JP2011213247A - 車両の運動制御装置 - Google Patents
車両の運動制御装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011213247A JP2011213247A JP2010083546A JP2010083546A JP2011213247A JP 2011213247 A JP2011213247 A JP 2011213247A JP 2010083546 A JP2010083546 A JP 2010083546A JP 2010083546 A JP2010083546 A JP 2010083546A JP 2011213247 A JP2011213247 A JP 2011213247A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- vehicle
- unit
- friction coefficient
- road surface
- actual
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
- 230000033001 locomotion Effects 0.000 title claims abstract description 76
- 238000001514 detection method Methods 0.000 claims description 46
- 230000001133 acceleration Effects 0.000 claims description 40
- 238000012937 correction Methods 0.000 claims description 15
- 230000007423 decrease Effects 0.000 claims description 9
- 238000004364 calculation method Methods 0.000 description 148
- 238000000034 method Methods 0.000 description 34
- 238000012545 processing Methods 0.000 description 23
- 230000005540 biological transmission Effects 0.000 description 18
- 230000006870 function Effects 0.000 description 15
- 230000005484 gravity Effects 0.000 description 15
- 238000012821 model calculation Methods 0.000 description 15
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 13
- 238000006243 chemical reaction Methods 0.000 description 9
- 230000015572 biosynthetic process Effects 0.000 description 6
- 230000009467 reduction Effects 0.000 description 6
- 238000003786 synthesis reaction Methods 0.000 description 6
- 230000008859 change Effects 0.000 description 5
- 238000006557 surface reaction Methods 0.000 description 5
- 230000004069 differentiation Effects 0.000 description 4
- 230000007246 mechanism Effects 0.000 description 4
- 239000012530 fluid Substances 0.000 description 3
- 230000008054 signal transmission Effects 0.000 description 3
- 238000013461 design Methods 0.000 description 2
- 230000004048 modification Effects 0.000 description 2
- 238000012986 modification Methods 0.000 description 2
- 230000007935 neutral effect Effects 0.000 description 2
- 230000010363 phase shift Effects 0.000 description 2
- 238000006467 substitution reaction Methods 0.000 description 2
- 230000002159 abnormal effect Effects 0.000 description 1
- 230000005856 abnormality Effects 0.000 description 1
- 238000013459 approach Methods 0.000 description 1
- 238000004891 communication Methods 0.000 description 1
- 239000002131 composite material Substances 0.000 description 1
- 238000005516 engineering process Methods 0.000 description 1
- 230000007257 malfunction Effects 0.000 description 1
- 239000000203 mixture Substances 0.000 description 1
- 238000007639 printing Methods 0.000 description 1
- 230000008569 process Effects 0.000 description 1
- 230000001141 propulsive effect Effects 0.000 description 1
- 230000004043 responsiveness Effects 0.000 description 1
- 230000002194 synthesizing effect Effects 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
- Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
- Regulating Braking Force (AREA)
- Power Steering Mechanism (AREA)
Abstract
【解決手段】操作状態量及び運動状態量に対応した車両の規範姿勢状態量を、所定の外力が作用する状態における車両の運動モデルにもとづき演算する規範姿勢状態量演算手段54と、路面摩擦係数推定値を含む前記車両の実姿勢状態量を推定する実姿勢状態推定部52と、実姿勢状態量(慣性力)および前後力に基づき路面摩擦係数相当値を決定する路面摩擦係数相当値決定部200と、実姿勢状態推定部が推定した前記路面摩擦係数推定値と前記路面摩擦係数相当値決定部200が決定した路面摩擦係数相当値に基づき、実路面摩擦係数を推定する実路面摩擦係数推定部400とを備えることを特徴とする車両の運動制御装置
