JP2011528010A - 癌性疾患修飾抗体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、スクリーニングの新規パラダイムを使用する、癌性疾患修飾抗体の製造方法に関する。このプロセスは、癌細胞への細胞傷害性を評価項目として使用して抗癌抗体を分離することにより、治療目的および診断目的のための抗癌抗体の製造を可能にする。該抗体は、癌の病期分類及び診断の支援のために使用され得、原発腫瘍および腫瘍転移を治療するために使用され得る。当該抗癌抗体は、毒素、酵素、放射性化合物、および血行性細胞に結合され得る。
【選択図】図1

Description

発明の分野
本発明は、癌性疾患修飾抗体(CDMAB)の単離および製造、ならびに治療および診断プロセスにおける、必要に応じて1以上の化学療法剤と組み合わせる、CDMABの使用に関する。さらに、本発明は、本発明のCDMABを利用する結合アッセイに関する。
発明の背景
癌療法としてのモノクローナル抗体:癌が出現した個体は独特であり、その人の個性ほどに、他の癌とは異なる癌を有する。このことにもかかわらず、現行の治療は、同一の型の癌を有するすべての患者を、同一のステージで、同一の方法で治療する。これらの患者の少なくとも30パーセントは第一選択治療が奏功せず、それによって、治療の更なる段階に至り、ならびに治療上の失敗、転移および究極的には死の蓋然性が高められる。治療への優れたアプローチは、特定の個体のために治療法をカスタマイズすることであろう。カスタマイゼーションに結びつく唯一の現行治療法は、外科手術である。化学療法および放射線治療は患者に合せることができず、外科手術自体はほとんどの場合、治癒をもたらすには不十分である。
モノクローナル抗体の出現に伴い、カスタマイズされた治療方法を開発する可能性は、各抗体が単一エピトープに指向し得るので、より現実的になった。更に、特定の個体の腫瘍を一意的に定義する、一群のエピトープに指向する抗体の組合せをつくることが可能である。
癌性細胞と正常細胞との重要な相違点は、癌性細胞が形質転換された細胞に特異的である抗原を含むことであると認識されてきたので、科学界は、モノクローナル抗体がこれらの癌抗原に特異的に結合することによって形質転換細胞を特異的に標的化するように設計され得ることを長く支持してきた。従って、癌細胞を除去するためにモノクローナル抗体が「特効薬」として役立ち得るという信念を生じさせた。しかしながら、単一モノクローナル抗体が癌のすべての事例に役立ち得ないこと、および複数のモノクローナル抗体が、集合体として、癌標的療法として展開され得ることが現在では広く認識されている。開示された本発明の教示に従って単離されたモノクローナル抗体は、患者に有益な様式で、例えば腫瘍全量を低減させることによって、癌性疾患プロセスを改変することが示されており、そして、癌性疾患修飾抗体(CDMAB)または「抗癌」抗体として本明細書で様々に言及される。
現時点では、癌患者は、通常、治療の選択肢をほとんど有していない。癌療法への組織化されたアプローチは、世界的な生存率および疾病率において改善を生み出している。しかしながら、特定の個体にとっては、これらの改善された統計は、その個体の状況における改善と必ずしも相関していない。
従って、同一の集団において他の患者の各腫瘍を医師が別々に治療させることができる方法論が提案された場合には、これは治療を1個人に適合させるユニークなアプローチを可能にするだろう。かかる治療計画は、理想的には、治癒率を上げ、より優れた結果を生み出し、それによって長い間の要求を満足させるだろう。
歴史的に、ポリクローナル抗体の使用は、ヒト癌の治療に用いられてほとんど成功していない。リンパ腫および白血病はヒト血漿で治療されてきたが、長期の寛解または奏功はほとんどなかった。更に、再現性が欠如し、化学療法と比べて更なる恩恵はなかった。乳癌、黒色腫および腎細胞癌のような固形癌も、ヒト血液、チンパンジー血清、ヒト血漿およびウマ血清で治療されてきたが、これに対応した予測可能かつ有効な結果が得られなかった。
固形癌のためのモノクローナル抗体の多くの臨床試験があった。1980年代では、特定の抗原に対するまたは組織選択性に基づく抗体を用いて、少なくとも47名の患者から1人の応答者しか得られなかった、ヒト乳癌の少なくとも4臨床試験があった。1998年になって初めて、シスプラチンと組み合わせてヒト化抗Her2/neu抗体(ハーセプチン(登録商標))を用いる臨床試験が成功した。この試験において、37名の患者が奏功と評価され、その約4分の1が部分寛解率を有し、更に4分の1がわずかな、軽微な疾患進行または疾患進行の安定を示した。応答者の進行までのメジアン期間は8.4ケ月であり、奏功期間のメジアン値は5.3ケ月であった。
ハーセプチン(登録商標)は、タキソール(登録商標)と組み合わせた第一選択治療での使用のために1998年に承認された。臨床試験結果は、タキソール(登録商標)のみを与えた群(3.0ケ月)と比べて、抗体療法に加えてタキソール(登録商標)を与えた群(6.9ケ月)では、疾患進行までのメジアン期間の増加を示した。生存期間のメジアン値もわずかに増加した;ハーセプチン(登録商標)およびタキソール(登録商標)治療群、対、タキソール(登録商標)治療単独群について、22ケ月対18ケ月。加えて、タキソール(登録商標)単独と比べた抗体およびタキソール(登録商標)の併用群において、完全寛解者の数(8対2パーセント)および部分的寛解者の数(34対15パーセント)が増加した。しかしながら、ハーセプチン(登録商標)およびタキソール(登録商標)での治療は、タキソール(登録商標)単独治療と比べて、高い心臓毒性の発生率をもたらした(それぞれ、13対1パーセント)。また、ハーセプチン(登録商標)治療は、現在機能または生物学的に重要なリガンドが知られていない受容体であるヒト上皮成長因子受容体2(Her2/neu)を過剰発現する(免疫組織学化学的(IHC)解析を通して決定される)患者、すなわち転移性乳癌を有する約25パーセントの患者、に対してのみ有効であった。そのため、依然として乳癌患者には大きな未だ満たされていないニーズが存在する。ハーセプチン(登録商標)治療から恩恵を受け得る人でさえも、化学療法を依然として必要とし、その結果、少なくともある程度、この種の治療の副作用に依然として対処しなければならないだろう。
結腸直腸癌を調べる臨床試験は、糖タンパク質および糖脂質の標的に対する抗体を含む。腺癌にある特異性を有する17-1Aのような抗体は60名を超える患者において第2相臨床試験が行なわれ、1名の患者だけが部分的寛解を示した。他の試験では、17-1Aの使用は、追加のシクロホスファミドを用いるプロトコールにおいて、52名の患者の内たった1例の完全寛解、および2例のやや有効を生じた。今まで、17-1Aの第III相臨床試験は、ステージIIIの結腸癌のアジュバント治療として改善された有効性を実証していない。画像化のために最初に承認されたヒト化ネズミモノクローナル抗体の使用もまた、腫瘍退縮をもたらさなかった。
モノクローナル抗体を使用した結腸直腸癌の臨床研究からの陽性の結果が出たのはごく最近である。2004年、エルビタックス(登録商標)は、イリノテカンに基づく化学療法に不応性であるEGFR発現転移性結腸直腸癌を有する患者の第二選択治療として承認された。2治療群第II相臨床試験および単一治療群試験からの結果は、イリノテカンと組み合わせたエルビタックス(登録商標)がそれぞれ23および15パーセントの奏功率を有し、疾患進行までのメジアン時間がそれぞれ4.1および6.5ケ月であった。同じ2治療群第II相臨床試験および別の単一治療群試験からの結果は、エルビタックス(登録商標)単独による治療が、それぞれ11および9パーセントの奏功率をもたらし、疾患進行までのメジアン時間がそれぞれ1.5および4.2ケ月であった。
結果的に、スイスおよび米国ではイリノテカンと組み合わせたエルビタックス(登録商標)治療、および米国ではエルビタックス(登録商標)単独による治療は、第一選択治療のイリノテカン治療に失敗した結腸癌患者の第二選択治療として承認された。従って、ハーセプチン(登録商標)のように、スイスでの治療は、モノクローナル抗体と化学療法との組合せとして承認されているにすぎない。加えて、スイスおよび米国での治療は、第二選択療法として患者のために承認されているにすぎない。また、2004年、アバスチン(登録商標)は、転移性結腸直腸癌の第一選択治療として静脈内5-フルオロウラシルに基づく化学療法との併用で承認された。第III相臨床試験結果は、5-フルオロウラシル単独で治療された患者に比べて、アバスチン(登録商標)および5-フルオロウラシルで治療された患者のメジアン生存期間が伸びたことを実証した(それぞれ、20ケ月対16ケ月)。しかし、この場合も同様に、ハーセプチン(登録商標)およびエルビタックス(登録商標)のように、治療は、モノクローナル抗体および化学療法の組合せとして承認されたにすぎない。
また、肺、脳、卵巣、膵臓、前立腺、および胃癌については成績不良が続いた。非小細胞肺癌についての最も有望な近年の結果は、治療が、化学療法剤タキソテレ(登録商標)と組み合わせて細胞殺傷薬ドキソルビシンにコンジュゲートされたモノクローナル抗体(SGN-15;dox-BR96、anti-Sialyl-Lex)を含む第II相臨床試験から得られた。タキソテレ(登録商標)は、肺癌の第二選択治療のためにFDAが承認した唯一の化学療法である。初期のデータは、タキソテレ(登録商標)単独と比べて全生存期間の改善を示した。試験のために集められた62名の患者のうち、3分の2はタキソテレ(登録商標)と組み合わせてSGN-15を受け、一方、残りの3分の1はタキソテレ(登録商標)単独を受けた。タキソテレ(登録商標)と組み合わせてSGN-15を受けた患者では、メジアン全生存期間は、タキソテレ(登録商標)単独を受けた患者の5.9ケ月と比べて7.3ケ月であった。1年および18ケ月での全生存は、SNG-15およびタキソテレ(登録商標)を受けた患者について、それぞれ、29および18パーセントであり、タキソテレ(登録商標)単独を受けた患者について、それぞれ、24および8パーセントであった。更なる臨床試験が計画されている。
前臨床的には、黒色腫に対するモノクローナル抗体の使用における成功は限定されている。これらの抗体の極少数しか臨床試験に到達しておらず、今日まで承認され、または第III相臨床試験で好ましい結果を実証している抗体はない。
疾患を治療するための新規医薬の発見は、疾患の発症機序に寄与し得る、30,000の公知遺伝子産物からの関連する標的の同定が十分でないことによって妨げられている。腫瘍学の研究において、潜在的な薬物標的は、単に腫瘍細胞中でそれらが過剰発現しているという事実に因って選ばれることが多い。このようにして同定された標的は、次いで、多数の化合物との相互作用に関して選別される。潜在的な抗体療法の場合には、これらの候補化合物は、通常、KohlerおよびMilsteinによって提案された基本的な原則に従うモノクローナル抗体生成の伝統的方法から得られる(1975, Nature, 256, 495-497, Kohler and Milstein)。脾臓細胞は、抗原(例えば、全細胞、細胞フラクション、精製された抗原)で免疫されたマウスから回収され、不死化ハイブリドーマパートナーと融合される。得られたハイブリドーマは、標的に最も強く結合する抗体の分泌に関して選別され、そして選ばれる。ハーセプチン(登録商標)およびリツキシマブを含む癌細胞に対する多くの治療および診断用抗体は、これらの方法を用いて製造され、そしてそれらの親和性に基づいて選ばれている。この方法の欠点は2つある。第一に、治療または診断用抗体結合のための適切な標的の選択は、組織特異的癌化プロセスの周辺の知識、およびこれらの標的が同定される過剰発現による選択のような得られた単純化された方法、の不足によって制限されている。第二に、最大の親和性で受容体に結合する薬物分子が、通常、シグナルを開始または阻害する蓋然性が最も高いという推測は、必ずしも当てはまらないかもしれない。
乳癌および結腸癌の治療に伴う進歩にもかかわらず、効率的な抗体療法の同定および開発は、単一薬または共治療のいずれとしても、すべての型の癌に十分ではなかった。
先行特許:
米国特許第5,750,102号は、患者の腫瘍由来の細胞が患者由来の細胞または組織からクローン化され得るMHC遺伝子でトランスフェクトされるプロセスを開示している。これらのトランスフェクトされた細胞は、次いで、患者にワクチン接種するために使用される。
