JP2011206162A - 放射線撮影システム及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】縞走査法を用いて位相コントラスト画像を撮影する際に、被検体の位置を表すマーカーによるノイズを防止する。
【解決手段】X線源とFPD21との間に、マーカー11が取り付けられた被検体Hを配置する。X線焦点12aから被検体Hのエッジ部Haまでのz方向の距離Lと、X線焦点12aからマーカー11のエッジ部11aまでのz方向の距離Lと、マーカー11のエッジ部11aからFPD21までのz方向の距離Lと、X線焦点12aの一端から被検体Hのエッジ部Haまでのx方向の距離をTと、X線焦点12aの幅wとに基づき、FPD21に検出された被検体Hの像とマーカー11の像とが重ならないようにするための距離Tを算出し、被検体Hのエッジ部Haとマーカー11のエッジ部11aとの間隔が距離T以上となるようにマーカー11の位置を調整する。
【選択図】図6

Description

本発明は、X線等の放射線により被検体の撮影を行う放射線撮影システム及び方法に関し、更に詳しくは、被検体の体動による被検体像のずれを補正するため、被検体にマーカーを取り付けて撮影を行なう放射線撮影システム及び方法に関する。
X線は、物質を構成する元素の原子番号と、物質の密度及び厚さとに依存して減衰するといった特性を有することから、被検体の内部を透視するためのプローブとして用いられている。X線を用いた撮影は、医療診断や非破壊検査等の分野において広く普及している。
一般的なX線撮影システムでは、X線を放射するX線源とX線を検出するX線画像検出器との間に被検体を配置して、被検体の透過像を撮影する。この場合、X線源からX線画像検出器に向けて放射されたX線は、X線画像検出器までの経路上に存在する物質の特性(原子番号、密度、厚さ)の差異に応じた量の減衰(吸収)を受けた後、X線画像検出器の各画素に入射する。この結果、被検体のX線吸収像がX線画像検出器により検出され画像化される。X線画像検出器としては、X線増感紙とフイルムとの組み合わせや輝尽性蛍光体のほか、半導体回路を用いたフラットパネル検出器(FPD:Flat Panel Detector)が広く用いられている。
ただし、X線吸収能は、原子番号が小さい元素からなる物質ほど低くなるため、生体軟部組織やソフトマテリアルなどでは、X線吸収像としての十分な画像の濃淡(コントラスト)が得られないといった問題がある。例えば、人体の関節を構成する軟骨部とその周辺の関節液は、いずれも殆どの成分が水であり、両者のX線の吸収量の差が少ないため、濃淡差が得られにくい。
このような問題を背景に、近年、被検体によるX線の強度変化に代えて、被検体によるX線の位相変化(角度変化)に基づいた画像(以下、位相コントラスト画像と称する)を得るX線位相イメージングの研究が盛んに行われている。一般に、X線が物体に入射したとき、X線の強度よりも位相のほうが高い相互作用を示すため、位相差を利用したX線位相イメージングでは、X線吸収能が低い弱吸収物体であっても高コントラストの画像を得ることができる。このようなX線位相イメージングの一種として、2枚の透過型回折格子とX線画像検出器とからなるX線タルボ干渉計を用いたX線撮影システムが考案されている(例えば、特許文献1参照)。
X線タルボ干渉計は、被検体の背後に第1の回折格子を配置し、第1の回折格子の格子ピッチとX線波長で決まる特定距離(タルボ干渉距離)だけ下流に第2の回折格子を配置し、その背後にX線画像検出器を配置することにより構成される。上記タルボ干渉距離とは、第1の回折格子を通過したX線が、タルボ干渉効果によって自己像(縞画像)を形成する距離であり、この自己像は、X線源と第1の回折格子との間に配置された被検体とX線との相互作用(位相変化)により変調を受ける。
X線タルボ干渉計では、第1の回折格子の自己像と第2の回折格子との重ね合わせにより強度変調された縞画像を縞走査法により検出し、被検体による縞画像の変化(位相ズレ)から被検体の位相コントラスト画像を取得する。この縞走査法とは、図10(A)に示すX線撮影システム60のように、第1の回折格子61に対して第2の回折格子62を、第1の回折格子61の面にほぼ平行で、かつ第1の回折格子61の格子方向(条帯方向)にほぼ垂直な方向に、格子ピッチを等分割した走査ピッチで並進移動させながらX線源63から被検体HにX線を照射して複数回の撮影を行なってFPD64により検出し、各画素65の画素データの位相のズレ量(被検体Hがある場合とない場合とでの位相のズレ量)から位相微分像(被検体で屈折したX線の角度分布に対応)を取得する方法であり、この位相微分像を上記の縞走査方向に沿って積分することにより被検体の位相コントラスト画像が得られる。なお、画素データは、走査ピッチに対して周期的に強度が変調された信号であるため、以下、「強度変調信号」と称することもある。
縞走査法は、第2の回折格子62を移動させながら複数回の撮影を行うため、撮影中に被検体Hが動いてしまうと位相情報を正しく計算することができなくなる。例えば、図10(A)に示すX線撮影システム60のように、被検体Hの被撮影部位67を透過したX線はFPD64の画素65aにより検出されるが、同図(B)に示すように、撮影中に被検体Hが上方に動くと、画素65aでは被検体Hの異なる被撮影部位68が撮影されてしまうので、同じ画素65aから求めた位相微分像が異なる被撮影部位のものとなってしまう。人体の体動について、例えば膝を固定して体動を測定したところ、1秒間に100μm程度の体動が生じていることが分った。FPDの現実的な画素サイズは150〜300μmであるため、撮影に数秒の時間がかかる縞走査法では、数画素分の体動が生じてしまう。
従来、放射線検出器を光軸方向に移動させながら複数回の測定を行って位相コントラスト画像を撮影する装置では、各測定画像から被写***置を割り出すため、被検体にマーカーを取り付けて撮影を行っている(例えば、特許文献2参照)。
特開2008−200359号公報 特開2002−336229号公報
