JP2011230037A - 残存ガスの回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリンダーに残存する混合ガスを効率良く分離回収することで、より適切な除害処理やリサイクルを行うことが可能な残存ガスの回収方法を提供する。
【解決手段】シリンダーに残存する混合ガスを、分子ふるい作用を有する気体分離膜を備える分離膜モジュールに連続的に供給し、前記混合ガスを分子径の小さなガス成分と分子径の大きなガス成分とに分離した後、前記分子径の小さなガス成分と前記分子径が大きなガス成分とをそれぞれ回収することを特徴とする残存ガスの回収方法を選択する。
【選択図】なし

Description

本発明は、残存ガスの回収方法に関するものである。
現在、半導体分野に用いられる特殊ガスには、モノシラン、モノゲルマン、アルシン、ホスフィン、セレン化水素等の水素化物系ガスを代表として様々なガスが存在する。これらのガスのうち、モノシラン、モノゲルマン、アルシン、ホスフィン、セレン化水素等は、毒性、可燃性が強く、非常に取り扱いが難しいガスである。
特に、水素化物系ガスは、それ自身で高純度ガスとして用いられるが、水素、ヘリウム等のガスで希釈された混合ガスとしても広く用いられている。
ここで、例えば、水素等で希釈された混合ガスは、その混合ガスを使用する設備の直近で水素と特殊ガスとに分離し、特殊ガスのみをガス使用設備に送ることで安全に利用できることが知られている。
一般に、特殊ガスはボンベ(シリンダー)に充填されるが、特殊ガスの種類によっては、希釈されない純ガスよりも希釈混合ガスの方が、特殊ガス自身の充填量が多い場合があることが知られている。
希釈混合ガスが充填された使用済みのシリンダーを返却する場合には、残存ガスとしてシリンダー内に多少のガスを残したまま返却されることが一般的である。この残存ガスを希釈するガスと特殊ガスとに分離して回収することで、高価な特殊ガスを再利用することができるし、残存ガスの処理費用も低減することができる。
一方分離回収しない場合は、シリンダーに残ったまま返却された残存ガスは、全て適切な除害処理を行なった後、大気に放出されている。
残存ガスの処理としては、例えば、国内で生産していないキセノン、クリプトン等のガスは希釈して大気放出されている。モノシラン、モノゲルマン、アルシン、ホスフィン、セレン化水素に代表されるような毒性、可燃性のあるガスも適切な除害処理を行い、希釈して大気放出されている。
ここで、昨今の環境問題の関心の高まりから希少な特殊ガスはリサイクルし、毒性、可燃性の強い特殊ガスは安全に除害処理することが企業の社会的責任として求められている。
例えば、日本国内で生産していないような希少なガスであるキセノン、クリプトンといったこれらの準純ガスの場合には、比較的簡単にその残ガスを回収することができる。ヘリウム等で希釈混合されているガスの場合には、希釈ガスと特殊ガスとに分離処理する手間を考えると、回収が行われていないのが現状である。
モノシラン、モノゲルマンなどの水素化物系のガスの場合も同様な問題がある。また、分離回収をせずに、安全かつ適切に除害処理を行う場合においても、特に水素で希釈混合されたガスの場合には、これらのガスを燃焼除害装置、乾式除害装置等で除害処理を行うと、水素の影響により燃焼熱、反応熱が多く発生し、除害装置の負担になるだけでなく、安全性に不安、コストもかかるといった問題もあった。
シリンダーに残ったまま返却された残存ガスの分離回収しない処理としては、残存ガス放出及び真空引きの作業に要する人手を多幅に減らすために自動化した設備(特許文献1参照)、常温で液化であるガスの残存ガスを放出処理する設備(特許文献2,3参照)などが挙げられる。
また、ガス使用設備にて使用したガスを回収処理する方法としては、この使用したガスを一旦ガスバックなどに貯めて、それを回収処理設備のある場所に輸送し、そこで回収処理する設備及び方法(特許文献4参照)、もしくはガス使用設備の直近にガス回収処理設備を設置し、そこで使用したガスを回収処理する設備及び方法(特許文献4〜7参照)などが挙げられる。
さらに、分離膜を用いた混合ガスを分離する方法としては、ポリイミド膜、ポリアラミド膜、ポリスルホン膜などを用いて水素化物系ガスと水素、ヘリウムなどとに分離する方法(特許文献8〜10参照)などが挙げられる。
特許第3188502号公報 特開平6−201097号公報 特開2007−24300号公報 特許3925365号公報 特開2001−353420号公報 特許4112659号公報 特開2000−325732号公報 特開平7−171330号公報 特開2002−308608号公報 特許2615265号公報
しかしながら、上述した先行技術には、特にシリンダーガスに残ったまま返却された混合ガスの残存ガスを回収する方法については何ら開示されていなかった。
本発明では、シリンダーに残存する混合ガスを効率良く分離回収することで、より適切な除害処理やリサイクルを行うことが可能な残存ガスの回収方法を提供することを目的とする。特に、水素化物ガスが水素やヘリウム等で希釈混合された混合ガスの分離回収を安全かつ簡便に行うことを目的とする。
請求項1に記載の発明は、シリンダーに残存する混合ガスを、分子ふるい作用を有する気体分離膜を備える分離膜モジュールに連続的に供給し、前記混合ガスを分子径の小さなガス成分と分子径の大きなガス成分とに分離した後、前記分子径の小さなガス成分と前記分子径が大きなガス成分とをそれぞれ回収することを特徴とする残存ガスの回収方法である。
請求項2に記載の発明は、シリンダーに残存する混合ガスを、分子ふるい作用を有する気体分離膜を備える分離膜モジュールに供給し、前記混合ガスを分子径の小さなガス成分と分子径の大きなガス成分とに分離した後、前記分子径の小さなガス成分と前記分子径が大きなガス成分とをそれぞれ回収する残存ガスの回収方法であって、
前記分離膜モジュールが、
前記気体分離膜が収納された密閉容器の、当該気体分離膜の未透過側の空間と連通するように設けられた未透過ガス排出口を閉止し、当該気体分離膜の透過側の空間と連通するように設けられた透過ガス排出口を開放した状態で、ガス供給口を開放して前記密閉容器内に分子径が小さなガス成分と分子径が大きなガス成分とが含まれる混合ガスを供給し、充圧する第1の過程と、
前記混合ガスの供給開始から所定時間が経過したとき又は前記密閉容器内が所定の圧力に到達したときに、前記ガス供給口を閉止して前記混合ガスの供給を停止し、当該状態を保持する第2の過程と、
前記保持状態の開始から所定時間が経過したとき又は前記密閉容器内が所定の圧力に到達したときに、前記未透過ガス排出口を開放して当該未透過ガス排出口から前記分子径の大きなガス成分を含む混合ガスを回収する第3の過程と、
前記回収開始から所定時間が経過したとき又は前記密閉容器内が所定の圧力に到達したときに、前記未透過ガス排出口を閉止する第4の過程と、からなる運転サイクルを連続的に繰り返すことを特徴とする残存ガスの回収方法である。