米国特許第4,861,581号は、哺乳動物の新生細胞および正常細胞の内部細胞成分に特異的であるが外部成分には特異的でないモノクローナル抗体を取得する工程、モノクローナル抗体を標識する工程、新生細胞を殺す治療法を受けている哺乳動物の組織と標識抗体とを接触させる工程、および新生細胞を退縮する内部細胞成分への標識された抗体の結合を測定することによって治療法の効率を決定する工程を含む方法を開示する。ヒト細胞内抗原に関する抗体を調製するときに、悪性細胞がかかる抗原の便利な供給源に相当することを特許権者は認識している。
米国特許第5,171,665号は、新規抗体およびその産生のための方法を提供する。具体的には、当該特許は、ヒト腫瘍、例えば、結腸および肺のヒト腫瘍、に関連したタンパク質抗原に強力に結合する一方で、極低度で正常細胞に結合する性質を有するモノクローナル抗体の生成を教示する。
米国特許第5,484,596号は、ヒト癌患者から腫瘍組織を外科的に取り除き、腫瘍組織を処理して腫瘍細胞を得て、腫瘍細胞を照射して、生存可能であるが非腫瘍形成性にし、およびこれらの細胞を使用して原発腫瘍の再発を阻害しつつ同時に転移を阻害することができる患者用ワクチンを調製すること、を含む癌療法の方法を提供する。該特許は、腫瘍細胞の表面抗原と反応性のあるモノクローナル抗体の開発を教示する。第4欄第45行以下参照に記載されているように、特許権者は、ヒト腫瘍形成における活性な特定の免疫療法を発現するモノクローナル抗体の開発において、自然発症腫瘍細胞を利用する。
米国特許第5,693,763号は、ヒト癌を特徴付け、起源である上皮組織に依拠しない糖タンパク質抗原を教示している。
米国特許第5,783,186号は、Her2発現細胞においてアポトーシスを誘導する抗Her2抗体、該抗体を産生するハイブリドーマ細胞株、該抗体を使用する癌の治療方法、および該抗体を含む医薬組成物に関する。
米国特許第5,849,876号は、腫瘍および非腫瘍組織源から精製されたムチン抗原に対するモノクローナル抗体の産生のための新規なハイブリドーマ細胞株を記載する。
米国特許第5,869,268号は、所望の抗原に特異的な抗体を産生するヒトリンパ球を作製するための方法、モノクローナル抗体を産生するための方法、および該方法によって産生されるモノクローナル抗体に関する。該特許は、特に、癌の診断および治療のために有用な抗HDヒトモノクローナル抗体の産生に関する。
米国特許第5,869,045号は、ヒト癌細胞と反応する、抗体、抗体断片、抗体コンジュゲートおよび単鎖毒素標識抗体に関する。該分子がヒト癌の表面上に存在する細胞膜抗原と反応性であり、更に、該抗体が結合後に癌細胞内に内在化することができるという点で、これらの抗体が機能するメカニズムは2通りあり、このことが、該抗体を、抗体-薬物および抗体-毒素コンジュゲートを形成させるために特に有用にする。その非修飾形態において、抗体はまた、特定の濃度において細胞傷害性を示す。
米国特許第5,780,033号は、腫瘍治療および予防のための自己抗体の使用を開示する。しかし、この抗体は、加齢の哺乳動物由来の抗核自己抗体である。この場合において、自己抗体は、免疫系において見出された自然抗体の1種であると言われる。自己抗体は「加齢哺乳動物」由来であるので、自己抗体が実際に治療されるべき患者から得られる必要性はない。加えて、該特許は、加齢哺乳動物由来の自然およびモノクローナル抗核自己抗体、およびモノクローナル抗核自己抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を開示している。
米国特許第5,750,102号 米国特許第4,861,581号 米国特許第5,171,665号 米国特許第5,484,596号 米国特許第5,693,763号 米国特許第5,783,186号 米国特許第5,849,876号 米国特許第5,869,268号 米国特許第5,869,045号 米国特許第5,780,033号
発明の概要
本願は、癌性疾患修飾モノクローナル抗体をコードするハイブリドーマ細胞株を単離するための、米国特許第6,180,357号に教示された患者特異的な抗癌抗体を製造する方法論を利用する。これらの抗体は、1つの腫瘍に特異的に作製され得、そのため、癌療法のカスタマイズを可能にする。本願の記載においては、細胞殺傷性(細胞傷害性)または細胞増殖阻害性(細胞増殖抑制性)のいずれかを有する抗癌抗体を、以下、細胞傷害性と言う。これらの抗体は、癌の病期分類および診断の目的で使用され、腫瘍転移を治療するために使用され得る。これらの抗体は、予防的治療によって癌の防止にも使用され得る。従来の薬物発見のパラダイムに従って生成された抗体とは異なり、このような方法で作製された抗体は、悪性組織の増殖および/または生存に不可欠であると以前は分かっていなかった分子および経路を標的化することがある。更に、これらの抗体の結合親和性は、より強い親和性相互作用を受けにくいかもしれない細胞傷害性事象の開始の必要条件に適している。また、標準的な化学療法的様式、例えば放射性核種を、本願のCDMABにコンジュゲートし、それによって該化学療法の使用に焦点を当てることは、本発明の範囲内にある。CDMABは、毒素、細胞毒部分、酵素、例えばビオチンコンジュゲート化酵素または血行性細胞にもコンジュゲートされ、それによって抗体コンジュゲートを形成することができる。
個人別の抗癌治療の見通しは、患者が管理される方法において変化をもたらすだろう。可能性のある臨床的シナリオは、腫瘍試料が説明の際に得られ、そして預けられることである。この試料から、腫瘍は、予め存在する癌性疾患修飾抗体のパネルから分類され得る。患者は、慣習的に病期分類されるが、入手できる抗体は患者の更なる病期分類に使用され得る。患者は、現存する抗体で直ちに治療され、そして、腫瘍に特異的な抗体のパネルは、本明細書に概略した方法を用いるか、または本明細書に開示されたスクリーニング方法と組み合わせたファージディスプレイライブラリーの使用のいずれかによって製造され得る。他の腫瘍が治療されるエピトープと同一のエピトープのいくつかを有することができる可能性があるので、生成したすべての抗体は、抗癌抗体のライブラリーに加えられるだろう。この方法に従って産生された抗体は、これらの抗体に結合する癌を有する多数の患者における癌性疾患を治療するために有用であり得る。
抗癌抗体に加えて、患者は、治療の多様式レジメンの一部として、現在推奨されている治療法を受けることを選んでもよい。本方法論によって単離された抗体が、非癌性細胞に対して相対的に非毒性であるという事実は、単独または従来の治療法と組み合わせて使用される高用量の抗体の組合せを可能にする。高い治療的指数は、治療耐性細胞の出現の可能性を減少させるはずの、短期間での再治療をも可能にするだろう。
患者が治療または転移発現の最初のコースに不応性である場合には、腫瘍に特異的な抗体を作製する方法が再治療のために繰り返され得る。更に、抗癌抗体が患者から得られた赤血球にコンジュゲートされ、転移の治療のために再注入され得る。転移性癌のための有効な治療法はほとんどなく、転移は通常、死を招く不幸な結果の前兆となる。しかしながら、転移性癌は、通常、よく血管が新生され、赤血球による抗癌抗体の送達は、腫瘍部位に該抗体を濃縮する効果を有し得る。転移前ですら、ほとんどの癌細胞は、その生存のために宿主の血液供給に依存し、そして赤血球にコンジュゲートされた抗癌抗体は、in situの腫瘍に対しても有効であり得る。あるいは、該抗体は、他の血行性細胞、例えばリンパ球、マクロファージ、単球、ナチュラルキラー細胞等にコンジュゲートされ得る。
抗体には5つのクラスがあり、各々は、その重鎖によって付与される機能と関連する。一般的に、ネイキッド抗体による癌細胞殺傷は、抗体依存性の細胞の細胞傷害性または補体依存性の細胞傷害性のいずれかによって媒介されると考えられる。例えば、ネズミIgMおよびIgG2a抗体は、補体系のC-1成分との結合によってヒト補体を活性化することができ、それによって腫瘍溶解を導き得る補体活性化の典型的な経路を活性化する。ヒト抗体について、最も有効な補体活性化抗体は、一般的に、IgMおよびIgG1である。IgG2aおよびIgG3アイソタイプのネズミ抗体は、単球、マクロファージ、顆粒球およびある種のリンパ球による細胞殺傷を招くFc受容体を有する細胞傷害性細胞を補強する点で有効である。IgG1およびIgG3アイソタイプのヒト抗体は、ADCCを媒介する。
抗体媒介癌殺傷の別の可能性のあるメカニズムは、細胞膜およびその関連した糖タンパク質または糖脂質における様々な化学結合の加水分解を触媒するために機能する抗体、いわゆる触媒抗体、の使用によるものでありうる。
抗体媒介癌細胞殺傷の3つの更なるメカニズムがある。第1は、身体に、癌細胞に存在する仮想抗原に対する免疫応答を生じるよう誘導するワクチンとしての抗体の使用である。第2は、増殖受容体を標的化しその機能を妨害し、またはその機能が効率的に失われるように、その受容体をダウンレギュレートする抗体の使用である。第3は、TRAIL R1もしくはTRAIL R2のような死受容体またはアルファVベータ3等のようなインテグリン分子のライゲーションのような、直接的細胞死を導くことがある、細胞表面部分の直接的ライゲーションに対するこのような抗体の効果である。
抗癌薬の臨床的有用性は、患者に許容されるリスクプロファイルの下での該抗癌薬の恩恵に基づく。一般的に癌治療では、生存が、最も求められている恩恵であったが、寿命を延ばすことに加えて多数の他のよく認められている恩恵がある。治療が生存に悪影響を与えないこれらの他の恩恵としては、症状の苦痛緩和、有害事象に対する保護、再発または疾患のない生存までの期間延長、進行までの期間延長が挙げられる。これらの基準は、一般的に受け入れられ、米国の食品医薬品局(F.D.A.)のような規制機関は、これらの恩恵をもたらす薬物を承認している(Hirschfeld他, Critical Reviews in Oncology/Hematolgy 42:137-143 2002)。これらの基準に加えて、これらの種類の恩恵を予測することができる他の評価項目があることは十分に認識される。一つには、米国のF.D.A.によって認可された加速された承認プロセスは、患者の利益を予測するであろう代用評価項目があることを認知している。2003年末の時点において、このプロセス下で16種の医薬が承認され、これらの内で4種が完全承認に進んだ、すなわちフォローアップ試験が、代用評価項目によって予測される直接的な患者の利益を証明した。固形腫瘍における薬物効果を決定するための1つの重要な評価項目は、治療に対する応答を測定することによる腫瘍全量の評価である(Therasse他, Journal of the National Cancer Institute 92(3): 205-216, 2000)。かかる評価のための臨床的基準(RECIST基準)は、癌の国際的な専門家集団である、固形腫瘍ワーキング・グループにおける応答評価基準によって普及されてきた。適切なコントロール群と比べてRECIST基準に従った客観的応答によって示される、腫瘍全量に対する証明された効果を有する薬物は、究極的には、直接的な患者の利益を生み出す傾向にある。前臨床状況では、腫瘍全量は、一般的に、評価および立証がより簡単である。前臨床試験が臨床的状況に解釈され得るという理由で、前臨床モデルでの延長された生存をもたらす薬物は、最も大きな予測された臨床的有用性を有する。臨床的治療に対する陽性応答をもたらすアナログ、すなわち前臨床状況における腫瘍全量を低減させる薬物は、疾患に対する重要かつ直接的な影響を有することもある。生存の延長は癌薬物治療からの最も追求される臨床的成果であるが、臨床的有用性を有する他の利益が存在し、そして、疾患の進行の遅延、生存延長またはそれらの両方に関連するかもしれない腫瘍全量低減が、直接的な利益を導きおよび臨床的影響をも有し得ることは明らかである(Eckhardt他, Developmental Therapeutics: Successes and Failures of Clinical Trial Designs of Targeted Compounds; ASCO Educational Book, 第39回 Annual Meeting, 2003, 第209-219頁)。
本発明は、細胞傷害性アッセイおよびヒト癌の動物モデルでのその効果によって同定されたAR59A157.1の開発および使用を記載する。本発明は、標的分子上に存在する1つのエピトープまたは複数のエピトープに特異的に結合し、そして、またネイキッド抗体として正常細胞に対してではなく悪性腫瘍細胞に対してインビトロでの細胞傷害特性をも有し、ネイキッド抗体として腫瘍増殖の阻害を直接的に媒介もする、試薬を記載する。更なる進歩は、腫瘍増殖阻害を達成するために同系の抗原マーカーを発現する腫瘍を標的とするこのような抗癌抗体の使用、および癌治療の他の陽性の評価項目に関する。
総じて、本発明は、投与すると、哺乳動物において抗原を発現する癌の腫瘍全量を低減させることができる、治療剤の標的としてのAR59A157.1抗原の使用を教示する。本発明はまた、哺乳動物において抗原を発現する癌の腫瘍全量を低減させるためにその抗原を標的とするための、CDMAB(AR59A157.1)およびその誘導体、およびその抗原結合性断片、およびその細胞傷害性誘導リガンドの使用を教示する。更に、本発明はまた、AR59A157.1抗原を発現する腫瘍を担持する哺乳動物の診断、治療予測および予後のために有用であり得る癌性細胞中の該抗原を検出するための使用を教示する。
従って、本発明の目的は、ハイブリドーマ細胞株、および当該ハイブリドーマ細胞株がコードする、対応する単離されたモノクローナル抗体およびその抗原結合性断片を単離するために、特定の個体または1以上の特定の癌細胞株に由来する癌性細胞に対する癌性疾患修飾抗体(CDMAB)、ここで、CDMABは、癌細胞に関して毒性であり、同時に非癌細胞に対して比較的非毒性である、を産生するための方法を利用することである。
本発明の更なる目的は、癌性疾患修飾抗体、リガンドおよびその抗原結合性断片を教示することである。
本発明の更なる目的は、抗体の細胞傷害性が抗体依存性の細胞の毒性によって媒介される、癌性疾患修飾抗体を製造することである。
本発明のさらに更なる目的は、抗体の細胞傷害性が補体依存性の細胞の毒性によって媒介される、癌性疾患修飾抗体を製造することである。
本発明のなお更なる目的は、抗体の細胞傷害性が細胞性化学結合の加水分解を触媒するその能力の1機能である、癌性疾患修飾抗体を製造することである。
本発明のなお更なる目的は、癌の診断、予後およびモニタリングのための結合アッセイにおいて有用である癌性疾患修飾抗体を製造することである。
本発明の他の目的および利点は、図および実施例、本発明のある実施態様によって記載される以下の説明から明らかであろう。
図1は、細胞傷害性のパーセンテージと、細胞株MDA-MB-231、OVCAR-3、SW1116、LovoおよびCCD-27skに対するハイブリドーマ上清の結合レベルとを比較する。 図2は、癌および正常細胞株へのAR59A157.1の結合を示す。データは、アイソタイプコントロールを超える倍率増加として平均蛍光強度を提示するために表にした。 図3は、数種類の癌および非癌細胞株に対するAR59A157.1および抗EGFR抗体の代表的なFACSヒストグラムを含む。 図4は、予防的MDA-MB-231乳癌モデルにおける腫瘍増殖に対するAR59A157.1の効果を証明する。縦の破線は、抗体が投与された期間を示す。データ点は平均±SEMを示す。 図5は、予防的MDA-MB-231乳癌モデルにおける体重に対するAR59A157.1の効果を証明する。データ点は平均±SEMを示す。
発明の詳細な説明
一般的に、以下の用語または語句は、概要、説明、実施例およびクレームで使用される場合に、所定の定義を有する。
用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、具体的には例えば(アゴニスト、アンタゴニストおよび中和抗体、抗原性除去された、マウス、キメラ、またはヒト化抗体を含む)単一のモノクローナル抗体、多エピトープ特異性を有する抗体組成物、単鎖抗体、免疫コンジュゲートおよび抗体断片を包含する(以下、参照)。
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に同種の抗体の集団から得られた抗体、すなわち、少量で存在することがある可能性のある自然突然変異を除いて同一である集団を含む個々の抗体を言う。モノクローナル抗体は、単一抗原部位に対して高度に特異的である。更に、異なった決定因子(エピトープ)に対する異なった抗体を含むポリクローナル抗体製剤と比べて、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定因子に対する。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが他の抗体によって汚染されることなく合成され得る点で、有利である。修飾語の「モノクローナル」は、実質的に同質の抗体集団から得られた抗体の性質を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするとは解釈されない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler他, Nature, 256: 495 (1975) によって最初に記載されたハイブリドーマ法(マウスまたはヒト)によって作製されても、あるいは組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号明細書参照)によって作製されてもよい。「モノクローナル抗体」は、例えば、Clackson他, Nature, 352: 624-628 (1991)、およびMarks他, J. Mol. Biol, 222: 581-597 (1991) 中で記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離されてもよい。
「抗体断片」は、好ましくは抗原結合またはその可変領域を含む無傷の抗体の一部分を含む。抗体断片の例は、完全長抗体未満、すなわちFab、Fab'、F(ab')2およびFv断片;ダイアボディー;線状抗体;単鎖抗体分子;単鎖抗体、単一ドメイン抗体分子、融合タンパク質、組換えタンパク質および抗体断片(複数可)から形成された多重特異性抗体、を含む。
「無傷」の抗体は、抗原結合可変領域、ならびに軽鎖定常ドメイン(CL)および重鎖定常ドメイン、CH1、CH2およびCH3を含むものである。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列変形体でよい。好ましくは、無傷の抗体は、1以上のエフェクター機能を有する。
その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列によって、無傷の抗体は、異なった「クラス」に帰属され得る。無傷の抗体の5つの主なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらの数種類は、更に「サブクラス」(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgA2に更に分けてもよい。抗体の異なったクラスに相当する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なったクラスのサブユニット構造および3次元構造はよく知られている。
抗体「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域またはアミノ酸配列変異体Fc領域)に帰因するその生物学的活性を言う。抗体のエフェクター機能の例は、C1q結合:補体依存性の細胞傷害性;Fc受容体結合:抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体:BCR)のダウンレギュレーション等を含む。
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性」および「ADCC」は、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、Natural Killer (NK) 細胞、好中球およびマクロファージ)が標的細胞上に結合された抗体を認識し、次いで該標的細胞の溶解を引き起こす、細胞媒介反応を言う。ADCCを媒介する一次細胞、NK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、単球はFcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcR発現は、RavetchおよびKinet, Annu. Rev. Immunol 9: 457-92 (1991) の第464頁第3表に纏められている。対象の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号に記載されているようなインビトロでのADCCアッセイが行われ得る。かかるアッセイのための有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいはまたは追加的に、対象の分子のADCC活性は、インビボ、例えばClynes他, PNAS(USA) 95: 652-656 (1998) に開示されたような動物モデルにおいて評価され得る。
「エフェクター細胞」は、1以上のFcRを発現し、エフェクター機能を果たす白血球である。好ましくは、該細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を果たす。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞および好中球が挙げられ;PBMCおよびNK細胞が好ましい。該エフェクター細胞は、その天然ソース、例えば本明細書に記載の血液またはPBMCから単離され得る。
用語「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載するために使用される。好ましいFcRは、天然配列ヒトFcRである。更に、好ましいFcRは、IgG抗体に結合するもの(ガンマ受容体)であって、アレル変異体およびこれらの受容体の選択的にスプライスされた形態を含む、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体が挙げられる。FcγRII受容体は、その細胞質ドメインにおいて主に異なる類似のアミノ酸配列を有する、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「抑制受容体」)を含む。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメイン中に免疫受容体チロシン型活性化モチーフ(ITAM)を含む。抑制受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメイン中に、免疫受容体チロシン型阻害モチーフ(ITIM)を含む(総説M. in Daeron, Annu. Rev. Immunol. 15: 203-234 (1997) 参照)。FcRは、RavetchおよびKinet, Annu. Rev. Immunol 9: 457-92 (1991); Capel等, Immunomethods 4: 25-34 (1994); ならびにde Haas他, J. Lab. Clin. Med. 126: 330-41 (1995)で総説される。将来同定されるものを含む他のFcRは、本明細書に記載の用語「FcR」に包含される。該用語は、胎児への母親IgGの移行の原因となる、新生児受容体、FcRnも含む(Guyer他, J. Immunol. 117: 587 (1976) およびKim他, Eur. J. Immunol. 24: 2429 (1994))。
「補体依存性の細胞傷害性」または「CDC」は、補体の存在下で標的を溶解する分子の能力を言う。補体活性化経路は、補体系の第1成分(C1q)の、同系抗原と複合体化された分子(例えば、抗体)への結合によって開始される。補体活性化を評価するために、CDCアッセイ、例えばGazzano-Santoro他, J. Immunol. Methods 202: 163 (1996) に記載されたものを行ってもよい。
用語「可変」は、可変ドメインのある部分が抗体間の配列において大きく異なるという事実をいい、その特定の抗原についてのそれぞれの特定の抗体の結合および特異性において使用される。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメインの全体に等しく分布されない。それは、軽鎖および重鎖可変ドメインの両方における超可変領域と呼ばれる3つの断片に集約されている。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可変領域は、各々、ループ(βシート構造を結合し、そして場合によっては該βシート構造の一部を形成する)を形成する3つの超可変領域によって結合されたβ-シート構造を主にとる、4つのFRを含む。各鎖中の超可変領域は、FRによって互いに近接しておよび他の鎖由来の超可変領域と共に維持され、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat他, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md.pp 15-17; 48-53 (1991) 参照)。定常領域は、抗原に対する抗体の結合に直接的に関連しないが、抗体依存性の細胞傷害性(ADCC)における抗体の関与のような様々なエフェクター機能を示す。
