JP2012000073A - 凍結乾燥納豆の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】納豆本来の風味や栄養成分、さらに粒の形状を保持された凍結乾燥納豆を、低コストで製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明にかかる凍結乾燥納豆の製造方法は、大豆を蒸煮する蒸煮工程S11と、蒸煮された大豆に納豆菌を接種する納豆菌接種工程S12と、容器に納豆菌を接種された大豆を所定の高さに均して充填する充填工程S13と、容器に充填された大豆を発酵させる発酵工程S14と、発酵させた大豆を熟成させる熟成工程S15と、を連続して行って納豆を製造し、真空凍結乾燥工程S20を行う。発酵工程S14は、雰囲気温度36〜43℃で12〜14時間発酵させることにより、糸の少ない納豆となり、充填工程S13で容器に充填された大豆は、真空凍結乾燥工程S20の完了まで当該容器内から移動させないため、糸による粒同士の密着を弱くして容易に一粒ずつほぐせる凍結乾燥納豆が得られる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明にかかる凍結乾燥納豆の製造方法は、大豆を蒸煮する蒸煮工程S11と、蒸煮された大豆に納豆菌を接種する納豆菌接種工程S12と、容器に納豆菌を接種された大豆を所定の高さに均して充填する充填工程S13と、容器に充填された大豆を発酵させる発酵工程S14と、発酵させた大豆を熟成させる熟成工程S15と、を連続して行って納豆を製造し、真空凍結乾燥工程S20を行う。発酵工程S14は、雰囲気温度36〜43℃で12〜14時間発酵させることにより、糸の少ない納豆となり、充填工程S13で容器に充填された大豆は、真空凍結乾燥工程S20の完了まで当該容器内から移動させないため、糸による粒同士の密着を弱くして容易に一粒ずつほぐせる凍結乾燥納豆が得られる。
【選択図】図1
Description
本発明は、納豆を真空凍結乾燥させた、スナック菓子等として食する乾燥納豆食品となる凍結乾燥納豆の製造方法に関する。
乾燥納豆食品は、大豆の糸引納豆(以下、適宜納豆)を乾燥させたもので、そのままあるいは調味等の加工を施してスナック菓子等の食品として流通している。またその態様は、粒の形状を生かしたものや粒同士を所定の形状に固めたもの、粉末状やフレーク状に破砕されたものがある。納豆を乾燥させる方法としては、風乾や天日干しによる方法、加熱乾燥(ロースト)による方法、食用油で揚げる方法、そして真空凍結乾燥(フリーズドライ加工)による方法が挙げられる。特に、真空凍結乾燥によれば、他の方法によるものと異なり、収縮等の材料の形状の変化が小さく、また歯応えが強くなり過ぎずに軽い食感となり、さらに材料すなわち納豆の栄養成分や風味の変化が少ない乾燥納豆食品が得られる(例えば、特許文献1〜3)。真空凍結乾燥による乾燥納豆(以下、凍結乾燥納豆)の製造方法は、大豆から納豆を製造する工程と、この納豆を真空凍結乾燥する工程からなる。納豆を製造する工程は、糸引納豆を製造する従来公知の方法(例えば、特許文献4参照)と同様である。具体的には、原料の大豆を水に浸漬した後、釜で蒸煮し、この蒸煮した大豆(蒸し大豆)の粒の表面に納豆菌を接種し、所定の温度・湿度下で発酵後、冷蔵することで熟成させてなる。納豆を真空凍結乾燥する工程は、納豆を−10〜−40℃の低温に急速に冷却して凍結し、この低温下で減圧して凍結した納豆の水分を昇華させて除去し、乾燥状態とする。真空凍結乾燥により、完成した凍結乾燥納豆は元の納豆の40%程度の重量となる。
ここで、納豆の製造工程において、糸引納豆として出荷する場合は、納豆菌を接種した蒸し大豆を発泡スチロール(ポリスチレンペーパー、以下PSP)等からなる小売用の容器に計量しながら充填し、発酵・熟成させた後、この容器ごと包装して出荷すればよい。詳しくは、蓋部(上面)に通気孔が形成され、本体部(底面および側面)にエンボス加工で凹凸が形成された小売用のPSP製容器に蒸し大豆を数十gずつ充填し、この容器をかご状の浅い角型のプラスチックコンテナ等に1〜数段に並べ、さらにこのプラスチックコンテナをその外形に合わせた棚付きの台車に積載して、温度・湿度の管理された発酵用の処理室(発酵室)に移送する。このような小型の容器に充填されて、さらに上下に適度な間隔が空くように積み重ねられた状態で発酵室内に安置することで、それぞれの容器内に蓋部から外気が通じて本体部の凹部を伝って容器中の蒸し大豆の底部の粒までその表面に酸素が行き渡って、好気性菌である納豆菌による発酵が好適に進行する。発酵後は、台車ごと冷蔵室に移送して熟成させることができる。
一方、真空凍結乾燥は、被処理物(納豆)を急速冷凍する必要があるため、熱伝導性のよい金属製の、一般的には装置の処理室に対応した専用の容器にて処理される。特に断熱性の高いPSP製容器は急速冷却に不適であるので、真空凍結乾燥の前に納豆を移し替えることが必要となる。したがって、納豆の製造工程においても、小売用の容器に少量ずつで充填された状態で発酵・熟成を行うことは生産性に劣ることから、凍結乾燥納豆用の納豆の製造の際には、小売用の容器と同じPSP製で容積を大きく、例えば500g〜1kgの納豆(蒸し大豆)が収容可能な容器を用いる。具体的には、厚さはあまり変えずに幅および奥行を拡げた容器に、蒸し大豆を30mm程度の厚さで均一に充填することで、糸引納豆として出荷する製品と同じ納豆の製造ライン(発酵室、冷蔵室)で、ほぼ同条件で発酵・熟成させることができる。あるいは、前記のプラスチックコンテナに通気用の多数の孔を空けたショーレックス(中低圧法高密度ポリエチレン)製のシート等を敷いて、発酵・熟成用の容器とすることもできる(例えば、特許文献5参照)。
前記したように、真空凍結乾燥においては、納豆を金属製の容器(真空凍結乾燥用容器)に収容した状態で行うことが好ましい。しかしながら、発酵前の(納豆菌を接種した)蒸し大豆と異なり、納豆はその粒の表面を粘性の高い発酵生成物(粘質物、いわゆる糸)で被覆されているため、粒同士や容器に強く密着して部分的に団子状の固まりとなって、別の容器等に移し替える作業は時間を要し、全体の生産性を低下させる。さらに、真空凍結乾燥においては、冷却の効率と水分を昇華させる効率のために、真空凍結乾燥用容器中の納豆は、発酵における蒸し大豆以上にその充填された厚さの管理が重要となり、また充填率(密度)を高くしない(粒を密集させない)で充填されることが好ましい。そのため、納豆を移し替える工程においては、手やへら等で容器に収容した納豆の表面を均すことになるが、この作業により納豆(糸)が練られて糸の粘性が増大し、また糸が引き伸ばされて他の粒にも付着して、粒同士の密着がさらに強くなって、蒸し大豆のように容器中の厚さを均一とすることは極めて困難である。また、均一な厚さにするために、あるいは内部に形成された空洞を埋めるために容器の開口部(上)から納豆を押さえる等すると、柔らかい納豆は潰れたり割れたりして粒の形状が維持できない納豆が生じ、また部分的に充填率が高くなってしまう。前記したように真空凍結乾燥は材料の形状の変化が小さいという特徴があるが、その前に潰れる等した場合は納豆(大豆)の粒の形状を生かした乾燥納豆食品が得られないことになる。
したがって、空洞のある部分や厚さの薄い部分、さらには納豆が充填されずに容器の底が露出している部分はそのままに、ある程度は不均一に充填された納豆を真空凍結乾燥することになるので、真空凍結乾燥用容器の容積に対して納豆の収容量が少なくなる。さらに品質上、容器に充填されているすべての納豆から確実に水分を除去するために、最も厚く充填され、かつ充填率(密集の程度)の最も高くなり得る場合に合わせた条件(処理時間等)で真空凍結乾燥を行う必要があり、生産性に大きく劣る。また、粒の形状を生かした乾燥納豆食品のための凍結乾燥納豆を製造する場合は、真空凍結乾燥の後に一粒ずつにほぐす作業を行うが、粒と粒の隙間に介在した発酵生成物もその形状を保持して凍結乾燥されて固化しているため、粒同士が容易には分離しない。特に納豆の充填率の高い部分や糸が練られる等して粒同士の密着がさらに強くなった部分は、粒同士を分離するために強い外力を要することになる。前記したように凍結乾燥納豆は軽い食感すなわち脆いため、強い力を加えられると粒が容易に砕けてしまう。また、納豆に限らず豆類の特徴として、粒が2つの半球状の子葉(発芽前の双葉)に分割(半割れ)し易いため、一粒ずつにほぐそうとすると半割れ、さらにはそれ以下に砕けてしまい、例えば一般的な納豆を真空凍結乾燥したものでは20〜30%程度は半割れやそれ以下の大きさに割れてしまう。そのため、粒の丸い形状を保持した凍結乾燥納豆を要求される場合は、凍結乾燥納豆をほぐした後に割れた粒等を取り除く必要があり、製品歩留が著しく低下する。
