%粒子径の値を意味する。なお、粒子状材料の粒子径は、例えば、株式会社大塚電子製の粒径分布測定装置(商品名:DLS−800)を使用して測定した50%粒子径の値とすることができる。
また、これまでに説明した原料液の材料を、原料液の調製段階で任意の濃度に複数混合して用いることもできる。このように原料液を用いることにより、複数種類の成分が混合した繊維状材料(混合繊維状材料)を更に複合化させることが可能となり、例えば、有機−無機ハイブリッド材料としての繊維状複合材料を形成することもでき、幅広い用途へ応用することが可能となる。
これまでに説明したような紡糸用原料液を2種類以上適宜選択して、本実施形態における静電紡糸工程を行う場合には、図1A〜図1Cに示すような静電紡糸装置を用いて行うことができる。なお、複合状態を調整するためには、電界の制御のみでなくエレクトロスピニング(静電紡糸)の際の気温、湿度、気圧(分圧)等の雰囲気を適宜調整することが更に好ましい。ここで、図1A〜図1Cは、本発明の繊維状複合材料の製造方法に用いられる静電紡糸装置の構成の例を示す模式図である。
例えば、図1Aに示す静電紡糸装置100は、2種類の原料液7を、各原料液7を噴射するノズル(ニードル8)が間隔を空けて対向するように配置された2以上の溶液供給部(注射器6)にそれぞれ導入し、それぞれの原料液7をニードル8から噴射して繊維状材料(ナノファイーバー9)を成形するものである。注射器6は、原料吐出量制御器4により原料液7の噴射量(吐出量)を制御可能に構成されている。
図1Aに示す静電紡糸装置100は、各ニードル8に対して、高電圧アンプ3が電気的に接続されており、それぞれのニードル8に、極性の異なる±0.5kV/cm以上の高電界を印加することができる。なお、高電圧アンプ3は、ファンクションジェネレーター2を介して制御用パソコン1と接続されており、各ニードル8に印加する電界の大きさを制御可能に構成されているが、各ニードル8に対して極性の異なる±0.5kV/cm以上の高電界を印加することできるものであれば、高電界を印加する構成部材については、上記のものに限定されることはない。なお、高電圧アンプ3は、電圧変調可能な高電圧アンプを好適に用いることができる。
また、エレクトロスピニング(静電紡糸)を行う雰囲気調整用箱5の底部側には、板状のコレクター10(コレクター電極)が配置されており、このコレクター10は接地(アース)されている。
例えば、図1Aに示す静電紡糸装置100を使用し、2種類の水溶液系の原料液7を用いて繊維状複合材料を製造する場合には、それぞれの原料液7a,7bを個別に入れた注射器6のニードル7に高電界を印加し、静電紡糸(エレクトロスピニング)を行う。これによりニードル7とコレクター10の中間付近において、正負それぞれに帯電し、且つ帯電量の異なった繊維形成段階にある原料液が出会うことにより、互いの電荷を打ち消し合うように自ら引き寄せ合って密着することで、繊維状複合材料(ナノファイバー9)を形成することができる。
このときの電界の極性と強度の組み合わせにより、異組成の繊維状材料同士の引力を調整することが可能であり、複合量を制御できる。例えば、帯電量が+1である一の繊維状材料に対して、帯電量が−0.5の組成の異なる他の繊維状材料が2倍複合化するように働く。
なお、各原料液に印加する高電界は、極性の異なる±0.5kV/cm以上のものである。即ち、一の原料液に、例えば、+0.5kV/cmよりも大きさの正の高電界を印加し、更に、一の原料液以外の他の原料液に、−0.5kV/cmよりも小さな(即ち、絶対値の大きな)負の高電界を印加してエレクトロスピニングを行う。
高電界の大きさについては特に制限はないが、正の高電界は、+0.5〜+10kV/cmであることが好ましく、+0.9〜+3kV/cmであることが更に好ましい。負の高電界も同様に、−0.5〜−10kV/cmであることが好ましく、−0.9〜−3kV/cmであることが更に好ましい。
また、静電紡糸工程においては、高電界を0.001〜500Hzの変調周波数で変調させて印加してもよい。このように構成することによって、異なる組成の繊維状材料が複合化する際の接合の度合いや、異なる組成の繊維状材料の混合の度合いをより細かく制御することが可能となる。
なお、周波数を変調させる場合には、上記範囲であれば特に制限はないが、例えば、0.01〜100Hzであることが好ましく、0.1〜20Hzであることが更に好ましい。
同時に、雰囲気の湿度、気流、気圧等を制御することで、繊維状材料の成形段階における乾燥を制御することで、更に細かに密着し接合する程度或いは混合する程度を調整することが可能となる。例えば、紡糸する雰囲気内の湿度や気圧が高い場合、繊維状材料形成時の乾燥速度が遅くなるため、複合化の際の密着度が高い繊維状複合材料を製造することができる。対して、湿度や気圧が低い場合、乾燥速度が速くなるため複合化前に各繊維状材料が乾燥固化して自立するため、繊維状材料同士は互いに固着し難く、接合した部分が極めて少なく、大部分が混合化した状態の繊維状材料が得られる。勿論、上記乾燥速度を適宜制御することにより、例えば、2種類以上の繊維状材料が単に絡み合った状態の混合化した繊維状材料を得ることもできる。
なお、異なる組成の2種類以上の繊維状材料の一部同士が相互に接合した構造を有する繊維状複合材料は、従来のエレクトロスピニング法では製造困難であることは既に説明したが、上記した単に絡み合った状態の混合化した繊維状材料も、従来のエレクトロスピニング法では製造困難であり、また、別途作製された2種類以上の繊維状材料を後から混合させたとしても、本実施形態の製造方法にて得られるような均質な混合状態を実現することは極めて困難である。
図1Aに示す静電紡糸装置100は、ガス供給源11から、調湿機12により湿度調節されたガスを、雰囲気調整用箱5内に供給可能に構成されるとともに、流量制御器13を介して、真空ポンプ14により雰囲気調整用箱5内のガスを適宜排出可能に構成されている。
また、図1Bに示す静電紡糸装置101は、原料液7を吐出するニードル8とコレクター10の間に電圧変調可能な高電圧電界印加電極(成形制御用電極16)を配置したものである。成形制御用電極16に対して、ニードル8へ印加している高電界よりも強度の小さい同極性の高電界を印加することにより、エレクトロスピニングによる繊維成形時の静電的な反発による拡散状態を制御することが可能となり、効率的な複合化或いは混合化の制御が可能となる。なお、成形制御用電極16は、高圧電源15に接続されており、制御用パソコン1によって圧電制御されている。
また、複合繊維成形時において、極性の異なる繊維が静電的に引き寄せ合うことを利用して複合化した繊維状複合材料は、複合化の際の電荷補償によって静電的にコレクターで捕集されるための駆動力が弱まる。
このため、図1Cに示すように、網状コレクター10aと、排気システム(流量制御器13及び真空ポンプ14)を利用して、網状コレクター10から、雰囲気調整箱5内のガス排気を行い、この気流を利用して繊維状複合材料(ナノファイバー9)の捕集を行うように構成された静電紡糸装置102であってもよい。このような静電紡糸装置102を用いることにより、繊維状複合材料を効率的に捕集することができる。
繊維状複合材料(ナノファイバー9)の形態については、原料液の粘度を調整することにより、形成される繊維状材料の線径、延いては繊維状複合材料の線径を調整することが可能となる。例えば、原料液を高粘度化すると線径を太くすることができ、低粘度化すると線径を細くすることができる。更に、組成の異なる原料液ごとの吐出量を調整することにより、繊維状材料の構造や複合化の比率を調整することも可能となる。
例えば、2種類の原料液を使用する場合において、1種類の原料液を、繊維状材料が形成可能な高分子濃度にしたA液とし、もう1種類の原料液を、繊維成形ができない高分子濃度に調整したB液とすることで、組成Aのナノ繊維の表面に組成Bを噴霧コートすることが可能となり、更に殊な複合繊維構造を成形することも可能となる。
本実施形態の製造方法によって得られる繊維状複合材料は、電子伝導性及びイオン伝導性を有する材料を組み合わせて用いることで、これらの電気化学的な性質により、例えば、燃料電池や電気化学リアクター(電気化学反応器)、各種センサ等の電極や、導電性セラミックス材料を電極として利用するキャパシタ等のデバイス材料、触媒等として有用である。
[3]繊維部材:
次に、本発明の繊維部材の一の実施形態について説明する。本実施形態の繊維部材は、これまでに説明した本発明の繊維状複合材料の一の実施形態を単一で又は複数組み合わされて構成された繊維部材である。即ち、この繊維部材は、これまでに説明した繊維状複合材料をそのまま用いた単一の複合材料からなる繊維部材であってもよいし、複数の繊維状複合材料を更に組み合わせて構成された繊維部材であってもよい。また、本実施形態の繊維部材においては、これまでに説明した本発明の繊維状複合材料の製造方法にて得られる、2種類以上の繊維状材料が絡み合った状態の混合化した繊維状材料を用いることもできる。
本実施形態の繊維部材を構成する繊維状複合材料は、従来のエレクトロスピニング法では製造困難であった、異なる組成の2種類以上の繊維状材料の一部同士が相互に接合した構造を有する繊維状複合材料であり、1種類の繊維状材料からなる繊維部材では実現不可能であった優れた機能性を発現させることができる。特に、繊維状複合材料における接合界面が、特異な電子物性の発現の起点や化学反応の反応点となり易く、その電気化学的な性質により、例えば、燃料電池や電気化学リアクター(電気化学反応器)、各種センサ等の電極や、導電性セラミックス材料を電極として利用するキャパシタ等のデバイス材料、触媒等の構成部材として好適に用いることができる。また、上述した2種類以上の繊維状材料が絡み合った状態の混合化した繊維状材料であっても、製造段階(紡糸段階)で混合化された繊維状材料は、繊維状材料を相互に均質に混合させることができるため、触媒や機能性フィルター等の繊維部材として好適に用いることができる。
[4]機能性デバイス:
本発明の機能性デバイスは、上述した繊維部材を、燃料電池若しくは電気化学反応器の電極、機能性フィルタ、又は、電気化学キャパシタ、二次電池、化学センサ等のエネルギー・環境デバイスの電極等の構成部材として用いたものである。
より具体的な例として、例えば、燃料電池の空気極に上記繊維部材を用いた燃料電池、繊維部材を電気化学セルとして用いた、NO浄化リアクター、NOセンサ、酸素分離輸送デバイス等を挙げることができる。また、上記繊維部材は、ガス反応で必要となる高気孔率多孔体構造を簡単に実現できるため、フィルタ型の触媒機能を有するガス反応改質機にも応用することが可能であり、更には、セラミックやカーボン等の複合体ナノ繊維部材はリチウムイオン二次電池やスーパーキャパシタや電気化学キャパシタ等の二次電池の電極やセパレーターとして利用可能である。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、エタノールに0.05〜0.1g/mlのポリビニルブチラール(PVB)を添加した溶液に、市販の原料粉末であるLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8(以下、「LSCF」という)、La0.8Sr0.2MnO(以下、「LSM」という)、La0.8Sr0.2CoO(以下、「LSC」という)、ガドリニア添加酸化セリア(以下、「GDC」という)、イットリア添加ジルコニア(以下、「YSZ」という)及びNiOを、遊星ボールミル等で粉砕を行うことにより微細化したものを、それぞれ個別に0.1〜0.5g/ml添加して十分に撹拌することで、それぞれの原料粉末を含む前駆体液(原料液)を調製した。なお、上記した各原料粉末は、粉砕することなく、そのまま用いてもよい。これらの原料液の中から2種類を用いて、本発明の繊維状複合材料の製造方法を実現可能な静電紡糸装置により紡糸を行うことで繊維状複合材料を作製した。
具体的には、まず、得られた前駆体液(原料液7)を、図1Aに示すような静電紡糸装置100の注射器6に導入した。注射器6の容量は、それぞれ30dmとし、各注射器6は、それぞれの先端に接続されたニードル8が10〜20cm離れた間隔で向き合うように配置した。なお、ニードル8は、ステンレス製の内径1.2mmの針を用いた。
各ニードル8は、高電圧アンプ3の電源と電気的に接続し、雰囲気調整用箱5の底部に板状のコレクター10を配置した。そして、2本のニードル8のそれぞれに、極性が正負でそれぞれ異なる約15〜30kV高電圧を同時に印加した状態で、ニードル8より原料液7を、吐出速度0.01〜0.2ml/minの範囲で制御しながら吐出させて、エレクトロスピニングによって紡糸した。この際、印加電圧の極性を時折反転させた。
これによりポリマーであるPVBとセラミックスが混合状態にある2組の繊維状材料が複合化した構造体(繊維状複合材料)を得た。得られた繊維状複合材料は、これ単体で使用する場合は、2組の有機−無機ハイブリッド材料が接合した繊維状複合材料として利用することができた。また、得られた繊維状複合材料を、更に還元雰囲気中600℃以上の温度で焼成することにより、2組のカーボンとセラミックスの複合繊維が接合した繊維状複合材料とすることができた。また、得られた繊維状複合材料を、大気中600℃以上の温度で焼成することにより、繊維状複合材料中の有機物を燃焼させて、組成の異なる単相のセラミックス繊維が複数本複合化した繊維状複合材料を得ることができた。
生成する単一組成のセラミックス繊維(即ち、各繊維状材料)は、粒子径が20nmから数μmの粒子からなる多結晶セラミックス繊維であり、繊維の太さは70nm〜10μmであり、長さは数十μmから数十センチオーダーであり、そのアスペクト比は100以上であった。なお、各繊維状材料の細線径(太さ)は、使用する原料液の粘度によりある程度の制御が可能であり、原料液の粘度を高くすることで線径を太く、粘度を低くすることにより線径を細くすることができた。また、市販のされている有機導電性高分子を、ポリマー原料の一部として原料液に混ぜることにより、導電性高分子とセラミックスの繊維状複合材料とすることも可能であった。
なお、セラミックス粒子を出発原料に用いた場合、繊維状材料の形状は、出発原料に含まれるセラミックス粒子の粒子径に強く依存した。セラミックス粒子として、最大20μm程度の粒子径の粒子を含む原料液であっても、良好に繊維状材料を形成することが可能であった。但し、良好な繊維状の材料を得るためには、粒子径が1μm以下の粒子であることが好ましく、10nm程度以下の粒子であることが更に好ましい。
ここで、LSMとNiOとを原料に用いて作製された繊維状複合材料の電子顕微鏡を用いた電子顕微鏡写真(反射電子像)を図2に示す。ここで、図2は、粉末原料を用いた原料液により作製した繊維状複合材料の電子顕微鏡写真であり、図2における(a)で示す電子顕微鏡写真は、乾燥したガスを合成の際の雰囲気調整に用いて得られた繊維状複合材料を示し、図2における(b)で示す電子顕微鏡写真は、調湿機によってエタノールの蒸気圧を高めた雰囲気下において得られた繊維状複合材料を示す。
図2に示す電子顕微鏡写真からも分かるように、従来のエレクトロスピニング法では作製することが困難であった、異なる組成が一次元的に配列した繊維状材料が、更に次元構造を維持したまま異種材料と一部が複合又は混合及びそれら両方の構造体として形成することが可能であることが実証された。
また、図2の(a)に示した乾燥しやすい条件で作製した場合では、色の濃いで示されるNiO繊維と色が薄く見えるLSM繊維が密着することなく均質に混合したような材料(構造体)を得ることができ、図2の(b)に示した乾燥し難い条件で作製した場合、組成の異なる繊維が強く密着し、且つ複雑に絡みあった複合材料を得ることができた。このように作製する際の電界条件や雰囲気の調整により、その混合や密着の度合いを制御することが可能であることも実証された。
更に、原料液ごとの吐出量を制御することで、複合化する繊維状材料の相対的な量を制御することが可能であることも確認された。図2の(c)に示す電子顕微鏡写真においては、一つの組成の繊維状材料(NiO)を、異なる組成の繊維状材料(LSM)が取り挟むように複合化した繊維状複合材料も製造することができることが判明した。このような酸化物イオン伝導性のナノ繊維を、電子伝導性のナノ繊維で挟み込んだ繊維状複合材料とすることで、ナノ繊維形状の電気化学リアクターやセンサを実現することができる。
(実施例2)
本実施例では、まず、LSCF、LSM、LSC、GDC及びNiOの作製に必要な化学量論組成の金属硝酸塩水溶液を調製した。具体的には、硝酸ニッケル、硝酸セリウム、硝酸ランタン、硝酸ストロンチウム、硝酸コバルト(II)、硝酸鉄(III)等の金属硝酸塩水溶液を、0.5〜2モル/lの濃度となるように蒸留水に溶解し、ポリビニルアルコール(PVA)又はポリビニルピロリドン(PVP、K−90)を0.125g/ml程度混合して濃度を調整した後、12時間撹拌することにより前駆体液(原料液)を調製した。これらの原料液の中から2種類を用いて、本発明の繊維状複合材料の製造方法に従い繊維状複合材料を製造した。
選択した2種類の原料液を、図1Bに示すような静電紡糸装置101の注射器6に導入した。注射器6の容量は、それぞれ30dmとし、各注射器6は、それぞれの先端に接続されたニードル8が10〜20cm離れた間隔で向き合うように配置した。なお、ニードル8は、ステンレス製の内径1.2mmの針を用いた。
そして、2本のニードル8に、それぞれに極性が正負の約15〜30kV高電圧を同時に印加した状態で、更にニードル8の前およそ2〜5cm部分に配置した各成形制御用電極16に、対応するニードル8(成形制御用電極16により近いニードル8)と同極性の電界をおよそ2〜10kV印加し、各ニードル8より原料液7を、吐出速度0.01〜0.2ml/minの範囲で制御しながら吐出させて、エレクトロスピニングによって紡糸した。この際、印加電圧の極性を時折反転させた。
これにより、ポリマーであるPVPと硝酸塩が混合状態にある多成分の複合繊維を得ることができた。得られた複合繊維を結晶化させるために1000度以上の温度で焼成することにより、単相のセラミックス繊維が複数本複合化した繊維状複合材料を製造した。生成する単一組成のセラミックス繊維は、粒子径が1nm〜100nmの粒子からなる多結晶セラミックス繊維であり、繊維の太さは30〜300nmであり、長さは100nmから数十センチオーダーであり、そのアスペクト比は10以上であった。なお、各繊維状材料の細線径(太さ)は、使用する原料液の粘度によりある程度の制御が可能であり、原料液の粘度を高くすることで線径を太く、粘度を低くすることにより線径を細くすることができた。
本実施例においては、粘度の調整を目的として、水溶液では、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の高分子材料を溶解して、それらの濃度を調整することにより、また、混合する金属イオン濃度により原料液の粘度を調整することにより、機能性セラミックス繊維の前駆体(未焼成の繊維)が生成する条件を制御することができた。
ここで、図3に、硝酸塩水溶液原料を用いた原料液により作製した繊維状複合材料の電子顕微鏡写真を示す。図3に示す電子顕微鏡写真から分かるように、繊維状複合材料の構造は、ナノ繊維の製造条件や種類によって、GDC−YSZの細線が1本ずつ直線的に密着して複合化することが可能であるだけでなく、螺旋状に複合化させることも可能であることが分かった。また、低濃度、低粘性前駆体での繊維形成は困難であることが分かった。
(実施例3)
本実施例では、上記実施例1及び2で作製した異なる溶媒系の原料液を組み合わせて用いることによって、繊維状複合材料を製造した。なお、繊維状複合材料の製造に使用した原料液として、次の2組を用いた。1組目の原料の組み合わせは、硝酸塩水溶液とPVPを原料としたYSZ原料溶液と、セラミックス粉末とPVBを原料として用いたLSM原料液との組み合わせとし、2組目の原料の組み合わせは、硝酸塩水溶液を原料とするGDC原料液と、粉末を原料として用いたLSCFの組み合わせとした。
本実施例においては、図1Bに示すような静電紡糸装置101を用いて、実施例2と同様の条件にて静電紡糸工程を行って繊維状複合材料を得、得られた複合繊維を、更に1000℃で焼成して複合材料を製造した。ここで、図4は、粉末原料及び硝酸塩水溶液原料を用いた原料液を組み合わせて作製した繊維状複合材料の電子顕微鏡写真である。図4に示すように、得られた繊維状複合材料は、螺旋状の複合繊維を形成しており、焼成後もその形状を維持していた。このような繊維状複合材料は、水溶液原料から得られる表面の滑らかなセラミックス繊維と粉末を用いた原料液から得られる多孔質な繊維が組み合わさった形状が複合化した構造となっており、原料液の種類を適宜選択することにより、その表面形状を自由に制御することも可能であった。
(実施例4)
本実施例では、上記実施例1〜3で作製した原料液を用い、図1Cに示すような静電紡糸装置102を用いて静電紡糸工程を行って繊維状複合材料を製造した。なお、上述のLSCF、LSM、LSC、GDC及びNiO等の金属酸化物材料は、電子伝導性、酸化物イオン伝導性、又はこれら両方のキャリア伝導を有する混合導電性酸化物材料であり、これらの電気化学的な性質を利用することにより、燃料電池の空気極や導電性セラミックス材料を電極として利用するキャパシタや、電池材料としてのデバイス、触媒への展開が可能であった。
また、本実施例で用いた静電紡糸工程(即ち、図1Cに示す静電紡糸装置102)においては、目的とする繊維状複合材料を、容易且つ大量に製造することができるとともに、セル構造として利用可能な層構造の3次元構造へのプロセス展開も容易であった。LSM−NiO、GDC−YSZの繊維状複合材料を連続的に製造することで、図5に示すような積層型の繊維状複合材料(積層構造体)を得ることができた。ここで、図5は、積層ナノ繊維構造体の電子顕微鏡写真である。この積層構造体は、酸化物イオン伝導性の材料であるGDC−YSZの繊維状複合材料を、電子伝導性材料であるLSM−NiOの繊維状複合材料で挟んだ構造を実現し、電流を印加することにより電気化学セルとして機能し、NO浄化リアクター、NOセンサ、酸素分離輸送デバイスとして機能した。
また、フィルタ型ガス反応で必要となる多孔質を簡単に実現でき、触媒フィルタやセラミックス電極としても活用が可能であった。
(実施例5)
本実施例では、蒸留水にPVAを0.125g/ml混合した溶液に、市販の原料粉末である非晶質のチタニアを個別に0.1〜0.5g/ml添加して十分に撹拌した原料液と、蒸留水にPVAを0.05g/ml混合した溶液に、市販の白金ナノ粒子を0.01g/ml分散させた原料液を用いて、図1Aに示すような静電紡糸装置100を用いて、実施例1と同様の条件にて静電紡糸工程を行って繊維状複合材料を製造した。
得られた繊維状複合材料を1000℃で焼成することにより、図6に示すようなTiOの繊維に白金粒子が分散した複合繊維構造体を得た。ここで、図6は、繊維構造を形成可能な原料液と、繊維構造を形成不可能な原料液を利用して作製した繊維状複合材料の電子顕微鏡写真である。
本発明の繊維状複合材料は、燃料電池やセンサ等の電気化学反応器の構成部材、機能性フィルタ、触媒、電気化学キャパシタ等のエネルギー・環境デバイスにおける構成部材として利用することができる。また、本発明の繊維状複合材料の製造方法は、本発明の繊維状複合材料を簡便に製造する方法として利用することができる。
1:制御用パソコン、2:ファンクションジェネレーター、3:高電圧アンプ、4:原料吐出量制御器、5:雰囲気調整用箱、6:注射器、7,7a,7b:原料液、8:ニードル、9:ナノファイバー、10:コレクター、10a:網状コレクター、11:ガス供給源、12:調湿機、13:流量制御器、14:真空ポンプ、15:高圧電源、16:成形制御用電極、31:高電圧電源、32:注射器、33:原料液、34:ニードル、35:ナノファイバー、36:コレクター、100,101,102:静電紡糸装置、200:静電紡糸装置。

Claims (7)

  1. 異なる組成の2種類以上の繊維状材料の一部同士が相互に接合した構造を有し、
    前記2種類以上の繊維状材料は、それぞれの前記繊維状材料の直径が10nm〜50μmであるとともに、それぞれの前記繊維状材料の直径に対する長さの比の割合が10以上である繊維状複合材料。
  2. 前記2種類以上の繊維状材料のうちの少なくとも1種類の繊維状材料は、セラミックス材料、有機物材料、金属材料、又はそれらの複合材料のいずれかを含む材料が繊維状に形成されたものである請求項1に記載の繊維状複合材料。
  3. 前記2種類以上の繊維状材料のうちの少なくとも1種類の繊維状材料は、絶縁性、電子導電性、イオン導電性、及び混合キャリア導電性からなる群より選択される少なくとも一の電気的特性を有するものである請求項1に記載の繊維状複合材料。
  4. 2種類以上の紡糸用原料液を調製する原料液工程と、
    得られた前記2種類以上の紡糸用原料液を、前記紡糸用原料液を噴射するノズルが間隔を空けて対向するように配置された2以上の溶液供給部にそれぞれ導入し、前記2種類以上の紡糸用原料液のうちの少なくとも一の原料液と、前記2種類以上の紡糸用原料液のうちの前記一の原料液以外の他の原料液とに、それぞれ極性の異なる±0.5kV/cm以上の高電界を印加してそれぞれ噴射し、前記一の原料液からなる繊維状材料と、前記他の原料液からなる繊維状材料とを、それぞれの繊維状材料が独立した連続構造を有した状態で混合化又は複合化させる静電紡糸工程と、を備えた繊維状複合材料の製造方法。
  5. 2種類以上の紡糸用原料液を調製する原料液工程と、
    得られた前記2種類以上の紡糸用原料液を、前記紡糸用原料液を噴射するノズルが間隔を空けて対向するように配置された2以上の溶液供給部にそれぞれ導入し、前記2種類以上の紡糸用原料液のうちの少なくとも一の原料液と、前記2種類以上の紡糸用原料液のうちの前記一の原料液以外の他の原料液とに、それぞれ極性の異なる±0.5kV/cm以上の高電界を0.001〜500Hzの変調周波数で変調させて印加してそれぞれ噴射し、前記一の原料液からなる繊維状材料と、前記他の原料液からなる繊維状材料とを、それぞれの繊維状材料が独立した連続構造を有した状態で混合化又は複合化させる静電紡糸工程と、を備えた繊維状複合材料の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維状複合材料を、少なくとも1種類含み、前記繊維状複合材料が、単一で又は複数組み合わされて構成された繊維部材。
  7. 請求項6に記載の繊維部材が、燃料電池若しくは電気化学反応器の電極、機能性フィルタ、又は、電気化学キャパシタ、化学センサ若しくはエネルギー・環境デバイス用の構成部材である機能性デバイス。
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