本明細書で使用される用語「超可変領域」は、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を言う。超可変領域は、一般的に、「相補性決定領域」または「CDR」由来のアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメイン中の残基24-34 (L1)、50-56 (L2)および89-97 (L3)、および重鎖可変ドメイン中の残基31-35 (H1)、50-65 (H2)および95-102 (H3);Kabat他, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md.pp 15-17; 48-53 (1991)) および/または「超可変ループ」由来のアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメイン中の残基26-32 (L1)、50-52 (L2)および91-96 (L3)、および重鎖可変ドメイン中の残基26-32 (H1)、53-55 (H2)および96-101 (H3);ChothiaおよびLesk J. Mol. Biol. 196: 901-917 (1987))を含む。「フレームワーク領域」または「FR」残基は、本明細書で定義された超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合性断片(各々は、単一の抗原結合部位を有する)および残りの「Fc」断片(その名称は容易に結晶化する能力を反映している)を生じる。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原を架橋できるF(ab')2断片を生じる。
「Fv」は、完全な抗原認識および抗原結合部位を含む最小抗体断片である。この領域は、固い非共有結合で、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとのダイマーからなる。各可変ドメインの3つの超可変領域が相互作用してVH-VLダイマーの表面上の抗原結合部位を決めるのはこの構造内である。合計して、6つの超可変領域は、抗体に抗原結合特異性を与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つの超可変領域のみを含むFvの半分)さえも、全体的な結合部位よりも低い親和性であるが、抗原を認識しおよび抗原と結合する能力を有する。Fab断片も、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1定常ドメイン(CH I)を含む。Fab'断片は、抗体のヒンジ領域からの1以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端における数個の残基の付加によって、Fab断片とは異なる。Fab'-SHは、本明細書では、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が少なくとも1つの遊離のチオール基を有するFab'の名称である。F(ab')2抗体断片は、元々は、断片間でヒンジシステインを有するFab'断片の対として作られた。抗体断片の他の化学結合も知られている。
任意の脊椎動物種由来の抗体の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に異なる種類のうちの1つに帰属され得る。
「単鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVHおよびVLドメインを含み、これらのドメインが単一のポリペプチド鎖中に存在する。好ましくは、Fvポリペプチドは、scFvに抗原結合のための所望の構造を形成させることができるVHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーを更に含む。scFvの総説に関しては、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, 第113巻, Rosenburg and Moore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994) 参照。
用語「ダイアボディー」は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片であって、同一のポリペプチド鎖(VH-VL)中の軽鎖可変ドメイン(VL)に結合された重鎖可変ドメイン(VH)を含む該断片を言う。同一鎖上の2つのドメイン間でペアリングを可能にするには短すぎるリンカーを用いることによって、ドメインは、他の鎖の相補的ドメインと強制的にペアをつくり、2つの抗原結合部位をつくる。ダイアボディーは、例えば欧州特許第EP 404,097号; WO 93/11161; およびHollinger他, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993) により完全に記載されている。
「単離された」抗体は、その天然環境の成分から同定および分離され、および/または回収されているものである。その天然環境の汚染成分は、抗体の診断的または治療的使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモンおよび他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含み得る。単離された抗体としては、該抗体の天然環境の少なくとも1つの成分は存在しないので、組換え細胞内のin situの抗体が挙げられる。しかし、通常、単離された抗体は少なくとも1つの精製ステップによって調製されるだろう。
目的の抗原に「結合する」抗体とは、抗原を発現する細胞を標的とすることにおいて治療剤または診断剤として有用であるような十分な親和性で抗原と結合することができる抗体のことある。該抗体が抗原部分と結合するものである場合に、それは、通常、他の受容体とは対照的にその抗原部分と優先的に結合し、非特異的Fc接触のような付随的な結合、または他の抗原に共通する翻訳後修飾への結合を含まず、他のタンパク質とほとんど交差反応しないものであり得る。目的の抗原に結合する抗体の検出のための方法は、当該分野でよく知られており、FACS、細胞ELISAおよびウェスタンブロットのようなアッセイを含むが、これらに限定されない。
本明細書で用いる表現「細胞」、「細胞株」および「細胞培養物」は、互換的に使用され、すべてのかかる意味は子孫を含む。すべての子孫は、故意または不注意の変異に因ってDNA含量が正確に同一ではないことがあることも理解されたい。最初に形質転換された細胞中で選別された同一の機能または生物学的活性を有する変異子孫も含まれる。明確な意味が意図される文脈から明らかであろう。
「治療または治療すること」とは、治療的な処置および予防的または抑制的手段の両方を言う。その目的は、標的された病状または疾患を予防しまたは衰えさせる(減少させる)ことである。治療の必要のある者としては、疾患を既に有する者、および疾患を有する傾向にある者または疾患が予防されるべき者が挙げられる。従って、本明細書で治療されるべき哺乳動物は、疾患を有すると診断されているかもしれないし、または疾患にかかりやすいまたは疾患の影響を受けやすいかもしれない。
用語「癌」および「癌性」は、非制御の細胞増殖または死によって典型的に特徴付けられる哺乳動物の生理学的状態を言うかまたは説明する。癌の例としては、悪性腫瘍、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫および白血病またはリンパ系悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。このような癌のより具体的な例は、扁平上皮細胞癌 (例えば、上皮扁平上皮細胞癌)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌を含む胃(gastric)癌または胃(stomach)癌、膵臓癌、グリア芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌または腎癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、および頭頸部癌を含む。
「化学療法剤」とは、癌の治療において有用な化合物のことである。化学療法剤の例は、アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロホスファミド(サイトキサン(商標));アルキルスルホネート、例えばブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパおよびウレドーパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチロールメラミンを含むエチルエニミンおよびメチルアメラミン;ナイトロジェン・マスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えばアクラシノマイシン、アクチノマイシン、アスラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カラビシン、カルノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;抗代謝物質、例えばメトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリンアナログ、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジン、5-FU;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、マイトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えばフロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォミチン;エリプチニウムアセテート;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;マイトグアゾン;マイトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2',2"-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;マイトブロニトール;マイトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えばパクリタキセル(タキソール(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ.)およびドセタキセル(タキソテレ(登録商標)、Aventis, Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロラムブシル;ゲンシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ、例えばシスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;マイトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;および上記の任意の薬学的に許容される塩、酸または誘導体を含む。この定義には、腫瘍に対するホルモン作用を制御または阻害するように働く抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストンおよびトレミフェン(ファレストン)を含む抗エストロゲン剤;および抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリドおよびゴセレリン;および上記の任意の薬学的に許容される塩、酸または誘導体も含まれる。