このような問題を解消するため、特許文献1では、納豆を1hr程風乾して表面の水分をある程度除いてから0℃で軽く凍結することで、一粒ずつほぐし易い状態にして、ほぐしてから真空凍結乾燥を行う方法が記載されている。また、特許文献2,3では、納豆に水や食塩水等の液体を投入して撹拌することで、納豆をほぐしてから真空凍結乾燥を行う方法が記載されている。これらの方法によれば、真空凍結乾燥の前に納豆が一粒ずつ分離されているので、真空凍結乾燥においては充填率等が均一であるため効率的に凍結・乾燥され、完了時には一粒ずつ分離された、あるいは互いに結合していても容易にほぐせる凍結乾燥納豆が得られる。
しかしながら、特許文献1〜3に記載された方法は、それぞれ真空凍結乾燥前に納豆の粒をほぐす工程を要するため、生産性に劣る。特許文献1に記載された方法は、真空凍結乾燥のための低温とは別の2段階の温度の管理を要する。特許文献2,3に記載された方法は、撹拌装置や処理用の水を要する上、納豆の表面の発酵生成物(糸)が洗い流されてしまい、含有されるポリグルタミン酸、ポリアミン、ナットウキナーゼ、ビタミンK等の栄養成分が失われることになる。
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、生産性を向上させてコストを低減でき、栄養成分の損失を抑え、割れたり潰れたりすることなく容易に一粒ずつほぐれたものとなる凍結乾燥納豆が得られる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、主に納豆を新たな容器に移し替えて真空凍結乾燥を行うことにより、得られた凍結乾燥納豆に粒の割れ等の不具合を生じることを見出し、この不具合を防止するために、納豆を製造する(発酵させる)際に真空凍結乾燥用の容器を適用して、真空凍結乾燥前の納豆の移し替えを不要とすることに想到し、これを可能とするための納豆の製造条件を鋭意研究した。
また、一般的な糸引納豆においては、粒の表面を被覆する十分な量の糸(発酵生成物)の引き様、および納豆特有のにおいが要求されることが多い。したがって、糸引納豆の製造においては、発酵生成物が十分に生成し、納豆特有のにおいが得られるように、十分な発酵時間をかけて納豆とする。一方、糸引納豆の糸やにおいは真空凍結乾燥により殆ど消失することもあって、凍結乾燥納豆には要求されていない。そこで、本発明者は、発酵生成物の量を抑えた納豆を製造し、これを凍結乾燥納豆にすることで粒同士の密着を弱くして容易に一粒ずつほぐせる凍結乾燥納豆とし得ることに想到し、そのような納豆を前記の真空凍結乾燥用の容器を適用して製造する条件を鋭意研究した。その結果、納豆を製造する際の発酵前に、容器に充填する大豆(納豆)の厚さを管理し、また発酵室の室温を調整することで、当該容器に充填された納豆の良好な真空凍結乾燥を可能とする方法に想到した。
すなわち本発明は、大豆を蒸煮する蒸煮工程と、蒸煮された大豆に納豆菌を接種する納豆菌接種工程と、上方が開口した容器に前記納豆菌を接種された大豆を所定の高さに均して充填する充填工程と、大豆を発酵させる発酵工程と、発酵させた大豆を熟成させる熟成工程と、を連続して行って納豆を製造し、この納豆を真空凍結乾燥して凍結乾燥納豆にする真空凍結乾燥工程をさらに行う凍結乾燥納豆の製造方法である。そして、本発明に係る凍結乾燥納豆の製造方法においては、発酵工程を雰囲気温度36〜43℃で12〜14時間行い、充填工程の完了以降は、真空凍結乾燥工程の完了まで、容器に充填された大豆または納豆を当該容器内から移動させずにこれらの工程を行うことを特徴とする。
このように、発酵時間を短くして発酵生成物(糸)の量が少ない納豆として粒同士の密着を弱くすることで、真空凍結乾燥後は一粒ずつにほぐし易く、またその際に粒が割れたり砕けることを減らすことができる。また、大豆(納豆)を発酵から真空凍結乾燥まで同じ容器に充填した状態で処理することで、大豆の粒の最初の充填状態が保持されて、発酵工程のみならず、真空凍結乾燥工程においても、容器の中の納豆が均一に処理(凍結乾燥)される。そして、上方が開口した容器を用いることで、充填工程においては大豆を所定の高さに均すことが容易となり、発酵工程においては、開口部から容器の中の大豆へ酸素を行き渡らせることができる。さらに充填工程の完了以降は容器から納豆が移動されないため、納豆の粒が潰れる等の変形がなく、また粒同士の密着性が強くならず、真空凍結乾燥後にいっそう容易に一粒ずつほぐすことができ、元の蒸し煮された大豆(納豆)の形状が保持された凍結乾燥納豆が得られる。
前記真空凍結乾燥工程においては、納豆が充填された容器を金属板上に載置する、あるいは、容器を金属製とすることが好ましい。熱伝導性のよい金属板または金属製容器を適用することで、特に底面から納豆を急速に冷却、凍結させることができる。
前記充填工程において、大豆を充填する所定の高さは30mm以下とすることが好ましい。この厚さの層の大豆であれば、発酵工程においては容器内の底部に充填された大豆の粒まで酸素が行き渡ってムラなく発酵され、真空凍結乾燥工程においては、容器内の納豆全体を急速に冷却、凍結させることができ、さらに乾燥に長時間を要しない。
前記発酵工程においては、開始後7〜11時間経過時に雰囲気温度を2〜5℃下げることが好ましい。特に金属製容器を適用する場合、熱伝導性がよいために発酵による発熱で大豆(納豆)が過剰に昇温して変質することを防止できる。
本発明に係る凍結乾燥納豆の製造方法によれば、納豆表面の発酵生成物も凍結乾燥されて残存しているため栄養成分の損失が少なく、また一粒ずつにほぐれ易く、さらに粒の潰れによる変形や半割れ等が極めて少ない、粒の形状を保持した凍結乾燥納豆を製造することができる。さらに本発明に係る凍結乾燥納豆の製造方法によれば、既存の発酵室や真空凍結乾燥室およびこれらの設備に付属する容器等を適用することができ、真空凍結乾燥工程前の容器の移し替えの工程の削減のみならず、容器への収容率が低下せず、さらに、発酵工程および真空凍結乾燥工程の各処理時間を短縮できて、凍結乾燥納豆の生産性が向上する。
以下、本発明に係る凍結乾燥納豆の製造方法について説明する。本発明の実施形態に係る凍結乾燥納豆の製造方法は、大別して、原料の大豆を納豆に製造する納豆製造工程S10と、得られた納豆を真空凍結乾燥して凍結乾燥納豆を製造する真空凍結乾燥工程S20からなる。納豆製造工程S10は、基本的には通常の納豆(糸引納豆)の製造方法(例えば、特許文献4参照)と同様に、大豆を蒸煮する蒸煮工程S11、蒸煮された大豆に納豆菌を接種する納豆菌接種工程S12、納豆菌を接種した大豆を容器に充填する充填工程S13、大豆を発酵させる発酵工程S14、および熟成させる熟成工程S15からなる。また、真空凍結乾燥工程S20は、納豆を急速冷却して凍結させる予備凍結工程S21と、減圧して凍結した納豆の水分を昇華させて除去する凍結乾燥工程S22からなる(以上、図1参照)。まず、本発明の実施形態における納豆製造工程S10の詳細を説明する。
〔納豆製造工程〕
(蒸煮工程)
蒸煮工程S11は、原料の生の大豆(乾燥大豆)を、十分に水分を含有させて加熱し、粒の中心部まで「火の通った」状態に柔らかくする工程である。詳しくは、原料の大豆を必要に応じて選別(粒の大きさ、疵の有無等)、洗浄し、水に数〜20hr程度浸漬して十分に水を含有させてから、水切りして釜に投入して加熱して蒸煮する。加熱条件(温度、時間等)は大豆の量や粒の大きさ等に応じて設定すればよく、また圧力釜を使用して加熱時間を短縮してもよい。
(蒸煮工程)
蒸煮工程S11は、原料の生の大豆(乾燥大豆)を、十分に水分を含有させて加熱し、粒の中心部まで「火の通った」状態に柔らかくする工程である。詳しくは、原料の大豆を必要に応じて選別(粒の大きさ、疵の有無等)、洗浄し、水に数〜20hr程度浸漬して十分に水を含有させてから、水切りして釜に投入して加熱して蒸煮する。加熱条件(温度、時間等)は大豆の量や粒の大きさ等に応じて設定すればよく、また圧力釜を使用して加熱時間を短縮してもよい。
原料の大豆は特に限定されないが、大きさについて、大粒または極大粒(大粒は7.3mm以上8.3mm未満の目の篩で、極大粒は8.3mm以上の目の篩でふるった際に、70%以上の大豆が篩の上に残る大きさ)のものが好ましい。このような粒が大きい大豆は、充填された状態で隙間の体積が大きいため、発酵工程S14において粒のそれぞれの表面に酸素が行き渡り易く、納豆菌による発酵が好適に進行する。さらに、納豆となった後も、表面における他の粒との接触領域の間隔が空いているので互いの密着性が強くなく、真空凍結乾燥工程S20完了後に、一粒ずつにほぐし易い。また、原料の大豆の粒が大きいと、得られる凍結乾燥大豆の粒も大きくなる。このような大豆の好ましい品種として「つるの子」や「とよまさり」が挙げられる。もちろん、小粒や中粒(小粒は5.8mm以上6.4mm未満の目の篩で、中粒は6.4mm以上7.3mm未満の目の篩でふるった際に、70%以上の大豆が篩の上に残る大きさ)でもよく、また品種や産地も限定されず、種類についても黄大豆、白大豆、黒大豆、緑大豆、または赤大豆のいずれでも適用できる。また、発芽大豆を適用してもよい。