請求項3に記載の発明は、シリンダーに残存する混合ガスを、分子ふるい作用を有する気体分離膜を備える分離膜モジュールに供給し、前記混合ガスを分子径の小さなガス成分と分子径の大きなガス成分とに分離した後、前記分子径の小さなガス成分と前記分子径が大きなガス成分とをそれぞれ回収する残存ガスの回収方法であって、
2以上の前記分離膜モジュールを並列に接続し、
1つの分離膜モジュールを、
前記気体分離膜が収納された密閉容器の、当該気体分離膜の未透過側の空間と連通するように設けられた未透過ガス排出口を閉止し、当該気体分離膜の透過側の空間と連通するように設けられた透過ガス排出口を開放した状態で、ガス供給口を開放して前記密閉容器内に分子径が小さなガス成分と分子径が大きなガス成分とが含まれる混合ガスを供給し、充圧する第1の過程と、
前記混合ガスの供給開始から所定時間が経過したとき又は前記密閉容器内が所定の圧力に到達したときに、前記ガス供給口を閉止して前記混合ガスの供給を停止し、当該状態を保持する第2の過程と、
前記保持状態の開始から所定時間が経過したとき又は前記密閉容器内が所定の圧力に到達したときに、前記未透過ガス排出口を開放して当該未透過ガス排出口から前記分子径の大きなガス成分を含む混合ガスを回収する第3の過程と、
前記回収開始から所定時間が経過したとき又は前記密閉容器内が所定の圧力に到達したときに、前記未透過ガス排出口を閉止する第4の過程と、からなる運転サイクルを連続的に繰り返して運転し、
他の分離膜モジュールを、1つの前記分離膜モジュールの前記運転サイクルに対して所定の間隔ずつずらした運転サイクルでそれぞれ運転することを特徴とする残存ガスの回収方法である。
請求項4に記載の発明は、前記気体分離膜が、シリカ膜、ゼオライト膜、炭素膜のいずれかであることを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の残存ガスの回収方法である。
請求項5に記載の発明は、前記分子径の小さなガス成分が、水素、ヘリウムのいずれか一つ又は2以上の混合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の残存ガスの回収方法である。
請求項6に記載の発明は、前記分子径の大きなガス成分が、アルシン、ホスフィン、セレン化水素、モノシラン、モノゲルマンからなる水素化物系ガス及びキセノン、クリプトンからなる希ガスのうち、いずれか一つ又は2以上の混合物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の残存ガスの回収方法である。
本発明の残存ガスの回収方法によれば、返却されたシリンダーに残存する混合ガスを、効率良く分離回収することができる。これにより、適切な除害処理やリサイクルを簡便に行うことができる。
本発明の第1の実施形態である残存ガスの回収方法に用いる回収装置の一例を示す系統図である。 本発明の第1の実施形態の回収装置に用いる分離膜モジュールの拡大断面図である。 本発明の第2の実施形態である残存ガスの回収方法に用いる回収装置の一例を示す系統図である。 本発明の第2の実施形態の回収装置に用いる分離膜モジュールの拡大断面図である。 本発明の第3の実施形態である残存ガスの回収方法に用いる回収装置の一例を示す系統図である。 本発明の第3の実施形態の回収装置に用いる分離膜モジュールユニットの拡大断面図である。 本発明の実施例1において、残ガス圧力(≒背圧)と各流量挙動および各ガス中のモノシラン(SiH)濃度の関係を示す図である。 本発明の実施例2において、残ガス圧力(≒充填圧)が0.2MPaG時の回分操作におけるタイミングチャートの一例を示す図である。 本発明の実施例2において、残ガス圧力(≒充填圧)が0.05MPaG時の回分操作におけるタイミングチャートの一例を示す図である。
<第1の実施形態>
以下、本発明を適用した第1の実施形態について、図1及び図2を用いて詳細に説明する。
本発明を適用した第1の実施形態である残存ガスの回収方法に用いられる回収装置の一例を図1に示す。なお、この回収装置の例では、分離膜モジュールの一例として炭素膜モジュールが用いられている。また、この炭素膜モジュールでは、気体分離膜として炭素膜が用いられている。
図1に示すように、本実施形態の回収装置31は、分離回収対象となる混合ガスが残存するシリンダー21と、混合ガスを分離する炭素膜モジュール20と、分離されたガス成分を回収する回収設備24,25とを備えて概略構成されている。
具体的には、シリンダー21と炭素膜モジュール20に設けられた供給口3とは、混合ガス供給経路L1によって接続されている。この混合ガス供給経路L1には、減圧弁22と流量計23とが配設されている。これにより、シリンダー21内に残存する混合ガスを、圧力及び流量を制御しながら炭素膜モジュール20に供給可能とされている。
また、炭素膜モジュール20に設けられた透過ガス排出口4と回収設備24とは、透過ガス回収経路L4によって接続されている。これにより、炭素膜モジュール20によって分離された透過ガス成分を回収設備24に回収することができる。
また、炭素膜モジュール20に設けられた未透過ガス排出口5と回収設備25とは、未透過ガス回収経路L2によって接続されている。これにより、炭素膜モジュール20によって分離された未透過ガス成分を回収設備25に回収することができる。
さらに、炭素膜モジュール20に設けられた掃引ガス供給口8は、図示略の掃引ガス供給源と接続されている。これにより、炭素膜モジュール内に掃引ガスを供給可能とされている。
図2に示すように、炭素膜モジュール20は、密閉容器6とこの密閉容器6内に設けられた炭素膜ユニット(気体分離膜)2とから概ね構成されている。
密閉容器6は、中空円筒状であって、内部の空間に炭素膜ユニット2が収納されている。また、密閉容器6の長手方向の一方の端部にはガス供給口3が設けられ、他方の端部には未透過ガス排出口5が設けられている。さらに、その密閉容器6の周面には、密閉容器6の周面には、透過ガス排出口4と掃引ガス供給口8とが設けられている。
炭素膜ユニット2は、気体分離膜である多数本の中空糸状炭素膜2a…と、これら中空糸状炭素膜2a…の両端部をそれぞれ束ねて固定する一対の樹脂壁7とから構成されている。樹脂壁7は、接着剤などを使用して密閉容器6の内壁に密封固着されている。また、一対の樹脂壁7には、中空糸状炭素膜2a…の開口部がそれぞれ形成されている。
密閉容器6内は、一対の樹脂壁7によって第1の空間11、第2の空間12、第3の空間13の3つの空間に分割されている。第1の空間11は、ガス供給口3が設けられた密閉容器6の一方の端部と樹脂壁7との間の空間であり、第2の空間12は密閉容器6の周面と一対の樹脂壁7との間の空間であり、第3の空間13は未透過ガス排出口5が設けられた密閉容器6の他方の端部と樹脂壁7との間の空間である。
また、第1の空間11には圧力計14aが、第2の空間12には圧力計14bが、第3の空間13には圧力計14cがそれぞれ設けられており、内部の圧力を計測可能とされている。
ガス供給口3は、密閉容器6内の第1の空間11と連通するように設けられている。また、ガス供給口3には、開閉バルブ3aが設けられている。そして、開閉バルブ3aを開放することにより、混合ガス供給経路L1からガス供給口3を介して第1の空間11内に混合ガスを供給可能とされている。
