JP2011504806A - 二酸化炭素の捕獲および長期隔離方法、並びに手段 - Google Patents

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Abstract

ガス混合物からCOを回収し、捕獲したCOを大気から地質時代向けの炭酸カルシウムとして隔離する実用的な方法であり、また炭素捕獲および隔離用のCOスクラバーを提供する。COスクラバーは、液−ガス表面積およびガス状COと水酸化カルシウム溶液との間における接触時間を最大化する水性のフロスを組み込む。COスクラバーは、液体および混合ガスの温度を低減し、気泡に対する周囲圧力および気泡内の蒸気圧を増加し、高い蒸気圧を有する小さい気泡から低い蒸気圧を有する大きな気泡に気泡間壁を介してガスを拡散し、そして、気泡内のCO分子の平均自由行路を低減して、COの溶解度およびガス混合物から水酸化カルシウム溶液へのガス状COの溶解速度を増加する。

Description

本願は、2007年3月28日に出願した米国特許出願第11/729,253号の一部継続出願である。この出願は、以下の米国仮出願の恩恵および優先権を主張する。
1)2007年11月27日出願の米国第61/004,446号
2)2007年12月11日出願の米国第61/007,213号
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、平均地球温度の上昇を、地球の大気中で増加している二酸化炭素(CO)濃度に関連付けた。人為改変的な化石燃料の燃焼、およびその結果生じるCOの放出は、現在の平均地球温度増加率に関与する一つの因子として相互に関連付けられた。
炭素捕獲および隔離(CCS)に対する実用的な解決策は、豊富な天然資源を用い、この天然資源をCOと混合して、製品にリサイクルして戻す、またはCCSのコストを相殺するために販売することが可能な必需品を作り出すとともに、大気からのCOの長期隔離を行うものである。
地球の地殻における質量に関して5番目に多い元素であるカルシウムは、地球の表面上に最も広く分布している無機物の一つでもある。実際、カルシウムは酸素(O)と反応して不安定な酸化カルシウムを形成する。酸化カルシウムは、二酸化炭素(CO)との接触で迅速に反応し、極めて安定な炭酸カルシウム(CaCO)を生成する。
不安定なので、酸化カルシウムは自然界に存在せず、合成によって製造しなければならない。酸化カルシウムは、石灰石を加熱して炭酸カルシウムからCOを昇華させ、酸化カルシウムとガス状のCOとを生ずることで製造する。本明細書に記載するCCSプロセスに関し、酸化カルシウムの製造中に放出されるガス状のCOは、地質学的に隔離される。環境問題の観点から、責任を持って製造された酸化カルシウムは、生産現場からCCS地点に輸送する。
酸化カルシウムは、水で消和すると水酸化カルシウム(Ca(OH))を生ずる。水酸化カルシウムは、水に溶解するとカルシウムイオン(Ca2+)と水酸化物イオン(OH)とに解離する。COが溶液中のカルシウムイオンおよび水酸化物イオンと接触した場合、不溶性で極めて安定な炭酸カルシウム(CaCO)が溶液から沈殿する。
炭酸カルシウム沈殿物は、塗料の増量剤、プラスチックの充填剤、酸性土壌および水の中和剤、傾斜安定化剤、流動化剤、無機充填剤、並びに、ポートランドセメントの混和剤として使用される。炭酸カルシウム(石灰石)の無機物充填剤は、コンクリート混合物中の骨材とセメントとの間の結合強度を増加し、これにより、道路、滑走路、誘導路、橋、ダムおよび貯水池を建設するためのコンクリートにおける荷重支持能力、耐摩耗性を増加し、透水性を低減する。石灰石無機物充填剤は、レディーミックス、プレキャストおよび自己固化コンクリート等の用途に幅広く使用されている。石灰石無機物充填剤は、それ自身の純粋な炭酸カルシウム組成により、常に白色の製品を生産し、石灰石充填剤をプレキャストまたは建築現場注型コンクリート製品にとって最適なものにする。石灰石は、一般に1.4〜3.2μmおよび3.2〜10μmの範囲の粒径を有する2つの異なる等級(3および10)に加工される。COスクラバーからの石灰石無機物充填剤粒子は、典型的なタイプ1のポートランドセメントの骨材直径よりも直径が小さく、より少ないセメント材料で済ますことができ、節約をもたらす。
2005年の水硬性セメントの世界的生産量は、23億メートルトンであった。水に次いで、セメントは人間によって2番目に最も使用される必需品である。
概して、本発明はCOの捕獲および隔離に関する。特に、本発明は、独自の気泡塔反応器/スクラバー(浄化装置)について説明し、そしてガス混合物からのCOの効率的な分離および捕獲したCOの鉱物隔離のための新規なプロセスを教唆する。
「核形成と共に水性のフロスを用いて空気流をろ過する方法および装置」というタイトルの、2005年3月29日に特許された米国特許第6,872,240号において、ペレグリン(Pellegrin)は、水性−フロス(泡沫)空気(AFA)ろ過器を開示し、更に、「流入空気流は、該流入空気流を迅速に過飽和させる特別に設計した噴霧ノズルを用いて発生させた微細ミストで飽和される」および「限定はしないが、ろ過器内部の制御した状態が、より小さい微小液滴および蒸気形成を可能にし、自然界に見られる蒸発作用を打ち消す」ことを教唆している。気泡は「冷たい、好ましくは金属表面」上で冷却され、そして、操作上の重要なポイントは、「空気中のサブミクロンサイズの汚染物質が、不均一核発生を起こす凝集核として作用し、汚染物質を空中浮遊流体エアロゾル中に効果的に閉じ込める」ことが強調されていた。
従来技術の核発生を用いたAFAろ過器の規模を拡大した代替的な実施形態において(米国特許第6,872,240号の図10参照)、気泡柱における底部であって、液体リザーバの表面下側で気泡が生成され、そして気泡柱を通って上方向に移動する。気泡における周囲圧力および気泡内の蒸気圧は、気泡柱を通って、または気泡柱と共に気泡が上方に移動するにつれて、連続的に減少する。従って、気泡上または気泡内の増加した圧力は、溶液内へのガス吸収を最大化するために組み込まれない。
本発明のCOスクラバーにおいて、気泡は、気泡柱の頂部に位置するフロス発生器により製造され、下方に流れる。気泡に対する周囲圧力は、反応チャンバ内で気泡柱と共に各気泡が流下するにつれて連続的に増加する。ラプラスの法則で説明されているように、周囲圧力が増加するにつれて、気泡の直径は減少し、気泡壁の張力は増加し、そして気泡内の蒸気圧は増加する。本発明のCOスクラバーにおいて、ガス状のCOを含む、気泡内に封入されたガスは、隣接する気泡との間における共通気泡壁を介して、体積差および蒸気圧差を用いて拡散する。比較的高い蒸気圧を有する比較的小さい気泡内のガスは、共通気泡壁を介して、比較的大きい体積および比較的低い蒸気圧を有する気泡内に拡散する。その結果、本発明のCOスクラバーは、気泡上および気泡内の増加した圧力を組み込んで、水酸化カルシウム溶液中へのガス状のCOの吸収を最大化する。
従来技術の核発生を用いたAFAろ過器は、例えば、特許文献1(米国特許第6,872,240号)に記載されており、この場合、流入空気流は、「特別に設計した噴霧ノズルを用いて発生させた微細ミストで飽和され」、そして、気泡内部の微小液滴が、不均一核発生により生成し、気泡内の蒸気から液体への相変化は、気泡内で空気中に浮遊した凝集核上に堆積する。核化を用いたAFAろ過器において、液体および蒸気は、「冷たい、好ましくは金属表面上で」冷却され、そして、ろ過器の反応チャンバ内で、過飽和蒸気から気泡内における液体への相変化により微小液滴が形成される。
本発明のCOスクラバーにおいて、ろ過溶液は、好ましくはフロス発生(発泡)器へと溶液がポンプで送り出す前に冷却する。混合ガス、溶液の液滴および気泡が、フロス発生器中の一連の飽和メッシュパネルを通って進むにつれて、気泡を破裂させることにより形成された微小液滴、および、先行のメッシュパネル上における破砕液滴が、次に連続するメッシュパネル上で再形成される気泡内に含まれる。本発明の創生時において、気泡内に包含された微小液滴は、より大きい液体構造の一部であって、蒸気から液体への物理的状態の相変化の結果ではない。本発明において、フロス発生器から退出する前であって、気泡が形成されている間に、微小液滴は気泡内に含まれる。
核化を用いた、特許文献1記載のAFAろ過器において、気泡は、ガスがろ過溶液の表面下方に導入されたときに形成され、その後、気泡内で空気中に浮遊している凝集核上に蒸気の不均一核発生を引き起こすために、機械的手段で冷却する。微小液滴は、気泡が核形成チャンバに入った後、気泡内で形成される。
本発明のCOスクラバーにおいて、溶液はフロス発生器に入る前に冷却する。ケルビン限界微小液滴を含む広範囲の微小液滴半径が、気泡破裂の一部として気泡内に含まれ、そして形成される。比較的熱く、乾燥した混合ガス流、並びに、比較的冷たい微小液滴および蒸気の個別体積量が、比較的冷たい気泡の内部に封入される。比較的熱いガスは、気泡内のケルビン限界微小液滴を蒸発させる。最小の重量のある微小液滴が蒸発するが、水酸化カルシウム溶液中の水は、蒸気として膨張する際にその体積を1600倍に増加し、その結果、気泡内の蒸気圧が増加する。ガスの顕熱は、水分子を液体からガスへと膨張するために潜熱へと転換され、気泡内のガスを合理的に冷却する。比較的熱いガスを封入する気泡壁中の比較的冷たい液体の塊がガスを冷却するにつれ、気泡中の露点に達する。凝縮した蒸気は、同様の液体表面に対して親和性を有し、初期的に蒸気中に蒸発した液体は、気泡形成を生じた直後に、気泡形成中に元々気泡内に封入されていた微小液滴上に凝縮し、これにより、時間経過につれて気泡内の微小液滴の質量および直径を増加する。
核化を用いた特許文献1記載のAFAろ過器において、混合ガス流は、拡散機構を介してろ過溶液リザーバの表面下に導入される。ガス出口より上方の溶液の重量は、ガス圧によって動かされるはずであり、拡散機構にわたる比較的高い圧力低下を生ずる。溶液リザーバ内で大きな気泡を生じ、フロス柱を通って迅速に上昇し、そして、フロス柱に貫通する安定したチャネルを形成し、このチャネルによってガス流の一部が溶液との液−ガス接触をバイパスすることができる。フロス柱の高さが増加するにつれ、拡散機構にわたる圧力低下が増加する。従って、核化を用いたAFAろ過器において、重力加速度は、気泡の柱を形成するのに必要なエネルギーを低減するのに使用されない。
