JP2011516569A - 神経変性疾患を治療するための組成物および方法 - Google Patents

神経変性疾患を治療するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、神経変性疾患を治療するための組成物および方法に関連する。いくつかの態様において、本発明は、老人性難聴を治療および予防するための組成物を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2008年4月9日に出願された米国特許仮出願第61/043,557号の優先権を主張するものであり、その全文が参照により本明細書に組み入れられる。
発明の分野
本発明は、神経変性疾患を治療するための組成物および方法に関連する。いくつかの態様において、本発明は、老人性難聴を治療および予防するための組成物を提供する。
発明の背景
老化関連の難聴すなわち老人性難聴は、莫大な人道的かつ経済的な課題を社会に対して提起する。米国において、65歳〜75歳の人々の23%、および75歳超の人々の40%が老人性難聴を患っていると推定され、かつ高齢者の人口が増加するにつれて、この疾患を患う人々の数は劇的に増大することが予測されている(Someya et al., Neurobiol. Aging 20:1613 [2007](非特許文献1))。
老人性難聴とは、加齢につれてほとんどの人々において徐々に起こる聴力喪失である。難聴は、老化に関連する一般的な障害である。老人性難聴に関連する上記喪失は、通常、高音または高周波音に関してより顕著である。
老人性難聴には多数の原因が存在する。最も一般的には、これは、加齢に伴うヒトの内耳における病理学的変化によって生じるが、老人性難聴はまた、中耳における病理学的変化、または脳へと繋がる神経経路に沿った複合的な病理学的変化にも起因し得る。老人性難聴は両耳で起こることが最も多く、両耳に均等に影響を及ぼす。喪失のプロセスが緩やかであるため、老人性難聴を患う人々は、自分の聴力が漸減していることを認識しない可能性がある。老人性難聴によって、音が不明確かつ低音量であるように感じられることが多い。このことは、話の聞き取りおよび理解において困難をもたらす。
感音難聴は、内耳または聴神経の障害によって引き起こされる。老人性難聴は通常、感音性の聴力障害である。最も一般的には、これは、内耳における緩やかな変化によって引き起こされる。日常の交通音または建設工事、騒々しい仕事場、騒音を生じる設備、および大音量の音楽に対する曝露の繰り返しが累積的に影響することによって、感音難聴が引き起こされ得る。感音難聴は、有毛細胞(内耳中の感覚受容器)およびらせん神経節細胞(蝸牛ニューロン)の喪失に起因することが最も多い。これは、遺伝的要因、ならびに、老化、様々な健康状態、および一部の医薬品(アスピリンおよび特定の抗生物質)の副作用の結果として起こり得る。
老人性難聴は、心疾患、高血圧、糖尿病により引き起こされる血管性の(血管に関連する)状態、または他の循環障害による、耳への血液供給の変化によって引き起こされる可能性がある。上記喪失は、軽度、中程度または重篤であり得る。
老人性難聴は伝音性聴力障害である場合もあり、これは、音感受性の喪失が、外耳および/または中耳の異常によって引き起こされることを意味する。そのような異常には、鼓膜の機能低下、または音波を鼓膜から内耳に伝える中耳内の3本の小骨の機能低下が含まれうる。
老人性難聴を患う人々を助けるための多数の手段が存在する。補聴器を勧められる人々もいる。補聴援助装置は、特定の状況における聴力のさらなる向上を提供し得る。そのような装置の一例は、内蔵型電話増幅器である。別の例は、ラジオの様に音波を伝達することにより、補聴器を用いてまたは用いずに音をより明確にする、FMシステムである。(何が話されているかを判断するために視覚的手がかりを用いる)読唇術の訓練は、老人性難聴を患う人々が、会話または演説において何が述べられているかをよりよく理解する手助けになり得る。
それにも関わらず、老人性難聴に対して、いかなる予防的介入または治療的介入も開発されていない。
Someya et al., Neurobiol. Aging 20:1613 [2007]
本発明は、神経変性疾患を治療するための組成物および方法に関連する。いくつかの態様において、本発明は、老人性難聴を治療および予防するための組成物を提供する。いくつかの態様において、他の神経変性疾患が治療される。いくつかの態様において、本発明は、神経変性疾患を予防するかまたは減少させる化合物を含む栄養補助剤、食品、および薬学的組成物、ならびにそのような製品を投与するための方法を提供する。
いくつかの態様において、本発明は、神経変性疾患の症状または神経変性疾患のリスクを有する対象に、症状が防止されるまたは減少するような条件下で、サンゴの抽出物を含む組成物を投与する段階を含む、神経変性疾患(例えば老人性難聴)を治療および/または予防する方法を提供する。いくつかの態様において、サンゴ抽出物は水性の液体(例えばミリQ水または蒸留水)である。いくつかの態様において、サンゴ抽出物のpHは約7.0〜9.0(例えば8.0)である。いくつかの態様において、サンゴ抽出物のカルシウム含量は、約1.4 mg/L〜140 mg/L(例えば、7 mg/L〜21 mg/L、8.5 mg/L〜19.5 mg/L、10 mg/L〜18 mg/L、11 mg/L〜17 mg/L、12.8 mg/L〜15.8 mg/L、13.6 mg/L〜15 mg/L、13.9 mg/L〜14.7 mg/L、14 mg/L〜14.6 mg/L、14.2 mg/L〜14.5 mg/L、または約14.30 mg/L)である。いくつかの態様において、サンゴ抽出物のマグネシウム含量は、約0.54 mg/L〜54.0 mg/L(例えば、2.7 mg/L〜8.1 mg/L、3.2 mg/L〜7.6 mg/L、3.8 mg/L〜7 mg/L、4.3 mg/L〜6.5 mg/L、4.9 mg/L〜5.9 mg/L、5.1 mg/L〜5.7 mg/L、5.2 mg/L〜5.6 mg/L、5.3 mg/L〜5.5 mg/L、5.35 mg/L〜5.45 mg/L、または約5.4 mg/L)である。いくつかの態様において、サンゴ抽出物のナトリウム含量は、約0.1 mg/L〜50.0 mg/L(例えば、53 mg/L〜1.59 mg/L、0.76 mg/L〜1.46 mg/L、0.86 mg/L〜1.26 mg/L、0.96 mg/L〜1.16 mg/L、1.0 mg/L〜1.1 mg/L、1.03 mg/L〜1.09 mg/L、1.04 mg/L〜1.08 mg/L、1.05 mg/L〜1.07 mg/L、1.055 mg/L〜1.065 mg/L、または約1.06 mg/L)である。いくつかの態様において、サンゴ抽出物のカリウム含量は、約0.03 mg/L〜30.0 mg/L(例えば、0.14 mg/L〜0.42 mg/L、0.17 mg/L〜0.53 mg/L、0.2 mg/L〜0.36 mg/L、0.22 mg/L〜0.34 mg/L、0.25 mg/L〜0.31 mg/L、0.27 mg/L〜0.29 mg/L、0.275 mg/L〜0.285 mg/L、0.272 mg/L〜0.288、0.277 mg/L〜0.283 mg/L、または約0.28 mg/L)である。いくつかの態様において、上記液体の硬度は、約5.8 mg/L〜580 mg/L(例えば、29 mg/L〜87 mg/L、35 mg/L〜81 mg/L、41 mg/L〜75 mg/L、47 mg/L〜69 mg/L、52 mg/L〜64 mg/L、55 mg/L〜61 mg/L、56 mg/L〜60 mg/L、57 mg/L〜59 mg/L、57.5 mg/L〜58.5 mg/L、または約58 mg/L)である。いくつかの態様において、サンゴ抽出物の投与は、対象におけるらせん神経節細胞の喪失を防止するかまたは減少させる。
いくつかの態様において、サンゴ粒を精製水に浸漬し;水のpHを8.0±0.5に調整する方法によって、サンゴ液を作製する。いくつかの態様において、サンゴ粒を備えた水精製カートリッジ(例えば家庭用または工業用の水精製システム)に水を通すことによって、サンゴ液を作製する。
また本発明は、カルシウム含量約1.4 mg/L〜140 mg/L、マグネシウム含量約0.54 mg/L〜54 mg/L、ナトリウム含量約0.1 mg/L〜50.0 mg/L、カリウム含量約0.03 mg/L〜30.0 mg/L、および硬度約5.8 mg/L〜580 mg/Lを含む、pH約7.0〜9.0の天然石の抽出物を、神経変性疾患の症状を有する対象に投与する段階を含む、神経変性疾患を治療するための方法を提供する。いくつかの態様において、上記天然石は、石灰石、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどである。
また本発明は、カルシウム含量約1.4 mg/L〜140 mg/L、マグネシウム含量約0.54 mg/L〜54 mg/L、ナトリウム含量約0.1 mg/L〜50.0 mg/L、カリウム含量約0.03 mg/L〜30.0 mg/L、および硬度約5.8 mg/L〜580 mg/Lを含む、pH約7.0〜9.0の化学物質の抽出物を、神経変性疾患の症状を有する対象に投与する段階を含む、神経変性疾患を治療するための方法を提供する。いくつかの態様において、上記化学物質は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、またはこれら化合物の混合物である。
本発明は、神経変性疾患を防止するまたは減少させるのに十分な用量のサンゴ抽出物を含む、食品、栄養補助剤、または薬学的組成物をさらに提供する。
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載される。
本発明の態様の開発過程の間に実施された実験において使用した、例示的研究設計を示す。 20か月齢の対照マウスおよびCWマウスの体重を示す。 サンゴカルシウム水による老人性難聴の防止を示す。 対照(A〜C)およびCW(D〜F)由来の蝸牛基底回転の顕微鏡写真を示す。矢印は、らせん神経節細胞および有毛細胞を示す。スケールバー:50μm(左パネル)。スケールバー:100μm(中央および右パネル)。 サンゴ処理水による、らせん神経節神経細胞喪失の防止を示す。エラーバーは標準誤差を表す。 サンゴ処理水による、有毛細胞喪失の防止を示す。エラーバーは標準誤差を表す。
定義
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語および語句を以下で定義する。
本明細書で用いる「対象」という用語は任意の動物(例えば哺乳動物)を指し、限定はされないが、特定の処置のレシピエントであるヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類、およびコンパニオンアニマル(例えばイヌ、ネコなど)などを含む。典型的に、「対象」および「患者」という用語は、ヒト対象に関して本明細書において互換的に使用される。
本明細書で用いる「非ヒト動物」という用語は、限定はされないが、げっ歯類、非ヒト霊長類、ヒツジ、ウシ、反芻動物、ウサギ、ブタ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、鳥類などの脊椎動物を含む全ての非ヒト動物を指す。
本明細書で用いる「インビトロ」という用語は、人工環境および人工環境内で生じるプロセスまたは反応を指す。インビトロ環境とは、限定はされないが、試験管および細胞培養物から構成され得る。「インビボ」という用語は、天然環境(例えば、動物または細胞)および天然環境内で生じるプロセスまたは反応を指す。
「試験化合物」および「候補化合物」という用語は、身体機能の疾患、疾病、病気、もしくは障害(例えば、難聴)を治療または予防するための使用に関する候補である任意の化学成分、医薬品、および薬物などを指す。試験化合物は、既知の治療化合物と潜在的治療化合物の両方を含む。試験化合物は、本発明のスクリーニング方法を使用するスクリーニングによって、治療的であることが決定され得る。
本明細書で用いる「試料」という用語は、最も広い意味で用いられる。一つの意味において、任意の供給源、ならびに生体試料および環境試料より得られる検体または培養物を包含することを意味する。生体試料は、(ヒトを含む)動物から得られてもよく、かつ液体、固体、組織、および気体を包含してもよい。生体試料には、血漿および血清などの血液製剤が含まれる。環境試料は、地表物質、土壌、水、および工業試料などの環境物質を含む。しかしながら、そのような例は、本発明に適用可能な試料の種類を限定するものとして解釈されるべきでない。
「調理食品」とは、ヒトの摂食に関して認可された任意の事前包装された食品を意味する。
本明細書で用いる「生理学的に許容される担体」という用語は、油性医薬と共に一般的に使用される任意の担体または賦形剤を指す。そのような担体または賦形剤は、限定はされないが、油、デンプン、ショ糖、およびラクトースを包含する。
本明細書で用いる「経口送達ビヒクル」という用語は、限定はされないが、カプセル剤、丸剤、錠剤およびシロップ剤を含む、医薬を経口的に送達する任意の手段を指す。
本明細書で用いる「食品」という用語は、ヒト、非反芻動物、または反芻動物による摂取に適した任意の食物または飼料を指す。「食品」とは、包装された調理食物(例えば、マヨネーズ、サラダドレッシング、パン、又はチーズ食物)や、動物用餌(例えば、押し出し成形されたペレット状の動物用餌又は粗く混ぜた餌)であってもよい。
本明細書において使用される「栄養補助剤」とは、日常食の一部として使用される食事の又は栄養の補足として処方された食品を指す。
本明細書で用いる「模倣物」という用語は、リガンドとその標的との結合もしくは相互作用を模倣しているかまたは該化合物の生理学的効果を模倣している、低分子化合物を指す。例えば、本明細書に記載される化合物の模倣物は、該化合物と同一の生理学的効果(例えば、神経変性疾患の予防または治療)を有する低分子である。
本明細書において使用される「サンゴ水」という用語は、液体または溶媒に曝露されたサンゴの抽出物の製品を指す。いくつかの態様において、上記サンゴは、海洋底から採取された、化石化したサンゴ粒である。いくつかの態様において、上記サンゴを、抽出前に、粉末化するかまたはそれ以外の方法で乾燥させる。いくつかの態様において、上記液体は水性(例えば精製水または蒸留水などの水)である。いくつかの態様において、上記抽出物は塩およびミネラルを含む。いくつかの態様において、上記サンゴ抽出物のpHは約7.0〜9.0(例えば8.0)である。正確な組成についての理解は不要であるが、いくつかの態様において、上記抽出物は、カルシウム含量約1.4 mg/L〜140 mg/L(例えば7 mg/L〜21 mg/L、8.5 mg/L〜19.5 mg/L、10 mg/L〜18 mg/L、11 mg/L〜17 mg/L、12.8 mg/L〜15.8 mg/L、13.6 mg/L〜15 mg/L、13.9 mg/L〜14.7 mg/L、14 mg/L〜14.6 mg/L、14.2 mg/L〜14.5 mg/L、または約14.30 mg/L)、マグネシウム含量約0.54 mg/L〜54.0 mg/L(例えば2.7 mg/L〜8.1 mg/L、3.2 mg/L〜7.6 mg/L、3.8 mg/L〜7 mg/L、4.3 mg/L〜6.5 mg/L、4.9 mg/L〜5.9 mg/L、5.1 mg/L〜5.7 mg/L、5.2 mg/L〜5.6 mg/L、5.3 mg/L〜5.5 mg/L、5.35 mg/L〜5.45 mg/L、または約5.4 mg/L)、ナトリウム含量約0.1 mg/L〜50.0 mg/L(例えば0.53 mg/L〜1.59 mg/L、0.76 mg/L〜1.46 mg/L、0.86 mg/L〜1.26 mg/L、0.96 mg/L〜1.16 mg/L、1.0 mg/L〜1.1 mg/L、1.03 mg/L〜1.09 mg/L、1.04 mg/L〜1.08 mg/L、1.05 mg/L〜1.07 mg/L、1.055 mg/L〜1.065 mg/L、または約1.06 mg/L)、カリウム含量約0.03 mg/L〜30.0 mg/L(例えば0.14 mg/L〜0.42 mg/L、0.17 mg/L〜0.53 mg/L、0.2 mg/L〜0.36 mg/L、0.22 mg/L〜0.34 mg/L、0.25 mg/L〜0.31 mg/L、0.27 mg/L〜0.29 mg/L、0.275 mg/L〜0.285 mg/L、0.272 mg/L〜0.288、0.277 mg/L〜0.283 mg/L、または約0.28 mg/L)、および硬度約5.8 mg/L〜580 mg/L(例えば29 mg/L〜87 mg/L、35 mg/L〜81 mg/L、41 mg/L〜75 mg/L、47 mg/L〜69 mg/L、52 mg/L〜64 mg/L、55 mg/L〜61 mg/L、56 mg/L〜60 mg/L、57 mg/L〜59 mg/L、57.5 mg/L〜58.5 mg/L、または約58 mg/L)を含む。