治療目的のための「哺乳動物」とは、ヒト、マウス、SCIDもしくはヌードマウスまたはマウス系統、家畜(domestic animals)および家畜(farm animals)、および動物園動物、娯楽動物、あるいはペット動物を含む哺乳動物として分類される任意の動物、例えばヒツジ、イヌ、ウマ、ネコ、ウシ等を言う。本明細書では、好ましくは、哺乳動物はヒトである。
「オリゴヌクレオチド」とは、公知の方法(例えば、1988年5月4日に公開されたEP 266,032に記載されたような固相法を用いる、あるいは、Froehler他, Nucl. Acids Res., 14: 5399-5407, 1986によって記載されたデオキシヌクレオシドH-ホスホネート中間体を経る、ホスホトリエステル、ホスファイト、またはホスホロアミダイト化学)によって化学的に合成される、短鎖、一本鎖または二本鎖のポリデオキシヌクレオチドのことである。それらは、次いで、ポリアクリルアミドゲル上で精製される。
本発明に従って、非ヒト(例えば、マウス)免疫グロブリンの「ヒト化」および/または「キメラ」形態は、元の抗体と比べて、ヒト抗マウス抗体(HAMA)、ヒト抗キメラ抗体(HACA)またはヒト抗ヒト抗体(HAHA)応答の減少をもたらす、特定のキメラ免疫グロブリン、その免疫グロブリン鎖または断片(例えば、Fv、Fab、Fab'、F(ab')2、または抗体の他の抗原結合サブシーケンス)を含み、そして所望の効果を再現し、同時に前記の非ヒト免疫グロブリンに匹敵する結合特性を維持するために必要である、前記の非ヒト免疫グロブリンから得られる不可欠な部分(例えば、CDR(複数可)、抗原結合領域(複数可)、可変ドメイン(複数可)等)を含む、抗体を言う。たいていは、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であって、そこでは、レシピエント抗体の相補性決定領域(CDR)由来の残基は、所望の特異性、親和性および能力を有する、マウス、ラットまたはウサギのような非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基によって置換される。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒトFR残基によって置換される。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体においても、移入されたCDRまたはFR配列においても見出されない残基を含んでもよい。これらの修飾は、抗体の能力を更に洗練しおよび最適化するためになされる。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つのおよび典型的には2つの可変ドメインのすべてを実質的に含むことになる。そこでは、CDR領域のすべてまたは実質的にすべては、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に該当し、FR残基のすべてまたは実質的にすべては、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFR残基である。ヒト化抗体はまた、好ましくは、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも1部、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも1部を含むだろう。
「抗原性除去」抗体は、所与の種に対して、非免疫原性であるかまたはより低い免疫原性の、免疫グロブリンである。抗原性除去は、抗体への構造的変化によって達成され得る。当業者に公知の任意の抗原性除去法が採用され得る。例えば2000年6月15日に公開されたWO 00/34317には、抗原性除去抗体の1つの好適な技術が記載されている。
「アポトーシス」を誘導する抗体は、任意の手段によってプログラムされた細胞死を誘導する抗体であり、アネキシンVの結合、カスパーゼ活性、DNAの断片化、細胞収縮、小胞体の膨張、細胞断片化、および/または膜小胞の形成(アポトーシス小体と呼ばれる)によって説明されるがこれらに限定されない。
本明細書で用いる「抗体誘導細胞傷害性」は、受託番号040608−01としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生されたハイブリドーマ上清または抗体から得られた細胞傷害性効果を意味するものと理解され、その効果は、結合の程度に必ずしも関連しない。
本明細書全体を通して、ハイブリドーマ細胞株、およびそれから産生される単離されたモノクローナル抗体は、二者択一的に、社内表示AR59A157.1または寄託表示IDAC 040608−01で示される。
本明細書で使用される「抗体−リガンド」は、標的抗原の少なくとも1つのエピトープの結合特異性を示す部分を含み、そして、無傷の抗体分子、抗体断片および少なくとも抗原結合領域またはその部分(すなわち、抗体分子の可変部分)を有する任意の分子であってよく、例えばFv分子、Fab分子、Fab'分子、F(ab')2分子、二重特異性抗体、融合タンパク質、あるいはIDAC 040608−01として指定されたハイブリドーマ細胞株によって産生された単離モノクローナル抗体によって結合された抗原(IDAC 040608−01抗原)の少なくとも1つのエピトープを特異的に認識してそれに結合する任意の遺伝子工学によって作製された分子であってよい。
本明細書で使用される「癌性疾患修飾抗体」(CDMAB)は、患者に有益である様式で、例えば、腫瘍を担持する個体の腫瘍全量を低減させるか、または生存を延長させることにより、癌性疾患プロセスを修飾するモノクローナル抗体、およびその抗体−リガンドを言う。
本明細書で使用される「抗原結合領域」は、標的抗原を認識する分子の1部分を意味する。
本明細書で使用される「競合的阻害」は、IDAC 040608−01として指定されたハイブリドーマ細胞株によって産生されたモノクローナル抗体(IDAC 040608−01抗体)が、慣用的な相互抗体競合アッセイを用いて指向する決定部位を認識しおよびこれに結合することができることを意味する(Belanger L., Sylvestre C.およびDufour D. (1973), Enzyme linked immunoassay for alpha fetoprotein by competitive and sandwich procedures. Clinica Chimica Acta 48, 15)。
本明細書で用いる「標的抗原」は、IDAC 040608−01抗原またはその部分である。
本明細書で用いる「免疫コンジュゲート」は、任意の分子またはCDMAB、例えば、細胞毒、放射活性剤、酵素、毒素、抗腫瘍剤もしくは治療剤に化学的または生物学的に結合された抗体を意味する。抗体またはCDMABは、その標的に結合することができる限り、分子の任意の位置で、細胞毒、放射活性剤、抗腫瘍剤もしくは治療剤に結合されてもよい。免疫コンジュゲートの例としては、抗体毒素化学コンジュゲート、および抗体−毒素融合タンパク質が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「融合タンパク質」は、抗原結合領域が、生物学的に活性のある分子、例えば、毒素、酵素またはタンパク質薬剤に接続される任意のキメラタンパク質を意味する。
本明細書に記載の発明が更に十分に理解されるように、以下の説明を記載する。
本発明は、IDAC 040608−01抗原を特異的に認識し、これに結合するCDMAB(すなわち、IDAC 040608−01 CDMAB)を提供する。
受託番号040608−01としてIDACに寄託されたハイブリドーマによって産生された単離モノクローナル抗体のCDMABは、それが、ハイブリドーマIDAC 040608−01によって産生された単離モノクローナル抗体の、標的抗原への免疫特異的結合を競合的に阻害する抗原結合領域を有する限り、いずれの形態でもよい。従って、IDAC 040608−01抗体と同一の結合特異性を有する任意の組換えタンパク質(例えば、抗体が、リンホカインまたは腫瘍増殖阻害因子のような第二タンパク質と結合されている、融合タンパク質)は、本発明の範囲内に入る。
本発明の1つの実施態様では、CDMABは、IDAC 040608−01抗体である。
他の実施態様では、CDMABは、Fv分子(例えば、単鎖Fv分子)、Fab分子、Fab'分子、F(ab')2分子、融合タンパク質、二重特異的抗体、異種抗体またはIDAC 040608−01抗体の抗原結合領域を有する任意の組換え分子であってもよい抗原結合性断片である。本発明のCDMABは、IDAC 040608−01モノクローナル抗体が指向するエピトープに向けられる。
本発明のCDMABは修飾されてもよく、すなわち、誘導体分子を製造するように分子内でのアミノ酸修飾によって修飾されてもよい。化学修飾も可能である。
誘導体分子は、ポリペプチドの機能的特性を保持するだろう、すなわち、かかる置換を有する分子は、IDAC 040608−01抗原またはその部分へのポリペプチドの結合を依然として可能にするだろう。
これらのアミノ酸置換は、「保存的」として当該分野で知られているアミノ酸置換を含むが、これに必ずしも限定されない。
例えば、「保存的アミノ酸置換」と称されるある種のアミノ酸置換が、タンパク質の構造または機能のいずれをも変更することなく、該タンパク質において頻繁に行われ得ることは、充分に確立されたタンパク質化学の法則である。
かかる変化は、イソロイシン(I)、バリン(V)およびロイシン(L)のいずれかと、他のこれらの疎水性アミノ酸のいずれかとの置換;アスパラギン酸(D)とグルタミン酸(E)との置換、およびその逆;グルタミン(Q)とアスパラギン(N)との置換、およびその逆;ならびに、セリン(S)とスレオニン(T)との置換、およびその逆を含む。他の置換は、特定のアミノ酸の環境およびタンパク質の3次元構造におけるその役割に依拠して、保存的であるとみなすこともできる。例えば、グリシン(G)およびアラニン(A)は、アラニンおよびバリン(V)と同様に、頻繁に交換され得る。メチオニン(M)は、比較的に疎水性であり、ロイシンおよびイソロイシンと、時にはバリンと、頻繁に交換され得る。リジン(K)およびアルギニン(R)は、アミノ酸残基の重要な特徴がその電荷であり、そしてこれら2つのアミノ酸残基のpKの差が重要でない位置で頻繁に交換可能である。更に他の変化も、特定の環境において「保存的」であるとみなすこともできる。
実施例 1
ハイブリドーマ製造−ハイブリドーマ細胞株AR59A157.1
ブダペスト条約に従ってカナダ国際寄託機関(IDAC、カナダ保健省微生物局、1015アーリントン通り、ウィニペグ、マニトバ、カナダ、R3E 3R2)に、受託番号040608−01で、2008年6月4日に、ハイブリドーマ細胞株AR59A157.1を寄託した。37 CFR 1.808に従って、寄託者は、寄託物の公衆への利用可能性に対して課されたすべての限定が、特許の登録の際に取消不可能に除かれることを保証する。受託者が生存能力のある試料を配布できない場合には、寄託物は交換されるであろう。
抗癌抗体AR59A157.1を産生するハイブリドーマを製造するために、凍結した、肝臓腫瘍組織へのヒト結腸転移癌(Genomics Collaborative, Cambridge, MA)の単一細胞懸濁液をPBS中で調製した。IMMUNEASY(商標)(Qiagen, Venlo, Netherlands)アジュバントを緩やかに攪拌しながら使用のために調製した。50マイクロリットルの抗原アジュバント中の200万個細胞を皮下的に注射することによって、5〜7週齢のBALB/cマウスを免疫した。最初の免疫から2および5週間後に、免疫されたマウスを腹腔内で追加免疫するために、新たに調製された抗原アジュバントを50マイクロリットル中の200万個の細胞と共に使用した。最終免疫の3日後に、融合のために脾臓を使用した。単離された脾臓細胞をNSO-1骨髄腫パートナーと融合することによってハイブリドーマを調製した。融合細胞由来の上清をハイブリドーマのサブクローンから試験した。
ハイブリドーマ細胞によって分泌された抗体がIgGアイソタイプかまたはIgMアイソタイプであるかを決定するために、ELISAアッセイを採用した。コーティングバッファー(0.1M 炭酸/重炭酸バッファー、pH 9.2〜9.6)で2.4マイクログラム/mLの濃度に調製したヤギ抗マウスIgG + IgM(H+L)の100マイクロリットル/ウェルを、ELISAプレートに4℃で終夜加えた。プレートを洗浄バッファー(PBS + 0.05パーセントTween)で3回洗浄した。100マイクロリットル/ウェルのブロッキングバッファー(洗浄バッファーに溶解した5パーセントのミルク)は、室温で1時間、プレートに加え、次いで洗浄バッファーで3回洗浄した。100マイクロリットル/ウェルのハイブリドーマ上清を加え、プレートを室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼをコンジュゲートしたヤギ抗マウスIgGまたはIgMの1/100,000希釈(5パーセントミルクを含むPBSで希釈)を100マイクロリットル/ウェルで加えた。プレートを室温で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄バッファーで3回洗浄した。100マイクロリットル/ウェルのTMB溶液を室温で1〜3分間インキュベートした。50マイクロリットル/ウェルの2M H2SO4を加えることによって呈色反応を停止し、パーキンエルマーHTS7000プレートリーダーで450 nmでプレートを読んだ。図1に示したように、AR59A157.1ハイブリドーマは、IgGアイソタイプの抗体を主に分泌した。
ハイブリドーマ細胞によって分泌される抗体のサブクラスを決定するために、マウスモノクローナル抗体アイソタイピングキット(HyCult Biotechnology, Frontstraat, オランダ)を用いて、アイソタイピング実験を行った。500マイクロリットルのバッファー溶液をラット抗マウスサブクラス特異的抗体を含む試験ストリップに加えた。500マイクロリットルのハイブリドーマ上清を試験管に加え、緩やかにゆすることによって浸漬させた。捕捉されたマウス免疫グロブリンを、コロイド粒子に結合させた第二ラットモノクローナル抗体によって直接的に検出した。これらの2つのタンパク質の組み合わせは、アイソタイプを分析するために使用される視覚シグナルを生じる。抗癌抗体AR59A157.1は、IgG2a、カッパアイソタイプについてのものである。1ラウンドの限界希釈の後、細胞ELISAアッセイにおいて標的細胞に結合した抗体に関して、ハイブリドーマ上清を試験した。1つのヒト乳癌細胞株、1つの卵巣癌細胞株、1つのヒト結腸癌細胞株および1つのヒト皮膚非癌細胞株: MDA-MB-231、OVCAR-3、LovoおよびCCD-27skをそれぞれ試験した。すべての細胞株は、アメリカン・タイプ・ティッシュ・コレクション(ATCC, Manassas, VA)から入手した。プレートに蒔かれた細胞を使用前に固定した。プレートをMgCl2およびCaCl2を含むPBSで3回、室温で洗浄した。PBSで希釈された2パーセントパラホルムアルデヒド100マイクロリットルを、室温で10分間、各ウェルに加え、次いで廃棄した。プレートを再度、MgCl2およびCaCl2を含むPBSにて室温で3回洗浄した。ブロッキングは、室温で1時間、100マイクロリットル/ウェルの洗浄バッファー(PBS + 0.05パーセントのツィーン)に溶解した5パーセントミルクで行った。プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、ハイブリドーマ上清を室温で1時間、75マイクロリットル/ウェルで加えた。プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、そして、100マイクロリットル/ウェルの、西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートされたヤギ抗マウスIgGまたはIgM抗体の1/25,000希釈(5パーセントのミルクを含むPBSで希釈)を加えた。室温での1時間のインキュベーションの後に、プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、100マイクロリットル/ウェルのTMB基質を室温で1〜3分間インキュベートした。反応は、50マイクロリットル/ウェルの2M H2SO4で終了させ、パーキンエルマーHTS7000プレートリーダーで450 nmにてプレートを読んだ。図1に表形式にした結果は、試験された細胞株に結合しないことが以前に示されている社内のIgGアイソタイプコントロールと比較して、バックグラウンドを超える倍数として表示した。ハイブリドーマAR59A157.1由来の抗体は、MDA-MB-231乳癌細胞株およびLovo結腸癌細胞株に検出可能な程度結合することを示した。
抗体結合の試験に併せて、ハイブリドーマ上清の細胞傷害性効果(抗体誘導性の細胞傷害性)を細胞株: MDA-MB-231、OVCAR-3、SW1116、LovoおよびCCD-27skで試験した。カルセインAMは、モレキュラープローブ(Eugene, OR)から入手し、アッセイは以下に概略されるように行った。所定の適切な密度で、アッセイの前に細胞を蒔いた。2日後に、ハイブリドーマ・マイクロタイター・プレート由来の75マイクロリットルの上清を細胞プレートに移し、5パーセントCO2インキュベーターで5日間インキュベートした。ポジティブコントロールとしてのウェルを空になるまで吸引し、そして、培養培地に溶解された100マイクロリットルのアジ化ナトリウム(NaN3, 0.1パーセント, Sigma, Oakville, ON)、シクロヘキシミド(CHX, 0.5マイクロモーラー, Sigma, Oakville, ON)または抗EGFR抗体(c225, IgG1, カッパ, 5マイクログラム/mL, Cedarlane, Hornby, ON)を加えた。次いで、処理の5日後、プレートをひっくり返し、紙で吸収させることによって空にした。MgCl2およびCaCl2を含む室温DPBS(ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水)を、複数チャンネル小型容器から各ウェルに分注し、3回タッピングし、ひっくり返し次いで拭って乾燥して空にした。MgCl2およびCaCl2を含むDPBSに希釈した50マイクロリットルの蛍光カルセイン色素を各ウェルに添加し、5パーセントCO2インキュベーターで30分間、37℃でインキュベートした。プレートをパーキンエルマーHTS7000蛍光プレートリーダーで読み、データをマイクロソフトエクセルで分析した。結果を図1において表にする。AR59A157.1ハイブリドーマ由来の上清は、SW1116細胞において30パーセントの特異的な細胞傷害性を示した。これは、SW1116について、ポジティブコントロールのシクロヘキシミドおよびc225で得られた細胞傷害性の、それぞれ1.5倍および15倍であった。皮膚非癌細胞株CCD-27skへの観察可能な細胞傷害性はなかった。公知の非特異的細胞傷害性薬シクロヘキシミドおよびNaN3は、大抵期待した細胞障害性をもたらした。抗EGFR抗体c225は、SW1116に、期待した細胞傷害性をもたらした。
図1からの結果は、種々の細胞株におけるAR59A157.1の細胞傷害性効果が結合レベルと必ずしも相関しないことを示した。AR59A157.1は、Lovo結腸癌細胞株およびMDA-MB-231乳癌細胞株には、結合はしても、細胞傷害性はもたらさなかった。従って、抗体は結合の程度には必ずしも関連しない機能的特異性を示した。
実施例 2
インビトロ結合
AR59A157.1モノクローナル抗体は、CL-1000フラスコ(BD Biosciences, Oakville, ON)中でハイブリドーマを培養し、2回/週に回収および再播種することによって製造した。次に、プロテインGセファロース4ファストフロー(GE Healthcare, Baie d'Urfe, QC)を用いる標準抗体精製手段を行った。ヒト化、抗原性除去化、キメラまたはマウスモノクローナル抗体を利用するのは本発明の範囲内である。
乳癌細胞株(MDA-MB-231)、結腸癌細胞株(DLD-1、Lovo、SW620、SW1116およびSW620)、前立腺癌細胞株(PC-3)、膵臓癌細胞株(AsPC-1およびBxPC-3)、肺癌細胞株(A549)および卵巣癌細胞株(OVCAR-3)、ならびに皮膚由来の非癌細胞株(CCD-27sk)および肺由来の非癌細胞株(Hs888.Lu)へのAR59A157.1の結合は、フローサイトメトリー(FACS)で評価した。すべての細胞株は、アメリカン・タイプ・ティッシュ・コレクション(ATCC, Manassas, VA)から入手した。
細胞は、細胞単層をDPBS(Ca++およびMg++を含まない)で先ず洗浄することによってFACS用に調製した。次いで、細胞解離バッファー(Invitrogen, Burlington, ON)を用いて、37℃で細胞培養プレートから細胞を取り除いた。遠心および回収の後に、細胞を4℃のMgCl2、CaCl2および2パーセントのウシ胎児血清を含むDPBS(染色培地)に再懸濁し、カウントし、好適な細胞密度に等分し、回転させて、細胞をペレットにし、そして試験抗体(AR59A157.1)またはコントロール抗体(アイソタイプコントロール、抗EGFR)の存在下で、4℃の染色培地に再懸濁した。アイソタイプコントロールおよび試験抗体は20マイクログラム/mLで、一方、抗EGFRは5マイクログラム/mLで30分間氷上で評価した。Alexa Fluor 546-コンジュゲート2次抗体の添加前に、細胞を染色培地で一度洗浄した。次いで、染色培地中のAlexa Fluor 546-コンジュゲート抗体を4℃で30分間加えた。最後に細胞を洗浄し、固定培地(1.5パーセントパラホルムアルデヒドを含む染色培地)に再懸濁した。細胞のフローサイトメトリー取得は、試料をFACSarray(商標)に供してFACSarray(商標)System Software(BD Biosciences, Oakville, ON)を用いて行なった。細胞の前方散乱光(FSC)および側方散乱光(SSC)は、FSCおよびSSC検出器上の電圧および振幅増幅率を調整することによって設定した。蛍光(Alexa-546)チャンネル用の検出器は、非染色細胞が約1〜5単位のメジアン蛍光強度を有する均一なピークを有するように調整した。各試料について、約10,000ゲート事象(染色された固定細胞)が分析のために取得され、その結果は図2に示される。
図2は、平均蛍光強度倍率がアイソタイプコントロールを超えて増加することを示している。AR59A157.1抗体の代表的なヒストグラムは、図3に編集した。AR59A157.1は、結腸癌細胞株SW1116および肺非癌細胞株Hs888.Luを除いて、試験した細胞株への結合を示した。***MDA-MB-231(6.0倍);結腸DLD-1(14.9倍)、Lovo(12.4倍)、SW620(5.0倍);肺A549(10.2倍);卵巣OVCAR-3(8.5倍);膵臓AsPC-1(7.0倍)およびBxPC-3(18.1倍);前立腺PC-3(3.9倍)並びに皮膚非癌細胞株CCD-27sk(2.4倍)への結合があった。これらのデータは、AR59A157.1が種々の抗原発現レベルを有する数種類の異なった細胞株に結合したことを示す。
実施例 3
MDA-MB-231細胞を用いるインビボ腫瘍実験
実施例1は、AR59A157.1が、ヒト癌細胞株に対して抗癌特性を有することを示した。インビボでのヒト癌細胞株に対する効果を示すために、MDA-MB-231乳癌異種移植モデルにおいてAR59A157.1を試験した。図4および5では、6〜8週齢雌性SCIDマウスに、100マイクロリットルPBS溶液中の500万のヒト乳癌細胞(MDA-MB-231)を、首筋に皮下注射して移植した。10匹の2治療群にマウスを無作為に分けた。移植の翌日、ストック濃縮液を2.7 mM KCl、1 mM KH2PO4、137 mM NaClおよび20 mM Na2HPO4を含む希釈剤で希釈したAR59A157.1試験抗体またはバッファーコントロールを、20mg/kgの用量となるように、300マイクロリットルの体積で各集団に腹腔内投与した。次いで、抗体およびコントロール試料を、試験期間中、1週間に1回投与した。だいたい7日ごとに腫瘍増殖をキャリパーで測定した。抗体の8回投薬後に試験を完了した。試験期間中、週に1回、動物の体重を記録した。試験の最後に、CCACガイドラインに従って、すべての動物を安楽死させた。
AR59A157.1は、ヒト乳癌のインビボ予防モデルでのMDA-MB-231における腫瘍増殖を低減させた。AR59A157.1を用いる治療は、抗体の最終投与の7日後である57日目に測定されたバッファー治療群に比べて、58.3パーセント(p=0.0009、t検定)、MDA-MB-231腫瘍の増殖を低減させた(図4)。
試験を通じて、毒性の臨床的兆候はなかった。1週間ごとに測定された体重は、成長がうまくいっていることおよび失敗の代用指標であった(図5)。治療期間の最後で、群間で平均体重の有意差はなかった。
纏めると、AR59A157.1は、このヒト膵臓異種移植モデルにおいて十分認容され、腫瘍全量を有意に低減させた。
実施例 4
競合的結合剤の単離
抗体を考慮すると、各々の当業者は、同一のエピトープを認識する抗体である、競合的に阻害するCDMAB、例えば、競合する抗体を創出することができる(Belanger L.他,Clinica Chimica Acta 48: 15-18 (1973))。1つの方法は、抗体によって認識される抗原を発現する免疫原で免疫することを伴う。試料としては、組織、単離されたタンパク質(複数可)または細胞株(複数可)が挙げられ得るが、これらに限定されない。得られたハイブリドーマは、試験抗体の結合を阻害する抗体を同定するものである競合アッセイ、例えばELISA、FACSまたはウェスタンブロット、を用いて選別され得た。別の方法は、ファージディスプレイ抗体ライブラリーおよび前記抗原の少なくとも1つのエピトープを認識する抗体のパンニング法を利用することができた(Rubinstein JL他. Anal Biochem 314: 294-300 (2003))。いずれの場合にも、抗体は、その標的抗原の少なくとも1つのエピトープへの元の標識抗体の結合を置き換えるその能力に基づいて選ばれる。従って、かかる抗体は、元の抗体のように抗原の少なくとも1つのエピトープを認識する特徴を有するだろう。
実施例 5
AR59A157.1モノクローナル抗体の可変領域のクローニング
AR59A157.1ハイブリドーマ細胞株によって産生されたモノクローナル抗体の重鎖(VH)および軽鎖(VL)由来の可変領域の配列が決定され得る。免疫グロブリンの重鎖および軽鎖をコードするRNAは、グアニジンイソチオシアネートによる細胞溶解を含む標準的方法を用いて、対象のハイブリドーマから抽出され得る(Chirgwin他. Biochem. 18: 5294-5299 (1979))。mRNAは、当該分野で公知のPCR法によってVHおよびVL遺伝子のその後の単離のためのcDNAを調製するために使用され得る(Sambrook他編, Molecular Cloning, Chapter 14, Cold Spring Harbor laboratories Press, N. Y. (1989))。重鎖および軽鎖のN-末端アミノ酸配列は、別々に、自動エドマンシークエンス法によって決定され得る。CDRの更なるストレッチおよび隣接するFRも、VHおよびVL断片のアミノ酸シークエンスによって決定され得る。次いで、合成プライマーを、AR59A157.1モノクローナル抗体由来のVHおよびVL遺伝子の単離のために設計し、そして、単離された遺伝子は、適切なシークエンス用ベクターにライゲーションされ得る。キメラおよびヒト化IgGを作製するために、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインは、適切な発現ベクターにサブクローン化され得る。
(i) モノクローナル抗体
モノクローナル抗体をコードするDNA(実施例1に概略した)は、慣用的な手段を用いて(例えば、モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを用いて)、容易に単離され、配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましいソースとして役立つ。一旦単離されると、DNAは、発現ベクターに導入され、これは、次いで、E. coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または他には免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞のような宿主細胞に形質移入されて、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体の合成を得ることができる。DNAはまた、例えば、相同なマウス配列の代わりに、ヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列を置き換えることによって修飾され得る。キメラまたはハイブリッド抗体も、架橋剤を含む方法などの合成タンパク質化学において公知の方法を用いて、インビトロで調製され得る。例えば、毒素標識抗体は、ジスルフィド交換反応を用いて、またはチオエーテル結合を形成することによって構築され得る。この目的のための好適な試薬の例は、イミノチオレートおよびメチル−4-メルカプトブチルイミデートを含む。
(ii) ヒト化抗体
ヒト化抗体は、非ヒトソースからそこに導入された1以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、典型的には「インポート」可変ドメインから得られる「インポート」残基と言われることが多い。ヒト化は、齧歯動物のCDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列と置き換えることによって、Winterおよび共同研究者の方法によって行われ得る(Jones他, Nature 321: 522-525 (1986); Riechmann他, Nature 332: 323-327 (1988); Verhoeyen他, Science 239: 1534-1536 (1988); Clark, Immunol. Today 21: 397-402 (2000)により総説)。
ヒト化抗体は、親の配列およびヒト化配列の3次元モデルを用いて、親配列および様々な概念上のヒト化産物の解析方法によって調製され得る。3次元免疫グロブリンモデルは、一般的に入手可能であり、当業者によく知られている。選ばれた候補免疫グロブリン配列のとり得る3次元立体構造を明らかにして表示するコンピュータプログラムは入手できる。これらの表示の検討は、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能な役割の解析、すなわち、候補免疫グロブリンの抗原への結合能力に影響を与える残基の解析を可能にする。このようにして、所望の抗体の特徴、例えば標的抗原(複数可)に対する増加した親和性が達成されるように、FR残基は、コンセンサス配列およびインポート配列から選ばれ、組み合わされ得る。一般的に、CDR残基は、抗原結合に影響を与えることに直接的および最も実質的に関与する。
(iii) 抗体断片
抗体断片の製造のための様々な技術が開発されている。これらの断片は、組換え宿主細胞によって製造され得る(Hudson, Curr. Opin. Immunol. 11: 548-557 (1999); Little他, Immunol. Today 21: 364-370 (2000) に総説)。例えば、Fab'-SH断片は、E. coliから直接的に回収され、化学的に結合されてF(ab')2断片を形成し得る(Carter他, Biotechnology 10: 163-167 (1992))。別の実施態様では、F(ab')2は、F(ab')2分子の会合を促進するために、ロイシンジッパーGCN4を用いて形成される。別の方法によれば、Fv、FabまたはF(ab')2断片は、組換え宿主細胞培養物から直接的に単離され得る。
実施例 6
本発明の抗体を含む組成物
本発明の抗体は、癌を予防/治療するための組成物として使用され得る。本発明の抗体を含む癌を予防/治療するための組成物は、低毒性であり、液状製剤の形態であるようにまたは好適な製剤の医薬組成物として、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル等)に、経口的または非経口的(例えば、血管内、腹腔内、皮下など)に投与され得る。本発明の抗体は、それ自体投与され、または適切な組成物として投与され得る。投与に使用される組成物は、本発明の抗体もしくはその塩、希釈剤または賦形剤と共に薬理学的に許容される担体を含んでもよい。かかる組成物は、経口または非経口投与のための好適な医薬製剤の形態で提供される。
非経口投与用の組成物の例は、注射可能な製剤、坐剤等である。注射可能な製剤は、静脈、皮下、皮内および筋肉内注射、点滴、関節内注射等のような投与形態を含んでよい。これらの注射可能な製剤は、公知の方法によって調製され得る。例えば、注射可能な製剤は、本発明の抗体またはその塩を注射用に従来使用されている殺菌した水性媒体または油性媒体中で溶解、懸濁または乳化することによって調製され得る。注射用の水性媒体として、例えば、生理食塩水、グルコースおよび他の補助剤等を含む等張液があり、これらは、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、HCO-50(水素化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50モル)付加物)等のような適切な溶解剤と組み合わせて使用され得る。油性媒体として、例えば、ゴマ油、大豆油等が採用され、これらは、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等のような溶解剤と組み合わせて使用され得る。このようにして調製された注射剤は、適切なアンプルに通常充填される。直腸投与のために使用される坐剤は、本発明の抗体またはその塩を坐剤用の慣用的基剤と混合することによって調製され得る。経口投与用の組成物は、固体または液体状の製剤、具体的には、錠剤(糖衣錠およびフィルムコート錠剤を含む)、ピル剤、顆粒剤、粉剤、カプセル剤(軟カプセルを含む)、シロップ剤、乳化剤、懸濁剤など、を含む。かかる組成物は、公知の方法によって製造され、医薬製剤の分野で慣用的に使用されているビヒクル、希釈剤または賦形剤を含んでもよい。錠剤用のビヒクルまたは賦形剤の例は、ラクトース、デンプン、スクロース、ステアリン酸マグネシウム等である。
有利なことに、上記の経口または非経口的使用のための組成物は、活性成分の用量に適合するように単位投薬量を有する医薬製剤に調製される。かかる単位投薬製剤としては、例えば、錠剤、ピル剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤等が挙げられる。含有される前記化合物の量は、一般的に、単位投薬形態あたり5〜500 mgであり;上記の抗体は、特に注射剤の形態で約5〜約100 mg、他の形態については10〜250 mg含まれることが好ましい。
本発明の抗体を含む上記の予防/治療剤または調整剤の用量は、投与される対象、標的疾患、症状、投与経路等によって変動し得る。例えば、成人の乳癌等を治療/予防する目的のために使用される場合には、本発明の抗体を、約0.01〜約20 mg/kg体重、好ましくは約0.1〜約10 mg/kg体重、およびより好ましくは約0.1〜約5 mg/kg体重の用量で静脈内に、約1〜5回/日、好ましくは約1〜3回/日、投与することが有利である。他の非経口的および経口的投与では、当該剤は、上記の用量に対応する用量で投与され得る。症状が特に重度の場合には、用量は症状に従って増やすことができる。
本発明の抗体は、そのままでまたは適切な組成物の形態で投与され得る。投与のために使用される組成物は、前記の抗体もしくはその塩、希釈剤または賦形剤と共に、薬理学的に許容される担体を含んでもよい。かかる組成物は、経口的投与または非経口的投与(例えば、血管内注射、皮下注射等)に好適な医薬調製物の形態で提供される。上記の各組成物は、他の活性成分を更に含んでもよい。更に、本発明の抗体は、他の薬剤、例えばアルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド等)、代謝アンタゴニスト(例えば、メトトレキサート、5-フルオロウラシル等)、抗腫瘍抗生物質(例えば、マイトマイシン、アドリアマイシン等)、植物由来の抗腫瘍剤(例えば、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール等)、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、イリノテカン等と組み合わせて使用され得る。本発明の抗体および上記の薬剤は、患者に同時にまたは時間差付で投与されてもよい。
証拠の優越は、AR59A157.1が癌細胞株上に存在するエピトープのライゲーションによって抗癌効果を媒介することを示している。更に、FACS、細胞ELISAまたはIHCに限定されないが、これらによって例証される技術を利用することによって、AR59A157.1抗体が、それに特異的に結合するエピトープを発現する細胞の検出に使用され得ることを示すことができた。