本発明のCOスクラバーにおいて、反応チャンバの頂部におけるフロス発生器により、気泡柱の上方に気泡を発生する。溶液は、メッシュパネルのアセンブリを飽和させるためにフロス発生器にポンプ送給する。ガス状COを含む混合ガスの流れは、気泡柱を形成するために飽和メッシュパネルに強制的に送り込む。気泡は、反応チャンバ内に下方に放出する。本発明のCOスクラバーにおいて、メッシュパネルは、混合ガスの流れおよび重力加速度に対して直交するよう位置決めし、溶液およびガス流をメッシュパネルに通過させるのに必要なエネルギーを低減する。更に、気泡柱の液体フロスマトリクスが、反応チャンバ内に流体プラグを形成し、ガスが気泡柱をバイパスするのを防止する、すなわち気泡柱を通過させる。気泡柱が反応チャンバから流出するとき、比較的低い空気圧が反応チャンバの頂部に形成される。気泡柱に蓄積された位置エネルギーは、反応チャンバから流出する気泡柱の運動エネルギーへと部分的に転換され、また、気泡柱としてメッシュパネルを通って引き込まれる混合ガス流および溶液の運動エネルギーへ部分的に転換される。従って、本発明のCOスクラバーにおいて、重力加速度は気泡柱を生成するのに必要なエネルギーを減らすために組み込まれる。
従来技術
CO 圧縮を用いた、エコナミンFG(Econamine FG)+アミン型CO 捕獲システム
従来技術に係るモノエタノールアミン(EMA)スクラバーでは、燃焼排ガスは接触塔に流入し、そして下降するアミン溶液を通って上昇する。COおよびHSは、希薄アミン溶液との化学反応により除去される。浄化された燃焼排ガスが塔の頂部から流出する。つぎに濃厚アミン溶液が、吸収した酸性ガスであるCOおよびHSを担持する。酸性ガスを放出させるための加熱段から帰還する希薄アミン溶液と、COおよびHSを担持する濃厚アミン溶液とが熱交換器を通り、濃厚アミンを加熱する。この後、酸性ガスの濃厚アミンが、リボイラーから供給される熱により再生蒸留塔内で更に加熱される。蒸留塔を上昇して通る蒸気がCOおよびHSを遊離し、アミンを再生する。濃厚アミンから分離した蒸気および酸性ガスを、凝縮および冷却する。凝縮した水は還流アキュムレータ内で分離され、蒸留塔に帰還する。熱く、再生した希薄アミンは、溶媒空気冷却器内で冷却され、接触塔に還流され、循環サイクルが完了する。
米国特許第6,872,240号明細書
不利点:
高い反応熱、多量の再生エネルギー(1500〜3500Btu/lbCO除去)を必要とする
低圧蒸気が発電効率を20〜40%低下させる
10ppmの硫黄を必要とするため、装置劣化および腐食を招く
高い資本および運転コストがかかる
本発明は、ガス混合物からガス状COを高い選択性で分離し、そしてCOを大気から地質時代向けに隔離する方法を含み、また、炭素捕獲および隔離用の気泡塔反応器/スクラバーを説明する。ガス状COは、大気、燃焼後排ガスおよび処理の結果ガス状COを放出するプロセスからの混合ガス流から直接捕獲および隔離される。メッシュパネルアセンブリは、カルシウムイオン(Ca2+)および水酸化物イオン(OH)を含有する溶液で飽和する。ガス状COを含む混合ガス流は、飽和メッシュアセンブリを通過させて水性のフロスを形成し、フロスの気泡が、混合ガスの個別体積で満たされた内部容積を有する。少なくとも一部の気泡は、破裂および再形成され、破裂した気泡はケルビン限界半径を含む様々な半径を有する多数の微小液滴を形成し、各再形成気泡は、ガス流の個別体積、溶液の微小液滴の個別数および溶液蒸気の個別体積を封入する。水酸化カルシウム溶液中で形成される気泡のサイズは、メッシュパネルの開口のサイズを限定することにより制限され、これにより無数の均一小気泡を形成して、CO分子と、微小液滴と、無数の小気泡の内表面および外表面との間における接触を最大化する。
溶液は、好ましくは飽和メッシュパネルを通過させる前に冷却する。冷却した溶液は、気泡が反応チャンバを通って下方へ移動するにつれて、気泡内に封入されたガスを冷却する。比較的熱いガスが微小液滴を蒸発させた際に、水酸化カルシウム溶液の分子をガス中へ分離するために顕熱が潜熱に変換され、これにより気泡内のガスを顕著に冷却する。蒸発する微小液滴は小さいものであっても、水酸化カルシウム溶液の水は、蒸発する際にその体積を1600倍に増加し、これにより気泡内の蒸気圧を増加する。ガス流は、気泡柱によって反応チャンバで下方に搬送し、それぞれ、ガス流と無数の小気泡との間における反応時間を増加し、また水性のフロスの周囲圧力を増加し、これにより気泡の体積を減少すると共にCO分子の溶解度を増加するようにする。CO分子が水酸化カルシウム溶液の表面と衝突する比率を増加させるために、気泡の体積を最小化して気泡の内表面と気泡内の微小液滴との間における距離が短縮し、その結果、気泡内におけるCO分子の平均自由行路を減少させ、COの溶解速度を増加する。CO分子は溶液中に溶解し、CO分子と、溶液中のカルシウムイオン(Ca2+)および水酸化物イオン(OH)との反応が炭酸カルシウム(CaCO)分子を生成し、炭酸カルシウムが溶液から沈殿する。
その結果、本発明のCOスクラバーは、混合ガスからガス状COを高い選択性で分離し、そして、COを地質時代向けの炭酸カルシウムとして大気から隔離する。
目的および利点
本発明の目的および利点は、混合ガス流から水酸化カルシウム溶液へのCO分子の溶解を促進するために、ガス混合物中のガス状COと、水酸化カルシウム溶液との間における、水酸化カルシウム溶液の液−ガス表面積を最大化することである。
本発明の他の目的および利点は、混合ガス流からのCO分子の水酸化カルシウム溶液への溶解を促進するために、混合ガス流中のガス状COと、水酸化カルシウム溶液との間における接触時間を最大化することである。
本発明の別の目的および利点は、少なくとも一部の気泡を破裂および再形成させ、破裂した気泡は様々な半径を有する多数の微小液滴を形成し、各再形成気泡は、混合ガス流の個別の体積、溶液の微小液滴の個別数、および、溶液蒸気の個別の体積を封入することである。
本発明の他の目的および利点は、混合ガス流から水酸化カルシウム溶液へのCO分子の溶解を促進するために、混合ガスの温度を低減することである。
本発明の別の目的および利点は、混合ガス流から水酸化カルシウム溶液へのCO分子の溶解を促進するために、水酸化カルシウム溶液の気泡に対する周囲圧力および気泡内の蒸気圧を増加することである。
本発明の他の目的および利点は、CO分子と、気泡および微小液滴の形成に使用される溶液との間における接触を最大化するために、各気泡の内表面と、各気泡内の微小液滴との間における距離を短縮するように、気泡の体積を低減することにより気泡内のCO分子の平均自由行路を最小化することである。
本発明の別の目的および利点は、カルシウム堆積物が形成する機会を最小化しつつガス混合物からのCOの除去を最大化するために、液−ガス接触面積を最大化しつつ機械的構造を最小化することである。
本発明の炭素捕獲スクラバーの正面図である。 COスクラバーの平面図である。 COスクラバー用のフロス発生器の正面図である。 微小液滴の形成および気泡内封入の説明図である。 沈殿タンクの斜方投影図である。 沈殿剤処理を有するCCSシステムの平面図である。
図1は、気泡塔CO反応器/スクラバー5、およびガス混合物からガス状COを分離する方法を含む本発明の実施形態を示す。COスクラバーは、混合ガスと水酸化カルシウム溶液との間の液−ガス界面面積および曝露時間を最大化すると同時に、気泡に対する周囲圧力を増加し、且つ、気泡内の蒸気圧を増加することにより、COの水酸化カルシウム溶液への溶解度を最大化するよう設計する。COスクラバーは、ガスおよび水酸化カルシウム溶液の温度を低減すると同時に、気泡の体積およびCO分子の平均自由行路も低減する。また、COスクラバーは、カルシウム堆積物を形成する機会を最小化するよう設計する。
ガス流入ダクト
図1および2に示すように、ガス流入ダクト6は、このガス流入ダクトの閉鎖端部6aの近傍に配置した複数のガス流出口7a,7b,7cおよび7dとともに、反応チャンバ10の頂部に配置する。複数のガス流出口7a〜7dは、複数のフロス発生器41〜44における複数のガス流入口41a,42a,43a,44aと接続し且つ流体連通を生ずる。ガス状二酸化炭素を含有するガス流9が、ガス流入ダクト6を経てフロス発生器41〜44に流入する。
水酸化カルシウム溶液
炭素捕獲湿式スクラバーに好適な水酸化カルシウム溶液を調製するために、水酸化カルシウム(固体)を水に溶解する。溶液中への水酸化カルシウム(固体)の溶解を促進するために、粒子の粒径は、45μm以下であって、95%が5〜10μmの範囲にあるものとする。水酸化カルシウム溶液は、pHが約11.5のアルカリ度の溶液にするための、水1リットル当たり約0.8グラム(0.8mg/L)の水酸化カルシウムと、気泡を形成するために溶液の表面張力を低下させる、穏和な非陰イオン界面活性剤とからなる。
水酸化カルシウム溶液配給システム(図1および2)は、溶液供給メインパイプ51、溶液ポンプ52、溶液供給縦パイプ53、溶液配給マニホルド54および複数の溶液分配パイプ55を有する。流入口および流出口を有する水酸化カルシウム溶液ポンプ52を、脱水チャンバ60の頂部に配置する。ポンプ52の流入口は、熱交換器(図1〜2には図示せず)からの溶液供給メインパイプ51と接続し且つ流体連通を生ずる。溶液供給縦パイプ53は、下側端部を溶液ポンプ52の流出口に接続し、上側端部を反応チャンバ10の頂部における溶液配給マニホルド54に接続し且つ流体連通を生ずる。溶液配給マニホルド54は、流入口および複数の流出口を含む。溶液配給マニホルド54は、流入口で溶液配給縦パイプ53の流出口に接続する。溶液配給マニホルド54における複数の流出口55のそれぞれは、噴霧ノズル溶液分配パイプ、例えばフロス発生器42におけるパイプ56(図3参照)に接続する。各フロス発生器41〜44を、マニホルド54に同様に接続する。
CO スクラバー
図1のCOスクラバーは、上方反応チャンバ部分11、下方反応チャンバ部分12および水中部分15を設けた縦長のステンレス鋼製の反応チャンバシリンダ10を有する。沈殿タンク90は、反応チャンバシリンダ10の水中部分15に取り付ける。閉鎖頂部14を有する縦型反応チャンバシリンダ10は、横型のほぼ長方形の脱水チャンバ60により、開放頂部を有する縦型シリンダ状の排気筒70に接続する。脱水チャンバ60の徐々に下方へ傾斜する共通底面61と、反応チャンバ10の水中部分15および沈殿タンク90の傾斜底面98とが、沈殿タンク90におけるスラリーチャネル92の方向に向かって連続する複合的な傾斜面を形成する。
フロス発生器
フロス発生器41〜44を、反応チャンバ10の頂部14に配置する。フロス発生器42を、図3に示し、ブロワ45、溶液流入口56および溶液分配パイプ56a、複数の低圧(55psi)噴霧ノズル56b、メッシュパネルアセンブリ80およびメッシュパネルアセンブリ支持レール81,82を有するフロス出口49を設ける。
高圧ブロワ45は、電気モータ、タービン、ガス流入口およびガス流出口を有するボリュート(渦形室)を含む図示しない構成要素を有している。電気モータは、機械的手段を介してタービンに回転動作を伝える。タービンはボリュート内に配置し、且つ、電気モータの回転動作を変換してガス流9の圧力を増加するためのブレード、パドル、ベーンまたは他の機械的手段を含む。ボリュート中のガス流入口は、ガス流入ダクト6における複数のガス流出口の一つと接続し且つ流体連通する。ボリュートのガス流出口は、メッシュパネルアセンブリ80中のガス流入口と流体連通する。
