JP2012001524A - 脂肪前駆細胞分化抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、安全かつ有効なカロテノイド類に属する化合物を有効成分とする脂肪前駆細胞分化抑制剤を提供することを主な課題とする。また本発明は、脂肪前駆細胞の脂肪細胞への分化を抑制する作用を発揮する医薬組成物、化粧料組成物を提供することを主な目的とする。
【解決手段】シフォナキサンチンが、脂肪前駆細胞の脂肪細胞への分化を抑制する効果を有することを見出し、シフォナキサンチンを有効成分とする脂肪前駆細胞分化抑制剤、医薬組成物、化粧料組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、シフォナキサンチンを有効成分として含む脂肪前駆細胞分化抑制剤、及び該剤を含有する組成物に関する。
近年、世界的にも食生活が豊かになったことに伴ったカロリーの過剰摂取、交通手段の発達による運動不足等が引き金となって、肥満が急激に増加している。肥満は高脂血症、糖尿病、高血圧等の成人病を引き起こすことが知られており、特に肥満を背景とした高脂血症、高血圧、高インスリン症等の要因が重なることによって、たとえ軽度の症状であっても、将来的に虚血性心疾患等の重症を発症する危険性が高くなり、メタボリックシンドロームとして社会問題となっている。
肥満とは、単に脂肪の摂取過多が原因となって、必要以上の脂肪分が体内に蓄積する場合もあるが、体内脂肪細胞に分化する脂肪前駆細胞が、様々な分化刺激に応答して脂肪細胞に分化し、脂肪細胞数の増大することが原因となって肥満を引き起こす場合もある。一般に、BMI値が25以上の場合、肥満とされている。
そこで近年、肥満の原因となる脂肪細胞の増大に対して、抑制する有効な機能性成分の発見が求められており、カテキンやフラバンジェノール等のフラボノイド類が、肥満を抑制する有効成分として発見され、種々の製品が実用化されている。
さらに、カロテノイド類に属するフコキサンチノールに脂肪前駆細胞から脂肪細胞への分化を抑制する効果があることが発見され(特許文献1)、種々のカロテノイド類にも同様の効果を有することが期待されていたが、ネオキサンチン、フコキサンチン、フコキサンチノール等のアレン構造(=C=)を有するカロテノイド類のみが、抑制効果を有すると報告されている。即ち、アレン構造を有さないカロテノイド類には、脂肪前駆細胞から脂肪細胞へ分化する効果を有さないことが報告されている。(特許文献2)
緑藻類に多く含まれるシフォナキサンチンは、アレン構造を有さないカロテノイド類であり、抗腫瘍剤として用いることができることが既に報告されている(特許文献3)。
国際特許公報 WO/2006/126325号公報 特開2008−280281号公報 特開2009−227642号公報
本発明は、安全で、且つ優れた脂肪前駆細胞分化抑制剤を提供することを主な目的とする。また本発明は、脂肪前駆細胞の脂肪細胞への分化を抑制する作用を発揮する医薬組成物、食品組成物、化粧料組成物等を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、カロテノイド類に属するシフォナキサンチンが、同類に属するその他の化合物であるβ−カロテン、フコキサンチンと比較して、より優れた脂肪前駆細胞の脂肪細胞への分化を抑制する作用を有することを見出した。
さらにシフォナキサンチンは、同類に属する他の化合物であり、脂肪前駆細胞の脂肪細胞への分化を抑制する作用を有するネオキサンチンよりも、細胞に対する毒性が低いことが明らかとなった。すなわち本発明は、かかる知見に基づいて完成したものであり、下記に示す態様を包含するものである。
項1 シフォナキサンチンを有効成分とする脂肪前駆細胞分化抑制剤。
項2 シフォナキサンチンを有効成分とする抗肥満剤。
項3 シフォナキサンチンを有効成分とする外用剤。
項4 シフォナキサンチンを有効成分とする内服剤。
項5 シフォナキサンチンを含む内服剤。
項6 シフォナキサンチンを有効成分とする化粧料組成物
項7 シフォナキサンチンを有効成分とする医薬組成物。
項8 シフォナキサンチンを含む食品組成物。
以下に、本発明を詳細に説明する。
シフォナキサンチン
本発明のシフォナキサンチンは、下記式(1)
Figure 2012001524
に示される化合物である。
本発明のシフォナキサンチンは、例えばルテインを原料にし、ロロキサンチンの合成を経た多段階の酸化反応工程に挙げられるような化学合成によって得られたものであっても、天然物を原料として得られた天然物由来のものであっても、天然物由来のシフォナキサンチン前駆体を原料にし、その後に化学合成して得られるものであってもよい。環境や動物への安全性の観点から、天然物由来のシフォナキサンチンが好ましい。
上述の原料となる天然物として、具体的には褐藻、紅藻、緑藻等の藻類を挙げることができ、好ましくは緑藻である。緑藻の具体例としてミル(海松:Codium fragile 〔Suringar〕Hariot)、ヤブレグサ(Ulva japonica)、クビレズタ(Caulerpa lentillifera)等を挙げることができ、好ましくは比較的浅所に生息するヤブレグサである。ヤブレグサには、乾燥藻体1g当たり30μg程度、ミルには200μg程度のシフォナキサンチンが含まれる。
上記の天然物由来のシフォナキサンチンは、上記の藻類のうち少なくとも一種を原料とし、単離する方法によって得ることができる。具体的な方法の一例として、上記原料をそのままか、又は必要に応じて乾燥、細切、破砕、粉砕、圧搾、煮沸あるいは発酵処理した処理物に対して、溶媒を加えてシフォナキサンチンを含む抽出し、得られた抽出物に対してクロマトグラフ処理を施して、シフォナキサンチンを精製する方法を挙げることができる。
上記の溶媒としては、例えばアセトン、エタノール、ヘキサン、クロロホルム等が挙げられ、中でも、抽出効率の観点からアセトン、又はエタノールを用いることが好ましい。抽出溶媒の使用量は、上記原料に1重量部に対して通常2〜100重量部程度とすればよく、より好ましくは5〜10重量部程度である。
上記の抽出方法として、具体的には冷浸、温浸等の浸漬法;低温、室温、又は高温条件下で撹拌する方法;パーコレーション法等を挙げることができる。抽出処理の後、ろ過や遠心分離等の通常に用いられる固液分離手段を用いて固相画分を取り除き、液体画分にシフォナキサンチンを含む抽出物を得ることができる。得られた抽出物をそのまま用いて本発明のシフォナキサンチンとすることもできるが、必要に応じて減圧蒸留等の処理を施し、有機溶媒成分を取り除いても良い。
また、得られた抽出物はさらに精製の工程を経て本発明のシフォナキサンチンとしても良い。具体的にはHPLCシステム等を用いた、公知のカラムクロマトグラフィー法による精製法が挙げられる。この方法にて用いるカラムの種類としては、シリカカラム、ODSカラム、シアノプロピルカラム等を挙げられ、中でもODSカラムが好ましい。
上述の方法にて得られたシフォナキサンチンは、公知の方法を用いて溶媒を除去してもよく、その後に、より適当な溶媒に溶解させて保存させてもよい。また、必要に応じて乾燥、濃縮等の処理に供して乾燥物や濃縮物としてもよい。シフォナキサンチンは、光に対して弱い性質を有することから、保存する際には遮光環境下におくことが好ましい。
脂肪前駆細胞分化抑制剤
本発明の脂肪前駆細胞分化抑制剤は、上述のシフォナキサンチンを有効成分とする。本発明の脂肪前駆細胞分化抑制剤において、有効成分として含有されるシフォナキサンチンの割合は、通常1〜99重量%程度とすればよく、より好ましくは10〜90%程度である。
本発明の脂肪前駆細胞分化抑制剤による効果は、抗メタボリックシンドローム作用、痩身作用、ダイエット作用等によって確認することができる。