【選択図】図4
Description
同様に車体横滑り角にもとづいて左右の車輪の制動力を制御して、ヨーモーメントを制御する制動装置や、車体横滑り角にもとづいて前輪転舵角を補正制御する技術が知られている。
また、後輪軸の横滑り角及び横滑り角速度から目標ヨーモーメントを演算し、左右の車輪の制動力を制御して、車両のヨーモーメントを制御する制動装置が特許文献2により知られている。
そこで本発明は、制御可能範囲が拡大され、よりアクティブな制御介入が実現できる車両の制御装置を提供することを目的とする。
図2は車両の運動制御装置における制御ロジックを説明するためのブロック機能構成図である。
図1に示すように、車両1は前輪駆動車両であり、駆動力伝達装置Tと、ステアバイワイヤ式の前輪操舵装置SBWとを含んでいる。
車両1には、運転者が操作する操向ハンドル21aの操作量(車両の操作状態量)を検出する操作角検出センサ(操作状態検知手段)21c、図示しないセレクトレバーの選択位置(車両の操作状態量)を検出するセレクトレバーポジションセンサ(操作状態検知手段)2、図示しないアクセルペダルの踏み込み量(車両の操作状態量)を検出するアクセルペダルポジションセンサ(操作状態検知手段)3、図示しないブレーキペダルの踏み込み量(車両の操作状態量)を検出するブレーキペダルポジションセンサ(操作状態検知手段)4が設けられている。
また、車両1は、車両の運動制御装置として、コントロールユニット(車両の運動制御装置)37、前輪操舵装置SBWの制御部である転舵角制御装置40、その他各種のセンサ、例えば、各車輪WfL,WfR,WrL,WrRの車輪速度(車両の運動状態量)を検出する車輪速センサ(運動状態検知手段)30fL,30fR,30rL,30rR、車両1の実ヨーレート(車両の運動状態量)γactを検出するヨーレートセンサ(運動状態検知手段)31、車両1の横方向加速度(車両の運動状態量)Gsを検出する横方向加速度センサ(運動状態検知手段)32等を備えている。
本実施形態では、前記したAYC機能における特徴に注目して説明をする。そのため、図2に示すコントロールユニット37の機能ブロック構成図には、ABSの機能の機能ブロック、TCS機能の機能ブロックは省略してある。
AYC機能のためにコントロールユニット37は、転舵時の運動制御のために油圧回路28を介して駆動力伝達装置Tを制御したり、転舵時の運動制御のために各車輪WのブレーキBfL,BfR,BrL,BrRをブレーキ制御ECU(Electric Control Unit)29を介して制御したりする。
まず、本実施形態の車両1の運動制御装置を適用する車両1の動力伝達系について説明する。車体前部に横置きに搭載したエンジンENGの右端にトランスミッシヨンT/Mが接続されており、これらエンジンENG及びトランスミッションT/Mの後部に駆動力伝達装置Tが配設される。駆動力伝達装置Tの左端及び右端から左右に延出する左ドライブシャフトAL及び右ドライブシャフトARには、それぞれ駆動輪である左前輪WfL及び右前輪WfRが接続される。
そして、駆動力伝達装置Tの遊星歯車機構は、コントロールユニット37により油圧回路28を介して制御される左油圧クラッチCL及び右油圧クラッチCRを含んでいる。
車両1の直進走行時には左油圧クラッチCL及び右油圧クラッチCRが共に非係合状態とされる。車両1の右旋回時には、コントロールユニット37に油圧回路28が制御されて、右油圧クラッチCRの係合力が適宜調整されることによって、左前輪WfLの回転速度は右前輪WfRの回転速度に対して増速される。左前輪WfLの回転速度が右前輪WfRの回転速度に対して増速されると、旋回内輪である右前輪WfRのトルクの一部を旋回外輪である左前輪WfLに伝達することができる。
一方、車両1の左旋回時には、コントロールユニット37に油圧回路28が制御されて、左油圧クラッチCLの係合力が適宜調整されて、右前輪WfRの回転速度は左前輪WfLの回転速度に対して増速される。右前輪WfRの回転速度が左前輪WfLの回転速度に対して増速されると、旋回内輪である左前輪WfLのトルクの一部を旋回外輪である右前輪WfRに伝達することができる。
次に、本実施形態における前輪操舵装置の構成を説明する。
この前輪操舵装置SBWは、ステアバイワイヤを実現するものであり、運転操作装置である操作部21と、ステアリング装置機構である転舵部25と、転舵部25を制御する転舵角制御装置40とを含んでなる。
操作部21は運転者が操作する操向ハンドル21aを備え、この操向ハンドル21aの操作角θを転舵角制御装置40で処理し、この処理結果にもとづいて転舵部25のステアリングモータ25aを駆動させて転舵輪である左右の前輪WfL,WfRを転舵する。
なお、直線運動時のラック軸25cの位置は、転舵部25に設けられた転舵角センサ(操作状態検知手段)33によって転舵角δ(車両の操作状態量)として検出され、転舵角制御装置40にフィードバックされている。
コントロールユニット37の車速演算部(運動状態検知手段)52a(図2参照)では、入力された車輪速から車速Vactを演算して、転舵角制御装置40に車速Vactを入力する。
また、各車輪WfL,WfR,WrL,WrRには、ブレーキBfL,BfR,BrL,BrRが設けられ、ブレーキ制御ECU29により制御される。
ここで、左油圧クラッチCL、右油圧クラッチCR、ブレーキBfL,BfR,BrL,BrRが、特許請求の範囲に記載の「アクチュエータ」に対応する。
転舵角制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び所定の電気回路を備えたECU(電子制御ユニット)から構成され、図1に示すように、操作部21及び転舵部25とは信号伝達ケーブルを介して電気的に連結されている。
転舵角制御装置40は、操作部21の操作角検出センサ21c、操作トルクセンサ21dからの検出信号と、車速演算部52a(図2参照)からの車速Vactの信号を受け取り、前輪WfL、WfRの向くべき前輪目標転舵角を設定し、また、操作部21の操作反力モータ21eの制御を行う目標転舵角設定・操作反力制御部40aと、ステアリングモータ25aを駆動させるステアリングモータ制御部40bを含んで構成されている。
転舵角制御装置40の構成は、例えば、特開2004−224238号公報の図2に示されているものと同様である。
次に、油圧回路28を介して駆動力伝達装置Tによる左右の前輪WfL,WfRそれぞれへの駆動トルクを制御したり、ブレーキ制御ECU29を介して各車輪WfL,WfR,WrL,WrRそれぞれの制動力を制御したりして、車両1の重心回りのヨーモーメントを制御するコントロールユニット37における制御ロジックを、図2を参照しながら、適宜、図1を参照して説明する。
なお、ここでは、エンジンECU27は、トランスミッションT/Mの減速比を制御する機能も有しているとしている。
FF目標値設定部51は、操向ハンドル21aの操作角θや、セレクトレバーの選択位置や、アクセルペダルの踏み込み量やブレーキペダルの踏み込み量等の運転操作入力(車両の操作状態量)、実状態量取得部52の車速演算部52aで演算された車速Vact(車両の運動状態量)を読み込み、ブレーキBfL,BfR,BrL,BrRや、左右油圧クラッチCL,CR、トランスミッション減速比等のそれぞれのFF目標値を設定する。
