図1は本発明の実施の形態に係る能動振動絶縁及び減衰用システム10を示している。本実施の形態に係るシステム10は、(i)絶縁された負荷12(すなわち、絶縁架台と架台上に支持された負荷)と、(ii)床、外部ケース、振動基台14等の振動源との間に位置する能動減衰システム11を備え、振動や他の動的力が負荷12に伝わるのを抑制したり絶縁する。システム10はまた、能動減衰システム11に連結され、能動減衰システム11の部品に直接作用する支持負荷12からの重量を取り去るように設計された機構15を備えている。当然のことながら、図1は3次元の一つにおける能動あるいは動的振動絶縁に対処するためのシステムを示している。このように簡略化したのは、説明を容易にするためである。しかしながら、当然のことながら、システム10は能動振動絶縁を6自由度のすべてに使用できる。
絶縁架台12と、地面、床、外部ケース、振動基台14等の振動源あるいは動的力との間に位置し、負荷12から動的力を減衰したり絶縁するように作用する能動減衰システム11は、基台14に連結されるアクチュエータ16と、アクチュエータ16上に支持される小さな中間質量17を備え、負荷12と中間質量17との間には受動減衰要素18と支持ばね20が設けられ、負荷12からの動的減衰力(すなわち、振動)に加えて、負荷12の静的力(すなわち、重量)を支持している。能動減衰システム11はまた、中間質量17に取り付けられた運動センサ19を備え、中間質量17の動作で発生した信号は能動フィードバック補償ループ191の一部として補償され、振動周波数の所定の範囲にわたり中間質量17を安定化させる。
図2A及び図2Bを参照すると、本発明に係るシステム10と関連して使用される能動減衰システム20の実施の形態が図示されている。図1の能動減衰システム11と同様、能動減衰システム20は、その一つの形態では、外力あるいはシステム10の部品により生じた振動や他の動的力が負荷12に伝わらないように減衰あるいは絶縁するために使用される。図示された能動減衰システム20は、基台あるいは地面14に位置するアクチュエータ21と、アクチュエータ21上に支持され、動的力が受動減衰要素(受動ダンパ)23を介して減衰されるとともに、支持ばね27を介して静的力が加えられる安定点(すなわち、振動のない点)として作用する中間質量22を備えている。図示されているように、受動減衰要素23と支持ばね27の両方は、一実施の形態において、その一端で負荷24(すなわち、絶縁架台とその上に支持された負荷)に連結され、その他端で安定点として作用する中間質量22に連結されている。能動減衰システム20はまた、中間質量22と地面14(あるいは基台)との間に位置しアクチュエータ21に作用する負荷24からの何らかの重量を部分的に支える少なくとも一つの除荷ばね25と、中間質量22に取り付けられ中間質量22の動作に応じて信号を発生して、中間質量22上に安定点を発生させるためにアクチュエータ21にフィードバックするセンサ26とを備えている。
ある実施の形態のアクチュエータ21は、振動基台あるいは地面14に取り付けられた下端211を有する。アクチュエータ21はまた、基台あるいは地面14の動きを、例えば0.01倍の動きに減少させるために、略移動しない状態あるいはそれに近い状態に維持される上端212を有する。本発明に係る能動減衰システム20は、アクチュエータ21と関連して、アクチュエータ21の移動軸に実質的に平行なZ軸に沿って基台あるいは地面14の振動を負荷から絶縁するように設計されている。
本発明の一実施の形態では、アクチュエータ21は圧電素子を積層したものであってもよい。そのような実施の形態では、アクチュエータ21は、Z軸に沿ってある長さを有し、印可された制御信号に応じて可変である積層体213等の実質的に剛性のある第1の素子を有する。本発明の一実施の形態では、アクチュエータ21は、積層体の最大相対移動量のピーク値が約0.001〜約0.005インチであるように設計される。
圧電積層体としてのアクチュエータ21は、十分に剛性のあるモータばね214として作製されていてもよい。その軸に沿ったばね214の剛性により、アクチュエータ21は、印可された指令信号に応じて負荷24の重量(すなわち、静的力)とは独立して容易に伸縮することができる。ばね214の剛性は、除荷ばね25の剛性より少なくとも一桁高く、好ましくは少なくとも二桁高い。例えば、ばね214の剛性は約190万ポンド/インチであるのに対し、電圧に対する移動量の関係は、ピーク値で約100万ボルト/インチである。
ある種の圧電アクチュエータ、特に一方向にのみ力を発生するアクチュエータの場合、アクチュエータ21に予め荷重をかけ、実際の作動時、アクチュエータ21が伸長した状態にならないように防止して「復帰」力が加わるようにする必要がある。したがって、ばね214は、アクチュエータ21に予め荷重を加えるために使用される。ある実施の形態では、ばね214はスチールばねであり、例えばZ軸等の圧縮軸に沿って負荷24に発生する動的力よりも大きい圧縮荷重を予め付与するために使用される。ばね214は、圧縮位置決めねじや他の手段(図示せず)を使用して予め荷重をかけることもでき、圧縮方向に所要ポンドの背分力を付与することができる。
アクチュエータ21は圧電アクチュエータとして図示されているが、アクチュエータが能動減衰システム20と関連して使用できる限り、アクチュエータ21はどのようなアクチュエータでもよい。例えば、機械式、電気式、空圧式、油圧式あるいは電磁式アクチュエータや、市販のアクチュエータや、この種の産業で公知のアクチュエータを使用することができる。場合によっては、負荷に加えられるアクチュエータのストロークを増大することが望ましく、特に出力の小さいアクチュエータにより力が加えられたり、このようなアクチュエータに力が加えられる場合に望ましい。また、負荷24の質量を支えるとともに、動的力に対処するアクチュエータに比べて出力が小さいアクチュエータが使用される場合、システム10の全コストを低減することができる。このため、図2Bに示されるアクチュエータ21と同様な増幅アクチュエータが使用される。このような増幅アクチュエータは、場合によっては、負荷が小さいときにはストロークを大きくする一方、負荷が大きいときにはストロークを小さくするように適合する。
一例として、支持された負荷Mpがアクチュエータ21で直接支持されていれば、負荷質量Mpが、例えば約1000ポンドの場合、負荷の共振周波数は約130サイクル/秒であり、この共振周波数は振動絶縁ゲインを減少する。望ましいゲインは、負荷の共振周波数−この場合、130サイクル/秒−の近傍の周波数で得るのは難しいし、不可能な場合もある。加えて、補正しなければ、システムは負荷の共振周波数で振動を大きく増幅し、振動絶縁の効果の殆どは失われる。
この問題に対処するため、能動減衰システム20は、アクチュエータ21と支持された負荷24との間に位置する中間質量22を備えている。一実施の形態の中間質量22は、支持ばね27と受動ダンパ23を介して負荷24から弾性的に分離されており、動的力が減衰される能動的絶縁点(振動のない点)として作用し、地面14やシステム10の他の部材からの動的力が負荷24に伝達されないように絶縁されている。ある実施の形態では、中間質量22は質量値Msを持ち、この質量値は、システム10がMpを支持したり絶縁するために設計された質量範囲より少なくとも一桁あるいはそれ以上(例えば、二桁)小さい。図2Aに示される中間質量22は、上面221と底面222を有する実質的に平坦な部材である。中間質量22は、その底面22がアクチュエータ21の上端部212に直接配置されている。場合によっては、中間質量22の位置をアクチュエータ21全体に渡って固定し、中間質量22の横方向あるいは径方向への移動を極力低減するのが望ましい。このため、この分野で公知の機構を使用して、中間質量22をアクチュエータ21に実質的に固定し、中間質量22の横方向あるいは径方向への移動を極力低減している。
本発明のある実施の形態では、アクチュエータ21はシステム10の構成部材あるいは地面14に発生する振動及び他の動的力が負荷24に伝達されるのを絶縁するとともに、同時に負荷24の質量(すなわち、重量)が発生する静的力にも対処して、アクチュエータ21に加わる負荷24の質量を低減する必要があるので、除荷ばね25が設けられる。図2Aに示されるように、一実施の形態における除荷ばね25は、中間質量22の下方でアクチュエータ21の両側に配置されて、各除荷ばね25の上端251は中間質量22に連結される一方、各除荷ばね25の下端は地面14に位置している。除荷ばね25を設けたことで、アクチュエータ21に作用する負荷24の重量が除荷ばね25に伝達される。換言すれば、除荷ばね25は、アクチュエータ21に作用する負荷24の重量を部分的に支えるように作用する。
