JP2011236480A - 高周波焼入方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】内面部が内面移動焼入によって高周波焼入される筒状部材の精度を向上させることが可能な高周波焼入方法を提供する。
【解決手段】口元3からの深さが全体の1/3の位置を入熱量切換位置P1に設定して、口元P0から入熱量切換位置P1までの工程(第1焼入ステップ)における第1入熱量をQ1(Q1>Q0)に設定して、入熱量切換位置P1から奥端P2までの工程(第2焼入ステップ)における第2入熱量をQ2(Q0>Q2)に設定して、第1入熱量Q1を第2入熱量Q2の3.5〜4.0倍に設定する。これにより、ローラ溝6の溝幅における口元3の開きが抑制されて、ローラ溝6の溝幅の寸法公差を確保することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、高周波焼入方法に関するもので、特に、筒状部材の内面部を内面移動焼入する方法に関する。
内面移動焼入法は、例えば、等速ジョイントのインボードカップの内面部を効率的に高周波焼入する手段として知られている。例えば、特許文献1に記載の内面移動焼入装置は、高周波加熱コイルに冷却ジャケットが連結されて構成されている。インボードカップは、口元を下方へ向けて焼入装置に対して同軸上に固定される。この状態で、焼入装置を軸線方向上方へ移動させて、該焼入装置をインボードカップの内部に挿入するとともに焼入開始位置に位置決めさせる。次に、焼入装置を一定速度で移動させる。この時、高周波加熱コイルに高周波電流を通電するとともに冷却ジャケットからインボードカップの内面部へ向けて冷却液を噴射する。これにより、インボードカップの内面部が口元から奥へ向けて加熱されるとともに該加熱面(インボードカップの内面部)が冷却液によって急冷されて、当該インボードカップの内面部が口元から奥へ向けて順次焼入される。
ところで、従来の高周波焼入(内面移動焼入)方法においては、インボードカップの内面部を口元から奥まで、一定の移動速度および出力で高周波焼入することから、上述したように、インボードカップの口元から奥へ向けて順次加熱および冷却が進行する。したがって、インボードカップの内面部の奥の入熱量が口元の入熱量よりも実質的に大きくなり、焼入後のインボードカップは、口元と比較して奥がより大きく収縮する傾向にある。その結果、インボードカップは、厳格な寸法公差が要求されるローラ溝の溝幅が、テーパー状、すなわち、口元から奥へ向けて先細り形状になり、インボードカップ、特に、該インボードカップのローラ溝の溝幅の精度向上が要望されていた。
特開平10−324914号公報
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、内面部が内面移動焼入によって高周波焼入される筒状部材の精度を向上させることが可能な高周波焼入方法を提供することを課題としてなされたものである。
上記課題を解決するために、本発明の高周波焼入方法は、筒状部材の内面部を内面移動焼入法により高周波焼入する方法であって、前記筒状部材の口元から奥まで一定の入熱量で高周波焼入する時の入熱量を標準入熱量に設定して、前記標準入熱量に対して増加させた第1入熱量で前記筒状部材の口元側を焼入する第1焼入ステップと、前記標準入熱量に対して減少させた第2入熱量で前記筒状部材の奥側を焼入する第2焼入ステップと、を含むことを特徴とする。
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、請求可能発明と称する)の態様を例示し、例示された各態様について説明する。ここでは、各態様を、特許請求の範囲と同様に、項に区分すると共に各項に番号を付し、必要に応じて他の項の記載を引用する形式で記載する。これは、請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施形態の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得る。
なお、以下の各項において、(1)〜(5)項の各々が、特許請求の範囲に記載した請求項1〜5の各々に相当する。