未透過ガス排出口5は、密閉容器6内の第3の空間13と連通するように設けられている。また、未透過ガス排出口5には、開閉バルブ5aと背圧弁15とが設けられている。そして、開閉バルブ5aを開放することにより、未透過ガス排出口5を介して第3の空間13から未透過ガス回収経路L2に未透過ガスを排出可能とされている。
透過ガス排出口4及び掃引ガス供給口8は、密閉容器6内の第2の空間12と連通するように設けられている。また、透過ガス排出口4には開閉バルブ4aが、掃引ガス供給口8には開閉バルブ8aがそれぞれ設けられている。そして、開閉バルブ4aを開放することにより、透過ガス排出口4を介して第2の空間12から透過ガス回収経路L4に透過ガスを排出可能とされている。一方、開閉バルブ8aを開放することにより、掃引ガス供給経路L3から掃引ガス供給口8を介して第2の空間12に掃引ガスを供給可能とされている。
中空糸状炭素膜2a・・・の一端は、一方の樹脂壁7に固定されるとともに開口し、他端は他方の樹脂壁7に固定されるとともに開口している。これにより、中空糸状炭素膜2a…が一方の樹脂壁7で固定される部分において、中空糸状炭素膜2a…の一方の開口部は、第1の空間11と通じており、他方の開口部は第3の空間13と通じている。これにより、第1の空間11と第3の空間13とは、中空糸状炭素膜2a・・・の内部空間を介して連通される。これに対して、第1の空間11と第2の空間12とは炭素膜ユニット2を介して連通される。
中空糸状炭素膜2a…は、有機高分子膜を形成した後、焼結することで作製される。例えば、有機高分子であるポリイミドを任意の溶媒に溶かし製膜原液を作製し、また、この製膜原液の溶媒とは混合するがポリイミドに対しては非溶解性の溶媒を用意する。ついで、二重管構造の中空糸紡糸ノズルの周縁部環状口から前記製膜原液を、同紡糸ノズルの中央部円状口から前記溶媒を、それぞれ同時に凝固液中に押し出し、中空糸状に成形し、有機高分子膜を製造する。次に、得られた有機高分子膜を不融化処理後に炭化させて炭素膜とする。
炭素膜は、炭素膜のみで使用されること以外に、多孔質支持体に塗布されたもの、炭素膜以外の気体分離膜に塗布されたものなど、最適な形態を選んで使用される。多孔質支持体には、セラミック系のアルミナ、シリカ、ジルコニア、マグネシア、ゼオライト、金属系のフィルタなどがあげられる。支持体に塗布することは、機械的強度の向上、炭素膜製造の簡素化などの効果がある。
本実施形態では、気体分離膜を定常状態で分離操作を行うときに用いる。これに対して、後述する第2及び第3実施形態のように、PSAのように圧力スイングさせて使用する場合には、圧力スイングに対して良好な安定性を持つ、すなわち機械強度が従来よりも優れていることが気体分離膜に求められる。
したがって、本発明では、一般的な高分子膜の気体分離膜よりは、シリカ膜、ゼオライト膜、炭素膜のような無機膜の気体分離膜を用いることが好ましい。
なお、炭素膜の原料となる有機高分子には、ポリイミド(芳香族ポリイミド)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリアミド(芳香族ポリアミド)、ポリプロピレン、ポリフルフリルアルコール、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、フェノール樹脂、セルロース、リグニン、ポリエーテルイミド、酢酸セルロースなどがあげられる。
以上の炭素膜の原料のうち、ポリイミド(芳香族ポリイミド)、酢酸セルロース、ポリフェニレンオキサイド(PPO)については、中空糸状である炭素膜の成形が容易である。特に高い分離性能を有するのは、ポリイミド(芳香族ポリイミド)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)である。さらには、ポリフェニレンオキサイド(PPO)はポリイミド(芳香族ポリイミド)に比べ安価である。
次に、図1に示す回収装置31を用いた、本実施形態の残存ガスの回収方法について説明する。
本実施形態の残存ガスの回収方法は、シリンダー21に残存する混合ガスを、分子ふるい作用を有する分離膜を備える分離膜モジュールに連続的に供給し、混合ガスを分子径の小さなガス成分と分子径の大きなガス成分とに分離した後、分子径の小さなガス成分と分子径が大きなガス成分とをそれぞれ回収設備24,25に回収する方法である。本実施形態では、分離膜モジュールを、分子ふるい作用を有する炭素膜モジュール20とし、分離対象となる混合ガスを希釈ガスと水素化物系ガスとの混合ガスとした場合について説明する。ここで、分子ふるい作用とは、ガスの分子径と分離膜の細孔径の大きさにより、混合ガスが分子径の小さいガスと分子径の大きいガスとに分離される作用である。
本実施形態の分離回収の対象とするガスは、モノシラン、モノゲルマン、アルシン、ホスフィン、セレン化水素などの水素化物系ガス、あるいはキセノン、クリプトンなどの希ガスに代表されるような特殊ガスのうち、これらが水素やヘリウム等の希釈ガスによって希釈混合された混合ガスである。
ここで、水素やヘリウム等の希釈ガスは、比較的分子径の小さなガス成分であり、モノシラン、モノゲルマン等の水素化物系ガスやキセノン、クリプトン等の希ガスは、比較的分子径の大きなガス成分に分類することができる。
すなわち、分離回収の対象となる混合ガスは、分子径の小さなガス成分と分子径の大きなガス成分との2以上の混合物である。これらの間に分子径の差があればどんなガス成分の組み合わせでも良い。これらの分子径の差が大きければ大きいほど分離操作にかかる処理時間を短くすることができる。
混合ガス中の分子径の小さなガス成分としては、分子径が3Å以下のようなガス成分を用いることが好ましい。これに対して、混合ガス中の分子径の大きなガス成分には、分子径が3Åよりも大きい、好ましくは4Å以上、さらに好ましくは5Å以上のガス成分がよい。
混合ガスは2成分系に限られず、複数のガス成分を混合したものでもよい。各ガス成分を分離膜の透過側、未透過側どちらかに十分に分離するためには、分子径の大きなガス成分群と分子径の小さなガス成分群とに大きく分類されることが好ましい。そして、炭素膜の細孔径が分子径の大きなガス成分群の分子径と分子径の小さなガス成分群の分子径との間にあればよい。なお、炭素膜の細孔径は炭化時の焼成温度を変えることで調整することができる。
また、シリンダー21中に残存する残存ガスは、通常1MPaG以下であることが多い。本実施形態の残存ガスの回収方法では、この残存ガスを炭素膜ユニット2に供給するとともに、炭素膜モジュール20の後段に設置された背圧弁15により適切な分離回収圧力に保持し、炭素膜モジュール20の未透過側と透過側との圧力差をガス成分の分子が移動する駆動源として利用することで分子ふるい作用がなされて、混合ガスの分離を行う。
次に、図2に示す炭素膜モジュール20を用いたガス分離操作について説明する。
