詳細な説明
本発明は、免疫調節ポリヌクレオチド及び/又は免疫調節化合物、そしてこれらの免疫調節ポリヌクレオチド及び/又は免疫調節化合物を使用した個々、特にヒトの免疫応答を調節する方法を提供する。態様によっては、免疫調節ポリヌクレオチド及び/又は免疫調節化合物は、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、免疫調節ポリヌクレオチド及び/又は免疫調節化合物は、修飾されていないIRSを含んでなる。態様によっては、免疫調節ポリヌクレオチド及び/又は免疫調節化合物は、修飾された及び修飾されていないIRSsの両方を含んでなる。本発明の免疫調節ポリヌクレオチド及び/又は免疫調節化合物は、TLR-7及び/又はTLR-9を通じたシグナル伝達を伴うそれらの応答を含め、特に先天免疫応答を阻害する。
本発明は、さまざまな方法でヒト細胞を含めた免疫細胞を効果的に調節する本発明の免疫調節ポリヌクレオチド及び/又は免疫調節化合物をさらに提供する。本発明の免疫調節ポリヌクレオチド及び/又は免疫調節化合物は、ヒト細胞からのIFN-α及び/又はIL-6を含めたサイトカイン産生を有効に抑制できる。本発明の免疫調節ポリヌクレオチド及び/又は免疫調節化合物は、TLR-7及び/又はTLR-9受容体を通して刺激されるサイトカイン産生を含めた細胞応答を抑制する。本明細書中に記載の免疫調節ポリヌクレオチド及び/又は免疫調節化合物はまた、B細胞及び形質細胞様樹状細胞を含めた、免疫刺激核酸により刺激された細胞の増殖及び/又は成熟を効果的に抑制できる。態様によっては、前記免疫調節ポリヌクレオチド及び/又は免疫調節化合物は、少なくとも1つの修飾された免疫調節化合物を含んでなる。よって、本明細書中に記載のIRP及び/又はIRCは、遺伝子治療目的で投与された核酸ベクターの感染又は抑制に起因して、存在している細菌DNAなどのISNAに対する免疫応答の抑制に有用である。
個体の自己免疫疾患及び慢性炎症性疾患を処置及び予防する方法であって、本明細書中に記載の免疫調節ポリヌクレオチド及び/又は免疫調節化合物をその個体に投与することによる上記方法もまた本明細書中に提供される。態様によっては、前記免疫調節ポリヌクレオチド及び/又は免疫調節化合物は、別の治療薬と組み合わせて投与される。態様によっては、前記別の治療薬はコルチコステロイドである。態様によっては、前記免疫調節化合物及び/又は免疫調節ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾された免疫調節化合物を含んでなる。
一般技術
当該発明の実施は、別段の指示がない限り、(組み換え技術を含めた)分子生物学、微生物学、細胞生理学、生化学、及び免疫学の従来技術を用いることになる。そしてそれらは、当該技術分野の技能の範囲内にある。かかる技術は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, second edition (Sambrook et al., 1989); Oligonucleotide Synthesis (M.J. Gait, ed., 1984); Animal Cell Culture (R.I. Freshney, ed., 1987); Handbook of Experimental Immunology (D.M. Weir & C.C. Blackwell, eds.); Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J.M. Miller & M.P. Calos, eds., 1987); Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubel et al., eds., 1987); PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullis et al., eds., 1994); Current Protocols in Immunology (J.E. Coligan et al., eds., 1991); The Immunoassay Handbook (D. Wild, ed., Stockton Press NY, 1994); Bioconjugate Techniques(Greg T. Hermanson, ed., Academic Press, 1996); and Methods of Immunological Analysis (R. Masseyeff, W.H. Albert, and N.A. Staines, eds., Weinheim: VCH Verlags gesellschaft mbH, 1993)などの文献の中で完全に説明されている。
定義
本明細書中では、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別段の指示がない限り、複数形の言及を含んでいる。例えば、「an」IRPは1つ以上のIRPを含んでいる。
本明細書中で互換的に使用する場合、用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」、及び「オリゴヌクレオチド」は、一本鎖DNA(ssDNA)二本鎖DNA(dsDNA)、一本鎖RKA(ssRNA)、及び二本鎖RNA(dsRNA)、修飾されたポリヌクレオチドとポリヌクレオシド又はその組み合わせ物を含んでいる。前記ポリヌクレオチドは、線状は環状に構成できるか、又は前記ポリヌクレオチドは、線状又は環状の両方のセグメントを含むことができる。ポリヌクレオチドは、通常、ホスホジエステル結合を通じてコンジュゲートされたヌクレオシドのポリマーであり、あるいは、ポリヌクレオチド内にホスホロチオアート・エステルなどの代替結合もまた、使用できる。ヌクレオシドは、糖に接着されたプリン(アデニン(A)かグアニン(G)若しくはその誘導体)塩基又はピリミジン(チミン(T)か、シトシン(C)か、ウラシル(U)、若しくはその誘導体)塩基から成る。DNAの4つのヌクレオシド単位(又は塩基)は、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、及びデオキシシチジンと呼ばれる。ヌクレオチドは、ヌクレオシドのリン酸エステルである。
用語「免疫刺激核酸」又は「免疫刺激ポリヌクレオチド」は、本明細書中では、試験管内、生体内及び/又は生体外で計測される計測可能な免疫応答をもたらす及び/又は寄与する核酸分子(例えば、ポリヌクレオチド)を指す。計測可能な免疫応答の例としては、これだけに限定されるものではないが、抗原特異的抗体産生、サイトカインの分泌、NK細胞や、CD4+Tリンパ球や、CD8+Tリンパ球や、Bリンパ球などのリンパ球集団の活性化又は増殖等が挙げられる。免疫刺激核酸(ISNA)配列は、先天免疫応答、特に細胞におけるTLR-9シグナル伝達を通して起こるをそれらの応答を刺激することが知られている。当該技術分野で知られているように、免疫刺激核酸(ISNA)分子は、細菌などの微生物起源から単離でき、遺伝子治療での使用のために核酸ベクター内に存在することができ、それと、本明細書中に記載した及び当該技術分野で知られている技術や設備を使用することで合成できる。通常、免疫刺激核酸配列は、少なくとも1つのCGジヌクレオチドを含んでいて、このジヌクレオチドのCはメチル化されていない。従って、微生物感染と投与されたDNAは、場合によっては、先天免疫応答の刺激をもたらす。
用語「免疫刺激」又は「免疫応答を刺激する」は、本明細書中では、特異的な抗原物質に対する免疫反応、及び免疫応答の亢進に参加する細胞型の刺激を含んでいる。免疫刺激核酸によって刺激される免疫応答は、通常、「Th1型」免疫応答であり、「Th2型」免疫応答と対照的である。Th1型免疫応答は、抗原や活性化マクロファージに対する「遅延型過敏」反応を通常特徴とし、そして高いレベルのIFN-γや、IL-2や、IL-12や、TNF-βなどのTh1関連サイトカインによって生物化学的レベルで検出される。Th2型免疫応答は、高いレベルの抗体産生、特にIgE抗体産生、及び、高められた好酸球数と活性化、並びにIL-4や、IL-5や、IL-13などTh2関連サイトカインの発現に通常関連する。
用語「先天免疫応答」又は「先天免疫」は、本明細書中では、それによって細胞又は個体が病原菌の存在を認識し、そしてそれに応答するところのさまざまな先天性の耐性機構を含む。本明細書中では、「先天免疫応答」は、その細胞が病原菌関連分子パターン又はシグナルを認識した場合に起こる細胞内及び細胞間の事象及び反応を含む。先天免疫応答において活性な細胞受容体には、Toll様受容体(TLR-s)のファミリーが含まれ、そして微生物性リガンドが、本明細書中に記載したように、いくつかのTLR-sについて同定された。
用語「免疫調節配列」又は「IRS」は、本明細書中では、試験管内、生体内、及び/又は生体外で計測される計測可能な先天免疫応答を阻害及び/又は抑制する核酸配列を指す。用語「免疫調節配列」又は「IRS」は、本明細書中では、修飾を含んでなる核酸配列(すなわち、修飾されたIRS)、並びに修飾を含んでいない核酸(すなわち、修飾されていないIRS)の両方を指す。用語「免疫調節ポリヌクレオチド」又は「IRP」は、本明細書中では、試験管内、生体内、及び/又は生体外で計測される計測可能な先天免疫応答を阻害及び/又は抑制する少なくとも1つのIRSを含んでなるポリヌクレオチドを指す。用語「免疫調節ポリヌクレオチド」又は「IRP」は、本明細書中では、修飾された及び/又は修飾されていないIRSを含んでなることができる。TLR-、例えばTLR-7又は9の阻害としては、これだけに限定されるものではないが、例えば、リガンド‐受容体結合を妨げることによる、受容体部位における阻害、及びリガンド‐受容体結合後の下流シグナル経路の阻害が挙げられる。計測可能な先天免疫応答の例としては、これだけに限定されるものではないが、サイトカインの分泌、NK細胞や、CD4+Tリンパ球や、CD8+Tリンパ球や、Bリンパ球などのリンパ球集団の活性化又は増殖、形質細胞様樹状細胞などの細胞集団の成熟化等が挙げられる。
用語「免疫調節化合物」又は「IRC」は、本明細書中では、免疫調節作用を持ち、且つ、IRSを含んでなる核酸部分を含んでなる分子を指す。前記IRCは、2つ以上のIRSを含んでなるか、1つのIRSから成るか、又はそれ自身に免疫刺激作用を持っていない核酸部分から成ることができる。前記IRCは、修飾された及び/又は修飾されていないIRSを含んでなることができる。前記IRCは、ポリヌクレオチドから成ることができるか(「ポリヌクレオチドIRC」)、又はそれは追加部分を含んでなることができる。従って、用語IRCは、その少なくとも1つが非ヌクレオチド・スペーサー部分に共有結合的に連結されたIRCを含んでなる、1つ以上の核酸部分を組み込んだ化合物を含む。
用語「修飾された免疫調節配列」又は「修飾されたIRS」は、本明細書中では、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチドを指し、それは、試験管内、生体内、及び/又は生体外で計測される計測可能な先天免疫応答を阻害及び/又は抑制する。用語「修飾された免疫調節ポリヌクレオチド」又は「修飾されたIRP」は、本明細書中では、少なくとも1つの修飾されたIRSを含んでなるポリヌクレオチドを指し、それは、試験管内、生体内、及び/又は生体外で計測される計測可能な先天免疫応答を阻害及び/又は抑制する。前記修飾されたIRPは、2つ以上の修飾されたIRSを含んでなるか、1つ以上の修飾されたIRSと1つ以上の修飾されていないIRSを含んでなるか、又は修飾されたIRSから成る核酸部分から成ることができる。TLR-、例えばTLR-7又は9の阻害としては、これだけに限定されるものではないが、例えば、リガンド‐受容体結合を妨げることによる、受容体部位における阻害、及びリガンド‐受容体結合後の下流シグナル経路の阻害が挙げられる。計測可能な先天免疫応答の例としては、これだけに限定されるものではないが、サイトカインの分泌、NK細胞や、CD4+Tリンパ球や、CD8+Tリンパ球や、Bリンパ球などのリンパ球集団の活性化又は増殖、形質細胞様樹状細胞などの細胞集団の成熟化等が挙げられる。
用語「修飾された免疫調節化合物」又は「修飾されたIRC」は、本明細書中では、免疫調節作用を持ち、且つ、少なくとも1つの修飾されたIRSを含んでなる核酸部分を含んでなる分子を指す。前記修飾されたIRCは、2つ以上の修飾されたIRSを含んでなるか、1つ以上の修飾されたIRSと1つ以上の修飾されていないIRSを含んでなるか、修飾されたIRSから成るか、又はそれ自身に免疫刺激作用を持っていない核酸部分から成ることができる。前記修飾されたIRCは、ポリヌクレオチドから成ることができるか(「修飾されたポリヌクレオチドIRC」)、又はそれは追加の残基を含んでなることができる。従って、修飾されたIRCという用語は、その少なくとも1つが非ヌクレオチド・スペーサー部分に共有結合的に連結された修飾されたIRCを含んでなるところの1つ以上の核酸部分を組み込んだ化合物を含む。
用語「修飾されていない免疫調節配列」又は「修飾されていないIRS」は、本明細書中では、無修飾(すなわち、修飾が不存在)の核酸配列から成る核酸配列を指し、それは、試験管内、生体内、及び/又は生体外で計測される計測可能な先天免疫応答を阻害及び/又は抑制する。TLR-、例えばTLR-7又は9の阻害としては、これだけに限定されるものではないが、例えば、リガンド‐受容体結合を妨げることによる、受容体部位における阻害、及びリガンド‐受容体結合後の下流シグナル経路の阻害が挙げられる。計測可能な先天免疫応答の例としては、これだけに限定されるものではないが、サイトカインの分泌、NK細胞や、CD4+Tリンパ球や、CD8+Tリンパ球や、Bリンパ球などのリンパ球集団の活性化又は増殖、形質細胞様樹状細胞などの細胞集団の成熟化等が挙げられる。
用語「パリンドローム配列」又は「パリンドローム」は、逆くり返し配列である核酸配列、例えばABCDD’C’B’A’(ここで、塩基、例えばAとA’、BとB’、CとC’、DとD’は、ワトソン‐クリック塩基対を形成することができる。)を指す。かかる配列は、一本鎖であることもでき、二本鎖構造を形成することもでき、又は一部の条件下でヘアピンループ構造を形成することもできる。例えば、本明細書中では、「8塩基パリンドローム」は、パリンドローム配列がABCDD’C’B’A’などの8塩基の長さである核酸配列を指す。パリンドローム配列はまた、非パリンドローム配列も含むポリヌクレオチドの一部であってもよい。ポリヌクレオチドは、1つ以上のパリンドローム配列部分と1つ以上の非パリンドローム配列部分を含むことができる。あるいは、ポリヌクレオチド配列は、完全にパリンドロームであってもよい。2つ以上パリンドローム配列部分を持つポリヌクレオチドにおいて、そのパリンドローム配列部分は、互いに重なっていてもよく、又はそのパリンドローム配列部分は互いに重なっていなくてもよい。
用語「3’」は、通常、同じポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド内の別の領域又は位置から3’(下流)のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド内の領域又は位置を指す。用語「3’末端」は、ポリヌクレオチドの3’末端を指す。
用語「5’」は、通常、同じポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド内の別の領域又は位置から5’(上流)のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド内の領域又は位置を指す。用語「5’末端」は、ポリヌクレオチドの5’末端を指す。
用語「コンジュゲート」は、IRP及び/又はIRCが連結されているところの複合体を指す。かかるコンジュゲート結合は、共有結合的及び/又は非共有結合的結合を含んでいる。
「アジュバント」は、抗原などの免疫原作用物質に加えられると、その混合物に晒されたときに受容者宿主における上記作用物質に対する免疫応答を非特異的に亢進する又は増強する物質を指す。
用語「ペプチド」は、そのペプチドがハプテンであるかどうかにかかわらず、生物反応、例えば抗体産生又はサイトカイン活性に作用するのに十分な長さ及び組成のポリペプチドである。通常、ぺプチドは、長さが少なくとも6アミノ酸残基である。用語「ペプチド」は、(天然か非天然かにかかわらず)修飾されたアミノ酸をさらに含み、かかる修飾としては、これだけに限定されるものではないが、リン酸化、グリコシル化、ペグ化、脂質化(lipidization)及びメチル化が挙げられる。
「デリバリー分子」又は「デリバリー・ビヒクル」は、特定の部位及び/又は特定のタイミングでのIRP及び/又はIRCのデリバリーを容易にする、許容する、及び/又は促進する化学部分である。
「個体」は、トリなどの脊椎動物であり、そして好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。哺乳動物としては、これだけに限定されるものではないが、ヒト、霊長目動物、家畜、競技動物(sport animals)、齧歯動物及びペットが挙げられる。
物質の「有効量」又は「十分量」は、臨床結果を含めた有益な又は所望の結果をもたらすのに十分な量のことであり、そういったものとして、「有効量」は、それが適用されている状況に依存する。TLR-9依存性免疫応答を抑制する組成物を投与する状況において、IRP及び/又はIRCの有効量は、TLR-9を通じた刺激に対する細胞応答を阻害するか又は軽減させるのに十分な量である。TLR-7依存性免疫応答を抑制する組成物を投与する状況において、IRP及び/又はIRCの有効量は、TLR-7を通じた刺激に対する細胞応答を阻害するか又は軽減させるのに十分な量である。有効量は、1回以上の投与で投与できる。
用語「同時投与」は、本明細書中では、免疫応答を調節するのに十分に短い時間内に少なくとも2つの異なった物質の投与を指す。好ましくは、同時投与は、少なくとも2つの異なった物質の同時の投与を指す。
応答又はパラメーターの「抑制」又は「阻害」は、着目の条件又はパラメーターを除いて同一条件の他のやり方と比較した場合に、あるいは別の条件と比較した場合に、その応答又はパラメーターを減少させることを含んでいる。免疫刺激核酸に誘発されたサイトカイン産生を抑制するIRPを含んでなる組成物は、例えば免疫刺激核酸のみによって誘発されたサイトカイン産生と比較した場合に、サイトカイン産生を減少させる。別の例として、先天免疫応答に関連したサイトカイン産生を抑制するIRPを含んでなる組成物は、例えば先天免疫応答のみによって産生されたサイトカインの程度及び/又はレベルと比較した場合に、サイトカイン産生の程度及び/又はレベルを減少させる。B細胞の抑制には、例えば低減されたB細胞増殖、低減されたB細胞活性化及び/又は刺激されたB細胞からのIL-6及び/又はTNF-αなどのサイトカイン産生の減少が含まれる。TLR-応答、例えばTLR-7又は9応答の阻害としては、これだけに限定されるものではないが、例えば有効なリガンド‐受容体結合の予防又は妨害による、受容体部位における阻害、及び、例えば有効なリガンド‐受容体結合後の、下流シグナル経路の阻害が挙げられる。
応答又はパラメーターの「刺激」には、その応答又はパラメーターを引き起こすこと及び/又は亢進することが含まれる。例えば、先天免疫応答又はTh1応答などの免疫応答の「刺激」は応答の増強を意味し、それは応答を引き起こすこと及び/又は亢進することから生じる。同様に、サイトカイン又は(CTLsなどの)細胞型の「刺激」は、サイトカイン又は細胞型の量又はレベルの増強を意味する。B細胞の「刺激」には、例えば、促進されたB細胞増殖、誘発されたB細胞活性化、及び/又は刺激されたB細胞からのIL-6及び/又はTNF-αなどのサイトカインの増強された産生が含まれる。
本明細書中では、そして当該技術分野で周知のとおり、「処置」は、臨床結果を含めた有益な又は所望の結果を得るためのアプローチである。本願発明の目的のため、有益な又は所望の臨床結果としては、これだけに限定されるものではないが、検出可能であるか検出不可能であるかにかかわらず、1つ以上の症状の緩和又は改善、疾患の程度の縮小、病状の安定化(すなわち、悪化しないこと)、疾患の広がりの予防、疾病進行の遅延又は減速、病状の改善又は緩和、及び(部分的であるか全体的であるかにかかわらず)寛解が挙げられる。「処置」はまた、処置を受けなかった場合に予想された生存と比較して、生存を延長することを意味することもできる。
疾患又は障害の「緩和」は、障害を処置しなかったのと比較して、障害又は病状の程度及び/又は望ましくない臨床徴候が低減する、及び/又は進行の経時変化が減速されるか、又は延長されることを意味する。特に自己免疫疾患の関係では、当業者によってよく理解されていることであるが、緩和は、望ましくない免疫応答の調整又は低減によっても起こり得る。さらに、緩和は、1回の用量の投与によって必ず起こるわけではないが、一連の用量の投与によって起こることが多い。よって、応答又は障害を緩和するのに十分な量は、1回以上の投与により投与されてもよい。
本明細書中では、用語「含んでなる」及びその同語族の語は、それらの包含的な意味で;すなわち、用語「含む」と対応するその同語族の語と同等に使用される。
本発明の組成物
免疫調節配列(IRS)、免疫調節ポリヌクレオチド(IRPs)及び免疫調節化合物(IRCs)は、個体の先天免疫応答を調節するために本明細書中に提供される。本明細書中に記載の各IRP及びIRCは、少なくとも1つのIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRSは修飾されている。態様によっては、前記IRSは修飾されていない。態様によっては、本明細書中に記載のIRP及び/又はIRCは、修飾された及び修飾されていないIRSsの両方を含んでなる。
本明細書中に提供された組成物は、免疫調節ポリヌクレオチド又は免疫調節化合物(又は2つ以上のIRPs及び/又はIRCsの組み合わせ物)だけを含んでなる。態様によっては、前記IRPs及び/又はIRCsは、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRPs及び/又はIRCsは、修飾されていないIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRPs及び/又はIRCsは、修飾された及び修飾されていないIRSsの両方を含んでなる。本明細書中に提供された組成物は、IRP又はIRC、及び医薬的に許容し得る賦形剤を含んでなることができる。バッファーを含めた医薬的に許容し得る賦形剤は、本明細書中に記載され、且つ、当該技術分野で周知である。Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, Mack Publishing (2000)。
免疫調節ポリヌクレオチドと免疫調節化合物
当該発明によると、IRP又はIRCは、少なくとも1つのIRSを含む。場合によっては、IRSは、5’-G、C-3’配列を含んでなる。場合によっては、IRSは、ポリヌクレオチドの5’末端又はその近辺に少なくとも1つのTGCトリヌクレオチド配列を含んでいる(すなわち、5’-TGC)。態様によっては、TGCトリヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチドの5’末端から約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチドのいずれかに存在する。態様によっては、TGCトリヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチドの5’末端から約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチド未満のいずれかに存在する。場合によっては、IRSは、5’-GGGG-3’配列を含んでなる。場合によっては、IRSは、5’GGGG-3’配列を含まない。従って、場合によっては、IRP又はIRCは、5’-GGGG-3’配列を含まない。場合によっては、5’-GGGG-3’配列を含んでなるIRP又はIRCは、一本鎖の形態で使用されると、特に有効である。場合によっては、5’-GGGG-3’配列を含んでなるIRP又はIRCは、ホスホチオアート骨格から作られると特に有効である。
本明細書中に実証されるように、特定のIRPs及びIRCsは、TLR-7依存性細胞応答を阻害する。同様に、特定のIRPs及びIRCsは、TLR-9依存性細胞応答も阻害する。態様によっては、特定のIRPs及びIRCsは、TLR-7依存性細胞応答とTLR-9依存性細胞応答を阻害する。従って、本明細書中では、「TLR-7/9」は「TLR-7及びTLR-9」を指す。態様によっては、特定のIRPsは、TLR-4依存性細胞応答を阻害しない。
免疫刺激核酸とその他の先天免疫応答刺激剤は、当該技術分野において説明されており、そしてそれらの活性は、サイトカインの分泌や、抗体産生や、NK細胞の活性化や、B細胞増殖や、T細胞増殖や、樹枝状細胞の成熟などの、先天免疫応答の種々の態様を示す標準的なアッセイを使用することで容易に計測することができる。例えば、Kxieg et al. (1995) Nature 374:546-549; Yamamoto et al. (1992) J. Immunol. 148:4072-4076; Klinman et al. (1997) J. Immunol. 158:3635-3639; Pisetsky (1996) J. Immunol. 156:421-423; Roman et al. (1997) Nature Med. 3:849-854; Hemmi et al. (2000)、前掲; Lee et al. (2003)、前掲, WO 98/16247; WO 98/55495; WO 00/61151、及び米国特許番号第6,225,292号を参照のこと。従って、これらとその他の方法は、免疫調節配列、ポリヌクレオチド及び/又は化合物を同定、試験及び/又は確認するために使用できる。例えば、IRP又はIRCの効果は、先天免疫応答が刺激された細胞又は個体をIRP又はIRCと接触させたときに測定できる。
本明細書中に明確に述べられているとおり、本明細書中に記載の式に関して、ありとあらゆるパラメーターが独立に選択されることは言うまでもない。例えば、x=0〜2である場合、yは、xの値(又は式中のいかなる他の選択可能なパラメーター)にかかわらず独立に選択できる。
本明細書中に実証されるように、発見されたIRSの1つのクラスが、TLR-9依存性細胞刺激を阻害するのに特に有効である。従って、この活性を有するIRSは、「TLR-9クラス」IRSと呼ばれる。
態様によっては、IRSは、式:X1GGGGX2X3(配列番号1){式中、X1、X2、及びX3がヌクレオチドである、ただし、X1=C又はAならば、そのときX2X3はAAではない。}によって表される配列を含んでなることもできる。態様によっては、IRSは、式:配列番号1{式中、X1がC又はAである。}によって表される配列を含んでなることができる。態様によっては、IRSは、式:X1GGGGX2X3(配列番号2){式中、X1、X2、及びX3がヌクレオチドであり、ただし、X1=C又はAならば、そのときX2X3はAAではなく、且つ、式中、X1がC又はAである。}によって表される配列を含んでなることができる。
態様によっては、IRSは式:GGNnX1GGGGX2X3(配列番号3){式中、nが1〜約100(好ましくは1〜約20)の整数であり、各Nがヌクレオチドであり、そして、X1、X2、及びX3がヌクレオチドである、ただし、X1=C又はAならば、そのときX2X3はAAではない。}によって表される配列を含んでなることができる。態様によっては、IRSは、式:配列番号3{式中、X1がC又はAである。}によって表される配列を含んでなることができる。
態様によっては、IRSは、式:NiTCCNj(GG)kNmX1GGGGX2X3(配列番号4){式中、各Nはヌクレオチドであり、式中、iは1〜約50の整数であり、式中、jが1〜約50の整数であり、kが0又は1であり、mが1〜約20の整数であり、そして、X1、X2、及びX3がヌクレオチドである、ただし、X1=C又はAならば、そのときX2X3はAAではない。}によって表される配列を含んでなることができる。態様によっては、IRSは、式:配列番号4{式中、X1がC又はAである。}によって表される配列を含んでなることができる。
態様によっては、IRSは、式:X1X2X3GGGGAA(配列番号5){式中、X1、X2、及びX3がヌクレオチドである、ただし、X3がC又はAならば、そのときX1X2はGGではない。}によって表される配列を含んでなることができる。
態様によっては、配列番号1〜5は、少なくとも1つの5’-TGC-3’をさらに含んでなる。態様によっては、前記5’-TGC-3’は、IRS及び/又はIRPの5’末端から約0〜10ヌクレオチドに存在する。態様によっては、TGCトリヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチドの5’末端から約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチドのいずれかに存在する。態様によっては、TGCトリヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチドの5’末端から約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチド未満のいずれかに存在する。態様によっては、前記5’-TGC-3’は、5’末端において5’-TGCヌクレオチド配列である。
配列番号1、2、3、4、又は5を含んでなるオリゴヌクレオチド配列の例としては、以下の配列が挙げられる:
本明細書中に示したように、一部のIRSは、TLR-7依存性細胞刺激を阻害するのに特に有効である。従って、この活性を有するIRSは、「TLR-7クラス」IRSと呼ばれる。例えば、配列5’-TGCTTGCAAGCTTGCAAGCA-3’(配列番号27)を含んでなるオリゴヌクレオチドは、TLR-7依存性細胞刺激を阻害する。
態様によっては、IRSは、配列番号27の断片を含んでなり、且つ、その少なくとも10塩基パリンドローム部分を含んでいる。態様によっては、前記IRPは、配列番号27から成る。例えば、そうした配列は、以下の配列を含んでいる:
態様によっては、TLR-7依存性細胞刺激を阻害するのに有効なIRPは、式:5’-TGCNm-3’(配列番号126){ここで、Nがヌクレオチドであり、mが5〜約50の整数であり、且つ、式中、配列N1-Nmが少なくとも1つのGCジヌクレオチドを含んでなる。}によって表される配列から成る。態様によっては、そうしたIRPは、配列5’-TGCNmA-3’(配列番号127)、配列5’-TGCNmCA-3’(配列番号128)、又は配列5’-TGCNmGCA-3’(配列番号129)から成る。例えば、態様によっては、前記IRPは、以下の配列から成ることができる:
態様によっては、前記IRPは、式:5’-TGCNm3’(配列番号194){ここで、各Nがヌクレオチドであり、mが5〜約50の整数であり、且つ、式中、配列N1-Nm。}によって表される配列を含んでなる。態様によっては、前記IRPは、ヌクレオチド配列5’-S1S2S3S4-3’{式中、S1、S2、S3、及びS4が独立にG又はG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子である。}をさらに含んでなる。態様によっては、G四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子は、G四本鎖の四量体/四本鎖構造の形成を妨害及び/又は予防する。態様によっては、G四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子は、ヌクレオチド又はその誘導体である。G四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子の例としては、これだけに限定されるものではないが、I、7-デアザ-dG、7-デアザ-2’-デオキシキサントシン、7-デアザ-8-アザ-2’-デオキシグアノシン、2’-デオキシネブラリン、イソデオキシグアノシン、8-オキソ-2’-デオキシグアノシンが挙げられる。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つがGである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つが、G四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子である。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つがIである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つが7-デアザ-dGである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4はGである。
TLR-7依存性細胞シグナル伝達を阻害するのにもまた有効な他のIRS配列には、次のものが含まれる:
配列番号1、2、3、4、若しくは5を含んでなるIRPs又は配列番号1、2、3、4、若しくは5を含んでなるIRP{式中、少なくとも1つのGが7-デアザ-dGによって置き換えられている。}は、特にTLR-9依存性細胞刺激を阻害するのに有効である。例えば、態様によっては、前記IRSは、配列5’-TCCTGGAGZ’GGTTGT-3’( Z’=7-デアザ-dG;配列番号23)を含んでなることができる。TLR-9依存性細胞シグナル伝達を阻害するのにも有効である他のIRS配列には、次のものが含まれる:
態様によっては、IRSは、式中、少なくとも1つのGがイノシンによって置き換えられているようなイノシンを含んでなる配列を含んでなることができる。態様によっては、前記イノシンは、デオキシ‐イノシンである。態様によっては、前記IRSは、配列5’-TGC TGC TCC TTG AGI GGT TGT TTG T-3’{式中、Iがデオキシ‐イノシンである。}(配列番号169)を含んでなることができる。態様によっては、前記IRSは、配列5’-TGC TCC TTG AGI GGT TGT TTG T-3’{式中、Iがデオキシ‐イノシンである。}(配列番号;172)を含んでなることができる。
別のクラスのIRSには、TLR-7及びTLR-9依存性細胞刺激の両方を阻害するのに特に有効なものが含まれる。従って、この活性を有するIRSは、「TLR-7/9クラス」IRSと呼ばれる。場合によっては、TLR-9クラスIRSとTLR-7クラスIRSの組み合わせが、TLR-7/9クラスのIRSをもたらす。
TLR-7/9クラスのIRSには、配列5’-TGCNmTCCTGGAGGGGTTGT-3’{ここで、各Nがヌクレオチドであり、そしてmが0〜約100の整数であり、場合によっては0〜約50、好ましくは0〜約20の整数である。}(配列番号6)を含んでなるものが含まれる。
態様によっては、IRSは、配列番号6{式中、配列N1-Nmが配列5’-TTGACAGCTTGACAGCA-3’(配列番号7)の断片を含んでなる。}を含んでなる。配列番号7の断片は、その配列の部分、例えばTTGAC又はGCTTGAのいずれかである。態様によっては、配列番号7の断片は、例えばTTGAC又はTTGを含めた配列番号7の5’末端からのものである。
態様によっては、前記IRSは、配列5’-TGCRRZNYY-3’(配列番号8){式中、ZがCを除いたヌクレオチドのいずれかであり、式中、Nがヌクレオチドのいずれかであり、式中、ZがGでもイノシンでもないときに、Nがグアノシン又はイノシンである。}を含んでなる。他の態様では、前記IRSは、配列5’-TGCRRZNポリ(ピリミジン)-3’(配列番号9){式中、ZがCを除いたヌクレオチドのいずれかであり、式中、Nがヌクレオチドのいずれかであり、式中、ZがGでもイノシンでもないときに、Nがグアノシン又はイノシンである。}を含んでなる。
TLR-7/9依存性細胞シグナル伝達を阻害するのにも有効なIRS配列の例としては、次のものが挙げられる:
いくつかの実施形態では、前記IRS配列は、以下の配列のいずれかである:
本明細書中に記載したように、一部のIRPsが、TLR-9依存性細胞応答を抑制するのに特に有効である。そうしたIRPsとしては、これだけに限定されるものではないが、配列番号24;配列番号25;配列番号86;配列番号91;配列番号10;配列番号11;配列番号12;配列番号13;配列番号14;配列番号15;配列番号16;配列番号17;配列番号18;配列番号19;配列番号20;配列番号21;配列番号22;配列番号23、及び配列番号66が挙げられる。
本明細書中に記載したように、一部のIRPsが、TLR-7依存性細胞応答を抑制するのに特に有効である。そうしたIRPsとしては、これだけに限定されるものではないが、配列番号17;配列番号23;配列番号27;配列番号38;配列番号29;配列番号33;配列番号34;配列番号40;配列番号28;配列番号29;配列番号41、及び配列番号66が挙げられる。
TLR-7及び/又はTLR-9を抑制するのに有効なIRPsの代表的な例は、例えば、PCT/US2005/030494の中に見られる、そして上記文献の全体を本明細書中に援用する。
本発明に使用したIRPsは、1つ以上のリボヌクレオチド(唯一の又は主要な糖成分としてリボースを含む)及び/又はデオキシリボヌクレオチド(主要な糖成分としてデオキシリボースを含む)を含んでなる。前記IRPに組み込まれる複素環塩基又は核酸塩基は、天然に存在するが主要なプリンとピリミジン塩基(すなわちウラシル、チミン、シトシン、アデニン、及びグアニン)であることができる。IRPは、一本鎖又は二本鎖DNA、並びに一本鎖又は二本鎖RNAであることができる。IRPは、線状であってもよく、環状であっても若しくは環状部分を含んでいてもよく、及び/又はヘアピンループを含んでいてもよい。
態様によっては、免疫調節ポリヌクレオチドは、およそ次の長さ(塩基又は塩基対単位):10,000;5,000;2500;2000;1500;1250;1000;750;500;300;250;200;175;150;125;100;75;60;50;40;30;25;20;15;14;13;12;11;10;9;8;7;6;5;4のいずれかより短い。態様によっては、免疫調節ポリヌクレオチドは、およそ次の長さ(塩基又は塩基対単位):4;5;6、7、8、9、10;11;12;13;14;15;20;25;30;40;50;60;75;100;125;150;175;200;250;300;350;400;500;750;1000;2000;5000;7500;10000;20000;50000のいずれかより長い。あるいは、前記免疫調節ポリヌクレオチドは、10,000;5,000;2500;2000;1500;1250;1000;750;500;300;250;200;175;50;125;100;75;60;50;40;30;25;20;15;14;13;12;11;10;9;8;7;6;5;4の上限、及び4;5;6;7;8;9;10;11;12;13;14;15;20;25;30;40;50;60;75;100;125;150;175;200;250;300;350;400;500;750;1000;2000;5000;7500の独立に選択される下限を持ち、ここで、上記下限は上記上限未満であるサイズ範囲のいずれかであることができる。態様によっては、IRPは、好ましくは長さが約200塩基以下である。
修飾された免疫調節ポリヌクレオチド及び修飾された免疫調節化合物
本発明は、少なくとも1つの修飾されたIRSを含んでなるIRPs及びIRCsをさらに提供する。修飾されたIRSは、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを含んでなる。少なくとも1つのヌクレオチドの修飾は、修飾された塩基、修飾された糖、及び/又は修飾されたリン酸であることができる。態様によっては、前記の少なくとも1つのヌクレオチドの修飾は、天然に存在する修飾されたものであってもよい。態様によっては、前記の少なくとも1つのヌクレオチドの修飾は、合成的な修飾であってもよい。態様によっては、前記修飾は、ポリヌクレオチドの構築前又はその後に与えられることができる。態様によっては、前記修飾されたヌクレオチドは、1つ以上の修飾されたヌクレオシドを含んでなる。「修飾されたヌクレオチド」又は「修飾されたヌクレオシド」は、本明細書中に規定されるとおり、ヌクレオシド又はヌクレオチド「類似体」と同義である。
態様によっては、少なくとも1つのヌクレオチドの修飾は、修飾された塩基を含んでなる。用語「修飾された塩基」は、本明細書中では、「塩基類似体」と同義であり、例えば、「修飾されたシトシン」は「シトシン類似体」と同義である。塩基修飾の例としては、これだけに限定されるものではないが、IRPのシトシンのC-5及び/又はC-6への電子求引部分の付加が挙げられる。好ましくは、前記電子求引部分は、ハロゲン、例えば5-ブロモシトシン、5-クロロシトシン、5-フルオロシトシン、5-ヨードシトシンである。態様によっては、前記塩基修飾としては、これだけに限定されるものではないが、免疫調節ポリヌクレオチドのウラシルのC-5及び/又はC-6への電子求引部分の付加が挙げられる。好ましくは、前記電子求引部分は、ハロゲンである。そうした修飾されたウラシルとしては、これだけに限定されるものではないが、5-ブロムウラシル、5-クロロウラシル、5-フルオロウラシル、5-ヨードウラシルを挙げることができる。態様によっては、前記塩基修飾としては、その塩基への1つ以上のチオール基の付加が挙げられ、これだけに限定されるものではないが、6-チオ-グアニン、4-チオ-チミン、及び4-チオ-ウラシルが挙げられる。態様によっては、前記塩基修飾としては、これだけに限定されるものではないが、N4-エチルシトシン、7-デアザグアニン、及び5-ヒドロキシシトシンが挙げられる。例えば、Kandimalla et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. 9:807-813を参照のこと。態様によっては、前記IRSは、2’-デオキシウリジン及び/又は2-アミノ-2’-デオキシアデノシンを含むことができる。態様によっては、前記修飾された塩基は、メチル化修飾を含んでなる。態様によっては、前記メチル化修飾は、5’-メチル-シトシン修飾を含んでなる。態様によっては、IRSは、多塩基修飾を含んでなる。態様によっては、前記塩基修飾は同じものである。態様によっては、前記塩基修飾は異なっている。態様によっては、前記IRSは、約1つ、約2つ、約3つ、約4つ、約5つの異なった塩基修飾のいずれかを含んでなる。修飾されたIRSの調製において、塩基修飾もまた作製され、そしていずれのリン酸修飾及び/又は糖修飾と組み合わせてもよい。
態様によっては、少なくとも1つのヌクレオチドの修飾は、修飾されたリン酸を含んでなる。態様によっては、前記修飾されたリン酸は、ホスホジエステル結合修飾である。例えば、リン酸修飾としては、これだけに限定されるものではないが、メチル・ホスホネート、ホスホロチオアート、ホスホアミダート、ホスホルアミダート(架橋又は非架橋)、ホスホトリエステル及びホスホロジチオアートが挙げられ、そしてあらゆる組み合わせでも使用できる。態様によっては、前記修飾されたリン酸は、3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル結合修飾である。例えば、前記の3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル結合修飾としては、これだけに限定されるものではないが、アルキル又はアリール・ホスホトリエステル、アルキル又はアリール・ホスホナート、水素ホスホナート、ホスホルアミダート、及び/又はホスホロセレナート結合修飾が挙げられる。態様によっては、前記の3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル結合修飾は、ホスホルアミダート修飾である。態様によっては、前記修飾されたリン酸は、これだけに限定されるものではないが、式中、リン酸がP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオアート」)、(O)NR2(「アミダート」)、P(O)R、P(R)OR’、CO又はCH2(「ホルムアセタール」){ここで、各R又はR’が独立にH又は任意にエーテル(-O-)結合を含んだ、置換された若しくは置換されていないアルキル(1-20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、又はアラルジル(araldyl)である。}によって置き換えられる態様が挙げられる。
態様によっては、IRSは、少なくともホスホチオアート骨格結合を含んでなる少なくとも1つのヌクレオチドを含んでなることができる。態様によっては、IRSのポリヌクレオチドは、ホスホロチオアート骨格だけを含んでなる。態様によっては、IRSのポリヌクレオチドは、ホスホジエステル骨格だけを含んでなる。態様によっては、IRSは、これだけに限定されるものではないが、ホスホジエステルとホスホロチオアート結合の組み合わせを含めた、リン酸骨格におけるリン酸結合の組み合わせを含んでなることができる。
前記IRSは、そのいくつかはポリヌクレオチドを安定化できるリン酸修飾されたポリヌクレオチドを含むことができる。従って、いくつかの態様は、安定化した免疫調節ポリヌクレオチドを含む。態様によっては、IRSは、複数のリン酸修飾を含んでなる。態様によっては、前記リン酸修飾は、同じものである。態様によっては、前記リン酸修飾は、異なっている。態様によっては、前記IRSは、約1つ、約2つ、約3つ、約4つ、約5つの異なったリン酸修飾のいずれかを含んでなる。修飾されたIRSの調製において、リン酸修飾もまた作製され、そしていずれの塩基修飾及び/又は糖修飾と組み合わせてもよい。
態様によっては、少なくとも1つのヌクレオチドの修飾は、修飾された糖を含んでなる。本発明に使用されるIRPsは、1つ以上の修飾された糖又は糖類似体を含んでなることができる。よって、リボース及びデオキシリボースに加えて、前記糖部分は、ペントース、デオキシペントース、ヘキソース、デオキシヘキソース、グルコース、アラビノース、キシロース、リキソース、及び糖「類似体」シクロペンチル基であることができる。前記糖は、ピラノシル又はフラノシル形態であることができる。IRSでは、糖残基は、好ましくはリボース、デオキシリボース、アラビノース又は2’-O-アルキルリボースのフラノシドである。態様によっては、前記糖は、α又はβアノマー立体配置のいずれかで各複素環塩基に取り付けられることができる。態様によっては、前記糖は、通常存在しているヒドロキシル基を置き換えることによって修飾される。前記糖内に通常存在しているヒドロキシル基を、例えば、これだけに限定されるものではないが、ホスホナート基又はホスファート基によって置き換えるてもよい。’5及び3’末端のヒドロキシル基は、加えて、リン酸化されるか、又はアミン若しくは1〜20個の炭素原子から成る有機キャッピング基部分で置換されることができる。態様によっては、前記修飾された糖は、これだけに限定されるものではないが、2’-アルコキシ-RNA類似体、2’-アミノ-RNA類似体、2’-フルオロ-DNA、及び2’-アルコキシ-又はアミノ-RNA/DNAキメラが挙げられる2’糖修飾である。態様によっては、前記修飾された糖としては、これだけに限定されるものではないが、2’-O-メチル-、2’-O-アリル、又は2’-アジド-糖修飾が挙げられる。態様によっては、前記2’位を修飾された糖は、2’-O-メチル糖修飾である。態様によっては、前記2’位を修飾された糖は、2’-O-メトキシエチル糖修飾である。例えば、IRSにおける糖修飾としては、これだけに限定されるものではないが、2’-O-メチル-ウリジン、2’-O-メチル-チミジン、2’-O-メチル-アデニン、2’-O-メチル-グアニン、又は2’-O-メチル-シチジンが挙げられる。態様によっては、前記糖修飾されたヌクレオチドは、1つ以上の糖修飾されたヌクレオシドを含んでなる。そうした糖又は糖類似体、及びそうした糖又は糖類似体が複素環塩基(核酸塩基)に取り付けられている各「ヌクレオシド」自体は、知られているので、かかる調製がいずれかの具体例に関係し得る場合を除いて、ここで記載する必要はない。態様によっては、IRSは複数の糖修飾を含んでなる。態様によっては、前記糖修飾は同じものである。態様によっては、前記糖修飾は異なっている。態様によっては、前記IRSは、約1つ、約2つ、約3つ、約4つ、約5つの異なった糖修飾のいずれかを含んでなる。修飾されたIRSの調製において、糖修飾もまた作製され、そしていずれの塩基修飾及び/又はリン酸修飾と組み合わせてもよい。
本明細書中に実証されるように、修飾されたIRSを含んでなる特定のIRPs及び/又はIRCsは、TLR-7依存性細胞応答を阻害する。態様によっては、前記の修飾されたIRSを含んでなるIRPs及び/又はIRCsは、TLR-9依存性細胞応答とは無関係にTLR-7依存性細胞応答を阻害する。態様によっては、前記の修飾されたIRSを含んでなるIRPs及び/又はIRCsは、TLR-9依存性細胞応答を阻害する。態様によっては、前記の修飾されたIRSを含んでなるIRPs及び/又はIRCsは、TLR-7依存性細胞応答とTLR-9依存性細胞応答を阻害する。
本明細書中に記載の修飾されたポリヌクレオチドのどれもが、そのポリヌクレオチド配列内のどこかに修飾を含むことができる。態様によっては、前記修飾は、そのポリヌクレオチド配列の5’末端又はその近辺にヌクレオチドの修飾が存在する。態様によっては、前記ポリヌクレオチド配列の5’末端の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチドのいずれかが修飾される。態様によっては、前記ポリヌクレオチド配列の5’末端の少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチドのいずれかが修飾される。態様によっては、前記修飾は、前記ポリヌクレオチド配列の3’末端又はその近辺におけるヌクレオチドの修飾である。態様によっては、前記ポリヌクレオチド配列の3’末端の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチドのいずれかが修飾される。いくつかの実施形態では、前記ポリヌクレオチド配列の3’末端の少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチドのいずれかが修飾される。態様によっては、前記ポリヌクレオチド配列の5’末端又はその近辺のヌクレオチド、及び前記ポリヌクレオチド配列の3’末端又はその近辺のヌクレオチドの両方が修飾される。態様によっては、前記ポリヌクレオチド配列の5’末端と前記ポリヌクレオチド配列の3’末端の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチドのいずれかが修飾される。いくつかの実施形態では、前記ポリヌクレオチド配列の5’末端と前記ポリヌクレオチド配列の3’末端の少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチドのいずれかが修飾される。
先天免疫応答の免疫刺激核酸と他の刺激剤は、当該技術分野で説明されており、そしてそれらの活性は、サイトカイン分泌や、抗体産生や、NK細胞の活性化や、B細胞増殖や、T細胞増殖や、樹枝状細胞の成熟などの先天免疫応答の種々態様を示す標準的なアッセイを使用することで容易に計測され得る。例えば、Krieg et al. (1995) Nature 374:546-549; Yamarnoto et al. (1992) J. Immunol. 148:4072-4076; Klinrnan et al. (1997) J. Immunol. 158:3635-3639; Pisetsky (1996) J. Immunol. 156:421-423; Roman et al. (1997) Natwe Med. 3:849-854; Hemmi et al. (2000)、前掲; Lee et al. (2003) 、前掲; WO 98/16247; WO 98/55495; WO 00/61151及び米国特許番号第6,225,292号を参照のこと。従って、これらとその他の方法は、免疫調節配列、ポリヌクレオチド及び/又は化合物を同定、試験、及び/又は確認するために使用できる。例えば、修飾されたIRSを含んでなるIRP又はIRCの効果は、先天免疫応答が刺激された細胞又は個体を修飾されたIRSを含んでなるIRP又はIRCと接触させたときに測定できる。
態様によっては、IRSは、式中、少なくとも1つGが7-デアザ-dGで置き換えられているといった7-デアザ-dGを含んでなる配列を含んでなることができる。態様によっては、前記IRSは、配列5’-TGC TGC TCC TTG AGZ’ GGT TGT TTG T-3’{式中、Z’が7-デアザ-dGである。}(配列番号168)を含んでなることができる。
本明細書中に記載したように、修飾されたIRSを含んでなるいくつかのIRPsは、TLR-7及び/又はTLR-9依存性細胞応答を抑制するのに特に有効である。
本発明は、式:5’-JGCNz-3’(配列番号130){式中、JがU又はTであり、上記配列5’-JGC-3’が修飾を含んでなり、各Nがヌクレオチドであり、そしてzが約1〜1000の整数である。}によって表されるヌクレオチド配列から成るポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、前記ポリヌクレオチドは、TLR-7及び/又はTLR-9依存性細胞応答を抑制するのに有効である。態様によっては、前記配列5’-JGC-3’は、修飾されている。
前記修飾は、先に記載したいずれか、例えば、修飾された塩基、修飾された糖、修飾されたリン酸であってもよい。態様によっては、修飾には、2’糖修飾、3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル結合修飾、及び/又は5’-メチル-シトシン修飾が含まれる。態様によっては、前記修飾は、リン酸又は末端修飾であってもよい。態様によっては、前記リン酸又は末端修飾は、3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル結合修飾であってもよい。態様によっては、前記の3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル結合修飾は、アルキル又はアリール・ホスホトリエステル、アルキル又はアリール・ホスホナート、水素ホスホナート、ホスホルアミダート、及びホスホロセレナート結合修飾から成る群から選択される。態様によっては、3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル結合修飾は、ホスホルアミダート修飾である。態様によっては、前記修飾は、糖修飾であってもよい。態様によっては、前記糖修飾は、本明細書中に記載の2’糖修飾である。態様によっては、前記2’糖修飾は、2’-O-メチル糖修飾又は2’-O-メトキシエチル糖修飾である。態様によっては、前記修飾は、修飾された塩基、例えば5’-メチル-シトシン修飾である。
態様によっては、前記ポリヌクレオチドのあらゆるヌクレオチドが少なくとも1つの修飾を含んでなる(すなわち、ヌクレオチドNは修飾を含んでなる)。態様によっては、前記の少なくとも1つの修飾は、各ヌクレオチドについて同じ修飾である。態様によっては、前記ポリヌクレオチドのあらゆるヌクレオチドが修飾されており、且つ、その修飾は2’-O-メチル糖修飾である(すなわち、ヌクレオチドNは修飾から成り、且つ、その修飾は2’-O-メチル糖修飾である)。態様によっては、前記の少なくとも1つの修飾が、2つ以上が異なったタイプの修飾を含んでなる。態様によっては、前記ポリヌクレオチドの1以上のヌクレオチドが修飾を含んでなる(すなわち、配列Nzが修飾を含んでなる)。
態様によっては、zは、約1〜約750、約1〜約500、約1〜約250、約1〜約200、約1〜約150、約1〜約125、約1〜約100、約1〜約75、約1〜約50、約1〜約25、約1〜約20、約1〜約15、約1〜約10、又は約1〜約5のいずれかの整数である。態様によっては、zは約1〜約100の整数である。態様によっては、zは1〜100の整数である。態様によっては、zは、約200、約175、約150、約125、約100、約75、約50、約40、約30、約25、約20、約15、又は10のいずれかより少ない整数である。態様によっては、zは100未満の整数である。態様によっては、zは、約1、約2、約3、約4、約5、約10、約15、又は約20のいずれかよりも大きな整数である。
態様によっては、5’-JGCNz-3’(配列番号130)などのポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチド配列の3’末端又はその近辺にヌクレオチドの修飾を含んでなる。態様によっては、前記ポリヌクレオチド配列の3’末端の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチドのいずれかが修飾される。いくつかの実施形態では、前記ポリヌクレオチド配列の3’末端の少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチドのいずれかが修飾される。
態様によっては、5’-JGCNz-3’(配列番号130)などのポリヌクレオチドは、ヌクレオチド配列5’-TGC-3’{式中、5’-TGC-3’が修飾されていない。}をさらに含んでなる。態様によっては、前記TGCトリヌクレオチド配列は、前記ポリヌクレオチドの5’末端から約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又10ヌクレオチドのいずれかに存在する。態様によっては、前記TGCトリヌクレオチド配列は、前記ポリヌクレオチドの5’末端から約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチド未満のいずれかに存在する。態様によっては、前記ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド配列5’-JGCTGC-3’(配列番号189){式中、JがU又はTであり、そして上記配列5’-JGC-3’が修飾を含んでなる。}から成る。態様によっては、前記修飾は、本明細書中に記載の2’糖修飾のいずれかである。態様によっては、前記2’糖修飾は、2’-O-メトキシエチル糖修飾である。
態様によっては、5’-JGCNz-3’(配列番号130)などのポリヌクレオチドは、式:5’-S1S2S3S4-3’{式中、S1、S2、S3、及びS4が独立にGであるか、又はG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子であり、各Qが修飾されていないヌクレオチドであり、各Mが修飾を含んでなるヌクレオチドであり、yが1より大きな整数であり、そしてrが1〜約1000の整数である。}によって表されるヌクレオチド配列をさらに含んでなる。態様によっては、前記のG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子は、G四本鎖の四量体/四本鎖構造の形成を妨害及び/又は予防する。態様によっては、前記のG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子は、ヌクレオチド又はその誘導体である。G四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子の例としては、これだけに限定されるものではないが、I、7-デアザ-dG、7-デアザ-2’-デオキシキサントシン、7-デアザ-8-アザ-2’-デオキシグアノシン、2’-デオキシネブラリン、イソデオキシグアノシン、8-オキソ-2’-デオキシグアノシンが挙げられる。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つが、G四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子である。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つがIである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つが7-デアザ-dGである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つがGである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4はGである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4は、修飾されていない及び/又はさらに修飾されていない。態様によっては、前記ポリヌクレオチドは、式:5’-GS5GGQyMr-3’(配列番号187){式中、S5がGであるか、又はI若しくは7-デアザ-dGなどのG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子であり、各Qが修飾されていないヌクレオチドであり、各Mが修飾を含んでなるヌクレオチドであり、yが1より大きな整数であり、そしてrが1〜1000の整数である。}によって表されるヌクレオチド配列を含んでなる。態様によっては、前記ポリヌクレオチドは、式:5’-GGGGQyMr-3’(配列番号131){式中、各Qが修飾されていないヌクレオチドであり、各Mが修飾を含んでなるヌクレオチドであり、yが1より大きな整数であり、そしてrが1〜1000の整数である。}によって表されるヌクレオチド配列を含んでなる。
ヌクレオチドMの修飾は、これだけに限定されるものではないが、修飾された塩基、修飾された糖、修飾されたリン酸が挙げられる先に記載したもののいずれであってもよい。態様によっては、前記のヌクレオチドMの修飾は、2’糖修飾、3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル結合修飾、及び5’-メチル-シトシン修飾から成る群から選択される。態様によっては、前記修飾は、本明細書中に記載の2’糖修飾のいずれかである。態様によっては、前記2’糖修飾は、2’-O-メトキシエチル糖修飾である。
態様によっては、rは、約1〜約750、約1〜約500、約1〜約250、約1〜約200、約1〜約150、約1〜約125、約1〜約100、約1〜約75、約1〜約50、約1〜約25、約1〜約20、約1〜約15、約1〜約10、又は約1〜約5のいずれかの整数である。態様によっては、rは約1〜約50の整数である。態様によっては、rは1〜50の整数である。態様によっては、rは、約200、約175、約150、約125、約100、約75、約50、約40、約30、約25、約20、約15、又は約10のいずれかより小さな整数である。態様によっては、rは50未満の整数である。態様によっては、rは、約1、約2、約3、約4、約5、約10、約15、又は約20のいずれかより大きな整数である。
態様によっては、yは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、又は約15のいずれかより大きな整数である。態様によっては、yは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、又は約15のいずれかの整数である。
式:5’-MαTGCNβ-3’(配列番号198){式中、各Mが修飾を含んでなるヌクレオチドであり、αが約1〜約10の整数であり、各Nがヌクレオチドであり、そしてβが約1〜1000の整数である。}によって表されるヌクレオチド配列から成るポリヌクレオチドもまた、本明細書中に提供される。
前記修飾は、先に記載したいずれか、例えば、修飾された塩基、修飾された糖、修飾されたリン酸であってもよい。態様によっては、修飾には、2’糖修飾、3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル結合修飾、及び/又は5’-メチル-シトシン修飾が含まれる。態様によっては、前記修飾は、リン酸又は末端修飾であってもよい。態様によっては、前記リン酸又は末端修飾は、3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル結合修飾であってもよい。態様によっては、前記の3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル結合修飾は、アルキル又はアリール・ホスホトリエステル、アルキル又はアリール・ホスホナート、水素ホスホナート、ホスホルアミダート、及びホスホロセレナート結合修飾から成る群から選択される。態様によっては、3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル結合修飾は、ホスホルアミダート修飾である。態様によっては、前記修飾は、糖修飾であってもよい。態様によっては、前記糖修飾は、本明細書中に記載の2’糖修飾のいずれかである。態様によっては、前記2’糖修飾は、2’-O-メトキシエチル糖修飾である。
態様によっては、前記ポリヌクレオチドのあらゆるヌクレオチドが少なくとも1つの修飾を含んでなる(すなわち、ヌクレオチドNは修飾を含んでなる)。態様によっては、前記の少なくとも1つの修飾は、各ヌクレオチドについて同じ修飾である。態様によっては、前記ポリヌクレオチドのあらゆるヌクレオチドが修飾されており、且つ、その修飾は2’-O-メチル糖修飾である(すなわち、ヌクレオチドNは修飾から成り、且つ、上述の修飾は2’-O-メチル糖修飾である)。態様によっては、前記の少なくとも1つの修飾が、2つ以上が異なったタイプの修飾を含んでなる。態様によっては、前記ポリヌクレオチドの1以上のヌクレオチドが修飾を含んでなる(すなわち、配列Nα及び/又はNβが修飾を含んでなる)。
態様によっては、αは、約1〜約7、約1〜約5、約1〜約4、約1〜約3、又は約1〜約2のいずれかの整数である。態様によっては、αは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のいずれかの整数である。
態様によっては、βは、約1〜約750、約1〜約500、約1〜約250、約1〜約200、約1〜約150、約1〜約125、約1〜約100、約1〜約75、約1〜約50、約1〜約25、約1〜約20、約1〜約15、約1〜約10、又は約1〜約5のいずれかの整数である。態様によっては、zは約1〜約100の整数である。態様によっては、βは1〜100の整数である。態様によっては、βは、約200、約175、約150、約125、約100、約75、約50、約40、約30、約25、約20、約15、又は約10のいずれかより小さな整数である。態様によっては、zは100未満の整数である。態様によっては、βは、約1、約2、約3、約4、約5、約10、約15、又は約20のいずれかより大きな整数である。
態様によっては、5’-MαTGCNβ-3’(配列番号198)などのポリヌクレオチドは、上記ポリヌクレオチド配列の3’末端又はその近辺にヌクレオチドの修飾を含んでなる。態様によっては、前記ポリヌクレオチド配列の3’末端の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチドのいずれかが修飾されている。いくつかの実施形態では、前記ポリヌクレオチド配列の3’末端の少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10ヌクレオチドのいずれかが修飾されている。