(1)筒状部材の内面部を内面移動焼入法により高周波焼入する方法であって、筒状部材の口元から奥まで一定の入熱量で高周波焼入する時の入熱量を標準入熱量に設定して、標準入熱量に対して増加させた第1入熱量で筒状部材の口元側を焼入する第1焼入ステップと、標準入熱量に対して減少させた第2入熱量で筒状部材の奥側を焼入する第2焼入ステップと、を含む高周波焼入方法。
例えば、等速ジョイントのインボードカップ(筒状部材)の内面部を、従来の内面移動焼入法により、一定の移動速度および出力で高周波焼入した場合、インボードカップの口元から奥へ向けて順次加熱および冷却が進行することから、インボードカップの奥の入熱量が口元の入熱量よりも実質的に大きくなる。したがって、高周波焼入後のインボードカップは、口元と比較して奥がより大きく収縮する傾向にある。その結果、インボードカップにおいて特に厳格な寸法公差が要求されるローラ溝の溝幅は、テーパー状、すなわち、口元から奥へ向けて先細り形状に変形する。
そこで、本項に記載の高周波焼入方法では、インボードカップ(筒状部材)の内面部の口元側を、標準入熱量、すなわち、インボードカップの内面を口元から奥まで一定の入熱量で高周波焼入する従来の高周波焼入方法における既定の入熱量を標準入熱量に設定して、さらに、インボードカップの内面部における被焼入部の収縮量が口元と奥とで略等しくなるように、標準入熱量に対して増加させた第1入熱量と、標準入熱量に対して減少させた第2入熱量とを設定して、第1焼入ステップでは、インボードカップの口元側を第1入熱量で高周波焼入して、これと連続する第2焼入ステップでは、インボードカップの奥側を第2入熱量で高周波焼入する。
したがって、従来(入熱量が一定)の高周波焼入方法では、インボードカップのローラ溝の溝幅は、奥から口元へ向けて開く傾向にあったが、本項の態様では、被焼入部の口元の収縮量と奥の収縮量とが略等しくなるように、第1入熱量と第2入熱量とを調整することで、ローラ溝の溝幅における奥から口元へ向けての開きを抑制することができ、その結果、ローラ溝の溝幅の寸法公差を確保することができる。また、このようにして得られたインボードカップが組み付けられた等速ジョイントにおいては、ローラとローラ溝とのガタ量を従来の高周波焼入方法との比較で大幅に低減させることが可能になり、車両走行中の騒音ならびに振動が減少して、車両の快適性を向上させることができる。
(2)第1入熱量は、第2入熱量の3.5〜4.0倍である(1)の高周波焼入方法。
本項に記載の高周波焼入方法によれば、経験的法則に基づいて、第1焼入ステップにおける第1入熱量(Q1)を第2焼入ステップにおける第2入熱量(Q2)の3.5〜4.0倍(Q1=Q2×3.5〜4.0)に設定することにより、例えば、インボードカップ(筒状部材)の内面部の被焼入部における口元の収縮量と奥の収縮量とが略等しくすることができ、その結果、ローラ溝の溝幅における奥から口元へ向けての開きを効果的に抑制することができる。
なお、第1焼入ステップおよび第2焼入ステップにおける入熱量をQ1およびQ2、第1焼入ステップおよび第2焼入ステップにおける高周波焼入装置の出力をW1およびW2、第1焼入ステップおよび第2焼入ステップにおける高周波焼入装置とインボードカップ(筒状部材)との相対移動速度をV1およびV2、ならびにCを既定値とすると、
Q1=(W1/V1)×C
Q2=(W2/V2)×C
で表すことができる。ここで、
Q1/Q2=3.5〜4.0であるので、結局、
(W1×V2)/(V1×W2)=3.5〜4.0:(数式1)
を満たすように、第1焼入ステップにおける焼入装置の出力W1および移動速度V1、ならびに、第2焼入ステップにおける焼入装置の出力W2および移動速度V2を設定すればよい。
(3)高周波焼入装置と前記筒状部材との相対移動速度を筒状部材の口元から奥まで一定の移動速度で高周波焼入する時の移動速度を標準移動速度に設定して、第1焼入ステップでは、標準移動速度に対して減少させた第1移動速度で筒状部材の口元側を焼入して、第2焼入ステップでは、標準移動速度に対して増加させた第2移動速度で筒状部材の奥側を焼入する(1)、(2)の高周波焼入方法。