具体的には、図2に示すように、先ず、炭素膜の高圧側(未透過側)にあたる未透過ガス排出口5に設けられた開閉バルブ5aを開放し、背圧弁15を調整圧力に設定する。そして、混合ガス供給口3の開閉バルブ3aを開放して、低圧状態から所定の圧力に達するまで混合ガスを炭素膜モジュール20内に供給・充圧する。この際、炭素膜モジュール20の低圧側(透過側)の掃引ガス供給口8の開閉バルブは閉止し、透過ガス排出口4の開放バルブ4aは開放する。これにより、未透過側(第1の空間11)に供給された混合ガスから分子径の小さなガス成分のみを選択・優先的に炭素膜モジュール20の低圧側(第2の空間12)に透過させて透過ガス排出口4より排出することができる。一方、分子径の大きなガス成分を多く含む混合ガスは、未透過ガス排出口5から排出することができる。
ここで、シリンダー21から炭素膜モジュール20に混合ガスを供給していくと、シリンダー21の圧力が低下する。この場合には、必要に応じて炭素膜モジュール20の透過側を真空に引く、もしくは掃引ガス供給口8から掃引ガスを供給することによって、供給側(未透過側)の圧力が大気圧近くになっても効率よく分離回収を行うことができる。
このような炭素膜モジュール20を用いた分離濃縮操作により、分子径の大きなガス成分、例えばモノシラン等の水素化物系ガスやキセノン等の希ガスは分離膜の未透過側に濃縮分離される。一方、分子径の小さなガス成分、例えば水素やヘリウム等の希釈ガス成分は分離膜の透過側から連続的に回収される。
濃縮分離されたモノシランやキセノン等のガス成分は、後段に設置された回収設備25に導入される。そして、ガスの性質に応じて、そのまま容器に回収、冷却して液化回収、圧縮機等を使用したガス回収等によって適切に回収される。
一方、透過側の回収設備24に回収される水素やヘリウム等のガス成分についても同様に、適切な回収方法によって回収される。
なお、回収設備24に回収されたガス、回収設備25に回収されたガスは、それぞれの目的に応じて除害処理やリサイクルが行われる。
以上説明したように、本実施形態の残存ガスの回収方法によれば、返却されたシリンダー21に残存する混合ガスを、効率良く分離回収することができる。これにより、適切な除害処理やリサイクルを簡便に行うことができる。
また、本実施形態では、シリンダー21から炭素膜モジュール20に連続的に残存ガスを供給する構成であるため、非常に簡便な操作によって残存ガスを分離回収することが可能となる。
<第2の実施形態>
次に、本発明を適用した第2の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態の残存ガスの回収方法とは異なる構成となっている。このため、図3、図4を用いて本実施形態の残存ガスの回収方法について説明する。本実施形態の残存ガスの回収に用いる回収装置及び炭素膜モジュールについては、第1の実施形態と同一の構成部分については同じ符号を付すると共に説明を省略する。
図3に示す本実施形態の残存ガスの回収方法に用いる回収装置32は、図1に示す第1の実施形態における回収装置31とは、炭素膜モジュール1を用いる点が異なっている。
また、図4に示すように、本実施形態に用いる炭素膜モジュール1は、第1実施形態における炭素膜モジュール20において、未透過ガス排出口5の後段に設ける背圧弁15に換えて、流量計9を設置する点で異なっている。
ここで、分離膜に係る圧力制御の方法として、第1の実施形態の残存ガスの回収方法のように連続的に膜分離を行う場合には、分離膜の未透過側の出口に背圧弁15等を設置することでそれを行うことが一般的である。
これに対して、本実施形態では、後述するように回分式によるガス分離を行なうため、分離膜の圧力制御のために背圧弁を特に設ける必要がない。図3に示すように、本実施形態の炭素膜モジュール1では、未透過ガス排出口5の開閉バルブ5aを閉じることにより、気体分離膜(炭素膜ユニット2)の圧力制御を行なうことができる。
気体分離膜の未透過側に保持された未透過ガスを取り出す場合、未透過ガス排出口5に流量計9等を設けて、適切な一定流量で未透過ガスを取り出すことが好ましい。未透過ガス排出口5の開閉バルブ5aを一気(一度)に開放して、未透過ガス流量を制御せずに未透過ガスを取り出してしまうと、分離膜に大きな損傷を与える可能性がある。
次に、図3に示す回収装置32を用いた、本実施形態の残存ガスの回収方法について説明する。
本実施形態の残存ガスの回収方法は、シリンダー21から炭素膜モジュール20に連続的に混合ガスを供給する第1の実施形態とは異なる方法によってガス分離を行なうものである。
本実施形態の残存ガスの回収方法では、炭素膜モジュール1について、以下の第1〜第4の過程からなる運転サイクルを連続的に繰り返して運転する。
(第1の過程)
先ず、第1の過程である供給過程では、炭素膜ユニット2が収納された密閉容器6の、第3の空間13(気体分離膜の未透過側の空間)と連通するように設けられた未透過ガス排出口5の開閉バルブ5aを閉止し、第2の空間12(気体分離膜の透過側の空間)と連通するように設けられた透過ガス排出口4の開閉バルブ4aを開放した状態で、ガス供給口3の開閉バルブ3aを開放して混合ガス供給経路L1から密閉容器6内に混合ガスを供給して充圧する。
第1の過程では、ガス供給口3から密閉容器6内へ混合ガスが制御された流量で(例えば一定流量等)供給される。ここで、密閉容器6の未透過側である未透過ガス排出口5が閉止されているため、一定流量で混合ガスを供給すると第1の空間11の圧力(供給圧力)が上昇する。これに連れて、密閉容器6内の炭素膜ユニット2の未透過側である第3の空間13内の圧力(未透過圧力)も上昇する。
一方、密閉容器6の透過側である透過ガス排出口4は開放されているため、第2の空間12の圧力(透過圧力)は変化しない。また、混合ガス中の希釈ガスが炭素膜ユニット2を透過して第2の空間12に移動し、透過ガス排出口4から透過ガス排出経路L4へと排出されるため、透過流量は増加した後に一定となる。
なお、上記供給圧力は圧力計14aで、未透過圧力は圧力計14cで、透過圧力は圧力計14bで、それぞれ計測する。
なお、第1の過程の所要時間(T)は、特に限定されるものではなく、密閉容器6の体積(V)、炭素膜ユニット2の性能(P,S)、混合ガスの供給流量(F)及び充填圧(A)等の各条件に応じて適宜選択することができる。
ここで、密閉容器の6の体積(V)が大きくなると密閉容器6に供給する混合ガス量が増え、かつ、混合ガスの供給流量が変わらなければ、第1の過程の所要時間が長くなる。また、供給する混合ガス量が増えるため、分離後の回収量が増加する。
充填圧(A)が高くなると、密閉容器6に供給される混合ガス量が増え、かつ、混合ガスの供給流量が変わらなければ、第1の過程の所要時間は長くなる。また、供給する混合ガス量が増えるため、分離後の回収量が増加する。但し、充填圧が高すぎると炭素膜ユニット2に破損等のダメージを与える恐れがあるため、充填圧は1MPaG以下であることが好ましい。さらに、本発明の分離対象物である水素化物ガスの場合には、あまり圧力を上げないことが安全面に関して好ましいため、0.5MPaG以下とすることがより好ましく、0.2MPaG以下とすることがさらに好ましい。
炭素膜ユニット2の性能(透過成分の透過速度)(P)は、炭素膜ユニット2を構成する炭素膜2aを通過する成分の透過速度を表す。例えば透過成分が水素の場合には、水素の透過速度が大きければ所要時間が長くなる。これは、充圧と同時に水素が抜けていくためである。
炭素膜ユニット2の性能(分離性能)(S)は、炭素膜ユニット2を構成する炭素膜を透過する成分と透過しない成分(残留成分)とに分離する性能を表す。例えば透過成分が水素、残留成分がモノシランの場合には、水素とモノシランとに対する分離性能が大きければ所要時間は短くなる。これは、モノシランが炭素膜ユニット2を構成する炭素膜を透過せずに残留するため、すなわちモノシランの透過速度が小さいことになるため、それだけ早く充圧されることによる。
また、供給流量(F)が大きければ所要時間は短くなるが、炭素膜ユニット2に破損等のダメージを与える恐れがあるため、線速度:10cm/sec以下で供給することが好ましく、線速度:1cm/sec以下とすることがより好ましい。但し、炭素膜2aに対してガス流れが直接当たらないように抵抗板や拡散板などを導入した場合には、この限りではない。
以上説明した各条件から第1の過程の所要時間(T)は下記式(1)のように関係づけられる。
∝(V×A×P)/(S×F) ・・・(1)
例えば、後述する実施例に示した膜面積1114cm(膜性能:水素の透過速度=5×10−5cm(STP)/cm/sec/cmHg、(水素/モノシランの分離係数)=約5000)の炭素膜ユニットが十分に密に備わった密閉容器の場合であれば、モノシラン10%、水素90%の混合ガスを流量150sccmで供給した場合には、約7分間で充填値が0.2MPaGに達することとなる。
(第2の過程)
次に、第2の過程である分離過程では、混合ガスの供給開始から所定時間が経過したとき又は密閉容器6内の圧力(供給圧力あるいは未透過圧力)が所定の圧力に到達したときに、ガス供給口3の開閉バルブ3aを閉止して混合ガスの供給を停止し、この状態を保持する。
これにより、炭素膜ユニット2の未透過側(第1及び第3の空間11,13)に供給された混合ガスから、分子径の小さなガス成分である希釈ガスのみを選択的・優先的に分離膜の低圧側(第2の空間12)に透過させるとともに、分子径の大きなガス成分である水素化物系ガスを未透過側に残留させることが可能となる。
第2の過程では、ガス供給口3から密閉容器6内への混合ガスの供給が停止されるため、供給流量は0となる。このとき、密閉容器6の未透過側であるガス供給口3及び未透過ガス排出口5の開閉バルブ3a,5aを閉止しているが、混合ガス中の希釈ガスが炭素膜ユニット2を透過して透過ガス排出口4から透過ガス排出経路L4へと排出されるため、供給圧力及び未透過圧力が徐々に低下する。
一方、密閉容器6の透過側である透過ガス排出口4は開放されており、第2の空間12の圧力(透過圧力)には変化がない。しかしながら、透過ガス排出口4から透過ガス排出経路L4へと排出される希釈ガスの透過流量は徐々に減少する。
なお、第2の過程の所要時間(T)は、特に限定されるものではなく、密閉容器6の体積(V)、充填圧(A)、分離終了の所定の圧力(排出圧ともいう、B)、炭素膜ユニット2の性能(P,S)及び供給ガスの組成(Z)に応じて適宜選択することができる。
ここで、密閉容器の6の体積(V)、充填圧(A)、炭素膜ユニット2の性能(分離性能)(S)については、第1の過程で説明した通りである。
炭素膜ユニット2の性能(透過成分の透過速度)(P)は、例えば透過成分が水素の場合には、透過速度が大きければ所要時間が短くなる。これは、水素が早く抜けていくためである。
排出圧(B)が高ければ第2の過程の所要時間が短くなる。但し、理想的な排出圧に比べて高い圧力であると十分に分離されず、回収ガスの純度が高純度なもの又は高濃度に濃縮されたものにはならない。
供給ガスの組成(Z)はガス組成を表す指標で、透過ガス成分量/残留ガス成分量である。この指標(Z)が大きい場合には、透過ガス成分の分圧が小さいため、排出圧(B)が小さくなる。
以上説明した各条件から第2の過程の所要時間(T)は下記式(2)のように関係づけられる。
∝(V×A)/(B×P×S) ・・・(2)
さらに、排出圧(B)は、下記式(3)のように関係づけられる。
排出圧(B)∝1/(F×Z) ・・・(3)
ここで、混合ガスの供給流量(F)が大きければ、排出圧(B)が小さくなる。これは、混合ガスの供給流量(F)が大きければ、より早く充填圧に達するため第1の過程で分離される割合が小さくなり、第2の過程でほとんどが分離されることを意味する。
一方、混合ガスの供給流量(F)が小さければ、排出圧(B)が大きくなる。これは混合ガスの供給流量(F)が小さいことで、第1の過程で十分に分離されるとともに、残留ガス成分でほぼ充填圧に達するので、充填圧(A)と排出圧(B)との差が小さくなることを意味する。
例えば、後述する実施例に示した膜面積1114cm(膜性能:水素の透過速度=5×10−5cm(STP)/cm/sec/cmHg、(水素/モノシランの分離係数)=約5000)の炭素膜ユニットが十分に密に備わった密閉容器に、充圧値0.2MPaGでモノシラン10%、水素90%の混合ガスが充圧された場合には、約5分間で排出圧0.12MPaGに達することとなる。
(第3の過程)
次に、第3の過程である排出過程では、保持状態の開始から所定時間が経過したとき又は密閉容器6内(すなわち未透過側である第1の空間11及び第3の空間13)が所定の圧力に到達したときに、未透過ガス排出口5の開閉バルブ5aを開放して当該未透過ガス排出口5から水素化物系ガスを含む混合ガスを排出して回収する。
これにより、炭素膜モジュール1に供給した混合ガス中の水素化物系ガス濃度よりも濃縮された(高純度化された)水素化物系ガスを含む混合ガスが得られることになる。
ここで、密閉容器6内(すなわち未透過側である第1の空間11及び第3の空間13)が所定の圧力に到達したときとは、高圧側である供給圧力及び未透過圧力の低下が止まったことを示す。すなわち、高圧側に供給された混合ガスのうち、希釈ガスが全て炭素膜2aを透過して濃縮された水素化物系ガスを含む混合ガスのみが高圧側に保持されたことを示す。
したがって、第3の過程において、密閉容器6内の未透過側の圧力の低下が停止したときに、分子径が小さなガス成分の分離が完了したと判断することができる。
第3の過程では、未透過ガス排出口5の開閉バルブ5aの開放と同時に、未透過ガスの流量が上昇する。それと同時に、未透過側の空間である第1及び第3の空間11,13の供給圧力及び未透過圧力が徐々に減少する。
一方、第2の空間12の圧力(透過圧力)には変化がなく、透過ガス排出口4からの希釈ガスの透過流量の値は非常に小さい。
なお、第3の過程の所要時間(T)は、特に限定されるものではなく、密閉容器6の体積(V)、排出圧(B)及び排出ガスの流量(排出流量ともいう、G)に応じて適宜選択することができる。
ここで、密閉容器6の体積(V)については第1の過程で説明した通りである。
排出圧(B)が高ければ第3の過程の所要時間が長くなる。これは、残留ガス成分量が増えているためである。
