JP2011241246A - 難燃性樹脂組成物、絶縁電線、ワイヤーハーネス及びケーブル - Google Patents

難燃性樹脂組成物、絶縁電線、ワイヤーハーネス及びケーブル Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁電線の難燃性及び耐外傷性を向上させることができる難燃性樹脂組成物、絶縁電線、ワイヤーハーネス及びケーブルを提供すること。
【解決手段】分子骨格中に酸素原子が含有されているエチレン系重合体を含むポリオレフィン樹脂と、金属水酸化物粒子と、金属水酸化物粒子の表面に付着するβ−カルボキシアクリル酸アルキルと、ポリオルガノシロキサンとを含有し、金属水酸化物粒子及びβ−カルボキシアクリル酸アルキルが、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して20〜50質量部の割合で含まれ、ポリオルガノシロキサンが、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して2〜10質量部の割合で含まれている難燃性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性樹脂組成物、絶縁電線、ワイヤーハーネス及びケーブルに関する。
ポリ塩化ビニル組成物は電気絶縁性が良く、優れた難燃性、機械特性を有していることから電線被覆、チューブ、テープ、包装材、建材等に広く使用されているが、近年では環境や人体への影響の懸念から、安定剤として鉛を使用しない非鉛ポリ塩化ビニル樹脂が主流となりつつある。
上記非鉛ポリ塩化ビニル樹脂は、分子構造中に塩素原子を含有し、燃焼時に有毒、有害な塩素ガスを発生する。そのため、より安全性の高い、いわゆるエコマテリアルを使用した塩化ビニル電線代替品が検討されている。
このようなエコマテリアルとして、ポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)及びエチレンアクリル酸エチル共重合体(EEA)などのエチレン系材料や、それらとポリプロピレン(PP)、エチレンプロピレンゴム(EPゴム)、スチレン系エラストマなどのポリオレフィンをブレンドした複合樹脂をベースに、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物を多量に添加してなるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
特に、下記特許文献2には、ポリオレフィンをアイソタクチックポリプロピレン及びアタクチックポリプロピレンを30質量部以上含む樹脂100質量部、1〜3%のβ−カルボキシアクリル酸エチルで表面処理された難燃化剤100〜250質量部、有紀過酸化物0.1〜0.5質量部を含有してなる樹脂組成物によって、難燃性、電気絶縁性及び耐外傷性を向上させることが提案されている。
特許第3358228号公報 特開2009−40973号公報
しかし、上記特許文献2に記載の樹脂組成物には、耐外傷性及び難燃性の点で未だ改良の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、特に絶縁電線の難燃性及び耐外傷性を向上させることができる難燃性樹脂組成物、絶縁電線、ワイヤーハーネス及びケーブルを提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、金属水酸化物と特定の樹脂との界面に特定の物質を介在させ、この特定の物質と金属水酸化物との合計量が上記特定の樹脂に対して特定の割合で含まれるようにするとともに、上記特定の樹脂に対して所定の割合でポリオルガノシロキサンが含まれるようにすることによって、絶縁電線の難燃性及び耐外傷性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は、分子骨格中に酸素原子が含有されているエチレン系重合体を含むポリオレフィン樹脂と、金属水酸化物粒子と、前記金属水酸化物粒子の表面に付着するβ−カルボキシアクリル酸アルキルと、ポリオルガノシロキサンとを含有し、前記金属水酸化物粒子及び前記β−カルボキシアクリル酸アルキルが、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して20〜50質量部の割合で含まれ、前記ポリオルガノシロキサンが、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して2〜10質量部の割合で含まれていること、を特徴とする難燃性樹脂組成物である。
この難燃性樹脂組成物によれば、絶縁電線の難燃性及び耐外傷性を向上させることができる。