本明細書に記載のすべての特許および刊行物は、発明が求める当業者のレベルの指標である。すべての特許および刊行物は、各々の刊行物が参考として援用されることが明確かつ個々に示されている場合に、同程度に参考として本明細書に援用される。
本発明のある形態が例証されるが、それが、本明細書に開示および示された部分の特定の形態または配置に限定されるべきではない、ことを理解されたい。様々な変更が本発明の範囲から逸脱することなくなされ、発明が明細書に示されおよび記載されたことに限定されると考えるべきではないことは、当業者には明らかであろう。当業者は、本発明が目的を実行し、上記の目的および利点、ならびにそれに固有の目的および利点を獲得するためにうまく適合される、ことを容易に理解するだろう。本明細書に記載の、任意のオリゴヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、生物学的に関連する化合物、方法、手段および技術は、目下のところ、好ましい実施態様の代表例であり、具体的であることを意図したものであり、範囲を限定するものではない。本発明の趣旨内に包含されおよび添付のクレームの範囲によって定義されるそこでの変更および他の使用は、当業者に起こり得るだろう。本発明は、特定の好ましい実施態様と関連して記載してきたが、クレームされた本発明はこのような特定の実施態様に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際に、当業者に明らかである本発明を実施するための記載された形式の様々な変更は、以下のクレームの範囲内であることが意図される。

Claims (47)

  1. IDACに受託番号040608−01として寄託されたハイブリドーマにより産生される単離されたモノクローナル抗体。
  2. IDACに受託番号040608−01として寄託されたハイブリドーマにより産生される単離されたモノクローナル抗体のヒト化抗体または前記ヒト化抗体から製造される抗原結合性断片。
  3. IDACに受託番号040608−01として寄託されたハイブリドーマにより産生される単離されたモノクローナル抗体のキメラ抗体または前記キメラ抗体から製造される抗原結合性断片。
  4. IDACに受託番号040608−01として寄託された単離されたハイブリドーマ細胞株。
  5. ヒト腫瘍から選ばれた組織試料中の癌性細胞の、抗体により誘導される細胞傷害性を開始する方法であって、下記工程:
    前記ヒト腫瘍から組織試料を提供する工程;
    IDACに受託番号040608−01として寄託されたハイブリドーマにより産生される単離されたモノクローナル抗体、IDACに受託番号040608−01として寄託されたハイブリドーマにより産生される単離されたモノクローナル抗体のヒト化抗体、IDACに受託番号040608−01として寄託されたハイブリドーマにより産生される単離されたモノクローナル抗体のキメラ抗体またはそれらのCDMABを提供する工程、当該CDMABは前記単離されたモノクローナル抗体のその標的抗原への結合を競合的に阻害する能力により特徴付けられるものであり;および
    前記単離されたモノクローナル抗体、前記ヒト化抗体、前記キメラ抗体またはそれらのCDMABを前記組織試料と接触させる工程;を含み、
    ここで、前記単離されたモノクローナル抗体、前記ヒト化抗体、前記キメラ抗体またはそれらのCDMABと前記組織試料との結合が細胞傷害性を誘導する、方法。
  6. 請求項1記載の単離されたモノクローナル抗体のCDMAB。
  7. 請求項2記載のヒト化抗体のCDMAB。
  8. 請求項3記載のキメラ抗体のCDMAB。
  9. 細胞毒部分、酵素、放射性化合物および血行性細胞からなる群より選ばれるメンバーとコンジュゲートした請求項1、2、3、6、7または8のいずれか1項に記載の単離された抗体またはそれらのCDMAB。
  10. 哺乳動物において抗体により誘導される細胞傷害性に感受性のヒト腫瘍を治療する方法であって、前記ヒト腫瘍は、IDACに受託番号040608−01として寄託されたハイブリドーマにより産生される単離されたモノクローナル抗体またはそのCDMABと特異的に結合する抗原の少なくとも1つのエピトープを発現し、当該CDMABは前記単離されたモノクローナル抗体のその標的抗原への結合を競合的に阻害する能力により特徴付けられるものであり、
    前記哺乳動物に、前記哺乳動物の腫瘍全量の低減を生じさせる有効量で前記モノクローナル抗体または前記そのCDMABを投与する工程を含む方法。
  11. 前記単離されたモノクローナル抗体が細胞毒部分にコンジュゲートされている請求項10記載の方法。
  12. 前記細胞毒部分が放射性同位体である請求項11記載の方法。
  13. 前記単離されたモノクローナル抗体またはそのCDMABが補体を活性化させる請求項10記載の方法。
  14. 前記単離されたモノクローナル抗体またはそのCDMABが抗体依存性の細胞の細胞傷害性を媒介する請求項10記載の方法。
  15. 前記単離されたモノクローナル抗体がヒト化されている請求項10記載の方法。
  16. 前記単離されたモノクローナル抗体がキメラである請求項10記載の方法。
  17. IDACに受託番号040608−01として寄託されたハイブリドーマにより産生された単離されたモノクローナル抗体と同一の1つのエピトープまたは複数のエピトープに特異的に結合可能なモノクローナル抗体。
  18. 哺乳動物においてヒト腫瘍を治療する方法であって、前記ヒト腫瘍は、IDACに受託番号040608−01として寄託されたハイブリドーマにより産生される単離されたモノクローナル抗体またはそのCDMABと特異的に結合する抗原の少なくとも1つのエピトープを発現し、当該CDMABは前記単離されたモノクローナル抗体のその標的抗原への結合を競合的に阻害する能力により特徴付けられるものであり、
    前記哺乳動物に、前記哺乳動物の腫瘍全量の低減を生じさせる有効量で前記モノクローナル抗体またはそのCDMABを投与する工程を含む方法。
  19. 前記単離されたモノクローナル抗体が細胞毒部分にコンジュゲートされている請求項18記載の方法。
  20. 前記細胞毒部分が放射性同位体である請求項19記載の方法。
  21. 前記単離されたモノクローナル抗体またはそのCDMABが補体を活性化させる請求項18記載の方法。
  22. 前記単離されたモノクローナル抗体またはそのCDMABが抗体依存性の細胞の細胞傷害性を媒介する請求項18記載の方法。
  23. 前記単離されたモノクローナル抗体がヒト化されている請求項18記載の方法。
  24. 前記単離されたモノクローナル抗体がキメラである請求項18記載の方法。
  25. 哺乳動物においてヒト腫瘍を治療する方法であって、前記ヒト腫瘍は、IDACに受託番号040608−01として寄託されたハイブリドーマにより産生される単離されたモノクローナル抗体またはそのCDMABと特異的に結合する抗原の少なくとも1つのエピトープを発現し、当該CDMABは前記単離されたモノクローナル抗体のその標的抗原への結合を競合的に阻害する能力により特徴付けられるものであり、
    前記哺乳動物に、前記哺乳動物の腫瘍全量の低減を生じさせる有効量で、少なくとも1つの化学療法剤と組み合わせて前記モノクローナル抗体またはそのCDMABを投与する工程を含む方法。
  26. 前記単離されたモノクローナル抗体が細胞毒部分にコンジュゲートされている請求項25記載の方法。
  27. 前記細胞毒部分が放射性同位体である請求項26記載の方法。
  28. 前記単離されたモノクローナル抗体またはそのCDMABが補体を活性化させる請求項25記載の方法。
  29. 前記単離されたモノクローナル抗体またはそのCDMABが抗体依存性の細胞の細胞傷害性を媒介する請求項25記載の方法。
  30. 前記単離されたモノクローナル抗体がヒト化されている請求項25記載の方法。
  31. 前記単離されたモノクローナル抗体がキメラである請求項25記載の方法。
  32. ヒト腫瘍から選ばれた組織試料中の癌性細胞の存在を決定するための結合アッセイであって、IDACの受託番号040608−01を有するハイブリドーマ細胞株AR59A157.1により産生される単離されたモノクローナル抗体、IDACに受託番号040608−01として寄託されたハイブリドーマにより産生される単離されたモノクローナル抗体のヒト化抗体またはIDACに受託番号040608−01として寄託されたハイブリドーマにより産生される単離されたモノクローナル抗体のキメラ抗体によって特異的に結合され、下記工程:
    前記ヒト腫瘍から組織試料を提供する工程;
    IDAC受託番号040608−01を有するハイブリドーマ細胞株AR59A157.1により産生される単離されたモノクローナル抗体が認識するエピトープと同一の1つのエピトープまたは複数のエピトープを認識する、少なくとも1つの前記単離されたモノクローナル抗体、前記ヒト化抗体、前記キメラ抗体またはそれらのCDMABを提供する工程;
    少なくとも1つの前記提供された抗体またはそれらのCDMABと前記組織試料とを接触させる工程;および
    前記少なくとも1つの提供された抗体またはそれらのCDMABと前記組織試料との結合を決定する工程を含み;
    それにより、前記組織試料中の前記癌性細胞の存在が示唆される方法。
  33. ヒト腫瘍全量を低減させるためのモノクローナル抗体の使用であって、前記ヒト腫瘍は、IDACに受託番号040608−01として寄託されたハイブリドーマにより産生される単離されたモノクローナル抗体またはそのCDMABと特異的に結合する抗原の少なくとも1つのエピトープを発現し、当該CDMABは前記単離されたモノクローナル抗体のその標的抗原への結合を競合的に阻害する能力により特徴付けられるものであり、
    前記哺乳動物に前記哺乳動物のヒト腫瘍全量の低減を生じさせる有効量で、前記モノクローナル抗体またはそのCDMABを投与することを含む使用。
  34. 前記単離されたモノクローナル抗体が細胞毒部分にコンジュゲートされている請求項33記載の方法。
  35. 前記細胞毒部分が放射性同位体である請求項34記載の方法。
  36. 前記単離されたモノクローナル抗体またはそのCDMABが補体を活性化させる請求項33記載の方法。
  37. 前記単離されたモノクローナル抗体またはそのCDMABが抗体依存性の細胞の細胞傷害性を媒介する請求項33記載の方法。
  38. 前記単離されたモノクローナル抗体がヒト化されている請求項33記載の方法。
  39. 前記単離されたモノクローナル抗体がキメラである請求項33記載の方法。
  40. ヒト腫瘍全量を低減させるためのモノクローナル抗体の使用であって、前記ヒト腫瘍は、IDACに受託番号040608−01として寄託されたハイブリドーマにより産生される単離されたモノクローナル抗体またはそのCDMABと特異的に結合する抗原の少なくとも1つのエピトープを発現し、当該CDMABは前記単離されたモノクローナル抗体のその標的抗原への結合を競合的に阻害する能力により特徴付けられるものであり、
    前記哺乳動物のヒト腫瘍全量の低減を生じさせる有効量で少なくとも1つの化学療法剤とともに;前記哺乳動物に前記モノクローナル抗体またはそのCDMABを投与することを含む使用。
  41. 前記単離されたモノクローナル抗体が細胞毒部分にコンジュゲートされている請求項40記載の方法。
  42. 前記細胞毒部分が放射性同位体である請求項41記載の方法。
  43. 前記単離されたモノクローナル抗体またはそのCDMABが補体を活性化させる請求項40記載の方法。
  44. 前記単離されたモノクローナル抗体またはそのCDMABが抗体依存性の細胞の細胞傷害性を媒介する請求項40記載の方法。
  45. 前記単離されたモノクローナル抗体がヒト化されている請求項40記載の方法。
  46. 前記単離されたモノクローナル抗体がキメラである請求項40記載の方法。
  47. 請求項1、2、3、6、7、8または17のいずれか1項に記載の抗体またはCDMAB;
    前記抗体またはその抗原結合性断片と、細胞毒部分、酵素、放射性化合物および血行性細胞からなる群より選ばれるメンバーとのコンジュゲート;ならびに
    必要量の薬学的に許容され得る担体;
    の組み合わせを含有するヒト癌性腫瘍の治療に有効な組成物であって、前記組成物は前記ヒト癌性腫瘍の治療に有効である組成物。
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