本項に記載の高周波焼入方法では、インボードカップ(筒状部材)の内面部の口元側を、標準移動速度、すなわち、インボードカップの内面を口元から奥まで一定の移動速度および出力で高周波焼入する従来の高周波焼入方法における既定の移動速度を標準移動速度に設定して、さらに、インボードカップの内面部における被焼入部の収縮量が口元と奥とで略等しくなるように、標準移動速度に対して増加させた第1移動速度と、標準移動速度に対して減少させた第2移動速度とを設定して、第1焼入ステップでは、インボードカップの口元側を第1移動速度で高周波焼入して、これと連続する第2焼入ステップでは、インボードカップの奥側を第2移動速度で高周波焼入する。
したがって、従来(移動速度および出力が一定)の高周波焼入方法では、インボードカップのローラ溝の溝幅は、奥から口元へ向けて開く傾向にあったが、本項の態様では、被焼入部の口元の収縮量と奥の収縮量とが略等しくなるように、第1移動速度と第2移動速度とを調整することで、ローラ溝の溝幅における奥から口元へ向けての開きを抑制することができ、その結果、ローラ溝の溝幅の寸法公差を確保することができる。また、このようにして得られたインボードカップが組み付けられた等速ジョイントにおいては、ローラとローラ溝とのガタ量を従来の高周波焼入方法との比較で大幅に低減させることが可能になり、車両走行中の騒音ならびに振動が減少して、車両の快適性を向上させることができる。
本項の態様では、上記(数式1)において、
W1=W2であるから、これを(数式1)に代入することにより、
V2/V1=3.5〜4.0:(数式2)
を得ることができる。つまり、上記(数式2)を満たすように、V1、V2を設定すればよい。しかしながら、(数式2)は本項の態様における1つの目安であり、本項の態様においても重要なことは、上記(数式1)を満たすことである。
(4)焼入装置の出力を筒状部材の口元から奥まで一定の出力で高周波焼入する時の出力を標準出力に設定して、第1焼入ステップでは、標準出力に対して増加させた第1出力で筒状部材の口元側を焼入して、第2焼入ステップでは、標準出力に対して減少させた第2出力で筒状部材の奥側を焼入する(1)、(2)の高周波焼入方法。
本項に記載の高周波焼入方法では、インボードカップ(筒状部材)の内面部の口元側を、標準出力、すなわち、インボードカップの内面を口元から奥まで一定の移動速度および出力で高周波焼入する従来の高周波焼入方法における既定の出力を標準出力に設定して、さらに、インボードカップの内面部における被焼入部の収縮量が口元と奥とで略等しくなるように、標準出力に対して増加させた第1出力と、標準出力に対して減少させた第2出力とを設定して、第1焼入ステップでは、インボードカップの口元側を第1出力で高周波焼入して、これと連続する第2焼入ステップでは、インボードカップの奥側を第2出力で高周波焼入する。
したがって、従来(移動速度および出力が一定)の高周波焼入方法では、インボードカップのローラ溝の溝幅は、奥から口元へ向けて開く傾向にあったが、本項の態様では、被焼入部の口元の収縮量と奥の収縮量とが略等しくなるように、第1出力と第2出力とを調整することで、ローラ溝の溝幅における奥から口元へ向けての開きを抑制することができ、その結果、ローラ溝の溝幅の寸法公差を確保することができる。また、このようにして得られたインボードカップが組み付けられた等速ジョイントにおいては、ローラとローラ溝とのガタ量を従来の高周波焼入方法との比較で大幅に低減させることが可能になり、車両走行中の騒音ならびに振動が減少して、車両の快適性を向上させることができる。
本項の態様では、上記(数式1)において、
V1=V2であるから、これを(数式1)に代入することにより、
W1/W2=3.5〜4.0:(数式3)
を得ることができる。つまり、上記(数式3)を満たすように、W1、W2を設定すればよい。しかしながら、(数式3)は上記(数式2)と同様に本項の態様における1つの目安であり、本項の態様においても重要なことは、上記(数式1)を満たすことである。
(5)筒状部材の口元から内面部の被焼入部の軸方向長さの1/3まで焼入が進行した時点で、第1焼入ステップから第2焼入ステップへ切り換える(1)〜(4)の高周波焼入方法。