溶液流入口56は、複数の低圧(55psi)噴霧ノズル56b用の溶液分配パイプと接続し且つ流体連通する。各噴霧ノズルは、溶液流入口と、複数の溶液流出口56cとを有する。溶液流入口は、溶液分配パイプ56と接続し且つ流体連通する。溶液流出口56cは、噴霧ノズル56bの閉鎖端部近傍に配置し、そして、シリンダ状の噴霧ノズル56bの線形軸線に直交しかつ同軸状の放射パターンを形成する。噴霧ノズル56bの溶液流出口56cは、メッシュパネルアセンブリ80の頂部における第1メッシュパネル86に近接させて配置する。噴霧ノズルからの溶液噴流の放射パターンにより生ずる円形領域は、混合ガス流9に対して直交し、メッシュパネル87に対して平行、且つ、シリンダ状の噴霧ノズル56bの線形軸線に同軸状である。
着脱可能なメッシュパネルアセンブリ80は、フロス発生器42のフロス出口49の内部に配置した支持レール81,82上に載置し、且つ、フレーム83、入口84、出口85、複数のスペーサ(図示せず)および複数のワイヤーメッシュパネル87を有する。フロス発生器およびメッシュパネルの更なる説明は、参照文献として本明細書に組み込まれる特許出願第11/729,253号に記載されている。メッシュパネルは、メッシュパネルの気泡発生領域に亘って分布している、2mm〜25mmの範囲における複数のメッシュ開口を有する。メッシュパネル87は、長方形のフレーム83に配置し、且つ、メッシュ開口の領域が混合ガス9の流れに対して直交するよう位置決めする。順次のメッシュパネル87は、それぞれ先行するメッシュパネル87の下方に平行に配置する。複数のメッシュパネルは、フロス発生器から着脱可能なフレーム83内に組み付ける。メッシュパネル87は、用途規模およびガス流9の流速に応じて5mm〜0.5mの範囲でスペーサ(図示せず)により互いに離間させる。メッシュパネルアセンブリ80の出口は、フロス発生器のフロス出口49の内部にあり且つフロス出口49と流体連通する。フロス発生器のフロス出口49は、反応チャンバ10の上方部分11と接続し且つ流体連通する。
反応チャンバ
反応チャンバ10は、フロス発生器41〜44のアレイを支持する、閉鎖した頂部14、上方部分11、脱水チャンバ60の流入口62に接続した下方部分12、および沈殿タンク90の流入口97に接続した水中部分15を有する、縦型でシリンダ状のチャンバである。反応チャンバ10には、フロス発生器41〜44の下方にある複数のフロス入口、流量調整弁20を有する通気口19、および傾斜した下方壁部18を設ける。
調整可能な出口パネル110を、電気モータ111に連結し、電気モータ111により昇降駆動する。調整可能なパネル110は、脱水チャンバ60への開口62のサイズを制御する。パネル110は、例えば起動時には、全体的に開口62を閉じておくことができる。
複数の入口は、反応チャンバ10と、複数のフロス発生器41〜44における複数の出口との間で流体連通する。通気口19は、反応チャンバの頂部に配置し、且つ、通気口19における流量調整弁20を開いたときに反応チャンバ10と大気との間で流体連通する。調整可能な開口62は、反応チャンバ10の底部に配置し、且つ、出口パネル110が調整可能に開いたときに反応チャンバ10と脱水チャンバ60との間で流体連通する。電気モータ111は、調整可能な出口パネル110に連結し且つ電気モータ111の回転動作を調整可能な出口パネル110の垂直方向移行動作に変換するギア機構(図示せず)に連結する。
水酸化カルシウム溶液の表面99は、反応チャンバの下方部分12の底部および反応チャンバ10の水中部分15の上部境界を構成する。反応チャンバシリンダ10の壁は、反応チャンバ10の水中部分15の比較的エネルギーのある流体力学的な流れと、沈殿タンク90の比較的穏やかな流体力学的な流れとの間における隔壁95を形成する。
反応チャンバ10の水中部分15の底部98は、脱水チャンバ60のフロス入口62の底部から沈殿タンク90のスラリーチャネル92の始端に向かって、30°〜45°の間の傾斜(図示の実施形態では30°)を有して沈殿タンク90の方向に下方へ延在する。底部98の平面は、脱水チャンバ60、および反応チャンバシリンダ壁と沈殿タンク90の互いに平行な垂直方向壁93,94との交差点の間で反応チャンバシリンダ壁の底部を横断する。反応チャンバ10の水中部分15における底部98の平面は、シリンダ壁95の下方に延在し、それにより、開口97を形成すると共に、反応チャンバ10の水中部分15と、沈殿タンク90との間に流体連通を生ずる。反応チャンバ10の水中部分15と沈殿タンク90との間における開口97の中心縦軸線は、沈殿タンク90の溶液メイン排出口102の中心縦軸線から180°、且つ、反応チャンバ10のフロス出口62の中心縦軸線から180°ずれて位置する。
脱水チャンバ
脱水チャンバ60は、ほぼ長方形のチャンバであり、反応チャンバ10の下方部分12と、排気筒70との間に位置する。チャンバ60は、傾斜底部61、低圧(125psi)脱水溶液ポンプ64、噴霧ノズル配給パイプ65、複数の低圧(125psi)噴霧ノズル66を有している。長方形のフロス入口62は、ほぼ正方形のガス流出口63の縦軸線よりも長い縦軸線を有する。脱水チャンバ60の頂部は水平である。脱水チャンバの底部61により、10°〜20°の下向き(ネガティブ)傾斜を形成する。
脱水ポンプ64は、脱水チャンバ60の頂部に配置する。ポンプ64は、溶液供給メインパイプ51に接続する。ポンプ64は、脱水チャンバ60内で、複数の脱水噴霧ノズル66に接続する。複数の噴霧ノズル66のそれぞれは、脱水チャンバ60内の雰囲気と流体連通する噴霧出口をノズルの末端に有する。
排気筒
縦型排気筒70は、横型脱水チャンバ60の端部に配置し、入口、出口、熱交換コイルおよびベーン型ミスト除去装置(図示せず)を有する。排気筒70は、入口63を介して脱水チャンバ60と流体連通する。排気筒70の頂部は、出口を介して大気に開口する。溶液供給メインパイプの熱交換器(図示せず)からの熱交換コイル(図示せず)を、排気筒の内部上壁に取り付ける。鋭角の角度が付いて密接する梯形(エシュロン状)に構成したステンレス鋼製のベーンを有するベーン型ミスト除去装置(図示せず)を、その円形領域で排気筒の線形軸線と同軸状かつ直交するよう取り付け、これにより、ガス流9に対して直交する。
沈殿タンク
図5に示すように、沈殿タンク90の互いに平行な縦方向平坦壁93,94は、互いに180°ずらして配置し、且つ、反応チャンバ10の水中部分15と沈殿タンク90との間の出口97の縦方向中心軸線から90°ずらして反応チャンバシリンダに取り付ける。沈殿タンクにおける2個の平行な壁93,94の傾斜した下方部分93a,94aはそれぞれ、スラリーチャネル92の方向に向かって30°〜45°の間の角度(図示の実施形態では45°)で傾斜する。粗大沈殿物スラリー回収チャネル92を、傾斜平行壁93a,94aの底部と平行に、沈殿タンク90の底部に形成する。スラリー排出口103は、線形中心縦方向軸線上で、沈殿タンク90の縦方向平坦端壁91の底部近傍に配置する。スラリー排出口103は、スラリー排出パイプ(図示せず)に接続し且つ流体連通する。溶液流メイン出口102は、沈殿タンク90の縦方向平坦端壁91の上端近傍で中心縦方向軸線上に配置する。沈殿タンク90の頂部は大気に開口させる。
動作
本発明は、COスクラバー、およびガス混合物からガス状COを炭酸カルシウムとして分離する方法を含む。COスクラバーは、溶解したCOと高い選択性で反応させるために水酸化カルシウム溶液を組み入れて、溶液から炭酸カルシウムを析出させ、また、カルシウム堆積物が形成する機会を最小化しつつ、ガス状COの溶液中への吸収を最大化するように設計する。
メッシュパネルアセンブリ80(図3参照)の複数のメッシュパネル87それぞれにおける複数のメッシュ開口は、カルシウムイオン(Ca2+)および水酸化物イオン(OH)を含有する水酸化カルシウム溶液で飽和される。ガス状COを含有する混合ガス流9を飽和メッシュアセンブリ80に強制的に通過させて、水性のフロスを形成し、このときフロスの水酸化カルシウム気泡は混合ガスの個別体積で満たされた内部体積を有する。少なくとも若干の気泡は、破裂および再形成し、破裂した気泡はケルビン限界微小液滴を含む様々な半径を有する多数の微小液滴31を形成し(図3参照)、各再形成気泡は、ガス流9の個別体積、溶液の微小液滴31の個別数および溶液蒸気の個別体積を封入する。形成された気泡のサイズは、メッシュパネル87の開口サイズを制限することにより制限され、またこれにより無数の均一小気泡32を形成し、したがって、CO分子と、微小液滴31と、無数の小気泡32の内表面および外表面との間の接触を最大化する。
微小液滴のケルビン限界は、周囲環境条件における微小液滴半径の限界であり、該ケルビン限界では、微小液滴が、微小液滴の表面の極限曲率に起因する蒸気損失により引き起こされる不可逆蒸発を開始する。ケルビン限界微小液滴を含む、微小液滴半径の広い分布を有する水酸化カルシウムの微小液滴31は、再形成気泡32に含まれる(図3参照)。
ケルビン限界微小液滴が蒸発する際に、水酸化カルシウム溶液の分子をガスとして分離するために顕熱が潜熱に変換され、それにより、気泡内のガスが冷却される。蒸発の際に、水酸化カルシウム溶液中の水がその体積を1600倍に増加し、それにより、気泡内の蒸気圧を増加する。ガス流9は、ガス流9と無数の小気泡32との間における反応時間を増加させ、且つ、気泡に対する周囲圧力を増加するために、気泡柱30により反応チャンバ10を通って下方へ運ばれ、その結果、気泡のサイズが減少し、CO分子の溶解度が増加する。気泡内のCO分子の平均自由行路は、気泡の内面と、気泡32内の微小液滴31との間における距離を減らすために気泡体積を縮小することにより最小化され、その結果、CO分子が水酸化カルシウム溶液の表面と衝突する比率が増加する。CO分子と溶液との間における衝突の増加した比率は、COの溶解速度を増加する。その結果、本発明のCOスクラバーは、ガス状COの水酸化カルシウム溶液への溶解を最大化する。溶液中に持ち込まれたCO分子は、CO分子と、溶液中のカルシウムイオン(Ca2+)および水酸化物イオン(OH)との反応により炭酸カルシウム(CaCO)分子を生成し、炭酸カルシウムが溶液から沈殿する。
ガス流入ダクト
ガス流入ダクト6は、ガス状COを含有する混合ガス流9を、ガス流入ダクト6の閉鎖端部6a近傍に配置した複数のガス流出口7a〜7dから、多数のフロス発生器41〜44における複数のガス流入口41a,42a,43a,44aに送給する。
水酸化カルシウム溶液
