JP2011216892A - ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低熱膨張性、優れた耐熱衝撃性、及び優れた難燃性を有すると共に、高温、多湿の環境下においても高い壁間絶縁信頼性を有し、高密度、高多層成形が可能なガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートと、これを用いた積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を提供する。
【解決手段】ガラス繊維織布と、絶縁樹脂組成物とからなるガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートであって、たて糸中に存在する空隙の個数がたて糸10万本あたり0.1個以上10個以下であるガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートであること。
【選択図】なし
Description
本発明は、ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置に関するものである。
多層プリント配線板のコア材やビルドアップ層に用いられる基材入り絶縁樹脂シートは、ガラスクロスやガラス不織布などの基材にエポキシ樹脂などからなる樹脂ワニスを含浸、加熱乾燥させ、樹脂を半硬化させる方法(例えば、特許文献1参照。)、基材の両面に絶縁樹脂層、さらにその外側に銅箔やPETフィルムなどからなるキャリアフィルムを配置し、これを加熱、加圧して基材に樹脂を含浸させる方法(例えば、特許文献2参照。)、キャリアフィルムに樹脂ワニスを塗工し、その上に基材を配置した後、再度樹脂ワニスを塗工する方法などにより作製される(例えば、特許文献3参照。)。
前記の基材入り絶縁樹脂層を多層プリント配線板のコア材として用いる場合には、基材入り絶縁樹脂シートを1枚ないし複数枚を重ね合わせ、この少なくとも一方の面に銅箔などを配置して加熱、加圧することによって、銅張積層板を作製する。さらに、銅張積層板をエッチングなどによって内層回路パターンを形成して内層回路基板を作製し、この内層回路基板の少なくとも一方の面に基材入り絶縁樹脂シートを1枚ないし複数枚と銅箔などを重ね合わせて加熱、加圧しすることで、多層プリント配線板を作製する。
前記の銅張積層板をドリルやレーザー加工によってスルーホールを形成しメッキや導電性充填材などによって層間回路を電気的に接続、またエッチングなどによって回路パターンを形成することによって内層回路基板を作製する。
また、前記の基材入り絶縁樹脂シートを多層プリント配線板のビルドアップ層に用いる場合、前記内層回路基板の少なくとも一方の面に基材入り絶縁樹脂シートと銅箔やPETフィルムなどからなるキャリアフィルムを配置し、これを加熱、加圧後、レーザー加工によってビアを形成し、アディティブ法やサブトラ法などによって回路パターンの形成や電気的に層間接続することによって、ビルドアップ法による多層プリント配線板を作製する。
近年の電子部品・電子機器等の小型化・薄膜化等に伴って、これらに用いられる多層プリント配線板等はさらなる小型化・薄膜化が要求されている。このような要求に対応するために、多層プリント配線板を構成する絶縁樹脂層の薄膜化や、回路幅及び回路間の狭ピッチ化も検討されているが、多層プリント配線板を小型化・薄膜化した場合に、基板の反り低減や耐衝撃性、及び絶縁信頼性を満たすことは困難であった。
本発明は、冷熱サイクル試験等の熱衝撃試験により、導体回路層の剥離やクラックが発生しない低熱膨張性や耐衝撃性、また、難燃性を有すると共に、高温、多湿の環境下においても高い壁間絶縁信頼性を有し、高密度、高多層成形が可能なガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートと、これを用いた積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を提供するものである。
このような目的は、下記(1)〜(12)に記載の本発明により達成される。
(1)たて糸とよこ糸から構成されるガラス繊維織布と、絶縁樹脂組成物とからなるガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートにおいて、前記ガラス繊維織布をたて糸と垂直方向に任意に切断した時のたて糸中に存在する空隙の個数が、たて糸10万本あたり0.1個以上10個以下であることを特徴とするガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
(2)前記たて糸中に存在する空隙は、ほぼ円柱状であって、各々の空隙の最大直径が、0.01μm以上1.2μm以下である(1)に記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
(3)前記たて糸中に存在する空隙のたて糸方向の長さが200mm以下である(1)または(2)に記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
(4)前記ガラス繊維織布を構成するガラス繊維の線膨張係数が1ppm/℃以上10ppm/℃以下である(1)ないし(3)のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
(5)前記ガラス繊維織布の厚さが10μm以上100μm以下、質量が10g/m2以上110g/m2以下である(1)ないし(4)のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
(6)前記ガラス繊維織布のガラスの軟化点が800℃以上1800℃以下である(1)ないし(5)のいずれかに記載のガラス基材入り絶縁樹脂シート。
(7)前記ガラス繊維織布は、ガラス中に少なくとも、50重量%以上75重量%以下のSiO2、5重量%以上30重量%以下のAl2O3、及び20重量%以下のMgOを含むものである(1)ないし(6)のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
(8)前記ガラス繊維織布は、ガラス中に少なくとも、0.1重量%以上2重量%以下のTiO2を含むものである(1)ないし(7)のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
(9)前記絶縁樹脂組成物は、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、及びアリールアルキレン型エポキシ樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む(1)ないし(8)のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
(10)(1)ないし(9)のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを1枚以上重ね合わせ、前記ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートの少なくとも一方の外側の面に銅箔を配置して加熱加圧成形してなる積層板。
(11)(1)ないし(9)のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート及び/または(10)に記載の積層板を用いてなる多層プリント配線板。
(12)(11)に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
(1)たて糸とよこ糸から構成されるガラス繊維織布と、絶縁樹脂組成物とからなるガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートにおいて、前記ガラス繊維織布をたて糸と垂直方向に任意に切断した時のたて糸中に存在する空隙の個数が、たて糸10万本あたり0.1個以上10個以下であることを特徴とするガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