本項に記載の高周波焼入方法によれば、第1焼入ステップから第2焼入ステップへの切り換え位置は、経験的法則に基づいて、筒状部材の口元からの軸方向距離が被焼入部の軸方向長さ(全長)の1/3の位置に設定される。これにより、ローラ溝の溝幅における奥から口元へ向けての開きを抑制することができ、その結果、ローラ溝の溝幅の寸法公差を確保することができる。また、このようにして得られたインボードカップが組み付けられた等速ジョイントにおいては、ローラとローラ溝とのガタ量を従来の高周波焼入方法との比較で大幅に低減させることが可能になり、車両走行中の騒音ならびに振動が減少して、車両の快適性を向上させることができる。
本発明によれば、内面部が内面移動焼入によって高周波焼入される筒状部材の精度を向上させることが可能な高周波焼入方法を提供することができる。
内面移動焼入装置のコイルおよび冷却ジャケットの説明図であって、インボードカップを二点鎖線で示す図である。 図1におけるインボードカップのA−A断面を実線で示す図である。 図1におけるインボードカップの右側部分を拡大して示す図である。 従来の高周波焼入方法により得られたローラ溝の溝幅の測定結果を示す図である。 本実施形態の実施例1の説明図であって、口元P0から入熱量切換位置P1までの第1焼入ステップを第1入熱量Q1で高周波焼入して、連続して、入熱量切換位置P1から奥端P2までの第2焼入ステップを第2入熱量Q2で高周波焼入して得られたインボードカップ(筒状部材)におけるローラ溝の溝幅の測定結果である。
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。なお、ここでは、等速ジョイントのインボードカップ1(筒状部材)の内面部2を内面移動焼入法により高周波焼入する方法を説明する。すなわち、図1に示されるように、インボードカップ1の内部に高周波焼入装置11を挿入して、該高周波焼入装置11をインボードカップ1に対して軸方向上方(図1における上方向)へ移動させることにより、インボードカップ1の内面部2を口元3から奥4に向けて順次加熱および冷却して、該インボードカップ1の内面部2に被焼入部5を形成する方法を説明する。
本実施形態の高周波焼入方法で使用される高周波焼入装置11は、従来の内面移動焼入装置、すなわち、コイル12、冷却ジャケット13、ならびに、高周波焼入装置11の移動速度(インボードカップ1と高周波焼入装置11との相対移動速度)と出力とを制御可能な制御装置を備える高周波焼入装置、に対して構造が実質的に同一であるので、ここでは、高周波焼入装置11に係る詳細な説明を省略する。また、筒状部材としてのインボードカップ1は、カップ状に形成されており(図1参照)、その内面部2には、口元3から奥4へ軸線方向(図1における上下方向)に延びてボールが転動する複数本(本実施形態では3本)のローラ溝6が軸線回りに等配されている。
本実施形態の高周波焼入方法では、図3に示されるように、インボードカップ1(筒状部材)の内面部2における口元3(図3における位置P0、以下、必要に応じて口元3と口元P0とを使い分ける)から被焼入部5の奥端(図3における位置P2、以下、奥端P2という)までの軸方向長さ(図3におけるP0−P2間の距離)をLとした場合の、口元3からの深さがL/3の位置を入熱量切換位置(図3における位置P1)に設定する。また、標準入熱量、すなわち、インボードカップ1の内面2を口元P0から奥端P2まで一定の入熱量で高周波焼入する従来の高周波焼入方法における入熱量(標準入熱量)をQ0とした場合の、焼入時における口元P0から入熱量切換位置P1までの工程(第1焼入ステップ)における第1入熱量をQ1(ただし、Q1>Q0)に設定して、さらに、入熱量切換位置P1から奥端P2までの工程(第2焼入ステップ)における第2入熱量をQ2(ただし、Q0>Q2)に設定する。
また、本実施形態の高周波焼入方法では、第1焼入ステップにおける第1入熱量Q1を、第2焼入ステップにおける第2入熱量Q2の3.5〜4.0倍に設定する(Q1=Q2×3.5〜4.0)。そして、インボードカップ1を口元3を下方へ向けて固定しておいて、高周波焼入装置11を、該インボードカップ1(筒状部材)の内部に挿入して焼入開始位置(図1参照)に位置決めさせる。次に、焼入装置11を軸方向上方へ移動(インボードカップ1に対して相対移動)させて、インボードカップ1の内面部2を口元P0から奥端P2まで順次加熱および冷却する。これにより、インボードカップ1の内面部2に被焼入部5が形成される。