縞走査法では、FPD64の各画素データから算出した位相微分像を格子方向(条帯方向)にほぼ垂直な方向に積分することにより位相コントラスト画像を得ている。したがって、積分範囲内に被検体と異なる物質であるマーカーが存在すると、そのマーカーの位相情報がノイズとなってしまうので、位相コントラスト画像からマーカーの位相情報を除外するための余分な処理が必要となる。また、マーカーは、被検体の体外に存在するため、マーカーと空気との境界であるマーカーのエッジ部でX線に屈折が生じてしまう。このマーカーのエッジ部での屈折は、被検体の体内における体液と軟組織間での屈折よりも大きいので、マーカーの位相情報を相当正しく除外しないと位相コントラスト画像に大きなノイズが発生してしまう。
本発明の目的は、上記課題を鑑みてなされたものであり、縞走査法を用いて位相コントラスト画像を撮影する際に、マーカーによるノイズの発生を防止することにある。
上記目的を達成するために、本発明の放射線撮影システムは、放射線を照射する放射線源、第1の格子、強度変調手段、マーカー、放射線画像検出器を備えている。第1の格子は、放射線を通過させて縞画像を生成する。強度変調手段は、縞画像の周期パターンに対して位相が異なる複数の相対位置で縞画像に強度変調を与える。マーカーは、放射線源と第1の格子との間、若しくは第1の格子と強度変調手段との間に配置された被検体に取り付けられている。放射線画像検出器は、各相対位置で強度変調手段により強度変調された被検体の像とマーカーの像とを含む複数の走査画像を検出する。この放射線撮影システムにおいて、マーカーは、放射線画像検出器に検出されたマーカー像と被検体像とが重ならないように、被検体から所定距離以上離れた位置に配置されている。
所定距離は、被検体に対するマーカーの配置方向におけるマーカーと被検体との互いに近接する両エッジ部間の距離Tであり、放射線源の光軸方向における放射線焦点から被検体のエッジ部までの距離をL、放射線焦点からマーカーのエッジ部までの距離をL、マーカーのエッジ部から放射線画像検出器までの距離をLとし、被検体に対するマーカーの配置方向における前記放射線焦点の幅をw、放射線焦点の一端から被検体のエッジ部までの距離をTとした場合に、下記の式を満たすことが好ましい。
T≧{((L/L)−1)×T}+{(L/(L+L))×w}
また、複数の走査画像のそれぞれからマーカー像を検出し、各マーカー像が一致するように各走査画像の位置を補正する補正処理手段と、各走査画像の被検体像に基づき、画素ごとに強度変調信号の位相ズレ量を算出し、この位相ズレ量に対応する位相微分値に基づいて被検体の位相微分像を生成する位相微分像生成手段と、マーカー像の位置に基づいてマーカー像を含まない積分範囲を決定し、位相微分像生成手段により生成された積分範囲内の位相微分像を積分して位相コントラスト画像を生成する位相コントラスト画像生成手段とを備えてもよい。
強度変調手段は、縞画像と同一方向の周期パターンを有する第2の格子と、第1及び第2の格子のいずれか一方を所定のピッチで移動させる走査手段とから構成されていてもよい。
また、第1及び第2の格子を吸収型格子とし、第1の格子は、放射線源からの放射線を縞画像として第2の格子に投影するようにしてもよい。
また、第1の格子を位相型格子とし、第1の格子のタルボ干渉効果により、放射線源からの放射線を縞画像として第2の格子に射影してもよい。
また、放射線画像検出器は、放射線を電荷に変換する変換層と、変換層において変換された電荷を収集する電荷収集電極とを画素ごとに備えた放射線画像検出器であって、電荷収集電極は、縞画像と同一方向の周期パターンを有する複数の線状電極群が、互いに位相が異なるように配列されてなり、強度変調手段が、電荷収集電極により構成されていることが好ましい。
本発明の放射線撮影方法は、第1の格子に放射線を通過させて縞画像を生成し、縞画像の周期パターンに対して位相が異なる複数の相対位置で強度変調手段により縞画像に強度変調を与え、放射線源と第1の格子との間若しくは第1の格子と強度変調手段との間に配置された被検体と、この被検体に取り付けられているマーカーとの像を含む複数の走査画像を、各相対位置で放射線画像検出器により検出する。その際に、マーカーは、放射線画像検出器に検出されたマーカー像と被検体像とが重ならないように、被検体から所定距離以上離れた位置に配置されている。
所定距離として、被検体に対するマーカーの配置方向におけるマーカーと被検体との互いに近接する両エッジ部間の距離Tを求める場合には、上述した放射線撮影システムの数式を用いるのが好ましい。
また、複数の走査画像のそれぞれからマーカー像を検出し、各マーカー像が一致するように各走査画像の位置を補正するステップと、各走査画像の被検体像に基づき、画素ごとに強度変調信号の位相ズレ量を算出し、この位相ズレ量に対応する位相微分値に基づいて被検体の位相微分像を生成するステップと、マーカー像の位置に基づいてマーカー像を含まない積分範囲を決定し、積分範囲内の位相微分像を積分して位相コントラスト画像を生成するステップとを備えてもよい。
本発明によれば、被検体像とマーカー像とが重ならないようにマーカーを被検体から所定距離以上離すようにしたので、マーカーの位相情報を除去する等の余分な処理を行なうことなく、被検体像とマーカー像とを分離することができる。また、マーカー像が含まれないように積分範囲を決定するようにしたので、被検体像のみに基づいた位相コントラスト画像を得ることができる。更に、被検体とマーカーとの距離は、放射線焦点から被検体及びマーカーのエッジ部までの距離に基づいて算出できるので、マーカーを適切な位置に配置することができる。
本発明のX線撮影システムの構成を示す模式図である。 フラットパネル検出器の構成を示す模式図である。 第1及び第2の吸収型格子の構成を示す概略側面図である。 縞走査法を説明するための説明図である。 縞走査に伴って変化する画素データ(強度変調信号)を例示するグラフである。 被検体に対してマーカーを離して配置する距離を表した模式図である。 放射線撮影の手順を示すフローチャートである。 縞走査撮影により得られる複数の画像データを示す説明図である。 本発明の第2実施形態で用いられるX線検出器の構成を示す模式図である。 従来の縞走査撮影を用いたX線撮影システムの構成を示す模式図である。
