JP2011207771A - シロアリ誘引材料及びシロアリ誘殺材料 - Google Patents

シロアリ誘引材料及びシロアリ誘殺材料 Download PDF

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Abstract

【課題】 より効果的なシロアリ誘引材料とシロアリ誘殺材料とを提供する。
【解決手段】 100メッシュのステンレス網を通過したモウソウチクの竹粉80部に対して、ポリプロピレンを20部、それに相溶化剤としてマレイン酸変性のポリプロピレンを2部加え、スーパーミキサーにて混練した後、例えば、コニカルタイプの押出成形機を用いて、半固化成形により、竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉80部)を得た。
これをシロアリ誘引材料とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シロアリを誘引するシロアリ誘引材料と、シロアリを誘引して殺すシロアリ誘殺材料とに関する。
シロアリは嗜好性が強く、木材の中でも食害を受けやすい樹種と受けにくい樹種がある。たとえば、木材工業ハンドブック(改訂4版 丸善(株)平成16年3月30日発行) によると、マツ科マツ属のアカマツやクロマツ、同科トウヒ属のエゾマツ、モミ属のトドマツやモミなどはシロアリが好んで食害をする木材である。
また、発明者が実際に調査したところでは、木材工業ハンドブックに記載されたものの他にも、トガサワラ属のベイマツ(ダグラスファー) やツガ属のベイツガなどもシロアリによく食べられることが判明した。
一方、ヒノキ科のヒノキやヒバ、コウヤマキ科のコウヤマキはシロアリに対して強い木材とされている。
その中間にはスギ科のスギがある。
シロアリ防除を目的として、かねてより行われてきた現場での施工方法は、薬剤の土壌散布と被害木への含浸処理である。この方法は現在でも日常よく見られるが、その一方で、散布、含浸した薬剤がもたらす健康被害も時として報告されており、薬剤に頼らない、あるいは薬剤使用量を極限まで減じた防除技術の開発が進められているところである。
その一つとして、ステンレスの金網で住宅の基礎部分を覆い、シロアリが家の内部にまで浸入できないようにする方法が提案されているが、非常に高価であるし、亀裂等が入った場合、全く効果が失われてしまう。
また、別の方法ではシロアリが好む餌木を入れたトラップを、敷地内の土中に埋めて、シロアリが食害するのを確認した後に、その餌木を遅効性の殺虫剤を入れた餌と置き換え、それを巣に持ち帰らせることで巣全体を撲滅させる方法が提案されている(これをベイト法という) 。
ベイト法に関連がある特許文献としては、例えば、特開2008−142000(特許文献2)、特開2005−046076(特許文献6)、特開2005−046075(特許文献7)、特開2006−257003(特許文献8)、特開2004−137150(特許文献9)、特開2004−107215(特許文献10)、特開平10−324608(特許文献12)等がある。
あるいは、餌木を家の周囲に埋めて、それを食害させることで家への侵入を防ぐ、いわばシロアリと共存する方法も提案されている。
その他、不必要な薬剤散布を防ぐ意味で、土中にトラップをしかけて、防除を依頼された住宅の敷地周りにシロアリが存在するかを確かめたうえで、対処法を決めるという方法もある。
ところで、これらの方法にはいずれも餌木が必要であり、シロアリが通過できるように工夫した容器(これをトラップ容器という) を地中に埋め、その中に、上述したようなシロアリが好む木材を杭にして打ち込み、餌としていた。その周りを、これもシロアリの格好の餌である段ボールで巻くことも通常行われている。
しかし、一般的にシロアリが好む木材は耐朽性が低い。腐朽が進むと、食害が進行しない傾向が認められることから、シロアリは腐朽した木材を嫌うようになっていると考えられる。また、木材杭は地中に埋めることで、含水率が極めて高くなるし、段ボールも設置後すぐに含水率が高くなる。含水率がある程度以上になるとやはり、食害が進まない。
このように、誘蟻材料である木材や段ボールは、初期の段階にはシロアリを寄せ付ける効果があるが、それが腐朽したり、含水率が高くなると、シロアリは寄りつかなくなり、誘蟻材料としての効果がなくなってしまう。つまり、期待していたほどの効果がこれまでの誘蟻材料では得られなかった。
さらに、設置した餌木にシロアリが気付くまでには、ある程度の期間が必要で、その間に餌木の含水率が高くなったり、腐朽したりすると、餌木としての働きをしないこともしばしばであった。
