JP2011502590A - 感覚野の評価方法および装置 - Google Patents

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Abstract

対象の少なくとも1つの感覚野の機能を評価するための方法、および該方法を行うための装置およびシステムであり、該方法は:ディスプレイを用いること;感覚野の選択されたロケーションへ刺激を提示すること;ここに、前記選択されたロケーションは前記感覚野の一部をスパンするサンプリング格子上の点に中心を置かれ、ここに前記個々の刺激は、前記サンプリング格子の点において同時に提示されるとき、前記感覚野の感覚次元により画定される空間内で重なり合う、センサを使用すること;前記対象の感覚野において前記刺激により喚起された応答を検出すること;および前記検出された応答を処理し、これらを前記選択されたロケーションにおいて前記対象の感覚野の機能に関連づけることを含む。

Description

本発明は神経系の機能の評価に関し、具体的には複数の感覚次元の感覚野の評価、最も具体的には第二次視覚野の評価に関する。
本発明は主として、ヒトおよび動物対象の感覚野、具体的には目の視野の改良された評価および定量化のための方法および装置として使用する目的で開発されたものであり、以下、本発明の説明はこのアプリケーションに関連して行う。しかしながら、本発明がこの特定の用途分野に限定されないことは認識されるであろう。これらの感覚野は、感覚野内の点の集まりにおける感覚神経の能力の測度で定義される。本明細書において説明する発明は、これらの感覚野の変異をより正確に決定するための方法および装置を提供し、感覚野の変異は、成長、老化、瞼、メガネフレームの位置または頭蓋形状を含む病気の進行または自然な進行に関連する場合があり、これらは全て、感覚野の感度を変えるか、感覚野の範囲の物理的限界を変える可能性がある。
本明細書を通じて、背景技術に関するあらゆる論考は、いかなる場合も、そのような背景技術が先行技術であること、のみならず、そのような背景技術が当該分野で広く知られている、または当該分野における共通の一般的知識の一部を形成することを是認するものとして見なされるべきではない。
ヒトの視野は、一般に、静的視野検査によって評価される。静的視野検査では、視野内に分散される予め設定された点の集まりの各々において光の小さいスポットを連続的に提示することが一般的に行われる。検査スポットの各提示に続いて、対象は、固視標的を凝視し続けながら提示されたばかりの検査光が見えたか否かを指示する。典型的には、対象は、ボタンを押すこと等の行動で反応してそのスポットが見えたことを指示する。視野の特定の部分は、固有の視覚的能力を有する可能性がある。したがって、視野検査の目的は、視野の各部分の視覚的能力を評価することにある。
視覚的能力はしばしば、スポット刺激を見るための感度または確実性によって特徴づけられる。したがって、これらの行動ベース形式の視野検査に関しては2つの基本的方法、すなわち、閾値上検査と閾値検査とが存在する。閾値上検査では、視野内の予め設定されたロケーション集合の各々において幾つかの提示が行われ、次に、正しい応答の頻度を使用して視覚的能力が推定される。閾値検査では、検査刺激の強度または対比が方針にしたがって変えられ、見える最小基準回数が達成される時点の僅かな開始刺激力、すなわち閾値が決定される。局部的な視覚的感度を決定するために操作される他の刺激変数は、所定の検査領域へ提示される小さいオブジェクトの数、または提示される検査刺激のサイズである。したがって、視覚的感度は僅かな閾値刺激の逆数に一致され、よって小さい閾値は高い感度に対応する。
視野をマッピングする代替的な、より客観的な方法は、所謂多焦点的方法を使用するものである。これらの方法では、各々が異なる視野ロケーションへ提示される刺激の集合が使用される。各ロケーションにおける刺激の出現または非出現は、互いに統計学的に独立である時間系列によって変調される。理想的には、この統計学的独立性は完全であるべきであり、すなわち、変調シーケンスは直交性であるべきである。特定の直交シーケンス(Maddess & Jamesに付与された米国特許第5,539,482号、その開示内容は相互参照により全体が本明細書に組み込まれる)および直交に近いシーケンス(Sutterに付与された米国特許第4,846,567号を含む)に関連する種々の特許が存在するが、最近の解析方法は、全てMaddess & Jamesに付与された、開示内容が相互参照により全て本明細書に組み込まれる米国特許第6,315,414号、米国特許第7,006,863号および国際公開第WO 2005/051193号に記述されているように、より一般的な刺激の使用を可能にする。
多焦点的方法の概念は、刺激の時間統計学的独立性は多くのシーケンスが同時に提示されることを可能にし、各ロケーションにおける提示に対して推定される応答が視覚神経系の神経活動の記録から回復されることを可能にする、ということにある。刺激に対する神経応答は、電気的もしくは磁気的センサまたは検出器、赤外光または他の電磁放射線の吸収、散乱または偏向の変化、機能的磁気応答画像または瞳孔反応によって記録され得る。
静的視野検査は、一定サイズの手持ち式の刺激が視野の周辺から中心へ向かって、すなわち凝視固定点へ向かって移動される動的視野検査から発生したものである。動的視野検査では、対象は、中心へ向かうその軌跡に沿ってどの点で検査刺激が見えるかを指示し、視野の中心から所定の距離において見ることのできる最小サイズの刺激が視覚的感度の示度として採用される。最も有力な動的視野検査システムは、1945ゴールドマンシステム(Goldman system)である。ゴールドマンシステムは、標準的な刺激スポットサイズセットを規定した。その後これらは、大部分の静的視野検査で標準刺激サイズとして極く一般的に採用されている。静的視野検査は検査手順の自動標準化を提供し、主にこれを理由として、大幅に動的視野検査に取って代わっている。この名称における静的という用語は、検査刺激が固定点においてフラッシュされることに由来し、これらの点は、典型的には規則的なサンプリング格子内に配列されている。静的視野検査を実行するための最も一般的な2つのシステムは、Carl Zeiss Meditecが製造する様々なバージョンのハンフリー視野計(HFA)、およびHaag-Streit AGが製造する様々なオクトパス視野計である。これらのデバイスの影響を示すものとして、他の企業が製造する視野計は、米国食品医薬品局の承認を得るためにしばしばHFAとの実質的同等性を主張する。
多くの静的視野検査で、標準検査刺激はゴールドマン指標サイズIIIである。まれに、これより大きいサイズVの刺激が使用される。最も一般的な静的視野検査に使用される検査格子は、視野の中心24〜30度をカバーする。サンプル格子は、6度の典型的分離を有する点の正方形格子であり、これらの検査ロケーションのうちの50以上が調査される。検査格子の軸は、水平および垂直に配向される。一部の静的視野計は、2度の分離を得るために検査格子を均等に収縮または拡大することを可能にする。HFAはよくゴールドスタンダードと見なされ、また最も多く販売されている視野計でもある。他社がまねる最も一般的に使用されているHFA検査は、検査点の分離が6度のHFA24−2検査パターンである。ゴールドマン指標サイズIIIのスポットは、直径0.431度を有する。規格HFA24−2検査格子は54個の検査ロケーションを有し、よって検査スポットは合計7.84平方度をカバーする。24−2パターンによりスパンされる視野のエリアは、1368平方度(すなわち、24−2パターンにおける点格子は38個の正方形を画定し、各々が一辺6度である故に38*36平方度=1368平方度)である。したがって、この検査スポットは合計で、検査される視野エリアの0.573%しかサンプリングしない。他のほとんどの視野計も、同様に視野のカバー率は低い。明らかに、視野の重大な細部が見逃される多大な範囲が存在する。この問題は、一般にアンダーサンプリングと称される。アンダーサンプリングは、動的視野検査において同じスポットサイズが使用される場合、但しスポットが視野を横断する経路に沿って途切れのない動作で掃引される場合にはさほど問題ではなく、網膜の一部も欠けていない可能性があった。
二次元のサンプリング技術について考察する場合には、アンダーサンプリングという結果が、価値のあるまたは重要な情報を単に見逃すことよりも悪いことは明らかである。逆に、サンプリング格子が粗すぎて視野上の感度の急激な変化を捉えられない場合、HFAサンプリングスキームは測定される視野の外観を歪める可能性がある。これは、サンプリング格子が粗すぎて視野上の感度の急激な変化を捉えられない場合に発生する。より具体的には、s度の規則的スペーシングを有する任意のサンプリング格子は、サンプリングアレイが確実に提示できる最も高い空間周波数である臨界サンプリング周波数Sを規定する。Sは、ナイキストサンプリング周波数と呼ばれることがある。静的視野計では一般的な6度のサンプリングスペーシングの場合、Sは水平および垂直的な1度当たり1/12サイクル(cpd)から直交的な1/(12*√2)までの間で変わる。したがって、視野が1度当たりSサイクル(cpd)より速く変わる空間変調を有していれば、これらは、エイリアシングと呼ばれるプロセスを介して、サンプリングされる視野内により低い空間周波数として出現する。テレビ画面に見られる薄い縞模様のオブジェクトによるモアレパターンおよび「ジャジング」効果は、エイリアシングによって生じるアーティファクトの一般的な例である。
サンプリングされる画像のこれらの歪みは、NSと(N+1)S(但し、Nは1で始まる奇整数)との間で生じる、Sより高い空間周波数S>Sが周波数S−rem(S,S)を有するように見えることを理由に、偶数であって2で始まるNの場合の周波数rem(S,S)において生じる。但し、remは剰余関数である。より単純に言えば、視野におけるSを超える周波数は、空間的な歪み効果を生み出す様々な位相および方向性でSより低い何らかの周波数として出現する。これらのより高い周波数は低周波数を装うことから、誤って測定されるこれらの周波数はエイリアス、このプロセスはエイリアシングと称されることがある。
アンチエイリアシングフィルタは、デジタル化システムのフロントエンドエレクトロニクスでは非常に一般的なものである。すなわち、サンプリング周波数が復元する可能性のあるより高い周波数はサンプリングの前に除去される。しかしながら、このような時間フィルタは、空間エイリアシングの除去をアシストしない。したがって、検査刺激における空間エイリアシングの影響を克服することのできる改良された評価方法に対する要望が存在する。
第1の態様によれば、対象の少なくとも1つの感覚野の機能を評価するための方法が提供されている。本方法は、少なくとも1つの感覚野の選択されたロケーションへ刺激を提示することを含んでもよい。選択されたロケーションは、少なくとも1つの感覚野の一部分をスパンするサンプリング格子上の点に中心が置かれてもよい。個々の刺激がサンプリング格子の複数の点において同時に提示される場合、これらの個々の刺激は、視野の感覚次元によって画定される空間において重なるように構成されてもよい。対象の視野へ提示される刺激は、付随する応答(または複数の応答)を喚起する場合がある。個々の刺激は、サンプリング格子により表され得るものより高い空間周波数を個々に表示しないように大きくかつ側面が平滑であってもよい。
本方法はさらに、センサを用いて対象の感覚野における応答を検出する工程を含んでもよい。本方法はさらに、検出された応答を処理する工程を含んでもよい。検出された応答を処理する工程は、検出された応答を選択されたロケーションにおける対象の感覚野の機能に関連づけることであってもよい。
第1の態様の一構成では、対象の少なくとも1つの感覚野の機能を評価するための方法が提供され、本方法は、
前記感覚野の選択されたロケーションへ刺激を提示する工程であって、前記選択されたロケーションは、少なくとも1つの感覚野の一部分をスパンするサンプリング格子上の点に中心が置かれ、個々の刺激が前記サンプリング格子の複数の点において同時に提示される場合、前記個々の刺激は少なくとも1つの視野の感覚次元によって画定される空間において重なる工程と、
センサを用いて、前記刺激により喚起される対象の感覚野内の応答を検出する工程と、
前記検出された応答を前記選択されたロケーションにおける対象の感覚野の機能に関連づけるべく処理する工程と
を含む。
刺激は、個々の刺激が同時に提示される場合にこれらの個々の刺激が十分に重なり合いかつ側面が平滑であってサンプリング格子上の刺激の空間エイリアシングを最小限に抑えるように構成されてもよい。個々の刺激は、これらがサンプリング格子により表示され得るものより高い空間周波数を個々に表示しないように十分に大きくかつ側面が平滑であってもよい。すなわち、刺激は、サンプリング格子が正確に表示できない空間周波数をほとんどまたは全く送信しなくてもよい。あるいは、もしくは並行して、刺激は、同時に提示されれば個々の刺激が十分に重なり合い、よってナイキストレートと称されかつサンプリング格子のジオメトリにより画定されるサンプリング格子の臨界サンプリング周波数より高い空間周波数をほとんどまたは全く伝達しないように構成されてもよい。個々の刺激のプロファイル(具体的には、プロファイルのエッジおよび/または角)は、滑らかに変化していてもよい。個々の刺激の滑らかに変わるプロファイルは、低い空間周波数のフーリエ成分しか含むことができないほど十分に平滑であってもよい。個々の刺激は、ぼかされてもよい。刺激のプロファイルは、個々の刺激が、サンプリング格子の複数の点により画定されサンプリング格子により表示され得る最も高い空間周波数以下である空間周波数しか含まないように、滑らかに変わっていてもよい。十分に平滑である、またはぼやけた個々の刺激には、対象が十分な屈折矯正を受けなくてもよく(すなわち、屈折矯正が誤った、不十分なものであっても、全く行われなくてもよく)、対象の視野の評価結果にさほど影響がない、という重大な利点がある。
感覚野は、水平の経線軸および垂直の経線軸を有してもよく、刺激は、個々の刺激が感覚野のこれらの垂直または水平の経線軸のいずれかに重ならないように適合化されてもよい。
刺激は、刺激を知覚的に空間周波数が倍増されて出現させる配列で提示されてもよい。刺激は、空間的に周波数が倍増された配列が知覚されるように提示されてもよい。刺激は、周波数倍増周波数より低い、または高い空間周波数が知覚される配列で提示されてもよい。刺激は、周波数倍増周波数より30%低いものから周波数倍増周波数の200%までの空間周波数が知覚される配列で提示されてもよい。知覚される空間周波数は、知覚される倍増空間周波数の30%〜200%までの範囲内であってもよい。サンプリング格子は、極座標表現で提示されてもよい。刺激は、使用に際して各刺激が感覚野内のほぼ同数の感覚細胞を刺激するように選ばれてもよい。視野の各部分に対する個々の刺激のサイズおよび形状は、極座標表現内で関心のある視野変化における空間的自己相関を計算することによって推定されてもよい。極座標表現の座標は、半径および極角度の線形または非線形関数であってもよい。
本方法はさらに、約3対1のアスペクト比を有する1つ以上のフィルタの作動によって、極座標表現内の概して細長い特徴を拡大する工程を含んでもよい。線形フィルタは、実行手段またはガウス窓を備えてもよい。1つ以上のフィルタは、エッジ保存フィルタであってもよい。エッジ保存フィルタは、メジアンフィルタ、前後方向メジアンフィルタまたは反復的非線形フィルタのうちの1つ以上から選択されてもよい。
本方法はさらに、応答を記録する工程を含んでもよい。応答は、メモリに記録されてもよい。応答は、応答を処理する工程より前、または応答の処理後のいずれかで記録されてもよい。処理された応答は、処理後に記録されてもよい。メモリは、メモリ格納用データベースまたはデバイスであっても、コンピュータ読取り可能メモリデバイスであってもよい。