(第1実施形態)
図1において、本発明の第1実施形態に係るX線撮影システム10は、被検体Hに取り付けられたマーカー11と、被検体HにX線を照射するX線源12と、X線源12に対向配置され、X線源12から被検体Hを透過したX線を検出して画像データを生成する撮影部13と、撮影部13から読み出された画像データを記憶するメモリ14と、メモリ14に記憶される複数の画像データを画像処理して位相コントラスト画像を生成する画像処理部15と、画像処理部15により生成された位相コントラスト画像が記録される画像記録部16と、X線源12及び撮影部13の制御を行う撮影制御部17と、操作部やモニタからなるコンソール18と、コンソール18から入力される操作信号に基づいてX線撮影システム10の全体を統括的に制御するシステム制御部19とから構成されている。
マーカー11は、被検体Hと一緒に撮影され、撮影部13から読み出された画像データにおいて被検体Hの体動を補正する際の基準として用いられる。マーカー11は、例えば、直径が数mm〜数十mmの球径状であり、高いX線吸収性を有する材料、例えば鉛等を用いて形成されている。マーカー11は、例えば透明なプラスチック等からなる高いX線透過性を有する材質で形成された取付部材に保持されており、この取付部材が被検体Hの膝、肘、指等の関節部分の撮影部位に接着または粘着、あるいは貼付されることにより、被検体Hに固定されている。取付部材は、被検体Hに対するマーカー11の位置を調整できるようにするため、マーカー11の位置を移動できるような構造であることが好ましい。
X線源12は、高電圧発生器、X線管、コリメータ(いずれも図示せず)等から構成されており、撮影制御部17の制御に基づいて、被検体HにX線を照射する。例えば、X線管は、回転陽極型であり、高電圧発生器からの電圧に応じて、フィラメントから電子線を放出し、所定の速度で回転する回転陽極に電子線を衝突させることによりX線を発生する。回転陽極は、電子線が固定位置に当り続けることによる劣化を軽減するために回転しており、電子線の衝突部分が、X線を放射するX線焦点12a(図3参照)となっている。また、コリメータは、X線管から発せられたX線のうち、被検体Hの検査領域に寄与しない部分を遮蔽するように照射野を制限するものである。
撮影部13には、半導体回路からなるフラットパネル検出器(FPD)21、被検体HによるX線の位相変化(角度変化)を検出し位相イメージングを行うための第1の吸収型格子22及び第2の吸収型格子23が設けられている。FPD21は、X線源12から照射されるX線の光軸Aに沿う方向(以下、z方向という)に検出面が直交するように配置されている。
第1の吸収型格子22は、z方向に直交する面内の一方向(以下、y方向という)に延伸した複数のX線遮蔽部22aが、z方向及びy方向に直交する方向(以下、x方向という)に所定のピッチpで配列されたものである。同様に、第2の吸収型格子23は、y方向に延伸した複数のX線遮蔽部23aが、x方向に所定のピッチpで配列されたものである。X線遮蔽部22a,23aの材料としては、X線吸収性に優れる金属が好ましく、例えば、金、白金、鉛、タングステン等が好ましい。
撮影部13には、第2の吸収型格子23を格子方向に直交する方向(x方向)に並進移動させることにより、第1の吸収型格子22に対する第2の吸収型格子23との相対位置を変化させる走査機構25が設けられている。走査機構25は、例えば、圧電素子等のアクチュエータにより構成される。走査機構25は、後述する縞走査の際に、撮影制御部17の制御に基づいて駆動されるものである。詳しくは後述するが、メモリ14には、縞走査の各走査ステップで撮影部13により得られる画像データがそれぞれ記憶される。なお、第2の吸収型格子23と走査機構25とが特許請求の範囲に記載の強度変調手段を構成している。
画像処理部15は、補正処理部27、位相微分像生成部29及び位相コントラスト画像生成部30を備えている。補正処理部27は、縞走査の各走査ステップで撮影部13により撮影されてメモリ14に記憶された複数の画像データ(走査画像)からマーカー像を検出し、検出したマーカー像の位置が一致するように複数の画像データを補正することにより、各画像データの被検体像の位置を一致させる。
位相微分像生成部29は、補正処理部27により補正された複数の画像データに基づき、位相微分像を生成する。位相コントラスト画像生成部30は、位相微分像をx方向に沿って積分することにより位相コントラスト画像を生成する。位相コントラスト画像生成部30により生成された位相コントラスト画像は、画像記録部16に記録された後、コンソール18に出力されてモニタ(図示せず)に表示される。
コンソール18は、モニタの他、操作者が撮影指示やその指示内容を入力する入力装置(図示せず)を備えている。この入力装置としては、例えば、スイッチ、タッチパネル、マウス、キーボード等が用いられ、入力装置の操作により、X線管の管電圧やX線照射時間等のX線撮影条件、撮影タイミング等が入力される。モニタは、液晶ディスプレイやCRTディスプレイからなり、X線撮影条件等の文字や、上記位相コントラスト画像を表示する。
図2において、FPD21は、X線を電荷に変換して蓄積する複数の画素35が、x方向及びy方向に沿ってアクティブマトリクス基板上に2次元配列されてなる受像部36と、受像部36からの電荷の読み出しタイミングを制御する走査回路37と、各画素35に蓄積された電荷を読み出し、電荷を画像データに変換して記憶する読み出し回路38とから構成されている。なお、走査回路37と各画素35とは、行毎に走査線39によって接続されており、読み出し回路38と各画素35とは、列毎に信号線40によって接続されている。画素35の配列ピッチは、x方向及びy方向にそれぞれ100μm程度である。
画素35は、アモルファスセレン等の変換層(図示せず)によりX線を電荷に直接変換し、変換された電荷を変換層の下部の電極に接続されたキャパシタ(図示せず)に蓄積する直接変換型のX線検出素子として構成することができる。各画素35には、TFTスイッチ(図示せず)が接続され、TFTスイッチのゲート電極が走査線39、ソース電極がキャパシタ、ドレイン電極が信号線40に接続される。走査回路37からの駆動パルスによってTFTスイッチがON状態になると、キャパシタに蓄積された電荷が信号線40に読み出される。
なお、画素35は、酸化ガドリニウム(Gd)やヨウ化セシウム(CsI)等からなるシンチレータ(図示せず)でX線を一旦可視光に変換し、変換された可視光をフォトダイオード(図示せず)で電荷に変換して蓄積する間接変換型のX線検出素子として構成することも可能である。また、本実施形態では、放射線画像検出器としてTFTパネルをベースとしたFPDを用いているが、これに限られず、CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子をベースとした各種の放射線画像検出器を用いることも可能である。
読み出し回路38は、積分アンプ、補正回路、A/D変換器(いずれも図示せず)等により構成されている。積分アンプは、各画素35から信号線40を介して出力された電荷を積分して電圧信号(画像信号)に変換する。A/D変換器は、積分アンプにより変換された画像信号を、デジタルの画像データに変換する。補正回路は、画像データに対して、オフセット補正、ゲイン補正、及びリニアリティ補正等を行い、補正後の画像データをメモリ14に入力する。
図3において、第1の吸収型格子22のX線遮蔽部22aは、x方向に所定のピッチpで、互いに所定の間隔dを空けて配列されている。同様に、第2の吸収型格子23のX線遮蔽部23aは、x方向に所定のピッチpで、互いに所定の間隔dを空けて配列されている。第1及び第2の吸収型格子22,23は、入射X線に位相差を与えるものでなく、強度差を与えるものであるため、振幅型格子とも称される。なお、スリット部(上記間隔d,dの領域)は空隙でなくてもよく、高分子や軽金属等のX線低吸収材が充填されていてもよい。
第1及び第2の吸収型格子22,23は、タルボ干渉効果の有無に係らず、スリット部を通過したX線を線形的に投影するように構成されている。具体的には、間隔d,dを、X線源12から照射されるX線のピーク波長より十分大きな値とすることで、照射X線に含まれる大部分のX線をスリット部で回折させずに、直進性を保ったまま通過するように構成する。例えば、前述のX線管の回転陽極としてタングステンを用い、管電圧を50kVとした場合には、X線のピーク波長は、約0.4Åである。この場合には、間隔d,dを、1〜10μm程度とすれば、スリット部で大部分のX線が回折されずに線形的に投影される。この場合、格子ピッチp,pは、2〜20μm程度の大きさである。
X線源12から照射されるX線は、平行ビームではなく、X線焦点を発光点としたコーンビームであるため、第1の吸収型格子22を通過して射影される投影像(以下、この投影像をG1像または縞画像と称する)は、X線焦点12aからの距離に比例して拡大される。第2の吸収型格子23の格子ピッチp及び間隔dは、そのスリット部が、第2の吸収型格子23の位置におけるG1像の明部の周期パターンとほぼ一致するように決定されている。すなわち、X線焦点12aから第1の吸収型格子22までの距離をL、第1の吸収型格子22から第2の吸収型格子23までの距離をLとした場合に、格子ピッチp及び間隔dは、次式(1)及び(2)の関係を満たすように決定される。
Figure 2011206162
Figure 2011206162
第1の吸収型格子22から第2の吸収型格子23までの距離Lは、タルボ干渉計の場合には、第1の回折格子の格子ピッチとX線波長とで決まるタルボ干渉距離に制約されるが、本実施形態の撮影部13では、第1の吸収型格子22が入射X線を回折させずに投影させる構成であって、第1の吸収型格子22のG1像が、第1の吸収型格子22の後方のすべての位置で相似的に得られるため、該距離Lを、タルボ干渉距離と無関係に設定することができる。
上記のように本実施形態の撮影部13は、タルボ干渉計を構成するものではないが、第1の吸収型格子22でX線の回折が生じ、タルボ干渉効果が生じていると仮定した場合のタルボ干渉距離Zは、第1の吸収型格子22の格子ピッチp、X線波長(ピーク波長)λ、及び正の整数mを用いて、次式(3)で表される。
Figure 2011206162
本実施形態では、前述のように距離Lをタルボ干渉距離と無関係に設定することができるため、撮影部13の薄型化を目的とし、距離Lを、m=1の場合の最小のタルボ干渉距離Zより短い値に設定する。すなわち、距離Lは、次式(4)を満たす範囲の値に設定される。
Figure 2011206162
X線遮蔽部22a,23aは、コントラストの高い周期パターン像を生成するためには、X線を完全に遮蔽(吸収)することが好ましいが、上記したX線吸収性に優れる材料(金、白金、鉛、タングステン等)を用いたとしても、吸収されずに透過するX線が少なからず存在する。このため、X線の遮蔽性を高めるためには、X線遮蔽部22a,23aのそれぞれの厚み(z方向の厚さ)をできるだけ厚くすること(すなわち、アスペクト比を高めること)が好ましい。例えば、X線管の管電圧が50kVの場合に、照射X線の90%以上を遮蔽することが好ましく、この場合には、X線遮蔽部22a,23aの厚みは、金(Au)換算で30μm以上であることが好ましい。
以上のように構成された第1及び第2の吸収型格子22,23では、第1の吸収型格子22のG1像(縞画像)と第2の吸収型格子23との重ね合わせにより強度変調された縞画像がFPD21によって撮像される。第2の吸収型格子23の位置におけるG1像のパターン周期と、第2の吸収型格子23の格子ピッチpとは、製造誤差や配置誤差により若干の差異が生じており、この微小な差異により、強度変調された縞画像にはモアレ縞が生じる。また、第1及び第2の吸収型格子21、22の格子配列方向に誤差が生じ、配列方向が同一でない場合には、いわゆる回転モアレが発生する。しかし、縞画像にこのようなモアレ縞が発生した場合でも、モアレ縞のx方向またはy方向の周期が画素40の配列ピッチよりも大きい範囲であれば特に問題が生じることはない。理想的にはモアレ縞を発生させないことが好ましいが、モアレ縞は、後述するように、縞走査の走査量(第2の吸収型格子22の並進距離)を確認するために利用することができる。
X線源12と第1の吸収型格子22との間に被検体Hを配置すると、FPD21により検出される縞画像は、被検体Hにより変調を受ける。この変調量は、被検体Hによる屈折効果によって偏向したX線の角度に比例する。したがって、FPD21で検出された縞画像を解析することによって、被検体Hの位相コントラスト画像を生成することができる。
次に、縞画像の解析方法について説明する。図3には、被検体Hのx方向に関する位相シフト分布Φ(x)に応じて屈折される1つのX線が例示されている。符号45は、被検体Hが存在しない場合に直進するX線の経路を示しており、この経路45を進むX線は、第1及び第2の吸収型格子22,23を通過してFPD21に入射する。符号46は、被検体Hが存在する場合に、被検体Hにより屈折されて偏向したX線の経路を示している。この経路46を進むX線は、第1の吸収型格子22を通過した後、第2の吸収型格子23のX線遮蔽部23aにより遮蔽される。
被検体Hの位相シフト分布Φ(x)は、被検体Hの屈折率分布をn(x、z)、zをX線の進む方向として、次式(5)で表される。
Figure 2011206162
第1の吸収型格子22から第2の吸収型格子23の位置に投射されたG1像は、被検体HでのX線の屈折により、その屈折角φに応じた量だけx方向に変位することになる。この変位量Δxは、X線の屈折角φが微小であることに基づいて、近似的に次式(6)で表される。
Figure 2011206162
ここで、屈折角φは、X線波長λと被検体Hの位相シフト分布Φ(x)を用いて、次式(7)で表される。
Figure 2011206162
このように、被検体HでのX線の屈折によるG1像の変位量Δxは、被検体Hの位相シフト分布Φ(x)に関連している。そして、この変位量Δxは、FPD21で検出される各画素35の強度変調信号の位相ズレ量ψ(被検体Hがある場合とない場合とでの各画素35の強度変調信号の位相のズレ量)に、次式(8)のように関連している。
Figure 2011206162
したがって、各画素35の強度変調信号の位相ズレ量ψを求めることにより、式(8)から屈折角φが求まり、式(7)を用いて位相シフト分布Φ(x)の微分量が求まるから、これをxについて積分することにより、被検体Hの位相シフト分布Φ(x)、すなわち被検体Hの位相コントラスト画像を生成することができる。本実施形態では、上記位相ズレ量ψを、下記に示す縞走査法を用いて算出する。
縞走査法では、第1及び第2の吸収型格子22,23の一方を他方に対して相対的にx方向に並進移動させながら撮影を行う(すなわち、両者の格子周期の位相を変化させながら撮影を行う)。本実施形態では、前述の走査機構25により第2の吸収型格子23を移動させる。第2の吸収型格子23の移動に伴って、モアレ縞が移動し、並進距離(x方向への移動量)が、第2の吸収型格子23の格子周期の1周期(格子ピッチp)に達すると(すなわち、位相変化が2πに達すると)、モアレ縞は元の位置に戻る。このように、格子ピッチpを整数分の1ずつ第2の吸収型格子23を移動させながら、FPD21で縞画像を撮影し、撮影した複数の縞画像から各画素の強度変調信号を取得し、前述の画像処理部15内の位相微分像生成部29で演算処理することにより、各画素の強度変調信号の位相ズレ量ψを得る。この位相ズレ量ψの2次元分布が位相微分像に相当する。
図4は、格子ピッチpをM(2以上の整数)個に分割した走査ピッチ(p/M)ずつ第2の吸収型格子23を移動させる様子を模式的に示している。走査機構25は、k=0,1,2,・・・,M−1のM個の各走査位置に、第2の吸収型格子23を順に並進移動させる。なお、同図では、第2の吸収型格子23の初期位置を、被検体Hが存在しない場合における第2の吸収型格子23の位置でのG1像の暗部が、X線遮蔽部23aにほぼ一致する位置(k=0)としているが、この初期位置は、k=0,1,2,・・・,M−1のうちいずれの位置としてもよい。
まず、k=0の位置では、主として、被検体Hにより屈折されなかったX線が第2の吸収型格子23を通過する。次に、k=1,2,・・・と順に第2の吸収型格子23を移動させていくと、第2の吸収型格子23を通過するX線は、被検体Hにより屈折されなかったX線の成分が減少する一方で、被検体Hにより屈折されたX線の成分が増加する。特に、k=M/2の位置では、主として、被検体Hにより屈折されたX線のみが第2の吸収型格子23を通過する。k=M/2の位置を超えると、逆に、第2の吸収型格子23を通過するX線は、被検体Hにより屈折されたX線の成分が減少する一方で、被検体Hにより屈折されなかったX線の成分が増加する。
k=0,1,2,・・・,M−1の各位置で、FPD21により撮影を行うと、M個の画像データが得られる。各画像データは、各画素35の画素データを含むので、各画素35についてM個の画素データを得ることができる。M個の画像データは、メモリ14に記憶される。
また、マーカー11は、k=0,1,2,・・・,M−1の各位置で、被検体Hと一緒にFPD21によって撮影される。補正処理部27は、メモリ14からM個の画像データを読み出し、例えば、最初に撮影された画像データ、すなわちk=0の位置で撮影された画像データを基準画像データとし、この基準画像データからマーカー像とその位置を検出する。
次いで、補正処理部27は、k=1,2,・・・,M−1の各位置で撮影された画像データからもマーカー像とその位置を検出し、これらのマーカー像の位置が、基準画像データのマーカー像の位置と一致するように、k=1,2,・・・,M−1の各位置で撮影された画像データを補正する。縞走査撮影中に被検体Hが動くことにより各画像データにおける被検体Hの位置が異なっていても、マーカー像の位置に基づいて各画像データを補正することにより、被検体Hの像の位置を一致させることができる。これにより、M個の画素データから上記各画素35の強度変調信号の位相ズレ量ψを適切に算出することができる。
以下に、M個の画素データから上記各画素35の強度変調信号の位相ズレ量ψを算出する方法を説明する。第2の吸収型格子23の位置kにおける各画素35の画素データをI(x)と標記すると、I(x)は、次式(9)で表される。
Figure 2011206162
ここで、xは、画素のx方向に関する座標であり、Aは入射X線の強度であり、Aは強度変調信号のコントラストに対応する値である(ここで、nは正の整数である)。また、φ(x)は、上記屈折角φを画素35の座標xの関数として表したものである。
次いで、次式(10)の関係式を用いると、上記屈折角φ(x)は、式(11)のように表される。
Figure 2011206162
Figure 2011206162
ここで、arg[ ]は、偏角の抽出を意味しており、上記位相ズレ量ψに対応する。したがって、各画素35で得られたM個の画素データ(強度変調信号)から、式(11)に基づいて位相ズレ量ψを算出することにより、屈折角φ(x)が求まり、位相シフト分布Φ(x)の微分量が求まる。
具体的には、各画素35で得られたM個の画素データは、図5に示すように、第2の吸収型格子23の位置kに対して、格子ピッチpの周期で周期的に変化する。同図中の破線は、被検体Hが存在しない場合の画素データの変化を示しており、同図中の実線は、被検体Hが存在する場合の画素データの変化を示している。この両者の波形の位相差が上記位相ズレ量ψに対応する。
以上の説明では、画素35のy方向に関するy座標を考慮していないが、各y座標について同様の演算を行うことにより、x方向及びy方向に関する2次元的な位相ズレの分布ψ(x,y)が得られる。この位相ズレの分布ψ(x,y)が位相微分像に対応する。なお、屈折角φと位相ズレ量ψとは、上記式(7)で示されるように比例関係にあるため、共に位相シフト分布Φ(x)の微分量に対応する物理量である。
位相微分像は、位相コントラスト画像生成部30に入力される。位相コントラスト画像生成部30は、入力された位相微分像をx軸に沿って積分することにより、被検体Hの位相シフト分布Φ(x,y)を生成し、これを位相コントラスト画像として出力する。被検体Hの位相シフト分布Φ(x,y)は、式(12)のように表される。
Figure 2011206162
位相コントラスト画像生成部30で位相微分像をx軸に沿って積分する際に、積分範囲内にマーカー11の位相微分像が含まれていると、マーカー11の位相微分像がノイズとなってしまう。したがって、本実施形態では、図6に示すように、FPD21に検出されたマーカー11のエッジ部11aの像が被検体Hのエッジ部Haの像に重ならないようにするため、マーカー11を被検体Hから所定の距離T以上離れた位置に配置している。以下、距離Tの求め方について説明する。
X線源12に用いられている回転陽極型のX線管は、陽極ターゲット上の広い範囲がX線の発光点となるため、X線焦点12aは幅wの長さを有する。したがって、被検体H及びマーカー11には、X線焦点12aの全域からX線が照射されるため、FPD21に検出される被検体Hのエッジ部Ha及びマーカー11のエッジ部11aの像には、幅V、Vのボケが生じてしまう。そこで、本実施形態では、上記距離Tを、被検体Hのエッジ部HaのボケVと、マーカー11のエッジ部11aのボケVとが重ならない距離としている。
被検体Hのエッジ部HaのボケVとマーカー11のエッジ部11aのボケVとが重ならないようにするには、ボケVのマーカー11側の点をA、ボケVの被検体H側の点をBとし、両点A、Bのx座標をx、xとしたときに、下記式(13)を満たせばよい。
Figure 2011206162
また、X線焦点12aから被検体Hのエッジ部Haまでのz方向の距離をL、X線焦点12aからマーカー11のエッジ部11aまでのz方向の距離をL、マーカー11のエッジ部11aからFPD21までのz方向の距離をL、X線焦点12aの一端から被検体Hのエッジ部Haまでのx方向の距離をTとしたとき、点A及び点Bのx座標x、xは、下記式(14)、(15)からそれぞれ求められる。
Figure 2011206162
Figure 2011206162
したがって、ボケVとボケVとが重ならないようにするための条件「x−x」は、下記式(16)により求められる。また、下記式(16)を被検体Hマーカー11との距離Tについて変換すると、下記式(17)となる。したがって、各距離L〜L、w及びTに基づいて、被検体Hとマーカー11との適切な距離Tの下限を求めることができる。
Figure 2011206162
Figure 2011206162
また、位相コントラスト画像生成部30は、マーカー11に基づく位相微分像が積分範囲に含まれないようにするため、マーカー11の検出位置に基づいて積分範囲Fを決定している。これにより、位相コントラスト画像生成部30は、被検体Hの位相微分像のみに基づいた位相コントラスト画像を算出することができる。なお、マーカー11の被検体Hに対する配置方向がy方向、すなわち第1の吸収型格子22等の格子方向であるときには、x方向と同様に、位相コントラスト画像生成部30によって積分に用いるFPD21のy方向の画素範囲が決定される。
次に、以上のように構成されたX線撮影システム10の作用について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。X線源12とFPD21との間に、マーカー11が取り付けられた被検体Hが配される。次いで、X線焦点12aの幅wと、X線焦点12aからエッジ部Ha及び11aまでの各距離L〜L、Tに基づいて距離Tが算出され、被検体Hのエッジ部Haとマーカー11のエッジ部11aとの間隔が距離T以上となるように調整される(S1)。
操作者によりコンソール18から撮影操作が行なわれると、X線撮影システム10の各部が連携動作して、上述した縞走査撮影が実行され、縞画像とマーカー像とが同時に撮影される(S2)。縞走査撮影により作成された複数の画像データは、メモリ14に記憶される。
補正処理部27は、メモリ14からM個の画像データを読み出す。図8(A)〜(D)は、例えば、k=0,1,2,M−1の各位置で撮影された画像データ50〜50M−1である。補正処理部27は、例えば、最初に撮影された画像データ、すなわちk=0の位置で撮影された画像データ50を基準画像データとし、この基準画像データ50からxy座標上におけるマーカー像50aの位置を検出する。次いで、補正処理部27は、k=1,2,・・・,M−1の各位置で撮影された画像データ51〜50M−1からもマーカー像51a,52a〜50M−1aの位置を検出する(S3)。
補正処理部27は、これらのマーカー像51a,52a〜50M−1aの位置が、基準画像データ50のマーカー像50aの位置と一致するように、画像データ50〜50M−1を補正する(S4)。これにより、画像データ51〜50M−1の縞画像の位置も、画像データ50の縞画像の位置と一致する。
位相微分像生成部29は、補正処理された複数の画像データの縞画像から位相微分像を生成する(S5)。各画像データ50〜50M−1の縞画像の位置は一致しているので、位相微分像を適切に算出することができる。
位相コントラスト画像生成部30は、マーカー11の検出位置に基づいて、マーカー11に基づく位相微分像が含まれないように積分範囲Fを設定する。そして、積分範囲F内の位相微分像をx軸方向に積分して位相コントラスト画像を生成する(S6)。これにより、被検体Hの位相微分像のみに基づいた位相コントラスト画像が算出される。位相コントラスト画像は、コンソール18に出力され、モニタに表示される。
上記実施形態では、X線源12からFPD21までの距離を長くした場合に、X線焦点12aの焦点サイズ(一般的に0.1mm〜1mm程度)によるG1像のボケが影響し、位相コントラスト画像の画質の低下をもたらす恐れがあるため、X線焦点12aの直後にマルチスリット(線源格子)を配置してもよい。
このマルチスリットは、第1及び第2の吸収型格子22,23と同様な構成の吸収型格子であり、一方向(本実施形態では、y方向)に延伸した複数のX線遮蔽部が、第1及び第2の吸収型格子22,23のX線遮蔽部22a,23aと同一方向(本実施形態では、x方向)に周期的に配列されたものである。このマルチスリットは、X線源12からのX線を部分的に遮蔽してx方向に関する実効的な焦点サイズを縮小するとともに、x方向に多数の点光源(分散光源)を形成することにより、G1像のボケを抑制する。
また、上記実施形態では、第1及び第2の吸収型格子22,23を、そのスリット部を通過したX線を線形的に投影するように構成しているが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、スリット部でX線を回折することにより、いわゆるタルボ干渉効果が生じる構成(国際公開WO2004/058070号公報等に記載の構成)としてもよい。ただし、この場合には、第1及び第2の吸収型格子22,23の間の距離Lをタルボ干渉距離に設定する必要がある。また、この場合には、第1の吸収型格子22に代えて、位相型格子(位相型回折格子)を用いることが可能であり、第1の吸収型格子22に代えて用いた位相型格子は、タルボ干渉効果により生じる縞画像(自己像)を、第2の吸収型格子23に射影する。
さらに、上記実施形態では、被検体HをX線源12と第1の吸収型格子22との間に配置しているが、被検体Hを第1の吸収型格子22と第2の吸収型格子23との間に配置した場合にも同様に位相コントラスト画像の生成が可能である。
(第2実施形態)
また、上記各実施形態では、第2の吸収型格子23がFPD21とは独立して設けられているが、特開平2009−133823号公報に開示された構成のX線画像検出器を用いることにより、第2の吸収型格子23を排することができる。このX線画像検出器は、X線を電荷に変換する変換層と、変換層において変換された電荷を収集する電荷収集電極とを備えた直接変換型のX線画像検出器において、各画素の電荷収集電極が、一定の周期で配列された線状電極を互いに電気的に接続してなる複数の線状電極群を、互いに位相が異なるように配置することにより構成されており、電荷収集電極が特許請求の範囲に記載の強度変調手段を構成している。
図9は、本実施形態のX線画像検出器(FPD)の構成を例示する。画素70が、x方向及びy方向に沿って一定のピッチで2次元配列されており、各画素70には、X線を電荷に変換する変換層によって変換された電荷を収集するための電荷収集電極71が形成されている。電荷収集電極71は、第1〜第6の線状電極群72〜77から構成されており、各線状電極群の線状電極の配列周期の位相がπ/3ずつずれている。具体的には、第1の線状電極群72の位相を0とすると、第2の線状電極群73の位相はπ/3、第3の線状電極群74の位相は2π/3、第4の線状電極群75の位相はπ、第5の線状電極群76の位相は4π/3、第6の線状電極群77の位相は5π/3である。画素70のy方向への電荷がそれぞれの線状電極群を通して蓄えられる。
さらに、各画素70には、電荷収集電極71により収集された電荷を読み出すためのスイッチ群78が設けられている。スイッチ群78は、第1〜第6の線状電極群72〜77のそれぞれに設けられたTFTスイッチからなる。第1〜第6の線状電極群72〜77により収集された電荷を、スイッチ群78を制御してそれぞれ個別に読み出すことによって、一度の撮影により、互いに位相の異なる6種類の縞画像を取得することができ、この6種類の縞画像に基づいて位相コントラスト画像を生成することができる。また、マーカー検出部分では、6種類の縞画像の強度の平均値を計算すれば、透過画像と同等の絵が得られるため、マーカー像の位置を検出することができる。
FPD21に代えて、上記構成のX線画像検出器を用いることにより、撮像部13から第2の吸収型格子23が不要となるため、コスト削減とともに、さらなる薄型化が可能となる。また、本実施形態では、一度の撮影により、異なる位相で強度変調が行われた複数の縞画像を取得することが可能であるため、縞走査のための物理的な走査が不要となり、上記走査機構25を排することができる。なお、電荷収集電極71に代えて、特開平2009−133823号公報に記載のその他の構成の電荷収集電極を用いることも可能である。
さらに、第2の吸収型格子23を配置しない場合の別の実施形態として、X線画像検出器により得られた縞画像(G1像)を、信号処理によって位相を変えながら周期的にサンプリングすることで、該縞画像に強度変調を与えることも可能である。
以上説明した各実施形態は、医療診断用の放射線撮影システムのほか、工業用等のその他の放射線撮影システムに適用することが可能である。
10 X線撮影システム
11 マーカー
12 X線源(放射線源)
12a X線焦点
13 撮影部
15 画像処理部
17 撮影制御部
21 フラットパネル検出器(FPD)
22 第1の吸収型格子
22c,23c X線透過部
23 第2の吸収型格子
25 走査機構
27 補正処理部
29 位相微分像生成部
30 位相コントラスト画像生成部

Claims (10)

  1. 放射線を放射する放射線源と、
    前記放射線を通過させて縞画像を生成する第1の格子と、
    前記縞画像の周期パターンに対して位相が異なる複数の相対位置で前記縞画像に強度変調を与える強度変調手段と、
    前記放射線源と前記第1の格子との間、若しくは前記第1の格子と前記強度変調手段との間に配置された被検体に取り付けられているマーカーと、
    前記各相対位置で、前記強度変調手段により強度変調された前記被検体の像と前記マーカーの像とを含む複数の走査画像を検出する放射線画像検出器とを備えた放射線撮影システムであって、
    前記マーカーは、前記放射線画像検出器に検出されたマーカー像と前記被検体像とが重ならないように、前記被検体から所定距離以上離れた位置に配置されていることを特徴とする放射線撮影システム。
  2. 前記所定距離は、前記被検体に対する前記マーカーの配置方向における前記マーカーと前記被検体との互いに近接する両エッジ部間の距離Tであり、前記放射線源の光軸方向における放射線焦点から前記被検体のエッジ部までの距離をL、前記放射線焦点から前記マーカーのエッジ部までの距離をL、前記マーカーのエッジ部から前記放射線画像検出器までの距離をLとし、前記被検体に対する前記マーカーの配置方向における前記放射線焦点の幅をw、前記放射線焦点の一端から前記被検体のエッジ部までの距離をTとした場合に、下記の式を満たすことを特徴とする請求項1記載の放射線撮影システム。
    T≧{((L/L)−1)×T}+{(L/(L+L))×w}
  3. 複数の前記走査画像のそれぞれから前記マーカー像を検出し、各前記マーカー像が一致するように前記各走査画像の位置を補正する補正処理手段と、
    前記各走査画像の被検体像に基づき、画素ごとに強度変調信号の位相ズレ量を算出し、この位相ズレ量に対応する位相微分値に基づいて被検体の位相微分像を生成する位相微分像生成手段と、
    前記マーカー像の位置に基づいて前記マーカー像を含まない積分範囲を決定し、前記位相微分像生成手段により生成された前記積分範囲内の位相微分像を積分して位相コントラスト画像を生成する位相コントラスト画像生成手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の放射線撮影システム。
  4. 前記強度変調手段は、前記縞画像と同一方向の周期パターンを有する第2の格子と、前記第1及び第2の格子のいずれか一方を所定のピッチで移動させる走査手段とからなることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の放射線撮影システム。
  5. 前記第1及び第2の格子は、吸収型格子であり、前記第1の格子は、前記放射線源からの放射線を縞画像として前記第2の格子に投影することを特徴とする請求項4記載の放射線撮影システム。
  6. 前記第1の格子は位相型格子であり、前記第1の格子は、タルボ干渉効果により、前記放射線源からの放射線を縞画像として前記第2の格子に射影することを特徴とする請求項4記載の放射線撮影システム。
  7. 前記放射線画像検出器は、放射線を電荷に変換する変換層と、変換層において変換された電荷を収集する電荷収集電極とを画素ごとに備えた放射線画像検出器であって、
    前記電荷収集電極は、前記縞画像と同一方向の周期パターンを有する複数の線状電極群が、互いに位相が異なるように配列されてなり、
    前記強度変調手段は、前記電荷収集電極により構成されていることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の放射線撮影システム。
  8. 第1の格子に放射線を通過させて縞画像を生成し、
    前記縞画像の周期パターンに対して位相が異なる複数の相対位置で強度変調手段により前記縞画像に強度変調を与え、
    前記放射線源と前記第1の格子との間若しくは前記第1の格子と前記強度変調手段との間に配置された被検体と前記被検体に取り付けられているマーカーとの像を含む複数の走査画像を、前記各相対位置で放射線画像検出器により検出する放射線撮影方法であって、
    前記マーカーは、前記放射線画像検出器に検出されたマーカー像と前記被検体像とが重ならないように、前記被検体から所定距離以上離れた位置に配置されていることを特徴とする放射線撮影方法。
  9. 前記所定距離は、前記被検体に対する前記マーカーの配置方向における前記マーカーと前記被検体との互いに近接する両エッジ部間の距離Tであり、前記放射線源の光軸方向における放射線焦点から前記被検体のエッジ部までの距離をL、前記放射線焦点から前記マーカーのエッジ部までの距離をL、前記マーカーのエッジ部から前記放射線画像検出器までの距離をLとし、前記被検体に対する前記マーカーの配置方向における前記放射線焦点の幅をw、前記放射線焦点の一端から前記被検体のエッジ部までの距離をTとした場合に、下記の式を満たすことを特徴とする請求項8記載の放射線撮影方法。
    T≧{((L/L)−1)×T}+{(L/(L+L))×w}
  10. 複数の前記走査画像のそれぞれから前記マーカー像を検出し、各前記マーカー像が一致するように前記各走査画像の位置を補正するステップと、
    前記各走査画像の被検体像に基づき、画素ごとに強度変調信号の位相ズレ量を算出し、この位相ズレ量に対応する位相微分値に基づいて被検体の位相微分像を生成するステップと、
    前記マーカー像の位置に基づいて前記マーカー像を含まない積分範囲を決定し、前記積分範囲内の位相微分像を積分して位相コントラスト画像を生成するステップと、
    を備えたことを特徴とする請求項8または9記載の放射線撮影方法。
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