態様によっては、5’-MαTGCNβ-3’(配列番号198)などのポリヌクレオチドは、式:5’-S1S2S3S4-3’{式中、S1、S2、S3、及びS4が独立にGであるか、又はG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子であり、各Qが修飾されていないヌクレオチドであり、各Mが修飾を含んでなるヌクレオチドであり、yが1より大きな整数であり、そしてrが1〜約1000の整数である。}によって表されるヌクレオチド配列をさらに含んでなる。態様によっては、前記のG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子は、G四本鎖の四量体/四本鎖構造の形成を妨害及び/又は予防する。態様によっては、前記のG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子は、ヌクレオチド又はその誘導体である。G四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子の例としては、これだけに限定されるものではないが、I、7-デアザ-dG、7-デアザ-2’-デオキシキサントシン、7-デアザ-8-アザ-2’-デオキシグアノシン、2’-デオキシネブラリン、イソデオキシグアノシン、8-オキソ-2’-デオキシグアノシンが挙げられる。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つが、G四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子である。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つがIである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つが7-デアザ-dGである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つがGである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4はGである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4は、修飾されていない及び/又はさらに修飾されていない。態様によっては、前記ポリヌクレオチドは、式:5’-GS5GGQyMr-3’(配列番号187){式中、S5がGであるか、又はI若しくは7-デアザ-dGなどのG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子であり、各Qが修飾されていないヌクレオチドであり、各Mが修飾を含んでなるヌクレオチドであり、yが1より大きな整数であり、そしてrが1〜1000の整数である。}によって表されるヌクレオチド配列を含んでなる。態様によっては、イノシンはデオキシ‐イノシンである。態様によっては、前記ポリヌクレオチドは、式:5’-GGGGQyMr-3’(配列番号131){式中、各Qが修飾されていないヌクレオチドであり、各Mが修飾を含んでなるヌクレオチドであり、yが1より大きな整数であり、そしてrが1〜約1000の整数である。}によって表されるヌクレオチド配列を含んでなる。
ヌクレオチドMの修飾は、これだけに限定されるものではないが、修飾された塩基、修飾された糖、修飾されたリン酸を含めた先に記載したもののいずれであってもよい。態様によっては、前記のヌクレオチドMの修飾は、2’糖修飾、3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル結合修飾、及び5’-メチル-シトシン修飾から成る群から選択される。態様によっては、前記糖修飾は、本明細書中に記載の2’糖修飾のいずれかである。態様によっては、前記2’糖修飾は、2’-O-メトキシエチル糖修飾である。
態様によっては、rは、約1〜約750、約1〜約500、約1〜約250、約1〜約200、約1〜約150、約1〜約125、約1〜約100、約1〜約75、約1〜約50、約1〜約25、約1〜約20、約1〜約15、約1〜約10、又は約1〜約5のいずれかの整数である。態様によっては、rは約1〜約50の整数である。態様によっては、rは1〜50の整数である。態様によっては、rは、約200、約175、約150、約125、約100、約75、約50、約40、約30、約25、約20、約15、又は約10のいずれかより小さな整数である。態様によっては、rは50未満の整数である。態様によっては、rは、約1、約2、約3、約4、約5、約10、約15、又は約20のいずれかより大きな整数である。
態様によっては、yは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、又は約15のいずれかより大きな整数である。態様によっては、yは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、又は約15のいずれかの整数である。
式:5’-JGCLpKwS1S2S3S4QyMr-3’(配列番号191){式中、JがU又はTであり、上記配列5’-JGC-3’が修飾を含んでなり、各Lがヌクレオチドであり、pが約1〜約1000の整数であり、各Kが修飾されていないヌクレオチドであり、wが1より大きな整数であり、S1、S2、S3、及びS4が独立にGであるか、又はG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防できる分子であり、各Qが修飾されていないヌクレオチドであり、各Mが修飾を含んでなるヌクレオチドであり、yが1より大きな整数であり、そしてrが1〜約1000の整数である。}によって表されるヌクレオチド配列から成るポリヌクレオチドもまた、本明細書中に提供される。態様によっては、前記配列5’-JGC-3’は修飾されている。態様によっては、前記のG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子は、G四本鎖の四量体/四本鎖構造の形成を妨害及び/又は予防する。態様によっては、前記のG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子は、ヌクレオチド又はその誘導体である。G四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子の例としては、これだけに限定されるものではないが、I、7-デアザ-dG、7-デアザ-2’-デオキシキサントシン、7-デアザ-8-アザ-2’-デオキシグアノシン、2’-デオキシネブラリン、イソデオキシグアノシン、8-オキソ-2’-デオキシグアノシンが挙げられる。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つが、G四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子である。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つがIである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つが7-デアザ-dGである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つがGである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4はGである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4は、修飾されていない及び/又はさらに修飾されていない。態様によっては、前記ポリヌクレオチドは、式:5’-JGCLpKwGS5GGQyMr-3’(配列番号188){式中、JがU又はTであり、上記配列5’-JGC-3’が修飾を含んでなり、各Lがヌクレオチドであり、pが約1〜約1000の整数であり、各Kが修飾されていないヌクレオチドであり、wが1より大きな整数であり、S5がGであるか、又はI若しくは7-デアザ-dGなどのG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子であり、各Qが修飾されていないヌクレオチドであり、各Qが修飾されていないヌクレオチドであり、各Mが修飾を含んでなるヌクレオチドであり、yが1より大きな整数であり、そして、rが1〜約1000の整数である。}によって表されるヌクレオチド配列から成る。態様によっては、前記イノシンは、デオキシ‐イノシンである。態様によっては、前記ポリヌクレオチドは、式:5’-JGCLpKwGGGGQyMr-3’(配列番号;132){式中、JがU又はTであり、上記配列5’-JGC-3’が修飾を含んでなり、各Lがヌクレオチドであり、pが約1〜約1000の整数であり、各Kが修飾されていないヌクレオチドであり、wが1より大きな整数であり、各Qが修飾されていないヌクレオチドであり、各Mが修飾を含んでなるヌクレオチドであり、yが1より大きな整数であり、そしてrが1〜約1000の整数である。}によって表されるヌクレオチド配列から成る。
態様によっては、Lは修飾されている。前記のヌクレオチドM及び/又はLの修飾は、先に記載のもののいずれか、例えば修飾された塩基、修飾された糖、修飾されたリン酸であってもよい。態様によっては、前記のヌクレオチドM及び/又はLの修飾は、2’糖修飾、3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル結合修飾、及び5’-メチル-シトシン修飾から成る群から選択される。態様によっては、前記糖修飾は、本明細書中に記載の2’糖修飾のいずれかである。態様によっては、前記2’糖修飾は、2’-O-メトキシエチル糖修飾である。
態様によっては、rは、約1〜約750、約1〜約500、約1〜約250、約1〜約200、約1〜約150、約1〜約125、約1〜約100、約1〜約75、約1〜約50、約1〜約25、約1〜約20、約1〜約15、約1〜約10、又は約1〜約5のいずれかの整数である。態様によっては、rは約1〜約50の整数である。態様によっては、rは1〜50の整数である。態様によっては、rは、約200、約175、約150、約125、約100、約75、約50、約40、約30、約25、約20、約15、又は約10のいずれかより小さな整数である。態様によっては、rは50未満の整数である。態様によっては、rは、約1、約2、約3、約4、約5、約10、約15、又は約20のいずれかより大きな整数である。
態様によっては、pは、約1〜約750、約1〜約500、約1〜約250、約1〜約200、約1〜約150、約1〜約125、約1〜約100、約1〜約75、約1〜約50、約1〜約25、約1〜約20、約1〜約15、約1〜約10、又は約1〜約5のいずれかの整数である。態様によっては、pは約1〜約50の整数である。態様によっては、pは1〜50の整数である。態様によっては、pは、約200、約175、約150、約125、約100、約75、約50、約40、約30、約25、約20、約15、又は約10のいずれかより小さな整数である。態様によっては、pは50未満の整数である。態様によっては、pは、約1、約2、約3、約4、約5、約10、約15、又は約20のいずれかより大きな整数である。
態様によっては、yは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、又は約15のいずれかより大きな整数である。態様によっては、yは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、又は約15のいずれかの整数である。
態様によっては、wは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、又は約15のいずれかより大きな整数である。態様によっては、wは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、又は約15のいずれかの整数である。
式:5’-S1S2S3S4QyMr-3’(配列番号192){式中、S1、S2、S3、及びS4が独立にGであるか、又はG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防できる分子であり、各Qが修飾されていないヌクレオチドであり、各Mが修飾を含んでなるヌクレオチドであり、yが1より大きな整数であり、そしてrが1〜約1000の整数である。}によって表されるヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチドもまた、本明細書中に提供される。態様によっては、態様によっては、前記のG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子は、G四本鎖の四量体/四本鎖構造の形成を妨害及び/又は予防する。態様によっては、前記のG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子は、ヌクレオチド又はその誘導体である。G四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子の例としては、これだけに限定されるものではないが、I、7-デアザ-dG、7-デアザ-2’-デオキシキサントシン、7-デアザ-8-アザ-2’-デオキシグアノシン、2’-デオキシネブラリン、イソデオキシグアノシン、8-オキソ-2’-デオキシグアノシンが挙げられる。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つが、G四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子である。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つがIである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つが7-デアザ-dGである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つがGである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4はGである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4は、修飾されていない及び/又はさらに修飾されていない。式:5’-S1S2S3S4QyMr-3’(配列番号192)によって表されるヌクレオチド配列を、前記ポリヌクレオチド配列内のどこかに見いだすことができる。態様によっては、式:5’-S1S2S3S4QyMr-3’(配列番号192)によって表されるヌクレオチド配列が、前記ポリヌクレオチド配列の内部に見い出される、すなわち、前記ヌクレオチド配列の5’末端又は3’末端において見い出されない。態様によっては、前記ポリヌクレオチドは、式:5’-GS5GGQyMr-3’(配列番号193){式中、S5がGであるか、又はI若しくは7-デアザ-dGなどのG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子であり、各Qが修飾されていないヌクレオチドであり、各Mが修飾を含んでなるヌクレオチドであり、yが1より大きな整数であり、そしてrが1〜約1000の整数である。}によって表されるヌクレオチド配列を含んでなる。態様によっては、前記ポリヌクレオチドは、式:5’-GGGGQyMr-3’(配列番号133){式中、各Qが修飾されていないヌクレオチドであり、各Mが修飾を含んでなるヌクレオチドであり、yが1より大きな整数であり、そしてrが1〜1000の整数である。}によって表されるヌクレオチド配列を含んでなる。
ヌクレオチドMの修飾は、先に記載したもの、例えば修飾された塩基、修飾された糖、修飾されたリン酸のいずれであってもよい。態様によっては、前記のヌクレオチドMの修飾は、2’糖修飾、3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル結合修飾、及び5’-メチル-シトシン修飾から成る群から選択される。態様によっては、前記糖修飾は、本明細書中に記載の2’糖修飾のいずれかである。態様によっては、前記2’糖修飾は、2’-O-メトキシエチル糖修飾である。
態様によっては、rは、約1〜約750、約1〜約500、約1〜約250、約1〜約200、約1〜約150、約1〜約125、約1〜約100、約1〜約75、約1〜約50、約1〜約25、約1〜約20、約1〜約15、約1〜約10、又は約1〜約5のいずれかの整数である。態様によっては、rは約1〜約50の整数である。態様によっては、rは1〜50の整数である。態様によっては、rは、約200、約175、約150、約125、約100、約75、約50、約40、約30、約25、約20、約15、又は約10のいずれかより小さな整数である。態様によっては、rは50未満の整数である。態様によっては、rは、約1、約2、約3、約4、約5、約10、約15、又は約20のいずれかより大きな整数である。
態様によっては、yは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、又は約15のいずれかより大きな整数である。態様によっては、yは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、又は約15のいずれかの整数である。
態様によっては、前記ポリヌクレオチドは、少なくとも1つのトリヌクレオチド配列5’-TGC-3’をさらに含んでなる。態様によっては、前記5’-TGC-3’は、IRS及び/又はIRPの5’末端から約0〜10ヌクレオチドのいずれかに存在する。前記5’-TGC-3’は、IRS及び/又はIRPの5’末端から約1〜7、1〜5、1〜3、又は1〜2ヌクレオチドのいずれかに存在する。態様によっては、前記5’-TGC-3’は、5’末端では5’-TGCヌクレオチド配列である。
式:5’-LpKwS1S2S3S4-3’(配列番号195){式中、各Lがヌクレオチドであり、pが約1〜約1000の整数であり、各Kが修飾されていないヌクレオチドであり、wが1より大きな整数であり、そしてS1、S2、S3、及びS4が独立にGであるか、又はG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子である。}によって表されるヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチドが本明細書中にさらに提供される。態様によっては、前記のG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子は、G四本鎖の四量体/四本鎖構造の形成を妨害及び/又は予防する。態様によっては、前記のG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子は、ヌクレオチド又はその誘導体である。G四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子の例としては、これだけに限定されるものではないが、I、7-デアザ-dG、7-デアザ-2’-デオキシキサントシン、7-デアザ-8-アザ-2’-デオキシグアノシン、2’-デオキシネブラリン、イソデオキシグアノシン、8-オキソ-2’-デオキシグアノシンが挙げられる。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つが、G四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子である。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つがIである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つが7-デアザ-dGである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つがGである。態様によっては、S1、S2、S3、及びS4はGである。態様によっては、ポリヌクレオチドは、式:5’-LpKwGS5GG-3’(配列番号196){式中、各Lがヌクレオチドであり、pが約1〜1000の整数であり、各Kが修飾されていないヌクレオチドであり、wが1より大きな整数であり、そしてS5がGであるか、又はI若しくは7-デアザ-dGなどのG四分子形成を予防すること及び/又はフーグスティーン型塩基対合を予防することができる分子である。}によって表されるヌクレオチド配列を含んでなる。態様によっては、前記ポリヌクレオチドは、式:5’-LpKwGGGG-3’(配列番号134){式中、各Lがヌクレオチドであり、pが約1〜1000の整数であり、各Kが修飾されていないヌクレオチドであり、そしてwが1より大きな整数である。}によって表されるヌクレオチド配列を含んでなる。
態様によっては、Lは修飾されている。前記のヌクレオチドLの修飾は、先に記載のもののいずれか、例えば修飾された塩基、修飾された糖、修飾されたリン酸であってもよい。態様によっては、前記のヌクレオチドLの修飾は、2’-O-メチル糖修飾、3’末端のヌクレオチド間ホスホジエステル結合修飾、及び5’-メチル-シトシン修飾から成る群から選択される。態様によっては、前記糖修飾は、本明細書中に記載の2’糖修飾のいずれかである。態様によっては、前記2’糖修飾は、2’-O-メトキシエチル糖修飾である。
態様によっては、pは、約1〜約750、約1〜約500、約1〜約250、約1〜約200、約1〜約150、約1〜約125、約1〜約100、約1〜約75、約1〜約50、約1〜約25、約1〜約20、約1〜約15、約1〜約10、又は約1〜約5のいずれかの整数である。態様によっては、pは約1〜約50の整数である。態様によっては、pは1〜50の整数である。態様によっては、pは、約200、約175、約150、約125、約100、約75、約50、約40、約30、約25、約20、約15、又は約10のいずれかより小さな整数である。態様によっては、pは50未満の整数である。態様によっては、pは、約1、約2、約3、約4、約5、約10、約15、又は約20のいずれかより大きな整数である。
態様によっては、wは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、又は約15のいずれかより大きな整数である。態様によっては、wは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、又は約15のいずれかの整数である。
態様によっては、前記ポリヌクレオチドは、少なくとも1つのトリヌクレオチド配列5’-TGC-3’をさらに含んでなる。態様によっては、前記5’-TGC-3’は、IRS及び/又はIRPの5’末端から約0〜10ヌクレオチドのいずれかに存在する。前記5’-TGC-3’は、IRS及び/又はIRPの5’末端から約1〜7、1〜5、1〜3、又は1〜2ヌクレオチドのいずれか存在する。態様によっては、前記5’-TGC-3’は、5’末端では5’-TGCヌクレオチド配列である。
態様によっては、前記修飾されたIRSは、C999(配列番号135)5’-UGC UCC UGG AGG GGU UGU-3’{式中、すべてのヌクレオチドが2’-O-Me修飾、糖修飾で修飾されている。}である。態様によっては、前記修飾されたIRSは、DV017(配列番号136)5’-UGC UCC UGG AGG GGU UGU-3’){式中、すべてのヌクレオチドがホスホルアミダート修飾、リン酸修飾で修飾されている。}である。態様によっては、前記修飾されたIRSは、DV031(配列番号137)5’-UGC UCC UGG AGG GGU UGU-3’{式中、すべてのシトシンが5-メチル-dC(M)修飾、塩基修飾で修飾されている。}である。
態様によっては、前記修飾されたIRSは、2’-O-Me修飾で修飾されている。態様によっては、2’-O-Me修飾で修飾された前記修飾されたIRSは、以下の:
{式中、太字でイタリック体のヌクレオチドは、2’-O-Me糖修飾で修飾されている。}のいずれかである。
態様によっては、前記修飾されたIRSは、2’-O-Me修飾で修飾されていて、そしてヌクレオシド・イノシン及び/又はデオキシ‐イノシンをさらに含んでなる。態様によっては、前記修飾されたIRSは、2’-O-Me修飾で修飾されていて、そして7-デアザ-dGをさらに含んでなる。態様によっては、前記修飾されたIRSは、以下の:
{式中、太字でイタリック体のヌクレオチドは、2’-O-Me糖修飾で修飾されている。}のいずれかである。
修飾されたIRSを含んでなるIRPは、一本鎖又は二本鎖DMA、並びに一本鎖又は二本鎖RNAであってもよい。修飾されたIRSを含んでなるIRPは、直鎖であってもよく、環状であっても若しくは環状部分を含んでいてもよく、及び/又はヘアピンループを含んでいてもよい。
前記修飾された免疫調節配列のいずれかの態様によっては、前記修飾されたIRSのウリジン(U)ヌクレオシドが、チミジン(T)ヌクレオシドによって置換されていてもよい。態様によっては、前記修飾されたIRSのすべてのウリジン(U)ヌクレオシドが、チミジン(T)ヌクレオシドによって置換されていてもよい。前記修飾された免疫調節配列のいずれかの態様によっては、前記修飾されたIRSのチミジン(T)ヌクレオシドが、ウリジン(U)ヌクレオシドによって置換されていてもよい。態様によっては、前記修飾されたIRSのすべてのチミジン(T)ヌクレオシドが、ウリジン(U)ヌクレオシドによって置換されていてもよい。態様によっては、前記修飾されたIRSは、ウリジン(U)ヌクレオシドとチミジン(T)ヌクレオシドの両方を含んでなることができる。
態様によっては、修飾された免疫調節ポリヌクレオチドは、およそ次の長さ(塩基又は塩基対単位):10,000;5,000;2500;2000;1500;1250;1000;750;500;300;250;200;175;150;125;100;75;60;50;40;30;25;20;15;14;13;12;11;10;9;8;7;6;5;4のいずれかより短い。態様によっては、修飾された免疫調節ポリヌクレオチドは、およそ次の長さ(塩基又は塩基対単位):4;5;6、7、8、9、10;11;12;13;14;15;20;25;30;40;50;60;75;100;125;150;175;200;250;300;350;400;500;750;1000;2000;5000;7500;10000;20000;50000のいずれかより長い。あるいは、前記修飾された免疫調節ポリヌクレオチドは、10,000;5,000;2500;2000;1500;1250;1000;750;500;300;250;200;175;150;125;100;75;60;50;40;30;25;20;15;14;13;12;11;10;9;8;7;6;5;4の上限、及び4;5;6;7;8;9;10;11;12;13;14;15;20;25;30;40;50;60;75;100;125;150;175;200;250;300;350;400;500;750;1000;2000;5000;7500の独立に選択される下限を持ち、ここで、上記下限は上記上限未満であるサイズ範囲のいずれかであることができる。態様によっては、修飾されたIRPは、好ましくは長さが約200塩基以下である。
態様によっては、本明細書中に記載したように、修飾されたIRSを含んでなるIRPs及び/又はIRCsは、試験管内、生体内、及び/又は生体外で計測される計測可能な免疫応答を阻害及び/又は抑制する。態様によっては、前記免疫応答は、先天免疫応答である。態様によっては、前記免疫応答は、適応免疫応答である。態様によっては、修飾されたIRSを含んでなるIRP及び/又はIRCは、修飾されていないIRSを含んでなるIRP及び/又はIRCと比較して、試験管内、生体内、及び/又は生体外で計測される計測可能な免疫応答の増強された阻害をもたらす。態様によっては、前記免疫応答は、先天免疫応答である。態様によっては、前記免疫応答は、適応免疫応答である。態様によっては、修飾されたIRSと修飾されていないIRSのヌクレオチド配列は同じであり、そして唯一の相違点は少なくとも1つのヌクレオチドの修飾である。態様によっては、修飾されたIRSを含んでなるIRP及び/又はIRCによる試験管内、生体内、及び/又は生体外で計測される計測可能な免疫応答の阻害は、修飾されていないIRSを含んでなるIRP及び/又はIRCと比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約70%、約80%、又は約90%のいずれかよりも大きく増強される。態様によっては、修飾されたIRSを含んでなるIRP及び/又はIRCによる試験管内、生体内、及び/又は生体外で計測される計測可能な免疫応答の阻害は、修飾されていないIRSを含んでなるIRP及び/又はIRCと比較して、約10%、約15%、約20%、又は約25%のいずれか増強される。態様によっては、修飾されたIRSと修飾されていないIRSのヌクレオチド配列は同じであり、そして唯一の相違点は少なくとも1つのヌクレオチドの修飾である。
態様によっては、本明細書中に記載した、修飾されたIRSを含んでなるIRPs及び/又はIRCsは、TLR-7依存性細胞応答を阻害する。態様によっては、本明細書中に記載した、修飾されたIRSを含んでなる前記IRPs及び/又はIRCsは、TLR-9依存性細胞応答とは無関係にTLR-7依存性細胞応答を阻害する。態様によっては、本明細書中に記載した、修飾されたIRSを含んでなる前記IRPs及び/又はIRCsは、TLR-9依存性細胞応答を阻害する。態様によっては、本明細書中に記載した、修飾されたIRSを含んでなるIRPs及び/又はIRCsは、TLR-7依存性細胞応答とTLR-9依存性細胞応答を阻害する。
態様によっては、修飾されたIRSを含んでなるIRP及び/又はIRCは、修飾されていないIRSを含んでなるIRP及び/又はIRCと比較して、TLR-7及び/又はTLR-9依存性細胞応答の増強された阻害をもたらす。態様によっては、修飾されたIRSと修飾されていないIRSのヌクレオチド配列は同じであり、そして唯一の相違点は少なくとも1つのヌクレオチドの修飾である。態様によっては、修飾されたIRSを含んでなるIRP及び/又はIRCによるTLR-7及び/又はTLR-9依存性細胞応答の阻害は、修飾されていないIRSを含んでなるIRP及び/又はIRCと比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約70%、約80%、又は約90%のいずれかよりも大きく増強される。態様によっては、修飾されたIRSを含んでなるIRP及び/又はIRCによるTLR-7及び/又はTLR-9依存性細胞応答の阻害は、修飾されていないIRSを含んでなるIRP及び/又はIRCと比較して、約10%、約15%、約20%、約25%のいずれか増強される。態様によっては、修飾されたIRSと修飾されていないIRSのヌクレオチド配列は同じであり、そして唯一の相違点は少なくとも1つのヌクレオチドの修飾である。
免疫調節化合物
特定の態様では、免疫調節化合物(IRCs)が本明細書中に提供され、そして上記免疫調節化合物は、免疫調節作用を有し、且つ、IRSを含んでなる核酸部分を含んでなる。態様によっては、前記IRCは、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRCは、修飾されていないIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRCは、修飾されたIRSと修飾されていないIRSの両方を含んでなる。本明細書中に提供されたIRCsは、1つ以上の核酸部分と1つ以上の非核酸スペーサー部分を含んでいる。さまざまな構造式に従った化合物は、以下の式(I)〜(VII)に記載のコア構造を含んでいるIRCsとしての使用を考慮している。式(I)〜(III)は「直鎖IRCs」のコア配列を示す。式(IV)〜(VI)は「分岐IRCs」のコア配列を示す。式(VII)は「単一スペーサーIRCs」のコア構造を示す。
本明細書中に提供された各式において、「N」は(5’-3’又は3’-5’方向に向けられた)核酸部分を示し、「S」は非核酸スペーサー部分を示す。ダッシュ(「‐」)は、核酸部分と非核酸スペーサー部分の間の共有結合を示す。二重ダッシュ(「‐‐」)は、非核酸スペーサー部分と少なくとも2つの核酸部分の間の共有結合を示す。三重ダッシュ(「‐‐‐」)は、非核酸スペーサー部分と複数の(すなわち、少なくとも3つの)核酸部分の間の共有結合を示す。添字は、異なって配置された核酸又は非核酸スペーサー部分を示すのに使用される。しかしながら、異なった核酸部分を識別する添字の使用は、その部分が異なった構造又は配列を必ず持つことを示すのを意図するものではない。同様に、異なったスペーサー部分を識別する添字の使用は、その部分が異なった構造を必ず持つことを示すのを意図するものではない。例えば、以下の式(II)において、N1とN2で示された核酸部分は同じであるか又は異なった配列を持つことができ、そしてS1とS2で示されたスペーサー部分は同じであるか又は異なった構造を持つことができる。さらに、追加の化学部分(例えば、リン酸、モノヌクレオチド、追加の核酸部分、アルキルか、アミノか、チオか、ジスルフィド基若しくは結合基、及び/又はスペーサー部分)がコア構造の末端に共有結合し得ることが想定される。
直鎖IRCsは、コア構造内の非核酸スペーサー部分が2つ以下の核酸部分に共有結合する構造を持つ。代表的な直鎖IRCsは、以下の式:
{ここで、Aは1〜約100の整数であり、[Nv-Sv]は、非核酸スペーサー部分にコンジュゲートした核酸部分のA回のさらなる反復を示す。}に従う。添字「v」は、「[Nv-Sv]」の各反復の中でNとSが独立に選択されることを示す。「A」は、時には1〜約10、時には1〜3、時には厳密に1、2、3、4又は5である。態様によっては、Aは、1、2、3、4、又は5の下限と、独立に選択される10、20、50又は100の上限によって規定される範囲の整数(例えば3〜10)である。
