JP2011208111A - 熱可塑性樹脂組成物及びそれを使用する成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びそれを使用する成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】遮光性に優れ、流動性と耐衝撃性と難燃性のバランスに優れたポリカーボネート樹脂系熱可塑性樹脂組成物及びそれを使用する成形品を提供する。
【解決手段】芳香族ポリカーボネート樹脂50〜97質量%およびエラストマー50〜3質量%の合計100質量部に対し、リン酸エステル系および/またはホスファゼン系難燃剤2〜25質量部、平均粒径が0.1〜4μmのZrO−SiO−HfO系複合酸化物1〜15質量部、および含フッ素樹脂0.001〜1質量部を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、およびそれを成形してなる成形品による。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物及びそれを使用する成形品に関し、さらに詳しくは、遮光性に優れ、流動性と耐衝撃性と難燃性のバランスに優れたポリカーボネート樹脂系熱可塑性組成物及びそれからなる成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、機械的物性、電気的特性に優れた樹脂であり、例えば自動車材料、電気・電子機器材料、住宅材料、その他の工業分野における部品製造用材料等に幅広く利用されている。特に、難燃化されたポリカーボネート樹脂組成物は、コンピューター、ノートブック型パソコン、携帯電話、プリンター、複写機等のOA・情報機器等の部材として好適に使用されている。
このようなポリカーボネート樹脂に難燃性を付与する手段としては、従来、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤をポリカーボネート樹脂に配合することがなされてきた。
しかしながら、塩素や臭素を含有するハロゲン系難燃剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物は、熱安定性の低下を招いたり、成形加工時における成形機のスクリューや成形金型の腐食を招いたりすることがあった。
一方、ハロゲン系化合物を用いることなく熱可塑性樹脂に難燃性を付与する手法として、リン酸系難燃剤を使用する手法が盛んに検討されている(例えば、特許文献1参照)。リン系難燃剤を配合したポリカーボネート樹脂は、気相中の燃焼ガス希釈効果、燃焼時に成形品表面に断熱炭化層を形成することによる、燃焼ガスや燃焼に必要な空気の遮断効果や熱伝導を遅延させる効果等を発揮し、難燃性が向上することが知られている。
しかしながら、高い難燃性を得る目的で、又は流動性を高める目的で、上記リン系難燃剤の配合量を多くすると、ポリカーボネート樹脂が持つ優れた耐熱性や優れた耐衝撃性が著しく低下する傾向にあった。また、リン系難燃剤を過剰に配合したポリカーボネート樹脂組成物を製品に用いた場合は、廃棄時においては製品からリン系難燃剤がブリードアウトし、環境汚染を引き起こす可能性があり、また近年、人体へ危険性も指摘されている。
また、各種熱可塑性樹脂に、ジルコニウム酸化物、ジルコニウムケイ酸塩などを加えることによって、樹脂の各種特性を改質することが報告されている(特許文献2〜6参照)。
しかしながら、上記のような、特定の無機粒子を芳香族ポリカーボネートに加えることによって難燃性を付与する方法では、無機粒子の添加によるポリカーボネートの分解が十分に制御できず、成形加工の際などにポリカーボネートの分解が起こり物性を低下させるという問題点があった。
また、上述のようなマイカやタルク等の板状、針状の珪酸塩化合物を配合すると、衝撃を加えたときに応力が集中しやすくなり、芳香族ポリカーボネート樹脂の優れた耐衝撃性の著しい低下を招いてしまうという致命的な欠点を有している。
また、タルクやマイカを配合するとポリカーボネート樹脂組成物が透けて見えやすく、隠蔽性、遮光性が不十分となり、成形品の用途に制限を受けるという欠点も有している。
こうした状況下、その使用量をできるだけ減らしつつ高い難燃性が付与され、優れた耐衝撃性と流動性を有し、遮光性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物の開発が強く望まれていた。
特開昭59−202240号公報 特開平6−279661号公報 特開平6−279665号公報 特開平7−25154号公報 特開平7−145265号公報 特開平8−311315号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、遮光性に優れ、流動性と耐衝撃性と難燃性のバランスに優れたポリカーボネート樹脂組成物およびこれからなるポリカーボネート成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂にエラストマーを配合した樹脂組成物に、リン酸エステル系難燃剤および/またはホスファゼン系難燃剤と、平均粒径が特定範囲にあるジルコニウムと珪素とハフニウムの複合酸化物と、含フッ素樹脂をそれぞれ特定の割合で配合することによって、遮光性に優れ、流動性と耐衝撃性と難燃性のバランスに優れたポリカーボネート樹脂材料が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)50〜97質量%およびエラストマー(A−2)50〜3質量%を含有する熱可塑性樹脂100質量部に対し、
リン酸エステル系難燃剤(B−1)および/またはホスファゼン系難燃剤(B−2)2〜25質量部、平均粒径が0.1〜4μmのZrO−SiO−HfO系複合酸化物(C)1〜15質量部、および含フッ素樹脂(D)0.001〜1質量部を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、リン酸エステル系難燃剤(B−1)が、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル系難燃剤であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
Figure 2011208111
(式中、R、R、RおよびRは、各々独立して、炭素数1〜6のアルキル基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、Xはアリーレン基を示し、p、q、rおよびsは、0または1であり、kは1から5の整数である。)
また、本発明の第3の発明によれば、第1または第2の発明において、ZrO−SiO−HfO系複合酸化物(C)の組成が、ZrO:50〜80質量%、SiO:25〜45質量%、HfO:0.05〜5質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、ZrO−SiO−HfO系複合酸化物(C)が、さらにFeを、ZrO、SiOおよびHfOの合計100質量%に対し、0.005〜0.05質量%含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、エラストマー(A−2)が、ポリブタジエン含有ゴムまたは(メタ)アクリル酸エステル系ゴムを含有するコア層を有する、コア/シェル型グラフト共重合体であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、エラストマー(A−2)が、(メタ)アクリル酸エステル系重合体またはアクリロニトリル・スチレン共重合体からなる最外殻層を有する、コア/シェル型グラフト共重合体であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、さらに、表面処理剤(E)を、ZrO−SiO−HfO系複合酸化物(C)100質量部に対し、1〜10質量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、表面処理剤(E)が、SiH基含有有機ケイ素重合体またはシランカップリング剤であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明に係る熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品が提供される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物によれば、遮光性に優れ、高い難燃性と優れた耐衝撃性を併せ有するポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
[1.概要]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂とエラストマーと、リン酸エステル系難燃剤および/またはホスファゼン系難燃剤と、特定平均粒径のZrO−SiO−HfO系複合酸化物と含フッ素樹脂を、それぞれを特定の量で含有することを特徴とする。
[2.ポリカーボネート樹脂(A−1)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)は、その種類に制限は無く、また、1種のみを用いてもよく、2種以上を、任意の組み合わせ及び任意の比率で、併用してもよい。
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂は、下記一般式で表される、炭酸結合を有する基本構造の重合体である。
Figure 2011208111
式中、Xは、一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂とは、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素であるポリカーボネート樹脂をいう。芳香族ポリカーボネートは、各種ポリカーボネートのなかでも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、優れている。
芳香族ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限は無いが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなる芳香族ポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしても良い。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いても良い。また芳香族ポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、芳香族ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単独重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このような芳香族ポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、以下のとおりである。
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;等が挙げられる。
これらのなかでもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、なかでもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
・芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて、具体的に説明する。
・・界面重合法
まず、芳香族ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによって芳香族ポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体は、前述のとおりである。なお、カーボネート前駆体のなかでもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、なかでも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限は無いが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10質量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になるようにコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、なかでも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、なかでも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;ピリジン;グアニン;グアニジンの塩;等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調節剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール;メルカプタン;フタル酸イミド等が挙げられるが、なかでも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的に、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキル基置換フェノール;イソプロパニルフェノール等のビニル基含有フェノール;エポキシ基含有フェノール;o−オキシン安息香酸、2−メチル−6−ヒドロキシフェニル酢酸等のカルボキシル基含有フェノール;等が挙げられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調節剤の使用量は、ジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤はジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
・・溶融エステル交換法
次に、芳香族ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。なかでも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、ジフェニルカーボネートが特に好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、なかでも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
芳香族ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が、熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率、エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法により芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。なかでも、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし、芳香族ポリカーボネート樹脂及び芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いても良い。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、粘度平均分子量[Mv]で10,000〜40,000であることが好ましい。粘度平均分子量が10,000未満では、機械的強度が十分ではなくなる傾向があり、粘度平均分子量が40,000を超えると、流動性が悪く成形性が悪くなる傾向にある。粘度平均分子量は、より好ましくは16,000〜40,000であり、さらに好ましくは18,000〜30,000、特には13,500〜20,500である。分子量をこのような範囲に調節するには、後記するような分子量調節剤の量を制御する等の公知の方法で可能である。
ここで、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2011208111
・芳香族ポリカーボネート樹脂に関するその他の事項
芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これにより本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂では、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、芳香族ポリカーボネート樹脂の重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)にて行われる。
なお、芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)は、芳香族ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、モノマー組成、分子量、末端水酸基濃度等が異なる芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して使用してもよい。また、芳香族ポリカーボネート樹脂に他の熱可塑性樹脂を混合したアロイ(混合物)として組み合わせて用いてもよい。
さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、芳香族ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1,500以上、好ましくは2,000以上であり、また、通常9,500以下、好ましくは9,000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量%以下とすることが好ましい。
さらに芳香族ポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生された芳香族ポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされた芳香族ポリカーボネート樹脂)であってもよい。前記の使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体;導光板;自動車窓ガラス、自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材;水ボトル等の容器;メガネレンズ;防音壁、ガラス窓、波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
ただし、再生された芳香族ポリカーボネート樹脂は、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に含まれる芳香族ポリカーボネート樹脂のうち、80質量%以下であることが好ましく、なかでも50質量%以下であることがより好ましい。再生された芳香族ポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このような芳香族ポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
[3.エラストマー(A−2)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、エラストマーを、芳香族ポリカーボネート樹脂との合計量100質量%に対して、3〜50質量%含有する。このように、エラストマーを含有することで、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性を改良することができる。
エラストマーの含有量は、3質量%より少ないと、エラストマーによる耐衝撃性向上効果が不十分となり、50質量%を超えると、ポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品の外観不良や耐熱性の低下が生じる。含有量の下限は、好ましくは4質量%以上であり、また、含有量の上限は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、特には10質量%以下である。
本発明に用いるエラストマーとしては、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)、SBS、SEBSと呼ばれているスチレン−ブタジエン系トリブロック共重合体とその水添物、SPS、SEPSと呼ばれているスチレン−イソプレン系トリブロック共重合体とその水添物、TPOと呼ばれているオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系エラストマー、シリコーン系ゴム、アクリレート系ゴム、シリコーン系ゴムとアクリレート系ゴム成分とからなる複合ゴムにビニル系単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体等が挙げられる。
なかでもゴム成分にこれと共重合可能な単量体成分とをグラフト共重合したグラフト共重合体が好ましい。グラフト共重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。
ゴム成分は、ガラス転移温度が通常0℃以下、中でも−20℃以下が好ましく、更には−30℃以下が好ましい。ゴム成分の具体例としては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブチルアクリレートやポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体などのポリアルキルアクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴムなどのシリコーン系ゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN(Interpenetrating Polymer Network)型複合ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴムやエチレン−ブテンゴム、エチレン−オクテンゴムなどのエチレン−αオレフィン系ゴム、エチレン−アクリルゴム、フッ素ゴムなど挙げることができる。これらは、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、ポリブタジエンゴム、ポリアルキルアクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴム、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
ゴム成分とグラフト共重合可能な単量体成分の具体例としては、スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)などが挙げられる。これらの単量体成分は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等を挙げることができる。
ゴム成分を共重合したグラフト共重合体は、耐衝撃性や表面外観の点からコア/シェル型グラフト共重合体タイプのものが好ましい。なかでも上記したポリブタジエン含有ゴム、ポリアルキルアクリレート含有ゴム、ポリオルガノシロキサン・ポリアルキルアクリレート含有ゴムとからなるIPN型複合ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム成分を含有する層をコア層とし、その周囲に(メタ)アクリル酸エステル、またはアクリロニトリル・スチレンを(共)重合して形成されたシェル層からなる、コア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。上記コア/シェル型グラフト共重合体において、ゴム成分を40質量%以上含有するものが好ましく、60質量%以上含有するものがさらに好ましい。また、(メタ)アクリル酸は、10質量%以上含有するものが好ましい。
これらコア/シェル型グラフト共重合体の好ましい具体例としては、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリルゴム共重合体(MA)、メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン共重合体(MAS)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPNゴム)共重合体等が挙げられる。このようなゴム性重合体は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
このようなコア/シェル型グラフト共重合体としては、例えば、ローム・アンド・ハース・ジャパン社製の「パラロイド(登録商標、以下同じ)EXL2602」、「パラロイドEXL2603」、「パラロイドEXL2655」、「パラロイドEXL2311」、「パラロイドEXL2313」、「パラロイドEXL2315」、「パラロイドKM330」、「パラロイドKM336P」、「パラロイドKCZ201」、三菱レイヨン社製の「メタブレン(登録商標、以下同じ)C−223A」、「メタブレンE−901」、「メタブレンS−2001」、「メタブレンSRK−200」、カネカ社製の「カネエース(登録商標、以下同じ)M−511」、「カネエースM−600」、「カネエースM−400」、「カネエースM−580」、「カネエースMR−01」等が挙げられる。
[4.リン系難燃剤]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、リン酸エステル系難燃剤(B−1)および/またはホスファゼン系難燃剤(B−2)を、芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)とエラストマー(A−2)の合計量100質量部に対して、2〜25質量部含有する。このようにリン系難燃剤を含有することで、本発明の熱可塑性樹脂組成物の難燃性を向上させることができる。
[4−1.リン酸エステル系難燃剤(B−1)]
本発明におけるリン酸エステル系難燃剤(B−1)としては、分子中にリンを含む化合物であり、低分子であっても、オリゴマーであっても、ポリマーであってもよく、例えば、下記一般式(1)又は(2)で表されるリン酸エステル化合物が好ましく挙げられるが、熱安定性の面から、一般式(1)で表されるリン酸エステル系難燃剤が特に好ましい。
Figure 2011208111
(式中、R、R、RおよびRは、各々独立して、炭素数1〜6のアルキル基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、Xはアリーレン基を示し、p、q、rおよびsは、0または1であり、kは1から5の整数である。)
上記一般式(1)で表されるリン酸エステル系難燃剤は、kが1〜5の縮合燐酸エステルであり、kが異なる縮合燐酸エステルの混合物については、kはそれらの混合物の平均値となる。Xは、アリーレン基を示し、例えばレゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、2,3’−ジヒドロキシビフェニル、2,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシ化合物から誘導される二価の基である。これらのうち、特に、レゾルシノールまたはビスフェノールAからの残基が好ましい。
また、一般式(1)におけるp、q、rおよびsは、1であることが好ましい。
一般式(1)で表されるリン酸エステル系難燃剤の具体例としては、ジヒドロキシ化合物にレゾルシノールを使用した場合は、フェニルレゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル−p−t−ブチルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・レゾルシンポリホスフェート、クレジル・キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・ジイソプロピルフェニル・レゾルシンポリホスフェート等が、好ましく挙げられる。
リン酸エステル系難燃剤(B−1)としては、下記一般式(2)で表されるリン系難燃剤も好ましく使用できる。
Figure 2011208111
(式中、R、R及びRは、各々独立して、炭素数1〜6のアルキル基又はアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を示し、h、i及びjは、0又は1である。)
上記一般式(2)で表されるリン系化合物は、公知の方法で、オキシ塩化リン等から製造することができる。一般式(2)で表されるリン系化合物の具体例としては、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ジフェニル2−エチルクレジル、リン酸トリ(イソプロピルフェニル)、メチルホスホン酸ジフェニルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、リン酸ジフェニルクレジル、リン酸トリブチル等が好ましく挙げられる。
リン酸エステル系難燃剤(B−1)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A−1)とエラストマー(A−2)の合計100質量部に対し、2質量部以上、好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは8質量部以上であり、25質量部以下、好ましくは22.5量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。リン酸エステル系難燃剤の配合量が2質量部を下回る場合は、難燃性が不十分であり、25質量部を超えると著しい耐熱性の低下や、機械物性の低下を引き起こす為、好ましくない。
[4−2.ホスファゼン系難燃剤(B−2)]
本発明において用いられるホスファゼン系難燃剤(B−2)は、分子中に−P=N−結合を有する有機化合物、好ましくは、下記一般式(3)で表される環状ホスファゼン化合物、下記一般式(4)で表される鎖状ホスファゼン化合物、ならびに、下記一般式(3)及び下記一般式(4)からなる群より選択される少なくとも一種のホスファゼン化合物が架橋基によって架橋されてなる架橋ホスファゼン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の難燃剤である。架橋ホスファゼン化合物としては、下記一般式(5)で表される架橋基によって架橋されてなるものが難燃性の点から好ましい。
Figure 2011208111
(式(3)中、mは3〜25の整数であり、R11は、同一又は異なっていてもよく、アリール基又はアルキルアリール基を示す。)
Figure 2011208111
(式(4)中、nは3〜10,000の整数であり、R12は同一又は異なっていてもよく、アリール基又はアルキルアリール基を示し、Xは、−N=P(OR12基又は−N=P(O)OR12基を示し、Yは、−P(OR12基又は−P(O)(OR12基を示す。)
Figure 2011208111
(式(5)中、Aは−C(CH−、−SO−、−S−、又は−O−であり、lは0又は1である。)
一般式(3)及び(4)で表される環状及び/又は鎖状フェノキシホスファゼン化合物としては、例えば、フェノキシホスファゼン、(ポリ)トリルオキシホスファゼン(例えば、o−トリルオキシホスファゼン、m−トリルオキシホスファゼン、p−トリルオキシホスファゼン、o,m−トリルオキシホスファゼン、o,p−トリルオキシホスファゼン、m,p−トリルオキシホスファゼン、o,m,p−トリルオキシホスファゼン等)、(ポリ)キシリルオキシホスファゼン等の環状及び/又は鎖状C1−6アルキルC6−20アリールオキシホスファゼンや、(ポリ)フェノキシトリルオキシホスファゼン(例えば、フェノキシo−トリルオキシホスファゼン、フェノキシm−トリルオキシホスファゼン、フェノキシp−トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,m−トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,p−トリルオキシホスファゼン、フェノキシm,p−トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,m,p−トリルオキシホスファゼン等)、(ポリ)フェノキシキシリルオキシホスファゼン、(ポリ)フェノキシトリルオキシキシリルオキシホスファゼン等の環状及び/又は鎖状C6−20アリールC1−10アルキルC6−20アリールオキシホスファゼン等が例示でき、好ましくは環状及び/又は鎖状フェノキシホスファゼン、環状及び/又は鎖状C1−3アルキルC6−20アリールオキシホスファゼン、C6−20アリールオキシC1−3アルキルC6−20アリールオキシホスファゼン(例えば、環状及び/又はトリルオキシホスファゼン、環状及び/又は鎖状フェノキシトリルフェノキシホスファゼン等である。
一般式(3)で表される環状ホスファゼン系難燃剤としては、R11がフェニル基である環状フェノキシホスファゼンが特に好ましい。このような環状フェノキシホスファゼン系難燃剤としては、例えば、塩化アンモニウムと五塩化リンとを120〜130℃の温度で反応させて得られる環状及び直鎖状のクロロホスファゼン混合物から、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、オクタクロロシクロテトラホスファゼン、デカクロロシクロペンタホスファゼン等の環状のクロルホスファゼンを取り出した後にフェノキシ基で置換して得られる、フェノキシシクロトリホスファゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼン、デカフェノキシシクロペンタホスファゼン等の化合物が挙げられる。また、該環状フェノキシホスファゼン化合物は、一般式(3)中のmが3〜8の整数である化合物が好ましく、mの異なる化合物の混合物であってもよい。なかでも、m=3のものが50質量%以上、m=4のものが10〜40質量%、m=5以上のものが合わせて30質量%以下である化合物の混合物が好ましい。
一般式(4)で表される鎖状ホスファゼン系難燃剤としては、R12がフェニル基である鎖状フェノキシホスファゼンが特に好ましい。このような鎖状フェノキシホスファゼン化合物は、例えば、上記の方法で得られるヘキサクロロシクロトリホスファゼンを220〜250℃の温度で開還重合し、得られた重合度3〜10,000の直鎖状ジクロロホスファゼンをフェノキシ基で置換することにより得られる化合物が挙げられる。該直鎖状フェノキシホスファゼン化合物の、一般式(4)中のnは、好ましくは3〜1,000、より好ましくは3〜100、さらに好ましくは3〜25である。
架橋フェノキシホスファゼン化合物としては、例えば、4,4’−スルホニルジフェニレン(ビスフェノールS残基)の架橋構造を有する化合物、2,2−(4,4’−ジフェニレン)イソプロピリデン基の架橋構造を有する化合物、4,4’−オキシジフェニレン基の架橋構造を有する化合物、4,4’−チオジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等の、4,4’−ジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等が挙げられる。
また、架橋ホスファゼン化合物としては、一般式(3)においてR11がフェニル基である環状フェノキシホスファゼン化合物が上記一般式(5)で表される架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物又は、上記一般式(4)においてR12がフェニル基である鎖状フェノキシホスファゼン化合物が上記一般式(5)で表される架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物が難燃性の点から好ましく、環状フェノキシホスファゼン化合物が上記一般式(5)で表される架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物がより好ましい。
また、架橋フェノキシホスファゼン化合物中のフェニレン基の含有量は、一般式(3)で表される環状ホスファゼン化合物及び/又は一般式(4)で表される鎖状フェノキシホスファゼン化合物中の全フェニル基及びフェニレン基数を基準として、通常50〜99.9%、好ましくは70〜90%である。また、該架橋フェノキシホスファゼン化合物は、その分子内にフリーの水酸基を有しない化合物であることが特に好ましい。
本発明においては、ホスファゼン系難燃剤(B−2)は、上記一般式(3)で表される環状フェノキシホスファゼン系難燃剤、及び、上記一般式(3)で表される環状フェノキシホスファゼン化合物が架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン系難燃剤よる成る群から選択される少なくとも1種であることが、難燃性及び機械的特性の点から好ましい。
このホスファゼン系難燃剤(B−2)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A−1)とエラストマー(A−2)の合計100質量部に対し、2質量部以上、好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であり、25質量部以下、好ましくは15量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。ホスファゼン系難燃剤の含有量が2質量部を下回る場合は、難燃性が不十分であり、25質量部を超えると著しい耐熱性の低下や、機械物性の低下を引き起こす為、好ましくない。
また、リン酸エステル系難燃剤(B−1)およびホスファゼン系難燃剤(B−2)の両方を併用する場合の含有量は、両者の合計が2〜25質量部であることが好ましい。
[5.ZrO−SiO−HfO系複合酸化物(C)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、平均粒径が0.1〜4μmのZrO−SiO−HfO系複合酸化物を、ポリカーボネート樹脂(A−1)とエラストマー(A−2)の合計100質量部に対して、3〜15質量部含有する。このような粒径のZrO−SiO−HfO系複合酸化物を所定量含有することで、遮光性を向上させ、また燃焼時の消炎効果、滴下防止性が向上し、熱可塑性樹脂組成物の難燃性を高めることができる。
また、従来用いられる、タルクやマイカ等の板状珪酸塩化合物や、ワラストナイト等の針状珪酸塩化合物と比較し、熱安定性に優れ、良好な機械物性や熱特性を有する熱可塑性樹脂組成物が得られ、特に流動性を向上させた場合においても、耐衝撃性の低下が少ないという利点が得られる。
さらに、ポリカーボネート樹脂の低い光線透過率と白色度を満たし、遮光性に優れるというポリカーボネート材料の用途展開の上では重要な性能を発現する。
ZrO−SiO−HfO系複合酸化物の含有量が、3質量部より少ないと十分な難燃性向上効果が得られず、15質量部を超えると、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性の低下が生じる。含有量の下限は、好ましくは4質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、また、含有量の上限は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7.5質量部以下である。
本発明に用いるZrO−SiO−HfO系複合酸化物は、ジルコニウム(Zr)と珪素(Si)とハフニウム(Hf)との複合酸化物であり、天然から産出される天然品であっても、化学的に合成した合成品であってもよいが、製造工程が容易で、かつ製造エネルギーも小さく、工業的に安価なものが得られる点から天然品であることが好ましい。
本発明に用いるZrO−SiO−HfO系複合酸化物が天然品である場合、天然から産出されたZrO−SiO−HfO系複合酸化物を、適宜粉砕して用いればよい。このとき、精製をしてもよく、乾燥または焼成をしてもよい。また、粉砕方法についても公知の方法であれば適宜選択してもよく、具体的には、乾式法であっても湿式法であってもよいが、比較的粒径が細かく、純度の高いZrO−SiO−HfO系複合酸化物が得られるという点から、湿式法による粉砕がより好ましい。
また、ZrO−SiO−HfO系複合酸化物が合成品である場合は、
珪酸エチル(Si(OC)とオキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl・8HO)とオキシ塩化ハフニウム(HfOCl・8HO)、
珪酸エチルとジルコニウム及びハフニウムのアルコキシドを出発原料としたジルコニウムテトライソプロポキシド(Zr(O−iPr))、ハフニウムテトライソプロポキシド(Hf(O−iPr))、
SiOゾルとジルコニウムテトライソプロポキシドとハフニウムテトライソプロポキシドを使用したゾル−ゲル法、水熱合成法によって得られたジルコニウム珪素ハフニウム酸化物、あるいは、
珪酸ナトリウム(NaO・nSiO・xHO:n=2〜4)と、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ塩化ハフニウムを加水分解重縮合することによって得られたZrO−SiO−HfO系複合酸化物が挙げられる。
本発明に用いるZrO−SiO−HfO系複合酸化物の平均粒径は、0.1〜4μmである。この範囲の粒径のものをポリカーボネート樹脂に配合すると、元々暗い色であったものが、白くなり、きれいな色を呈しやすくなる。平均粒径が0.1〜4μmの範囲を外れると、適切な光線透過率と白色度を達成しにくくなり、遮光性が劣る。好ましい下限は0.5μm以上であり、また好ましい上限は、3.5μm以下、特に好ましくは3μm以下である。また、平均粒径が、0.1μm未満の場合は、ポリカーボネート樹脂への分散性が著しく低下し、また平均粒径が4μmを超える場合は、成形品の外観不良を引き起こし、また耐衝撃性も低下するため好ましくない。
なお、本発明におけるZrO−SiO−HfO系複合酸化物の平均粒径とは、セディグラフ(X線透過式粒度分布測定装置)を用いて測定して得られた粒度分布において、積算重量分布が50%となる粒径を言う。セディグラフは、沈降中の懸濁液にX線ビームを射し、そのX線透過量から粒度分布を測定する装置である。
また、本発明に用いるZrO−SiO−HfO系複合酸化物は、JIS K5101−17−2法に準じて測定したpHの値が、4〜7.5であることが好ましい。より好ましくは4〜7.0である。ZrO−SiO−HfO系複合酸化物のpHが、4を下回ると、ポリカーボネート樹脂の湿熱安定性が低下する傾向にあり、またpHが7.5を超える場合は、ポリカーボネート樹脂の分解性が高まり、熱安定性や耐衝撃性の低下、外観不良等を引き起こす傾向にある為、好ましくない。
本発明に用いるZrO−SiO−HfO系複合酸化物は、その組成が、ZrOとして50〜80質量%、SiOとして25〜45質量%、HfOとして0.05〜5質量%であることが好ましい。ここで、ZrO、SiO、HfO合計量は、100質量%である。
ZrO成分は、50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、また通常80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。また、SiO成分は、25質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、また45質量%以下、より好ましくは、40質量%以下である。
さらに、HfO成分は、0.05質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、特には1.5質量%以上、また5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、特には2質量%以下である。
また、本発明のZrO−SiO−HfO系複合酸化物は、上記ZrO成分、SiO成分とHfO成分以外に、鉄(Fe)の酸化物を含んでいてもよい。鉄酸化物の量としては、Feとして、ZrO、SiO、HfOの合計100質量%に対し、0.005〜0.05質量%含有するのが好ましい。0.05質量%を超えると、成形品の色調に赤みが出やすく、この範囲とすることで見た目が良い色調の成形品が得られる。
さらに、本発明のZrO−SiO−HfO系複合酸化物は、上記ZrO成分、SiO成分、HfO成分、鉄酸化物以外に、Al、TiO、等の金属酸化物や、イットリウム、トリウム、ウラン等の重金属が含有されてもよい。
上記のうち、金属酸化物の含有量は、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。金属酸化物の含有量を、3質量%を超える場合は、ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性や湿熱安定性が低下する恐れがある為、好ましくない。
また、上記重金属の含有量は、1,000ppm以下であることが好ましく、500ppm以下であることがより好ましい。重金属の含有量が、1,000ppmを超える場合は、ポリカーボネート樹脂の分解を引き起こし、機械物性の低下を招き、さらには着色を招く可能性がある為好ましくない。
[6.含フッ素樹脂(D)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、含フッ素樹脂を、ポリカーボネート樹脂(A−1)とエラストマー(A−2)の合計100質量部に対して、0.001〜1質量部含有することが好ましい。このように含フッ素樹脂を含有することで、熱可塑性樹脂組成物の溶融特性を改良することができ、具体的には燃焼時の滴下防止性を向上させることができる。
含フッ素樹脂の含有量は、0.001質量部より少ないと、含フッ素樹脂による難燃性向上効果が不十分になりやすく、1質量部を超えると、熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品の外観不良や機械的強度の低下が生じる傾向がある。含有量の下限は、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.075質量部以上、特に好ましくは0.1質量部以上であり、また、含有量の上限は、より好ましくは0.75質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下、特に好ましくは0.45質量部以下である。
含フッ素樹脂としては、なかでもフルオロオレフィン樹脂が好ましい。フルオロオレフィン樹脂は、通常フルオロエチレン構造を含む重合体あるいは共重合体であり、具体例としては、ジフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂等が挙げられるが、なかでもテトラフルオロエチレン樹脂が好ましい。
また、この含フッ素樹脂としては、フィブリル形成能を有するものが好ましく、具体的には、フィブリル形成能を有するフルオロオレフィン樹脂が挙げられる。このように、フィブリル形成能を有することで、燃焼時の滴下防止性が著しく向上する傾向にある。
フィブリル形成能を有するフルオロオレフィン樹脂としては、例えば、三井・デュポンフロロケミカル社製「テフロン(登録商標)6J」、ダイキン化学工業社製「ポリフロン(登録商標)F201L」、「ポリフロン(登録商標)F103」、「ポリフロン(登録商標)FA500」などが挙げられる。さらに、フルオロオレフィン樹脂の水性分散液の市販品として、例えば、三井デュポンフロロケミカル社製「テフロン(登録商標)30J」、ダイキン化学工業社製「フルオン(登録商標)D−1」等が挙げられる。
さらに、有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂も好適に使用することができる。有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂を用いることで、分散性が向上し、成形品の表面外観が向上し、表面異物を抑制できる。有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂は、公知の種々の方法により製造でき、例えば(1)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合して、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、(2)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液存在下で、有機系重合体を構成する単量体を重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、(3)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、等が挙げられる。
フルオロオレフィン樹脂を被覆する有機系重合体としては、特に制限されるものではなく、このような有機系重合体を生成するための単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;
アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;
無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;
グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体;
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;
エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;
ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体等を挙げることができる。なお、これらの単量体は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
なかでもフルオロオレフィン樹脂を被覆する有機系重合体を生成するための単量体としては、ポリカーボネート樹脂に配合する際の分散性の観点から、ポリカーボネート樹脂との親和性が高いものが好ましく、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、シアン化ビニル系単量体がより好ましい。
また、有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂中のフルオロオレフィン樹脂の含有比率は、通常30質量%以上、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、特に好ましくは45質量%以上であり、通常95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、特に好ましくは75質量%以下である。有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂中のフルオロオレフィン樹脂の含有比率を、上述の範囲とすることで、難燃性と成形品外観のバランスに優れる傾向にあるため好ましい。
このような有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂としては、具体的には、三菱レイヨン社製「メタブレン(登録商標)A−3800」、GEスペシャリティケミカル社製「ブレンデックス(登録商標)449」、PIC社製「Poly TS AD001」等が挙げられる。
なお、含フッ素樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
[7.表面処理剤(E)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、表面処理剤を含有することも好ましい。表面処理剤を含有することによって、熱可塑性樹脂組成物に含有させるZrO−SiO−HfO系複合酸化物の表面活性を低下させ、ポリカーボネート樹脂に対する分解等の影響を少なくし、本発明の熱可塑性樹脂組成物の、熱安定性、湿熱安定性、耐衝撃性、色相が向上し、シルバーストリーク等の少ない、表面外観の優れた成形品が得られる。本発明に係る表面処理剤は、公知の表面処理剤であれば特に限定されるものではなく、ケイ素系表面処理剤、チタン系表面処理剤、アルミ系表面処理剤、有機酸系表面処理剤が挙げられるが、なかでもケイ素系表面処理剤、チタン系表面処理剤が好ましく、ケイ素系表面処理剤がより好ましい。
ケイ素系表面処理剤としては、なかでも無機化合物粒子の表面と反応する反応性の官能基を持つ反応性官能基含有有機ケイ素化合物が好ましい。反応性の官能基としては、Si−H基、Si−OH基、Si−NH基、Si−OR基が挙げられるが、Si−H基、Si−OH基、Si−OR基を持つものがより好ましく、Si−H基をもつSiH基含有有機ケイ素化合物が、特に好ましい。
SiH基含有有機ケイ素化合物としては、分子中にSi−H基を持つ公知の化合物であれば特に制限されず、適宜選択して用いればよいが、なかでもポリ(ジハイドロジェンシロキサン)、ポリ(メチルハイドロジェンシロキサン)、ポリシクロ(メチルハイドロジェンシロキサン)、ポリ(エチルハイドロジェンシロキサン)、ポリ(フェニルハイドロジェンシロキサン)、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(エチルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジエチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ヘキシルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(オクチルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(フェニルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジエトキシシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメトキシシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(3,3,3−トリフルルオロプロピルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(ジハイドロジェンシロキサン)((2−メトキシエトキシ)メチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(ジハイドロジェンシロキサン)(フェノキシメチルシロキサン)]コポリマー等のポリオルガノ水素シロキサンが好ましい。
本発明で好ましく使用できるポリオルガノ水素シロキサンとして、東レ・ダウコーニング社製商品名「SH1107」、信越化学工業社製商品名「KF99」等が例示される。
Si−OH基、Si−ORを持つ有機ケイ素系化合物としては、下記一般式(6)で表される構造のケイ素化合物を好適に用いることができる。
21 Si(OR224−z (6)
上記一般式(6)において、R21は、飽和、不飽和の炭化水素基、水素原子を表し、なかでも炭素数1〜10の炭化水素基であることが好ましい。なお、炭化水素基には官能基が導入されていてもよい。このような炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、またR21は置換基を有していてもよく、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基を有するアルキル基等が挙げられる。
また、上記一般式(6)において、R22は、飽和、不飽和の炭化水素基、水素原子を表し、なかでも炭素数1〜10の炭化水素基であることが好ましい。このような炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基等が挙げられる。また、R22は、塩素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。さらに、zは0または1〜3の整数を表す。
このような、シランカップリング剤としては、具体的には、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン等のアルコキシ系シランカップリング剤;
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルクロロシラン等のアルキル系シランカップリング剤;
フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、トリフェニルシラノール、ジメチルフェニルメトキシシラン等のアリール系シランカップリング剤;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン等のアルケニル系シランカップリング剤;
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤;
p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリル系シランカップリング剤;
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシ系シランカップリング剤;
3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアクリロキシ系シランカップリング剤;
N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤;
3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド系シランカップリング剤;
トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン系シランカップリング剤;
ビス−(3−(トリエトキシシリル)−プロピル)−ジスルフィド、ビス−(3−(トリエトキシシリル)−プロピル)−テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤;
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤;
イソシアネート系としては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系シランカップリング剤などを挙げることができる。
なお、これらのシランカップリング剤は、結合の一部が加水分解、脱水縮合して生じる2個以上の重縮合体であってもよい。また2種類以上のものを併用、重縮合させて用いても差し支えない。
このようなシランカップリング剤のなかでも、特にアルキル系シランカップリング剤、アリール系シランカップリング剤が好ましく、フェニル系シランカップリング剤がさらに好ましい。
本発明における表面処理剤(E)の好ましい含有量は、ZrO−SiO−HfO系複合酸化物100質量部に対して、1質量部以上であり、特には2質量部以上であり、上限は好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは7.5質量部以下、特に好ましくは6質量部以下である。表面処理剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、十分な表面処理効果を発揮することができない傾向があり、表面処理剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちになるばかりか、成形時のガスが増えたり、成形品の外観不良を招くというような可能性があるため好ましくない。
[8.その他の成分]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述したもの以外にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
・樹脂添加剤
樹脂添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物に好適な添加剤の例について具体的に説明する。
・・熱安定剤
熱安定剤としては、例えばリン系化合物が挙げられる。リン系化合物としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第10族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられる。
なかでも、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の有機フォスファイトが好ましい。このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、アデカ社製(商品名、以下同じ)「アデカスタブ1178」、「アデカスタブ2112」、「アデカスタブHP−10」、城北化学工業社製「JP−351」、「JP−360」、「JP−3CP」、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製「イルガフォス168」等が挙げられる。
なお、熱安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A−1)とエラストマー(A−2)の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.7質量以下、より好ましくは0.5質量部以下である。熱安定剤が少なすぎると熱安定効果が不十分となる可能性があり、熱安定剤が多すぎると効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
・・酸化防止剤
酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。このようなフェノール系酸化防止剤としては、具体的には、例えば、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製「イルガノックス1010」(登録商標、以下同じ)、「イルガノックス1076」、アデカ社製「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」等が挙げられる。
なお、酸化防止剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A−1)とエラストマー(A−2)の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。酸化防止剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、酸化防止剤としての効果が不十分となる可能性があり、酸化防止剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
・・離型剤
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/またはアルコールを含有していてもよい。また、上記のエステルは、純物質であってもよいが、複数の化合物の混合物であってもよい。さらに、結合して一つのエステルを構成する脂肪族カルボン酸及びアルコールは、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素は部分酸化されていてもよい。これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
なお、脂肪族炭化水素は単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
上述した離型剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A−1)とエラストマー(A−2)の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
・・紫外線吸収剤
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の透明性や機械物性が良好なものになる。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられ、なかでも2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が好ましく、特に2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
このようなベンゾトリアゾール化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製(商品名、以下同じ)「シーソーブ701」、「シーソーブ702」、「シーソーブ703」、「シーソーブ704」、「シーソーブ705」、「シーソーブ709」、共同薬品社製「バイオソーブ520」、「バイオソーブ580」、「バイオソーブ582」、「バイオソーブ583」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ71」、「ケミソーブ72」、サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV5411」、アデカ社製「LA−32」、「LA−38」、「LA−36」、「LA−34」、「LA−31」、チバ・スペシャリティケミカルズ社製「チヌビンP」、「チヌビン234」、「チヌビン326」、「チヌビン327」、「チヌビン328」等が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A−1)とエラストマー(A−2)の合計100質量部に対して、通常0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上であり、また、通常3質量部以下、好ましくは1質量部以下である。紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、耐候性の改良効果が不十分となる可能性があり、紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、モールドデボジット等が生じ、金型汚染を引き起こす可能性がある。なお、紫外線吸収剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
・・染顔料
染顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料などが挙げられる。
有機顔料および有機染料としては、例えば、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;キノリン系、アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。
これらの中では、熱安定性の点から、酸化チタン、カーボンブラック、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物などが好ましい。
なお、染顔料は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。また、染顔料は、押出時のハンドリング性改良、樹脂組成物中への分散性改良の目的のために、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂とマスターバッチ化されたものも用いてもよい。
染顔料の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A−1)とエラストマー(A−2)の合計100質量部に対して、通常5質量部以下、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。染顔料の含有量が多すぎると耐衝撃性が十分でなくなる可能性がある。
[9.熱可塑性樹脂組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、本発明に係るポリカーボネート樹脂、エラストマー、リン酸エステル系難燃剤および/またはホスファゼン系難燃剤、ZrO−SiO−HfO系複合酸化物、及び含フッ素樹脂、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
[10.成形品]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形して成形品(樹脂組成物成形品)として用いる。この成形品の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形品の用途に応じて任意に設定すればよい。
成形品の例を挙げると、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品が挙げられる。これらの中でも、特に電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品、照明機器等の部品へ用いて好適であり、電気電子機器の部品に用いて特に好適である。
前記の電気電子機器としては、例えば、パソコン、ゲーム機、テレビなどのディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳やPDA、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、電池パック、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ・オーディオプレーヤー等が挙げられる。
成形品の製造方法は、特に限定されず、ポリカーボネート樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。
得られた本発明の成形品は、上述したようにポリカーボネート樹脂の優れた性質を損なうことなく、難燃性、耐衝撃性の高い実用的な成形品として用いることが可能である。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
なお、実施例及び比較例で用いた測定・評価法および使用材料は、以下のとおりである。
1.測定・評価法
[難燃性評価]
各熱可塑性樹脂組成物の難燃性の評価は、後述の方法で得られたUL試験用試験片(1.2mm厚および1.6mm厚)を温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して行なった。UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、V−0、V−1及びV−2の難燃性を有するためには、以下の表1に示す基準を満たすことが必要となる。
Figure 2011208111
ここで残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の、試験片の有炎燃焼を続ける時間の長さである。また、ドリップによる綿着火とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。さらに、5試料のうち、1つでも上記基準を満たさないものがある場合、V−2を満足しないとしてNR(not rated)と評価した。なお、評価結果を示す後記表中、「難燃性」と表記する。
[流動性評価]
後述の製造方法で得られたペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、高荷式フローテスターを用いて、280℃、荷重160kgfの条件下で組成物の単位時間あたりの流出量Q値(単位:×10−2cc/sec)を測定し、流動性を評価した。なお、オリフィスは直径1mm×長さ10mmのものを使用した。Q値が高いほど、流動性に優れていることを示す。なお、表3中、「流動性」と表記する。
[色相評価]
各樹脂組成物の色相の評価は、後記した3mm厚の平板状成形品を用い、JIS K−7105に準拠して、日本電色工業社製のSE2000型分光式色差計で、反射法により、L、a、b値を測定し、ハンターLab白色度W(Lab)を以下の定義式より求めた。
W(%)=100−[(100−L)+(a+b)]0.5
式中、L、a及びbは、それぞれLab系色座標における明度(L)、及び知覚色度指数(a,b)を示す。
[耐衝撃性評価]
得られたペレットを、射出成形機(住友重機械工業社製、サイキャップM−2、型締め力75T)を用い、シリンダー温度280℃、金型温度110℃の条件で、ISO多目的試験片(3mm)を製造し、シャルピー衝撃強度CI(ISO179によりノッチ入りにて測定。)を測定した。
2.使用材料
(A−1)成分[ポリカーボネート樹脂]
・ビスフェノールA型の芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1−1)
三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ユーピロン(登録商標)
S−3000」 粘度平均分子量:22,000
・ビスフェノールA型の芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1−2)
三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ユーピロン(登録商標)
H−4000」 粘度平均分子量:15,000
(A−2)成分[エラストマー]
(A−2−1):ブタジエンゴム状重合体(コア)/アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル重合体(シェル)から成るコア/シェル型共重合体
ロームアンドハースジャパン社製商品名「パラロイドEXL2603」
(A−2−2):アクリル酸アルキル重合体(コア)/メタクリル酸アルキル重合体(シェル)から成るコア/シェル型共重合体
ロームアンドハースジャパン社製商品名「パラロイドEXL2315」
(A−2−3):ポリオルガノシロキサン・メタクリル酸アルキル重合体(コア)/アクリロニトリル−スチレン共重合体(シェル)から成るコア/シェル型共重合体
三菱レーヨン社製商品名「メタブレンSRK−200」
(A−2−4):ブタジエン−スチレン重合体(コア)/アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル重合体(シェル)から成るコア/シェル型共重合体
ロームアンドハースジャパン社製商品名「KCZ201」
(A−2−5):アクリル酸アルキル重合体(コア)/アクリロニトリル−スチレン共重合体(シェル)から成るコア/シェル型共重合体
ガンツ化成社製商品名「スタフィロイドMG1011」
(A−2−6):2種のアクリル酸アルキル重合体ゴム成分(コア)/メタクリル酸アルキル重合体(シェル)から成るコア/シェル型共重合体
三菱レーヨン社製商品名「メタブレンW−450A」
(A−2−7):ジメチルシロキサン重合体とアクリル酸アルキル重合体から成る複合ゴム(コア)/メタクリル酸アルキル重合体(シェル)から成るコア/シェル型共重合体
三菱レーヨン社製商品名「メタブレンS−2001」
(A−2−8):メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体
三菱レーヨン社製商品名「メタブレンE−901」
(B−1)成分[リン酸エステル系難燃剤]
レゾルシノールビス−2,6−キシレニルホスフェート
大八化学工業社製、商品名「PX−200」
(B−2)成分[ホスファゼン系難燃剤]
環状フェノキシホスファゼン
伏見製薬工業社製、商品名「FP−110」
(C)成分[ZrO−SiO−HfO系複合酸化物]
ZrO−SiO−HfO系複合酸化物として、以下の表2に示すC−1〜C−5を準備した。表2中、Feの含有量は、ZrOとSiOとHfOの合計100質量%に対する質量%である。
Figure 2011208111
(D)成分[含フッ素樹脂]
フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン
三井デュポンフロロケミカル社製、商品名「テフロン(登録商標)6J」
(E)成分[表面処理剤]
SiH基含有有機ケイ素重合体
メチル水素ポリシロキサン
東レ・ダウコーニング社製、商品名「SH1107 FLUID」
(F)成分[安定剤]
(F−1)トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト
ADEKA社製、商品名「アデカスタブ2112」
(F−2)ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート] チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、
商品名「イルガノックス1010」
(G)成分[タルク]
林化成社製、商品名「ミクロンホワイト#5000S」
平均粒径 2.8μm
(H)成分[離型剤]
ベヘニルベヘネート
日油社製、商品名「M−2222SL」
(実施例1〜6、比較例1〜6)
(A)〜(G)成分として表3、表4に示した材料を用い、各成分を、表3、表4に記した割合(全て質量%)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂組成物を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
次に、上述の製造方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、名機製作所社製のM150AII−SJ型射出成形機を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度60℃の条件で射出成形し、平板状試験片(90mm×50mm×3mm厚)を成形した。
また、同様に上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼所製のJ50−EP型射出成形機を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度70℃の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ1.2mm、及び、厚さ1.6mmのUL試験用試験片を成形した。
得られた試験片に対する評価結果を、表3および表4に示した。
Figure 2011208111
Figure 2011208111
実施例1〜6、比較例1〜6を対比すれば分かるように、高い白色度を示し遮光性に優れ、また高い難燃性を有し、耐衝撃性と流動性にも優れることがわかる。
すなわち、実施例1〜3は、ZrO−SiO−HfO系複合酸化物の含有量を変化させたものであるが、いずれも難燃性はV−1と高く、白色度も良い。実施例4はさらに表面処理剤を使用したものであるが、実施例1〜3と同様の高い難燃性と良好な白色度を示した。実施例5は、ZrO−SiO−HfO系複合酸化物の粒径は同じだが、Feの含有量が多いものを使用した例であるが、やや白色度が低下した。実施例6は、ZrO−SiO−HfO系複合酸化物の粒径が小さいものを使用したものであるが、白色度はやや低下するものの、難燃性はV−0を達成した。
一方、ZrO−SiO−HfO系複合酸化物を含まない比較例1では、難燃性はV−2と悪く、白色度も悪化した。ZrO−SiO−HfO系複合酸化物の量が本発明の量に足りない比較例2では、難燃性はV−2と悪い。本発明の粒径を満たさないZrO−SiO−HfO系複合酸化物を用いた比較例3および4では、耐衝撃性改良効果が出にくく、白色度も十分ではなくなってきている。また、タルクを用いた比較例5では、難燃性、白色度も悪く耐衝撃性も低く、さらにエラストマーを含有しない比較例6では、白色度も良くなく、難燃性と耐衝撃性が悪いことが分かる。
(実施例7〜14、比較例7〜11)
エラストマーの種類を下記表5および表6に記載のものを使用し、上記実施例/比較例1〜6と同様にして行った。
結果を表5および表6に示す。
Figure 2011208111
Figure 2011208111
実施例7〜14は、実施例2の処方において、エラストマーの種類を変更したものであるが、先の実施例と同様に高い白色度を示し遮光性に優れ、また高い難燃性を有し、強度の低下がないことがわかる。
(実施例15、比較例12〜15)
[樹脂ペレット製造]
前述した各成分を、表7に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度270℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
[試験片の作製]
上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製のサイキャップM−2、型締め力75Tを用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、ISO多目的試験片(3mm)及び、ISO多目的試験片(4mm)を成形した。
また、同様に上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼所製のJ50−EP型射出成形機を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ0.8mmのUL試験用試験片を成形した。
[湿熱安定性評価]
上述の方法で得られたISO多目的試験片(4mm)を用い、ISO527規格に準拠し、引張破壊歪み(単位:%)を測定した。次に、当該試験片を、温度75℃、相対湿度85%の条件下で、640h処理し、上述と同様の方法で、引張破壊歪み(単位:%)を測定した。なお、表7中、「歪み」、及び「歪み(湿熱試験後)」と表記する。
Figure 2011208111
したがって、上記の実施例1〜15及び比較例1〜15から、流動性と耐衝撃性と白色度と難燃性のバランスに優れたものが得られるという効果、また、実施例15及び比較例12から、耐衝撃性と難燃性と耐湿熱性に優れたものが得られるという効果は、本発明の構成により、リン酸エステル系難燃剤および/またはホスファゼン系難燃剤と特定粒径のZrO−SiO−HfO系複合酸化物と含フッ素樹脂をポリカーボネートとエラストマーに各所定量配合することによって、はじめて得られるものであることが確認された。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物によれば、遮光性に優れ、流動性と耐衝撃性と難燃性のバランスに優れたポリカーボネート樹脂成形材料が得られるので、例えば、電気電子機器やその部品、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器などの広範囲の分野に利用でき、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (9)

  1. 芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)50〜97質量%およびエラストマー(A−2)50〜3質量%を含有する熱可塑性樹脂100質量部に対し、
    リン酸エステル系難燃剤(B−1)および/またはホスファゼン系難燃剤(B−2)2〜25質量部、平均粒径が0.1〜4μmのZrO−SiO−HfO系複合酸化物(C)1〜15質量部、および含フッ素樹脂(D)0.001〜1質量部を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. リン酸エステル系難燃剤(B−1)が、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル系難燃剤であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 2011208111
    (式中、R、R、RおよびRは、各々独立して、炭素数1〜6のアルキル基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、Xはアリーレン基を示し、p、q、rおよびsは、0または1であり、kは1から5の整数である。)
  3. ZrO−SiO−HfO系複合酸化物(C)の組成が、ZrO:50〜80質量%、SiO:25〜45質量%、HfO:0.05〜5質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. ZrO−SiO−HfO系複合酸化物(C)が、さらに、Feを、ZrO、SiOおよびHfOの合計100質量%に対し、0.005〜0.05質量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. エラストマー(A−2)が、ポリブタジエン含有ゴムまたは(メタ)アクリル酸エステル系ゴムを含有するコア層を有する、コア/シェル型グラフト共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. エラストマー(A−2)が、(メタ)アクリル酸エステル系重合体またはアクリロニトリル・スチレン共重合体からなる最外殻層を有する、コア/シェル型グラフト共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. さらに、表面処理剤(E)を、ZrO−SiO−HfO系複合酸化物(C)100質量部に対し、1〜10質量部含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 表面処理剤(E)が、SiH基含有有機ケイ素重合体またはシランカップリング剤であることを特徴とする請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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