上記効果が得られる理由はいまだ明らかではないが、本発明者は、以下のように推測している。即ちβ−カルボキシアクリル酸アルキルによって、ポリオレフィン樹脂とβ−カルボキシアクリル酸アルキルとの間、及び金属水酸化物粒子とβ−カルボキシアクリル酸アルキルと間のイオン的な分子間相互作用が強まり、ポリオレフィン樹脂と金属水酸化物粒子との結合が補強される。特に、ポリオレフィン樹脂に、分子骨格中に酸素原子が含有されているエチレン系重合体が含まれるため、そのエチレン系重合体中の酸素原子と、β−カルボキシアクリル酸アルキルのカルボニル基とのイオン的な分子間相互作用が強くなり、ポリオレフィン樹脂と金属水酸化物粒子との結合が十分に補強される。一方、一般には難燃助剤として知られるポリオルガノシロキサンは、絶縁電線表面の滑性を向上させることで耐外傷性を向上させているものと考えられる。その結果、ポリオレフィン樹脂自体の硬度を高めなくても、絶縁電線の難燃性及び耐外傷性を向上させることができるのではないかと本発明者は推測している。
また本発明は、導体と、前記導体を被覆する絶縁層とを備えており、前記絶縁層が、上述した難燃性樹脂組成物で構成される絶縁電線である。また本発明は、導体と、前記導体を被覆する絶縁層とを備えており、前記絶縁層が、上述した難燃性樹脂組成物を架橋処理してなる絶縁電線であってもよい。
これらの絶縁電線は、難燃性及び耐外傷性を向上させることができる。
さらに本発明は、上述した絶縁電線を少なくとも1本有すること、を特徴とするワイヤーハーネスである。
自動車や電子機器などの内部空間においてワイヤーハーネスを引き回す場合、自動車や電子機器の内部空間は狭いため、ワイヤーハーネスは自動車や電子機器の内壁と接触しやすい。本発明のワイヤーハーネスは、上述した絶縁電線を少なくとも1本有しており、上述した絶縁電線は、難燃性のみならず、耐外傷性に優れる。このため、本発明のワイヤーハーネスによれば、自動車や電子機器内の着火に対して高い安全性が得られるのはもちろん、自動車や電子機器内での引回し作業に際して、絶縁電線に傷をつけることなく作業を行うことができる。
さらにまた本発明は、内部導体及び前記内部導体を被覆する絶縁層を有する絶縁電線と、前記絶縁電線を被覆するシースとを備え、前記絶縁層及び前記シースの少なくとも一方が上述した難燃性樹脂組成物で構成され、又は、上述した難燃性樹脂組成物を架橋処理してなるものであることを特徴とするケーブルである。
上記難燃性樹脂組成物において、前記β−カルボキシアクリル酸アルキルは、例えばβ−カルボキシアクリル酸エチルである。
上記難燃性樹脂組成物においては、ポリオレフィン樹脂がエチレンエチルアクリレート共重合体及びエチレン酢酸ビニル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種で構成されることが好ましい。この場合、絶縁電線の耐外傷性をより向上させることができる。
本発明によれば、絶縁電線の難燃性及び耐外傷性を向上させることができる難燃性樹脂組成物、絶縁電線、ワイヤーハーネス及びケーブルが提供される。
本発明のケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。 図1のII−II線に沿った断面図である。
以下、本発明の実施形態について図1及び図2を用いて詳細に説明する。
[ケーブル]
図1は、本発明に係るケーブルの一実施形態を示す部分側面図、図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示すように、ケーブル10は、絶縁電線1と、絶縁電線1を包囲する編組2と、編組2を被覆するシース3とを備えている。そして、絶縁電線1は、内部導体4と、内部導体4を被覆する絶縁層5とを有している。
ここで、絶縁層5は難燃性樹脂組成物で構成されるものであり、この難燃性樹脂組成物は、分子骨格中に酸素原子が含有されているエチレン系重合体を含むポリオレフィン樹脂と、金属水酸化物粒子と、金属水酸化物粒子の表面に付着するβ−カルボキシアクリル酸アルキルと、ポリオルガノシロキサンとを含有する。そして、金属水酸化物粒子及びβ−カルボキシアクリル酸アルキルからなる粒子が、上記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して20〜50質量部の割合で含まれ、ポリオルガノシロキサンが、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して2〜10質量部の割合で含まれている。
このような構成を持つケーブル10によれば、絶縁電線1の難燃性及び耐外傷性を向上させることができる。
このような効果が得られる理由として、本発明者は、上述したようにポリオレフィン樹脂と金属水酸化物粒子との結合がβ−カルボキシアクリル酸アルキルによって強められるとともに、ポリオルガノシロキサンによって絶縁電線1の滑性が向上したためではないかと推測している。
[ケーブルの製造方法]
次に、上述したケーブル10の製造方法について説明する。
(内部導体)
まず内部導体4を準備する。内部導体4は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、内部導体4は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。
(難燃性樹脂組成物)
一方、上記難燃性樹脂組成物を準備する。難燃性樹脂組成物は、上述したように、分子骨格中に酸素原子が含有されているエチレン系重合体を含むポリオレフィン樹脂と、金属水酸化物粒子と、金属水酸化物粒子の表面に付着するβ−カルボキシアクリル酸アルキルと、ポリオルガノシロキサンとを含有するものである。
(ポリオレフィン樹脂)
ポリオレフィン樹脂は、上述したように、分子骨格中に酸素原子が含有されているエチレン系重合体を含むものである。ここで、上記のエチレン系重合体は、エチレンに由来する構造単位を含むものを意味する。上記のようなエチレン系重合体としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルメタクリレート共重合体を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このように、分子骨格中に酸素原子が含有されているエチレン系重合体が用いられると、その酸素原子と、β−カルボキシアクリル酸アルキルのカルボニル基とのイオン的な分子間相互作用が強まり、分子骨格中に酸素原子を有しないエチレン系重合体を用いる場合に比べて、絶縁電線の耐外傷性をより向上させることができる。
中でも、エチレン系重合体としては、β-カルボキシアクリル酸アルキルとのイオン的な分子間相互作用をより強めることができ、耐摩耗性や耐外傷性をより向上させることができることから、EVA、EEA又はこれらの混合物が好ましい。
EVAとしては、VAに由来する構造単位を20質量%以上含有するものが好ましく、EEAとしては、エチレンに由来する構造単位を70質量%以上含有するものが好ましい。
上記エチレン系重合体として、EVAとEEAとの混合物が用いられる場合、EVAとEEAとの混合樹脂を100質量%として、EVAが30〜70質量%の割合で含まれ、且つEEAが70〜30質量%の割合で含まれていることが好ましい。この場合、EVAやEEAの含有率がそれぞれ上記数値範囲を外れる場合に比べて、難燃性、耐外傷性のみならず、耐熱性をより向上させることができる。
(金属水酸化物粒子)
金属水酸化物粒子は金属水酸化物からなるものであり、金属水酸化物としては、例えば水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどが例示できる。中でも、水酸化マグネシウムが好ましい。これは、β-カルボキシアクリル酸アルキルとのイオン的な分子間相互作用をより強めることができ、耐摩耗性や耐外傷性をより向上させることができるためである。
(β−カルボキシアクリル酸アルキル)
β−カルボキシアクリル酸アルキルとしては、β−カルボキシアクリル酸メチル、β−カルボキシアクリル酸エチル、β−カルボキシアクリル酸プロピルなどが例示できる。中でも、β−カルボキシアクリル酸エチルが最も好ましい。
金属水酸化物粒子及びβ−カルボキシアクリル酸エチルからなる粒子は、上述したように、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して20〜50質量部の割合で含まれている。金属水酸化物粒子及びβ−カルボキシアクリル酸エチルがポリオレフィン樹脂100質量部に対して20質量部未満の割合で含まれていると、絶縁電線10の難燃性が顕著に低下してしまう。また金属水酸化物粒子及びβ−カルボキシアクリル酸エチルがポリオレフィン樹脂100質量部に対して50質量部を超える割合で含まれていると、耐外傷性が顕著に低下する。
金属水酸化物粒子及びβ−カルボキシアクリル酸エチルは、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して30〜45質量部の割合で含まれることが、耐外傷性をより向上させることから好ましい。
金属水酸化物粒子の表面にβ-カルボキシアクリル酸アルキルを付着させる方法としては、例えば金属水酸化物粒子をβ−カルボキシアクリル酸アルキルで表面処理する方法が挙げられる。金属水酸化物粒子の表面にβ-カルボキシアクリル酸アルキルを付着させたものは、具体的には、金属水酸化物粒子にβ−カルボキシアクリル酸アルキルを添加して混合し、混合物を得た後、この混合物を40〜75℃にて10〜40分乾燥し、乾燥した混合物をヘンシェルミキサ、アトマイザなどにより粉砕することによって得ることができる。
ここで、金属水酸化物粒子に対するβ−カルボキシアクリル酸アルキルの付着量は、特に制限されるものではないが、金属水酸化物100質量部に対して0.05〜5質量部であることが耐外傷性の向上という理由から好ましく、0.1〜3質量部であるとさらに好ましい。
(ポリオルガノシロキサン)
ポリオルガノシロキサンは、難燃助剤として機能するものであり、ポリオルガノシロキサンとしては、シリコーンパウダー、シリコーンガム、シリコーンレジンなどが挙げられる。ポリオルガノシロキサンは、シロキサン結合を主鎖とし側鎖に有機基を有するものであり、有機基としては、例えばメチル基、ビニル基、エチル基、プロピル基、フェニル基などが挙げられる。具体的にはポリオルガノシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルオクチルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサンなどが挙げられる。
ポリオルガノシロキサンは、上述したようにポリオレフィン樹脂100質量部に対して2〜10質量部の割合で含まれているが、好ましくは、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して2〜10質量部の割合で含まれ、より好ましくは、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して2〜7質量部の割合で含まれる。2質量部未満では、耐外傷性又は難燃性が顕著に低下し、10質量部を超えると、機械特性(特に機械強度)又は耐外傷性が顕著に低下する。
上記難燃性樹脂組成物は、難燃助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線劣化防止剤、帯電防止剤、加工助剤、着色剤、滑剤、架橋助剤、無機充填剤などの充填剤を含んでもよい。
上記難燃性樹脂組成物は、例えば上記ポリオレフィン樹脂、金属水酸化物粒子の表面にβ-カルボキシアクリル酸アルキルを付着させたもの、及びポリオルガノシロキサン等を混練することにより得ることができる。混練は、例えばバンバリーミキサ、タンブラ、加圧ニーダ、混練押出機、二軸押出機、ミキシングロール等の混練機で行うことができる。
次に、上記難燃性樹脂組成物で内部導体4を被覆し、内部導体4上に絶縁層5を形成する。難燃性樹脂組成物の被覆は、例えば難燃性樹脂組成物を押出成形によりチューブ状に押し出して内部導体4の表面に密着させたり、上記難燃性樹脂組成物を収容したダイスに内部導体4を通したりすることによって行うことができる。
(編組)
次に、上記絶縁電線1を編組2で包囲する。編組2は外部導体として機能し、例えば軟銅線などの金属で構成される。
(シース)
最後に、編組2を、前記難燃性樹脂組成物で被覆し、この難燃性樹脂組成物を架橋処理する。こうして、編組2を被覆するシース3が得られる。シース3は、絶縁層5を物理的又は化学的な損傷から保護するものである。
以上のようにしてケーブル10が得られる。
上述したように、ケーブル10によれば、絶縁電線1の難燃性及び耐外傷性を向上させることができる。このため、ケーブル10は、ワイヤーハーネスを構成する少なくとも1本のケーブルに特に有用である。
即ち、自動車や電子機器などの内部空間においてワイヤーハーネスを引き回す場合、自動車や電子機器の内部空間は狭いため、ワイヤーハーネスは自動車や電子機器の内壁と接触しやすい。その点、絶縁電線1は、難燃性及び耐外傷性を向上させることができるため、自動車や電子機器内の着火に対して高い安全性が得られるのはもちろん、自動車や電子機器内での引回し作業に際して、絶縁電線1に傷をつけることなく作業を行うことができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、難燃性樹脂組成物に対しては、さらに耐外傷性を向上させるために、さらに電子線照射による架橋処理が行われてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜6及び比較例1〜4)
EEA、EVA、水酸化マグネシウム、β−カルボキシアクリル酸エチル、ポリオルガノシロキサン及び老化防止剤を表1及び表2に示す配合比で配合し、バンバリーミキサによって140℃にて15分間混練し、難燃性樹脂組成物を得た。なお、水酸化マグネシウム及びβ−カルボキシアクリル酸エチルの配合は、水酸化マグネシウムを予めβ−カルボキシアクリル酸エチルで表面処理した状態にして行った。このとき、β−カルボキシアクリル酸エチルで表面処理された水酸化マグネシウム粒子は、次のようにして得た。即ち、まず水酸化マグネシウム粒子に対しβ−カルボキシアクリル酸エチルを表1及び表2に示す割合で添加して撹拌しながら混合し混合物を得た。次に、この混合物を60℃にて50分乾燥し、乾燥した混合物をヘンシェルミキサーにより粉砕した。こうして、β−カルボキシアクリル酸エチルで表面処理された水酸化マグネシウム粒子を得た。
上記EEA、EVA、水酸化マグネシウム、β−カルボキシアクリル酸エチルをポリオルガノシロキサン及び老化防止剤としてはそれぞれ以下のものを用いた。
(1)EEA
A710(商品名、三井デュポンポリケミカル社製)
(2)EVA
V−5274(商品名、三井・デュポンポリケミカル(株)製、VAに由来する構造単位の含有率:17質量%)
(3)水酸化マグネシウム
キスマ5L(商品名、協和化学社製)
(4)β−カルボキシアクリル酸エチル
C−800(商品名、ルーブリゾール社製)
(5)ポリオルガノシロキサン
X−21−3043(商品名、信越化学工業社製)
(6)老化防止剤
Irganox1010(商品名、チバ・ジャパン社製)
その後、押出機にて上記の難燃性樹脂組成物をチューブ状に押し出し、導体(素線数58本/素線径0.26mm)上に、厚さ0.7mmとなるように難燃性樹脂組成物を被覆した。こうして絶縁電線を得た。

Figure 2011241246
Figure 2011241246
上記のようにして得られた実施例1〜6及び比較例1〜4の絶縁電線について、引張破断強度及び引張破断伸びの測定、並びに、耐外傷性及び難燃性の評価を以下のようにして行った。
(引張破断強度)
実施例1〜6及び比較例1〜4の絶縁電線について、引張速度200mm/min、標線間距離20mmの試験条件で引張破断強度を測定した。そして、引張破断強度が10MPa以上である絶縁電線を合格とし、10MPa未満である絶縁電線を不合格とした。
(引張破断伸び)
実施例1〜6及び比較例1〜4の絶縁電線について、引張速度200mm/min、標線間距離20mmの試験条件で引張破断伸びを測定した。そして、引張破断伸びが300%以上である絶縁電線を合格とし、300%未満である絶縁電線を不合格とした。
(耐外傷性)
実施例1〜6及び比較例1〜4の絶縁電線について、速度100mm/minにて、先端径が0.3mmのダイアモンド圧子による引掻き試験を行った。このダイアモンド圧子による傷付き開始荷重が1000gf以上であれば合格とし、1000gf未満であれば不合格とした。
(難燃性)
実施例1〜6及び比較例1〜4の絶縁電線について、ISO6722の45度傾斜燃焼試験を行い、以下のようにして絶縁電線の難燃性評価を行った。即ち、長さ600mmの電線サンプルの上部50mm以上が残存し、且つ70秒以内に自己消火した絶縁電線を合格とし、そうでない絶縁電線を不合格とした。
なお、引張破断強度、引張破断伸び、耐外傷性及び難燃性の評価結果については、表1及び表2中、合格である場合には「○」と表示し、不合格である場合には「×」と表示した。
表1及び表2に示す結果より、実施例1〜6の絶縁電線は、比較例1〜4の絶縁電線と比較して、難燃性及び耐外傷性に優れることが分かった。
このことから、本発明の難燃性樹脂組成物によれば、絶縁電線の難燃性及び耐外傷性を向上させることができることが確認された。
1…絶縁電線、2…編粗、3…シース、4…内部導体、5…絶縁層、10…ケーブル。

Claims (7)

  1. 分子骨格中に酸素原子が含有されているエチレン系重合体を含むポリオレフィン樹脂と、
    金属水酸化物粒子と、
    前記金属水酸化物粒子の表面に付着するβ−カルボキシアクリル酸アルキルと、
    ポリオルガノシロキサンと、
    を含有し、
    前記金属水酸化物粒子及び前記β−カルボキシアクリル酸アルキルが、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して20〜50質量部の割合で含まれ、
    前記ポリオルガノシロキサンが、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して2〜10質量部の割合で含まれていること、
    を特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 前記β−カルボキシアクリル酸アルキルが、β−カルボキシアクリル酸エチルであること、
    を特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 前記ポリオレフィン樹脂がエチレンエチルアクリレート共重合体及びエチレン酢酸ビニル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種で構成される請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 導体と、
    前記導体を被覆する絶縁層と、
    を備えており、
    前記絶縁層が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成されること、
    を特徴とする絶縁電線。
  5. 導体と、
    前記導体を被覆する絶縁層と、
    を備えており、
    前記絶縁層が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物を架橋処理してなること、
    を特徴とする絶縁電線。
  6. 請求項4又は5に記載の絶縁電線を少なくとも1本有すること、
    を特徴とするワイヤーハーネス。
  7. 内部導体及び前記内部導体を被覆する絶縁層を有する絶縁電線と、
    前記絶縁電線を被覆するシースとを備え、
    前記絶縁層及び前記シースの少なくとも一方が請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成され、又は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物を架橋処理してなるものであることを特徴とするケーブル。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104200879A (zh) * 2014-08-30 2014-12-10 三正集团股份有限公司 一种煤矿用电缆

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