JP2011208745A - 転がり軸受 - Google Patents

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尚弘 岡田
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Abstract

【課題】軸受の内外輪の軌道面及び転動体の脆性剥離及び圧痕起因剥離を抑制して、軸受寿命の向上を図る。
【解決手段】重量比でクロムを1.80〜1.89%含む鋼(耐脆性剥離鋼)に浸炭窒化処理を施して焼入れ焼戻し処理を行う。このクロムは、炭素の凝集体である白層の発生を低減し、この白層に起因する軌道面1a、4a等の脆性剥離を抑制する一方で、前記焼入れ焼戻し処理によって得られる残留オーステナイト領域5は、鋼の表面に靭性を与え、摩耗粉等の異物に起因する圧痕起因剥離を抑制する。この脆性剥離と圧痕起因剥離の両方を抑制することで、軸受の寿命の向上を図ることができるとともに、潤滑油の交換等のメンテナンスに要するコストの低減を図ることができる。
【選択図】図1

Description

この発明は、内外輪の軌道面や転動体表面の脆性剥離や潤滑油中の異物による圧痕起点の剥離を抑制した、トランスミッション等の自動車用部品に用いられる転がり軸受に関する。
転がり軸受は、本願発明の実施形態である図1に示すように、内輪1に保持器2を被せるとともにこの保持器2に鋼球等からなる転動体3を収納し、さらに外輪4を取り付け、この内輪1と外輪4が軸心周りにスムーズに相対回転するようにしたものである。この内外輪1、4と転動体3は潤滑油で潤滑される。この潤滑油は使用開始当初は清浄な状態であるが、軸受の使用とともにギア等の軸受の周辺構造から発生した摩耗粉が混入する。そして、この摩耗粉は内外輪1、4の軌道面1a、4aと転動体3の間に噛み込まれ、この軌道面1a、4a及び転動体3の表面を摩耗し、軸受の寿命が短縮するという問題がある。
この摩耗粉によって引き起こされる軸受の軌道面1a、4a等の剥離の原因の一つに、鋼中の炭素が高濃度に凝集し、顕微鏡観察において白く観察される組織(以下、「白層」という。)がある。この白層は母相と比較して硬度が非常に高い上に脆く、この白層を起点として母相に亀裂が発生しやすい。そして、この母相の亀裂が次第に伝播して剥離に至る(以下、「脆性剥離」という。)と考えられている。この脆性剥離を抑制するため、下記特許文献1では、軸受鋼にクロムを重量比で2.0〜5.0%含有させ、この鋼中の炭素の拡散速度を遅くして、白層の形成を阻止するようにしている。
クロムの濃度範囲を上記範囲とするのは、この濃度範囲を下回ると炭素の拡散の抑制効果が得られないため、この濃度範囲を上回ると鋼の加工性が低下する恐れがあるため、と記載されている。
また、下記特許文献2には、クロムを重量比で0.2〜1.2%含む軸受鋼に浸炭窒化処理を行った後に、焼入れ及び焼戻しの各処理を行った軸受が開示されている。この浸炭窒化処理は、炭素及び窒素を含む雰囲気下(気相又は液相)において、この鋼の表層部に炭素及び窒素を導入するものである。例えば、気相中における浸炭窒化処理は、一酸化炭素及び水素等を主成分とする還元性の混合気に、アンモニアを添加したものを用いるのが一般的である。
この浸炭窒化処理を行うと、前記表層部の窒素含有量が高くなり、Ms点(マルテンサイトへの変態温度)が低下する。そうすると、焼入れを行った際に、この表層部において未変態のままのオーステナイト(残留オーステナイト)がその内部(窒素含有量が比較的低い部分)よりも多く残存することとなる。この残留オーステナイトは、マルテンサイトと比較して靭性が高く、潤滑油中に混在した摩耗粉が内外輪の軌道面と転動体の間に噛み込まれた場合に、この摩耗粉によって前記軌道面の表面に圧痕が付いて、この圧痕に起因して剥離が生じる(以下、「圧痕起因剥離」という。)のを抑制する。
クロムの濃度範囲を上記範囲とするのは、この濃度範囲を下回ると、表層部の硬度が不十分となるため、この濃度範囲を上回ると炭化物が粗大化して剥離起点となりやすいため、と記載されている。
特許第2883460号公報 特開平7−190072号公報
この軸受の寿命を効果的に向上するためには、上述した白層等に起因する脆性剥離の抑制とともに、圧痕起因剥離を抑制する必要がある。しかしながら、脆性剥離の抑制効果を発揮するクロム濃度範囲(2.0〜5.0%)と、圧痕起因剥離の抑制効果を発揮するクロム濃度範囲(0.2〜1.2%)との間に重なりがなく、両方の効果をともに発揮させることはできないものと考えられていた。このため、脆性剥離又は圧痕起因剥離のいずれか一方の抑制が不十分となって、軸受の疲労寿命の十分な改善が図れないという問題があった。
そこで、この発明は、軸受の内外輪の軌道面及び転動体の脆性剥離及び圧痕起因剥離を抑制して、軸受寿命の向上を図ることを課題とする。
上記課題を解決するため、この発明は、クロムを重量比で1.6%を超え、2.0%未満の範囲内で添加するとともに、浸炭窒化処理を行った鋼に焼入れ及び焼戻し処理を施し、その表層部に、その内部よりも残留オーステナイトの組成比を高めた残留オーステナイト領域を形成した鋼を用いて軸受を構成した。
この浸炭窒化処理を行った鋼の表面には炭素及び窒素が高い濃度で偏在する。この炭素は鋼の焼入れ性を高め、その表面硬度を高める役目を有する。その一方で、窒素は上述したようにMs点を下げるため、焼入れ後の残留オーステナイトの組成比を高めることができる。この炭素及び窒素の作用により、鋼の表層部の所定の硬度を確保しつつ、残留オーステナイト領域による靭性を付与することができる。さらに、鋼の最表面には、耐食性の高い緻密なクロム酸化被膜が形成され、この被膜によってその表面状態が一層安定したものとなる。
クロム濃度範囲を上記の範囲内とすることで、脆性剥離及び圧痕起因剥離の両方が抑制され、この軸受の寿命を確実に向上することができる。
このクロム濃度範囲は、脆性剥離を抑制し得るクロム濃度範囲(上記特許文献1に記載の2.0〜5.0%)より低いが、浸炭窒化処理により表層部の炭素及び窒素濃度を高めることにより、脆性剥離抑制効果を発揮することができる。この理由は明確には分かっていないが、前記処理で注入された窒素によって、この表層部で圧縮応力場が形成され、この圧縮応力場によって脆性剥離(亀裂の進行)が抑制されたためである可能性がある。
その一方で、このクロム濃度範囲は、圧痕起因剥離を抑制し得るクロム濃度範囲(上記特許文献2に記載の0.2〜1.2%)より高いが、上記特許文献2でいう炭化物の粗大化は、炭素等の濃度や、浸炭窒化処理条件を調節することによって回避することができるため、本願発明のクロム濃度範囲としても炭化物に起因する不具合は生じない。
また、前記構成においては、前記クロムの添加濃度を、1.80%以上1.89%以下の範囲内とするのがより好ましい。
この範囲内に調節することで、炭化物の凝集に伴う脆性剥離及び圧痕起因剥離の両効果を最大限に発揮することができる。
また、前記各構成においては、前記残留オーステナイト領域において、母相に対する残留オーステナイトの比率を10〜50%の範囲内とするのがより好ましい。
残留オーステナイトの比率が上記の範囲を下回ると、軌道面や転動体表面の靭性が低下し、圧痕起因剥離の抑制が不十分となる。その一方で、残留オーステナイトの比率が上記の範囲を上回ると、耐摩耗性が不十分となって、却って軸受寿命が低下することがある。
また、前記各構成においては、前記残留オーステナイト領域を、表面から深さ1mmの領域まで形成するのが好ましい。
この残留オーステナイトは、上述したように表層部に靭性を付与する役目を有するが、その領域が浅すぎると表層部の十分な靭性を付与することができない。そこで、この残留オーステナイト領域を上記の深さまで形成すると、十分な靭性を付与することができ、潤滑油中に摩耗粉が混入した場合でも、圧痕起因剥離の発生を効果的に抑制することができる。
また、各構成における浸炭窒化処理は、ガス組成が体積比において一酸化炭素18〜25%、水素28〜50%を主成分とする所謂RXガスに、アンモニア5〜10%を添加した雰囲気中において、焼入れ焼戻し処理とともになされる。通常、この焼入れは830〜860℃から行われ、焼戻しは180℃以下で行われる。この処理条件の下で浸炭窒化処理を行うと、表面から適切な量の炭素及び窒素が導入されるため、圧痕起因剥離の抑制に必要な残留オーステナイト領域を形成することができる。
上記各構成において示した軸受は、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、複列アンギュラ玉軸受、円錐ころ軸受、複列円錐ころ軸受、円筒ころ軸受、又は複列円筒ころ軸受に採用することができる。
さらに、これらの軸受は、自動車用トランスミッション、プーリ、オルタネータ、電磁クラッチ、又はホイールに採用することができる。
これらの自動車用動力伝達部品は、高温・振動を伴う過酷な環境下において使用されることが多い。このような環境下においては、内外輪の軌道面及び転動体の表面の脆性剥離が生じやすく、潤滑油中に混入した摩耗粉によって圧痕起因剥離が連続的に生じることが多い。そこで、鋼の表面に上述した処理を施した軸受を採用すると、この脆性剥離及び圧痕起因剥離が効果的に抑制され、長期間に亘って軸受の安定した相対回転を確保することができる。
この発明によると、軸受を構成する鋼にクロムを添加するとともに、浸炭窒化処理を施して焼入れ処理を行うことにより、脆性剥離を抑制しつつ、残留オーステナイト領域によって与えられる靭性によって圧痕起因剥離も抑制できる。このため、軸受の寿命の向上を図ることができるとともに、潤滑油の交換等のメンテナンスに要するコストの低減を図ることができる。
この発明に係る転がり軸受の一実施形態を示す側面断面図 内輪の表面を示す拡大断面図
この発明に係る転がり軸受の一実施形態を図1に示す。この転がり軸受は内輪1及び外輪4間に複数の鋼球3を設けた深溝玉軸受であって、この鋼球3は保持器2によって保持されている。この内外輪1、4及び鋼球3は、クロムを追加添加した軸受鋼(以下、「耐脆性剥離鋼」という。)からなり、そのクロムの重量比は、1.6%を超え、2.0%未満の範囲内である。
この内外輪1、4の軌道面1a、4a、及び、鋼球3の表面には浸炭窒化処理が施されている。この浸炭窒化処理は、この内外輪1、4及び鋼球3を、体積比で一酸化炭素18〜25%、水素28〜50%、アンモニア5〜10%を含む処理雰囲気中において、焼入れ焼戻し処理とともになされる。この焼入れは830〜860℃から行われ、焼戻しは180℃以下で行われる。
この焼入れ焼戻し処理を行った内輪1の表面付近の断面の模式図を図2に示す。上記の処理条件で処理した鋼の表層部には、背景技術において説明した「白層」は観察されない。追加添加したクロムによって炭素の拡散が抑制され、この白層の原因となる炭素の凝集が生じにくいためである。この白層を抑制することにより、これに起因して生じる脆性剥離を抑制することができる。
この鋼の表面から、少なくとも1mmの深さまでは、内部よりも残留オーステナイトの組成比が高い残留オーステナイト領域5が形成される。この深さの残留オーステナイト領域5を形成することにより、この鋼の表面に靭性を付与することができ、万が一、潤滑油中に摩耗粉等の異物が混入した場合でも、この異物によって鋼の表面に圧痕起因剥離が生じるのを防止することができる。この残留オーステナイト領域5における残留オーステナイトの組成比は10〜30%の範囲内とするのが好ましい。この残留オーステナイト領域5の表層にはクロム酸化被膜6が形成され、このクロム酸化被膜6によりこの鋼の耐食性が一層向上する。
この発明に係る転がり軸受は、アンギュラ玉軸受、複列アンギュラ玉軸受、円錐ころ軸受、複列円錐ころ軸受、円筒ころ軸受、又は複列円筒ころ軸受にも適用することができる。そして、これらの各軸受は自動車用トランスミッション、プーリ、オルタネータ、電磁クラッチ、又はホイールに採用することができる。この軸受は高温・振動下の過酷な使用環境においても脆性剥離及び圧痕起因剥離を生じにくく、このような環境で使用される自動車用動力伝達部品に特に適しているためである。
(実施例1)
本願発明に係る軸受鋼(以下、「耐脆性剥離鋼」という。)を用いて、図1に示す形状の深溝玉軸受を構成し、その耐久性試験を行った。この耐脆性剥離鋼は、重量比でクロムを1.80〜1.89%含むものであって、この耐脆性剥離鋼に、上述した浸炭窒化処理を行うことにより、その表層部に残留オーステナイト領域5を形成した。
この耐久性試験は、自動車の無段階変速器に用いられる軸受が置かれる環境を想定し、無段階変速器用オイル(CVTF)に、鋼の微粉末を異物としてこのオイル1リットル当たり0.15g混入した状態で行った。この軸受に負荷されるラジアル荷重を8300N(アキシアル荷重は0N)に設定するとともに、内輪の回転速度を毎分2600回転、軸受のミスアライメントを2/1000radに設定した。
この耐久性試験の結果を表1に示す。この実験条件下においては、約100〜240時間の運転で、内外輪の少なくとも一方にフレーキング(軌道面の剥離)が生じることが確認された。また、ワイブル分布計算から、累積損傷確率が10%となるまでの時間(以下、「L10寿命」という。)は、90.7時間となった。なお、外輪温度と、軸受が寿命に至るまでの時間との間の明確な相関関係は確認できなかった。
Figure 2011208745
(比較例1)
JISG4805の表1に示すSUJ2鋼(高炭素クロム軸受鋼)に対して、実施例1に記載したのと同じ条件で焼入れ焼戻し処理を行い、これを用いて図1に示す形状の深溝玉軸受を構成し、実施例1に記載したのと同じ条件で耐久性試験を行った。
この耐久性試験の結果を表2に示す。この実験条件下においては、約20〜110時間の運転で、内外輪のいずれかにフレーキングが生じることが確認された。また、ワイブル分布計算から、L10寿命は22.3時間、累積損傷確率が50%となるまでの時間(以下、「L50寿命」という。)は、64.9時間、ワイブルスロープは1.76となった。実施例1及び比較例1の結果から、上記耐脆性剥離鋼に、所定の浸炭窒化処理及び焼入れ焼戻し処理を行い、その表面に残留オーステナイト領域5を形成することで、軸受の耐久性及び信頼性を大幅に向上することができることが分かる。なお、実施例1と同様に、外輪温度と、軸受が寿命に至るまでの時間との間の明確な相関関係は確認できなかった。
Figure 2011208745
(比較例2)
前記SUJ2に対して、実施例1に記載したのと同じ浸炭窒化処理を行い、これを用いて図1に示す形状の深溝玉軸受を構成し、実施例1に記載したのと同じ条件で耐久性試験を行った。
この耐久性試験の結果を表3に示す。ワイブル分布計算から、L10寿命は67.7時間、L50寿命は116.7時間、ワイブルスロープは3.46となった。比較例1及び2の結果から、浸炭窒化処理を行った後に焼入れ焼戻し処理を行うことで残留オーステナイト領域5が形成され、この軸受の耐久性を大幅に向上できることが分かる。
また、実施例1(表1)と比較例2(表3)の結果から、同じ浸炭窒化処理を行った場合、SUJ2鋼の代わりに耐脆性剥離鋼を採用することによって、この軸受の耐久性を大幅に向上できることも分かる。これは、クロムによって上述した白層が生じにくくなって、脆性剥離が抑制されたことに起因すると考えられる。
Figure 2011208745
(比較例3)
図1に示す形状の深溝玉軸受を構成する内外輪及び鋼球の素材として、前記SUJ2材及びクロム濃度を高めた耐脆性剥離鋼を用い、これらに実施例1と同じ焼入れ焼戻し処理を行った後に耐久性試験を行った。この耐久性試験は、グリース(E−3)を封入した軸受に負荷されるラジアル荷重を3240N(アキシアル荷重は0N)に設定し、「停止状態から1秒間で立ち上げ、一定速(毎分18000回転)で10秒間運転し、1秒間で立ち下げて、3秒間停止」の1サイクル15秒間の運転を繰り返すことにより実施した。
この耐久性試験の結果を表4に示す。この耐久性試験は、1000時間連続して行ったものであって、1000時間に到達する前に損傷等により運転不可能となったものについては、その損傷等に至るまでの時間を記載している。
内外輪及び鋼球のいずれにもSUJ2鋼を用いた軸受は、4サンプルのうち1サンプルのみ1000時間到達前に損傷した。また、内輪及び鋼球にSUJ2鋼を用い、外輪に耐脆性剥離鋼を用いた軸受は、試験を行った2サンプルのいずれも1000時間到達前に損傷した。さらに、内外輪に耐脆性剥離鋼を用い、鋼球にSUJ2鋼を用いた軸受は、試験を行った2サンプルのいずれも1000時間到達まで損傷しなかった。これらの結果から、クロムを追加添加した耐脆性剥離鋼においては炭素の凝集体である白層が生じず、この白層に起因する脆性剥離が回避できることが分かる。ただし、この白層の有無と運転時間の長短の間には明確な相関関係がない。このことは、軸受の耐久性を向上するためには、単に耐脆性剥離鋼を採用して白層の発生を抑制するだけでなく、この耐脆性剥離鋼に浸炭窒化処理を行って、残留オーステナイト領域を形成しておく必要があることを意味している。
Figure 2011208745
1 内輪
1a (内輪の)軌道面
2 保持器
3 転動体(鋼球)
4 外輪
4a (外輪の)軌道面
5 残留オーステナイト領域
6 クロム酸化被膜

Claims (7)

  1. クロムを重量比で1.6%を超え、2.0%未満の範囲内で添加するとともに、浸炭窒化処理を行った鋼に焼入れ及び焼戻し処理を施し、その表層部に、その内部よりも残留オーステナイトの組成比が高い残留オーステナイト領域(5)を形成した前記鋼を用いた転がり軸受。
  2. 前記クロムの添加濃度を、1.80%以上1.89%以下の範囲内とした請求項1に記載の転がり軸受。
  3. 前記残留オーステナイト領域(5)において、残留オーステナイトの体積比が、10〜50%の範囲内である請求項1又は2に記載の転がり軸受。
  4. 前記残留オーステナイト領域(5)が、表面から深さ1mmの領域まで形成されている請求項1乃至3のいずれか一つに記載の転がり軸受。
  5. 前記浸炭窒化処理が、ガス組成が体積比において一酸化炭素18〜25%、水素28〜50%、アンモニア5〜10%を含む雰囲気中において行われる請求項1乃至4のいずれか一つに記載の転がり軸受。
  6. 深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、複列アンギュラ玉軸受、円錐ころ軸受、複列円錐ころ軸受、円筒ころ軸受、又は複列円筒ころ軸受のいずれかである請求項1乃至5のいずれか一つに記載の転がり軸受。
  7. 自動車用トランスミッション、プーリ、オルタネータ、電磁クラッチ、又はホイールのいずれかに用いた請求項6に記載の転がり軸受。
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