代表的な直鎖IRCsは、以下の:
{式中、HEGがヘキサ-(エチレン・グリコール)を指し、TEGがテトラ-(エチレン・グリコール)を指す。}である。
好ましい直鎖IRCsとしては、以下の:
が挙げられる。
分岐JRCsは、少なくとも3(3)つの核酸部分に共有結合した多価スペーサー部分(Sp)を含んでなる。代表的な分岐IRCsは、以下の式:
{ここで、Spが、数量「A」の独立に選択された核酸部分Nv、Sv-Nv(これは核酸部分に共有結合したスペーサー部分を含んでなる)に共有結合した多価スペーサーである。}によって記載される。式(IV)と(V)について、Aは少なくとも3である。式(IV)と(V)の様々な態様では、Aは(包含的に)3〜100の整数であるか、あるいは、Aは、約3、5、10、50、若しくは100の下限と、独立に選択される約5、7、10、50、100、150、200、250、若しくは500の上限によって規定された範囲の整数であってもよく、あるいはAは500より大きくてもよい。式(VI)について、Aは、少なくとも2であるか、2、5、10、50、若しくは100の下限と、独立に選択される5、10、50、100、150、200、250、若しくは500の上限によって規定される範囲内の整数であるか、又は500より大きい。
代表的な分岐IRCsは、以下の:
である。
好ましい分岐IRCsとしては、(5’-N1-3’-HEG)2-グリセロール-HEG-5’-N1’-3’及び(5’-N1-3’-HEG)2-グリセロール-HEG-5’-N1’が挙げられる。
単一スペーサーIRCsは、単一スペーサー部分に共有結合した単一核酸部分が存在する構造、すなわち、以下の:
を含んでなる。
好ましい態様では、S1は、例えば以下に記載したように、エステル結合(例えばホスホジエステル若しくはホスホロチオアート・エステル)によって通常接続されたより小さい単位(例えばHEG、TEG、グリセロール、1’2’-ジデオキシリボース、C2アルキル‐C12アルキル・サブユニット等)を含んでなる多量体の構造を持つ。例えば、以下の式(VIIa)を参照のこと。前記多量体は、異種多量体であることも、同種多量体であることもできる。1つの態様では、前記スペーサーは、エステル結合(例えば、ホスホジエステル若しくはホスホロチオアート・エステル)によって連結したモノマー単位(例えば、HEG、TEG、グリセロール、1’,2’-ジデオキシリボース、C2アルキル‐C12アルキル・リンカー等)のヘテロマーである。例えば、以下の式(VIIb)を参照のこと。
代表的な単一スペーサーIRCsとしては:
が挙げられる。
特定の態様では、IRCの末端構造は、共有結合され(例えば、核酸部分から核酸部分へ;スペーサー部分からスペーサー部分へ、又は核酸部分からスペーサー部分)、環状の立体構造をもたらす。
本明細書中に提供された免疫調節組成物における使用のためのIRCsは、少なくとも1つの核酸部分を含んでいる。用語「核酸部分」は、本明細書中では、ヌクレオチド・モノマー(すなわち、モノヌクレオチド)又はポリマー(すなわち、少なくとも2つの隣接するヌクレオチドを含んでなること)を指す。本明細書中では、ヌクレオチドは、(1)リン酸基へのエステル結合している糖に連結したプリン又はピリミジン塩基、又は(2)類似体を含んでなり、そこで、例えば以下に記載したように、上記の塩基及び/又は糖及び/又はリン酸エステルが類似体によって置き換えられている。2つ以上の核酸部分を含んでなるIRCにおいて、核酸部分は同じであっても、異なっていてもよい。
免疫調節組成物に組み込まれるIRCsで使用される核酸部分は、本明細書中に開示されたIRS配列のいずれかを含んでなることができ、さらに、6塩基対以下の配列であってもよい。複数の核酸部分を含んでなるIRCにおいて、上記核酸部分は同じ長さでも、異なった長さでもよいと想定される。IRCが2つ以上の核酸部分を含んでなる態様によっては、上記部分のうちの1つだけが前記IRSを含んでなる必要がある。態様によっては、前記IRSは、修飾されたIRSである。態様によっては、前記IRSは、修飾されていないIRSである。
複数の核酸部分を含んでなるIRCにおいて、核酸部分は同じであっても、異なっていてもよいと想定される。従って、様々な態様では、免疫調節組成物中に組み込まれたIRCsは、(a)同じ配列を持った核酸部分、(b)核酸部分の2つ以上反復、又は(c)2つ以上の異なる核酸部分を含んでなる。さらに、単一の核酸部分は、2つ以上のIRSを含むこともでき、そしてそれが上記核酸部分の中で追加のヌクレオチド塩基と隣接していても、重複していても、又はそれによって分離されていてもよい。
本明細書中に記載したように、いくつかのIRPsは、TLR-9依存性細胞応答を抑制するのに特に有効であり、そしていくつかのIRPsは、TLR-7依存性細胞応答を抑制するのに特に有効である。IRCは2つ以上のIRPを含んでなることができるので、特定の用途のための特定の活性を有するIRCを作り出すために、様々な活性を有するIRPsを組み合わせることができる。
場合によっては、IRCの2つのIRPsの組み合わせが、上記IRPs単独のいずれかと異なった上記IRCの免疫調節作用をもたらす。例えば、IRC配列番号68は、HEG部分を通じてIRP配列番号17に連結したIRP配列番号33を含んでいる。IRP配列番号33は、TLR-7依存性細胞応答を阻害するが、TLR-9依存性細胞応答を阻害しない。IRP配列番号17には、TLR-7/8依存性細胞応答に関するものよりも、TLR-9依存性細胞応答に関してより優れた阻害活性がある。しかしながら、IRC配列番号68は、TLR-7依存性細胞応答とTLR-9依存性細胞応答の両方を阻害するのに非常に活性である。同じことはまた、IRC配列番号69と、その成分のIRPs配列番号34及び配列番号17にも当てはまる。
前記IRCsは、核酸部分に共有結合した1つ以上の非核酸スペーサー部分を含んでなる。便宜上、非核酸スペーサー部分は、本明細書中では単に「スペーサー」又は「スペーサー部分」と呼ばれることもある。スペーサーは、通常約50〜約50,000、通常約75〜約5000、ほとんどの場合約75〜約500の分子量のものであり、そしてそれは、様々な態様において、1つ、2つ、3つ、又は4つ以上の核酸部分に共有結合している。さまざまな作用物質が、核酸部分を接続するのに好適である。例えば、科学文献の中で「非核酸リンカー」、「非ヌクレオチド・リンカー」又は「結合価プラットホーム分子(valency platform molecules)」と呼ばれるさまざまな化合物を、IRCにおいてスペーサーとして使用できる。特定の態様では、スペーサーは、複数の共有結合サブユニットを含んでなり、そして同種ポリマー又は異種ポリマー構造を持つことができる。モノヌクレオチドとポリヌクレオチドが、非核酸スペーサーの定義に含まれず、それを除外することなしに、核酸部分と隣接する非核酸スペーサー部分の間に違いがなくなるであろうことは言うまでもない。
特定の態様では、スペーサーは、1つ以上の脱塩基ヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチド塩基を欠いているが、糖とリン酸部分を持っている)を含んでなることができる。代表的な脱塩基ヌクレオチドとしては、1’,2’-ジデオキシリボース、1’-デオキシリボース、1’-デオキシアラビノース、及びそのポリマーが挙げられる。
他の好適なスペーサーは、任意に置換されているアルキル、任意に置換されているポリグリコール、任意に置換されているポリアミン、任意に置換されているポリアルコール、任意に置換されているポリアミド、任意に置換されているポリエーテル、任意に置換されているポリイミン、任意に置換されているポリホスホジエステル(ポリ(1-ホスホ-3-プロパノールなど)等を含んでなる。任意の置換基としては、アルコール、アルコキシ(メトキシ、エトキシ、及びプロポキシなど)、直鎖又は分岐鎖アルキル(C1-C12アルキルなど)、アミン、アミノアルキル(アミノC1-C12アルキルなど)、ホスホラミダイト、リン酸、チオリン酸、ヒドラジド、ヒドラジン、ハロゲン(F、Cl、Br、又はIなど)、アミド、アルキルアミド(アミドC1-C12アルキルなど)、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、ハロゲン化スルホニル、イミド酸エステル、イソシアナート、イソチオシアナート、ハロホルマート、カルボジイミド付加物、アルデヒド、ケトン、スルフヒドリル、ハロアセチル、ハロゲン化アルキル、スルホン酸アルキル、NR1R2{式中、R1R2が-C(=O)CH=CHC(=O)(マレイミド)である。}、チオエーテル、シアノ、糖(マンノース、ガラクトース、及びグルコースなど)、α,β-不飽和カルボニル、アルキル・メルクリアル、α,β-不飽和スルホンが挙げられる。
好適なスペーサーは、多環式分子、例えばフェニル又はシクロヘキシル環を含むものなどを含んでなることができる。前記スペーサーは、ポリホスホプロパンジオールなどのポリエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン・グリコール、二官能性ペンタレンなどの二官能性多環式分子、インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、ビフェニレン、アシミダセン(asymindacene)、シム-インダセン(sym-indacene)、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランセン、アセフェナスリレン(acephenathrylene)、アセアンスリレン(aceanthrylene)、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、チアンスレン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチンを含んでもよく、これらは、置換されていてもよく若しくは修飾されていてもよく、又は上記ポリエーテルと上記多環式分子の組み合わせであってもよい。前記多環式分子は、C1-C5アルキル、C6アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、ハロゲン又はハロアルキル基で置換又は多置換されていてもよい。含窒素多複素環分子(例えばインドリジン)は、通常、好適なスペーサーではない。スペーサーはまた、グリセロール又はペンタエリトリトールなどのポリアルコールであってもよい。1つの態様では、前記スペーサーは、(1-ホスホプロパン)3-ホスファート又は(1-ホスホプロパン)4-ホスファート(テトラホスホプロパンジオール及びペンタホスホプロパンジオールとも呼ばれる)を含んでなる。1つの態様では、前記スペーサーは、誘導体化2,2’-エチレンジオキシジエチルアミン(EDDA)を含んでなる。
IRCsで有用な非核酸スペーサーの例としては、Cload et al. (1991) J. Am. Chem. Soc. 113:6324; Richardson et al. (1991) J. Am. Chem. Soc. 113:5109; Ma et al. (1993) Nucleic Acids Res. 21:2585; Ma et al. (1993) Biochemistry 32:1751; McCurdy et al. (1991) Nucleosides & Nucleotides 10:287; Jaschke et al. (1993) Tetrahedron Lett. 34:301; Ono et al. (1991) Biochemistry 30:9914;及び国際公開番号第WO 89/02439号によって記載されている「リンカー」が挙げられる。
他の好適なスペーサーとしては、Salunkhe et al. (1992) J. Am. Chem. Soc. 114:8768; Nelson et al. (1996) Biochemistry 35:5339-5344; Hartley et al. (1997) Biochemistry 36:14502-511; Dagneaux et al. (1996) Nucleic Acids Res. 24:4506-12; Durand et al. (1990) Nucleic Acids Res. 18:6353-59; Reynolds et al. (1996) Nucleic Acids Res. 24:760-65; Hendry et al. (1994) Biochem. Biophys. Acta 1219:405-12; Aitmarui et al. (1995) Nucleic Acids Res. 23:4827-35によって記載されているリンカーが挙げられる。さらに、他の好適なスペーサーは、欧州特許番号第EP 0313219B1号及び米国特許番号第6,117,657号に記載されている。
代表的な非核酸スペーサーは、オリゴ-エチレン・グリコール(例えば、トリエチレン・グリコール、テトラエチレン・グリコール、ヘキサエチレン・グリコール・スペーサー、及び最大で約10、約20、約40、約50、約100若しくは約200個のエチレングリコール・ユニットを含んでなる他のポリマー)、アルキル・スペーサー(例えば、プロピル、ブチル、ヘキシル、及び他のC2-C12アルキル・スペーサー、例えば、通常C2-C10アルキル、ほとんどの場合C2-C6アルキル)、脱塩基ヌクレオチド・スペーサー、グリセロールか、ペンタエリトリトールか、又は1,3,5-トリヒドロキシシクロヘキサン由来の対称若しくは非対称スペーサー(例えば、本明細書中に記載の対称ダブラー(doubler)及びトレブラー(trebler)スペーサー部分)を含んでなる。スペーサーはまた、(例えば、アミド、エステル、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、ホスホジエステル、ホスホロチオアート、ホスホルアミダート、ホスホトリエステル、ホスホロジチオアート、メチルホスホナート又は他の結合によって連結された)前述の化合物の異種又は同種のオリゴマー及びポリマーを含んでなることができる。
好適なスペーサー部分は、IRCに電荷及び/又は疎水性をもたらし、IRCの好ましい薬物動態学的特性(例えば、安定性の向上、血液中滞留時間の延長)をもたらし、及び/又は特定の細胞又は臓器へのIRCのターゲッティングをもたらすことができる。所望の薬物動態学的特性又は所望の投与様式(例えば経口投与)への適合性にIRCを合わせるために、スペーサー部分を選択又は修飾することができる。スペーサー(又はスペーサー成分)は、便宜上、そのスペーサー成分がもたらされる化合物の化学名(例えば、ヘキサエチレングリコール)によって呼ぶこともあるが、IRCがその化合物と隣接する核酸部分又は他のスペーサー部分成分とのコンジュゲートを実際に含んでなるという理解を伴っていることは言うまでもない。
2つ以上のスペーサー部分を含んでなるIRCにおいて、そのスペーサーは、同じであっても、異なっていてもよい。よって、1つの態様では、IRC中の非核酸スペーサー部分のすべてが同じ構造を持っている。1つの態様では、IRCは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つ以上の異なった構造を持つ非核酸がスペーサー部分を含んでなる。
いくつかの想定される態様では、IRCのスペーサー部分は、特定の構造物を除外するように規定される。よって、態様によっては、スペーサーは、脱塩基ヌクレオチド、又は脱塩基ヌクレオチドのポリマーを除く。態様によっては、スペーサーは、オリゴ(エチレングリコール)(例えば、HEG、TEG等)又はポリ(エチレングリコール)を除く。態様によっては、スペーサーは、C3アルキル・スペーサーを除く。態様によっては、スペーサーは、ポリペプチドを除く。よって、態様によっては、免疫原性分子、例えばタンパク質若しくはポリペプチドは、スペーサー部分の構成成分として好適ではない。しかしながら、以下に検討されるとおり、特定の態様では、IRCが、「タンパク質性IRC」である、すなわちポリペプチドを含んでなるスペーサー部分を含んでいることが想定される。しかしながら、態様によっては、前記スペーサー部分は、タンパク質性でない、及び/又は抗原性ではない(すなわち、上記IRCから単離されれば、上記スペーサー部分は抗原でない)。
通常、好適なスペーサー部分は、それらが構成成分であるところのIRCを水溶液(例えば、PBS、pH7.0)中で不溶性にしない。よって、スペーサーの定義は、マイクロキャリア又はナノキャリアを除く。加えて、ドデシル・スペーサーなどの難溶性を有する(ジアルコール前駆体の1,12-ジヒドロキシドデカンとして計測された場合に、溶解性<5mg/ml)スペーサー部分は、それがIRCの親水性及び活性を低下させかねないので望ましくない。好ましくは、スペーサー部分は、ジアルコール前駆体として計測したときに、5mg/mlより大きな(例えば、≧20mg/ml、≧50mg/ml又は≧100mg/ml)溶解性を有する。
IRCの電荷は、核酸部分中のリン酸、チオリン酸、又は他の基、並びに非核酸スペーサー部分中の基によってもたらされる。態様によっては、非核酸スペーサー部分は、正味の電荷(例えばpH7で計測したときに、正味の正電荷又は正味の負電荷)を持つ。1つの有用な態様では、前記IRCは、正味の負電荷を持っている。態様によっては、IRC中のスペーサー部分の負電荷は、本明細書中に記載のスペーサー・サブユニットを誘導体化して電荷を増大させることによって増大される。例えば、グリセロールを、2つの核酸部分に共有結合させ、そして残ったアルコールを活性化ホスホラミダイトと反応させ、続いて酸化又は硫化させて、それぞれリン酸又はチオリン酸をそれぞれ形成させることができる。特定の態様では、IRC中の非核酸スペーサー部分によってもたらされた負電荷(すなわち、2つ以上のスペーサーが存在するときの電荷の合計)は、そのIRC中の核酸部分によってもたらされる負電荷より大きい。電荷は、分子式に基づいて計算されるか、又は例えば毛細管電気泳動(Li, ed., 1992, Capillary electrophoresis, Principles, Practice and Application Elsevier Science Publishers, Amsterdam, The Netherlands, pp202-206)によって実験的に測定される。
前述のように、好適なスペーサーは、非ヌクレオチド「リンカー」と一般的に呼ばれる化合物を含めた、それ自体がスペーサーとして有用である本明細書中に記載したものなどのより小さい非核酸(例えば非ヌクレオチド)化合物のポリマーであることができる。そうしたポリマー(すなわち「マルチユニット・スペーサー」)は、異種ポリマーであっても、同種ポリマーであってもよく、そしてエステル結合(例えばホスホジエステル又はホスホロチオアート・エステル)によって連結されたモノマー単位(例えば、HEG、TEG、グリセロール、1’,2’-ジデオキシリボース等)をしばしば含んでなる。よって、1つの態様では、前記スペーサーは、「非-ヌクレオチド」単位(例えば2〜約100単位、あるいは2〜約50、例えば、2〜約5、あるいは例えば、約5〜約50、例えば約5〜約20)から成るポリマー(例えば異種ポリマー)構造を含んでなる。
例示として、配列番号17(C869)とマルチユニット・スペーサーを含んでいるIRCsとしては、
{ここで、(C3)15は、ホスホロチオアート・エステルを介して接続された15個のプロピル・リンカーを意味し;(グリセロール)15は、ホスホロチオアート・エステルを介して接続された15個のグリセロール・リンカーを意味し;(TEG)8は、ホスホロチオアート・エステルを介して接続された8個のトリエチレングリコール・リンカーを意味し;(HEG)4は、ホスホロチオアート・エステルを介して接続された4個のヘキサエチレングリコール・リンカーを意味する。}が挙げられる。特定のマルチユニット・スペーサーは正味の負電荷を持つこと、そしてその負電荷が、例えばエステル結合したモノマー単位の数を増やすことによって増強されることは言うまでもない。
特定の態様では、スペーサー部分は、多価非核酸スペーサー部分(すなわち「多価スペーサー」)である。この関係で使用される場合、多価スペーサーを含むIRCは、3(3)つ以上の核酸部分に共有結合されたスペーサーを含んでいる。多価スペーサーは、当該技術分野において「プラットホーム分子」と呼ばれることもある。多価スペーサーは、ポリマーであっても、非ポリマーであってもよい。好適な分子の例としては、グリセロール又は置換されているグリセロール(例えば、2-ヒドロキシメチル・グリセロール、レブリニル‐グリセロール);テトラアミノベンゼン、ヘプタアミノベータシクロデキストリン、1,3,5-トリヒドロキシシクロヘキサン、ペンタエリトリトール及びペンタエリトリトールの誘導体、テトラアミノペンタエリトリトール、1,4,8,11-テトラアザシクロ・テトラデカン(Cyclam)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン(Cyclen)、ポリエチレンイミン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール及び置換誘導体、[プロピルオキシメチル]エチル化合物(例えば「トレブラー」)、いわゆる「Star PEGs」や「bPEG」などのポリエチレングリコール誘導体(例えば、Gnanou et al. (1988) Makromol Chem. 189:2885; Rein et al. (1993) Acta Polymer 44:225;米国特許番号第5,171,264号)、及びデンドリマーが挙げられる。
デンドリマーは、当該技術分野で知られていて、球状形態の分子と化学的に規定され、通常、分岐構造を得るために多官能性モノマーの段階的又は反復の反応によって調製される(例えばTomalia et al. (1990) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 29:138-75を参照のこと)。さまざまなデンドリマー、例えばアミン末端ポリアミドアミン、ポリエチレンイミン、及びポリプロピレンイミン・デンドリマーが知られている。代表的な有用なデンドリマーとしては、いわゆる「ポリ(アミドアミン)(「PAMAM」)デンドリマー」を含めた米国特許番号第4,587,329号;同第5,338,532号;及び同第6,177,414号に記載のものなどの「高密度星形」ポリマー又は「星形(starburst)」ポリマーが挙げられる。使用に好適なさらなる他の多量体スペーサー分子としては、米国特許番号第5,552,391号;並びにPCT出願公開WO 00/75105、WO 96/40197、WO 97/46251、WO 95/07073、及びWO 00/34231の中に開示されたものなどの化学的に規定された非ポリマー結合価プラットホーム分子が挙げられる。他の多くの好適な多価スペーサーが使用可能であり、そして当業者に知られることになるはずである。
プラットホーム分子への核酸部分のコンジュゲーションは、通常、上記核酸部分及びプラットホーム分子上の1つ以上の架橋剤と官能基にかかわる、いくつもの形で作用する。結合基は、標準的な合成化学技術を使用することでプラットホームに加えられる。結合基は、標準的な合成技術を使用して核酸部分に加えることができる。
さまざまな結合価を持つ多価スペーサーが有用であり、そして、様々な態様では、IRCの多価スペーサーを、約3〜約400個の核酸部分、しばしば3〜100個、時には3〜50個、しばしば3〜10個、そして時には400個超の核酸部分に結合させる。様々な態様では、前記多価スペーサーを、10個超、25個超、50個超、又は500個超の核酸部分(同じでも異なっていてもよい)に結合させる。IRCが多価スペーサーを含んでなる特定の態様では、わずかに異なった分子構造を持つIRCs集団が本明細書中に提供されることは言うまでもない。例えば、高結合価の多価スペーサーとしてデンドリマーを使用してIRCを調製する場合、すなわち、各デンドリマー分子につながった(特定できる範囲の範囲内、又は主にその範囲内の)異なる数の核酸部分を含んでなる多少不均一な分子の混合物が作り出される。
核酸部分への結合を可能にするように誘導体化した多糖は、IRCsのスペーサーとして使用することができる。好適な多糖としては、天然に存在する多糖(例えばデキストラン)と合成多糖(例えばフィコール)が挙げられる。例えば、アミノエチルカルボキシメチル-フィコール(AECM-Ficoll)は、Inman (1975) J. Imm. 114:704-709の方法によって調製できる。AECM-Ficollを、次に6-マレイミド・カプロン酸アシルN-ヒドロキシスクシンイミド・エステルなどの異種二官能性架橋試薬と反応させ、その後チオール誘導体化核酸部分にコンジュゲートされることができる(Lee et al. (1980) Mol. Imm. 17:749-56を参照のこと)。他の多糖も同様にして修飾することができる。
通常の方法を使用してIRCsを調製することは、当該明細書によって指導された当業者の能力、及び当該技術分野の知識の範囲内に十分入っているはずである。核酸部分(例えばオリゴヌクレオチド及び修飾されたオリゴヌクレオチド)を製造する技術が知られている。核酸部分は、これだけに限定されるものではないが、酵素法や化学的方法、並びに酵素的及び化学的アプローチの組み合わせを含めた技術を使用して合成できる。例えば、ホスホジエステル結合を含むDNA又はRNAは、適切なヌクレオシド・ホスホラミダイトを3’末端で固体支持体に取り付けられた伸長用オリゴヌクレオチドの5’-ヒドロキシ基に連続して結合させ、続いて中間体の亜リン酸トリエステルをリン酸トリエステルに酸化することによって化学的に合成できる。DNA合成のための有用な固体支持体としては、調整された細孔ガラス(Applied Biosystems、Foster City, CA)、ポリスチレン・ビーズ・マトリックス(プライマー支持体、Amersham Pharmacia、Piscataway, NJ)、及びTentGel(Rapp Polymere GmbH、Tubingen, Germany)が挙げられる。所望のオリゴヌクレオチド配列が合成されたら、そのオリゴヌクレオチドを支持体から取り外し、リン酸トリエステル基を脱保護してリン酸ジエステルとし、そしてヌクレオシド塩基をアンモニア水又は他の塩基を使用して脱保護する。
例えば、ホスホジエステル結合を含むDNA又はRNAポリヌクレオチド(核酸部分)は、以下のステップ:a)3’-固形支持体-結合ヌクレオシド又は核酸の5’-ヒドロキシル基からの保護基の除去、b)活性化ヌクレオシド・ホスホラミダイトの上記5’-ヒドロキシル基への結合、c)亜リン酸トリエステルのリン酸トリエステルへの酸化、そしてd)反応していない5’-ヒドロキシル基の結合、の反復的な繰り返しによって通常合成される。ホスホロチオアート結合を含むDNA又はRNAは、前記酸化ステップを硫化ステップで置き換えることを除いて、先に記載したように調製される。所望のオリゴヌクレオチド配列が合成されたら、そのオリゴヌクレオチドを支持体から取り外し、リン酸トリエステル基を脱保護してリン酸ジエステルとし、そしてヌクレオシド塩基をアンモニア水又は他の塩基を使用して脱保護する。例えば、Beaucage (1993) "Oligodeoxyribonucleotide Synthesis” in PROTOCOLS FOR OLIGONUCLEOTIDES AND ANALOGS, SYNTHESIS AND PROPERTIES (Agrawal, ed.) Humana Press, Totowa, NJ; Warner et al. (1984) DNA 3:401; Tang et al. (2000) Org. Process Res. Dev. 4:194-198; Wyrzykiewica et al. (1994) Bioorg. & Med. Chem. Lett. 4:1519-1522; Radhakrishna et al. (1989) J. Org. Chem. 55:4693-4699、及び米国特許番号第4,458,066号を参照のこと。指定配列の核酸部分を自動的に合成するプログラマブル・マシンが、広く利用可能である。例としては、Expedite 8909自動DNA合成装置(Perseptive Biosystem、Framington, MA);ABI 394(Applied Biosystems, Inc.、Foster City, CA);及びOligoPilot II(Amersham Pharmacia Biotech、Piscataway, NJ)が挙げられる。
ポリヌクレオチドは、例えば、酸不安定な5’-保護基と3’-ホスホラミダイトを含む塩基保護ヌクレオシド(モノマー)を使用して、3’から5’方向に構築できる。そうしたモノマーの例としては、5’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-保護ヌクレオシド-3’-O-(N,N-ジイソプロピルアミノ)2-シアノエチル・ホスホラミダイトが挙げられ、ここで、上記保護ヌクレオシドの例としては、これだけに限定されるものではないが、N6-ベンゾイルアデノシン、N4-ベンゾイルシチジン、N2-イソブチリルグアノシン、チミジン、及びウリジンが挙げられる。この場合、使用される固体支持体は、3’-連結保護ヌクレオシドを含む。あるいは、ポリヌクレオチドは、酸不安定な3’保護基と5’-ホスホラミダイトを含む塩基保護ヌクレオシドを使用して5’から3’方向へと構築できる。そうしたモノマーの例としては、3’-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-保護ヌクレオシド-5’-O-N,N-ジイソプロピルアミノ)2-シアノエチル・ホスホラミダイトが挙げられ、ここで、上記保護ヌクレオシドの例としては、これだけに限定されるものではないが、N6-ベンゾイルアデノシン、N4-ベンゾイルシチジン、N2-イソブチリルグアノシン、チミジン、及びウリジンが挙げられる(Glen Research、Sterling, VA)。この場合、使用される固体支持体は、5’-連結保護ヌクレオシドを含む。環状核酸成分は、単離、組み換え方法による合成、又は化学的な合成が可能である。化学合成は、文献に記載のいずれかの方法を使用することで実施できる。例えば、Gao et al. (1995) Nucleic Acids Res. 23:2025-2029及びWange et al. (1994) Nucleic Acids Res. 22:2326-2333を参照のこと。
非核酸スペーサー部分の付加は、通常の方法を使用することで達成できる。特定のスペーサー部分の付加方法は、当該技術分野で知られていて、例えばそれは前掲の引用文献に記載されている。例えば、Durand et al. (1990) Nucleic Acids Res. 18:6353-6359を参照のこと。スペーサー部分と核酸部分の間の共有結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオアート、アミド、エステル、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、ホスホルアミダート、ホスホトリエステル、ホスホロジチオアート、メチル・ホスホネート及び他の結合を含めた多くのタイプの中のいずれであってもよい。核酸部分の合成に使用される同じホスホラミダイト・タイプの化学反応を使用して(単数若しくは複数の)スペーサー部分と(単数若しくは複数の)核酸部分を組み合わせることは、しばしば好都合であるはずである。例えば、本明細書中に記載のIRCsは、ホスホラミダイト化学反応を使用して、自動DNA合成装置(例えばExpedite 8909;Perseptive Biosystems, Framington, MA)を使用することで都合よく合成できる(例えば、Beaucage, 1993、前掲; Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry、前掲を参照のこと)。しかしながら、自動DNA合成装置によって行われた同じ(同等)の合成ステップはまた、所望であれば、手作業でも行うことができることは、当業者にとって言うまでもない。そうした合成では、通常、スペーサー(又は、多量体スペーサーのスペーサー・サブユニット)の一端が、4,4’-ジメトキシトリチル基で保護されるのに対し、もう一方の末端は、ホスホラミダイト基を含む。
必要な保護と反応基を有するさまざまなスペーサーが市販されている。例えば、以下のとおりである:
これらや、極めて多様な(例えばDMT及びホスホラミダイト基の保護基を含む)他の保護スペーサー部分の前駆体は、購入することもできるし、本明細書中に開示されたIRCsの調製に使用するための通常の方法を使用することで合成することもできる。前記装置は、所望の順序でヌクレオチド・モノマーとスペーサーを加えるように製造業者の取扱説明書に従ってプログラムされる。
ホスホラミダイト化学反応の使用は、特定のIRCsの調製には好都合であるが、当然のことながら、本明細書中に記載したIRCsが、いずれかの特定の合成又は調製の方法によって調製された化合物に限定されない。
1つの態様では、2タイプ以上の核酸部分にコンジュゲートした多価スペーサーを持つIRCsが調製される。例えば、2つのマレイミド基(チオール含有ポリヌクレオチドと反応できる)及び2つの活性化エステル基(アミノ含有核酸と反応できる)を含むプラットホームが記載されている(例えばPCT出願公開WO 95/07073を参照のこと)。これらの2つの活性化基は、互いに独立に反応させることができる。これは、各配列につき2つ、合計4つの核酸部分を含むIRCをもたらすことになる。