このFF目標値設定部51は、例えば、前記特許文献3の段落[0372]〜[0377]及び図17に記載のように、制動力の車輪WfL,WfR,WrL,WrRへのFF目標値、駆動力の左右前輪WfL,WfRへのFF目標値を設定する。FF目標値とは、具体的には、前輪WfLに対して、ブレーキBfLによるFF目標第1輪ブレーキ駆動・制動力を、前輪WfRに対して、ブレーキBfRによるFF目標第2輪ブレーキ駆動・制動力を、後輪WrLに対して、ブレーキBrLによるFF目標第3輪ブレーキ駆動・制動力を、後輪WrRに対して、ブレーキBrRによるFF目標第4輪ブレーキ駆動・制動力を演算設定する。
また、FF目標値として、前輪WfLに対して、左油圧クラッチCLによるFF目標第1輪駆動系駆動・制動力を、前輪WfRに対して、右油圧クラッチCRによるFF目標第2輪駆動系駆動・制動力を演算設定する。さらに、FF目標値として、トランスミッションT/MのFF目標ミッション減速比を演算設定しても良い。
次に、実状態量取得部52は、セレクトレバーポジションセンサ2からの選択位置信号、アクセルペダルポジションセンサ3からの踏み込み量を示す信号、ブレーキペダルポジションセンサ4からの踏み込み量を示す信号、操作角検出センサ21cからの操向ハンドル21aの操作角θを示す信号、ヨーレートセンサ31から車両1の実ヨーレートγactを示す信号、横方向加速度センサ32から車両1の横方向加速度Gsを示す信号、4つの車輪速センサ30(図1では本実施形態では、30fL、30fR、30rL、30rRと表示)からの各車輪速Vwを示す信号、転舵角センサ33からの転舵角δを示す信号等を取得する。
実状態量取得部52は、機能ブロックとして、さらに、車速演算部(運動状態検知手段)52a、摩擦係数推定演算部(実姿勢状態量推定手段)52b、実車体横滑り角演算部(実姿勢状態量推定手段)52c、実前輪横滑り角演算部(実姿勢状態量推定手段)52d、実後輪横滑り角演算部(実姿勢状態量推定手段)52e、実横滑り角速度演算部(実姿勢状態量推定手段)52f、実状態量判定部52g、代替値算出部(実姿勢状態量推定手段)52h、タイヤ特性設定部(実姿勢状態量推定手段)52i、バンク角推定演算部52kを有している。
なお、実状態量取得部52は、ヨーレートセンサ31からの検知信号を取得して、中点学習をして、左右のヨーレートが発生していない状態をゼロ点として補正された実ヨーレートγactを、実状態量取得部52の他の機能ブロックに出力する機能ブロックとしてのヨーレート中点学習補正部や、転舵角センサ33からの検知信号を取得して、中点学習をして、中立状態(車両1の直進状態)をゼロ点として補正された転舵角δを、実状態量取得部52の他の機能ブロックに出力する機能ブロックとしての転舵角中点学習補正部等も有しているが、図2では省略してある。
ちなみに、中点学習をして補正された実ヨーレートγactは偏差演算部55に入力される。
車速演算部52aは、例えば、特開2000−85558号公報に開示されているように公知の方法を用い、車輪速センサ30からの各車輪速Vw等にもとづいて車速Vact(車両の運動状態量)を演算する。特に、ブレーキペダルが操作されていないときは、従動輪である後輪WrL,WrRの車輪速センサ30rL,30rRの示す各車輪速Vwの平均値が車速Vactである。車速演算部52aは、車輪速センサ30からの各車輪速Vwと車速Vactから各車輪Wのスリップ率も演算する。
本実施形態は、車速Vactを車輪速センサ30fL,30fR,30rL,30rRから算出することに限定されず、車両1が車輪速センサ30fL,30fR,30rL,30rRとは別に、対地速度を直接検出する公知の車速センサを備え、実状態量取得部52が車速センサから車速Vactを示す信号を取得する構成としても良い。
摩擦係数推定演算部52bは、例えば、特開2000−85558号公報に開示されているように公知の方法を用い、横方向加速度Gs、実ヨーレートγact、タイヤ特性設定部52iからの各車輪Wごとのタイヤ特性(実車輪横すべり角−コーナリングフォース特性、車輪Wのスリップ率−コーナリングフォース減少率特性、車輪Wのスリップ率−制・駆動特性)、車輪スリップ率、実前輪横滑り角演算部52dで演算された前輪WfL,WfRの横滑り角βf_act、実後輪横滑り角演算部52eで演算された、後輪WrL,WrRの横滑り角βr_act等にもとづいて車両の実姿勢状態量のパラメータの1つである路面の摩擦係数μを推定演算する。
摩擦係数推定演算部52bは、推定した路面の摩擦係数μの結果を実状態量判定部52gに出力する。
実車体横滑り角演算部52cは、例えば、特開2000−85558号公報に開示されているように公知の方法を用い、転舵角δ、実ヨーレートγact、横方向加速度Gs、車速Vact、各車輪Wのスリップ率等にもとづいて公知の方法で実車体横滑り角(車両の実姿勢状態量)βz_actを推定演算する。ここで、実車体横滑り角βz_actは、図3に示すように車両1の重心回りの車体横滑り角であり、車体スリップ角とも言われる。ここでは、前記した規範動特性モデル演算部54において演算される重心回りの車体横滑り角である規範車体横滑り角βz_dと区別するために実車体横滑り角βz_actと称する。
実車体横滑り角演算部52cにおいて推定演算された実車体横滑り角βz_actは、偏差演算部55に入力される。
実前輪横滑り角演算部52dは、前輪WfL,WfRの実横滑り角βf_act(以下、単に「前輪実横滑り角(車両の実姿勢状態量)βf_act」と称する)を、実車体横滑り角βz_act、実ヨーレートγact、車速Vact、転舵角δにもとづいて公知の方法で演算する。また、実後輪横滑り角演算部52eは、後輪WrL,WrRの実横滑り角βr_act(以下、単に「後輪実横滑り角(車両の実姿勢状態量)βr_act」と称する)を、実車体横滑り角βz_act、実ヨーレートγact、車速Vactにもとづいて公知の方法で演算する。
例えば、次式(1)のように前輪実横滑り角βf_actは演算でき、次式(2)のように後輪実横滑り角βr_actは演算できる。
βf_act=βz_act+Lf・γact/Vact−δ ・・・・(1)
βr_act=βz_act−Lr・γact/Vact ・・・・・・(2)
ここで、Lfは、車両1の重心と前輪WfL,WfRのドライブシャフトAL,ARとの前後方向距離であり、Lrは、車両1の重心と後輪WrL,WrRの回転軸との前後方向距離である(図3参照)。
実前輪横滑り角演算部52dで演算された前輪実横滑り角βf_actは、アクチュエータ動作目標値合成部59に入力される。
実後輪横滑り角演算部52eで演算された後輪実横滑り角βr_actは、加算部66およびアクチュエータ動作目標値合成部59に入力される。
実横滑り角速度演算部52fは、実車体横滑り角演算部52cで周期的に演算された前回の実車体横滑り角βz_actと今回の実車体横滑り角βz_actにもとづいて、時間微分し、実車体横滑り角速度(車両の実姿勢状態量)β′z_actを演算する。実横滑り角速度演算部52fで演算された実車体横滑り角速度β′z_actは、偏差演算部55に入力される。
また、実横滑り角速度演算部52fは、実後輪横滑り角演算部52dで周期的に演算された前回の後輪実横滑り角βr_actと今回の後輪実横滑り角βr_actにもとづいて、時間微分し、後輪実横滑り角速度(車両の実姿勢状態量)β′r_actを演算する。実横滑り角速度演算部52fで演算された輪実横滑り角速度β′r_actは、後輪実横滑り角補正部65に入力される。
バンク角推定演算部52kは、公知の方法で、例えば、特開平11−59367号公報の特に段落[0094]に開示されているように、横方向加速度Gs、実ヨーレートγactにもとづいてバンク角を推定する。
次に、実状態量判定部52gの機能について説明する。
実状態量判定部52gは、前記した各種センサ、セレクトレバーポジションセンサ2、アクセルペダルポジションセンサ3、ブレーキペダルポジションセンサ4、車輪速センサ30fL,30fR,30rL,30rR、ヨーレートセンサ31、横方向加速度センサ32、転舵角センサ33からの信号を監視し、必要に応じて、代替値算出部52hに制御指令を出したり、仮想外力演算制御部62に制御指令を出したりする。
実車体横滑り角演算部52cにおける実車体滑り角βz_actの推定演算には、実ヨーレートγactと転舵角δとは重要なパラメータである。
なお、実状態量判定部52gは、セレクトレバーによる後退走行の検出によらず、ヨーレートセンサ31からの実ヨーレートγactの示すヨーレート方向と、横方向加速度センサ32からの横方向加速度Gs及び転舵角センサ33からの転舵角δにもとづき決定される公転ヨーレートとのそれぞれの符号(方向性)によって車両1の後退走向を検出判定するように構成することも可能である。
さらに、実状態量判定部52gは、摩擦係数推定演算部52bから入力された路面の摩擦係数μの結果が、所定値以下の場合は、路面摩擦係数が低μであることを示す低μフラグ信号を仮想外力演算制御部62に入力する。
次に、代替値算出部52hについて説明する。
先ず、ヨーレートセンサ31からの検知信号にもとづく実ヨーレートγactが使用できない場合の、代替値算出部52hにおける実ヨーレートγactの代替値γalt及び実車体横滑り角βz_actの代替値βz_altの算出方法について説明する。この算出方法には、以下の2通りの方法が考えられる。先ず、第1の方法(手法A)について説明する。
〈第1の方法−手法A〉
βz_alt=Kβ(Vact)・δ ・・・・・・・・・・・・・(3A)
γalt=Kγ(Vact)・δ ・・・・・・・・・・・・・・・(4A)
ここで、Kβ(Vact)は、転舵角δから代替値βz_altを算出する際の車速Vactの関数のゲインであり、Kγ(Vact)は、転舵角δから代替値γaltを算出する際の車速Vactの関数のゲインである。
次に、第2の方法(手法B)について説明する。この第2の方法は、次式(5)に示すように車速Vactと横加速度Gsを用いる方法である。
γalt=γG=Gs/Vact ・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
また、算出されたγaltを用いて、式(4A)において代替値γaltとゲインKγ(Vact)を用い転舵角δの代替値δaltを逆算して得、さらに、式(3A)において、転舵角δの代わりに代替値δaltを代入して代替値βz_altを算出する。
この第2の方法において、代替値δaltを介して式(3A)により代替値βz_altを算出する方法を説明したが、それに限定されるものではない。手法Bの変形として転舵角δを用いて式(3A)により代替値βz_altを直接算出しても良い。
ちなみに、式(5)のγGは、「公転ヨーレート」と称されるものであり、車両1が旋回中に旋回円の接線方向に向いていると仮定した場合のヨーレートであり、実車体横滑り角βz_actの時間変化分を含んでいない近似値である。
〈第1の方法−手法C〉
この第1の方法(手法C)は、次式(6),(3B)に示すように実ヨーレートγactと車速Vactを用いる方法である。
δalt=Kδ(Vact)・γact ・・・・・・・・・・・・・(6)
βz_alt=Kβ(Vact)・δalt ・・・・・・・・・・・(3B)
ここで、Kδ(Vact)は、実ヨーレートγactから転舵角δの代替値δaltを算出する際の車速Vactの関数のゲインである。
〈第2の方法−手法B〉
第2の方法は、前記した手法Bを用いる。ただし、転舵角δが使えないので手法Bの変形を用いることはできない。
Gsalt=γact・Vact ・・・・・・・・・・・・・・(7)
γalt=(VwR−VwL)/Vact ・・・・・・・・・・・(4B)
ここで、VwR,VwLは、例えば、従動輪である後輪WrL,WrRのそれぞれの車輪速とするが、次式(4C)のように右側の前後輪WfR,WrRの平均車輪速〈VwR〉、左側の前後輪WfL,WrLの平均車輪速〈VwL〉としても良い。
γalt=(〈VwR〉−〈VwL〉)/Vact ・・・・・・・(4C)
そして、式(7)において、式(4B)、または式(4C)により算出した代替値γaltをγactの代わりに代入して、横方向加速度Gsの代替値Gsaltを得ることができる。
また、実車体横滑り角βz_actの代替値βz_altは、式(3A)により容易に算出可能である。
このヨーレートセンサ31と横方向加速度センサ32が同時に使用不可能の場合に、代替値γaltを式(4B)、または式(4C)を用いることに限定されることはなく、式(4A)を用いることは当然可能である。
規範操作量決定部53は、前記した規範動特性モデル演算部54に対する入力としての規範モデル操作量を決定する。本実施形態では、規範操作量決定部53には、車両1の前輪WfL,WfRの転舵角(以下、モデル転舵角δdという)である。このモデル転舵角δdを決定するために、操向ハンドル21a(図1参照)の操作角θ(今回値)が規範操作量決定部53に主たる入力量として入力されるとともに、実状態量取得部52によって演算された車速Vact(今回値)、及び推定摩擦係数μ(今回値)と、規範動特性モデル演算部54上での車両1の状態量(前回値)とが規範操作量決定部53に入力される。そのため、規範操作量決定部53は、規範動特性モデル演算部54上での車両1の状態量を一時保持する前回状態量保持部53aを有している。
そして、規範操作量決定部53は、これらの入力にもとづいてモデル転舵角δdを決定する。モデル転舵角δdは、基本的には、操作角θに応じて決定すれば良い。但し、本実施形態では、規範動特性モデル演算部54に入力するモデル転舵角δdに所要の制限を掛ける。この制限を掛けるために、規範操作量決定部53には、操作角θ以外に、車速Vact、推定された路面摩擦係数μ等が入力される。
ちなみに、規範操作量決定部53は、特許第4143111号公報の段落[0127]〜[0129]等に記載されている「規範操作量決定部14」に対応する。
次に、図2、図3を参照しながら規範動特性モデル演算部54について説明する。図3は、車両の動特性モデルにおけて考えるモデル車両上の符号の説明図である。
規範動特性モデル演算部54は、車両1の規範とする運動の状態量である規範姿勢状態量をあらかじめ定められた車両動特性モデルを用いて決定して出力する。車両動特性モデルは、車両1の動特性を表し、前記した規範モデル操作量を含む所要の入力をもとに、規範姿勢状態量を逐次演算する。この車両1の規範とする運動は、基本的には、運転者にとって好ましいと考えられる車両1の理想的な運動もしくはそれに近い運動を意味する。
規範動特性モデル演算部54には、規範操作量決定部53で決定された規範モデル操作量、並びに、仮想外力演算部61で演算されたフィードバック制御入力である仮想外力ヨーモーメントMvと、アンチスピン仮想ヨーモーメントFB部69で演算されたアンチスピン・仮想FBヨーモーメントMv1_aspを加算した結果が入力され、それらの入力にもとづいて規範姿勢状態量、具体的には、例えば、規範ヨーレートγd、規範車体横滑り角βz_dが、積分演算を含む繰り返し計算で時系列的に演算される。
本実施形態における規範動特性モデルを、図3を参照して簡単に説明する。図3は本実施形態における規範動特性モデル上のモデル車両の説明図である。モデル車両1dは、車両1の動特性を、1つの前輪Wfと1つの後輪Wrとを前後に備えた車両1の水平面上での動特性(動力学特性)によって表現するモデル(いわゆる2輪モデル)である。モデル車両1dの前輪Wfは、実際の車両1の2つの前輪WfL,WfRを一体化した車輪Wに相当し、モデル車両1dの転舵輪である。後輪Wrは、実際の車両1の後輪WrL,WrRを一体化した車輪Wに相当し、本実施形態では非転舵輪である。
このモデル車両1dは、公知のものであり、前記しなかった符号の説明だけし、詳細な説明は省略する。
なお、この式(8)の右辺の第3項(Mvを含む項)を除いた式は、例えば「自動車の運動と制御」と題する公知の文献(著者:安部正人、発行者:株式会社山海堂、平成15年4月10日第2版第1刷発行。以降、非特許文献1という)に記載されている公知の式(3.12),(3.13)と同等である。
m:モデル車両1dの総質量
Kf:モデル車両1dの前輪Wfを2つの左右の前輪WfL,WfR(図1参照)の連
結体とみなしたときの1輪当たりのコーナリングパワー
Kr:モデル車両1dの後輪Wrを2つの左右の後輪WrL,WrR(図1参照)の連
結体とみなしたときの1輪当たりのコーナリングパワー
Lf:モデル車両1dの前輪Wfの中心と重心点CGとの前後方向の距離
Lr:モデル車両1dの後輪Wrの中心と重心点CGとの前後方向の距離
I:モデル車両1dの重心点CGにおけるヨー軸まわりの慣性モーメント
である。
これらのパラメータの値は、あらかじめ設定された値である。この場合、例えば、m,I,Lf,Lrは、車両1におけるそれらの値と同一か、もしくはほぼ同一に設定される。また、Kf,Krは、それぞれ車両1の前輪WfL,WfR,後輪WrL,WrRのタイヤの特性を考慮して設定される。
なお、式(8)においてd(βz_d)/dtは、モデル車両1dの規範車体横滑り角速度β′z_dのことである。
次に、図2に戻って偏差演算部55について説明する。
偏差演算部55は、実状態量取得部52から入力された実姿勢状態量である実ヨーレートγact、実車体横滑り角βz_act、実車体横滑り角速度β′z_actと、規範動特性モデル演算部54から入力された規範姿勢状態量である規範ヨーレートγd、規範車体横滑り角βz_d、規範車体横滑り角速度β′z_dそれぞれの偏差γerr,βerr,β′errを演算してフィードバック目標値演算部56及び仮想外力演算部61に入力する。ここで、偏差γerr,βerr,β′errはそれぞれ次式(9)、(10A),(10B)により演算する。
γerr=γact−γd ・・・・・・・・・・・・・・・・・(9)
βerr=βz_act−βz_d ・・・・・・・・・・・・・・(10A)
β′err=β′z_act−β′z_d ・・・・ ・・・・・・(10B)
FB目標値演算部56は、偏差γerr,βerr,β′errにもとづいて車両1の重心点回りのヨーモーメント制御を、前輪WfL,WfR、後輪WrL,WrRに対する左右の制動力の配分でブレーキ制御ECU29を介して行う、または、駆動輪である前輪WfL,WfRの左右の駆動力の配分で油圧回路28を介して行う際の規範FB目標ヨーモーメントMc_nom1を次式(11)で演算し、フィードバック不感帯処理部57に入力する。
Mc_nom1=K1・γerr+K2・βerr+K3・β′err
・・・・・・・・(11)
ここで、K1,K2,K3は、予め設定されたフィードバック・ゲインである。
フィードバック不感帯処理部57は、入力される規範FB目標ヨーモーメントMc_nom1に対して、例えば、±750Nm(ニュートン・メートル)の間の不感帯を設けて、規範FB目標ヨーモーメントMc_nom2を出力処理する。このように、入力される規範FB目標ヨーモーメントMc_nom1に対して出力される規範FB目標ヨーモーメントMc_nom2に不感帯を設けることにより、わずかな偏差γerr,βerrに対して絶えずヨーモーメント制御のフィードバックがなされて、乗員に不快感を与えないような安定したヨーモーメント制御とする。
フィードバック不感帯処理部57から出力された規範FB目標ヨーモーメントMc_nom2は、加算部58に入力される。
次に、図2に戻って後輪実横滑り角補正部65、加算部66、後輪横滑り角不感帯処理部67、アンチスピン目標ヨーモーメントFB部68等によるアンチスピン目標ヨーモーメントFB(フィードバック)制御について説明する。この制御は、オーバステアによる車両1(図1参照)のスピンを抑制するために、車両1の重心点回りのヨーモーメント制御を、前輪WfL,WfR、後輪WrL,WrRに対する左右の制動力の配分でブレーキ制御ECU29を介して行う、または、駆動輪である前輪WfL,WfRの左右の駆動力の配分で油圧回路28を介して行う際のアンチスピン・FB目標ヨーモーメントMc1_aspを、後記する式(12)で演算し、加算部58に入力するものである。
後輪実横滑り角補正部65は、実状態量取得部52の実横滑り角速度演算部52fで演算された実後輪横滑り角速度β′r_actに定数K4を乗じて加算部66に入力する。加算部66では、それと、実状態量取得部52の実後輪横滑り角演算部52eで演算された実後輪横滑り角βr_actを加算して実後輪横滑り角βr_act1として後輪横滑り角不感帯処理部67に入力する。
アンチスピン目標ヨーモーメントFB部68は、次式(12)に従って、アンチスピン・FB目標ヨーモーメントMc1_aspを演算し、加算部58にその結果を入力する。
Mc1_asp=K5・βr_act2 ・・・・・・・・・・・(12)
ここで、K5は、予め設定されたフィードバック・ゲインである。
ここで、前記した加算部66は、実後輪横滑り角速度β′r_actの絶対値大きいほど、車両1がオーバステア状態であり、オーバステア状態を抑制するために、後輪実横滑り角補正部65において実後輪横滑り角速度β′r_actに定数K4を乗じた結果を実後輪横滑り角βr_actに加算するものである。
次に、アクチュエータ動作目標値合成部59について説明する。
アクチュエータ動作目標値合成部59には、エンジンECU27からエンジントルク、エンジン回転速度等、トランスミッションT/Mの減速段を示す信号が入力され、また、アクセルペダルポジションセンサ3から信号とブレーキペダルポジションセンサ4からの信号、実状態量取得部52の車速演算部52aからの車速Vact等が入力されている。
そして、アクチュエータ動作目標値合成部59は、前記した加算部58から入力されたFB目標ヨーモーメントMc2を各車輪Wの駆動・制動力に分配するアクチュエータ動作FB目標値分配処理部59aと、アクチュエータ動作FB目標値分配処理部59aで演算した結果とFF目標値設定部51から入力されたFF目標値を加算して、油圧回路28及びブレーキ制御ECU29に出力する合成出力部59bを有している。
具体的には、合成出力部59bは、FF目標値設定部51において設定されたFF目標第1輪ブレーキ駆動・制動力及びFF目標第1輪駆動系駆動・制動力、並びにアクチュエータ動作FB目標値分配処理部59aで演算設定されたFB目標第1輪ブレーキ駆動・制動力にもとづいて、ブレーキBfLによる目標第1輪ブレーキ駆動・制動力と目標第1輪スリップ比を演算して、ブレーキ制御ECU29に出力する。
合成出力部59bは、FF目標値設定部51において設定されたFF目標第2輪ブレーキ駆動・制動力及びFF目標第2輪駆動系駆動・制動力、並びにアクチュエータ動作FB目標値分配処理部59aで演算設定されたFB目標第2輪ブレーキ駆動・制動力にもとづいて、ブレーキBfRによる目標第2輪ブレーキ駆動・制動力と目標第2輪スリップ比を演算して、ブレーキ制御ECU29に出力する。
合成出力部59bは、FF目標値設定部51において設定されたFF目標第3輪ブレーキ駆動・制動力及びFF目標第3輪駆動系駆動・制動力、並びにアクチュエータ動作FB目標値分配処理部59aで演算設定されたFB目標第3輪ブレーキ駆動・制動力にもとづいて、ブレーキBrLによる目標第3輪ブレーキ駆動・制動力と目標第3輪スリップ比を演算して、ブレーキ制御ECU29に出力する。
合成出力部59bは、FF目標値設定部51において設定されたFF目標第4輪ブレーキ駆動・制動力及びFF目標第4輪駆動系駆動・制動力、並びにアクチュエータ動作FB目標値分配処理部59aで演算設定されたFB目標第4輪ブレーキ駆動・制動力にもとづいて、ブレーキBfLによる目標第4輪ブレーキ駆動・制動力と目標第4輪スリップ比を演算して、ブレーキ制御ECU29に出力する。
次に、仮想外力演算部61について説明する。
仮想外力演算部61は、偏差γerr,βerrにもとづいてモデル車両1dの重心点CG回りの仮想外力ヨーモーメントMvを次式(13)で演算し、加算部63に入力する。
Mv=K8・(K6・γerr+K7・βerr) ・・・・・・・・(13)
この仮想外力演算部61の機能は、フィードバック・ゲインK8を乗ずることを除き、例えば、前記した特許文献3の図9等に記載の仮想外力仮値決定部201にほぼ対応する。ただし、本実施形態では仮想外力ヨーモーメントMvのみを演算する点で異なる。
ここで、K6,K7は、予め設定されたフィードバック・ゲインである。また、K8は、仮想外力演算制御部62によって設定制御されるフィードバック・ゲインである。
次に、図2を参照しながらアンチスピン仮想ヨーモーメントFB(フィードバック)制御について説明する。この制御は、オーバステアによるモデル車両1d(図1参照)のスピンを抑制するために、モデル車両1dの重心点CG(図3参照)回りのアンチスピン・仮想FBヨーモーメントMv1_aspを、次式(14)で演算し、加算部63に入力するものである。
Mv1_asp=K9・βr_act2 ・・・・・・・・・・・(14)
ここで、K9は、予め設定されたフィードバック・ゲインである。ちなみに、フィードバック・ゲインK9は、値がフィードバック・ゲインK5と同じでも良い。
加算部63では、仮想外力ヨーモーメントMvとアンチスピン・仮想FBヨーモーメントMv1_aspを加算して、規範動特性モデル演算部54に入力する。
次に、図4を用いて、実状態量取得部52における路面摩擦係数の推定演算について説明する。
図4は、摩擦係数推定演算部を説明するための機能ブロック図である。
図4に示すように、実状態量取得部52の路面摩擦係数推定演算部52bは、路面摩擦係数(路面摩擦係数推定値μest )を推定する路面摩擦係数推定値演算部110と、前後力推定値演算部120と、横力推定値演算部125と、車体慣性力演算部130とを有する。また、路面摩擦係数推定演算部52bは、路面摩擦係数(路面摩擦係数推定値μest )を推定するための車両モデル101とタイヤモデル102を有している。更に、路面摩擦係数推定演算部52bは、後述する路面摩擦係数相当値決定部200と、実路面摩擦係数推定部400とを有する。
ちなみに、タイヤ特性設定部52iは、例えば、特開2000−85558号公報の段落[0013]及び図4に開示されているタイヤ特性設定手段12に対応する。
車体慣性力演算部130は、車両モデル101により車体慣性力Iw ・dω/dtを演算する。
路面摩擦係数推定値演算部110が推定する推定路面摩擦係数(路面摩擦係数推定値μest )を補正するための路面摩擦係数相当値μfit を決定する路面摩擦係数相当値決定部200について、図5を用いて説明する。
図5は、路面摩擦係数相当値決定部を説明するための機能ブロック図である。
本実施形態の路面摩擦係数相当値決定部200は、各輪前後力演算部201と、実状態量取得部52と、前後力偏差演算部202と、横力演算部203と、横力偏差演算部204と、路面摩擦係数相当値演算部205とを有する。
なお、各輪前後力演算部201は、後述する前後力補償量演算部301にエンジントルクTe と、ブレーキトルクTb とを出力し、後述する前後力補償量制限部302に車輪角加速度dω/dtを出力する。
ここで、図6を用いて、車両の備える車輪の車軸周りの運動方程式から、タイヤが路面から受ける車両の前後方向の路面反力(前後力観測値)Fx_obs の関係について説明する。
図6は、車輪の車軸周りの運動方程式を説明するための模式図である。
図6に示すように、車輪の車軸周りの運動方程式は、車輪の慣性力IW ・dω/dt(ただし、IW は車輪に係る慣性質量、ωは車輪角速度、dω/dtは車輪角加速度を表す)、駆動力としてのエンジントルクTe 、制動力としてのブレーキトルクTb 、タイヤ半径r、および、タイヤが路面から受ける車両の前後方向の路面反力Fx とすると、以下の(15)式の関係が成立する。
IW ・dω/dt=Te −Tb −Fx ・r ・・・(15)
また、ブレーキトルクTb は各輪前後力演算部201に入力されたブレーキ液圧Pと車両の設計により決定されるブレーキングファクタにより一義的に決定される。
車輪角速度ωは、各輪前後力演算部201に入力された車輪速Vw と車両の設計により決定されるタイヤ半径rとから、
ω=Vw /r ・・・(16)
により決定される。
車輪角加速度dω/dtは、擬似微分により時定数Tm を用いて、
dω/dt=ω・s/(Tm・s+1) ・・・(17)
により決定される。
Fx =(Te −Tb −IW ・dω/dt)/r
=Fe −Fb −IW ・r-1・dω/dt ・・・(18)
ここで、エンジン力Fe 、ブレーキ力Fb は、
Fe =Te ・r-1 ・・・(19)
Fb =Tb ・r-1 ・・・(20)
である。
なお、各輪前後力演算部201は、後述する前後力補償量演算部301にエンジントルクTe と、ブレーキトルクTb とを出力し、後述する前後力補償量制限部302に車輪角加速度dω/dtを出力する。
なお、実状態量取得部52は、後述する前後力補償量演算部301に車体慣性力Iw ・dω/dtを出力する。
ここで、図4に示す実路面摩擦係数推定部400について説明する。
実路面摩擦係数推定部400において、路面摩擦係数推定値演算部110がタイヤモデル102に基づき推定した路面摩擦係数推定値μest と、路面摩擦係数相当値決定部200により決定された路面摩擦係数相当値μfit とを加算し、実路面摩擦係数μ(即ち、μ=μest +μfit )とする。
これにより、各センサから推定した路面反力(前後力観測値、横力観測値)とタイヤモデル102を用いて推定したタイヤ発生力(モデルの前後力推定値、モデルの横力推定値)とが近い値になるように推定路面摩擦係数(路面摩擦係数推定値)を修正し、修正した推定路面摩擦係数(実路面摩擦係数)とすることができる。
次に、図5に示す前後力補償量演算部301および前後力補償量制限部302について説明する。
前後力補償量演算部301および前後力補償量制限部302は、路面摩擦係数相当値決定部200の路面摩擦係数推定演算部52bが有する車両モデル101に備えられている。
前述した運動方程式をもとに演算された推定路面摩擦係数は平面モデルであり、例えば傾斜した路面を車両が走行している状況においては、比較すべきモデルの前後力推定値Fx_mod と、前後力観測値Fx_obs とのうち、モデルの前後力推定値Fx_mod が路面の傾斜によりオフセットされることで、モデルの前後力推定値Fx_mod と前後力観測値Fx_obs との間に大きなズレが発生する原因となる。
そこで、車両の走行状況を把握し、傾斜角としてモデルに反映することで、平面モデルを3次元化し車輪加速度(車輪速微分)を利用し、路面の傾斜による推進力を推定し、車両モデルに補正をかけ前後力の補償を行う必要がある。
IW ・dω/dt=Te −Tb −Fx ・r ・・・(15)
前後力補償量演算部301は、各輪前後力演算部201から出力されたエンジントルクTe およびブレーキトルクTb から得られる制駆動力(Te −Tb )と、実状態量取得部52から出力された車体慣性力Iw ・dω/dtとから、前後力補償量(即ち、Te−Tb −Iw ・dω/dt)を演算する。
図7のグラフに示すように、加速時および減速時において、車体慣性力と制駆動力には、位相のずれが発生し、不正な偏差が補償量として計算され、車両モデルの前後力をこのまま補正した場合不要な推定される路面摩擦係数μの低下が発生する。
前後力補償量制限部302は、dω/dt>0のとき、加速状態と判断し、前後力補償量が負値とならないように制限を行う。また、前後力補償量制限部302は、dω/dt<0のとき、減速状態と判断し、前後力補償量が正値とならないように制限を行う。
車両モデル101の前後力補償量演算部301により演算され、前後力補償量制限部302により制限された前後力補償量は、仮想外力として、実状態量取得部52の車両モデル101(タイヤモデル102)の前後力を補償する。
さらに、前後力補償量制限部302により、車体慣性力と制駆動力との偏差に対して、車両の加速または減速の方向性によって前後力補償量の制限を行うことにより、車体慣性力と制駆動力との位相ずれによる不正な前後力補償量が除かれ、必要な補正のみを行うことが可能となる。これにより、不要な推定路面摩擦係数の低下を防止できる。
3 アクセルペダルポジションセンサ(操作状態検知手段)
4 ブレーキペダルポジションセンサ(操作状態検知手段)
21c 操作角検出センサ(操作状態検知手段)
30 車輪速センサ(運動状態検知手段)
31 ヨーレートセンサ(運動状態検知手段)
32 横方向加速度センサ(運動状態検知手段)
33 転舵角センサ(操作状態検知手段)
37 コントロールユニット(車両の運動制御装置)
52a 車速演算部(運動状態検知手段)
52 実状態量取得部(運動状態検知手段、実姿勢状態量推定手段)
54 規範動特性モデル演算部(規範姿勢状態量演算手段)
55 偏差演算部
59 アクチュエータ動作目標値合成部(アクチュエータ制御部)
61 仮想外力演算部(モデル修正部)
63 加算部(モデル修正部)
101 車両モデル
102 タイヤモデル
110 路面摩擦係数推定値演算部
120 前後力推定値演算部
125 横力推定値演算部
130 車体慣性力演算部
200 路面摩擦係数相当値決定部
201 各輪前後力演算部
202 前後力偏差演算部
203 横力演算部
204 横力偏差演算部
205 路面摩擦係数相当値演算部
301 前後力補償量演算部
302 前後力補償量制限部(加減速状態判定手段、制限手段)
400 実路面摩擦係数推定部
Claims (3)
- 運転者の車両の操作状態量を検知する操作状態検知手段と、
前記車両の前後力を含む運動状態量を検知する運動状態検知手段と、
前記操作状態量及び前記運動状態量に対応した前記車両の規範姿勢状態量を、所定の外力が作用する状態における車両の運動モデルにもとづき演算する規範姿勢状態量演算手段と、
前記操作状態検知手段からの検知信号及び前記運動状態検知手段からの検知信号にもとづき、路面摩擦係数推定値を含む前記車両の実姿勢状態量を推定する実姿勢状態量推定手段と、
前記規範姿勢状態量と前記実姿勢状態量との偏差を演算する偏差演算部と、
前記偏差にもとづき前記運動モデルを修正するモデル修正部と、
前記偏差にもとづき車両運動を発生させるアクチュエータの駆動量を決定するアクチュエータ制御部と、
前記実姿勢状態量および前記前後力に基づき路面摩擦係数相当値を決定する路面摩擦係数相当値決定部と、
前記実姿勢状態量推定手段が推定した前記路面摩擦係数推定値と前記路面摩擦係数相当値決定部が決定した前記路面摩擦係数相当値に基づき、実路面摩擦係数を推定する実路面摩擦係数推定部とを備える
ことを特徴とする車両の運動制御装置。 - 前記路面摩擦係数相当値決定部は、前記実姿勢状態量である車体慣性力と前記前後力の差に基づき前記路面摩擦係数相当値を増減するよう構成されるとともに、
前記実路面摩擦係数推定部は、前記路面摩擦係数相当値が大きい場合に前記実路面摩擦係数推定値を増加補正するよう構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の運動制御装置。 - 前記車両の加減速状態を判別する加減速状態判定手段を備え、
前記加減速状態判定手段の判定した加減速状態に基づき、前記実路面摩擦係数推定値の増減量を制限する制限手段を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の車両の運動制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010083546A JP5351814B2 (ja) | 2010-03-31 | 2010-03-31 | 車両の運動制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010083546A JP5351814B2 (ja) | 2010-03-31 | 2010-03-31 | 車両の運動制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011213247A true JP2011213247A (ja) | 2011-10-27 |
JP5351814B2 JP5351814B2 (ja) | 2013-11-27 |
Family
ID=44943434
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010083546A Expired - Fee Related JP5351814B2 (ja) | 2010-03-31 | 2010-03-31 | 車両の運動制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5351814B2 (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015081090A (ja) * | 2013-10-24 | 2015-04-27 | ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニーThe Goodyear Tire & Rubber Company | 路面摩擦推定システムおよび方法 |
KR101567207B1 (ko) | 2014-04-16 | 2015-11-13 | 현대자동차주식회사 | 차량 제어 시스템 및 그의 자율 주행 방법 |
JP2019031119A (ja) * | 2017-08-04 | 2019-02-28 | クラリオン株式会社 | 車両用警報装置および車両用警報方法 |
CN112292717A (zh) * | 2018-07-02 | 2021-01-29 | 日立汽车***株式会社 | 预测控制装置 |
KR20210027697A (ko) * | 2019-09-02 | 2021-03-11 | 현대위아 주식회사 | 차량용 통합 제어 장치 |
CN115620513A (zh) * | 2022-09-20 | 2023-01-17 | 东南大学 | 基于韧性分析的城市道路网络状态监测方法及可视化*** |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0999826A (ja) * | 1995-10-06 | 1997-04-15 | Toyota Motor Corp | 車輌の挙動制御装置 |