排出流量(G)が大きければ第3の過程の所要時間が短くなるが炭素膜ユニット2に破損等のダメージを与える恐れがある。そのため、線速度:10cm/sec以下で供給することが好ましく、線速度:1cm/sec以下とすることがより好ましい。但し、炭素膜2aに対してガス流れが直接当たらないように抵抗板や拡散板などを導入した場合には、この限りではない。
以上説明した各条件から第3の過程の所要時間(T)を表現すると、下記式(4)のように関係づけられる。
∝(V×B)/(G) ・・・(4)
例えば、後述する実施例に示した膜面積1114cm(膜性能:水素の透過速度=5×10−5cm(STP)/cm/sec/cmHg、(水素/モノシランの分離係数)=約5000)の炭素膜ユニットが十分に密に備わった密閉容器に、排出圧0.12MPaGから約100sccmで排出する場合には、約2分間で0MPaGに達することとなる。
(第4の過程)
次に、水素化物系ガスを含む混合ガスの回収開始から所定時間が経過したとき又は密閉容器6内(すなわち未透過側である第1の空間11及び第3の空間13)が所定の圧力に到達したときに、未透過ガス排出口5の開閉バルブ5aを閉止する。これにより、第1の過程の開始直前の状態に戻ることとなる。
なお、本発明の気体分離装置の運転方法における運転サイクルの所要時間(T)を、上述した各過程の所要時間によって表現すると下記式(5)のように表すことができる。
T=T+T+T ・・・(5)
本実施形態の残存ガスの回収方法では、炭素膜モジュール1を、このような第1〜第4の過程の分離操作(以下、「回分操作」という)からなる運転サイクルを連続的に繰り返す(このような方式を「回分式」という)ことを特徴としている。
このような回分操作により、分子径の大きな水素化物系ガスは、第1及び第2の過程において炭素膜ユニット2の高圧側(炭素膜の未透過側)に濃縮分離され、第3の過程で回収される。一方、分子径の小さな水素、ヘリウム等の希釈ガスは、炭素膜ユニット2の低圧側(炭素膜の透過側)から第1〜第4の過程において連続的に回収される。
ところで、上述の第1の実施形態の残存ガスの回収方法において、例えば、分離膜である炭素膜に分子径の小さな水素90%、分子径の大きなモノシラン10%の混合ガスを連続的に供給した場合(連続式のガス分離方法)、透過側では水素がほぼ100%となり、未透過側ではモノシランが約60%(水素40%)の分離性能であった。
これに対して、回分式のガス分離方法を用いた本実施形態の残存ガスの回収方法によれば、透過側において水素がほぼ100%、未透過側においてモノシランが約90%以上(水素10%以下)の分離性能で分離操作を行うことができる。
以上説明したように、本実施形態の残存ガスの回収方法によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、回分式のガス分離方法を用いた構成となっているため、第1の実施形態よりも少ない膜面積で十分な分離性能を持って操作を行うことが可能となる。
<第3の実施形態>
次に、本発明を適用した第3の実施形態について説明する。本実施形態では、第1及び第2の実施形態の残存ガスの回収方法とは一部が異なる構成となっている。本実施形態の残存ガスの回収に用いる回収装置及び炭素膜モジュールについては、第1及び第2の実施形態と同一の構成部分については同じ符号を付すると共に説明を省略する。
第1及び第2の実施形態の回収装置31、32が炭素膜モジュールを単独で使用しているのに対して、本実施形態の残存ガスの回収方法に用いる回収装置33は、図5に示すように2つの炭素膜モジュール1A,1Bからなる炭素膜モジュールユニット10を用いる点で異なっている。また、第1及び第2の実施形態の回収装置31、32がシリンダー21を一つ接続しているのに対して、第3の実施形態の回収装置33は2つ接続している点で異なっている。
図6に示すように、本実施形態に用いる炭素膜モジュールは、2つの炭素膜モジュール1A、1Bが経路L1〜L4から分岐された経路L1A〜L4A及び経路L1B〜L4Bによって並列に接続された炭素膜モジュールユニット10を構成している。
次に、上述の炭素膜モジュールユニット10を備えた回収装置33を用いた、本実施形態の残存ガスの回収方法について説明する。
本実施形態の残存ガスの回収方法では、先ず、並列に接続された炭素膜モジュールのうち、例えば炭素膜モジュール1Aについて、上述の第2実施形態において説明した第1〜第4の過程からなる運転サイクルを連続的に繰り返して運転する。
次に、並列に接続された他方の炭素膜モジュール1Bを、一方の炭素膜モジュール1Aの運転サイクルに対して所定の間隔だけずらした同一の運転サイクルで運転する。
具体的には、2つの炭素膜モジュールを並列に接続する場合には、炭素膜モジュール1Bの運転サイクルの位相を炭素膜モジュール1Aに対して1/2周期ずらすことが好ましい。
さらに、2つの炭素膜モジュールを並列に接続し、運転サイクルを1/2周期ずらして運転する場合には、上記式(5)において、T=1/2T、すなわち、T=T+Tの関係とすることが好ましい。
なお、シリンダー21Aから先に炭素膜モジュールユニット10に混合ガスを供給し、このシリンダー21Aの残圧が少なくなったら、シリンダー21Bへと切り替えることにより、混合ガスを連続的に炭素膜モジュールユニット10へと供給することができる。また、回収が完了したシリンダー21Aを取り外して、次のシリンダーを取り付けることができる。
以上説明したように、本実施形態の残存ガスの回収方法によれば、上述した第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、2つの炭素膜モジュールを並列に接続した炭素膜モジュールユニットを用いた構成となっているため、回収装置33全体として連続的な分離操作を行うことが可能となる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上述の第3実施形態の回収装置33では、2つの炭素膜モジュールを並列に接続しているが、特に限定されるもではなく、3つ以上の炭素膜モジュールを並列に接続してもよい。また、2つ以上の炭素膜モジュールを直列に接続して中ユニットを形成し、これを2以上並列に接続した形態としてもよい。
複数の炭素膜モジュールを並列に接続して、回分式により連続的な分離操作を行う際には、1サイクルの所要時間(T)を第1の過程の所要時間(T)で徐した値以上の整数値(N)が必要な分離膜モジュールの数である。
N≧T/T ・・・(6)
複数の炭素膜モジュールを並列に接続して、回分式により連続的な分離操作を行う際には、T=1/2Tにできない場合もある。
この場合、第3の過程の所要時間(T)は、未透過ガス排出口から混合ガスを回収する過程に必要な時間に、気体分離膜装置が回分方式により連続的な分離操作を行えるための調整時間を加えることによる。
前記調整時間は以下のようにして決定する。
例えば、T=3、T=20、T=5、T=28の場合、式(6)よりN≧9.333・・・であり、炭素膜モジュール数は10となる。