(2)前記たて糸中に存在する空隙は、ほぼ円柱状であって、各々の空隙の最大直径が、0.01μm以上1.2μm以下である(1)に記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
(3)前記たて糸中に存在する空隙のたて糸方向の長さが200mm以下である(1)または(2)に記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
(4)前記ガラス繊維織布を構成するガラス繊維の線膨張係数が1ppm/℃以上10ppm/℃以下である(1)ないし(3)のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
(5)前記ガラス繊維織布の厚さが10μm以上100μm以下、質量が10g/m2以上110g/m2以下である(1)ないし(4)のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
(6)前記ガラス繊維織布のガラスの軟化点が800℃以上1800℃以下である(1)ないし(5)のいずれかに記載のガラス基材入り絶縁樹脂シート。
(7)前記ガラス繊維織布は、ガラス中に少なくとも、50重量%以上75重量%以下のSiO2、5重量%以上30重量%以下のAl2O3、及び20重量%以下のMgOを含むものである(1)ないし(6)のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
(8)前記ガラス繊維織布は、ガラス中に少なくとも、0.1重量%以上2重量%以下のTiO2を含むものである(1)ないし(7)のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
(9)前記絶縁樹脂組成物は、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、及びアリールアルキレン型エポキシ樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む(1)ないし(8)のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
(10)(1)ないし(9)のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを1枚以上重ね合わせ、前記ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートの少なくとも一方の外側の面に銅箔を配置して加熱加圧成形してなる積層板。
(11)(1)ないし(9)のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート及び/または(10)に記載の積層板を用いてなる多層プリント配線板。
(12)(11)に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
本発明のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートは、低熱膨張性や耐衝撃性を有すると共に、高温、多湿の環境下においても高い壁間絶縁信頼性を有し、高密度、高多層成形が可能な積層板を作製可能とし、それを用いた多層プリント配線板、及び半導体装置を提供するものである。
以下に本発明のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置について詳細に説明する。
本発明のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートに用いられるガラス繊維織布は、たて糸と垂直方向に任意に切断した時のたて糸中に存在する空隙の個数が、たて糸10万本あたり0.1個以上10個以下である。これにより、前記ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを多層プリント配線板や半導体装置に用いた際、スルーホールまたはビア壁の壁間絶縁信頼性の低下を抑制できる。前記空隙は、ガラス繊維織布のたて糸、又はよこ糸のどちらの空隙を検査しても構わないが、空隙確認の検査の際、ガラス繊維の直行方向より流れ方向の空隙の方が確認しやすいため、たて糸に含まれる空隙を検査することが望ましい。また、前記空隙の個数は、たて糸10万本あたり0.1個以上8個以下が好ましく、さらに0.1個以上5個以下が好ましく、さらには0.1個以上3個以下が好ましい。これにより前記作用を効果的に発現させることができる。
また前記空隙の個数が上限値を越えると、スルーホールまたはビア壁の壁間絶縁信頼性が損なわれ、これにより実用上問題なく多層プリント配線板や半導体装置を作製するために、単位面積当たりに形成可能なスルーホールまたはビアの個数が制限される。前記空隙の個数が下限値未満については、実用上ガラス繊維の作製が難しく歩留まりを悪化させるため、生産性を低下させる。
前記ガラス繊維織布の空隙の個数は、ガラス繊維織布をガラスの屈折率に近い溶剤に浸漬し、光学顕微鏡で観察することで、確認することができる。ガラスの屈折率に近い溶剤としては、例えばベンジルアルコールが挙げられる。
本発明のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートに用いられるガラス繊維織布中に存在する空隙はガラス繊維織布と同じ方向にほぼ円柱状であって、各々の空隙の最大直径が0.01μm以上1.2μm以下である。これにより、前記ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを多層プリント配線板や半導体装置に用いた際、スルーホールまたはビア壁の壁間絶縁信頼性の低下を抑制できる。前記空隙の最大直径が上記範囲内であると、炭酸ガスやUVレーザー等でスルーホールやビアを形成した際に、レーザーの熱でスルーホールやビア壁付近のガラス繊維の空隙を塞ぐことができる。前記空隙の最大直径は特に、0.01μm以上1.0μm以下が好ましく、さらに0.01μm以上0.8μm以下が好ましく、さらには0.01μ以上0.5μm以下が好ましい。これにより上記の作用を効果的に発現させることができる。
前記空隙の最大直径が前記下限値未満であると、前記ガラス繊維織布を前記溶剤に浸漬して光学顕微鏡で観察しても空隙を確認することが困難であり、前記上限値を超えると、スルーホールまたはビア壁の壁間絶縁信頼性が損なわれ、これにより実用上問題なく多層プリント配線板や半導体装置を作製するために、単位面積当たりに形成可能なスルーホールまたはビアの個数が制限される。
本発明のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートに用いられるガラス繊維織布中に存在する空隙のたて糸方向の長さは、200mm以下である。これにより、前記ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを多層プリント配線板や半導体装置に用いた際、スルーホールまたはビア壁の壁間絶縁信頼性の低下を抑制できる。また前記空隙は、ガラス繊維織布のたて糸、又はよこ糸のどちらでも構わないが、空隙確認の検査の便宜上、たて糸方向の長さであることが好ましい。前記空隙のガラス繊維方向の長さは、150mm以下が好ましく、さらに100mm以下が好ましい。これにより、上記の作用を効果的に発現させることができる。
前記空隙のたて糸方向の長さが前記上限値を越えると、スルーホールまたはビア壁の壁間絶縁信頼性が損なわれ、これにより実用上問題なく多層プリント配線板や半導体装置を作製するために、単位面積当たりに形成可能なスルーホールまたはビアの個数が制限される。