一般的な糸引納豆においては、粒の柔らかい食感が要求されることが多い。また、納豆は、発酵により大豆のタンパク質等が分解されていったんは柔らかくなるが、発酵が進行すると、水分が蒸発したり、発酵生成物(糸)に水分が移行することで、粒から水分が失われるため、発酵前の蒸し大豆よりも粒が硬くなる傾向がある。具体的には、後記の粒への荷重について、発酵前の1.2〜1.4倍程度の硬さとなる。したがって、糸引納豆を製造するための蒸し大豆は、一般的に、完成後の納豆よりもさらに柔らかくなるように蒸煮され、また、粒の中身だけでなく表皮(種皮)まで十分に柔らかくする。しかし、納豆の柔らかい食感は真空凍結乾燥により消失するので、凍結乾燥納豆用の納豆においては糸引納豆の柔らかさは要求されず、また、表皮の硬さが食感を損ねることもないので表皮を柔らかくする必要がない。さらに、本発明に係る凍結乾燥納豆の製造方法においては、後記するように発酵工程S14の時間が短く、水分の減少による硬化が開始する前または硬化が少ないうちに終了させるため、硬さの変化が小さく、あるいは発酵前よりも柔らかい納豆となる場合がある。その結果、一般的な糸引納豆の仕様で蒸煮された大豆では柔らか過ぎて、凍結乾燥納豆としたときに粒が脆く割れ易くなる。また、このような納豆は、水分が多いために凍結乾燥工程S22に時間がかかる。したがって、真空凍結乾燥前の納豆の硬さは糸引納豆と同程度あるいは糸引納豆より硬いことが好ましく、そのために、発酵前の蒸し大豆については糸引納豆用の蒸し大豆に対してさらに硬いことが好ましい。
蒸し大豆や納豆の硬さは、レオメータやデジタルフォースゲージを用いて、粒に荷重を漸増させながら加えて、潰れた時点または破断した時点の荷重(応力)にて測定できる。例えばレオメータにて、10mmφのアダプタを粒の中心部に向けて速度6cm/minで押し込んで粒が潰れた時点の荷重で測定する。大豆の品種や粒の大きさにもよるが、品種「つるの子」の極大粒の大豆を蒸し大豆にした場合、本発明においては、120〜160g程度の荷重で潰れる硬さとなるように蒸煮されることが好ましい。一方、糸引納豆を製造するための蒸し大豆は、一般的に50〜110g程度の荷重で潰れる硬さである。なお、蒸し大豆や納豆の硬さは、納豆試験法(納豆試験法研究会、農林水産省食品総合研究所編、「納豆試験法」、株式会社光琳)に準拠する方法でも測定、管理できる。詳しくは、ピークホールド機能付上皿天秤に粒を載置して、指の腹等で押下して、粒が潰れた瞬間の荷重を測定する。
このような硬さに大豆を蒸煮するために、圧力釜を使用する場合は、一例として、内部のゲージ圧力1.3〜2.2kg/cm2(約0.13〜0.22MPa)で20〜40分間加熱後、速やかに内部の圧力を開放すればよい。なお、糸引納豆を製造するための蒸煮の条件は、例えばゲージ圧力1.0〜1.5kg/cm2で45〜60分間の加熱である。蒸煮条件については、大豆の品種や粒の大きさ等に応じて、適宜設定すればよい。
(納豆菌接種工程)
納豆菌接種工程S12は、蒸煮工程S11で蒸煮された大豆(蒸し大豆)が熱いうちに、それぞれの粒の表面にまんべんなく納豆菌を植え付ける工程である。その方法の一例として、納豆菌を水(蒸留水)で希釈したものを、スプレーガンにて蒸し大豆に吹き付ける。本工程S12においては、専用の撹拌用の装置(容器)を設けてもよいが、蒸煮工程S11で使用した釜から充填工程S13で使用する充填機の材料投入口へと蒸し大豆を掻き出しながら、納豆菌を吹き付けてもよい。
納豆菌接種工程S12は、蒸煮工程S11で蒸煮された大豆(蒸し大豆)が熱いうちに、それぞれの粒の表面にまんべんなく納豆菌を植え付ける工程である。その方法の一例として、納豆菌を水(蒸留水)で希釈したものを、スプレーガンにて蒸し大豆に吹き付ける。本工程S12においては、専用の撹拌用の装置(容器)を設けてもよいが、蒸煮工程S11で使用した釜から充填工程S13で使用する充填機の材料投入口へと蒸し大豆を掻き出しながら、納豆菌を吹き付けてもよい。
納豆菌は、例えばバチルスナットウ属に属する菌株や、これら菌株に由来する特定遺伝子を取り込んだ枯草菌が挙げられるが、ポリグルタミン酸(PGA)を産出する酵素産出菌であれば特に制限はない。また、藁に付着する天然の納豆菌が使用されてもよい。
(充填工程)
納豆菌接種工程S12が完了したら、速やかに充填工程S13にて、容器1に、納豆菌を接種された蒸し大豆を所定の高さに均して充填する。このとき、時間がかかり過ぎると蒸し大豆に接種された納豆菌による発酵可能な温度域に冷却されて、蒸し大豆表面に粘性の高い発酵生成物が生成して粒同士が付着し易くなって、容器1への充填のような蒸し大豆の移動(移し替え)が困難となる。したがって、充填工程S13は、蒸煮工程S11および納豆菌接種工程S12での大豆の処理速度に適応できるものであれば特に限定されず、例えばスコップで行ってもよいが、計量可能な充填機によることが好ましい。また、所定の高さに均すとは、蒸し大豆の高さ(容器1内に充填された厚さ)を所定の高さの一定に近付けることであり、例えば表面の凹凸が蒸し大豆の粒の大きさ程度までとなるようにする(図2(c)参照)。ただし、充填率(粒の密集の程度)は高くならないようにし、蒸し大豆の粒同士の間に隙間があった方が、発酵(工程S14)や真空凍結乾燥(工程S21,S22)の効率がよいので好ましい。容器1に投入した蒸し大豆を上から押さえ付けて表面の凹凸や内部の空洞を埋めようとすると充填率が高くなるだけでなく、蒸し大豆の粒が潰れたり、他の粒との接触面積が増えて互いの密着性が高くなってしまう。したがって、充填された蒸し大豆は、例えば図2(a)に示すように、表面をへら等で軽く均す程度にすることが好ましい。目安としては、厚さ20〜25mmの範囲で蒸し大豆を充填したとき、平面視50mm×70mm(35cm2)の領域に、小粒:88〜90粒、中粒:60〜65粒、極大粒:30〜35粒が収容されている状態である。
納豆菌接種工程S12が完了したら、速やかに充填工程S13にて、容器1に、納豆菌を接種された蒸し大豆を所定の高さに均して充填する。このとき、時間がかかり過ぎると蒸し大豆に接種された納豆菌による発酵可能な温度域に冷却されて、蒸し大豆表面に粘性の高い発酵生成物が生成して粒同士が付着し易くなって、容器1への充填のような蒸し大豆の移動(移し替え)が困難となる。したがって、充填工程S13は、蒸煮工程S11および納豆菌接種工程S12での大豆の処理速度に適応できるものであれば特に限定されず、例えばスコップで行ってもよいが、計量可能な充填機によることが好ましい。また、所定の高さに均すとは、蒸し大豆の高さ(容器1内に充填された厚さ)を所定の高さの一定に近付けることであり、例えば表面の凹凸が蒸し大豆の粒の大きさ程度までとなるようにする(図2(c)参照)。ただし、充填率(粒の密集の程度)は高くならないようにし、蒸し大豆の粒同士の間に隙間があった方が、発酵(工程S14)や真空凍結乾燥(工程S21,S22)の効率がよいので好ましい。容器1に投入した蒸し大豆を上から押さえ付けて表面の凹凸や内部の空洞を埋めようとすると充填率が高くなるだけでなく、蒸し大豆の粒が潰れたり、他の粒との接触面積が増えて互いの密着性が高くなってしまう。したがって、充填された蒸し大豆は、例えば図2(a)に示すように、表面をへら等で軽く均す程度にすることが好ましい。目安としては、厚さ20〜25mmの範囲で蒸し大豆を充填したとき、平面視50mm×70mm(35cm2)の領域に、小粒:88〜90粒、中粒:60〜65粒、極大粒:30〜35粒が収容されている状態である。
容器1に充填される蒸し大豆の層の厚さ(高さ)は30mm以下が好ましい。これは、蒸し大豆の粒を重ねた段数に換算すると、小粒:5〜7粒以下、中粒:5〜6粒以下、極大粒:3〜5粒以下に相当する。蒸し大豆の層が厚いと、発酵工程S14において、層の表面から取り込まれる酸素が容器1の底の方に充填されている蒸し大豆の粒の表面に十分に行き渡らなくなって、発酵の進行にムラを生じる虞がある。また、真空凍結乾燥工程S20では、容器1中の納豆の層の中心部において、予備凍結工程S21にて納豆が十分な冷却速度で凍結しなかったり、また次の凍結乾燥工程S22にて納豆の水分が昇華するまでに時間がかかり、水分が完全に除去されるための処理時間を長く要する。なお、蒸し大豆の層の厚さの下限は特に規定しないが、薄すぎると容器1の充填量が少なくなって生産性が低下するため、15mm以上が好ましい。
(容器)
ここで、本発明の実施形態に係る凍結乾燥納豆の製造方法に適用される容器1の構成を説明する。容器1の形状は、図2に示すように、上方が開口した箱形状であればよく、内側における高さが、前記の充填工程S13にて充填される蒸し大豆の層の厚さ(高さ)より高ければよい。ただし、容器1の高さがあり過ぎて(深過ぎて)も、蒸し大豆の充填できる厚さには上限があるので、容器1の容積に対する収容量が少なくなって生産性が低下する。一方、底面の大きさ(面積)および形状(平面視形状)は特に規定しないが、発酵工程S14等において容器1を複数収納する際の効率上、長方形等の矩形が好ましい。したがって、容器1は、幅および奥行き(底面積)に対して側面の高さが短い薄型の直方体または上方(開口部)が拡がった四角錐台のいわゆるトレイの形状が好ましい。したがって、本明細書では、容器1は単位を「枚」として記載する。また、特に後記するように容器1が金属製である場合は、底面等の各面に、蒸し大豆の粒に対して十分小さいパンチ孔を形成して、通気性を付与してもよい。さらに、持ち運びを容易とするために、取っ手等を備えてもよい。
