JP2011207023A - 印刷装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インクを貯留したインクタンクに生じた余剰空間の空気を減圧し、該減圧した空気を貯留したインクに対して導通することで発泡を行ない、減圧された空気による発泡がインクに溶存している微小気泡を吸収するので、効率よくインクの脱気を実行することができ、しかもインクタンク周辺の構成を複雑にすることがない。
【選択図】 図2
Description
このようなインクジェットプリンタでは、液体インクを使用することが多いので、印刷品質を左右する重要な要因の一つがインクの脱気である。
また、溶存する微小気泡がインクジェットヘッドの圧力室付近に存在する場合、微小気泡が圧力緩衝材となることでインクの吐出不良を引き起こす原因となる。
加えて、微小気泡の空気成分がインクと反応してインクの固化を生じることによる吐出不良の原因となることもある。
また、インクタンクを密閉し、該密閉したインクタンクの気体を排気することで減圧環境を構成することで、インキに含まれる溶存気体を脱気するという技術も存在する。
そこで、上記のような従来技術の問題を解決するため、下記のような技術が開示されている。
このような問題を解決するためには、インク容器内を脱気圧力とするための減圧ポンプの能力を向上させる必要があるが、減圧ポンプは比較的高価であるため導入が困難であり、また性能が高い減圧ポンプは比較的大型であるため、インク容器周辺の構造が複雑になるという問題が新たに発生した。
さらに、脱気のためにインク内を通過する気体がインク容器から排出される際にインク容器内の水分を奪っていくため、インクの変質が生じるという問題も起こっていた。
また、外気導入に伴う減圧手段による減圧処理が発生しないので、インク臭気のついた空気の排出量が減少するので、印刷装置周辺の環境を悪化させることがない。さらに、外気導入に伴う減圧手段による減圧処理が発生しないので、インクタンク内の水分を不必要に蒸発させることがないため、インクの品質を維持することが可能となる。
図1は、本発明に係わる印刷装置100の構成を説明するための図である。
印刷装置100は、インクジェットヘッド30にインクを供給するための配管IP2がインクサブタンク20に接続されており、インクサブタンク20へインクを供給するための配管IP1がインクメインタンク10に接続されている。
インクジェットヘッド30によるインクの吐出手法としては、ピエゾ式やサーマル式など、所望の手法を採用することができる。また、インクを常時吐出するコンティニュアス式インクジェットヘッド、必要時にインクを吐出するオンデマンド式インクジェットヘッド、いずれの方式を採用してもよい。
加えて、インクジェットヘッド30からインクが図示しない配管を経てインクサブタンク20、あるいはインクメインタンク10へ戻される還流式インクジェットヘッドであってもよい。
このようなインクメインタンク10を供給源とするインクの供給については、印刷装置100の図示しない制御部が制御している。
減圧ポンプ12は、減圧環境空間GKの減圧を行なうに際して、比較的小型のポンプを使用することができる。これは、インクを発泡するために使用する減圧空気について、外部から供給されるのではなく、減圧環境空間GKに含まれる減圧空気を使用することから、減圧タンク11内に含まれる空気が増量することがないので、減圧ポンプ12の負荷を抑えることができるためである。
それに対して、本発明の実施形態においては、発泡ポンプ13が減圧環境空間GKの減圧空気を減圧タンク11内で循環するので、差圧がなく、ポンプへの負荷が小さいため、発泡のための空気流量が発泡ポンプ13の能力に依存したとしても、比較的低価格、小型のポンプで空気流量を高めることが可能となる。また、外気を導入しないため、減圧ポンプ12の負荷も小さくなるので、低コストの減圧ポンプ12を使用することが可能となる。
なお、エアラインAL3の減圧タンク11底部の開口部は、発泡を促進するためエアストーンを備えていてもよい。
(1)インク注入孔14より減圧タンク11へ、減圧環境空間GKが形成されるようにインクを所定量注入
(2)減圧ポンプ12により、減圧環境空間GKの減圧を開始
(3)発泡ポンプ13により、減圧環境空間GKの減圧空気による発泡を開始
(4)所定時間発泡後、インク供給孔15よりインクサブタンク20へインクを供給、以降必要に応じてインクサブタンク20へインク供給を行なう
また、インクメインタンク10における脱気は常時行なわれる必要はなく、例えば印刷装置100の起動時に行なう、あるいは所定時間ごとに行なうなど、所望の期間を置いて実行するようにしてもよい。
なお、減圧タンク21、減圧ポンプ22、発泡ポンプ23の構成については、図2に示した減圧タンク11、減圧ポンプ12、発泡ポンプ13とほぼ同様なので、説明を省略する。
(1)インク供給孔24より減圧タンク21へ、減圧環境空間GKが形成されるようにインクを所定量供給
(2)減圧ポンプ22により、減圧環境空間GKの減圧を開始
(3)発泡ポンプ23により、減圧環境空間GKの減圧空気による発泡を開始
(4)所定時間発泡後、インク供給孔25よりインクジェットヘッド30へインクを供給、以降必要に応じてインクジェットヘッド30へインク供給を行なう
また、インクサブタンク20における脱気は常時行なわれる必要はなく、例えば印刷装置100の起動時に行なう、あるいは所定時間ごとに行なうなど、所望の期間を置いて実行するようにしてもよい。
図4(b)は、減圧環境空間GKを形成するとともに、外部から減圧空気を流し込み発泡を行なう従来技術を適用したインクタンクである。減圧環境空間GKにおける減圧環境は外気圧に対して-95kPaであり、発泡を行なう空気は外部より取り入れており、その圧力は大気圧とほぼ等しい。
図4(c)は、本発明を適用したインクタンクであり、減圧環境空間GKを形成し、減圧環境空間GKの減圧空気で発泡する。減圧環境空間GKの減圧環境は、外気圧に対して-95kPaである。
図4(b)のインクタンクでは、外部から取り込んだ空気による発泡を行なうことにより、純水内の溶存気体を泡が取り込むこと、また発泡による液体表面の擾乱で減圧環境空間GKと接触する液体の表面積が実質的に広くなることから、発泡開始後溶存酸素濃度が低下し、比較的低濃度で溶存酸素濃度の低下が頭打ちとなる。
この結果は、図4(b)のインクタンクとは異なり、図4(c)のインクタンクでは減圧環境空間GKの減圧空気による発泡を行なうことで、外気導入時よりも発泡するための空気の流量を増加することができるためである。すなわち、図4(b)のインクタンクのように外気を導入すると減圧環境が変化するため、減圧ポンプによる減圧能力を越えるような量の空気を導入することはできない。それに対して、図4(c)のインクタンクでは減圧環境空間GKの減圧空気を循環しているので、減圧環境の変化はほとんど生じないため、減圧ポンプよりも流量の多い発泡ポンプを使用することで容易に発泡のための空気の流量を増やすことができるのである。
さらに、外気導入に伴う減圧手段による減圧処理が発生しないので、インク臭気のついた空気の排出量が減少するので、印刷装置周辺の環境を悪化させることがない。
加えて、外気導入に伴う減圧手段による減圧処理が発生しないので、インクタンク内の水分を不必要に蒸発させることがないため、インクの品質を維持することが可能となる。
図1に示した印刷装置100のインクメインタンク10、インクサブタンク20において、本発明の第2の実施形態についても実施が可能である。
ここで、減圧タンク11、減圧ポンプ12、発泡ポンプ13、インク注入孔14、インク排出孔15については、図2に示した構成とほぼ同様なので、説明を省略する。
インク循環ポンプ16によってインクが循環されることにより、減圧タンク11に貯留されたインクは、発泡ポンプ12による泡との攪拌が行なわれるとともに、減圧環境空間GKに面する実質的な表面積が増大する。これにより、減圧タンク11に貯留されたインクの脱気はさらに効率よく行なわれる。
(1)インク注入孔14より減圧タンク11へ、減圧環境空間GKが形成されるようにインクを所定量注入
(2)減圧ポンプ12により、減圧環境空間GKの減圧を開始
(3)発泡ポンプ13により、減圧環境空間GKの減圧空気による発泡を開始
(4)インク循環ポンプ16により、減圧タンク11に貯留されたインクの循環を開始
(5)所定時間発泡およびインク循環後、インク供給孔15よりインクサブタンク20へインクを供給、以降必要に応じてインクサブタンク20へインク供給を行なう
なお、インクメインタンク10における脱気は常時行なわれる必要はなく、例えば印刷装置100の起動時に行なう、あるいは所定時間ごとに行なうなど、所望の期間を置いて実行するようにしてもよい。
図8(b)もまた、本発明の第1の実施形態を適用したインクタンクであり、比較のため減圧環境空間GKの減圧環境は、外気圧に対して-80kPaである。
D=exp(-a×t)×D0+D1……(式1)
ここで、Dはt秒後の溶存酸素濃度、D0は溶存酸素濃度の初期値、D1はインクタンク内の圧力により決定される飽和溶存酸素濃度であり、aは脱気速度の定数であって、減圧環境空間GKと接触する液体の実質的な表面積で決定される。
インクにおける飽和溶存酸素濃度は、インクの品質においてある種の役割を示す。すなわち、印刷品質を向上するためにはインクの脱気は必要不可欠であるが、あまりにもインクを強く脱気するとインクの品質に変化が生じてしまい、インク品質が劣化してしまうという問題がある。また、式1から明らかのように、インクにおける溶存酸素濃度は飽和溶存酸素濃度D1以下に低下することができない。
そこで、飽和溶存酸素濃度を目安としてインクの脱気を調整することが求められる。
飽和溶存酸素濃度を目安としたインク脱気の調整として、最も容易な手法は、減圧ポンプ12による減圧値を当初に設定しておくことである。すなわち、減圧ポンプ12が減圧タンク11内を-95kPaまで減圧するよう設定し、該設定値に達したら減圧ポンプ12は減圧を停止する。以降、減圧タンク11内に変動がない場合は減圧ポンプ12は動作を行わず、インク注入孔14が開栓された場合など、減圧タンク11の減圧に変更が生じた場合に減圧ポンプ12は再度設定した減圧値に達するまで動作する。
減圧によって飽和溶存酸素濃度が変化することは明らかになっていることから、このような構成により飽和溶存酸素濃度を目安としたインク脱気の調整が実現可能である。
図11に示すインクメインタンク10は、これまでに説明を行ってきた減圧タンク11、減圧ポンプ12、発泡ポンプ13、インク注入孔14、インク排出孔15の他に、溶存酸素測定部17および圧力調整部18を備えている。
圧力調整部18は、設定された飽和溶存酸素濃度となるように減圧タンク11の減圧を調整するため、溶存酸素濃度測定部17からの測定結果を取得する。取得した溶存酸素濃度の測定値が所望する飽和溶存酸素濃度に達していない場合、圧力調整部18は減圧ポンプ12による減圧タンク11の減圧を実行する。所望する飽和溶存酸素濃度であることが取得した溶存酸素濃度から明らかになったならば、圧力調整部18は減圧ポンプ12に動作を停止する。
なお、減圧ポンプ12を停止している間も溶存酸素濃度が低下する場合は、インク注入孔14を開放するなどして外部の空気を導入し、減圧タンク11内の圧力を上昇させてもよい。
なお、図11として、インクメインタンク10における実施形態について説明を行ってきたが、インクサブタンク20においても同様の実施を行うことが可能である。
なお、減圧タンク11に貯留されたインクの攪拌はインクの循環に限定されることはない。
図12は、減圧タンク11に貯留されたインクを攪拌するために、インペラー17を備えたインクメインタンク10を説明するための図である。インペラー17はモータによる回転を行なうことで、減圧タンク11に貯留されたインクの攪拌を行なう。このような攪拌によっても、減圧タンク11に貯留されたインクが泡と接触する量が増えるとともに、減圧環境空間GKに面する表面積が実質的に増大するので、インクの脱気を効率よく行なうことができる。
11、21 減圧タンク
22、22 減圧ポンプ
13、23 発泡ポンプ
14 インク注入孔
15、25 インク排出孔
16、26 インク循環ポンプ
20 インクサブタンク
24 インク供給孔
30 インクジェットヘッド
100 印刷装置
AL1、AL2、AL3 エアライン
GK 減圧環境空間
IK インク
IP1、IP2 配管
JP1、JP2 循環パイプ
Claims (6)
- インクを吐出することで記録を行なうインクジェットヘッドを備えた印刷装置であって、
前記インクを貯留することで生じる第1の空間を有するインクタンクと、
前記第1の空間を減圧する減圧手段と、
貯留された前記インクに対して前記第1の空間の減圧空気を導通することによる発泡を行なう発泡手段と、
前記インクタンクから前記インクジェットヘッドへインクを供給するための供給路と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。 - 請求項1に記載の印刷装置であって、
前記減圧手段が、減圧を行なうために比較的小型のポンプを使用すること、
を特徴とする印刷装置。 - 請求項1に記載の印刷装置であって、
前記インクタンクに貯留されたインクを攪拌する攪拌手段と、
を備えることを特徴とする印刷装置。 - 請求項1に記載の印刷装置であって、
前記減圧手段による前記第1の空間の減圧が調整可能であること、
を特徴とする印刷装置。 - 請求項1に記載の印刷装置であって、
前記インクタンクが、前記インクジェットヘッドへ供給するインクの主供給源であること、
を特徴とする印刷装置。 - 請求項1に記載の印刷装置であって、
前記インクタンクが、インクの主供給源からインクの供給を行なわれることでインクを一時的に貯留すること、
を特徴とする印刷装置。
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