JP2011206998A - 化粧シート及び化粧成形品 - Google Patents

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Etsuo Ozawa
悦雄 小澤
Masanobu Muto
雅信 武藤
Tatsuro Ito
達朗 伊藤
Kenichiro Suzuki
健一郎 鈴木
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Abstract

【課題】深絞り加工が必要な化粧成形品に適用しても、多孔質状の装飾シートからの気泡の発生を抑制し、表面の凹凸の発生を抑制することができ、意匠性に優れると共に様々な意匠性への要求に対応できる化粧シート及び該化粧シートを用いた化粧成形品を提供すること。
【解決手段】湾曲部を形成し、次いで射出成形により基材樹脂と一体化させて用いられる化粧シート1およびこれを用いた化粧成形品である。化粧シート1は、裏面側19から順に、基材側接着層11、多孔質状の装飾シート13、保護層側接着層15、及び表面保護層16とを積層し一体化してなる。保護層側接着層15は、及び表面保護層16は、特定の材質からなる。表面保護層16にはインクからなる印刷領域12が形成されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、真空成形又は熱プレス成形により湾曲部を形成し、次いで成形型内で裏面側に基材樹脂を射出成形することにより、基材樹脂と一体化させる化粧シート及び該化粧シートと上記基材樹脂とを一体化させてなる化粧成形品に関する。
アームレスト等の自動車の内装等には、本木の突板(多孔質状の装飾シート)を用いた化粧シートをインモールド成型した化粧成形品が用いられている。
従来、化粧成形品の作製にあたっては、図12(a)に示すごとく、まず、多孔質状の装飾シートとして、厚み約200〜500μmの本木の突板92を準備する。
次いで、図12(b)に示すごとく、突板92に対して、例えばポリエステル系スチレン架橋アルキッド樹脂等の熱硬化型樹脂93を含浸させ、化粧シート90を得る。次に、図13(a)に示すごとく、化粧シート90の裏面側に、後にモールドする基材樹脂に適合した接着剤層94を接合する。次いで、図13(b)に示すごとく、化粧シート90を成形型内にインサートし、その後裏面側に基材樹脂を射出成形し、中間成形品97を得る。
次に、図13(c)〜(f)に示すごとく、中間成形品97に対して、平滑で、透明性、深み感等の優れた外観特性を付加するために、化粧シート90の表面にポリエステルよりなる第1クリア層95を塗装により形成した後、塗装面を研磨する。更に第2クリア層96を第1クリア層95の上に塗装した後、その塗装面を研磨することにより、化粧成形品98が得られる。
しかし、従来の化粧成形品98においては、製造時に、複数回にわたる表面研磨及び塗装を繰り返し行う必要がある。そのため、生産効率が悪く、コスト低減の妨げになっていた。
生産効率を向上させるために、接着剤シートにより、本木突き板を有する装飾シートと透明フィルムとハードコート膜との積層体とを接着させた化粧シートを作製し、裏面側に基材樹脂を射出成形して化粧成形品を作製する方法が開発されている(特許文献1参照)。
また、湿気硬化型ホットメルト接着剤、熱可塑性ポリエステル樹脂接着剤、又は熱可塑性シラン変性樹脂接着剤のいずれかにより、ポリカーボネート樹脂板又はシートに、単板を重ね貼着してなるポリカーボネート/単板積層体が提案されている(特許文献2)。
また、多孔質状の表皮材を型内に配置して該表皮材の裏面に樹脂製機材を一体成形する工程と、表皮材の表面と型面との間を開いて隙間を形成し、該隙間に熱硬化性塗料を注入した後、型を閉じて加圧しながら加熱することにより、上記表皮材の表面に該表皮材の機能を拡張する都膜を形成する工程とを行う型内被覆成形方法が提案されている(特許文献3参照)。
特開平9−226082号公報 特開平9−267459号公報 特開2003−159724号公報
接着剤を用いてシートをラミネートする方法においては、基材樹脂の射出成形時の形状追従性を高めるために、真空成形又は熱プレス成形を行って化粧シートに湾曲部を形成させる必要がある。近年、比較的大きな湾曲部を形成させる必要がある自動車の内装材に対しても、上述の化粧成形品の適用が求められている。
しかしながら、曲率の大きな湾曲部を形成させる深絞り加工を行う場合において、突板、即ち多孔質状の装飾シート上に形成するクリアシートとしてポリカーボネートシートを用いた場合には、温度145℃を越える高温での成形が必要になる。その結果、多孔質状の装飾シートから気泡が発生し、高温成形時に、接着層に発生した気泡が拡大し、さらに装飾シートの寸法変化が発生するおそれがあった。これにより、クリアシートに凹凸が発生し、化粧成形品の意匠性が損なわれてしまうという問題があった。
また、化粧成形品の意匠性に対する要求は多岐にわたり、また時代背景に応じて変化する。よって、様々な意匠性に対する要求に対応できる化粧成形品の開発が望まれている。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、深絞り加工が必要な化粧成形品に適用しても、多孔質状の装飾シートからの気泡の発生を抑制し、表面の凹凸の発生を抑制することができ、意匠性に優れると共に様々な意匠性への要求に対応できる化粧シート及び該化粧シートを用いた化粧成形品を提供しようとするものである。
第1の発明は、真空成形又は熱プレス成形により湾曲部を形成し、次いで成形型内で裏面側に基材樹脂を射出成形することにより、基材樹脂と一体化させて用いられる化粧シートであって、
該化粧シートは、上記裏面側から順に、基材側接着層、多孔質状の装飾シート、保護層側接着層、及び透明の表面保護層を積層し一体化してなり、
上記保護層側接着層は、湿気硬化型の透明のポリウレタン系接着剤を硬化させてなり、
上記表面保護層は、ポリメチルメタクリレート、又はポリカーボネートとポリブチレンテレフタレートとの複合樹脂、又はポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートとの複合樹脂を主成分とし、ガラス転移点が90〜130℃であり、
上記表面保護層の厚みは、300〜1000μmであり、
上記表面保護層にはインクからなる印刷領域が形成されていることを特徴とする化粧シートにある(請求項1)。
第2の発明は、化粧シートに対して真空成形又はプレス成形を行って上記化粧シートに湾曲部を形成し、次いで上記化粧シートを成形型内に配置し、上記化粧シートの裏面側に基材樹脂を射出成形してなる化粧成形品であって、
上記化粧シートとして、上記第1の発明のものを採用することを特徴とする化粧成形品にある(請求項6)。
第1の発明の化粧シートは、真空成形又は熱プレス成形により湾曲部を形成し、次いで成形型内で裏面側に基材樹脂を射出成形することにより、基材樹脂と一体化させて用いられる。
上記化粧シートは、上記基材樹脂と一体化させる上記裏面側から順に、上記基材側接着層、上記装飾シート、上記保護層側接着層、及び上記表面保護層を積層し一体化してなる。そして、上記保護層側接着層は、上記湿気硬化型の上記ポリウレタン系接着剤により形成されている。かかるポリウレタン系接着剤よりなる上記保護層側接着層は、柔軟性に優れている。
また、上記表面保護層は、ポリメチルメタクリレート、又はポリカーボネートとポリブチレンテレフタレートとの複合樹脂、又はポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートとの複合樹脂を主成分とし、ガラス転移点が90〜130℃であり、上記特定の厚みを有している。そのため、上記表面保護層は、優れた柔軟性を示すことができる。また、上記複合樹脂を主成分とする上記表面保護層を採用すると、該表面保護層は、さらに優れた耐傷付性を発揮することができる。
このように、上記化粧シートは、全体として柔軟性に優れている。そのため、例えば130℃以下という低温で、上記化粧シートに対して真空成形及び熱プレス成形を行うことができ、低温でも曲率の大きな(曲率半径の小さな)上記湾曲部を形成することができる。
そのため、多孔質状の上記装飾シートから気泡が発生し、上記表面保護層に凹凸が発生することを防止することができる。また、成形時における上記装飾シートの寸法変化を抑制し、上記装飾シートに凹凸が発生することを防止することができる。
したがって、上記化粧シートを用いると、上記湾曲部を形成して上記基材樹脂と射出成形しても、上記化粧シートが優れた意匠性を発揮することができる。即ち、意匠性に優れた化粧成形品を作製することができる。
また、上記化粧シートにおいては上記表面保護層が形成されているため、ユーザーが上記化粧シートを視認した際には、透明の上記表面保護層を介して上記装飾シートを視認することができる。そのため、上記装飾シートの意匠性に深み感を与えることができる。
また、上記表面保護層にはインクからなる印刷領域が形成されている。そのため、上記化粧シートは、上記装飾シートによる意匠性と上記印刷領域による意匠性とを組み合わせて優れた意匠性を発揮することができる。さらに、上記印刷領域は、印刷により所望の色彩、模様、形状により形成することができる。そのため、上記化粧シートは、様々な意匠性への要求に対応が可能になる。
以上のように、上記第1の発明によれば、深絞り加工が必要な化粧成形品に適用しても、多孔質状の装飾シートからの気泡の発生を抑制し、表面の凹凸の発生を抑制することができ、意匠性に優れると共に様々な意匠性への要求に対応できる化粧シートを提供することができる。
上記第2の発明の化粧成形品は、上記化粧シートとして、上記第1の発明を採用している。
上記第1の発明の上記化粧シートは、上述のごとく、真空成形又は熱プレス成形により曲率の大きい湾曲部を、低温で形成することができる。そのため、多孔質状の装飾シートからの気泡の発生を抑制することができる。また、寸法変化を抑制し、上記化粧シートの表面の凹凸の発生を抑制することができる。それ故、上記化粧成形品は、上記第1の発明の化粧シートの優れた意匠性をそのまま発揮することができ、優れた意匠性を示すことができる。
実施例1にかかる、ハードコートシートとクリアシートとの積層体シートを表面保護層として有する化粧成形品の断面構成を示す説明図。 実施例1にかかる、化粧シートを成形し湾曲部を形成する工程を示す説明図。 実施例1にかかる、湾曲部が形成された化粧シートを示す説明図。 実施例1にかかる、射出成形により、化粧シートの裏面に基材樹脂を一体形成する工程を示す説明図。 実施例1にかかる、ハードコートシートとクリアシートとの積層体シートを表面保護層として有する化粧シートの断面構成を示す説明図。 実施例1にかかる、ラミネート装置の構成を示す説明図。 実施例1にかかる、ハードコートシートのみを表面保護層として有する化粧シートの断面構成を示す説明図。 実施例1にかかる、ハードコートシートのみを表面保護層として有する化粧成形品の断面構成を示す説明図。 実施例1にかかる、クリアシートのみを表面保護層として有する化粧シートの断面構成を示す説明図。 実施例1にかかる、クリアシートのみを表面保護層として有する化粧成形品の断面構造を示す説明図。 実施例1にかかる、クリアシートからなる表面保護層上にハードコート層を形成した化粧成形品の断面構造を示す説明図。 従来の化粧シートの製造手順を示す説明図。 従来の化粧成形品の製造手順を示す説明図。 実施例2にかかる、ハードコートシートとクリアシートとの積層体シートを表面保護層として有する化粧成形品の断面構成を示す説明図。 実施例2にかかる、ハードコートシートとクリアシートとの積層体シートを表面保護層として有する化粧シートの断面構成を示す説明図。 実施例2にかかる、突き板の表面状態を示す写真代用図(a)、突き板表面の凹凸状態を示す説明図。 実施例2にかかる、突き板上に厚みの大きな表面保護層を積層形成した積層体の断面構造を示す説明図。 実施例2にかかる、突き板とクリアシートとを厚みの大きな表面保護層を介して積層した積層体の断面構造を示す説明図。 実施例2にかかる、突き板上に厚みの小さな表面保護層を積層形成した積層体の断面構造を示す説明図。 実施例2にかかる、突き板とクリアシートとを厚みの小さな表面保護層を介して積層した積層体の断面構造を示す説明図。 実施例3にかかる、ハードコートシートとクリアシートとの間に印刷領域を形成してなる表面保護層を有する化粧成形品の断面構成を示す説明図。 実施例3にかかる、ハードコートシートとクリアシートとの間に印刷領域を形成してなる表面保護層を有する化粧シートの断面構造を示す説明図。
次に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
上記化粧シートは、裏面側から順に、上記基材側接着層と上記装飾シートと上記保護層側接着層と上記表面保護層とを積層し一体化してなり、上記裏面側に上記基材樹脂を射出成形し、基材樹脂と一体化させてなる化粧成形品を得るために用いられる。
上記化粧シートにおける上記基材側接着層は、一方の表面(上記裏面側)で上記基材樹脂に接合し、もう一方の表面でさらに上記装飾シートに接着する。
上記基材側接着層は、上記基材樹脂と接合する基材接合層と、該基材接合層及び上記装飾シートの間を接着する接着剤層とを有することが好ましい。
この場合には、上記基材樹脂層は、上記基材接合層側で上記基材樹脂と接合し、上記接着剤層側で上記装飾シートに接着することができる。
上記基材接合層としては、上記基材樹脂に対する接着性に優れた樹脂を含浸させた含浸紙、樹脂シート、及び不織布等を採用することができる。具体的には、含浸紙としては、例えばアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂等を含浸させた含浸紙を採用することができる。
また、樹脂シートとしては、ABS樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂を含むアロイ材料、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂等からなるものを採用し、該樹脂シートは熱融着により上記基材樹脂と接着させることができる。
基材接合層の厚みは例えば50μm〜1000μmにすることができる。
上記基材接合層は、不織布からなることが好ましい。
この場合には、多孔質状の不織布の特性を生かして、アンカー効果により上記基材樹脂に対する接着性を向上させることができる。不織布としては、例えばポリエステル不織布、レーヨン不織布、ポリオレフィン系不織布等を採用することができる。
また、上記接着剤層は、湿気硬化型の透明のポリウレタン系接着剤を硬化させてなることが好ましい。
この場合には、上記接着剤層を柔軟性に優れた上記ポリウレタン系接着剤で形成することができる。そのため、上記化粧シート全体の柔軟性をより向上させることができる。
次に、上記保護層側接着層は、30〜150μmの厚みを有することが好ましい。
厚みが30μm未満の場合には、上記保護層側接着層の接着強度が不十分になるおそれがある。一方、150μmを越える場合には上記保護層側接着層に発生した気泡が抜け難くなり、最終製品に気泡が残存するおそれがある。同様の観点から上記基材側接着層における上記接着剤層についても、その厚みは30〜150μmがよい。より好ましくは、上記保護層側接着層及び上記接着剤層の厚みは50μm以上がよく、さらに好ましくは、80μm以上がよい。
上記保護層側接着層は、湿気硬化型の透明のポリウレタン系接着剤を硬化させてなる。
ここで、上記ポリウレタン系接着剤の粘度は、1000〜15000mPa・sであることが好ましい。
粘度が1000mPa・s未満のポリウレタン系接着剤を用いた場合には、接着性が低下し、接着界面で剥離が起こるおそれがある。一方、15000mPa・sを超える場合には、上記装飾シートからの気泡を噛み込み易くなり、また、上記ポリウレタン系接着剤自体が気泡を含みやすくなる。そのため、上記保護層側接着層に気泡が発生し、外観の意匠性が低下するおそれがある。また、同様の観点から上記基材側接着層における上記接着剤層についても、粘度1000〜15000mPa・sの湿気硬化型のポリウレタン系接着剤により形成されていることが好ましい。
上記ポリウレタン系接着剤のヤング率は、10MPa以下であることが好ましい。
ヤング率が10MPaを越える場合には、成形時に曲率の大きな湾曲部を形成した時に、湾曲部にうきや剥がれが発生するおそれがある。また、同様の観点から上記基材側接着層における上記接着剤層についても、ヤング率10MPa以下の湿気硬化型のポリウレタン系接着剤により形成されていることが好ましい。
上記保護層側接着層は、多孔質状の上記装飾シートの表面における溝部の深さの最大値の2倍以上の厚みで形成されていることが好ましい。
上記装飾シートは多孔質状であるため、該装飾シートと上記保護層とを上記保護層側接着層で接合する際に、上記保護層側接着層の厚みが小さいと、上記溝部において上記保護層側接着層と上記装飾シートとの間に気泡が残存してしまうおそれがある。気泡は、接合における圧着時に、上記保護層側接着層が上記溝部内に充分に侵入できないために発生する。
上記のごとく、上記保護層側接着層を、上記溝部の深さの最大値の2倍以上の厚みで形成すると、接合時に上記溝部内に上記保護層側接着層が充分に侵入する。そのため、気泡の発生を抑制することができる。
上記装飾シートとしては、後述のごとく、突き板等を採用することができ、上記溝部は、例えば突き板(木材)の表面に存在する木材の導管等によって形成される。
上記保護層側接着層と上記装飾シートとの間には、目止め層を有していることが好ましい。
この場合には、成形時に上記装飾シートから発生した気泡が、上記保護層側接着層等に侵入してくることを防止することができる。そのためこの場合には、上記化粧シートを用いて製造される上記化粧成形品の意匠性をより一層向上させることができる。
上記目止め層は、上記装飾シートの平滑性を高めると共に、多孔質状の上記装飾シートから発生しうる気泡が上記保護層側接着層に侵入することを防止する機能を発揮することができる。
上記目止め層は、上記装飾シート上にポリウレタン樹脂又はアクリル樹脂を主成分とするシーリング材を塗布し硬化させてなることが好ましい。
この場合には、柔軟性に優れた目止め層を形成することができ、上記化粧シートの柔軟性をより向上させることができる。また、上記装飾シートとして、本木の突板等を用いた場合には、上記ポリウレタン樹脂が突き板セルロースと優れた接着性を示すため、上記目止め層と上記装飾シートとの接着性を向上させることができる。
上記目止め層の厚みは、上記保護層側接着層に比べて充分に小さく、例えば厚み10μm以下で形成することができる。
また、上記シーリング材には、顔料及び/又は染料を添加することができる。この場合には、所望の有色の目止め層を形成することができ、上記装飾シートの例えば木目等の意匠にさらに色感を付与することができる。そのため、上記化粧シートの意匠性をより向上させることができる。
また、上記目止め層に顔料・染料を加える代わりに、上記装飾シート上に染料を塗布しても同様の効果を得ることができる。
上記装飾シートとしては、例えば装飾を施した紙、布、カーボン繊維、あるいは木材を極薄く切り出した本木の突板等の多孔質状のシートを採用することができる。
上記装飾シートは、突板と、該突板の上記裏面側に形成された不織布とを接着剤で接着させてなることが好ましい。
突板を用いた市販の装飾シートは、上記のごとく突板と不織布とを接着剤で接着してなる積層体として提供されるものが多く、この場合には、市販の装飾シートをそのまま利用することができる。
上記突板は、木材を極薄く削り出した多孔質状のシートであり、本木の優れた意匠性を示すことができる。
上記突板としては、水酸基を有し、セルロースと水素結合を形成し、かつ上記ポリウレタン系接着剤とウレタン結合を形成しうる樹脂を上記突板の導管部に加圧充填したものを採用することが好ましい。
この場合には、成形時に上記突板から気泡が発生することをより一層防止することができる。そのため、意匠性をより向上させることができる。
上記突板の導管部に加圧する樹脂としては、例えばポリエチレングリコール、又はポリプロピレングリコール等を採用することができる。また、ポリブチレンテレフタレート又はポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等を採用することもできる。
次に、上記表面保護層は、透明である。
ここでいう透明性は、完全な透明だけでなく、着色透明、半透明等も含む。これは、上記ハードコートシート、上記クリアシート、上記保護層側接着層、及び目止め層等における透明性についても同様であり、これらの透明性により装飾シートによる装飾効果を充分に発揮させることができる。上記化粧シートを上記表面保護層側から視認したときに、上記装飾シートの意匠が透けて視認できる程度の透明性を有していればよい。
また、上記接着剤層の形成には、上述のごとく、上記保護層側接着層と同様の上記ポリウレタン系接着剤を用いることができるが、上記接着剤層は、透明であっても透明でなくてもよい。
上記接着剤層においては、上記化粧シートの表面から上記装飾シートの裏側が透けて見える現象を回避するため、上記装飾シートと同系色に着色することができる。
上記表面保護層は、光線透過率が90%以上であることが好ましい。
この場合には、使用者が、上記表面保護層側から上記化粧シート又は該化粧シートを基材樹脂と一体化してなる上記化粧成形品を視認した場合に、上記表面保護層を介して上記装飾シートの装飾を充分に視認することができる。即ち、上記化粧シートの意匠性を向上させることができる。なお、上記光線透過率は、全光線透過率である。
上記表面保護層は、曇り度2%以下であることが好ましい。
この場合にも、使用者が上記表面保護層を介して上記装飾シートの装飾を充分に視認することができる。
次に、上記表面保護層の厚みは300〜1000μmであることが好ましい。
厚みが300μm未満の場合には、上記表面保護層と上記装飾シートとによって生じる深み感が損なわれ、意匠性が損なわれるおそれがある。また、この場合には、高温環境下で上記化粧シートを長時間保持したときに、上記装飾シートの寸法変化により凹凸が発生し易くなるおそれがある。また、上記表面保護層の厚みは、実用上1000μm以下が好ましく、600μm以下がより好ましい。
上記表面保護層は、ガラス転移点が90〜130℃であることが好ましい。
ガラス転移点が90℃未満の場合には、耐熱性が不十分になり、上記化粧シート及び該化粧シートを用いた化粧成形品を、自動車の内装品等のように高温環境下で使用する製品に適用することが困難になるおそれがある。一方、ガラス転移点が130℃を越える場合には、上記化粧シートの成形時に高温での成形が必要になり、上記装飾シートから気泡が発生し易くなるおそれがある。
上記表面保護層には、インクからなる印刷領域が形成されている。
該印刷領域は、インクジェット印刷又はグラビア印刷により形成することができる(請求項2)。より好ましくは、インクジェット印刷がよい。この場合には、多品種小ロットの印刷領域の形成にも容易に対応することができる。
上記印刷領域は、上記表面保護層における上記保護層側接着層側表面に形成することができる(請求項4)。
即ち、この場合には、上記保護層側接着層と上記表面保護層との間に印刷領域が形成される。かかる構成は、例えば上記表面保護層の表面にインクジェット印刷又はグラビア印刷等により上記印刷領域を形成し、該印刷領域を形成した上記表面保護層を、上記保護層側接着層を介して上記装飾シートに接着させることにより実現できる。
上記表面保護層は、上記裏面側から順に、ポリカーボネート及びポリブチレンテレフタレートからなる複合樹脂又はポリカーボネート及びポリエチレンテレフタレートからなる複合樹脂を主成分とする透明のクリアシートと、ポリメチルメタクリレートを主成分とする透明のハードコートシートとを有することが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記表面保護層は、硬度と柔軟性を高レベルで両立して発揮することができる。即ち、上記表面保護層は、硬度に優れたポリメチルメタクリレートを主成分とする上記ハードコートシートにより、優れた耐傷付性を発揮できると共に、柔軟性に優れた上記複合材料を主成分とするクリアシートにより優れた柔軟性を発揮することができる。また、この場合には、上記表面保護層自体が、最表面に、硬度の高い上記ハードコートシートを有しているため、上記化粧シートを用いて上記化粧成形品を作製した後に、上記化粧シートの表面にハードコート層を形成する工程が不要になる。該ハードコート層を形成しなくても、充分に優れた硬度を示し、優れた耐傷付性を発揮できるからである。
上記ハードコートシートの厚みをT1、上記クリアシートの厚みをT2とすると、T1/T2=1/7〜1であることが好ましい。
T1/T2が1/7未満の場合には、上記ハードコートシートの硬度が高いという性質が損なわれ、上記表面保護層の耐傷付性が低下するおそれがある。一方、1を越える場合には、上記表面保護層の耐熱性が低下し、高温環境下に長時間保持した際に、凹凸が発生し易くなるおそれがある。
また、上記クリアシートにおいて、ポリカーボネート(PC)と、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はポリエチレンテレフタレート(PET)との配合比は、重量比でPC:PBT(又はPET)=52〜85:48〜15であることが好ましい。
PCの配合比が52を下回る場合、即ちPBT又はPETの配合比が48を越える場合には、上記表面保護層のガラス転移点が小さくなりすぎて、耐熱性が低下するおそれがある。一方、PCの配合比85を越える場合、即ちPBT又はPETの配合比が15未満の場合には、上記表面保護層のガラス転移点が大きくなりすぎて、成形時に高温での成形が必要になるおそれがある。そのため、成形時に上記装飾シートから気泡が発生し易くなるおそれがある。
上記ハードコートシートは、副成分としてアクリルゴムを含有することが好ましい。
この場合には、上記ハードコートシートの柔軟性をより向上させることができる。
なお、上記ハードコートシートにおいて、上記主成分と上記副成分の配合割合は、重量比で、主成分:副成分=75〜100:25〜0とすることができる。副成分の量が多くなりすぎると、耐傷付性が低下するおそれがある。より好ましくは、重量比で、主成分:副成分=80〜100:20〜0であることがよい。
次に、上記表面保護層は、上記ハードコートシートと上記クリアシートとを共押出ししてなる積層体シートを、上記保護層側接着層により接着させてなることが好ましい。
この場合には、上記ハードコートシートと上記クリアシートとの上記積層体シートからなる上記表面保護層を容易に形成することができる。
また、上記印刷領域は、上記ハードコートシートと上記クリアシートとの間に形成することができる(請求項5)。
この場合には、上記クリアシート及び/又は上記ハードコートの表面に印刷領域を形成し、該印刷領域を形成した面で上記クリアシートと上記ハードコートシートとを接合させることにより、上記印刷領域を上記ハードコートシートと上記クリアシートとの間に形成することができる。
次に、上記表面保護層は、ポリメチルメタクリレートを主成分とする透明のハードコートシートからなることが好ましい。
具体的には、上記表面保護層を上記ハードコートシートのみで形成することができる。そしてこの場合には、ポリメチルメタクリレートからなる上記表面保護層が、優れた柔軟性と硬度という特性を両立して発揮することができる。
また、上記表面保護層は、ポリカーボネート及びポリブチレンテレフタレートからなる複合樹脂又はポリカーボネート及びポリエチレンテレフタレートからなる複合樹脂を主成分とする透明のクリアシートからなることが好ましい。
具体的には、上記表面保護層を上記クリアシートのみで形成することができる。そしてこの場合には、優れた柔軟性を有する上記複合樹脂を主成分とする上記クリアシートの特性を生かして、上記表面保護層は、優れた柔軟性を発揮することができる。また、この場合には、上記表面保護層が、硬度の高い上記ハードコートシート等を有していないため、上記化粧シート全体としての柔軟性をより向上させることができる。そのため、成形時により一層低温での成形が可能になり、上述の気泡の発生等をより一層抑制することができる。また、クリアシートのみからなる表面保護層を有する上記化粧シートは、表面保護層の硬度が高くない。これを補うために、射出成形して上記基材樹脂と一体化させた後に、上記表面保護層に、アクリル系樹脂等の硬度の高い樹脂からなるハードコート層を形成することができる。
上記化粧シートは、例えば下記の基材側接着層接合工程、印刷工程、及び表面保護層接合工程を行なって製造することができる。
上記基材側接着層接合工程においては、上記装飾シートの上記裏面側に上記基材側接着層を形成する。上記基材側接着層として上記接着剤層と上記基材接合層を形成する場合には、上記装飾シートの上記裏面側にポリウレタン系等の接着剤を塗布し、該接着剤の塗布面に上記基材接合層を貼り付ける。
上記印刷工程においては、上記表面保護層にインクを印刷して印刷領域を形成する。
上記印刷領域は、上記表面保護層の上記裏面側に形成することができる。また、上記表面保護層として、上記ハードコートシートと上記クリアシートとの上記積層体シートを採用する場合には、上記ハードコート及び/又は上記クリアシートの表面にインクを印刷して上記印刷領域を形成し、該印刷領域を形成した面で上記ハードコートシートと上記クリアシートとを接合させることにより、上記印刷領域を上記ハードコートシートと上記クリアシートとの間に形成することもできる。この場合には、上記ハードコートシートと上記クリアシートとの接合は、例えば接着剤を用いて行なうことができる。
上記表面保護層接合工程においては、上記装飾シートの上記裏面側とは反対側にある表面側に、硬化後に上記保護層側接着層を形成する接着剤を塗布し、該接着剤の塗布面に上記表面保護層を接合させる。
次に、上記化粧成形品は、上記化粧シートに対して真空成形又はプレス成形を行って上記化粧シートに湾曲部を形成し、次いで上記化粧シートを成形型内に配置し、上記化粧シートの裏面側に基材樹脂を射出成形してなる。
上記化粧シートの成形温度は、90℃〜130℃(シート温度)で行うことができる。この場合には、低温でも曲率の大きな湾曲部を形成でき、かつ表面外観に優れた化粧成形品を得ることができる。より好ましくは、成形温度は120℃以下、更に好ましくは110℃以下にすることができる。
上記化粧シートとしては、上記第1の発明を採用することができる。
上記射出成形後に得られる上記化粧成形品における上記クリアシートからなる上記表面保護層上に、熱硬化型又はUV硬化型のアクリル系樹脂、又は熱硬化型又はUV硬化型のウレタン系樹脂を主成分とするコーティング材を塗布し硬化させてなることが好ましい。
また、上記成形型内において、上記化粧シートの上記裏面側から基材樹脂を射出成形し、上記化粧シートの表面側から熱硬化型又はUV硬化型のアクリル系樹脂、又は熱硬化型又はUV硬化型のウレタン系樹脂を主成分とするコーティング材を上記クリアシートからなる上記表面保護層上に射出成形してなることが好ましい。
これらの場合には、硬度の高い上記ハードコート層を上記化粧シートの最表面に有する上記化粧成形品を得ることができる。そのため、上記化粧成形品の耐傷付性を向上させることができる。
特に、上記ハードコート層の形成は、上記クリアシートのみからなる上記表面保護層を有する化粧シートを用いた場合に有効である。
(実施例1)
次に、本発明の実施例につき、説明する。
本例においては、化粧シートを作製し、これを用いて化粧成形品を作製する例である。
図1〜4に示すごとく、本例の化粧シート1は、真空成形又は熱プレス成形により湾曲部199を形成し、次いで成形型5内で裏面側19に基材樹脂2を射出成形することにより、基材樹脂2と一体化させて用いられる。
図5に示すごとく、化粧シート1は、基材樹脂を射出して一体化させる裏面側19から順に、基材側接着層11、多孔質状の装飾シート13、目止め層14、保護層側接着層15、及び透明の表面保護層16とを積層し一体化してなる。基材側接着層11は、基材接合層111と接着剤層112とからなる。
接着剤層112は、湿気硬化型のポリウレタン系接着剤を装飾シート13と基材接合層111との間で硬化させてなる。
また、保護層側接着層15は、粘度5000mPa・sの透明の湿気硬化型のポリウレタン系接着剤を装飾シート13上に形成された目止め層14と表面保護層16との間で硬化させてなる。
本例においては、接着剤層112及び保護層側接着層15は、同じポリウレタン系接着剤(湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤)を用いて作製した。
表面保護層16は、ポリメチルメタクリレートを主成分とする透明のハードコートシート161と、ポリカーボネート(PC)とポリブチレンテレフタレート(PBT)との複合樹脂材料からなる透明のクリアシート162との積層体シートを、クリアシート162側で保護層側接着層15により目止め層14上に接着してなる(図5参照)。表面保護層16は、ガラス転移点120℃、厚み400μmである。ハードコートシート161とクリアシート162との厚み比は、ハードコートシート161の厚みをT1、クリアシート162の厚みをT2とすると、T1/T2=1/7である。
また、表面保護層16にはインクからなる印刷領域12が形成されている。本例において、印刷領域12は、表面保護層16における保護層側接着層15側、より具体的には、クリアシート162における保護層側接着層15側に形成されている。即ち、印刷領域12は、表面保護層16(クリアシート162)と保護層側接着層15との間に形成されている。
以下、本例の化粧シートについて、詳細に説明する。
図5に示すごとく、化粧シート1は、基材樹脂を射出する裏面側19に基材接合層111を有している。本例において、基材接合層111は、ポリエステル不織布からなる。基材接合層111の厚みは約100μmである。基材接合層111の厚みは、例えば30μm〜150μmにすることができる。
装飾シート13としては、本木の突板131と不織布133とが酢酸ビニル接着剤132で接合した積層シートを用いた。本例において用いた装飾シートの厚み構成は、突板131の厚みが300μm、不織布133の厚みが200μm、酢酸ビニル接着剤からなる接着層132の厚みが約100μmである。
装飾シート13としては、例えば厚み約0.3mm〜1mのものを採用することができる。
また、装飾シート13と基材接合層111とは、湿気硬化型のポリウレタン系接着剤からなる厚み約100μmの接着剤層112により接合されている。接着剤層112は、約30〜150μmの厚みにすることができる。
また、装飾シート13において、基材接合層111が形成された裏面側19とは反対の表面側18には、ポリウレタン樹脂からなる目止め層14が形成されている。この目止め層14の形成により、装飾シート13の表面の平滑性を高めることができる。目止め層14は、ポリウレタン樹脂のシーリング材を装飾シート13の突板131上に塗布することにより形成することができる。シーリング材の一部は、多孔質状の突板131に染み込み易い。本例においては、厚み約20μmの目止め層14が形成されている。目止め層14は、約10μm〜30μmの厚みにすることができる。
目止め層14上には、保護層側接着層15を介して表面保護層16が形成されている。
表面保護層16は、厚み50μmのハードコートシート161と厚み350μmのクリアシート162との積層体シートからなり、クリアシート162側で保護層側接着層15を介して目止め層14上に接着されている。
また、クリアシートには、インクジェット印刷によって印刷領域12が形成されている。印刷領域12は、クリアシート162における保護層側接着層15の接合側表面に形成されている。
また、ハードコートシート161は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)からなり、クリアシート162は、ポリカーボネート(PC)とポリブチレンテレフタレート(PBT)との複合樹脂材料からなる。クリアシート162における複合樹脂材料のPCとPBTとの配合比は、重量比でPC:PBT=70:30である。
また、積層体シートからなる表面保護層16のガラス転移点は120℃である。
ガラス転移点は、粘弾性測定装置((株)レオロジ製のFTレオスペクトラーDVE−V4)により測定することができる。
表面保護層16は、全光線透過率が91.2%であり、曇り度(ヘーズ)は、1%である。
全光線透過率Ltは、透明プラスチックの光線透過度のことで、可視光線と紫外線についての試験がある。ヘーズ値の小さい場合、試験は積分球式光線透過率測定装置を用いて、可視光線及び紫外線について入射光量L1と試験片を通った全光量L2との比を百分率(Lt(%)=L2/L1×100)で示すことができる。
曇り度(ヘーズ;Lh)は、透明プラスチックの内部又は表面の不明瞭なくもり様の外観の度合いのことで、数値はくもり価(曇り度、ヘーズ)という。くもり価の試験方法は、全光線透過率試験と同様な操作で試験片の光線透過率を測定し、Lh(%)=Ld/Lt×100(Ldは散乱光線透過率、Ltは全光線透過率)という式によって算出することができる。
本例においては、積分球式光線透過率測定装置として、(株)スガ試験機(株)製のデジタルヘーズコンピュータHGM−2DPを用いた。
表面保護層16は、湿気硬化型のポリウレタン系接着剤からなる厚み約100μmの保護層側接着層15により目止め層14上に接合されている。保護層側接着層15は約30〜150μmの厚みにすることができる。
次に、本例の化粧シートの作製方法について説明する。
まず、装飾シート13を準備する。本例においては、装飾シート13として、本木の突き板131の裏面に酢酸ビニル接着剤132を介して不織布133が形成された市販のシートを準備した。突板131には、柔軟性の向上のため、予めポリエチレングリコールが加圧充填されている。
次に、基材接合層111の形成用に、厚み約100μmのポリエステル不織布を準備し、湿気硬化型のポリウレタン系接着剤として、粘度5000mPa・s、ヤング率1MPaの湿気硬化ポリウレタンホットメルト接着剤を準備した。
ポリウレタン系接着剤の粘度は、ヤマト科学(株)製のコーンプレート粘度計DV1を用いて測定できる。また、ヤング率は、(株)東洋精機製のストログラフVGを用いて測定できる。
次いで、以下のようにして装飾シート13の裏面側に、ポリウレタン系接着剤からなる接着剤層112を介して基材接合層111を形成する。
基材接合層の形成は、図6に示すごとくラミネート装置6を用いて行う。
ラミネート装置6は、溶融状態の湿気硬化型のポリウレタン系接着剤(湿気硬化ポリウレタンホットメルト接着剤)を貯蔵するメルター61と、接着剤を吐出するTダイ62と、Tダイ62から吐出された接着剤120を装飾シート13上に塗布する塗布ローラ63と、装飾シート13とポリエステル不織布11とを圧着する圧着ローラ64と、圧着台65とを有する。
ラミネート装置6に、装飾シート13からなる装飾ロール130と、ポリエステル不織布111からなる基材ロール110とを設置した。
装飾ロール130からは、送りロール66を介して装飾シート13が塗布ローラ63に送り出される。塗布ローラ63においては、メルター61内の湿気硬化ポリウレタンホットメルト接着剤120がTダイ62から押出され、装飾シート13の裏面(不織布側)に所定の厚みで塗布されてさらに圧着ローラ64まで送られる。一方、基材ロール110からは、ポリエステル不織布111が圧着台65上に沿って圧着ローラ64まで送り出される。圧着ローラ64まで送り出された装飾シート13とポリエステル不織布111は、圧着ローラ64と圧着台65との間で圧着される。このとき、装飾シート13に塗布された接着剤120により装飾シート13とポリエステル不織布111が接着する。接着して一体となった装飾シート13とポリエステル不織布111は、完成シートロール100により巻取られる。
このようにして、装飾シート13の裏面に接着剤層112を介してポリエステル不織布からなる基材接合層111を形成した(図5参照)。
次に、装飾シート13における基材接合層111を形成した側とは反対側の表面、即ち、突板131上にポリウレタン樹脂からなるシーリング材をロールコータにより塗布し乾燥させた。これにより、装飾シート13の表面にポリウレタン樹脂からなる目止め層14を形成した。
次に、以下のようにして、目止め層14及び基材接合層111が形成された装飾シート13上に、ポリウレタン系接着剤からなる保護層側接着層15を介して表面保護層16を接合する。
まず、保護層側接着層形成用のポリウレタン系接着剤として、上記接着剤層と同様の接着剤、即ち、粘度5000mPa・s、ヤング率1MPaの湿気硬化ポリウレタンホットメルト接着剤を準備した。
また、表面保護層16として、PMMAからなるハードコートシート161(厚み50μm)とクリアシート162(厚み350μm)とを共押出により積層した積層シートを準備した。次いで、積層シートにおけるクリアシート162側表面に、インクジェット印刷によりインクを印刷し、印刷領域12を形成した。
表面保護層の装飾シートへの接合にあたっては、上述の基材接合層の形成と同様の構成のラミネート装置6を用いた(図6参照)。
このラミネート装置6に、基材接合層及び目止め層等が形成された装飾シート139からなる装飾ロール138と、クリアシート側表面に印刷領域12が形成された積層シート16からなる積層ロール160とを配置した。
装飾ロール138からは、送りロール66を介して装飾シート139が塗布ローラ63に送り出される。塗布ローラ63においては、メルター61内の湿気硬化ポリウレタンホットメルト接着剤150がTダイ62から押出され、装飾シート139の表面(目止め層側)に所定の厚みで塗布されてさらに圧着ローラ64まで送られる。一方、積層ロール160からは、積層シート16が圧着台65上に沿って圧着ローラ64まで送り出される。圧着ローラ64まで送り出された装飾シート139と積層シート16は、圧着ローラ64と圧着台65との間で圧着される。このとき、装飾シート139に塗布された接着剤150により装飾シート139と積層シート16が接着する。接着して一体となった装飾シート139と積層シート16は、完成シートロール101により巻取られる。
このようにして、装飾シート13の表面に保護層側接着層15を介してハードコートシート161とクリアシート162との積層シートからなる表面保護層16を形成した(図5参照)。また、積層シートのクリアシート162側表面には印刷領域12が形成されているため、上述の表面保護層16の形成に伴って、表面保護層16と保護層側接着層15との間には印刷領域12が形成される。
以上のようにして、図5に示すごとく、化粧シート1を作製した。また、化粧シートの裏面側(基材接合層側)には、離型シート10を貼着させることができる。
本例において作製した化粧シートの構成を後述の表1に示す。
次に、この化粧シートを用いて化粧成形品を作製した。
具体的には、図2に示すごとく、まず、上型41と下型42とを有する成形型4内に、化粧シート1を配置し、真空成形を行った。真空成形時の加熱温度は100℃(シート表面温度)とした。
この真空成形により、図3に示すごとく、化粧シート1に湾曲部199を形成した。
次に、湾曲部199を形成した化粧シート1を、上型51と下型52とを備える射出成形用の成形型5のキャビティ55内に配置した。そして、射出成型機200のノズル201からキャビティ55内に基材樹脂を射出し、化粧シート1の裏面側19に基材樹脂2を射出成形した。基材樹脂2としては、PC樹脂とABS樹脂との複合樹脂(PC/ABS樹脂)を用いた。
このようにして、図1に示すごとく、化粧シート1の裏面側19に基材樹脂2を射出成形してなる化粧成形品3を作製した。これを試料E1とする。
次に、試料E1とは、化粧シートの構成、成形条件などを変更してさらに10種類の化粧成形品(試料E2〜試料E11)を作製した。
試料E2は、クリアシートにおけるPCとPBTとの配合比を変更して表面保護層のガラス転移点を変更した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
試料E3及び試料E4は、湿気硬化ポリウレタンホットメルト接着剤の粘度及びこの接着剤からなる接着剤層と保護層側接着層の厚みを変更した点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
試料E5は、真空成形の代わりに熱プレス成形(加熱温度100℃)を行った点を除いては上記試料E1と同様にして作製した。
試料E6は、PMMAとアクリルゴムとを重量比でPMMA:アクリルゴム=95:5という配合割合で含有するハードコートシートを用いた点を除いては、上記試料E1と同様にして作製した。
試料E7においては、PMMAとアクリルゴムとを重量比でPMMA:アクリルゴム=80:20という配合割合で含有するハードコートシートを用い、ハードコートシートの厚みを変更した。さらに、クリアシートにおけるPCとPBTとの配合比及びクリアシートの厚みを変更して表面保護層のガラス転移点を変更し、真空成形時の成形温度を変更した。これらを除いては試料E1と同様にして作製した。
次に、試料E8は、試料E1におけるハードコートシートとクリアシートとの積層体シートの代わりに、ハードコートシートのみを表面保護層として有する化粧シートを用いて作製した化粧成形品である。
試料E8に使用した化粧シート105は、図7に示すごとく、試料E1の場合と同様に、基材樹脂を射出して一体化させる裏面側19から順に、基材接合層111、接着剤層112、多孔質状の装飾シート13、目止め層14、保護層側接着層15、及び表面保護層16とを積層し一体化してなる。
試料E8に使用した化粧シート105においては、表面保護層16は、ポリメチルメタクリレートを主成分とし、ガラス転移点が90℃で厚みが400μmの透明のハードコートシート163からなる。ハードコートシート163には、上記試料E1と同様にインクジェット印刷により印刷領域12を形成してある。そして、この印刷領域12が形成されたハードコートシート163を、保護層側接着層15により目止め層14上に接着することにより表面保護層16を形成してある。化粧シート105は、積層体シートの代わりに上述のハードコートシート163を用いた点を除いて試料E1の場合と同様にして作製することができる。
図8に示すごとく、試料E8の化粧成形品31は、表面にハードコートシート163を有する化粧シート105に対してプレス成形を行って化粧シート105に湾曲部199を形成し、次いで化粧シート105の裏面側に基材樹脂2を射出成形してなる。
この化粧成形品31は、真空成形の代わりに熱プレス成形(温度100℃)を行った点を除いては、試料E1と同様にして作製することができる。
また、試料E9及び試料E10は、ハードコート層17を最表面に形成した化粧成形品33である(図11参照)。
試料E9及び試料E10に使用した化粧シート106は、図9に示すごとく、試料E1の場合と同様に、基材樹脂を射出して一体化させる裏面側19から順に、基材接合層111、接着剤層112、多孔質状の装飾シート13、目止め層14、保護層側接着層15、及び表面保護層16とを積層し一体化してなる。
試料E9及び試料E10に使用した化粧シート106においては、表面保護層16は、PCとPBTとの複合樹脂からなり、ガラス転移点が120℃で厚みが400μmの透明のクリアシート162からなる。クリアシート162には、上記試料E1と同様にインクジェット印刷により印刷領域12を形成してある。そして、この印刷領域12が形成されたクリアシート162を、保護層側接着層15により目止め層14上に接着することにより表面保護層16を形成してある。即ち、化粧シート106は、ハードコートシートを有していない表面保護層を採用した点を除いては、試料E1の場合とほぼ同様の構成を有し、積層体シートの代わりにクリアシートのみを用いて作製する点を除いては、試料E1と同様の方法により作製できる。
試料E9の化粧成形品は、次のようにして作製した。
即ち、まず、試料E1の場合と同様に、化粧シート106に対してプレス成形を行って化粧シート106に湾曲部199を形成し(図2及び図3参照)、次いで化粧シート106を成形型5内に配置し、化粧シート106の裏面側に基材樹脂2を射出成形する(図4参照)。このようにして、化粧シート106の裏面側に基材樹脂2が一体的に形成された化粧成形品32を得る(図10参照)。ここで、得られる化粧成形品32は、表面保護層16の最表面がクリアシート162からなり、耐傷付性が不十分である。
そこで、クリアシート162上に、UV硬化性のアクリル系樹脂を塗布し、これをUV照射により硬化させ、PMMAからなる透明のハードコート層17を形成した(図11参照)。このようにして、表面にハードコート層17を有する化粧成形品33を得た。これを試料E9とする。
また、試料E10は、UV硬化性樹脂の代わりに熱硬化性のウレタン系樹脂を用いた点を除いては、上記試料E9と同様にして作製した。
また、試料E11は、ハードコートシートとクリアシートとの厚み比T1/T2を小さくした点を除いては、試料E1と同様にして作製した。
以上のようにして作製した、試料E1〜試料E11の化粧成形品について、意匠面の凹凸の有無、浮きや剥がれの有無、気泡の有無を目視により判定した。また、化粧成形品の最表面の硬度及び保護層側接着層の接着強度を測定した。さらに、試料E1〜試料E11を温度100℃の環境下に400時間載置して耐熱性の評価を行った。耐熱性の評価は、400時間後における湾曲部における浮きや剥がれの発生の有無、及び表面保護層にける凹凸の有無を目視にて判定した。その結果を後述の表1及び2に示す。
また、表1及び表2には、各試料の作製に用いた化粧シートの構成、及び成形条件を示す。なお、表においては、意匠シートの接着剤層等に関する記載を省略してあるが、これらの省略された構成は、上記試料E1と同様で変更がないことを示す。
また、本例においては、試料E1〜試料E11の比較用として、6種類の比較用の化粧成形品(試料C1〜試料C6)を作製した。
試料C1〜試料C6は、基本的には試料E1と同様の製造方法により作製でき、試料E1との変更点については、後述の表3及び表4に示す。
試料C1〜試料C6についても、試料E1〜試料E10と同様に、意匠面の凹凸の有無、浮きや剥がれの有無、気泡の有無を目視により判定し、化粧成形品の最表面の硬度及び保護層側接着層の接着強度を測定した。さらに、耐熱性の評価を行った。その結果を表3及び表4に示す。
表3及び表4より知られるごとく、ガラス転移点が90〜130℃という範囲から外れる表面保護層を形成した試料C1、試料C2、試料C5、及び試料C6は、意匠面に凹凸が発生したり、浮きや剥がれが観察された。また、気泡の発生が観察された。これらは、意匠性が悪く、商品価値が低い。
また、粘度が非常に低いポリウレタン系接着剤を用いて保護層側接着層を形成した試料C3は、接着強度が不十分となるおそれがあった。一方、粘度が非常に高いポリウレタン系接着剤を用いて保護層側接着層を形成した試料C4は、耐熱試験において浮きや剥がれが観察された。また、気泡の発生が観察された。
これに対し、本発明の実施例にかかる試料E1〜試料E11は、外観特性に優れ、優れた意匠性を示した。また、接着性、耐熱性にも優れていた。
ただし、ハードコートシートとクリアシートとの厚み比T1/T2を非常に小さくした試料E11においては、気泡の発生が抑制され、外観特性には優れているものの、表面硬度が不十分であり、耐傷付性が悪くなる。
また、図5、図7、及び図9に示すごとく、本例の化粧シート1、105、106においては表面保護層16が形成されているため、ユーザーが化粧シート1、105、106を視認した際には、透明の表面保護層16を介して装飾シート13を視認することができる。そのため、装飾シート13の意匠性に深み感を与えることができる。
また、表面保護層16にはインクからなる印刷領域12が形成されている。そのため、化粧シート1、105、106は、装飾シート13による意匠性と印刷領域12による意匠性とを組み合わせた優れた意匠性を発揮することができる。さらに、印刷領域12は、印刷により所望の色彩、模様、形状により形成することができる。そのため、化粧シート1、105、106は、様々な意匠性への要求に対応が可能になる。
このように、本例によれば、深絞り加工が必要な化粧成形品に適用しても、多孔質状の装飾シートからの気泡の発生を抑制し、表面の凹凸の発生を抑制することができ、意匠性に優れると共に様々な意匠性への要求に対応できる化粧シート及び化粧成形品(試料E1〜試料E11)を提供することができる。
(実施例2)
本例においては、図14に示すごとく、実施例1と同様に、化粧シート1に湾曲部199を形成し、化粧シート1の裏面側19に基材樹脂2を射出成形することにより、化粧成形品3を作製する。
本例の化粧シートは、図15に示すごとく、実施例1と同様に、基材樹脂を射出して一体化させる裏面側19から順に、基材側接着層11、多孔質状の装飾シート13、目止め層14、保護層側接着層15、及び透明の表面保護層16とを積層し一体化してなる。基材側接着層11は、基材接合層111と接着剤層112とから構成することができる。また、表面保護層16は、ハードコートシート161とクリアシート162とから構成することができる。表面保護層16にはインクからなる印刷領域12が形成されており、具体的には、印刷領域12は、クリアシート162における保護層側接着層15側に形成されている。また、装飾シート13は、突板131と接着層132と不織布133とから構成することができる。
本例においては、実施例1と同様にして、化粧シートの構成、成形条件などを変更して17種類の化粧成形品(試料E12〜試料E22及び試料C7〜試料C12)を作製した。表5〜表8に、各試料の作製に用いた化粧シートの構成、及び成形条件を示す。また、装飾シート(突き板)の材質、溝(導管)深さ、保護層側接着層の厚みと溝(導管)深さの比(保護層側接着層の厚み/導管深さ)を表5〜表8に示す。
装飾シートの溝深さは、突き板の断面における導管深さの最大値をもって溝深さとした。その測定にあたっては、(株)キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX−900を用いて測定した。
図16(a)に、装飾シート(突き板)の一例として、ブビンガの表面における溝部(導管)の顕微鏡写真(倍率100倍)を示す。図16(b)には、図16(a)に示す線X上における溝部の深さを示す。装飾シートの表面全体について溝部の深さを測定し、その深さの最大値、即ち図16(b)におけるA−B間の高さの最大値をもって、装飾シートの溝深さ(突き板の導管深さ)とした。
各試料(試料E12〜試料E22及び試料C7及び試料C12)についても、実施例1と同様に、意匠面の凹凸の有無、浮きや剥がれの有無、気泡の有無を目視により判定した。また、化粧成形品の最表面の硬度及び保護層側接着層の接着強度を測定した。さらに、各試料を温度100℃の環境下に400時間載置して耐熱性の評価を行った。耐熱性の評価は、400時間後における湾曲部における浮きや剥がれの発生の有無、及び表面保護層にける凹凸の有無を目視にて判定した。その結果を後述の表9〜表12に示す。また、表9〜表12には、湾曲部の曲率半径を示す。曲率半径は、各試料の最表面(クリアシート等を有する場合はクリアシート面)の曲率をRゲージを用いて測定した。
表5〜表12より知られるごとく、本発明の実施例にかかる試料E12〜試料E22は、2.0mmという曲率半径の小さな湾曲部を形成した場合においても、外観特性に優れ、優れた意匠性を示した。また、接着性、耐熱性にも優れていた。
ただし、ハードコートシートとクリアシートとの厚み比T1/T2を非常に小さくした試料E22においては、気泡の発生が抑制され、外観特性には優れているものの、表面硬度が不十分であり、耐傷付性が悪くなる。
これに対して、試料C7〜試料C12は、少なくとも外観特性に問題があった。
また、試料E12〜試料E22においては、多孔質状の装飾シートの表面における溝部の深さの最大値の2倍以上の厚みで保護層側接着層を形成してある(表5及び表6参照)。そのため、気泡の発生が充分に抑制されている(表9及び表10参照)。
これに対し、試料C9及び試料C10においては、溝部の深さに対して保護層側接着層の厚みが充分ではない(表7参照)。そのため、試料C9及び試料C10においては、より気泡が発生し易くなったと考えられる(表11参照)。
この点について、図面を用いて説明する。
実施例1と同様にラミネート装置を用いて、装飾シート13の突き板131側に保護層側接着層15を形成し、表面保護層16にクリアシート162側で接合させる場合において、試料E12〜試料E22のように、表面保護層16が突き板131の溝部139の深さよりも2倍以上という充分な厚みで形成されている場合には、溝部139の内部まで保護層側接着層15が形成されるため、気泡の発生を抑制することができる(図17及び図18参照)。
これに対し、試料C9及び試料C10のように、表面保護層16が突き板131の溝部139の深さの2倍未満の厚みで形成されている場合には、溝部139の内部まで保護層側接着層15が形成されず、気泡が発生してしまうと考えられる(図19及び図20参照)。
なお、突き板131と保護層側接着層15との間には、目止め層が設けられるが、目止め層は、突き板131や保護層側接着層15等の厚みに比べて充分に小さいため、図17〜図20においては省略して記載してある。
また、図15に示すごとく、本例の化粧シート1の表面保護層16にはインクからなる印刷領域12が形成されている。そのため、化粧シート1は、装飾シート13による意匠性と印刷領域12による意匠性とを組み合わせた優れた意匠性を発揮することができる。さらに、印刷領域12は、印刷により所望の色彩、模様、形状により形成することができる。そのため、化粧シート1は、様々な意匠性への要求に対応が可能になる。
以上のように、本例によれば、深絞り加工が必要な化粧成形品に適用しても、多孔質状の装飾シートからの気泡の発生を抑制し、表面の凹凸の発生を抑制することができ、意匠性に優れると共に様々な意匠性への要求に対応できる化粧シート及び化粧成形品(試料E12〜試料E22)を提供することができる。
(実施例3)
本例においては、ハードコートシートとクリアシートとの間に印刷領域が形成された化粧シートの例である。
本例の化粧シート107は、図21に示すごとく、実施例1と同様に、化粧シート107に湾曲部199を形成し、化粧シート107の裏面側19に基材樹脂2を射出成形することにより、化粧成形品3を作製するためのものである。
本例の化粧シート107は、図22に示すごとく、実施例1と同様に、基材樹脂を射出して一体化させる裏面側19から順に、基材側接着層11、多孔質状の装飾シート13、目止め層14、保護層側接着層15、及び透明の表面保護層16とを積層し一体化してなる。
また、本例の化粧シート1においても、実施例1と同様に、表面保護層16に印刷領域が形成されている。実施例1においては、印刷領域は、表面保護層のクリアシートと保護層側接着層との間に形成したが、本例においては、図22に示すごとく、ハードコートシート161とクリアシート162との間に印刷領域12を形成してある。その他の構成は実施例1と同様である。
本例の化粧シート107において、表面保護層形成用の積層シートの作製は次のようにして行なった。
まず、ポリメチルメタクリレート(PMMA)からなるハードコートシート161と、ポリカーボネート(PC)とポリブチレンテレフタレート(PBT)との複合樹脂材料(PC:PBT=70:30;重量比)からなるクリアシート162を準備した。次いで、クリアシート162の表面に、インクジェット印刷によりインクを印刷し、印刷領域12を形成した。
次に、接着剤により、クリアシート162を、その印刷領域12を形成した面でハードコートシート161に貼り付けた。このようにして、ハードコートシート161とクリアシート162との間に印刷領域12を有する積層シートを作製した。
この積層シートを用いて、その他は実施例1と同様にして図22に示すごとく、化粧シート107を作製することができる。
本例の化粧シート107は、印刷領域12の形成位置を変更した点を除いては、実施例1及び2と同様の構成で形成できる。そのため、本例の化粧シート107及びこれを用いて作製した化粧成形品3(図21参照)は、実施例1及び2と同様の作用効果を示すことができる。
1 化粧シート
11 基材側接着層
111 基材接合層
112 接着剤層
13 装飾シート
14 目止め層
15 保護層側接着層
16 表面保護層
161 ハードコートシート
162 クリアシート
19 裏面側

Claims (6)

  1. 真空成形又は熱プレス成形により湾曲部を形成し、次いで成形型内で裏面側に基材樹脂を射出成形することにより、基材樹脂と一体化させて用いられる化粧シートであって、
    該化粧シートは、上記裏面側から順に、基材側接着層、多孔質状の装飾シート、保護層側接着層、及び透明の表面保護層を積層し一体化してなり、
    上記保護層側接着層は、湿気硬化型の透明のポリウレタン系接着剤を硬化させてなり、
    上記表面保護層は、ポリメチルメタクリレート、又はポリカーボネートとポリブチレンテレフタレートとの複合樹脂、又はポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートとの複合樹脂を主成分とし、ガラス転移点が90〜130℃であり、
    上記表面保護層の厚みは、300〜1000μmであり、
    上記表面保護層にはインクからなる印刷領域が形成されていることを特徴とする化粧シート。
  2. 請求項1において、上記印刷領域は、インクジェット印刷又はグラビア印刷により形成されていることを特徴とする化粧シート。
  3. 請求項1又は2において、上記表面保護層は、上記裏面側から順に、ポリカーボネート及びポリブチレンテレフタレートからなる複合樹脂又はポリカーボネート及びポリエチレンテレフタレートからなる複合樹脂を主成分とする透明のクリアシートと、ポリメチルメタクリレートを主成分とする透明のハードコートシートとを有することを特徴とする化粧シート。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、上記印刷領域は、上記表面保護層における上記保護層側接着層側表面に形成されていることを特徴とする化粧シート。
  5. 請求項3において、上記印刷領域は、上記ハードコートシートと上記クリアシートとの間に形成されていることを特徴とする化粧シート。
  6. 化粧シートに対して真空成形又はプレス成形を行って上記化粧シートに湾曲部を形成し、次いで上記化粧シートを成形型内に配置し、上記化粧シートの裏面側に基材樹脂を射出成形してなる化粧成形品であって、
    上記化粧シートとして、請求項1〜5のいずれか一項に記載のものを採用することを特徴とする化粧成形品。
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