対象の感覚野において刺激により喚起される応答は、以下:例えば、刺激により喚起される皮質電位を検出するために対象の頭皮上に装着される複数の記録用電極を備える脳波計(EEG)デバイスを使用して、電界および/または電位の変化を検出することにより電気的ポテンシャルを検出することと、例えば脳磁計(MEG)の記録エレメントのEEGに類似する装置の磁場および/または磁気的ポテンシャルを検出することと、感覚神経系の活動により生成される還元ヘモグロビンの神経系を介する流れから生じる核差動磁気共鳴信号によって誘発される電界または磁界の一方または双方を検出することと、あるいは、例えば感覚神経系の活動により生成される還元ヘモグロビンまたは酸化ヘモグロビンにより差動的に散乱または吸収される赤外線を検出することとにより電磁放射線を検出することから成る群から選択される方法、または類似の編成による検出方法によって検出されてもよい。あるいは、対象の感覚野において刺激により喚起される応答は、神経過程により影響される赤外信号に応答する、音響分光法を含む音響信号の変化を検出することによって、対象の一方もしくは双方の瞳孔の応答変化を検出することによって、または対象の目の動きの変化を検出することによって検出されてもよい。
処理する工程は、刺激により刺激される感覚野の各刺激部分の応答を特徴づける線形および/または非線形重み関数を計算する工程を含んでもよい。処理する工程は、記録される応答を感覚野の刺激部分の直線表現へ変換する工程を含んでもよい。処理する工程は、記録される応答を感覚野の刺激部分の極座標表現へ変換する工程を含んでもよい。処理する工程はさらに、関心のある視野変化における空間的自己相関を計算することによって視野の各部分について個々の刺激のサイズおよび形状を推定することと、個々の刺激をディスプレイへ送信して感覚野検査の間に対象へ提示することとを含んでもよい。処理する工程は、極座標表現内の関心のある視野変化における空間的自己相関を計算することを含んでもよい。極座標表現の座標は、半径および極角度の線形または非線形関数として計算されてもよい。
刺激は、ディスプレイ上に連続式に提示されてもよく、または1つ以上の刺激が並行/同時的に提示されてもよい。並行して提示される刺激は、統計学的に独立したロケーションにおいて提示されてもよい。並行して提示される刺激は、多焦点配列で提示されてもよい。連続して、または並行して提示される刺激は、空間的にまばらに提示されてもよい。連続して、または並行して提示される刺激は、時間的にまばらに提示されてもよい。連続して、または並行して提示される刺激は、空間的かつ時間的の双方でまばらに提示されてもよい。
2つ以上の空間的にまばらな刺激は、同時に提示されてもよい。これらの刺激は、多焦点配列で提示されてもよい。
刺激は、多次元サンプリング格子上の点に提示されてもよい。刺激は、規則的なサンプリング格子上のロケーションに提示されてもよい。刺激は、不規則なサンプリング格子上のロケーションに提示されてもよい。刺激は、ランダムに変わるサンプリング格子上のロケーションに提示されてもよい。
評価される感覚野は、対象の少なくとも1つの視覚野、少なくとも1つの聴覚野または触覚野よりなる群から選択されてもよい。評価される感覚野は、対象の少なくとも1つの視覚野、少なくとも1つの聴覚野および触覚野よりなる群から選択される2つ以上の感覚野であってもよい。評価される感覚野は、対象の1つまたは2つの視覚野、1つまたは2つの聴覚野および1つ以上の触覚野よりなる群から選択される任意の2つ、3つ、4つ、5つまたはそれより多くの、もしくは全ての感覚野の組合せであってもよい。評価される感覚野は、これらの感覚野の大きさの部分集合を含む複合的な感覚野であってもよく、例えば、刺激の集合は視覚野および聴覚野の水平次元のみをスパンする。
評価される感覚野は、対象の少なくとも1つの視覚野であってもよい。評価される視覚野は、対象の一方または両方の網膜の視野感度であってもよい。対象の一方または両方の網膜の視覚野を評価する方法は、視覚障害を引き起こす状態を診断するための方法であってもよい。対象の一方または両方の網膜の視覚野を評価する方法は、局所的な視覚障害を引き起こす状態を診断するための方法であってもよい。前記状態は、緑内障、加齢黄斑変性症または糖尿病性網膜症のうちの1つ以上であってもよく、局所的な視覚障害は脳卒中または多発性硬化症等の神経学的疾患が原因で生じるものであってもよい。
第2の態様によれば、対象の少なくとも1つの感覚野の機能を評価するための装置が提供されている。本装置は、少なくとも1つの感覚野の選択されたロケーションへ刺激を提示するためのディスプレイを備えてもよい。選択されたロケーションは、感覚野の一部分をスパンするサンプリング格子上の点に中心が置かれていてもよい。刺激は、個々の刺激がサンプリング格子の点で同時に提示される場合、これらの個々の刺激が少なくとも1つの感覚野の感覚次元により画定される空間で重なるように適合化されてもよい。
対象の視野へ提示される刺激は、付随する応答を喚起してもよい。本装置はさらに、対象の感覚野における、提示される刺激により喚起される応答を検出するためのセンサを備えてもよい。個々の刺激は、これらが、関心のある感覚野変化の空間的自己相関における関心のある特徴により例示されるように十分に大きくかつ側面が平滑にされた個々の刺激であり、よってサンプリング格子により表され得るものより高い空間周波数を個々に表示しないように適合化されてもよい。
本装置はさらに、検出された応答を処理するためのプロセッサを備えてもよい。検出された応答の処理は、検出された応答を、選択されたロケーションにおける対象の感覚野の機能に関連づけるためのものであってもよい。
第2の態様の一つの配置においては、対象の感覚野の機能を評価するための装置が提供され、本装置は、
前記感覚野の選択されたロケーションへ刺激を提示するためのディスプレイであって、前記選択されたロケーションは、前記感覚野の一部分をスパンするサンプリング格子上の点に中心が置かれていて、個々の刺激は、前記サンプリング格子の点で同時に提示される場合、前記感覚野の感覚次元により画定される空間で重なるディスプレイと、
前記提示される刺激により喚起される対象の感覚野における応答を検出するためのセンサと、
前記検出された応答を前記選択されたロケーションにおける対象の感覚野の機能に関連づけるべく処理するためのプロセッサと
を備える。
ディスプレイは、サンプリング格子上の刺激の空間エイリアシングが最小限に抑えられるように、個々の刺激が同時に提示されれば十分に重なるような構成であってもよい刺激を提示すべく適合化されてもよい。すなわち、刺激は、サンプリング格子が正確に表示し得ない空間周波数をほとんどまたは全く送信しなくてもよい。あるいは、もしくは並行して、刺激は、同時に提示されれば個々の刺激が十分に重なり合い、よってナイキストレートと称されかつサンプリング格子のジオメトリにより画定されるサンプリング格子の臨界サンプリング周波数より高い空間周波数をほとんどまたは全く伝達しないように構成されてもよい。刺激のプロファイルは、滑らかに変化していてもよい。個々の刺激の滑らかに変わるプロファイル(具体的には、プロファイルのエッジおよび/または角)は、低い空間周波数のフーリエ成分しか含むことができないほど十分に平滑であってもよい。個々の刺激は、ぼかされてもよい。刺激のプロファイルは、個々の刺激が、サンプリング格子の複数の点により画定されサンプリング格子により表示され得る最も高い空間周波数以下である空間周波数しか含まないように、滑らかに変わっていてもよい。十分に平滑である、またはぼやけた個々の刺激には、対象が十分な屈折矯正を受けなくてもよく(すなわち、屈折矯正が誤った、不十分なものであっても、全く行われなくてもよく)、対象の視野の評価結果にさほど影響がない、という重大な利点がある。
本装置は、刺激を、刺激を知覚的に空間周波数が倍増されて出現させる配列で提示するように適合化されてもよい。本装置は、刺激を、空間的に周波数が倍増された配置が知覚されるように提示すべく適合化されてもよい。本装置は、刺激を、周波数倍増周波数より低い、または高い空間周波数が知覚される配列で提示すべく適合化されてもよい。本装置は、刺激を、周波数倍増周波数より30%低いものから周波数倍増周波数の200%までの範囲内の空間周波数が知覚される配列で提示すべく適合化されてもよい。知覚される空間周波数は、知覚される倍増空間周波数の30%から200%までの範囲内であってもよい。
評価される感覚野(または複数の感覚野)は、水平の経線軸および垂直の経線軸を有してもよく、かつ本装置は、ディスプレイ上へ提示される個々の刺激が感覚野の垂直の経線軸または水平の経線軸のいずれかと重ならないように適合化されてもよい個々の刺激を提示すべく適合化されてもよい。
本装置は、サンプリング格子を極座標表現で提示するように適合化されてもよい。刺激は、使用に際して、各刺激が感覚野におけるほぼ同数の感覚細胞を刺激するように設計されてもよい。本装置のディスプレイは、サンプリング格子を極座標表現で提示するように適合化されてもよい。
本装置はさらに、概して細長い特徴を極座標サンプリング格子で拡大するための1つ以上のフィルタを備えてもよい。1つ以上のフィルタは、実行手段またはガウス窓であってもよい1つ以上の線形フィルタを備えてもよい。1つ以上のフィルタは、エッジ保存フィルタであってもよい。エッジ保存フィルタは、メジアンフィルタ、前後方向メジアンフィルタまたは反復的非線形フィルタのうちの1つ以上から選択されてもよい。
本装置はさらに、刺激により喚起される対象の感覚野における応答を検出するためのセンサを備えてもよい。このセンサは、以下:例えば刺激により喚起される皮質電位を検出するために対象の頭皮上に装着される複数の記録用電極を備える脳波計(EEG)デバイスを使用して、電界および/または電位の変化を検出することにより電気的ポテンシャルを検出するためのセンサと、例えば脳磁計(MEG)の記録エレメントのEEGに類似する装置の磁場および/または磁気的ポテンシャルを検出するためのセンサと、感覚神経系の活動により生成される還元ヘモグロビンの神経系を介する流れから生じる核差動磁気共鳴信号によって誘発される電界または磁界の一方または双方を検出するためのセンサと、あるいは、例えば感覚神経系の活動により生成される還元ヘモグロビンにより差動的に散乱または吸収される赤外線を検出することとにより電磁放射線を検出するためのセンサとからなる群から、または類似の編成による検出方法のセンサから選択されてもよい。センサは、対象からの皮質神経応答を検出するためのセンサであってもよい。あるいは、対象の感覚野において刺激により喚起される応答は、神経過程により影響される赤外信号に応答する、音響分光法を含む音響信号の変化を検出するためのセンサ、対象の瞳孔の応答変化を検出するためのセンサ、または対象の目の動きの変化を検出するためのセンサによって検出されてもよい。
検出された応答は、メモリに記録されてもよい。応答は、応答を処理する工程より前、または応答処理後のいずれかで記録されてもよい。処理された応答は、処理後に記録されてもよい。メモリは、メモリ格納用データベースまたはデバイスであっても、コンピュータ読取り可能メモリデバイスであってもよい。
プロセッサは、刺激により刺激される感覚野の各刺激部分の応答を特徴づける線形および/または非線形重み関数を計算するように適合化されてもよい。プロセッサは、記録される応答を感覚野の刺激部分の直線表現へ変換するように適合化されてもよい。プロセッサは、記録される応答を感覚野の刺激部分の極座標表現へ変換するように適合化されてもよい。
プロセッサはさらに、関心のある視野変化における空間的自己相関を計算することによって視野の各部分について個々の刺激のサイズおよび形状を推定するように適合化されてもよく、また、刺激をディスプレイに提示するように適合化されてもよい。プロセッサは、極座標表現内の関心のある視野変化における空間的自己相関を計算してもよい。極座標表現の座標は、半径および極角度の線形または非線形関数であってもよい。
ディスプレイは、CRT、LCD、プラズマ、LEDまたはOLEDの各画像表示画面よりなる群から選択されてもよい。
プロセッサは、ディスプレイ上に個々の刺激を連続式に提示するように適合化されてもよく、あるいは、1つ以上の刺激が並行/同時的に提示されてもよい。並行して提示される刺激は、統計学的に独立したロケーションにおいて提示されてもよい。並行して提示される刺激は、多焦点配列で提示されてもよい。連続して、または並行して提示される刺激は、空間的にまばらに提示されてもよい。連続して、または並行して提示される刺激は、時間的にまばらに提示されてもよい。連続して、または並行して提示される刺激は、空間的かつ時間的の双方でまばらに提示されてもよい。
本装置は、2つ以上の空間的にまばらな刺激を同時に提示するように適合化されてもよい。あるいは、本装置は、刺激を多焦点配列で提示するように適合化されてもよい。
本装置は、刺激を多次元サンプリング格子上の点に同時に提示するように適合化されてもよい。刺激は、規則的なサンプリング格子上のロケーションに提示されてもよい。刺激は、不規則なサンプリング格子上のロケーションに提示されてもよい。刺激は、ランダムに変わるサンプリング格子上のロケーションに提示されてもよい。
本装置は、対象の少なくとも1つの視覚野、少なくとも1つの聴覚野または触覚野よりなる群から選択されてもよい感覚野を評価するように適合化されてもよい。本装置は、対象の少なくとも1つの視覚野、少なくとも1つの聴覚野および触覚野よりなる群から選択されてもよい2つ以上の感覚野を評価するように適合化されてもよい。本装置は、対象の1つまたは2つの視覚野、1つまたは2つの聴覚野および1つ以上の触覚野よりなる群から選択される任意の2つ、3つ、4つ、5つまたはそれより多くの、もしくは全ての感覚野の組合せであってもよい感覚野を評価するように適合化されてもよい。本装置は、これらの感覚野の大きさの部分集合を含む複合的な感覚野であってもよい、例えば、刺激の集合は視覚野および聴覚野の水平次元のみをスパンする感覚野を評価するように適合化されてもよい。
本装置は、対象の少なくとも1つの視覚野を評価するように適合化されてもよい。評価される視覚野は、対象の一方または両方の網膜の視野感度であってもよい。本装置は、対象の一方または両方の網膜の視覚野を評価するように適合化されてもよく、かつ視覚障害を引き起こす状態を診断するように適合化されてもよい。対象の一方または両方の網膜の視覚野の評価は、局所的な視覚障害を引き起こす状態を診断するように適合化されてもよい。前記状態は、緑内障、加齢黄斑変性症または糖尿病性網膜症のうちの1つ以上である場合があり、または、局所的な視覚障害は脳卒中または対象の片目もしくは両目に影響する多発性硬化症等の神経学的疾患が原因で生じるものである場合がある。
第3の態様では、対象の少なくとも1つの感覚野の機能を評価するためのシステムが提供されていて、本システムは第2の態様の装置を備え、前記装置は第1の態様の方法を実行するように適合化される。
第4の態様では、対象の1つ以上の感覚野を評価するための第2および第3の態様の装置またはシステムの使用法が提供されている。評価される感覚野は視覚野であってもよく、評価は、緑内障、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、脳卒中または対象の片目もしくは両目に影響する多発性硬化症のうちの任意の1つ以上の評価であってもよい。
第2または第3の態様の装置またはシステムの使用は各々、対象の1つ以上の感覚野を評価するための第1の態様の方法に一致するものであってもよい。評価される感覚野は視覚野であってもよく、評価は、緑内障、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、脳卒中または対象の片目もしくは両目に影響する多発性硬化症のうちの任意の1つ以上の評価であってもよい。
本明細書に開示している発明の態様は、ヒトおよび動物対象の感覚野、具体的には目の視野を評価および定量化するための改良された方法、ならびにこの改良された方法を実行するための装置およびシステムを規定する。主として、緑内障、糖尿病性網膜症(DR)または加齢黄斑変性症(AMD)等の疾患過程に起因する視覚的感度変化の検出に有益であるが、本方法は、正常な盲点の位置、頭蓋形状により決定される特定の正常なヒトの視野の絶対限界、または様々な形式の応力検査において発生する場合のある、または頭部成長の関数としての視野の可逆変化、または小児期の正常な発達の間の神経学的変化といったものを決定するために使用されてもよい。また本方法は、脳卒中または多発性硬化症等の神経学的疾患によって生じる局所的視覚障害を評価するために使用されてもよい。しかしながら、本明細書に記載する例は、提示できる種々の視野感度の入手が容易であるという理由で主に眼疾緑内障を患うヒトに関連している。しかしながら、本明細書に記述している方法および装置が加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、脳卒中または多発性硬化症等の視覚的感度喪失の他の原因にも適用可能であることは認識されるであろう。
本明細書に開示している発明の態様は、標準的行動媒介性視野検査に、または視野をマッピングするための多焦点的方法にも等しく適用可能である。より一般的には、本方法は、2つの触覚次元または聴覚および視覚次元または任意数のこのような感覚次元または任意の組合せについて画定される感覚野等の他の感覚野の評価へ容易に拡大してもよい。不規則なサンプリング格子には幾つかの利点があり、具体的には、正常なナイキストレートを超える感覚野の周波数成分の、位相ではないにしても電力を推定する能力がある。
本発明者らは、視野が、視覚空間に渡って感度が急激に変わる領域を含む場合があること、および感度が急激に変わるこれらの領域に起因して、小さい検査刺激と現行の視野計に使用される粗い空間サンプリングとの組合せがこれらの高い空間周波数をエイリアシングによって被測定視野の歪みに変形することを見出している。これらの設計上の欠陥の偏在性は、意外にも当業者が、標準的な視野検査装置におけるエイリアシングによる潜在的問題を認識していないことを強く示している。したがって、本明細書に開示している態様の編成において、視野を定量化するために使用される視覚的刺激を、これらが特定のサンプリング格子内の隣接するロケーションに提示されると重なり合うように設計されかつぼやけたエッジを有するように修正することは、一般に使用されている方法および装置を凌ぐ著しい利点を提供することが認識される。サンプリング格子に関する大型サイズとエッジのぼかしとの組合せは、格子が規則的かランダムかに関わらずサンプリング格子の密度によって確実には表示され得ない高い空間周波数による潜在的な歪み効果を防止することが見出されている。
本明細書に開示している方法および装置のさらなる重要な利点は、同時に提示されれば重なり合う多くの刺激を有することによって特定の刺激が視野感度変化の所定のパッチと重なる場合もあり、これにより、局所化された感度差を識別するその刺激の能力が最大化されることにある。
網膜神経節細胞、具体的にはその軸索が視神経乳頭または視神経円板まで辿る経路、の解剖学的構造のさらなる考察、および後頭視覚野の各半分は視野の左または右半分しか表示しないという事実を介して、視野の水平および垂直経線に沿って画定される視覚的感度のステップは珍しいものではないことが認識される。したがって、刺激は潜在的に互いに重なり合うべきものではあるが、視野評価のための方法および装置の特定の編成、特にこれらの経線に重ならない、または交わらない視覚刺激集合の編成では、視覚的感度のこのような経線ステップを検出する能力は最大化される場合があることが見出されている。
さらなる態様では、本発明者らによって、視野の極座標マップは網膜感度のむらのある変化を特徴づけることにさらに適合していることが認識されている。したがって、異なるサンプリング格子を用いて取得される視野のマップが異なる被測定視野を比較する目的で標準化された単一表現に変換されるべきものである場合、その表現が規格極座標表現であれば、視野の分析に著しい利点がもたらされる場合がある。これは、各視野ロケーションにおける最適な刺激サイズを決定するために、視野変化の空間的自己相関関数等の測定値が関連座標系において決定されることも可能にする。視野のこのような極座標表現は、容易に認識され得る拡大した矩形形状または単純な線形勾配に視野感度の一般的変化がマップされる緑内障において特に効用がある。最後に、半径方向の座標表現は中心視野へ適切な重みを与えることが認識されていて、極性刺激は、個々の刺激が各々ほぼ同数の感覚細胞を刺激するように設計されることが可能である。
ある特定の配置では、対象の感覚野の成分パーツの機能状態を評価するための方法が提供されていて、本方法は、
(a)関心のある感覚野のその部分をスパンする潜在的に多元性の規則的または不規則なサンプリング格子上の点に中心が置かれた感覚野の個々の部分へ刺激を提示する工程であって、前記個々の刺激は十分に大きく、十分滑らかに変わるプロファイルを有し、よってこれらの刺激は多次元感覚野内で見出される、前記サンプリング格子の密度では正確に表現され得ないものより高い周波数を伝達せず、よって前記サンプリング格子の点において同時に提示されれば前記個々の刺激は空間で重なり合う工程と、
(b)特定の刺激が感度の変化した感覚野の所定のパッチと十分に重なり合うように、エイリアシングがサンプリングに与える影響を大幅に減らすために必要と思われる刺激位置より多い位置を重ね合わせる工程と
を含む。
視野を特徴づけるための各刺激のサイズおよび形状は、網膜に関連する視覚野または視床視覚部位の感覚ニューロンの半径方向対称性およびより高い中心窩密度に関連して選ばれてもよい。視野を特徴づけるための各刺激のサイズおよび形状は、個々の刺激の各々が網膜に関連する視覚野または視床視覚部位のほぼ同数の感覚ニューロンを刺激するように選ばれてもよい。
視野の各部分に対する個々の刺激の最適なサイズおよび形状は、視野データの極座標表現内部の関心のある視野変化における空間的自己相関等の測定値を計算することによって推定されてもよい。前記極座標表現において、変換される空間の座標は半径および極角度の線形または非線形関数であってもよい。
刺激の大きさは、ある測定状況では利用可能な信号対雑音比が特に損傷のある視野においてより低い場合があることを考慮すれば、極空間における分析から最適であると予測されるものより大きくてもよい。
重なり合い滑らかに変わる(すなわち、十分に平滑である、またはぼやけた)刺激は、空間周波数を倍増する錯覚を表示することがある。重なり合いエッジがぼかされた刺激は、実際の刺激空間周波数より高い空間周波数を表示することがある。このより高い空間周波数は、実際の刺激空間周波数の2倍より高い場合がある。低空間周波数コンテンツの優位性に基づいて、より高い空間周波数は概して1cpdを下回ってもよい。重なり合いぼかされた刺激は、視野の一領域内の急激なコントラスト反転、急激なオンセットおよびオフセット、または視野を横断する急激な移動よりなる群から選択される時間変調と結合されてもよい。時間変調により、刺激は10Hz〜30Hzの間の速度で変調されてもよいが、刺激内の比較的少ない比率の周波数を構成するという条件で、任意の領域において他の周波数も含んでもよい。
特定の編成において、個々の刺激は、サンプリング格子がサンプリング格子密度により画定される正常なナイキストレートを上回ることになる感覚野内の周波数の電力の推定を可能にすべく適切にランダムであったことを条件として、関心のある幾つかの周波数を伝達するように、不十分にぼかされたプロファイルまたは不十分な重なり合いを有してもよい。
使用に際して、個々の刺激は、視野評価が行われている対象の視野の各部分へ個々に提示されてもよい。対象の行動応答は、各ロケーションへ提示される刺激について決定されてもよい。行動応答は、対象によるボタン押しであってもよい。刺激の最小コントラストまたは輝度の閾値は、各刺激ロケーション毎に決定されてもよい。閾値上刺激を認識する周波数は、各刺激ロケーション毎に決定されてもよい。
刺激の提示方法は多焦点式であってもよく、そのロケーションにおける各刺激は時間系列によって変調されていく。時間系列は、検査されている対象の神経系の各部分へ提示される各刺激に対して測定された応答を特徴づけるように適合化される線形および非線形重み関数が推定されることを可能にすべく十分に統計学的に独立していてもよい。測定される応答は、検査されている対象の神経系の各刺激に対する応答の推定値を提供してもよい。測定される応答は、所定の刺激系列と異なる遅延における刺激系列自体との間の相互作用に対する応答を含んでもよい。測定される応答は、第1のロケーションにおける刺激と他のロケーションおよび幾つかの遅延における少なくとも1つの他の刺激との間の相互作用を含んでもよい。測定される応答は、客観的に測定される検出および神経系からの神経活動の記録から推定されてもよい。記録される測定値は、必要に応じて適切なセンサおよび/またはレコーダによって検出および/または記録されてもよい。センサは、電気または磁気センサ、赤外線または他の電磁放射線の吸収、散乱または偏向の変化を検出することに適するセンサ、機能的な磁気共鳴画像センサ、または対象の一方もしくは両方の瞳孔の応答を検出するためのセンサよりなる群から選択されてもよい。検出された応答は、次に、メモリデバイス等の適切なレコーダに記録されてもよい。
視野感度は極座標表現に変換されてもよく、よって、視野感度の局所的変化は容易に識別される場合がある。極座標表現は、極座標領域における視野変化を認識するための分析を提供してもよい。様々な視野計のサンプリング方針からのデータは、そうでなければ異なるサンプリング格子上に記述されるデータを比較するために標準的な極座標表現に変換されてもよい。
以下、添付の図面を参照して、本発明の方法、装置およびシステムの編成を単に例示的に説明する。
差スペクトル平均による3つのトランセクトのグラフであって、より一般的かつ空間的に粗い24−2および30−2検査でナイキストレートを上回って発生する追加的な空間周波数を示す。挿入図はスペクトルの計算に使用された511件のHFA10−2視野検査の平均値を示す。 24件のHFA10−2視野の差スペクトル平均による垂直、水平および直交トランセクトの平均値を示すグラフであって、上方の視野欠損は水平経線における1ステップを示す。 210件のHFA10−2視野の差スペクトル平均による垂直、水平および直交トランセクトの平均値を示すグラフであって、下方の視野欠損は水平経線における1ステップを示す。 277件のHFA10−2視野の差スペクトル平均による垂直、水平および直交トランセクトの平均値を示すグラフであり、水平経線に重大なステップは存在しない。 各々、広さ2度の1つのぼやけた視野刺激の画像および等高線図を示す。 図5Dの視野サンプリング格子において線A−Aに沿って配列された図5Aの刺激集合の振幅を示すグラフであって、このような刺激の集合が視覚空間を水平および垂直に1度の間隔でサンプリングしたサンプリング格子上に並べられると発生すると思われる隣接する刺激間の全体的重なり合いの度合いを示す。 図5Dのそれに類似する1度のサンプリング格子が正確に表現できるものより迅速に空間上で変わる感度の高周波数空間変調を含む視野モデルの一例を示す。 図5Aの刺激によるサンプリングに続く、図5Dのサンプリング格子内に配列された高空間周波数を含む、図6のそれに類似する視野の二次元振幅スペクトルにおけるエイリアシングの一例を示す。 図7Aの線B−Bに沿ったゼロサイクル/度の近くの振幅スペクトルの振幅断面図である。 各々、角度幅が図5Aの刺激の2倍である幅2度の1つのぼやけた視野刺激の画像および等高線図を示す。 図8Dの視野サンプリング格子において線C−Cに沿って配列された図8Aの刺激集合の振幅を示すグラフであって、このような刺激の集合が視覚空間を水平および垂直に1度の間隔でサンプリングしたサンプリング格子上に並べられると発生すると思われる隣接する刺激間の全体的重なり合いの度合いを示す。 図8Aの刺激によるサンプリングに続く、図8Dのサンプリング格子内に配列された高空間周波数を含む、図6のそれに類似する視野検査刺激の二次元振幅スペクトルにおけるエイリアシングの一例を示す。 図7Aの線D−Dに沿ったゼロサイクル/度の近くの振幅スペクトルの振幅断面図である。 各々、6度のサンプリングによるHFA30−2検査パターンに使用するための幅9度のぼやけたエッジを有する正方形視野刺激の一例の画像、等高線図および振幅分布を示す。 6度のサンプリング格子によるHFA30−2検査パターンを示す。 図11AのHFA30−2検査パターン内に配列された図10Aの刺激の50%等高線の略示であり、同時に提示された場合の刺激の空間的重なり合いを示す。 各々、重なり合う輪郭がよりはっきり見えるように図11Bの刺激の半分を示す。 網膜を視神経乳頭または視神経円板まで横断する網膜神経節細胞の経路、およびこれらが視神経円板部分の損傷に反応する視野感度変化の形状に与える可能性のある影響を表示する網膜の略図である。 刺激が視野の水平および垂直経線に重ならないようにサンプリング格子が調節されている、図10Aの刺激を使用する図11A〜11Dまでのそれに類似する刺激集合を示す略図である。 刺激が重なり合うように修正されたFDT N−30刺激集合の一例を示す。刺激の輪郭は刺激の外側の境界を表現し、刺激は視野の水平および垂直経線と重なっていない。 各々、直線表現および極座標表現においてHFA24−2パターンで測定された視野の一例を示す。 各々、緑内障性障害のあるさらなる視野の例の直線表現および極座標表現を示す。 各々、緑内障性障害のあるさらなる視野の例の直線表現および極座標表現を示す。 各々、緑内障性障害のあるさらなる視野の例の直線表現および極座標表現を示す。 各々、視野の水平および垂直経線に関連するO30−44格子内に配列されかつ半径の増大と共に増大する刺激のサイズを示す、ぼやけたエッジを有する大きい刺激の集合の個々の半分を示す。 図19Aおよび19Bに示す刺激であって、同時に提示されるべきものである場合の隣接する刺激の実質上の空間の重なり合いを示す。 図19Cの極性刺激集合の画像であって、画像の左半分は図19Aの刺激の左半分を示し、画像の右半分は図19Bの刺激の右半分を示す。 視野評価のための装置およびシステムのコンポーネントを示す略図である。 視野評価のための例示的な装置およびシステムの立体配置を示す略図である。 各々、図19CのO30−44配列による多焦点極視野刺激に対する対象の左右瞳孔の応答を示し、左右の瞳孔からの各視野ロケーションに対する応答ペアを表示している。 本明細書に記述している極重複性視野刺激方法と比較するために、正常な機能の確率をHFA24−2検査により測定される網膜位置の関数として示す。 比較的少ないピクセルを有する画像マトリクス(図23A)に対して、様々なサイズおよびアスペクト比のメジアンフィルタの使用が与える効果を描いている。 対象の視覚野を評価するための画像の線形フィルタリングの2つの例示的な演算子を表す。 比較的少ないピクセルを有する画像マトリクス(図25A)に対し、図24の線形ガウスフィルタを様々なサイズおよびアスペクト比の二次元フィルタを生成する異なる組合せで使用することが与える効果を描いている。
別段の定義のない限り、本明細書に使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。以下、本発明の目的に沿って、下記の用語を定義する。
本明細書において、不定冠詞「1つの」は、その冠詞の文法的目的語の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指す。例を挙げると、「1つのエレメント」は1つのエレメントまたは2つ以上のエレメントを指す。
本明細書において、「約」という用語は、1つ以上の基準量に対して30%、好適には20%、より好適には10%変わる量(例えば、周波数または確率)を指して使用される。