シロアリのトラップ容器や方法、それによるシロアリ防除方法に関する発明は以下に一例を示すごとく、ごく最近においても数多くなされており、周知の事実となっている。また、このことは、ベイト法が近年、注目されていることの裏付けでもある。
また、シロアリを誘引するための材料についても、上記のトラップ容器にかかる発明よりは少ないものの、以下に示すようにいくつかの発明がある。
これらのシロアリを誘引する材料に関しては、以下の特許文献がある。
特開2009−278992(特許文献1)は、トラップに関するものであると同時に、それを作るための材料にシロアリを誘引する物質を含浸させたポリマーを用いることを特徴とした発明である。
特許文献1によると、ポリマーはシロアリ誘引物質を保持して、その性能を長期にわたって維持するためのものである。シロアリ誘引物質を含浸させるために、同物質は水溶性であるか、何らかの溶媒に可溶であること、ポリマーは多孔質でかつシート状でなければならないこと、その物質が変性する危険性があるので、加熱を必要とする工程では作製できないことなど制約が多い。また、薄いシートを用いて、それに水溶性の誘引剤を含浸させる方法では、発明者が説明するような持続性があるかは、いささか疑問である。実施例には野外試験についての記載はなく、当発明の要素である「性能を長期にわたって維持する」ことを証明できる内容ではない。また、セルロース系の材料をこのポリマーに持ち込むことは、それが腐朽劣化の恐れがあるとして好ましくないと記載されており、このことはポリマー内に自由に水が入り込むことを発明者が認めたことに他ならず、水溶性の誘引物質も野外では簡単に流脱すると考えられる。
特開2006−257003(特許文献8)には、蒸煮木材とセルロース系材料からなるシロアリ誘引剤についての記載がある。その記載によると、このシロアリ誘引剤は、蒸煮木材とセルロース系材料を粉剤または錠剤に成形したものであるが、実際の施工に当たっては過剰の水を防ぐことが不可欠であり、雨水対策が必要なことを発明者自身が認めている。設置場所は軒下などに限られるし、それであっても長期の性能維持は難しいと考えられる。
また、特開2004−137150(特許文献9)には、木材等のシロアリを誘引するためのセルロース系材料が水に触れて劣化するのを防ぐために、それを樹脂容器で保護した防蟻材料と、それによる防除方法についての発明が記載されている。この発明では、誘引材料が完全に樹脂容器で覆われることで、果たして高い誘引効果があるか疑問である。実施例は極めてシロアリ被害が甚大な特異な地域での試験であり、食害が誘引の結果であるかは疑問であり、他の地域で同じような効果が得られるかは不明である。また、仮にシロアリがその存在に気付き、食害したとしても、容器に孔が開き、その後急速に誘引材料が劣化して、その効果が失われる危険性が高いと思われるが、それについての対策についての記載はない。
特開2004−107215(特許文献10)は、フィルムで誘引材料を保護する方法が開示されているが、それも特開2004−137150(特許文献9)と同様の課題がある。
特開2001−335404(特許文献11)は、加圧成形した紙に誘引剤等をしみ込ませた防除剤に関する発明が開示されているが、これも雨水対策が必要という上記の特開2006−257003(特許文献8)と同様の欠点がある。
特開平10−324608(特許文献12)は、イソシアネート系の熱硬化性樹脂を用いることで、水溶性のベイト用殺蟻成分の流脱を防ぐ方法についての発明が開示されている。イソシアネート系の熱硬化性樹脂はエマルジョンの形で添加する必要があり、樹脂の添加後に水を除去する工程が必要であること、硬化反応を完了させるためには実施例にもあるように数日のキュア時間が必要であることや、スチームプレスのような特殊の装置が必要なことおよび、かなり高い反応温度が必要なことなどが課題として残っている。また、実施例には誘引材料として加えた木質系材料が樹脂の保護によりどの程度の耐朽性を示すかというデータがなく、あくまで樹脂使用の目的は、形状の保持と防蟻成分の流脱防止にのみ向けられたものである。しかも、防蟻成分の流脱は当発明により抑制はされるものの、完全にそれを防止できるものではないことが実施例からも明らかである。
特開平10−229800(特許文献13)には、発泡体にベイト用殺蟻剤を含浸させた材料が開示されている。かかる発明も殺蟻剤の溶脱を防止する目的であることはその明細書より明らかであるが、それに加えるセルロース系の誘引剤の微生物劣化を抑えるには、抗黴剤や抗菌剤の添加が有効である旨の記載もあり、この発泡体が水分の浸入を防ぎ、誘引剤の劣化を抑制するものでないことは確かである。
特開2009−278992 特開2008−142000 特開2008−151 特開2006−34207 特開2005−204528 特開2005−46076 特開2005−46075 特開2006−257003 特開2004−137150 特開2004−107215 特開2001−335404 特開平10−324608 特開平10−229800
上述したように、従来の誘蟻剤には、誘引物質が効果的に周囲に放たれない、食害後に雨水の侵入を許して誘引物質が劣化して性能を失うという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みて創案されたものであって、より効果的なシロアリ誘引材料とシロアリ誘殺材料とを提供することを目的としている。
本発明に係るシロアリ誘引材料は、マツ科マツ属、モミ属、トウヒ属、トガサワラ属、ツガ属又はイネ科タケ亜科に属するリグノセルロース系材料のうち、少なくとも1つ以上からなる粉砕物と、熱可塑性樹脂との複合成形体からなっている。複合体内部への水の侵入を防ぐ意味からも、複合体には空隙が少なく、緻密であることが求められ、その密度は1.0g/cm3 以上、好ましくは1.2g/cm3 以上である。
前記リグノセルロース系材料の粉砕物は、粒子の短径が2mm以下で、竹材の場合、一つの粒子の中に維管束が複数存在しない大きさである。
本発明に係るシロアリ誘殺材料は、マツ科マツ属、モミ属、トウヒ属、トガサワラ属、ツガ属又はイネ科タケ亜科に属するリグノセルロース系材料のうち、少なくとも1つ以上からなる粉砕物と、非忌避的にかつ遅効的に作用する殺蟻性物質と、熱可塑性樹脂との複合成形体からなっている。
本発明に係るシロアリ誘引材料は、実施例において説明するように、シロアリが生息する地域でテストしても、木材腐朽菌による劣化も観察されなかった。また、半年のテスト期間中にこのシロアリ誘引材料を用いた試験杭の地上部を含めてあらゆる部位で、このように食害が顕著になった点からも有効にシロアリを誘引していると考えることができる。
竹粉・熱可塑性樹脂複合体の吸水試験の結果を示すグラフである。
以下、実施例を紹介するが、ここに記載された内容が全てではなく、これらによって当発明の請求の範囲が制約されるものではない。
100メッシュのステンレス網を通過したモウソウチクの竹粉80部に対して、ポリプロピレン(以下『PP』という。) を20部、それに相溶化剤としてマレイン酸変性のポリプロピレン(以下『MAPP』という。) を2部加え、スーパーミキサーにて混練した後、コニカルタイプの押出成形機を用いて、ダイス温度150℃、シリンダ温度170℃として、半固化成形により、厚さ10mm、幅60mmの竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉80部)を得た。
なお、100メッシュのステンレス網を通過するまで粉砕された竹粉は、直径が2mm以下で一つの竹粉の粒子の中に維管束が複数存在しない大きさにまでなっている。
竹粉とPPやポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を混練して成形原料とするための混練には樹脂ペレット製造時に用いられるペレタイザーを用いることも可能である。
また、スーパーミキサーなどの混練装置等がない場合には、所定の割合で充填材としての竹粉と熱可塑性樹脂を単に混合するだけでも、成形原料を調製できる。このとき、熱可塑性樹脂の一部に、マレイン酸等の付加を行い、極性を持たせた樹脂(MAPP)、すなわち、相溶化剤を最大で5%程度添加すると、充填材と樹脂との親和性が高まり、成形性が向上する。さらに、ステアリン酸エステル等の潤滑剤を若干添加することもある。
また、100メッシュのステンレス網を通過したモウソウチクの竹粉60部に対して、PPを40部、それに相溶化剤としてマレイン酸変性のMAPPを2部加え、ビニル袋内でそれらを混合した後、同様の方法で竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉60部)を作製した。
これらの複合体は目視的には空隙がなく、緻密であり、その密度はいずれも1.2g/cm3 をやや超える程度であった。
竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉80部)及び竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉60部)を長さ350mmに切断して、先端部50mmを尖らせて試験杭とした。
なお、以下では、竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉80部)から得た試験杭を試験杭(竹粉80部)、竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉60部)から得た試験杭を試験杭(竹粉60部)と称する。
試験杭(竹粉80部)、試験杭(竹粉60部)をそれぞれ5本作り、イエシロアリの生息が確認されている和歌山県日高郡美浜町内の煙樹ヶ浜に、試験杭(竹粉80部)と試験杭(竹粉60部)それぞれ1本を一組として、6本のスプルース製の杭とともに、杭の上部50mmが地上に出るようにして、平成20年5月に埋設した。
その際、各試験杭の近隣少なくとも200mm以内の砂地を、深さ約400mm掘り起こし、樹木の根などの有機物をできる限り取り除き、さらにその砂の中にシロアリがいないことを確かめた。
埋設から8ケ月経過後の平成21年1月に調査を行った。
この平成21年1月の調査時には、竹粉の配合比率が異なるにもかかわらず、すべての試験杭(竹粉80部)、試験杭(竹粉60部)は、地上部までシロアリが運ぶ蟻土に覆われていた。
これらの試験杭(竹粉60部)、試験杭(竹粉80部)を掘り出したところ、地中部においても試験杭全体が蟻土に覆われていた。
これに対して、周囲に設置していたスプルース製の杭の地上部は蟻土で覆われることはなく、被害もなかった。
試験杭(竹粉60部)、試験杭(竹粉80部)の周りに形成された蟻土を取り除くと、極めて多くのイエシロアリが内部に生息していることが確認できた。
さらに、竹粉の配合比率にかかわらず、全ての試験杭が激しく食害されていた。JIS K 1571に基づく評価は、表1に示すとおりであった。
なお、それぞれの試験杭(竹粉80部)、試験杭(竹粉60部)は、湿った様子はなく、木材腐朽菌による劣化も観察されなかった。同JIS では、試験期間を2年としており、半年の間に全ての試験杭の地上部を含めてあらゆる部位で、このように食害が顕著になったことや、試験杭の設定時に試験杭周辺のシロアリを排除したことから考えて、これらの試験杭(竹粉80部)、試験杭(竹粉60部)は、シロアリを誘引していると考えて差し支えない。
すなわち、この試験杭(竹粉80部)、試験杭(竹粉60部)は、シロアリ誘引材料といえる。
なお、本発明に係るシロアリ誘引材料は、形状を杭状とすることに限定されるものではなく、他の形状であってもよいことはいうまでもない。この点は以下の実施例においても同様である。
Figure 2011207771
竹粉・熱可塑性樹脂複合体の耐蟻性(杭試験)(暴露6か月)
実施例1で用いた竹粉に代えて、マツ科のトウヒ属(S)、マツ属(P)とモミ属(F)からなるSPF混合木粉60部に、PP40部とMAPP2部を加えて、実施例1と同様に木粉・熱可塑性樹脂複合体(木粉60部)を作製し、その木粉・熱可塑性樹脂複合体(木粉60部)から試験杭を得た。なお、以下では、木粉・熱可塑性樹脂複合体(木粉60部)から得た試験杭を試験杭(木粉60部)と称する。
なお、前記SPF混合木粉も100メッシュのステンレス網を通過するまで粉砕されたものであり、その短径は2mm以下にまでなっている。
この試験杭(木粉60部)を実施例1と同様に和歌山県日高郡美浜町内の煙樹ヶ浜に、6本のスプルース製の杭とともに、各試験杭の上部50mmが地上に出るようにして、平成20年5月に埋設した。
その際、各試験杭の近隣少なくとも200mm以内の砂地を、深さ約400mm掘り起こし、樹木の根などの有機物をできる限り取り除き、さらにその砂の中にシロアリがいないことを確かめた。
埋設から8ケ月経過後の平成21年1月に調査を行った。
その結果、表2に示すように、5本中4本の試験杭(木粉60部)に、明らかな食害が認められた。なお、試験杭(木粉60部)は湿った様子はなく、木材腐朽菌による劣化も観察されなかった。同JIS では、試験期間を2年としており、半年の間にこのような食害が観察されたことから考えて、この試験杭(木粉60部)はシロアリを誘引していると考えて差し支えない。
Figure 2011207771

木粉・熱可塑性樹脂複合体(木粉60部)の耐蟻性(杭試験)(暴露6か月)
実施例1で用いた竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉80部)を長さ150mmに切断し、さらに幅方向に二等分して、厚さ×幅×長さが10mm×30mm×150mmの試験体(竹粉80部、1/2幅)を6体調製した。
この試験体(竹粉80部、1/2幅)を鹿児島県日置市内の吹上浜において、イエシロアリの活性が不明確な場所を選んで、平成21年6月中旬に、JIS K 1571に定められた表面処理用の耐蟻性試験のうち、野外試験に従って設置した。
すなわち、煉瓦の上に試験体を置き、シロアリが好む環境を作るために、植木鉢等で覆った。このとき、少なくとも植木鉢が覆う範囲内の砂地を深さ200mm以上掘り起こし、樹木の根などの有機物をできる限り取り除き、さらにその砂の中にシロアリがいないことを確かめた。
平成21年10月下旬、設置後約4.5か月後に調査したところ、6体の試験体(竹粉80部、1/2幅)のうち4体は、試験体(竹粉80部、1/2幅)全体が蟻土で覆われていた。その蟻土を取り除いたところ、蟻土の中には多くのイエシロアリが生息していることが確認できた。
試験体(竹粉80部、1/2幅)自体も食害を受けていた。JIS K 1571に基づく評価は、表3に示すとおりであった。なお、同JIS では、試験期間を2年としており、半年の間に非接地の状態で、このように食害が顕著になったことや、設定時に試験体(竹粉60部、1/2幅)の周囲にシロアリがいないことを確認したこと、さらには試験体(竹粉60部、1/2幅)を地中に埋めていないことから考えて、この試験体(竹粉80部、1/2幅)はシロアリを誘引していると考えて差し支えない。
Figure 2011207771
試験体(竹粉80部、1/2幅)の耐蟻性(非設置試験)(設置後4.5か月)
実施例1で用いた竹粉の配合比率が異なる2種類の竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉60部)、竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉80部)から、厚さ(10mm)はそのままにして、およそ20mm角の試験体(竹粉60部、角)及び試験体(竹粉80部、角)をそれぞれ24体ずつ切り出した。
JIS K 1571に基づき、木材腐朽菌としてオオウズラタケならびにカワラタケを用いて、それぞれの供試菌に対して、試験体(竹粉60部、角)及び試験体(竹粉80部、角)を12体ずつ用いて、室内ビン試験によりその耐朽性を評価した。すなわち、流水中での溶脱操作(16時間)と60℃の送風乾燥機中での揮散操作(8時間)を1組として10回繰り返す「耐候操作」を行った後、60℃恒量を測定した。
続いて、試験体(竹粉60部、角)及び試験体(竹粉80部、角)12体ずつに対して、オオウズラタケならびにカワラタケを用いた抗菌操作を実施した。
900mlの広口ビンの底に基材として石英砂を入れ、それに培養液と若干のブナ木粉を加え、オートクレーブを用いて滅菌した後、振とうフラスコを用いて予め培養しておいたオオウズラタケ、カワラタケを培養液とともに広口瓶に注いだ。
27℃で相対湿度が75%の培養室に一定期間置き、菌糸が成長したのを確かめた後、EOガス(エチレンオキサイドガス)で滅菌した試験体を1ビン当たり3個ずつ投入した。このとき、基材である石英砂と試験体が直接触れないように耐熱性のプラスチックメッシュを敷き、その上に各試験体を乗せた。
培養室内で12週間の抗菌操作をした後、水洗により被覆した菌糸などを取り除いた試験体を、送風乾燥機に入れて十分に乾燥させて、60℃恒量を求め、抗菌操作による重量減少率を求めた。その結果、表4に示すように、いくらかの重量減少は認められたものの、それは同時に行ったスギ辺材の重量減少率(オオウズラタケで61.0%、カワラタケで45.1%)に比べると、非常に軽微であり、竹粉熱可塑性樹脂複合体には高い耐朽性があることが分かった。
Figure 2011207771
竹粉・熱可塑性樹脂複合体の耐朽性(室内ビン試験)
実施例1で用いた竹粉の配合比率が異なる2種類の竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉60部)、竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉80部)を長さ60mmに切断して、吸水試験に供した。25℃の水中に沈め、所定時間ごとに重量を測定し、吸水率を求めた。
その結果、図1に示すように、竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉60部)、竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉80部)は吸水するものの、吸水率は20週経過後でも、竹粉を80部用いた竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉80部)で約17%、竹粉を60部用いた竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉60部)で約10%にとどまった。
実際の手触りから見ても、水でぬれたという感覚はなく、竹材の含有量で除して求めた含水率は、竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉80部)で17/0.8≒21%、竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉60部)では10/0.6≒17%であり、いずれも繊維飽和点以下となった。
これは、竹粉・熱可塑性樹脂複合体の腐朽が促進するような高含水率ではなかった。また、比較のために同一の給水試験を施した同一形状のスギ素材では、給水率が70% 以上に達して、繊維飽和点をはるかに超えたことから考えると、竹粉・熱可塑性樹脂複合体の吸水性は極めて低いと結論づけて支障がない。
(比較例1)実施例3で用いた竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉80部)の竹粉をスギ木粉に代えて、スギ木粉・熱可塑性樹脂複合体(スギ木粉80部)を作製し、その耐蟻性を比較例3と同様の方法により評価した。
すなわち、100メッシュのステンレス網を通過したスギ木粉80部に対して、PPを20部、それに相溶化剤としてMAPPを2部加え、スーパーミキサーにて混練した後、コニカルタイプの押出成形機を用いて、ダイス温度150℃、シリンダ温度170℃として、半固化成形により、厚さ10mm、幅60mmのスギ木粉・熱可塑性樹脂複合体(スギ木粉80部)を得た。
このスギ木粉・熱可塑性樹脂複合体(スギ木粉80部)を長さ150mmに切断し、さらに幅方向に二等分して、150mm×10mm×約30mmの試験体(スギ木粉80部)を6体調製した。
鹿児島県日置市内の吹上浜において、平成21年6月中旬に、JIS K 1571に定められた表面処理用の耐蟻性試験のうち、野外試験に従い、実施例3の竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉80部)から得られた試験体(竹粉80部、1/2幅)を設置した場所に隣接してスギ木粉・熱可塑性樹脂複合体(スギ木粉80部)から調製した試験体(スギ木粉80部)を設置した。
平成21年10月下旬、設置後約4.5か月後に調査したところ、スギ木粉・熱可塑性樹脂複合体(スギ木粉80部)から調製された試験体(スギ木粉80部)は蟻土に覆われることなく、また、全ての試験体(スギ木粉80部)で全く蟻害は観察されなかった。
上述したように、スギの耐蟻性は木材工業ハンドブックによると中程度であり、ある程度耐蟻性があるリグノセルロースを充填材としたスギ木粉・熱可塑性複合体は誘蟻効果に乏しいことが明らかになった。
(比較例2)JIS K 1571に定められたとおり、木口面の形状を30mm角、長さを350mmとして、その先端部50mmを尖らせたマツ科SPF製の試験杭(以下、『SFP杭』とする。)を用い、鹿児島県日置市内の吹上浜において、イエシロアリの活性が明確な場所を選んで、その耐蟻性を評価した。すなわち、SFP杭の上部50mmを地上部に出して、残りを地中に埋め込み、所定期間経過後に抜き取り、目視調査をした。これは別の試験杭の耐蟻性を評価するための誘蟻杭として設置したものであり、発明者はこの試験を極めて多く実施している。
その結果の一部を無作為に選び、表4に示した。5つの試験区NO.1〜NO.5の一つの試験区におけるSPF杭は25本で、表5は合計で125本のSFP杭での結果であり、極めて信頼性の高いデータといえる。
前述したとおりSPF杭を構成するマツ科SPFは、いずれも極めてシロアリが好む木材であるが、表5のとおり、食害発生率にはばらつきがあり、また最大でもそれは70%以下であり、実施例1での試験杭(竹粉80部)や試験杭(竹粉60部)に比べて低い値であった。
また、平均食害度も最大で20以下であり、実施例1での試験杭(竹粉80部)や試験杭(竹粉60部)のそれよりもはるかに低い値であった。
さらに、食害が発生しなかった54本のSFP杭のうち、約20%で腐朽が発生し、また約40%で含水率が極めて高くなり、このまま埋設してもシロアリが摂食しないために、新しいSFP杭との交換を余儀なくされた。
Figure 2011207771
SPF杭の耐蟻性(杭試験)(設置後8か月)
(比較例3)イネ科タケ亜属のモウソウチクを厚さ方向はそのままにして、長さを350mm、幅を30mmに切削加工して、先端部50mmを尖らせて試験杭(モウソウチク)とした。5本の試験杭(モウソウチク)を作り、イエシロアリの生息が確認されている和歌山県日高郡美浜町内の煙樹ヶ浜に、1本の試験杭(モウソウチク)の周りに6本のスプルース製の杭を配置して、それぞれの杭の上部50mmが地上に出るようにして、平成20年5月に埋設し、半年後の平成21年11月に調査を行った。
結果は表6に示すとおりで、5本の試験杭(モウソウチク)のうち4本に食害が観察されたが、部位は地際に限られ、その程度も軽微であった。実施例1で示した試験杭(竹粉80部)や試験杭(竹粉60部)に比べて、モウソウチクからなる試験杭(モウソウチク)は、誘蟻効果に極めて乏しいことが明らかになり、誘蟻性を示すにはモウソウチクの粉砕が、不可欠であることが分かった。
Figure 2011207771
試験杭(モウソウチク)の耐蟻性(杭試験)(設置後6か月)
(比較例4)一方、耐朽性が高いとされるヒノキ科のヒノキ、中程度とされるスギ科のスギと、耐朽性が低いとされるマツ科モミ属のベイモミ、さらにはイネ科のモウソウチクについて、その耐朽性をJIS Z 2101に準拠して評価した。すなわち、木材においてはそれぞれの供試材料の大きさは20mm角であった。モウソウチクでは、厚さはそのままで、幅方向に30mm、長さ方向に20mmとした。耐候操作は行わず、8週間の抗菌操作のみを実施した。その前後の60℃恒量における重量差から腐朽菌による重量減少率を求めた。
結果は表7に示すとおりで、元来から言われているのと同じ結果、すなわち耐朽性はヒノキ>スギ>ベイモミ≒モウソウチクとなり、シロアリが好んで摂食する木材は木材腐朽菌に対する抵抗性も低いことが改めて明らかになった。
Figure 2011207771
木材ならびに竹材の耐朽性(室内ビン試験による重量減少率)
なお、上述した竹粉・熱可塑性樹脂複合体(竹粉60部)等のマツ科マツ属、モミ属、トウヒ属、トガサワラ属、ツガ属又はイネ科タケ亜科に属するリグノセルロース系材料のうち、少なくとも1つ以上からなる粉砕物と、熱可塑性樹脂との複合成形体からなるシロアリ誘引材料に、非忌避的にかつ遅効的に作用する殺蟻性物質を混合することで、シロアリ誘殺材料とすることも可能である。
この非忌避的にかつ遅効的に作用する殺蟻性物質としては、以下のものが考えられる。
駆除剤として
ヒドラメチルノン、スルフルアミド、バメクチン、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸エステル、ネオニコチノイド系化合物、クロロフェナピール等のフェニルピロール系化合物、フェニルピラゾール系化合物、エトキサゾール( オキサゾール系)
昆虫成長抑制剤として
フルフェノクスロン、ジフルベンズロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ビストリフルロン
キチン合成阻害剤として
クロロフズアズロン
幼若ホルモン様化合物として
ピリプロキシフェン、ヒドロフェン、メトプレン、フェノキシカルブ
その他
クロロフェナピール、フィピロニル、ヒドラメチルノン、スルフルアミド、ヘキサフルムロン、ジフルベンズロン、クロロフズアズロン、トリフルムロン、ヒドラメチルノン、メトプレン

Claims (4)

  1. マツ科マツ属、モミ属、トウヒ属、トガサワラ属、ツガ属又はイネ科タケ亜科に属するリグノセルロース系材料のうち、少なくとも1つ以上からなる粉砕物と、熱可塑性樹脂との複合成形体からなるシロアリ誘引材料。
  2. 前記リグノセルロース系材料の粉砕物は、粒子の短径が2mm以下であることを特徴とする請求項1記載のシロアリ誘引材料。
  3. マツ科マツ属、モミ属、トウヒ属、トガサワラ属、ツガ属又はイネ科タケ亜科に属するリグノセルロース系材料のうち、少なくとも1つ以上からなる粉砕物と、非忌避的にかつ遅効的に作用する殺蟻性物質と、熱可塑性樹脂との複合成形体からなるシロアリ誘殺材料。
  4. 前記リグノセルロース系材料の粉砕物は、粒子の短径が2mm以下であることを特徴とする請求項3記載のシロアリ誘殺材料。
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