2つの異なった核酸配列を含む多価スペーサーを持つIRCsはまた、先に記載の対称分岐スペーサーと(例えば手作業又は自動化された方法を使用した)従来のホスホラミダイト化学反応を使用しても調製される。前記対称分岐スペーサーは、ホスホラミダイト基、及び同じであり、同時に除去される2つの保護基を含む。1つのアプローチでは、例えば、第1の核酸を合成し、対称分岐スペーサーに結合させ、そのスペーサーから保護基を除去する。次に2つの(同じ配列の)追加核酸を、前記スペーサー上で(単一核酸部分の合成に使用される試薬の量の2倍量を各ステップで使用して)合成する。
同様の方法を用いて、3つの異なった核酸部分(以下、核酸I、II、及びIIIと呼ぶ)を、多価プラットホーム(例えば非対称分岐スペーサー)に接続するのに使用できる。これは、自動DNA合成装置を使用して実施するのが最も好都合である。1つの態様では、前記非対称分岐スペーサーは、ホスホラミダイト基と、独立に除去することができる2つの直交保護基を含む。まず最初に核酸Iを合成し、次に非対称分岐スペーサーを核酸Iに結合させ、次に前記保護基の一方を選択的に除去した後に核酸IIを付加する。核酸IIを脱保護し、キャップし、次にスペーサー上のもう一方の保護基を除去する。最後に核酸IIIを合成する。
態様によっては、(単数若しくは複数の)核酸部分を合成し、標準的な合成化学技術を使用して反応性結合基(例えばアミノ、カルボキシラート、チオ、ジスルフィド等)を付加する。前記反応性結合基(これは得られるスペーサー部分の一部を形成すると考えられる)を、追加の非核酸化合物にコンジュゲートさせてスペーサー部分を形成させる。結合基は、核酸合成に標準的な方法を使用して、文献に記載の又は市販のさまざまな試薬を用いて核酸に付加する。例としては、保護アミノ基、カルボキシラート基、チオール基、又はジスルフィド基及びホスホラミダイト基を含む試薬が挙げられる。これらの化合物は、一旦活性化ホスホラミダイト基を介して核酸に組み込まれ、次に脱保護され、それらはアミノ、カルボキシラート、又はチオール反応性を核酸に付与する。
可変長の親水性リンカーは、例えば核酸部分とプラットホーム分子の連結に有用である。種々の好適なリンカーが知られている。好適なリンカーとしては、これだけに限定されるものではないが、エチレングリコールの線状オリゴマー又はポリマーが挙げられる。そうしたリンカーは、式R1S(CH2CH2O)nCH2CH2O(CH2)mCO2R2{式中、n=0〜200であり、m=1又は2であり、R1=H又は保護基、例えばトリチルなどであり、R2=H、アルキル又はアリールである。}を持つリンカー、例えば4-ニトロフェニル・エステルを含む。これらのリンカーは、チオエーテルを介してハロアセチル(haloaceyl)やマレイミド(maleiamido)などのチオール反応基を含む分子を、アミド結合を介してアミノ基を含む第2の分子に接続するのに有用である。この結合順序は変えることができる。すなわち、チオエーテル結合の形成は、アミド結合の形成の前でも後でもよい。他の有用なリンカーとしては、Sulfo-SMCC(4-[N-マレイミドメチル]-シクロヘキサン-1-カルボン酸スルホスクシンイミジル)Pierce Chemical Co.商品番号22322;Sulfo-EMCS(N-[ε-マレイミドカプロイルオキシ]スルホスクシンイミド・エステル)Pierce Chemical Co.商品番号22307;Sulfo-GMBS(N-[γ-マレイミドブチリルオキシ]スルホスクシンイミド・エステル)Pierce Chemical Co.商品番号22324(Pierce Chemical Co.、Rockford, IL)、及び一般式マレイミド-R-C(O)NHSエステル{式中、R=アルキル、環状アルキル、エチレングリコールのポリマーである。}によって表される類似化合物等が挙げられる。
核酸部分を多価スペーサーに共有結合させる特に有用な方法は、前掲参考文献に記載されている。
特定の態様では、ポリペプチドを、複数の核酸部分を直接的に又はリンカーを介して共有結合的にコンジュゲートさせるための多価スペーサー部分として使用し、「タンパク質性IRC」を形成する。前記ポリペプチドは、担体(例えばアルブミン)であってもよい。通常、タンパク質性IRCは、少なくとも1個の、通常数個又は多数の、核酸部分を含むが、その核酸部分は(a)長さが2〜7、よりしばしば4〜7ヌクレオチドであり、あるいは長さが2〜6、2〜5、4〜6、又は4〜5ヌクレオチドである、及び/又は(b)低い免疫調整活性しか持たない、又は免疫調整活性を持たない。タンパク性IRCの作製方法は、当該開示の見直しにより当業者には自明なはずである。例えば、ポリペプチド・スペーサー部分への核酸の共有結合的なコンジュゲートには、技術上周知の方法、例えば核酸部分の3’又は5’末端(又は核酸部分の内部位置にある適当な修飾塩基)と好適な反応基(例えばシトシン残基のN4アミノ基と直接反応することができるN-ヒドロキシスクシンイミド・エステル)を備えたポリペプチドとの間の結合などを用いることができる。さらなる例として、ポリペプチドは、核酸部分の遊離5’末端に、核酸部分に組み込まれたアミン、チオール、又はカルボキシル基を通して取り付けられることができる。あるいは、ポリペプチドを、本明細書中に記載したようにスペーサー部分に結合してもよい。さらに、保護アミン、チオール、又はカルボキシルを一端に含み、且つ、ホスホラミダイト基を含む結合基を、ポリヌクレオチドのヒドロキシル基に共有結合させ、脱保護後に、その官能基を使用してペプチドにIRCを共有結合させることもできる。
IRP及び/又はIRC複合体と組成物
IRPs又はIRCsは個体に直接投与できる、又はそれらは、IRP又はIRCの細胞へのデリバリー及び/又は細胞による取り込みを高めるために組成物又は複合体の状態で投与できる。組成物又は複合体はまた、より異なった2つのIRP及び/又はIRC種の細胞への同時デリバリーを促進するためにも使用できる。態様によっては、IRCsとIRPsの混合物は、少なくとも1つのIRC及びIRP種を送達するように複合体化されてもよい。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されていないIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されたIRSsと修飾されていないIRSsの両方を含んでなる。そうしたデリバリー組成物又は複合体としては、これだけに限定されるものではないが、本明細書中に記載し、且つ、当該技術分野で知られている、カプセル化複合体及びコロイド分散系が挙げられる。そうしたデリバリー組成物の例としては、水中油型エマルジョン、ミセル、及びリポソームが挙げられる。デリバリー組成物又は複合体としては、本明細書中に記載したように、リンカー分子、プラットホーム分子、ナノ粒子又は微小粒子に連結されたIRP及び/又はIRCも挙げることができる。そうした結合には、共有結合と非共有結合の両方が含まれる。別段の言及がない限り、IRPsと使用するために本明細書中に記載された複合体及び組成物製剤はまた、IRCsとの使用にも適当である。
態様によっては、前記IRP及び/又はIRCをリンカー分子と結合させる。前記IRP及び/又はIRC部分は、共有結合及び/又は非共有結合相互作用を含めたさまざまな方法でコンジュゲートのリンカー部分に結びつけられる。
部分間の連結は、IRP及び/又はIRCの3’又は5’末端で、又はIRP及び/又はIRCの内部位置で適当に修飾された塩基において行うことができる。リンカーがペプチドであり、且つ、好適な反応基(例えばN-ヒドロキシスクシンイミド・エステル)を含む場合には、シトシン残基のN4アミノ基と直接反応させることができる。IRP及び/又はIRC中のシトシン残基の数と位置に応じて、1つ以上の残基で特異的な結合を達成することができる。
あるいは、修飾オリゴヌクレオシド、例えば当該技術分野で知られているものなどは、IRP及び/又はIRCのいずれかの末端に又は内部位置に組み込むことができる。これらはブロック官能基を含むことができるが、そのブロック官能基は、脱ブロック化されると、着目のリンカーに存在し得る又は取り付けられ得るさまざまな官能基に対して反応性になる。
リンカーがペプチドである場合、コンジュゲートのこの部分は、固体支持体化学を通じてIRP及び/又はIRCの3’末端に結合させることができる。例えば、IRP部分は、あらかじめ支持体上で合成されたペプチド部分に付加することができる。Haralambidis et al. (1990a) Nucleic Acids Res. 18:493-499;及びHaralambidis et al. (1990b) Nucleic Acids Res. 18:501-505。あるいは、3’末端から伸長する切断可能なリンカーを介して固体支持体に接続されるようにIRPを合成することもできる。前記IRPを支持体から化学的に切断すると、オリゴヌクレオチドの3’末端に末端チオール基が残るか(Zuckermann et al. (1987) Nucleic Acids Res. 15:5305-5321;及びCorey et al. (1987) Science 238:1401-1403)又は末端アミノ基がオリゴヌクレオチドの3’末端に残る(Nelson et al. (1989) Nucleic Acids Res. 17:1781-1794)。ペプチドのアミノ基へのアミノ修飾IRP及び/又はIRCのコンジュゲーションは、Benoit et al. (1987) Neuromethods 6:43-72に記載のとおり実施できる。ペプチドのカルボキシル基へのチオール修飾IRP及び/又はIRCのコンジュゲーションは、Sinah et al. (1991) Oligonucleotide Analogues: A Practical Approach, IRL Pressに記載のとおり実施できる。ペプチドのシステイン残基のチオール側鎖への付加されたマレイミドを担持するオリゴヌクレオチドのカップリングもまた記載されている。Tung et al. (1991) Bioconjug. Chem. 2:464-465。
前記コンジュゲートのペプチド・リンカー部分はIRP及び/又はIRCの5’末端に、その合成中にオリゴヌクレオチド内に組み込まれたアミン、チオール、又はカルボキシル基を介して付加することができる。オリゴヌクレオチドが固体支持体に固定されていながら、一端に保護アミン、チオール、又はカルボキシルを、もう一端にホスホラミダイトを含んでなる、結合基を5’-ヒドロキシルに共有結合させるのが好ましい。Agrawal et al. (1986) Nucleic Acids Res. 14:6227-6245; Connolly (1985) Nucleic Acids Res. 13:4485-4502; Kremsky et al. (1987) Nucleic Acids Res. 15:2891-2909; Connolly (1987) Nucleic Acids Res. 15: 3131-3139; Bischoff et al. (l987) Anal. Biochem. 164: 336-344; Blanks et al. (1988) Nucleic Acids Res. 16:10283-10299;並びに米国特許番号第4,849,513号、同第5,015,733号、同第5,118,800号、及び同第5,118,802号。脱保護基後、前記アミン、チオール、及びカルボキシル官能基は、ペプチドへのオリゴヌクレオチドの共有結合に使用できる。Benoit et al. (1987);及びSinah et al. (1991)。
IRP及び/又はIRCコンジュゲートはまた、イオン結合、疎水性相互作用、水素結合及び/又はファン・デル・ワールス力などの非共有的な相互作用を通じて形成されることもできる。
非共有結合コンジュゲートは、ビオチン‐ストレプトアビジン複合体などの非共有的な相互作用を含むことができる。ビオチニル基は、例えば、IRP及び/又はIRCの修飾塩基に結合させることができる。Roget et al. (1989) Nucleic Acids Res. 17:7643-7651。ペプチド部分へのストレプトアビジン部分の取り込みは、ストレプトアビジン・コンジュゲート・ペプチドとビオチン化オリゴヌクレオチドの非共有結合複合体の形成を可能にする。
非共有結合的な会合はまた、IRP及び/又はIRCが関与しているイオン性相互作用によるか、又はオリゴヌクレオチドと相互作用し得る荷電部分を含んでなるリンカー部分の使用によっても生じることができる。例えば、非共有結合的コンジュゲートは、例えば、通常、負帯電したIRP及び/又はIRCと、正帯電したペプチド・リンカーのアミノ酸部分、例えばポリリシン、ポリアルギニン及びポリヒスチジン残基の間で起こり得る。
IRP及び/又はIRCの脂質への結合は、標準的な方法を用いて行うことができる。これらの方法としては、これだけに限定されるものではないが、オリゴヌクレオチド‐リン脂質コンジュゲートの合成(Yanagawa et al. (1988) Nucleic Acids Symp. Ser. 19:189-192)、オリゴヌクレオチド‐脂肪酸コンジュゲートの合成(Grabarek et al. (1990) Anal Biochem. 185:131-135;及びStaros et al. (1986) Anal Biochem. 156:220-222)、オリゴヌクレオチド‐ステロール・コンジュゲートの合成(Boujrad et al. (1993) Proc. Natl Acad Sci. USA 90:5728-5731)が挙げられる。
オリゴヌクレオチドのオリゴ糖への結合は、標準的な公知の方法を使用することで形成することができる。これらの方法としては、これだけに限定されるものではないが、オリゴ糖が免疫グロブリンの一部であるところのオリゴヌクレオチド‐オリゴ糖コンジュゲートの合成が挙げられる。O'Shannessy et al. (1985) J. Applied Biochem. 7:347-355。
環状IRP及び/又はIRCのペプチド・リンカーへの結合は、いくつかの方法で形成することができる。環状IRP及び/又はIRCが組み換え又は化学的な方法を使用することで合成される場合、修飾されたヌクレオシドが好適である。Ruth (1991) in Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, IRL Press。その後、標準的な連結技術を用い、環状IRP及び/又はIRCをペプチドへ結合することができる。Goodchild (1990) Bioconjug. Chem. 1:165。環状IRP及び/又はIRCが組み換え又は化学的方法を用いて単離又は合成される場合、この連結は、化学的活性化、又は光活性化、ペプチドに組み込まれた反応基(例えばカルベン、ラジカル)によって形成することができる。
ぺプチド及び他の分子をオリゴヌクレオチドに付加するための追加の方法は、米国特許番号第5,391,723号;Kessler (1992) "Nonradioactiye labeling methods for nucleic acids" in Kricka (ed.) Nonisotopic DNA Probe Techniques, Academic Press;及びGeoghegan et al. (1992) Bioconjug, Chem. 3:138-146に説明されている。
IRP及び/又はIRCは他の方法により近接して会合できる。態様によっては、IRP及び/又はIRCは、封入によって近接して会合される。他の態様では、IRP及び/又はIRCは、プラットホーム分子へ連結することによって近接して会合される。「プラットホーム分子」(「プラットホーム」とも称される)とは、IRP及び/又はIRCの付加を可能にする部位を含む分子である。他の態様では、IRP及び/又はIRCは、表面、好ましくは担体粒子への吸着によって近接して会合される。
態様によっては、本明細書中に記載の方法は、IRP及び/又はIRCと関連した封入物質を利用する。IRP及び/又はIRCと封入物質を含んでなる組成物は、アジュバント水中油型エマルジョン、微小粒子及び/又はリポソームの形態であることが好ましい。より好ましくは、IRP及び/又はIRCを封入したアジュバント水中油型エマルジョン、微小粒子及び/又はリポソームが、約0.04μm〜約100μmのサイズ、好ましくは以下の範囲:約0.1μm〜約20μm;約0.15μm〜約10μm;約0.05μm〜約1.00μm;約0.05μm〜約0.5μmのいずれかのサイズの粒子の形態である。
ミクロスフェアなどのコロイド分散系、ビーズ、高分子複合体、ナノカプセル、並びに系水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル及びリポソームなどの脂質ベースの系は、IRP及び/又はIRCを含んでいる組成物の有効な封入を提供することができる。
本封入組成物は、多種多様な成分のいずれかをさらに含んでなる。これらとしては、これだけに限定されるものではないが、ミョウバン、脂質、リン脂質、脂質膜構造(LMS)、ポリエチレングリコール(PEG)及び他のポリマー、例えばポリペプチド、糖ペプチド、及び多糖などが挙げられる。
封入成分に好適なポリペプチドは、当該技術分野において公知のいずれかを含み、そして、これだけに限定されるものではないが、脂肪酸結合タンパク質が含まれる。修飾されたポリペプチドは、これだけに限定されるものではないが、グリコシル化、リン酸化、ミリスチル化、硫酸化及びヒドロキシル化を含めたさまざまな修飾のいずれかを含む。本明細書中では、好適なポリペプチドは、IRP及び/又はIRCを含む組成物の免疫調節作用を保存するように、IRP及び/又はIRCを含む組成物を保護するものである。結合タンパク質の例としては、これだけに限定されるものではないが、ウシ血清アルブミン(BSA)及びマメ・アルブミンなどのアルブミンが挙げられる。
他の好適なポリマーは、医薬分野において公知のものであり、そして、これだけに限定されるものではないが、デキストランや、ヒドロキシエチルデンプンや、多糖などの天然のポリマー、並びに合成ポリマーが挙げられる。天然のポリマーの例としては、タンパク質、糖ペプチド、多糖、デキストラン及び脂質が挙げられる。追加のポリマーは、合成ポリマーであることができる。使用に好適な合成ポリマーの例として、これだけに限定されるものではないが、ポリアルキルグリコール(PAG)、例えばPEGなど、ポリオキシエチル化ポリオール(POP)、例えばポリオキシエチル化グリセロール(POG)など、ポリトリメチレングリコール(PTG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリヒドロキシエチル・メタクリルラート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸、ポリエチルオキサゾリン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアミノ酸、ポリウレタン及びポリホスファゼンが挙げられる。合成ポリマーはまた、直鎖若しくは分岐の、置換された若しくは置換されていない、同種ポリマー、2つ以上の異なる合成モノマーのコポリマー、又はブロック・コポリマーであることもできる。
封入組成物において使用するためのPEGsは、化学物質供給業者から購入するか、又は当業者に知られている技術を用いて合成するかのいずれかである。
用語「LMS」は、本明細書中では、極性脂質の極性ヘッド基が境界面の水相に面するように配置されて、膜構造を形成している、層状脂質粒子を意味する。LMSの例としては、リポソーム、ミセル、渦巻状(すなわち一般に円柱状リポソーム)、マイクロエマルジョン、単層ベシクル、多重層ベシクル等が挙げられる。
任意のコロイド分散系はリポソームである。本明細書中では、「リポソーム」又は「脂質ベシクル」は、少なくとも1つ、そして可能であれば2つ以上の二層脂質膜によって結合された小型ベシクルである。リポソームは、これだけに限定されるものではないが、超音波処理、押出、又は脂質‐界面活性剤複合体からの界面活性剤の除去を含めた当該技術分野で知られている技術のいずれかにより、リン脂質、糖脂質、脂質、コレステロールなどのステロイド、関連分子、又はその組み合わせ物から人工的に作製される。リポソームはまた、任意に組織標的化成分などの追加成分も含むことができる。「脂質膜」又は「脂質二重層」は、脂質だけから成る必要はないが、膜の全体構造が疎水性コアをはさむ2つの親水性表面のシートであることを条件とし、これだけに限定されるものではないが、コレステロール及び他のステロイド、脂溶性化学物質、任意の長さのタンパク質、及び他の両親媒性分子を含む、いずれかの好適な他の成分を追加的に含むことができることは言うまでもない。膜構造に関する全体的な考察については、The Encyclopedia of Molecular Biology by J. Kendrew (1994)を参照のこと。好適な脂質に関しては、例えば、Lasic (1993) "Liposomes: from Physics to Applications" Elsevier, Amsterdamを参照のこと。
IRP及び/又はIRCを含む組成物を含むリポソームの調製プロセスは、当該技術分野で知られている。脂質ベシクルは、当該技術分野で知られている好適な技術のいずれかによって調製することができる。方法としては、これだけに限定されるものではないが、マイクロ封入、マイクロフルイダイゼーション(microfluidization)、LLC法、エタノール注入、フレオン注入、「バブル」法、界面活性剤透析、水和、超音波処理、及び逆相留去が挙げられる。Watwe et al. (1995) Curr. Sci. 68:715-724において検証されている。最も望ましい特性を伴うベシクルに提供するために、技術を組み合わせてもよい。
本明細書中は、組織又は細胞標的化成分を含むLMSの使用を提供する。そうした標的化成分は、完全な動物、臓器又は細胞培養物へ投与される場合、他の組織又は細胞部位よりも優先して、特定の組織又は細胞部位に蓄積することを促進するLMSの成分である。標的化成分は、通常、リポソームの外側からアクセス可能であり、そのため好ましくは外側表面に結合されているか又は脂質二重層の外側に挿入されているかのいずれかである。標的化成分は、とりわけ前述の分子のいずれに取り付けられたペプチド、巨大なペプチドの領域、細胞表面分子若しくはマーカーに特異的な抗体、又はそれらの抗原結合断片、核酸、炭水化物、複合炭水化物の領域、特別な脂質、又は小分子、例えば薬物、ホルモン若しくはハプテンなどであることができる。細胞型‐特異的細胞表面マーカーに特異性を有する抗体は、当該技術分野で知られていて、且つ、当該技術分野で知られている方法によって容易に調製される。
LMSは、治療的処置に向けられるいずれかの細胞型、例えば免疫応答を調節する、及び/又はこれに参加することができる細胞形を標的化することができる。このような標的細胞及び臓器としては、これだけに限定されるものではないが、APCs、例えばマクロファージ、樹状細胞及びリンパ球、リンパ組織、例えばリンパ節及び脾臓、並びに非リンパ組織、特に樹状細胞が見られるものなどが挙げられる。
本明細書中に提供されたLMS組成物は、界面活性剤を追加的に含んでなることができる。界面活性剤は、陽イオン性、陰イオン系、両親媒性、又は非イオン性であることができる。界面活性剤の要望クラスは、非イオン性界面活性剤である;特に好ましいのは、水溶性のものである。
IRP及び/又はIRCがプラットホーム分子への連結によって近接して会合される態様によっては、プラットホームは、タンパク性又は非タンパク性(すなわち有機物)であってよい。タンパク性プラットホームの例としては、これだけに限定されるものではないが、アルブミン、γグロブリン、免疫グロブリン(IgG)及びオボアルブミンが挙げられる。Borel et al. (1990) Immunol Methods 126:159-168; Durnas et al. (1995) Arch. Dematol. Res. 287:123-128; Borel et al. (1995) Int. Arch. Allergy Immunol. 107:264-267; Borel et al. (1996) Ann. N.Y. Acad Sci. 778:80-87。プラットホームは、2つ以上のIRP及び/又はIRCへの結合に対応するために多価である(すなわち2つ以上の結合部位又は連結部位を含む)。従って、プラットホームは、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上の結合部位又は連結部位を含んでもよい。高分子プラットホームの他の例は、デキストラン、ポリアクリルアミド、フィコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、及びポリD-グルタミン酸/D-リシンである。
態様によっては、高分子プラットホームは、ポリマーである。態様によっては、前記ポリマーは、デキストラン、ポリアクリルアミド、フィコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、又はポリD-グルタミン酸/D-リシンである。態様によっては、前記高分子プラットホームは、フィコールである。態様によっては、前記高分子プラットホームは、フォコール400である。態様によっては、前記高分子プラットホームは、フィコール70である。態様によっては、前記高分子プラットホームは、Ficoll(登録商標)PM70(ポリ(ショ糖-co-エピクロルヒドリン))である。態様によっては、前記高分子プラットホームは、Ficoll(登録商標)PM400である。態様によっては、約1〜約200、約1〜約150、約1〜約125、約1〜約100、約1〜約75、約1〜約50、又は約1〜約25個のいずれかのIRPs及び/又はIRCsを、前記高分子プラットホームに連結させる。態様によっては、約1〜約100個のIRPs及び/又はIRCsを、前記高分子プラットホームに連結させる。態様によっては、前記IRPs及び/又はIRCsは、修飾されたIRSsを含んでなる。態様によっては、前記IRPs及び/又はIRCsは、修飾されていないIRSsを含んでなる。態様によっては、前記IRPs及び/又はIRCsは、修飾されていないIRSsと修飾されたIRSsの両方を含む。
プラットホーム分子使用の原理は、当該技術分野で十分に理解されている。通常、プラットホームは、IRP及び/又はIRCに対する好適な結合部位を含むか、又は含むように誘導される。加えて又は変わりに、IRP及び/又はIRCは、適切な連結基を提供するように誘導される。例えば、単純なプラットホームは、ペプチドなどの二官能性リンカー(すなわち、2つの結合部位を持っている)である。以下でさらなる例について検討する。
プラットホーム分子は、生物学的に安定化されてもよく、すなわちそれらは治療的有効性を与えるために、しばしば数時間から数日から数カ月もの生体内における***半減期を示し、且つ、規定された組成物の合成一本鎖で構成されることが好ましい。これらは、通常、約200〜約1,000,000、好ましくは次の範囲:約200〜約500,000、約200〜約200,000、約200〜約50,000(又はそれ以下、30,000など)のいずれかの範囲の分子量を持っている。結合価プラットホーム分子の例としては、ポリエチレングリコール(PEG;好ましくは約200〜約8000の分子量を持っている)、ポリ-D-リシン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、(3:2の比の)D-グルタミン酸とD-リシンなどのポリマーである(又はポリマーで構成される)。使用できる他の分子は、アルブミンとIgGである。
使用に好適な他のプラットホーム分子は、米国特許番号第5,552,391号に開示された、化学的に規定された、非高分子の結合価プラットホーム分子である。使用に好適な他の均質の化学的に規定された結合価プラットホーム分子は、誘導体化2,2’-エチレンジオキシジエチルアミン(EDDA)とトリエチレングリコール(TEG)である。
追加の好適な結合価プラットホーム分子としては、これだけに限定されるものではないが、テトラアミノベンゼン、ヘプタアミノベータシクロデキストリン、テトラアミノペンタエリトリトール、1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン(Cyclam)及び1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン(Cyclen)が挙げられる。
一般にこれらのプラットホームは、標準的な化学合成技術により作製される。PEGは、誘導体化され、且つ、多価とされなければならず、このことは、標準的な技術を使用することで達成される。コンジュゲート合成に好適ないくつかの物質、例えばPEG、アルブミン、及びIgGなどは、市販されている。
IRP及び/又はIRCのプラットホーム分子へのコンジュゲーションは、多くの方法で実行することができ、通常1つ以上の架橋剤、並びにIRP及び/又はIRC及びプラットホーム分子上に官能基が関与している。プラットホームとIRP及び/又はIRCには、適切な連結基がなければならない。連結基は、標準的な合成化学技術を使用することでプラットホームに付加される。連結基は、標準的な固相合成的技法又は組み換え技術のいずれかを使用することでポリペプチド・プラットホーム及びIRP及び/又はIRCに付加されてもよい。組み換えアプローチは、リンカーを取り付けるために翻訳後修飾を必要とすることもあり、そうした方法は当該技術分野で知られている。
例として、ポリペプチドは、ポリペプチドのプラットホームへの結合部位として機能するアミノ基、カルボキシル基又はスルフヒドリル基などの官能基を含むアミノ酸側鎖部分を含む。ポリペプチドが既にこれらの基を含んでいない場合は、そうした官能基を持っている部分をポリペプチドに付加してもよい。そうした残基は、固相合成技術又は組み換え技術により組み込むことができ、これらは両方ともペプチド合成技術分野で周知である。ポリペプチドが、(単数若しくは複数の)炭水化物側鎖を持つ場合(又はプラットホームが炭水化物である場合)、官能性アミノ、スルフヒドリル及び/又はアルデヒド基を、従来の化学反応によりそこに組み込むことができる。例えば、1級アミノ基は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムの存在下で酸化された糖のエチレンジアミンとの反応によって組み込むことができ、スルフヒドリルは、システアミン・ジヒドロクロライドの反応とそれに続く標準ジスルフィド還元剤による還元により導入することができ、アルデヒド基は、過ヨウ素酸酸化後に作り出すことができる。同様の様式で、プラットホーム分子が、既に適切な官能基を持たない場合は、これが官能基を含むように誘導体化することもできる。
さまざまな長さの親水性リンカーが、IRP及び/又はIRCをプラットホーム分子に接続するのに有用である。好適なリンカーとしては、エチレングリコール直鎖オリゴマ又はポリマーが挙げられる。そうしたリンカーは、式R1S(CH2CH2O)nCH2CH2O(CH2)mCO2R2{式中、n=0〜200であり、m=1又は2であり、R1=H又は保護基、例えばトリチルなどであり、R2=H又はアルキル又はアリールである。}を持つリンカー、例えば4-ニトロフェニル・エステルを含む。これらのリンカーは、チオエーテルを介し、ハロアセチル、マレイミドなどのチオール反応基を含む分子のアミド結合によるアミノ基を含む第2分子への接続に有用である。これらのリンカーは、取り付け順序に関して柔軟である、すなわちこのチオエーテルは、最初に又は最後に形成することができる。
IRP及び/又はIRCが表面上への吸着により近接して会合される態様では、この表面は、無機コア又は有機コアのいずれかにより作製された担体粒子(例えばナノ粒子)の形であってもよい。そうしたナノ粒子の例としては、これだけに限定されるものではないが、ナノ結晶粒子、アルキルシアノアクリレートの重合によって作製されたナノ粒子、及びマロン酸メチリデンの重合によって作製されたナノ粒子が挙げられる。IRP及び/又はIRCを吸着できる追加の表面としては、これだけに限定されるものではないが、活性炭素粒子及びタンパク質‐セラミック・ナノ粒子が挙げられる。担体粒子の他の例が、本明細書中に提供されている。
吸着分子の細胞へのデリバリーの目的のためのポリヌクレオチドとポリペプチドの表面への吸着は、当該技術分野で周知である。例えば、Douglas et al. (1987) Crit. Rev. Ther. Drug. Carrier Syst. 3:233-261; Hagiwara et al. (1987) In Vivo 1:241-252; Bousquet et al. (1999) Pharm. Res. 16:141-147;及びKossovsky et al.米国特許番号第5,460,831号を参照のこと。吸着性表面を含む物質は、生分解性であることが好ましい。IRP及び/又はIRCの表面への吸着は、イオン形及び/又は疎水性相互作用を含めた、非共有的な相互作用を通じて生じることができる。
一般に、ナノ粒子などの担体の特徴、例えば表面電荷、粒径及び分子量などは、重合条件、モノマー濃度、及び重合過程中の安定化剤の依存によって決まる(Douglas et al. 1987)。IRP及び/又はIRCの吸着を可能に又は増強するために、担体粒子の表面は、例えば表面コーティングで修飾されもよい。吸着されたIRP及び/又はIRCを伴う担体粒子は、他の物質でさらにコーティングされてもよい。このような他の物質の添加は、本明細書中に記載のように、例えば一旦対象に投与された粒子の半減期を延長するか、及び/又は粒子を特定の細胞型又は組織に標的化することができる。
IRP及び/又はIRCを吸着できるナノ結晶表面が説明されている(例えば米国特許番号第5,460,831号を参照のこと)。ナノ結晶コア粒子(直径1μm以下)は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド及び/又は他の医薬品の吸着を促進する表面エネルギー修飾層によりコーティングされている。別の吸着性表面は、アルキルシアノアクリレートの重合により作製されたナノ粒子である。アルキルシアノアクリレートは、陰イオン重合プロセスにより、酸性化された水性媒体中で重合することができる。重合条件によって、この小粒子は、20〜3000nmの範囲にサイズを持つ傾向があり、特定の表面特性と特定の表面電荷を伴うナノ粒子を作製することが可能である(Douglas et al., 1987)。例えば、オリゴヌクレオチドは、塩化テトラフェニルホスホニウムなどの疎水性陽イオン又はセチルトリメチルアンモニウムブロミドなどの4級アンモニウム塩の存在下でポリイソブチル-及びポリイソヘキシルシアノアクリラート・ナノ粒子に吸着されてもよい。これらのナノ粒子上のオリゴヌクレオチドの吸着は、核酸鎖の負帯電したリン酸基と疎水性陽イオンの間のイオン対形成により媒介されると思われる。例えば、Lambert et al. (1998) Biochimie 80:969-976, Chavany et al. (1994) Pharm. Res. 11:1370-1378; Chavany et al. (1992) Pharm. Res. 9:441-449を参照のこと。別の吸着性表面は、マロン酸メチリデンの重合によって作製されたナノ粒子である。
IRPs又はIRCsは、マイクロキャリア(MC)複合体の形で投与されてもよい。従って、本明細書中は、複合体IRP/MC又はIRC/MC複合体を含んでなる組成物を提供する。IRP/MC複合体は、マイクロキャリアの表面に結合したIRPを含んでなる(すなわち、IRPはMC中に封入されていない)、好ましくは各マイクロキャリアに結合した複数の分子のIRPを含んでなる。特定の態様では、異なったIRPsの混合物は、マイクロキャリアと、そのマイクロキャリアが2つ以上のIRP種と結合するように複合体を形成してもよい。IRPとMCの間の結合は、共有結合的であっても、非共有結合的であってもよい。当業者によって理解されるとおり、前記IRPは、修飾させるか又は誘導体化されてもよく、そしてマイクロキャリアの組成は、IRP/MC複合体形成のために望ましい所望のタイプの結合に対応するように選択される、及び/又は修飾されることができる。これと同じ説明が、IRC/MC複合体に当てはまる。特定の態様では、IRCsとIRPsの混合物は、マイクロキャリアと、そのマイクロキャリアが少なくとも1つのIRCとIRP種を結合するように複合体を形成してもよい。
有用なマイクロキャリアは、サイズが約150、120又は100μm未満であり、より一般的にはサイズが約50〜60μm未満、好ましくはサイズが約10μm未満であり、及び純水に不溶性である。使用されるマイクロキャリアは、生分解性が好ましいが、非生分解性マイクロキャリアも適用可能である。マイクロキャリアは、「ビーズ」又は他の粒子のように通常固相であるが、生分解性ポリマー又はオイルを含んでなる水中油型エマルジョンなどの液相マイクロキャリアも想定される。マイクロキャリアとしての使用に適用可能なさまざまな生分解性及び非生分解性材料が、当該技術分野で知られている。
本明細書中に記載した組成物又は方法において使用するためのマイクロキャリアは、通常、サイズが約10μm未満(例えば、約10μm未満の平均直経を持つか、又は粒子の少なくとも約97%が10μmのスクリーン・フイルターを通り抜ける)であり、且つ、ナノキャリア(すなわち、サイズが約1μm未満の担体)を含む。好ましくは、上限が約9、7、5、2、1μm又は900、800、700、600、500、400、300、250、200、若しくは100nm、且つ、下限が約4、2、若しくは1μm、又は約800、600、500、400、300、250、200、150、100、50、25、若しくは10nmから独立に選択され、ここで、上記下限は上記上限未満であるサイズを持つマイクロキャリアが選択される。態様によっては、上記マイクロキャリアは、サイズが約1.0〜1.5μm、約1.0〜2.0μm、又は約0.9〜1.6μmである。特定の好ましい態様では、上記マイクロキャリアは、サイズが約10nm〜約5μm又は約25nm〜約4.5μm、約1μm、約1.2μm、約1.4μm、約1.5μm、約1.6μm、約1.8μm、約2.0μm、約2.5μm又は約4.5μmである。上記マイクロキャリアがナノキャリアである場合、好ましい態様は、約25〜約300nm、50〜約200nm、約50nm又は約200nmのナノキャリアを含む。
固相生分解性マイクロキャリアは、以下を含み、これだけに限定されるものではないが、生分解性ポリマーから製造できる:生分解性ポリエステル、例えばポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、及びそれらのコポリマー(ブロックコポリマーを含む)など、加えてポリ(乳酸)及びポリ(エチレングリコール)のブロックコポリマー;ポリオルトエステル、例えば3,9-ジエチリデン-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン・ベースのポリマー(DETOSU)など;ポリ無水物、例えばセバシン酸などの比較的親水性のモノマーをベースにしたポリ(無水物)ポリマーなど;ポリイミド無水物、例えばグリシン又はアラニンなどのアミノ酸を組み込んでいるセバシン酸‐由来のモノマー(すなわちアミノ‐末端窒素を介したイミド結合によってセバシン酸に連結した)をベースにしたポリ無水物ポリマーなど;ポリエステル無水物;ポリホスファゼン、特にカルボン酸の発生を通じてポリマー骨格の分解を触媒することができる加水分解‐感応性エステル基を含むポリ(ホスファゼン)(Schacht et al. (1996) Biotechnol. Bioeng. 1996:102);並びにポリアミド、例えばポリ(乳酸-co-リシン)など。
マイクロキャリアを製造するのに好適なさまざまな非生分解性材料も知られていて、これらとして、これだけに限定されるものではないが、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、シリカ、セラミック、ポリアクリルアミド、デキストラン、ヒドロキシアパタイト、ラテックス、金、及び強磁性体又は常磁性材料が挙げられる。特定の態様では、金、ラテックス、及び/又は磁性ビーズを除外する。特定の態様では、マイクロキャリアは、第2の材料(例えばポリスチレン)により封入された第1の材料(例えば磁性体)で製造されることもできる。
固相ミクロスフェアは、当該技術分野で知られている技術を使用することで調製される。例えば、それらはエマルジョン‐溶媒抽出/留去技術によって調製することができる。通常、この技術において、ポリ無水物やポリ(アルキル-α-シアノアクリラート)及びポリ(α-ヒドロキシ・エステル)、例えばポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D,L-乳酸-co-グリコール酸)及びポリ(カプロラクトン)などの生分解性ポリマーが、塩化メチレンなどの好適な有機溶剤に溶解され、エマルジョン分散相(DP)を構成する。DPは、高速ホモジナイゼーションにより、溶解した界面活性剤、例えばポリビニルアルコール(PVA)又はポリビニルピロリドン(PVP)を含む過剰量の水性連続相(CP)へ、乳化される。CP中の界面活性剤は、個別の、且つ、適当なサイズのエマルジョン液滴の形成を確実にする。その後有機溶剤が、CPへ抽出され、それに続いてシステムの温度を上げることによって留去される。その後固形微小粒子が、遠心分離又は濾過によって分離され、例えば凍結乾燥又は真空の適用により乾燥され、そして4℃にて保存される。
乾燥ミクロスフェアの平均サイズ、サイズ分布及び表面電荷などの物理化学的特徴を測定することができる。サイズ特徴は、例えば動的光散乱技術によって測定され、及び表面電荷は、ゼータ電位測定によって測定された。
液相マイクロキャリアは、リポソーム、ミセル、油滴、及び生分解性ポリマー若しくはオイルを取り込んでいる他の脂質又はオイル・ベースの粒子を含む。特定の態様では、生分解性ポリマーは界面活性剤である。他の態様では、液相マイクロキャリアは、スクワレン又は植物油などの生分解性オイルを内包しているので生分解性である。1つの好ましい液相マイクロキャリアは、水中油型エマルジョンの中の油滴である。好ましくは、マイクロキャリアとして使用される水中油型エマルジョンは、スクワレンなどの生分解性置換基を含んでなる。
共有結合的に結合されたIRP/MC複合体は、当該技術分野で知られているいずれかの共有結合的架橋技術を使用することで連結できる。通常、IRP部分は、そこでIRP部分がマイクロキャリアに連結され得る部位を提供するために、追加部分(例えば遊離アミン基、カルボキシル基又はスルフヒドリル基)の組み込み、又は修飾された(例えばホスホロチオアート)ヌクレオチド塩基の組み込みのいずれかにより修飾されることになる。上記複合体のIRP部分とMC部分の間の連結は、IRPの3’又は5’末端で、又はIRPの内部位置の適宜修飾された塩基で行うことができる。上記マイクロキャリアは、通常、それを介して共有結合的連結が形成され得る部分を組み込むために修飾されるが、マイクロキャリア上に通常存在している官能基を利用することができる。IRP/MCは、IRPをマイクロキャリアと共に、共有結合型複合体の形成を可能にする条件下(例えば、架橋剤の存在下、又はIRPとの共有結合を形成する活性化部分を含んでなる活性化マイクロキャリアの使用により)でインキュベートすることによって形成される。
さまざまな架橋技術が、当該技術分野で知られていて、そしてアミノ基、カルボキシル基及びスルフヒドリル基と反応性の架橋剤が挙げられる。当業者には明らかであるように、架橋剤及び架橋プロトコールの選択は、IRPとマイクロキャリアの立体配置、並びにIRP/MC複合体の所望の最終的な立体配置にによって決まるはずである。この架橋剤は、同種二官能性又は異種二官能性のどちらであってもよい。同種二官能性架橋剤が使用される場合、この架橋剤は、IRP及びMC上の同じ部分を利用する(例えば、アルデヒド架橋剤は、IRP及びMCの両方とも1つ以上の遊離アミンを含んでなるIRP及びMCを共有結合的に連結するために使用され得る)。異種二官能性架橋剤は、IRP及びMC上の異なる部分を利用し(例えば、マレイミド-N-ヒドロキシスクシンイミドエステルは、IRP上の遊離スルフヒドリル基及びMC上の遊離アミンを共有結合的に連結するために使用できる)、及びマイクロキャリア間結合の形成を最小にすることが好ましい。ほとんどの場合において、マイクロキャリア上の第1の架橋部分とIRP上の第2の架橋部分を介して架橋することが望ましく、そこでは、第2の架橋部分は、マイクロキャリア上に存在していない。IRP/MC複合体を作製する1つの好ましい方法は、異種二官能性架橋剤とのインキュベーションによってマイクロキャリア「活性化」、その後IRPと活性化MCの反応に適切な条件下でインキュベートすることによる、IRP/MC複合体形成によるものである。この架橋剤は、これらの反応性部分の間に「スペーサー」アームを組み込むことができるか、又は架橋剤内の2つの反応性部分を直接連結することができる。
1つの好ましい態様では、上記IRP部分は、マイクロキャリアへの架橋のための少なくとも1つの遊離スルフヒドリル基(例えば5’-チオール修飾された塩基又はリンカーにより提供される)を含んでなるのに対し、上記マイクロキャリアは、遊離アミン基を含んでなる。これらの2つの基と反応性の異種二官能性架橋剤(例えば、マレイミド基及びNHS-エステルを含んでなる架橋剤)、例えばスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラートなどを使用し、MCを活性化し、その後IRPを共有結合的に架橋して、IRP/MC複合体を形成する。
非共有結合IRP/MC複合体は、結合対がIRPとMCを連結する場合に通常そうであるように、イオン(静電気)結合、疎水性相互作用、水素結合、ファン・デル・ワールス力、又は2つ以上の別々の相互作用の組み合わせを含む任意の非共有結合的結合又は相互作用により連結されることができる。
好ましい非共有結合IRP/MC複合体は、通常疎水性又は静電気(イオン)相互作用、又はそれらの組み合わせにより複合体形成される(例えば、IRPと結合対に使用されるMCに結合したポリヌクレオチドの間の塩基対合による)。ポリヌクレオチドの骨格の親水性の性質のため、複合体形成を疎水性相互作用に頼るIRP/MC複合体は、その複合体のIRP部分の高度に疎水性部分を組み込むためにの修飾が通常必要である。好ましくは、この疎水性部分は、生物適合性で、非免疫原性であり、且つ、その組成物が意図される個体にとって天然に生じるものである(例えば哺乳動物、特にヒトにおいて認められる)。好ましい疎水性部分の例としては、脂質、ステロイド、コレステロールなどのステロール、及びテルペンが挙げられる。疎水性部分をIRPに連結する方法は、当然IRPの立体配置及び疎水性部分の同一性に左右されるはずである。この疎水性部分は、IRP内の任意の都合のよい部位に、好ましくは5’又は3’末端のいずれかに付加されてもよく;Iコレステロール部分のRPへの付加の場合、コレステロール部分は、IRPの5’末端に従来の化学反応を使用して付加されることが好ましい(例えば、Godard et al. (1995) Eur. J. Biochem. 232:404-410を参照のこと)。好ましくは、疎水結合により連結されたIRP/MC複合体における使用のためのマイクロキャリアは、油滴又は疎水性ポリマーなどの疎水性物質から作られるが、疎水性部分を組み込むように修飾された親水性物質も同様に利用することができる。マイクロキャリアが、リポソーム又は管腔を備える他の液相マイクロキャリアであり、且つ、IRPがMCの外側表面と結合することが望まれる場合、MC調製プロセス中のIRPの封入を避けるために、IRP/MC複合体は、MCの調製後にIRPとMCを混合することによって形成される。
静電気結合により結合された非共有結合IRP/MC複合体は、高度に負帯電したポリヌクレオチド骨格を通常利用する。従って、非共有結合的に結合したIRP/MC複合体で使用するマイクロキャリアは、通常生理的pH(例えば約pH6.8〜7.4)で、正帯電(陽イオン)している。このマイクロキャリアは、固有の正電荷を持つことができるが、通常正電荷を持っていない化合物から作製されたマイクロキャリアは、正帯電(陽イオン)するように誘導体化されても、又はその他の方法で修飾されてもよい。例えば、マイクロキャリアの作製に使用されるポリマーは、1級アミンなどの正帯電した基を付加するように誘導体化されることができる。あるいは、正帯電した化合物は、製造時にマイクロキャリアの製剤中に組み込まれてもよい(例えば、正帯電した界面活性剤を、ポリ(乳酸)/ポリ(グリコール酸)コポリマーの製造中に使用し、得られるマイクロキャリア粒子に正電荷を付与することができる)。
例えば、陽イオン・ミクロスフェアを調製するために、陽イオン脂質又はポリマー、例えば、1,2-ジオオレイル-1,2,3-トリメチルアンモニオプロパン(DOTAP)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)又はポリリシン)などが、これらの相中のそれらの溶解度に従ってDP又はCPのいずれかに添加される。
IRP/MC複合体は、ポリヌクレオチド及びかかる粒子の、好ましくは水性混合物中でのインキュベーションにより陽イオン・ミクロスフェア上に吸着することにより予備形成することができる。そうしたインキュベーションは、周囲温度(室温)(例えば約20℃)又は冷蔵庫内(例えば4℃)を含めたいずれかの所望の条件下で行うことができる。陽イオン・ミクロスフェア及びポリヌクレオチドは、比較的迅速に会合するので、このインキュベーションは5、10、15分間又はそれより長くなどのいずれか都合のよい時間、一晩又はそれより長いインキュベーションを含んでもよい。例えば、IRPsは、ポリヌクレオチドとかかる粒子の4℃にて一晩の水性インキュベーションにより、陽イオン・ミクロスフェア上に吸着することができる。しかしながら、陽イオン・ミクロスフェアとポリヌクレオチドは、自発的に会合するので、IRP/MC複合体は、このポリヌクレオチドとMCの単純な同時投与によって形成され得る。ミクロスフェアは、サイズ及びポリヌクレオチド会合前後の表面電荷により特徴づけることができる。選択されたバッチは、その後、例えばヒト末梢血単核細胞(PBMC)及びマウス脾細胞のアッセイで、好適な対照に対して活性について評価されてもよい。これらの製剤はまた、好適な動物モデルで評価することもできる。
ヌクレオチド塩基対合によって連結された非共有結合IRP/MC複合体は、従来の方法を使用することで作製することができる。通常、塩基‐対合IRP/MC複合体は、IRPと少なくとも部分的に相補的である結合した、好ましくは共有結合ポリヌクレオチド(「捕獲ポリヌクレオチド」)を含んでなるマイクロキャリアを使用することで作り出される。IRPと捕獲ヌクレオチドの間の相補性のセグメントは、好ましくは少なくとも6、8、10又は15個の隣接塩基対であり、より好ましくは少なくとも20個の隣接塩基対である。この捕獲ヌクレオチドは、当該技術分野で知られているいずれかの方法によってMCに結合されてもよく、好ましくは5’又は3’末端でIRPに共有結合的に結合される。態様によっては、5’-GGGG-3’配列を含んでなるIRPは、一本鎖として配列のこの部分を保有する。
他の態様では、IRP/MC複合体中のIRPとMCを連結するために結合対を使用できる。この結合対は、受容体とリガンド、抗体と抗原(若しくはエピトープ)、又は高親和性(例えば約10-8未満のKd)で結合するいずれかの他の結合対であってもよい。好ましい結合対のタイプの1つは、ビオチンとストレプトアビジン又はビオチンとアビジンであり、これは非常に緊密な複合体を形成する。IRP/MC複合体結合を媒介する結合対を使用する場合、IRPは、通常、その結合対の一方のメンバーとの共有結合により誘導体化され、且つ、MCは、その結合対のもう一方のメンバーにより誘導体化される。これらの2つの誘導体化された化合物の混合物は、IRP/MC複合体形成を生じる。
免疫調節ポリヌクレオチドの分離と合成
本明細書はまた、本明細書中に記載の免疫調節ポリヌクレオチドを作製する方法も提供する。態様によっては、その免疫調節ポリヌクレオチドは、修飾された免疫調節配列を含んでなる。態様によっては、その免疫調節ポリヌクレオチドは、修飾されていない免疫調節配列を含んでなる。前記方法は、本明細書中に記載したもののいずれかであってもよい。例えば、その方法は、(例えば固相合成を使用して)IRPが合成されたら、いずれかの(単数若しくは複数の)精製法をさらに含んでなることができる。精製方法は、当該技術分野で知られている。
免疫調節ポリヌクレオチド(IRP)を単離及び合成する方法もまた提供される。態様によっては、IRPは修飾されたIRPである。態様によっては、IRPは修飾されていないIRPである。
IRPは、これだけに限定されるものではないが、酵素法、化学的方法、及び比較的大きいオリゴヌクレオチド配列の分解を含み、当該技術分野で周知の技術及び核酸合成装置を使用することで合成することができる。例えばAusubel et al. (1987);及びSambrook et al. (1989)を参照のこと。酵素的に構築する場合、個々のユニットを、例えばT4 DNA又はRNAリガーゼなどのリガーゼにより連結することができる。米国特許番号第5,124,246号。オリゴヌクレオチド分解は、米国特許番号第4,650,675号で例示されるように、オリゴヌクレオチドをヌクレアーゼに晒すことで達成できる。
IRPはまた、従来のポリヌクレオチド単離手順を使用することで単離することもできる。そうした手順としては、これだけに限定されるものではないが、共有されたヌクレオチド配列を検出するためのゲノム・ライブラリー又はcDNAライブラリーへのプローブ・ハイブリダイゼーション、共有された構造的特徴を検出するための発現ライブラリーの抗体スクリーニング、及び特定の未変性配列のポリメラーゼ連鎖反応による合成が挙げられる。
環状の免疫調節ポリヌクレオチドは、単離されるか、組み換え法によって合成される、又は化学的に合成されることができる。環状IRPが単離又は組み換え法を通して得られる場合、IRPは、好ましくはプラスミドであるはずである。比較的小さい環状オリゴヌクレオチドの化学合成は、文献に記載されているいずれかの方法を使用することで実施できる。例えばGao et al. (1995) Nucleic Acids Res. 23:2025-2029;及びWang et al. (1994) Nucleic Acids Res. 22:2326-2333を参照のこと。
ポリヌクレオチド及び修飾されたポリヌクレオチドを作製する技術は、当該技術分野で知られている。ホスホジエステル結合を含む天然のDNA又はRNAは、通常、適切なヌクレオシド・ホスホラミダイトの、3’末端が固体支持体に取り付けられた伸長オリゴヌクレオチドの5’-ヒドロキシ基への連続結合と、それに続く中間体の亜リン酸トリエステルのリン酸トリエステルへの酸化により合成される。所望のポリヌクレオチド配列が一旦合成されると、このポリヌクレオチドは支持体から取り外され、リン酸トリエステル基はリン酸ジエステルへと脱保護され、そしてヌクレオシド塩基はアンモニア水又は他の塩基を使用して脱保護される。例えば、Beaucage (1993) "Oligodeoxyribonucleotide Synthesis" in Protocols for Oligonucleotides and Analogs, Synthesis and Properties (Agrawal, ed.) Humana Press, Totowa, NJ; Warner et al. (1984) DNA 3:401及び米国特許番号第4,458,066号を参照のこと。
修飾されたリン酸結合又は非リン酸結合を含むポリヌクレオチドの合成もまた、当該技術分野で知られている。総説に関しては、Matteucci (1997) "Oligonucleotide Analogs: an Overview" in Oligonucleotides as Therapeutic Agents, (D J. Chadwick and G. Cardew, ed.) John Wiley and Sons, New York, NYを参照のこと。前記ポリヌクレオチド内の糖又は糖類似体部分に結合することができるリン誘導体(又は修飾されたリン酸基)は、一リン酸エステル、二リン酸エステル、三リン酸エステル、アルキルホスホナート、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホルアミダート又は同様のものであることができる。前記リン酸類似体の調製、及びそれらのヌクレオチド、修飾されたヌクレオチド、及びオリゴヌクレオチドへの組み込みそれ自体も知られているので、本明細書中で詳細に説明する必要はない。Peyrottes et al. (1996) Nucleic Acids Res. 24:1841-1848; Chaturvedi et al. (1996) Nucleic Acids Res. 24:2318-2323;及びSchultz et al. (1996) Nucleic Acids Res. 24:2966-2973。例えば、ホスホロチオアートオリゴヌクレオチドの合成は、酸化ステップを硫化ステップに置き換えることを除いて、天然のオリゴヌクレオチドについて先に記載したものと同様である(Zon (1993) "Oligonucleoside Phosphorothioates" in Protocols for Oligonucleotides and Analogs, Synthesis and Properties (Agrawal, ed.) Humana Press, pp. 165-190)。同様に、他のリン酸類似体の合成、例えばホスホトリエステル(Miller et al. (1971) JACS 93:6657-6665)、非架橋ホスホルアミダート(Jager et al. (1988) Biochem. 27:7247-7246)、N3’からP5’へのホスホルアミダート(Nelson et al. (1997) JOC 62:7278-7287)及びホスホロジチオアート(米国特許番号第5,453,496号)なども説明されている。他の非リン・ベースの修飾オリゴヌクレオチドもまた使用することができる(Stirchak et al. (1989) Nucleic Acids Res. 17:6129-6141)。
当業者は、様々な複素環塩基及び様々な糖部分(及び糖類似体)を含んでなる多くの「合成」非天然型ヌクレオシドが、当該技術分野で利用可能であること、及び当該発明の他の基準を満足する限り、IRPが、天然の核酸の主要な5種類の塩基成分以外の1種類又は複数の複素環塩基を含むことができいると認識する。しかしながら、好ましくは、IRPの複素環塩基としては、これだけに限定されるものではないが、ウラシル-5-イル基、シトシン-5-イル基、アデニン-7-イル基、アデニン-8-イル基、グアニン-7-イル基、グアニン-8-イル基、4-アミノピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル基、2-アミノ-4-オキソピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル基、2-アミノ-4-オキソピロロ[2.3-d]ピリミジン-3-イル基が挙げられ、ここで、プリンは、IRPの糖部分へは9位で、ピリミジンへは1位で、ピロロピリミジンへは7位で、そしてピラゾロピリミジンへは1位で結合される。
塩基修飾ヌクレオシドの調製、及びその塩基修飾ヌクレオシドを前駆体として使用する修飾オリゴヌクレオチドの合成は、例えば、米国特許番号第4,910,300号、同第4,948,882号、及び同第5,093,232号に開示されている。これらの塩基修飾ヌクレオシドは、それらをオリゴヌクレオチドの末端又は内部のいずれかの位置へ化学合成により組み込むことができるように設計されている。オリゴヌクレオチドの末端又は内部のいずれかの位置に存在しているそうした塩基修飾ヌクレオシドは、ペプチドの結合のための部位として機能することができる。それらの糖部分が修飾されたヌクレオシドが説明されており(これだけに限定されるものではないが、例えば米国特許番号第4,849,513号、同第5,015,733号、同第5,118,800号、同第5,118,802号が挙げられる)、且つ、同様に使用することができる。
使用方法
本明細書では、個体、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトの免疫応答を調節する方法であって、本明細書中に記載のIRSを含むポリヌクレオチドを上記個体に投与することを含んでなる上記方法を提供する。本発明によって提供された免疫調節方法は、これだけに限定されるものではないが、細菌DNAなどの免疫刺激核酸分子によって刺激された免疫応答を含めた免疫応答を抑制及び/又は阻害するものを含む。態様によっては、IRSは修飾されたIRSである。態様によっては、IRSは修飾されていないIRSである。本発明はまた、TLR-7及び/又はTLR-9誘発細胞応答を阻害する方法も提供する。本発明はまた、これだけに限定されるものではないが、自己免疫に関連する症状を含めた望ましくない免疫活性化に関連する症状を改善する方法も提供する。
本明細書では、個体の免疫応答を調節する方法であって、上述の個体で免疫応答を調節するのに十分な量で本明細書中に記載の免疫調節ポリヌクレオチド及び/又は免疫調節化合物を個体に投与することを含んでなる上記方法を提供する。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されていないIRSを含んでなる。態様によっては、前記IPR及び/又はIRCは、修飾されたIRSsと修飾されていないIRSsび両方を含んでなる。本明細書中に記載の方法による免疫調節は、免疫応答の望ましくない活性化に関連する障害に罹患している個体において実施できる。態様によっては、前記免疫応答は、先天免疫応答である。態様によっては、前記免疫応答は、適応免疫応答である。
本明細書では、免疫系の細胞を免疫調節配列(IRS)を含んでなるポリヌクレオチドと接触させることを含んでなる免疫応答を阻害する方法であって、ここで、上記細胞を免疫応答に貢献するその細胞からの応答を阻害するのに有効な量で上記ポリヌクレオチドを接触させる上記方法がさらに提供される。
態様によっては、前記IRSは修飾を含んでなる。態様によっては、前記IRSは、修飾を含まない(すなわち、修飾されていないIRS)。
本明細書では、自己免疫疾患の1以上の症状を改善する方法であって、自己免疫疾患を患っている個体に、本明細書中に記載の免疫調節ポリヌクレオチド又は免疫調節化合物の有効量を投与することを含んでなる上記方法が提供される。態様によっては、免疫調節ポリヌクレオチド又は免疫調節化合物の投与が、SLEや関節リウマチを含めた自己免疫疾患の1以上の症状を改善する。態様によっては、SLEの症状を抑制するのに有効な免疫調節ポリヌクレオチド又は免疫調節化合物は、TLR-7クラス、TLR-9クラス又はTLR-7/9クラスの免疫調節配列を含んでなる。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは修飾されていないIRSを含んでなる。態様によっては、前記IPR及び/又はIRCは、修飾されたIRSsと修飾されていないIRSsの両方を含んでなる。
本明細書では、自己免疫疾患の発症を予防するか又は遅らせる方法であって、自己免疫疾患を発症する危険性が高い個体に、本明細書中に記載の免疫調節ポリヌクレオチド又は免疫調節化合物の有効量を投与することを含んでなる上記方法もまた提供される。態様によっては、免疫調節ポリヌクレオチド又は免疫調節化合物の投与は、自己免疫疾患の発症を予防するか又は遅らせる。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されていないIRSを含んでなる。態様によっては、前記IPR及び/又はIRCは、修飾されたIRSsと修飾されていないIRSsの両方を含んでなる。
本明細書では、併用療法の方法もまた提供される。態様によっては、自己免疫疾患の1以上の症状を改善する方法であって、自己免疫疾患を患っている個体に、本明細書中に記載の免疫調節ポリヌクレオチド又は免疫調節化合物の有効量と、他の治療薬を投与することを含んでなる上記方法が提供される。態様によっては、前記他の治療薬はコルチコステロイドである。態様によっては、組み合わせ物の投与は、SLEや関節リウマチを含めた自己免疫疾患の1以上の症状を改善する。態様によっては、SLEの症状を抑制するのに有効な併用療法に使用される免疫調節ポリヌクレオチド又は免疫調節化合物は、TLR-7クラス、TLR-9クラス又はTLR-7/9クラスの免疫調節配列を含んでなる。態様によっては、併用療法で使用されるIRP及び/又はIRCは、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、併用療法で使用されるIRP及び/又はIRCは、修飾されていないIRSを含んでなる。態様によっては、併用療法で使用されるIPR及び/又はIRCは、修飾されたIRSsと修飾されていないIRSsの両方を含んでなる。
態様によっては、自己免疫疾患の発症を予防するか又は遅らせる方法であって、自己免疫疾患を発症する危険性が高い個体に、本明細書中に記載の免疫調節ポリヌクレオチド又は免疫調節化合物の有効量と、他の治療薬を投与することを含んでなる上記方法が提供される。態様によっては、前記他の治療薬はコルチコステロイドである。態様によっては、前記組み合わせ物の投与が、SLEや関節リウマチを含めた自己免疫疾患の1以上の症状の発症を予防するか又は遅らせる。態様によっては、併用療法で使用されるIRP及び/又はIRCは、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、併用療法で使用されるIRP及び/又はIRCは、修飾されていないIRSを含んでなる。態様によっては、併用療法で使用されるIPR及び/又はIRCは、修飾されたIRSsと修飾されていないIRSsの両方を含んでなる。
特定の態様では、前記個体は、自己免疫疾患や炎症性疾患などの望ましくない免疫活性化に関連する障害に罹患している。自己免疫疾患又は炎症性疾患を患っている個体とは、認識可能な既存の自己免疫疾患又は炎症性疾患の症状を有する個体である。
自己免疫疾患としては、これだけに限定されるものではないが、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、I型糖尿病、II型糖尿病、多発性硬化症(MS)、早期卵巣機能不全などの免疫媒介不妊症、強皮症、シェーグレン病、白斑、脱毛症(禿頭症)、多腺性不全症、グレーブス病、甲状腺機能不全症、多発性筋炎、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、クローン病や潰瘍性大腸炎を含めた炎症性腸疾患、B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)に関連するものを含めた自己免疫性肝炎、下垂体機能不全、移植片対宿主病(GvHD)、心筋炎、アディソン病、自己免疫性皮膚疾患、ブドウ膜炎、悪性貧血、及び副甲状腺機能低下症が挙げられる。
自己免疫疾患としてはまた、これだけに限定されるものではないが、ハシモト症候群、I型及びII型多腺性自己免疫疾患症候群、腫瘍随伴性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、リニアIgA病、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、妊娠性類天疱瘡、瘢痕性類天疱瘡、本態性混合型クリオグロブリン血症、幼児期の慢性水疱性疾患、溶血性貧血、血小板減少性紫斑病、グッドパスチャー症候群、自己免疫性好中球減少症、重症筋無力症、イートン‐ランバート筋無力症症候群、スティフマン症候群、急性播種性脳脊髄炎、ギラン‐バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経根障害、伝導遮断を伴う多巣性運動神経障害、モノクローナル免疫グロブリン異常症を伴う慢性神経障害、眼球クローヌス‐ミオクローヌス症候群、小脳変性症、脳脊髄炎、網膜障害、一次硬化性胆管炎、硬化性胆管炎、グルテン過敏性腸症、強直性脊椎炎、反応性関節炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、混合性結合組織病、ベーチェット症候群、乾癬、結節性多発動脈炎、アレルギー性血管炎(anguitis)及び肉芽腫症(チャーグ‐ストラウス疾患)、多発性血管炎重複症候群、過敏性血管炎、ウェゲナー肉芽腫、側頭動脈炎、タカヤス動脈炎、カワサキ病、中枢神経系の弧在性血管炎、閉塞性血栓血管炎、サルコイドーシス、糸球体腎炎、並びに寒冷症も挙げられる。これらの状態は、医学分野で周知であり、例えば、Harrison's Principles of Internal Medicine, 14th ed., Fauci A S et al., eds., New York: McGraw-Hill, 1998に説明されている。
全身性疾患SLEは、ほとんどすべての細胞に豊富に存在する抗原に対する抗体、例えば抗染色質抗体、抗スプライソソーム抗体、抗リボソーム抗体及び抗DNA抗体などの存在を特徴とする。その結果、SLEの影響は、皮膚や腎臓などのさまざまな組織で見られる。自己反応性T細胞もまた、SLEに関与する。例えば、マウス・ループス・モデルにおける研究は、非DNAヌクレオソーム抗原、例えばヒストンが抗DNA抗体産生B細胞(anti-DNA producing B cells)を駆動できる自己反応性T細胞を刺激することを示した。IFN-αの高い血清レベルがSLE患者で観察され、疾患活性、及び発熱病や皮疹を含めた重症度の両方、並びに病気の経過に関連する必須マーカー(例えば抗dsDNA抗体価)が相関することが示された。循環中に存在している免疫複合体はまた、これらの患者でIFN-αの誘因となり、それよって、上昇したIFN-αのこの慢性的な存在を維持し得ることが示された。2つの異なったタイプの免疫複合体:DNA/抗DNA抗体複合体と抗RNA/リボヌクレオタンパク質RNA抗体複合体が、ヒトPDCからのIFN-αの誘因となることを説明した。DNAがTLR-9のリガンドであり、RNAがTLR-7のリガンドであるので、IFN-αを慢性的に誘導するようにこれらの2つの経路がTLR-9とTLR-7/8を利用してそれぞれシグナル伝達し、それによってSLEの原因病理に関与すると予想される。従って、TLR-7及びTLR-9応答を阻害するのに有効なIRP及び/又はIRC組成物は、SLEを処置するのに特に有効であり得る。
特定の態様では、個体は、自己免疫疾患を発症する危険性があるので、その自己免疫疾患を遅らせるか又は予防するのに有効な量でIRP又はIRCが投与される。自己免疫疾患を発症する危険性が高い個体としては、例えば自己免疫疾患の発症に向かう遺伝的又は他の素因を有する個体が挙げられる。ヒトでは、特定の自己免疫疾患への感受性は、一部のものは特定のMHCクラスII対立遺伝子に最も強く連結され、その他のものは特定のMHCクラスI対立遺伝子に最も強く連結されているHLAタイプに関連する。例えば、強直性脊椎炎、急性前部ブドウ膜炎、及び若年性慢性関節リウマチはHLA-B27に関連し、そしてグッドパスチャー症候群とMSはHLA-DR2に関連し、そしてグレーブス病、重症筋無力症、及びSLEはHLA-DR3に関連し、そして関節リウマチと尋常性天疱瘡はHLA-DR4に関連し、そしてハシモト病はHLA-DR5に関連する。自己免疫疾患に対する他の遺伝的素因が、当該技術分野で知られているので、個体を当該技術分野で周知のアッセイ及び方法によってそうした素因の存在について調べることができる。従って、場合によっては、自己免疫性を発症する危険性が高い個体は特定できる。
本明細書中では、本明細書中に記載のIRPsは、これだけに限定されるものではないが、IL-6、IL-12、TNF-α、及び/又はIFN-αを含めたサイトカインの産生を特に阻害することができ、そしてB細胞の増殖及び/又は分化への形質細胞様樹状細胞の活性化を抑制することができる。従って、本明細書中に記載のIRPsとIRCsは、個体における免疫刺激核酸に対する免疫応答を抑制するのに特に有効である。態様によっては、前記IRPsとIRCsは、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRPsとIRCsは、修飾されていないIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRPsとIRCsは、修飾されたIRSと修飾されていないIRSの両方を含んでなる。
自己免疫疾患の研究のための動物モデルが、当該技術分野で知られている。例えば、ヒト自己免疫疾患に最も類似していると思われる動物モデルには、特定の疾患を高発症率で自然に発症する動物系統が含まれる。そうしたモデルの例として、これだけに限定されるものではないが、非肥満性糖尿病(NOD)マウス(1型糖尿病に類似した疾患を発症する)及びループス様疾患傾向動物、例えばニュージーランド・ハイブリッド、MRL-Faslpr及びBXSBマウスなどが挙げられる。自己免疫疾患が誘発された動物モデルとしては、これだけに限定されるものではないが、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)(多発性硬化症のモデルである)、コラーゲン誘発関節炎(CIA)(関節リウマチのモデルである)、及び実験的自己免疫性ブドウ膜炎(EAU)(ブドウ膜炎のモデルである)が挙げられる。自己免疫疾患の動物モデルはまた、遺伝操作によっても作出され、例えば、炎症性腸疾患に関するIL-2/IL-10ノックアウト・マウス、SLEに関するFas又はFasリガンド・ノックアウト、関節リウマチに関するIL-1受容体拮抗因子ノックアウトが挙げられる。
従って、当該技術分野における動物モデル基準は、自己免疫疾患の処置のための本明細書中に記載の方法及び組成物の活性及び/又は有効性に関するスクリーニング及び/又は評価に利用可能である。
本明細書では、炎症性疾患又は障害の1以上の症状を処置及び/又は改善する方法であって、炎症性疾患又は障害を患っている個体に、本明細書中に記載の免疫調節ポリヌクレオチド又は免疫調節化合物の有効量を投与することを含んでなる上記方法を提供する。態様によっては、免疫調節ポリヌクレオチドの投与が、炎症性疾患又は障害の1以上の症状を改善する。態様によっては、本明細書中に記載の組成物は、慢性炎症性疾患又は障害の症状を改善するのに有効である。態様によっては、前記炎症性疾患又は障害は、先に検討した自己免疫疾患である。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されていないIRSを含んでなる。態様によっては、前記IPR及び/又はIRCは、修飾されたIRSsと修飾されていないIRSsの両方を含んでなる。
特定の態様では、前記個体は、望ましくない免疫活性化に関連する障害、例えばアレルギー疾患若しくは状態、アレルギー及び喘息などを患っている。アレルギー疾患又は喘息を患っている個体は、既存のアレルギー疾患又は喘息の認識可能な症状のある個体である。
態様によっては、本明細書では、本明細書中に記載のIRPs又はIRCsのいずれかを使用することで炎症反応を抑制及び/又は阻害する方法が提供される。特定の態様では、前記個体は、慢性炎症性応答に関連する障害を患っている。IRPの投与は、サイトカインに関連する免疫応答の1以上のレベルを低減する免疫修飾をもたらし、それは炎症反応の低減をもたらすことができる。記載の障害に関連した望ましくない免疫応答のある個体の免疫調節は、その障害の症状の1以上の低減又は改善をもたらす。態様によっては、抑制及び/又は阻害された炎症反応は、薬物誘発炎症である。態様によっては、前記薬物誘発炎症は、肝臓の薬物誘発炎症である。態様によっては、抑制及び/又は阻害された炎症反応は、感染症誘発炎症である。態様によっては、前記障害は、炎症性肝疾患又は炎症性膵臓障害である。炎症性肝障害の例としては、例えばガラクトース血症(ligalactosemia)、アラジール症候群、α1-アンチトリプシン欠損症、新生児肝炎、チロシン血症、出血性毛細管拡張症、ライ症候群、ウィルソン病、サラセミア、胆道閉鎖、慢性活動性肝炎(例えばA型肝炎、B型肝炎、又はC型肝炎など)、肝臓癌、肝硬変、I型糖原病、ポルフィリア、血色素症、原発性硬化性胆管炎、サルコイドーシス、胆石、脂肪性肝臓疾患、アルコール性肝炎、又はアルコール性肝硬変が挙げられる。炎症性膵臓障害の例としては、例えば膵炎又は膵臓癌が挙げられる。
本明細書では、ウイルスに晒された又は感染した個体の免疫調節療法に関する他の態様が提供される。ウイルスに晒された又は感染した個体へのIRP又はIRCの投与は、ウイルス誘発サイトカイン産生の抑制をもたらす。態様によっては、前記IRPsとIRCsは、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRPsとIRCsは、修飾されていないIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRPsとIRCsは、修飾されたIRSと修飾されていないIRSの両方を含んでなる。ウイルスに対応して産生されたサイトカインは、ウイルス感染のために好ましい環境に貢献する。ウイルス誘発サイトカイン産生の抑制は、そのウイルス感染を制限又は予防するのに役立つことができる。
態様によっては、慢性病原菌刺激を抑制する方法であって、慢性病原体感染又は疾患を患っている個体に、本明細書中に記載の免疫調節ポリヌクレオチド又は免疫調節化合物の有効量を投与することを含んでなる上記方法が提供される。態様によっては、免疫調節ポリヌクレオチド又は免疫調節化合物の投与は、マラリア原虫及び慢性ウイルス感染に関連するものを含めて個体の慢性病原菌刺激を抑制する。TLR-7応答の阻害に有効なIRP及び/又はIRC組成物は、慢性病原菌刺激に関連した疾患及び症状の処置に特に有効であり得る。態様によっては、慢性病原菌刺激を抑制するのに有効な免疫調節ポリヌクレオチド又は免疫調節化合物は、TLR-7クラスの免疫調節配列を含んでなる。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されていないIRSを含んでなる。態様によっては、前記IPR及び/又はIRCは、修飾されたIRSsと修飾されていないIRSsの両方を含んでなる。
一部の状況では、自己抗原に対する末梢寛容が、喪失し(又は崩壊し)、そして自己免疫応答が続く。例えば、EAEに関する動物モデルにおいて、免疫受容体TLR-9又はTLR-4を通じた抗原提示細胞(APCs)の活性化は、自己寛容が崩壊し、そしてEAEの誘導をもたらすことが示された(Waldner et al. (2004) J. Clin. Invest. 113:990-997)。
本明細書中に記載の方法のいずれでも、IRSを含むポリヌクレオチドは、免疫応答を調節するのに十分な量で投与できる。本明細書中に記載したように、免疫応答の調整は、液性及び/又は細胞性であってもよく、そして当該技術分野の、及び本明細書中に記載の標準的な技術を使用することで計測される。
従って、態様によっては、本明細書では、TLR-9依存性細胞刺激を抑制、低減、及び/又は阻害する方法が提供される。IRP及び/又はIRCの投与は、1つ以上のTLR-9が関連するサイトカインのレベル低下を含めたTLR-9依存性細胞応答の抑制をもたらす。TLR-9依存性細胞刺激を抑制するための使用に適切なIRPs及び/又はIRCsは、TLR-9に関連する細胞応答を阻害又は抑制するIRP及び/又はIRCである。態様によっては、前記IRPs及び/又はIRCsは、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRPs及び/又はIRCsは、修飾されていないIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRPs及び/又はIRCsは、修飾されたIRSと修飾されていないIRSの両方を含んでなる。
態様によっては、本明細書では、TLR-7依存性細胞刺激を抑制、軽減、及び/又は阻害する方法が提供される。IRP及び/又はIRCの投与は、1つ以上のTLR-7が関連するサイトカインのレベル低下を含めたTLR-7依存性細胞応答の抑制をもたらす。TLR-7依存性細胞刺激を抑制するための使用に適切なIRPs及び/又はIRCsは、TLR-7に関連する細胞応答を阻害又は抑制するIRP及び/又はIRCである。態様によっては、前記IRPs及び/又はIRCsは、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRPs及び/又はIRCsは、修飾されていないIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRPs及び/又はIRCsは、修飾されたIRSと修飾されていないIRSの両方を含んでなる。
態様によっては、個体においてTLR-9依存性免疫応答とは無関係に、TLR-7依存性免疫応答を阻害する方法であって、上述の個体においてTLR-9依存性サイトカイン産生とは無関係に、TLR-7依存性サイトカイン産生を抑制するのに十分な量で本明細書中に記載の免疫調節ポリヌクレオチド又は免疫調節化合物を個体に投与することを含んでなる上記方法が提供される。態様によっては、前記TLR-7及び/又はTLR-9依存性免疫応答は、先天免疫応答である。態様によっては、前記TLR-7及び/又はTLR-9依存性免疫応答は、適応免疫応答である。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されていないIRSを含んでなる。態様によっては、前記IPR及び/又はIRCは、修飾されたIRSsと修飾されていないIRSsの両方を含んでなる。
本明細書中で実証されるとおり、一部のIRP及び/又はIRCは、TLR-9依存性細胞応答とTLR-7依存性細胞応答の両方を阻害する。態様によっては、個体におけるTLR-9依存性免疫応答とTLR-7依存性免疫応答を阻害する方法であって、上述の個体においてTLR-9依存性サイトカイン産生とTLR-7依存性サイトカイン産生を抑制するのに十分な量で本明細書中に記載の免疫調節ポリヌクレオチド又は免疫調節化合物を個体に投与することを含んでなり、ここで、上記IRP又はIRCが、TLR-7/9クラスのIRSを含んでなる上記方法が提供される。態様によっては、前記TLR-7及び/又はTLR-9依存性免疫応答は、先天免疫応答である。態様によっては、前記TLR-7及び/又はTLR-9依存性免疫応答は、適応免疫応答である。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されていないIRSを含んでなる。態様によっては、前記IPR、及び/又はIRCは、修飾されたIRSsと修飾されていないIRSsの両方を含んでなる。
態様によっては、本明細書中に記載の組成物は、B細胞又は形質細胞様樹状細胞の応答を阻害する。態様によっては、本明細書中に記載の組成物によって阻害された免疫応答には、細胞によるIL-6及び/又はIFN-αなどのサイトカイン産生の阻害、細胞成熟の阻害及び/又は細胞増殖の阻害が含まれる。態様によっては、本明細書中に記載の組成物は、TLR-9依存性細胞応答、TLR-7依存性細胞応答、及び/又はTLR-7/9依存性細胞応答を阻害する。
投与と免疫応答の評価
免疫応答の調節のためのあらゆる組成物と同様に、特定のIRP及び/又はIRC製剤の有効量及び投与方法は、個体、どんな状態が処置されるべきか、そして当業者に明らかな他の要因に基づいて変化し得る。考慮される要因としては、IRP及び/又はIRCがデリバリー分子と共に投与されるか又はそれに共有結合されるか否か、投与経路、及び投与されるべき投薬回数が挙げられる。そうした要因は、当該技術分野で知られていて、そして必要以上の実験なしにかかる測定をすることは十分に当業者の技能の範囲内である。好適な用量範囲は、免疫応答の所望の調整(例えば、免疫刺激核酸に対応したIFN-α又は他のサイトカイン産生の抑制)を提供するものである。免疫刺激核酸への免疫応答の抑制が望まれる場合、好適な用量範囲は、免疫刺激核酸による免疫刺激の所望の抑制を提供するものである。通常、投薬量は、投与されたIRP含有組成物の総合的な数量よりむしろ、患者に投与されたIRP及び/又はIRCの量によって決定される。デリバリーされたIRP及び/又はIRCの量で示されるIRP及び/又はIRCの有用な用量範囲は、例えば以下の:0.5〜10mg/kg、1〜9mg/kg、2〜8mg/kg、3〜7mg/kg、4〜6mg/kg、5mg/kg、1〜10mg/kg、又は5〜10mg/kgのいずれかであり得る。各患者に与えられる絶対量は、薬理特性、例えば生物学的利用能、クリアランス速度及び投与経路などに依存する。
特定のIRP及び/又はIRC製剤の有効量及び投与方法は、個々の患者、所望の結果及び/又は障害のタイプ、疾患の病期、そして当業者にとって明らかな他の要素に基づいて変化し得る。特殊な適用に有用な(単数若しくは複数の)投与経路は、当業者にとって明らかである。投与経路としては、これだけに限定されるものではないが、局所的、皮膚、経皮、経粘膜、上皮、非経口、胃腸、及び鼻‐咽頭及び、例えば経気管支と経肺胞を含めた経肺が挙げられる。好適な用量範囲は、血中濃度によって計測される約1〜50μMの組織中濃度に達するのに十分なIRP含有組成物を提供するものである。各患者に与えられる絶対量は、薬理特性、例えば生物学的利用能、クリアランス速度及び投与経路などに依存する。
本明細書中に記載したように、望ましくない免疫活性化が起こっている又は起こりそうである組織は、IRP及び/又はIRCの好ましい標的である。よって、リンパ節、脾臓、骨髄、血液、並びにウイルスに晒された組織へのIRP及び/又はIRCの投与は、好ましい投与部位である。
本明細書では、これだけに限定されるものではないが、生理学的に許容され得る移植片、軟膏剤、クリーム、リンス及びゲルを含めた局所適用に好適なIRP及び/又はIRC製剤が提供される。経皮投与の代表的な経路は、経皮透過、上皮投与、及び皮下注射などの最も侵襲が少ない経路である。
経皮投与は、クリーム剤、リンス、ゲルなどの適用により達成されて、IRP及び/又はIRCが皮膚を透過し、そして血流に入ることを可能にできる。経皮投与に好適な組成物は、これだけに限定されるものではないが、医薬的に許容し得る懸濁液、オイル、クリーム及び軟膏剤であって、皮膚に直接適用されるか又は保護担体、例えば経皮デバイス(いわゆる「パッチ」)中に組み込まれるものを含む。好適なクリーム剤、軟膏などの例は、例えば医薬品便覧の中に見ることができる。経皮透過はまた、例えば数日又はそれ以上の期間、無傷の皮膚を通して連続的にそれらの生成物をデリバリーする市販のパッチを使用したイオントフォレーゼによっても達成され得る。この方法の使用は、比較的高い濃度で医薬組成物の制御された透過を可能にし、配合薬の注入を許容し、そして吸収プロモーターの同時使用を許容する。
投与の非経口な経路としては、これだけに限定されるものではないが、電気(イオントフォレーゼ)、又は直接注射、例えば中心静脈ラインへの直接注射、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮内、又は皮下注射などが挙げられる。非経口投与に好適なIRP及び/又はIRC製剤は、通常USP水又は注射用の水中に処方され、さらにpH緩衝液、塩増量剤、保存料、及び他の医薬的に許容し得る賦形剤を含んでなることができる。非経口注射のための免疫調節ポリヌクレオチドは、医薬的に許容し得る無菌の等張液、例えば生理的食塩水、及び注射のためのリン酸緩衝生理食塩水などの中に処方されることができる。
投与の胃腸経路としては、これだけに限定されるものではないが、経口摂取及び直腸投与経路が挙げられ、そして、例えば経口摂取のための医薬的に許容し得る散剤、丸薬又は液体、及び直腸投与のための坐剤の使用を挙げることができる。
鼻‐咽頭及び肺投与は、吸入により達成され、そして鼻腔内、経気管支、及び経肺胞経路などのデリバリー経路が挙げられる。これだけに限定されるものではないが、エアゾールを形成するための液体懸濁液、並びに乾燥粉末吸入デリバリー・システムのための散剤形態が挙げられる、吸入による投与に好適なIRP及び/又はIRC製剤が提供される。IRP又はIRC製剤の吸入による投与に好適なデバイスとしては、これだけに限定されるものではないが、アトマイザー、バポライザー、ネブライザー、及び乾燥粉末吸入デリバリー・デバイスが挙げられる。
当該技術分野で周知のとおり、本明細書中に記載の投与経路に使用される溶液又は懸濁液は、以下の構成要素のいずれか1つ以上を含むことができる:無菌の希釈剤、例えば注射用の水、生理的食塩溶液、不揮発性オイル、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール若しくは他の合成溶媒などの;抗菌物質、例えばベンジルアルコール又はメチル・パラベンなど;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウムなど;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸など;バッファー、例えば酢酸、クエン酸若しくはリン酸など及び張度の調節のための作用物質、例えば塩化ナトリウム若しくはデキストロース。pHは、酸又は塩基、例えば塩酸又は水酸化ナトリウムなどで調整できる。非経口調製は、ガラス若しくはプラスチックで作られたアンプル、ディスポーザブル・シリンジ又は複数回投与用バイアルに入れることができる。
当該技術分野で周知のとおり、注射用の使用に好適な医薬組成物としては、無菌の水溶液(水溶性の場合)若しくは分散液、及び無菌注射用溶液又は分散液の即時調製のための無菌の散剤が挙げられる。静脈内投与について、好適な担体としては、生理的塩類溶液、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany, NJ)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。あらゆる場合において、前記組成物は、無菌のでなければならず、そして容易な注射可能性(syringability)がある程度に流動性を持つべきである。それは、製造及び保存の条件下で安定しているべきであり、且つ、細菌及び真菌などの微生物の混入作用に対して維持されなければならない。前記担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、並びに好適なその混合物を含む溶媒又は分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合の所望の粒径の保持によって、及び界面活性化合物の使用によって維持される。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等によって達成される。前記組成物中に等張剤、例えば糖、ポリアルコール、例えばマンニトールなど、ソルビトール、塩化ナトリウムを含むことが望ましいこともある。注射用組成物の持続的吸収は、前記組成物中に吸収を遅らせる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含んでいることによって引き起こされる。
当該技術分野で周知のとおり、無菌注射用溶液は、必要に応じて先に列挙した構成要素の1つ若しくは組み合わせ物を含む適切な溶媒中に必要量の(単数若しくは複数の)活性化合物を組み込み、続いてか濾過滅菌することによって調製できる。通常、分散液は、基本的な分散媒体、及び先に列挙したものから必要な構成要素を含む無菌のビヒクル中に活性化合物を組み込むことによって調製される。無菌注射用溶液の調製のための無菌の散剤の場合には、好ましい調製方法は、あらかじめ無菌で濾過したその溶液から、有効成分といずれかの所望の追加構成要素から成る散剤を得る、真空乾燥及び凍結乾燥である。
先に触れた組成物及び投与方法は、説明することを意図しているが、本明細書中に記載のIRPs及びIRCs製剤の投与方法を制限することを意図するものではない。様々な組成物及びデバイスの製造方法は、当業者の能力の範疇にあるので、本明細書中に詳細に記載しない。
免疫刺激の阻害におけるIRP及び/又はIRCの活性の(定性及び定量的の両方の)分析は、これだけに限定されるものではないが、B細胞などの特定の細胞集団の増殖の抑制若しくは減少を計測すること、(形質細胞様樹状細胞を含めた)樹状細胞やT細胞などの特定の細胞集団の成熟の抑制を計測すること、及びIFN-α、TNF-α、IL-6、及び/又はIL-12などに限らないが、サイトカイン産生における抑制を計測することによって測定を含めた、本明細書中に記載の又は当該技術分野で知られているいずれかの方法によって分析されることができる。特定のタイプの細胞数の計測は、例えば蛍光活性化セル・ソーティング(FACS)を用いて達成できる。特定の細胞集団の成熟の計測は、マーカー、例えば細胞成熟の特定の段階に特異的である細胞表面マーカーの発現を測定することによって達成できる。細胞マーカー発現は、例えばRNA発現を計測することによって、又は例えばFACS分析によって、特定のマーカーの細胞表面発現を計測することによって計測できる。樹状細胞の成熟の計測は、例えばHartmann et al. (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:9305-9310に記載のとおり実施できる。サイトカイン濃度は、例えばELISAによって計測できる。先天免疫応答及び/又は適応免疫応答を含めた免疫応答の抑制を評価するこれらの及び他のアッセイは、当該技術分野で周知である。
併用療法
前記IRP及び/又はIRCは、本明細書中に記載のとおり、他の治療薬と組み合わせて投与されることができ、そして生理学的に許容され得るその担体と組み合わせられることができる(そして本明細書中に記載のこれらの組成物を包含する)。本明細書中に記載の方法は、障害の標準的治療を構成する他の治療法、例えば抗炎症薬の投与などと組み合わせて実施されてもよい。
前記IRP及び/又はIRCは、本明細書中に記載のとおり、コルチコステロイドと組み合わせて投与されることができ、そして生理学的に許容され得るその担体と組み合わせられることもできる(そして本明細書中に記載のこれら組成物を包含する)。前記IRP及び/又はIRCは、本明細書中に記載のもののいずれであってもよい。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されたIRSを含んでなる。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、修飾されていないIRSsと修飾されたIRSsの両方を含んでなる。
態様によっては、IRP及び/又はIRCは、コルチコステロイドと組み合わせて投与される。態様によっては、前記コルチコステロイドは、グルココルチコステロイドである。態様によっては、前記コルチコステロイドは、ミネラルコルチコイドである。コルチコステロイドとしては、これだけに限定されるものではないが、コルチコステロン及びその誘導体、プロドラッグ、異性体や類似体、コルチゾン及びその誘導体、プロドラッグ、異性体や類似体(すなわちコートン(Cortone))、アルドステロン及びその誘導体、プロドラッグ、異性体や類似体、デキサメサゾン及びその誘導体、プロドラッグ、異性体や類似体(すなわちデカドロン(Decadron))、プレドニゾン及びその誘導体、プロドラッグ、異性体や類似体、(すなわちプレロン(Prelone))、フルドロコルチゾン及びその誘導体、プロドラッグ、異性体やその類似体(すなわちFlorinef(登録商標))、ヒドロコルチゾン及びその誘導体、プロドラッグ、異性体や類似体(すなわちコルチゾール(cortisol)又はコーテフ(Cortet))、ヒドロキシコルチゾン及びその誘導体、プロドラッグ、異性体や類似体、ベタメサゾン及びその誘導体、プロドラッグ、異性体や類似体(すなわちセレストン(Celestone))、ブデソニド及びその誘導体、プロドラッグ、異性体や類似体(すなわちエントコートEC(Entocort EC))、メチルプレドニゾロン及びその誘導体、プロドラッグ、異性体や類似体(すなわちメドロール(Medrol))、プレドニゾロン及びその誘導体、プロドラッグ、異性体や類似体(すなわちデルタゾン(Deltasone)、クルタン(Crtan)、メチコルテン(Meticorten)、オラソン(Orasone)、又はステラプレド(Sterapred))、トリアムシノロン及びその誘導体、プロドラッグ、異性体や類似体(すなわちケナコルト(Kenacort)又はケナログ(Kenalog))等が挙げられる。態様によっては、前記コルチコステロイドは、フルドロコルチゾン又はその誘導体、プロドラッグ、異性体若しくは類似体である。態様によっては、前記コルチコステロイドは、フルドロコルチゾンである。態様によっては、前記コルチコステロイドは、ヒドロキシコルチゾン又はその誘導体、プロドラッグ、異性体若しくは類似体である。態様によっては、前記コルチコステロイドは、ヒドロキシコルチゾンである。
態様によっては、前記コルチコステロイドは、1日あたり約0.001mg〜約1mg、約0.5 mg〜約1mg、約1mg〜約2mg、約2mg〜約20mg、約20mg〜約40mg、約40〜約80mg、約80〜約120mg、約120mg〜約200mg、約200mg〜約500mg、約500mg〜約1000mgのいずれかで投与される。態様によっては、前記コルチコステロイドは、1日あたり約0.1mg/kg〜約0.5mg/kg、約0.5mg/kg〜約1mg/kg、約1mg/kg〜約2mg/kg、約2mg/kg〜約5mg/kg、約5mg/kg〜約10mg/kg、約10mg/kg〜約15mg/kg、約15mg/kg〜約20mg/kg、約20mg/kg〜約25mg/kg、約25mg/kg〜35mg/kg、又は約35mg/kg〜約50mg/kgのいずれかで投与される。
態様によっては、デリバリーされるIRP及び/又はIRCの量で与えられる、併用療法で使用されるIRP及び/又はIRCは、次の:0.5〜10mg/kg、1〜9mg/kg、2〜8mg/kg、3〜7mg/kg、4〜6mg/kg、5mg/kg、1〜10mg/kg、又は5〜10mg/kgのいずれかであり得る。
態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、これだけに限定されるものではないが、コルチコステロイドを含めた他の治療薬と同時に投与される(同時投与)。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、これだけに限定されるものではないが、コルチコステロイドを含めた他の治療薬と連続して投与される(連続投与)。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、他の治療薬と同じ投与経路によって投与される。態様によっては、前記IRP及び/又はIRCは、他の治療薬と異なった投与経路によって投与される。態様によっては、前記他の治療薬は、非経口的に(例えば中心静脈ライン、動脈内、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮内、若しくは皮下注射)、経口的に、胃腸的に、局所的に、鼻‐咽頭的に、及び経肺的に(例えば吸入若しくは鼻腔内的に)投与される。態様によっては、前記他の治療薬は、コルチコステロイドである。
態様によっては、他の治療薬を伴ったIRP及び/又はIRCの組み合わせ物は、そのIRP及び/又はIRC又はその他の治療薬を単独で投与する場合の有効量と比較して、(これだけに限定されるものではないが、投薬体積、投薬濃度、投与される総薬剤用量を含めた)上記IRP及び/又はIRC、及び/又は上記他の治療薬の有効量を低減する。態様によっては、コルチコステロイドを伴うIRP及び/又はIRCの組み合わせ物は、単独で投与されたコルチコステロイドと比較して、有効量を低減する。態様によっては、他の治療薬を伴うIRP及び/又はIRCの組み合わせ物は、その他の治療薬の単独投与と比較して、上記他の治療薬の投与の頻度を低下させる。態様によっては、他の治療薬を伴うIRP及び/又はIRCの組み合わせ物は、その他の治療薬の単独投与と比較して、処置の総継続期間を短縮する。態様によっては、他の治療薬を伴うIRP及び/又はIRCの組み合わせ物は、単独の上記他の治療薬の投与に関連する副作用を軽減する。態様によっては、前記他の治療薬は、コルチコステロイドである。態様によっては、前記コルチコステロイドは、フルドロコルチゾン又はその誘導体、プロドラッグ、異性体若しくは類似体である。態様によっては、前記コルチコステロイドは、フルドロコルチゾンである。
態様によっては、これだけに限定されるものではないが、IRP及び/又はIRCとコルチコステロイドの組み合わせ物が挙げられる併用療法は、炎症性疾患の処置に使用される。態様によっては、前記炎症性疾患は、自己免疫疾患である。態様によっては、前記自己免疫疾患は、関節リウマチである。態様によっては、前記自己免疫疾患は、ループスである。態様によっては、前記自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデス(SLE)である。態様によっては、前記ループスは、腎性発赤(renal flares)に関連する。態様によっては、前記腎性発赤は、中程度の腎性発赤である。態様によっては、前記腎性発赤は、重度の腎性発赤である。
キット
本明細書では、キットが提供される。特定の態様では、本明細書中に記載のキットは、通常、本明細書中に記載のIRP及び/又はIRCのいずれかを含む1つ以上のコンテナを含んでなる。態様によっては、前記キットは、修飾されたIRSを含むIRP及び/又はIRCを含んでなる。態様によっては、前記キットは、修飾されていないIRSを含むIRP及び/又はIRCを含んでなる。態様によっては、前記キットは、修飾されたIRSsと修飾されていないIRSsの両方を含むIRPs及び/又はIRCsを含んでなる。いくつかの態様に、前記キットは、他の治療薬をさらに提供することもできる。態様によっては、前記他の治療薬は、コルチコステロイドである。
前記キットは、本明細書中に記載の方法(例えば、免疫刺激核酸に対する応答の抑制、TLR-7及び/又はTLR-9依存性応答の抑制、自己免疫疾患の1以上の症状の改善、慢性炎症性疾患の症状の改善、ウイルスに対する応答におけるサイトカイン産生の低減)のいずれかのためのIRP及び/又はIRCの使用に関連した好適な一組の取扱説明書、通常、書面の取扱説明書をさらに含んでなることができる。
前記キットは、いずれかの都合の良い適切なパッケージング内にパッケージされたIRP及び/又はIRCを含んでなることができる。例えば、IRP又はIRCが乾燥製剤(例えば凍結乾燥又は乾燥粉末)であるならば、弾力があるストッパーを備えたバイアルが通常使用され、その結果弾力があるストッパーを通して液体を注入することにより、上記IRP又はIRCが容易に再懸濁され得る。弾力がなく脱着可能なクローザーを備えたアンプル(例えば密閉ガラス)又は弾力があるストッパーを備えたアンプルは、IRP又はIRCの液体製剤用に最も便利に使用される。特定のデバイス、例えば吸入器、鼻腔内投与デバイス、(例えばアトマイザー)、シリンジ又は輸液用デバイス、例えばミニポンプなどと組み合わせて使用するためのパッケージもまた、想定される。
IRP及び/又はIRCの使用に関する取扱説明書は、意図した使用方法のための投薬量、投薬スケジュール、及び投与経路に関する情報を通常含む。IRP又はIRCのコンテナは、単位用量、バルク・パッケージ(例えば多投与パッケージ)又はサブ‐ユニット用量であってもよい。本明細書中に記載のキット内に供給される取扱説明書は、通常、ラベル又は添付文書上の書面の取扱説明書(例えば上記キット内に納められた紙シート)であるが、機械で読み取り可能な取扱説明書(例えば磁気又は光学記憶ディスク上に収められた取扱説明書)もまた許容される。
態様によっては、本明細書中に記載のキットは、例えば、投与のための複合体としてのIRP及び/又はIRCの製造のための材料、例えば封入材料、マイクロキャリア複合材料などを含んでなる。通常、前記キットは、IRP又はIRCと(単数若しくは複数の)複合材料の別々のコンテナを含む。前記IRP又はIRCと複合体は、供給されたIRP又はIRCと複合材料の混合によって、IRP‐又はIRC‐複合体の形成を許容する形態で好ましくは供給される。この立体配置は、IRP‐又はIRC‐複合体が非共有結合的に連結される場合に好ましい。この立体配置はまた、IRP‐又はIRC‐複合体が異種二官能性架橋剤を介して架橋される場合にも好ましく;IRP/IRC又は複合体のいずれかが「活性化」形態(例えば、異種二官能性架橋剤に連結され、その結果IRP/IRCと反応性がある部分が利用可能である形態)で供給される。
以下の実施例は、本発明を例示するために提供され、本発明を限定するものではない。
実施例1:IRPsの存在下、1018 ISS(TLR-9リガンド)又はR848(TLR-7リガンド)で刺激された脾細胞
修飾された及び修飾されていない免疫調節ポリヌクレオチド(IRPs)(すなわち、少なくとも1つの修飾されたIRS若しくは修飾されていないIRSを含むポリヌクレオチド)又は対照サンプルを、ヒト及びマウス細胞における先天免疫応答の免疫調節(IR)活性についてアッセイした。
マウス細胞アッセイのために、6〜12週齢のBALB/cマウス脾臓からの脾臓を採取し、そして消化された断片を金属スクリーンに押し通すことによって機械的に分散させた。その分散した脾細胞を、遠心分離によってペレットにし、その後新鮮培地(10%のウシ胎仔血清、加えて50単位/mlのペニシリン、50μg/mLのストレプトマイシン、2mMのグルタミン、及び0.05mMのβ-メルカプトエタノールを含むRPMI 1640)中に再懸濁した。そして、用量依存的様式で、前記細胞を、0.7〜1mMの1018 ISS(TLR-9リガンド;5’-TGACTGTGAACGTTCGAGATGA-3’(配列番号122))又は1μMのR848(TLR-7リガンド;小分子、イミダゾキノリンはレシキモド(resiquimod)とも呼ばれる)を用いて、それら単独又は試験IRPsの存在下のいずれかで刺激した。48時間にて、上清を回収し、そしてサイトカイン・レベル、IL-6を免疫学的アッセイを使用することで計測した。
修飾された及び修飾されていない試験IRPsは、配列番号123(5’-TGCTCCTGGAGGGGTTGT-3’)、配列番号161(5’-UGCUCCUGGAGGGG UUGU-3’、配列番号123の固定核酸(LNA)修飾バージョン、それはすべてのヌクレオチドの糖環に、2’-O、4’-Cメチレン架橋を導入している)、配列番号135(5’-UGCUCCUGGAGGGGUUGU-3’、配列番号123の2’OMe修飾バージョン、ここで、すべてのヌクレオチドが2’-O-Me修飾で修飾されている、糖修飾)、配列番号136(5’-UGCUCCUGGAGGGGUUGU-3’、配列番号123のホスホルアミダート修飾バージョン、ここで、すべてのヌクレオチドがホスホルアミダート修飾で修飾されている、リン酸修飾)、配列番号137(5’-UGCUCCUGGAGGGGUUGU-3’、配列番号123の5’-メチルdC(M)修飾バージョン、ここで、すべてのシトシンが5-メチル-dC(M)修飾で修飾されている、塩基修飾)、及び対照オリゴデオキシヌクレオチド(5’-TCCTGCAGGTTAAGT-3’(配列番号197))であった。
図1は、単独又は試験IRPsの存在下のいずれかで、R848(TLR-7リガンド)で刺激された場合に産生されたIL-6のレベルを示す。図2は、単独又は修飾された及び修飾されていない試験IRPsの存在下のいずれかで、1018 ISS(TLR-9リガンド)で刺激された場合に産生されたIL-6のレベルを示す。2’OMeでの配列番号123配列の修飾(配列番号135)は、R848(TLR-7)で刺激した場合に、修飾されていない配列番号123と比較して、IL-6レベルの有意な低下をもたらした。固定核酸での配列番号123配列の修飾(配列番号161)は、TLR-7又はTLR-9刺激後のいずれも、修飾されていない配列番号123と比較して、有意なIL-6レベルの低下をもたらさなかった。結果を表1に要約した。
実施例2:修飾されたIRPsの存在下で刺激された脾細胞
TLR-7及びTLR-9活性化に対するIRPsの2’OMe修飾の効果をさらに調査するために、様々な2’OMe修飾IRPs配列又は対照サンプルを、マウス脾細胞における先天免疫応答の免疫調節(IR)活性についてアッセイした。
脾細胞アッセイを、実施例1に記載のとおり実施した。修飾された及び修飾されていない試験IRPsは、表2で見られる。太字でイタリック体のヌクレオチドは、2’-O-Me糖修飾を持っているヌクレオチドを表す。
図3〜8は、単独又は試験IRPsの存在下でR848(TLR-7リガンド)で刺激したか、又は1018 ISS(TLR-9リガンド;配列番号122)で刺激した場合の産生されるIL-6のレベルを示す。
実施例3:修飾されたIRPsの存在下で刺激したヒト形質細胞様樹状細胞(PDCs)
TLR-7及びTLR-9活性化に対するIRPsの2’OMe修飾の効果をさらに調査するために、様々な2’OMe修飾IRPs配列又は対照サンプルを、ヒト形質細胞様樹状細胞(PDCs)における先天免疫応答の免疫調節(IR)活性についてアッセイした。
単純ヘルペスウイルス・タイプ1(HSV-1 KOS株)に感染しているヒトPDCsは、IFN-αを産生することによって応答し、そしてこの応答はTLR-9シグナル伝達に依存している。インフルエンザ・ウイルス(H1N1、1934年のプエルトリコの患者由来のA/PR/8/34。ATCCカタログVR-95を参照のこと)に感染したヒトPDCsもまた、IFN-αを産生することによって応答するが、しかしながら、この応答はTLR-9とは無関係に、TLR-7シグナル伝達に依存している。感染細胞による先天免疫応答サイトカイン産生に対するIRPsの効果を調べた。よって、用量依存的様式で、単独又は試験IRPsの存在下でHSV-1(2MOI)又はインフルエンザ(2MOI)で細胞を刺激した。24時間にて、上清を回収し、そしてサイトカイン・レベル、IFN-αを免疫学的アッセイを使用して計測した。
修飾された及び修飾されていない試験IRPsは、表3に見られる。太字でイタリック体のヌクレオチドは、2’-O-Me糖修飾を持つヌクレオチドを表し、Z’が7-デアザ-dG相当し、そしてIがデオキシ‐イノシンに相当する。結果を図9〜16に示す。加えて、配列番号174は配列番号173と同様のTLR-7及びTLR-9阻害をもたらし、そして配列番号186は配列番号178と同様のTLR-7及びTLR-9阻害をもたらした。
実施例4:修飾されたIRPsの存在下で刺激したヒトB細胞
TLR-7及びTLR-9活性化に対するIRPsの2’-O-Me修飾の効果をさらに調査するために、様々な2’-O-Me修飾されたIRPs配列又は対照サンプルを、ヒトB細胞における先天免疫応答の免疫調節(IR)活性についてアッセイした。
ヒトB細胞アッセイについて、B細胞は、磁性ビーズ(CD19陽性)を使用して健常ドナーから得た総血球細胞から精製した。細胞を、新鮮培地(10%のウシ胎仔血清、50単位/mlのペニシリン、50μg/mLのストレプトマイシン、及び2mMのグルタミンを含むRPMI 1640)中に再懸濁した。そして、用量依存的様式で、前記細胞を、単独又は試験IRPsの存在下、0.7〜1μMの1018 ISS(TLR-9リガンド;5’-TGACTGTGAACGTTCGAGATGA-3’(配列番号122))又は1μMのR848(TLR-7リガンド;小分子、イミダゾキノリンはまたレシキモドとも呼ばれる)で刺激した。48時間にて、上清を回収し、サイトカイン・レベル、IL-6を免疫学的アッセイを使用して計測した。修飾された及び修飾されていない試験IRPsの説明は、表2に見られる。
図17〜19は、単独又は試験IRPsの存在下、R848(TLR-7リガンド)で刺激したか、又は1018 ISS(TLR-9リガンド;配列番号122)で刺激した場合に産生されたIL-6のレベルを示す。
実施例5:修飾されたIRPsの存在下で刺激したヒト形質細胞様樹状細胞(PDCs)
TLR-7及びTLR-9活性化に対するIRPsの2’OMe修飾の効果をさらに調査するために、様々な2’OMe修飾IRPs配列又は対照サンプルを、ヒト形質細胞様樹状細胞(PDCs)における先天免疫応答の免疫調節(IR)活性についてアッセイした。
単純ヘルペスウイルス・タイプ1(HSV-1 KOS株)に感染しているヒトPDCsは、IFN-αを産生することによって応答し、そしてこの応答はTLR-9シグナル伝達に依存している。インフルエンザ・ウイルス(H1N1、1934年のプエルトリコの患者由来のA/PR/8/34。ATCCカタログVR-95を参照のこと)に感染したヒトPDCsもまた、IFN-αを産生することによって応答するが、しかしながら、この応答はTLR-9とは無関係に、TLR-7シグナル伝達に依存している。感染細胞による先天免疫応答サイトカイン産生に対するIRPsの効果を調べた。よって、用量依存的様式で、単独又は試験IRPsの存在下でHSV-1(5MOI)又はインフルエンザ(2MOI)で細胞を刺激した。24時間にて、上清を回収し、そしてサイトカイン・レベル、IFN-αを免疫学的アッセイを使用して計測した。
7人のドナーからのヒトPDCsを精製し、そしてそれをインフルエンザ・ウイルス(菌株PR/8)又はHSV-1に感染させた。HSVを5感染多重度(MOI)にて使用したのに対し、インフルエンザ・ウイルスを2感染多重度にて使用した。前記細胞によって産生されたIFN-αの量を計測し、そして感染に使用したウイルスの量と比較した。修飾された及び修飾されていない試験IRPsについての説明は、表2に見られる。
図20〜22は、単独又は試験IRPsの存在下のいずれかで、インフルエンザ・ウイルス(TLR-7リガンド)で刺激したか、又はHSV(TLR-9リガンド)で刺激した場合に産生されたIFN-αのレベルを示す。
実施例6: ISSによって刺激した場合の生体内における修飾されたIRPsの活性
TLR-7及びTLR-9活性化に対するIRPsの2’OMe修飾の効果をさらに調査するために、2’OMe修飾IRP配列又は修飾されていないIRP配列を、生体内における先天免疫応答の免疫調節(IR)活性についてアッセイした。
6〜12週齢のBALB/cマウスを、すべての生体内実験に使用した。マウスに、ISS刺激と同時に又は別の時点で(例えば、CpGを含むISS配列の投与の6日前、3日前、又は1日前)、25μgの1018 ISS(5’-TGACTGTGAACGTTCGAGATGA-3’(配列番号122))と50μgの配列番号123(5’-TGCTCCTGGAGGGGTTGT-3’)又は配列番号145(5’-UGC TTG TCC TGG AGG GGA AGT UUG U-3’、ここで、太字でイタリック体のヌクレオチドは2’-O-Me糖修飾によって修飾されている)を皮下(s.c.)に注射した。すべての注射に生理的食塩水中のオリゴデオキシヌクレオチドを使用した。注射の2時間後に、血液を採取し、そして標準手続きを使用して血清を調製した。図23は、プロトコル設計のスキームを提供する。
前記血清中のサイトカイン・レベル(IL-6、IL-12、及びTNF-α)を計測した。生体内実験のIL-6レベルを、図24に示す。
実施例7:Ficollに結合させたIRSの存在下で刺激したヒト形質細胞様樹状細胞(PDCs)
高次分子上にIRS分子を凝集することによってIFN-α産生の阻害に関してIRS活性を増強することが可能であるかどうかをさらに調査するために、我々は、中性の高度に分岐したショ糖の親水性ポリマーであるFicoll 400に共有結合させたIRSオリゴヌクレオチドによって構成される分子を作り出した。この糖の性質は、我々が1分子のFicollあたり10〜100個超のIRSオリゴを連結することを可能にした。
現在実施されているフィコールへのオリゴヌクレオチドのコンジュゲートは、4つの反応ステップから成る:(I)商業的に入手したフィコールを、塩基中、クロロ酢酸とフィコールの反応によってカルボキシメチル化する。(II)中和そして透析後に、(1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド)EDCの存在下、生成物をエチレンジアミンと反応させて、生成物(III)を得る。透析後に、生成物(III)を(スルホスクシンイミダル4-[N-マレイミジル]-シクロヘキサン-1-カルボキシラート)SMCCと反応させて、フィコール‐マレイミド生成物(IV)を得る。そしてチオール反応性種(IV)をオリゴヌクレオチド・チオールと反応させて、最終生成物(V)フィコールのマルチオリゴヌクレオチド・コンジュゲートを得る。
そうした構造のIRS分子の凝集は、免疫刺激配列CpG-C ISS C274(「ISS」;5’-TCG TCG AAC GTT CGA GAT GAT-3’(配列番号99))で活性化された場合に、PDCによるIFN-α産生の遮断に関して非常に高い活性を持つ分子をもたらす。図25を参照のこと。よって、高次分子上へのIRS分子の凝集によってIFN-α産生の阻害に関してIRS活性を増強することが可能である。
実施例8:自己免疫疾患を処置するためのコルチコステロイドと組み合わせたIRPの使用
コルチコステロイドは、ループスにおいて最も広く使用された抗炎症薬である。重度の疾患発赤を患っているSLE患者は、約1週間に最大1g/日のコルチコステロイドを受けることができる。「中程度の発赤」を患っている患者が0.5〜1mg/kg/日のコルチコステロイドで処置されるのに対して、慢性の軽度の臓器を脅かすことのない疾患を患っている患者は長期間、約10〜40mg/日のコルチコステロイドで処置される。コルチコステロイド投与に関連する副作用は、用量と処置期間に依存する。
成人及び小児SLE患者の両方でのいくつかの研究が、高い投薬量のコルチコステロイドに対する応答において、循環する形質細胞様樹状細胞(PDCs)の70%の減少を示した。低用量のコルチコステロイド(30mg/日)で3日間処置した健常ドナーからのPBMCは、TLR-9刺激(HSV)に対して無応答であり、そしてPDCsが減少している。しかしながら、コルチコステロイド処置は、ループス患者においてIFN特性を抑える。PDCの活性化によってTLR-7及びTLR-9は、コルチコステロイドの効力を低減して、IFN特性を抑えることもある。TLR-7/9によって活性化されたPDCは、コルチコステロイド誘発アポトーシスに対してより抵抗性である。よって、TLR-7及び/又はTLR-9をブロックすることは、PDC喪失の増加とIFN特性の低減をもたらす、PDCに対するコルチコステロイド効果を容易にすることもあり得る。
免疫調節配列の存在下、コルチコステロイドのヒドロキシコルチゾンの濃度を変更することによるPDC死滅率(パーセント)
IRSの投与がTLRシグナル伝達の阻害を介してコルチコステロイドによるPDCの殺滅を容易にし、その結果ループスの処置に必要とされるコルチコステロイドの用量を低減できるかどうか調査するために、TLR活性化PDCにおいてアポトーシスを誘発するのに必要なコルチコステロイドの投薬量を評価した。
精製したPDC(50〜100,000 細胞)を、単独又は配列番号123の存在下のいずれかであって、単独又は示したTLR-7又はTLR-9リガンドの存在下のいずれかで24〜48時間培養した。ヒドロキシコルチゾンを様々な濃度にて加え、そして細胞生存率を培養の最後に計測した。フローサイトメータによる測定前にすべてのサンプル中に等量で加えられた定量のマイクロビーズと比較することによって、生菌細胞数をフローサイトメトリーにより評価した。
図26に示したように、異なる濃度のコルチコステロイドのヒドロキシコルチゾンを使用したPDC死滅率(パーセント)は、免疫調節配列(配列番号123)の存在下で上昇した。PDCsの50%死滅を達成するのに必要なヒドロキシコルチゾンの濃度は、インフルエンザ・ウイルス(H1N1、1934年のプエルトリコの患者からのA/PR/8/34。ATCCカタログVR-95)の存在下で4.5×10-6Mであった。それに対し、インフルエンザ・ウイルスと免疫調節配列(配列番号123)の存在下でPDCsの50%死滅を達成する必要なヒドロキシコルチゾンの濃度は、2.2×10-8Mであった。これは、PDCsの50%死滅を達成するのに必要なヒドロキシコルチゾンの量の204倍の低減を表した。
図27にもまた示したとおり、異なる濃度のコルチコステロイドのヒドロキシコルチゾンを使用したPDC死滅率(パーセント)は、免疫調節配列(配列番号123)の存在下で上昇した。PDCsの50%死滅を達成するのに必要なヒドロキシコルチゾンの濃度は、HSV(HSV-1 KOS株)の存在下で1.5×10-7Mであった。それに対し、PDCsの50%死滅を達成する必要なヒドロキシコルチゾンの濃度は、HSVと免疫調節配列、配列番号123の存在下で4×10-9Mであった。これは、PDCsの50%死滅を達成するのに必要なヒドロキシコルチゾンの量の37倍の低減を表した。
図28でさらに示されるとおり、異なる濃度のコルチコステロイドのヒドロキシコルチゾンを使用したPDC死滅率(パーセント)は、免疫調節配列(配列番号123)の存在下で上昇した。PDCsの50%死滅を達成するのに必要なヒドロキシコルチゾンの濃度は、免疫刺激配列の免疫刺激配列CpG-C ISS C274(「ISS」;5’-TCG TCG AAC GTT CGA GAT GAT-3’(配列番号99))の存在下で2×10-6Mであった。それに対し、PDCsの50%死滅を達成するのに必要なヒドロキシコルチゾンの濃度は、ISSと免疫調節配列、配列番号123の存在下で8.5×10-8Mであった。これは、PDCsの50%死滅を達成するのに必要なヒドロキシコルチゾンの量の23倍の低減を表した。
配列番号123などの免疫調節配列の投与後のPDC生存率(パーセント)の減少は、IFN-αの阻害の理由からだけではなかった。
図26中に示され、且つ、図29Aとして示される培養物からの上清を、IFN-αに関してそれらの含有量を免疫学的アッセイを使用することで計測した(図29B)。示されるように、IFN-α産生の減少は細胞生存率とは相関せず、IRSが単にIFN-αを妨げることよりも、細胞生存率にかかわる他の経路に影響していることを示唆している。
図29Aと29Bに示したように、ヒドロキシコルチゾンを1×10-8Mにて使用した場合の単独のインフルエンザ・ウイルスと比較して、インフルエンザ・ウイルスと配列番号123の組み合わせ物を使用した場合、PDC細胞におけるIFN-α産生を92%阻害した;しかしながら、ヒドロキシコルチゾンを1×10-8Mにて使用した場合の単独のインフルエンザ・ウイルスと比較して、インフルエンザ・ウイルスと配列番号123の組み合わせ物を使用した場合、PDC細胞の生存率のたった23%の減少しかなかった。もしIFN-α阻害が生存率の変化に単独で関与したのであれば、ヒドロキシコルチゾンが存在しなかった場合に、IFN-αはIRSによって完全に阻害されるが、しかしPDC生存率に違いはなかった。本実験は、IFN-αの阻害だけが、コルチゾンへの感受性増大に対するIRSの全効果の原因ではなかったことを示している。
配列番号123などの免疫調節配列の投与後のPDC生存率(パーセント)の減少が、IFN-α、IFN-β、IFNR、又はTNF-αの阻害によるだけではなかったという事実のさらなる裏付けとして、精製したPDCを、配列番号123、単独若しくは配列番号123伴ったインフルエンザ・ウイルス、抗IFN遮断抗体(ポリクローナル抗IFN-α、ポリクローナル抗IFN-β、及びモノクローナル・マウス抗IFN-αβ受容体抗体カクテル(PBL Biomedical Labs Inc.、Piscataway, NJ))若しくは抗TNF-α遮断抗体カクテル(抗TNF-α及び抗TNFR)含む培地中、1×10-6Mの濃度のヒドロキシコルチゾンと一緒に48時間培養した。細胞生存率を、フローサイトメータによる測定前にすべてのサンプルに等量で加えた定量のマイクロビーズと比較することによってフローサイトメトリーによって評価した。
図30に示したように、1×10-6Mのヒドロキシコルチゾン濃度にてインフルエンザ・ウイルスと配列番号123の組み合わせ物は、1×10-6Mのヒドロキシコルチゾン濃度にてインフルエンザ・ウイルス単独と比較して、PDCsのパーセント生存率の統計的に有意な減少をもたらした。IxlO「6M」のヒドロキシコルチゾン濃度のときに単独でインフルエンザ・ウイルスと比較されて、インフルエンザ・ウイルスと、I型IFN又はTNF-αのいずれかを阻害する抗体の組み合わせ物の使用は、PDCsのパーセント生存率の統計的に有意な減少をもたらさなかった。
本結果は、コルチコステロイドが試験管内においてPDCのアポトーシスを誘発することを示している。TLR-7及び/又はTLR-9刺激は、コルチコステロイド誘発アポトーシスに対する何らかの抵抗性を与える。IRSの投与とTLR-7及び/又はTLR-9の阻害は、コルチコステロイドに対するPDCの感受性を増強する、そして、組み合わせ物で使用されるのであれば、IRSは炎症を制御するのに必要とされるコルチコステロイドの用量を減少させることができる。
実施例9:IRSを含んでなるIRPsは、CpG-Cで刺激したヒトPDCにおいてNF-κB転写活性を阻害する
IRSを含んでなるIRPsがCpG-Cで刺激したヒトPDCにおいてNF-κB転写活性を阻害するかどうか調査するために、1×10-6個のPDCを、グルココルチコイドのヒドロキシコルチゾン、及び免疫刺激配列CpG-C ISS C274(「ISS」;5’-TCG TCG AAC GTT CGA GAT GAT-3’(配列番号99))、CpG-C(1μM)とヒドロキシコルチゾン(1×10-6M)、CpG-C(1μM)とIRS(1μM;配列番号123)、CpG-C(1μM)とNF-κB阻害剤IKK(1μM)の存在下で3時間刺激したか、又は無処置のままにした。
そして細胞を遠心分離によって回収し、そして核抽出物を、核抽出キット(Chemicon製の製品)を使用して調製した。p65転写活性のレベルを、コンセンサスDNAモチーフへのp65 NF-κB複合体の結合のレベルを計測するActive motif製のサンドイッチ・ベースのアッセイを使用することによって評価した。様々な条件下のヒトPDCにおけるNF-κB転写活性のレベルは図31にある。
実施例10:PDCは生体内におけるグルココルチコイド誘発死に対して感受性である
PDCが生体内におけるグルココルチコイド誘発死に感受性であるかどうか調査するために、129匹のマウスを漸増する用量のデキサメタゾン(Dexthametasone)(0.5mg〜4mg)で処置し、そして16時間後に脾臓と血液を採取した。細胞生存率を、フローサイトメトリーによって計測した。フローサイトメトリーによる計測前にすべてのサンプルに等量で加えた定量のマイクロビーズと比較することによって、生菌細胞数をフローサイトメトリーによって評価した。
特定のマーカーを、特定のサブセットを同定するのに使用した。細胞を、B220、CD11c、及びPDCA1マーカーの表面存在によってPDCであることを特定した。骨髄樹状細胞を、CD11c陽性であり、且つ、B220陰性であるとして特定した。B細胞を、B220陽性であり、且つ、CD11c陰性の細胞として特定した。単球を、CD11b陽性として特定した。増加するデキサメタゾン用量の下の脾臓組織からの細胞を使用して細胞生存率を評価し、そして結果を図32に示した。血液を使用しても同様の結果を得た(データ未掲載)。PDCは、生体内においてグルココルチコイド誘発死に対して感受性であった。
実施例11:TLR-9シグナル伝達は、GC誘発死からPDCを守る
TLR-9シグナル伝達がGC誘発死からPDCを守るかどうか調査するために、129匹のマウスを、グルココルチコイドのデキサメタゾン(DEX;1000μg)単独、又はDEX(1000μg)及び25μg若しくは50μgの免疫刺激配列CpG-C ISS C274(「ISS」;5’-TCG TCG AAC GTT CGA GAT GAT-3’(配列番号99))で処置した。異なった細胞型の生存率を、実施例9に記載のとおり評価した。
B220、CD11c、及びPDCA1マーカーの表面存在によって細胞がPDCであると特定した。骨髄樹状細胞を、CD11c陽性であり、且つ、B220陰性であるとして特定した。B細胞を、B220陽性であり、且つ、CD11c陰性の細胞として特定した。単球を、CD11b陽性として特定した。様々な条件下の脾臓組織からの細胞の細胞生存率を評価し、そして、結果を図33に示した。血液を使用しても同様の結果を得た(データ未掲載)。TLR-9シグナル伝達は、GC誘発死からPDCを守った。
実施例12:IRSを含んでなるIRPsは、CpG-TLR-9リガンドで処置したマウスにおいて生体内でのグルココルチコイドに対するPDCの感受性を復元する
IRSを含んでなるIRPsが、CpG-TLR-9リガンドで処置したマウスにおいて生体内でのグルココルチコイドに対するPDCの感受性を復元するかどうか調査するために、129匹のマウスを、グルココルチコイドのデキサメタゾン(DEX;1000μg)単独、又はDEX(1000μg)と免疫刺激配列CpG-C ISS C274(「ISS」;5’-TCG TCG AAC GTT CGA GAT GAT-3’(配列番号99))(50μg)及びDEX(1000μg)とCpG(50μg)とIRS(配列番号123)(100μg)で処置した。異なった細胞型の生存率を、実施例9に記載のとおり評価した。
B220、CD11c、及びPDCA1マーカーの表面存在によって細胞がPDCであると特定した。骨髄樹状細胞を、CD11c陽性であり、且つ、B220陰性であるとして特定した。B細胞を、B220陽性であり、且つ、CD11c陰性の細胞として特定した。単球を、CD11b陽性として特定した。脾臓又は血液からのPDCの生存率を、様々な条件下で評価し、そして結果を図34に示した。様々な条件下の脾臓組織からの細胞の細胞生存率もまた評価し、そして結果を図35に示した。血液を使用しても同様の結果を得た(データ未掲載)。IRSの配列番号173もまた試験し、IRSの配列番号123と同様の結果を得た(データ未掲載)。IRSを含んでなるIRPsは、CpG-TLR-9リガンドで処置したマウスにおける生体内でのグルココルチコイドに対するPDC感受性を復元した。
実施例13:IRSを含んでなるIRPsは、自己免疫を発症しやすい動物におけるグルココルチコイド誘発細胞死に対する感受性を復元する
最初に、グルココルチコイド誘発細胞死に対する自己免疫を発症しやすい動物の感受性を評価した。ループスを発症しやすいマウス(NZB×NZW)F1マウスと野性株、129及びB6を、500μgのデキサメタゾン(DEX)で処置した。異なった細胞型の生存率を、実施例9に記載のとおり評価した。
B220、CD11c、及びPDCA1マーカーの表面存在によって細胞がPDCであると特定した。骨髄樹状細胞を、CD11c陽性であり、且つ、B220陰性であるとして特定した。B細胞を、B220陽性であり、且つ、CD11c陰性の細胞として特定した。単球を、CD11b陽性として特定した。様々な条件下の様々なマウス系統からの血液及び脾臓組織からの細胞の細胞生存率を評価し、そして結果を図36に示した。
次に、免疫調節配列が、ループスを発症しやすいマウス(NZB×NZW)F1におけるグルココルチコイド処置に対する応答性を復元する能力を評価した。実験計画の図解を図37に示した。
IRSを含んでなるIRPsが自己免疫を発症しやすい動物におけるグルココルチコイド誘発細胞死に対する感受性を復元するかどうかを試験するために、ループスを発症しやすいマウス(NZB×NZW)F1マウスを、500μgのデキサメタゾン(DEX)単独、又はDEX(500μg)とIRS(配列番号123)(100μg)若しくはDEX(500μg)とIRS(配列番号123)(100μg)若しくはDEX(500μg)とCTRLオリゴ(100μg)で処置した。異なった細胞型の生存率を、実施例9に記載のとおり評価した。
B220、CD11c、及びPDCA1マーカーの表面存在によって細胞がPDCであると特定した。骨髄樹状細胞を、CD11c陽性であり、且つ、B220陰性であるとして特定した。B細胞を、B220陽性であり、且つ、CD11c陰性の細胞として特定した。単球を、CD11b陽性として特定した。様々な条件下の脾臓組織からの細胞の細胞生存率を評価し、そして結果を図38に示した。IRSの配列番号173もまた試験し、IRSの配列番号123と同様の結果を得た(データ未掲載)。IRSは、自己免疫を発症しやすい動物においてグルココルチコイド誘発細胞死に対する感受性を復元した。
実施例14:IRSを含んでなるIRPsは、生体内において皮膚炎を標的化できる
PDCは、炎症を起こしているマウス皮膚に浸潤する。129匹のマウスは、12回テープを機械的に剥離されたか又は対照として処置されないままだった。16時間後に、マウスを安楽死させ、そして皮膚を採取し、リベラーゼ(Liberase)0.28u/mlを含む溶液で1時間消化し、そして細胞含有量をフローサイトメトリーによって分析した。A)は形質細胞様樹状細胞のfacsプロットの例を示し、PDCをCD11c+、PDCA1+、120G8+と規定した。B)皮膚に浸潤する細胞を、免疫刺激配列CpG-A ISS(「ISS」;5’-GGtgcatcgatgcagGGGGG-3’(配列番号125)(ここで、大文字がPS結合を表し、そして小文字がPO結合を表す。)(1μM)で試験管内において刺激し、そして上清中、ELISAによってIFN-αを計測した。
炎症を起こしている皮膚に浸潤する細胞は、IRSでの処置によって予防可能であるIFN-α炎症遺伝子特性を示す。129匹のマウスの皮膚に、図39に記載のとおりテープ・ストリッピングによって機械的に炎症を起こした。マウスは、剥離されただけか、又は剥離され、そしてs.c.若しくはi.v.又は炎症を起こしている皮膚上に局所投与されたいずれかのIRS(配列番号123)(100μg)で処置された。一群のマウスを、完全に未処置のままにして対照としての役割を果たした。皮膚を、図39に記載のとおり処理し、そして製品の取扱説明書に従いQuiagen製のRNAキットを使用して浸潤細胞からRNAを抽出した。特定の遺伝子の遺伝子発現をTaqmanによって計測した。結果を図40に示した。IRS配列番号173もまた試験し、IRS配列番号123を用いたのと同様の結果を得た(データ未掲載)。IRSは、生体内において皮膚炎を標的化できる。
C57BL/6系統(15匹のマウス/群)の雄マウスに、単独で又はs.c.に与えられた単回投与の200μgの配列番号173のIRSの存在下のいずれかで、750μgのアセトアミノフェン(APA)を腹腔内に注射した。マウスを、期間を超えて調査し、そして図41に示したように、パーセント生存率を評価した。テープ・ストリッピング・モデルは、形質細胞様樹状細胞と好中球の大量の浸潤、I型IFN-α誘導性遺伝子の上方制御、及び炎症性サイトカイン、例えばTNF-α、IL1A/B、及びIP-10などを含めたヒト皮膚自己免疫疾患の態様を非常によく模倣している。
しかしながら、前述の発明は、明確、且つ、理解を目的として説明及び例示を通していくらか詳細に記載したが、特定の変化及び改変が習慣的に行われることは、当業者にとって明らかであろう。そのため、記載及び実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈するべきでない。