JP2011514169A - 幹細胞培養のためのマイクロキャリア - Google Patents

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Abstract

本発明者らは、それにコートされたマトリックスを含み、陽電荷を有する粒子であって、それに付着した霊長類またはヒトの幹細胞の集合を可能にするサイズのものである粒子を開示する。この粒子は、50μm〜400μm、たとえば約200μmの最長寸法を有する、実質的に細長い、円筒形またはロッドの形状の粒子を含むことができる。それは20μm〜30μmの断面寸法をもつことができる。粒子は、約20μm〜約120μm、たとえば約65μmのサイズを有する、実質的にコンパクトな、または球形の形状の粒子を含むことができる。本発明者らは、霊長類またはヒトの幹細胞を伝播させる方法であって、第1および第2の各粒子に付着した第1および第2の霊長類またはヒトの幹細胞を用意し、第1の霊長類またはヒトの幹細胞を第2の霊長類またはヒトの幹細胞に接触させて細胞集合体を形成させ、そしてこの集合体を培養して霊長類またはヒトの幹細胞を少なくとも1継代伝播させることを含む方法をも開示する。Matrigelまたはヒアルロン酸中にコートしたマイクロキャリアを用いてヒト胚性幹細胞(hESC)を長期懸濁培養において伝播させる方法も開示する。本発明者らは、幹細胞を分化させる方法をも開示する。
【選択図】図1

Description

本発明は、細胞生物学、分子生物学およびバイオテクノロジーの分野に関する。より詳細には、本発明は幹細胞を粒子状キャリア上で培養する方法に関する。
幹細胞は、分化した細胞と異なり、***して、自己再生する(self−renew)か、または表現型および機能の異なる娘細胞に分化する能力をもつ(Keller, Genes Dev. 2005; 19: 1129-1155; Wobus and Boheler, Physiol Rev. 2005; 85: 635-678; Wiles, Methods in Enzymology. 1993; 225: 900-918; Choi et al, Methods Mol Med. 2005; 105: 359-368)。
ヒト胚性幹細胞(hESC)は、多様な幹細胞タイプに分化する能力をもつ多分化能性(pluripotent)細胞である。幹細胞、たとえば胚性幹細胞(ESC)の多分化能、およびそれらが3種類すべての胚葉からの細胞に分化する能力により、これらは多くの疾患および組織傷害に対する再生医療に理想的な細胞源となる(Keller, Genes Dev. 2005; 19: 1129-1155; Wobus and Boheler, Physiol Rev. 2005; 85: 635-678)。
1以上の継代を必要とする幹細胞の大量拡張は、細胞療法の前提条件である。
現在、コロニーとして増殖する幹細胞(ヒト胚性幹細胞hESCを含めて)は、通常はプラスチック培養表面において二次元(2D)成長で維持されている。2D培養においてより多量にまで拡張するには大きな表面積の使用が必要であろう。これらの2Dコロニーをより小さなサイズに分断するためのピペッティングまたは酵素処理の反復による細胞継代の手動性は、非実用的となるであろう。大きな表面積に接種するための多数のプレートの調製は、取扱い誤差の対象となる可能性がある。さらに、たとえばヌンク(Nunc)トレーのような著しく大きな表面積が必要であろう。
したがって、コートしたプラスチック表面で2Dコロニー培養として幹細胞を増殖させる現在の方法は、スケールアップになじまず、培養を実施する実験条件は一般に良好には制御しにくい。先行技術には、幹細胞を三次元(”3D”)環境で、たとえばマイクロキャリア上において懸濁培養で培養する多数の試みが含まれる。マイクロキャリア上のマウス胚性幹細胞(Fernandes et al., 2007; Abranches et al., 2007; King and Miller, 2007)およびhESCを懸濁培養において胚様体(embryoid body)として分化させるもの(Dang et al., 2004; Fok and Zandstra, 2005; Cameron et al., 2006)など幾つかの研究を除いて、hESCを懸濁培養において長期間、連続培養する強力な方法はない。
当技術分野で、胚性幹細胞を懸濁培養において”胚様体”として分化させることが知られている。そのような胚様体は多量の既に分化した細胞を含む。たとえばGerecht Nir et
al (2004)には、胚様体を培養するための回転壁バイオリアクターの使用が記載されている。撹拌システムを用いる胚様体培養も、Zandstra et al (2003), Dang et al (2004)およびWartenberg et al (1998)により示された。胚様体の懸濁培養も、Dang and Zandstra
(2005)およびKing and Miller (2007)により報告されている。そのような技術は、分化した幹細胞を含むこれらの組織様の胚様体集合体を培養するのには適しているが、未分化の幹細胞には適さない。
Fok and Zandstra (2005)には、未分化のマウス胚性幹細胞(mESC)の伝播のための撹拌懸濁培養システムが記載されている。この撹拌懸濁培養システムは、マイクロキャ
リアおよび集合体の培養からなっていた。ガラスマイクロキャリア上で培養されたマウス胚性幹細胞は、組織培養フラスコ対照に匹敵する集団倍増時間をもっていた。白血病阻害因子を除去すると、このmESC集合体は多系列分化しうる胚様体(EB)に発生した。マウスESCの懸濁培養は、King and Miller (2005)にも記載されている。しかし、King
and Miller (2005)には、”未分化のヒトESCs(hESC)の拡張はmESCの場合より難しく、まだ撹拌培養においては報告されていない”と述べられている。
US2007/0264713(Terstegge)には、ヒト胚性幹細胞をマイクロキャリア上で培養する試みが開示されている。ヒト胚性幹細胞をCytodex 3(Amersham)マイクロキャリアと共に、種々の体積の馴化培地と一緒にスピナーまたはバイオリアクターに導入している。この培養物を20〜30rpmで1時間中の30分間撹拌する。培養物を10日ないし6週間の種々の期間、維持している。しかし、いずれの時点でも、培養物はいずれも、幹細胞の大規模連続生産に必須の要件である継代または二次培養がなされなかった。マイクロキャリア上での連続継代および二次培養能の証明は、’良好な’(指数)成長速度と共に、幹細胞の大規模生産に必須の要件である。これはTersteggeらの研究により証明されなかった。
WO2008/004990には、幹細胞をフィーダー細胞の不存在下で培養する試みが記載され、マイクロキャリアの使用を考慮している。それは、Matrigelを使用しない培養に関する。WO2008/004990には、幹細胞分化の阻害における陽電荷をもつ表面の影響が記載されている。
Phillips et al., 2008 (Journal of Biotechnology 138 (2008) 24-32)には、hESCをマイクロキャリア上で集合体および単一細胞の接種により培養する試みが報告されている。最初は3倍拡張が5日間かけて達成されたが、各連続継代に伴って細胞拡張が低下し、最終的に6週目を超えて細胞を継代することはできなかった。
市販のマイクロキャリア、たとえばCytodex 1および3をヒト胚性幹細胞(hESC)の培養のスケールアップのために使用するこれまでの試みは成功しなかった。hESC培養物はキャリア上で死滅または分化し、伝播できなかった(Oh & Choo, 2006)。
ヒト幹細胞を含めた霊長類に由来する未分化の多分化能性細胞の懸濁液中での安定な連続成長は、これまで達成されていない。霊長類またはヒトの幹細胞、特に胚性幹細胞の連続継代を、懸濁培養において証明した者はこれまでいない。
幹細胞を他の有用な細胞タイプに大規模で分化させることもきわめて重要である。たとえば、臨床試験、薬物探索を実施するためには、また有望な将来の細胞療法を開発するためにも、多数の心筋細胞が必要である。ヒト胚性幹細胞(hESC)は多分化能性であり、あらゆる胚葉に分化しうるので、hESCはこれらの用途のための心筋細胞および他の細胞タイプの供給源を提供することができる。これまで、hESCに由来する心筋細胞の分化プロトコルは科学社会でわずかに記載されているが、提唱された生物学的方法のスケール調節可能性(scalability)は明らかではない。
US2007/0264713 WO2008/004990
Keller, Genes Dev. 2005; 19: 1129-1155 Wobus and Boheler, Physiol Rev. 2005; 85: 635-678 Wiles, Methods in Enzymology. 1993; 225: 900-918 Choi et al, Methods Mol Med. 2005; 105: 359-368 Fernandes et al., 2007 Abranches et al., 2007 King and Miller, 2007 Dang et al., 2004 Fok and Zandstra, 2005 Cameron et al., 2006 Gerecht Nir et al (2004) Zandstra et al (2003) Wartenberg et al (1998) Dang and Zandstra (2005) King and Miller (2005) Phillips et al., 2008 (Journal of Biotechnology 138 (2008) 24-32) Oh & Choo, 2006
本発明は、当技術分野におけるこれらおよび他の問題を解決することを目的とする。
本発明は、ヒトまたは霊長類の胚性幹細胞を安定に長期間、インビトロ培養において培養するための方法を提供する。この方法を用いて、ヒト胚性幹細胞を各継代間で連続拡張させることができ、拡張したヒト胚性幹細胞集団の多分化能性は少なくとも5継代を超えて、通常は10継代を超えて維持される。
重要なことに、好ましくは細胞外マトリックス成分を含むマトリックスでマイクロキャリアをコートした場合、マイクロキャリア上での幹細胞の培養および分化を改善しうることを本発明者らは見いだした。マトリックスは、Matrigel(商標)(BD Biosciences)、ヒアルロン酸、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、デキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸のうち1以上、またはラミニン、I型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびエンタクチン1の混合物を含むことができる。
幹細胞の成長および増殖のために好ましいマトリックスは、Matrigel(商標)、ヒアルロン酸、ラミニンのうち1以上、またはラミニン、I型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびエンタクチン1の混合物を含むか、あるいはそれらからなることができる。
幹細胞の分化のために好ましいマトリックスは、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、Matrigel(商標)のうち1以上、またはラミニン、I型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびエンタクチン1の混合物を含むか、あるいはそれらからなることができる。
1観点において、本発明は、培養物中の幹細胞の多分化能性状態を維持しつつ、マイクロキャリア上で懸濁培養において幹細胞を多数継代にわたって成長および増殖させることに関する。好ましくは細胞外成分を含むマトリックス中にマイクロキャリアをコートし、そして幹細胞を接種する。好ましくは、マイクロキャリアは陽電荷をもつ。幹細胞を懸濁
培養において培養して、好ましくは培養物中の幹細胞の数を拡張させる。次いで、培養幹細胞を継代し、同一または異なるマトリックスコーティングをもつマイクロキャリア上に継代幹細胞を接種する。こうして、培養および継代した幹細胞が多分化能性状態を維持したまま、幹細胞は複数継代、たとえば少なくとも3継代を経ることができる。この方法を用いると、継代間の各培養サイクル期間中に幹細胞の増殖がみられ、多数(少なくとも10)継代にわたって増殖を維持することができる。
この培養方法により、インビトロ培養における幹細胞の連続した成長および継代が可能になり、これにより多分化能をもつ幹細胞を療法に有用な数まで拡張させるための方法が提供される。
マイクロキャリア上での幹細胞の連続継代がしばしば好ましいであろうが、本発明方法の一部として、幹細胞をマイクロキャリア上での培養から他の培養システム、たとえば2Dコロニー培養へ移植し、続いて懸濁マイクロキャリア培養に戻すことができる。
本方法は、好ましくは、培養の各サイクル中に、マトリックスコートしたマイクロキャリアに継代前に幹細胞を付着させる工程を伴う。しかし、ある培養サイクルをコートしていないマイクロキャリア上で行なうことが許容される;ただし、継代を伴う培養サイクルを全体として合計で少なくとも3回は、マトリックスコートしたマイクロキャリア上で行なうことが好ましいであろう。より好ましくは、これは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、またはそれ以上の培養サイクルのいずれかであろう。
したがって、本発明方法はインビトロ培養における多分化能性幹細胞の長期継代を提供し、その際、幹細胞は安定に培養および継代されてそれらの多分化能状態は保存される。
本発明の他の観点は、マイクロキャリアに付着した多分化能性幹細胞の分化に関する。
ある態様において、前記の観点に記載したマイクロキャリア培養法を用いることにより、多分化能性幹細胞を分化に必要な細胞密度まで成長させることができる。必要な細胞密度が得られた時点で、マイクロキャリアに付着した幹細胞の分化を誘導するように培養条件を変更することができる。分化のためには、幹細胞の成長に用いたものと比較して同一または異なるマイクロキャリアを使用できる。同様に、同一または異なるマトリックスコーティングを使用できる。たとえば、第1コーティングをもつ第1マイクロキャリアを多分化能性幹細胞の成長および増殖のために用い、第2コーティングをもつ第2マイクロキャリアをそれらの幹細胞の分化のために用いることができる。分化のためには、マイクロキャリアはコートされていなくてもよい。
幹細胞の増殖とそれらの分化の両方にマイクロキャリア培養を採用することは、分化用培養に増殖培養物を再接種する必要性が避けられ、これによって多数の多分化能性細胞が分化のために供給され、かつ培養条件の変更により増殖から分化へ簡便に変更されるという利点をもつ。
他の態様においては、他の培養法、たとえば2Dコロニー培養によって、分化のための多分化能性幹細胞を必要な細胞密度まで成長させることができる。次いで、マトリックスコーティングをもつマイクロキャリアにこれらの細胞を付着させ、幹細胞の分化を誘導する条件下で懸濁培養において培養する。
ある態様においては、既に分化(ただし、好ましくは最終分化ではない)を行なった細胞を、マトリックスコーティングをもつマイクロキャリアまたはコーティングしていないマイクロキャリアに付着させ、幹細胞の分化を誘導する条件下で懸濁培養において培養す
ることができる。
本発明の1観点によれば、幹細胞をインビトロで懸濁培養において培養する方法が提供され、この方法は、
(i)幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、マイクロキャリアの表面はマトリックス中にコートされており;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
(iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも3継代反復する
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞は多分化能性である。
幹細胞は、好ましくは胚性幹細胞または誘導された多分化能性幹細胞であり、好ましくは霊長類またはヒトのものである。
マトリックスは、好ましくは細胞外マトリックス成分を含む。より好ましくは、マトリックスはMatrigel(商標)(BD Biosciences)、ヒアルロン酸、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、デキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸のうち1以上を含む。マトリックスは、ラミニン、I型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびエンタクチン1の混合物を含むことができる。
マイクロキャリアは、セルロース、デキストラン、ヒドロキシル化メタクリレート、コラーゲン、ゼラチン、ポリスチレン、プラスチック、ガラス、セラミック、シリコーンのうち1以上を含むか、あるいはそれらからなることができる。あるいは、マイクロキャリアはマクロ多孔質またはミクロ多孔質のcarboseedマイクロキャリアである。マイクロキャリアは、プロタミンまたはポリリジンとカップリングしていてもよい。
マイクロキャリアは、好ましくは陽電荷をもち、好ましくは表面陽電荷をもつ。それは親水性であってもよい。マイクロキャリアは、好ましくはロッド形、たとえば円筒形、または実質的に球形の形状である。
好ましくは、工程(ii)において、培養物中の幹細胞の数を拡張させるのに十分な期間、幹細胞を培養する。ある態様では、各反復サイクルにおいて、工程(i)の幹細胞はその前の反復サイクルの工程(iii)の継代細胞から得られる。
本発明の態様において、工程(i)〜(iii)を通して少なくとも4継代、少なくとも5継代、少なくとも6継代、少なくとも7継代、少なくとも8継代、少なくとも9継代、少なくとも10継代、少なくとも11継代、少なくとも12継代、少なくとも13継代、少なくとも14継代、少なくとも15継代、少なくとも16継代、少なくとも17継代、少なくとも18継代、少なくとも19継代、少なくとも20継代、少なくとも21継代、少なくとも22継代、少なくとも23継代、少なくとも24継代、少なくとも25継代、少なくとも30継代、少なくとも40継代、少なくとも50継代、少なくとも60継代、少なくとも70継代、少なくとも80継代、少なくとも90継代、少なくとも100継代のいずれか反復する。
好ましい態様では、工程(i)〜(iii)のサイクルの少なくとも60%において、マイクロキャリアがマトリックス中にコートされている。あるいは、これは少なくとも70%、80%、90%または95%のいずれかであってもよい。工程(i)〜(iii)の連続サイクル中に、マイクロキャリアは同一マトリックス中にコートされていてもよく、あるいは、工程(i)〜(iii)の第1および第2の連続サイクルにおいて、マトリックスが異なるか、または存在しなくてもよい。
好ましい態様において、工程(iv)の後、培養物中の少なくとも60%の幹細胞が多分化能性である。あるいは、これは少なくとも70%、80%、90%または95%のいずれかであってもよい。
好ましい態様において、工程(iv)の後、培養物中の少なくとも60%の幹細胞が、Oct4、SSEA4、TRA−1−60およびMab84のうち1、2、3またはすべてを発現する。あるいは、これは少なくとも70%、80%、90%または95%のいずれかであってもよい。
ある態様において、本方法は、幹細胞を無血清培地、または幹細胞用馴化培地、またはフィーダー細胞を含まない状態で培養することを含むことができる。
他の態様において、フィーダー細胞がマイクロキャリアに付着してもよい。フィーダー細胞は、幹細胞が付着するマイクロキャリアとは異なるマイクロキャリアに付着してもよい。
本発明は、本発明方法により得られる多分化能性幹細胞を含む。
他の態様において、本方法はさらに、工程(iv)の後に得られる幹細胞の分化を誘導する工程を含むことができる。これは、幹細胞の分化を誘導する条件下にマイクロキャリア幹細胞複合体を置くことにより達成できる。あるいは、本方法は、工程(iv)の後に、幹細胞をマイクロキャリアから分離し、そして分離した幹細胞をマイクロキャリアの無い培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する工程を含むことができる。
したがって、ある態様において本方法は、さらに多分化能性幹細胞の分化を含むことができ、これは
(v)工程(iv)の後に得られる多分化能性幹細胞を複数の第2マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第2マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
(vi)(v)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する
ことを含む。
第1マトリックスと第2マトリックスは同一でも異なってもよい。第1マイクロキャリアと第2マイクロキャリアは同一でも異なってもよい。
ある態様においては、さらなる分化を誘導することができ、その際、本方法はさらに、
(vii)工程(vi)から得られる分化した幹細胞を複数の第3マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第3マイクロキャリアの表面は第3マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
(viii)(vii)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、分化した幹細胞のさらなる分化を誘導する条件下で培養する
ことを含む。
第3マトリックスは、第1および第2マトリックスと異なってもよく、あるいは第1および第2マトリックスのいずれか1つと同一であってもよい。第3マイクロキャリアは、第1および第2マイクロキャリアと異なってもよく、あるいは第1および第2マイクロキャリアのいずれか1つと同一であってもよい。
本発明は、本発明方法により得られる分化した細胞を含む。
本発明方法により得られる分化した細胞を培養して胚様体を形成させることができる。胚様体をマイクロキャリアに付着させることができる。こうして得られる胚様体は本発明
の一部を形成する。
本発明の他の観点においては、幹細胞をインビトロで懸濁培養において培養する方法が提供され、この方法は、
(i)幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、マイクロキャリアの表面はMatrigel(商標)中にコートされており;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
(iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも7継代反復する
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞は多分化能性であり、培養物はフィーダー細胞を含まず、各継代間で幹細胞の数が拡張し、幹細胞はヒトもしくは霊長類の胚性幹細胞またはヒトもしくは霊長類の誘導された多分化能性幹細胞である。
本発明の他の観点においては、幹細胞をインビトロで培養し、かつ分化させる方法が提供され、この方法は、
(i)幹細胞を複数の第1マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第1マイクロキャリアの表面は第1マトリックス中にコートされており;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
(iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも3継代反復する
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞は多分化能性であり、この方法はさらに、
(v)工程(iv)の後に得られる多分化能性幹細胞を複数の第2マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第2マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
(vi)(v)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する
ことを含む。
第1マトリックスと第2マトリックスは同一でも異なってもよい。第1マイクロキャリアと第2マイクロキャリアは同一でも異なってもよい。
本方法はさらに、
(vii)工程(vi)から得られる分化した幹細胞を複数の第3マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第3マイクロキャリアの表面は第3マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
(viii)(vii)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、分化した幹細胞のさらなる分化を誘導する条件下で培養する
ことを含むことができる。
第3マトリックスは、第1および第2マトリックスと異なってもよく、あるいは第1および第2マトリックスの1つと同一であってもよい。第3マイクロキャリアは、第1および第2マイクロキャリアと異なってもよく、あるいは第1および第2マイクロキャリアの1つと同一であってもよい。
本発明の他の観点においては、幹細胞をインビトロで分化させる方法が提供され、この方法は、多分化能性幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず、そしてマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養
において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養することを含む。
幹細胞は、好ましくは胚性幹細胞または誘導された多分化能性幹細胞であり、好ましくは霊長類またはヒトのものである。
マトリックスは、好ましくは細胞外マトリックス成分を含む。より好ましくは、マトリックスはラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、Matrigel(商標)(BD Biosciences)、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、デキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸のうち1以上を含む。マトリックスは、ラミニン、I型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびエンタクチン1の混合物を含むことができる。
マイクロキャリアは、セルロース、デキストラン、ヒドロキシル化メタクリレート、コラーゲン、ゼラチン、ポリスチレン、プラスチック、ガラス、セラミック、シリコーンのうち1以上を含むか、あるいはそれらからなることができる。あるいは、マイクロキャリアはマクロ多孔質またはミクロ多孔質のcarboseedマイクロキャリアであってもよい。マイクロキャリアはプロタミンまたはポリリジンとカップリングしていてもよい。
マイクロキャリアは、好ましくは陽電荷をもち、好ましくは表面陽電荷をもつ。それは親水性であってもよい。マイクロキャリアは、好ましくはロッド形、たとえば円筒形、または実質的に球形の形状である。
本発明の他の観点においては、霊長類またはヒトの幹細胞の伝播のための、マトリックス中にコートされたマイクロキャリアの使用が提供され、マイクロキャリアはDE−52(Whatman)、DE−53(Whatman)、QA−52(Whatman)、TSKgel Tresyl−5Pw(東ソー)またはToyopearl AF−Tresyl−650(東ソー)、SM1010(Blue Membranes)およびSH1010(Blue Membranes)から選択される。
マトリックスは、好ましくは細胞外マトリックス成分を含む。より好ましくは、マトリックスはMatrigel(商標)(BD Biosciences)、ヒアルロン酸、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、デキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸のうち1以上を含む。マトリックスは、ラミニン、I型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびエンタクチン1の混合物を含むことができる。
本発明の一部として、本明細書に記載する方法は、多分化能性ではない(non−pluripotent)幹細胞、特に多能性(multipotent)幹細胞、たとえば成体幹細胞、または多分化能性幹細胞に由来する多能性幹細胞(たとえば胚性幹細胞に由来する多能性幹細胞)の安定な長期培養を達成するためにも使用できる。多能性幹細胞はヒトまたは霊長類の多分化能性幹細胞、たとえばhESCに由来するものであってもよい。
本明細書に記載する方法の使用により、多能性幹細胞(たとえば成体幹細胞)を各継代間で連続拡張させることができ、かつ拡張した成体幹細胞集団の多能性を少なくとも2継代を超えて、より好ましくは3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25継代のうちのいずれかを超えて維持することができる。
したがって、多能性幹細胞の培養、成長、伝播および分化は、幹細胞、たとえばヒトまたは霊長類の胚性幹細胞の培養、成長、分化および伝播のための本明細書に記載するいず
れかの方法、観点、態様、および好ましい特徴に従って実施できる。多能性幹細胞の培養、成長、増殖および/または分化のために用いるマイクロキャリアはコートされていなくてもよく、あるいはマトリックスコーティングをもつこともできる。
これによれば、本発明の他の観点において、多能性幹細胞をインビトロで懸濁培養において培養する方法が提供され、この方法は、
(i)多能性幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養する
ことを含み、その際、工程(ii)の後の培養物中の幹細胞は多能性である。
本発明の他の観点においては、多能性幹細胞をインビトロで懸濁培養において培養する方法が提供され、この方法は、
(i)多能性幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
(iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも2継代反復する
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞は多能性である。
上記の2観点のある態様において、工程(i)においてマイクロキャリアの表面はマトリックス中にコートされている。
これらの方法により得られる多能性幹細胞も提供される。
本発明の他の観点においては、多能性幹細胞をインビトロで培養し、かつ分化させる方法が提供され、この方法は、
(i)幹細胞を複数の第1マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し;
(ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
(iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも2継代反復する
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞は多能性であり、該方法はさらに、
(v)工程(iv)の後に得られる多能性幹細胞を複数の第2マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第2マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
(vi)(v)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する
ことを含む。
ある態様において、工程(i)においてマイクロキャリアの表面は第1マトリックス中にコートされている。
本発明の他の観点においては、幹細胞をインビトロで分化させる方法が提供され、この方法は、多能性幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず、そしてマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養することを含む。
これらの方法により得られる分化した細胞も提供される。
本発明の1観点によれば、それにコートされたマトリックスを含み、陽電荷をもつ粒子
が提供され、この粒子はそれに付着した霊長類またはヒトの幹細胞を集合させることができるサイズのものである。
本発明の粒子は、実質的に細長い、円筒形もしくはロッドの形状の粒子、または実質的にコンパクトな、もしくは球形の形状の粒子を含むことができる。
本発明の粒子は、50μm〜400μmの最長寸法をもつ、実質的に細長い、円筒形もしくはロッドの形状の粒子を含むことができる。粒子は約200μmの最長寸法を含むことができる。粒子は20μm〜30μmの最短寸法を含むことができる。粒子は、円筒形のセルロースマイクロキャリアを含むことができる。
本発明の粒子は、DE−52(Whatman)、DE−53(Whatman)またはQA−52(Whatman)を含むことができる。
本発明の粒子は、約20μm〜約120μmのサイズをもつ実質的にコンパクトな、または球形の形状の粒子を含むことができる。粒子は約65μmのサイズをもつことができる。粒子は、親水性マイクロキャリア、ヒドロキシル化メタクリル系マトリックスマイクロキャリア、または誘導体化した親水性ビーズ状(beaded)マイクロキャリアを含むことができる。
本発明の粒子は、TSKgel Tresyl−5Pw(東ソー)またはToyopearl AF−Tresyl−650(東ソー)を含むことができる。
本発明の粒子は、マクロ多孔質またはミクロ多孔質のcarboseedマイクロキャリアを含むことができる。粒子は、SM1010(Blue Membranes)およびSH1010(Blue Membranes)を含むことができる。
本発明の粒子は陽電荷をもつように誘導体化されていてもよい。粒子は、粒子の乾燥物質重量グラム当たり1〜2ミリ当量の小さなイオン交換容量の第三級アミンまたは第四級アミンとカップリングしていてもよい。粒子は、最高20mg/粒子mlの濃度の硫酸プロタミンまたはポリ−L−リジン臭化水素酸塩とカップリングしていてもよい。粒子の陽電荷は、0.5〜4ミリ当量単位/ml(mEq)であってよい。
マトリックスは、幹細胞の成長を可能にする生理学的関連マトリックスを含むことができる。マトリックスは、細胞外マトリックス成分を含むことができる。マトリックスは、Matrigel、ヒアルロン酸、ウシのガラス体液に由来するヒアルロン酸、連鎖球菌(streptococcus)に由来するヒアルロン酸ナトリウム、ヘパラン硫酸、ウシの腎臓に由来するヘパラン硫酸、デキストラン硫酸、デキストラン硫酸ナトリウム、ヘパリン硫酸およびコンドロイチン硫酸からなる群から選択することができる。マトリックスは、Matrigel(商標)(BD Biosciences)を含むことができる。
本発明の他の観点によれば、前記の本発明の観点による粒子であって、それに付着した霊長類またはヒトの幹細胞を含むものが提供される。
本明細書に記載する本発明の観点、態様および特徴によれば、多分化能性細胞または多能性細胞のインビトロ懸濁培養に使用するのに適切な粒子またはマイクロキャリアが提供され、これにより、多分化能性もしくは多能性の状態を有する新たな細胞または多分化能性もしくは多能性細胞の分化の産物である細胞が生成し、これらの粒子またはマイクロキャリアは、コンパクトな、または細長い形状をもち、約2000μm未満の最長寸法および約10μmより大きい最短寸法をもち、その際、マイクロキャリアの表面はマトリックス中にコートされており、多数の多分化能性細胞または多能性細胞がマトリックスに付着している。ある態様において、マトリックスコーティングはマトリックスの層、好ましくは薄層の形である。
1態様においてはマイクロキャリアが提供され、その際、マイクロキャリアは多分化能性細胞または多能性細胞をインビトロ懸濁培養において成長および/または分化させる際に使用するのに適切であり、マイクロキャリアはセルロース、デキストラン、ヒドロキシル化メタクリレート、またはコラーゲンのうち1以上を含み、マイクロキャリアは細長い形状をもち、約2000μm未満の最長寸法および約10μmより大きい最短寸法をもち、マイクロキャリアの表面はマトリックス中にコートされており、1個または複数の多分化能性細胞または多能性細胞がマトリックスコーティングに付着している。
ある態様において、マイクロキャリアはロッド形である。ある態様において、マトリックスコーティングは、Matrigel(商標)(BD Biosciences)、ヒアルロン酸、ラミニンまたはフィブロネクチンのうち1以上を含む。ある態様において、マイクロキャリアは陽電荷をもち、あるいは表面陽電荷をもつ。ある態様において、マイクロキャリアの最長寸法は50μm〜400μmである。
2種類以上の前記マイクロキャリアを含む集合体も提供される。
多分化能性または多能性の状態をもつ新たな細胞を生成するための多分化能性細胞または多能性細胞のインビトロでの培養における、マイクロキャリアの使用も提供される。多分化能性細胞または多能性細胞のインビトロ分化における、マイクロキャリアの使用も提供される。したがって、多分化能性細胞または多能性細胞をインビトロで培養して多分化能性または多能性の状態をもつ新たな細胞を生成する方法であって、多分化能性または多能性の状態をもつ新たな細胞を生成するのに適切な条件下でマイクロキャリアを培養することを含む方法も提供される。多分化能性細胞または多能性細胞をインビトロで分化させる方法であって、多分化能性細胞または多能性細胞の分化を誘導する条件下でマイクロキャリアを培養することを含む方法も提供される。
本発明者らは、本発明の他の観点により、霊長類またはヒトの幹細胞を伝播させる方法を提供し、この方法は(a)第1粒子に付着した霊長類またはヒトの第1幹細胞を用意し;(b)第2粒子に付着した霊長類またはヒトの第2幹細胞を用意し;(c)霊長類またはヒトの第1幹細胞を霊長類またはヒトの第2幹細胞に接触させて細胞の集合体を形成させ;そして(d)集合体を培養して霊長類またはヒトの幹細胞を少なくとも1継代伝播させることを含み;その際、第1および第2粒子はそれぞれその上にコートされたマトリックスを含み、陽電荷をもち、粒子はそれに付着した霊長類またはヒトの幹細胞を集合させることができるサイズのものである。
前記の粒子または各粒子は、前記の本発明の観点に述べた特徴を含むことができる。
この方法は、霊長類またはヒトの幹細胞を多数継代、連続伝播させるのを可能にすることができる。この方法は、霊長類またはヒトの幹細胞を少なくとも5、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも13、または少なくとも14継代、連続伝播させるのを可能にすることができる。この方法は、2Dコロニー培養への、または2Dコロニー培養からの継代を含むことができる。
前記の方法は、霊長類またはヒトの幹細胞の凍結および融解を含むことができる。この方法は、30rpm以上、または100rpm以上での撹拌を含むことができる。この方法は、霊長類またはヒトの幹細胞を25ml以上または50ml以上の体積で伝播させるのを含むことができる。この方法は、霊長類またはヒトの幹細胞をスピナー懸濁培養において伝播させるのを含むことができる。
伝播した霊長類またはヒトの幹細胞は、前記の回数の継代後、霊長類またはヒトの幹細胞の生物活性のうち少なくとも1つを保持することができる。霊長類またはヒトの幹細胞
の生物活性は、(i)多分化能性マーカーの発現;(ii)細胞の生存率;(iii)正常な核型(karyotype);(iv)内胚葉、外胚葉および中胚葉に分化する能力からなる群から選択できる。霊長類またはヒトの幹細胞の生物活性は、OCT−4、SSEA−4、TRA−1−60およびMab84からなる群から選択される多分化能性マーカーの発現を含むことができる。
前記の方法は、霊長類またはヒトの幹細胞を1:6以上、1:10以上、1:15以上、1:20以上、または1:26以上の分割比率(split ratio)で継代するのを可能にすることができる。前記の方法は、霊長類またはヒトの幹細胞を200万細胞/ml以上の体積生産量にまで伝播させることができる。
前記の方法は、霊長類またはヒトの幹細胞を無血清培地または幹細胞用馴化培地中で伝播させることを含むことができる。
前記の方法は、さらに、霊長類またはヒトの幹細胞を粒子から分離する工程を含むことができる。
本発明の他の観点として、分化した細胞を生成する方法が提供され、この方法は、本発明の前記の観点により霊長類またはヒトの幹細胞を伝播させ、そして霊長類またはヒトの幹細胞を分化させることを含む。
本発明者らは、本発明の他の観点により、胚様体を生成するための方法を提供し、この方法は、本発明の前記の観点により霊長類またはヒトの幹細胞を伝播させ、そして霊長類またはヒトの幹細胞を培養して胚様体を形成させることを含む。
本発明は、他の観点において、処置の必要な個体において疾患を処置する方法を提供し、この方法は、本発明の前記の観点により霊長類またはヒトの幹細胞を伝播させ、本発明の前記の観点により分化した細胞を生成し、あるいは本発明の前記の観点により胚様体を形成し、そして霊長類またはヒトの幹細胞、分化した細胞、または胚様体を個体に投与することを含む。
霊長類またはヒトの幹細胞は、霊長類もしくはヒトの胚性幹細胞、霊長類もしくはヒトの成体幹細胞、または霊長類もしくはヒトの誘導された多分化能性幹細胞を含むことができる。
本発明の他の観点においては、それに幹細胞が付着した2以上の粒子を含む(それぞれ本発明のいずれかの観点による)集合体が提供される。
本発明の他の観点により、本発明者らは、本発明の観点による粒子または本発明の上記の観点による集合体を含む、細胞培養物を提供する。
本発明者らは、本発明の他の観点により、本発明の観点による粒子または本発明の前記の観点による集合体を細胞培養培地と共に含む、容器を提供する。
本発明の他の観点によれば、霊長類またはヒトの幹細胞を伝播させるためのデバイスが提供され、このデバイスは、本発明の観点による粒子または本発明の前記の観点による集合体を含む。
前記の容器またはデバイスはバイオリアクターであってもよい。
本発明の他の観点として、本発明者らは、本発明の前記の観点による方法により伝播させた霊長類またはヒトの幹細胞、本発明の前記の観点による方法により生成した分化した細胞、または本発明の前記の観点による方法により生成した胚様体を提供する。
本発明の他の観点によれば、霊長類またはヒトの幹細胞を伝播および/または分化させるための粒子の使用が提供され、この粒子はDE−52(Whatman)、DE−53(Whatman)、QA−52(Whatman)、TSKgel Tresyl−5Pw(東ソー)またはToyopearl AF−Tresyl−650(東ソー)、SM1010(Blue Membranes)およびSH1010(Blue Membranes)から選択される。
本発明の1観点によれば、ヒト胚性幹細胞(hESC)をインビトロ懸濁培養において伝播させる方法が提供され、この方法は、
(i)hESCを複数のマイクロキャリアに付着させ;
(ii)(i)からのマイクロキャリアを懸濁培養において、hESCの数を拡張させるのに十分な期間、培養し;
(iii)(ii)からの拡張したhESC集団を継代し;
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも5継代反復し、その際、各反復サイクルにおいて、工程(i)のhESCはその前の反復サイクルの工程(iii)の継代細胞から得られる
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中のhESCは多分化能性であり、マイクロキャリアは
(a)最長寸法が250μm〜10μmであるコンパクトな形状;または
(b)細長い形状
をもち、マイクロキャリアはMatrigelおよびヒアルロン酸のうち一方または両方を含むマトリックスコーティングでコートされている。
マイクロキャリアに付与されるマトリックスコーティングは、場合によりMatrigelおよび/またはヒアルロン酸からなることができる。
ある好ましい態様において、マイクロキャリアは実質的に球形の形状であり、90μm〜10μm、より好ましくは80μm〜40μm、または70μm〜50μmの直径をもつ。ある態様において、マイクロキャリアは実質的に球形の形状であり、約65μmの直径をもつ。
他の好ましい態様において、マイクロキャリアはロッド形である。好ましくは、ロッド形のマイクロキャリアは2000μm〜20μmの最長寸法をもつ。好ましい態様において、マイクロキャリアは、プラスチック、ガラス、セラミック、シリコーン、ゼラチン、デキストラン、セルロース、ヒドロキシル化メタクリレート、ポリスチレン、またはコラーゲンのうち1以上から構成される。特に好ましい態様において、マイクロキャリアはセルロース、デキストランまたはポリスチレンマイクロキャリアである。好ましいマイクロキャリアは、TSKgel Tresyl−5Pw(東ソー);Toyopearl AF−Tresyl−650(東ソー)、DE−52、DE−53、QA−52、Cytodex 1、Cytodex 3、Hillex、Hillex IIから選択される。ある態様において、マクロ多孔質またはミクロ多孔質のcarboseedマイクロキャリアである。マイクロキャリアは、たとえばプロタミンまたはポリリジンで誘導体化されて、陽電荷を生じてもよい。
ある態様では、継代の前に、工程(ii)においてhESCを集密状態またはほぼ集密状態にまで拡張させる。hESCを各工程(ii)において、または前記方法全体において拡張させて、これによりhESCの集団を、継代前に、工程(i)でマイクロキャリアに付着させたhESCの数より少なくとも0.2、少なくとも0.4、少なくとも0.5、少なくとも0.6、少なくとも0.8、または少なくとも1桁のいずれかで多くなるようにすることができる。hESCを各工程(ii)において、または前記方法全体において拡張させて、これによりhESCの集団を、継代前に、工程(i)でマイクロキャリア
に付着させたhESCの数より少なくとも2、3、4、5、10または20倍のいずれかで多くなるようにすることができる。
工程(iv)において、好ましくは工程(i)〜(iii)を通して少なくとも6継代、少なくとも7継代、少なくとも8継代、少なくとも9継代、少なくとも10継代、少なくとも11継代、少なくとも12継代、少なくとも13継代、少なくとも14継代、少なくとも15継代、少なくとも16継代、少なくとも17継代、少なくとも18継代、少なくとも19継代、少なくとも20継代、少なくとも21継代、少なくとも22継代、少なくとも23継代、少なくとも24継代、少なくとも25継代、少なくとも30継代、少なくとも40継代、少なくとも50継代、少なくとも60継代、少なくとも70継代、少なくとも80継代、少なくとも90継代、少なくとも100継代のいずれか反復する。
前記の方法において、拡張したヒト胚性幹細胞の有意割合が多分化能性であろう。好ましい態様においては、工程(iv)の後、培養物中の少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または実質的に100%のhESCが多分化能性である。
多分化能性は、Oct4、SSEA4、TRA−1−60およびMab84のうち1、2、3またはすべての発現を検出することにより測定できる。好ましい態様においては、工程(iv)の後、培養物中の少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または実質的に100%のhESCが、Oct4、SSEA4、TRA−1−60およびMab84のうち1、2、3またはすべてを発現する。
ある態様において、本方法は、培養物から得られる細胞総数において培養開始時の細胞数と比較してlog10の差を達成するのに十分な継代を継続することができる。
ある態様においては、ヒト胚性幹細胞をフィーダー細胞と共培養することができる。フィーダー細胞は培養物に添加するマイクロキャリアに付着させることができる。これらのマイクロキャリアは、本明細書に記載するように、場合によりマトリックスコーティング中にコートされていてもよい。あるいは、コートされていないマイクロキャリアにフィーダー細胞を付着させてもよい。ある態様においては、フィーダー細胞と幹細胞を同一マイクロキャリア(1以上)に接種することができる。
好ましくは、ヒト胚性幹細胞数の拡張は、実質的にあらゆる継代間で起きる;たとえば、ヒト胚性幹細胞の数は少なくとも70%の継代間で、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または実質的に100%の継代間で増加する。
本発明による方法は、別の培養システム、たとえば2D培養への継代またはそれからの継代を含むことができる。培養システム間での移植を容易にするために、細胞をたとえば凍結して保存し、そして融解することができる。
ある態様においては、ヒト胚性幹細胞を、限られた期間、他の粒子/表面で培養することができる。たとえば、工程(ii)または(iii)からのヒト胚性幹細胞を、限られた継代回数(たとえば5未満、より好ましくは3未満、より好ましくは1)について2D培養において培養した後、マトリックスコートしたマイクロキャリア上での培養に戻すことができる。同様な例で、工程(ii)または(iii)からのヒト胚性幹細胞を、限られた継代回数(たとえば5未満、より好ましくは3未満、より好ましくは1)についてマトリックスコートしていないマイクロキャリア上で培養した後、マトリックスコートしたマイクロキャリア上での培養に戻すことができる。
ある態様においては、ヒト胚性幹細胞を前記の培養法から取り出して、限られた継代回数(たとえば5未満、より好ましくは3未満、より好ましくは1)について別の培養システムで維持した後、本発明による懸濁培養に戻すことができる。
他の態様においては、ヒト胚性幹細胞を前記の培養法から取り出し、保存(たとえば凍結細胞として)した後、本発明による懸濁培養に戻すことができる。
そのような態様において、本発明による懸濁培養に戻すのは同一培養に戻すことを必要としない。本発明による懸濁培養は、たとえば細胞の凍結および/または移植の後に、異なる場所で継続することすらできる。
したがって、本発明の他の観点においては、ヒト胚性幹細胞(hESC)をインビトロ懸濁培養において伝播させる方法が提供され、この方法は、
(i)hESCを複数のマイクロキャリアに付着させ;
(ii)(i)からのマイクロキャリアを懸濁培養において、hESCの数を拡張させるのに十分な期間、培養し;
(iii)(ii)からの拡張したhESC集団を継代し;
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも5継代反復し、その際、各反復サイクルにおいて、工程(i)のhESCはその前の反復サイクルの工程(iii)の継代細胞から得られる
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中のhESCは多分化能性であり、マイクロキャリアは
(a)最長寸法が250μm〜10μmであるコンパクトな形状;または
(b)細長い形状
をもち、その際、工程(i)〜(iii)のサイクルの少なくとも60%について、マイクロキャリアはMatrigelおよびヒアルロン酸のうち一方または両方を含むマトリックスコーティング中にコートされている。
好ましくは、工程(i)〜(iii)のサイクルの少なくとも70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または実質的に100%について、マイクロキャリアはMatrigelおよびヒアルロン酸のうち一方または両方を含むマトリックスコーティング中にコートされている。
本発明による方法は、細胞培養物の連続的または間欠的な撹拌、たとえば約5から約200rpmまで、約5から約150rpmまで、約5から約100rpmまで、約30rpm以上、約50rpm以上、または約100rpm以上の撹拌を含むことができる。あるいは、本発明方法は静止培養を含むことができる。
ある態様においては、細胞の分化を誘導するために撹拌速度または撹拌量の増大を採用でき、これに対し、より低い撹拌速度または撹拌量を採用して、有意の分化を誘導することなく多分化能性または多能性の細胞集団を拡張させることができる。
有意の分化を誘導することなく多分化能性または多能性の細胞集団を培養するためには、培養物を約5rpmから約100rpmまで、約5rpmから約50rpmまで、約5rpmから約40rpmまで、約5rpmから約30rpmまで、約5rpmから約25rpmまで、約5rpmから約20rpmまで、約5rpmから約15rpmまで、約5rpmから約10rpmまでで撹拌することができる。
有意の分化を誘導するするためには、培養物を約25rpmから約200rpmまでまたはそれ以上、たとえば約30rpmから約200rpmまでまたはそれ以上、約35rpmから約200rpmまでまたはそれ以上、約40rpmから約200rpmまでまた
はそれ以上、約45rpmから約200rpmまでまたはそれ以上、約50rpmから約200rpmまでまたはそれ以上、約75rpmから約200rpmまでまたはそれ以上、約100rpmから約200rpmまでまたはそれ以上で撹拌することができる。
細胞の有意の分化には、培養物中の少なくとも約10%の細胞が分化している状態を含めることができる。あるいは、これは培養物中の約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%のうち少なくともいずれかの細胞が分化している状態であってもよい。
したがって、本発明方法は、細胞をそれらの多分化能性または多能性状態を維持したまま培養するために、方法の第1部を第1の速度または量で撹拌して実施し、続いて培養物中の細胞を分化させるために、第2の速度または量で撹拌して細胞を培養する第2部を実施することを含むことができる。第1の速度または量は、好ましくは第2の速度または量より小さい。したがって、本発明方法の第1部は多分化能性または多能性の細胞集団を拡張させることができ、本発明方法の第2部はそれらの細胞の一部または全部が内胚葉、外胚葉および中胚葉の系列へ分化するプロセスを開始することができる。
伝播したヒト胚性幹細胞は、好ましくは前記の継代回数の後、ヒト胚性幹細胞の少なくとも1つの生物活性を保持する。この生物活性は、(i)多分化能性マーカーの発現;(ii)細胞生存率;(iii)正常な核型;(iv)内胚葉、外胚葉および中胚葉に分化する能力からなる群から選択できる。生物活性は、OCT−4、SSEA−4、TRA−1−60およびMab84からなる群から選択される多分化能性マーカーの発現を含むことができる。
本発明による方法は、好ましくはヒト胚性幹細胞を1:6以上、1:10以上、1:15以上、1:20以上、または1:26以上の分割比率で継代することを可能にする。
本発明による方法は、好ましくはヒト胚性幹細胞を200万細胞/ml以上の体積生産量にまで伝播させることができる。
本発明による方法は、さらに、ヒト胚性幹細胞を粒子から分離する工程を含むことができる。
分化した細胞を生成するための方法も提供され、この方法は、本発明方法によりヒト胚性幹細胞を伝播させ、続いてヒト胚性幹細胞を分化させることを含む。
胚様体を生成するための方法も提供され、この方法は、本発明方法によりヒト胚性幹細胞を伝播させ、そしてヒト胚性幹細胞を培養して胚様体を生成させることを含む。
処置の必要な個体において疾患を処置する方法も提供され、この方法は、本発明方法によりヒト胚性幹細胞を伝播させ、分化した細胞または胚様体を生成し、そしてヒト胚性幹細胞、分化した細胞、または胚様体を個体に投与することを含む。
本発明の実施には、別途指示しない限り、一般的な化学、分子生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の技術が採用され、それらは当業者がなしうる範囲内である。そのような技術は文献中に説明されている。たとえば下記を参照:J. Sambrook, E. F. Fritsch, and T. Maniatis, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Books 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Ausubel, F. M. et al. (1995 and periodic supplements; Current Protocols in Molecular Biology, ch. 9, 13, and 16, John Wiley & Sons, New York, N.Y.); B. Roe, J. Crabtree, and A. Kahn, 1996, DNA Isolation and Sequencing: Essential Techniques, John Wiley & Sons; J. M. Polak and James O’D. McGee, 1990, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach,
Irl Press; D. M. J. Lilley and J. E. Dahlberg, 1992, Methods of Enzymology: DNA
Structure Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology,
Academic Press; Using Antibodies : A Laboratory Manual : Portable Protocol NO. I by Edward Harlow, David Lane, Ed Harlow (1999, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ISBN 0-87969-544-7); Antibodies : A Laboratory Manual by Ed Harlow (Editor), David Lane (Editor) (1988, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ISBN 0-87969-314-2), 1855; and Lab Ref: A Handbook of Recipes, Reagents, and Other Reference Tools for Use at the Bench, Edited Jane Roskams and Linda Rodgers, 2002, Cold Spring Harbor Laboratory, ISBN 0-87969-630-3。これらの全般的テキストそれぞれを本明細書に援用する。
本発明には、前記の観点および好ましい特徴の組合わせが含まれる;ただし、そのような組合わせが明らかに許容できない場合または殊に避けるべきである場合を除く。
本明細書中で用いるセクション表題は組織化のためのものにすぎず、記載する主題を限定するものと解すべきではない。
本発明の観点および態様を、たとえば添付の図面を参照して以下に説明する。他の観点および態様は当業者に明らかであろう。本明細書に述べるすべての文献およびテキストを本明細書に援用する。
本発明の原理を説明する態様および実験を、添付の図面を参照して以下に述べる:
図1は、hESCを付着および成長させることができるマイクロキャリアを示す。3タイプのマイクロキャリアを用いた;ロッド形セルロースマイクロキャリア;小型球形の東ソー・親水性マイクロキャリア;ならびに大型球形ミクロ多孔質およびマクロ多孔質carboseedマイクロキャリア。図1Aは、セルロースマイクロキャリアを示す。 図1は、hESCを付着および成長させることができるマイクロキャリアを示す。3タイプのマイクロキャリアを用いた;ロッド形セルロースマイクロキャリア;小型球形の東ソー・親水性マイクロキャリア;ならびに大型球形ミクロ多孔質およびマクロ多孔質carboseedマイクロキャリア。図1Bは、東ソー(親水性)マイクロキャリアを示す。 図1は、hESCを付着および成長させることができるマイクロキャリアを示す。3タイプのマイクロキャリアを用いた;ロッド形セルロースマイクロキャリア;小型球形の東ソー・親水性マイクロキャリア;ならびに大型球形ミクロ多孔質およびマクロ多孔質carboseedマイクロキャリア。図1Cは、ミクロ多孔質carboseedマイクロキャリアを示す。 図1は、hESCを付着および成長させることができるマイクロキャリアを示す。3タイプのマイクロキャリアを用いた;ロッド形セルロースマイクロキャリア;小型球形の東ソー・親水性マイクロキャリア;ならびに大型球形ミクロ多孔質およびマクロ多孔質carboseedマイクロキャリア。図1Dは、マクロ多孔質carboseedマイクロキャリアを示す。 図2は、hESC培養物(HES−2およびHES−3)の接種、継代および品質管理を示す。コロニー2D培養物を機械的解離または酵素解離によりマイクロキャリアへ移植し、そして両方法によりマイクロキャリア培養物をマイクロキャリアへ継代するワークフロー。 図3は、hESC培養物(HES−2およびHES−3)の接種、継代および品質管理を示す。マイクロキャリア培養物を元の2Dコロニー培養へ移植し、またマイクロキャリア培養物を連続継代し、続いて培養物を細胞数、生存率、多分化能性マーカーのフローサイトメトリー、組織学、核型、胚様体およびテラトーマ形成により特性分析するワークフロー。 図4は、本明細書に記載するマイクロキャリアがhESC培養物の凍結を支持しうることを示す。2DコロニーhESCを凍結し、そして培養のためにマイクロキャリア上へhESCを直接融解するワークフロー。マイクロキャリア培養物を再び凍結、融解および伝播させることもできる。 図5は、Knock Out馴化培地および規定培地における成長速度および代謝を示す。馴化培地、ならびに2種類の市販の無血清培地StemProおよびmTeSR−1中で培養したマイクロキャリアの成長速度、グルコース、グルタミン、ラクテート、アンモニア、アミノ酸の代謝、およびpHの測定。 図6は、hESC培養物(HES−3)の接種、継代および品質管理を示す。図6Aは、機械的解離後の多分化能性マーカーの保持を示す:細胞を100および500ミクロンのメッシュに通し、そしてマイクロキャリアに接種。hESCを100ミクロンのメッシュに通した後の多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。 図6は、hESC培養物(HES−3)の接種、継代および品質管理を示す。図6Bは、マイクロキャリア上の細胞をピペッティングにより機械的に分断し、続いて1:10希釈して新たなマイクロキャリアに接種した後の多分化能性マーカーの保持を示す。hESCをピペッティングに続いて1:10希釈してマイクロキャリア上へ付与した後の多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。 図6は、hESC培養物(HES−3)の接種、継代および品質管理を示す。図6Cは、対照の2Dコロニー培養を示す。 図6は、hESC培養物(HES−3)の接種、継代および品質管理を示す。図6Dは、酵素解離後の多分化能性マーカーの保持を示す:TrypLE処理したhESCをマイクロキャリア上に接種する。7日目に求めた細胞数=4.3E6細胞/ウェル。 図7は、hESC培養物(HES−3)の接種、継代および品質管理を示す。2DコロニーのhESCの7日目の培養物をtrypLE処理した後のものをマイクロキャリア培養物と対比。matrigelコートした静止セルロースマイクロキャリア上のhESC。図7A.2Dコロニー培養物中およびマイクロキャリア上のhESCの写真;0.8×および5×の倍率。 図7は、hESC培養物(HES−3)の接種、継代および品質管理を示す。2DコロニーのhESCの7日目の培養物をtrypLE処理した後のものをマイクロキャリア培養物と対比。matrigelコートした静止セルロースマイクロキャリア上のhESC。図7B.マイクロキャリア上の1および6日目のhESC;0.8×および5×の倍率。 図8は、hESC培養物(HES−3)の接種、継代および品質管理を示す。matrigelコートした静止セルロースマイクロキャリア上のhESC。図8A.継代5の後の多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。 図8は、hESC培養物(HES−3)の接種、継代および品質管理を示す。matrigelコートした静止セルロースマイクロキャリア上のhESC。図8B.継代9の後の多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。 図8は、hESC培養物(HES−3)の接種、継代および品質管理を示す。matrigelコートした静止セルロースマイクロキャリア上のhESC。図8Cおよび図8Dは、matrigelコートした静止セルロースマイクロキャリア上での継代4および6におけるhESCの安定なFACSを示す。核数は700〜800万/ウェルの範囲である。図8C.継代4の後の多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。 図8は、hESC培養物(HES−3)の接種、継代および品質管理を示す。matrigelコートした静止セルロースマイクロキャリア上のhESC。図8Cおよび図8Dは、matrigelコートした静止セルロースマイクロキャリア上での継代4および6におけるhESCの安定なFACSを示す。核数は700〜800万/ウェルの範囲である。図8D.継代6の後の多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。図8E.対照2Dコロニー培養における多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。核数は一般に200〜400万/ウェルにすぎない。 図9は、hESC培養物(HES−3)の接種、継代および品質管理を示す。馴化培地およびKO培地におけるマイクロキャリア培養物の位相差、DAPIおよびTRA−1−60染色による組織学的分析。hESCセルロースマイクロキャリア培養物の組織学的分析;継代3におけるHES−3。列1:機械的解離、Matrigelコートしたマイクロキャリア、CM中、静止。列2:trypLE酵素収穫、Matrigelコートしたマイクロキャリア、CM中、静止。列3:そのままの(native)マイクロキャリア、CM懸濁液中、100rpm。列4:そのままのマイクロキャリア、CM中、静止。 図10は、hESC培養物(HES−3)の接種、継代および品質管理を示す。hESCをマイクロキャリアからmatrigelコートした6cm組織培養ペトリ皿へ再播種(replating);P5からP6へ。核数=2000万細胞/プレート。図10A.マイクロキャリア培養を6cmペトリ皿上へ再播種した後の多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。 図10は、hESC培養物(HES−3)の接種、継代および品質管理を示す。hESCをマイクロキャリアからmatrigelコートした6cm組織培養ペトリ皿へ再播種(replating);P5からP6へ。核数=2000万細胞/プレート。図10B.再播種したhESCの写真;0.8×および5×の倍率。 図11は、hESC培養物の凍結を示す。図11A.凍結hESCコロニーをマイクロキャリア上へ直接融解した後の多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。7日目の核数=4.2×10E6細胞/ウェル、6ウェルプレート。 図11は、hESC培養物の凍結を示す。図11B.凍結、融解、およびそれらの各細胞数で培養した後のマイクロキャリア上のhESCの多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。14日目の核数=7.14×10細胞/ウェル。注釈:融解後の細胞死のため細胞をより長期間にわたって培養した。細胞は経時的に正常な成長速度を回復した。 図12は、Knock Out馴化培地における成長速度および代謝を示す。マイクロキャリア対−2Dコロニー培養におけるhESC成長速度の比較。マイクロキャリア対−2Dコロニー培養におけるhESC成長速度、およびそれらの関連pHプロフィール。接種密度0.67×10E6細胞/ウェル(培地5ml中に20mg/mlのマイクロキャリア)。 図13は、Knock Out馴化培地における成長速度および代謝を示す。マイクロキャリア対−2Dコロニー培養におけるhESC代謝の比較。マイクロキャリア対−2Dコロニー培養におけるhESCの1日当たりのグルコースおよびグルタミンの消費プロフィール、ならびにラクテートおよびアンモニアの産生プロフィール。 図14は、Knock Out馴化培地における成長速度および代謝を示す。マイクロキャリア対−2Dコロニー培養におけるhESC代謝の比較。マイクロキャリア対−2Dコロニー培養におけるhESCの1日当たりのグルコースおよびグルタミンの比消費率プロフィール、ならびにラクテートおよびアンモニアの比産生率。 図15は、Knock Out馴化培地における成長速度および代謝を示す。2Dコロニー培養からとマイクロキャリア培養からの接種を比較。マイクロキャリア(2Dコロニーから、またはマイクロキャリアから接種)−対−2Dコロニー培養対照上でのhESCの成長速度およびそれらの関連pHプロフィール。細胞数/ウェル:接種密度5×10E5細胞/ウェル。マイクロキャリアについての細胞数の方が高い。分割比率1:18。倍増時間:マイクロキャリア=33時間。2Dコロニー培養=58時間。pH測定:3条件すべてについて、5日目後にpHがより大きく低下。 図16は、Knock Out馴化培地における成長速度および代謝を示す。マイクロキャリア対−2Dコロニー培養におけるhESC代謝の比較。マイクロキャリア対−2Dコロニー培養におけるhESC代謝の比較。マイクロキャリア(2Dコロニーから、またはマイクロキャリアから接種)−対−2Dコロニー培養におけるhESCの1日当たりのグルコースおよびグルタミンの消費プロフィール、ならびにラクテートおよびアンモニアの産生プロフィール。 図16は、Knock Out馴化培地における成長速度および代謝を示す。マイクロキャリア対−2Dコロニー培養におけるhESC代謝の比較。マイクロキャリア対−2Dコロニー培養におけるhESC代謝の比較。マイクロキャリア(2Dコロニーから、またはマイクロキャリアから接種)−対−2Dコロニー培養におけるhESCの1日当たりのグルコースおよびグルタミンの消費プロフィール、ならびにラクテートおよびアンモニアの産生プロフィール。 図17は、Knock Out馴化培地における成長速度および代謝を示す。マイクロキャリア対−2Dコロニー培養におけるhESC代謝の比較。マイクロキャリア(2Dコロニーから、またはマイクロキャリアから接種)−対−2Dコロニー培養におけるhESCの1日当たりのグルコースおよびグルタミンの比消費率プロフィール、ならびにラクテートおよびアンモニアの比産生率。 図17は、Knock Out馴化培地における成長速度および代謝を示す。マイクロキャリア対−2Dコロニー培養におけるhESC代謝の比較。マイクロキャリア(2Dコロニーから、またはマイクロキャリアから接種)−対−2Dコロニー培養におけるhESCの1日当たりのグルコースおよびグルタミンの比消費率プロフィール、ならびにラクテートおよびアンモニアの比産生率。 図18は、無血清規定培地における成長速度および代謝を示す。StemPro無血清培地(継代5)およびmTeSR−1(継代4)中でのマイクロキャリアにおけるhESCの多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。 図19は、キャリアのコーティングを示す。ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、デキストラン硫酸。ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、デキストラン硫酸、馴化培地、KO培地およびmatrigelでコートしたセルロースマイクロキャリアの7日目の細胞数。 図20は、matrigelコートしたマイクロキャリア上のhESCを100rpmで撹拌したものを示す。100rpmで撹拌したマイクロキャリア上のhESCの1および6日目の写真;0.8×および5×の倍率。 図21は、100、150rpmにおける撹拌を示す。100および150rpmで撹拌したmatrigelコートしたキャリアについてのFACS結果。注釈:両実験ともマイクロキャリア上のhESCから継代した。図21A.100rpmで撹拌したマイクロキャリア上のhESCの多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。 図21は、100、150rpmにおける撹拌を示す。100および150rpmで撹拌したmatrigelコートしたキャリアについてのFACS結果。注釈:両実験ともマイクロキャリア上のhESCから継代した。図21B.150rpmで撹拌したマイクロキャリア上のhESCの多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。 図22は、matrigelコートしたマイクロキャリア上のhESCを150rpmで撹拌したものを示す。150rpmで撹拌したマイクロキャリア上のhESCの1および6日目の写真;0.8×および5×の倍率。 図23は150rpmで連続2週間撹拌した、matrigelコートしたキャリアについてのFACS結果を示す。150rpmで撹拌したマイクロキャリア上のhESCの継代1および2における多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。 図24は、静止培養および150rpm培養におけるマイクロキャリア上の継代2のHES−2を示す。2Dコロニーおよび150rpmで撹拌したマイクロキャリア培養からのhESC(HES−2細胞系)の継代2における多分化能性マーカーOct−4およびTRA−1−60のFACS。 図25は、2Dコロニー培養−対−静止、100rpmおよび150rpmにおけるマイクロキャリア培養のHES−2を示す。連続7継代にわたる2Dコロニー、静止状態、100rpmおよび150rpmでの撹拌におけるマイクロキャリアで培養したhESCの細胞数。 図26は、2Dコロニー培養−対−静止および100rpmにおけるマイクロキャリア培養のHES−2を示す。図26A.2Dコロニーで培養したhESCの多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。 図26は、2Dコロニー培養−対−静止および100rpmにおけるマイクロキャリア培養のHES−2を示す。図26B.マイクロキャリアにおいて静止状態で培養したhESCの多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。 図26は、2Dコロニー培養−対−静止および100rpmにおけるマイクロキャリア培養のHES−2を示す。図26C.100rpmで培養および撹拌したhESCの多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS;継代5。 図27は、キャリアの電荷を示す−DE52、DE53、Q53。図27A.セルロースマイクロキャリアDE52で培養したhESCの多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。図27B.セルロースマイクロキャリアDE53で培養したhESCの多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。図27C.セルロースマイクロキャリアQA52で培養したhESCの多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS;継代3。 図28は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。カーボンcarboseedマイクロキャリア上のhESC。DAPIおよびTRA−1−60で染色した、5日目のカーボンマイクロキャリア上のマイクロキャリア培養物の組織学的分析。DAPIおよびTRA−1−60で染色した、7日目のカーボンマイクロキャリア上のマイクロキャリア培養物の組織学的分析。 図29は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。異なるコーティングをもつミクロ多孔質カーボン(SH1010)マイクロキャリア上でのHES3の増殖を、24ウェルプレート内で対照と比較。コートしていないSH1010ミクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上、フィブロネクチンまたはmatrigelでコートしたものにおけるhESCの成長速度を、2Dコロニー対照と比較。 図30は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。染色ビーズ:3日目。ミクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上でのhESC培養物の位相差、DAPIおよびTRA−1−60染色による組織学的分析;コートしていないかmatrigelまたはフィブロネクチンでコートしたマイクロキャリア上、3日目。 図31は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。染色ビーズ:5日目。ミクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上でのhESC培養物の位相差、DAPIおよびTRA−1−60染色による組織学的分析;コートしていないかmatrigelまたはフィブロネクチンコートしたマイクロキャリア上、5日目。 図32は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。染色ビーズ:7日目。ミクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上でのhESC培養物の位相差、DAPIおよびTRA−1−60染色による組織学的分析;コートしていないかmatrigelまたはフィブロネクチンコートしたマイクロキャリア上、7日目。 図33は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。7日目のFnコートしたカーボンビーズと対照の間のOct−4、Tra−1−60およびSSEA−4発現レベルのFACS分析および比較。2Dコロニー対照およびフィブロネクチンコートしたミクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上で培養したhESCの多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。 図34は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。Fnコートしたカーボンビーズ−対−対照におけるOct−4 GFP HES2。図34A.2Dコロニー対照およびフィブロネクチンコートしたミクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上でのhESCの成長。生存率>95%。 図34は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。Fnコートしたカーボンビーズ−対−対照におけるOct−4 GFP HES2。図34B.両条件における多分化能性マーカーOct−4のFACS。 図35は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。SH1010およびSM1010マイクロキャリア対−2Dコロニー対照(OCD)の比較。2Dコロニー対照ならびにフィブロネクチンコートしたマクロ多孔質(SH1010)およびミクロ多孔質(SM1010)カーボンマイクロキャリア上でのhESCの成長。 図36は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。フィブロネクチンコートしたマクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上で培養したhESCの多分化能性マーカーOct−4およびTRA−1−60のFACS。 図36は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。フィブロネクチンコートしたマクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上で培養したhESCの多分化能性マーカーOct−4およびTRA−1−60のFACS。 図37は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。DAPI、ファロイジン(Phalloidin)およびTRA−1−60で染色したマクロ多孔質およびミクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上のhESC培養物の組織学的分析。 図38は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。15日目のマイクロキャリア培養物。matrigelコートしたマクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上での15日間にわたるhESCの成長を7日間にわたる2Dコロニー対照と比較。 図39は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。フィブロネクチンコートしたマクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上で15日間にわたって培養したhESCの多分化能性マーカーOct−4およびTRA−1−60のFACS。 図39は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。フィブロネクチンコートしたマクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上で15日間にわたって培養したhESCの多分化能性マーカーOct−4およびTRA−1−60のFACS。 図40は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。馴化培地の供給を増加。2倍体積−対−1倍体積を供給したカーボンマイクロキャリア上でのhESCの成長を2Dコロニー対照と比較。 図41は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。マクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上で2倍体積を供給して培養したhESCの多分化能性マーカーOct−4およびTRA−1−60のFACS。 図41は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。マクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上で2倍体積を供給して培養したhESCの多分化能性マーカーOct−4およびTRA−1−60のFACS。 図42は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。DAPI、ファロイジンおよびTRA−1−60で染色したマクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上でのhESC培養物の組織学的分析。 図43は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。マクロ多孔質マイクロキャリア上で成長させたHES2 GFP細胞系を2Dコロニー対照と対比。図43Aおよび43B.マクロ多孔質マイクロキャリア上で成長させたもうひとつの細胞系(HES−2)についての二重実験を2Dコロニー対照と対比。 図43は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。マクロ多孔質マイクロキャリア上で成長させたHES2 GFP細胞系を2Dコロニー対照と対比。図43Aおよび43B.マクロ多孔質マイクロキャリア上で成長させたもうひとつの細胞系(HES−2)についての二重実験を2Dコロニー対照と対比。 図44は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。マクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上で培養したHES−2細胞系の7日後の多分化能性マーカーOct−4およびTRA−1−60のFACS。 図44は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。マクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上で培養したHES−2細胞系の7日後の多分化能性マーカーOct−4およびTRA−1−60のFACS。 図45は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。2日毎に蛍光顕微鏡下でイメージを撮影;4×の倍率。画像は、マイクロキャリア上で培養したGFP細胞が1日目から7日目まで成長したことを示す。マクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上で7日間にわたって成長している蛍光HES−2 GFP細胞系の写真。 図46は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。1mmのマクロ多孔質ビーズを2D対照と対比。培養を12日目まで延長すると、細胞密度が1.2×10e6細胞にまで増大した。図46A.静止、高速混合(30分毎)および低速混合(2時間毎)したmatrigelまたはフィブロネクチンでコートしたカーボンマイクロキャリア上に接種した後のhESCの成長を、matrigelまたはフィブロネクチンでコートした2Dコロニー対照と対比。High mix(高速混合)−30分毎。Low mix(2時間毎)−2時間毎。接種中の混合は、1mmビーズ上での細胞成長を低下させない。これらの条件下での多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。 図46は、キャリアのサイズおよび形状を示す−球形カーボンビーズ。1mmのマクロ多孔質ビーズを2D対照と対比。培養を12日目まで延長すると、細胞密度が1.2×10e6細胞にまで増大した。図46B.多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60の発現は安定している。 図47は、マイクロキャリア上の共培養およびフィーダーを示す。図47A.Cytodex上のフィーダーとセルロースマイクロキャリア上のhESCとの写真。 図47は、マイクロキャリア上の共培養およびフィーダーを示す。図47B.ポリリジンコートした東ソー上のフィーダーとセルロースマイクロキャリア上のhESCとの写真。 図48は、マイクロキャリア上の共培養およびフィーダーを示す。図48A.Cytodex上のフィーダーとセルロースマイクロキャリア上のhESCとの共培養物の多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。 図48は、マイクロキャリア上の共培養およびフィーダーを示す。図48B.ポリリジンコートした東ソー上のフィーダーとセルロースマイクロキャリア上のhESCとの共培養の多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60のFACS。 図49は、スピナー培養を示す。マイクロキャリア上での50mlスピナー培養におけるhESCの指数成長プロフィールを、静止マイクロキャリア培養および2Dコロニー培養と比較。 図50は、継代6における核型が正常である特性分析データを示す。セルロースマイクロキャリア上で6回連続継代した後(24細胞倍増と同等)のHES−2およびHES−3細胞系の核型は正常。 図51は、セルロースマイクロキャリア上と2Dコロニー培養とのhESC成長の比較を示す。 図52は、MatrigelコートしたDE53キャリア上でのhESC培養の継代15および16におけるOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現を示す。 図53は、MatrigelコートしたDE53キャリア上でのhESC培養の継代21〜23における、および継代23を2Dコロニー培養へ再播種した後の、Oct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現を示す。 図54は、HES−3のマイクロキャリア培養が継代22および25に至るまで正常な46XX核型を保持していることを示す。 図55は、HES−2のマイクロキャリア培養が継代14に至るまで正常な46XX核型を保持していることを示す。 図56は、継代3および27におけるマイクロキャリア培養からのhESCが胚様体に分化しており、内胚葉(アミラーゼおよびGATA6)、外胚葉(ケラチンおよびニューロフィラメントNF)および中胚葉(MSX1およびHAND1)の遺伝子により表わされる3胚葉の細胞を形成できたことを示す。 図57(A〜C)は、図56からの3胚葉の細胞についてテラトーマが形成されたことを示す。 図58は、マイクロキャリア上でのhESCの成長を示す;mTeSR1−対−StemPRO培地。 図59は、マイクロキャリア上でのhESCの倍増時間の比較を示す;mTeSR1−対−StemPRO培地。 図60は、hESCマイクロキャリア培養について規定培地(mTeSR1−対−StemPRO)における代謝の比較を示す。 図61は、hESCマイクロキャリア培養について規定培地(mTeSR1−対−StemPRO)における代謝の比較を示す。 図62は、hESCマイクロキャリア培養について規定培地(mTeSR1−対−StemPRO)におけるイオンおよびオスモル濃度(osmolarity)の比較を示す。 図63は、hESCマイクロキャリア培養について規定培地(mTeSR1−対−StemPRO)におけるアミノ酸分析を示す。 図64は、下記を示す:(a)mTeSR1中でのhESCマイクロキャリア培養についてのアミノ酸消費率;(b)StemPRO中でのhESCマイクロキャリア培養についてのアミノ酸消費率。 図65は、mTeSR1およびStemPRO中でのhESCマイクロキャリア培養についてpHおよび細胞総数を示す。 図66は、mTeSR1およびStemPRO中でのhESCマイクロキャリア培養について成長速度を示す。 図67は、HES−3細胞の成長を示す。静止マイクロキャリア培養、20rpm撹拌での50mlスピナーフラスコ、単層培養、および25rpm撹拌での50mlスピナーフラスコの比較。 図68は、マイクロキャリアスピナーフラスコ培養からの馴化培地の代謝産物分析を示す。 図69は、マイクロキャリアスピナーフラスコ培養からの馴化培地中における代謝産物の比産生率を示す。 図70は、マイクロキャリアスピナーフラスコ培養からのpHおよびオスモル濃度(osmolarity)状態を示す。 図71は、マイクロキャリアスピナーフラスコ培養におけるOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現を示す。多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60は、3および4日目に高い状態を保持している。 図72は、マイクロキャリアスピナーフラスコ培養におけるhESCの形態が、4および5日目にマイクロキャリア上で緻密な集合体のままであることを示す。 図73は、マイクロキャリアスピナーフラスコ培養におけるHES−2の成長を示す。 図74は、マイクロキャリアスピナーフラスコ培養における多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現が、スピナー培養の開始時に2Dコロニー対照と同等であったことを示す。 図75は、マイクロキャリアスピナーフラスコ培養における多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現が、ピーク細胞密度に達した5および7日目に高い状態を維持しており、対照静止培養と同等であったことを示す。 図76は、マイクロキャリアスピナーフラスコ培養におけるhESCが、5および7日目にマイクロキャリアの周りに大きな細胞集合体を形成していることを示す。 図77は、100mlのスピナーフラスコにおける350万細胞/mlの密度が、それぞれ200万細胞/mlを含む臓器培養皿(OCD)175個でhESCを生成するのと同等であることを示す。 図78は、Cytodex上のマウスフィーダー、およびフィーダーでコートしたポリリジンコートした東ソー・ビーズを、セルロースDE53マイクロキャリア上のhESCと一緒に共培養して成長した、セルロースマイクロキャリア上のhESCを示す。 図79は、hESCと、それぞれCytodex 3、東ソーおよびDE53マイクロキャリア上のフィーダー細胞との3種類の共培養物について、継代1におけるOct4、SSEA4およびTRA−1−60を示す。 図80は、Cytodex 3、東ソーおよびDE53マイクロキャリア上との3種類の異なる共培養物において、継代2におけるOct4、SSEA4およびTRA−1−60の強い発現を示す;これらはmatrigelコートしたマイクロキャリアを用いた対照と同等またはより良好である(図79を参照)。 図81は、MatrigelコートしたDE53マイクロキャリア上のhESCからのOct4およびTRA−1−60の発現を示す。 図82は、東ソー・マイクロキャリア(10μmおよび65μm)上での継代P1における多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現を示す;4mgプロタミン(10μm)、0.2mgプロタミン+Matrigel(10μm)、4mgプロタミン+Matrigel(10μm)、4mgプロタミン+Matrigel(65μm)を含む。 図83は、ポリリジン 東ソー・ビーズを示す;matrigelコーティングを含まないものと含むもの、原液と30倍希釈濃度。 図84は、プロタミン 東ソー・ビーズを示す;matrigelコーティングを含まないものと含むもの、原液と30倍希釈濃度のもの。 図85は、ポリリジンコートおよびプロタミンコートした両方の東ソー・ビーズ(65ミクロン)の細胞数を示す;matrigelを含むものと含まないもの、4継代について。 図86は、ポリリジン 東ソー・マイクロキャリア上のhESCについて、多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の発現を示す;matrigelを含まないものと含むもの、継代1。 図87は、プロタミン 東ソー・マイクロキャリア上のhESCについて、多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の発現を示す;matrigelを含まないものと含むもの、継代1。 図88は、matrigelコートしたポリリジン 東ソー・マイクロキャリア上のhESCについて、継代2における多分化能性マーカーTRA−1−60の発現を示す。 図89は、matrigelコートしたプロタミン 東ソー・マイクロキャリア上のhESCの、継代2における多分化能性マーカーTRA−1−60の発現を示す。 図90は、matrigelコートしたポリリジン 東ソー・マイクロキャリア上のhESCの、継代3における多分化能性マーカーTRA−1−60の発現を示す。 図91は、matrigelコートしたプロタミン 東ソー・マイクロキャリア上のhESCの、継代3における多分化能性マーカーTRA−1−60の発現を示す。 図92は、matrigelでコートした大型ポリリジンおよびプロタミン 東ソー・ビーズ上で、継代4のhESCが未分化集合体を形成し続けることを示す。 図93は、matrigelコートしたポリリジンおよびプロタミン−マイクロキャリア上での、継代4におけるhESCの多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の継続発現を示す。 図94は、matrigelコーティングをもつポリリジンおよびプロタミン 東ソー・ビーズ上で5継代成長させたhESCの安定な細胞数を示す。 図95は、matrigelコーティングを含むポリリジンおよびプロタミン 東ソー・ビーズ上での、継代5におけるhESCの多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の継続発現を示す。 図96は、ポリリジンおよびプロタミン 東ソー・マイクロキャリア上の、継代5におけるhESC集合体を示す。 図97は、マイクロキャリア濃度を100万細胞当たり48,000ビーズに最適化すると、Matrigelコートしたポリリジン 東ソー・マイクロキャリアについて多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の発現が継代6と7の間でより高いレベルに回復したことを示す。 図98は、マイクロキャリア濃度を100万細胞当たり48,000ビーズに最適化すると、Matrigelコートしたプロタミン 東ソー・マイクロキャリアについて多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の発現が継代6と7の間でより高いレベルに回復したことを示す。 図99は、継代5まで、matrigelコートしたCytodex 3マイクロキャリアは撹拌(100および120rpmの両方)および非撹拌の両方の条件でhESCの成長を可能にしたことを示す。 図100は、継代7まで、撹拌しないmatrigelコートCytodex 3マイクロキャリア上でhESCが生存し続け、継代9にまで成長したことを示す。 図101は、matrigelを含まないCytodex 3マイクロキャリア上をhESCがほとんど覆っていないことを示す。 図102は、100rpmで撹拌したmatrigelを含まないCytodex 3マイクロキャリア上におけるhESCの大きなクラスターを示す。 図103は、撹拌しない条件におけるmatrigelコートしたCytodex 3マイクロキャリア上のhESCの集密成長を示す。 図104は、撹拌条件(100rpm)におけるmatrigelコートしたCytodex 3マイクロキャリア上のhESCの集密成長を示す。 図105は、matrigelを含まないCytodex 3上で、継代3により多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の発現がダウンレギュレーションされることを示す。 図106は、matrigelコートしたCytodex 3マイクロキャリアについて、継代9においてすらOct4、SSEA4およびTRA−1−60が強く発現することを示す。 図107は、matrigelを含まないCytodex 3上で撹拌条件において成長したhESCは、継代3により多分化能性マーカーがダウンレギュレーションされることを示す。 図108は、matrigelコーティングを含むCytodex 3上で撹拌条件において成長したhESCは、継代P3により多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60がダウンレギュレーションされることを示す。 図109は、継代13により、matrigelコートしたCytodex 3マイクロキャリアが静止条件ではOct4、SSEA4およびTRA−1−60を強く発現するhESCをなお支持することを示し、一方、フィブロネクチンおよびラミニンでコートしたCytodex 3は継代6において多分化能性マーカーの発現の低下を示した。 図110は、hESCの核型判定が、matrigelでコートしたCytodex 3上において11継代後に正常な46XX核型を示したことを示す。 図111は、Cytodex 1上で成長しているhESCを示す;matrigelコーティングを含むものと含まないもの。 図112は、Hillexマイクロキャリア上で成長しているhESCを示す;matrigelコーティングを含むものと含まないもの。 図113は、HillexおよびCytodex 1マイクロキャリア上のhESCの細胞数を示す;matrigelコーティングを含むものと含まないもの、撹拌するものと撹拌しないもの、3つの継代後。 図114は、HillexおよびCytodex 1マイクロキャリアの静止(撹拌しない)培養を継代9まで継代しうることを示す;matrigelを含むものと含まないもの。 図115は、Cytodex 1およびHillexマイクロキャリア上で成長したhESCの平均細胞濃度および平均拡張倍率を示す;matrigelを含むものと含まないもの。 図116は、MatrigelコートしたCytodex 1およびHillexマイクロキャリアが、コートしていないマイクロキャリアより集密状態であることを示す。Hillexマイクロキャリアは、培地からのフェノールレッドで赤色に着色し続ける。 図117は、Cytodex 1およびHillexについて、hESC多分化能性マーカー(Oct4、TRA−1−60およびmAb84)の代表的なプロットを示す;Matrigelを含むものと含まないもの、継代6。 図118は、Cytodex 1およびHillexについて、種々の継代における(2〜10継代)3種類の多分化能性マーカーOct4、TRA−1−60およびmAb84のFACS分析を示す;Matrigelを含むものと含まないもの。 図119は、継代13において、matrigelを含むCytodex 1上で培養したhESCが3種類の多分化能性マーカーを発現することを示す。 図120は、Cytodex 1およびHillexについて、hESC核型が正常なことを示す;Matrigelを含むものと含まないもの、継代7。 図121は、コンドロイチン硫酸、ヘパリンおよびヒアルロン酸のコーティングを含むDE53セルロースマイクロキャリアのhESC培養物について、継代P1における多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現を示す。 図122は、KO培地のコーティングを含むhESC DE53セルロースマイクロキャリア培養物について、継代P1における多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現を示す。 図123は、ヒアルロン酸(HA)+ヘパリン塩(HS)で、およびフィブロネクチン+HS+HAでコートした、DE−53セルロースマイクロキャリアを示す。 図124は、ヒアルロン酸(HA)で、およびフィブロネクチン+HAでコートした、DE−53セルロースマイクロキャリアを示す。 図125は、フィブロネクチン(FN);フィブロネクチン+HS+HA;およびHA+HSでコートしたDE53について、継代1によりTRA−1−60がダウンレギュレーションされることを示す。 図126は、HA+FN;およびHAでコートしたDE53について、継代1によりTRA−1−60がダウンレギュレーションされることを示す。 図127は、HS、FN、HS、I型コラーゲン、IV型コラーゲンおよびラミニンの組合わせでコートしたDE53について、継代1〜3における細胞数を示す。 図128は、セルロースDE−53マイクロキャリア上にコートしたECMとHAの種々の組合わせについて、hESCの形態を示す。 図129は、セルロースDE−53マイクロキャリア上にコートしたECMとHSの種々の組合わせについて、hESCの形態を示す。 図130は、HAコートしたDE−53およびHSコートしたDE−53上のhESCの形態を示す。 図131は、HAとI型コラーゲン、IV型コラーゲン、ラミニンおよびフィブロネクチンとの組合わせを含むマイクロキャリア上のhESCの形態が、他のECM組合わせと比較して緻密な細胞集合体を形成することを示す。 図132は、HA+COL1+FNおよびHA+COL4+FNのDE−53マトリックスコーティングについて、3継代後に多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60が発現し続けることを示す。 図133は、HA+COL1+FN+LMおよびHA+COL4+FN+LMのDE−53マトリックスコーティングについて、3継代後に多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60が発現し続けることを示す。 図134は、HS+COL1+FNおよびHS+COL4+FNのDE−53マトリックスコーティングについて、3継代後に多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60が発現し続けることを示す。 図135は、HS+COL1+FN+LMおよびHS+COL4+FN+LMのDE−53マトリックスコーティングについて、3継代後に多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60が発現し続けることを示す。 図136は、HAコートしたDE53セルロースマイクロキャリア上で活発なhESC成長が継続することを示す。 図137は、HAコートしたDE53セルロースマイクロキャリア上で多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の強い発現が継続することを示す。 図138は、HAコートしたDE53セルロースマイクロキャリア上で、継代8および9においてTRA−1−60の高い発現が継続することを示す。 図139は、HAコートしたDE−53セルロースマイクロキャリア上で継代6において成長した緻密なhESC集合体の形態を示す;2つの異なる倍率。 図140は、hESC懸濁培養に適したマイクロキャリアの模式図を示す。 図141、表1は、TeSR1およびStemPRO培地中でhESCにより消費および産生されたアミノ酸を示す。 図142、表2は、TeSR1およびStemPRO無血清培地中でhESCにより消費および産生されたアミノ酸の個々のレベルに関する詳細な情報を示す。 図143、表3は、Cytodex 3および東ソー・球形マイクロキャリア上のフィーダー細胞との共培養、ならびにロッド形セルロースDE53マイクロキャリア上との共培養における、継代0および継代1におけるhESCの細胞密度を示す。 図144、表4は、3種類の共培養物中のhESCの細胞数が、matrigelコートしたマイクロキャリア上の対照と比較して約2倍高いことを示す。 図145、表5は、小型(10ミクロン)および大型(65ミクロン)両方の東ソー・マイクロキャリアが、継代0および継代1においてhESCの成長を支持したことを示す;matrigelを含むものと含まないもの。 図146、表6は、ポリリジンおよびプロタミンコートした両方の東ソー・ビーズ(65ミクロン)の細胞数を示す;matrigelを含むものと含まないもの、4継代について。 図147、表7は、成長したhESCの細胞数がCytodex 3マイクロキャリア上で比較的安定であることを示す;matrigelでコートしたものとmatrigelを含まないもの、非撹拌条件および撹拌条件で3継代培養。 図148、表8は、セルロースマイクロキャリア上で成長したhESCの7日後の細胞数を示す;コンドロイチン硫酸(CS)、ヘパリン(HS)およびヒアルロン酸(HA)の種々のコーティングを含む;それらの最初の原液濃度から1:10〜1:80希釈;KO培地および馴化培地(CM)のコーティングを用いて成長した対照と比較;継代P0。 図149、表9は、継代P1において、hESCの細胞数がCS、HSおよびHAコートしたセルロースマイクロキャリアについて100万/ウェルより多く、KO培地のコーティングを含む対照と類似することを示す。 図150、表10は、DE−53セルロースマイクロキャリアについて、継代0および1における細胞数を示す;フィブロネクチン(FN);ヒアルロン酸(HA)+ヘパリンナトリウム塩(HS)+FN;HA+HS;HS+FN;およびHA中にコートしたもの。 図151、表11は、DE−53セルロースマイクロキャリアについて、継代1、2および3における細胞数を示す;HA+ColI+FN;HA+ColIV+FN;HA+ColI+FN+LM;HA+ColIV+FN+LM;HS+ColI+FN;HS+ColIV+FN;HS+ColI+FN+LM;HS+ColIV+FN+LM中にコートしたもの。 図152は、(左から右へ)100ミクロンのフィルター、機械的ピペッティング、TrypLE酵素消化を用いた継代後の、および2Dコロニー対照の、Oct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現を示すチャートである。 図153は、マイクロキャリア上でのhESCの連続継代を示す。9週間にわたる静止マイクロキャリア培養におけるhESCの細胞密度を示すグラフ、および継代9におけるOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現を示すチャート。 図154は、マイクロキャリアおよび2Dコロニー培養におけるhESCの細胞濃度を示すグラフである。 図155は、マイクロキャリアおよび2Dコロニー培養について、グルコースおよびグルタミンの比消費率、ならびにラクテートおよびアンモニアの比産生率を示すチャートである。 図156は、2種類の規定培地(mTeSR1およびStemPRO)中でのマイクロキャリア培養に際してのhESCの総数を示すチャートである。 図157は、規定培地(mTeSR1およびStemPRO)中でマイクロキャリア上において培養したhESCからのOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現を示すチャートである。 図158は、東ソー・マイクロキャリア上で培養した場合の、hESCの成長および継代、ならびにhESCからのOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現を示す、顕微鏡写真およびチャートである。 図159は、2Dコロニー培養、静止マイクロキャリア培養および撹拌マイクロキャリア培養におけるhESCの細胞濃度を示すチャートである。 図160は、(左から右へ)2Dコロニー培養、静止マイクロキャリア培養および撹拌マイクロキャリア培養におけるOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現率パーセントを示すチャートである。 図161は、撹拌マイクロキャリア培養(スピナーフラスコ)、静止マイクロキャリア培養および2D単層培養において培養したhESCについて細胞総数を示すチャートである。 図162は、セルロースマイクロキャリア上でのヒトiPS細胞の培養を示す顕微鏡写真である。 図163は、マイクロキャリア培養におけるヒトiPS細胞からのOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現、ならびに3継代にわたるマイクロキャリア培養におけるヒトiPS細胞の成長を示す、チャートである。 図164は、MatrigelコートしたDE53マイクロキャリア上での10継代にわたるヒトiPS細胞の成長の成功、継代10におけるマイクロキャリア培養iPS細胞からのOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現を示すチャート、ならびにMatrigelコートしたDE53マイクロキャリア上での10継代後のiPS細胞の顕微鏡写真である。 図165は、分化実験に用いたマイクロキャリアおよび種々のコーティングを示す表である。 図166は、ラミニン、フィブロネクチンおよびビトロネクチンでコートしたDE53マイクロキャリア上の細胞付着を、matrigelコートしたおよびコートしていないDE53マイクロキャリアならびに一般的なEB培養と比較して示す顕微鏡写真である。 図167は、ラミニン、フィブロネクチンおよびビトロネクチン中にコートしたDE53マイクロキャリア、ならびにプロタミンおよびプロタミン+ラミニンでコートした東ソー 65マイクロキャリアを用いた、心筋細胞分化実験における拍動面積のパーセントおよび総面積を示すチャートである。 図168は、ラミニンマイクロキャリア、matrigelマイクロキャリア、およびコートしていないマイクロキャリア上での心筋細胞分化実験における拍動性集合体の形成を示す顕微鏡写真である。 図169は、ラミニンマイクロキャリア、matrigelマイクロキャリア、およびコートしていないマイクロキャリア上での心筋細胞分化実験に際しての細胞の拡張を示すチャートである。 図170は、マイクロキャリア上での分化のための無血清培地bSFSに添加した添加剤を示す表である。 図171は、コートしていないマイクロキャリア上で、bSFS培地中における添加剤の使用により心筋細胞の形成が増強したことを示すチャートである。 図172は、マイクロキャリアからマイクロキャリアへ接種したhESCを用いるマイクロキャリア上での分化のための無血清培地bSFSまたはDMEM/F12+SB203580に添加した添加剤を示す表である。 図173は、図172に記載した添加剤の存在下でマイクロキャリアからマイクロキャリアへ接種したhESCからの心筋細胞形成が増強したことを示すチャートである。 図174は、Cytodex 3マイクロキャリア上で、図175に記載するマイクロキャリア濃度における、hESC由来MSCの成長を示すチャートである。 図175は、実施例42.1に用いたマイクロキャリアおよび細胞の濃度ならびに達成された倍増時間を示す表である。 図176は、Cytodex 3マイクロキャリア上で、図177に記載する細胞接種濃度における、hESC由来MSCの成長を示すチャートである。 図177は、実施例42.2に用いたマイクロキャリアおよび細胞の濃度ならびに達成された倍増時間を示す表である。 図178は、Cytodex 3マイクロキャリア上および単層対照培養におけるhESC由来MSCの成長の比較を示すチャートである。 図179は、実施例42.3に用いたマイクロキャリアおよび細胞の濃度ならびに達成された細胞密度および倍増時間を示す表である。 図180は、Cytodex 3マイクロキャリア上で3継代にわたるhESC由来MSCの成長を、2種類の継代方法について示すチャートである(実施例42.4を参照)。 図181は、Cytodex 3マイクロキャリア上で3継代にわたって成長させたhESC由来MSCについて達成された倍増時間を、2種類の継代方法について示すチャートである(実施例42.4を参照)。 図182は、Cytodex 3マイクロキャリア上で3継代にわたって成長させたhESC由来MSCについて、MSCマーカーCD34、CD29、CD73、CD45、CD44、CD90およびCD105に関する10日目のFACS分析を示す;マイクロキャリアの添加により継代した場合。 図183は、Cytodex 3マイクロキャリア上で3継代にわたって成長させたhESC由来MSCについて、MSCマーカーCD34、CD29、CD73、CD45、CD44、CD90、CD105に関する10日目のFACS分析を示す;trypLE酵素を用いる脱着に続いてマイクロキャリアの添加により継代した場合。 図184は、ラミニンコーティング(1〜3マイクログラム/グラム(セルロースマイクロキャリア))が、フィブロネクチンコートしたマイクロキャリアまたはコートしていないマイクロキャリアと比較して、より良好な細胞付着、したがって増大した数の拍動性集合体をもたらすことを示す。 図185は、ラミニンコートしたDE53マイクロキャリア培養における種々の培地補充物の評価を示し、化学的に規定された脂質混合物、ビタミン溶液、およびHySoy(ダイズ水解物)が有意に増大した数の拍動性胚様体または心筋細胞を生じることが示される。 図186は、2種類のヒトiPS細胞を無血清培地mTeSR1中でセルロースマイクロキャリア上において2または3週間にわたって連続継代すると、細胞数の増加、ならびに多分化能性マーカーOct−4およびmAb84の安定発現が示されることを示す。 図187は、管理された低グルコース供給実験で得られたhESCの細胞密度を示すグラフである。
本発明の1以上の態様を、たとえば本発明者らが考える本発明の実施に最良の様式の具体的な詳細を含めて、以下に記載する記述中に述べる。これらの具体的な詳細に限定されることなく本発明を実施しうることは当業者に明らかであろう。
懸濁培養におけるhESCの長期安定伝播
本発明者らは、懸濁培養におけるヒト胚性幹細胞(hESC)の長期安定伝播を今回証明した。特に、マイクロキャリアのMatrigel、ヒアルロン酸およびラミニンコーティングは、hESCが多分化能性を維持した状態で少なくとも継代5を超えて、一般に継代8、9または10を超えて伝播されるのを可能にすることを本発明者らは証明する。こうして本発明者らは、25連続継代を超えるマイクロキャリア懸濁培養を証明するのに今回成功し、培養された細胞を細胞密度の分析、生存率、多分化能性マーカーのFACS分析、組織学的分析、および核型により特性分析した。
本発明者らは、最高23継代後の成長速度、多分化能性マーカーOct4、SSEA4、TRA−1−60およびMab84の発現、正常な核型、ならびに3胚葉に分化する能力の維持により測定して、ヒト胚性幹細胞の長期伝播のためのマイクロキャリア培養の安定性を証明した。
マイクロキャリア上のhESCを無血清培地中での成長にも適応させ、それらのアミノ
酸代謝率を測定した。さらに、マイクロキャリア培養をhESC系についてスピナーフラスコにまでスケールアップした。セルロースマイクロキャリア上のhESCと球形Cytodex 3、東ソーおよびセルロースマイクロキャリア上で増殖したフィーダー細胞との共培養も証明した。
本発明者らは、5タイプのマイクロキャリア:DE53セルロース、東ソー(10および65ミクロン)、Cytodex 3およびHillex(すべてmatrigelでコートしたもの)がhESCを長期培養において支持しうることを証明した。しかし、これらのマイクロキャリアは、マトリックスコーティングがなければ、多分化能性マーカーのダウンレギュレーションおよび細胞密度の低下なしに5継代または最良で10継代を超えてhESCを支持することはできない
胚性幹細胞の培養に必要なマイクロキャリアの特性を模式的にまとめたものを図140に示す。マイクロキャリアは、長さ20〜2000ミクロン、直径5〜50ミクロンのロッドまたは円筒もしくはらせん様であってもよい。それらは50〜2000ミクロンの範囲の直径をもつ球形または卵様であってもよい。本発明のマイクロキャリアの組成は、セルロース、デキストラン、ヒドロキシル化メタクリレート、ポリスチレン、ガラス、コラーゲン、ゼラチン、マクロ多孔質またはミクロ多孔質carboseedまたは他の材料であってもよい。マイクロキャリアは、好ましくは陽電荷をもつか、またはコラーゲン/ゼラチン材料のものである。マイクロキャリアは、細胞外マトリックス(ECM)、たとえばmatrigel、ヒアルロン酸、ヘパリン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、または他のECMでコートされてもよい。これらのECMは、それらに吸着された成長因子を含まなくてもよく、含んでもよい。
特に、本発明者らは下記を証明するのに今回成功した:
1.DE53セルロースマイクロキャリア上におけるhESCの継代23までの連続継代;
2.セルロースマイクロキャリア上で培養したhESCの特性分析(胚様体の核型判定、RT−PCR、およびテラトーマ形成);
3.アミノ酸代謝データ分析による、無血清培地でのhESC−セルロースマイクロキャリアの培養;
4.スピナーフラスコ内における2種類のhESC細胞系のセルロースマイクロキャリア培養;
5.球形またはロッド形マイクロキャリア上のフィーダー細胞とロッド形セルロースマイクロキャリア上で成長したhESCとの共培養;
6.Matrigelを含む小型および大型球形マイクロキャリア上におけるhESC培養;
7.Matrigelを含む大型マイクロキャリア上におけるhESC培養;
8.hESC培養のためのセルロースマイクロキャリア上のヒアルロン酸コーティング。
幹細胞の懸濁培養および継代
本発明者らは、霊長類およびヒトの幹細胞ならびにiPS細胞を粒子上で培養、伝播および継代するのが可能であることを今回証明した。特に、本発明者らは幹細胞を懸濁培養において連続成長させ、かつ継代しうることを示す。本発明者らは、マイクロキャリア上でのヒト胚性幹細胞(hESC)の連続的で継代可能な三次元培養を証明する。
本発明者らは、幹細胞を懸濁状態で伝播させる方法を記載する。この伝播方法は、幹細胞を成長(増殖)(growing)、伝播(propagating)、増殖(proliferating)、培養(culturing)、拡張(expanding)ま
たは増加(increasing)させることを含むことができる。伝播させる幹細胞を、後記に述べるように1継代以上、継代することができる。そのような伝播は、特定の特性を備えたマイクロキャリアまたは粒子の使用により達成できる。これらのマイクロキャリアまたは粒子は、電荷をもつことができる。マイクロキャリアまたは粒子は、コーティングを含むことができる。他の特性には、サイズを含めることができる。
幹細胞を伝播させる方法は、粒子を供給する工程を含むことができる。粒子は、それにコートされたマトリックスを含むことができ、かつ陽電荷をもつことができる。粒子は、それに付着した霊長類またはヒトの幹細胞の集合が可能なサイズをもつことができる。幹細胞を粒子に付着させる。異なる粒子上で成長している細胞を互いに接触させて、集合体を形成させる。この培養物を少なくとも1継代、継代する。幹細胞をキャリアに付着た状態で、またはそれらから脱着もしくは分離して使用することができる。それらは未分化もしくは多分化能性の状態または両方で使用でき、あるいは目的とする細胞タイプに分化させることができる。それらを用いて胚様体を形成することができる。
粒子が連続成長を支持するためには、それらは霊長類またはヒトの幹細胞の寸法と適合するサイズをもたなければならない:たとえば10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、200μm、210μm、220μm、230μm、240μm、250μmなど。この大きさのサイズをもつそのような粒子上での霊長類またはヒトの幹細胞の培養により、それらの上で成長している細胞が互いに集合し、連続成長を支持することが可能になるであろう。粒子の適切な組成、形状およびサイズを、後記にさらに詳細に記載する。
実施例は、幹細胞培養物、たとえばヒト胚性幹細胞の2Dコロニー培養物をマイクロキャリア粒子上に接種し、1以上の継代を伴う数世代、連続成長させうることを示す。幹細胞をいずれかの手段、たとえば機械的解離もしくは酵素解離または両方法の組合わせで表面から離脱させることにより、継代することができる。
マイクロキャリア粒子培養物を、粒子上で世代から世代へ成長させることができる。あるいは、またはさらに、その間に1以上の世代について培養物を一般的な2D培養において成長させることができる。マイクロキャリア上で成長しているヒト幹細胞を2Dコロニー培養に戻すことができ、その逆も可能である。
本明細書に記載する方法により、幹細胞を最初は未分化の形態で効率的に伝播させる方法が得られる。それらは、機械的解離または酵素解離により分割比率1:2〜1:10でマイクロキャリア培養物をマイクロキャリア上へ継代することを可能にする;この比率は一般的な2D培養について可能なものより高い。これによって、培養をより速やかにスケールアップして生物材料をより効率的に利用することができる。
マイクロキャリア培養における細胞の体積収率は、2Dコロニー対照より普通は2〜4倍高い。本明細書に記載する方法により伝播させたヒト幹細胞の体積収率は、200万細胞/mlまたはそれ以上に及ぶ可能性がある。
本明細書に記載する方法により、後記にさらに詳細に記載するように、ヒト幹細胞を粒子から粒子へ10継代以上継代することが可能になる。
本明細書に記載する方法により、それらの多分化能性を保持した幹細胞を伝播させることが可能になる。実施例は、本明細書に記載する方法および組成物により伝播したヒト胚性幹細胞が幹細胞の1以上の生物学的特性を維持することを示す。たとえば、伝播した幹
細胞は5継代について、2Dコロニー培養で成長した幹細胞と同等な多分化能性マーカー、Oct−4、Tra−1−60およびSSEA−4の発現を示し、正常な核型を保持し、かつインビトロ(胚様体)およびインビボ(テラトーマ)で分化して3胚葉になることができる。
重要なことに、幹細胞をセルロースマイクロキャリア上に固定すると、より大規模なスピナーフラスコ内で連続継代することができる。
いかなる幹細胞も本明細書に記載する方法を用いて伝播させることができる。これらには、霊長類の幹細胞、たとえばサル、類人猿またはヒトの幹細胞を含めることができる。幹細胞には、胚性幹細胞または成体幹細胞を含めることができる。幹細胞には、誘導した多分化能性幹細胞を含めることができる。たとえば、幹細胞には、ヒト胚性幹細胞(hESC)を含めることができる。本明細書に記載する方法および組成物に使用するのに適切なこれらおよび他の幹細胞については後記にさらに詳細に記載する。
本明細書に記載する方法および組成物は、既知の”2D”培養法に優る種々の利点をもつ。本発明の粒子は幹細胞の付着において、2Dコロニー培養支持体より効率的である。この理由その他のため、懸濁培養した細胞はより効率的に継代することができる。本明細書に記載する方法により、幹細胞を数サイクルにわたって凍結および融解することが可能になる。それらをマイクロキャリア上で直接凍結し、増殖培地(伝統的な平板培養であっても、または粒子状マイクロキャリア上であっても)上へ融解することができる。マイクロキャリア上で伝播させた幹細胞を、GMP適応した無血清培地中で成長させることができる。
本明細書に記載する方法により、幹細胞、たとえば胚性幹細胞を、未分化状態で培養および維持することが本質的に可能になる。伝播した幹細胞を培養状態で(たとえばマイクロキャリア上で)またはそれから脱着させて、部分的または全体的に分化させることができる。
伝播した幹細胞を用いて、その後使用するために胚様体を形成することができる。マイクロキャリア上で成長している幹細胞を分化用培地へ移植するだけで、胚様体を直接形成することができる;これは、胚様体形成の前に細胞を2D成長表面から分離する追加工程を必要とする先行技術方法と対照的である。したがって、本明細書に記載する方法により、幹細胞を、成長している表面または支持体上で、それから分離することなく定方向分化させることが可能になる。
本明細書に記載する方法および組成物によって、培養した幹細胞をより大きな体積に拡張およびスケールアップするのが可能になる。バイオリアクターまたは工業的規模へのスケールアップは、より生産性の高い幹細胞培養を可能にする。マイクロキャリア上で撹拌培養により幹細胞を成長させるのが可能であることは、培養を懸濁条件にまでスケールアップできることを意味する。制御されたバイオリアクター、たとえばWave Bioreactorまたは撹拌培養を採用できる。これによって、現在の足場依存型の二次元コロニー培養の制約と比較して、細胞をより大きな体積で拡張させることが可能になる。数百リットルに及ぶバイオリアクター内での大規模懸濁培養が可能である。
陽電荷
本発明の粒子またはマイクロキャリアは、たとえば中性pHまたは生理学的関連pH、たとえばpH7.4またはpH7.2で陽電荷をもつことができる。粒子はクロマトグラフィー樹脂、たとえばアニオン交換樹脂を含むことができる。
陽電荷の量は重要ではあるが、きわめて重要というわけではなく、細胞が粒子に付着し
うるのに十分な高さである限り、広範に及ぶことができる。たとえば、粒子がアミン、たとえば第四級または第三級アミンとのカップリングにより荷電した場合、粒子上の電荷は乾燥材料(粒子の)のグラム当たり約0.5〜4ミリ当量、たとえば乾燥材料(粒子の)のグラム当たり約1〜3.5ミリ当量、または乾燥材料(粒子の)のグラム当たり約1〜2ミリ当量の小さなイオン交換容量に相当する可能性がある。
陽電荷は、粒子のpKaが7より大きい(たとえば7.4より大きい、たとえば7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5またはそれ以上)ものであってもよい。
たとえば、最高20mg/粒子mLの濃度の硫酸プロタミンまたはポリ−L−リジン塩酸塩にカップリングさせることにより粒子を誘導体化することができる。
理論により拘束されたくはないが、粒子上の陽電荷の存在により細胞がそれに付着するのが可能になると本発明者らは考える。
本発明の粒子は、当技術分野で既知のいずれかの手段で陽電荷をもつことができる。粒子は陽電荷をもつ基を含むことができ、あるいは粒子がこれらをもつように誘導体化することができる。
本発明の粒子は、ジエチルアミノエチル−セルロース(DEAE−セルロース)またはその誘導体を含むことができる。DEAE−セルロースは、炭水化物のCHOH基をイオン化性第三級アミン基に変換するように化学修飾された微粒状セルロースを含む。それは中性pHで陽電荷をもつ。粒子は、Sephadexビーズ、たとえばDEAE−Sephadexを含むことができる。粒子は、共有架橋していてもよいアガロースビーズ、たとえばSepharose(すなわちDEAE−Sepharose)を含むことができる。粒子はDEAE−Sephacelを含むことができる。DEAE−SepharoseおよびDEAE−SephacelおよびDEAE−Sephadexは、Sigma−Aldrichから入手できる。粒子はQ−Sepharose Fast FlowまたはS−Sepharose Fast Flowを含むことができる。Q−Sepharoseの荷電基は、力価測定できない陽電荷をもつ第四級アミンである。
本発明の粒子は、陽電荷をもつように誘導体化されていてもよい。たとえば、粒子はそれに結合したアミン基を含むことができる。アミン基は第一級アミン基、第二級アミン基、第三級アミン基または第四級アミン基であってよい。粒子とアミン含有化合物のカップリングにより、アミン基を粒子に結合させることができる。カップリング方法は当技術分野で周知である。たとえば、臭化シアンを用いてアミンを粒子にカップリングさせることができる。
架橋剤も使用できる。これらは、2つの同一反応基を含むホモ二官能性架橋剤、または2つの異なる反応基を含むヘテロ二官能性架橋剤に分類される。ヘテロ二官能性架橋剤は、重合を最小限に抑えた連続コンジュゲーションを可能にする。カップリングおよび架橋用の試薬は多数の製造業者から、たとえばCalbiochemまたはPierce Chemical Companyから得ることができる。
粒子の反応性を高めるために、粒子をカップリング前に活性化することができる。クロロ酢酸を用いてコンパクトな粒子を活性化し、続いてEDAC/NHS−OHを用いてカップリングを行なうことができる。ヘキサンジイソシアネートを用いて粒子を活性化して、第一級アミノ基を付与することもできる。そのような活性化された粒子をいずれかのヘテロ二官能性架橋剤と組み合わせて用いることができる。ある態様においては、ジビニルスルホンを用いてコンパクトな粒子を活性化する。そのような活性化されたコンパクトな
粒子は、たとえばペプチド上のアミノ基またはチオール基と反応しうる部分を含む。
トレシルクロリド(tresyl chloride)を用いて粒子を活性化して、アミノ基またはチオール基と反応しうる部分を付与することもできる。塩化シアンを用いて粒子を活性化して、アミノ基またはチオール基と反応しうる部分を付与することもできる。
Cytodex 1は、架橋デキストランマトリックスをベースとし、これが陽電荷をもつN,N−ジエチルアミノエチル基で置換されている。この荷電基はマイクロキャリアマトリックス全体に分布している。
荷電していない粒子
本発明の粒子またはマイクロキャリアは、荷電していなくてもよく、あるいはたとえば中性pHまたは生理学的関連pH、たとえばpH7.4またはpH7.2で電荷中性であってもよい。
荷電していない粒子の例には、ゼラチンまたはコラーゲンの粒子が含まれる。たとえば、Cytodex 3は架橋デキストランのマトリックスに化学的にカップリングした変性コラーゲンの薄層からなる。
マトリックスコーティング
本発明の粒子をマトリックスでコートすることができ、これを本明細書に関しては粒子に、たとえばその表面に、付着した物質の層(たとえば薄層またはフィルム)と言う。マトリックスは、細胞の成長を支持しうる生体適合性または生理学的関連性のマトリックスを含むことができる。それは細胞成長のための基質を含むことができる。
前記のマトリックスは、細胞外マトリックス(ECM)の成分を含むことができる。ECMのいずれかの既知成分、たとえば幹細胞の成長を支持しうるものを使用できる。細胞外マトリックスの成分は当技術分野で既知であり、たとえばAlberts et al (2002), Molecular Biology of the Cell, Chapter IV、およびそれに引用された参考文献に記載されている。
ECM成分を常法により粒子に付着またはカップリングまたはコートすることができる。たとえば、前記のいずれかのカップリング試薬および架橋剤を用いてECM成分を粒子にカップリングさせることができる。
ECM成分は、高分子、たとえば多糖類、タンパク質、プロテオグリカン、糖タンパク質、グリコサミノグリカン(GAG)(通常はタンパク質にプロテオグリカンの形で共有結合した状態でみられる)、繊維状タンパク質:エラスチン、フィブロネクチンおよびラミニンを含む、コラーゲン(たとえばI型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、VI型コラーゲン)などを含むことができる。
マトリックスコーティングはグリコサミノグリカン(GAG)を含むことができる。グリコサミノグリカンは、反復二糖単位からなる枝分かれしていない多糖鎖を含む。反復二糖中の2つの糖のうちの1つは常にアミノ糖(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)であり、これは大部分の場合、硫酸化されている。第2の糖は通常はウロン酸(グルクロン酸またはイズロン酸)である。
マトリックスコーティングは、ヒアルロナン(ヒアルロン酸またはヒアルロネートとも呼ばれる)またはその誘導体を含むことができる。ヒアルロン酸は、多数の供給源のいず
れかに由来するもの、たとえばウシのガラス体液に由来するものであってもよい。ヒアルロン酸の塩または塩基、たとえばヒアルロン酸ナトリウムを使用できる。これは連鎖球菌に由来するものであってもよい。
マトリックスコーティングはラミニンを含むことができる。
マトリックスコーティングはフィブロネクチンを含むことができる。
マトリックスコーティングはビトロネクチンを含むことができる。
マトリックスコーティングは、たとえばGAG、たとえばコンドロイチン硫酸、デキストラン硫酸、ヘパラン硫酸およびケラタン硫酸を、たとえばタンパク質にプロテオグリカンとして連結したものとして含むことができる。ECM成分はアグレカン(aggrecan)、デコリン(decorin)などを含むことができる。
マトリックスコーティングは、ヘパラン、またはそれの誘導体、たとえば塩基もしくは塩類を含むことができる。マトリックスコーティングはヘパラン硫酸プロテオグリカンを含むことができる。ヘパラン硫酸プロテオグリカンは、多数の供給源のいずれかに由来するもの、たとえばウシの腎臓に由来するものであってもよい。
マトリックスコーティングは、デキストラン、たとえばデキストラン硫酸またはデキストラン硫酸ナトリウムを含むことができる。マトリックスコーティングは、フィブロネクチン、ラミニン、ニドゲン(nidogen)、またはIV型コラーゲンを含むことができる。マトリックスコーティングはコンドロイチン硫酸を含むことができる。
マトリックスコーティングは、ゼラチン、ポリオルニチンを含むか、またはフィブロネクチンのRGD結合ドメインの結合モチーフを含むことができる。
マトリックスコーティングは、これらの成分のうちいずれか2種類以上の種々の割合の混合物を含むことができる。マトリックスコーティングは、精製した、または実質的に精製したECM成分を含むことができる。マトリックスコーティングは、部分精製したECM成分を含むことができる。それはECM抽出物、たとえばMatrigelを含むことができる。
細胞培養は、種々のマトリックスコーティングをもつ粒子を含むことができる。たとえば、前記のものから選択される第1マトリックスコーティングをもつ第1粒子集団、および前記のものから選択される第2マトリックスコーティングをもつ第2粒子集団。
Matrigel
本発明の粒子は、Matrigelを含むマトリックスコーティングでコートすることができる。
Matrigelは、マウス腫瘍細胞から分泌されるゲル状タンパク質混合物の商品名であり、BD Biosciences(米国マサチュセッツ州ベッドフォード)から市販されている。この混合物は、多くの組織にみられる複雑な細胞外環境に類似し、細胞生物学者が細胞培養のための基質として用いている。
BD Matrigel(商標)マトリックスは、EHSマウス肉腫、すなわちECMタンパク質に富む腫瘍から抽出された可溶化した基底膜調製物である。それの主成分は、ラミニン(約56%)、続いてIV型コラーゲン(約31%)、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびエンタクチン1(約8%)である。室温でBD Matrigel(商標)マトリックスは重合して、哺乳動物の細胞基底膜に類似する生物活性マトリックス材料を生成する。
一般的な実験室手法は、少量の冷却(4℃)Matrigelをプラスチック製の組織培養実験器具などの表面に分配するものである。37℃(体温)でインキュベートすると、Matrigelタンパク質は自己集合して薄膜を生成し、これが表面を覆う。
Matrigelは、細胞の形態、生化学的機能、移動または侵入、および遺伝子発現に関して生理学的に適切な環境を提供する。
Matrigelが複雑な細胞挙動を刺激する能力は、それの不均質な組成の結果である。Matrigelの主成分は構造タンパク質、たとえばラミニンおよびコラーゲンであり、これらが培養細胞にそれらの自然環境で遭遇するであろう接着ペプチド配列を提供する。多くの細胞タイプの分化および増殖を促進する成長因子も存在する。Matrigelは下記の成長因子を含む(濃度範囲、平均濃度):EGF(0.5〜1.3ng/ml,0.7ng/ml),bFGF(<0.1〜0.2pg/ml,未知),NGF(<0.2ng/ml,未知),PDGF(5〜48pg/ml,12pg/ml),IGF−1(11〜24ng/ml,16ng/ml),TGF−β(1.7〜4.7ng/ml,2.3ng/ml)。Matrigelは多数の他のタンパク質を少量含有する。
マトリックスコーティングの変更
ある態様においては、第1マトリックスコーティングをもつ粒子上で1継代以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9または10継代またはそれ以上)細胞を培養した後、異なる(第2)マトリックスコーティングをもつ粒子へ1継代以上(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9または10継代またはそれ以上)移植することができる。場合により、次いで第2コーティングと異なるマトリックスコーティングをもつ粒子へ、たとえば元の第1マトリックスコーティングもしくは他のマトリックスコーティングをもつ粒子またはコートしていない粒子へ細胞を移植することができる。
粒子組成
本明細書に記載する方法および組成物においては、粒子またはマイクロキャリア上で幹細胞を伝播させる。本明細書中で用いる用語として、”粒子”にはその上で幹細胞が付着または成長しうるいずれかの支持体が含まれる。粒子は後記に述べるようにいかなる形状または構造であってもよい。
粒子には、IUPAC Compendium of Chemical Terminology (2nd Edition, 1992, Vol. 64, p. 160)に記載されるマイクロキャリアを含めることができる。
粒子は、それが前記のようにたとえば幹細胞に対する付着点または支持体としてのその目的を果たすのを可能にする物理的特性をもつ限り、いかなる材料も含むことができる。したがって、粒子はこの目的のために、硬い(stiff)、剛性(rigid)、展性(malleable)、中実(solid)、多孔質(porous)その他の材料を含むことができる。それは固体材料または半固体、ゲルなどの材料を含むことができる。
その材料は、少なくとも陽電荷および/またはマトリックスコーティングの付着を可能にするために反応性であり、あるいは活性剤によって反応性にすることができるが、その他の点では一般に不活性である物質を含むことができる。粒子は複合材料を含むことができ、したがって1種類より多い材料で粒子を構成することができる。たとえば、粒子のコアが表面部分と異なる材料を含むことができる。たとえば、粒子のコアは一般に不活性である材料を含むことができ、一方、表面部分はマトリックスまたは陽電荷の付着または化学的カップリングのために反応性である材料を含むことができる。
粒子は天然由来のものまたは合成によるものであってよい。天然材料および合成材料ならびにそれらを得るための供給源は、当技術分野で周知である。粒子は、少なくともある
程度の機械的抵抗性、化学的攻撃もしくは熱処理に対する少なくともある程度の抵抗性、またはこれらの組合わせをもつことができる。
別態様において、粒子は”非生物性”物体を含むことができる;この用語は、細胞性材料を含まないか、または実質的に含まないことを意味する。したがって、そのような非生物性または非細胞性の粒子は、合成材料、または天然には存在しない材料を含むことができる。種々の形状をもつ種々の粒子が当技術分野で知られており、これにはたとえば多様な種類のビーズが含まれる。粒子の態様には、マイクロビーズ、たとえばアガロースビーズ、ポリアクリルアミドビーズ、シリカゲルビーズなどが含まれる。
たとえば、粒子を作製する材料は、プラスチック、ガラス、セラミック、シリコーン、ゼラチン、デキストラン、セルロース、ヒドロキシル化メタクリレート、ポリスチレン、コラーゲンその他を含むことができる。たとえば、セルロースまたは誘導体、たとえばDEAE−セルロースで粒子を作製することができる(後記に述べる)。粒子は、セルロース、改質した親水性ビーズ、およびカーボンをベースとするマイクロキャリアを含むことができる。
粒子は市販のマトリックスまたはキャリア、たとえばビーズまたはマイクロビーズを含むことができる。粒子は、クロマトグラフィー用マトリックスとして使用するために販売されている樹脂、たとえばアニオン交換樹脂を含むことができる。
粒子は、セルロースマイクロキャリアを含むことができる。粒子は、DE−52(Whatman)、DE−53(Whatman)またはQA−52(Whatman)を含むことができる。粒子は、親水性マイクロキャリア、ヒドロキシル化メタクリレートマトリックスマイクロキャリア、または誘導体化した親水性ビーズ状マイクロキャリアを含むことができる。粒子は、TSKgel Tresyl−5Pw(東ソー)またはToyopearl AF−Tresyl−650(東ソー)を含むことができる。粒子は、マクロ多孔質またはミクロ多孔質carboseedマイクロキャリア、たとえばSM1010(Blue Membranes)またはSH1010(Blue Membranes)を含むことができる。
粒子はデキストランをベースとするマイクロキャリアであってもよい。粒子は、Cytodex 1(GE Healthcare)またはCytodex 3(GE Healthcare)を含むことができる。Cytodex 1は架橋デキストランマトリックスをベースとし、陽電荷をもつN,N−ジエチルアミノエチル基でこれが置換されている。荷電基はマイクロキャリアマトリックス全体に分布している。Cytodex 3は、架橋デキストランのマトリックスに化学的にカップリングした変性コラーゲンの薄層からなる。
粒子は、ポリスチレンをベースとするマイクロキャリアであってもよい。粒子は、HillexまたはHillex II(SoloHill Engineering,Inc.)を含むことができる。HillexおよびHillex IIは、カチオン性トリメチルアンモニウムコーティングをもつ改質ポリスチレンマイクロキャリアである。
粒子は、細胞をその上で成長させる前に処理することができる。そのような処理は、本明細書の他の箇所に記載するように、より大きい接着性、電荷の利用能、生体適合性などの達成を目標とするものであってもよい。
セルロースマイクロキャリア、たとえばDE−53、DE−52およびQA−52は、ロッド形であってもよい。
細胞培養物は、1より多いタイプの粒子の混合物を含むことができる。たとえば、第1粒子集団(たとえばコンパクトな形状の粒子の)および第2粒子集団(たとえば細長い形状の粒子の)。ある態様においては、第1細胞タイプ、たとえばフィーダー細胞を第1粒子に付着させ、第2細胞タイプ、たとえばhESCを第2粒子に付着させることができる。各タイプの粒子は、同一または異なるマトリックスコーティングをもつことができる。場合により、一方または両方のタイプの粒子がマトリックスコーティングをもたなくてもよい。
ビーズ
使用するのに適切なビーズまたはマイクロビーズには、ゲルクロマトグラフィーに用いられるもの、たとえばゲル濾過媒体、たとえばSephadexが含まれる。この種の適切なマイクロビーズには、下記のものが含まれる:Sephadex G−10:ビーズサイズ40〜120をもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,103−9)、Sephadex G−15:ビーズサイズ40〜120μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,104−7)、Sephadex G−25:ビーズサイズ20〜50μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,106−3)、Sephadex G−25:ビーズサイズ20〜80μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,107−1)、Sephadex G−25:ビーズサイズ50〜150μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,109−8)、Sephadex G−25:ビーズサイズ100〜300μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,110−1)、Sephadex G−50:ビーズサイズ20〜50μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,112−8)、Sephadex G−50:ビーズサイズ20〜80μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,113−6)、Sephadex G−50:ビーズサイズ50〜150μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,114−4)、Sephadex G−50:ビーズサイズ100〜300μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,115−2)、Sephadex G−75:ビーズサイズ20〜50μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,116−0)、Sephadex G−75:ビーズサイズ40〜120μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,117−9)、Sephadex G−100:ビーズサイズ20〜50μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,118−7)、Sephadex G−100:ビーズサイズ40〜120μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,119−5)、Sephadex G−150:ビーズサイズ40〜120μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,121−7)、およびSephadex G−200:ビーズサイズ40〜120μmをもつもの(Sigma Aldrich カタログ番号27,123−3);ただし、本明細書の他の箇所に記載するように、それらがサイズに関して適合する限りにおいてである。
Sepharoseビーズ、たとえば液体クロマトグラフィーに用いられるものも使用できる。例はQ−Sepharose、S−SepharoseおよびSP−Sepharoseビーズであり、たとえばAmersham Biosciences Europe GmbH(Freiburg、Germany)から、Q Sepharose XL(カタログ番号17−5072−01)、Q Sepharose XL(カタログ番号17−5072−04)、Q Sepharose XL(カタログ番号17−5072−60)、SP Sepharose XL(カタログ番号17−5073−01)、SP Sepharose XL(カタログ番号17−5073−04)およびSP Sepharose XL(カタログ番号l 17−5073−60)などとして入手できる。
粒子の形状
粒子は細胞の成長に適切ないずれかの形状、たとえばコンパクトな形状または細長い形状をもつことができる。
コンパクトな(compact)形状
コンパクトな形状の例は、概して球形の粒子、楕円体の形状の粒子、または顆粒状の粒子である。
”コンパクト”とは、概して細長くない形状を意味する。言い換えると、”コンパクト”な形状は、概して細長くない(non−elongate)もしくは伸長していない(unextended)のもの、すなわちいずれの寸法においても伸長していないものである。コンパクトな形状は、概して広がって(spread)いないもの、または長く(long)ない、もしくは紡錘形(spindly)でないものであってもよい。したがって、そのような”コンパクトな形状”は一般に、概して類似する可能性のある、または大きな相異がない、直線寸法をもつ。
したがって、コンパクトな形状のいずれか2つの寸法の比率は、5:1以下、たとえば4:1以下、たとえば3:1、2.5:1、2.4:1、2.3:1、2.2:1、2.1:1、2:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1以下であってもよい。たとえば、2対の寸法が5:1以上の比率をもつことはできない。
ある態様において、コンパクトな形状の最長寸法はコンパクトな形状の最短寸法より5倍未満である。他の態様において、コンパクトな形状の最長寸法は最短寸法より有意に大きくはない;すなわちその形状は比較的均一である。
本明細書中で用いる用語”最長寸法”は、主軸、すなわち粒子を通って描くことができる最長の線を含む軸の長さを意味すると解釈すべきである。同様に、”最短寸法”は、副軸、すなわち粒子を通って描くことができる最短の線を含む軸の長さである。
直線寸法がほぼ等しいかまたは類似し、あるいは最長寸法−対−最短寸法の比率が5:1未満である規則的な形状は、本明細書に記載するコンパクトな粒子に含まれる。したがって、前記の比率は最長寸法−対−最短寸法の比率に関するものであってもよい。ある態様において、2つの寸法の比率(たとえば、最長寸法−対−最短寸法)は1.1:1未満、たとえば1:1(すなわち規則的または均一な形状)である。
したがって、適用できる場合、粒子の長さは幅または直径の5倍未満、たとえばそれの幅または直径の4倍未満、たとえば3倍未満、たとえば2倍未満、またはそれ未満である。
コンパクトな形状には、規則的な立体(solid)、球体(sphere)、回転楕円体(spheroid)、扁平回転楕円体(oblate spheroid)、平たい回転楕円体(flattened spheroid)、長円体(ellipsoid)、立方体(cube)、錐体(cone)、円筒(cylinder)、または多面体(polyhedron)を含めることができる。多面体には、単純な多面体または規則的な多面体が含まれる。多面体には、たとえば六面体(hexahedron)、ホリヘドロン(holyhedron)、直方体(cuboid)、三面体(deltahedron)、五面体(pentahedron)、十四面体(tetradecahedron)、多面体(polyhedron)、テトラフレクサゴン(tetraflexa
gon)、偏四角面体(trapezohedron)、切頭多面体(truncated polyhedron)、フラードーム(geodesic dome)、七面体(heptahedron)、および六十面体(hexecontahedron)が含まれる。上記の形状はいずれも、前記の定義に従った”コンパクト”なものとして使用できる。たとえば、その形状が扁平回転楕円体を含む場合、これはその回転楕円体がコンパクトであって細長くないような適切な扁平度をもつ。
ある態様において、コンパクトな形状には、寸法が前記のものである限り、バルーン形、葉巻形、ソーセージ形、円板形、涙滴形、ボール形または楕円(elliptical)状を含めることができる。コンパクトな形状には、球形、立方体形、直方体形、タイル状、卵形(ovoid)状、長円体(ellipsoid)形、円板形、セル状、ピル(pill)形、カプセル形、平らな円筒形、豆(bean)形、滴形、小球(globular)形、エンドウ豆(pea)形、ペレット形なども含めることができる。
細長い(elongate)形状
粒子は概して細長い形状をもつことができる。細長い形状の例は、概してロッド形の粒子、円筒形の粒子、またはスティック形の粒子である。細長い粒子は中空繊維を含むことができる。
”細長い”とは、概してコンパクトではない形状を意味する。言い換えると、”細長い”形状は、概して他の方向と比較して一方向に伸長したものである。細長い形状は、広がった、長いまたは紡錘形のものであってもよい。したがって、そのような”細長い形状”は一般に、おおまかに多少とも互いに異なる直線寸法をもつ。
したがって、細長い形状のいずれか2つの寸法の比率は、5:1以上、4:1以下、たとえば1.1:1以上、1.2:1以上、1.3:1以上、1.4:1以上、1.5:1以上、1.6:1以上、1.7:1以上、1.8:1以上、1.9:1以上、2:1以上、2.1:1以上、2.2:1以上、2.3:1以上、2.4:1以上、2.5:1以上、3:1以上、4:1以上、または5:1以上であってもよい。
たとえば、いずれか2対の寸法が5:1以上の比率をもつことができる。したがって、ある態様において、細長い形状の最長寸法は細長い形状の最短寸法の5倍より大きい。
したがって、適用できる場合、粒子の長さは幅または直径の2倍より大きく、たとえばそれの幅または直径の3倍より大きく、たとえば4倍より大きく、たとえば5倍より大きく、または10倍より大きい。
細長い、またはロッド形のマイクロキャリアは、本発明方法に使用するために特に好ましい。それらは細胞−マイクロキャリア集合体を形成するためのマトリックスをより良好に付着させることが観察された。理論により制約または拘束されるわけではないが、ロッド形マイクロキャリアの長軸は、ビーズ(球)マイクロキャリアと比較して優れた付着をもたらすと考えられる;これは、付着に利用できる大きな表面積により、撹拌に際して安定な細胞−キャリアの集合が数時間以内に可能になるためである。
粒子サイズ
粒子が連続成長を支持するためには、それらは細胞が粒子上で成長しうるサイズをもつことができる。粒子のサイズは、細胞が他の粒子上で成長している細胞と集合するのを可能にするものでもある。たとえば、粒子のサイズは、少なくとも1つの寸法が霊長類またはヒトの幹細胞の寸法と適合するものであることが必要である可能性がある。
粒子のサイズは、粒子を選択し、幹細胞を付着させて成長させ(本明細書に説明し、実
施例に詳述するように)、そして多数のパラメーターのいずれか、たとえば幹細胞の成長、生存率、生物学的特性の保持、核型などをアッセイすることにより、経験的に選択できる。
一例として、粒子は概して球形または顆粒状のコンパクトなマイクロキャリアを含むことができる。この場合、コンパクトなマイクロキャリアは約20μm〜約250μmの範囲の寸法をもつことができる。
コンパクトなマイクロキャリアについての寸法の範囲の上限は、約250μm、約240μm 、約230μm、約220μm、約210μm、約200μm、約190μm、約180μm、約170μm、約160μm、約150μm、約140μm、約130μm、約120μm、約110μm、約100μm、約90μm、約80μm、約70μm、約60μm 、約50μm、約40μmまたは約30μmであってよい。
コンパクトなマイクロキャリアの寸法の範囲の下限は、約20μm、約30μm、40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約100μmまたは約110μmであってよい。
コンパクトなマイクロキャリアは、120μm〜20μm、110μm〜30μm、100μm〜40μm、90μm〜50μm、80μm〜40μm、70μm〜50μmまたは90〜30μm、80〜40μm、70〜40μm、70〜30μm、60〜40μm、60〜30μm、60〜50μm、50〜40μm、50〜30μm、50〜5μm、50〜10μm、60〜10μm、70〜10μm、60〜20μm、70〜20μmの寸法をもつことができる。
コンパクトなマイクロキャリアは、約20μm、約30μm、40μm、約50μm、約60μm、約65μm、約70μm、約80μm、約90μm、約100μm、約110μmまたは約120μmの寸法をもつことができる。
コンパクトなマイクロキャリアの寸法は、たとえば約65μmであってもよい。
寸法は、マイクロキャリアの直径であってもよい。
コンパクトな粒子は、たとえば親水性マイクロキャリア、ヒドロキシル化メタクリル系マトリックスマイクロキャリア、または誘導体化した親水性ビーズ状マイクロキャリア、たとえばTSKgel Tresyl−5Pw(東ソー)またはToyopearl AF−Tresyl−650(東ソー)を含むことができる。
TSKgel Tresyl−5Pwに関する情報は、http://www.separations.us.tosohbioscience.com/Products/HPLCColumns/ByMode/Affinity/TSKgel+Tresyl-5PW.htmに見いだすことができる。
Toyopearl AF−Tresyl−650に関する情報は、http://www.separations.us.tosohbioscience.com/Products/ProcessMedia/ByMode/AFC/ToyopearlAF-Tresyl-650.htmに見いだすことができる。
他の例として、粒子は、概してロッドまたは円筒の形状をもつ細長いマイクロキャリアを含むことができる。この場合、細長いマイクロキャリアは約400μm〜約50μmの範囲の最長寸法をもつことができる。
細長いマイクロキャリアについての最長寸法の範囲の上限は、約2000μm、約1900μm、約1800μm、約1700μm、約1600μm、約1500μm、約14
00μm、約1300μm、約1200μm、約1100μm、約1000μm、約900μm、約800μm、約700μm、約600μm、約500μm、約400μm、約390μm、約380μm、約370μm、約360μm、約350μm、約340μm、約330μm、約320μm、約310μm、約300μm、約290μm、約280μm、約270μm、約260μm、約250μm、約240μm、約230μm、約220μm、約210μm、約200μm、約190μm、約180μm、約170μm、約160μm、約150μm、約140μm、約130μm、約120μm、約110μm、約100μm、約90μm、約80μm、約70μm、約60μmまたは約50μmであってよい。
細長いマイクロキャリアについての最長寸法の範囲の下限は、約20μm、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約100μm、約110μm、約120μm、約130μm、約140μm、約150μm、約160μm、約170μm、約180μm、約190μm、約200μm、約210μm、約220μm、約230μm、約240μm、約250μm、約260μm、約270μm、約280μm、約290μm、約300μm、約310μm、約320μm、約330μm、約340μm、約350μm、約360μm、約370μm、約380μmまたは約390μmであってよい。
細長いマイクロキャリアは、2000μm〜20μm、たとえば400μm〜50μm、390μm〜60μm、380μm〜70μm、370μm〜80μm、360μm〜90μm、350μm〜100μm、340μm〜110μm、330μm〜120μm、320μm〜130μm、310μm〜140μm、300μm〜150μm、290μm〜160μm、280μm〜170μm、270μm〜180μm、260μm〜190μm、250μm〜200μm、240μm〜210μmまたは230μm〜220μmの最長寸法をもつことができる。
細長いマイクロキャリアの最長寸法は、たとえば約190μm、200μm、210μm、220μmなどであってもよい。
細長いマイクロキャリアは、10μm〜50μmの範囲の最短寸法をもつことができる。細長いマイクロキャリアは、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μmまたは約45μmの最短寸法をもつことができる。
細長いマイクロキャリアは、ほぼ円形または長円形の断面をもつ円筒形またはロッド形であってもよく、その最短寸法は約5μm〜約50μmの範囲、たとえば約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、または約45μmのいずれかであってもよい。直径が約5μm〜20μm、約10μm〜25μm、約15μm〜30μm、約20μm〜35μm、約25μm〜40μm、約30μm〜45μm、約35μm〜50μmのいずれかの範囲であってもよい。
細長い粒子は、たとえばセルロース円筒形マイクロキャリア、たとえばDE−52(Whatman)、DE−53(Whatman)またはQA−52(Whatman)を含むことができる。
いずれか特定のマイクロキャリアのサイズおよび寸法は、バッチ内またはバッチ間で異なってもよい。たとえばDE−53ロッド形セルロースマイクロキャリアについて、本発明者らはバッチ内のキャリアの長さおよび寸法を測定し、キャリアの長さは50〜250μm(平均長さ130±50μm)の可能性があり、キャリアの直径は17μmと少なくとも50μmの間(平均直径35±7μm)の可能性があることが分かった。
粒子は多孔質であってもよい。多孔質粒子は培地が成長領域の内部を通って循環するのを可能にし、これは細胞の成長を助成することができる。たとえば、粒子はマクロ多孔質またはミクロ多孔質carboseedマイクロキャリアを含むことができる。粒子はSM1010(Blue Membranes)またはSH1010(Blue Membranes)を含むことができる。
幹細胞の培養
いずれか適切な幹細胞培養方法、たとえば実施例に述べる方法を、本明細書に記載する方法および組成物に使用できる。
いずれか適切な容器を、本明細書に記載する方法および組成物により幹細胞を伝播させるために使用できる。適切な容器には、米国特許公開US2007/0264713(Terstegge)に記載されたものが含まれる。
容器には、たとえばバイオリアクターおよびスピナーを含めることができる。本明細書中で用いる”バイオリアクター”は、真核細胞、たとえば動物細胞または哺乳動物細胞を、たとえば大規模で培養するのに適切な容器である。調節型バイオリアクターの一般的な培養体積は20ml〜500mlである。
バイオリアクターには、1以上の条件、たとえば酸素分圧を制御またはモニターできる、調節型バイオリアクターを含めることができる。これらの条件を測定および調節するための装置は当技術分野で既知である。たとえば、酸素電極を酸素分圧測定のために使用できる。酸素分圧は、選択するガス混合物(たとえば空気、または空気および/または酸素および/または窒素および/または二酸化炭素の混合物)の量および組成により調節できる。酸素分圧を測定および調節するのに適切な装置は、Bailey, J E. (Bailey, J E., Biochemical Engineering Fundamentals, second edition, McGraw-Hill, Inc. ISBN 0-07-003212-2 Higher Education, (1986))、またはJackson A T. Jackson A T., Verfahrenstechnik in der Biotechnologie, Springer, ISBN 3540561900 (1993))に記載されている。
他の適切な容器にはスピナーが含まれる。スピナーは、調節型または非調節型バイオリアクターであり、これらは種々の撹拌メカニズム、たとえばガラスボール撹拌機、インペラー撹拌機、および他の適切な撹拌機を用いて撹拌することができる。スピナーの培養体積は一般に20ml〜500mlである。ローラーボトルは、培養面積400〜2000cmのプラスチック製またはガラス製の丸型細胞培養フラスコである。細胞をこれらのフラスコの内面全体に沿って培養する;細胞は培養培地でコートされ、これは”回転”運動、すなわちボトルをそれら自身の個々の軸の周りに回転させることにより達成される。
あるいは、培養は静止状態であってもよく、すなわちこの場合は培養/培地の能動的撹拌を用いない。培養物の撹拌を抑えることにより、細胞/マイクロキャリアの集合体を形成させることができる。培地が培養細胞全体に分散および流動するのを促進するためにある程度の撹拌を用いてもよいが、これは集合体の形成を実質的に妨げないように行なうことができる。たとえば、低rpmの撹拌、たとえば30rpm未満または20rpm未満の撹拌を採用できる。
継代を伴う伝播
本明細書に記載する方法および組成物は、継代、または培養中の分割を含むことができる。この方法は、連続的または継続的な継代を伴うことができる。
”連続的”または”継続的”とは、本発明方法により幹細胞が継代されるのを可能にす
る様式で幹細胞を成長させうることを意味する;たとえば、それらが成長しているマイクロキャリアから離脱させて他のマイクロキャリアまたは粒子へ移植し、このプロセスを少なくとも1回、たとえば2回、3回、4回、5回など反復することができる(後記に述べるように)。場合により、これを任意の多数回、たとえば不定または無限に反復することができる。最も好ましくは、このプロセスを5回以上、たとえば6回以上、7回以上、8回以上、9回以上、10回以上、11回以上、12回以上、13回以上、14回以上、15回以上、16回以上、17回以上、18回以上、19回以上、20回以上、21回以上、22回以上、23回以上、24回以上、25回以上反復する。用語”継続的”または”連続的”は、細胞成長などの事象が実質的に中断されずに延長されることを意味するためにも使用できる。たとえば、本発明方法は、成長または培養を終止する必要なしに、幹細胞を希望する任意世代数まで拡張させることを可能にする。
培養細胞を基質またはフラスコから解離させ、”分割し”、組織培養培地中への希釈および再播種により二次培養または継代することができる。
粒子上で成長している細胞を粒子培養へ戻して継代することができる。あるいは、それらを一般的な(2D)培養に戻して継代することができる。プレート上で成長している組織培養細胞を粒子培養へ継代することができる。これらの各方法を、後記および実施例にさらに詳細に記載する。
用語”継代”は、一般に細胞培養のアリコートを採取し、細胞を完全または部分的に解離させ、希釈して培地に接種するプロセスを表わすことができる。継代は1回以上反復することができる。アリコートは、細胞培養物の全部または一部を含むことができる。アリコートの細胞は完全に集密状態であるか、部分的に集密状態であり、または集密状態でなくてもよい。継代は以下の一連の工程のうち少なくとも一部を含むことができる:吸引、すすぎ、トリプシン処理、インキュベーション、離脱、クエンチング、再接種、およびアリコート採取。Hedrick Lab, UC San Diegoにより公開されたプロトコルを使用できる(http://hedricklab.ucsd.edu/Protocol/COSCell.html)。
細胞をいずれか適切な手段で、たとえば当技術分野で既知の機械的手段または酵素手段で解離させることができる。細胞を機械的解離により、たとえば細胞スクレーパーまたはピペットを用いて分断することができる。細胞を適切なふるいサイズを通して、たとえば100ミクロンまたは500ミクロンのふるいを通してふるい分けることにより解離することができる。細胞を酵素解離により、たとえばコラゲナーゼ処理により分割し、またはtrypLE収穫することができる。解離は完全または部分的であってよい。
希釈はいずれか適切な希釈であってよい。細胞培養物中の細胞をいずれか適切な比率で分割することができる。たとえば、細胞を1:2以上、1:3以上、1:4以上または1:5以上の比率で分割することができる。細胞を1:6以上、1:7以上、1:8以上、1:9以上または1:10以上の比率で分割することができる。分割比率は1:10以上であってもよい。それは1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19または1:20以上であってもよい。分割比率は1:21、1:22、1:23、1:24、1:25もしくは1:26またはそれ以上であってもよい。
したがって、幹細胞を1継代以上、継代することができる。たとえば、幹細胞を2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25継代またはそれ以上、継代することができる。幹細胞を25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95継代以上、継代することができる。幹細胞を培養において無限に伝播させることができる。
継代を細胞成長の世代として表わすことができる。本発明の方法および組成物は、幹細胞を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25世代以上、伝播させるのを可能にする。幹細胞を25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95世代以上、成長させることができる。
継代を細胞倍増回数として表わすこともできる。本発明の方法および組成物は、幹細胞を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25の細胞倍増回数以上、伝播させることができる。幹細胞を25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95の細胞倍増回数以上、伝播させることができる。
幹細胞を5より多い、10より多い、15より多い、20より多い、25より多い、30より多い、40より多い、45より多い、50より多い、100より多い、200より多い、500より多い、または800より多い継代、世代または細胞倍増回数、培養することができる。幹細胞を100、200、500またはそれ以上の継代、世代または細胞倍増回数、維持することができる。
成長および生産量
本明細書に記載する方法および組成物は、幹細胞の大量生産を可能にする。
本発明方法は、培養における幹細胞の指数成長を可能にする。指数成長は遅滞期を伴ってもよく、伴わなくてもよい。指数成長は培養細胞の成長の一部または実質的期間を形成することができる。指数成長を評価する方法は当技術分野で既知である。
たとえば、細胞の比成長速度は下記に従うことができる:
上記において、x=細胞濃度、t=時間である。本明細書に記載する方法および組成物は、伝統的な2D培養方法(たとえばプレート上での培養)と比較してより大きな生産量の細胞成長を可能にすることができる。たとえば、本発明方法の体積生産量は1×10細胞/ウェル以上、たとえば2.5×10細胞/ウェル以上、たとえば3、4、5、6または7×10細胞/ウェル以上の可能性がある。ウェルは約3.5cmの直径または約9.5cmの面積をもつことができる。本発明方法の体積生産量は、100万細胞/ml以上、たとえば200万細胞/ml以上、250万細胞/ml以上、300万細胞/ml以上、350万細胞/ml以上、100万細胞/ml以上、たとえば400万細胞/ml以上、450万細胞/ml以上、500万細胞/ml以上の可能性がある。
幹細胞の特性の維持
伝播した幹細胞は、霊長類またはヒトの幹細胞の少なくとも1つの特性を保持することができる。幹細胞は、1以上の継代後にその特性を保持することができる。それらは複数回の継代後にその特性を保持することができる。それらは前記に述べた回数の継代数後にその特性を保持することができる。
その特性には、形態学的特性、免疫組織化学的特性、分子生物学的特性などを含めることができる。その特性には生物活性を含めることができる。
幹細胞の特性
本発明方法により伝播させた幹細胞は、下記の幹細胞特性のいずれかを表わすことができる:
幹細胞は、Oct4および/またはSSEA−1および/またはTRA−1−60および/またはMab84の発現の増大を示すことができる。自己再生している幹細胞は、自己再生していない幹細胞と比較して短縮した細胞周期を示す。
幹細胞は、一定の形態を示すことができる。たとえば、標準的な二次元顕微鏡画像において、ヒト胚性幹細胞は画像平面で高い核/細胞質比、顕著な核小体、および識別可能な細胞間結合の少ない緻密なコロニーの形成を示す。
幹細胞は、後記にさらに詳細に述べるように、発現した細胞マーカーをも特徴とする。
多分化能性マーカーの発現
保持される生物活性には、1以上の多分化能性マーカーの発現を含めることができる。
時期特異的胚性抗原(stage specific embryonic antigen)(SSEA)は、特定の胚細胞タイプの特徴である。SSEAマーカーに対する抗体は、Developmental Studies Hybridoma Bank(メリーランド州ベテスダ)から入手できる。他の有用なマーカーは、Tra−1−60およびTra−1−81指定抗体を用いて検出できる(Andrews et al., Cell Lines from
Human Germ Cell Tumors, in E. J. Robertson, 1987, 前掲)。ヒト胚性幹細胞は一般にSSEA−1陰性およびSSEA−4陽性である。hEG細胞は一般にSSEA−1陽性である。霊長類多分化能性幹(primate pluripotent stem)(pPS)細胞がインビトロで分化すると、SSEA−4、Tra−1−60およびTra−1−81の発現が失われ、SSEA−1の発現が増大する。pPS細胞はアルカリホスファターゼ活性の存在により特徴づけることもでき、これは、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、次いで基質としてのVector Redで、製造業者(Vector
Laboratories、カリフォルニア州バーリンゲーム)の記載に従って発色させることにより検出できる。
胚性幹細胞は一般にテロメラーゼ陽性およびOCT−4陽性でもある。テロメラーゼ活性は、TRAP活性アッセイ(Kim et al., Science 266:2011, 1997)により、市販のキット(TRAPeze.RTM. XK Telomerase Detection Kit,Cat.s7707;Intergen Co.,Purchase ニューヨーク;またはTeloTAGGG.TM.Telomerase PCR ELISA plus,Cat.2,013,89;Roche Diagnostics,インディアナポリス)を用いて測定できる。hTERT発現も、mRNAレベルでRT−PCRにより評価することができる。LightCycler TeloTAGGG.TM.hTERT定量キット(Cat.3,012,344;Roche Diagnostics)が研究用として市販されている。
FOXD3、PODXL、アルカリホスファターゼ、OCT−4、SSEA−4、TRA−1−60およびMab84などを含めてこれらの多分化能性マーカーのうちいずれか1以上を、伝播した幹細胞が保持することができる。
マーカーの検出は、当技術分野で既知のいずれかの手段で、たとえば免疫学的に達成できる。組織化学的染色、フローサイトメトリー(FACS)、ウェスタンブロット、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)などを使用できる。
フローイムノサイトケミストリーは、細胞表面マーカーの検出に使用できる。免疫組織
化学(たとえば固定した細胞または組織切片の)は、細胞内または細胞表面マーカーの検出に使用できる。ウェスタンブロット分析は、細胞抽出物について実施できる。酵素結合イムノアッセイは、細胞抽出物または培地中へ分泌された産物について使用できる。
この目的には、多分化能性マーカーに対する市販の抗体を使用できる。
時期特異的胚性抗原1および4(SSEA−1およびSSEA−4)、ならびに腫瘍拒絶抗原(Tumor Rejection Antigen)1−60および1−81(TRA−1−60、TRA−1−81)は、たとえばChemicon International、Inc(米国カリフォルニア州テメキュラ)から市販されている。モノクローナル抗体を用いるこれらの抗原の免疫学的検出は、多分化能性幹細胞を特性分析するために広く用いられている(Shamblott M.J. et. al. (1998) PNAS 95: 13726-13731; Schuldiner M. et. al. (2000). PNAS 97: 11307-11312; Thomson J.A. et. al. (1998). Science 282: 1145-1147; Reubinoff B.E. et. al. (2000). Nature Biotechnology 18: 399-404; Henderson J.K. et. al. (2002). Stem Cells 20: 329-337; Pera M. et. al. (2000). J. Cell Science 113: 5-10.)。
組織特異的遺伝子産物の発現は、mRNAレベルでノーザンブロット分析、ドットブロットハイブリダイゼーション分析、または標準増幅法で配列特異的プライマーを用いる逆転写酵素開始ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)により検出することもできる。本明細書に開示する個々のマーカーの配列データは公開データベース、たとえばGenBank(URL www.ncbi.nlm.nih.gov:80/entrez)から入手できる。これ以上の詳細についてはU.S.Pat.No.5,843,780を参照されたい。
伝播した細胞の実質的に全部またはそれらの実質部分が前記のマーカー(1以上)を発現することができる。たとえば、1以上のマーカーを発現する細胞のパーセントは、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、93%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、または実質的に100%の可能性がある。
細胞の生存率
生物活性には、前記の回数の継代後の細胞の生存率を含めることができる。細胞の生存率は、多様な方法で、たとえばトリパンブルー排除によりアッセイできる。
生体染色のためのプロトコルを以下に記載する。適宜な試験管に適切な体積の細胞懸濁液(20〜200μL)を入れ、等体積の0.4%トリパンブルーを添加し、穏やかに混合し、室温に5分間放置する。10μlの染色した細胞を血球計数器に入れ、生存(染色されていない)細胞および死(染色されてる)細胞の数を計数する。各四分の一中の染色されていない細胞の平均数を計算し、2x10倍して細胞/mlを求める。生存細胞のパーセントは、生存細胞数を死細胞と生存細胞の数で割ったものである。
細胞の生存率は、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、93%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、または実質的に100%の可能性がある。
核型
伝播した幹細胞は、伝播の前または後に正常な核型を保持していることができる。”正常な”核型は、幹細胞が由来する親幹細胞の核型と同一、類似または実質的に類似の核型、あるいはそれと異なるけれども実質的な程度にではない核型である。たとえば、何らかの大きな異常、たとえば転座、染色体喪失、欠失などがあってはならない。
核型は多数の方法により、たとえば視覚的に光学顕微鏡下で評価することができる。核
型は、McWhir et al. (2006)、Hewitt et al. (2007)、およびGallimore and Richardson
(1973)の記載に従って調製および分析することができる。標準的なG−バンド法(ルーティンな核型判定サービスを提供する多くの臨床診断検査室で入手できる;たとえばCytogenetics Lab、カリフォルニア州オークランド)を用いて細胞の核型を判定し、公開された幹細胞核型と比較することもできる。
伝播した細胞の全部または実質部分が正常な核型を保持することができる。この割合は、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、93%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、または実質的に100%の可能性がある。
多分化能性
伝播した幹細胞は、3つの細胞系列、すなわち内胚葉、外胚葉および中胚葉のすべてに分化する能力を保持していることができる。幹細胞を誘導してこれらの系列それぞれに分化させる方法は当技術分野で既知であり、多分化能性幹細胞の可能性を評価するために採用できる。伝播した細胞の全部または実質部分がこの能力を保持することができる。これは伝播した幹細胞の50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、93%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、または実質的に100%の可能性がある。
共培養およびフィーダー
本発明方法は、共培養物の存在下または不存在下での幹細胞の培養を含むことができる。用語”共培養物(co−culture)”は、一緒に成長している2以上の異なる種類の細胞、たとえば間質フィーダー細胞の混合物を表わす。これらの2以上の異なる種類の細胞を同一表面、たとえば粒子もしくは細胞容器表面で、または異なる表面で成長させることができる。異なる種類の細胞を異なる粒子の上で成長させることができる。
本明細書中で用いる用語、フィーダー細胞は、異なるタイプの細胞の培養に使用または要求される細胞を意味することができる。幹細胞の培養に関して、フィーダー細胞はES細胞の生存、増殖、および多分化能性の維持を保証する機能をもつ。ES細胞の多分化能性は、フィーダー細胞を直接共培養することにより達成できる。あるいは、またはさらに、フィーダー細胞をある培地で培養して、それを調整する(condition)ことができる。この馴化培地を用いて幹細胞を培養することができる。
容器、たとえば培養皿の内面を、***しないように処理したマウス胚性皮膚細胞のフィーダー細胞層でコートすることができる。フィーダー細胞は、ES細胞の成長に要求される栄養素を培養培地中へ放出する。したがって、粒子上で成長している幹細胞は、そのようなコートされた容器内で成長することができる。
フィーダー細胞自体を粒子上で成長させることができる。それらを、幹細胞について記載したと同様に粒子に接種することができる。伝播すべき幹細胞をそのようなフィーダー粒子と一緒に、または別個に成長させることができる。したがって、そのようなフィーダー細胞をコートした粒子上で層上に幹細胞を成長させることができる。他方では、幹細胞を別個の粒子上で成長させることができる。これらの様式のいずれの組合わせも可能である;たとえば、粒子上で成長させたフィーダー細胞、フィーダー細胞と幹細胞をもつ粒子、および成長している幹細胞をもつ粒子を含む培養。これらの組合わせを、フィーダー層をもつ容器またはもたない容器内で成長させることができる。
その上でフィーダー細胞を成長させる粒子は、マトリックスコーティング中にコートされもよく、コートされなくてもよい。
フィーダー細胞が存在しないか、または要求されない様式もありうる。たとえば、フィ
ーダー細胞または幹細胞により調整した培地中で細胞を成長させることができる。
培地およびフィーダー細胞
多分化能性幹細胞を分離および伝播するための培地は、得られる細胞が目的の特性をもち、かつさらに伝播しうる限り、幾つかの異なる処方のいずれかをもつことができる。
適切な供給源は下記のものである:ダルベッコの改変イーグル培地(Dulbecco’s modified Eagles medium)(DMEM)、Gibco#11965−092;Knockoutダルベッコの改変イーグル培地(KO DMEM)、Gibco#10829−018;200mM L−グルタミン、Gibco#15039−027;非必須アミノ酸溶液、Gibco 11140−050;ベータ−メルカプトエタノール、Sigma#M7522;ヒト組換え塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、Gibco#13256−029。血清を含む胚性幹(ES)細胞培地の例は、80%のDMEM(一般にKO DMEM)、20%の規定ウシ胎仔血清(FBS)(熱不活性化していないもの)、0.1mMの非必須アミノ酸、1mMのL−グルタミン、および0.1mMのベータ−メルカプトエタノールを用いて調製される。この培地を濾過し、4℃に保存する(2週間を超えない)。血清を含まない胚性幹(ES)細胞培地は、80%のKO DMEM、20%の血清代替物、0.1mMの非必須アミノ酸、1mMのL−グルタミン、および0.1mMのベータ−メルカプトエタノールを用いて調製される。有効な血清代替物は、Gibco#10828−028である。この培地を濾過し、4℃に保存する(2週間を超えない)。使用直前に、ヒトbFGFを添加して最終濃度4ng/mLにする(Bodnarら、Geron Corp、国際特許出願公開WO 99/20741)。
培地は、下記のものを補充したKnockout DMEM培地(Invitrogen−Gibco,ニューヨーク州グランドアイランド)を含むことができる:10%の血清代替媒質(Invitrogen− Gibco,ニューヨーク州グランドアイランド),5ng/mlのFGF2(Invitrogen−Gibco,ニューヨーク州グランドアイランド)および5ng/mlのPDGF AB(Peprotech,ニュージャージー州ロッキーヒル)。
フィーダー細胞(使用する場合)は、90%のDMEM(Gibco#11965−092、10%のFBS(Hyclone#30071−03)および2mMのグルタミンを含有するmEF培地中で伝播させることができる。mEFをT150フラスコ(Coming#430825)内で伝播させ、細胞を隔日にトリプシンで1:2に分割して、細胞を集密状態以下に保つ。フィーダー細胞層を調製するために、増殖を阻止するけれどもヒト胚性幹細胞を支持する重要な因子の合成は可能である線量で細胞を照射する(約4000ラドのガンマ線照射)。6ウェル培養プレート(たとえばFalcon#304)を、37℃でウェル当たり1mLの0.5%ゼラチンと共に一夜インキュベートすることによりコートし、ウェル当たり375,000個の照射mEFを播種する。フィーダー細胞層は、一般に播種後、5時間ないし4日間で使用される。pPS細胞の接種直前に、培地を新鮮なヒト胚性幹細胞(hES)培地と交換する。
他の幹細胞を培養するための条件は既知であり、適宜、細胞タイプに従って最適化できる。先のセクションに述べた特定の細胞タイプのための培地および培養技術は、引用した参考文献中に示されている。
無血清培地
本明細書に記載する方法および組成物は、無血清培地中での幹細胞の培養を含むことができる。
用語”無血清培地”には、血清タンパク質、たとえばウシ胎仔血清を含まない細胞培養培地を含めることができる。無血清培地は当技術分野で既知であり、たとえばUS Patent 5,631,159および5,661,034に記載されている。無血清培地は、たとえばGibco−BRL(Invitrogen)から市販されている。
無血清培地は、未知組成のタンパク質、水解物および成分を含まないという点で無タンパク質であってもよい。無血清培地には、すべての成分が既知の化学構造をもつ化学的に規定された培地を含めることができる。化学的に規定された無血清培地は、完全に規定された系を提供し、変動性を排除し、改良された再現性およびより一貫した性能を可能にし、外因性物質の混入の可能性を減らすので、有利である。
無血清培地には、Knockout DMEM培地(Invitrogen−Gibco,ニューヨーク州グランドアイランド)を含めることができる。
無血清培地には、1種類以上の成分、たとえば血清代替媒質を、たとえば5%、10%、15%などの濃度で補充することができる。無血清培地には、Invitrogen−Gibco(ニューヨーク州グランドアイランド)からの血清代替媒質を10%補充することができる。
解離させた(dissociated)または離散させた(disaggregated)胚性幹細胞を培養する無血清培地は、1種類以上の成長因子を含むことができる。多数の成長因子が当技術分野で既知であり、これにはFGF2、IGF−2、ノギン(Noggin)、アクチビン(Activin)A、TGFベータ1、HRG1ベータ、LIF、S1P、PDGF、BAFF、April、SCF、Flt−3リガンド、Wnt3Aその他が含まれる。成長因子はいずれか適切な濃度、たとえば1pg/ml〜500ng/mlで使用できる。
培地補充物
培養培地に1種類以上の添加物を補充することができる。たとえば、これらは下記のうち1以上から選択できる:脂質混合物、ウシ血清アルブミン(たとえば0.1% BSA)、ダイズタンパク質の水解物。
幹細胞(Stem Cell)
本明細書中で用いる用語”幹細胞”は、***に際して2つの発生選択肢に直面する細胞を表わす:娘細胞は元の細胞と同一である可能性があり(自己再生)、あるいはそれらはより特殊化した細胞タイプの子孫である可能性がある(分化)。したがって、幹細胞は一方または他方の経路をとることができる(各細胞タイプの1つを形成しうる他の経路がある)。したがって、幹細胞は、最終分化しておらず他のタイプの細胞を生成しうる細胞である。
本明細書中で述べる幹細胞には、全能性(totipotent)幹細胞、多分化能性(pluripotent)幹細胞、および多能性(multipotent)幹細胞を含めることができる。
一般に、本明細書中の幹細胞(複数)という表記は単一(幹細胞)を含むことができる。特に、幹細胞を培養および分化させる方法は単一細胞および集合体の培養技術を含むことができる。
本発明において、幹細胞培養物は集合体または単一細胞であってよい。
全能性幹細胞(Totipotent Stem Cell)
”全能性”細胞とは、成体内のいかなる細胞タイプにもなる可能性をもつ細胞、または胚体外膜(extraembryonic membrane)(たとえば胎盤)のいずれかの細胞を表わす。したがって、唯一の全能性細胞は受精卵およびそれの***により生成する最初の4個程度の細胞である。
多分化能性幹細胞(Pluripotent Stem Cell)
”多分化能性”幹細胞は、体内の分化したいかなる細胞をも作る可能性を備えた真の幹細胞である。しかしそれらは、栄養芽細胞(trophoblast)に由来する胚体外膜を作るのには関与できない。幾つかのタイプの多分化能性幹細胞が見いだされている。
胚性幹細胞(Embryonic Stem Cell)
胚性幹(ES)細胞は、卵子着床が起きた際に胚が発生する段階である胞胚(blastocyst)の内細胞塊(inner cell mass)(ICM)から分離することができる。
胚性生殖細胞(Embryonic Germ Cell)
胚性生殖(EG)細胞は、流産胎児内の生殖腺への前駆体から分離することができる。
胚性癌腫細胞(Embryonic Carcinoma Cell)
胚性癌腫(EC)細胞は、奇形癌、すなわち胎児の生殖腺に稀に起きる腫瘍から分離することができる。最初の2つと異なり、それらは通常は異数性である。3種類のこれらのタイプの多分化能性幹細胞は、胚または胎児の組織のみから分離することができ、培養により成長させることができる。これらの多分化能性細胞が分化するのを阻止する方法は当技術分野で既知である。
成体幹細胞(Adult Stem Cell)
成体幹細胞は多種多様なタイプを含み、これには神経幹細胞、皮膚幹細胞、および骨髄移植における活性成分である造血幹細胞が含まれる。これら後者の幹細胞タイプは、臍帯に由来する幹細胞の主要な特徴でもある。成体幹細胞は、実験室および体内の両方において機能性でより特殊化した細胞タイプに成熟させることができるが、細胞タイプの厳密な数は選択する幹細胞のタイプによって制限される。たとえば、成体幹細胞は間葉幹細胞、造血幹細胞、乳腺幹細胞、内皮幹細胞、または神経幹細胞であってもよい。成体幹細胞は多能性である可能性がある。
多能性幹細胞(Multipotent Stem Cell)
多能性幹細胞は、真の幹細胞であるが、限られた数のタイプに分化しうるにすぎない。たとえば骨髄は、血液のすべての細胞を生じうるけれども他のタイプの細胞を生じない多能性幹細胞を含む。多能性幹細胞は成体動物にみられる。身体のあらゆる臓器(脳、肝臓)は、それらが死んだ細胞または損傷を受けた細胞を交換できる場合にはそれらを含むと考えられる。
幹細胞を特性分析する方法は当技術分野で既知であり、これには標準アッセイ法、たとえばクローンアッセイ、フローサイトメトリー、長期培養、ならびに分子生物学的技術、たとえばPCR、RT−PCRおよびサザンブロット法の使用が含まれる。
ヒトとネズミの多分化能性幹細胞は、形態学的な相異のほか、それらの多数の細胞表面抗原(幹細胞マーカー)の発現が異なる。幹細胞のマーカーおよびそれらの検出方法を本明細書の他の箇所に記載する(”幹細胞の特性の維持”)。
幹細胞の供給源
U.S.Pat.No.5,851,832に、脳組織から得られた多能性神経幹細胞
が報告されている。U.S.Pat.No.5,766,948に、新生児大脳半球から神経芽細胞を生成することが報告されている。U.S.Pat.No.5,654,183および5,849,553に、哺乳動物神経冠幹細胞の使用が報告されている。
U.S.Pat.No.6,040,180に、哺乳動物多能性CNS幹細胞の培養物から、分化した神経細胞をインビトロ生成することが報告されている。WO 98/50526およびWO 99/01159に、神経上皮幹細胞、乏突起神経膠細胞−神経膠星状細胞前駆体、および系列限定−神経細胞前駆体の生成および分離が報告されている。
U.S.Pat.No.5,968,829には、胚性前脳から得られ、グルコース、トランスフェリン、インスリン、セレン、プロゲステロン、および他の幾つかの成長因子を含む培地で培養された、神経幹細胞が報告されている。
初代肝細胞培養物は、ヒトの生検材料または外科的に切除された組織から、適切な組合わせのコラゲナーゼおよびヒアルロニダーゼと共に潅流することにより得ることができる。あるいは、EP 0 953 633 Alに、ミンスしたヒト肝組織を調製し、濃縮した組織細胞を増殖培地に再懸濁し、そして細胞を培養において拡張することにより、肝細胞を分離することが報告されている。増殖培地は、グルコース、インスリン、トランスフェリン、T、FCS、および肝細胞が悪性トランスフォーメーションせずに成長するのを可能にする種々の組織抽出物を含む。
肝臓の細胞は、肝実質細胞、クッパー細胞、類洞内皮および胆管上皮を含めた特殊化した細胞、ならびに成熟した肝細胞または胆管上皮細胞の両方に分化する能力をもつ前駆細胞(”肝芽細胞”または”卵形細胞”と言う)を含むと考えられている(L. E. Rogler, Am. J. Pathol. 150:591, 1997; M. Alison, Current Opin. Cell Biol. 10:710, 1998; Lazaro et al., Cancer Res. 58:514, 1998)。
U.S.Pat.No.5,192,553に、ヒトの新生児または胎児の造血幹細胞または前駆細胞を分離するための方法が報告されている。U.S.Pat.No.5,716,827に、Thy−1陽性前駆体であるヒト造血細胞、およびそれらをインビトロで再生させるのに適切な増殖培地が報告されている。U.S.Pat.No.5,635,387に、ヒト造血細胞およびそれらの前駆体を培養するための方法および装置が報告されている。U.S.Pat.No.6,015,554に、ヒトリンパ球様細胞および樹状細胞を再構築(reconstituting)する方法が記載されている。
U.S.Pat.No.5,486,359に、1より多いタイプの結合組織、たとえば骨、軟骨、腱、靭帯および真皮の細胞に分化しうるヒト間葉幹細胞の均一集団が報告されている。それらは骨髄または骨膜から得られる。間葉幹細胞を拡張するために用いた培養条件も報告されている。WO 99/01145に、成長因子、たとえばG−CSFまたはGM−CSFで処理した個体の末梢血から分離されたヒト間葉幹細胞が報告されている。WO 00/53795に、脂肪細胞および赤血球を実質的に含まない、脂肪組織由来の幹細胞および格子(lattice)が報告されている。報告によれば、これらの細胞を拡張および培養してホルモンおよび馴化培地を生成することができる。
いかなる脊椎動物種の幹細胞も使用できる。ヒト、ならびにヒト以外の霊長類、家畜(domestic animal、livestock)、およびヒト以外の他の哺乳動物、たとえばげっ歯類、マウス、ラットなどに由来する幹細胞が含まれる。
本明細書に記載する方法および組成物に適切な幹細胞には、妊娠後に形成された組織、たとえば胚盤胞、または妊娠中のいずれかの時期に採取した胎児組織もしくは胚組織に由
来する、霊長類の多分化能性幹細胞(pPS)またはヒト多分化能性幹細胞が含まれる。限定ではない例は、胚性幹細胞の初代培養物または樹立した系列である。
胚性幹細胞
胚性幹細胞は、霊長類の種のメンバーの胚盤胞から分離できる(Thomson et al., Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 92:7844, 1995)。ヒト胚性幹(hES)細胞は、ヒト胚盤胞細胞から、Thomson et al.(U.S.Pat.No.5,843,780;Science 282:1145, 1998; Curr. Top. Dev. Biol. 38:133 ff., 1998)およびReubinoff et al, Nature Biotech. 18: 399, 2000に記載された技術を用いて調製できる。
要約すると、ヒト胚盤胞をヒトのインビボ着床前期胚から得ることができる。あるいは、インビトロ受精(IVF)胚を使用でき、または1細胞ヒト胚を胚盤胞段階まで拡張させることができる(Bongso et al., Hum Reprod 4: 706, 1989)。ヒト胚をG1.2およびG2.2培地中で胚盤胞段階まで培養する(Gardner et al., Fertil. Steril. 69:84, 1998)。発生した胚盤胞を胚性幹細胞分離のために選択する。プロナーゼ(Sigma)への短時間曝露により胚盤胞から透明帯を除去する。内細胞塊をイムノサージェリーにより分離する;その際、胚盤胞をウサギ抗ヒト脾細胞抗血清の1:50希釈液に30分間曝露し、次いでDMEM中で5分間、3回洗浄し、モルモット補体(Gibco)の1:5希釈液に3分間曝露する(参照:Solter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 72:5099, 1975)。DMEM中でさらに2回洗浄した後、溶解した栄養外胚葉細胞を無傷の内細胞塊(ICM)から穏やかなピペッティングにより除去し、ICMをmEFフィーダー層上に播種する。
9〜15日後、内細胞塊由来の増殖物を、カルシウムおよびマグネシウムを含まない1mMのEDTAを含有するリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)への曝露、ディスパーゼもしくはトリプシンへの曝露、またはマイクロピペットによる機械的解離により解離させてクランプにする;次いで新鮮な培地中のmEF上に再播種する。解離した細胞を新鮮な胚性幹(ES)細胞培地中のmEFフィーダー層上に再播種し、コロニー形成を観察する。未分化形態を示しているコロニーを、マイクロピペットにより個別に選択し、機械的に解離させてクランプにし、再播種する。胚性幹細胞様の形態は、明らかに高い核−対−細胞質比および顕著な核小体をもつ緻密なコロニーとして特徴づけられる。得られた胚性幹細胞を、次いで短時間のトリプシン処理、ダルベッコのPBS(カルシウムおよびマグネシウムを含まず、2mMのEDTAを含む)への曝露、IV型コラゲナーゼ(約200U/mL;Gibco)への曝露、またはマイクロピペットによる個別のコロニーの選択により、ルーティンに1〜2週毎に分割する。約50〜100細胞のクランプサイズが最適である。
胚性生殖細胞
ヒト胚性生殖(hEG)細胞は、最終月経期後の約8〜11週目に採取したヒト胎児材料中に存在する始原生殖細胞から調製できる。適切な調製方法は、Shamblott et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 13726, 1998、およびU.S.Pat.No.6,090,622に記載されている。
要約すると、生殖***を等張緩衝液ですすぎ、次いで0.1mLの0.05%トリプシン/0.53mM EDTAナトリウム溶液(BRL)に入れ、<1mmの塊(chunk)に切断する。次いでこの組織を100/μLティップによりピペッティングして、細胞をさらに離散させる。それを37℃で約5分間インキュベートし、次いで約3.5mLのEG増殖培地を添加する。EG増殖培地は、DMEM;4500mg/LのD−グルコース;2200mg/L mMの炭酸水素ナトリウム;15%の胚性幹(ES)細胞用ウシ胎仔血清(BRL);2mMのグルタミン(BRL);1mMのピルビン酸ナトリウ
ム(BRL);1000〜2000U/mLのヒト組換え白血病阻害因子(LIF,Genzyme);1〜2ng/mlのヒト組換え塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF,Genzyme);および10μMのフォルスコリン(10% DMSO中)である。別法においては、ヒアルロニダーゼ/コラゲナーゼ/DNAseを用いてEG細胞を分離する。生殖腺原基または生殖***を腸間膜と共に胎児材料から切除し、生殖***をPBS中ですすぎ、次いで0.1mlのHCD消化液(0.01%のV型ヒアルロニダーゼ、0.002%のDNAse I、0.1%のIV型コラゲナーゼ;すべてSigmaから;EG増殖培地中に調製)に入れる。組織をミンスし、37℃で1時間または一夜インキュベートし、1〜3mLのEG増殖培地に再懸濁し、フィーダー層上へ播種する。
LIF、bFGFまたはフォルスコリンを含まない改変EG増殖培地中で3日間培養した集密状態以下のフィーダー細胞層を5000ラドのγ−線で不活性化したもの含む、96ウェル組織培養プレートを調製する。適切なフィーダーはSTO細胞(ATCC寄託No.CRL 1503)である。0.2mLの初代生殖細胞(PGC)懸濁液を各ウェルに添加する。1回目の継代を7〜10日後にEG増殖培地中で実施し、各ウェルを、照射したSTOマウス線維芽細胞で予め調製した24ウェル培養皿の1つのウェルへ移植する。EG細胞と一致する細胞形態がみられるまで、培地を1日1回交換しつつ細胞を培養する;一般に7〜30日後または1〜4継代後。
誘導された多分化能性幹細胞
本明細書に記載する方法および組成物は、誘導された多分化能性幹細胞の伝播に使用できる。
一般にiPS細胞またはiPSCと略称される誘導された多分化能性幹細胞(人工多能性幹細胞)(induced pluripotent stem cell)は、非多分化能性細胞、一般に成体の体細胞、たとえば線維芽細胞、肺細胞またはB細胞から、特定の遺伝子を装入することにより人工的に誘導したタイプの多分化能性幹細胞である。iPS細胞は、Takahashi, K. & Yamanaka (2006)、Yamanaka S, et. al. (2007)、Wernig M, et. al. (2007)、Maherali N, et. al. (2007)、およびThomson JA, Yu J, et al. (2007)、およびTakahashi et al., (2007)に概説および考察されている。
iPS細胞は一般に、特定の幹細胞関連遺伝子を、非多分化能性細胞、たとえば成体線維芽細胞へトランスフェクションすることにより誘導される。トランスフェクションは一般にウイルスベクター、たとえばレトロウイルスにより達成される。トランスフェクションされた遺伝子は、マスタートランスフェクション調節物質Oct−3/4(Pouf51)およびSox2を含むが、他の遺伝子が誘導の効率を増強することが示唆されている。3〜4週後、少数のトランスフェクションした細胞が形態学的および生化学的に多分化能性幹細胞に類似するようになり始め、それらを一般に形態学的選択、倍増時間により、またはレポーター遺伝子および抗生物質感染により分離する。
多分化能性細胞の供給源
本発明のある観点および態様は、多分化能性細胞の使用に関する。胚性幹細胞および誘導された多分化能性幹細胞をそのような細胞の例として記載する。
胚性幹細胞は、伝統的に胚盤胞期の胚の内細胞塊(ICM)に由来する(Evans, M.J., and Kaufman, M.H. (1981). Establishment in culture of pluripotential cells from mouse embryos. Nature 292, 154-156. Martin, G.R. (1981). Isolation of a pluripotent cell line from early mouse embryos cultured in medium conditioned by teratocarcinoma stem cells. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78, 7634-7638. Thomson, J.A., Itskovitz-Eldor, J., Shapiro, S.S., Waknitz, M.A., Swiergiel, J.J., Marshall, V.S.
, and Jones, J.M. (1998). Embryonic stem cell lines derived from human blastocysts. Science 282, 1145-1147)。これらの方法は、胚性幹細胞を分離する際に胚の破壊を引き起こす可能性がある。
多分化能性幹細胞の分離のために、現在では胚の破壊を生じない幾つかの方法、たとえば成体の体細胞または生殖細胞の形質転換による方法が提示されている。これらの方法には下記のものが含まれる:
1.核移植によるリプログラミング。この技術は、体細胞から卵母細胞または受精体への核移植を伴う。ある状況において、これは動物−ヒトハイブリッド細胞の作製をもたらすことができる。たとえば、ヒトの体細胞と動物の卵母細胞もしくは受精体との融合、またはヒトの卵母細胞もしくは受精体と動物の体細胞の融合により、細胞を作製することができる。
2.胚性幹細胞との融合によるリプログラミング。この技術は、体細胞と胚性幹細胞の融合を伴う。この技術も、前記の1の場合と同様に動物−ヒトハイブリッド細胞の作製をもたらすことができる。
3.培養による自然リプログラミング。この技術は、長期培養後の非多分化能性細胞からの多分化能性細胞の生成を伴う。たとえば、多分化能性胚生殖(EG)細胞が、始原生殖細胞(PGC)の長期培養により生成した(Matsui et al., Derivation of pluripotential embryonic stem cells from murine primordial germ cells in culture. Cell 70,
841-847, 1992, 本明細書に援用する)。骨髄に由来する細胞の長期培養後の多分化能性幹細胞の発現も報告された(Jiang et al., Pluripotency of mesenchymal stem cells derived from adult marrow. Nature 418, 41-49, 2002, 本明細書に援用する)。彼らはこれらの細胞を多能性成体前駆細胞(multipotent adult progenitor cell)(MAPC)と表記した。Shinoharaらも、マウス新生仔精巣由来の生殖系列幹(GS)細胞の培養中に多分化能性幹細胞が生成する可能性があることを証明し、これを彼らは多能性生殖系列幹(multipotent germline stem)(mGS)細胞と表記した(Kanatsu-Shinohara et al., Generation of pluripotent stem cells from neonatal mouse testis. Cell 119, 1001-1012, 2004)。
5.特定の因子によるリプログラミング。たとえば、レトロウイルス仲介によりマウス胚または成体線維芽細胞に転写因子(たとえばOct−3/4、Sox2、c−Myc、およびKLF4)を導入することによるiPS細胞の生成;たとえば前記。Kaji et al (Virus-free induction of pluripotency and subsequent excision of reprogramming factors. Nature. オンライン発表 1 March 2009)も、2Aペプチドと連結したc−Myc、Klf4、Oct4およびSox2のコード配列を含む単一の多タンパク質発現ベクターの非ウイルストランスフェクションを記載している;これはマウスおよびヒト両方の線維芽細胞をリプログラミングすることができる。この非ウイルスベクターを用いて生成したiPS細胞は、リプログラミングされた状態の指標となる強い多分化能性マーカー発現を示し、これはインビトロ分化アッセイおよび成体キメラマウス形成によって機能的に確認される。彼らは、胚線維芽細胞から、強い多分化能性マーカー発現を伴うリプログラミングされたヒト細胞系を樹立するのに成功した;
方法1〜4は、Shinya Yamanaka,Strategies and New Developments in the Generation of Patient-Specific Pluripotent Stem Cells (Cell Stem Cell 1, July 2007 a2007
Elsevier Inc)に記載および考察されている;本明細書に援用する。
5.単一の卵割球または生検卵割球からのhESC系列の誘導。参照:Klimanskaya I,
Chung Y, Becker S, Lu SJ, Lanza R. Human embryonic stem cell lines derived from
single blastomeres. Nature 2006; 444: 512, Lei et al Xeno-free derivation and c
ulture of human embryonic stem cells: current status, problems and challenges. Cell Research (2007) 17: 682-688, Chung Y, Klimanskaya I, Becker S, et al. Embryonic and extraembryonic stem cell lines derived from single mouse blastomeres. Nature. 2006; 439: 216-219. Klimanskaya I, Chung Y, Becker S, et al. Human embryonic stem cell lines derived from single blastomeres. Nature. 2006; 444: 481-485. Chung Y, Klimanskaya I, Becker S, et al. Human embryonic stem cell lines generated without embryo destruction. Cell Stem Cell. 2008; 2: 113-117 and Dusko Ilic et al (Derivation of human embryonic stem cell lines from biopsied blastomeres on
human feeders with a minimal exposure to xenomaterials. Stem Cells And Development -公表前報文);すべてを本明細書に援用する。
6.インビトロで卵割を停止させて、桑実胚および胚盤胞に発生することができなかった***停止胚から得られるhESC系列。参照:Zhang X, Stojkovic P, Przyborski S, et al. Derivation of human embryonic stem cells from developing and arrested embryos. Stem Cells 2006; 24:2669-2676 and Lei et al Xeno-free derivation and culture of human embryonic stem cells: current status, problems and challenges. Cell Research (2007) 17:682-688;両方を本明細書に援用する。
7.単為生殖(parthogenesisまたはparthenogenesis)。この技術は、未受精卵を化学的または電気的に刺激して卵割球にまで発生させることを伴い、それから胚性幹細胞を誘導することができる。たとえば、Lin et al. Multilineage potential of homozygous stem cells derived from metaphase II oocytes. Stem Cells. 2003; 21(2): 152-61を参照;彼らは、未受精***中期IIの卵母細胞の化学的活性化を用いて幹細胞を生成させた。
8.胎児由来の幹細胞。これらの細胞は潜在能力に関して胚性幹細胞と成体幹細胞の間にあり、多分化能性細胞または多能性細胞の誘導に使用できる。多分化能性マーカー(Nanog、Oct−4、Sox−2、Rex−1、SSEA−3、SSEA−4、Tra−1−60、およびTra−1−81を含む;β−ガラクトシダーゼ染色および一貫したテロメラーゼ活性の発現により示されるように、老化の証拠は最少)を発現しているヒト臍帯由来−胎児間葉幹細胞(UC fMSC)の誘導に成功した;Chris H. Jo et al (Fetal mesenchymal stem cells derived from human umbilical cord sustain primitive characteristics during extensive expansion. Cell Tissue Res (2008) 334:423-433;本明細書に援用する)。Winston Costa Pereira et al (Reproducible methodology for the isolation of mesenchymal stem cells from human umbilical cord and its potential for cardiomyocyte generation J Tissue Eng Regen Med 2008; 2: 394-399;本明細書に援用する)は、ヒト臍帯のワートンゼリー(Wharton’s jelly)から純粋な間葉幹細胞集団を分離した。ワートンゼリー由来の間葉幹細胞は、Troyer & Weiss
(Concise Review: Wharton’s Jelly-Derived Cells Are a primitive Stromal Cell Population. Stem Cells 2008:26:591-599)にも概説されている。Kim et al (Ex vivo characteristics of human amniotic membrane-derived stem cells. Cloning Stem Cells 2007 Winter;9(4):581-94;本明細書に援用する)は、ヒト羊膜からヒト羊膜由来間葉細胞を分離するのに成功した。臍帯は普通は廃棄される組織であり、この組織に由来する幹細胞は、道徳または倫理上の反対を引き寄せにくい。
本発明は、これらの供給源から得られる、またはこれらのいずれかの方法により作製される、多分化能性または多能性幹細胞の使用を含む。ある態様において、本発明方法に用いた多分化能性または多能性幹細胞は、胚の破壊を引き起こさない方法により得られた。より好ましくは、ある態様において、本発明方法に用いた多分化能性または多能性幹細胞は、ヒトまたは哺乳動物の胚の破壊を引き起こさない方法により得られた。したがって本
発明方法は、それらの細胞を誘導しうるヒト胚の破壊を必然的に伴う方法によってのみ調製されたものではない細胞を用いて実施することができる。この任意制約は、特に欧州特許庁のDecision G0002/06 of 25 November 2008 of the Enlarged Board of Appealを考慮に入れるためのものである。
分化/胚様体(Embryoid Body)
当業者に既知の種々の分化方法を用いて培養幹細胞を分化させて、いずれか適切な細胞タイプにすることができる。
本発明者らは、分化した細胞を生成するための方法であって、幹細胞を本明細書に記載する方法により伝播させ、次いで幹細胞を既知の技術に従って分化させることを含む方法を記載する。たとえば、本発明者らは、外胚葉、中胚葉および内胚葉、ならびに心筋細胞、脂肪細胞、軟骨細胞および骨細胞などに分化させる方法を提供する。本発明者らはさらに、そのような方法により得られる胚様体および分化した細胞を提供する。そのような幹細胞および分化した細胞から作製される細胞系も提供する。
幹細胞を分化させる方法は当技術分野で既知であり、たとえば下記に記載されている:Itskovitz-Eldor (2000)およびGraichen et al (2007)、Kroon et al (2008)およびHay et al (2008)、WO 2007/030870、WO 2007/070964、Niebrugge et al (2009)、R Passier et al. 2005、P W Burridge et al. 2006、M A Laflamme et al. 2007、L Yang et al. 2008、およびX Q Xu et al. 2008。培養幹細胞を胚様体の形成にも使用できる。胚様体およびそれらを作製するための方法は、当技術分野で既知である。用語”胚様体”は、懸濁液中での胚性幹細胞の成長により生成する培養物中にみられる球状コロニーを表わす。胚様体は混合細胞タイプのものであり、特定の細胞タイプの分布および出現のタイミングは、胚内でみられたものに対応する。胚様体は、胚性幹細胞を半固体培地などの培地に播種することにより生成させることができる。Lim et al, Blood. 1997;90:1291-1299に記載されるメチルセルロース培地を使用できる。
たとえばItskovitz-Eldor (2000)に記載された方法を用いて胚性幹細胞を誘導して、胚様体を形成することができる。胚様体は3胚葉のすべての細胞を含む。
胚様体を、たとえば適切な誘導因子または環境変化に曝露することによりさらに誘導して、種々の系列に分化させることができる。Graichen et al (2007)は、ヒト胚性幹細胞からp38MAPキナーゼ経路の操作により心筋細胞を形成することを記載している。Graichenは、p38 MAPキナーゼの特異的阻害剤、たとえば10マイクロモル濃度未満のSB203580への曝露により幹細胞からの心筋細胞形成が誘導されることを証明している。
分化した細胞は、いずれか適切な目的、たとえば当技術分野で知られているように再生医療のために利用できる。
本発明による培養方法および技術により得られる幹細胞を用いて、医療処置方法に使用するための他の細胞タイプに分化させることができる。たとえば、分化した細胞タイプは、本発明による培養方法および技術により得られる幹細胞から、これを続いて分化させて誘導することができる。分化した細胞タイプは、本発明による培養方法および技術により得られる幹細胞を続いて分化させた産物とみなすことができる。そのような分化した細胞を、場合により医薬的に許容できるキャリア、佐剤または希釈剤と共に含む医薬組成物を提供することができる。そのような医薬組成物は、医療処置方法に有用となることができる。
マイクロキャリア上での分化
本発明によれば、幹細胞、特に胚性幹細胞およびiPSを、マイクロキャリア上での懸
濁培養中に分化するように誘導することができる。
胚性幹細胞を誘導して、3つの一次胚葉:外胚葉、内胚葉および中胚葉、ならびにそれらの派生物に分化させることができる。胚性幹細胞を誘導して胚様体を形成させることができる。したがって、広範な細胞タイプおよび組織、たとえば心筋細胞、心臓中胚葉、肝細胞、肝臓内胚葉、膵島細胞、膵臓内胚葉、インスリン産生細胞、神経組織、神経外胚葉、上皮組織、表層外胚葉、骨、軟骨、筋肉、靭帯、腱、または他の結合組織を得ることができる。
幹細胞の分化および胚様体の形成のための方法は前記に述べられており、マイクロキャリア培養における幹細胞の分化に適用できる。
マイクロキャリア培養中に幹細胞を分化させる方法は、前記に従ってマイクロキャリアをマトリックスコーティング中にコートすることが必要な場合がある。たとえば、適切なコーティングは下記のうち1以上を含むことができる:Matrigel、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ヒアルロン酸。
マイクロキャリア培養中に幹細胞を分化させる方法は、培養培地に補充物を添加することが必要な場合がある。たとえば、補充物はウシ血清アルブミン、脂質またはHy−Soy(Sigma−Aldrich−これはダイズタンパク質の酵素水解物である)を含むことができる。
マイクロキャリア培養中に幹細胞を分化させる方法は、2D培養または3D懸濁マイクロキャリア培養における幹細胞の初代培養および伝播、続いてマイクロキャリア培養中における分化の誘導を伴うことができる。
用途
本明細書に記載する方法および組成物は、多様な手段に利用できる。
たとえば、本明細書に記載する粒子を、より簡単な幹細胞培養のための研究用ツールまたは実験室試薬として提供できる。それらは、分化した細胞を生成するために、マイクロキャリア上での未分化幹細胞の拡張に使用できる。これは受注製造の可能性に発展させることができる。幹細胞を薬物検査に使用するために、拡張させ、場合により分化させることができる。粒子またはマイクロキャリアを種々の培地条件での幹細胞のコンビナトリアル分化のために標識することができる。
本明細書に記載する方法により伝播させた幹細胞を、商業的に重要な多様な研究、診断、および療法の目的に使用できる。幹細胞をこれらの目的に直接使用でき、あるいは当技術分野で既知の方法を用いていずれか選択した細胞タイプに分化させることができる。前駆細胞を幹細胞から誘導することもできる。分化した細胞もしくは前駆細胞または両方を、幹細胞の代わりに、または幹細胞と組み合わせて、同じ目的のために使用できる。したがって、本明細書に幹細胞について記載する用途はいずれも、幹細胞から誘導された前駆細胞または分化した細胞に同等に適用される。同様に、分化した細胞のいずれかの用途は、それらにとって前駆体である幹細胞、または前駆細胞に同等に適用されるであろう。
幹細胞などの用途は一般に当技術分野で周知であるが、ここに簡単に記載する。
療法用途
本明細書に記載する方法および組成物を用いて、再生医療のための幹細胞を伝播させることができる。幹細胞を拡張し、そして患者に直接投与することができる。それらは外傷後の損傷を受けた組織の再構成(repopulation)のために使用できる。
胚性幹細胞を再生医療に直接使用でき、あるいはそれらを用いて外胚葉、中胚葉または
内胚葉の前駆細胞集団を発生させることができる。前駆細胞はエクスビボ拡張により作製でき、あるいは患者に直接投与することができる。それらも外傷後の損傷を受けた組織の再構成のために使用できる。
たとえば、造血前駆細胞は骨髄置換のために使用でき、一方、心臓前駆細胞は心不全患者のために使用できる。皮膚前駆細胞は患者に用いる皮膚移植片を成長させるために利用でき、内皮前駆細胞は人工補綴物、たとえばステントまたは人工心臓の内皮形成(endothelization)のために使用できる。
胚性幹細胞は、変性性疾患、たとえば糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病、などの処置のための外胚葉、中胚葉または内胚葉の前駆細胞の供給源として使用できる。胚性幹細胞は、癌の免疫療法のためのNK細胞または樹状細胞に対する中胚葉または内胚葉前駆体の供給源として使用できる。
本明細書に記載する方法および組成物は、外胚葉、中胚葉または内胚葉の前駆細胞の生成を可能にし、これらはもちろん、当技術分野で既知の方法を用いてさらに分化させて、最終分化した細胞タイプにすることができる。
したがって、最終分化した細胞の使用はいずれも、それらの源である外胚葉、中胚葉または内胚葉の前駆細胞(または幹細胞)に同等に結び付くであろう。
本明細書に記載する方法および組成物により生成する幹細胞、外胚葉、中胚葉または内胚葉の前駆細胞、および分化した細胞は、疾患の処置に使用でき、あるいは疾患の処置のための医薬組成物の調製に使用できる。そのような疾患は、再生医療により処置できる疾患を含むことができ、これには心不全、骨髄疾患、皮膚疾患、火傷、変性性疾患、たとえば糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病など、および癌が含まれる。
ライブラリー
たとえば、未分化細胞または分化した細胞の集団を用いて、その分化した表現型に特異的な抗体およびcDNAライブラリーを調製することができる。抗体を産生、精製および修飾する際に用いる一般法、ならびに免疫アッセイ法および免疫分離法におけるそれらの使用は、Handbook of Experimental Immunology (Weir & Blackwell, eds.); Current Protocols in Immunology (Coligan et al., eds.);およびMethods of Immunological Analysis (Masseyeff et al., eds., Weinheim: VCH Verlags GmbH)に記載されている。mRNAおよびcDNAライブラリーの調製に関する一般法は、RNA Methodologies: A Laboratory Guide for Isolation and Characterization (R. E. Farrell, Academic Press, 1998); cDNA Library Protocols (Cowell & Austin, eds., Humana Press);およびFunctional Genomics (Hunt & Livesey, eds., 2000)に記載されている。薬物スクリーニングおよび医療用途に使用するためには、比較的均一な細胞集団が特に適切である。
薬物スクリーニング
幹細胞および分化した細胞を用いて、幹細胞または分化した細胞の特性に影響を及ぼす因子(たとえば溶媒、低分子薬物、ペプチド、ポリヌクレオチドなど)または環境条件(たとえば培養条件または操作)をスクリーニングすることもできる。
幹細胞を用いて、多分化能性または分化を促進する因子をスクリーニングすることができる。ある態様においては、分化した細胞を用いて、成熟を促進する因子、またはそのような細胞の長期培養における増殖および維持を促進する因子をスクリーニングすることができる。たとえば、候補となる成熟因子または成長因子を異なるウェル内の細胞に添加し、次いで生じる何らかの表現型変化を以後の細胞の培養および使用のために望ましい基準に従って判定することにより、それらを試験する。
格別なスクリーニング用途は、薬物探索における医薬化合物の試験に関連する。標準的なテキスト”In vitro Methods in Pharmaceutical Research”, Academic Press, 1997、およびU.S.Pat.No.5,030,015)、ならびに本明細書の他の箇所にある薬物スクリーニングの一般的記載を参照されたい。候補となる医薬化合物の活性の評価は、一般に、幹細胞または分化した細胞を候補化合物と接触させ、その化合物に起因する細胞の形態、マーカー表現型、または代謝活性における何らかの変化を判定し(非処理細胞または不活性化合物で処理した細胞と比較して)、次いでその化合物の作用と観察した変化との相関性を求めることを伴う。
スクリーニングは、たとえばその化合物が特定の細胞タイプに対する薬理作用をもつように設計されたという理由で、あるいは他の何らかの作用をもつように設計された化合物が意図しない副作用をもつ可能性があるという理由で、行なうことができる。2種類以上の薬物を組み合わせて(同時または逐次のいずれかで細胞と組み合わせることにより)試験して、可能性のある薬物−薬物相互作用を検出することができる。ある用途においては、化合物をまず潜在毒性についてスクリーニングする(Castell et al., pp. 375-410 in ”In vitro Methods in Pharmaceutical Research,” Academic Press, 1997)。細胞毒性は、最初に細胞の生育力、生存率、形態、および特定のマーカー、受容体または酵素の発現または放出により判定することができる。薬物が染色体DNAに及ぼす影響は、DNAの合成または修復を測定することにより判定できる。[H]チミジンまたはBrdUの取込み、特に細胞周期の予定外の時期における取込み、または細胞複製に必要なレベルより高い取込みは、薬物作用と一致する。目的外の作用には、***中期拡散により判定した姉妹染色分体交換の異例な速度も含めることができる。これ以上の詳細については、A. Vickers (PP 375-410,”In vitro Methods in Pharmaceutical Research”, Academic Press, 1997)を参照されたい。
組織再生
本明細書に記載する方法および組成物により伝播した幹細胞(およびそれに由来する分化した細胞)は、療法、たとえばその必要がある個々の患者における組織の再構築または再生のために使用できる。それらの細胞を、意図する組織部位にそれらがグラフトして機能欠損領域を再構築または再生しうる様式で投与することができる。
伝播した幹細胞またはそれに由来する分化した細胞は、組織工学のために、たとえば皮膚移植片を成長させるために使用できる。それらは人工的な臓器もしくは組織の生体工学的作製、または補綴物、たとえばステントに使用できる。
分化した細胞も、その必要があるヒト患者において、組織の再構築または再生のために使用できる。それらの細胞を、意図する組織部位にそれらがグラフトして機能欠損領域を再構築または再生しうる様式で投与することができる。
たとえば、本明細書に記載する方法および組成物を用いて幹細胞の分化を調節することができる。分化した細胞は、組織工学のために、たとえば皮膚移植片を成長させるために使用できる。幹細胞分化の調節は、人工的な臓器もしくは組織の生体工学的作製、または補綴物、たとえばステントに使用できる。
他の例においては、処置すべき疾患に応じて、神経幹細胞を中枢神経系の実質部位またはクモ膜下部位に直接移植する。移植は単一細胞の懸濁液または小さな集合体を用いて25,000〜500,000細胞/mu.Lの密度で行われる(U.S.Pat.No.5,968,829)。神経細胞移植体の有効性は、McDonald et al. (Nat. Med. 5:1410, 1999に従って急性脊髄損傷のラットモデルにおいて評価することができる。移植が成
功すると、病変部に存在する移植体由来の細胞が2〜5週後に神経膠星状細胞、乏突起神経膠細胞および/または神経細胞に分化し、病変部末端から脊髄に沿って移動し、ゲート、協調および負荷が改善されたことを示すであろう。
特定の神経前駆細胞は、神経系に対する急性または慢性の損傷を処置するために設計される。たとえば、てんかん、卒中、虚血、ハンチントン病、パーキンソン病およびアルツハイマー病を含めた多様な状態において、刺激毒性の関与が指摘されている。本明細書に記載する方法により作製した特定の分化した細胞は、髄鞘発育不全障害、たとえばペリツェウス−メルツバッハー病、多発性硬化症、白質萎縮症、神経炎および神経障害の処置にも適切となることができる。これらの目的に適切なものは、再有髄化を促進するために乏突起神経膠細胞または乏突起神経膠細胞前駆体に富む細胞培養物である。
本発明方法を用いて調製した肝細胞および肝細胞前駆体を、動物モデルにおいて肝損傷を修復する能力について評価することができる。そのような例のひとつは、D−ガラクトサミンの腹腔内注射により起きた損傷である(Dabeva et al., Am. J. Pathol. 143:1606,
1993)。処置の有効性は、肝細胞マーカーについての免疫組織化学的染色、成長している組織中に小管構造が形成されているかどうかの顕微鏡判定、およびその処置が肝特異的タンパク質の合成を回復させる能力により決定できる。肝細胞は、劇症肝不全後に、直接投与により、または対象の肝組織が自己再生する間の一時的な肝機能を提供する生体補助デバイスの一部として、療法に使用できる。
心筋細胞は、たとえば特異的p38 MAPキナーゼ阻害薬であるSB203580でMAPキナーゼ経路を調節することにより幹細胞の分化を誘導することによって調製できる;Graichen et al (2007)に記載。そのような心筋細胞の有効性は、処置しなければ左心室壁組織の55%を瘢痕組織にする心臓冷却傷害の動物モデルにおいて評価することができる(Li et al., Ann. Thorac. Surg. 62:654, 1996; Sakai et al., Ann. Thorac. Surg. 8:2074, 1999, Sakai et al., J. Thorac. Cardiovasc. Surg. 118:715, 1999)。処置が成功すると、瘢痕領域が縮小し、瘢痕拡大が制限され、収縮期血圧、拡張期血圧および活動血圧(developed pressure)により判定される心機能が改善されるであろう。心臓傷害は左後方下行動脈の遠位部分に塞栓形成コイルを用いてモデル化することもでき(Watanabe et al., Cell Transplant. 7:239, 1998)、処置の有効性は組織学的所見および心機能により評価することができる。心筋細胞調製物は、心筋を再生し、不完全な心機能を処置するための療法に使用できる(U.S.Pat.No.5,919,449およびWO 99/03973)。

本明細書に記載する方法および組成物により伝播した幹細胞およびそれに由来する分化した細胞は、癌の処置に使用できる。
用語”癌”および”癌性”は、哺乳動物において一般に無調節な細胞成長を特徴とする生理的状態を表現または記載する。癌の例には癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫および白血病が含まれるが、これらに限定されない。
そのような癌のより具体的な例には下記のものが含まれる:扁平上皮癌、小細胞性肺癌、非小細胞性肺癌、胃癌、膵臓癌、グリア細胞腫、たとえばグリア芽細胞腫および神経線維腫症、子宮頚癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、大腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、唾液腺癌、腎癌、直腸癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌腫、ならびに種々のタイプの頭頚部癌。他の例は、大腸癌、乳癌、肺癌および前立腺癌を含めた固形腫癌、白血病およびリンパ腫を含めた造血系悪性疾患、ホジキン病、再生不良性貧血、皮膚癌および家族性腺腫様多発ポリポーシスである。他の例には下記のものが含まれる:脳新生物
、結腸直腸新生物、胸部新生物、子宮頚部新生物、眼新生物、肝新生物、肺新生物、膵臓新生物、卵巣新生物、前立腺新生物、皮膚新生物、精巣新生物、新生物、骨新生物、栄養膜新生物、ファロピウス管新生物、直腸新生物、結腸新生物、腎新生物、胃新生物、および甲状腺新生物。乳癌、前立腺癌、膵臓癌、結腸直腸癌、肺癌、悪性黒色腫、白血病、リンパ腫、卵巣癌、子宮頚癌、および胆管癌も含まれる。
本明細書に記載する方法および組成物により伝播した幹細胞およびそれに由来する分化した細胞は、抗癌薬、たとえばエンドスタチン(endostatin)およびアンギオスタチン(angiostatin)、または細胞毒性薬剤もしくは化学療法剤と組み合わせて使用できる。たとえば薬物、たとえばアドリアマイシン(adriamycin)、ダウノマイシン(daunomycin)、シス−プラチナム(cis−platinum)、エトポシド(etoposide)、タキソール(taxol)、タキソテール(taxotere)、およびアルカロイド、たとえばビンクリスチン(vincristine)、および代謝拮抗薬、たとえばメトトレキセート(methotrexate)。本明細書中で用いる用語”細胞毒性薬剤”は、細胞の機能を阻害もしくは阻止し、および/または細胞の破壊を引き起こす物質を表わす。この用語は、放射性同位体(たとえばI、Y、Pr)、化学療法剤、および毒素、たとえば細菌、真菌、植物もしくは動物に由来する酵素活性毒素、またはそのフラグメントを含むものとする。
この用語には、癌遺伝子産物/チロシンキナーゼ阻害薬、たとえば下記のものも含まれる:二環式アンサマイシン(ansamycin)類、WO 94/22867に開示;1,2−ビス(アリールアミノ)安息香酸誘導体、EP 600832に開示;6,7−ジアミノ−フタラジン−1−オン誘導体、EP 600831に開示;4,5−ビス(アリールアミノ)−フタルイミド誘導体、EP 516598に開示;またはチロシンキナーゼがSH2−含有基質タンパク質に結合するのを阻害するペプチド(たとえばWO 94/07913を参照)。”化学療法剤”は、癌の療法に有用な化合物である。化学療法剤の例には、下記のものが含まれる:アドリアマイシン(Adriamycin)、ドキソルビシン(Doxorubicin)、5−フルオロウラシル(5−FU)、シトシンアラビノシド(Cytosine arabinoside)(Ara−C)、シクロホスファミド(Cyclophosphamide)、チオテパ(Thiotepa)、ブスルファン(Busulfan)、サイトキシン(Cytoxin)、タキソール(Taxol)、メトトレキセート(Methotrexate)、シスプラチン(Cisplatin)、メルファラン(Melphalan)、ビンブラスチン(Vinblastine)、ブレオマイシン(Bleomycin)、エトポシド(Etoposide)、イホスファミド(Ifosfamide)、マイトマイシンC(Mitomycin C)、ミトキサントロン(Mitoxantrone)、ビンクリスチン(Vincristine)、VP−16、ビノレルビン(Vinorelbine)、カルボプラチン(Carboplatin)、テニポシド(Teniposide)、ダウノマイシン(Daunomycin)、カルミノマイシン(Carminomycin)、アミノプテリン(Aminopterin)、ダクチノマイシン(Dactinomycin)、マイトマイシン類、ニコチンアミド(Nicotinamide)、エスペラマイシン(Esperamicin)類(参照:U.S.Pat.No.4,675,187)、メルファラン、および他の関連ナイトロジェンマスタード類、ならびに内分泌療法剤(たとえばジエチルスチルベストロール(diethylstilbestrol)(DES)、タモキシフェン(Tamoxifen)、LHRH拮抗薬、プロゲスチン(progestin)類、抗プロゲスチン類など)。
他の観点
本発明者らは、ヒト幹細胞を伝播させる方法であって、下記の工程を含む方法を記載する:(a)ヒト幹細胞が付着した第1マイクロ粒子を用意し;(b)第1マイクロ粒子を
、付着した第2のヒト幹細胞を含む第2マイクロ粒子と接触させて、集合体を形成させ;そして(c)集合体を培養する;その際、それぞれの第1および第2マイクロ粒子はその上にコートされたマトリックスを含み、かつ陽電荷をもつ。
本発明者らは、ヒト幹細胞をキャリア上で伝播させる方法を記載し、その際、キャリアは陽電荷をもち、細胞外マトリックス成分でコートされており、かつ幹細胞がキャリアの集合体を形成しうるサイズのものである。
本発明者らは、ヒト幹細胞を伝播させる方法であって、下記の工程を含む方法を記載する:(a)ヒト幹細胞が付着した複数のマイクロ粒子を用意し、各マイクロ粒子は陽電荷をもち、かつコートされたマトリックスを含み;(b)複数のマイクロ粒子を集合させて集合体を形成させ;そして(c)集合体を培養する。
本発明者らは、ヒト幹細胞を伝播させる方法であって、下記の工程を含む方法を記載する:(a)陽電荷およびコートされたマトリックスを含むマイクロ粒子を用意し;(b)ヒト幹細胞を粒子に付着させ;そして(c)幹細胞が付着したマイクロ粒子を集合させて、これによりヒト幹細胞を伝播させる。
番号を付けた下記のパラグラフは、本明細書に開示した本発明の技術的特徴の広範な組合わせの記載を含む:
1.それにコートされたマトリックスを含み、かつ陽電荷をもつ粒子であって、それに付着した霊長類またはヒトの幹細胞が集合しうるサイズの粒子。
2.パラグラフ1による粒子であって、実質的に細長い、円筒形もしくはロッド形の粒子、または実質的にコンパクトもしくは球形の粒子。
3.パラグラフ1または2による粒子であって、50μm〜400μmの最長寸法を有し、実質的に細長い、円筒形またはロッド形の粒子。
4.パラグラフ3による粒子であって、約200μmの最長寸法を有する粒子。
5.パラグラフ3または4による粒子であって、20μm〜30μmの最短寸法を有する粒子。
6.前記のいずれかのパラグラフによる粒子であって、円筒形のセルロースマイクロキャリアを含む粒子。
7.前記のいずれかのパラグラフによる粒子であって、DE−52(Whatman)、DE−53(Whatman)またはQA−52(Whatman)を含む粒子。
8.パラグラフ1または2による粒子であって、約20μm〜約120μmのサイズを有し、実質的にコンパクトまたは球形の粒子。
9.パラグラフ8による粒子であって、約65μmのサイズを有する粒子。
10.パラグラフ1、2、8および9による粒子であって、親水性マイクロキャリア、ヒドロキシル化メタクリル系マトリックスマイクロキャリアまたは誘導体化した親水性ビーズ状マイクロキャリアを含む粒子。
11.パラグラフ1、2、8、9および10による粒子であって、TSKgel Tresyl−5Pw(東ソー)またはToyopearl AF−Tresyl−650(東ソー)を含む粒子。
12.パラグラフ1または2による粒子であって、マクロ多孔質またはミクロ多孔質の
carboseedマイクロキャリアを含む粒子。
13.パラグラフ12による粒子であって、SM1010(Blue Membranes) or SH1010(Blue Membranes)を含む粒子。
14.前記のいずれかのパラグラフによる粒子であって、陽電荷をもつように誘導体化された粒子。
15.前記のいずれかのパラグラフによる粒子であって、粒子の乾燥重量グラム当たり1〜2ミリ当量の小さなイオン交換容量の第三級または第四級アミンとカップリングした粒子。
16.前記のいずれかのパラグラフによる粒子であって、最高20mg/粒子mlの濃度の硫酸プロタミンまたはポリ−L−リジン臭化水素酸塩とカップリングした粒子。
17.前記のいずれかのパラグラフによる粒子であって、陽電荷が0.5〜4ミリ当量単位/ml(mEq)である粒子。
18.前記のいずれかのパラグラフによる粒子であって、マトリックスが幹細胞の成長を可能にする生理学的関連マトリックスである粒子。
19.前記のいずれかのパラグラフによる粒子であって、マトリックスが細胞外マトリックス成分を含む粒子。
20.前記のいずれかのパラグラフによる粒子であって、マトリックスがMatrigel、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ヒアルロン酸、ウシのガラス体液に由来するヒアルロン酸、連鎖球菌に由来するヒアルロン酸ナトリウム、ヘパラン硫酸、ウシの腎臓に由来するヘパラン硫酸、デキストラン硫酸、デキストラン硫酸ナトリウム、ヘパリン硫酸およびコンドロイチン硫酸からなる群から選択される粒子。
21.前記のいずれかのパラグラフによる粒子であって、マトリックスがMatrigel(BD Biosciences)を含む粒子。
22.前記のいずれかのパラグラフによる粒子であって、それに付着した霊長類またはヒトの幹細胞を含む粒子。
23.霊長類またはヒトの幹細胞を伝播させる方法であって、
(a)第1粒子に付着した霊長類またはヒトの第1幹細胞を用意し;
(b)第2粒子に付着した霊長類またはヒトの第2幹細胞を用意し;
(c)霊長類またはヒトの第1幹細胞を霊長類またはヒトの第2幹細胞に接触させて細胞の集合体を形成させ;そして
(d)集合体を培養して霊長類またはヒトの幹細胞を少なくとも1継代、伝播させる
ことを含み;その際、第1および第2粒子はそれぞれその上にコートされたマトリックスを含み、陽電荷をもち、粒子はそれに付着した霊長類またはヒトの幹細胞を集合させることができるサイズのものである。
24.パラグラフ23による方法であって、粒子または各粒子がパラグラフ2〜22のいずれかに述べた特徴を含む方法。
25.パラグラフ23または24による方法であって、霊長類またはヒトの幹細胞を複数継代、連続伝播させるのを可能にする方法。
26.パラグラフ23、24または25による方法であって、霊長類またはヒトの幹細胞を少なくとも5、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14継代、連続伝播させるのを可能にする方法。
27.パラグラフ23〜26のいずれかによる方法であって、2Dコロニー培養へ、または2Dコロニー培養から継代することを含む方法。
28.パラグラフ23〜27のいずれかによる方法であって、霊長類またはヒトの幹細胞を凍結および融解することを含む方法。
29.パラグラフ23〜28のいずれかによる方法であって、30rpm以上または100rpm以上で撹拌することを含む方法。
30.パラグラフ23〜29のいずれかによる方法であって、霊長類またはヒトの幹細胞を25ml以上または50ml以上の体積で伝播させることを含む方法。
31.パラグラフ23〜30のいずれかによる方法であって、霊長類またはヒトの幹細胞をスピナー懸濁培養において伝播させることを含む方法。
32.パラグラフ23〜31のいずれかによる方法であって、伝播した霊長類またはヒトの幹細胞が前記回数の継代後に霊長類またはヒトの幹細胞の少なくとも1つの生物活性を保持している方法。
33.パラグラフ32による方法であって、霊長類またはヒトの幹細胞の生物活性が、(i)多分化能性マーカーの発現;(ii)細胞の生存率;ならびに(iii)正常な核型;(iv)内胚葉、外胚葉および中胚葉に分化する能力からなる群から選択される方法。
34.パラグラフ32または33による方法であって、霊長類またはヒトの幹細胞の生物活性が、OCT−4、SSEA−4、TRA−1−60およびMab84からなる群から選択される多分化能性マーカーの発現を含む方法。
35.パラグラフ23〜34のいずれかによる方法であって、霊長類またはヒトの幹細胞を1:6以上、1:10以上、1:15以上、1:20以上、または1:26以上の分割比率で継代するのを可能にする方法。
36.パラグラフ23〜35のいずれかによる方法であって、霊長類またはヒトの幹細胞を200万細胞/ml以上の体積生産量にまで伝播させることを可能にする方法。
37.パラグラフ23〜36のいずれかによる方法であって、霊長類またはヒトの幹細胞を無血清培地または幹細胞用馴化培地中で伝播させることを含む方法。
38.パラグラフ23〜37のいずれかによる方法であって、さらに、霊長類またはヒトの幹細胞を粒子から分離する工程を含む方法。
39.分化した細胞を生成する方法であって、パラグラフ23〜38のいずれかにより霊長類またはヒトの幹細胞を伝播させ、続いて霊長類またはヒトの幹細胞を分化させることを含む方法。
40.胚様体を生成するための方法であって、パラグラフ23〜38のいずれかにより霊長類またはヒトの幹細胞を伝播させ、そして霊長類またはヒトの幹細胞を培養して胚様体を形成することを含む方法。
41.処置の必要な個体において疾患を処置する方法であって、パラグラフ23〜38のいずれかにより霊長類またはヒトの幹細胞を伝播させ、パラグラフ39により分化した細胞を生成し、あるいはパラグラフ40により胚様体を形成し、そして霊長類またはヒトの幹細胞、分化した細胞、または胚様体を個体に投与することを含む方法。
42.前記のいずれかのパラグラフによる粒子または方法であって、霊長類またはヒト
の幹細胞が、霊長類もしくはヒトの胚性幹細胞、霊長類もしくはヒトの成体幹細胞、または霊長類もしくはヒトの誘導された多分化能性幹細胞を含む粒子または方法。
43.それに幹細胞が付着したそれぞれパラグラフ1〜22または42のいずれかによる2以上の粒子を含む、集合体。
44.パラグラフ1〜22もしくは42のいずれかによる2以上の粒子、またはパラグラフ43による集合体を含む、細胞培養物。
45.パラグラフ1〜22もしくは42のいずれかによる2以上の粒子またはパラグラフ43による集合体を、細胞培養培地と共に含む、容器。
46.霊長類またはヒトの幹細胞を伝播させるためのデバイスであって、パラグラフ1〜22もしくは42のいずれかによる2以上の粒子またはパラグラフ43による集合体を含むデバイス。
47.バイオリアクターである、パラグラフ45による容器またはパラグラフ46によるデバイス。
48.パラグラフ23〜37のいずれかによる方法により伝播させた霊長類またはヒトの幹細胞、パラグラフ39による方法により生成した分化した細胞、またはパラグラフ40による方法により生成した胚様体。
49.霊長類またはヒトの幹細胞を伝播および/または分化させるための粒子の使用であって、粒子がDE−52(Whatman)、DE−53(Whatman)、QA−52(Whatman)、TSKgel Tresyl−5Pw(東ソー)またはToyopearl AF−Tresyl−650(東ソー)、SM1010(Blue Membranes)およびSH1010(Blue Membranes)から選択される使用。
50.添付の図面の図1〜50を参照して実質的に以上に記載した、およびそれらに示した、粒子、方法、集合体、細胞培養物、容器、デバイス、霊長類またはヒトの幹細胞、分化した細胞。
51.ヒト胚性幹細胞(hESC)をインビトロ懸濁培養において伝播させる方法であって、
(i)hESCを複数のマイクロキャリアに付着させ;
(ii)(i)からのマイクロキャリアを懸濁培養において、hESCの数を拡張させるのに十分な期間、培養し;
(iii)(ii)からの拡張したhESC集団を継代し;
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも5継代反復し、その際、各反復サイクルにおいて、工程(i)のhESCはその前の反復サイクルの工程(iii)の継代細胞から得られる
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中のhESCは多分化能性であり、マイクロキャリアは
(a)最長寸法が90μm〜10μmであるコンパクトな形状;または
(b)細長い形状
をもち、マイクロキャリアはMatrigel、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチンおよびヒアルロン酸のうち1以上を含むマトリックスコーティング中にコートされている方法。
52.パラグラフ51の方法であって、マイクロキャリアが実質的に球形の形状であり、90μm〜10μmの直径を有する方法。
53.パラグラフ51の方法であって、マイクロキャリアがロッド形である方法。
54.パラグラフ51の方法であって、マイクロキャリアがロッド形であり、2000μm〜20μmの最長寸法を有する方法。
55.パラグラフ51〜54のいずれかの方法であって、マイクロキャリアが、プラスチック、ガラス、セラミック、シリコーン、ゼラチン、デキストラン、セルロース、ヒドロキシル化メタクリレート、ポリスチレンおよび/またはコラーゲンのうち1以上から構成される方法。
56.パラグラフ51〜54のいずれかの方法であって、マイクロキャリアがセルロース、デキストランまたはポリスチレンマイクロキャリアである方法。
57.パラグラフ51〜56のいずれかの方法であって、工程(ii)においてhESCを集密状態またはほぼ集密状態にまで拡張させる方法。
58.パラグラフ51〜57のいずれかの方法であって、工程(iv)において、好ましくは工程(i)〜(iii)を通して少なくとも6継代、少なくとも7継代、少なくとも8継代、少なくとも9継代、少なくとも10継代、少なくとも11継代、少なくとも12継代、少なくとも13継代、少なくとも14継代、少なくとも15継代、少なくとも16継代、少なくとも17継代、少なくとも18継代、少なくとも19継代、少なくとも20継代、少なくとも21継代、少なくとも22継代、少なくとも23継代、少なくとも24継代、少なくとも25継代、少なくとも30継代、少なくとも40継代、少なくとも50継代、少なくとも60継代、少なくとも70継代、少なくとも80継代、少なくとも90継代、少なくとも100継代のいずれか反復する方法。
59.パラグラフ51〜58のいずれかの方法であって、工程(iv)の後に培養物中の少なくとも60%のhESCが多分化能性である方法。
60.パラグラフ51〜58のいずれかの方法であって、工程(iv)の後に培養物中の少なくとも90%のhESCが多分化能性である方法。
61.パラグラフ51〜60のいずれかの方法であって、工程(iv)の後に培養物中の少なくとも60%のhESCがOct4、SSEA4、TRA−1−60およびMab84のうち1、2またはすべてを発現する方法。
62.パラグラフ51〜60のいずれかの方法であって、工程(iv)の後に培養物中の少なくとも90%のhESCがOct4、SSEA4、TRA−1−60およびMab84のうち1、2またはすべてを発現する方法。
63.ヒト胚性幹細胞(hESC)をインビトロ懸濁培養において伝播させる方法であって、
(i)hESCを複数のマイクロキャリアに付着させ;
(ii)(i)からのマイクロキャリアを懸濁培養において、hESCの数を拡張させるのに十分な期間、培養し;
(iii)(ii)からの拡張したhESC集団を継代し;
(iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも5継代反復し、その際、各反復サイクルにおいて、工程(i)のhESCはその前の反復サイクルの工程(iii)の継代細胞から得られる
ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中のhESCは多分化能性であり、マイクロキャリアは
(a)最長寸法が90μm〜10μmであるコンパクトな形状;または
(b)細長い形状
をもち、その際、工程(i)〜(iii)のサイクルの少なくとも60%について、マイクロキャリアはMatrigel、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチンおよびヒアルロン酸のうち1以上を含むマトリックスコーティング中にコートされている方法。
64.パラグラフ63の方法であって、工程(i)〜(iii)のサイクルの少なくとも70%について、マイクロキャリアはMatrigelおよびヒアルロン酸のうち一方または両方を含むマトリックスコーティング中にコートされている方法。
65.パラグラフ63の方法であって、工程(i)〜(iii)のサイクルの少なくとも90%について、マイクロキャリアは、Matrigel、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチンおよびヒアルロン酸のうち1以上を含むマトリックスコーティング中にコートされている方法。
実施例および実験結果の序論
本発明者らは、種々の細胞外マトリックスコーティング(たとえばmatrigel、ラミニンおよびヒアルロン酸)を含む多様なロッド形および球形のマイクロキャリアを用いる、容易かつ強力なプラットホーム技術を開発した;これらは三次元懸濁培養において未分化hESCの連続伝播を支持することができる。マイクロキャリア培養は一般に、フィーダー細胞を含まない2Dコロニー培養の場合より2〜4倍高い細胞密度を達成した。マイクロキャリア上における2種類のhESC系の安定な連続伝播が、馴化培地中で6カ月間証明された。マイクロキャリア培養は、2種類の無血清規定培地(StemProおよびmTeSR1)においても証明された。マイクロキャリア培養は、懸濁スピナーフラスコにおいてさらに高い細胞濃度を達成し、したがって制御されたバイオリアクターにおける伝播の将来性を開いた。
本発明者らは、hESCの多分化能性マーカーを保持した状態で、マイクロキャリア上におけるhESCの強力かつ連続的な培養および継代を証明する。マイクロキャリア培養(MC)の成長速度および代謝を2Dコロニー培養と比較し、hESCの懸濁MCを2種類の細胞系について証明した。本発明者らは、マイクロキャリア懸濁培養状態において心筋細胞へのhESC分化をも証明する。
本発明者らは、matrigelコートしたセルロースマイクロキャリアが2Dコロニー培養と同様に、分化せずにhESCの簡単なルーティン継代を可能にすることを証明した。この継代は、機械的解離(たとえば100ミクロンのメッシュを通す、または手動ピペッティングによる)および酵素解離(TrypLE酵素またはコラゲナーゼ)の両方法によって容易に実施できる。マイクロキャリアに2Dコロニー培養から直接接種することができ、あるいはMCから2Dコロニー培養へ再接種することができる。多分化能性の3種類の規定マーカー(canonical marker)、Oct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現は、HES−3細胞をこれらの方法により継代した後、対照2Dコロニー培養と同等であり(図152)、機械的方法または酵素法により継代したマイクロキャリアにおいて達成された細胞密度は類似していた。
hESCの機械的継代の後、1日目で細胞は裸のマイクロキャリアを急速にコロニー化し、6日目で完全に集密状態の細胞−マイクロキャリア集合体になった。マイクロキャリアの組織学的分析は、hESCがマイクロキャリア上に多層の細胞を形成し、すべての細胞がTRA−1−60について陽性染色されることを示す。hESCマイクロキャリアを2Dコロニー培養へ再播種すると、それらはmatrigelコートした表面に拡散し、7日間にわたって細胞密度が4倍増大し、90%を超える生存率をもち、3種類の幹細胞マーカー、Oct4、SSEA4およびTRA−1−60を発現し続けた。9週間の継代
後、hESCはなおこれらの多分化能性マーカーの高発現レベルを保持し、6ウェルプレート内において90%を超える生存率で一般に120〜180万細胞/mlに達した。馴化培地中で25継代まで(6カ月間)伝播した正常な核型のMCが2種類の細胞系(HES−2およびHES3)について証明された。
それぞれ継代14および25におけるHES−2およびHES3の核型は正常なままである。マイクロキャリアは、細胞が外胚葉、中胚葉および内胚葉からの遺伝子を発現した状態で胚様体に分化するそれらの能力を保持し、かつ組織が3胚葉を示した状態でSCIDマウスにおいてテラトーマも形成した。
馴化培地におけるMCの成長速度および代謝を一般的な2Dコロニー培養と比較した。2Dコロニー培養は一般に5日目までに80万細胞/ml(または6ウェルプレートにおいて400万細胞/ウェル)の最大集密細胞密度に達した。これに対し、MCは成長し続けて7日目までに2倍の細胞密度160万細胞/mlに達した;これは、細胞マイクロキャリア集合体としての3D成長に利用できる表面積の増大によるものである。1日当たりのグルコースおよびグルタミンの消費レベルならびにラクテートおよびアンモニアの産生レベルは、両方の培養について類似していた。しかし、代謝産物の比消費率および老廃物の比産生率は、マイクロキャリアについては2Dコロニー培養と比較して高い細胞数が達成されたため約50%低かった;これは、前者における、より効率的な代謝の指標となる。本発明者らは23継代を超えてマイクロキャリアをルーティンに伝播させた;これは、2Dコロニー培養についての1:4と比較して、一般に週1回、1:10の分割比率で、90%を超える生存率を維持しながら継代された。
さらに、HES−3細胞はmTeSR1およびStemPRO無血清培地中でマイクロキャリア上において20継代を超える(5カ月間)成長に適応した。正常な核型がそれぞれ継代19および20でみられ、多分化能性マーカーが維持された。
50mlのスピナーフラスコMCにおけるhESCの成長速度はさらに、静止マイクロキャリア培養(150万細胞/ml)および2Dコロニー培養(80万細胞/ml)と比較して、HES−3細胞が350万細胞/mlの卓越した密度を達成することを証明した。スピナーフラスコ培養の場合、21時間の倍増時間(比成長速度0.033hr−1)も、静止マイクロキャリア培養についての30時間および2Dコロニー培養についての33時間という一般的な倍増時間と比較して速やかであった。スピナー培養における速やかな細胞成長は、撹拌環境での酸素伝達がより良好であることに起因する可能性がある。
長期懸濁培養を評価するために、第2のhESC細胞系HES−2を同様に6ウェルプレート内で7週間、静止および撹拌MCとして連続継代し、2Dコロニー対照と比較した。静止および撹拌マイクロキャリアは両方とも、2Dコロニー培養より有意に高い最大細胞密度を達成した。多分化能性マーカーOct4、TRA−1−60およびSSEA4は、対照と比較して静止および撹拌マイクロキャリアでは強く発現し続けた。
自動化技術の進歩にもかかわらず、表面でESCを成長させる限界は、細胞密度の増大が利用可能な面積に限定されることである。したがって、バッチ生産行程当たり数リットルというきわめて大量の細胞培養物が結果的に要求される可能性のある医療用途のためには、2D培養表面をスケールアップするのではなくむしろ懸濁バイオリアクターのような3D環境におけるバイオプロセスの開発が必要である。
現在まで、マイクロキャリア上で未分化ヒトhESCを拡張させるのはマウスESCの場合より困難であることが証明されていた。本発明者らは、未分化のヒト胚性幹細胞(hESC)をmatrigelコートしたマイクロキャリア上での三次元(3D)懸濁培養
において維持するための容易かつ強力な方法を初めて報告し、これにより二次元(2D)コロニー培養の場合より2〜4倍高い細胞密度を達成した。マイクロキャリア上でhESCが安定に連続伝播されることが、馴化培地および2種類の無血清規定培地(StemProおよびmTeSR1)において証明された。
スピナーフラスコのデータに基づけば、マイクロキャリアはさらに高い細胞濃度を達成し、表面での拡張の代わりに、より大きな体積でhESCを容易に拡張しうる可能性をもつ。たとえば、100mlの懸濁培養は175個の臓器培養皿と同等のhESCを生成することができる。将来は、バイオリアクターにおけるpH、溶存Oおよび供給方式などのパラメーターを制御することによって、これらの培養をさらに最適化することもできるであろう。
本発明者らは、これらのマイクロキャリアの使用を他の細胞系、たとえばヒトiPS細胞、およびhESCの分化にも拡大した。マイクロキャリア懸濁培養プラットホーム上での心筋細胞産生のためのスケール調節可能なバイオプロセスの開発も調べた。培地の再配合(reformulation)および細胞集合体の形成は重要なパラメーターであることが本発明者らの予備試験で確認された。bSFS培地(血清およびインスリンを含まない培地に、先にZweigertらが決定したp38阻害物質を5μM補充したもの)に、BSA、Hy−Soy、脂質混合物またはイーストオレート(yeastolate)を補充した。この強化培地は細胞の成長および活性を増強し、このプラットホームの細胞拡張倍率を有意に高め、かつ分化効率を改善して最高60%の拍動性集合体を達成する。キャリア表面の細胞付着を改善するために、数種類の細胞外マトリックスを評価した(コートしないもの、ビトロネクチン、ラミニン、フィブロネクチンおよびmatrigel)。最も効率的な分化結果は、キャリアをラミニンまたはフィブロネクチンでコートした場合に得られた(両方の場合とも最高70%の拍動性集合体)。これらの結果は、スケール調節可能な心筋細胞産生プラットホームとしての三次元マイクロキャリア懸濁培養の使用を支持する。
まとめると、本発明者らは、3Dマイクロキャリアは2Dコロニー培養に代わる簡単で安定かつ強力な代替法になりうることを証明した。マイクロキャリアはバイオリアクターにおけるの制御されたバイオプロセスとしてスケールアップしやすく、hESCの定方向分化も容易にするであろう。
実施例1.ヒト胚性幹細胞の懸濁培養
未分化状態のhESCの成長を支持する幾つかのタイプのマイクロキャリアの使用を証明する。主な所見を特に図1〜5に示す。
hESCを3Dで成長させることができる下記の3クラスのマイクロキャリア(図1を参照)を試験した;すなわち:ロッド形セルロースマイクロキャリア(DE52、DE53およびQ53);小型の球形 東ソー・親水性マイクロキャリア(10および65ミクロンの直径);大型の球形ミクロ多孔質およびマクロ多孔質マイクロキャリア。
図2は、マイクロキャリア培養のワークフローを示す。一般的な2Dコロニー培養物を2組の方法でマイクロキャリア上へ継代することができる;たとえば細胞スクレーパーもしくはピペットを用いる機械的解離、または酵素解離、たとえばコラゲナーゼ収穫したクランプもしくはtrypLE収穫した単一細胞。これらのマイクロキャリア培養物をさらに他のマイクロキャリア上へ機械的解離により、たとえばピペットを用いて、100ミクロンもしくは500ミクロンのふるいを通して、または酵素解離、たとえばコラゲナーゼもしくはtrypLE収穫したクランプにより、継代することができる。
図3は、2Dコロニー培養からコロニー培養へ継代した場合の一般的な分割比率1:4〜1:5と比較して、はるかに高い1:10を超える(極端な例では最高1:26の比率)分割比率で、マイクロキャリア培養物を元の2Dコロニー培養へ移植し、またはマイクロキャリア上で連続継代しうることを示す。マイクロキャリア培養物は少なくとも12継代、継代された(現在までに、細胞は13継代、継代されている)。細胞数、生存率、多分化能性マーカーのフローサイトメトリー、組織学および核型に基づくこれらの培養物の特性分析を、2Dコロニー培養物と比較して以下の図に示す。培養細胞は胚様体に分化し、テラトーマを形成することができる。
図4は、hESCの凍結のワークフローを示す。一般的な2Dコロニー培養物を凍結させ、その後これらの細胞を直接にマイクロキャリア上へ融解して接種する。得られる培養物は高い生存率を保持し、多分化能性マーカーを発現した。マイクロキャリア上で成長したhESCをマイクロキャリアと一緒に凍結することもできる。その後、融解すると、それらはマイクロキャリア培養として伝播し続けることができる。
図5に示すように、hESCの成長速度、ならびに代謝、たとえばグルコースおよびグルタミンの消費、ラクテートおよびアンモニアの産生、pH、ならびにアミノ酸の消費/産生の測定を、フィーダー調整した培地を補充したマイクロキャリア培養において実施した。
これらのパラメーターを2D対照コロニー培養と比較する。同様に、hESCの増強速度および代謝を2種類の市販の無血清培地StemProおよびmTeSR−1中で測定する。これらの培地は、より良好な成長を達成するために、主エネルギー源、たとえばグルコースおよびグルタミンの濃度を制御することによる再配合がより容易であり、これにより培養終了時の激しいpH降下が抑えられる。現在までに、hESCはマイクロキャリア上においてこれら2種類の無血清培地中で、それらの多分化能性マーカーを保持した状態で5継代を超えて成長している。
マイクロキャリア上の一般的なmatrigelコーティングのほか、hESCが付着して成長しうる他のコーティング、たとえばヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、デキストラン硫酸、ヘパリン硫酸およびコンドロイチン硫酸も試験する。また、マイクロキャリア培養を100および500rpmで撹拌し、継代して、それらがそれらの多分化能性マーカーを保持しうるかを判定する。
異なる電荷のマイクロキャリアDE52、DE53およびQ53がすべて、hESCを成長させることができる。さらに、Carboseed、ミクロ多孔質およびマクロ多孔質カーボンマイクロキャリアがhESCの成長を支持することができる。
異なる直径(10および65ミクロン)の球形親水性マイクロキャリア(東ソー)を種々の電荷でコートする。不死フィーダーとhESCの共培養が多分化能性hESCの拡張を可能にすることも証明された。また、マイクロキャリア培養を5ml静止培養からより大きな50mlスピナー培養へスケールアップし、それらの成長速度を追跡する。
実施例2.ヒト胚性幹細胞系およびヒトiPS細胞系
ヒト胚性幹細胞系HES−2(46 X,X)およびHES−3(46 X,X)は、ES Cell Internationalから得られる。細胞を2Dコロニー培養からから得た200x200μmの細胞クランプの懸濁液として、またはマイクロキャリア培養から得た細胞−マイクロキャリア集合体として凍結し、液体窒素中に保存する。ヒトiPS細胞(iMR90)は、J.Thomson(University of Wisconsin)から得られた。
実施例3.マイクロキャリア:円筒形セルロースマイクロキャリア
DE−52、DE−53およびQA−52微粒状円筒形アニオン交換クロマトグラフィーマトリックス(Whatman)を、細胞伝播のためのマイクロキャリアとして用いる。
DE−52およびDE−53マイクロキャリアは、それぞれ乾燥材料のグラム当たり1および2ミリ当量の小さなイオン交換容量で第三級アミン(DEAE)を負荷されている。
QA−52マイクロキャリアは、乾燥材料のグラム当たり1ミリ当量の小さなイオン交換容量の第四級アミン(QAE)を負荷されている。これらのマイクロキャリアを、Ca2+、Mg2+を含まないリン酸緩衝化生理食塩水(pH=7.2)で平衡化し、5g/100mlのバッチで高圧蒸気滅菌する。
20mgのマイクロキャリアを4mlのmatrigel溶液(1:30希釈)中で4℃において一夜インキュベートすることにより、matrigelコートしたマイクロキャリアを調製する。陰電荷をもつポリマーによるマイクロキャリアのコーティングを、ポリマー溶液中で一夜のインキュベーション(4℃)により行なう。
下記のポリマー溶液に対して20mgのマイクロキャリアを試験する。1mlのウシガラス体液由来ヒアルロン酸0.5mg/ml溶液;1.5mlの連鎖球菌由来ヒアルロン酸ナトリウム2mg/ml溶液;1mlのウシ腎臓由来ヘパラン硫酸0.25mg/ml;1mlのブタ腸粘膜由来ヘパラン硫酸高速移動画分0.25mg/ml;1.5mlのデキストラン硫酸ナトリウム(MW=500,000);連鎖球菌由来のヒアルロン酸ナトリウム塩410mg/ml、希釈比1:10、1:20、1:40および1:80;ヘパリンナトリウム塩200mg/ml、希釈比1:10、1:20、1:40および1:80;ならびにウシ気管由来のコンドロイチン硫酸ナトリウム7.09mg/ml、希釈比1:10、1:20、1:40および1:80。すべてのコーティング材料がSigmaから購入される。
実施例4.マイクロキャリア:誘導体化した親水性ビーズ状マイクロキャリア
TSKgel Tresyl−5PwおよびToyopearl AF−Tresyl−650(TOSOH Bioscience LLC,米国ペンシルベニア州モントゴメリービル)を、マイクロキャリア調製のベースとして用いる:不活性親水性ヒドロキシル化メタクリル系マトリックス、トレシル活性基、ならびにそれぞれ10および65μmのビーズ直径をもつもの。
ビーズへのタンパク質のカップリングを、製造業者の指示に従って行なう。種々の荷電度を形成するために、硫酸プロタミン(Sigma,カタログ番号P3369)、ポリ−L−リジン臭化水素酸塩(Sigma,カタログ番号P1399またはP5899)を、0〜20mg/ビーズmlの範囲の濃度でビーズにカップリングさせる。
Matrigelを0.5ml/ビーズmlの濃度でビーズにカップリングさせる。カップリング後にビーズをTris緩衝液でブロックする。ビーズの殺菌をガンマ線により行なう(7〜10kGreys/hrの線量で8分間の照射)。
実施例5.マイクロキャリア:Carboseedマイクロキャリア
SM1010(1mm)ミクロ多孔質およびSH1010(1mm)マクロ多孔質、生体不活性、乱層構造(turbostratic)カーボンマイクロキャリア(Blue
Membranes GmbH,Wiesbaden,Germany;およびCinvention AG,Nano−Composite Systems.Rheingaustr.190−196,65203 Wiesbaden,Germany)をhESC培養に用いる。マイクロキャリアを70%エタノールおよびUV線により殺菌する。
殺菌後、マイクロキャリアを無菌水と共にインキュベートし、これを1日1回交換してすべての脱落カーボン粒子を除去する。7日後、若干のマイクロキャリアは脱泡されたため沈降し、若干は浮遊しているであろう。沈降したマイクロキャリアをmatrigelまたはフィブロネクチンでコートし、24ウェルプレート内でhESCを接種する。
すべてのマイクロキャリアをそれらの使用前に増殖培地で洗浄する。
実施例6.細胞培養:馴化培地(CM)
マウス胚性線維芽細胞で調整した培地(MEF−CM)を調製するために、ゼラチン処理した培養皿に、1.4x10細胞cm−2のマイトマイシン−C処理した不死化△E−MEFを、F−DMEM培地(90%のDMEM高グルコース;10%のFBS、2mMのL−グルタミン、ならびに25U/mlのペニシリンおよび25μmg/mlのストレプトマイシンを補充したもの,Invitrogen)中において、先の記載に従って接種する(Choo et al, 2006)。24時間後、培地をKNOCKOUT(KO)培地に交換する;これは85%のKO−DMEMに、15%のKO血清代替物、1mMのL−グルタミン、1%の非必須アミノ酸、ならびに0.1mMの2−メルカプトエタノールおよび4〜8ng ml−1の塩基性線維芽細胞成長因子(Invitrogen)を補充したものを含んでいた。KO培地を皿に添加した後、24時間毎にCMを採集する。CMを濾過し(0.22μm)、さらに8ng ml−1の組換えヒト塩基性線維芽細胞成長因子(Invitrogen)を補充する。
実施例7.細胞培養:2Dコロニー培養
細胞を37℃/5%COにおいて、Matrigelコートした培養皿(4℃で一夜、冷KO−DMEM中に1:30の希釈比で希釈したmatrigel(Becton Dickinson)と共にインキュベートしたもの)上で培養する。1mlの培地を含む臓器培養皿(OCD)内で細胞をルーティンに維持する。2Dコロニー培養とマイクロキャリア培養を比較する実験を、5mlの培地を含む6ウェル皿内で実施する。
用いる培地は、MEFフィーダーからのCM(前記)、hESC用のStemPro無血清培地(Invitrogen)またはmTeSR−1無血清培地(Cell Technologies)のいずれかである。培地を1日1回交換する。静止コロニー培養物を、コラゲナーゼ(Choo et al, 2004)もしくはtrypLE Express(Invitrogen)を用いる酵素処理により、またはStemPro EZPassage幹細胞継代ツール(Invitrogen)を用いる機械的剥離により、週1回継代する。
実施例8.細胞培養:3Dマイクロキャリア培養
分散2Dコロニー培養から得た、または液体窒素保存(2Dコロニー培養から得た200x200μmの組織、または細胞−マイクロキャリア集合体として)から直接得た細胞懸濁液を、0.1〜0.3x10/mlの濃度でマイクロキャリア懸濁液(4mg/ml)に接種する。
ある態様においては、より均一な培養を確実にするために、細胞接種物をマイクロキャリア懸濁液に添加する前に100および500μmメッシュのふるいでふるい分けする。細胞を37oC/5% COにおいて、非付着型の6ウェル皿(Corning)上で
、静止状態または100もしくは500rpmの撹拌状態で(IKA Orbital Shaker)培養する。用いる培地はMEF−CMまたは規定培地である。培地を1日1回交換する。
コラゲナーゼもしくはtrypLE Expressを用いる酵素処理の後、または反復ピペッティングによる機械的解離の後、培養物を分割比率1:2〜1:10で週1回継代する。マイクロキャリア培養から2Dコロニー培養への再播種は、集密状態の細胞−マイクロキャリア集合体を、8mlの培地を含むmatrigelコートした6cmの組織培養ペトリ皿上に置き、7日間培養することにより行なう。
別途記載しない限り、すべてのマイクロキャリア培養および2Dコロニー培養が、表面にmatrigelコーティングをもち、6ウェルプレート内で5mlの培地を1日1回交換して実施される。
実施例9.成長速度、代謝および倍増時間
マイクロキャリアに付着した細胞を核計数法で計数することにより、細胞の成長をモニターする。hESC培養物(0.25%トリプシン−EDTA(Invitrogen)またはTrypLE Expressで処理し、40ミクロンメッシュのスクリーンに通した後のもの)の単一細胞懸濁液を、細胞生存率(トリパンブルー排除法)の測定およびフローサイトメトリー分析に用いる。
指数成長期の比成長速度を推定するために、細胞数−対−時間のグラフをプロットする。これから次の方程式を用いて倍増時間(t)を計算する:t=ln(2)/μ;式中のμは比成長速度(hr−1)である。細胞の代謝をモニターするために、上清試料についてグルコース、グルタミン、ラクテートおよびアンモニアの濃度(Nova Bioprofile 100 Plus)、アミノ酸濃度(Shimadzu Prominence HPLC)、ならびにpHを、1日1回測定する。
実施例10.フローサイトメトリー
hESC集団における細胞外抗原SSEA−4、TRA−1−60、および細胞内転写因子Oct−4の発現レベルを、フローサイトメトリーを用いて免疫蛍光により評価する。トリプシンまたはtrypLE expressを用いて細胞を単一細胞懸濁液として収穫し、40μmのふるい(BD)により濾過し、固定し、透過処理し(Caltag Laboratories)、下記に対する一次抗体と共にインキュベートする:SSEA−4(1:1希釈、Developmental Studies Hybridomas Bank,MC−813−70)、TRA−1−60(1:50希釈、Chemicon,MAB4360/4381)およびOct−4(1:20希釈、Santa Cruz)。
次いで細胞を1%BSA/PBSで洗浄し、1:500希釈したFITC共役型ヤギα−マウス抗体(DAKO)と共に暗所でインキュベートする。インキュベーションの後、細胞を再び洗浄し、FACScan(Becton Dickinson FACS Calibur)での分析のために1%BSA/PBSに再懸濁する。すべてのインキュベーションを室温で15分間実施する。
実施例11.インビトロ分化
インビトロでhESCの分化を誘導するために、HES−2およびHES−3細胞をクランプとして収穫し、胚様体(EB)として8日間、EB培地(80%のKO−DMEM、20%のFCS、25U/mlのペニシリン、25μg/mlのストレプトマイシン、2mMのL−グルタミン、0.1mMのNEAA、および0.1mMの2−メルカプトエ
タノール)中において非付着型懸濁培養皿(Corning)上で培養する。
続いて、EBをトリプシンで解離させ、ゼラチン処理した培養皿上においてEB培養中でさらに14日間平板培養する。
実施例12.RNAの分離および逆転写PCR(RT−PCR)
hESCからNucleoSpin RNA II Kit(Macherey Nagelから)を用いて全RNAを分離し、紫外線分光光度法(Nanodrop)により定量する。1μgの全RNAについて、オリゴdTプライマーおよびImProm II逆転写酵素(Promega)を用いて標準的な逆転写反応を実施する。
3胚葉由来の分化マーカーであるアルファ−フェトプロテイン(AFP)、アミラーゼ、ニューロフィラメント重鎖(NFH)、ケラチン−15、心神経冠誘導体1(heart and neural crest derivatives 1)(HAND1)およびMshホメオボックスホモログ1(MSX1)に対して特異的なプライマーを用いてPCRを実施する。増幅のために用いたサイクリングパラメーターは、95℃で30秒間、60℃で30秒間、および72℃で30秒間の、30サイクルである。72℃で10分間の最終延長がこれに続く。
増幅生成物を1%アガロースゲル上において臭化エチジウムで染色して視覚化する。
実施例13.SCIDマウスモデル
2D培養物、再平板培養物、または3Dマイクロキャリア集合体のいずれかからの400〜500万の細胞を機械的解離により収穫し、PBSに再懸濁し、無菌22G注射針で4週令の雌SCIDマウスの後足筋肉内へ注射する。
注射後9〜10週目に腫瘍を発生した動物を屠殺し、腫瘍を切除し、10%ホルマリン中に固定する。腫瘍をパラフィンに埋め込み、薄切し、ヘマトキシリンおよびエオシン染色後に組織学的に検査する。
実施例14.核型判定
1mlのKO−培地中に希釈したコルセミド溶液と共に37℃/5% COで15〜16時間のインキュベーションにより、活発に成長しているhESC培養を***中期段階で停止させる。細胞遺伝学的分析をthe KK Women’s and Children’s HospitalのCytogenetics Laboratories(シンガポール)に外注する。
実施例15.スピナー培養
シリコーン処理した(Sigmacote,SL2 Sigma−Aldrich)100ml Bellco スピナーフラスコに、hESCを3x10細胞/mlの密度で5mg/mlのマイクロキャリアに、初期体積25mlで、撹拌せずに、37℃および5% COの制御インキュベーター内で接種する。
反応器内の体積を新鮮な馴化培地で50mlに増大させ、接種後12時間、30rpmで撹拌する。消費された培地の80%を1日1回取り出し、新鮮な馴化培地と交換する。細胞計数および代謝産物分析のために試料を1日1回採取する。
実施例16.hESC培養物の接種、継代および品質管理
マイクロキャリアに接種した2Dコロニー培養物は多分化能性マーカーを発現し、高い生存率を示した(データは示していない);これを続いてマイクロキャリア上へ継代する。100または500ミクロンのふるいを通し、そしてマイクロキャリア上に再接種したhESC(HES−3細胞系)マイクロキャリア培養物は、7日間の培養後、多分化能性
マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60の高い発現を保持する。
図6Aは、100ミクロンふるい処理についてのマーカーの発現を示す。同様に、ピペッティングにより機械的に解離させ、続いて1:10希釈で新たなマイクロキャリア上に接種したマイクロキャリア上のhESCも、7日間の培養後、多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60の高い発現を示す(図6B)。
TrypLEによるマイクロキャリアからのhESCの酵素解離は、対照2Dコロニー培養と類似レベルのOct−4発現(約60%)ならびに高レベルのSSEA−4およびTRA−1−60の発現を7日間の培養後に示し、6ウェルプレートのウェル当たり約400万細胞/mlを達成する(図6Cおよび図6D)。両方法により継代した細胞の生存率は>90%である(データは示していない)。
7日後のマイクロキャリアの目視観察は、hESCが大きなクラスターの集合体を形成していることを示す。図7Aに2つの異なる倍率で示したこれらの集合体中に分化した嚢胞性(cystic)領域がないことに注目されたい。7日後の一般的な対照2Dコロニー培養物を左に示し、プレートが完全に覆われていることが示される(図7A)。
図7Bは、hESCが1日目に効率的に付着し、6日後に拡散してセルロースマイクロキャリアをコロニー化していることを2種類の倍率で示す。
図8Aはおよび図8Bは、多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60がそれぞれ継代5および9で80%〜90%以上発現していることを、マイクロキャリア上で成長させたhESCについて示し、この新規なプラットホーム上での培養が安定であることが示される。
図8C、図8Dおよび図8Eは、マイクロキャリア上で継代したhESCの他の一連の反復実験を示し、それらが2Dコロニー対照培養と比較して継代4および6で多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60を安定に発現していることを指摘する(すべてのマーカーについて>80〜90%)。一般に、6ウェルプレート当たり達成された細胞総数は、2Dコロニー対照培養におけるわずか200〜400万/ウェルと比較してマイクロキャリア培養においては700〜800万/ウェルである。
図9のマイクロキャリア培養物の組織学的分析は、hESCがセルロースビーズ(位相差において暗い物体)の周りで成長していることを示す。DAPI(青色)は細胞の核を染色し、一方、多分化能性表面マーカーTRA−1−60(赤色)がマイクロキャリア上のhESCにより発現している。最初の2列はmatrigelコートしたマイクロキャリアおよびMEF−CM上で成長したhESCを示し、この場合、細胞はマイクロキャリアの周りに良好に分布し、TRA−1−60を強く発現している;最後の2列はmatrigelコーティングを含まないそのままのマイクロキャリア上でMEF−CM培地中において成長したhESCを示し、この場合、TRA−1−60の発現の強さはより低い。
図10Aは、hESCをマイクロキャリアから2Dコロニー培養へ再播種して、多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60の高発現レベルを保持しうることを示す(>95%)。マイクロキャリアからの細胞が拡散して表面にコロニー形成し、matrigelコートした6cm組織培養ペトリ皿上で2000万細胞を達成した(図10B)。
実施例17.hESC培養物の凍結
図11Aは、凍結hESCコロニーをマイクロキャリア上へ直接融解することができ、これが細胞を速やかに捕獲することを示す。7日後、細胞は高レベルのOct−4、SS
EA−4およびTRA−1−60のFACSを発現し、6ウェルプレートのウェル当たり5ml中で約420細胞に達する。
あるいは、hESCをマイクロキャリア上で凍結し、かつ融解することができる。この場合、融解後の部分的な細胞死のためhESCをより長期間培養した(14日間)後、それらは正常な成長を回復する。図11Bに示すように、hESCは同様に高レベルのOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60を発現し、6ウェルプレートのウェル当たり5ml中で約700万細胞に達する。
実施例18.Knock Out馴化培地および規定培地における成長速度および代謝
hESCを67万細胞/ウェルで、培地5ml中に20mg/mlのマイクロキャリアを入れた6ウェルプレートに接種する。対照2Dコロニー培養にも同じ細胞数で接種する。
図12に示すように、表面限界のため5日目にウェル当たり約400万細胞のピークに達し、6日目にはウェル当たり300万細胞に低下した2Dコロニー対照と比較して、マイクロキャリア培養物は指数速度で成長して6ウェルプレートのウェル当たり800万細胞以上に達した。pHプロフィールは、両培養とも6または7日目までに約6.5への低下を示すが、この低下は2Dコロニー対照培養の方がより激しい。
図13は、グルタミンおよびグルコースの消費プロフィールがマイクロキャリア培養と2Dコロニー培養について実質的に等しいこと、および両培養についてラクテートおよびアンモニアの産生プロフィールも同様であることを示す。
しかし、グルタミンおよびグルコースの比消費率は、2Dコロニー培養と比較してマイクロキャリア培養においてはるかに低く(約半分)、これはマイクロキャリア培養における、より効率的な代謝を指摘する。同様に、図14に示すように、マイクロキャリア培養におけるラクテートおよびアンモニアなど老廃物の比産生率は2Dコロニー培養と比較してはるかに低い。
図15は、マイクロキャリア培養が指数速度で成長してウェル当たり800万細胞以上に達することを、2D対照培養と比較して(この場合はウェル当たり200万細胞に達したにすぎない)確認する反復実験である。成長速度は、マイクロキャリアに2Dコロニー培養から接種するか、あるいは他のマイクロキャリア培養から接種するかにかかわらず、同等である。倍増時間は33時間であり、これは普通の対照培養に類似する。この場合、2Dコロニー培養はより長い58時間の倍増時間に達した。pHプロフィールは、これら3条件について傾向がきわめて類似し、5日目後にpH6.6への急激な低下を伴う(特に2Dコロニー培養について)ことを示す。
図16に示すように、最初の2日間を除いて、グルタミンおよびグルコースの消費プロフィールはマイクロキャリアと2Dコロニー培養についてきわめて類似し、両培養についてラクテートおよびアンモニアの産生プロフィールも同様である。
先の実験と同様に、グルタミンおよびグルコースの比消費率は、2Dコロニー培養と比較してマイクロキャリア培養においてはるかに低く、これはマイクロキャリア培養における、より効率的な代謝を指摘する。
図17は、最初の3日間を除いて、グルコースおよびグルタミンの消費が、2Dコロニー培養から接種したマイクロキャリア培養についてマイクロキャリア培養から接種したマイクロキャリア培養よりわずかに高いように思われることを示す。ラクテートおよびアン
モニアなど老廃物の比産生率も、特に5日目後、2Dコロニー培養と比較してマイクロキャリア培養においてより低い。アミノ酸プロフィールの分析は、グルタミン、アルギニン、セリン、シスチン、バリン、メチオニン、リジン、イソロイシン、ロイシン、およびフェニルアラニンが消費され、これに対しプロリン、グルタミン酸およびアラニンがhESCにより産生されることを示す(データは示していない)。
図18は、マイクロキャリア上で成長したhESCが、多分化能性マーカー、Oct−4、SSEA−4およびTRA−1−60を、StemProについては継代5で、mTeSR−1については継代4で発現し続けることを示す;これらは両方とも市販の無血清規定培地である。成長速度、グルコース、グルタミン、ラクテート、アンモニア、およびアミノ酸の代謝を、これら2種類の培地について測定する。
実施例19.キャリアのコーティング(ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、デキストラン硫酸など)。
5種類の特定のコーティングを、hESC成長のための標準的なコーティングmatrigelと比較した代替物として試験する。これらは、2種類のヘパラン硫酸源:ウシ腎臓由来のものおよびブタ由来の高速移動画分、2種類のヒアルロン酸源:ウシガラス体液由来のものおよび連鎖球菌由来のもの、ならびにデキストラン硫酸である。
他の2つの陰性対照、すなわちMEF−CMおよびKO培地でコートしたマイクロキャリアも比較する。
図19に示す最初の結果は、ヒアルロン酸がmatrigelに対する最も有望な代替物であるけれどもmatrigelは7日間の成長後になおより高い細胞数を可能にすることを示す。hESCはこれらの特定のコーティング上で3種類の多分化能性マーカーを発現し続ける(データは示していない)。
表E1は、マイクロキャリア上の3タイプのコーティング(コンドロイチン硫酸、ヘパリン硫酸およびヒアルロン酸)がhESCの成長を支持し、ウェル当たり1.2×10細胞を達成しうることを示す;これらは、Knock Out(KO)血清代替物またはMEF−CMのみでコートした対照(これらはウェル当たり約0.4×10細胞を達成した)より良好である。これは、図19に示すウェル当たり2×10細胞に達したmatrigelコートしたマイクロキャリアに匹敵する。
表E1.キャリアのコーティング;ヒアルロン酸、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸;対照:KO=4.3 E5細胞/ウェル;CM=4.4 E5細胞/ウェル。hESCの成長を支持しうる、マイクロキャリア上の3タイプのコーティング、コンドロイチン硫酸、ヘパリン硫酸およびヒアルロン酸は、ウェル当たり50〜12O万細胞を達成した。Knock Out(KO)血清代替物または馴化培地(CM)のみでコートした対照は、ウェル当たり50万細胞未満を達成した。
マイクロキャリアを他の細胞外マトリックス、たとえばコラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチンおよびラミニンでコートし、前記の実験を反復する。
実施例20.100および150rpmにおける撹拌
同様に、hESCをマイクロキャリア上で6ウェルプレート内において培養し、100および150rpmで撹拌する。マイクロキャリアは、100rpmで1日目に互いに集合し、6日目に種々のサイズのクランプを形成する;嚢胞性領域は見られず、hESCが多分化能性のままであることが示される(図20)。
Oct−4発現は、それぞれ図21Aおよび図21Bにおいて、100および150rpmで56%および68%にまで部分的にダウンレギュレーションされるが、SSEA−4およびTRA−1−60は継代1において両方の条件で高度に発現し続ける。
図22において、マイクロキャリアは150rpmで1日目にはより緻密なクランプとして互いに集合し、6日目にはより小さなクランプとして成長し続ける(100rpmのマイクロキャリア培養と比較して);嚢胞性領域は見られず、hESCが多分化能性のままであることが示される。図23に示すように、150rpm培養では継代1と比較して継代2において、Oct−4発現は57.5%で部分的にダウンレギュレーションされ、表面マーカーSSEA−4およびTRA−1−60を発現する細胞集団のパーセントはそれぞれ75%および70%で、より低い。それにもかかわらず、hESCはこの撹拌速度で成長することができる。
図24は、第2の細胞系(HES−2)のOct−4およびTRA−1−60の発現が、継代2の静止培養および150rpm培養で成長させたマイクロキャリアについて類似することを示す。図25は、7継代の連続継代中におけるHES−2細胞系の細胞総数を、対照2Dコロニー培養、静止、100rpmおよび150rpm条件におけるマイクロキャリアにおいて示す。対照2Dコロニー培養において成長したhESCは、ルーティンにウェル当たり200〜300万細胞を達成した。
静止マイクロキャリア上で成長したhESCはウェル当たり最高で600万細胞を達成できたのに対し、100rpmで撹拌したhESCはウェル当たり最高で800万細胞を達成できた。150rpmでは成長が最適ではなく、細胞は5週目を超えて継代することができなかった。図26A、図26Bおよび図26Cは、静止マイクロキャリアおよび100rpm条件で撹拌したマイクロキャリアにおける多分化能性マーカーOct−4(42〜50%)、SSEA−4およびTRA−1−60(両方とも90%を超える)の発現レベルが安定であり、2Dコロニー対照培養にきわめて類似したレベルに保持されることを、継代5のHES−2系について示す。
実施例21.キャリアの電荷−DE52、DE53、Q53
DE53は、別途記載しない限り、すべての実験にルーティンに用いるマイクロキャリア上の電荷である。第三級アミンの低電荷(DE52)、高電荷(DE53)、および第四級アミンの高電荷(QA52)のセルロースマイクロキャリアを、それらがhESCの培養を支持する能力について試験し、表E2に示すように本質的にそれらはすべての電荷で同等な細胞数を達成しうることを示す。
下記の表E2は、それらがhESCの培養を支持する能力について試験した低、中および高電荷のセルロースマイクロキャリアは、本質的に同等な細胞数をすべての電荷で達成しうることを示す。意外にも、継代2において、より高く荷電したマイクロキャリアQA52は1300万細胞を上回る異常に高い細胞数を達成した。DE53は別途記載しない限り、すべての実験にルーティンに用いるマイクロキャリア上の電荷である。
表E2.7日目の細胞数。注釈:セルロースマイクロキャリア上、P0およびP1についての接種密度8E5細胞/ウェル。3種類の電荷のセルロースマイクロキャリアを3継代、連続継代し、hESCがウェル当たり260〜1340万細胞の細胞数を達成することが示される。
継代2において、より高荷電のマイクロキャリアQA52は、ウェル当たり1300万細胞を上回る高い細胞数を達成した。図27A、図27Bおよび図27Cに示すように、継代3において、低、中および高電荷のセルロースマイクロキャリア上で成長したhESCについて、Oct−4、SSEA−4およびTRA−1−60の発現は継続して安定であり、同等である。
実施例22.キャリアのサイズおよび形状−球形カーボンおよび東ソー・ビーズ(種々の直径)
5および7日目について、DAPI核染色およびTRA−1−60多分化能性マーカーにより示すように、ミクロ多孔質(SM1010)カーボンマイクロキャリアは表面にhESCを付着させ、成長させることができる;図28Aおよび図28Bに示す。
図29は、25万細胞の細胞数を達成した対照2Dコロニー培養と比較して、フィブロネクチンでコートしたミクロ多孔質カーボンマイクロキャリアがより高いウェル当たり30万細胞の細胞数を達成したことを示す。
位相差で視覚化した、およびDAPIまたはTRA−1−60で染色した、3、5および7日目のカーボンマイクロキャリアを、図30、図31および図32に示す;hESCはフィブロネクチンコートしたミクロ多孔質マイクロキャリア上に後日の方がより均一に拡散し、マイクロキャリアを互いに集合させることが指摘される。
フィブロネクチンコートしたカーボンマイクロキャリアから7日目に収穫したhESCの3種類の多分化能性マーカーOct−4、TRA−1−60およびSSEA−4(すべて90%を超える発現)のFACSプロフィールを図33に示す。
第2のhESC細胞系HES2もフィブロネクチンコートしたミクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上で成長し、2Dコロニー対照と類似の細胞数を達成し(図34A)、95%を超える高い生存率を維持する。両条件からの細胞が約80%の類似レベルのOct−4を発現し続ける(図34B)。
Matrigelコートしたマクロ多孔質カーボンマイクロキャリア(SH1010)は2Dコロニー対照と類似の細胞数を達成できるのに対し、Matrigelコートしたミクロ多孔質カーボンマイクロキャリア(SM1010)は同様な性能を示さなかった(図35)。
図36は、SH1010マイクロキャリア上で培養したhESCが7日後になお多分化能性であることを示す;90%を超える集団が多分化能性マーカーOct−4およびTRA−1−60を発現していたからである。
図37は、hESCがSH1010マイクロキャリアの大部分の表面領域を覆ったのに対し、表示SM1010をもつマイクロキャリアについては付着した細胞がより少ないことを示す。
図38は、SH1010マイクロキャリア上で15日間培養したhESCが、7日間成長させた2Dコロニー対照培養と類似の細胞数を達成したことを示す。
図39は、Oct−4およびTRA−1−60多分化能性マーカーが接種後15日間発現し続けることを示す。
図40は、マイクロキャリア培養の供給を2倍体積のMEF−CMで増加させると、1倍体積を供給したマイクロキャリアと比較して細胞数がわずかに増加したことを示す。
図41は、ビーズ上で2倍体積のMEF−CMを供給して培養したhESCによる多分化能性マーカーOct−4およびTRA−1−60の発現が90%を超えることを示す。
図42は、DAPI、ファロイジンおよびTRA−1−60染色により指摘されるように、hESCがマクロ多孔質カーボンマイクロキャリア上に良好に分布していることを示す。
図43Aおよび43Bは、第2細胞系HES2を用いた反復実験を示す;これも同様にSH1010マクロ多孔質マイクロキャリア上での培養に成功し、ウェル当たり約65〜70万細胞の2Dコロニー対照と類似する細胞数を達成した。
図44は、HES−2の多分化能性マーカーOct−4およびTRA−1−60の発現がSH1010マイクロキャリア上で7日間の培養後になお高いことを示す。
図45は、HES−2 GFP細胞が1日目から7日目までマイクロキャリア上に均一に拡散することを示す。図46Aに示すように、hESCを接種したマクロ多孔質マイク
ロキャリアは、高速混合(30分毎)および低速混合(2時間毎)でhESCの成長をウェル当たり約60〜80万細胞に到達させることができる;これは2Dコロニー対照により7日後に達成されたウェル当たり約1200万細胞より低い。
しかし、培養をマイクロキャリア上で12日間まで延長すると、細胞数をウェル当たり約1200万細胞に到達させることができた。図46Bに示すように、多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60もマイクロキャリアについて対照と対比して85%以上、安定であるように思われる。
前記の実験を親水性の東ソー・マイクロキャリア上で成長しているhESCについて実施し、関連データを測定する。
実施例23.マイクロキャリア上での共培養およびフィーダー
図47Aは、静止培養における、hESCを接種したセルロースマイクロキャリア間にあるフィーダーを含む球形Cytodexマイクロキャリアを示し、一方、図47Bは、hESCを接種したセルロースマイクロキャリア間にあるフィーダーを含むポリリジンコートした東ソー・マイクロキャリアを示す。
図48Aおよび図48Bは、3種類の多分化能性マーカーOct−4、SSEA−4およびTRA−1−60が、それぞれCytodexおよびポリリジンコートした東ソー両方のマイクロキャリア共培養において培養したhESCによって高発現することを示す。表E3は、Cytodex、ポリリジンコートした東ソー、およびDE53マイクロキャリア上のフィーダーと、DE53マイクロキャリア上のhESCとの3種類の共培養方法において達成された細胞数が、7日後にウェル当たり260〜550万細胞の範囲にあることを示す。これらの数値は、一般にウェル当たり200万細胞を達成する2Dコロニー培養より高い。
下記の表E3は、3種類の共培養方法で達成された細胞数が7日後に260〜550万細胞の範囲にあることを示す。
表E3.3種類の異なるマイクロキャリア上のフィーダーとセルロースDE53マイクロキャリア上のhESCとの共培養;7日後の細胞数について。対照2Dコロニー培養=2×10細胞/ウェル。3種類の異なるマイクロキャリア上のフィーダーとセルロースDE53マイクロキャリア上のhESCとの共培養。細胞数は7日後にウェル当たり260〜550万細胞の範囲にあった。
実施例24.スピナー培養
図49は、50mlスピナー培養で、hESCがセルロースマイクロキャリア上において指数速度で成長し、30万細胞/mlを接種した5日後に360万細胞/mlに達したことを示す;これは、170万細胞/mlに達した静止マイクロキャリア培養、および90万細胞/mlに達したにすぎない2Dコロニー対照より、有意に高い。
実施例25.核型
図50は、細胞系HES−2およびHES−3の両方がマイクロキャリア培養において、約24の集団倍増と同等の連続6継代後に、正常な核型をもつことを示す。
実施例26.DE53マイクロキャリア上のhESCとの共培養のための、東ソー、Cytodex 1およびDE53マイクロキャリア上へのフィーダーの接種
不活性化したフィーダー(MEF)を、まず東ソー、Cytodex 1またはDE53マイクロキャリア上へ接種した。24時間後、matrigelコートしたマイクロキャリア上のhESCを、Knockout DMEMにKnockout血清代替物、グルタミン、2−メルカプトエタノール、非必須アミノ酸原液および塩基性FGF(Invitrogen)を補充したものからなる増殖培地中での培養に導入した。
マイクロキャリア培養に接種するための細胞は、集密状態のmatrigelコート組織培養プレートから採取され、STEMPRO(登録商標)EZPassage(商標)ツール(Invitrogen)を用いて収穫された。マイクロキャリア培養に1〜3×10細胞/mlの細胞濃度で接種した。
実施例27.Cytodex 1、3およびHillexマイクロキャリアの調製
Cytodex 1および3(GE Healthcare)ならびにHillex(Hyclone)を製造業者のプロトコルに従って調製した;これは、水和、すすぎ、および高圧蒸気滅菌によるマイクロキャリアの殺菌からなっていた。matrigelによるコーティングは、DE53セルロースマイクロキャリアの場合と同じ方法で実施された。5mgのマイクロキャリアを、matrigel原液33μlを含有するKO培地1mlでコートした。コートしていないマイクロキャリアおよびmatrigelコートしたマイクロキャリアの両方の培養に、1〜3×10細胞/mlの細胞濃度で接種した。
実施例28.DE53およびCytodex 3マイクロキャリア上の細胞外マトリックス(ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、フィブロネクチン、1型、4型コラーゲン、ラミニン)のコーティング
セルロースマイクロキャリア上の細胞外マトリックス(ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸)のコーティングはこれらの条件に従った:
ヘパリン:0.44mgヘパリン/mg DE53(1:10希釈と同等)
コンドロイチン:0.91mgコンドロイチン/mg DE53(1:10希釈と同等)
ヒアルロン酸:0.016mgヒアルロン酸/mg DE53(1:10希釈と同等)
他の細胞外マトリックスと組み合わせてヒアルロン酸およびヘパリンでコートしたマイクロキャリアについては、下記の条件を用いた:
フィブロネクチン:20μg/mg DE53
ラミニン:2μg/mg DE53
I型コラーゲン:20μg/mg DE53
IV型コラーゲン:20μg/mg DE53
Cytodex 3実験については、下記のコーティング濃度を用いた:
ラミニン:2〜4μg/mg Cytodex 3
フィブロネクチン:20μg/mg Cytodex 3
実施例29.DE53セルロースマイクロキャリア上におけるhESCの継代23までの連続継代
図51は、23継代、継代したセルロースマイクロキャリア上で成長したhESCが、2Dコロニー培養において成長したhESCの成長速度より高いそれらの成長速度を保持することを示す。一般に、マイクロキャリア培養における継代に際しての分割比率は1:10であり、2Dコロニー培養については1:4である。したがって、23回目の継代までに、マイクロキャリア培養において達成できる細胞総数に10 logの差が生じる。図52は、多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現が、それぞれ940万および710万細胞/ウェルの高い細胞密度をもつ継代15および16で、安定な状態を維持することを示す。図53はさらに、継代21〜23、および2Dコロニー培養上へ再播種した場合の、Oct4、SSEA4およびTRA−1−60の強い発現を示し、これらのマーカーの発現は高くかつ安定な状態を維持する。
実施例30.セルロースマイクロキャリア上で培養したhESCの特性分析(核型判定、胚様体のRT−PCR、およびテラトーマ形成)
図54は、HES−3のマイクロキャリア培養が継代22および25に至るまで正常な46XX核型を保持していることを示す。図55は、HES−2のマイクロキャリア培養も継代14に至るまで正常な46XX核型を保持していることを示す。継代3および27のマイクロキャリア培養からのhESCを胚様体に分化させると、それらは内胚葉(アミラーゼおよびGATA6)、外胚葉(ケラチンおよびニューロフィラメントNF)および中胚葉(MSX1およびHAND1)の遺伝子により表わされる3胚葉の細胞を形成することができた;図56を参照。図57に示すように、3胚葉の細胞についてテラトーマも形成された。
実施例31.アミノ酸代謝データを含むhESCの無血清培地セルロースマイクロキャリア培養
図58は、2種類の無血清培地mTeSR1およびStemPRO中でのhESCのマイクロキャリア培養を示す;2.7×10細胞の接種後、細胞数はそれぞれ200万および150万に達した。pHが約6.7に低下したことは7日間にわたる活発な細胞成長を指摘する。図59は、mTeSR1(BD Biosciences)およびStemPRO(Invitrogen)マイクロキャリア培養の成長速度および倍増時間を比較する。mTeSR1は、StemPROの49時間と対比して25時間のより速やかな倍増時間をもつことが観察された。図60は、2種類の無血清培地についてグルコースおよびグルタミンの消費ならびにラクテートおよびアンモニア産生の代謝を比較する。グルコースおよびグルタミンの比消費率ならびにアンモニアの比産生率は2種類の培地について類似するように思われる;ただし、StemPRO培地中のGlutamaxからグルタミンが産生する初期を除く。しかし、ラクテート産生率はStemPROマイクロキャリア培養と比較してmTeSR1の場合の方が高い(図61)。ナトリウムイオンおよびカリウムイオンも増加し、これは消費済み培地のオスモル濃度増大に関与し、mTeSR1はより高いオスモル濃度をもつ(図62)。
表1に、mTeSR1およびStemPROの両方の培地中で消費されたアミノ酸および産生されたアミノ酸をまとめる。消費されたアミノ酸は、アルギニン、シスチン、グル
タミン、イソロイシン、ロイシン、メチオニンおよびセリンであった。産生されたものは、アラニン、グルタミン酸およびプロリンであり、一方、残りは有意に変化しなかった。表2は、それぞれTeSR1およびStemPRO無血清培地中でhESCにより消費および産生されたアミノ酸の個々のレベルに関するより詳細な情報を提示する。このデータにより、アルギニン、シスチン、グルタミン、イソロイシン、ロイシン、メチオニンおよびセリンが最も有意に消費され、アラニン、グルタミン酸およびプロリンが最も有意に産生されたアミノ酸であることが確認される。図63は、TeSR1およびStemPRO無血清培地中での3日間にわたる20種類のアミノ酸の濃度変化を示し、これから個々のアミノ酸の比消費率を計算することができ、それらを図64aおよび図64bに示す。これから分かるように、意外にも大部分のアミノ酸はこれら2種類の培地中で消費されにくい。
図65は、mTeSR1およびStemPRO無血清培地中でのマイクロキャリア培養の反復実験を示し、両培地とも7日間の終了時に100万細胞の類似の細胞数に達した。mTeSR1におけるpH低下はStemPRO培地より低い点まで達するように思われる。図66は、マイクロキャリア培養においてmTeSR1がStemPRO培地(35時間)と比較してより速やかな23時間の倍増時間をもつことを確認する。
実施例32.2種類のhESC細胞系のスピナーフラスコ、セルロースマイクロキャリア培養
図67は、HES−3細胞系の2回目のスピナーフラスコ培養を示し、この場合も1回目のスピナーフラスコ実験に匹敵する約350万細胞/mlの細胞密度を7日目までに達成することができる。この場合も、これらの細胞密度は静止マイクロキャリア培養および2Dコロニー培養より有意に高い。図68は、2回目のスピナーフラスコ培養について、グルコースおよびグルタミンの消費ならびにラクテートおよびアンモニアの産生を示す。これらの濃度をグルコースおよびグルタミンの体積消費率および比消費率、ならびにラクテートおよびアンモニアの体積産生率および比産生率に換算し、図69に示す。図70は、馴化培地を供給する前と後の各日の急激なpH低下を示し、各日のオスモル濃度の上昇も示す。図71は、多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60が3および4日目に高い状態のままであることを示し、一方、図72に示すように、hESCの形態は4および5日目にマイクロキャリア上で緻密な集合体として保持される。
図73は、25rpmで撹拌するスピナーフラスコ培養においてマイクロキャリア上で成長した他の細胞系HES−2を示し、これは約55時間の倍増時間で250万細胞/mlを達成することができた。細胞のFACS分析は、多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現が、スピナー培養の開始時に2Dコロニー対照と同等であったことを示す(図74)。図75に示すように、これらのマーカーの発現は、ピーク細胞密度に達した5および7日目に、対照静止培養と同等に高い状態を維持していた。図76に示すように、hESCは5および7日目にマイクロキャリアの周りに大きな細胞集合体を形成している。
マイクロキャリアによるピナーフラスコ培養はバイオリアクター中でhESCを拡張するスケール調節可能な方法であることが証明された。図77に示すように、100mlのスピナーフラスコにおいて350万細胞/mlの密度が達成されれば、これはそれぞれ200万細胞/mlを含む臓器培養皿(OCD)175個においてhESCを生成するのと同等であろう。
実施例33.球形またはDE53マイクロキャリア上のフィーダーとDE53セルロースマイクロキャリア上で成長するhESCとの共培養
セルロースDE53上のhESCを球形Cytodexおよび東ソー・マイクロキャリ
ア上のフィーダーとの共培養において支持できるかどうかも判定した。コートしていないマイクロキャリアにフィーダー細胞を付着させ、hESCをMatrigelコートしたマイクロキャリアに付着させた。図78は、Cytodex上のマウスフィーダー、およびフィーダーでコートしたポリリジンコート 東ソー・ビーズと一緒に、セルロースDE53マイクロキャリア上のhESCと共培養して成長した、セルロースマイクロキャリア上のhESCの写真を示す。表3は、2種類の球形マイクロキャリア上のフィーダーとの共培養、ならびにセルロースDE53マイクロキャリア上での共培養における、P0およびP1継代のhESCの細胞密度を示す。細胞数は、matrigelでコートしたDE53マイクロキャリア上のhESC対照と同等であった。図79は、hESCと、それぞれCytodex 3、東ソーおよびDE53マイクロキャリア上のフィーダーとの3種類の共培養物について、P1におけるFACSを示す。DE53と共培養したCytodex 3、およびDE53の共培養について、3種類の多分化能性マーカーの高発現レベルがみられた。表4は、3種類の共培養物中のhESCの細胞数が、matrigelコートしたマイクロキャリア上の対照と比較して約2倍高いことを示す。図80は、Cytodex 3、東ソーおよびDE53マイクロキャリア上のフィーダーとの3種類の異なる共培養物における、継代2における3種類の多分化能性マーカーの強い発現を示す;これらはmatrigelコートしたマイクロキャリアを用いた対照と同等またはより良好である(図81)。
実施例34.小型および大型球形の東ソー・マイクロキャリア上でのhESC培養
次いで、別の小型および大型球形の東ソー・マイクロキャリアがhESCの成長を長期間にわたって支持できるかを調べた。
表5は、小型(10ミクロン)大型(65ミクロン)両方の東ソー・マイクロキャリア(matrigelを含むものと含まないもの)が、P0およびP1においてhESCの成長を支持したことを示す。図82は、多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現がこれら4条件で継代P1において高かったことを示す。図83は、ポリリジン 東ソー・ビーズを示す;matrigelコーティングを含まないものと含むもの、原液と30倍希釈濃度のもの。hESCは、30倍希釈matrigel濃度で最大の細胞集合体を形成した。図84は、プロタミン 東ソー・ビーズを示す;matrigelコーティングを含まないものと含むもの、原液と30倍希釈濃度のもの。この場合も、30倍希釈したmatrigelコートしたビーズがより大きなhESC集合体を形成した。
実施例35.matrigelを含む大型の東ソー・マイクロキャリア上でのhESC培養
表6および図85は、ポリリジンコートおよびプロタミンコートした両方の東ソー・ビーズ(65μm)の細胞数を示す;matrigelを含むものと含まないもの、4継代。継代4までにmatrigelコーティングを含むビーズのみは生存したが、ビーズにカップリングしたmatrigelを含むものおよびmatrigelを含まないものは継代3後は成長しなかった。”カップリング”は、ポリリジンコートおよびプロタミンコートしたビーズにMatrigelを添加した際に直ちに行われ、次いで使用のために数週間にわたって保存された。”コーティング”のためには、培養する週の間のみMatrigelを新たにビーズに添加した。図36は、ポリリジン 東ソー・マイクロキャリア上のhESCについて、多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の発現を示す;matrigelを含まないものと含むもの、P1。Oct4発現は、matrigelを含まないマイクロキャリアについて最低であった。図87は、プロタミン 東ソー・マイクロキャリア上のhESCの、多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の発現を示す;matrigelを含まないものと含むもの、P1。この場合も、Oct4発現は、matrigelを含まないマイクロキャリアについて最低であった。図3
8は、P2において、matrigelコートしたポリリジン 東ソー・マイクロキャリア上でhESCの多分化能性マーカーTRA−1−60の発現がより良好であることを示す。同様に図89は、P2において、matrigelコートしたプロタミン 東ソー・マイクロキャリア上でhESCの多分化能性マーカーTRA−1−60の発現がより良好であることを示す。図90は続いて、P3において、matrigelコートしたポリリジン 東ソー・マイクロキャリア上でhESCの多分化能性マーカーTRA−1−60の発現がより良好であることを示す。図91は、P3において、matrigelコートしたプロタミン 東ソー・マイクロキャリア上でhESCの多分化能性マーカーTRA−1−60の発現が最高であることを示す。継代4において、matrigelでコートした大型ポリリジンおよびプロタミン 東ソー・ビーズ上で、hESCは未分化集合体をなお形成し続ける(図92)。図93は、継代4における、matrigelコートしたポリリジンおよびプロタミン−マイクロキャリア上でのhESCの多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の継続発現を示す。図94は、matrigelコーティングを含むポリリジンおよびプロタミン 東ソー・ビーズ上で5継代成長させたhESCの比較的安定な細胞数を示す。図95は、継代5における、matrigelコーティングを含むポリリジンおよびプロタミン 東ソー・マイクロキャリア上でのhESCの多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の継続発現を示し、一方、図96は、P5におけるhESC集合体を示す。
図97および図98に示すように、継代6と7の間で、マイクロキャリア濃度を100万細胞当たり48,000ビーズにさらに最適化すると、matrigelコートしたポリリジンおよびプロタミン両方の 東ソー・マイクロキャリアについて多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の発現がより高いレベルに回復した。
実施例36.ラミニンコーティングおよびフィブロネクチンコーティングを含むCytodex 3(matrigelを含むものと含まないもの)上でのhESC培養
Cytodex 3は細胞培養に一般的に用いられているので、それの性能をDE53および 東ソー・マイクロキャリアと比較した。さらに、コーティングを含まないCytodex 3を単独で静止および撹拌条件でのhESCの培養に使用できるとTersteggeら(US patent application 2007/0264713
A1)は主張している。
表7は、成長したhESCの細胞数がCytodex 3マイクロキャリア上で比較的安定であったことを示す;matrigelでコートしたものとmatrigelを含まないもの、非撹拌条件および撹拌条件で3継代培養。しかし、図99に示すように、継代5によれば、matrigelでコートしたマイクロキャリアのみが、撹拌(100および120rpmの両方)および非撹拌の両方の条件でhESCの成長を可能にした。コートしていないCytodex 3マイクロキャリアにおいては、細胞数の急激な減少が生じる。図100に示すように、次いで継代7によれば、撹拌しないmatrigelコートしたCytodex 3マイクロキャリア上でのみhESCは生存し続け、継代9にまで成長した。
図101は、matrigelを含まないCytodex 3マイクロキャリアをhESCがほとんどコートしていないことを示す。図102は、100rpmで撹拌したmatrigelを含まないCytodex 3マイクロキャリア上におけるhESCの大きなクラスターを示す。これに対し、図103および図104は、それぞれ非撹拌および撹拌条件におけるmatrigelコートしたCytodex 3マイクロキャリア上のhESCのより集密な成長を示す。matrigelを含まないCytodex 3上では、P3により多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60のFACS分析がダウンレギュレーションされる(図105)。しかし、matrigelコートしたCyto
dex 3マイクロキャリアについては、P9においてすら、3種類すべてのマーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60のFACSがなお強く発現している(図106)。図107は、matrigelを含まないCytodex 3上で撹拌条件において成長したhESCは、P3により多分化能性マーカーがダウンレギュレーションされることを示す;このダウンレギュレーションは、matrigelコートしたCytodex 3についても、撹拌条件において継代P3によりみられる(図108)。
図109に示すように、継代13により、matrigelコートしたCytodex
3マイクロキャリアは、静止条件では3種類の多分化能性マーカーを強く発現するhESCをなお支持することができる。これに対し、ラミニンおよびフィブロネクチンでコートしたCytodex 3は、継代6においてOct4およびTRA−1−60マーカーの部分的なダウンレギュレーションを示す。この実験は、コラーゲン、ラミニンおよびフィブロネクチンをもつmatrigelをシミュレートするために実施された。さらに、図110において、hESCの核型判定は、matrigelでコートしたCytodex 3上で11継代後に正常な46XX核型を示した。
実施例37.Cytodex 1およびHillexマイクロキャリア(matrigelを含むものと含まないもの)上でのhESC培養
いずれのコーティングも含まない荷電マイクロキャリアCytodex 1およびHillexマイクロキャリア単独についても、それらがhESCを支持する能力を評価した。この場合も、以前のCrookらによる特許は、matrigelコーティングを含まないこれらのマイクロキャリアが単独でhESC培養を静止培養において3〜5継代支持することができると主張している(WO 2008/004990 A2)。同グループによるその後の刊行物(Phillips et al, 2008)は、彼らが各継代で3倍拡張を達成し得たにすぎず、Hillexマイクロキャリア上では継代6により多分化能性マーカーは保持されたけれどもhESCを拡張できなかったことを明らかにした。
図111は、Cytodex 1上で成長しているhESCを示す:matrigelコーティングを含むものと含まないもの;matrigelコートしたCytodex上のhESCはコートしていないマイクロキャリアと比較してより大きな集合体として成長する。図112は、Hillexマイクロキャリア上で成長しているhESCを示す;matrigelコーティングを含むものと含まないもの。Hillexマイクロキャリアは培地からフェノールレッドを吸着し、互いに集合する傾向がある。hESCは、これらのマイクロキャリア(matrigelを含むものまたは含まないもの)への付着がより劣る。図113は、これら2タイプのマイクロキャリア上のhESCの細胞数を示す;matrigelコーティングを含むものと含まないもの、撹拌するものと撹拌しないもの、3継代後。3継代後に、撹拌を伴うCytodex 1およびHillexマイクロキャリア培養において細胞数は減少する傾向があり、継代できないので中断された。しかし、図114に示すように、これらのマイクロキャリア(matrigelを含むものと含まないもの)の静止(または非撹拌)培養は、継代9まで継代できたが、最終細胞数は継代7後に減少する傾向があった。図115は、Cytodex 1およびHillexマイクロキャリア(matrigelを含むものと含まないもの)上で成長したhESCの平均細胞濃度および平均拡張倍率をまとめる。平均して、matrigelを含むCytodex 1上ではより高い細胞濃度が達成され、これはセルロースマイクロキャリアに匹敵した。
図116は、matrigelコートしたCytodex 1およびHillexマイクロキャリアが、コートしていないマイクロキャリアより実際に集密状態であることを示す;ただし、Hillexマイクロキャリアは培地からのフェノールレッドで赤色に着色し続ける。図117は、3種類の多分化能性マーカーOct4、TRA−1−60および
mAb84の、これら4条件の継代6における代表的なプロットを示す;matrigelコートしたマイクロキャリアは、コートしていないマイクロキャリアより良好な性能をもつ。図118は、これら4条件について種々の継代における3種類の多分化能性マーカーOct4、TRA−1−60およびmAb84のFACS分析をまとめる;これらのマーカーは継代6後に低下することが指摘され、ただし、matrigelでコートしたCytodex 1は10継代後に最も安定な条件であった。他方、matrigelを含むHillexは、これらのマーカーの低下を示した;おそらく、マイクロキャリアへのフェノールレッドの吸着によるものであろう。継代13により、matrigelを含むCytodex 1上で培養したhESCのみが3種類の多分化能性マーカーをなお発現し、これに対し他の3つのマイクロキャリア条件はこれらの3マーカーの発現レベルの低下により示されるように、分化していた(図69)。これら4つのマイクロキャリア条件についての核型は継代7において正常であった(図120)。
実施例38.hESC培養のためのDE53セルロースマイクロキャリア上における種々の細胞外マトリックスコーティング
さらに、別の細胞外マトリックス(ECM)をmatrigelの代替物としてマイクロキャリア上でhESCを支持するために使用できるかを調べた。
表8は、セルロースマイクロキャリア上で成長したhESCの7日後の細胞数を示す;種々のコーティング、コンドロイチン硫酸(CS)、ヘパリン(HS)およびヒアルロン酸(HA)をそれらの最初の原液濃度から1:10〜1:80希釈したものを含む;KO培地および馴化培地(CM)のコーティングで成長した対照と比較;継代P0。表9に示すように、継代P1において、hESCの細胞数は3種類すべてのコーティングについて100万細胞/ウェルを超え、KO培地のコーティングを含む対照と類似する。図121は、コンドロイチン硫酸、ヘパリンおよびヒアルロン酸のコーティングについて、P1における多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60の発現を示す;図122のKO培地を含むコーティングと比較。定性的に、試験した3種類のコーティングのうち、1:10希釈したヒアルロン酸を含むコーティングがhESCを支持するのに好ましいものであると思われる;HAコーティングによれば3種類の多分化能性マーカーのダウンレギュレーションが最も少ないからである。
フィブロネクチンを含むこれらのECMの他の組合わせも試験し、継代P0およびP1において達成された細胞数を表10に示す。フィブロネクチンを含むHAがP1において最良の細胞成長を可能にすると思われた。図123および124は、種々の組合わせのECM(フィブロネクチン、HAおよびヘパリン塩(HS))でコートしたセルロースマイクロキャリアの写真を示す;これらは緻密な細胞集合体を形成し続け、集合体の周りに明らかな嚢胞性領域はない。しかし、図125および126に示すように、多分化能性マーカーTRA−1−60についてのFACSを実施した際に、これらのECM組合わせについて、P1によりこのマーカーの有意のダウンレギュレーションが生じた。
さらに他のECM、たとえばI型コラーゲン、IV型コラーゲンおよびラミニンも、hESCの支持について試験し、表11は種々のECM組合わせを用いて達成されたP1〜P3の細胞数を示す。これらの細胞数を図127にも示す;これは、種々のECM上で各継代について細胞数のおおまかな減少傾向を示す。
図128は、セルロースマイクロキャリア上にコートした種々の組合わせのECMとHAについて、hESCの形態を示す。同様に図129は、セルロースマイクロキャリア上にコートした種々の組合わせのECMとHSについて、hESCの形態を示す。一般にHAとの組合わせは、マイクロキャリア上にHSとの組合わせより緻密なhESC集合体をもつ。図130において、HAは単独でもHS単独より緻密な集合体を支持すると思われ
る。また図131は、HAとI型コラーゲン、IV型コラーゲン、ラミニンおよびフィブロネクチンとの組合わせが、HSとのECM組合わせより緻密な細胞集合体を形成するように思われることを示す。最後に、HA、HSおよび他の4種類のECMをすべて含むマトリックスもhESCを支持することが図131に示される。
図132〜135は、表11に記載するように、セルロースマイクロキャリア上の種々の組合わせのECM上で、多分化能性マーカーOct4、SSEA4およびTRA−1−60が3継代後に発現し続けることを示す。しかし、matrigelコートしたマイクロキャリアと比較して、これらのマーカーのレベルのある程度のダウンレギュレーションが生じる。
実施例39.hESC培養のためのDE53セルロースマイクロキャリア上のヒアルロン酸
HAはhESCを支持するためにmatrigelに対する代替ECMとして最も有望であると思われたので、細胞をHAコートしたセルロースマイクロキャリア上で多数継代、継代した。図136に示すように活発な成長、ならびに多分化能性マーカーOct4およびTRA−1−60の発現(図137)が3継代(継代4〜6)継続し、これらは対照2Dコロニー培養に匹敵した。図138は、HAコートしたマイクロキャリア上で、継代8および9においてTRA−1−60の高い発現が継続することを示す。最後に、図139は、HAコートしたセルロースマイクロキャリア上で継代6において成長した緻密なhESC集合体の形態を2つの異なる倍率で示す。
実施例40.マイクロキャリア上でのヒトiPS細胞の成長および伝播
実施例40.1
ヒトiPS(IMR90)細胞を、MatrigelコートしたDE53マイクロキャリア20mg/ウェル(4mg/ml)上で、100ng/mlのbFGF(5ml/ウェル)を含むMEF調整KO培地中での懸濁培養において培養した。フィーダー細胞上で2D培養において8回継代し、続いてMatrigel上で2D培養において5継代適応させたiPS(IMR90)細胞(iPS IMR90PMGP5)から、セルロースマイクロキャリアに接種した。
図162は、セルロースマイクロキャリア上でのヒトiPS細胞の集密成長を示す。図163および164は、継代3から10まで週1回の継代でiPS細胞を培養するのに成功し、継代10においてOct4、SSEA4およびTRA−1−60の強い発現が保持されていたことを示す。細胞成長は活発であり、300〜800万細胞/mlの細胞密度が各継代後に達成された。
実施例40.2 無血清培地mTeSR1中でのヒトiPS細胞のマイクロキャリア培養
2種類のヒトiPS細胞系を、無血清培地mTeSR1中で、Matrigelコートしたセルロースマイクロキャリア上において2または3週間にわたって連続継代した。図186は、細胞数の増加、ならびに多分化能性マーカーOct−4およびmAb84の安定発現を示す。
Matrigelコートしたセルロースマイクロキャリア上でヒトiPS細胞(Reprocell、日本)の連続継代を達成した。
実施例41.マイクロキャリア上での心筋細胞分化
種々の細胞外マトリックス(ECM)コーティングをもつマイクロキャリアを用いて、hESCが心筋細胞へ分化する能力を調べた。種々のECMコーティングを用いて細胞の拡張および分化を調べた。種々の培地補充物を用いて同様に分化を調べた。マイクロキャ
リアからマイクロキャリアへのhESCの接種に続いて、同様に分化を調べた。
実施例41.1 分化
DE53セルロースマイクロキャリアを、Matrigel、ラミニン、ビトロネクチン、フィブロネクチンのいずれかひとつにコートした(図165)。東ソー 65マイクロキャリアをプロタミン誘導体化し、場合によりラミニン中にコートした(図165)。マイクロキャリアを、各ECMで、低温室内において撹拌下に一夜コートした。翌日、各ウェル(5ml)に、コラゲナーゼ処理して掻き取った2Dコロニー培養物から2.5x10細胞/ウェルを接種した。次いでプレートを接種後1時間、撹拌下に保持した。
培養物中に形成された集合体に、馴化培地(CM)およびbFGFを2日間供給し、培地を1日1回交換した。3日目に、MAPキナーゼ阻害薬SB203580(5μM)を含むbSFS分化用培地に培養を切り換えた。培養物をbSFSで1時間洗浄し、阻害薬を含むbSFS培地を分化実験期間中、週3回(月曜、水曜、金曜)交換した。用いた細胞はHES−3 p33kK46であった。
図166および167は、すべてのコートした被験マイクロキャリアについて拍動領域が得られたことを示す。マイクロキャリア上のEBの集合体は、マイクロキャリアを用いずに作製したEBより大きかった。図167は、マイクロキャリア上の拍動EBの数が19日間にわたって増加することを示す。ラミニンおよびフィブロネクチンのコーティングは拍動領域の生成において特に良好であったのに対し、マイクロキャリアの不存在下では拍動性EBがなかった。
実施例41.2 拡張および分化
分化したhESCがマイクロキャリア上で拡張するかを判定するために、下記のマイクロキャリアコーティングを試験した:
1.コートしていないセルロースDE53
2.ラミニン(20μg)を15mgのセルロースDE53上に一夜コートしたもの
3.MatrigelをセルロースDE53上にコートしたもの。
2D培養物(コラゲナーゼ処理し、掻き取ったもの)から1.6x10細胞/ウェルの接種率を用いた。集合体が形成されるまで(3日間)培養物にCMを供給し、bSFSで1時間洗浄し、その後、分化用培地+SB203580(5μM)に切り換えた。拍動および細胞数を求めるために2ウェルのサンプリングを0、4、7および12日目に実施した。用いた細胞はH3 p33kK50であった。14日目の集合体を図168に示す。図169は、分化の開始後7および13日目に得た細胞数から平均して、マイクロキャリア上の種々のECMコーティング上で細胞が2〜5倍拡張したことを示す。
ラミニンおよびフィブロネクチンのコーティング(1〜3マイクログラム/グラム(セルロース))が拍動性胚様体のパーセントに及ぼす影響も調べた。図184は、ラミニンコーティングが、フィブロネクチンコートしたマイクロキャリアまたはコートしていないマイクロキャリアと比較して、より良好な細胞付着をもたらし、したがって増加した数の拍動性集合体をもたらすことを示す。
実施例41.3 種々の培地補充物を用いた分化
広範な培地および補充物を、それらが分化に及ぼす影響についてスクリーニングした。
DE53セルロースマイクロキャリア(3mg/ml,6ウェルプレート内)を、CM中において静止条件で2時間コンディショニングした。次いでそれらに2D培養から収穫したhESC(コラゲナーゼおよび4方向のスクレーパー)を3x10細胞/ウェルで接種した。接種後、培養物を15分間撹拌(100rpm)した後、静止条件に切り換え
た。
培養物をCM中で2日間、集合体として形成させ、bSFSで洗浄し、次いで分化用培地+SB203580(5μM)および種々の培地補充物(0.1% HySoy,1%
BSA,1x脂質混合物、またはこれらの組合わせ−図170を参照)に切り換えた。用いた細胞はH3 p33kK47であった。
図171は、コートしていないマイクロキャリア上での心筋細胞形成の増強に対する培地補充物の影響を示す。コートしていないマイクロキャリアにおける補充物なしのbSFS単独と比較して、試験したすべての培地補充物が心筋細胞の形成を増強した。
図185は、ラミニンコートしたDE53セルロースマイクロキャリア上で培養したhESCについて、化学的に規定された脂質、ビタミンまたはダイズ水解物の培地補充物の存在下で、拍動性胚様体または心筋細胞の数が有意に増大したことを示す。
実施例41.4 種々の培地補充物を用いたマイクロキャリアからマイクロキャリアへ接種したhESCについての分化
DE53セルロースマイクロキャリア(3mg/ml)を6ウェルプレート内においてCM中で4時間コンディショニングし、1.6x10細胞/ウェルを接種した。培養物を1時間撹拌(100rpm)した後、静止条件に切り換えた。
CM中で4日間、培養物は集合体を形成し、次いでbSFS分化用培地+SB203580(5μM)および種々の添加物(図172を参照)、または脂質補充物を含むDMEM/F12培地+SB203580(5μM)のいずれかに切り換えた。用いた細胞はH3 p33kK30p2であった。
図172は、コートしていないマイクロキャリア培養において、補充物を含まないbSFS単独と比較して、脂質混合物、BSAおよびHy−Soy添加物がすべて、独立して拍動性集合体の総数を増大させたことを示す。
実施例41.5 陰電荷をもつマイクロキャリア上でのhESCの分化
陰電荷をもつ微粒状カルボキシメチルセルロースCM52マイクロキャリア(20mg/ウェル,4mg/ml)にHES−3細胞を接種し、懸濁培養および継代した。分化は、Matrigelコーティングを含む場合および含まない場合について、継代1内で大きな嚢胞性領域により示された(データは示していない)。細胞密度は、Matrigelコートしたマイクロキャリア上の方がコートしていないマイクロキャリアより高かった。これは、陰電荷をもつマイクロキャリアはhESCの多分化能性成長を支持しない可能性があるけれどもhESCの分化を支持しうることを指摘する。
実施例41.6 以後の分析のための集合体からの効率的な細胞収穫
直接酵素処理(たとえばトリプシンまたはTryple)により、hESCをマイクロキャリア培養物から収穫することができる。
コラゲナーゼによる前処理および酵素処理(トリプシン)を伴う2工程プロトコルはマイクロキャリアからのhESCの収穫を増大させることが分かった。
マイクロキャリアから心筋細胞を収穫するために、コラゲナーゼによる前処理、およびトリプシンまたはTrypleによる酵素処理を伴う2工程プロトコルは収穫効率を改善することが分かった。
実施例41.7 ヒトiPS細胞IMR90の胚様体形成および心筋細胞分化
MatrigelコートしたセルロースDE53上における継代13のヒトiPS細胞を、EB培地(KO基礎培地+20%血清+非必須アミノ酸)へのマイクロキャリアの移植により懸濁液中で14日間分化させ、続いてゼラチンコートした6cmの組織培養皿上で7日間、再び平板培養した。幾つかの拍動性集合体がみられた。拍動性集合体のうち2つをさらに観察するために、ゼラチンでコートした新たな6cmの皿へ移植した。23日後、すべての拍動性クランプがなお活発に拍動していた。
実施例41.7 追加の分化実験
ラミニンコートしたマイクロキャリア上で培養したHES−2 hESC(2マイクログラム/mgマイクロキャリア)を用いて、18日目の試料で拍動性集合体(3重試験)を生成させるのに成功した。
ラミニンコートしたマイクロキャリア上で培養したiPS ES4SKIN細胞(1マイクログラム/mgマイクロキャリア)を用いて、8日目の試料で拍動性集合体を生成させるのに成功した。
ヒトiPS***細胞は、無血清培地中においてラミニンコートしたセルロースマイクロキャリア上で12日目に25%の拍動性胚様体を形成した。
実施例41.8 内胚葉系列への分化
hESC−Matrigelコートマイクロキャリア懸濁培養物をスピナーフラスコ内で撹拌(40rpm)することにより、また6ウェルプレート内での撹拌(120rpm)によっても、hESCを内胚葉系列(たとえば膵島細胞、肝細胞、肺)へ分化させた。内胚葉遺伝子GATA6およびアルファフェトプロテインのアップレギュレーションと共
に、多分化能性マーカーOct4、Mab84およびTra−1−60のダウンレギュレーションがみられた。図73(実施例32)に示した結果と合わせて考慮すると、これらの結果は、細胞の培養および細胞の多分化能性/多能性状態の維持のためにはより低速の撹拌を使用できること、ならびに分化を誘導するためにはより高速の撹拌を使用できることを指摘する。
実施例42.マイクロキャリア上でのヒト胚性幹細胞由来の間葉性幹細胞の培養
ヒト胚性幹細胞を分化させて、臨床的に適応する間葉性幹細胞(MSC)を再現性をもって供給することがLian et al (Derivation of Clinically Compliant MSCs from CD105+, CD24- differentiated human ESCs. Stem Cells 2007;25:425-436)に記載されている。彼らは、hESCをトリプシン処理し、フィーダー支持体なしにFGF2およびPDGF ABを補充した培地中で伝播させ、続いてCD105+およびCD24−細胞を選別することにより、hESCから類似性が高くかつ臨床的にコンプライアントなMSC集団を再現性をもって生成させるために使用できるプロトコルを記載している。得られたMSCは骨髄MSC(BM−MSC)に顕著に類似し、MSCを同定するために一般に用いられる形態、表現型および機能規準を満たした;すなわち、線維芽細胞表現型をもつ接着性の単層、表面抗原プロフィール、すなわちCD29+、CD44+、CD49a+、CD49e+、CD105+、CD166+、CD34−およびCD45−、ならびに脂肪形成、軟骨形成および骨形成を含めた分化能。Lianらは、彼らのMSCを生成させるためにHues9およびH1 hESCの使用を記載している。
本発明者らはLianらのプロトコルを用いて、hESC由来のMSCを生成させ、コートしていないマイクロキャリア上でこれらのMSCを培養および継代して、hESCの分化により得られた細胞、特にhESC由来の成体幹細胞の培養の連続的な培養、成長および継代を支持するためにマイクロキャリアを使用できることを確認した。
実施例42.1 スピナーフラスコにおけるマイクロキャリア濃度の変更
Cytodex 3マイクロキャリアに、hESC由来MSCを種々のマイクロキャリア濃度(1.5、3および5キャリア/ml)で接種し、40rpmで撹拌するスピナー培養において50%の培地を3日毎に交換して培養した。図174および175は、マイクロキャリア上でのhESC由来MSCの成長を示す。試験した最低のマイクロキャリア濃度を用いて最良の成長が得られた。
実施例42.2 スピナーフラスコにおける細胞接種濃度の変更
Cytodex 3マイクロキャリアに、広範な濃度のhESC由来MSC細胞(5〜14細胞/マイクロキャリア)を3mg/mlのマイクロキャリアにおいて40rpmで撹拌するスピナー培養に接種し、50%の培地を3日毎に交換した。図176および177は、出発細胞濃度が高いほど高い最終細胞密度が得られたことを示す。
実施例42.3 単層培養とマイクロキャリア培養の比較
Cytodex 3マイクロキャリア上でのhESC由来MSCの成長を、単層培養におけるhESC由来MSCの成長と比較した;培地を1日1回交換した。図178および179は、マイクロキャリア上で成長したhESC由来MSCがより速やかな倍増時間およびより高い細胞密度を達成したことを示す。
実施例42.4 マイクロキャリア上でのhESC由来MSCの継代
hESC由来MSCをCytodex 3マイクロキャリア上で2方法により継代した:
(i)50%の新たなマイクロキャリアを添加;または
(ii)細胞をtryplE酵素で脱着し、続いて新たなマイクロキャリアを添加;
すべての培養に1日1回供給した。図180および181は、両方の場合とも細胞は類似の倍増時間および細胞密度を3継代にわたって達成したことを示す。図182および183は、Cytodex 3マイクロキャリア上で前記の2方法により継代した場合の10日目におけるhESC由来MSCによる5種類のMSCマーカーCD73、CD90、CD105、CD29およびCD44の陽性発現、ならびにCD34およびCD45の陰性発現を示す。
実施例43.StemPRO培地における供給バッチ培養
図187は、StemPRO培地を用いたマイクロキャリア懸濁培養におけるhESCの細胞密度に対する制御した低グルコース供給(1日1回、2g/l)の結果を、StemPROのみを1日1回供給した培養と比較して示す。低グルコース供給はより高い細胞密度をもたらした。
DMEM/F12培地ではラクテート産生の低下およびpH制御の改善もみられた。
参考文献
本明細書に記述した出願および特許、ならびに前記のそれぞれの出願および特許(訴訟中のそれぞれの出願および特許を含む)において引用または参照された各文献(”出願中引用文献”)、ならびにそれぞれの出願および特許ならびにいずれかの出願中引用文献に引用または記述されたいずれかの製品についての製造業者の指示またはカタログを、本明細書に援用する。さらに、本明細書に引用したすべての文献、および本明細書に引用した文献において引用または参照されたすべての文献、および本明細書に引用または記述したいずれかの製品についての製造業者の指示またはカタログを、本明細書に援用する。
本発明の範囲および精神から逸脱しない、本発明の方法およびシテスムの多様な改変および変更が当業者に明らかであろう。本発明を特定の好ましい態様に関連して記載したが、特許請求の範囲に記載した本発明をそのような特定の態様に不当に限定すべきではないこと、および本発明の範囲内でそれらに対する多数の改変および追加をなしうることを理解すべきである。実際に、分子生物学または関連分野の専門家に明らかな、本発明を実施するために記載した様式の多様な改変が、特許請求の範囲に含まれるものとする。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、独立請求項の特徴と従属請求項の特徴との多様な組合わせを行なうことができる。

Claims (115)

  1. 幹細胞をインビトロで懸濁培養において培養する方法であって、
    (i)幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、マイクロキャリアの表面はマトリックス中にコートされており;
    (ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
    (iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
    (iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも3継代反復する
    ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞が多分化能性である方法。
  2. 幹細胞が胚性幹細胞または誘導された多分化能性幹細胞である、請求項1に記載の方法。
  3. 幹細胞が霊長類またはヒトのものである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 工程(i)〜(iii)を通して少なくとも5継代、または少なくとも7継代、または少なくとも10継代反復する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. マイクロキャリアがロッド形である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. マトリックスが細胞外マトリックス成分を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. マトリックスが、Matrigel(商標)(BD Biosciences)、ヒアルロン酸、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、デキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸のうち1以上を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  8. マトリックスが、ラミニン、I型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびエンタクチン1の混合物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  9. マイクロキャリアが、セルロース、デキストラン、ヒドロキシル化メタクリレート、コラーゲン、ゼラチン、ポリスチレン、プラスチック、ガラス、セラミック、シリコーンのうち1以上を含むか、あるいはそれらからなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. マイクロキャリアがマクロ多孔質またはミクロ多孔質のcarboseedマイクロキャリアである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  11. マイクロキャリアがプロタミンまたはポリリジンとカップリングしている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. マイクロキャリアが陽電荷を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. マイクロキャリアが表面陽電荷を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. マイクロキャリアが親水性である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. マイクロキャリアが実質的に球形の形状を有する、請求項1〜4または6〜14のいず
    れか1項に記載の方法。
  16. 工程(ii)において、培養物中の幹細胞の数を拡張させるのに十分な期間、幹細胞を培養する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 各反復サイクルにおいて、工程(i)の幹細胞がその前の反復サイクルの工程(iii)の継代細胞から得られる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 工程(iv)において、工程(i)〜(iii)を通して少なくとも4継代、少なくとも5継代、少なくとも6継代、少なくとも7継代、少なくとも8継代、少なくとも9継代、少なくとも10継代、少なくとも11継代、少なくとも12継代、少なくとも13継代、少なくとも14継代、少なくとも15継代、少なくとも16継代、少なくとも17継代、少なくとも18継代、少なくとも19継代、少なくとも20継代、少なくとも21継代、少なくとも22継代、少なくとも23継代、少なくとも24継代、少なくとも25継代、少なくとも30継代、少なくとも40継代、少なくとも50継代、少なくとも60継代、少なくとも70継代、少なくとも80継代、少なくとも90継代、少なくとも100継代のいずれか反復する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 工程(i)〜(iii)のサイクルの少なくとも60%について、マイクロキャリアがマトリックス中にコートされている、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 工程(i)〜(iii)のサイクルにおいて、マイクロキャリアが同一マトリックス中にコートされている、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 工程(i)〜(iii)の第1と第2の連続サイクルにおいて、マトリックスが異なるか、または存在しない、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 工程(iv)の後、培養物中の少なくとも60%の幹細胞が多分化能性である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 工程(iv)の後、培養物中の少なくとも60%の幹細胞が、Oct4、SSEA4、TRA−1−60およびMab84のうち1、2、3またはすべてを発現する、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 該方法が、幹細胞を無血清培地、または幹細胞用馴化培地、またはフィーダー細胞を含まない状態で培養することを含む、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. フィーダー細胞もマイクロキャリアに付着している、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 培養がさらに、幹細胞が付着するマイクロキャリアとは異なるマイクロキャリアに付着したフィーダー細胞を含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
  27. 請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法により得られる多分化能性幹細胞。
  28. さらに、工程(iv)の後に得られる幹細胞の分化を誘導する工程を含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
  29. 該方法が、幹細胞の分化を誘導する条件下にマイクロキャリア幹細胞複合体を置くことを含む、請求項28に記載の方法。
  30. 該方法が、工程(iv)の後に、幹細胞をマイクロキャリアから分離し、そして分離した幹細胞をマイクロキャリアの無い培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する工程を含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
  31. さらに、多分化能性幹細胞の分化を含む方法であって、
    (v)工程(iv)の後に得られる多分化能性幹細胞を複数の第2マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第2マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
    (vi)(v)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する
    ことを含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
  32. 第1マトリックスと第2マトリックスが同一である、請求項31に記載の方法。
  33. 第1マトリックスと第2マトリックスが異なる、請求項31に記載の方法。
  34. 第1マイクロキャリアと第2マイクロキャリアが同一である、請求項31〜33のいずれか1項に記載の方法。
  35. 第1マイクロキャリアと第2マイクロキャリアが異なる、請求項31〜33のいずれか1項に記載の方法。
  36. 該方法がさらに、
    (vii)工程(vi)から得られる分化した幹細胞を複数の第3マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第3マイクロキャリアの表面は第3マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
    (viii)(vii)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、分化した幹細胞のさらなる分化を誘導する条件下で培養する
    ことを含む、請求項31〜35のいずれか1項に記載の方法。
  37. 第3マトリックスが第1および第2マトリックスと異なる、請求項36に記載の方法。
  38. 第3マトリックスが第1および第2マトリックスのいずれか1つと同一である、請求項36に記載の方法。
  39. 第3マイクロキャリアが第1および第2マイクロキャリアと異なる、請求項36〜38のいずれか1項に記載の方法。
  40. 第3マイクロキャリアが第1および第2マイクロキャリアの1つと同一である、請求項36〜38のいずれか1項に記載の方法。
  41. 請求項28〜40のいずれか1項に記載の方法により得られる分化した細胞。
  42. 分化した細胞を培養して胚様体を形成させる、請求項28〜40のいずれか1項に記載の方法。
  43. 請求項42に記載の方法により得られる胚様体。
  44. 幹細胞をインビトロで懸濁培養において培養する方法であって、
    (i)幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、マイクロキャリアの表面はMatrigel(商標)中にコートされており;
    (ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
    (iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
    (iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも7継代反復する
    ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞が多分化能性であり、培養物がフィーダー細胞を含まず、各継代間で幹細胞の数が拡張し、幹細胞がヒトもしくは霊長類の胚性幹細胞またはヒトもしくは霊長類の誘導された多分化能性幹細胞である方法。
  45. 幹細胞をインビトロで培養し、かつ分化させる方法であって、
    (i)幹細胞を複数の第1マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第1マイクロキャリアの表面は第1マトリックス中にコートされており;
    (ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
    (iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
    (iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも3継代反復する
    ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞が多分化能性であり、該方法がさらに、
    (v)工程(iv)の後に得られる多分化能性幹細胞を複数の第2マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第2マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
    (vi)(v)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する
    ことを含む方法。
  46. 幹細胞が胚性幹細胞または誘導された多分化能性幹細胞である、請求項45に記載の方法。
  47. 幹細胞が霊長類またはヒトのものである、請求項45または46に記載の方法。
  48. マイクロキャリアがロッド形である、請求項45〜47のいずれか1項に記載の方法。
  49. 第1マトリックスと第2マトリックスが同一である、請求項45〜48のいずれか1項に記載の方法。
  50. 第1マトリックスと第2マトリックスが異なる、請求項45〜48のいずれか1項に記載の方法。
  51. 第1マイクロキャリアと第2マイクロキャリアが同一である、請求項45〜50のいずれか1項に記載の方法。
  52. 第1マイクロキャリアと第2マイクロキャリアが異なる、請求項45〜50のいずれか1項に記載の方法。
  53. 該方法がさらに、
    (vii)工程(vi)から得られる分化した幹細胞を複数の第3マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第3マイクロキャリアの表面は第3マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
    (viii)(vii)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、分
    化した幹細胞のさらなる分化を誘導する条件下で培養する
    ことを含む、請求項45〜52のいずれか1項に記載の方法。
  54. 第3マトリックスが第1および第2マトリックスと異なる、請求項53に記載の方法。
  55. 第3マトリックスが第1および第2マトリックスの1つと同一である、請求項53に記載の方法。
  56. 第3マイクロキャリアが第1および第2マイクロキャリアと異なる、請求項53〜55のいずれか1項に記載の方法。
  57. 第3マイクロキャリアが第1および第2マイクロキャリアの1つと同一である、請求項53〜55のいずれか1項に記載の方法。
  58. 幹細胞をインビトロで分化させる方法であって、多分化能性幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、マイクロキャリアの表面はマトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず、そしてマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養することを含む方法。
  59. 幹細胞が胚性幹細胞または誘導された多分化能性幹細胞である、請求項58に記載の方法。
  60. 幹細胞が霊長類またはヒトのものである、請求項58または59に記載の方法。
  61. マイクロキャリアがロッド形である、請求項58〜60のいずれか1項に記載の方法。
  62. マトリックスが細胞外マトリックス成分を含む、請求項58〜61のいずれか1項に記載の方法。
  63. マトリックスが、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、Matrigel(商標)(BD Biosciences)、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、デキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸のうち1以上を含む、請求項58〜61のいずれか1項に記載の方法。
  64. マトリックスが、ラミニン、I型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびエンタクチン1の混合物を含む、請求項58〜61のいずれか1項に記載の方法。
  65. マイクロキャリアが、セルロース、デキストラン、ヒドロキシル化メタクリレート、コラーゲン、ゼラチン、ポリスチレン、プラスチック、ガラス、セラミック、シリコーンのうち1以上を含むか、あるいはそれらからなる、請求項58〜64のいずれか1項に記載の方法。
  66. マイクロキャリアがマクロ多孔質またはミクロ多孔質のcarboseedマイクロキャリアである、請求項58〜64のいずれか1項に記載の方法。
  67. マイクロキャリアがプロタミンまたはポリリジンとカップリングしている、請求項58〜66のいずれか1項に記載の方法。
  68. マイクロキャリアが陽電荷を有する、請求項58〜67のいずれか1項に記載の方法。
  69. マイクロキャリアが表面陽電荷を有する、請求項58〜68のいずれか1項に記載の方法。
  70. マイクロキャリアが親水性である、請求項58〜69のいずれか1項に記載の方法。
  71. マイクロキャリアが実質的に球形の形状を有する、請求項58〜60または62〜70のいずれか1項に記載の方法。
  72. 多能性幹細胞をインビトロで懸濁培養において培養する方法であって、
    (i)多能性幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し;
    (ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養する
    ことを含み、その際、工程(ii)の後の培養物中の幹細胞が多能性である方法。
  73. 工程(i)においてマイクロキャリアの表面がマトリックス中にコートされている、請求項72に記載の方法。
  74. さらに、工程(ii)の後に得られる幹細胞の分化を誘導する工程を含む、請求項72または73に記載の方法。
  75. 該方法が、幹細胞の分化を誘導する条件下にマイクロキャリア幹細胞複合体を置くことを含む、請求項74に記載の方法。
  76. 該方法が、工程(ii)の後に、幹細胞をマイクロキャリアから分離し、そして分離した幹細胞をマイクロキャリアの無い培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する工程を含む、請求項72〜75のいずれか1項に記載の方法。
  77. 多能性幹細胞をインビトロで懸濁培養において培養する方法であって、
    (i)多能性幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し;
    (ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
    (iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
    (iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも2継代反復する
    ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞が多能性である方法。
  78. 工程(i)においてマイクロキャリアの表面がマトリックス中にコートされている、請求項77に記載の方法。
  79. 請求項72、73、77または78のいずれか1項に記載の方法により得られる多能性幹細胞。
  80. さらに、工程(iv)の後に得られる幹細胞の分化を誘導する工程を含む、請求項77または78のいずれか1項に記載の方法。
  81. 該方法が、幹細胞の分化を誘導する条件下にマイクロキャリア幹細胞複合体を置くことを含む、請求項80に記載の方法。
  82. 該方法が、工程(iv)の後に、幹細胞をマイクロキャリアから分離し、そして分離した幹細胞をマイクロキャリアの無い培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養
    する工程を含む、請求項77〜81のいずれか1項に記載の方法。
  83. さらに、多能性幹細胞の分化を含む方法であって、
    (v)工程(iv)の後に得られる多能性幹細胞を複数の第2マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第2マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
    (vi)(v)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する
    ことを含む、請求項77に記載の方法。
  84. 請求項74〜83のいずれか1項に記載の方法により得られる分化した細胞。
  85. 多能性幹細胞をインビトロで培養し、かつ分化させる方法であって、
    (i)幹細胞を複数の第1マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し;
    (ii)マイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において培養し;
    (iii)(ii)からの培養細胞を継代し;そして
    (iv)工程(i)〜(iii)を通して少なくとも2継代反復する
    ことを含み、その際、工程(iv)の後の培養物中の幹細胞が多能性であり、該方法がさらに、
    (v)工程(iv)の後に得られる多能性幹細胞を複数の第2マイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、第2マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず;そして
    (vi)(v)からのマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養する
    ことを含む方法。
  86. 工程(i)においてマイクロキャリアの表面が第1マトリックス中にコートされている、請求項85に記載の方法。
  87. 幹細胞をインビトロで分化させる方法であって、多能性幹細胞を複数のマイクロキャリアに付着させてマイクロキャリア幹細胞複合体を形成し、その際、マイクロキャリアの表面は第2マトリックス中にコートされているか、またはコートされておらず、そしてマイクロキャリア幹細胞複合体を懸濁培養において、幹細胞の分化を誘導する条件下で培養することを含む方法。
  88. 幹細胞が成体幹細胞、または多分化能性幹細胞に由来する多能性幹細胞である、請求項72〜87のいずれか1項に記載の方法。
  89. マイクロキャリアがロッド形である、請求項72〜88のいずれか1項に記載の方法。
  90. マトリックスが細胞外マトリックス成分を含む、請求項72〜89のいずれか1項に記載の方法。
  91. マトリックスが、Matrigel(商標)(BD Biosciences)、ヒアルロン酸、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、デキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸のうち1以上を含む、請求項72〜89のいずれか1項に記載の方法。
  92. マトリックスが、ラミニン、I型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、および
    エンタクチン1の混合物を含む、請求項72〜89のいずれか1項に記載の方法。
  93. マイクロキャリアが、セルロース、デキストラン、ヒドロキシル化メタクリレート、コラーゲン、ゼラチン、ポリスチレン、プラスチック、ガラス、セラミック、シリコーンのうち1以上を含むか、あるいはそれらからなる、請求項72〜92のいずれか1項に記載の方法。
  94. マイクロキャリアがマクロ多孔質またはミクロ多孔質のcarboseedマイクロキャリアである、請求項72〜92のいずれか1項に記載の方法。
  95. マイクロキャリアが陽電荷を有する、請求項72〜94のいずれか1項に記載の方法。
  96. マイクロキャリアが表面陽電荷を有する、請求項72〜95のいずれか1項に記載の方法。
  97. 工程(ii)において、培養物中の幹細胞の数を拡張させるのに十分な期間、幹細胞を培養する、請求項72〜96のいずれか1項に記載の方法。
  98. 各反復サイクルにおいて、工程(i)の幹細胞がその前の反復サイクルの工程(iii)の継代細胞から得られる、請求項77〜97のいずれか1項に記載の方法。
  99. 工程(iv)において、工程(i)〜(iii)を通して少なくとも3継代、少なくとも4継代、少なくとも5継代、少なくとも6継代、少なくとも7継代、少なくとも8継代、少なくとも9継代、少なくとも10継代、少なくとも11継代、少なくとも12継代、少なくとも13継代、少なくとも14継代、少なくとも15継代、少なくとも16継代、少なくとも17継代、少なくとも18継代、少なくとも19継代、少なくとも20継代、少なくとも21継代、少なくとも22継代、少なくとも23継代、少なくとも24継代、少なくとも25継代、少なくとも30継代、少なくとも40継代、少なくとも50継代、少なくとも60継代、少なくとも70継代、少なくとも80継代、少なくとも90継代、少なくとも100継代のいずれか反復する、請求項77〜98のいずれか1項に記載の方法。
  100. 霊長類またはヒトの幹細胞の伝播および/または分化のための、マトリックス中にコートされたマイクロキャリアの使用であって、マイクロキャリアがDE−52(Whatman)、DE−53(Whatman)、QA−52(Whatman)、TSKgel
    Tresyl−5Pw(東ソー)またはToyopearl AF−Tresyl−650(東ソー)、SM1010(Blue Membranes)およびSH1010(Blue Membranes)から選択される使用。
  101. マトリックスが、Matrigel(商標)(BD Biosciences)、ヒアルロン酸、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、デキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸のうち1以上を含む、請求項100に記載の使用。
  102. マトリックスが、ラミニン、I型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびエンタクチン1の混合物を含む、請求項100に記載の使用。
  103. 多分化能性細胞または多能性細胞をインビトロ懸濁培養において成長および/または分化させる際に使用するのに適切なマイクロキャリアであって、マイクロキャリアがセルロース、デキストラン、ヒドロキシル化メタクリレート、またはコラーゲンのうち1以上を
    含み、マイクロキャリアが細長い形状を有し、約2000μm未満の最長寸法および約10μmより大きい最短寸法を有し、マイクロキャリアの表面がマトリックス中にコートされ、1個または複数の多分化能性細胞または多能性細胞がマトリックスコーティングに付着しているマイクロキャリア。
  104. マイクロキャリアがロッド形である、請求項103に記載のマイクロキャリア。
  105. マトリックスコーティングが、Matrigel(商標)(BD Biosciences)、ヒアルロン酸、ラミニンまたはフィブロネクチンのうち1以上を含む、請求項103または104に記載のマイクロキャリア。
  106. 細胞が多分化能性細胞である、請求項103〜105のいずれか1項に記載のマイクロキャリア。
  107. 多分化能性細胞が霊長類もしくはヒトの胚性幹細胞または誘導された多分化能性幹細胞である、請求項103〜106のいずれか1項に記載のマイクロキャリア。
  108. マイクロキャリアが陽電荷を有する、請求項103〜107のいずれか1項に記載のマイクロキャリア。
  109. マイクロキャリアが表面陽電荷を有する、請求項103〜108のいずれか1項に記載のマイクロキャリア。
  110. 50μm〜400μmの最長寸法を有する、請求項103〜109のいずれか1項に記載のマイクロキャリア。
  111. それに多分化能性細胞または多能性細胞が付着したそれぞれ請求項103〜110のいずれか1項に記載の2以上のマイクロキャリアを含む、集合体。
  112. 多分化能性または多能性の状態を有する新たな細胞を生成するための多分化能性細胞または多能性細胞のインビトロでの培養における、請求項103〜110のいずれか1項に記載のマイクロキャリアの使用。
  113. 多分化能性細胞または多能性細胞のインビトロ分化における、請求項103〜110のいずれか1項に記載のマイクロキャリアの使用。
  114. 多分化能性細胞または多能性細胞をインビトロで培養して多分化能性または多能性の状態を有する新たな細胞を生成する方法であって、多分化能性または多能性の状態を有する新たな細胞を生成するのに適切な条件下で請求項103〜110のいずれか1項に記載のマイクロキャリアを培養することを含む方法。
  115. 多分化能性細胞または多能性細胞をインビトロで分化させる方法であって、多分化能性細胞または多能性細胞の分化を誘導する条件下で請求項103〜110のいずれか1項に記載のマイクロキャリアを培養することを含む方法。
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