本発明の脂肪前駆細胞分化抑制剤が関与する脂肪分化抑制機序は、特に限定はされないが、好ましくはインスリンによって誘発される脂肪への分化を抑制する機序、PPARγを介したシグナルカスケードが作動することによって誘発される脂肪への分化を抑制する機序等を挙げることができる。
脂肪前駆細胞分化抑制剤は、動物個体を対象として使用することも可能である。使用対象とする動物個体は、特に限定はされないが、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ハムスター、イヌ、ネコ、イタチ等のホ乳類動物に対して、より好ましい脂肪前駆細胞分化抑制効果を示す。さらに好ましくはヒトである。中でも、中性脂肪の増大による肥満等の状態にあるヒトへの適用が特に好ましい。
本発明のシフォナキサンチンは、経皮による適用となる外用、内服又は摂取による適用となる内用等の形態で使用されることによって、脂肪前駆細胞に対する分化抑制効果を発揮するので、本発明のシフォナキサンチンは、化粧料、医薬品、食品等として使用される組成物に配合して使用される。
脂肪前駆細胞分化抑制剤の動物個体に対する使用量は、動物個体の体重、年齢、性別、投与形態、所望する効果の程度等によって適宜設定することが可能である。具体的な使用量は、内用の形態であれば、有効成分であるシフォナキサンチンの量として、通常0.1〜100mg/kg/日程度の量で使用すればよく、外用の形態であれば、同じくシフォナキサンチンの量として、皮膚1cmあたり通常0.01〜10mg程度の量で使用すればよい。
本発明のシフォナキサンチンを有効成分とする組成物において、シフォナキサンチンの配合割合は、脂肪前駆細胞が脂肪細胞へ分化することを抑制できる量であればよく、該組成物の形態、用途等に応じて適宜調整されるが、通常は組成物の総量に対して、シフォナキサンチンが0.001〜50重量%程度とすればよい。
以下に、本発明のシフォナキサンチンの使用態様について、化粧料、医薬品、及び食品を例に挙げて説明する。
化粧料
化粧料において、脂肪前駆細胞の分化抑制に有効な量のシフォナキサンチンと共に、香粧学的に許容される担体や添加剤等を配合することにより、脂肪前駆細胞分化抑制用の化粧料組成物が提供される。
すなわち、本発明の化粧料組成物は、シフォナキサンチンを有効成分とする。当該化粧用組成物は、脂肪前駆細胞の分化抑制作用を効果的に発揮でき、生体内の脂肪細胞の増大を防ぐ効果が期待されるので抗肥満用化粧料として有用である。例えば、痩身用化粧料、ダイエット用化粧料等が挙げられる。
当該化粧料組成物の形状については特に制限されないが、例えば、ペースト状、ローション状、ムース状、ジェル状、ゼリー状、液状、乳液状、懸濁液状、クリーム状、軟膏状、シート状、エアゾール状、スプレー状等が挙げられる。また、当該化粧料組成物の形態についても、制限されるものではないが、例えば、ファンデーション、頬紅、白粉等のメイクアップ化粧料;化粧水、乳液、クリーム、ローション、オイル及びパック等の基礎化粧料;洗顔料、クレンジング、ボディ洗浄料等の皮膚洗浄料;マッサージ剤、清拭剤;清浄剤;入浴剤等が挙げられる。
また、当該化粧料組成物におけるシフォナキサンチンの配合割合としては、上述した割合の範囲内で適宜設定すればよいが、好ましくは、化粧料組成物の総量に対して、シフォナキサンチンが0.0001〜50重量%程度となる割合であり、好ましくは0.001〜20重量%程度である。
医薬品
医薬の分野では、脂肪前駆細胞の分化抑制に有効な量のシフォナキサンチンと共に、薬学的に許容される担体や添加剤を配合することにより、脂肪前駆細胞分化抑制用の医薬組成物が提供される。すなわち、本発明の医薬組成物はシフォナキサンチンを有効成分とする。
当該医薬組成物は、脂肪前駆細胞の分化抑制作用を効果的に発揮するので、脂肪前駆細胞から脂肪細胞へ分化することにより惹起される疾病や症状の予防及び/又は治療薬として有用である。具体的には、メタボリックシンドローム、肥満症等が例示される。なお、当該医薬組成物には、医薬品及び医薬部外品の双方が含まれる。
当該医薬組成物は、内用的に適用されても、また外用的に適用されても、上述した所望の作用を発揮することができる。故に、当該医薬組成物は、内服剤;静脈注射、皮下注射、皮内注射、筋肉注射及び腹腔内注射等の注射剤;経粘膜適用剤、経皮適用剤等の製剤形態で使用することができる。
当該医薬組成物の剤型としては、適用形態に応じて適宜設定されるが、一例として、錠剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形製剤;液剤、乳剤、懸濁剤等の液状製剤;軟膏剤、ゲル剤等の半固形製剤が挙げられる。
当該医薬組成物の適用量は、適用対象者の性別や年齢、該組成物の適用形態、期待される効果等に基づいて適宜設定することができ、例えば、0.1〜100mg/kg/日程度の量で適用すればよい。
また、当該医薬組成物におけるシフォナキサンチンの配合割合については、適用形態や適用量等に応じて、適宜設定すればよいが、好ましくは、該組成物の総量に対して、シフォナキサンチンが0.0001〜50重量%程度となる割合であり、好ましく0.001〜20重量%程度である。
食品
食品の分野では、脂肪前駆細胞に対する分化抑制作用を生体内で発揮するのに有効な量のシフォナキサンチンを食品素材として各種食品に配合することにより、脂肪前駆細胞の分化抑制効果を奏する食品組成物を提供することができる。すなわち本発明は、食品の分野において、脂肪分化抑制用、抗肥満用、ダイエット用、又は痩身用と表示された食品組成物を提供することができる。当該食品組成物としては、一般の食品の他、特定保健用食品(条件付き特定保健用食品を含む)、栄養補助食品、機能性食品、病者用食品等を挙げることができる。
当該食品組成物として、より具体的には、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;アイスクリーム、かき氷等の冷菓;ガム、チョコレート、飴、錠菓、スナック菓子、ゼリー、ジャム、クリーム等の菓子類;そば、うどん、即席麺等の麺類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、マヨネーズ、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、サラダ、惣菜、漬物、パン、シリアル等を例示できる。例えば、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品等の場合であれば、粉末、顆粒、カプセル、トローチ、タブレット、シロップ等の形態のものであってもよい。
従来、シフォナキサンチンは上述のように海草等の藻類に含まれていることが知られているが、通常の食慣習における範囲での摂取量は、上述した脂肪前駆細胞の脂肪細胞への分化抑制効果を得るには十分な量ではない。また、過剰な量のシフォナキサンチンを摂取することは、その量に見合った効果が得られず経済的問題があり、ほかには人体への予期されない悪影響が懸念されるので好ましくない。
このような観点から、当該食品組成物の1回の摂取に対して、通常1〜1000mg程度のシフォナキサンチンを摂取すればよい。このような範囲の摂取量を満たすように適宜設定することで、食品組成物に含有させるシフォナキサンチンの量を確定させることができる。また上記のシフォナキサンチンの配合量は、食品組成物1重量部当りに換算すると、通常0.05〜10重量%程度となり、好ましくは0.1〜5重量%程度である。
本発明のシフォナキサンチンは、脂肪前駆細胞の分化抑制作用を効果的に発揮でき、生体内の脂肪細胞の増大を防ぐ効果が期待されるので、脂肪前駆細胞分化抑制用食品添加剤としても有用である。該剤は、例えば痩身、抗メタボリックシンドローム、ダイエット等の用途に用いることができる。
上記の脂肪前駆細胞分化抑制用食品添加剤へのシフォナキサンチンの配合量は、該剤1重量部当り、通常0.001〜10重量%程度となり、好ましくは0.01〜1重量%程度である。また、該剤は具体的には食品の摂取時又は食事等の調理時に好適に用いることができ、摂取量は上述の食品組成物の摂取量と同程度にすればよい。
本発明において有効成分として使用されるシフォナキサンチンは、藻類に属する緑藻に含まれる成分である。すなわち、シフォナキサンチンは、従来から食品として摂取されてきた天然成分の一種であり、人体に対する安全性が確認されている。特に、シフォナキサンチンは、他のカロテノイド類よりも細胞毒性が低いという性能を有する。
本発明において有効成分として使用されるシフォナキサンチンは脂肪前駆細胞の脂肪細胞への分化を抑制する効果を有することから、シフォナキサンチンを、脂肪前駆細胞分化抑制剤、化粧料組成物、医薬組成物の有効成分とすることができ、シフォナキサンチンを含む食品組成物とすることができる。これらの組成物は、脂肪前駆細胞の分化を抑制する効果を発揮するので、抗肥満、痩身、メタボリックシンドローム、ダイエット等の用途に用いることができる。
シフォナキサンチンを含むカロテノイド類による前駆脂肪細胞分化抑制作用を、細胞内に蓄積する中性脂肪の量にて解析した結果。 シフォナキサンチンを含むカロテノイド類による前駆脂肪細胞分化抑制作用を、細胞内に蓄積する中性脂肪を染色して観察した顕微鏡像。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明が以下に示す実施例に限定されないのは言うまでも無い。
カロテノイド類の製造
シフォナキサンチンは緑藻のヤブレグサ(Ulva japonica)を、比較実験例として用いるフコキサンチンは渇藻のワカメ(Undaria pinnatifida)を、ネオキサンチンはホウレンソウ(Spinacia oleracea)を原料にして製造した。
それぞれのサンプルを凍結乾燥させた後、ミルミキサーを用いて粉砕し、10倍体積量のアセトンを加え、4℃にて一晩抽出を行った。抽出液から固体成分を濾過によって取り除いた後、エバポレーターによって濃縮し、メタノールに溶解させた。得られた溶解液を分取HPLCシステムに供し、カロテノイド類の精製を行った。
分取HPLCシステムにおいて、カラムはLiChroprep RP−18(MERCK社製)、ポンプはLC−9A(Shimadzu社製)を用いた。分取工程において用いる移動相として、アセトニトロリル:水の体積比が90:10の混合溶液を用いた。上記の機器および条件にて、それぞれのサンプルを分取HPLCシステムに供し、目視によって各々のカロテノイド類が含まれる画分を分取し、その後エバポレーターによる濃縮、メタノールによる溶解工程を経て、各カロテノイド類を含む溶解液を得た。得られた溶解液はさらにHPLCシステムに供した。
HPLCシステムにおいて、カラムはODS−80Ts(4.6cm×250mm;TOSOH社製)、ポンプはLC−6AD(Shimadzu社製)、検出器はSPD−M20A(Shimadzu社製)を用いた。ここでのHPLCの条件は、移動相として0.1%の酢酸アンモニウムを含んだアセトニトリル:メタノール:水の体積比が75:15:10である混合溶液を用い、1.0ml/分の流速にて行った。
フコキサンチン及びネオキサンチンは約9分で、シフォナキサンチンは約7分でそれぞれのカロテノイド類の溶出に対応するピークが出現し、分取した。分取した溶液1mLに対して、2mLのジクロロメタン及び0.9mLの水を加えて撹拌した後、1,000gで15分間遠心分離を行い、下層を分取した。上層は等量のジクロロメタンを加えて撹拌した後、再度同じ条件にて下層を分取し、先の下層と合わせた。
得られた各種カロテノイド類の溶液は、窒素により溶媒を除去し、ジクロロメタンとメタノールを等量ずつ含む混合溶媒に溶解させて、−80℃にて保存した。全ての製造操作は、極力遮光条件下にて行い、さらに低温下にて行った。
製造したカロテノイド類の同定
上述の方法によって得られた各種カロテノイド類を、LC-MS法および吸収スペクトル法により解析した。以下に結果を示す。
〔ワカメ由来のフコキサンチン〕
[M+H]+ 659, [M+H-H2O]+ 641 極大吸収波長 447 nm
〔ホウレン草由来のネオキサンチン〕
[M+H]+601, [M+H-H2O]+ 583 極大吸収波長 413, 437, 465 nm
〔ヤブレグサ由来のシフォナキサンチン〕
[M+H]+601, [M+H-H2O]+ 583 極大吸収波長 449 nm
カロテノイド類の脂肪分化抑制効果
マウス由来脂肪前駆細胞3T3−L1(ヒューマンサイエンス振興財団)を、24ウェルプレートに5×10細胞/mLの濃度で播種した後、10%のFBSを含むDMEM培地にて培養して増殖させ、コンフルエントとなった後、2日間メンテナンスを行った。脂肪前駆細胞の脂肪細胞への分化誘導は、終濃度が1μMのインスリン、0.5mMのイソブチルメチルキサンチン、及び1μMのデキサメタゾンを含むDMEM培地を用いて培養することで行った。
分化誘導開始から、48時間後に終濃度が1μMのインスリン、製造したフコキサンチン、ネオキサンチン、シフォナキサンチンのカロテノイド類をそれぞれ溶解させたテトラヒドロフランを終濃度が0.3%となるように添加したDMEM培地を用いて、脂肪分化抑制効果を確認する実験を行った。ここで、各種カロテノイド類は培地中にそれぞれ5μM及び10μMとなる濃度にて用い、陰性対象群としてはテトラヒドロフランにカロテノイド類が溶解していない培地、カロテノイド類としてβカロテンをテトラヒドロフランに溶解させた培地を用いた。これらの培地を48時間ごとに2回交換し、分化誘導開始から6日後の脂肪細胞への分化を確認した。
脂肪細胞への分化の確認は、細胞内に蓄積した中性脂肪を、オイルレッド Oによる染色法を用いることで評価した。0.3%のオイルレッド Oが溶解したイソプロピルアルコールに対して蒸留水を加えて、イソプロピルアルコールが60%となるように調整し、その後フィルターろ過して染色液とした。分化誘導開始後6日目の細胞をPBSにて洗浄した後、60%イソプロピルアルコールを加えて1分間静置した。その後、60%イソプロピルアルコールを除去し、染色液を加えて20分間インキュベーションした。インキュベーションの後、細胞をPBSにて洗浄して、顕微鏡にて観察を行った。また、洗浄後の細胞に100%のイソプロピルアルコールを加えて細胞を溶解させ、細胞内にて染色された中性脂肪分を抽出し、後にプレートリーダーを用いて490nmの吸光度を測定することで、細胞内の中性脂肪を定量した。
図1は、各種カロテノイド類の脂肪細胞への分化抑制効果を、細胞内の中性脂肪量を定量することによって確認した結果である。シフォナキサンチン、ネオキサンチンは、濃度依存的にオイルレッド Oが特異的に吸収する490nmのOD値が、陰性対象群、フコキサンチン、ネオキサンチンと比較して有意に減少しており、細胞内への中性脂肪蓄積量を減少させる効果を有する事が判明した。
図2は、各種カロテノイド類の脂肪細胞への分化抑制効果を、オイルレッド O染色後の細胞を顕微鏡観察することによって確認した結果である。各種カロテノイドを10μM添加した際の顕微鏡観察像にて示している。シフォナキサンチンは、陰性対象群、フコキサンチンと比較して、脂肪細胞を染める赤色部が少ないことが見て取れる。さらに、ネオキサンチンを添加した場合は、細胞そのもの数が減少しており、細胞に対して毒性を有することが判明した。
以上の結果から、シフォナキサンチンは細胞に対して毒性を示すことなく、有意に脂肪細胞への分化を抑制する効果を有することが明らかとなった。

Claims (3)

  1. シフォナキサンチンを有効成分とする脂肪前駆細胞分化抑制剤。
  2. シフォナキサンチンを有効成分とする化粧料組成物。
  3. シフォナキサンチンを有効成分とする医薬組成物。
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