本発明のガラス繊維の線膨張係数は1ppm/℃以上10ppm/℃以下である。これにより前記ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを用いた多層プリント配線板の厚さが0.2mm以下であっても、チップ実装後の半田リフローなど熱履歴がかかった際の反りを低減できる。前記線膨張係数は特に1ppm/℃以上8ppm/℃以下が好ましく、さらに1ppm/℃以上6ppm/℃以下が好ましく、さらには2ppm/℃以上4ppm/℃以下が好ましい。これにより、上記作用を効果的に発現させることができる。
前記線膨張係数が前記下限値未満であると、多層プリント配線板の厚みによっては、導体回路との線膨張のミスマッチにより、プレス成形時や半田リフロー時の基板の反りを抑制することができなくなることがある。また、前記上限値を超えると、こちらも導体回路との線膨張のミスマッチにより、プレス成形時や半田リフロー時の多層プリント配線板の反りや冷熱サイクル試験等の熱衝撃試験における導体回路層の剥離やクラックの発生を抑制することができなくなる恐れがある。
前記線膨張係数は、例えばTMAを用いて5℃/分の条件で0℃〜280℃まで昇温度させ、25℃における線膨張係数を測定することで、求めることができる。
本発明のガラス繊維織布の厚さは10μm以上100μm以下、質量は10g/m2以上110g/m2以下である。これにより、前記ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを用いた多層プリント配線板や半導体装置の厚みを薄くでき、また狭ピッチのスルーホールやビアを形成することができる。
前記ガラス繊維織布の厚さ及び/または質量がそれぞれ前記未満であるとガラス繊維織布のハンドリング性が低下することがあり、前記上限値を超えると前記ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを用いた多層プリント配線板や半導体装置の厚みを薄くすることが難しく、さらに多層プリント配線板製造時において、絶縁樹脂層を炭酸ガスやUVレーザーによりスルーホール形成やビア形成することが難しくなることがある。
前記ガラス繊維織布を構成するガラス繊維の引っ張り強度は、2.5GPa以上5.0GPa以下であることが好ましい。これにより、前記ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを用いた多層プリント配線板の厚が0.2mm以下であっても、機械強度を高めることができる。前記引っ張り強度が前記下限値未満であると、多層プリント配線板の厚みが薄いときに十分な機械強度を得ることが難しく、前記上限値を超えると多層プリント配線板の製造時において、打ち抜き性やメカニカルドリルによるスルーホール加工性が悪化することがある。
前記ガラス繊維織布を構成するガラスの軟化点は、800℃以上1800℃以下が好ましい。これにより、ガラス繊維織布中に含まれる空隙の発生を少ないガラス繊維を作製することができる。また前記軟化点を有するガラス繊維は、ガラス中に少なくとも50重量%以上75重量%以下のSiO2、5重量%以上30重量%以下のAl2O3、及び20重量%以下のMgOを含むものであることが好ましい。また場合によっては、0.1重量%以上2重量%以下のTiO2を含有することが好ましい。
これにより、ガラス繊維織布の熱膨張係数を小さくすることができ、それによってガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートの熱膨張係数をより効果的に小さくすることができる。また、ガラス繊維織布の引っ張り強度や弾性率が大きいため、前記ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを用いた多層プリント配線板や半導体装置の機械強度や、半導体素子を多層プリント配線板に実装した後の半田リフローなど熱履歴がかかった際の反りを低減するのにより効果が得られる。
本発明のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートに用いられる絶縁樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等のアリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂などが挙げられる。これにより、前記絶縁樹脂組成物の硬化物の架橋密度を増加させ、高い難燃性と耐熱性とを付与することができる。
前記エポキシ樹脂の含有量は特に限定されないが、絶縁樹脂組成物全体の60〜90重量%であることが好ましい。さらに好ましくは65〜85重量%である。これにより、前記作用を効果的に発現させることができる。エポキシ樹脂の含有量が前記下限値未満であると、耐熱性を向上させる効果が充分でないことがある。また、前記上限値を超えると、硬化物が硬くなり、多層プリント配線板製造時において、ドリル加工性や打ち抜き加工性が低下することがある。ここで、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を併用すると、ガラス繊維織布への含浸性を向上させることができる。また、固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を併用すると、銅箔への密着性を向上させることができる。
本発明の絶縁樹脂組成物に用いられるエポキシ樹脂は、ハロゲン化されていないものである。これにより、実質的にハロゲン化合物を用いることなく、難燃性を付与することができるとともに、硬化物の熱分解時に、ハロゲンに起因する腐食性、毒性を有する成分の発生をなくすことができる。
本発明の絶縁樹脂組成物は、無機充填材を含むことが好ましい。これにより、前記ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを用いた多層プリント配線板や半導体装置の厚さが薄くても、機械強度を高め、チップ実装後の半田リフローなど熱履歴がかかった際の反りをより効果的に低減することができ、されに線膨張係数を小さくすることができる。
前記無機充填材としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用したりすることもできる。
これらの中でも特に、シリカが好ましく、溶融シリカ(特に球状溶融シリカ)が低熱膨張性に優れる点で好ましい。その形状は破砕状、球状があるが、ガラス繊維織布への含浸性を確保するために絶縁樹脂組成物の溶融粘度を下げるには球状シリカを使う等、その目的にあわせた使用方法が採用される。
前記無機充填材の平均粒子径は、特に限定されないが、0.01〜5.0μmが好ましく、特に0.1〜2.0μmが好ましい。無機充填材の粒径が前記下限値未満であるとワニスの粘度が高くなるため、ガラス繊維織布への絶縁樹脂組成物の含浸性が低下する場合がある。また、前記上限値を超えると、ワニス中で無機充填剤の沈降等の現象が起こる場合がある。この平均粒子径は、例えば粒度分布計(HORIBA製、LA−500)により測定することができる。
また前記無機充填材は、特に限定されないが、平均粒子径が単分散の無機充填材を用いることもできるし、平均粒子径が多分散の無機充填材を用いることができる。さらに平均粒子径が単分散及び/または、多分散の無機充填材を1種類または2種類以上とを併用したりすることもできる。
更に平均粒子径5.0μm以下の球状シリカ(特に球状溶融シリカ)が好ましく、特に平均粒子径0.01〜2.0μmの球状溶融シリカが好ましい。これにより、無機充填剤の充填性を向上させることができる。
前記無機充填材の含有量は、特に限定されないが、絶縁樹脂組成物全体の20〜80重量%が好ましく、特に30〜70重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、特に低熱膨張、低吸水とすることができる。
前記絶縁樹脂組成物は、特に限定されないが、カップリング剤を用いることが好ましい。前記カップリング剤は、絶縁樹脂と、前記無機充填材との界面の濡れ性を向上させることにより、ガラス繊維織布に対して絶縁樹脂等および無機充填材を均一に定着させ、耐熱性、特に吸湿後の半田耐熱性を改良することができる。
前記カップリング剤としては、通常用いられるものなら何でも使用できるが、具体的にはエポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用することが好ましい。これにより、無機充填材の界面との濡れ性を高くすることができ、それによって耐熱性をより向上させることできる。
前記カップリング剤の添加量は、前記無機充填材の比表面積に依存するので特に限定されないが、無機充填材100重量部に対して0.05〜3重量%が好ましく、特に0.1〜2重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると無機充填材を十分に被覆できないため耐熱性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると反応に影響を与え、曲げ強度等が低下する場合がある。
絶縁樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤を用いても良い。前記硬化促進剤としては公知の物を用いることが出来る。例えばナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン類、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシイミダゾール等のイミダゾール類、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物、酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等、またはこの混合物が挙げられる。硬化促進剤として、これらの中の誘導体も含めて1種類を単独で用いることもできるし、これらの誘導体も含めて2種類以上を併用したりすることもできる。
前記硬化促進剤の含有量は、特に限定されないが、絶縁樹脂組成物全体の0.05〜5重量%が好ましく、特に0.2〜2重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると硬化を促進する効果が現れない場合があり、前記上限値を超えるとガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートの保存性が低下する場合がある。
絶縁樹脂組成物は、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等のポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマ−、ポリブタジエン、エポキシ変性ポリブタジエン、アクリル変性ポリブタジエン、メタクリル変性ポリブタジエン等のジエン系エラストマーを併用しても良い。また、絶縁樹脂組成物には、必要に応じて、顔料、染料、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、イオン捕捉剤等の上記成分以外の添加物を添加しても良い。
次に、ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートについて説明する。
本発明のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートは、上述の絶縁樹脂組成物をガラス繊維織布に含浸させてなるものである。これにより、誘電特性、高温多湿下での機械的、電気的接続信頼性等の各種特性に優れた多層プリント配線板を製造するのに好適なガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得ることができる。
本発明のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートは、上述の絶縁樹脂組成物をガラス繊維織布に含浸させてなるものである。これにより、誘電特性、高温多湿下での機械的、電気的接続信頼性等の各種特性に優れた多層プリント配線板を製造するのに好適なガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得ることができる。
絶縁樹脂組成物をガラス繊維織布に含浸させる方法は、例えば、絶縁樹脂組成物を用いて樹脂ワニスを調製し、ガラス繊維織布を樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターによる塗布する方法、スプレーによる吹き付ける方法等が挙げられる。これらの中でも、ガラス繊維織布を樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。これにより、ガラス繊維織布に対する絶縁樹脂組成物の含浸性を向上させることができる。なお、ガラス繊維織布を樹脂ワニスに浸漬する場合、通常の含浸塗布設備を使用することができる。
前記樹脂ワニスに用いられる溶媒は、前記絶縁樹脂組成物中の樹脂成分に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系等が挙げられる。
前記樹脂ワニス中の不揮発分濃度としては特に限定されないが、40〜80重量%が好ましく、特に50〜65重量%が好ましい。これにより、樹脂ワニスの粘度を好適な水準とすることができ、ガラス繊維織布への含浸性を更に向上させることができる。前記ガラス繊維織布に前記絶縁樹脂組成物を含浸させ、所定温度、例えば80〜200℃等で乾燥させることによりガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得ることが出来る。
次に、積層板について説明する。
本発明の積層板は、上述のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを少なくとも1枚成形してなるものである。これにより、誘電特性、高温多湿化での機械的、電気的接続信頼性に優れた積層板を得ることができる。
ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート1枚のときは、その上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。また、ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを2枚以上積層することもできる。ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート2枚以上積層するときは、積層したガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。次に、ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートと金属箔等とを重ねたものを加熱、加圧することで積層板を得ることができる。前記加熱する温度は、特に限定されないが、120〜220℃が好ましく、特に150〜200℃が好ましい。また、前記加圧する圧力は、特に限定されないが、2〜5MPaが好ましく、特に2.5〜4MPaが好ましい。
本発明の積層板は、上述のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを少なくとも1枚成形してなるものである。これにより、誘電特性、高温多湿化での機械的、電気的接続信頼性に優れた積層板を得ることができる。
ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート1枚のときは、その上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。また、ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを2枚以上積層することもできる。ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート2枚以上積層するときは、積層したガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。次に、ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートと金属箔等とを重ねたものを加熱、加圧することで積層板を得ることができる。前記加熱する温度は、特に限定されないが、120〜220℃が好ましく、特に150〜200℃が好ましい。また、前記加圧する圧力は、特に限定されないが、2〜5MPaが好ましく、特に2.5〜4MPaが好ましい。
前記金属箔を構成する金属としては、例えば銅及び銅系合金、アルミ及びアルミ系合金、銀及び銀系合金、金及び金系合金、亜鉛及び亜鉛系合金、ニッケル及びニッケル系合金、錫及び錫系合金、鉄および鉄系合金等が挙げられる。
また、フィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
また、フィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
次に多層プリント配線板について説明する。
多層プリント配線板は、前記積層板を用いて製造することができる。製造方法は、特に限定されないが、サブトラクティブ法、セミアディティブ法などがあり、例えば、前記両面に銅箔を有する積層板を用い、ドリル機で所定の位置に開孔部を設け、無電解めっきにより、内層回路基板の両面の導通を図る。そして、前記銅箔をエッチングすることにより内層回路を形成する。
なお、内層回路部分は、黒化処理等の粗化処理したものを好適に用いることができる。また開口部は、導体ペースト、または樹脂ペーストで適宜埋めることができる。
なお、内層回路部分は、黒化処理等の粗化処理したものを好適に用いることができる。また開口部は、導体ペースト、または樹脂ペーストで適宜埋めることができる。
次に本発明のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート、またはフィルム付き絶縁樹脂シートを用い、前記内層回路を覆うように、積層し、絶縁樹脂層を形成する。積層(ラミネート)方法は、特に限定されないが、真空プレス、常圧ラミネーター、および真空下で加熱加圧するラミネーターを用いて積層する方法が好ましく、更に好ましくは、真空下で加熱加圧するラミネーターを用いる方法である。
その後、前記絶縁樹脂層を加熱することにより硬化させる。硬化させる温度は、特に限定されないが、例えば、100℃〜250℃の範囲で硬化させることができる。好ましくは150℃〜200℃で硬化させることである。
次に、絶縁樹脂層に、炭酸レーザー装置を用いて開孔部を設け、電解銅めっきにより絶縁樹脂層表面に外層回路形成を行い、外層回路と内層回路との導通を図った。なお、外層回路は、半導体素子を実装するための接続用電極部を設ける。
その後、最外層にソルダーレジストを形成し、露光・現像により半導体素子が実装できるよう接続用電極部を露出させ、ニッケル金メッキ処理を施し、所定の大きさに切断し、多層プリント配線板を得ることができる。
次に半導体装置について説明する。
前記で得られた多層プリント配線板に半田バンプを有する半導体素子を実装し、半田バンプを介して、前記多層プリント配線板と半導体素子とを接続する。そして、多層プリント配線板と半導体素子との間には液状封止樹脂を充填し、半導体装置を形成する。半田バンプは、錫、鉛、銀、銅、ビスマスなどからなる合金で構成されることが好ましい。半導体素子と多層プリント配線板との接続方法は、フリップチップボンダーなどを用いて基板上の接続用電極部と半導体素子の半田バンプとの位置合わせを行ったあと、IRリフロー装置、熱板、その他加熱装置を用いて半田バンプを融点以上に加熱し、多層プリント配線板と半田バンプとを溶融接合することにより接続する。尚、接続信頼性を良くするため、予め多層プリント配線板上の接続用電極部に半田ペースト等、比較的融点の低い金属の層を形成しておいても良い。この接合工程に先んじて、半田バンプおよび、または多層プリント配線板上の接続用電極部の表層にフラックスを塗布することで接続信頼性を向上させることもできる。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
なお、本発明で用いたガラス繊維織布は以下の通りである。
ガラス繊維織布(1)
厚さ80μm、質量95g/m2、クロススタイル2319、日東紡績製、ガラスタイプA
ガラス繊維織布(2)
厚さ42μm、質量48g/m2、クロススタイル1078、日東紡績製、ガラスタイプA
ガラス繊維織布(3)
厚さ28μm、質量30g/m2、クロススタイル1035、日東紡績製、ガラスタイプA
ガラス繊維織布(4)
厚さ95μm、質量104g/m2、クロススタイル2116、日東紡績製、ガラスタイプA
ガラス繊維織布(5)
厚さ14μm、質量12g/m2、クロススタイル1014、日東紡績製、ガラスタイプB
ガラス繊維織布(6)
厚さ95μm、質量104g/m2、クロススタイル2116、日東紡績製、ガラスタイプB
ガラス繊維織布(7)
厚さ95μm、質量104g/m2、クロススタイル2116、日東紡績製、ガラスタイプA
ガラス繊維織布(8)
厚さ95μm、質量104g/m2、クロススタイル2116、日東紡績製、ガラスタイプB
ガラス繊維織布(9)
厚さ90μm、質量104g/m2、クロススタイル2116、日東紡績製、ガラスタイプB
ガラスタイプA
(物性)線膨張係数:2.8ppm/℃、引っ張り強度:4.6GPa、軟化点:970℃、(化学組成)SiO2:64重量%、Al2O3:25重量%、MgO:10重量%、TiO2:1重量%
ガラスタイプB
(物性)線膨張係数:5.8ppm/℃、引っ張り強度:3.2GPa、軟化点:850℃、(化学組成)SiO2:54重量%、Al2O3:14重量%、MgO:3重量%)
なお、本発明で用いたガラス繊維織布は以下の通りである。
ガラス繊維織布(1)
厚さ80μm、質量95g/m2、クロススタイル2319、日東紡績製、ガラスタイプA
ガラス繊維織布(2)
厚さ42μm、質量48g/m2、クロススタイル1078、日東紡績製、ガラスタイプA
ガラス繊維織布(3)
厚さ28μm、質量30g/m2、クロススタイル1035、日東紡績製、ガラスタイプA
ガラス繊維織布(4)
厚さ95μm、質量104g/m2、クロススタイル2116、日東紡績製、ガラスタイプA
ガラス繊維織布(5)
厚さ14μm、質量12g/m2、クロススタイル1014、日東紡績製、ガラスタイプB
ガラス繊維織布(6)
厚さ95μm、質量104g/m2、クロススタイル2116、日東紡績製、ガラスタイプB
ガラス繊維織布(7)
厚さ95μm、質量104g/m2、クロススタイル2116、日東紡績製、ガラスタイプA
ガラス繊維織布(8)
厚さ95μm、質量104g/m2、クロススタイル2116、日東紡績製、ガラスタイプB
ガラス繊維織布(9)
厚さ90μm、質量104g/m2、クロススタイル2116、日東紡績製、ガラスタイプB
ガラスタイプA
(物性)線膨張係数:2.8ppm/℃、引っ張り強度:4.6GPa、軟化点:970℃、(化学組成)SiO2:64重量%、Al2O3:25重量%、MgO:10重量%、TiO2:1重量%
ガラスタイプB
(物性)線膨張係数:5.8ppm/℃、引っ張り強度:3.2GPa、軟化点:850℃、(化学組成)SiO2:54重量%、Al2O3:14重量%、MgO:3重量%)
(実施例1)
(1)樹脂ワニスの調整
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(「エピクロンN-690」、エポキシ当量210、大日本インキ化学工業株式会社製)22重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(I)(「エピクロン850」、エポキシ当量190、大日本インキ化学工業株式会社製)6.5重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(II)(「エピクロン7050」、エポキシ当量1900、大日本インキ化学工業株式会社製)1.5重量部、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000、エポキシ当量275、日本化薬株式会社製)1重量部、ジシアンジアミド(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)1.5重量部、10−ベンジル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光株式会社製)6.4重量部、2−メチルイミダゾール(日本合成化学工業株式会社製)0.1重量部、エポキシシラン型カップリング剤(A−187、GE東芝シリコーン株式会社製)1重量部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、無機充填材(球状溶融シリカ、SO−25R、平均粒径0.5μm、株式会社アドマテックス社製)60重量部を添加し、高速攪撹拌機を用いて10分攪撹拌して、不揮発分濃度55%となるように樹脂ワニスを調整した。
(1)樹脂ワニスの調整
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(「エピクロンN-690」、エポキシ当量210、大日本インキ化学工業株式会社製)22重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(I)(「エピクロン850」、エポキシ当量190、大日本インキ化学工業株式会社製)6.5重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(II)(「エピクロン7050」、エポキシ当量1900、大日本インキ化学工業株式会社製)1.5重量部、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000、エポキシ当量275、日本化薬株式会社製)1重量部、ジシアンジアミド(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)1.5重量部、10−ベンジル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光株式会社製)6.4重量部、2−メチルイミダゾール(日本合成化学工業株式会社製)0.1重量部、エポキシシラン型カップリング剤(A−187、GE東芝シリコーン株式会社製)1重量部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、無機充填材(球状溶融シリカ、SO−25R、平均粒径0.5μm、株式会社アドマテックス社製)60重量部を添加し、高速攪撹拌機を用いて10分攪撹拌して、不揮発分濃度55%となるように樹脂ワニスを調整した。
(2)ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートの製造
上述の樹脂ワニスを上記ガラス繊維織布(1)に含浸し、150℃の加熱炉で2分間乾燥して、厚さ約0.1mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た。
(3)積層板の製造
上述のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを所定枚数を重ね、両面に厚さ12μmの銅箔を重ねて、圧力4MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形することによって、両面に銅箔を有する積層板を得た。
上述のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを所定枚数を重ね、両面に厚さ12μmの銅箔を重ねて、圧力4MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形することによって、両面に銅箔を有する積層板を得た。
(4)多層プリント配線板の製造
上述の積層板をスルーホール形成後サブトラクティブ法にての銅箔に所定の回路配線を形成し、回路配線の表面を粗化処理した後、積層板の両面にフィルム付き絶縁樹脂シート(APL−3601、樹脂厚:60μm、住友ベークライト株式会社製)を内層回路上に真空積層装置を用いて積層した。次にフィルムを剥離し、温度170℃、時間60分間加熱し、絶縁樹脂層を半硬化させた。尚、フィルム付き絶縁樹脂シートを積層する条件は、温度100℃、圧力1MPa、30秒間とした。
上述の積層板をスルーホール形成後サブトラクティブ法にての銅箔に所定の回路配線を形成し、回路配線の表面を粗化処理した後、積層板の両面にフィルム付き絶縁樹脂シート(APL−3601、樹脂厚:60μm、住友ベークライト株式会社製)を内層回路上に真空積層装置を用いて積層した。次にフィルムを剥離し、温度170℃、時間60分間加熱し、絶縁樹脂層を半硬化させた。尚、フィルム付き絶縁樹脂シートを積層する条件は、温度100℃、圧力1MPa、30秒間とした。
次に絶縁樹脂層に、炭酸レーザー装置を用いてφ60μmの開孔部(ブラインド・ビアホール)を形成し、70℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に10分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレート コンパクト CP)に20分浸漬後、中和して粗化処理を行った。次に脱脂、触媒付与、活性化の工程を経た後、無電解銅メッキ皮膜を約0.5μmの給電層を形成した。次にこの給電層表面に、厚さ25μmの紫外線感光性ドライフィルム(旭化成社製AQ−2558)をホットロールラミネーターにより貼り合わせ、最小線幅/線間が20/20μmのパターンが描画されたクロム蒸着マスク(トウワプロセス社製)を使用して、位置を合わせ、露光装置(ウシオ電機社製UX−1100SM−AJN01)にて露光、炭酸ソーダ水溶液にて現像し、めっきレジストを形成した。
次に、給電層を電極として電解銅めっき(奥野製薬社製81−HL)を3A/dm2、30分間行って、厚さ約25μmの銅配線を形成した。ここで2段階剥離機を用いて、前記めっきレジストを剥離した。各薬液は、1段階目のアルカリ水溶液層にはモノエタノールアミン溶液(三菱ガス化学社製R−100)、2段階目の酸化性樹脂エッチング剤には過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムを主成分とする水溶液(日本マクダーミッド社製マキュダイザー9275、9276)、中和には酸性アミン水溶液(日本マクダーミッド社製マキュダイザー9279)をそれぞれ用いた。
次に、給電層を過硫酸アンモニウム水溶液(メルテックス(株)製AD−485)に浸漬処理することで、エッチング除去し、配線間の絶縁を確保した。次に絶縁樹脂層を温度200℃時間60分で最終硬化させ、最後に回路表面にソルダーレジスト(太陽インキ社製PSR4000/AUS308)を形成し多層プリント配線板を得た。
(5)半導体装置の製造
50mm×50mmサイズの上述の多層プリント配線板上に所定の位置に、厚さ0.75mm、15mm×15mmサイズの半導体素子をフリップチップボンダー、リフロー炉にて接合し、液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP−4152S)を充填し、液状封止樹脂を硬化させることで半導体装置を得た。尚、液状封止樹脂の硬化条件は、温度150℃、120分の条件であった。
50mm×50mmサイズの上述の多層プリント配線板上に所定の位置に、厚さ0.75mm、15mm×15mmサイズの半導体素子をフリップチップボンダー、リフロー炉にて接合し、液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP−4152S)を充填し、液状封止樹脂を硬化させることで半導体装置を得た。尚、液状封止樹脂の硬化条件は、温度150℃、120分の条件であった。
(実施例2)
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(2)を用い、厚さ約0.06mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(2)を用い、厚さ約0.06mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
(実施例3)
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(3)を用い、厚さ約0.05mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(3)を用い、厚さ約0.05mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
(実施例4)
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(4)を用い、厚さ約0.12mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(4)を用い、厚さ約0.12mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
(実施例5)
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(5)を用い、厚さ約0.03mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(5)を用い、厚さ約0.03mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
(実施例6)
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(6)を用い、厚さ約0.12mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(6)を用い、厚さ約0.12mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
(比較例1)
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(7)を用い、厚さ約0.12mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(7)を用い、厚さ約0.12mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
(比較例2)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を44重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(I)を13重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(II)を3重量部、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂を2重量部、ジシアンジアミドを3重量部、10−ベンジル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドを11.8重量部、2−メチルイミダゾールを0.2重量部、無機充填材を20重量部とし、ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(8)を用い、厚さ約0.12mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を44重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(I)を13重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(II)を3重量部、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂を2重量部、ジシアンジアミドを3重量部、10−ベンジル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドを11.8重量部、2−メチルイミダゾールを0.2重量部、無機充填材を20重量部とし、ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(8)を用い、厚さ約0.12mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
(比較例3)
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(9)を用い、厚さ約0.12mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
ガラス繊維織布(1)の代わりにガラス繊維織布(9)を用い、厚さ約0.12mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを得た以外は、実施例1と同様に、積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置を作製した。
実施例および比較例で得られた樹脂組成物、ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート、積層板、半導体装置について、特性の評価を行った。結果を表1に示す。
評価方法は、以下の通りである。
1.空隙の数
1060mm幅のガラス繊維織布を繊維織布の流れ方向に1000mm切り出し、これを任意の大きさで構わないが、幅265mm、長さ250mmの大きさに切り分けてベンジルアルコールに浸漬、光学顕微鏡で観察しながらガラス繊維織布内の空隙の数を数えることにより、ガラス繊維織布のたて糸10万本あたりの空隙の個数を求めた。ここで、ベンジルアルコールを用いるのは、ガラス繊維織布の屈折率にベンジルアルコールの屈折率が近いため、ガラス繊維織布内の空隙が見つけやすくなるためである。
1060mm幅のガラス繊維織布を繊維織布の流れ方向に1000mm切り出し、これを任意の大きさで構わないが、幅265mm、長さ250mmの大きさに切り分けてベンジルアルコールに浸漬、光学顕微鏡で観察しながらガラス繊維織布内の空隙の数を数えることにより、ガラス繊維織布のたて糸10万本あたりの空隙の個数を求めた。ここで、ベンジルアルコールを用いるのは、ガラス繊維織布の屈折率にベンジルアルコールの屈折率が近いため、ガラス繊維織布内の空隙が見つけやすくなるためである。
2.空隙の直径
空隙を含む部分のガラス繊維織布のたて糸断面を研磨し、電子顕微鏡で空隙を観察することによって、空隙の径を測定した。
空隙を含む部分のガラス繊維織布のたて糸断面を研磨し、電子顕微鏡で空隙を観察することによって、空隙の径を測定した。
3.空隙の長さ
1060mm幅のガラス繊維織布を繊維織布の流れ方向に1000mm切り出し、これをベンジルアルコールに浸漬、ルーペで観察しながら、ガラス繊維織布のたて糸方向に200mm以上の空隙がないか確認した。
○:200mm以上の空隙なし
×:200mm以上の空隙あり
1060mm幅のガラス繊維織布を繊維織布の流れ方向に1000mm切り出し、これをベンジルアルコールに浸漬、ルーペで観察しながら、ガラス繊維織布のたて糸方向に200mm以上の空隙がないか確認した。
○:200mm以上の空隙なし
×:200mm以上の空隙あり
4.線膨張係数
ガラス繊維織布をよこ糸方向4mm、たて糸方向20mmに切り、TMAを用いて5℃/分の引っ張り条件で、25℃での線膨張係数を測定した。
ガラス繊維織布をよこ糸方向4mm、たて糸方向20mmに切り、TMAを用いて5℃/分の引っ張り条件で、25℃での線膨張係数を測定した。
5.熱衝撃試験
前記で得られた半導体装置をフロリナート中で−55℃10分、125℃10分、−55℃10分を1サイクルとして、500サイクル処理し、半導体装置にクラックが発生していないか確認した。
○:クラック発生なし
×:クラック発生
前記で得られた半導体装置をフロリナート中で−55℃10分、125℃10分、−55℃10分を1サイクルとして、500サイクル処理し、半導体装置にクラックが発生していないか確認した。
○:クラック発生なし
×:クラック発生
6.壁間絶縁信頼性試験
前記で得られた両面に銅箔を有する厚さ0.8mmの積層板(厚さ約0.1mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを8枚重ねて作製した積層板)に、メカニカルドリルを用いて径0.4mm、壁間距離0.4mmのスルーホールを開け、その後メッキ、回路配線を形成して、85℃、85%RH、印加電圧50Vの条件下で500h処理し、100Vで絶縁抵抗を測定した。測定用の試料は、N=10用意した。
○:N全て1.0×107Ω以上
△:1.0×107Ω以上がN≧8
×:1.0×107Ω以上がN<8
前記で得られた両面に銅箔を有する厚さ0.8mmの積層板(厚さ約0.1mmのガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを8枚重ねて作製した積層板)に、メカニカルドリルを用いて径0.4mm、壁間距離0.4mmのスルーホールを開け、その後メッキ、回路配線を形成して、85℃、85%RH、印加電圧50Vの条件下で500h処理し、100Vで絶縁抵抗を測定した。測定用の試料は、N=10用意した。
○:N全て1.0×107Ω以上
△:1.0×107Ω以上がN≧8
×:1.0×107Ω以上がN<8
7.難燃性
UL−94規格に従い、1mm厚のテストピースを垂直法により測定した。
UL−94規格に従い、1mm厚のテストピースを垂直法により測定した。
8.吸湿半田耐熱試験
前記で得られた両面に銅箔を有する厚さ0.8mmの積層板から50mm×50mmに切り出し、JIS C 6481に従い半面エッチングを行ってテストピースを作成した。121℃のプレッシャークッカーで2時間処理した後、260℃のはんだ槽に銅箔面を下にして浮かべ、120秒後の外観異常の有無を調べた。
○:異常なし
×:フクレあり
前記で得られた両面に銅箔を有する厚さ0.8mmの積層板から50mm×50mmに切り出し、JIS C 6481に従い半面エッチングを行ってテストピースを作成した。121℃のプレッシャークッカーで2時間処理した後、260℃のはんだ槽に銅箔面を下にして浮かべ、120秒後の外観異常の有無を調べた。
○:異常なし
×:フクレあり
表1からも明らかなように、実施例1〜6は、ガラス繊維織布のたて糸中に存在する空隙の個数が少なく、さらに空隙の最大直径や長さが短いガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートと、これを用いた積層板、多層プリント配線板、及び半導体装置である。
実施例1〜6はいずれも、低熱膨張性、耐衝撃性、絶縁信頼性、難燃性、すべての評価において良好な結果であった。
これに対し、比較例1、及び比較例3は、ガラス繊維織布のたて糸中の空隙の個数が多く、空隙の長さが長いため、壁間絶縁信頼性試験の結果が好ましくなかった。
比較例2は、ガラス繊維織布のたて糸中の空隙の個数が多く、直径が長く、さらに無機充填材の添加量が少ないため、壁間絶縁信頼性試験、熱衝撃試験、難燃性試験において好ましくない結果となった。尚、難燃試験においては、試験片が全焼するものがあったため表1中に規格外と表記した。
実施例1〜6はいずれも、低熱膨張性、耐衝撃性、絶縁信頼性、難燃性、すべての評価において良好な結果であった。
これに対し、比較例1、及び比較例3は、ガラス繊維織布のたて糸中の空隙の個数が多く、空隙の長さが長いため、壁間絶縁信頼性試験の結果が好ましくなかった。
比較例2は、ガラス繊維織布のたて糸中の空隙の個数が多く、直径が長く、さらに無機充填材の添加量が少ないため、壁間絶縁信頼性試験、熱衝撃試験、難燃性試験において好ましくない結果となった。尚、難燃試験においては、試験片が全焼するものがあったため表1中に規格外と表記した。
本発明のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートは、積層板、該積層板よりなる多層プリント配線板、半導体装置に好適に用いることができるが、その他、低熱膨張性、耐衝撃性、高温、壁間絶縁信頼性にも優れることから、小型化・薄膜化が要求される多層プリント配線板の中でも、高信頼性が要求される用途に用いることも可能である。
Claims (12)
- たて糸とよこ糸から構成されるガラス繊維織布と、絶縁樹脂組成物とからなるガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートにおいて、前記ガラス繊維織布をたて糸と垂直方向に任意に切断した時のたて糸中に存在する空隙の個数が、たて糸10万本あたり0.1個以上10個以下であることを特徴とするガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
- 前記たて糸中に存在する空隙は、ほぼ円柱状であって、各々の空隙の最大直径が、0.01μm以上1.2μm以下である請求項1に記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
- 前記たて糸中に存在する空隙のたて糸方向の長さが200mm以下である請求項1または2に記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
- 前記ガラス繊維織布を構成するガラス繊維の線膨張係数が1ppm/℃以上10ppm/℃以下である請求項1ないし3のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
- 前記ガラス繊維織布の厚さが10μm以上100μm以下、質量が10g/m2以上110g/m2以下である請求項1ないし4のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
- 前記ガラス繊維織布のガラスの軟化点が800℃以上1800℃以下である請求項1ないし5のいずれかに記載のガラス基材入り絶縁樹脂シート。
- 前記ガラス繊維織布は、ガラス中に少なくとも、50重量%以上75重量%以下のSiO2、5重量%以上30重量%以下のAl2O3、及び20重量%以下のMgOを含むものである請求項1ないし6のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
- 前記ガラス繊維織布は、ガラス中に少なくとも、0.1重量%以上2重量%以下のTiO2を含むものである請求項1ないし7のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
- 前記絶縁樹脂組成物は、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、及びアリールアルキレン型エポキシ樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む請求項1ないし8のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート。
- 請求項1ないし9のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートを1枚以上重ね合わせ、前記ガラス繊維織布入り絶縁樹脂シートの少なくとも一方の外側の面に銅箔を配置して加熱加圧成形してなる積層板。
- 請求項1ないし9のいずれかに記載のガラス繊維織布入り絶縁樹脂シート及び/または請求項10に記載の積層板を用いてなる多層プリント配線板。
- 請求項11に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
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