JP2011208219A - ステーブクーラ - Google Patents

Abstract

【課題】炉内装入物の過度の冷却を防止すると共に、熱変形による亀裂を防止し、高炉鉄皮を保護することができるステーブクーラを提供する。
【解決手段】冷却流路７を形成した熱伝導性の良好な銅製の母材８の炉内側に熱伝導率の低い特殊鋼製のブロック１１を複数、それぞれボルト１２にて固定し、ボルト１２は母材８を貫通しないで、ボルト１２が抜け落ちても炉内の高温ガスが鉄皮側に流入しないようにする。
【選択図】図２

Description

本発明は、高炉炉壁を長期にわたって強固に維持するために高炉炉壁に設けられるステーブクーラに関する。

高炉炉壁は通常、外側の鉄皮と、該鉄皮に内張りされる耐火物とで構成され、耐火物層の炉内側或いは耐火物層内には更に耐火物層を保護し、耐火物層の損耗による鉄皮を保護するためにステーブクーラが設けられている。

ステーブクーラには例えば冷却管の鋳込みなどにより冷却流路が形成され、冷却流路内に冷却水を通すことにより炉壁を冷却するようになっており、その多くが鋳鉄又は銅製で、図１に示すように、冷却管４を鋳込んだ鋳鉄製の母材１の炉内側側面に複数の係合凹部２を設け、該凹部２にステンレス製のブロック３を埋設したものも知られる（特許文献１）。

実開平６−４７３４７号

鋳鉄は表１に示すように熱伝導率が銅に比べ低く、例えばステンレス鋼などの特殊鋼は更に低いため、鋳鉄製のステーブクーラ、とりわけ図１に示すステーブクーラは炉内装入物を過冷却しない、という面で有効であるが、熱伝導率が低いことは反面、ステーブクーラ自体の炉内側と鉄皮側の温度差が大きくなり、そのため鋳鉄製のステーブクーラに熱変形によるクラックが発生し、ステーブ内部の冷却管に破損を生ずるおそれがある。

また図１に示すような特殊製のブロック３は、係合凹部にモルタルを塗って嵌合固定されるか、或いは上面を母材１に溶接にて固定されているが、材質の熱膨張差によりモルタル層の内外に隙間ができたり、或いは溶接部分が損耗してブロック３が脱落するおそれがある。

一方銅製のステーブクーラは、優れた熱伝導性を有し、冷却能が高いため鉄皮保護の観点からは有効であるが、炉内装入物が過度に冷却されて焼結鉱の還元粉化現象を誘発し、炉壁部の通気性を阻害する、いわゆる不活性化の進行による状況不調に陥るおそれがある。

本発明は、高炉鉄皮の保護と、炉内装入物の過度の冷却を防止するという相反する機能を両立させたステーブクーラを提供することを目的とする。

請求項１に係わる発明は、高炉炉壁に設けられるステーブクーラであって、冷却流路を形成した銅製の母材と、該母材の炉内側受熱面に複数、それぞれ固定手段によって固定される特殊鋼製のブロックを有することを特徴とする。

請求項２に係わる発明は、請求項１に係わる発明の固定手段がボルトであり、該ボルトが炉内側からブロックを通して前記母材に該母材を貫通しないようにして捩じ込まれることを特徴とする。

請求項１に係わる発明のステーブクーラによると、熱伝導性に優れた銅製の母材の炉内側に鋳鉄より熱伝導率が低い特殊鋼製のブロックを取付けて組合わせたことにより炉壁近傍における装入物の緩冷却を可能にすると共に、ステーブクーラの熱変形による亀裂を防止し、高炉鉄皮を保護することができる。

請求項２に係わる発明によると、特殊鋼製ブロックが母材にボルトにて止着されることにより、母材とブロックの密着性が高く、炉内装入物や高温ガスにブロックが曝された場合においてもブロックの熱を容易に母材に逃がすことでブロックの耐久性を確保でき、また、ブロックが損耗してもブロックの脱落を生じにくく、損耗の進行によりブロックが脱落し、ボルトが抜け落ちるようなことがあってもボルトは母材を貫通していないため、貫通孔が形成される場合のように、炉内の高温ガスが貫通孔より鉄皮側に流入し、鉄皮に損傷を与える、といった問題を生ずることがない。

従来のステーブクーラの断面図。 本発明に係わるステーブクーラの要部の断面図。

以下、本発明の実施形態のステーブクーラについて図面により説明する。
図２に示すステーブクーラ６は、図示しない鉄皮に内張りされる耐火物の炉内側に配され、冷却流路７を形成した銅製の母材８と、該母材８の炉内側受熱面に上下方向に一定間隔で多数形成される凹所９に位置決めして装着される台形断面の特殊鋼製ブロック１１よりなり、各ブロック１１はそれぞれ炉内側からボルト１２を通して母材８に捩じ込むことにより固定され、各ボルト１２は母材８を貫通せず、該母材８より突き出さないようにしてある。

上下の各ブロック１１間には、それぞれブロック１１が台形断面をなすことにより蟻溝状の隙間が形成され、各隙間には不定形耐火物１３が充填されている。

図２に示すステーブクーラ６を用い、炉壁近傍における装入物の冷却度合及びステーブクーラ６の熱変形による亀裂の有無を点検した結果を表１に示す。表１の◎で示すように、炉壁近傍における装入物の過冷却はなく、ステーブクーラ６の亀裂も認められなかった。なお、表１に示すステーブクーラ６の熱伝導率２９kcal/mh℃は、圧延銅よりなる母材８の厚みａを７９mm、特殊鋼製ブロック９の厚みｂを６５mmとしたときの計算値である。

比較例１
鋳鉄製のステーブクーラについて、実施例と同様にして炉壁近傍における冷却度合及びステーブクーラの熱変形による亀裂の有無を点検した。結果は表１の◎で示すように、炉壁近傍における装入物の過冷却は実施例と同様にないが、ステーブクーラに熱変形による亀裂が若干認められた。

比較例２
銅製のステーブクーラについて、実施例と同様にして炉壁近傍における冷却度合及びステーブクーラの熱変形による亀裂の有無を点検した。結果は表１に示されるように、ステーブクーラの熱変形による亀裂は認められなかったが、炉壁近傍における装入物の温度が実施例に比べ低下し、過冷却を生じた。

６・・ステーブクーラ
７・・冷却流路
８・・母材
９・・凹所
１１・・特殊鋼製ブロック
１２・・ボルト
１３・・不定形耐火物

Claims (2)

1. 高炉炉壁に設けられるステーブクーラであって、冷却流路が形成された銅製の母材と、該母材の炉内側側面に複数、それぞれ固定手段によって固定される特殊鋼製のブロックを有することを特徴とするステーブクーラ。
2. 前記固定手段がボルトであり、該ボルトが炉内側からブロックを通して前記母材に該母材を貫通しないようにして捩じ込まれることを特徴とする請求項１記載のステーブクーラ。