ここで、本実施形態の高周波焼入方法では、インボードカップ1の内面部2の、口元P0から入熱量切換位置P1までの工程(第1焼入ステップ)を第1入熱量Q1で高周波焼入して、連続して、入熱量切換位置P1から奥端P2までの工程(第2焼入ステップ)を第2入熱量Q2で高周波焼入する。これにより、インボードカップ1の内面部2における被焼入部5の収縮量が口元3と奥4とで略等しくなるように調整されて、ローラ溝6の溝幅D(図2参照)の口元3側の開きが抑制される。その結果、ローラ溝6の溝幅Dの精度が確保されたインボードカップ1(筒状部材)を得ることができる。
ここでは、従来の高周波焼入方法において、口元P0から奥端P2まで一定の移動速度(標準移動速度V0=10m/s)および出力(標準出力W0=100kW)で、内面部2が高周波焼入されるインボードカップ1(筒状部材)を例に挙げて説明する。なお、本発明に係る高周波焼入方法では、上述したように、第1焼入ステップ(区間P0−P1)における第1入熱量Q1が、第2焼入ステップ(区間P1−P2)における第2入熱量Q2の3.5〜4.0倍に設定される、すなわち、第1入熱量Q1と第2入熱量Q2との比が設定範囲内(Q1:Q2=3.5〜4.0:1)であればよい。したがって、各入熱量Q0、Q1、Q2を算出する場合、説明の便宜上、共通項(段落番号0009に記載の既定値C)は計算に含めず、算出結果の単位(kWs/m)も省略する。すなわち、入熱量Q=出力W/移動速度Vとして各入熱量Q0、Q1、Q2を算出する。つまり、ここでは、従来の高周波焼入方法における入熱量Q0は、W0/V0、すなわち、10(以下、入熱量10という)である。
図4に、比較対象として、従来の高周波焼入方法により得られたインボードカップ1におけるローラ溝6の溝幅D(図2参照)の測定結果を示す。この図に示されるように、口元P0から奥端P2まで一定の入熱量(標準入熱量)10で高周波焼入した場合、口元P0におけるローラ溝6の溝幅Dは、奥端P2での溝幅Dに対して40μm大きくなる(開く)。これに対して、実施例1においては、第1焼入ステップ、すなわち、口元P0から入熱量切換位置P1までの工程を、4m/sの第1移動速度V1ならびに120kWの第1出力W1の焼入条件で高周波焼入する。連続して、第2焼入ステップ、すなわち、入熱量切換位置P1から奥端P2までの工程を、11m/sの第2移動速度V2ならびに90kWの第2出力W2の焼入条件で高周波焼入する。
なお、実施例1においては、第1焼入ステップにおける第1入熱量Q1が30、第2焼入ステップにおける第2入熱量Q2が8.2であり、実施例1における焼入条件(移動速度、出力)は、
Q1>Q0>Q2(以下、焼入条件1という)
および
Q1=Q2×3.5〜4.0(以下、焼入条件2という)
を満たしている。
そして、図5に示されるのは、口元P0から入熱量切換位置P1までの工程(第1焼入ステップ)を入熱量30(第1入熱量)の焼入条件で高周波焼入して、連続して、入熱量切換位置P1から奥端P2までの工程(第2焼入ステップ)を入熱量8.2(第2入熱量)の焼入条件で高周波焼入して得られたインボードカップ1(筒状部材)におけるローラ溝6の溝幅Dの測定結果である。この図に示されるように、上記焼入条件1および2を満たす実施例1の焼入条件で高周波焼入されたインボードカップ1においては、口元P0におけるローラ溝6の溝幅Dは、奥端P2における溝幅Dに対して5μm大きい(開いている)。つまり、実施例1では、インボードカップ1の内面部2のローラ溝6における溝幅Dの口元3の開きを、従来の高周波焼入方法(図4参照)の1/8に縮小することができた。
なお、実施例1では、従来の高周波焼入方法における焼入条件(移動速度V0および出力W0)に対して、高周波焼入装置11の移動速度(V1、V2)および出力(W1、W2)の双方を変えたが、上述した焼入条件1および2を満たしていることを条件に、第1焼入ステップおよび第2焼入ステップを一定の出力(W1=W2=W0)に保持して、第1焼入ステップを移動速度V1(V0>V1)で高周波焼入するとともに第2焼入ステップを移動速度V2(V2>V0)で高周波焼入することができる。反対に、上述した焼入条件1および2を満たしていることを条件に、第1焼入ステップおよび第2焼入ステップを一定の移動速度(V1=V2=V0)に保持して、第1焼入ステップを出力W1(W1>W0)で高周波焼入するとともに第2焼入ステップを出力W2(W0>W2)で高周波焼入することができる。
この実施形態では以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、インボードカップ1(筒状部材)の口元P0から被焼入部5の奥端P2までの軸方向長さをLとした場合の、口元3からの軸方向距離がL/3の位置を入熱量切換位置P1に設定する。そして、標準入熱量、すなわち、インボードカップ1の内面2を口元P0から奥端P2まで一定の入熱量で焼入する従来の高周波焼入方法における入熱量をQ0とした場合の、口元P0から入熱量切換位置P1までの工程(第1焼入ステップ)における第1入熱量をQ1(Q1>Q0)に設定するとともに、入熱量切換位置P1から奥端P2までの工程(第2焼入ステップ)における第2入熱量をQ2(Q0>Q2)に設定して、さらに、第1焼入ステップにおける第1入熱量Q1を、第2焼入ステップにおける第2入熱量Q2の3.5〜4.0倍に設定する(Q1=Q2×3.5〜4.0)。そして、第1焼入ステップでは、インボードカップ1の内面部2を第1入熱量Q1で順次加熱および冷却して、連続して、第2焼入ステップでは、インボードカップ1の内面部2を第2入熱量Q2で順次加熱および冷却して、当該内面部2に被焼入部5を形成する。
これにより、従来、インボードカップ1(筒状部材)のローラ溝6の溝幅Dは、奥4から口元3へ向けてテーパー状に開く傾向にあったが、本実施形態では、上述した焼入条件で高周波焼入することにより、被焼入部5の収縮量が口元3と奥4とで略等しくなるように調整される。したがって、ローラ溝6の溝幅Dを口元3と奥4とで略等しくすることができ、ローラ溝6の溝幅Dの寸法公差を確保することができる。そして、このようにして得られたインボードカップ1が組み付けられた等速ジョイントにおいては、ローラとローラ溝6とのガタ量を低減させることが可能になり、車両走行中の騒音ならびに振動が減少して、車両の快適性を向上させることができる。
1 インボードカップ(筒状部材)、2 内面部、3 口元、4 奥、11 高周波焼入装置(内面移動焼入装置)、Q0 標準入熱量、Q1 第1入熱量、Q2 第2入熱量、V0 標準移動速度、V1 第1移動速度、V2 第2移動速度、W0 標準出力、W1 第1出力、W2 第2出力

Claims (5)

  1. 筒状部材の内面部を内面移動焼入法により高周波焼入する方法であって、
    前記筒状部材の口元から奥まで一定の入熱量で高周波焼入する時の入熱量を標準入熱量に設定して、前記標準入熱量に対して増加させた第1入熱量で前記筒状部材の口元側を焼入する第1焼入ステップと、
    前記標準入熱量に対して減少させた第2入熱量で前記筒状部材の奥側を焼入する第2焼入ステップと、
    を含むことを特徴とする高周波焼入方法。
  2. 前記第1入熱量は、前記第2入熱量の3.5〜4.0倍であることを特徴とする請求項1に記載の高周波焼入方法。
  3. 高周波焼入装置と前記筒状部材との相対移動速度を前記筒状部材の口元から奥まで一定の移動速度で高周波焼入する時の移動速度を標準移動速度に設定して、
    前記第1焼入ステップでは、前記標準移動速度に対して減少させた第1移動速度で前記筒状部材の口元側を焼入して、
    前記第2焼入ステップでは、前記標準移動速度に対して増加させた第2移動速度で前記筒状部材の奥側を焼入することを特徴とする請求項1または2に記載の高周波焼入方法。
  4. 高周波焼入装置の出力を前記筒状部材の口元から奥まで一定の出力で高周波焼入する時の出力を標準出力に設定して、
    前記第1焼入ステップでは、前記標準出力に対して増加させた第1出力で前記筒状部材の口元側を焼入して、
    前記第2焼入ステップでは、前記標準出力に対して減少させた第2出力で前記筒状部材の奥側を焼入することを特徴とする請求項1または2に記載の高周波焼入方法。
  5. 前記筒状部材の口元から前記内面部の被焼入部の軸方向長さの1/3まで焼入が進行した時点で、前記第1焼入ステップから前記第2焼入ステップへ切り換えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高周波焼入方法。
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