発明の詳細な説明
本発明は、神経変性疾患を治療するための組成物および方法に関連する。本発明のいくつかの態様は、老人性難聴などの神経変性疾患の予防および治療のための、組成物、薬学的組成物、食品、栄養補助剤、および該組成物を投与する方法を提供する。
例えば、15か月齢までに遅発性の老化関連難聴(Keithley et al., Hear Res. 188:21 [2004])を示し、かつ12か月齢までにSGCおよび有毛細胞の有意な喪失(Keithley et al., [2004]、前記)を示す、信頼できる老人性難聴モデル動物において、インビボで実験を実施した。
本発明の態様の開発過程の間に実施された実験の際に、動物モデルにおける老人性難聴の予防および治療に対する、サンゴ処理した飲料水の効果を評価した。対照動物は8、16、32 kHzで重篤な難聴を呈したが、一方サンゴ処理(CW)マウスは8、16、32 kHzで正常聴力または軽度難聴を呈した(*P < 0.05、n = 7)ことが、聴覚機能検査によって明らかになり、これによって、サンゴ処理水により聴覚機能が有意に保護されることが示された。対照動物由来の蝸牛はらせん神経節ニューロンおよび有毛細胞の重篤な喪失を呈したが、一方CW動物由来の蝸牛ではらせん神経節ニューロンおよび有毛細胞の喪失は軽度またはそれ以下であったことが、組織学的解析によって明らかになり、これによって、サンゴ処理水による蝸牛細胞喪失の防止が示された。さらに、CW動物由来の頂回転、中回転、および基底回転のらせん神経節細胞(SGC)密度平均値は対照動物のものよりも有意に高く、これによって、処理水によるらせん神経節神経細胞喪失の防止が示された(*P < 0.05、n = 4〜5)。さらに、CWマウス由来の中回転および基底回転の外有毛細胞生存率平均値は対照マウスのものよりも有意に高く、これによって、サンゴ処理水による外有毛細胞喪失の防止が示された(*P < 0.05、n = 4〜5)。まとめると、サンゴ処理水の摂取によって、老人性難聴の予防および治療がもたらされること、ならびに多様な神経変性性の疾患および状態に関連する生理学的損傷が予防または治療されることが、上記実験により実証された。したがって、いくつかの態様において、本発明は、サンゴ抽出物(例えば水抽出物)を用いて老人性難聴などの神経変性疾患を治療および/または予防する方法を提供する。
I. サンゴ抽出物
上述のように、いくつかの態様において、本発明はサンゴ抽出物を含む組成物を提供する。いくつかの態様において、上記抽出物は水溶液中に存在する。例えば、いくつかの態様において、サンゴ粒またはサンゴ粉末を用いてサンゴ処理水が作製される。例示的かつ非限定的な一つの方法は、以下の通りである。サンゴ粒またはサンゴ粉末を、数分間〜数年間(例えば1時間〜1年間、1時間〜1か月間、1時間〜1週間、2時間〜2日間、12時間〜36時間、または約24時間)にわたって蒸留水または純水に浸漬し、その後、NaOHまたはHClを用いて水のpHを8.0±0.5に調整する。サンゴ粒は、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、亜鉛、セレン、マンガン、クロムなどを含むミネラルに富むため、サンゴ処理水はこれらのミネラルおよびアルカリに富む。
多くのサンゴ処理抽出物の製剤が、本発明の態様の組成物および方法における使用に適している。いくつかの態様において、投与は経口的である。本発明の態様の組成物は、水溶液中に、油性溶液中に、または本明細書で考察された他の形態のいずれかで提供されてもよい。本組成物はまた、限定はされないが、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、くも膜下腔内、脳室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所、舌下または直腸内の手段を含む他のいくつかの経路のいずれかによって提供されてもよい。製剤化および投与に関する技術についてのさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co., Easton, PA)の最新版中に見出され得る。
いくつかの態様において、組成物は、単独でまたは他の成分と組み合わせて、栄養補助剤として提供される。いくつかの態様において、栄養補助剤は、該補助剤の用量および投与のタイミングを記載した使用説明書を含んでもよい容器またはボトルの中に包装される。
特定の態様において、本発明のサンゴ抽出物は、該抽出物を含む食品として提供される。例えば、いくつかの態様において、ヒトまたは動物が摂取するためのボトル入りの水として、サンゴ水が提供される。他の態様において、サンゴ抽出物は、以下を非限定的に含む加工済みの飲料製品に添加される:柑橘類のジュースおよび野菜ジュースなどの果物飲料および野菜ジュース、コーラ飲料、ジンジャーエール、およびソーダ水などの炭酸飲料、スポーツドリンクなどの清涼飲料、コーヒー、紅茶、および抹茶などの茶系飲料、ココア、乳酸菌飲料などの乳飲料、汁粉、善哉(アズキ豆の濃いスープ)、ナッツ(例えばアーモンドまたはピーナツ)飲料、麦芽飲料、ホップ飲料、茶を除く植物から調製した茶様飲料(麦茶、ハーブティー、クコ(Chinese matrimoneyvine)茶、杜仲(Eucommia ulmoides)茶)、豆乳および豆乳含有飲料、ミール・リプレイスメント(meal replacement)飲料、栄養ドリンク、ダイエットドリンク、ならびにその他の一般的な飲料。
いくつかの態様において、飲料には、以下を非限定的に含む追加の成分が含まれる:炭酸水、食品用デンプン、例えば修飾された高果糖液糖および/またはショ糖および/または砂糖、安息香酸ナトリウム、カフェイン、木の樹脂であるグリセロールエステル、着香剤、顔料、保存剤、追加の抗酸化剤、乳化剤、緩衝剤、着色剤、着香剤、ビタミン、ミネラル、ヌクレオチドおよびヌクレオシド、薬学的物質、増粘剤、ならびに安定剤など。いくつかの態様において、組成物は、レシチン、トコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、または、ローズマリー抽出物などの香辛料抽出物などの適切な抗酸化剤と共に、ヒトの使用のために包装される。
いくつかの態様において、飲料はビタミンを含む。例としては、これらに限定されるわけではないが、ビタミン剤として使用される様々な物質を含む、水溶性または脂溶性の、天然または合成のものが挙げられる。天然水溶性ビタミンの例には、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸、リポ酸、イノシトール、およびビタミンCなどが含まれる。天然脂溶性ビタミンの例には、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、およびビタミンKなどが含まれる。合成ビタミンとして一般に使用されるビタミン製剤の例には、以下が含まれる:レチノールなどのビタミンA剤、エルゴカルシフェロールおよびジヒドロタキステロールなどのビタミンD剤;塩酸チアミンおよび硝酸チアミンなどのビタミンB1剤;オクトチアミン、塩酸ジセチアミン、チアミンジスルフィド、ビスベンチアミン、フルスルチアミン、およびベンフォチアミンなどのビタミンB1誘導体剤;フラビンアデニンジヌクレオチド、酪酸リボフラビン、リボフラビン、およびリン酸リボフラビンナトリウムなどのビタミンB2剤;塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキシン、およびピリドキサールリン酸などのビタミンB6剤;コバマミド、シアノコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、メコバラミンなどのビタミンB12剤;コハク酸トコフェロールカルシウムおよび酢酸トコフェロールなどのビタミンE剤;フィトナジオンおよびメナテトレノンなどのビタミンK剤。
いくつかの態様において、サンゴ抽出物の成分(例えば上述のサンゴ抽出物組成物)を液体に添加することによって、サンゴを使用することなく該成分を含む組成物が製造される。
いくつかの態様において、上述の構成要素を有する抽出物を、単独のまたは他のミネラルと組み合わせた、天然石または化学物質(例えば石灰石、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)から作製する。
いくつかの態様において、サンゴまたはその他の天然石を備えた水精製システムを介して、サンゴ抽出物を供給する。例えばいくつかの態様において、家庭用水精製システム(例えば、ウォーターピッチャーフィルタ、蛇口フィルタ、またはシンク下フィルタ)は、サンゴカートリッジまたはサンゴ構成要素である精製カートリッジまたはフィルタを備える。他の態様において、(例えば精製水または精製水を含む飲料の商業生産用の)工業用水濾過システム。
II. 治療方法
いくつかの態様において、本発明は、老人性難聴ならびにその他の神経変性性の疾患および状態の予防および治療のための方法を提供する。例えば、いくつかの態様において、老人性難聴を予防するために、対象にサンゴ抽出物(例えばサンゴ処理水)を投与する。他の態様において、老人性難聴と診断された対象に治療としてサンゴ抽出物を投与する。いくつかの態様において、長期間(例えば数週間、数か月間、または数年間)にわたり毎日(または多かれ少なかれ頻繁に)、サンゴ抽出物を投与する。いくつかの態様において、いつでも飲める水筒としてサンゴ処理水が提供される。他の態様において、(上述のものなどの)他の飲料または食品と混合する濃縮抽出物として、サンゴ抽出物が提供される。
他の態様において、蝸牛における神経変性に関連する他の疾患または兆候または症状を治療および/または予防するために、サンゴ処理水を用いる。例えば、いくつかの態様において、サンゴ処理水は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、アレキサンダー病、アルパーズ病、血管拡張性失調症、バッテン病(シュピールマイアー−フォークト−シェーグレン−バッテン病(Spielmeyer-Vogt-Sjogren-Batten disease)としても公知)、牛海綿状脳症(BSE)、カナバン病、コケイン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト−ヤコブ病、HIV関連認知症、ケネディ病、クラッベ病、レビー小体型認知症、マシャド−ジョセフ病(脊髄小脳失調症3型)、多発性硬化症、多系統萎縮症、ナルコレプシー、神経ボレリア症、ペリツェウス−メルツバッハー病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血に伴う亜急性連合性脊髄変性症、統合失調症、シュピールマイアー−フォークト−シェーグレン−バッテン病(バッテン病としても公知)、脊髄小脳失調症(様々な特徴を伴う複数の型)、脊髄性筋萎縮症、スティール−リチャードソン−オルゼウスキー病、および脊髄癆を治療および/または予防するために使用される。
実験例
以下の実施例は本発明の特定の好ましい態様および局面を実証しかつさらに説明するために提供されるものであり、その範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
実施例1
A. 材料および方法
1.1. 水の調製
サンゴ処理水および対照水の作製法は以下のとおりであった:サンゴ粒100 gを蒸留水2 Lに24時間浸漬し、その後、NaOHまたはHClを用いて水のpHを8.0±0.5に調整した。対照水は、蒸留水を用いて調製した。実験用マウスのための標準的飲料水はpH約3.0の酸性化水であるため、対照水のpHは、NaOHまたはHClを用いて3.0±0.5となるように調整した。
1.2. 水の組成
カルシウムおよびマグネシウムの含量は、誘導結合型高周波プラズマ発光分光器を用いて測定した(n=3)。ナトリウムおよびカリウムの含量は、原子吸光分光計を用いて測定した(n=3)。両側標準t検定を使用してデータを検討した。全てのデータを平均値±標準誤差として報告した。
1.3. 動物および飼料の操作
雄性純系C57BL/6(B6)マウスの飼育および給餌に使用した方法に関する詳細は、既報である(Pugh et al., 1999)。簡潔には、マウスを対照水(対照)およびサンゴ処理水(CW)の2群に分けた。CW処置マウスには、対照と同じ餌および同じカロリー摂取量で給餌したが、2か月齢〜20か月齢までサンゴ処理水を与えた(図1)。対照マウスには、酸性化蒸留水(pH3)を与えた。聴覚検査は、20か月齢で実施した。組織学的評価、らせん神経節細胞計数、および有毛細胞計数には、同一の動物を使用した。
1.4. 聴力の評価
ABR測定に関する詳細なプロトコールは、既報である(Yamasoba et al., 2005)。簡潔には、ABR記録システム(Intelligent Hearing System)を使用したトーンバースト刺激(4 kHz、8 kHzおよび16 kHz)によって、ABRを測定した。塩酸キシラジン(10 mg/kg、筋肉内)と塩酸ケタミン(40 mg/kg、筋肉内)の混合物を用いてマウスを麻酔した。一群当たり7匹のマウスをこの検査に使用し、同一のマウスを、以下の組織病理学的解析に使用した。両側標準t検定を使用してデータを検討した。全てのデータを平均値±標準誤差として報告した。
1.5. 組織病理学的解析
組織処理に関する詳細なプロトコールは、既報である(Someya et al., 2007)。簡潔には、4%パラホルムアルデヒドで固定しかつパラフィン包埋した検体を4μm切片にスライスし、シランコーティングスライドガラス上に載せ、ヘマトキシリン-エオシン(HE)で染色し、光学顕微鏡(Leica Microsystems, Bannockburn, IL)下で観察した。ローゼンタール管を頂回転、中回転、および基底回転の3つの領域に分割し(Keithley et al., 2004)、3つの領域を蝸牛組織病理学の評価のために使用した。各群に関して、ABR検査で使用したのと同じマウスであるマウス4〜5匹を使用した。マウス1匹当たり、1つの片側蝸牛から5切片おきに得た5つの蝸牛軸切片を評価した。らせん神経節細胞および有毛細胞の計数には、同一の動物を使用した。
20×対物レンズを使用して、個々の蝸牛切片の頂回転、中回転、および基底回転の各断面において、らせん神経節細胞(SGC)を計数した。細胞は、核の存在によって同定した。対応するローゼンタール管の面積を、各管のプロファイルのデジタル顕微鏡写真上で測定した。管の外周部を、ImageJソフトウェアを用いてカーソルでトレースした(Rasband, W.S., ImageJ, U. S. National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA, 1997-2007)。次にコンピュータで、輪郭内部の面積を算出した。1 mm2当たりのSGCの数として、SGC密度を算出した。マウス1匹当たり1つの蝸牛において、片側頂回転の5切片を評価した。両側標準t検定を使用してデータを解析した。全てのデータを平均値±標準誤差として報告した。
40×対物レンズを使用して、個々の蝸牛切片の頂回転、中回転、および基底回転の各断面において、外有毛細胞(OHC)および内有毛細胞(IHC)を計数した。細胞は、核の存在によって同定した。外有毛細胞生存率(%)を、以下のように算出した:(OHCの数/3) x 100。内有毛細胞生存率(%)を、以下のように算出した:(OHCの数/1) x 100。マウス1匹当たり1つの蝸牛において、片側頂回転の5切片を評価した。両側標準t検定を使用してデータを解析した。全てのデータを平均値±標準誤差として報告した。
B. 結果
2.1. サンゴ処理水の評価
CWのカルシウム含量およびカリウム含量は、対照のものよりも有意に高かった(表1)(*P < 0.05、n = 5)。CWの硬度およびpHは、対照のものよりも有意に高かった(*P < 0.05、n = 3)。マグネシウムおよびナトリウムは対照水では検出されなかった。
2.2. 聴覚機能および蝸牛組織病理学の評価
老人性難聴の予防および治療に対してサンゴ処理水の長期間摂取が与える効果を検査するため、次に、上記水が、B6マウスにおける遅発性の老人性難聴を遅延させるかどうかを試験した。対照マウスは8、16、32 kHzで重篤な難聴を呈したが、一方CWマウスは8、16、32 kHzで正常聴力または軽度難聴を呈した(*P < 0.05、n = 7)ことが、これらのマウスより測定したABR閾値によって明らかになり、これによって、聴覚機能がサンゴ処理水によって有意に保護されることが示された(図3)。
2.3. 蝸牛組織病理学の評価
次に、老化関連の蝸牛変性に対する上記水の効果を調査した。対照マウス由来の蝸牛(A)は、らせん神経節ニューロン(B)および有毛細胞(C)の重篤な喪失を呈したが、一方CWマウス由来の蝸牛(D)ではらせん神経節ニューロンおよび有毛細胞の喪失は軽度またはそれ以下であり、これによって、サンゴ処理水による蝸牛細胞喪失の防止が示された(図4)。さらに、CWマウス由来の頂回転、中回転、および基底回転のらせん神経節細胞(SGC)密度平均値は対照マウスのものよりも有意に高く、これによって、処理水によるらせん神経節神経細胞喪失の防止が示された(図5)(*P < 0.05、n = 4〜5)。さらに、CWマウス由来の中回転および基底回転の外有毛細胞生存率平均値は対照マウスのものよりも有意に高く、これによって、サンゴ処理水による外有毛細胞喪失の防止が示された(図6)(*P < 0.05、n = 4〜5)。
(表1)水の組成。CWのカルシウム含量およびカリウム含量は、対照のものよりも有意に高かった。さらに、CWの硬度およびpHは、対照のものよりも有意に高かった。マグネシウムおよびナトリウムは対照では検出されなかった。
Figure 2011516569
上記の明細書で言及されている全ての刊行物および特許は、参照により本明細書に組み入れられる。本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、本発明で記載した方法および系に様々な修正および変更が行われ得ることは、当業者に明白であろう。本発明を特定の好ましい態様に関して説明したが、請求する本発明はそのような特定の態様に過度に限定されるべきではないことを理解すべきである。実際のところ、関連分野における当業者には明らかである、記載した本発明を実施するための様式の様々な修正は、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載される。
[請求項1001]
神経変性疾患の症状を有する対象にサンゴの抽出物を含む組成物を投与する段階を含む、神経変性疾患を治療するための方法。
[請求項1002]
上記サンゴ抽出物が水性の液体である、請求項1001記載の方法。
[請求項1003]
上記サンゴ抽出物のpHが約8.0である、請求項1001記載の方法。
[請求項1004]
上記サンゴ抽出物のカルシウム含量が約14.30 mg/Lである、請求項1001記載の方法。
[請求項1005]
上記サンゴ抽出物のマグネシウム含量が約5.4 mg/Lである、請求項1001記載の方法。
[請求項1006]
上記サンゴ抽出物のナトリウム含量が約1.06 mg/Lである、請求項1001記載の方法。
[請求項1007]
上記サンゴ抽出物のカリウム含量が約0.28 mg/Lである、請求項1001記載の方法。
[請求項1008]
上記液体が濾過水および蒸留水からなる群より選択される、請求項1002記載の方法。
[請求項1009]
上記液体の硬度が約58 mg/Lである、請求項1008記載の方法。
[請求項1010]
上記神経変性疾患が老人性難聴である、請求項1001記載の方法。
[請求項1011]
上記サンゴ抽出物の投与により、上記対象におけるらせん神経節細胞またはニューロンの喪失の防止または減少がもたらされる、請求項1001記載の方法。
[請求項1012]
サンゴ液が以下の方法により作製される、請求項1008記載の方法:
(a)サンゴ粒を精製水に浸漬すること;
(b)該水のpHを8.0±0.5に調整すること。
[請求項1013]
サンゴ粒を備えた精製カートリッジに水を通すことによって、上記液体が作製される、請求項1008記載の方法。
[請求項1014]
対象において神経変性疾患が予防されるような条件下で、該対象にサンゴの抽出物を含む組成物を投与する段階を含む、神経変性疾患を予防する方法。
[請求項1015]
上記神経変性疾患が老人性難聴である、請求項1014記載の方法。
[請求項1016]
カルシウム含量約1.4 mg/L〜140 mg/L、マグネシウム含量約0.54 mg/L〜54 mg/L、ナトリウム含量約0.1 mg/L〜50.0 mg/L、カリウム含量約0.03 mg/L〜30.0 mg/L、および硬度約5.8 mg/L〜580 mg/Lを含む、pH約7.0〜9.0の水性の液体を含む組成物を、神経変性疾患の症状を有する対象に投与する段階を含む、神経変性疾患を治療するための方法。
[請求項1017]
上記液体のカルシウム含量が約14.3 mg/Lであり、マグネシウム含量が約5.4 mg/Lであり、ナトリウム含量が約1.06 mg/Lであり、カリウム含量が約0.28 mg/Lであり、かつ硬度が約58 mg/Lである、請求項1016記載の方法。
[請求項1018]
神経変性疾患を予防するまたは減少させるのに十分な用量のサンゴの抽出物を含む、食品であって、該サンゴ抽出物が、カルシウム含量約1.4 mg/L〜140 mg/L、マグネシウム含量約0.54 mg/L〜54 mg/L、ナトリウム含量約0.1 mg/L〜50.0 mg/L、カリウム含量約0.03 mg/L〜30.0 mg/L、および硬度約5.8 mg/L〜580 mg/Lを含む、pH約7.0〜9.0の液体を含む、食品。
[請求項1019]
神経変性疾患を予防するまたは減少させるのに十分な用量のサンゴの抽出物を含む、薬学的組成物であって、該サンゴ抽出物が、カルシウム含量約1.4 mg/L〜140 mg/L、マグネシウム含量約0.54 mg/L〜54 mg/L、ナトリウム含量約0.1 mg/L〜50.0 mg/L、カリウム含量約0.03 mg/L〜30.0 mg/L、および硬度約5.8 mg/L〜580 mg/Lを含む、pH約7.0〜9.0の液体を含む、薬学的組成物。
[請求項1020]
上記液体のカルシウム含量が約14.3 mg/Lであり、マグネシウム含量が約5.4 mg/Lであり、ナトリウム含量が約1.06 mg/Lであり、カリウム含量が約0.28 mg/Lであり、かつ硬度が約58 mg/Lである、請求項1019記載の組成物。

Claims (20)

  1. 神経変性疾患の症状を有する対象にサンゴの抽出物を含む組成物を投与する段階を含む、神経変性疾患を治療するための方法。
  2. 上記サンゴ抽出物が水性の液体である、請求項1記載の方法。
  3. 上記サンゴ抽出物のpHが約8.0である、請求項1記載の方法。
  4. 上記サンゴ抽出物のカルシウム含量が約14.30 mg/Lである、請求項1記載の方法。
  5. 上記サンゴ抽出物のマグネシウム含量が約5.4 mg/Lである、請求項1記載の方法。
  6. 上記サンゴ抽出物のナトリウム含量が約1.06 mg/Lである、請求項1記載の方法。
  7. 上記サンゴ抽出物のカリウム含量が約0.28 mg/Lである、請求項1記載の方法。
  8. 上記液体が濾過水および蒸留水からなる群より選択される、請求項2記載の方法。
  9. 上記液体の硬度が約58 mg/Lである、請求項8記載の方法。
  10. 上記神経変性疾患が老人性難聴である、請求項1記載の方法。
  11. 上記サンゴ抽出物の投与により、上記対象におけるらせん神経節細胞またはニューロンの喪失の防止または減少がもたらされる、請求項1記載の方法。
  12. サンゴ液が以下の方法により作製される、請求項8記載の方法:
    (a)サンゴ粒を精製水に浸漬すること;
    (b)該水のpHを8.0±0.5に調整すること。
  13. サンゴ粒を備えた精製カートリッジに水を通すことによって、上記液体が作製される、請求項8記載の方法。
  14. 対象において神経変性疾患が予防されるような条件下で、該対象にサンゴの抽出物を含む組成物を投与する段階を含む、神経変性疾患を予防する方法。
  15. 上記神経変性疾患が老人性難聴である、請求項14記載の方法。
  16. カルシウム含量約1.4 mg/L〜140 mg/L、マグネシウム含量約0.54 mg/L〜54 mg/L、ナトリウム含量約0.1 mg/L〜50.0 mg/L、カリウム含量約0.03 mg/L〜30.0 mg/L、および硬度約5.8 mg/L〜580 mg/Lを含む、pH約7.0〜9.0の水性の液体を含む組成物を、神経変性疾患の症状を有する対象に投与する段階を含む、神経変性疾患を治療するための方法。
  17. 上記液体のカルシウム含量が約14.3 mg/Lであり、マグネシウム含量が約5.4 mg/Lであり、ナトリウム含量が約1.06 mg/Lであり、カリウム含量が約0.28 mg/Lであり、かつ硬度が約58 mg/Lである、請求項16記載の方法。
  18. 神経変性疾患を予防するまたは減少させるのに十分な用量のサンゴの抽出物を含む、食品であって、該サンゴ抽出物が、カルシウム含量約1.4 mg/L〜140 mg/L、マグネシウム含量約0.54 mg/L〜54 mg/L、ナトリウム含量約0.1 mg/L〜50.0 mg/L、カリウム含量約0.03 mg/L〜30.0 mg/L、および硬度約5.8 mg/L〜580 mg/Lを含む、pH約7.0〜9.0の液体を含む、食品。
  19. 神経変性疾患を予防するまたは減少させるのに十分な用量のサンゴの抽出物を含む、薬学的組成物であって、該サンゴ抽出物が、カルシウム含量約1.4 mg/L〜140 mg/L、マグネシウム含量約0.54 mg/L〜54 mg/L、ナトリウム含量約0.1 mg/L〜50.0 mg/L、カリウム含量約0.03 mg/L〜30.0 mg/L、および硬度約5.8 mg/L〜580 mg/Lを含む、pH約7.0〜9.0の液体を含む、薬学的組成物。
  20. 上記液体のカルシウム含量が約14.3 mg/Lであり、マグネシウム含量が約5.4 mg/Lであり、ナトリウム含量が約1.06 mg/Lであり、カリウム含量が約0.28 mg/Lであり、かつ硬度が約58 mg/Lである、請求項19記載の組成物。
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