除荷ばね25は二つ図示されているが、本発明は、当然のことながら除荷ばね25を一つあるいはそれ以上使用するのが望ましいこともある。例えば、除荷ばね25を一つのみ使用する場合、除荷ばね25は中間質量22の下方でアクチュエータ21の周囲に配置される。しかしながら、三つあるいはそれ以上の除荷ばね25を使用する場合、負荷24からの重量が除荷ばね25に十分に伝達されるように配置される。当然のことながら、ばね25が中間質量22の下方に位置する限り、ばね25はアクチュエータ21の近傍のどこに配置してもよい。
ある実施の形態における除荷ばね25は金属ばね、コイルばね、ダイスプリングあるいは他の同様なばねであってもよい。さらに、除荷ばね25は、アクチュエータ21に加えられる負荷24の重量を軽減するために設けられるので、アクチュエータ21の剛性要素ほどの剛性は必要ではない。ある実施の形態では、除荷ばね25の剛性は、アクチュエータ21の剛性より少なくとも一桁小さい。
当然のことながら、除荷ばね25があることで、アクチュエータ21に作用する負荷24の重量を部分的に支えることができる。したがって、除荷ばね25を設けると、負荷24の質量が増加しても、必要な減衰動作を十分に達成するために必要なアクチュエータ21を一つあるいは小数のアクチュエータ21を能動減衰システム20に設ければよい。さらに、動的力に対処するとともに、負荷24の質量を支えるアクチュエータ21よりも安価でパワーの小さいアクチュエータを使用することもできる。勿論、動的力に対処し、負荷24の質量を支えるアクチュエータ21と同程度のパワーを持つアクチュエータを使用すると、増幅アクチュエータからの付加的パワーは、許容レベルへの必要な振動減衰を行うために、動的力に対処できるとともに、例えば少なくとも2倍重たい負荷を実質的に支持するために使用される。
しかしながら、能動減衰システム20に除荷ばね25を設けることで、負荷24に影響を与える動的力の絶縁を損なうこともある。特に、除荷ばね25は、各除荷ばね25の下端部が地面14に接触するように配置されているので、地面14からの振動あるいは動的力は、除荷ばね25を介して中間質量22に伝達され、受動ダンパ23を介して最終的に負荷24に伝達される。
システム要素(すなわち、基台あるいは地面14)で発生した振動あるいは動的力が負荷24に伝達されるのを極力低減するために、能動減衰システム20には、図1に示される補償ループ191と同様のフィードバック補償ループが組み込まれている。一実施の形態における補償ループはセンサ26を持つ。図示されたセンサ26は、中間質量22の上に配置され、中間質量22の動作あるいは変位を得るために処理されるフィードバック信号を提供するように作用する。特に、センサ26からのフィードバック信号は、図1のモジュール192と同様のモジュールに送信され、モジュールはその信号を統合して変位とブーストゲインを入手している。ある実施の形態のモジュール192は、アクチュエータ21に指令信号を与えるように設計され、例えば、それ相応に伸縮するために圧電アクチュエータ21に可変電圧を送る。
一実施の形態におけるセンサ26は、サーボ加速度計やジオホンのような他の振動センサであってもよい。ある実施の形態では、センサ26からの信号は、センサの内部あるいは外部の「浮標(free floating)」慣性質量に対する相対加速度、速度あるいは位置に比例する。本発明と関連して使用されるセンサ26や補償回路は、米国特許第5,823,307号に開示されているものと同様のものでもよく、この米国特許の内容は、これを参照することによりここに盛り込まれていることとする。
センサ26からのフィードバック信号は、除荷ばね25や地面14やシステム10の他の要素からの動的力に応答して、中間質量22に作用すると、中間質量22が安定点(すなわち、振動のない点)として作用する周波数で、アクチュエータ21が十分に伸縮するように使用される。安定点として作用する中間質量は、ある実施の形態では、動的力を減衰し、そのような力が受動ダンパ23を介して負荷24に伝達されるのを絶縁するために使用される。特に、負荷24は受動ダンパ23により支持されるので、安定点として作用する中間質量22上に実質的に直接配置された受動ダンパ23の位置は、地面14あるいは他の要素からの振動あるいは他の動的力が受動ダンパ23を介して負荷24から絶縁され負荷24に伝達されないようにしている。例えば、支持ばね27は意図的に、支持された負荷24の安定性を損なう共振周波数で高レベルの増幅を発生させてもよく、受動ダンパ23は、負荷24に作用したり負荷24から作用するそのような力や他の僅かな動的力を中間質量22、すなわち安定点に向けるように作用する。その結果、負荷24は、例えば床あるいは地面14が発生する振動や他の動的力を実質的に受けることがない。
図2Aに示される支持ばね27は、負荷24と中間質量22との間で受動ダンパ23に実質的に平行に離隔して配置されている。一実施の形態における支持ばね27は、負荷24の重量を支えることで、負荷24からの静的力に対処するように作用する。加えて、支持ばね27は、能動周波数バンド幅より上の高周波数絶縁を提供する。特に、支持ばね27は安定点として作用する中間質量22上に実質的に直接配置されているので、地面14や他の要素からの振動や動的力は負荷24から絶縁される。これは、そのような振動は中間質量22で減衰され、支持ばね27を介して負荷24に伝達されることがないからである。その結果、負荷24は、例えば床あるいは地面14で発生する振動及び他の動的力を実質的に受けないように維持される。さらに、支持ばね27があることで、負荷24を中間質量22に対し実質的に平行に維持するように作用する。図2Aにおいては、支持ばね27は一つのみ図示されているが、例えば負荷24の質量に対する支持ばね27の剛性に応じて別の支持ばね27を使用することもできる。したがって、負荷24を中間質量22に対し実質的に平行に維持できる限り、支持ばね27を二つあるいはそれ以上使用してもよい。ある実施の形態における支持ばね27の剛性は、アクチュエータの剛性よりも二桁ほど小さく、金属ばね、コイルばね、ダイスプリング、受動空気ばね、能動レベル制御付き空気ばね、あるいは、他の同様なばねであってもよい。
本発明の別の実施の形態によれば、受動ダンパと中間質量は互いに一体化されて、受動ダンパと中間質量の両方が実質的に単一ユニットとして一体的に構成されている。図3を参照すると、中間質量31と受動ダンパ35を組み込んだ単一ユニット30が図示されている。中間質量31は、一実施の形態では、アクチュエータ21の頂部に直接配置されており、負荷24から弾性的に分離されている。アクチュエータ21上の中間質量31の位置を保持して中間質量31の横方向あるいは径方向の移動を極力低減するために、外部ケーシング33が設けられており、その中にアクチュエータ21と中間質量31が配置されている。一実施の形態では、ケーシング33は、Z軸に沿って軸方向に互いに移動可能な上部331と下部332を備えている。留め具34をケーシング33の内部に設けてもよく、その間に中間質量31を配置して中間質量31の横方向あるいは径方向の移動をさらに低減してもよい。当然のことながら、この分野で公知の他の機構を使用して中間質量31の横方向あるいは径方向の移動を低減することもでき、例えば中間質量31とケーシング33との間に挟持されたOリングを設けてもよい。図3に示される実施の形態では、留め具34はファスナ341によりケーシング33に固定されており、中間質量31は留め具34の間にファスナ341を使用して固定されている。一実施の形態の留め具34は可撓性材料で作製され、ケーシング33の下部332に対する上部331の僅かな軸方向の動きを吸収するようにしている。
図3をさらに参照すると、受動ダンパ35は中間質量31と絶縁架台との間に介在しており、中間質量31の一部であってもよい。しかしながら、図2Aに示されるように、中間質量とは独立した別体の受動ダンパを設けることもできる。上述したように、中間質量31と受動ダンパ35を設けることで、動的力が減衰する能動的に絶縁された点(すなわち、振動のない点)を提供し、さらに非常に高い周波数でのフィードバックゲインを許容する。これは、受動ダンパ35がこのような高い周波数での受動振動絶縁を提供できるからである。
図3に示される実施の形態においては、受動ダンパ35は弾性流体ダンパでもよく、中間質量31のあるハウジング32内に、ある量のオイル、シリコンオイル、他の粘性流体等の粘性流体351を収容している。受動ダンパ35はまた、実質的に垂直方向にZ軸に沿ってハウジング32内の粘性流体に向かって延びるピストン352を有する。ピストン352をハウジング32内に収容するために、開口部324が設けられている。一実施の形態におけるピストン352は、負荷を支える絶縁架台に取り付けるための外端354と、粘性流体351内に配置される内端355を有するロッド353を備えている。ある実施の形態のロッド353は、Z軸等の動作軸方向に強くて剛性があるのに対し、ロッド353に実質的に垂直な面に沿っては剛性が劣る。ピストン352はさらに、ロッド353の内端355にプレート356のような幅広の面を有する。システム10からの振動があると、プレート356は、受動ダンパ35が必要な減衰効果を発生できるように作用する。プレート356は、ある実施の形態では固体板である。しかしながら、プレート356は、減衰効果を調節するための開口部を有するものでもよい。受動ダンパ35は流体ダンパと記載したが、この分野で公知のどのような受動ダンパであってもよい。