本明細書を通じて、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「備える、含む」という動詞の原形、三人称単数形および現在分詞形は記述された工程もしくはエレメント、または工程もしくはエレメントよりなる群の包含を含意するものとして理解されるが、他の任意の工程もしくはエレメント、または工程もしくはエレメントよりなる群の除外を含意するものではない。
本明細書に記述されたものに類似する、または同等の任意の方法および素材は、本発明の実施または検査において使用されることが可能であるが、記述されている方法および素材は好適なものである。本明細書に記述された方法、装置およびシステムが様々な方法で、様々な目的で実装されてもよいことは認識されるであろう。本明細書における記述は、単に例示的なものである。
図1〜図4を参照すると、現行の視野計設計は、そのサンプリング格子により画定されるSを上回る空間周波数の存在に起因してアンダーサンプリングおよびエイリアシング効果を呈することが分かる。具体的に、多くの異なる対象から取得された511件のHFA10−2視野測定に基づく図1を参照する。10−2パターンは、精細度が標準的な検査格子の3倍である水平および垂直に2度で分離された検査点の正方形格子を有する任意選択の検査パターンである。したがって、このより精細な格子のSは3倍であって、視野感度における周波数が標準的な粗い6度の格子の場合のSより高い周波数で存在するかどうかを確認することを可能にする。図1の右上における挿入図10は、緑内障患者のサンプルからの測定された(合計511件の)視野の平均感度を示す。緑内障は、その初期段階で局所的な視覚障害または失明に繋がる網膜への局所的損傷をもたらす疾患である。視野の局所的な不可視領域は、暗点と称される。図1の3つのトレース12、14および16は各々、測定された511件の視野の511の二次元振幅スペクトルから導出された関数による水平、垂直および対角トランセクトである。導出されたこれらの関数を差スペクトルと称する。
図1の挿入図10に示すように、全ての視野は、半径10度のほぼ円形の窓によって境界される。この窓処理は、より高い空間周波数を有する幾つかのアーティファクトをスペクトルに生じさせる。この効果を最小限に抑えるために、実際の緑内障視野に各々1つのダミー視野が構築された。ダミー視野は実際の視野の円形窓の正確な形状を有していて、ダミー視野内の各点は所定の実際の視野からの点の平均と入れ替えられた。したがって、実際の視野の各々について、そのダミーはその実際の視野と同じ平均感度値を有していた。次に、511件のダミー視野の各々からの振幅スペクトルが計算された。これらのダミー視野は、視野内の任意の構造を除いて実際の視野の全ての空間特性を有することに留意されたい。次に、ダミースペクトルを対応する実際視野のスペクトルの各々から減算することによって差スペクトルが形成された。したがって、差スペクトルは、平坦な円形視野からは予測されないと思われる任意の余分な周波数を示している。
図1は、ゼロ(0)振幅を記す水平の点線15の下に2つの垂直な点線11および13を示している。左側の垂直線は、サンプリング格子6度の対角分離のためのS、1度当たり1/(12*√2)サイクル(cpd)を示す。右側の垂直線は、水平および垂直方向のS、1/12cpdを示す。3つのトレース12、14および16は、差スペクトルの平均周波数コンテンツを示す。エラーバーは標準誤差である。特に6度のサンプリング格子のSを上回る周波数における極小のエラーバーは、これらの周波数がほとんど全てゼロ振幅から極度に異なるものであることを示している。挿入図10に存在する平均視野から推察できるように、緑内障対象の視野の多くは、視野の水平経線において緑内障では一般的な感度ステップを示した。このステップは、高い空間周波数コンテンツを垂直方向に増大させる。これは、差スペクトルの平均垂直トランセクト(トレース12)によって実証される。この効果は、差スペクトルの水平経線に対応するトランセクト(トレース16)を考慮することによって最小化され、このような周波数はいずれも視野内の感度ステップに直交する。差スペクトルを介する対角トランセクト(トレース14)も、視野内の水平に方向づけられるステップにさほど影響されない。
視野ステップの相対的寄与を観察する別の方法は、確定的ステップを含む、または含まない視野の差スペクトルを比較するものである。図2は、上部視野に1つのステップを生成する感度抑圧を有していた24件の視野の結果を示している。この場合もやはり、右上の挿入図20に実際の平均緑内障視野を表示している。図2のトレース22は、図1の差スペクトル平均の水平、垂直および対角トランセクトの平均を示す。垂直な破線および一点鎖線(各々、21および23)は、6度サンプリング格子のS値を示す。図3は、挿入図30に見られるように垂直に反転されたステップを示した、測定された210件の緑内障視野の差スペクトル平均による水平、垂直および対角トランセクトの平均を示す。図4は、挿入図31における平均視野から推察できるように確定的ステップが存在しなかった277件の緑内障視野の差スペクトル平均による水平、垂直および対角トランセクトの平均を示す。この場合でも、6度の格子のナイキストレートSを大幅に上回る周波数が存在している。
これらの検査データが、規格24−2検査に使用される方法と同じ方法を使用したHFA検査計器から得られたものである点は重大であり、空間内の視野の変調周波数が、6度サンプリング格子のナイキストレートを大幅に上回って存在することは明らかである。先に言及したように、これらのより高い周波数は、0からSまでの帯域において、より低い、エイリアスのかかった空間周波数として現れる。この折返しは、視野変調がナイキスト周波数の約3倍の周波数にまで拡大することに起因して少なくとも3回発生する点に留意されたい。スーパーナイキスト周波数の振幅は、約1dBである。折返しが複数回発生することから、これにより、生じる歪パターンの振幅は乗算される可能性がある。様々な周波数は、その位相に依存して構築的に加算される可能性がある。よって全体として、視野を歪ませる偽パターンが約6dBの振幅で発生する可能性がある。静的視野計は再現精度が低いことで知られ、これは、視野の損傷が大きくなるほど悪くなる。この損傷は視野の空間周波数変調をより高くし、かつこれらのますます高まる高周波数成分は測定される視野を歪ませる傾向があって、おそらくは再現精度不足に寄与している可能性がある。
低空間周波数コンテンツを有する大きく重なり合う刺激
図5Aは、視野計のための潜在的刺激を示す。この事例において、刺激は光の二次元ガウス形スポットである。図5Bは等高線図と同じ刺激を示し、等高線の各ステップは刺激の最大明度の10%である。図5Dは、規則的な正方形格子内に配列されたこれらのガウス刺激の集合体を示す。格子点は、1度の視角で分離されている。図5Dは、視野内の視野検査用刺激として可能性のある位置を表している。図5Cは、仰角0度におけるこの集合の水平トランセクトであり、この分離においてガウス刺激が重なり合うことを示す。
図6は、ガウス刺激の変調におけるそれより高い空間周波数を含むランダムな視野のモデルを示す。当業者は、図5Dまたは図6のいずれかの刺激に類似する刺激を有する視野をサンプリングすれば、ナイキストレートの2倍の間隔で、この場合は1cpdの間隔で離隔される低域通過フィルタをかけられた視野のコピースペクトルを含む二次元空間周波数スペクトルが生じる結果となることを理解するであろう。サンプル格子が視野のスペクトルの周波数コンテンツにとって粗すぎるものであれば、視野のスペクトルのコピーにおける高い周波数が主スペクトルにおける低い周波数に追加され、これがエイリアシングの元になる。図7Aはスペクトルの一例を示し、図7Bは0cpdに近いA−Aにおけるスペクトルによる水平トランセクトを示し、スペクトルの重なり合いが非常に大きく、過剰なエイリアスのかかった周波数が生成されることが示されている。先に示唆したように、視野検査用刺激をより大きくかつ側面をより滑らかにすれば、測定される視野を重篤に歪める可能性のあるこの効果は和らぐはずである。明らかに、狭く、よって空間的に比較的はっきりとした刺激および正方形の粗いサンプリング格子は視野のスペクトルのコピーを重複させ、よって、ナイキストレートを超える、この場合は水平および垂直に1度当たり0.5サイクルの高い空間周波数が高位のコピーからの周波数を主スペクトルへとリークさせ、測定される視野を歪める可能性のあるより低い「エイリアスのかかった」空間周波数として出現させることが認められる。
規則的な格子を用いるサンプリングの効果は、不規則かつランダムな格子を用いるサンプリングについて考えられる利点を際立たせる。主たる利点は、二次元感覚野の場合、エイリアスのかかった周波数は原点から均一に隔たった環スペクトルへと散乱され、このエイリアスのかかった周波数は構築的に加算されそうにないランダム相を有することにある。より高次元の感覚野の場合、この環は多次元球になる。さらに、感覚野の周波数スペクトルの位相ではなく電力のみが必要であるとすれば、これは、サンプリング格子が適切にランダムであることを条件として任意の高さまでの周波数で行うことができる。これは、時間領域におけるサンプリングに基づいて予測されるが、この概念は複数の次元へ容易に拡大できることが妥当である。
これは、サンプリング格子がランダムであって、おそらくは検査セッションの実行中に関心のある感覚野の領域内で変化し、やはりエイリアシングの効果を最小限に抑えかつ潜在的に感覚野において正常なナイキストレートを超えるより高い周波数の電力に関する情報を提供する可能性を開く。この情報は、緑内障等の疾患、または視野限界を決定する異なる頭蓋形状を有する特定の人種または動物種に帰属すること等の正常過程、または様々な形式のストレス検査により課される正常なヒトの感覚野の可逆変化、または小児期の正常な発達によって発生する変化のいずれかに起因して生じる母集団ノルムからの逸脱を特徴づける際に有益である場合がある。
図8Aおよび8Bは、大きさが図5の場合の2倍であるガウス刺激を示す。図5の場合と同じ間隔1度で配置されると、図8Cは、同時に提示されるものとすれば刺激の重なり合いがほぼ完全であることを示す。しかしながら、より大きいこれらの刺激のアンチエイリアシングフィルタリング効果は、まだ図9Aの振幅スペクトルにおいて示されるようなスペクトルのコピーを分離するほど十分なものではなく、エイリアシングの効果が依然として発生することが示されている。図8のより大きい刺激はスーパーナイキスト空間周波数の振幅を低減させているが、エイリアシングを防止するほど十分ではない。これは、エイリアシングを減らすためにぼやけた刺激の略重複が必要であることを示し、また、この歪み効果を除去するためにはサンプリング格子のスペーシングより遙かに大きい重なり合いが必要であることが見出されている。正確な重なり合いは、刺激および視野の、すなわちアンチエイリアシングフィルタの空間周波数コンテンツに依存する。空間的に低域通過性の空間周波数スペクトルを有する刺激の場合、重なり合いは最小限、隣接する刺激が高さの半分まで接触し、格子内のサンプリングロケーション間の平均距離の5倍以上は拡大できるようなものであるべきである。当然ながら、前記効果は、視野の変調がここで使用している例(図6)ほど急激でない場合は少なくなる。
したがって広義には、視野内の空間エイリアシングの克服において重大な利点をもたらすことが見出されている方法は、検査刺激を従来の視野計に使用されるものより遙かに大きくし、かつ刺激に滑らかなエッジをもたせるものである。より大きくエッジが滑らかなこれらの刺激は視野を空間的にフィルタリングして視野のより短いレンジの変動を効果的に除去し、よってエイリアシング効果を排除する。HFAレポートに対する閾値のグレースケールプロットの線形補間によって部分的に行われるようなサンプリング後の平滑化は、Sを超える全ての周波数がその時点までに既にSを下回るエイリアスのかかった周波数に移動されていることを理由にエイリアシングの問題を解決しない点に留意されたい。平滑化は、サンプリングプロセスにおいて、またはその前に発生しなければならない。したがって、いかなる形式のアンチエイリアシングフィルタも持たない現行の視野計設計は、暗に、そのサンプリング格子が画定するSを上回る空間周波数は存在しないという概念に基づいて予測されている。
したがって、緑内障視野内における標準的な6度視野計格子のナイキストレートより高い空間周波数の存在に起因して、重なり合う刺激は、エイリアシングの効果を最小限に抑えることにより視野の評価において重大な利点を提供することが見出されている。エイリアシングを減らす有益な効果をも凌いで、視野計のための重なり合う刺激の使用は、1つの刺激による多くの移動により1つの刺激が局所化された損傷領域を識別する最適位置において発生するという見通しが存在するという理由で、動的視野検査の有用性の幾分かの回復を有効化すること等の重大な追加的利点も有する。これは、刺激の最適なサイズまたは形状とは何か?という問題に繋がる。
視野の所定の部分にとって最適な刺激形状を決定する際には、目の解剖学的構造自体が使用される。例えば、緑内障疾患の場合、この疾患は、軸索とも呼ばれるその神経線維が視神経をつくる網膜神経節細胞の進行性喪失を引き起こす。これらの細胞は、その最も稠密な部分が網膜の中心窩に位置し、その密度は網膜の中心窩から外側への偏心に伴って減少する。偏心度eccの密度関数D(ecc)は、D(ecc)=a(c+ecc)−zによって密接に近似される。但し、指数zは典型的には約2以下であり、cは中心窩網膜密度および網膜偏心度の増大に伴う密度の外中心窩ロールオフを決定し、aは単に全体的なスケーリング係数である[各偏心度におけるD(ecc)とナイキストレートとの関係は、T.Maddess、外著「Evidence for spatial aliasing effects in the Y-like cells of the magnocellular visual pathway」Vision Research、第38巻、1843-1859ページ、1998年、において論じられている]。網膜神経節細胞の高い中心密度は、緑内障が同サイズの2つの暗点、すなわち網膜の周辺部に1つおよび中心部に1つの暗点を生成していれば、中心部の暗点はさらに多くの網膜神経節細胞の死によって生成されていることを含意する。これを理由に、中心部の暗点は概して、重篤な緑内障をより確実に診断づけるものと見なされる[例えば、E.Hodapp、外著「The asymptomatic patient with the elevated pressure」Clinical decisions in glaucoma、52-61ページ、1993年、を参照されたい]。
緑内障による視野障害の重篤さを等級づける幾つかの他の方法も中心視野、とりわけハンフリー視野計の緑内障半視野指数、および「構造および機能評価」(SAFE)方法[C.A.Johnson、外著「Structure and function evaluation(SAFE):I.criteria for glaucomatous visual field loss using standard automated perimetry(SAP)Aand short wavelength automated perimetry(SWAP)」American Journal of Ophthalmology、第134巻、177-185ページ、2002年、を参照されたい]等を基礎とする等級付けスキーム、およびAdvanced Glaucoma Intervention Study(AIGS)グループ刊行の幾分類似したスキーム[「The Advanced Glaucoma Intervention Study(AGIS):1.Study design and methods and baseline characteristics of study patients」、Control Clinical Trials、第15巻、299-325ページ、1994年]に特に重きを置いている。
SAFE方法およびAIGS方法は共に、HFA視野点のクラスタをプールしている。これは、SAFEおよびAIGSのプール領域のサイズおよび形状に一致する全体的により大きい検査領域が視野の分析において追加的な利点を提供する場合があることを示唆する。
周波数重複法(FDT)視野計およびより新しいマトリックス視野計は共に、これらのプール領域とほぼ同じサイズ、約10平方度の検査刺激を使用するが、FDT検査領域は空間的に重なり合わず、刺激ははっきりとしたエッジを有する[例えば、各々Maddessに付与された米国特許第5,065,767号および米国特許第5,912,723号を参照されたい]。
より多数の個々の刺激を使用しかつこれらを視野内にこれらが空間的に重なり合うように位置合わせすれば(しかしながらこれは実際には、偶発的な重なり合いが可能であり得る多焦点的な刺激提示方法を除いて、刺激が同時に提示されれば発生しない)エイリアシング効果を最小限に抑えることができるだけでなく、重なり合いのプロセスが、最適サイズである可能性のある大きい刺激の1つは大抵が視野内の障害のある領域に中心を置いて提示されることを意味する点については、本発明者らによって認識されている。米国特許第5,065,767号および米国特許第5,912,723号は共に大きい刺激を用いる検査の利点を示しているが、これらは刺激が空間周波数重複錯覚現象を呈することを要求していて、重なり合う刺激を用いて視覚不感受性パッチのロケーションをより正しく識別すること、およびエイリアシングに対する防護を開示または示唆していない。
広域通過解像視野検査(HPR)として知られる視野検査の一形式は空間的に重なり合う刺激を含み、異なるサイズのリング形刺激がHPRサンプル格子の各視野ロケーションに中心を置いて提示される。この方法におけるタスクは、原則的にはより大きいリング刺激が重なり合う可能性のある各ロケーションで見える最小の刺激サイズを見出すことにある。しかしながら、この重なり合いは、HPRのリング標的の各々が高い空間周波数のみを含み、よって測定される視野へはその視野に含まれる高い空間周波数を伝達してエイリアシングを発生させることからエイリアシングの効果を低減しない。
これに対して、本明細書に記述している刺激は、サンプリング格子が復元できるものより低い空間周波数のみを含む。
図10A〜10Cは、HFA30−2検査パターンにおけるものに類似する視野ロケーションの6度格子上へ提示されてもよい、本明細書に記述している方法による重なり合う空間刺激の一例を示す。図11Aは、この30−2検査ロケーションの中心による格子を示し、小さい円は標準HFA刺激のサイズを近似している。先に述べた24−2パターンは、同じ格子上のこれらの検査点の部分集合を表している。
図10A〜10Cの刺激例は、重なり合う刺激の一例を示している。具体的には、図10Aは、刺激パッチ70の相対振幅を刺激パッチ70の中心に対する視野位置の関数として示すグレースケールプロットであり、図10Bは、等振幅の等高線を20%間隔で有する図10Aの刺激の等高線図であり、図10Cは、振幅をコントラストとして記述した、刺激パッチ70を介する多くのトランセクト74を示す。トランセクト74は、刺激70のプロファイルを示すものである。この例では、刺激70は、6度格子上の隣接する刺激領域間に略重複を生じさせるに足る大きさであり、すなわち6度の半値全幅(FWHM)71より大きいことに留意されたい。また、刺激70のプロファイルのエッジ73および/または角75は滑らかに変化している(すなわち、十分に平滑またはぼかされている)。個々の刺激70が滑らかに変化する度合いは、そうでなければ測定される視野の形状を歪ませる可能性もあるエイリアシング効果を形成しかねないより高い空間周波数を視野内に伝えないように選ばれる。十分に平滑またはぼやけた個々の刺激の使用には、対象が検査される際にその目の屈折率を十分に測定される必要(すなわち、検査中の対象が屈折率を矯正される必要)はないという重大な利点があることが見出されている。すなわち、誤った、不十分な屈折矯正でも、または屈折矯正なしであっても、対象の視野の評価結果にさほど影響はない。
刺激の滑らかさは、刺激のフーリエ変換がそれ自体ではサンプリング格子により規定されるナイキストレートより高い周波数を含まなければ十分である。図10Aにおける刺激例のエッジ73は、高い空間周波数コンテンツを含まないことからぼかされて見える。したがって、この特定タイプの刺激をぼやけた刺激と称することができる。当業者は、刺激パッチ70が所望される具体的な格子サイズまたは検査パターンに依存して代替サイズおよび形状である可能性もあること、ならびに刺激パッチ70のエッジ73のロールオフは、エッジが高周波数の空間的フーリエ成分を導入しなければ、エイリアシング効果の所望される低減およびこれまでに述べたようなタイプの刺激の他の利点を達成する代替形状である可能性があることも認識するであろう。
これらの重なり合う低空間周波数刺激の有利な追加的特徴は、個々の刺激パッチが高空間周波数成分を含まず、よってその画像コントラストは球面または円柱矯正のいずれかの数ジオプタの屈折異常によって減退されないことにある。すなわち、本明細書に記述しているぼやけた重なり合う刺激を用いた視覚評価を受けている対象/患者で、誤った眼鏡(または、例えばコンタクトレンズである他の難治性視力補助装置)の矯正を有する者には、刺激70が完全に矯正された視力を有する対象と何ら変わらずに見える。これには、所定のいかなる対象にとっても、その感覚神経系が正常であれば、その対象の視覚評価検査の結果はその視力矯正の正誤に関わらず変わらない、という重大な利点がある。したがって、対象をこれらの大きい、エッジがぼやけた刺激を用いて検査する際には、十分な屈折矯正を達成するためにさほど配慮をしなくてもよい。
図11Aは、格子ロケーション35を有する視野検査フィールドの一例を示す。適切な刺激は、これらのロケーションにおいて対象の視野へ提示することができる。図11B〜Dまでは、上述の方法にしたがって対象視野を評価するための重なり合った刺激パッチの一例(図10Aのパッチ70の通り)を示す。等高線36は、刺激70の50%振幅(半値全幅)を表す。図11Bは全ての50%等高線36を示しているが、隣接する刺激間の重なり合いをより明らかに見せるために半量は点線で描かれている。図11Cおよび11Dもやはり、各々重なり合う等高線をより明らかに見せるために図11Bのパッチの半量を示している。実際の視野検査での使用に際しては、刺激70は、ある特定の格子ロケーション35において一度に1つずつ提示されるか、もしくは2つ以上の刺激70が同時に提示されるべきものであれば、同時的刺激の格子ロケーション35は、好適には、どの検査提示においても2つの刺激が空間的に同時に重ならないように、隣接しない格子ロケーションになる(しかしながら、多焦点方法を用いる編成の中には、刺激が刺激系列内の幾つかの点で重なり合っていてもよいものもある)。視野計では典型的であるように、刺激は一度に1つずつ提示され、連続して提示される刺激の位置は、提示される可能性のあるロケーション(すなわち、図11Aの格子ロケーション35)から成る格子全体にランダム化される。あるいは、刺激は多焦点編成で提示される可能性もあり、この場合、多焦点方法は幾つかの刺激が任意の提示系列上で同時に示されることを可能にするが、任意の1つの格子ロケーションにおける刺激の発現を制御する時間系列は、各領域に対する応答の推定を可能にするほど十分統計学的に、刺激の集合に対する神経系の応答記録から独立している。
図12A〜12Dは、網膜神経節細胞の解剖学的構造における重要な特徴を示している。これらの4つのパネル、図12A〜12Dは、各々、目の内部を検査するための顕微鏡の一形式である眼底カメラにより瞳孔を介して見える網膜後部の線図表示である。視神経乳頭40は、各パネルの左側に、垂直に細長い小さな楕円として描かれている。視神経乳頭40を網膜の各部分へ繋ぐ多くの細い弧状の線41は、網膜神経節細胞の軸索(縫線として知られる場合もある)の可能な経路を表す。中心窩42は、各パネルの中心のすぐ左の弧、具体的には網膜神経節細胞の軸索が視神経乳頭40(視神経円板としても知られる)へと辿る経路41の焦点に位置づけられる。大きく黒い斑43〜49は、視覚的刺激に対して低減した感度を示す網膜の斑を表す。特に興味深い点は、網膜上部からの網膜神経節細胞はその軸索を視神経円板上部へと送り、網膜内部についてはこの逆であることにある。その結果として、緑内障で発生する可能性があるように、視神経円板40において、または視神経円板40の近くで障害を発生させるプロセスはどれも、視覚的感度が変化した弧状の障害セクタ(例えば、図12A、C、Dの斑43または49)または三角形のセクタ(例えば、図12Cの斑48)へと移向する可能性がある。別の共通の特徴として、感度が変化したこれらの斑は、結果的に各々図2および図3の挿入図20および30が示すような所謂感度のステップとなるかなりはっきりとした水平の境界を生み出す水平経線(例えば、各々図12BおよびDの障害のある斑46または49を参照されたい)に関係している可能性がある。後頭視覚野における卒中等の神経学的問題は、しばしば垂直経線に関連する視覚的感度の変化に繋がる。これを理由に、水平および垂直経線に渡って重なり合う刺激にはしないことに意味がある場合がある。これは視野計の一般的特徴であり、例えば30−2検査格子において見受けられる(図10A)。これを、より大きい重なり合う刺激を使用する刺激によって達成するためには、刺激70を、図13に示すようにこれらの境界51および52から僅かに離して移動させることが理に叶っていると思われる。
図11A〜11Dに示されたものに類似する編成は、FDT視野計の一般的なN−30検査パターンの重なり合う刺激バージョンに関して考えられてもよい。例えば、図14Aは、図示された縞模様62が空間周波数重複パターンを表す編成としての1つの可能性を示している。空間周波数の倍化は、刺激が高い時間周波数と低い空間周波数との論理積を含む場合に発生する。これは、約200ms未満で急激に出現して消滅する、または視野内を高速で浮動する刺激、ならびにFDTに使用されるコントラスト反転方法を包含する。代替方法として、空間−時間的条件の所定の組合せで発生し得る倍化以上の高い空間周波数の視感を生み出す刺激を使用するものがある。
図10Aに示された刺激は、FDT刺激とほぼ同じサイズであるが、滑らかなエッジを有する点がこれらの刺激とは異なる。今回の例では、平滑化は、周波数重複パターンを図10Aのそれに類似する包絡線で乗算することによって達成されている。この場合もやはり、これは、屈折矯正の誤り(すなわち、特定の対象における間違った、または不十分な視覚屈折矯正)および標準的なFDT刺激のはっきりとしたエッジに見受けられる高い空間周波数によるエイリアシング効果に対する刺激方法の耐性をさらに向上させる。例えば、マトリックス視野計24−2検査パターンにおいて使用されるようなより小さい刺激、但し図14Aに示す縞模様62と同じ、または類似する空間周波数を有する刺激に関しては、より小さい刺激ではエッジが比例的に大きい刺激部分を形成することに起因して、滑らかなエッジの刺激がさらなる有益な効果を有する。また、対象が、それ自体は低い空間周波数しか含まない空間周波数重複性の刺激よりもはっきりとしたエッジの方へより多くの注意を向ければ、これは達成される感度測定にも影響する。対象がエッジの高い空間周波数コンテンツに注意を向ければ、これにより、達成される応答は周波数倍化をもたらす低い空間周波数ではなくこれらの高い空間周波数へと偏り、よって周波数倍化刺激の利点[各々Maddessに付与された米国特許第5,065,767号および米国特許第5,912,723号を参照されたい]は低減される。
視野の一領域内での視野における、その時間変調が10Hzから30Hzまでの範囲内の電力バルクを有することに対応する高速コントラスト反転、高速オンセットおよびオフセットまたは高速移動と結合された、4cpdという高い空間周波数が使用されてもよい中心窩およびその近くを除いて概して1度当たり1サイクル(cpd)より下の低い空間周波数コンテンツの優位性に起因して、刺激は、実際の空間周波数コンテンツより高い、実際の刺激空間周波数の1倍から数倍の空間周波数を有するように見えることが可能である。
図14Bは、(図14Aが示すような)周波数重複型62である可能性もある刺激60による右目用の標準FDT N−30格子を示す。図11および13とは異なり、この場合の刺激等高線61は、先行諸図の場合の50%刺激レベルではなく、刺激の絶対境界を表している。図14Cおよび14Dは、重なり合う刺激60の相次ぐ追加を示す(但し、刺激60のうちの幾つかは明確を期して外形を点線で描いている)。重なり合う刺激の正確な数、そのサイズおよび領域ならびにサンプリングされる視野領域の全体的範囲が、本明細書に記述しているぼやけた刺激を重ね合わせる方法を損なうことなく変更されてもよいことは認識されるであろう。このような検査の実際の実装は、行動式または多焦点式の何れでも可能である。
極座標表現
図12Cは、中心窩へ向かって突き出す、感度が変化した小さい弧状の斑47を示す。中心窩領域における網膜神経節細胞の比較的高い密度に関する先の論議を考えれば、この物理的に小さい斑は、網膜の周辺領域におけるより大きい斑よりも多数の障害のある細胞に対応する場合がある。したがって、正しい刺激サイズを決定する方法は、網膜の様々な部分における神経節細胞の密度に関連して慎重に設計される必要がある。先に指摘したように、網膜神経節細胞の数はヒトの中心窩では著しく増大される。この増幅は、視覚野において略反映され、よって、所定の網膜偏心度に関して斑状網膜の感度変化を検出するために最適なサイズを有する刺激は、皮質の感度変化の検出にとっても最適になる。かなりのところまで、偏心によって生じる網膜細胞の密度変化は中心窩を中心にして半径方向にほとんど対称性である。半径方向の対称性からの最適化され得る小さい逸脱は幾つか存在するが、説明上の便宜から本論考では考慮されていない[さらなる情報は、C. Curcio、Allen KA共著「Topography of ganglion cells in human retina」Journal of Comparative Neurology、第300巻、5-25ページ、1990年、を参照されたい]。
まず、直線系について考察すると、斑の平均的なシフト不変のサイズを求めるために、斑状変化を示す視野の空間的自己相関関数が計算されてもよい。しかしながら、このアプローチには、網膜または網膜視覚脳部位等の略極座標系における有用性に限界がある。したがって、水平(h)空間および垂直(v)空間上に画定される何らかのサンプリング格子において取得される視野データV(h,v)が中心窩からの半径(r)および中心窩を中心とする極角度(θ)に関連して画定される極座標表現V(r,θ)に変換されれば、感度が変化した領域を明白に識別するために、新しい極座標表現において自己相関測度または何らかの類似測度が計算されてもよい。このような極変換を使用すれば、得られる関数は、変換された空間において単位面積が各単位面積当たり一定数の網膜細胞に関連づけられる座標を有することが見出されている。したがってすなわち、当該空間におけるある特定の斑は、何らかの単位細胞数に対応する可能性がある。視野特性をこのような方法で定量化するための極座標表現、および後に論じるように、この表現から取得され得る対応する利点の使用が、視野評価のためにいまだ当業者によって実現されていないことは確信される。さらに、最初の極座標表現の最適化が利用可能であって、この場合、変換される視野の大きさは真の視野半径および極角度の幾つかの非線形関数f(x)またはg(x)である場合もあって、例えばV(ρ,Ψ)であり、ここで、ρ=f(r)およびΨ=g(θ)もまた可能である。例えば、非線形変換の方が、網膜の何らかの1または複数部分における網膜神経節細胞密度によく合致する場合もある。説明の便宜上、以下の論考は線形事例に限定されているが、非線形極座標表現が本明細書に記述される方法に包含されることは認識されるであろう。
図15Aは、HFA24−2検査パターンを用いて取得された視野90内の点の感度に関するデータを示す。本図においては、視野90の各領域91における相対感度がグレーレベルで示され、暗部は低感度(すなわち、障害のある感度)に相当し、明部は高感度に相当する。視野90内の各点の感度データは、黒色を背景にして提示されるチェック模様91として表現される。チェック模様91のサイズは、そのデータを取得するために使用された刺激のサイズを指すものではない。この事例において、刺激は、示されているチェック模様の各々の中心に空間的に提示された極小のゴールドマンサイズIII刺激であった。直線空間の標準的な象限1〜4は、プロットを囲む表記法Q1〜Q4によって示されている。仰角0度の直上で方位角−15度における黒色のチェック模様80は、視覚的に非感受性である視神経円板40により生成される正常な盲点である。この視野プロットは、先に述べたV(h,v)関数の一例を表現している。図15Aからは、この視野が、凝視から半径方向へ低下する全体的な感度喪失を示していることが分かる。このタイプの喪失は緑内障に共通するものであり、大きい刺激によって十分に検出される。図15Bは図15Aにおけるものと同じデータを示しているが、これは、中心窩からの半径(r)および中心窩を中心とする極角度(θ)に関連して画定される極座標に変換され、よって先に述べたように、半径の関数としての視野の感度減少(図15A)が極座標表現における減少した感度の線形勾配として出現する(図15B)ようなV(r,θ)関数の一例を表す。三重の列(82、84、86および88)はQ1〜Q4で記され、図15Aの各象限に対応する。第1象限82は、図15Bの底部に再現されて、(例えば、図12の損傷された機能46または49において見出されるように)第1象限と第4象限と(Q1およびQ4)の境界に存在する感度のステップが容易に観察されることを可能にしている。この極座標表現では、3度の方位角/仰角半径内部の視野の中心窩部分(すなわち、図15Bのカラム81)が大幅に拡大されているが、これはそこに存在するより多数の網膜感覚細胞に合致するものであって、結果として視野分類における中心暗点を強調していることに留意されたい。正常な盲点は、中央Q2ローの真下の黒色チェック模様80に対応する。
図15Bにおける左から右、カラム81、83、85および87を介した半径偏心の増大に伴う感度の全体的な低下は明らかである。この視野表現の自己相関関数を計算することは、先に述べたようにこの場合のこの極座標表現における中心窩からの距離の方が網膜細胞の数に等しいことに起因して意味があると思われる。
図16Aは、緑内障によって極めて重篤に損傷されている視野100の例を示す。第2象限における残余周辺部の感度を示す弧101は、図16Bの21度のカラム87上部において感度を示す垂直の延長部となって見えている。水平経線に渡る感度のステップは、第1象限から第4象限への境界に渡るステップ103としてはっきりと見られる。第2象限における感度喪失の弧105は、第2象限における暗い垂直の矩形106に位置する。(領域107における)第1象限のほとんど全てである喪失は、図15Bの上部2ローから成る大きな水平の矩形108へと移動する。
図17Aは、緑内障患者からの視野のさらなる例110を示し、中心窩より下の小さい弧状または弓形の暗点111を表示している。図15Bの極座標表現において、この弧111は、極角度240度を中心としてカラム3度の下側にある、図16Bにおける喪失を有するカラム112へと移動する。図17は、同じく緑内障患者からの視野のさらなる例115を示し、さらにもう少し偏心的な弓形の暗点116を表示している。この暗点116は、極角度約210度を中心としてカラム9度内にある垂直な矩形117へと移動する。
全体として、視野の極変換は幾つかの利点を有することが分かる。具体的に言えば、
・中心窩付近の細胞数の相対倍率が考慮される。よってこれは、暗点の平均自己相関長さ等の測度の細胞数中心様式による計算を可能にする。
・弧、セクタおよび半径方向に表現される喪失などの網膜障害の一般的特徴が、極座標表現において容易に識別される***方向に平行な矩形または線形勾配に移動する。
・水平および垂直経線に渡るステップ等の特徴が保存される。
総合すれば、この情報は、これらの極座標表現が最適な刺激サイズを極座標で選ぶために使用され得るだけでなく、さらに、一般的な特徴が直線表現へ表示されることに起因して極座標領域は、このような障害を認識するように設計されるアルゴリズムのアプリケーションへ容易に適合化もされることを示唆している。実際にこれは、幾つかのサンプル格子上で取得される様々な視野計からのデータのためのより一般的な方法が、量的比較の前に標準的な極座標表現へ変換されることを示唆している。
典型的な行動から障害または他の偏りを認識するように設計される、これまでに述べたもの等の実装され得るアルゴリズムの中でも、自己相関または類似の測度は、感度が変化した領域を明らかに識別するために新しい極座標表現において計算されてもよく、様々な形式の空間フィルタリングになると思われる。これらには、1つ以上の演算子を用いる畳み込み等の線形方法、または他の類似する「エッジ保存」フィルタのメジアンフィルタ等の非線形方法が含まれる場合もある。これらの方法およびその潜在的利点の例については、後に図23〜図25および関連する表において示す。
図19A〜図19Dは、これまでに概説した全ての特徴を組み込んだ視野検査用刺激の集合を示す。個々の刺激130は大きく、エイリアシング効果を除去するために滑らかに減退するぼやけたエッジ131を有する。刺激130は、極座標領域では面積がほぼ等しい領域サイズの放射状配置を有し、よって個々の刺激130の各々は視床または皮質視覚部位におけるほぼ同数の網膜細胞を刺激する。刺激の集合は、刺激が境界を渡って重なり合い、視覚的感度の経線ステップを曖昧にする可能性がないように、視野の水平および垂直経線132および133を顧慮する(すなわち、交差または横断しない)。より具体的には、図19Aは24個の刺激130の等高線134をその50%レベルで示している。図19Bは、同じ等高線を残りの20個の刺激130について示している。図19Cは、全44個の個々の刺激130の等高線を示し(明確を期して、刺激の半分の外形は点線で示されている)、本明細書に記述している方法に従った視野評価において使用される(同時に出現すべきものである場合の)刺激の本来の空間的重なり合いの状態を示している。図19Dは、後述する視野評価装置のディスプレイモニタに現れる刺激130のぼやけた外観を示す(明確を期して、垂直経線の両側に刺激の半分だけが提示されている)。
空間的相関性が著しく類似する領域が自己相関関数および信号対雑音比の双方によって決定される場合、最適サイズが、部分的には信号対雑音比によって決定されてもよい点に留意することには価値がある。簡単に言えば、測定されている空間信号の真の自己相関関数は既知であるが、その特定のサンプルに雑音が多ければ、僅かに大きいエリアに及ぶ平均をとることにより、特定のサンプル内の相関される特徴を決定することができる。視野検査の場合、特に網膜の障害が進んでいておそらくはさらに雑音の多い信号を供給している事例では、これは、いっそう大きい刺激が必要とされる場合があることを含意する。最適な刺激サイズをこのようにして決定する能力には、特に例えば検査反復性の向上において重大な利点がある。
これまでの論考は、対象の視野の刺激および評価に関連づけられているが、上述の方法は、任意の感覚野の評価に等しく適用可能である。これまでに概説した大きく重なり合う刺激を用いる処置に適用可能な他の感覚野の例には、皮膚上の触覚野、または音の到達時間の両耳差と音源が位置づけられる視野の水平軸上の対応する方位角とによって記述される視聴覚野が含まれる。このような多感覚野の幾つかの例は、Maddess & Jamesに付与された国際公開第WO 2005/051193号に記載されている。感覚野は、例えば観察者がその皮膚上の触覚のある刺激を見るときに生じる触覚野と視覚野とのコンビネーションを含む、2つより多い次元へ一般化されることも可能である。この場合は、重なり合う刺激の利点がこれらの他の感覚領域において有益であることが含意される。
装置
本発明の装置の一実施形態を形成する基本的なシステムコンポーネントを図20Aに略示している。主要コンポーネントは、対象146の一方の目または両目144へ視覚的刺激142を提示するディスプレイデバイス140(例えば、CRT、LCD、プラズマ、LED、有機LED(OLED)またはこれらに類似するディスプレイ画面)である。刺激は、任意選択として、例えば遠くのオブジェクトをシミュレートすべく画像の拡大制御を有効化するための適切な光学システム145を介して対象へ提示される。対象の頭部へは、刺激142に反応する対象からの皮質神経応答を検出するための、例えば電極149(例えば、頭皮上に置かれて喚起される電位を記録する標準的なゴールドカップ型電極)等のセンサ148が取り付けられて装備される。センサ148からの応答147は増幅器150内で増幅され、応答に対応する視覚により喚起された電気的ポテンシャルがレコーダ152に記録される。また、刺激142に対する応答147を特徴づける線形および非線形重み関数の推測される係数を計算するため、ならびに可視ディスプレイ140上への刺激142の提示を制御するためのプロセッサユニット154等の計算および制御デバイスも準備される。また任意選択として、必要であれば、例えば対象の瞳孔の広がりを監視するための1つ以上のカメラ156等の追加的なモニタおよび/または検出/記録デバイスが使用されてもよく、例えば対象の目の位置、凝視方向または瞳孔の広がりの監視をアシストするために対象の目を照らす赤外線ソース等の1つ以上の追加的な照明ソース158が準備されてもよい(例えば、後述の図20Bの装置を参照されたい)。
対象146の視野評価への使用に際して、各対象用の検査刺激画像142を可視ディスプレイ上へ所望される平均提示速度で提示した。刺激142は可視ディスプレイ上へ提示されることから、提示されるピクチャのシーケンスを特定のフレームレート、例えば毎秒75フレームで提示されるフレームシーケンスとして言及することが一般的であるが、フレームレートは毎秒1フレームの1/20から毎秒1000フレームまで広く変わってもよい(熟練者には、重要である点は実際のフレームレートではなく、各領域/ロケーションにおける刺激の平均提示速度であることが認識されるであろう)。編成によっては、複数のフレームで持続する持続時間に渡って同じ刺激が現れたままであってもよい。後述する例では、フレームレートは一方の目で毎秒30画像であり、瞳孔サイズのビデオレコードは毎秒60フレームで記録された。他の編成では、画像は、幾つかのフレームに渡って起動される間に、時間変調される明るさ、または他の感覚次元を有してもよい。多焦点の事例では、各ロケーションにおける刺激の出現は、刺激される感覚野の各部分の応答を特徴づける線形および/または非線形重み関数が推定されることを可能にすべく統計学的に十分に独立した擬似ランダムシーケンスによって管理される。これらのシーケンスは、典型的には、フレームレートに直に関連づけられない速度、但し領域毎に毎秒約1/20から領域当たり毎秒10までの範囲内、かつ典型的には領域当たり毎秒0.2から領域当たり毎秒5までの範囲内の平均提示速度を有する速度で刺激を送達する。刺激提示の持続時間は、各領域の平均間隔より遙かに短く、刺激を時間的にまばらにするものであるべきである。しかしながら、各領域における異なる送達速度または各領域毎の速度の混合も可能であることは認識されるであろう。複数の刺激領域の配置は、図19Cに示されている。図11B、13Bならびに図14B、14Cおよび14Dは、刺激配置の他の例として考えられるものを描いている。
検査中、対象は、これらの複数の刺激領域の中心に提示されたスポット(例えば、図20Bのクロスマーク161)を凝視するように指示される。当業者には、凝視を維持する、対象の目および/または凝視位置の監視等の他の技術が使用されてもよく、かつディスプレイ画面140上の検査刺激の位置は対象の凝視位置の変化に応じて変更されてもよいことが認識されるであろう。本例において、視覚神経系の応答は、照明ソース158からの目の赤外線照射により取得される対象の瞳孔の直径がカメラ156からのビデオレコードによって記録され、かつ記録デバイス152によって記録される。記録デバイスはプロセッサに組み込まれてもよく、その処理はリアルタイムで実行されてもよい。この場合、検出器センサからのデータは処理後まで記録または格納する必要がなくてもよい。あるいは、喚起される電気的ポテンシャル147はセンサ148から取得されることも可能である。ここで述べている視覚評価のための装置、特に刺激により喚起される神経応答を検出するためのセンサは置換されてもよく、限定的ではないこと、よって熟練者によって認識される様々な装置態様が代用されてもよいことは認識されるであろう。
この点に関連して、当業者には、喚起される神経応答は電気的ポテンシャルを測定すること以外に、磁気もしくは電磁放射線または音響信号、瞳孔反応もしくは目の動きを検出および/または記録すること等の代替技術によって検出されてもよいことが認識されるであろう。電磁または音響監視センサの場合、電磁または音響信号は、脳により発せられる受動信号、または脳を介してもしくは脳へ向かって伝達される電磁もしくは音響エネルギーの散乱、吸収、屈折もしくは反射の効果のいずれかであり、その採用もまた可能である。また、これらの検出技術の2つ以上を何らかの組合せで使用することも除外されない。

例1
本例は、多焦点視野アーキテクチャを用いた上述の方法による対象の視野評価について記述するものであり、エッジがぼやけて平滑な重なり合う刺激を使用する両眼分離刺激に反応する対象の2瞳孔の各々からの応答を同時に記録することによって、対象の両方の網膜の神経応答の客観的な記録を取得した。両眼分離刺激は、両目の視野の独立した刺激である。
別々のO30−44刺激集合を、図20Aに描かれているような、別々の2つの液晶ディスプレイ(LCD)140aおよび140bの画像を一方のディスプレイが対象の各々の目144aおよび144bへ方向づける装置の立体配置を使用して各々の目に提示した。各瞳孔のリアルタイムの直径は、IR LED158(前出のLEDのような複数のLED)からの赤外線照明の下で別々のビデオカメラ156aおよび156bを使用して記録し、監視した。2つのディスプレイ140aおよび140b上の刺激の提示を制御し、ビデオカメラから記録されたデータを収集して格納し、記録されたデータを処理するプロセッサ154は、本事例ではコンピュータシステムとして描かれている。本事例において、装置145の光学システムは、ディスプレイ140aおよび140bからの画像を対象の目144aおよび144bへ方向づけるための2つの二色性「コールドミラー」160aおよび160bを備える。コールドミラーは、対象の目の瞳孔から反射して返されるIR光から各瞳孔のリアルタイムの直径を記録するために、ディスプレイ上へ提示される刺激の波長(色)に対して高反射性であり、同時に、IR LEDの波長において高度に透過性であるように構成される。各LCDの背景照明レベルは、10cd・m−2であった。所定の刺激領域が活性であったとき、その刺激領域の中心部は明度290cd・m−2であった。本例に使用される個々の刺激は、白色というよりはむしろ、(図19Dに描かれているように)装置のディスプレイ画面上では黄色であった。編成によっては、ディスプレイの背景も黄色であってもよい。黄色い刺激は、青色光を吸収する対象の水晶体の褐色効果の可能性を減じる。但し、褐色の度合いはほぼ長年に渡る対象の紫外線への暴露に依存し、よって、褐色の効果は対象の年齢と共に増大する。黄斑色素も青色光を吸収し、よってその光学密度は人によって変わる。したがって、青色光成分を含まない、例えば黄色い刺激の使用が効果的であることが見出されている。
また、黄色い刺激のより長い波長は、眼内の小さい媒介物混濁による反射が比較的少ない。したがって、全体として、黄色い刺激は白色照射よりも、異なる対象間の網膜照射の可変性を少なくする。しかしながら、この設計は限定的ではなく、他の色の光または色の組合せにも他の利点がある場合のあることは理解されるであろう。
88個の刺激領域の擬似ランダム変調は、刺激が時間的および空間的に疎の特性を有することを保証するために設計されている[例えば、全てMaddess & Jamesに付与された米国特許第6,315,414号、米国特許第7,006,863号および国際公開第WO 2005/051193号を参照されたい]。時間的な疎は、刺激がヌル刺激のより長い間隔の間に、好適には領域毎に毎秒0.25〜4の間の提示速度で過渡的に提示される性質である。したがって、起動されると、刺激領域は290cd・m−2で僅か33msだけ留まり、平均提示速度は領域毎に毎秒1刺激であった。空間的な疎は、所定の1つの領域が活性であると、その領域に隣接する領域は同時的に活性にはならないことを保証する性質である。時間的および空間的に疎である刺激は、記録される応答の信号対雑音比を増大させる。検査刺激集合の合計持続時間は4分であったが、これは持続時間30秒の8つの検査セグメントに分割されていた。
本例における調査グループは、43名の正常な対象と、44名の緑内障疾患のある対象とによる174件の眼球を包含するものであった。緑内障患者の視覚障害は、軽度、中等度および重度の損傷視野に分類した。緑内障対象では、ほぼ同数がこれらの3つの視野タイプに属していた。図19Cに示すようなエッジがぼやけて重なり合う大きい刺激を用いるO30−44刺激に加えて、対象は、同じ記録セッションにおいて同じ装置を使用してT30−24多焦点検査集合を用いる検査も受けた。T30−24パターンはO30−44パターンの部分集合であり、図19Aおよび図19Dの左半分に示されている。T30−24は、重なり合う刺激が存在しないことを除けば、他はO33−44刺激と同一であった。2つの検査タイプの間には最低2分間の静止時間が与えられ、検査タイプの順序は対象間でランダムに決められた。
図21Aおよび21Bは各々、多焦点視野刺激に対する対象の左右瞳孔から、よって瞳孔反応が導出される2つの網膜からの応答を示す。各瞳孔および刺激領域については、視野内のO33−44刺激のロケーションにおいて1つの応答が粗くプロットされて存在することに留意されたい。刺激システムは、2つの独立した多焦点バージョンのO33−40刺激集合を同時に、各々の目に1つの集合を示して表示した。結果は、各視野ロケーションに対する応答ペアとなり、この応答ペアは、両目の応答の独立した推定値をもたらす左右の瞳孔から発生する。
図22は、HFA24−2検査により測定された、図21と同じ対象に関する正常機能の確率を示す。正常なパフォーマンスの確率とグレーレベルとの対応づけは、使用符号の説明に記されている。左右の目における、重なり合う刺激によるO33−40検査と重ならない刺激HFA24−2検査との応答を比較することにより、HFA結果が示唆するように、図21における左目視野下部が右目視野の対応部分よりも小さい応答を有することが分かる。
これらの2つの検査方法による視野の感度変化を特徴づける能力を定量化するために、先の受信者動作特性(ROC)プロット(不図示)を、正常な対象の視野を誤認する偽陽性率に対抗して緑内障対象の視野を認識する感度について作成した。これは、雑音の存在下で信号を測定するシステムの能力を特徴づけるものとして十分に認められた方法である。ROCプロットにおいて、完全なパフォーマンスは、プロット内の曲線下の面積1(または、正確な測定の確率100%)を有する。偶然のパフォーマンスは、ROCプロット下の面積0.5(正確な測定の確率は50%)に等しい。表1は、T30−24およびO30−44に関する視野分類毎のROCプロットの結果を示す。
Figure 2011502590
表1の各行は視野の分類を示し、右側の2列はROCプロット下の面積比率に関する結果を示す。重なり合いがあるものおよびないものによる2方法は、重度の視野に関しては約80.3%とほぼ同レベルの性能であるが、軽度および中等度の視野ではO30−44方法の性能が明らかに高く、相対的に損傷されていない緑内障視野を識別する基本的感度が優れていることを示している。
全ての事例において、ROCプロットを、図21に示すような瞳孔反応波形による面積と、ピークまでのその時間との一次結合であるスコアを基礎として形成した。スコアは、これらの2変数を基礎として標準線形判別関数から導出した。所定の一人の対象について、これらの変数は最小から最大へソートされ、正常視野および緑内障視野のN個の最小スコアを判別およびROC分析に入力した。これは、様々なN値について繰り返され、上記表1は、最高の性能を示したNに対するROCの値を示している。これは、障害がよりびまん性に分布しているように思われる軽度の視野欠損への適用可能性が極めて高い直裁的プロセスである。重度の視野では、障害のある部位が群になる傾向があり、よって、重度の視野ではROC面積を増大させると予測される障害の群の様々な形式の二次元分析に対して敏感に反応する。
先に述べたように、直線極座標領域への変換の特別な利点は、図15B、16B、17Bおよび18Bに示されているもの等の極座標内の直線ブロック(例えば、図16Bのブロック102)として表すことのできる障害を強調するためにフィルタリングのようなオペレーションを実行する可能性にある。探し求めている障害の特徴が極座標領域では直線になり得ると認識することにより、特定のサイズおよびアスペクト比の演算子を用いて視野データの空間フィルタリングを実行することが可能である。空間フィルタ演算子のサイズは、例えば直線極座標領域における視野データの自己相関分析によって識別されてもよい。他の編成では、細長いフィルタ演算子も、これらが神経線維41の縫線への障害を表現する直線ブロック(例えば、図16Bのブロック102、図17Bのブロック112、図18Bのブロック117)のサイズおよび形状を模倣するという理由で適切である場合がある。
図23B〜23Dは、様々なサイズおよびアスペクト比のメジアンフィルタの使用が、比較的少ないピクセル(図15B、16B、17Bおよび18Bに示されているもの等)を有する画像マトリクス(図23A)に与える効果の例を示している。メジアンフィルタは、窓が画像点方向へと横断的に移動される一定の大きさの小さい窓の反復適用によって動作し、窓下へ落下するピクセルのメジアン値が計算されて画像へ戻される。メジアンフィルタは一般に、画像から極値を除去するために使用される。図23Aは、原画像を示す。図23Bは、移動する窓が高さ3ピクセルおよび幅1ピクセルであったメジアンフィルタ使用の効果を示す。図23Cは、移動する窓が高さ1ピクセルおよび幅3ピクセルであったメジアンフィルタ使用の効果を示す。これらのフィルタは、画像の垂直または水平の特徴を保つ傾向があり、全体的には長手軸に沿って平滑化が行われている。図23Dは、移動する窓が高さ3ピクセルおよび幅3ピクセルであったメジアンフィルタ使用の効果を示す。
線形フィルタリングの類似形式も、画像との適切な演算子の畳み込みによって行うことができる。これを行うための、メジアンフィルタに関して記述した例(図23B〜23D)に類似する簡便な方法は、感覚野データを表す画像を異なる演算子で垂直および水平方向に畳み込むというものである。視野データの極座標表現の場合、半径方向および極角度方向に沿って異なる演算子が使用される。図24は、このような演算子の2例を示している。演算子210および220は共に、一次元のガウス確率密度関数である。狭い方の関数の演算子210は、画像に垂直に畳み込まれるためのものであり、広い方の関数の演算子220は、画像に水平に畳み込まれるためのものである。演算子210および220の高さの半分は各々約1または3ピクセルに相当し、よってこれらはサイズ的に図23Bの排出用3×1ピクセルメジアンフィルタに匹敵することに留意されたい。双方のカーネルの重みの設定は、演算子210および220の各々より下の面積、ゆえにDC利得が1に設定されるように行われる。
図24の演算子210および220を図23Aの同じ画像で畳み込むことの効果を、図25A〜25Dに示す。図25Aは、図23Aの場合と同じ画像である原画像を示す。図25Bは、垂直方向でハーフハイトが3ピクセルの演算子220および水平方向で幅1ピクセルの演算子210による畳み込みを使用する効果を示す。図23Cは、垂直フィルタと水平フィルタとの交換の効果を示す。この場合もやはり、これらのオペレーションは画像の垂直または水平の特徴を保ち、全体的にはその長手軸に沿って平滑化が行われている。図25Dは、垂直方向および水平方向の双方で幅3ピクセルの広い演算子220を使用する効果を示す。
これらのタイプのオペレーションの視野変化を識別する能力に対する効果を観察するために、62名の正常な対象および63名の緑内障患者から視野データを収集した。収集方法は、図19A〜19Dに関して先に記述した空間的配置によるO30−44刺激の多焦点表現であった。サンプル内の対象数が多いことから、対象の視野を障害の増大順の範疇に分類することが可能であった。これは、ハンフリー視野計(HFA)によって評価される視野内の正常な感度からの偏りの平均を決定する平均欠損分類技術を使用して行われた。障害が軽度の視野は、感度低下−6dB未満のHFA平均欠損を有するものと考えられた。障害が中程度の視野は、−12dBより多く−6dB未満の平均欠損を有していた。障害が重度の視野は、平均欠損が−12dBより多いと記録される視野として分類された。
下表2は、ROCプロット下の面積比率として表現される、緑内障診断のための結果を示す。列は、メジアンフィルタの移動する窓のサイズ、単位ピクセル、に対応する。垂直および水平ピクセルの領域サイズは、各列の上側に記述されている。領域サイズの幾つかは、図23Aのものと同じである。最左列(「フィルタなし」と記されたもの)は、フィルタリングが行われていない場合の結果を示す。
Figure 2011502590
フィルタリングを行ったデータは、フィルタリングなしの場合より結果が僅かに悪いことが多いが、概してフィルタは、より等方性であるものよりも細長い方が性能がよいことは明らかである。ほとんど同じ結果が、図24の演算子210および220等のガウス演算子を使用する垂直および水平方向の畳み込みに関しても観察される。雑音除去は、下記の表3から分かるように、診断能力を大幅に喪失することなく、報告される視野をより再生可能なものにする場合がある。
Figure 2011502590
概して、同等のフィルタサイズの場合(表3)、メジアンフィルタは線形(ガウス)フィルタより性能がよかった(表2)。また、かなり長いフィルタ窓は、長さ方向の長さが約3ピクセルであるものより性能が悪いことも明らかである。これは、臨界スケールかつ直線形状の分析窓は視野の変化を検出する能力を高める、という先に表した考案を例示している。明らかに、ここで実証したフィルタリングオペレーションの例は、単に例示を目的として提示されたものであり、限定的なものではない。多くの多様な形式のフィルタおよび演算子は、上述の技術の範囲および精神を保ちながら、熟練者によって使用されてもよい。例えば、代替的または組合せで実行手段またはガウス窓を備えてもよい1つ以上の線形フィルタが使用されてもよい。1つ以上のフィルタは、エッジ保存フィルタであってもよい。エッジ保存フィルタは、メジアンフィルタ、前後方向メジアンフィルタ[例えば、S.H.Chung、R.A.Kennedyにより「Forward-backward non-linear filtering technique for extracting small biological signals from noise」と題する論文、J.Neuroscience Methods、第40巻、71-86ページ(1991年)、において記述されているもの]または反復的非線形フィルタ[例えば、D.Harwood、外著「A new class of edge-preserving smoothing filters」Pattern Recognition Letters、第6巻、155-162ページ(1987年)、に記述されているもの]のうちの1つ以上から選択されてもよい。
例2
重なり合いの方法の利点は、緑内障診断に限定されるものではない。例えば、29名の正常な対象および20名の加齢黄斑変性症(AMD)の対象に関する調査では
本例の場合、調査において対象へ提示された2タイプの刺激は、先の例で使用されたものとは僅かに異なるタイプの刺激であった。
患者の目の約半分はさほど重度でない萎縮型AMD、半分はより重度な滲出型AMDを患い、4つの目は外見上臨床的に正常であった。正常者および患者の各グループは、年齢および性別によく調和していた。
上述の例の場合のように、刺激は、先の図19Aを参照して説明され、T30−24刺激と記述されている刺激の通りの重ならない24領域、または図19Cおよび19Dに示され、先にO30−44刺激と記述されている44領域の何れかを有していた。本例に使用する刺激と例1のそれとの唯一の相違は、本例では、双方の事例において双方の多焦点刺激アレイのサイズが係数2で縮小されたことである。したがって、本例の各アレイは30度ではなく15度の半径に内在し、ゆえに、これらの刺激の配置はT15−24およびO15−44刺激アレイと称される。これらの刺激は、より中心部におけるAMD性の欠損を特徴づけるように設計した。
上述の先例1の場合のように、刺激領域は黄色であったが、提示された際の最大輝度は10cd/mの背景上で250cd/mであった。個々の刺激が各々ディスプレイ上で対象へ提示される、提示に際しての各刺激の持続時間は33msであった。さらに、各ロケーションにおける多焦点刺激の擬似ランダムな順序の提示の平均間隔を1秒または4秒のいずれかであるように変更する1つの変形も包含された。ゆえに、全ての対象において観察された4つの刺激は、平均間隔1秒で提示されるより速い刺激についてはT15−24−1およびO15−44−1と指名され、より遅い4秒間隔の刺激はT15−24−4およびO15−44−4と指名された。この場合もやはり、診断能力の測度はROCプロット下の面積パーセントであった。表4は、最大で取得された面積を示す。
Figure 2011502590
上側の行(最悪N件、と記されている)は、一方の目の内部で最も悪い少数の領域が考察されると取得されるROCプロット下の面積の比率を示す(先の例1から、面積100%は完全な診断パフォーマンスを表し、50%は偶然のパフォーマンスを表すことを想起されたい)。下側の行(非対称)は、個々の患者の左右の目における比較可能な領域間の差を基礎として診断のついた事例の比率を記録し、よって各対象の視野内の両眼間非対称を記録する。正常な対象の視野間の非対称性は、患者における非対称と比較される。
提示速度に関わらず、または両眼間の非対称性が考察されたかどうかに関わらず、O15−44−1およびO15−44−4検査の重なり合う刺激はT15−24−1およびT15−24−4検査の重ならない刺激より性能が優れていたことは明らかである。これは、刺激の特定のスケールとサンプリング格子とがタスクに調和すべきであることを実証している。
例3
視野評価において重なり合う刺激を使用するさらなる例では、23名の正常な対象および23名のインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)患者に関する調査において、先に述べた黄色のT30−44の290cd/mが使用された。23名のNIDDM患者のうち、1名だけが糖尿病性網膜症の任意の明らかな兆候を示し、この対象からはいくつかの小血管瘤が表示された。正常者および患者の各グループは、年齢および性別によく調和していた。
本調査では、正常者およびNIDDM患者の各グループ間で平均瞳孔サイズに著しい相違はなく、また平均瞳孔サイズは診断能力を大きく担うものではなかった。これは、患者の瞳孔が糖尿病性神経障害によって影響されないことを示唆している。
NIDDMを10年以上患っていた8名の患者からの16の目に関する、N件の最悪領域を基礎とする診断パフォーマンス(ROCプロット下の面積として表示)は、0.89%±0.06%(平均±SE)であった(非対称性は、正常なパフォーマンスとの差を基礎とする、正常な対象と患者とで比較される目における差である)。正常な対象およびAMD対象の両眼間非対称が考慮された場合のROC面積は、0.97%±0.03%であった。
この調査では、重ならない刺激についての観察を行わなかったために、本例は重なり合う刺激と重ならない刺激との差を実証していない。しかしながら、本例は、感覚野の変化を調査するためのこの方法の有用性を緑内障以外の状況に関して実証している。
概要
したがって、これまでに述べた方法および例を要約すると、視野が空間内に、従来の静的自動視野計に使用される粗いサンプリング格子では表現され得ない感度の変異を含んでいると、これは測定された視野の形状を歪ませる可能性のあることが実証されている。これらの空間周波数が存在するという事実は、図1〜4において検証されている。この問題を解決するために、同時に提示されると空間内で重なり合う検査刺激が、歪を生じさせるより高い周波数を捕捉しないほど十分に滑らかである検査刺激のエッジと共に使用される。したがって、個々の刺激はそれ自体で高い空間周波数コンテンツを低減し、よってぼやけたエッジを有する。ヒトが屈折をおそらくは数ジオプタだけ誤って矯正されても、このようなぼやけた刺激の外観が変わらない(すなわち、刺激のコントラストが復調されない)とすると、これは視野検査に適する。十分に平滑である、またはぼやけた個々の刺激には、対象が十分な屈折矯正を受けなくてもよく(すなわち、屈折矯正が誤った、不十分なものであっても、全く行われなくてもよく)、検査の結果にさほど影響がない、という重大な利点がある。
さらに、高度に重なり合う刺激は、空間的に移動される刺激バージョンが変化した視野感度の部位とより正確に位置合わせされることを有効化する点が有利であることも示されている。またこれは、かなり成功しているFDT視野計の刺激により示唆されるかなり大きい刺激、およびHFAの視野データを分析するために先に実証されたプール領域のサイズの有用性も捉える。
またさらに、重なり合う刺激には幾つかの利点があるとしても、視野の水平および垂直経線に重ならない刺激が視野の過渡的変化または障害された領域を検出する能力を有するものとして実証されていることも見出されている。
さらに、上述の考察は、任意数の次元の任意の感覚空間へ適用可能であることも認識される。
再度またさらに、半径方向の対称性および中心窩方向への網膜細胞の中央集中によって、各視野ロケーションにとって最適サイズの刺激の探索は視野自体ではなく極空間へ変換された視野を用いることでよりよく調査されることが含意される点も見出されている。ほとんど同じ理由で、様々な視野計から取得されるデータは、このような極空間において最もよく比較される場合もある。
最後に、標準視野計の粗いサンプリング格子によって表現できるものより高い空間周波数は、サンプリング密度を高めることのない何らかの方法でこれらの周波数を使用する見通しを高めることもまた見出されている。サンプリング格子が適切にランダムであると、スーパーナイキスト周波数の、位相とはいかないまでも、少なくとも電力を推定することができる。
したがって、これまでに記述した、かつ/または例示した方法、装置およびシステムがヒトおよび動物対象の1つ以上の感覚野の、具体的には目の視野の向上した評価および定量化を提供することは認識されるであろう。
本明細書に記述しかつ/または図面に示した方法、装置およびシステムは単に例示として提示されたものであって、本発明の範囲を限定するものではない。別段の具体的な指摘のない限り、これらの方法、装置およびシステムの個々の態様およびコンポーネントは改変されてもよく、または既知の等価物または将来開発され得るもの、または将来容認可能な代替物であることが見出され得るもの等のまだ知られていない代替物で置換されていてもよい。また、潜在的アプリケーションの範囲は広く、本方法、装置およびシステムはこのような多くの変形に適用可能であることが意図されているために、これらの方法、装置およびシステムは、特許請求された発明の範囲および精神を保ちつつ様々な用途に改変されてもよい。

Claims (59)

  1. 対象の少なくとも1つの感覚野の機能を評価するための方法であって、
    前記感覚野の選択されたロケーションへ刺激を提示する工程であって、前記選択されたロケーションは前記感覚野の一部をスパンするサンプリング格子上の点に中心を置かれ、前記個々の刺激は、前記サンプリング格子の点において同時に提示されるとき、前記感覚野の感覚次元により画定される空間内で重なり合う工程と、
    センサを使用して、前記対象の感覚野において前記刺激により喚起された応答を検出する工程と、
    前記検出された応答を処理し、これらを前記選択されたロケーションにおいて前記対象の感覚野の機能に関連づける工程と
    を含む方法。
  2. 前記刺激は、同時に提示されるとき、前記サンプリング格子上の刺激の空間エイリアシングが最小化されるように十分に重なり合う、請求項1記載の方法。
  3. 前記刺激のプロファイルは滑らかに変わっている、請求項1または請求項2記載の方法。
  4. 前記個々の刺激は、前記サンプリング格子の点により画定される前記サンプリング格子によって表現され得る最も高い空間周波数以下である空間周波数のみを含む、請求項3記載の方法。
  5. 前記刺激の滑らかに変わるプロファイルは、低い空間周波数フーリエ成分のみを含むように十分に平滑である、請求項1または請求項2記載の方法。
  6. 前記感覚野は水平経線軸と垂直経線軸とを有し、前記刺激は前記感覚野の前記垂直または水平経線軸の何れとも重ならない、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
  7. 前記刺激は、空間的に周波数が倍増された配列が知覚されるように提示される、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  8. 前記刺激は、周波数倍増周波数より30%低いものから前記周波数倍増周波数の200%までの空間周波数が知覚される配列で提示される、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
  9. 前記サンプリング格子は極座標表現で提示される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記視野の各部分に対する個々の刺激のサイズおよび形状は、前記極座標表現内で関心のある視野変化における空間的自己相関を計算することによって推定される、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
  11. 前記極座標表現の座標は半径および極角度の線形または非線形関数であってよい、請求項9または請求項10記載の方法。
  12. 約3対1のアスペクト比を有する1つ以上のフィルタの作動によって、前記極座標表現内の概して細長い特徴を高める工程をさらに含む、請求項9〜11のいずれか一項記載の方法。
  13. 前記1つ以上のフィルタはエッジ保存フィルタである、請求項12記載の方法。
  14. 前記対象の感覚野において前記刺激により喚起される応答は、以下:電気的ポテンシャルを検出すること、磁気放射線または電磁放射線を検出すること、音響信号の変化を検出すること、対象の瞳孔の応答変化を検出すること、または対象の目の動きの変化を検出することから成る群から選択される方法によって検出される、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法。
  15. 前記処理することは、前記刺激により刺激される前記感覚野の各刺激部分の応答を特徴づける線形および/または非線形重み関数を計算する工程を含む、請求項1記載の方法。
  16. 前記処理することは、前記記録される応答を前記感覚野の前記刺激部分の直線表現へ変換する工程を含む、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
  17. 前記処理することは、前記記録される応答を前記感覚野の前記刺激部分の極座標表現へ変換する工程を含む、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
  18. 前記極座標表現内の概して細長い特徴を約3対1のアスペクト比を有する1つ以上のフィルタの作動によって高める工程をさらに含む、請求項17記載の方法。
  19. 前記1つ以上のフィルタはエッジ保存フィルタである、請求項18記載の方法。
  20. 前記刺激は、使用に際して各刺激が前記感覚野内のほぼ同数の感覚細胞を刺激するように選ばれる、請求項9記載の方法。
  21. 前記刺激は連続的または同時的の何れかで提示される、請求項1記載の方法。
  22. 前記連続的または同時的に提示される刺激は空間的にまばらに提示される、請求項21記載の方法。
  23. 前記連続的または同時的に提示される刺激は時間的にまばらに提示される、請求項21記載の方法。
  24. 前記連続的または同時的に提示される刺激は空間的かつ時間的の双方でまばらに提示される、請求項21記載の方法。
  25. 2つ以上の空間的にまばらな刺激が同時に提示される、請求項22または24のいずれかに記載の方法。
  26. 前記刺激は多焦点配列で提示される、請求項1〜25のいずれか一項記載の方法。
  27. 前記刺激は多次元サンプリング格子上のロケーションに提示される、請求項1記載の方法。
  28. 前記刺激は規則的なサンプリング格子上のロケーションに提示される、請求項1〜26のいずれか一項記載の方法。
  29. 前記刺激は不規則なサンプリング格子上のロケーションに提示される、請求項1〜26のいずれか一項記載の方法。
  30. 前記刺激はランダムに変わるサンプリング格子上のロケーションに提示される、請求項1〜26のいずれか一項記載の方法。
  31. 評価される前記感覚野は、前記対象の少なくとも1つの視覚野、少なくとも1つの聴覚野または触覚野よりなる群から選択される、先行する任意の請求項記載の方法。
  32. 評価される前記感覚野は、前記対象の少なくとも1つの視覚野、少なくとも1つの聴覚野または触覚野よりなる群から選択される2つ以上の感覚野である、先行する任意の請求項記載の方法。
  33. 評価される前記感覚野は複数の次元であり、各次元は前記対象の1つまたは2つの視覚野、1つまたは2つの聴覚野および1つ以上の触覚野よりなる群から選択される、請求項32記載の方法。
  34. 評価される前記感覚野は前記対象の少なくとも1つの視覚野である、先行する任意の請求項記載の方法。
  35. 評価される前記視覚野は前記対象の一方または両方の網膜の視野感度である、請求項34記載の方法。
  36. 前記対象の一方または両方の網膜の視野感度を評価する前記方法は、視力障害を引き起こす状態を診断するための方法である、請求項35記載の方法。
  37. 前記対象の一方または両方の網膜の視野感度を評価する前記方法は、局所的な視力障害を引き起こす状態を診断するための方法である、請求項36記載の方法。
  38. 前記状態は緑内障、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、卒中または多発性硬化症のうちの1つ以上である、請求項37記載の方法。
  39. 対象の感覚野の機能を評価するための装置であって、
    前記感覚野の選択されたロケーションへ刺激を提示するためのディスプレイであって、前記選択されたロケーションは、前記感覚野の一部分をスパンするサンプリング格子上の点に中心が置かれ、個々の前記刺激は、前記サンプリング格子の点で同時に提示されると前記感覚野の感覚次元により画定される空間で重なるディスプレイと、
    前記対象の感覚野における、前記刺激により喚起される応答を検出するためのセンサと、
    前記検出された応答を処理し、これを前記選択されたロケーションにおける前記対象の感覚野の機能に関連づけるためのプロセッサと
    を備える装置。
  40. 前記刺激は、同時に提示されると、前記サンプリング格子上の刺激の空間エイリアシングが最小限に抑えられるように十分に重なっている、請求項39記載の装置。
  41. 前記刺激のエッジは滑らかに変わる、請求項39または40記載の装置。
  42. 前記個々の刺激は、前記サンプリング格子の複数の点により画定され前記サンプリング格子により表示され得る最も高い空間周波数以下である空間周波数しか含まないように構成される、請求項41記載の装置。
  43. 前記感覚野は水平経線軸と垂直経線軸とを有し、前記刺激は前記感覚野の前記垂直または水平経線軸の何れとも重ならない、請求項39〜41のいずれか一項記載の装置。
  44. 前記サンプリング格子を極座標表現内に提示するように適合化される、請求項39記載の装置。
  45. 概して細長い特徴を前記極座標サンプリング格子で拡大するための1つ以上のフィルタをさらに備える、請求項44記載の装置。
  46. 前記1つ以上のフィルタはエッジ保存フィルタである、請求項45記載の装置。
  47. 前記刺激は、使用に際して各刺激が前記感覚野内のほぼ同数の感覚細胞を刺激するように設計される、請求項44記載の装置。
  48. 前記ディスプレイは、CRT、LCD、プラズマ、LEDまたはOLED画像ディスプレイ画面よりなる群から選択される、請求項39記載の装置。
  49. 前記応答を記録するためのメモリをさらに備える、請求項39記載の装置。
  50. 前記刺激により喚起される応答を検出するための前記センサは、前記対象からの皮質神経応答を検出するためのセンサである、請求項39記載の装置。
  51. 前記対象の一方または両方の網膜の視野感度を評価するように適合化される、請求項39記載の装置。
  52. 前記対象の視野の障害を引き起こす状態を評価するように適合化される、請求項51記載の装置。
  53. 前記対象の一方または両方の目に影響を与える緑内障、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、卒中または多発性硬化症のうちの任意の1つ以上を評価するように適合化される、請求項39記載の方法。
  54. 対象の1つ以上の感覚野を評価するための請求項39〜53のいずれか一項記載の装置の使用。
  55. 前記感覚野は視覚野であり、前記評価は、前記対象の一方または両方の目に影響を与える緑内障、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、卒中または多発性硬化症のうちの任意の1つ以上の評価である、請求項54記載の使用。
  56. 対象の1つ以上の感覚野を評価するための、請求項1〜38のいずれか一項記載の方法に従った、請求項39〜53のいずれか一項記載の装置の使用。
  57. 前記感覚野は視覚野であり、前記評価は、前記対象の一方または両方の目に影響を与える緑内障、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、卒中または多発性硬化症のうちの任意の1つ以上の評価である、請求項56記載の使用。
  58. 対象の感覚野の機能を評価するための方法であって、事実上、添付の図面および/または例に示された本発明の実施形態の任意の1つを参照して本明細書に記述された方法。
  59. 対象の感覚野の機能を評価するための装置であって、事実上、添付の図面および/または例に示された本発明の実施形態の任意の1つを参照して本明細書に記述された装置。
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