水酸化カルシウム(固体)を水に溶解して、炭素捕獲湿式スクラバー用の好適な水酸化カルシウム溶液を調製する。溶液中への水酸化カルシウム(固体)の溶解を促進するために、粒子の粒径は、45μm以下であって95%が5〜10μmの範囲にあるものとする。水酸化カルシウムは、溶液の表面張力を低下させて水酸化カルシウムの気泡を形成するための、穏和な非陰イオン界面活性剤と共に、濃度0.8g/Lで水酸化カルシウムを水に溶解して、水酸化カルシウム溶液のアルカリ度を約11.5まで増加させる。界面活性剤の濃度は、気泡の寿命を決定する。界面活性剤の濃度は、気泡の大部分が、フロス発生器41〜44から脱水チャンバ60まで混合ガス9を封入するのに十分に長く持続するが、脱水チャンバ60中の噴霧ノズル66からの発射液滴の衝突により脱水されるように調整する。
水酸化カルシウム溶液は、混合ガス流9の比較的高い温度よりも低い、少なくとも20℃の比較的低い温度まで冷却し、そして、水酸化カルシウム溶液ポンプ52から、溶液供給縦パイプ53を介して、反応チャンバ10の頂部14における溶液配給マニホルド54にポンプ送給する。溶液配給マニホルド54は、水酸化カルシウム溶液を、反応チャンバ10の頂部14における複数のフロス発生器41〜44に分配する。水酸化カルシウム溶液は、溶液配給マニホルド54から溶液分配パイプ55に分配する。フロス発生器41〜44への溶液の流れは、溶液分配パイプ55の流量調整弁58により調整する。フロス発生器41〜44への溶液の流れは、定期的メンテナンス中にメッシュパネルアセンブリ80を取り外しおよび交換するために遮断することができる。
CO スクラバー
本発明のCOスクラバーは、カルシウム堆積物が形成する機会をもたらす機械構造を最小化しつつ、水酸化カルシウム溶液へのCOの溶解を最大化するように設計する。水酸化カルシウム溶液は、COの溶解度を増加するためにCOスクラバーの手前で冷却する。COスクラバーは、ガス状CO含む混合ガス流9を、水酸化カルシウム溶液の水性のフロスからなる気泡内に、水酸化カルシウム溶液の微小液滴31および蒸気とともに封入する。気泡32内の比較的熱いガスは、最小の微小液滴を蒸発させ、顕熱を潜熱へと変換し、それにより気泡32内のガスを冷却する。蒸発した微小液滴31は、その体積を液体の体積の1600倍に膨張し、それにより気泡32内の蒸気圧を増加する。気泡柱30が、反応チャンバ10を通って流下し、気泡に対する周囲圧力を増加し、気泡体積を縮小し、そして気泡32内の蒸気圧を増加する。気泡内に含まれる、ガス状COを含むガスは、異なる体積の隣接する気泡間の圧力差により共通の気泡壁を介して拡散される。気泡の体積が減少すると、CO分子の平均自由行路が減少し、その結果、ガス状COが水酸化カルシウム溶液中に溶解する速度が増加する。それにより、COスクラバーは、水酸化カルシウム溶液へのガス状COの溶解を最大化する。溶解したCOは、溶液中のカルシウムイオンおよび水酸化物イオンと反応し、溶液から炭酸カルシウムが沈殿する。
気泡柱30が、気泡柱30と共に流れる複雑な相互接続した流体構造を構成する、プラトー境界(水性のフロスの隣接する気泡間における中間壁の交点)およびプラトー境界接点(3個以上のプラトー境界の交点)の水性フロスマトリクスを形成する。水性フロスマトリクスは、水酸化カルシウム溶液の液−ガス界面積を指数関数的に増大する。気泡柱30が形成されると、液泡マトリクスは、自身を常に補給し、そして反応チャンバ10を介してCOスクラバーの底部の水酸化カルシウム溶液タンクに沈殿物を移送する。水酸化カルシウム溶液の表面99は、下方反応チャンバ12の底部で反応チャンバ10の水中部分15の頂部を構成し、脱水チャンバ60の底部では脱水チャンバ60の水中部分の頂部を形成する。気泡柱30のフロスマトリクス中に浮遊している沈殿物は、反応チャンバ10および脱水チャンバ60の底部の水酸化カルシウム溶液中に直接堆積し、カルシウム堆積物が形成する機会を最小化する。流体力学的な流れと、脱水チャンバ60および反応チャンバ10の水中部分15における底部61,98の傾斜とが、沈殿タンク90に沈殿物を移送する。従って、本発明のCOスクラバーは、カルシウム堆積物の形成の機会を最小化するように設計されている。
フロス発生器
ガス状COを含有する混合ガス流9は、ガス流入ダクト6から、縦型反応チャンバ10の頂部14に配置した複数のフロス発生器41〜44に流入する。混合ガス流9は、ボリュート(渦形室)の流入口からフロス発生器41〜44のそれぞれに流入する。タービンのブレードおよびボリュートの形状がガス流の圧力を増加させ、これにより混合ガスおよび水酸化カルシウム溶液をメッシュパネルアセンブリ80に強制的に通過させることができるようになる。
水酸化カルシウム溶液は、フロス発生器41〜44の噴霧ノズル分配パイプ55の溶液流入口を介して噴霧ノズル56bに分配される。噴霧ノズル分配パイプ55は、複数の低圧噴霧ノズル56bに溶液を供給する。低圧(55psi)噴霧ノズル56bは、噴霧ノズルの流出口56cを介して、放射パターンで噴霧ノズルの周囲に溶液を散布し、メッシュパネル87を水酸化カルシウム溶液で飽和させることができる。
各フロス発生器41〜44におけるメッシュパネルアセンブリ80は、ガス状COと反応するカルシウムイオン(Ca2+)および水酸化物イオン(OH)を含有する水酸化カルシウム溶液で飽和される。ガス状COを有する混合ガス流9を、比較的高圧で、ボリュートの流出口から、メッシュパネルアセンブリ80の入口84に強制的に通過させる。混合ガス9は、飽和メッシュパネルアセンブリ80のメッシュ開口に通され、気泡柱30を形成する。
混合ガス流9および水酸化カルシウム溶液をメッシュパネル87に通過させることで形成される気泡のサイズは、メッシュパネル87の開口サイズに比例する。形成される気泡サイズは、メッシュパネル87の開口サイズを制限することによって限定され、無数の均一小気泡32を形成し、これにより、CO分子と、溶液の微小液滴31と、気泡の内表面および外表面との間の接触を最大化する。気泡32は、メッシュパネルアセンブリ80の出口85を経てメッシュパネル87から強制的に排出され、その後、フロス発生器の出口49から排出されて、反応チャンバ10の頂部14のフロス入口に強制排出される。
重力加速度が、混合ガス流9および水酸化カルシウム水溶液をメッシュパネルアセンブリ80に強制排出させるのに必要なエネルギーを低減する。ガス流9が、フロス発生器41〜44の飽和メッシュパネル87に溶液を通過させると、気泡が作り出される。混合ガス、水酸化カルシウム溶液の液滴31、気泡32、微小液滴および蒸気がメッシュ開口を通過し、メッシュパネルアセンブリ80のメッシュパネル87を順次通って進むと、気泡が、形成、破裂および再形成される。ガス状COを含有する混合ガス、水酸化カルシウム溶液の微小液滴31および蒸気は、再形成気泡32内に含まれる。気泡内のガス中に浮遊している微小液滴は、破裂した気泡壁からの液体破片および混合ガス流9により微小液滴に破砕された液滴により形成され、溶液および混合ガスが次のメッシュパネル87を通過させられることで再形成された第2の気泡中に含まれる。気泡32は、反応チャンバ10内に下向きに放出される。
反応チャンバ
反応チャンバ10は、水酸化カルシウム溶液へのCOの溶解度を最大化すると共に、カルシウム堆積物が形成する機会を最小化するよう設計する。COの溶解度は、圧力に比例し、温度に反比例する。
混合ガスは水酸化カルシウム溶液の気泡内に封入され、混合ガス9と水酸化カルシウム溶液の無数の気泡32との間における接触時間を増加する。比較的熱く、乾燥した混合ガス流9は、気泡内のケルビン限界微小液滴を蒸発させ、気泡内の蒸気圧を増加し、気泡内のガスを冷却する。液体フロスマトリクスを生ずる冷却された水酸化カルシウム溶液は、気泡内の混合ガスを冷却する。気泡内のガスが冷却されると、最初に蒸発した液体が凝縮して液体に戻る。凝縮した蒸気は、類似する液体表面に対して親和性を有し、気泡内の空気中に浮遊する微小液滴および気泡壁上で凝縮する。
反応チャンバ10が気泡32で満たされると、通気口19の流量調整弁20が開き、そして、反応チャンバ10内の空気が通気口19から大気中に排気される。反応チャンバ10が、所定体積まで気泡で充填された状態になるとき、通気口19の流量調整弁20が閉じ、通気口19を介した反応チャンバ10と大気との間における流体連通を遮断する。
図1に示すように、水酸化カルシウム気泡柱30が、所定高さまで反応チャンバ10の直径部分を満たす水酸化カルシウムフロスマトリクスを形成すると共に、反応チャンバ10内に流体プラグを形成し、ガスが気泡柱30をバイパスするのを防止する、またはガスを気泡柱30に通過させる。フロス出口62は、電気モータ111およびギア機構(図示せず)を用いて調整可能な出口パネル110を上昇させることにより開く。気泡柱30が、重力加速度およびフロス発生器41〜44のブロア45からの比較的高い空気圧によって、反応チャンバ10から脱水チャンバ60に流れ始める。反応チャンバ10の傾斜した下方壁部18が、フロス出口62から反応チャンバ10の反対側で、気泡柱30の流れをフロス出口62の方向に転向させる。
通常運転中、通気口19の流量調整弁20は閉じており、大気からの空気が通気口19を経て反応チャンバ10内に流入するのを防止する。反応チャンバ10の頂部における比較的低い空気圧および反応チャンバ10内におけるフロス体積は所定レベルに維持して、反応チャンバ10内の垂直方向の圧力勾配を一定に維持し、この維持は、フロス発生器41〜44からの気泡流量を、反応チャンバ10の底部におけるフロス出口62から排出される気泡流量と釣り合わせることにより行う。
COの溶解度は、圧力に比例する。反応チャンバ10における気泡柱30の流れは、反応チャンバ10の頂部におけるフロス発生器41〜44から反応チャンバ10の底部における脱水チャンバ60に向かって下降し、上方の気泡柱30の重量により気泡に対する周囲圧力を増加する。図1に示すように、気泡は、反応チャンバ10を流下するにつれて小さくなる。周囲圧力の上昇が、混合ガスが利用可能な気泡内の体積を縮小すると共に気泡内の蒸気圧を増加させ、水酸化カルシウム溶液へのガス状COの溶解度を増加させる。混合ガスにとって利用可能な気泡内の体積が減少するにつれて、溶液の表面と衝突する間にCO分子が移動しなければならない距離は比例的に減少し、分子が衝突する間に移動しなければならない平均自由行路および溶液の表面は減少し、溶液中のCO濃度が高速で増加する。
気泡内の蒸気圧は、気泡壁の張力に比例し、気泡半径に反比例する(ラプラスの法則)ので、気泡を小さくすると、気泡内の蒸気圧が高くなる。フロスの気泡内に封入された混合ガスは、異なる体積の隣接する気泡間の圧力差により、共通の気泡壁を介して拡散する。比較的高い蒸気圧を有する小さい気泡は、その体積の、ガス状COを含む混合ガスを、共通の気泡壁を介して、低い蒸気圧を有する大きい気泡に拡散する。
溶解したCO分子は、溶液中のカルシウムイオンおよび水酸化物イオンと反応して炭酸カルシウム分子を生成し、溶液から炭酸カルシウムが析出する。
水酸化カルシウム溶液の液面99は、反応チャンバ10から脱水チャンバ60への気泡柱30の流れを促進し、カルシウム堆積物が形成する機会を与えない。気泡柱30の重量により反応チャンバ10から脱水チャンバ60に気泡柱30が流出すると、比較的低い空気圧が反応チャンバ10の頂部に発生する。
反応チャンバ10の頂部における比較的低い空気圧は、混合ガス流9および水酸化カルシウム溶液をメッシュパネルアセンブリ80に強制的に通過させるためにブロワ45が必要とするエネルギーを減少する。反応チャンバ10の頂部における比較的低い空気圧と、反応チャンバ10内のフロスの体積は、フロス発生器41〜44からの気泡の流量と、反応チャンバ10の底部におけるフロス出口62からの気泡の排出流量とを釣り合わせることにより制御される。
反応チャンバ10の水中部分15は、カルシウム堆積物が形成する機会を最小化するために、反応チャンバ10の下方に配置する。30°の傾斜底部98は、反応チャンバシリンダ10の下方に延在し、沈殿物を沈殿タンク90内に下方に流入させる。
反応チャンバ内のフロスマトリクスの排液、噴霧ノズル66および脱水された気泡からの、並びに、脱水チャンバ60内の溶液の全流量および流体力学的エネルギーは、反応チャンバ10の水中部分15を通過する。反応チャンバ10の水中部分15における水酸化カルシウム溶液の体積は、脱水チャンバ60の水中部分よりも大きく、沈殿タンク90内の溶液の体積よりも小さく、重量のある沈殿物を浮遊状態で維持するために溶液が利用可能なエネルギーを漸減する。反応チャンバ10の水中部分15を通る水酸化カルシウム溶液の流体力学的エネルギー状態は、最も重量のある沈殿物を除くすべてを浮遊状態で保持する。沈殿物の大部分は、浮遊状態で沈殿タンク90に搬送される。反応チャンバ10内で溶液から沈殿する最も重量のある沈殿物は、局部的な不安定性に起因して傾斜底部98上で極めて緩く固化した塊に凝集し、傾斜底部98に沿って沈殿タンク90の底部に向かって沈降する。
脱水チャンバ
気泡柱が脱水チャンバ60内に流入するとき、気泡は、脱水チャンバ60の頂部に配置した複数の噴霧ノズル66からの発射噴霧液滴と、気泡壁との衝突により脱水される。気泡から放出されたガスは、脱水チャンバ60から排気筒70に流入する。気泡中に含まれていた沈殿物は、脱水チャンバ60の底部における水酸化カルシウム溶液内に堆積し、カルシウムの堆積が生ずる機会を最小化する。脱水チャンバにおける溶液表面は、反応チャンバ10との共通底面を形成し、この共通底面が、反応チャンバ10から脱水チャンバ60への気泡の流れを容易にする。
COスクラバーを通る溶液のメイン流は、反応チャンバ10の頂部におけるフロス発生器41〜44および脱水チャンバ60における噴霧ノズル66から、脱水チャンバ60の底部における溶液、および反応チャンバ10の水中部分15へ流入する。脱水された気泡および脱水チャンバ60の頂部の噴霧ノズル66からの溶液の流れによる流体力学的エネルギーは、脱水チャンバ60の水中部分における比較的小さい体積の水酸化カルシウム溶液に濃縮される。比較的大きいエネルギーが、より少ないエネルギー流体力学的条件下で溶液から沈殿し得る重量のある沈殿物を、反応チャンバ10の水中部分15に移送する。水性のフロスの製造、反応チャンバ10における水性フロスマトリクスの排液、脱水チャンバ60の水中部分の傾斜底部61の10°〜20°の角度(図示では10°)、反応チャンバ10の水中部分15の底部98の30°〜45°の角度(図示では30°)および沈殿タンク90によるCOスクラバーにおける溶液の流れの流体力学的エネルギーが、脱水チャンバ60の水中部分から、反応チャンバ10の水中部分15を経て沈殿タンク90内に、沈殿物を移送し、また沈殿させる。
沈殿タンク
沈殿タンク90の低下した流体力学的エネルギーは、重量のある炭酸カルシウム沈殿物を、懸濁液中の微細沈殿物から分離する。重量のある沈殿物は、堆積プロセスにより、懸濁液から沈殿し、沈殿タンク90の底部におけるスラリーチャネル92に堆積する。より重量が少ない沈殿物は懸濁液中に残存する。沈殿タンク90内で溶液から沈殿した沈殿物は、スラリーチャネル92の真上ではなく、沈殿タンク90の平行壁93,94の下方部分93a,94aの45°傾斜側面に沿って滑動する、または落ち込む。沈殿タンク90の静水圧が、粗大沈殿物スラリー出口103から粗大沈殿物スラリーを押し出す。より重量が少ない沈殿物は、沈殿タンク90から溶液流メイン出口102を通過して流れる懸濁液中に残存する。
排気筒
脱水チャンバ60内で破裂した気泡から放出されたガスは、排気筒70に流入する。排気筒70の比較的増加した直径において、微小液滴を搬送するのに空気流が利用できるエネルギーが減少する。ガス流9に随伴する重量のある微小液滴は、重力分離により除去される。重量のより少ない微小液滴は、排気筒70の頂部に配置したミスト除去装置の鋭角の角度が付いて密接する梯形に編成されたベーンに対する慣性衝突によりガス流9から除去される。ガス状COの少なくとも一部が洗浄(浄化)された混合ガス流9は、大気中に放出される。
運転理論
CCS用の本発明は、COスクラバーおよびガス混合物からガス状COを分離する方法を含む。COスクラバーは、溶液中へのガス状CO吸収を最大化するように設計する。COスクラバーは、溶解したCOと高い選択性で反応するために水酸化カルシウム溶液を組み込み、溶液から炭酸カルシウムを沈殿させる。
COの溶解度を増加させるために、溶液を冷却し、また、気泡に対する周囲圧力および気泡内の蒸気圧を増加させる。ガス状COと水酸化カルシウム溶液との間における液−ガス比および曝露時間は、ガス流および水酸化カルシウム溶液の微小液滴を無数の水酸化カルシウム均一小気泡内に封入することにより最大化する。気泡柱は、反応チャンバ内で流下し、気泡柱を生ずるために、重力加速度を組み込んでガス流を飽和メッシュパネルに通過させるのに必要なエネルギーを減らすようにする。気泡に対する周囲圧力は、気泡が反応チャンバ内で下方に流れるにつれて増加し、気泡壁の張力を増加し、その後、気泡内の蒸気圧を増加する。気泡内に含まれ、ガス状COを含むガスは、異なる体積の隣接する気泡間の圧力差により、共通の気泡壁を介して拡散する。比較的高い蒸気圧を有する比較的小さい気泡から、比較的低い蒸気圧を有する比較的大きい気泡に拡散するガスは、溶液中にCOを強制的に溶解させる。
凝縮により気泡の体積を縮小し且つ気泡内の空気中に懸濁する水酸化カルシウム微小液滴の直径を増加することは、液−ガス接触を最大化すると共に、CO分子が水酸化カルシウム溶液の表面と衝突する前に移動すべき平均自由行路を短縮し、これにより、COの溶解度および吸収速度をそれぞれ最大化する。溶解したCOは、炭酸カルシウムの沈殿となり、大気から地質時代向けに隔離される。炭酸カルシウム沈殿物は、無機充填剤、酸性土壌中和剤、傾斜安定化剤、流動化剤およびポートランドセメントの混和剤として処理および販売される。水の次に、コンクリートは人間が最も使用する必需品である。高度に精製された形態において、沈降炭酸カルシウム(PCC)は、紙、プラスチック、食品および医薬品の工業製造プロセスに使用される。炭酸カルシウム沈殿物として回収したCOの販売は、CCSのコストの少なくとも一部を還元する。
炭酸カルシウム工場は、石灰石鉱床、天然ガス鉱床、天然ガス分配パイプラインを利用できる地質学的に有利な場所、および/または、酸化カルシウムの製造中に放出されるCOの地質学的隔離に有利な場所に設置する。石灰石は、石灰窯で加熱し、COを追い出して酸化カルシウムを形成する。酸化カルシウムの製造中に放出されたCOガスは、原油の二次回収(EOR)、高度炭層メタン回収(EMCR)、塩分帯水層中、未採掘炭層中または帽岩構造の下における原位置炭酸化のために、地質学的に隔離する。環境的に責任を持って製造される酸化カルシウムは、産出場所からCCSの場所に移送される。大気から直接にCOを除去するために、CCS操業は、炭酸カルシウム工場と同一の地質学的に有利な場所に設置することができる。
CCSの現場では、酸化カルシウムを水で消和して水酸化カルシウム(固体)を生成する。水酸化カルシウムは、水酸化カルシウム溶液を調製するために水に溶解させる。
水酸化カルシウムおよび水酸化ナトリウム溶液を調製する際に、多量の熱が放出される。
水酸化カルシウムの場合、反応は以下の通りである。
CaO+HO→Ca(OH)2(aq)+熱
水酸化カルシウムの場合に放出される熱は、エンタルピーの変化に基づいて、65.3kJ/molとして決まる。
水酸化ナトリウムの場合、反応は以下の通りである。
NaOH+HO→NaOH(aq)+熱
水酸化ナトリウムの場合に放出される熱は、エンタルピーの変化に基づいて、44.5kJ/molとして決まる。
20℃の水に対する水酸化カルシウムおよび水酸化ナトリウムの溶解度は、それぞれ0.165g/100mlおよび111g/100mlである。水酸化カルシウムの比較的低い溶解度は、二酸化炭素の迅速な吸収に要求されるpH(>10)にすることを妨げない。
速度論的な事項から、CO捕獲に水酸化カルシウムを使用する場合、特別な注意を払わなければならない。ブリンクマン(Brinkman)らにより議論されたように、反応速度はpHに対する強い依存性を有する。重炭酸塩の形成には、2つのメカニズムがある。一つの事例では、最初に炭酸が形成され、
CO2(aq)+HO→HCO3(aq)
その後に、その分解
CO+HO→H+HCO
が続く。
炭酸形成工程は、触媒が存在しない状況下では比較的遅い反応である。
pH>8では、第2のメカニズムは、速い反応速度を有する
CO2(aq)+OH→HCO
を含む。
そして、双方のメカニズムは、以下の工程を経て炭酸カルシウムを生成するように進む。
HCO +HO→H+CO
Ca2++CO →CaCO
pH>10では、高いpHは水酸化カルシウム溶液を用いたCO捕獲に最適であるので、第2のメカニズムが優位である。
従って、本発明のCOスクラバーにおいて、水酸化カルシウム溶液のアルカリ度の運転範囲は、pH8.0よりも上であるが、溶解したCOから炭酸への速い反応が優位になるように、最適な運転範囲はpH10.0よりも上である。水酸化カルシウム溶液において、1リットルの水に溶解させた0.8グラムの水酸化カルシウムは(0.8g/L)、pHが約11.5の溶液を作り出す。CO分子がカルシウムイオンおよび水酸化物イオンと結合すると、溶液のpHは減少する。溶液のCO吸収能力は、溶液のpHに比例する。大気からガス状COを直接除去するのに最適な水酸化カルシウム溶液のアルカリ度の範囲は、速い反応速度が比較的低い濃度の大気COとの反応を支配するのを保証するために、pH11.0〜11.5である。処理後ガスおよび燃焼後排ガスは、高いガス状CO濃度を有することができ、そして、水酸化カルシウム溶液が反応チャンバ内に存在する間、速い反応(pH10超)でCOを吸収し続ける能力を有するための高い初期アルカリ度を要求する可能性がある。
本発明のCOスクラバーの最適なアルカリ度範囲における運転は、全ての露出部分に対してスケーリングをもたらす。ランゲリア飽和指数(LSI)は、おそらく最も広く使用されている水のスケールポテンシャルの指標である。これは、平衡指数であり、そして、炭酸カルシウムスケールの形成および成長の熱力学的推進力のみに対応する。これは、優れた変数として、pHの観点からスケール形成および成長の推進力を示す。LSIを計算するために、アルカリ度(mg/L、CaCO換算)、カルシウム硬度(mg/L Ca2+、CaCO換算)、全蒸発残留物(mg/L TDS)、実際のpHおよび水温(℃)を知る必要がある。TDSは未知だが、伝導度は既知の場合、一つのmg/L TDSを推定できる。LSIは、
LSI=pH−pH
として定義できる。式中、pHは、測定した水のpHであり、pHは、カルサイトまたは炭酸カルシウムの飽和状態でのpHであり、且つ、
pH=(9.3+A+B)−(C+D)
で定義される。式中、
A=(Log10[TDS]−1)/10
B=−13.12×Log10(℃+273)+34.55
C=Log10[Ca2+、CaCO換算]−0.4
D=Log10[アルカリ度、CaCO換算]
である。
混合ガスから溶液相を経た懸濁液中の炭酸カルシウム沈殿物へのCO分子の移送を増進するためにアルカリ度が高く維持されるので、本発明のCOスクラバーは、COスクラバーの機械的構造上にカルシウム堆積物が形成する機会を最小化するように設計する。メッシュパネルアセンブリは、複雑な機械的構造内で、ガス状COを含有する混合ガスと、水酸化カルシウム溶液とが一緒になるCOスクラバー中の唯一の場所である。着脱可能なメッシュパネルアセンブリは、定期的メンテナンス中に取り外しおよび交換できるように設計する。メッシュパネルは、次の予定された定期メンテナンス中に、弱酸で洗浄し、再組立し、そして交換する。COスクラバーは、カルシウム堆積物の形成の機会を最小化するために、反応チャンバの頂部から沈殿タンクまで最小の機械的構造を有する。水酸化カルシウム溶液の表面は、反応チャンバの底部において反応チャンバにおける水中部分の表面を構成し、また、脱水チャンバの底部において脱水タンクの水中部分の表面を形成する。気泡柱のフロスマトリクス内で浮遊状態の沈殿物は、反応チャンバおよび脱水チャンバの底部の水酸化カルシウム溶液中に直接堆積し、カルシウム堆積物が形成する機会を最小化する。流体力学的な流れ、並びに、脱水チャンバにおける水中部分および反応チャンバにおける水中部分の底部の傾斜が、沈殿物を沈殿タンクに移送する。従って、本発明のCOスクラバーは、カルシウム堆積物の形成の機会を最小化するように設計される。
重力加速度が、混合ガス流および水酸化カルシウム溶液をメッシュパネルに通過させるのにフロス発生器が必要とするエネルギーを低下するために組み込まれる。重力加速度を組み込み、混合ガスおよび水酸化カルシウム溶液をメッシュパネルに部分的に通過させるために、フロス発生器の飽和メッシュパネルは、その気泡発生領域を反応チャンバの線形軸線に直交するよう配置する。反応チャンバが気泡で満たされると、位置エネルギーが気泡柱に蓄積される。反応チャンバから気泡柱が流れると、この位置エネルギーが、反応チャンバから流れる気泡柱の運動エネルギーに部分的に変換されると共に、フロス発生器のメッシュパネルを通って引き込まれる混合ガスおよび溶液に部分的に変換され、そして、水性のフロスが低い圧力により反応チャンバ中へと部分的に引き込まれる。その結果、重力加速度が組み込まれて、本発明のCOスクラバーが必要とするエネルギーは低下する。
本発明のCOスクラバーにおいて、ガス状COを含有する混合ガスの連続的な流れおよび水酸化カルシウム溶液の連続的な流れは、ともに連続的な炭素捕獲および隔離をもたらす。COスクラバーは、ガスの混合流から水酸化カルシウム溶液へのガス状COの物質移動を最大化するように設計されている。
ガス流中のCO分子と、水酸化カルシウム溶液との間における物質移動は、COの溶解度に比例する。COの溶解度は、いくつかの因子、例えば液−ガス表面積、COガスと水酸化カルシウム溶液との間における曝露時間、液体およびCOガスの温度、液体の液圧に関係のあるCO蒸気圧、フロスの隣接気泡間の蒸気圧差、並びに、衝突の際にCO分子が移動しなければならない自由平均行路に影響される。
水酸化カルシウム溶液の液−ガス表面積は、水酸化カルシウム溶液の気泡内への混合ガス流封入により指数関数的に増加する。水酸化カルシウム溶液は、反応チャンバの頂部における複数のフロス発生器中のメッシュパネルアセンブリに強制的に通過させられる。気泡がメッシュパネルアセンブリの各メッシュパネルを通って進むと、一部の気泡が破裂し、また再形成される。破裂した気泡壁および大きな液滴のガス流との空力学的摩擦による***で形成された、幅広い半径分布を有する水酸化カルシウム微小液滴、並びに、水酸化カルシウム蒸気は、メッシュパネルを通って進む間に、気泡再形成の一部として気泡内に含まれる。フロス発生器での気泡の破裂および液滴の***により気泡に導入された微小液滴には、ケルビン限界微小液滴が含まれる。微小液滴のケルビン限界は、微小液滴が、微小液滴表面の極限曲率に起因した蒸気損失による不可逆的蒸発を受ける直径である。比較的暖かく、乾燥した混合ガス流が、気泡内のケルビン限界微小液滴を蒸発させ、気泡内の蒸気圧を増加させる。
気泡の湿った内表面および外表面、並びに、微小液滴の表面積が、ガス流と水酸化カルシウム溶液との間におけるガス分子相間転移用の一次領域をもたらす。気泡のサイズは、メッシュパネルの開口のサイズにより制限される。混合ガス流、水酸化カルシウム溶液およびメッシュパネルの小さい開口が、無数の均一小気泡を製造する。
ガス流中のCOと、水酸化カルシウム溶液との間における曝露時間は、水酸化カルシウム溶液の気泡内のガス状COを含む混合ガスの封入により最大化される。混合ガスの個別体積は、反応チャンバの頂部におけるフロス発生器からの水酸化カルシウム溶液の気泡内に、脱水チャンバ内での液滴の噴霧により気泡が破裂されるまで含まれる。
COの溶解度は、温度に反比例する。気泡が形成されると、気泡内に封入された、比較的熱く乾燥した混合ガスの個別体積が、ケルビン限界液滴を蒸発する。水酸化カルシウム溶液中の水が、蒸発するとその体積を1600倍に膨張する。比較的熱いガスの顕熱が、液状の物理的状態からガス状の物理的状態へと水酸化カルシウム溶液分子を分離するのに必要な潜熱に変換される。更に、COの溶解度を増加するために、溶液がフロス発生器に導入される前に熱交換器が水酸化カルシウム溶液を冷却する。暖かく乾燥したガスが、フロスマトリクス;気泡柱の隣接気泡における交差気泡間壁および交差境界接点を構成する、冷却された水酸化カルシウム溶液により気泡内で冷却される。気泡内の混合ガスが冷却されると、凝縮した蒸気は、類似の液体表面に対して親和性を有し、気泡内で空気中の微小液滴の質量および直径を増大する。
COの溶解度は、圧力に比例する。各気泡内の蒸気圧は、水酸化カルシウム溶液へのCOの溶解度を増加するために高められる。液体上方におけるガスの蒸気圧が液体の静水圧よりも高い場合、液体から抜けるよりも多くの分子が液体により吸収され、液体中のガスの濃度は、時間とともに増加する。ケルビン限界微小液滴が、気泡内の比較的熱く乾燥した混合ガスにより蒸発する。水酸化カルシウム溶液内の水が、気泡内でその体積を1600倍に膨張し、気泡内の蒸気圧を増加する。
縦(垂直)方向のフロス柱が、気泡柱の流れにより下方に気泡が運ばれるにつれて増加する縦(垂直)方向の圧力勾配を作り出す。増加した圧力は、気泡の半径を減らし、気泡内の蒸気圧を増加させる。更に、ピエールラプラス(1749年−1847年)は、気泡内の蒸気圧は気泡壁の表面張力に比例し、半径に反比例することを教唆した(気泡に関するラプラスの法則)。気泡の半径を小さくすると、気泡内の蒸気圧が高くなる。周囲圧力の増加に起因して気泡の直径が減少すると、気泡内の蒸気圧が増加する。ガス混合物からのCOの分離に水酸化カルシウムの水性のフロスを使用することの固有の利点は、泡の壁間圧力差が気泡壁を介したガスの拡散を推進する(泡構造の粗雑化を引き起こす)ことである。高い蒸気圧を有する小さい気泡は、気泡壁を介してそのガスの体積を大きな気泡へと拡散する。本発明のCOスクラバーは、ラプラスの法則により説明されるように、気泡内の蒸気圧の更なる増加および気泡壁を介したガスの拡散を組み込むことにより、従来技術を超えた利点を有する。各気泡内の蒸気圧は、水酸化カルシウム溶液へのCOの溶解度を増加するために高められる。
周囲圧力の増加により減少した気泡半径は、凝縮により成長する気泡内の微小液滴の表面積と組み合わさって、気泡内でガスが利用できる体積を縮小し、その結果、衝突の際にCO分子が移動しなければならない平均自由行路を短縮化する。分子の平均自由行路が減少すると、CO分子と、水酸化カルシウム溶液の表面との間における衝突率が増加し、水酸化カルシウム溶液へのCOの溶解速度を増加する。
COは、水溶性で、飽和点に至るまで水溶液中に溶解する。水酸化カルシウム水溶液中において、溶解したCOは、溶液中のカルシウムイオンおよび水酸化物イオンと反応して不溶性の炭酸カルシウムを生成する。炭酸カルシウムは、溶液から懸濁液中に析出する。溶解したCOが溶液中のカルシウムイオンおよび水酸化物イオンと反応すると、溶解したCOは溶液から除去され、より多くのガス状COが水酸化カルシウム溶液中に溶解するのを可能にする。COの溶解、CO分子と、溶液中のカルシウムイオンおよび水酸化物イオンとの反応、並びに、溶液からの炭酸カルシウムの析出は、COが溶液を飽和させるのを妨げる。CO分子は、ガス流から液相を経て懸濁液中の固体の炭酸カルシウム沈殿物へと移り、そして、水酸化カルシウム溶液中へのガス状COの連続的な溶解を可能にする。
従って、本発明のCOスクラバーは、ガス混合物からのガス状COの捕獲を最大化するために、水酸化カルシウム溶液へのCOの溶解度を最大化する。
懸濁液中への炭酸カルシウムの沈殿は、混合ガスの一群からのガス状COの捕獲および捕獲したCOの大気からの長期間の鉱物隔離を実現する。微細沈殿物の懸濁液および粗大沈殿物スラリーを更に処理して、溶液から炭酸カルシウム沈殿物を分離する。
沈殿物処理を含むCCSシステム
図6に示す、沈殿物処理を含むCCSシステムにおいて、酸化カルシウムは、コンベアベルトによりレールカー120から溶液調製エリア130における酸化カルシウム貯蔵所122に供給する。酸化カルシウムは、水酸化カルシウム(固体)を製造するために酸化カルシウムが水で消和される水酸化カルシウム混合タンク124に搬送する。発熱反応からの熱は、最終沈殿物処理段階における沈殿物の乾燥に使用される。排熱は排気筒70を介して放出する。
水酸化カルシウムを補充タンク126に搬送し、この補充タンク126では、水酸化カルシウム溶液を混合し、pHおよび界面活性剤濃度131を最適な運用範囲に調整し、そして、溶液メイン還流160を補充タンク126に戻して再利用する。
水酸化カルシウム溶液は、補充タンク126から水酸化カルシウム運用リザーバ128へと流れる。運用リザーバ128中の水酸化カルシウム溶液は、補充されたアルカリ度および界面活性剤濃度を有し、そして、脱水チャンバ60に隣接する熱交換器132にパイプ送給される。溶液を、熱交換器132から、COスクラバー5の反応チャンバの頂部に配置した溶液配給マニホルドまでの溶液供給縦パイプを介して、水酸化カルシウム溶液ポンプによりポンプ送給する。水酸化カルシウム溶液は、フロス発生器のメッシュパネルアセンブリ内で混合ガス流と混合し、反応チャンバ内で水酸化カルシウムの気泡柱を作り出す。
気泡柱は反応チャンバを満たし、COと反応して炭酸カルシウム沈殿物を生成する。炭酸カルシウム沈殿物は、気泡壁内で懸濁液の状態で、反応チャンバから脱水チャンバ60へと移送される。気泡が脱水される際に気泡から放出されたガスは、排気筒70を介して大気中に放出される。沈殿物は、噴霧ノズルからの液滴の発射噴霧により脱水チャンバ60の水中部分に押し流される。脱水チャンバ60の水中部分および反応チャンバの水中部分における流体力学的な流れは、懸濁液中の沈殿物を沈殿タンク90へと移送する。沈殿タンク90において、タンクの底部にあるスラリーチャネルへと重量のある沈殿物が沈降し、重量の少ない沈殿物は懸濁液中に残存する。
重量の少ない沈殿物の懸濁液は、沈殿タンク90から溶液流メインパイプ102を介して微細沈殿物処理エリア140にある収容タンク141内に流入する。微細沈殿物の懸濁液が収容タンク141からフロス浮選タンク145へと流れる微細沈殿物処理は、連続モードで働く。タンクの底部にある複数のノズル(図示せず)へ導入された圧縮空気が、フロス浮選タンク145を気泡で満たす。溶液中に浮遊する沈殿物の一部は、気泡により浮選タンク145の頂部における水性のフロスに移送される。気泡は、タンクの頂部における形状により収容バット(桶)147に方向付けられる。収容バット147の頂部における噴霧ノズルが気泡を脱水し、そして、収容バット147の漏斗部分を介してジーメンスモデルJ−VAC、組合せハイバーダイヤフラム板フィルタプレス/真空乾燥機150へと残りの微細沈殿物スラリーを導く。溶液は、フィルタプレス150中でスラリーからプレスしてろ過ケーキを形成する。水酸化カルシウム混合タンク124の周りの熱交換器125からの熱水が、空気を約80℃まで加熱する。熱い空気を、部分的真空によりろ過ケーキを乾燥するために、ろ過ケーキを通して引き込む。ろ過ケーキは、フィルタプレス150からジーメンス回転円筒タンブル乾燥機153へと搬送する。水酸化カルシウム混合タンク124の周囲の熱交換器125からの熱水が、タンブル乾燥機153中の空気を約80℃まで加熱する。ろ過ケーキは、更に乾燥および回転させられて個別の顆粒として分離する。乾燥した微細沈殿物は、販売または再利用のためにレールカー155に搬送する。
水酸化カルシウム溶液メイン流は、フロス浮選タンク145から溶液循環メインパイプ160に流入する。溶液は、溶液循環メインパイプ160を経て補充タンク126に流入する。ろ過ケーキを形成するためにスラリーからプレスした溶液の流れは、微細スラリー溶液循環パイプ、溶液循環メインパイプ160に流れ、その後、補充タンク126に流入する。アルカリ度、界面活性剤濃度は最適範囲に調整し、そして水酸化カルシウム溶液は、システムに戻して再利用する。
粗大沈殿物スラリーは、沈殿タンク90の底部のスラリー出口103から、スラリーパイプ171を介して粗大沈殿物処理エリア170にある一次収容タンク172に排出する。粗大沈殿物処理は、バッチモードで機能させる。収容タンク172は、沈殿タンク90からの流れにより経時的に部分的に満たされ、その後、内部のスラリー量を空にして粗大スラリー沈殿タンク175に排出する。粗大沈殿物は、スラリーから沈殿して濃縮スラリーとなり、この濃縮スラリーを収容バット(桶)177にポンプ送給する。濃縮した粗大沈殿物スラリーは、収容バット177から収容バット177の分岐漏斗部を介して二つのジーメンスモデルJ−VAC、組合せハイバーダイヤフラム板フィルタプレス/真空乾燥機150のうち一方に流れる。フィルタプレスは、同時に動作して、粗大沈殿物スラリーの脱水および乾燥の二つの経路を提供する。溶液が、ろ過ケーキからプレスされる。水酸化カルシウム混合タンク124の周囲の熱交換器125からの熱水が、空気を約80℃まで加熱する。熱い空気が、ろ過ケーキを乾燥するために、ろ過ケーキを通って引き込まれる。ろ過ケーキは、フィルタプレス150から、2個のジーメンス回転円筒タンブル乾燥機153のうち一方に搬送される。水酸化カルシウム混合タンク124の周囲の熱交換器125からの熱水が、タンブル乾燥機153中の空気を約80℃まで加熱する。ろ過ケーキは、更に乾燥および回転させられて個別の顆粒に分離される。乾燥した粗大沈殿物は、販売または再利用のためにレールカー155に搬送する。
粗大沈殿物スラリーからの水酸化カルシウム溶液は、スラリー沈殿タンク175から二次処理パイプ181に流入する。ろ過ケーキを形成するためにスラリーからプレスされた溶液の流れは、スラリー溶液循環パイプ、二次処理パイプ181を通って流れ、その後、二次処理収容タンク183に流入する。二次スラリー処理180は、バッチモードで機能させる。収容タンク183は、スラリー沈殿タンク175からの溶液の流れにより経時的に大部分を満たし、その後、溶液の体積を空にして、二次粗大スラリー沈殿タンク185に排出する。二次収容タンク183が満たされる間に溶液から沈降する重量のある沈殿物は、静水圧により、スラリー循環パイプ184を介して一次粗大沈殿物スラリー収容タンク172に強制的に送り出す。二次収容タンク183からの溶液の体積は、二次収容タンク183が部分的に満たされるとき、大部分を二次沈殿タンク185へ搬送する。二次沈殿タンク185内で溶液から沈殿した粗大な沈殿物は、静水圧により、スラリー循環パイプ184を介して一次粗大沈殿物スラリー収容タンク172に強制的に送り出す。溶液の体積が二次収容タンク183の大部分を満たしたときに、二次収容タンク183から二次沈殿タンク185への溶液の反復搬送を行って、二次沈殿タンク185からの、微細沈殿物を浮遊状態で含む溶液の体積の大部分を、溶液搬送パイプ187を介して高pHタンク188に搬送する。高pHタンク188内における、微細沈殿物を浮遊状態で含む溶液は、二次溶液循環パイプ190を介して、微細沈殿物処理エリア140の起点における溶液流メインパイプ135に搬送する。高pHタンク188からの微細沈殿物の懸濁液は、COスクラバー5の沈殿タンク90からの微細沈殿物の懸濁液の主流と共に処理される。低pHタンク189では、環境中に戻される水のためにアルカリ度を約pH7.0に調整する。
炭酸カルシウム沈殿物は、無機充填剤、酸性土壌中和剤、傾斜安定化剤、流動化剤およびポートランドセメントの混和剤として販売される。精製した形態では、沈降炭酸カルシウム(PCC)は、紙、プラスチック、食品および医薬品の製造に使用される。回収したCOからの炭酸カルシウム有用品の再利用または販売は、CCSのコストの少なくとも一部を相殺する。
代替実施形態
本発明の好適な形態は、反応チャンバ中で気泡が下方に移動するにつれて気泡内のガスを冷却するが、本発明のやや好適な形態は、気泡または溶液を冷却することなく実施する。
本発明のCOスクラバーは、随意的に、CCS用の水酸化ナトリウム溶液を組み込むことができる。水酸化ナトリウムは、塩化ナトリウム水溶液の電気分解による塩素アルカリプロセスにより調製される。COスクラバーを水酸化ナトリウム溶液と共に使用する場合、反応生成物は、重炭酸ナトリウムである。水酸化ナトリウム溶液は、水酸化カルシウム溶液と共に、或いは、単独で使用できる。反応を促進、触媒または向上するために、水酸化カルシウムまたは水酸化ナトリウム溶液に水酸化カリウムを添加することができる。
本発明のCOスクラバーは、排煙脱硫(FGD)用に、炭酸カルシウムの水性懸濁液と共に使用することができる。強制送給空気を反応チャンバの水中部分に注入する場合、反応生成物は硫酸カルシウムである。COスクラバーをFGDと組み合わせて使用する場合、FGDは、COスクラバー内における炭酸カルシウムの沈殿を妨げる硫酸を混合ガスから除去し、そして、FGDにおける炭酸カルシウム懸濁液と、硫酸との間の反応から放出されたガス状COは、混合ガス流の状態でCOスクラバーに搬送する。CCSプロセスからの炭酸カルシウム沈殿物は、FGD用の炭酸カルシウムの水性懸濁液を製造するために使用できる。
結論、効果および範囲
結論
本発明のCOスクラバーは、以下の機能および特徴を含み、従来技術を超えて混合ガスからのガス状COの除去効率を増加する。
混合ガス流中のガス状COと、水酸化カルシウム溶液との間の水酸化カルシウム溶液の液−ガス表面積は、指数関数的に増加してCOガスと水酸化カルシウム溶液との間の物質移動を促進する。
燃焼排ガスは、混合ガス流中のガス状COと水酸化カルシウム溶液との間の接触時間を増加してCOガスと水酸化カルシウム溶液との間の物質移動を促進するために、気泡に封入される。
少なくとも一部の気泡が破裂および再形成を引き起こし、破裂した気泡は、様々な半径を有する多数の微小液滴を形成し、各再形成気泡は、混合ガス流の個別体積、溶液の微小液滴の個別数および溶液蒸気の個別体積を封入する。
水酸化カルシウム溶液の温度は、水酸化カルシウム溶液へのガス状COの溶解度を増加するために、低下する。
気泡内のCO蒸気圧は、水酸化カルシウム溶液へのガス状COの溶解度を増加するために、増加する。
ガス状COを含む混合ガスは、異なる圧力の二つの気泡間で、高い蒸気圧を有する比較的小さい気泡から、低い蒸気圧を有する比較的大きい気泡へと水酸化カルシウム溶液の共通気泡壁を介して拡散する。
水酸化カルシウムは、反応生成物として炭酸カルシウムを回収するためにガス状COと反応するためのアルカリ溶液に使用する。
回収したCOは、CCSのコストの少なくとも一部を回収するために販売される炭酸カルシウム有用品として再利用する。
効果
本発明のCOスクラバーは、大気、燃焼後排ガス、並びに、処理の結果または製造の結果としてCOを放出するプロセスからCOを直接除去することができる。
本発明のCOスクラバーは、他のアルカリ土類金属の水酸化物の溶液またはアルカリ土類金属の水酸化物の溶液の混合物をCCS用に組み込ことができる。
本発明のCOスクラバーは、排煙脱硫(FGD)用に炭酸カルシウムの水性懸濁液を組み込むことができる。強制送給空気を反応チャンバの水中部分に注入する場合、反応生成物は硫酸カルシウム(石膏)である。FGD石膏は、セメントおよび石膏パネルの製造に使用される。
本発明のCOスクラバーは、混合ガス流からSOおよびCOを除去するためにFGDと一体化することができる。炭酸カルシウムの水性懸濁液は、COスクラバーにおける反応生成物である炭酸カルシウム沈殿物から製造でき、そして、FGDにおける炭酸カルシウム沈殿物と硫酸との間の反応の間に放出されるCOガスは、混合ガスの状態でCOスクラバーに搬送する。
範囲
上述した例示的なプロセスおよび装置は、説明および解説目的で提示され、本発明の範囲を記載した形態と同一物に包括または制限することを意図していない。上記教唆を考慮して、改良および変形が可能である。実施形態は、本発明およびその実用化を最も良く説明し、それにより、他の当業者に、様々な実施形態で、および、意図する特定の使用に適した様々な改良と共に本発明の最良の使用を可能にするように選ばれたものである。
本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲により定義される。

Claims (14)

  1. 混合ガス流からガス状二酸化炭素(CO)を捕獲および隔離する方法であって、反応チャンバを使用し、また前記反応チャンバ内におけるメッシュパネルアセンブリは複数のメッシュ開口を有するものとした、該方法において、
    複数のメッシュパネルを有する前記メッシュパネルアセンブリを、カルシウムイオン(Ca2+)および水酸化物イオン(OH)を含有する溶液で連続的に飽和させるステップと、
    ガス状COを有する前記ガス流を前記飽和メッシュパネルアセンブリに通過させて、水性のフロスを形成し、該フロスの気泡が、前記混合ガスで満たされた内部体積を有する状態にするステップと、
    少なくとも一部の前記気泡を破裂および再形成させ、前記破裂した気泡は、様々な半径を有する多数の微小液滴を形成し、各再形成気泡が、前記ガス流の個別体積、前記溶液の微小液滴の個別数および溶液蒸気の個別体積を封入する状態にするステップと、
    前記水性のフロス中で形成される前記気泡のサイズを、前記メッシュパネルの開口のサイズを限定することにより制限し、それにより無数の均一小気泡を形成して、前記CO分子と、前記微小液滴と、前記無数の小気泡の内表面および外表面との間の接触を最大化するステップと、
    前記溶液が前記飽和メッシュパネルに通過する前に前記溶液を冷却し、且つ、前記気泡が前記反応チャンバを通って下方へ移動するにつれて前記気泡内の前記ガスが冷却されるステップと、
    前記水性のフロスおよび前記ガス流を、前記反応チャンバを通して下方に一緒に移動させ、前記ガス流と前記無数の気泡との間の反応時間を増加させ、且つ、前記水性のフロスの圧力を増加させて、前記気泡のサイズを減少させると共に前記溶液へのCO分子の溶解度を増加させるステップと、
    前記気泡内のCO分子の平均自由行路を、前記気泡の体積を低減して各気泡の前記内表面と各気泡内の前記微小液滴との間の距離を減らすことにより最小化し、それにより前記CO分子と、前記気泡および前記微小液滴の形成に使用される前記溶液との間の接触を最大化するステップと、
    前記溶液中に持ち込まれたCO分子を、前記CO分子と、前記溶液中の前記カルシウムイオン(Ca2+)および水酸化物イオン(OH)との反応で炭酸カルシウム(CaCO)分子を生成することにより捕獲するステップと、そして
    前記溶液から前記炭酸カルシウムを沈殿させるステップと
    を有する、方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、さらに、前記溶液が前記飽和メッシュパネルを通過する前に、該溶液を冷却するステップを有する、方法。
  3. 請求項1に記載の方法において、前記反応チャンバは、横型の脱水チャンバに流体連通する底部を有する、細長く、縦向きのチャンバとし、調整可能な出口パネルは、前記反応チャンバと前記脱水チャンバとの間で開口のサイズを変更できる構成とし、該方法は、さらに、
    前記開口のサイズを、前記反応チャンバの下部と前記脱水チャンバとの間で調整可能に変更するステップを有する、方法。
  4. 請求項3に記載の方法において、さらに、前記水性のフロスを前記脱水チャンバ内で脱水し、脱水したガス流を大気中へ放出するステップを有する、方法。
  5. 請求項1に記載の方法において、前記反応チャンバの下方に沈殿タンクを配置し、該方法は、さらに、
    前記沈殿した炭酸カルシウムを前記沈殿タンクに重力で下方に沈降させるステップを有する、方法。
  6. 請求項5に記載の方法において、さらに、前記沈殿タンクから前記沈殿した炭酸カルシウムを連続的に除去するステップを有する、方法。
  7. 請求項1に記載の方法において、さらに、硫黄と、懸濁液中の炭酸カルシウムとを反応させることにより前記ガス流から前記硫黄を分離するステップを有する、方法。
  8. 混合ガス流からガス状二酸化炭素(CO)を捕獲および隔離する方法であって、反応チャンバを使用し、該反応チャンバにおけるメッシュパネルアセンブリは複数のメッシュ開口を有するものとした、該方法において、
    複数のメッシュパネルを有する前記メッシュパネルアセンブリを、カルシウムイオン(Ca2+)および水酸化物イオン(OH)を含有する溶液で連続的に飽和させるステップと、
    ガス状COを有する前記ガス流を前記飽和メッシュパネルアセンブリに通過させて、水性のフロスを形成し、該フロスの気泡が、前記混合ガスで満たされた内部体積を有する状態にするステップと、
    少なくとも一部の前記気泡を破裂および再形成させ、前記破裂した気泡は、様々な半径を有する多数の微小液滴を形成し、各再形成気泡が、前記ガス流の個別体積、前記溶液の微小液滴の個別数および溶液蒸気の個別体積を封入する状態にするステップと、
    前記水性のフロス中で形成される前記気泡のサイズを、前記メッシュパネルの開口のサイズを限定することにより制限し、それにより無数の均一小気泡を形成して、前記CO分子と、前記微小液滴と、前記無数の小気泡の内表面および外表面との接触を最大化するステップと、
    前記水性のフロスおよび前記ガス流を、前記反応チャンバを通して下方に一緒に移動させ、前記ガス流と前記無数の気泡との間の反応時間を増加させ、且つ、前記水性のフロスの圧力を増加させて、前記気泡のサイズを減少させると共に前記溶液へのCO分子の溶解度を増加させるステップと、
    前記気泡内のCO分子の平均自由行路を、前記気泡の体積を低減して各気泡の前記内表面と各気泡内の前記微小液滴との間の距離を減らすことにより最小化し、それにより前記CO分子と、前記気泡および前記微小液滴の形成に使用される前記溶液との間の接触を最大化するステップと、
    前記溶液中に持ち込まれたCO分子を、前記CO分子と、前記溶液中の前記カルシウムイオン(Ca2+)および水酸化物イオン(OH)との反応で炭酸カルシウム(CaCO)分子を生成することにより捕獲するステップと、そして
    前記溶液から前記炭酸カルシウムを沈殿させるステップと
    を有する、方法。
  9. 請求項8に記載の方法において、さらに、前記気泡が前記反応チャンバを通って下方へ移動するにつれて前記気泡内部の前記ガスを冷却するステップを有する、方法。
  10. 請求項8に記載の方法において、前記溶液を前記メッシュパネルに通過させる前に該溶液を冷却する、方法。
  11. 請求項8に記載の方法において、前記溶液は、水酸化カルシウムおよび水酸化カリウムを含有する、方法。
  12. 混合ガス流からガス状二酸化炭素(CO)を捕獲および隔離する方法であって、反応チャンバを使用し、該反応チャンバ内におけるメッシュパネルアセンブリは複数のメッシュ開口を有するものとした、該方法において、
    複数のメッシュパネルを有する前記メッシュパネルアセンブリを、水酸化ナトリウム溶液で連続的に飽和させるステップと、
    ガス状COを有する前記ガス流を前記飽和メッシュパネルアセンブリに通過させて、水性のフロスを形成し、該フロスの気泡が、前記混合ガスで満たされた内部体積を有した状態にするステップと、
    少なくとも一部の前記気泡を破裂および再形成させ、前記破裂した気泡は、様々な半径を有する多数の微小液滴を形成し、各再形成気泡が、前記ガス流の個別体積、前記溶液の微小液滴の個別数および溶液蒸気の個別体積を封入した状態にするステップと、
    前記水性のフロス中で形成される前記気泡のサイズを、前記メッシュパネルの開口のサイズを限定することにより制限し、それにより無数の均一小気泡を形成して、前記CO分子と、前記微小液滴と、前記無数の小気泡の内表面および外表面との接触を最大化するステップと、
    前記水性のフロスおよび前記ガス流を、前記反応チャンバを通して下方に一緒に移動させ、前記ガス流と前記無数の気泡との間の反応時間を増加させ、且つ、前記水性のフロスの圧力を増加させて、前記気泡のサイズを減少させると共に前記溶液へのCO分子の溶解度を増加させるステップと、
    前記気泡内のCO分子の平均自由行路を、前記気泡の体積を低減して各気泡の前記内表面と各気泡内の前記微小液滴との間の距離を減らすことにより最小化し、それにより前記CO分子と、前記気泡および前記微小液滴の形成に使用される前記溶液との間の接触を最大化するステップと、
    前記溶液中に持ち込まれたCO分子を、前記CO分子と、前記水酸化ナトリウム溶液との反応で重炭酸ナトリウム分子を形成することにより捕獲するステップと、そして
    前記溶液から前記重炭酸ナトリウムを沈殿させるステップと
    を有する、方法。
  13. 請求項12に記載の方法において、さらに、前記気泡が前記反応チャンバを通って下方へ移動するにつれて前記無数の気泡内の前記混合ガスを冷却するステップを有する、方法。
  14. 混合ガス流からガス状二酸化炭素COを捕獲および隔離する装置であって、カルシウムイオンまたはナトリウムイオンおよび水酸化物イオンと、二酸化炭素とが反応して炭酸カルシウムまたは重炭酸ナトリウムを沈殿物として生成する構成とした、該装置において、
    上方部分および下方部分を有して縦方向に延在する反応チャンバと、
    前記反応チャンバの前記上方部分に配置した一連のメッシュパネルよりなるメッシュパネルアレイと、
    前記メッシュパネルを、カルシウムイオンまたはナトリウムイオンおよび水酸化物イオンを含有する溶液で連続的に飽和させる手段と、
    前記メッシュパネルアレイの上方に配置したフロス発生器手段と、
    前記混合ガス流を前記フロス発生器手段に搬送するダクトと、
    を備え、
    前記フロス発生器手段により、無数の小気泡を有する水性のフロスを形成し、前記気泡の内部体積を、ガス状二酸化炭素を含有する前記混合ガス流からのガスで満たすよう構成し、さらに、
    前記水酸化カルシウムまたは水酸化ナトリウム溶液を冷却する手段と、
    前記水性のフロスを加圧して、該フロスが前記反応チャンバの前記下方部分に移動するにつれて前記無数の気泡のサイズを減少させる手段と、
    前記反応チャンバの下方に配置して、炭酸カルシウムまたは重炭酸ナトリウムの沈殿物を収集する沈殿タンク手段と、
    を備える、装置。
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