ここで、本発明の実施形態に係る凍結乾燥納豆の製造方法に適用される容器1の構成を説明する。容器1の形状は、図2に示すように、上方が開口した箱形状であればよく、内側における高さが、前記の充填工程S13にて充填される蒸し大豆の層の厚さ(高さ)より高ければよい。ただし、容器1の高さがあり過ぎて(深過ぎて)も、蒸し大豆の充填できる厚さには上限があるので、容器1の容積に対する収容量が少なくなって生産性が低下する。一方、底面の大きさ(面積)および形状(平面視形状)は特に規定しないが、発酵工程S14等において容器1を複数収納する際の効率上、長方形等の矩形が好ましい。したがって、容器1は、幅および奥行き(底面積)に対して側面の高さが短い薄型の直方体または上方(開口部)が拡がった四角錐台のいわゆるトレイの形状が好ましい。したがって、本明細書では、容器1は単位を「枚」として記載する。また、特に後記するように容器1が金属製である場合は、底面等の各面に、蒸し大豆の粒に対して十分小さいパンチ孔を形成して、通気性を付与してもよい。さらに、持ち運びを容易とするために、取っ手等を備えてもよい。
本発明に係る凍結乾燥納豆の製造方法においては、納豆を製造する後記の発酵および熟成(S14,S15)において使用する容器と、真空凍結乾燥(S20)において使用する容器とを共通とすることで、これらの工程間(工程S14〜S20)で容器を共用し、移し替える工程を省略している。そのため、容器1は、真空凍結乾燥工程S20における冷却、特に予備凍結工程S21の急速冷却を妨げないように、断熱性の低い材料からなるものが選択される。すなわち、糸引納豆の小売用容器として一般的に用いられているPSP等は好ましくなく、食品の使い切り容器として広く流通している厚さ1mm以下のラミネート加工された紙製容器やプラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン等)製容器を用いる。
あるいは、容器1は、真空凍結乾燥工程S20における冷却が効率的に行われるように、特に予備凍結工程S22にて急速冷却されるように、熱伝導性のよい金属製とすることが好ましい。また、強度が高いため、容器1を大型化して(幅および奥行きを長くして)容積を大きくすることができ、また繰り返し使用が可能である。金属の中でも特に熱伝導性に優れて軽量なアルミニウム合金製が好ましく、このような金属製の容器1は、例えば一般または食品加工業向けに流通している、表面にアルマイト処理を施したアルミニウム合金製容器が好適に使用され、特に、真空凍結乾燥工程S20で適用する真空凍結乾燥室(真空凍結乾燥機)に使用される専用容器を流用することが好ましい。
金属製の容器1は、通気性を有するシート2(以下、適宜シート)を内側に敷いて使用してもよい。シート2を敷いた上に蒸し大豆を充填すれば、真空凍結乾燥工程S20の完了後に容器1から凍結乾燥大豆を容易に取り出せる。また、容器1の内側表面の汚れが少なく、製造完了後に次の蒸し大豆を充填する前の洗浄が簡易化できる。シート2は、容器1から蒸し大豆(納豆)への熱伝導を妨げないように十分に薄く、1回使用後の処分が可能な安価なものが好ましく、例えば、食品の包装用として広く流通している厚さ0.01mm程度のショーレックス(中低圧法高密度ポリエチレン)製のシートに、通気用の多数の孔(図2(c)参照)を空けたものが適用できる。通気用の孔は、円形等に打ち抜いても切込みだけでもよいが、蒸し大豆の粒に対して十分小さい孔とする。図2(b)に示すように、通気性を有するシート2は、容器1の底面の大きさに対して十分に大きいサイズに裁断されたものとして、充填工程S13にて蒸し大豆を充填した後、シート2の余った部分で蒸し大豆の表面を覆って使用してもよい。
(発酵工程)
発酵工程S14は、納豆菌を接種された蒸し大豆を、その納豆菌を活性化させることで発酵を促進させる工程である。具体的には、温度および湿度を一定に管理可能な処理室(発酵室)に、新鮮な空気(酸素)を取り込んで、蒸し大豆を充填された容器1を所定時間安置する。発酵室は、温度等の管理手段の他、ファン等による送風手段を備えて酸素濃度や温度の均一な空気を効率的に容器1の周囲に行き渡らせるようにしてもよい。発酵の方法は納豆の製造における公知のもので特に限定されないが、発酵室内の温度すなわち雰囲気温度(室温)は36〜43℃の範囲における所定温度、湿度は90%程度に設定し、処理時間(発酵時間)は蒸し大豆の粒の大きさや充填状態、また発酵室の仕様等により異なるが、12〜14hrの範囲で調整する。
発酵工程S14は、納豆菌を接種された蒸し大豆を、その納豆菌を活性化させることで発酵を促進させる工程である。具体的には、温度および湿度を一定に管理可能な処理室(発酵室)に、新鮮な空気(酸素)を取り込んで、蒸し大豆を充填された容器1を所定時間安置する。発酵室は、温度等の管理手段の他、ファン等による送風手段を備えて酸素濃度や温度の均一な空気を効率的に容器1の周囲に行き渡らせるようにしてもよい。発酵の方法は納豆の製造における公知のもので特に限定されないが、発酵室内の温度すなわち雰囲気温度(室温)は36〜43℃の範囲における所定温度、湿度は90%程度に設定し、処理時間(発酵時間)は蒸し大豆の粒の大きさや充填状態、また発酵室の仕様等により異なるが、12〜14hrの範囲で調整する。
また、発酵室の処理能力(容積)および発酵時間から、蒸し大豆を充填された容器1(以下、単に容器1という)を複数枚、発酵室に収納して、同時に発酵、さらに熟成させる(熟成工程S15)バッチ処理が好ましい。ただし、容器1同士で納豆菌接種工程S12の完了からの経過時間が大きく異なると、発酵の程度に差が生じ、また発酵工程開始までに時間をかけると蒸し大豆が発酵に好適な温度よりも冷めてしまうので、納豆菌接種工程S12からの進行に応じて同時に発酵工程S14を行う容器1の枚数を設定する。本実施形態においては、作業性よく多数の容器1を発酵室に収納可能とするために、図3に示すように複数枚の容器1を棚状に上下の間隔を空けて積み重ねて搭載(収納)可能な台車10を適用する。垂直方向に重ねた容器1,1の間隔、すなわち下に搭載された容器1に充填された蒸し大豆の層の表面から、上に搭載された容器1の底面までの間隔を十分に空けることで、容器1に充填された蒸し大豆の層の内部へ表面から酸素が十分に取り込まれる。具体的には、容器1に充填された蒸し大豆の表面から高さ20mm以上の空間があることが好ましい。ただし、この高さの空間を確保していても、蒸し大豆の層の厚さに対して容器1の高さ(深さ)が大きい場合等、容器1,1の間隔が狭いと、蒸し大豆の上の空間への通気口が、容器1の側面に塞がれる形で狭くなって酸素の取り込み効率が低下する。なお、容器1に充填された蒸し大豆の層の表面の上の間隔の上限は特に規定しないが、50mmを超えても効果が飽和し、また、間隔を広くするほど一度にバッチ処理できる量が少なくなるので、後記するように、台車10の仕様に応じて容器1を搭載する。
図3に示すように、本実施形態において、台車10は、台車部分の上に、水平方向(図3の手前−奥方向)に延設された、金属製の容器1をその底部で支持するための断面形状L字型の枠を、上下に一定の間隔を空けて支柱に取り付けられて備える構成である。なお、台車10に備えられた枠の上下の間隔により、搭載される容器1,1の間隔が小さくなる場合は、発酵工程S14においては図3に実線で示すように、枠の1〜数段おき(図3は1段おき)に容器1を搭載することで、容器1の上下の間隔を十分に空けて搭載することができる。さらに、図3に示すように、容器1を水平方向に複数枚(図3では2枚)ずつ搭載できるような台車であれば、容器1同士が水平方向で隣り合わないように段違いに搭載して側面の間隔も空けることが好ましい。また単に容器1の搬送を行う場合は、間隔を空けずに多数の容器1を搭載して(図3に破線で示す)、効率的に搬送できる。また、台車10は、枠に代えて、容器1を載置する棚板を備えてもよい。特に容器1が紙製やプラスチック製である場合は、その底面全体を支持できる棚板とすることが好ましい。このような構成の台車10を、特に真空凍結乾燥工程S20にも使用する場合は、棚板を熱伝導性のよい金属製とすることが好ましい。
ここで、本発明に係る凍結乾燥納豆の製造方法における発酵工程での納豆菌の活動について説明する。一般的な大豆(納豆)の発酵において、納豆菌の活動は次のように進行する。納豆菌は、通常、40〜45℃にて2hr以内に発芽し、この発芽温度となってから8hr程度までを誘導期として発芽、増殖し、さらに4hr程度の対数期で著しく***、増殖する。この納豆菌の活動により、大豆のタンパク質や糖質が分解されて消化吸収され易い性質に変化し、またポリグルタミン酸等のアミノ酸やナットウキナーゼのような酵素を生成する。納豆菌が最大まで増殖して大豆から得る栄養が欠乏すると増殖が停止し、次の定常期でポリグルタミン酸、すなわち発酵生成物(糸)を生成する。そのため、糸引納豆として十分な糸の引き具合を要求される場合は、定常期において十分な時間、例えば4〜6hr程度、発酵開始からの経過時間にして15〜20hr程度まで納豆菌を活動させて、十分な量の発酵生成物を得る。なお、さらに発酵が進行すると、アミノ酸が分解されてアンモニアが生成する、いわゆる過発酵に至るため、その前に室温を下げて大豆(納豆)を強制冷却することにより納豆菌を活動停止に(休眠)させて、さらに後続の熟成工程に好適な温度、すなわち5〜2℃まで冷却する。しかし、凍結乾燥納豆用の納豆については、発酵生成物が多いと、納豆の粒と粒の隙間を埋めるように発酵生成物が介在し、粒同士の密着性が増大する。また、粒の表面に発酵生成物が厚い膜を形成しても、真空凍結乾燥されると粒から剥離し易く、却ってポリグルタミン酸のような栄養成分が失われるため、凍結乾燥納豆においては、発酵生成物は糸引納豆ほど多量には要しない。したがって、本発明に係る凍結乾燥納豆の製造方法においては、発酵を、納豆の粒の成分(タンパク質等)は糸引納豆と同程度に変化し、かつ発酵生成物の少ない、納豆菌の定常期における初期〜前半程度で終了させる。すなわち発酵工程の時間を12〜14hrとする。なお、本発明において、発酵工程の時間(発酵時間)は、発酵室にて、蒸し大豆の発酵が開始してから室温を常温を超える温度に制御しているまでの時間を指す。
納豆菌の増殖に好適な温度は37〜42℃であり、室温を例えば40℃に設定すれば、誘導期完了までは蒸し大豆の温度(品温)も前記適温である同程度の温度に保持されるが、対数期における納豆菌の急激な増殖およびその活動に伴い、室温を誘導期と同じ40℃に保持していても、品温は上昇して40℃よりも高くなる。具体的には、図4(b)に示すように、一般的な糸引納豆のようにPSP製容器に充填された蒸し大豆を、室温を40℃に保持して発酵させた場合、品温は、対数期において50℃程度まで上昇し、定常期にはほぼ一定となる。なお、断熱性の高いPSP製容器に充填されている場合は、室温の切替えによる品温の温度変化は緩やかなものとなる。したがって、発酵(定常期)完了時まで品温が50℃であっては、速やかに品温が冷却されて納豆菌を休眠させることができず、過発酵となるため、図4(b)においては、定常期の中盤から終盤にかけて室温を段階的に数℃下げて(予冷)、納豆菌の活動を抑制しない程度に品温を下げている。
一方、本発明においては、容器1を熱伝導性に優れた金属製として蒸し大豆の層の厚さを抑える等により、充填された蒸し大豆は、その全体に熱が行き渡り易い構成となっている。そのため、図4(a)に示すように、誘導期の終盤に相当する6hr経過時から品温が上昇し始め、さらに対数期における品温の上昇速度は速く、室温を40℃に保持したままでは破線で示すように品温が高くなり過ぎて、大豆(納豆)に熱焼を生じて変質し、また納豆菌の活動が抑制される。そこで、本発明においては、7〜11hr経過時の対数期における品温の上昇に対応して室温を2〜5℃下げることにより、品温の推移が糸引納豆の発酵における温度範囲と同等になるように制御する。室温の温度切替えは、品温のピークが58℃を超えないで推移するように、発酵室の仕様や蒸し大豆の充填状態等に応じて設定すればよく、特に規定しないが、例えば対数期開始直後の発酵時間8.5hr経過時に2℃、さらに納豆菌の増殖のピークとなる10hr経過時に2℃、と段階的に室温を下げてもよい(図4(a)参照)。あるいは室温を所定の降下速度で漸減させる設定としてもよい。さらに、納豆菌が活発に活動している定常期の初期〜前半で発酵を打ち切ることから、品温が速やかに冷却されるように、PSP製容器による糸引納豆の製造と同様に、発酵終了時の1〜2hr前にさらに数℃室温を下げることで発酵を抑制しない程度に品温を下げてもよい(予冷)。予冷については、発酵室の冷却能力や蒸し大豆の収納量等に応じて設定、実施すればよく、例えば図4(a)においては、発酵時間12hr経過時に6℃下げて室温を30℃としている。
また、納豆の製造において、発酵は、蒸し大豆の蒸煮による高温の予熱により開始し、詳しくは、納豆菌を接種された高温の蒸し大豆が放熱により45℃程度まで冷却されて発芽温度域に到達した時点から誘導期が開始する。断熱性の高いPSP製容器を用いた場合は、45℃程度の蒸し大豆を発酵室に収納した時の室温を常温(25℃程度)として、それから0.5hr程度かけて発芽・増殖温度(40℃)まで上昇させることで、品温が40℃程度まで降下(冷却)し、そのまま室温の40℃近傍を保持する。しかしながら、本発明においては品温の冷却速度も速いため、このような室温設定では、図4(a)に破線で示すように、室温が上昇するまでに品温が低くなり過ぎて発芽温度域を下回る虞がある。そのため、例えば予め室温を40℃とした発酵室に蒸し大豆を収納することで、いったん発酵室が開放されて室温が数℃だけ降下するようにすることで、品温が40℃程度に降下するまでに室温も40℃に回復しているようにすることが好ましい。このように、本発明に係る凍結乾燥納豆の製造方法においては、糸引納豆と同様に、発酵工程における品温が納豆としての品質を決定するので、容器1に充填された蒸し大豆の層に温度センサ(温度計)を差し込む等して設置し、品温の推移を観測しながら室温を制御することが好ましい。あるいは、温度センサにて所定の温度を検知したら、室温を切り替えるような自動制御機能を発酵室に備えてもよい。
発酵におけるそれ以外の条件については、一般的な糸引納豆の製造方法を適用でき、例えば特許文献4に記載されるように、前処理として、容器1に充填された蒸し大豆を低酸素雰囲気に1〜数hr安置した後、酸素を供給して発酵させてもよい。詳しくは、前記発酵条件と同程度の室温(37〜42℃)および湿度に設定した発酵室に、台車10に搭載された容器1(蒸し大豆)を搬入して、品温が発芽温度域まで冷却される前に発酵室内に二酸化炭素を充満させる。二酸化炭素雰囲気(低酸素雰囲気)で室温(品温)および湿度を適切な条件とすることで、納豆菌は発芽せずに胞子を形成する。所定時間経過後、酸素(外気)の供給開始と共に、十分に増えた胞子がいっせいに発芽し、さらに増殖する。このような前処理を行うことで発酵開始(発芽)前から胞子を増やしておけるので、対数期にはさらに納豆菌が増殖して、最終的に十分な菌数を得られる。
(熟成工程)
発酵工程S14における所定時間が経過したら、発酵した大豆(熟成前の納豆)は容器1に充填されたまま、さらに台車10に搭載された状態で冷蔵室に移送して、納豆菌が休眠状態を維持し、かつ雑菌が繁殖しない室温2〜5℃で、30〜48hr程度安置して熟成させて、納豆とする。なお、発酵した大豆を発酵室に安置したまま、室温を前記熟成温度に降下させて熟成することもできる。発酵した大豆は、容器1に厚さを抑えてかつ均一に充填されているので、発酵工程S14の完了後、速やかに冷却されて発酵の進行が停止し、発酵ムラの少ない納豆が得られる。
発酵工程S14における所定時間が経過したら、発酵した大豆(熟成前の納豆)は容器1に充填されたまま、さらに台車10に搭載された状態で冷蔵室に移送して、納豆菌が休眠状態を維持し、かつ雑菌が繁殖しない室温2〜5℃で、30〜48hr程度安置して熟成させて、納豆とする。なお、発酵した大豆を発酵室に安置したまま、室温を前記熟成温度に降下させて熟成することもできる。発酵した大豆は、容器1に厚さを抑えてかつ均一に充填されているので、発酵工程S14の完了後、速やかに冷却されて発酵の進行が停止し、発酵ムラの少ない納豆が得られる。
このようにして製造された納豆は、一般的な糸引納豆よりも発酵生成物(糸)が少ないものとなる。さらに前記の蒸し大豆と同じ品種「つるの子」の極大粒について同様にレオメータにて測定した場合に、粒が110〜150g程度の荷重で潰れる硬さとなる。これは、発酵前と同等の硬さあるいは0.9倍程度の硬さに柔らかくなったものであり、一般的な糸引納豆の硬さ(荷重)70〜140g程度と比較して同程度または硬いものとなる。納豆は、容器1に充填されたまま、次の真空凍結乾燥工程S20のための処理室(真空凍結乾燥室)に移送される。その際、前記熟成温度を保持可能な冷蔵車等で異なる工場間(例えば納豆の製造工場と凍結乾燥食品の製造工場)で移送してもよく、この移送時間を熟成工程S15に充ててもよい。また、移送前(発酵工程S14完了後)には、凍結乾燥用の納豆としての出荷検査を実施してもよい。検査は、例えば抜き取りによる官能検査で、糸引納豆と同様に色、におい、硬さ、味、粉のかぶり具合、糸の引き具合を評価する。
〔真空凍結乾燥工程〕
次に、本発明の実施形態における真空凍結乾燥工程S20の詳細を説明する。真空凍結乾燥工程S20は、公知の真空凍結乾燥法を適用でき、前記の通り、予備凍結工程S21と、凍結乾燥工程S22を連続して行う。このような処理工程S21,S22は、通常、冷凍設備、減圧設備(真空ポンプ)、水分(氷)の昇華を促進する加熱手段、およびコールドトラップを備えた密閉可能な公知の真空凍結乾燥処理用の処理室(真空凍結乾燥室、真空凍結乾燥機)で一貫して行われる。あるいは、急速冷凍可能な冷凍設備のみ備えた予備凍結室と、扉を隔てて、減圧設備、加熱手段、およびコールドトラップを備えた密閉可能な凍結乾燥室の、連続処理の可能な2室で構成された真空凍結乾燥機でもよい。また、これらの処理室にも、発酵室と同様に送風手段を備えて冷気を効率的に容器1の周囲に行き渡らせるようにすることが好ましい。そして、本実施形態において、これらの工程S21,S22は、被処理体の納豆が、発酵、熟成工程S14,S15から引き続き、容器1に充填、さらに台車10に搭載されたまま、真空凍結乾燥室に移送されて行われる。なお、台車10の枠または棚板の上下の間隔が短い場合は、発酵工程S14と同様に、容器1を1〜数段おきに搭載して、上下の間隔を空けるようにしてもよい(図3参照)。容器1,1の間隔を空けることで、予備凍結工程S21において、冷気の容器1の上下への回り込みがよくなって冷却効率が向上する。
次に、本発明の実施形態における真空凍結乾燥工程S20の詳細を説明する。真空凍結乾燥工程S20は、公知の真空凍結乾燥法を適用でき、前記の通り、予備凍結工程S21と、凍結乾燥工程S22を連続して行う。このような処理工程S21,S22は、通常、冷凍設備、減圧設備(真空ポンプ)、水分(氷)の昇華を促進する加熱手段、およびコールドトラップを備えた密閉可能な公知の真空凍結乾燥処理用の処理室(真空凍結乾燥室、真空凍結乾燥機)で一貫して行われる。あるいは、急速冷凍可能な冷凍設備のみ備えた予備凍結室と、扉を隔てて、減圧設備、加熱手段、およびコールドトラップを備えた密閉可能な凍結乾燥室の、連続処理の可能な2室で構成された真空凍結乾燥機でもよい。また、これらの処理室にも、発酵室と同様に送風手段を備えて冷気を効率的に容器1の周囲に行き渡らせるようにすることが好ましい。そして、本実施形態において、これらの工程S21,S22は、被処理体の納豆が、発酵、熟成工程S14,S15から引き続き、容器1に充填、さらに台車10に搭載されたまま、真空凍結乾燥室に移送されて行われる。なお、台車10の枠または棚板の上下の間隔が短い場合は、発酵工程S14と同様に、容器1を1〜数段おきに搭載して、上下の間隔を空けるようにしてもよい(図3参照)。容器1,1の間隔を空けることで、予備凍結工程S21において、冷気の容器1の上下への回り込みがよくなって冷却効率が向上する。
(予備凍結工程)
予備凍結工程S21では、納豆を−20〜−40℃の低温に急速に冷却して凍結する。このとき、冷却速度が遅いと、納豆の粒の中の水分が大きな氷の結晶となって納豆の組織を破壊し、栄養成分が失われたり好ましい食感が得られない。納豆の冷却速度は0.7〜1.0℃/minとなることが好ましく、特に容器1内に充填された納豆の中心部においてもこのような冷却速度になるように真空凍結乾燥室の温度設定を制御するか、前記の納豆製造工程S10における充填工程S13にて納豆の層の厚さを調整する。納豆が熱伝導性のよい容器1内に所定の厚さで均一に充填され、さらに容器1が上下の間隔を空けて載置された状態であるので、冷気が容器1の外側全体に回り込んで当該容器1内の納豆が急速に冷却され、短時間で納豆が層の中心部まで完全に凍結される。また、容器1が金属製である場合は、容器1自体が冷却されてその熱(冷気)によって、さらに短時間で納豆が完全に凍結される。
予備凍結工程S21では、納豆を−20〜−40℃の低温に急速に冷却して凍結する。このとき、冷却速度が遅いと、納豆の粒の中の水分が大きな氷の結晶となって納豆の組織を破壊し、栄養成分が失われたり好ましい食感が得られない。納豆の冷却速度は0.7〜1.0℃/minとなることが好ましく、特に容器1内に充填された納豆の中心部においてもこのような冷却速度になるように真空凍結乾燥室の温度設定を制御するか、前記の納豆製造工程S10における充填工程S13にて納豆の層の厚さを調整する。納豆が熱伝導性のよい容器1内に所定の厚さで均一に充填され、さらに容器1が上下の間隔を空けて載置された状態であるので、冷気が容器1の外側全体に回り込んで当該容器1内の納豆が急速に冷却され、短時間で納豆が層の中心部まで完全に凍結される。また、容器1が金属製である場合は、容器1自体が冷却されてその熱(冷気)によって、さらに短時間で納豆が完全に凍結される。
(凍結乾燥工程)
そして、すべての納豆が完全に凍結した後、すなわち予備凍結工程S21の完了後、連続して凍結乾燥工程S22を行う。納豆の凍結状態を保持したまま、真空凍結乾燥室内を真空ポンプで排気して13.3〜333.2Pa(0.1〜2.5Torr)に減圧する。減圧雰囲気となることで、凍結された納豆に含有される水分(氷)が昇華して、納豆から分離されてコールドトラップに集められる。また、減圧雰囲気下で、加熱手段により緩やかに昇温することで水分の昇華を促進させてもよい。納豆が容器1に所定の厚さで均一に充填され、さらに容器1が上下の間隔を空けて載置された状態であるので、納豆の層の表面における減圧雰囲気が均一となり易く、さらに層の底部まで早期に減圧されて納豆の水分が昇華し易く、さらに気化した水分の逃げ口として納豆の層の表面上の空間が十分に確保されているので、水分が納豆から分離され易く、20〜24hr程度で容器1に充填された納豆の層の底部まで完全に水分が除去される。
そして、すべての納豆が完全に凍結した後、すなわち予備凍結工程S21の完了後、連続して凍結乾燥工程S22を行う。納豆の凍結状態を保持したまま、真空凍結乾燥室内を真空ポンプで排気して13.3〜333.2Pa(0.1〜2.5Torr)に減圧する。減圧雰囲気となることで、凍結された納豆に含有される水分(氷)が昇華して、納豆から分離されてコールドトラップに集められる。また、減圧雰囲気下で、加熱手段により緩やかに昇温することで水分の昇華を促進させてもよい。納豆が容器1に所定の厚さで均一に充填され、さらに容器1が上下の間隔を空けて載置された状態であるので、納豆の層の表面における減圧雰囲気が均一となり易く、さらに層の底部まで早期に減圧されて納豆の水分が昇華し易く、さらに気化した水分の逃げ口として納豆の層の表面上の空間が十分に確保されているので、水分が納豆から分離され易く、20〜24hr程度で容器1に充填された納豆の層の底部まで完全に水分が除去される。
すべての納豆から水分が完全に除去されたら凍結乾燥工程S22を完了して、真空凍結乾燥室内の減圧雰囲気を開放して常圧に戻し、また、加熱手段により温度も常温近傍まで上昇する。以上の工程を行うことにより、凍結乾燥納豆が製造される。得られた凍結乾燥納豆は、容器1から取り出し(シート2を敷いた場合はシート2ごと取り出せる)、図5に示すように凍結乾燥納豆の粒の大きさに応じた目の粗さの篩31で揺する等による軽い衝撃で、容易に一粒ずつ分離される。その後、凍結乾燥納豆は、例えば粒の形状が要求される場合は目の細かい篩32等で割れた破片や粉末を取り除く(以上、分別工程S31)。あるいは所望の大きさに破砕する。さらに、必要に応じて調味等の工程を行ってもよく、品質検査、計量、包装等を経て乾燥納豆食品として出荷される。
このような本発明に係る凍結乾燥納豆の製造方法により、粒の割れや変形等の極めて少ない、一粒ずつに分離された凍結乾燥納豆が得られる。また、その粒の表面は同じく凍結乾燥された発酵生成物(糸)が剥離せずに被覆しているので、豆本体の栄養成分だけでなく発酵生成物の栄養成分も納豆本来のものに対して損失を抑えた凍結乾燥納豆となる。さらに、本発明に係る凍結乾燥納豆の製造方法により、発酵の時間を短縮し、また真空凍結乾燥において効率的に納豆から水分を除去でき、低コストとなるだけでなく、安定した品質で凍結乾燥納豆を製造できる。
以上、本発明に係る本発明に係る凍結乾燥納豆の製造方法について、本発明を実施するための形態について説明したが、以下に、本発明の効果を確認した実施例を、従来の本発明の要件を満たさない比較例と比較して説明する。なお、本発明はこの実施例および前記形態に限定されるものではなく、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
〔納豆の製造:実施例〕
(蒸煮工程)
極大粒の大豆(品種「つるの子」)を17℃の水に14hr浸漬し、圧力釜で内部のゲージ圧力1.3kg/cm2(温度約107℃)で20分間加熱した。得られた蒸し大豆の硬さを、レオメータ(フドー製、型番NRM−2010 J−CW)にて、10mmφのアダプタを粒の中心部に向けて速度6cm/minで押し込んで粒が潰れた時点の荷重にて測定し、20粒の平均を表1に示す。
(蒸煮工程)
極大粒の大豆(品種「つるの子」)を17℃の水に14hr浸漬し、圧力釜で内部のゲージ圧力1.3kg/cm2(温度約107℃)で20分間加熱した。得られた蒸し大豆の硬さを、レオメータ(フドー製、型番NRM−2010 J−CW)にて、10mmφのアダプタを粒の中心部に向けて速度6cm/minで押し込んで粒が潰れた時点の荷重にて測定し、20粒の平均を表1に示す。
(納豆菌接種工程)
蒸し大豆を充填機の専用ホッパーに移しながら、スプレーガンにて蒸留水で2000倍に希釈した納豆菌(宮城野納豆菌:有限会社宮城野納豆製造所製)を均一にまぶした。
蒸し大豆を充填機の専用ホッパーに移しながら、スプレーガンにて蒸留水で2000倍に希釈した納豆菌(宮城野納豆菌:有限会社宮城野納豆製造所製)を均一にまぶした。
(充填工程)
アルマイト処理されたアルミニウム合金製角型容器(底面積:55cm×68cm、高さ:3cm)(以下、適宜容器)にパンチング孔を空けたショーレックス製のシートを敷いて、その上に納豆菌を接種した蒸し大豆を、厚さが20〜25mmの範囲に均一となるように充填し、その表面を底に敷いたシートで包むように覆った。これを容器10枚分で製造した。このときに充填された蒸し大豆の質量を測定した(容器に充填された状態で測定して容器およびシートの質量の差分より算出した。以下同様。)結果、容器1枚あたり6.65〜6.75kg、平均6.70kgであった。
アルマイト処理されたアルミニウム合金製角型容器(底面積:55cm×68cm、高さ:3cm)(以下、適宜容器)にパンチング孔を空けたショーレックス製のシートを敷いて、その上に納豆菌を接種した蒸し大豆を、厚さが20〜25mmの範囲に均一となるように充填し、その表面を底に敷いたシートで包むように覆った。これを容器10枚分で製造した。このときに充填された蒸し大豆の質量を測定した(容器に充填された状態で測定して容器およびシートの質量の差分より算出した。以下同様。)結果、容器1枚あたり6.65〜6.75kg、平均6.70kgであった。
(発酵工程、熟成工程)
蒸し大豆を充填した容器を、垂直方向のピッチ70cm(蒸し大豆の表面から上のアルミニウム合金製容器の底面までの間隔:約45〜50mm)で図3に示す構成の台車に搭載した。この台車を、特許文献4に記載されるように、炭火にて室温40℃前後に加温して二酸化炭素を充満させ、湿度90%に保持した発酵室に安置し、1hrの前処理の後、36〜38℃の温度域および前記湿度90%を保持しながら発酵室に外気(酸素)を導入して、発酵工程を開始した。発酵工程において、室温は、開始後0.5hr経過時までに40℃に回復させ、その後、8.5hr経過時に2℃下げて38℃に、さらに10hr経過時に2℃下げて36℃に、そして12hr経過時に6℃下げて30℃に、と段階的に切り替えて、合計14hr行った(図4(a)参照)。その後、室温を下げて5℃に冷却して30hr熟成させて納豆を製造した。
蒸し大豆を充填した容器を、垂直方向のピッチ70cm(蒸し大豆の表面から上のアルミニウム合金製容器の底面までの間隔:約45〜50mm)で図3に示す構成の台車に搭載した。この台車を、特許文献4に記載されるように、炭火にて室温40℃前後に加温して二酸化炭素を充満させ、湿度90%に保持した発酵室に安置し、1hrの前処理の後、36〜38℃の温度域および前記湿度90%を保持しながら発酵室に外気(酸素)を導入して、発酵工程を開始した。発酵工程において、室温は、開始後0.5hr経過時までに40℃に回復させ、その後、8.5hr経過時に2℃下げて38℃に、さらに10hr経過時に2℃下げて36℃に、そして12hr経過時に6℃下げて30℃に、と段階的に切り替えて、合計14hr行った(図4(a)参照)。その後、室温を下げて5℃に冷却して30hr熟成させて納豆を製造した。
〔納豆の製造:比較例〕
一方、比較例として、糸引納豆として一般的な製造方法にて従来仕様の納豆を製造した。前記実施例と同様に水に浸漬した大豆を、圧力釜で内部のゲージ圧力1.1kg/cm2(温度約120℃)で50分間加熱した。得られた蒸し大豆に、前記実施例と同様に納豆菌をまぶした。また、蒸し大豆の粒を、実施例と同様にレオメータにて硬さを測定し、表1に示す。
一方、比較例として、糸引納豆として一般的な製造方法にて従来仕様の納豆を製造した。前記実施例と同様に水に浸漬した大豆を、圧力釜で内部のゲージ圧力1.1kg/cm2(温度約120℃)で50分間加熱した。得られた蒸し大豆に、前記実施例と同様に納豆菌をまぶした。また、蒸し大豆の粒を、実施例と同様にレオメータにて硬さを測定し、表1に示す。
従来仕様の凍結乾燥納豆用の納豆の製造(発酵および熟成)に使用されるPSP製容器(底面積:21cm×13cm、開口部面積:24cm×16cm、高さ:3cm)に、前記実施例のアルミニウム合金製角型容器10枚分に相当する蒸し大豆を、1kgずつ計量して充填した。なお、蒸し大豆の層はPSP製容器より少し高く盛り上がり、厚さは32〜35mmとなった。この、蒸し大豆を充填したPSP製容器を、前記実施例にて用いた台車10に棚板を差し込んだ上に載置し、前記実施例と同様に、発酵室にて1hrの前処理の後、発酵させた。なお、比較例の発酵においては、室温を、15hr経過時まで40℃を保持し、その後2℃下げて38℃に、さらに17hr経過時に4℃下げて34℃に、と段階的に切り替えて、合計18hr行った(図4(b)参照)。その後、前記実施例と同様に冷却して、熟成させて納豆を製造した。
実施例および比較例の得られた納豆をそれぞれ20粒、容器における各部位(表層部、底部、層中間部)から抜き取って、蒸し大豆と同様に硬さを測定し、表1に示す。また、糸の引き具合およびにおいを観察した結果、実施例の納豆は糸が少なく、また比較例(従来例)より弱いものの納豆特有のにおいが十分に確認できた。また、この実施例の納豆について、納豆菌の菌数として標準寒天平板培養法にて一般生菌数を測定した結果、3.6×109/gであり、一般的な糸引納豆の6.8×108/gに対して納豆菌が十分に繁殖していることがわかった。
次に、PSP製容器を用いて製造した従来仕様の納豆について、実施例の納豆に使用したものと同じアルミニウム合金製角型容器に前記のパンチング孔を空けたショーレックス製のシートを敷いて、納豆を潰さない程度に均一に、かつ最大厚さが20〜25mmの範囲となるように充填した。このとき、1枚のアルミニウム合金製角型容器に充填された納豆の質量を測定した結果、容器1枚あたり5.0〜5.5kg、平均5.23kgであった。実施例の納豆については、発酵工程前の蒸し大豆の状態でアルミニウム合金製角型容器に充填されたままとした。
〔真空凍結乾燥工程〕
納豆を充填したそれぞれの容器を、発酵工程と同じく垂直方向のピッチ70cm間隔で台車に搭載し、−30℃で2hr予備凍結した後、この温度を保持して、圧力66.5Pa(0.5Torr)、コールドトラップ温度−40℃で凍結乾燥した。凍結乾燥時間24hr経過時点で納豆の状態を観察したところ、実施例については水分が完全に除去されたと確認できたため、凍結乾燥を完了した。一方、比較例については乾燥が不完全であったため、さらに凍結乾燥を継続して合計36hrで水分を完全に除去した。
納豆を充填したそれぞれの容器を、発酵工程と同じく垂直方向のピッチ70cm間隔で台車に搭載し、−30℃で2hr予備凍結した後、この温度を保持して、圧力66.5Pa(0.5Torr)、コールドトラップ温度−40℃で凍結乾燥した。凍結乾燥時間24hr経過時点で納豆の状態を観察したところ、実施例については水分が完全に除去されたと確認できたため、凍結乾燥を完了した。一方、比較例については乾燥が不完全であったため、さらに凍結乾燥を継続して合計36hrで水分を完全に除去した。
凍結乾燥が完了した納豆(凍結乾燥納豆)をシートごと容器から取り出して、図5に示すように2段階の目の粗さの篩で一粒ずつにほぐして、さらに粒の完全なもの(良品)を選り分けた。各容器1枚あたり100gの凍結乾燥納豆について、良品、ならびに不良品として半割れおよびそれ以下に砕けた粒の質量をそれぞれ測定し、良品の歩留(%)を表1に示す。
〔凍結乾燥納豆の評価〕
表1に示すように、本発明に係る実施例の凍結乾燥納豆は、一粒ずつにほぐした状態での納豆(大豆)の丸ごとの粒の形状の良品が極めて高い歩留で得られた。これに対して比較例の凍結乾燥納豆は、粒の割れが多量に生じて良品歩留が低かった。これは、容器から取り出した凍結乾燥納豆を篩(図5に示す篩31)にて一粒ずつにほぐしたとき、比較例については、容易に一粒ずつに分離せず、篩を揺する幅を大きくかつ回数を増やすことを要し、その際、粒の割れを生じたことによる。一方、凍結乾燥納豆のにおいおよび味は実施例と比較例とで差異は観察されず、実施例の真空凍結乾燥前の納豆におけるにおいの少なさは問題とならないといえる。また、実施例の凍結乾燥納豆の食感は良好であり、表皮も含めて硬いということはなく、むしろ比較例の凍結乾燥納豆がやや脆かった。これは、実施例と比較例とで真空凍結乾燥前の納豆の硬さに有意差はなかったものの、比較例が実施例より大幅に柔らかく蒸煮されたことによると推測される。このように、真空凍結乾燥前における納豆の製造方法を、蒸煮条件、発酵条件、ならびに発酵および熟成における容器について、一般的な糸引納豆のものと異なる仕様としても、凍結乾燥納豆としては良好な製品が得られた。その際、充填する蒸し大豆の厚さおよび容器を積み重ねたときの間隔を制限することで、開口部以外に通気性のないアルミニウム合金製容器を発酵に使用しても、従来の製造方法による納豆と同様に発酵させることができた。また、蒸煮条件にて通常の納豆(糸引納豆)よりも硬めの納豆としても、凍結乾燥納豆として食感が劣化することはなく、粒が砕け難くなって、その結果、さらに良品歩留が向上した。また、容器から取り出した凍結乾燥納豆を一粒ずつにほぐしたときに、比較例については、粒の表面を被覆していた発酵生成物の多くや粒の間に介在した発酵生成物が粒から剥離し、かけら状のもので100gあたり5〜8個観察された。これに対して、実施例では、発酵条件にて通常の納豆よりも糸(発酵生成物)の少ない納豆としたことにより、粒の表面に乾燥した発酵生成物が比較的多く被覆して残った。
表1に示すように、本発明に係る実施例の凍結乾燥納豆は、一粒ずつにほぐした状態での納豆(大豆)の丸ごとの粒の形状の良品が極めて高い歩留で得られた。これに対して比較例の凍結乾燥納豆は、粒の割れが多量に生じて良品歩留が低かった。これは、容器から取り出した凍結乾燥納豆を篩(図5に示す篩31)にて一粒ずつにほぐしたとき、比較例については、容易に一粒ずつに分離せず、篩を揺する幅を大きくかつ回数を増やすことを要し、その際、粒の割れを生じたことによる。一方、凍結乾燥納豆のにおいおよび味は実施例と比較例とで差異は観察されず、実施例の真空凍結乾燥前の納豆におけるにおいの少なさは問題とならないといえる。また、実施例の凍結乾燥納豆の食感は良好であり、表皮も含めて硬いということはなく、むしろ比較例の凍結乾燥納豆がやや脆かった。これは、実施例と比較例とで真空凍結乾燥前の納豆の硬さに有意差はなかったものの、比較例が実施例より大幅に柔らかく蒸煮されたことによると推測される。このように、真空凍結乾燥前における納豆の製造方法を、蒸煮条件、発酵条件、ならびに発酵および熟成における容器について、一般的な糸引納豆のものと異なる仕様としても、凍結乾燥納豆としては良好な製品が得られた。その際、充填する蒸し大豆の厚さおよび容器を積み重ねたときの間隔を制限することで、開口部以外に通気性のないアルミニウム合金製容器を発酵に使用しても、従来の製造方法による納豆と同様に発酵させることができた。また、蒸煮条件にて通常の納豆(糸引納豆)よりも硬めの納豆としても、凍結乾燥納豆として食感が劣化することはなく、粒が砕け難くなって、その結果、さらに良品歩留が向上した。また、容器から取り出した凍結乾燥納豆を一粒ずつにほぐしたときに、比較例については、粒の表面を被覆していた発酵生成物の多くや粒の間に介在した発酵生成物が粒から剥離し、かけら状のもので100gあたり5〜8個観察された。これに対して、実施例では、発酵条件にて通常の納豆よりも糸(発酵生成物)の少ない納豆としたことにより、粒の表面に乾燥した発酵生成物が比較的多く被覆して残った。
本発明に係る凍結乾燥納豆の製造方法においては、通常の納豆よりも糸の少ない納豆とし、さらに納豆の状態で容器の移し替えのような移動を行わず、蒸し大豆の段階で充填された状態にて真空凍結乾燥を行ったため、納豆の粒同士の密着が弱く、得られた凍結乾燥納豆は一粒ずつにほぐし易かった。また、納豆の状態で容器に充填すると均一に収容されないため、容器の容量に対して充填量が少なかったが、本発明の方法によれば、同じ容器への充填量が増加し、その結果、真空凍結乾燥室の1回の処理量が増加した。さらに、容器に納豆(蒸し大豆)の粒がその密度および層の厚さを均一に充填されているため、凍結乾燥時間を短縮しても容器内のすべての納豆から完全に水分を除去することができた。
以上のように、本発明に係る凍結乾燥納豆の製造方法は、納豆の製造(発酵工程)において、従来の製造方法よりも充填する蒸し大豆の厚さ等を制限し、また発酵室の温度制御を異なるものとすることで、通気性のない、また断熱性の低い真空凍結乾燥用の金属製容器を使用しても、容器内でムラなく発酵させることができた。また、従来の製造方法よりも短い時間で発酵を終了させることで、十分に発酵しつつ、凍結乾燥納豆に好適な糸の少ない納豆が得られた。そして、発酵工程において金属製容器を使用できたことにより、後続の真空凍結乾燥工程を、納豆を容器から移さずに行うことができ、蒸し大豆の状態で充填されて粒が均一に配列された納豆をそのまま真空凍結乾燥することで、処理時間を大幅に削減することができた。さらに、得られた凍結乾燥納豆は一粒ずつにほぐし易く、粒の割れ等の欠陥も少なく製品歩留が向上した。
本発明に係る凍結乾燥納豆の製造方法によれば、実施例の結果より、容器への充填量、すなわち処理量が従来(比較例)に対して118〜128%に増加し、良品歩留は35%向上した。また、発酵工程においては発酵時間を約80%に短縮できる。さらに凍結乾燥時間が70〜80%に短縮され、これらを合わせると、時間当たりの処理能が157%に向上する。また、蒸煮工程においては、従来のように大豆を柔らかく蒸煮する必要がないため、使用エネルギーを低減でき、加熱条件等にもよるが時間を短縮することもできる。また、真空凍結乾燥工程前の容器の移し替えの工程が省略されたことで、さらに製造時間が短縮され、そして移し替えは手作業によるため人件費が削減できる。さらに納豆の製造において使用して、使用後は廃棄されていたPSP製容器が不要となるためコストおよび廃棄物の両方が低減される。
具体的に、真空凍結乾燥工程前の容器の移し替えの工程が省略されたことによる費用効果を、真空凍結乾燥室の1バッチ分、アルミニウム合金製容器320枚分の処理量で計算すると、次のようになる。まず、真空凍結乾燥前の納豆1kgが342.5¥で、これを従来の方法で真空凍結乾燥するためには370¥を要するため、計712.5¥である。容器1枚に真空凍結乾燥前の納豆を7kg充填するとして、7kg×320枚=2240kgの納豆を製造する。このとき、発酵工程前の蒸し大豆の充填を、従来は500g入PSP製容器にしており、アルミニウム合金製容器1枚分の納豆について14個を要するため、14個×320枚=4480個に充填していた。これに代えてアルミニウム合金製容器320枚に蒸し大豆を充填すればよいので、その結果、作業要員7人×8時間(56時間・人)の人件費47.6k¥(1人の時給850¥として換算)を削減できる。そしてその後、従来は真空凍結乾燥前に納豆をPSP製容器からアルミニウム合金製容器320枚に移し替えていたため、その作業要員5人×8時間(40時間・人)の人件費34k¥を削減できる。また、PSP製容器はその内側に敷いていたシートも含めて単価16.20¥なので14個×320枚×16.20¥=72.576k¥、さらに使用後の廃棄焼却費が計10k¥が削減できる。以上より、これらの削減金額を合計すると、納豆2240kgについて164.176k¥、納豆1kgあたり73.3¥の削減となる。したがって、削減率は10.29%となる。
1 容器
2 シート
10 台車
S10 納豆製造工程
S11 蒸煮工程
S12 納豆菌接種工程
S13 充填工程
S14 発酵工程
S15 熟成工程
S20 真空凍結乾燥工程
S21 予備凍結工程
S22 凍結乾燥工程
S31 分別工程
2 シート
10 台車
S10 納豆製造工程
S11 蒸煮工程
S12 納豆菌接種工程
S13 充填工程
S14 発酵工程
S15 熟成工程
S20 真空凍結乾燥工程
S21 予備凍結工程
S22 凍結乾燥工程
S31 分別工程
Claims (5)
- 大豆を蒸煮する蒸煮工程と、
前記蒸煮された大豆に納豆菌を接種する納豆菌接種工程と、
上方が開口した容器に、前記納豆菌を接種された大豆を所定の高さに均して充填する充填工程と、
前記容器に充填された大豆を発酵させる発酵工程と、
前記発酵させた大豆を熟成させる熟成工程と、を連続して行って納豆を製造し、
前記容器に充填された納豆を、真空凍結乾燥して凍結乾燥納豆にする真空凍結乾燥工程をさらに行う凍結乾燥納豆の製造方法であって、
前記発酵工程は、雰囲気温度36〜43℃で12〜14時間行い、
前記充填工程の完了以降は、前記真空凍結乾燥工程の完了まで、前記容器に充填された大豆または納豆を当該容器内から移動させないことを特徴とする凍結乾燥納豆の製造方法。 - 前記真空凍結乾燥工程において、前記容器を金属板上に載置することを特徴とする請求項1に記載の凍結乾燥納豆の製造方法。
- 前記容器が金属製であることを特徴とする請求項1に記載の凍結乾燥納豆の製造方法。
- 前記充填工程において、前記所定の高さが30mm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の凍結乾燥納豆の製造方法。
- 前記発酵工程は、開始後7〜11時間経過時に前記雰囲気温度を2〜5℃下げることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の凍結乾燥納豆の製造方法。
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JPH02156857A (ja) * | 1988-12-09 | 1990-06-15 | Fuji Shokuhin:Kk | 糸引納豆を内包した食品およびその製造方法 |
JP2003070439A (ja) * | 2001-09-05 | 2003-03-11 | Amano Enzyme Inc | イソフラボンアグリコンに富んだ納豆およびその製造法。 |
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-
2010
- 2010-06-18 JP JP2010139770A patent/JP2012000073A/ja active Pending
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