1番目の炭素膜モジュールで第1の過程が終了すると、順次、2番目、3番目・・・の炭素膜モジュールで第1の過程が開始する。最後の10番目の炭素膜モジュールで第1の過程が開始して1分後に、1番目の炭素膜モジュールの1サイクルが終了する。ここで、10番目の炭素膜モジュールはまだ第1の過程の途中なので、1番目の炭素膜モジュールのTに調整時間(待機時間)を2分設けることで、気体分離膜装置が回分方式により連続的な分離操作が行える。
2番目以降の炭素膜モジュールも1番目の炭素膜モジュールと同様に調整時間を加味する。
希釈混合ガスが充填された使用済みのシリンダーを返却する場合には、残ガスとしてシリンダー内に多少のガスを残したまま返却されることが一般的である。返却されたときのシリンダー圧力(残存ガス圧力)は、希釈混合ガスの使用用途、希釈ガス、希釈されるガス種類によってまちまちである。高くても1MPaG、通常0.5MPaG程度の残ガス圧力であることが一般である。
本実施形態の残存ガスの回収方法は、残存ガス圧力そのものが分離膜にて分離するための操作圧力となる。このため、残存ガス圧力が高い時には非常に効率よく分離すること、優れた分離性能で分離することが可能である。しかし、残存ガス圧力が低下してくると効率よく分離することができにくくなり、分離性能の低下をもたらす。
残存ガス圧力の観点から連続式のガス分離方法と回分式のガス分離方法とを比較すれば、後者より前者のほうが残存ガス圧力の影響を大きく受ける。後者にも少なからず影響があるが、全行程に対して第2の工程が占める割合を大きくする(第2の工程の所要時間をある程度長くなるようにする)ことで、分離性能を維持することができる。
前者は大きく影響を受けるものの、流量計9を使って、背圧の低下に応じて供給ガス(未透過ガス)流量を減少させることで、分離性能をなるだけ維持するようにすることは可能である。
本発明の残存ガスの回収方法において、炭素膜モジュールの上記分離操作を行う温度(操作温度)は特に限定されるものではなく、分離膜の分離性能に応じて適宜設定することが可能である。ここでいう操作温度は、分離膜モジュールの周辺操作を想定しており、−20℃〜120℃の温度範囲が適切とされる。操作温度を高くすると、透過流量を増大させることができるとともに、回分操作の処理時間を短くすることも可能となる。
本発明の残存ガスの回収方法において、(炭素膜ユニットの高圧側の)圧力(操作圧力)は特に限定されるものではなく、分離膜の分離性能に応じて適宜設定することが可能である。具体的には、炭素膜モジュールへ供給されるガスの圧力は、支持体を使用すれば1MPaG以上に設定することが可能であり、通常は0.5MPaG程度の圧力が保持される。この支持体は炭素膜が圧壊しないようにする部材である。操作圧力を高くすれば透過流量を増大させることができ、回分操作の処理時間を短くすることも可能となる。
また、上述の第2及び第3の実施形態では、図4に示す炭素膜モジュール1において、炭素膜ユニット2の低圧側(透過側)である第2の空間12は、真空に引くことが好ましい。第2の空間12を真空に引くことは、炭素膜ユニット2の高圧側(未透過側)と炭素膜ユニット2の低圧側(透過側)との圧力差を大きくする効果もあるが、炭素膜ユニット2の高圧側(未透過側)と分離膜ユニット2の低圧側(透過側)との圧力比を特に大きくすることができる。なお、分離膜による分離性能には、圧力差、圧力比、どちらも大きいことが好ましいが、分離性能に対しては圧力比のほうが影響を与える。
また、図4に示す炭素膜モジュール1において、炭素膜ユニット2の低圧側(透過側)に掃引ガスを流すことも、真空に引くのと同様な効果が得られる。掃引ガス供給口8の開閉バルブを開放して、第2の空間12内に掃引ガスを所定の流量で供給する。
なお、掃引ガスは、透過ガスと同じ成分(すなわち、混合ガスの希釈成分)とすることで透過側のガスも効率良く回収することができる。また、掃引ガスとして、透過ガス排出口4から回収した透過したガスの一部を利用してもよい。
本発明の残存ガスの回収方法において、混合ガスの炭素膜モジュール1,20への供給形態としては、例えば上記のような中空糸状の場合には、中空糸状の分離膜の中に高圧のガスを供給する場合(芯側供給)と、中空糸状の分離膜の周りに高圧のガスを供給する場合(外側供給)の二通りのパターンが考えられるが、図2及び図4に示すように芯側供給の方が分離性能を向上させて運転することができるために好ましい。
本発明の残存ガスの回収方法において、1つの炭素膜モジュール1あたりのガス処理量を増やすためには膜面積を増やす(中空糸状の炭素膜の場合には本数を増やす)、第2の空間12の容積を減らす等方法がある。後者の場合、ガスと分離膜とを十分に接触させるために、空間内の構造を工夫したりミキサーを加えたりする必要がある。
以下、具体例を示す。ただし、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
図2に示す分離膜モジュールを用いて、残存ガスの回収(連続式のガス分離)を行なった。
下記のような条件で分離膜モジュールに混合ガスを連続的に供給した。また、未透過側及び透過側のガス組成をそれぞれ測定した。なお、体積濃度測定は、熱伝導度検出器を備えるガスクロマトグラフィー(GC−TCD)を使用した。結果を表1に示す。
(分離膜モジュール)
・中空糸状炭素膜チューブ
・前記チューブの総表面積:1114cm
・25℃に保持
(混合ガス)
・混合ガス組成:モノシラン 10.3体積%
:水素 89.7体積%
(操作条件)
・供給ガス流量:前記混合ガスを約150sccm
・残存ガス初期圧力:0.2MPaG
・透過側圧力:−0.088MPaG(真空ポンプやバキュームジェネレータ−等を利用)
・背圧弁:残存ガス圧力に応じてその圧力と同等もしくはそれよりは若干低い値に設定。
図7に示すように、残存ガス圧力が十分にある初期(0.2MPaG)の時は、未透過ガス中のモノシラン(SiH)濃度を約60vol.%まで濃縮できた。一方、残存ガス圧力が0.05MPaGの時は、未透過ガス中のモノシラン(SiH)濃度は30vol.%の濃縮となった。
(実施例2)
図4に示す分離膜モジュールを用いて、残存ガスの回収(回分式のガス分離)を行なった。
下記のような条件で分離膜モジュールに混合ガスを回分式で供給して、3サイクル行った。その結果、残存ガス圧力(充填圧)0.2MPaGの場合、排出圧0.12MPaGとなり、1サイクルの所要時間の内訳は、第1の過程(供給過程)約7分間、第2の過程(分離過程)約5分間、第3の過程(排出過程)約2分間となった。
また、残存ガス圧力(充填圧)0.05MPaGの場合、排出圧0.02MPaGとなり、1サイクルの所要時間としては、第1の過程(供給過程)約2分間、第2の過程(分離過程)約5分間、第3の過程(排出過程)約1分間となった。
また、未透過側及び透過側のガス組成をそれぞれ測定した。なお、体積濃度測定は、熱伝導度検出器を備えるガスクロマトグラフィー(GC−TCD)を使用した。結果を表1に示す。
(分離膜モジュール)
・中空糸状炭素膜チューブ
・前記チューブの総表面積:1114cm
・25℃に保持
(混合ガス)
・混合ガス組成:モノシラン 10.3体積%
:水素 89.7体積%
(操作条件)
・供給ガス流量:前記混合ガスを約150sccm
・残ガス初期圧力:0.2MPaG
・透過側圧力:−0.088MPaG(真空ポンプやバキュームジェネレータ−等を利用)
・背圧弁:残存ガス圧力に応じてその圧力と同等もしくはそれよりは若干低い値に設定。
・排出ガス流量:約100sccmもしくはそれ以下
図8に示すように、残存ガス圧力が十分にある初期(0.2MPaG)の時は、未透過ガス中のモノシラン(SiH)濃度を約87.5vol.%まで濃縮できた。一方、図9に示すように、残存ガス圧力がほぼ0である(0.05MPaG)時は、未透過ガス中のモノシラン(SiH)濃度は78.6vol.%の濃縮となった。
全所要時間は、残存ガス圧力0.2MPaGの時は14分間、残存ガス圧力0.05MPaGの時は8分間であった。
回収量は、残存ガス圧力が0.2MPaGの時は91.7cc、残存ガス圧力が0.05MPaGの時は22ccであった。
Figure 2011230037
表1に示すように、実施例1と実施例2とを比較する。回分式のガス分離を行なった実施例2では、連続式のガス分離を行なった実施例1よりも未透過ガス組成中のモノシラン濃度を大きく向上させることができた。
また、特にシリンダー残圧が低下した場合でも、実施例2の回分式であれば、未透過ガス組成中のモノシラン濃度を大きく高めることができた。
一方、総排出流量(モノシラン量としては総排出量×未透過ガス中モノシラン濃度)が実施例2の場合は少ない。総排出量を維持したい場合は、分離膜モジュールを複数並列接続して分離回収を行えばよい。時間はかかるが回分式のガス分離を連続的に行うことで総排出量を維持することが可能である。
本発明は、少ない膜面積、少ない分離膜モジュール数でも高い気体分離性能を発揮してガス分離を行うことが可能な気体分離装置の運転方法に関するものである。特に、分子径の大きなガス成分と分子径の小さなガス成分(水素、ヘリウム等)を分離する場合に非常に利用可能性がある。
1(1A,1B),20…炭素膜モジュール(分離膜モジュール)
2…炭素膜ユニット(分離膜ユニット)
2a…中空糸状炭素膜(気体分離膜)
3…ガス供給口
3a…開閉バルブ
4…透過ガス排出口
4a…開閉バルブ
5…未透過ガス排出口
5a…開閉バルブ
6…密閉容器
7…樹脂壁
8…掃引ガス供給口
8a…開閉バルブ
9…流量計
10…炭素膜モジュールユニット
11…第1の空間
12…第2の空間
13…第3の空間
14a,14b,14c…圧力計
15…背圧弁(減圧弁)
31,32,33…回収装置

Claims (6)

  1. シリンダーに残存する混合ガスを、分子ふるい作用を有する気体分離膜を備える分離膜モジュールに連続的に供給し、前記混合ガスを分子径の小さなガス成分と分子径の大きなガス成分とに分離した後、前記分子径の小さなガス成分と前記分子径が大きなガス成分とをそれぞれ回収することを特徴とする残存ガスの回収方法。
  2. シリンダーに残存する混合ガスを、分子ふるい作用を有する気体分離膜を備える分離膜モジュールに供給し、前記混合ガスを分子径の小さなガス成分と分子径の大きなガス成分とに分離した後、前記分子径の小さなガス成分と前記分子径が大きなガス成分とをそれぞれ回収する残存ガスの回収方法であって、
    前記分離膜モジュールが、
    前記気体分離膜が収納された密閉容器の、当該気体分離膜の未透過側の空間と連通するように設けられた未透過ガス排出口を閉止し、当該気体分離膜の透過側の空間と連通するように設けられた透過ガス排出口を開放した状態で、ガス供給口を開放して前記密閉容器内に分子径が小さなガス成分と分子径が大きなガス成分とが含まれる混合ガスを供給し、充圧する第1の過程と、
    前記混合ガスの供給開始から所定時間が経過したとき又は前記密閉容器内が所定の圧力に到達したときに、前記ガス供給口を閉止して前記混合ガスの供給を停止し、当該状態を保持する第2の過程と、
    前記保持状態の開始から所定時間が経過したとき又は前記密閉容器内が所定の圧力に到達したときに、前記未透過ガス排出口を開放して当該未透過ガス排出口から前記分子径の大きなガス成分を含む混合ガスを回収する第3の過程と、
    前記回収開始から所定時間が経過したとき又は前記密閉容器内が所定の圧力に到達したときに、前記未透過ガス排出口を閉止する第4の過程と、からなる運転サイクルを連続的に繰り返すことを特徴とする残存ガスの回収方法。
  3. シリンダーに残存する混合ガスを、分子ふるい作用を有する気体分離膜を備える分離膜モジュールに供給し、前記混合ガスを分子径の小さなガス成分と分子径の大きなガス成分とに分離した後、前記分子径の小さなガス成分と前記分子径が大きなガス成分とをそれぞれ回収する残存ガスの回収方法であって、
    2以上の前記分離膜モジュールを並列に接続し、
    1つの分離膜モジュールを、
    前記気体分離膜が収納された密閉容器の、当該気体分離膜の未透過側の空間と連通するように設けられた未透過ガス排出口を閉止し、当該気体分離膜の透過側の空間と連通するように設けられた透過ガス排出口を開放した状態で、ガス供給口を開放して前記密閉容器内に分子径が小さなガス成分と分子径が大きなガス成分とが含まれる混合ガスを供給し、充圧する第1の過程と、
    前記混合ガスの供給開始から所定時間が経過したとき又は前記密閉容器内が所定の圧力に到達したときに、前記ガス供給口を閉止して前記混合ガスの供給を停止し、当該状態を保持する第2の過程と、
    前記保持状態の開始から所定時間が経過したとき又は前記密閉容器内が所定の圧力に到達したときに、前記未透過ガス排出口を開放して当該未透過ガス排出口から前記分子径の大きなガス成分を含む混合ガスを回収する第3の過程と、
    前記回収開始から所定時間が経過したとき又は前記密閉容器内が所定の圧力に到達したときに、前記未透過ガス排出口を閉止する第4の過程と、からなる運転サイクルを連続的に繰り返して運転し、
    他の分離膜モジュールを、1つの前記分離膜モジュールの前記運転サイクルに対して所定の間隔ずつずらした運転サイクルでそれぞれ運転することを特徴とする残存ガスの回収方法。
  4. 前記気体分離膜が、シリカ膜、ゼオライト膜、炭素膜のいずれかであることを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の残存ガスの回収方法。
  5. 前記分子径の小さなガス成分が、水素、ヘリウムのいずれか一つ又は2以上の混合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の残存ガスの回収方法。
  6. 前記分子径の大きなガス成分が、アルシン、ホスフィン、セレン化水素、モノシラン、モノゲルマンからなる水素化物系ガス及びキセノン、クリプトンからなる希ガスのうち、いずれか一つ又は2以上の混合物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の残存ガスの回収方法。
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