ピストン352は、ハウジング32内で上下に移動して必要な減衰効果を発生させるので、ハウジング32内からの離脱を極力低減するために、プレート356は、その幅がハウジング32の開口部324より大きくなるように作製されている。さらに、ピストン352の移動中に中間質量31のハウジング32内から粘性流体351が流失する可能性があることから、柔軟膜等のカバー326が開口部324に設けられている。カバー326を使用する場合、カバー326に穴(図示せず)を形成し、ピストン352のロッド353がその穴を通過できるようにする必要がある。一実施の形態の穴は、ピストン352のロッド353とともに実質的に密封できるほど十分に小さい。
ある実施の形態では、ばね36は、アクチュエータ21が予め荷重を加えられた圧縮状態に押圧するために使用され、ハウジング32の周囲に配置される。ハウジング32の周囲にばね36を保持するために、ばね36は、中間質量31とケーシング33の内部との間のスペースにある留め具34の間に配置される。
図示されていないが、ユニット30は、図2A及び図2Bに示される除荷ばね25と同様の除荷ばねを備えている。これらの除荷ばねは、ある実施の形態では、中間質量31のハウジング32とケーシング33の下部332のベースとの間に配置される。加えて、除荷ばね25と同様、これらの除荷ばねは、アクチュエータに作用する負荷重量を軽減するために使用される。特に、除荷ばねは、機械式、電子式、空圧式、油圧式あるいは電磁式アクチュエータや、市販のアクチュエータや、この種の産業で公知のアクチュエータと関連して使用される。
図4を参照すると、上述したように、絶縁架台上に支持された負荷の多くは、負荷に作用して振動させる力を発生する移動機械要素を有する。したがって、負荷に誘発された力に起因する支持負荷の動作に減衰システムを対処させたり、そのような動作を極力低減させるのが望ましい。そうするために、第2の運動センサ41がシステム10とともに使用される。センサ41は、絶対速度センサや相対変位センサでもよく、絶縁架台13上に取り付けられる。センサ41からの信号は、中間質量17上のセンサ19からの信号と組み合わされて統合され、絶縁架台13の振動制御を向上させる。
別の実施の形態では、システム10は振動基台14あるいは床に取り付けられた第3の運動センサ42を備えている。センサ42からの信号はモジュール192に送信され、モジュール192は信号を統合して変位やブーストゲインを得る。統合された信号は、その後様々な補償回路を有するモジュール192により処理され、フィードフォワード信号として使用されて、アクチュエータ16の伸縮を制御することで振動基台の動きを補償する。
図4をさらに参照すると、システム10はまた、一端が絶縁架台12に取り付けられ、他端が受動ダンパ18に直列に取り付けられたばね43を有する。このように取り付けることで、ばね43は支持ばね44の共振周波数よりも少なくとも一桁高い共振周波数を有し、高周波数でシステム10への振動絶縁ゲインを高める。
本発明に係る中間質量及びシステムは、一つの軸、すなわちZ軸に沿って振動を能動的に絶縁するように図示したが、X軸、Y軸及びZ軸の各々に沿った振動を能動的に絶縁するように設計してもよい。図5を参照すると、3次元振動減衰システムの運動センサ、補償回路、アクチュエータ間の電気接続を示す高度な電気回路概略図が図示されている。50で示される電子コントローラは補償回路51,52,53を有する。これらの補償回路の各々は、米国特許第5,823,304号に開示されたものと同様のものでもよく、この米国特許の内容は、これを参照することによりここに盛り込まれていることとする。
補償/制御回路51は、一実施の形態では、Z軸に沿った負荷の動作を感知するZ軸方向の縦負荷センサ41からのセンサ信号と、Z軸に沿った中間質量の動作を感知するZ軸方向の縦中間質量センサ19からのセンサ信号を受信するために設けられている。一方、補償/制御回路52は、Y軸に沿った負荷の動作を感知するY軸方向の横負荷センサ54からのセンサ信号と、中間質量のY方向の動作を感知するY軸方向の中間質量センサ55からのセンサ信号を受信する。補償/制御回路53は、X軸方向の横負荷センサ561からの信号と、X軸方向の中間質量センサ57からの信号を受信する。
当然のことながら、本発明に係る補償回路はアナログ形体でもデジタル形体でもよい。加えて、このような補償回路は、図3に示されるセンサ32のように、振動基台に配置されたセンサからの信号を受信する。さらに、補償回路は、6自由度の各々からの動作信号を受信して振動を補償することができる単一モジュールとして採用されている。あるいは、複数個、例えば6個の補償モジュールを使用することもでき、それぞれが6自由度の各々に対して設けられる。
図6を参照すると、能動振動減衰システム60の簡略図が2次元で図示されている。システム60は、受動ダンパ61に配置された支持負荷Mを有し、受動ダンパ61は中間質量62に支持されている。剪断分離器63が、中間質量62と縦アクチュエータ64との間に介在している。システム60は、負荷により加えられた力に直交する方向、すなわちY軸に沿って能動振動絶縁を提供する。この絶縁は、圧電モータ等の径方向アクチュエータ65と、アクチュエータ65と中間質量62との間に位置する径方向剪断分離器66を使用して行われる。径方向アクチュエータ65は、ある実施の形態では、振動床、外部ケーシングあるいはベースFに何らかの方法で取り付けられる。未負荷域に対する負荷域の比が大きい場合は、各剪断分離器の軸方向剛性は高く維持されるのに対し、径方向剛性は比較的低く維持される。本発明の実施の形態では、各剪断分離器の径方向剛性に対する軸方向剛性の比は、少なくとも一桁で、二桁あるいはそれ以上が好ましい。
中間質量62はZ軸に沿って動き、縦アクチュエータ64の伸縮に伴って回転しないのが好ましいので、剪断分離器66は、中間質量62の反対側で剪断分離器68とばね要素67によりバランスを保たれている。図6に示されるばね要素67は、例えば床の延長部、外部ケーシングあるいは振動ベースF等の振動源と剪断分離器68との間に配置されており、剪断分離器68は、ばね要素67と中間質量62との間に位置している。径方向アクチュエータ65と剪断分離器66と剪断分離器68とばね要素67の直線状配置は、図6では紙面に直交する方向、すなわちX軸方向に複数あり、3次元すべてで6自由度に沿って振動絶縁を達成している。
一実施の形態におけるばね要素67は、Y軸に沿った剛性が比較的低いのに対し、Y軸に直交するすべての方向の径方向剛性が比較的高くなるように設計される。このようにばね要素67を設計することで、径方向アクチュエータ65は、印可された指令信号に応じて容易に伸縮することができる。さらに、径方向アクチュエータ65と中間質量62との間に分離器66を介在させたので、例えば負荷支持用縦アクチュエータ64の動作等により生じる剪断たわみを、例えば径方向アクチュエータ65の動作の約0.7%に低減することができる。
要約すると、本願には、能動振動減衰システムが図示されるとともに開示されている。本発明の実施の形態に係る振動減衰システムは、発生した動的力を抑制し、負荷に伝達されるのを絶縁するとともに、アクチュエータに作用する負荷の重量を軽減する。特に、システムは負荷質量(すなわち、絶縁架台)と振動源(すなわち、基台)との間に能動絶縁ダンパを介在させ、共振周波数と必要なゲインを低減する。能動ダンパは、動的振動に対処するために設計され、少なくとも一つのアクチュエータと、アクチュエータに支持された中間質量と、中間質量と絶縁架台との間に設けられた受動ダンパと、アクチュエータに平行に中間質量と地面との間に配置された除荷ばねとを備える。中間質量は、アクチュエータによりZ軸に沿って縦方向に支持されるばかりでなく、X軸及びY軸に沿って別のアクチュエータにより径方向に支持されている。システムには回路も設けられており、中間質量のセンサが発生する変位信号に応じてアクチュエータを縦方向あるいはX、Y、Zの各方向に駆動する。ある実施の形態では、少なくとも一つの除荷ばねが使用されているので、本発明の能動ダンパとともに使用されるアクチュエータは、負荷の重量をアクチュエータで支持する必要がある場合、従来の振動絶縁システムで使用されるものに比べて比較的小さく安価である。
以上、本発明を実施の形態を参照しながら説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者は様々な変形例を作製したり等価物と置換できることは当然である。加えて、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、特定の状況、材料、構成に適合する多くの変形例も可能であり、このような変形例はここに添付した請求の範囲に含まれる。