JP2003118554A (ja) * | 2001-10-11 | 2003-04-23 | Honda Motor Co Ltd | 路面摩擦係数の算出装置 |
JP2003170822A (ja) * | 2001-12-07 | 2003-06-17 | Honda Motor Co Ltd | ヨーモーメントフィードバック制御方法 |
JP2006193038A (ja) * | 2005-01-13 | 2006-07-27 | Honda Motor Co Ltd | 車両の運動状態制御装置 |
-
2010
- 2010-03-31 JP JP2010083546A patent/JP5351814B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0999826A (ja) * | 1995-10-06 | 1997-04-15 | Toyota Motor Corp | 車輌の挙動制御装置 |
JP2003118554A (ja) * | 2001-10-11 | 2003-04-23 | Honda Motor Co Ltd | 路面摩擦係数の算出装置 |
JP2003170822A (ja) * | 2001-12-07 | 2003-06-17 | Honda Motor Co Ltd | ヨーモーメントフィードバック制御方法 |
JP2006193038A (ja) * | 2005-01-13 | 2006-07-27 | Honda Motor Co Ltd | 車両の運動状態制御装置 |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015081090A (ja) * | 2013-10-24 | 2015-04-27 | ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニーThe Goodyear Tire & Rubber Company | 路面摩擦推定システムおよび方法 |
KR101567207B1 (ko) | 2014-04-16 | 2015-11-13 | 현대자동차주식회사 | 차량 제어 시스템 및 그의 자율 주행 방법 |
US9771072B2 (en) | 2014-04-16 | 2017-09-26 | Hyundai Motor Company | Vehicle control system and method for self-control driving thereof |
JP2019031119A (ja) * | 2017-08-04 | 2019-02-28 | クラリオン株式会社 | 車両用警報装置および車両用警報方法 |
CN112292717A (zh) * | 2018-07-02 | 2021-01-29 | 日立汽车***株式会社 | 预测控制装置 |
CN112292717B (zh) * | 2018-07-02 | 2022-10-04 | 日立安斯泰莫株式会社 | 预测控制装置 |
KR20210027697A (ko) * | 2019-09-02 | 2021-03-11 | 현대위아 주식회사 | 차량용 통합 제어 장치 |
KR102255322B1 (ko) * | 2019-09-02 | 2021-05-26 | 현대위아 주식회사 | 차량용 통합 제어 장치 |
CN115620513A (zh) * | 2022-09-20 | 2023-01-17 | 东南大学 | 基于韧性分析的城市道路网络状态监测方法及可视化*** |
CN115620513B (zh) * | 2022-09-20 | 2023-10-03 | 东南大学 | 基于韧性分析的城市道路网络状态监测方法及可视化*** |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5351814B2 (ja) | 2013-11-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4918149B2 (ja) | 車両の運動制御装置 | |
JP4918148B2 (ja) | 車両の運動制御装置 | |
JP5462373B2 (ja) | 車両の運動制御装置 | |
CN101657345B (zh) | 用于估计车轮的接地面摩擦状态的装置和方法 | |
US8989964B2 (en) | Vehicle speed control device | |
KR20120046638A (ko) | 독립 다축 구동형 차량 | |
JP5351814B2 (ja) | 車両の運動制御装置 | |
JP4871103B2 (ja) | 車両の運動制御装置 | |
JP4519439B2 (ja) | 車両挙動検出装置、及び車両挙動検出装置を用いた車両挙動制御装置 | |
CN112752691A (zh) | 一种车辆前后驱动扭矩分配方法、装置及车辆 | |
KR20130052790A (ko) | 차량 동적 성능 향상 장치 및 방법 | |
JP2008239115A (ja) | 車両の運動制御装置 | |
JP4638185B2 (ja) | 車両の挙動制御装置 | |
JP3853907B2 (ja) | 電気自動車用駆動制御装置 | |
JP4423961B2 (ja) | 電動車両のモータ出力制御装置 | |
JP2010260544A (ja) | 加加速度情報を用いた車両の運動制御方法 | |
WO2022113740A1 (ja) | 車両統合制御装置、および、車両統合制御方法 | |
US11958465B2 (en) | Vehicle control system | |
JP2010208366A (ja) | 車両運動制御システム | |
JP2002178944A (ja) | 電気自動車用操舵装置 | |
JP5369039B2 (ja) | 車両の運動制御装置 | |
JP4284211B2 (ja) | 車両の操舵制御装置 | |
JP2018047760A (ja) | 車両姿勢制御装置 | |
KR100836292B1 (ko) | 사륜구동 하이브리드 차량의 구동력 제어방법 | |
JP6679348B2 (ja) | 車両の前後速度推定装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20121128 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130628 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130702 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130722 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130806 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130823 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5351814 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |