JP2011206073A - ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法及びティシュペーパー製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】紙料を抄造し脱水した湿紙を、ヤンキードライヤー331において乾燥して乾紙とし、これを巻取り装置341により巻き取り一次原反ロールJRを得、この一次原反ロールJR、JRから連続的にティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールRを製造するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法である。前記ヤンキードライヤー331と前記一次原反ロールの巻取り装置341との間において、前記乾紙S1に対して薬液を噴霧状態で付与する第一次薬液噴霧工程153と、前記一次原反ロールJRから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートに対して薬液をフレキソ印刷方式又はグラビア印刷方式によって塗布する第二次薬液塗布工程とを有する。
【選択図】図1
Description
このようなインターフォルダの例として、下記特許文献1、2に開示されるようなマルチスタンド式(多連式)インターフォルダや、下記特許文献3、4に開示されるようなロータリー式インターフォルダなどが知られている。
マルチスタンド式インターフォルダを用いた製造方法の従来例としては、次のようなものがある。すなわち、抄紙設備において薄葉紙を抄造して巻き取ることで一次原反ロール(一般にジャンボロールともいわれている)を製造し、次いで、この一次原反ロールをプライマシンにセットし、複数の一次原反ロールから繰り出した一次連続シートを重ね合わせて巻き取ると共にスリット(幅方向にティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅に分割)し、複数のプライからなる二次原反ロールを製造する。
プライマシンで製造された二次原反ロールは、プライマシンから取り出された後、必要な数だけマルチスタンド式インターフォルダにセットされる。次いで、二次原反ロールから二次連続シートを繰り出して、折畳機構部へ送り込み、ここで折り畳みながら積み重ね、その後、所定の長さに切断されてティシュペーパー束とし、収納箱内に収納する。
このようなマルチスタンド式インターフォルダを用いた製造方法は、他の折り畳み設備を用いた製造方法に比べて、多数(通常80〜100基)の折畳み機構を有しているため生産性が高いという利点を有している。
しかし、マルチスタンド式インターフォルダを用いた製造方法で製造する場合、プライマシンやマルチスタンド式インターフォルダとは別に薬液付与工程を設けると、原反の移送の手間や多大な設備コストがかかってしまうという問題がある。また、薬液付与工程をマルチスタンド式インターフォルダ内に設けると、薬液を付与するティシュペーパー製品を製造するラインと、薬液を付与しないティシュペーパー製品を製造するラインとを別々に設ける必要があった。
〔請求項1記載の発明〕
紙料を抄造し湿紙とし、この湿紙を脱水し、脱水された湿紙を、ヤンキードライヤーにおいて乾燥した後にドクターブレードで前記ヤンキードライヤーから剥がして乾紙とし、これを巻取り装置により巻き取り一次原反ロールを得、この一次原反ロールから連続的にティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールを製造するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法であって、
前記ヤンキードライヤーと前記一次原反ロールの巻取り装置との間において、前記乾紙に対して薬液を噴霧状態で付与する第一次薬液噴霧工程と、
前記一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
前記積層連続シートに対して薬液をフレキソ印刷方式又はグラビア印刷方式によって塗布する第二次薬液塗布工程と、
前記積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する二次原反ロール巻取り工程と、を有することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
一次原反ロールの軸と乾紙を案内するワインディングドラムとの間に乾紙を案内しながら、前記ヤンキードライヤーの反ドライヤー面が前記軸側に対向するように前記一次原反ロールの巻き取りを行なう巻取り装置を有し、前記第一次薬液噴霧工程による薬液の付与を、前記ヤンキードライヤーの反ドライヤー面のみに行なうものである請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
前記第二次薬液塗布工程が、前記積層工程の後であって、且つ、前記スリット工程の前に行われる、請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
前記積層工程と前記薬液噴霧工程との間に、カレンダーにて平滑化処理する平滑化工程を有する、請求項3に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
前記薬液噴霧工程と前記スリット工程との間に、前記積層連続シートに対して層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス工程を有する、請求項3に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
前記薬液の付与がノズル式噴霧方式によるものである、請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
前記薬液の付与がローターダンプニング噴霧方式によるものである、請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
前記請求項のいずれか1項の請求項によって得られた前記二次原反ロールを多数用意し、これらをマルチスタンド式インターフォルダにおいてライン方向に沿って配置し、各二次原反ロールから繰り出される複数の二次連続シートをその連続方向に沿って移送すると共に、その移送過程で折畳みながら積み重ね、その後、所定枚数の積層シートを所定長さ切断してティシュペーパー束とし、この積層を収納箱内に収納することを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
しかし、刷版ロールと圧胴ロールとでシートを圧着する形態で薬液を塗布するので、シートの繊維間隙が潰され、製品とした場合の嵩が出にくい。しかも、この傾向は、薬液を2回に分けてシートに付与する形態ではより顕著となる。
しかも、第一次薬液付与を薬液噴霧によって行なうようにしている。薬液噴霧ではシートの圧着形態での摩擦が生じないで、紙粉の発生がなく、安定した塗布が可能である。また、繊維間隙が潰すことがないので、嵩高のティシュペーパーを得ることができる。
なお、薬液塗布工程における薬液塗布は、特にドクターチャンバーを用いたフレキソ印刷方式とすることが好ましい。ドクターチャンバー形式は、アニロックスロール(転写用凹ロール)の表面に直接、薬液を塗工し皮膜を作るもので、薬液に紙粉やエアーが混入しにくく薬液の物性が安定しやすい特徴があり、且つ、アニロックスロールから転写される薬液が均一であるため、低量塗布の場合であっても好適に塗布することができる。
グラビア印刷方式はフレキソ印刷方式とほぼ同様の塗布量及び幅方向に塗布安定性を示すので、グラビア印刷方式も採用できる。
〔一次原反ロールの製造設備・方法〕
一次原反ロールの製造設備及び製造方法の一例を、図1を参照しつつ説明する。
図1に示すように、予め調整された紙料を、ヘッドボックス301からワイヤーパート311に供給することで湿紙Wを形成し(フォーミング工程)、この湿紙Wを、プレスパート321のフェルト322に転送した後、一対の脱水ロール323、324によって挟持することで脱水する(脱水工程)。次いで、この脱水された湿紙Wを、ヤンキードライヤーフード332で一部覆われたヤンキードライヤー331の表面に付着させて乾燥し、ドクターブレード333によって引き剥がして乾紙S1とする(乾燥工程)。
そして、この乾紙S1に対して、案内ロール343、344により送る途中で、第一次薬液噴霧手段153によって薬液を噴霧状態で付与し(第一次薬液噴霧工程)する。
その後、乾紙S1を案内するワインディングドラム342を有する第1巻取り手段341によって、乾紙S1の裏面が一次原反ロールJRの軸側に対向するよう乾紙S1を巻き取ることで一次原反ロール(通称「ジャンボロール」)JRを形成する(第1巻取り工程)。なお、乾紙S1(後述の一次連続シートS11、S12)の裏面とは、ヤンキードライヤー331のシリンダと接していた面の反対側の面(反ドライヤー面)のことを意味する。ここで、第一次薬液噴霧手段153による薬液の付与は、ヤンキードライヤー331の反ドライヤー面のみに行なうものである。したがって、乾紙S1に薬液が浸透し、ワインディングドラム342の外面まで付着することの危険性は少なく、ワインディングドラム342の外面に紙粉が堆積し、製品の一部に転写し、製品に欠陥部分を形成することがない。なお、案内ロール344への薬液に付着があるが、これは適宜の清拭手段により清浄すればよい。
第一次薬液噴霧手段153としては特に限定されないが、後に図示をもって説明する、ノズル式噴霧方式による場合のほか、ローターダンプニング噴霧方式によってもよい。
このうち、ノズル式噴霧装置における噴霧用ノズルの型式としては、環状に噴霧する空円錐型ノズル、円形状に噴霧する充円錐型ノズル、正方形状に噴霧する充角錐型、充矩型ノズル、扇型ノズル等が挙げられ、薬液が乾紙S1の幅方向に対して均一に噴霧されるように、ノズル径、ノズル数、ノズル配列パターン、ノズル配置数、あるいは噴霧距離、噴霧圧力、噴霧角度、および噴霧液の濃度、粘度などを適宜選択して使用することができる。
乾紙S1表面に塗布されずにミストとして浮遊している霧滴粒子は、吸引・回収して再度噴霧することができる。
本発明で使用する薬液は、親和性を図るうえで、第一次薬液噴霧手段153及び第二次塗布手段53で共通のものが好ましい。
第二次塗布手段53により薬液を高速塗布する観点から、粘度が40℃で1〜700mPa・s、特に50〜400mPa・s(40℃)とするのが好ましい。1mPa・sより小さいとアニロックスロールや刷版ロール等のロール上で薬液が飛散しやすくなり、逆に700mPa・sより大きいと各ロールや連続シートへの塗布量をコントロールしにくくなる傾向がある。
ポリオールとしてはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類を含む。
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とすることが、薬液の粘度、塗布量を安定させる上で好ましい。
薬液塗布時の温度は30℃〜60℃、好ましくは35℃〜55℃とすることが好ましい。
図11に示すように、本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1(プライマシンX1)は、上述の製造設備・方法などで製造された一次原反ロールJRを、少なくとも2つ以上セット可能とされており、これらの一次原反ロールJRから繰り出した一次連続シート(図示例ではS11、S12)を、その連続方向に沿って積層して、図示例では2プライに積層した連続シートS2とするプライ手段51を有している。
ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1には、積層連続シートS2をカレンダー処理するカレンダー手段52を一つ以上設けることもできる。
カレンダー手段52におけるカレンダーの種別は、特に限定されないが、表面の平滑性向上と紙厚の調整の理由からソフトカレンダー又はチルドカレンダーとすることが好ましい。ソフトカレンダーとは、ウレタンゴム等の弾性材を被覆したロールを用いたカレンダーであり、チルドカレンダーとは金属ロールからなるカレンダーのことである。
カレンダー手段52の数は、適宜変更することができる。複数設置すれば加工速度が速くとも十分に平滑化できるという利点を有する一方、スペース的に不利となる。
二つ以上のカレンダー手段52を設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設することができ、また、これらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると、抱き角度を小さくなるため加工速度が高速とすることができ、上下方向に並設すると設置スペースを小さくすることができる。なお、ここで言う抱き角度とはロールの軸中心から見てシートが接している間(軸と直交する断面の円弧の一部)の角度を意味している(以下同じ)。
カレンダー処理条件におけるカレンダー種別、ニップ線圧、ニップ数なども制御要因として抄紙を行うようにし、これらの制御要因は、求めるティシュペーパーの品質すなわち紙厚や表面性によって適宜変更することが好ましい。
また、カレンダー手段52の設置位置は特に限定されないが、プライ手段51の後段であって且つ第二次薬液塗布手段53の前段や、第二次薬液塗布手段53の後段であって且つコンタクトエンボス手段54の前段とすることができる。
前述のように、第二薬液塗布手段での1プライ当たりの薬液の付与量として、0.5〜1.5g/m2とするのが望ましく、より好ましくは0.7〜1.2g/m2とされる。そして、2プライの製品を得る場合には、2プライ合計で2.0〜6.0g/m2とするのが望ましく、特には2.5〜5.0g/m2とするが望ましい。
したがって、図11に示すように、2プライ積層シートS2のそれぞれ外面に、第二薬液塗布手段53A及び53Bにより0.5〜1.5g/m2の塗布量範囲で塗布するものである。
なお、第二薬液塗布手段53A及び53B間で、塗布量に差があっても、塗布後に二次原反ロールRとして保管された後、折り加工されるまでの時間(8時間以上)内に、プライ相互が接していることから、次第に薬液が浸透拡散し、両者の薬液付与量が均等化していきプライ間の付与量差は小さくなる。
フレキソ印刷方式又はグラビア印刷方式は、加工速度が高速であっても塗布量を安定させることができ、また、一つのロールで幅広い薬液の粘度を安定的に塗布することができる。
ここでは、フキレソ印刷方式におけるドクターチャンバー形式の一例を説明する。
図12に示すように一方のドクターチャンバー形式とされる薬液塗布部53Aは、薬液の入っているドクターチャンバー61Aが、回転可能なアニロックスロール63Aと対向して配置されていて、ドクターチャンバー61Aからアニロックスロール63Aに薬液を受け渡すようになっている。また、このアニロックスロール63Aと接し且つ積層連続シートS2の一面とも接する刷版ロール64Aが回転可能に設置されていて、このアニロックスロール63Aから刷版ロール64Aに薬液を受け渡すようになっている。さらに、積層連続シートS2を挟んでこの刷版ロール64Aと対向している弾性ロール65Aとで積層連続シートS2に圧力を付与しつつ、刷版ロール64Aから積層連続シートS2に薬液を塗布するようになっている。
具体的には、片面毎の塗布量を変えるだけでなく、フレキソ版の線数を15〜40線程度、頂点面積率を20〜40%程度の薬液が飛散しない程度に粗くすることが考えられ、このようにすることで、塗布直後はドット柄が残り、瞬間的に塗布部分と未塗布部分ができるようになる。
2ロールフレキソ形式の第二次薬液塗布手段では、薬液タンク等の塗布装置内で循環する薬液に含まれる紙粉やエアーのろ過装置を設置する必要があるが、本実施の形態のようなドクターチャンバー形式の第二次薬液塗布手段53とした場合、紙粉等が少なくなるので、ろ過装置の負荷が軽減される。さらに、ドクターチャンバー61A、61B等の塗布装置内で薬液の温度をコントロールし、薬液粘度を安定させることが望ましい。この場合、ドクターチャンバー61A、61Bに繋がる中間タンク及び配管にヒーターを設置することにできる。他方、操業中に積層連続シートS2の幅方向の水分率で塗布量を管理する場合、例えば赤外線の検査機等を用いて常に幅方向の水分量とバラツキをチェックするようにできる。さらに、必要により、図12に示すように、刷版ロール64A及び64Bの版面に接して多数の刷毛を有するブラシロール66A及び66Bを設け、常時、刷版ロール64A及び64Bも付着しようとする紙粉を掻き取るようにすると、刷版ロール64A及び64B及びアニロックスロール63A及び63Bの目詰まりを防止でき、安定した操業が可能となる。
次に、ドクターチャンバー形式の実施形態2について、具体的に図14及び図15に示す構造を参照しながら、以下に詳細に説明する。
なお、図示の薬液供給装置100は、前述の第二次薬液塗布手段53を構成するドクターチャンバー形式のフレキソ印刷方式による2つの薬液塗布部53A、53Bの一方についてのものとして図示したものである。図14に示す薬液供給装置100の左右方向をX軸方向、上下方向をY軸方向とする。
従って、前述のドクターチャンバー61A、61Bが、本実施形態ではドクターチャンバー130とされ、前述の弾性ロール65A、65Bが、本実施形態では回動部160とされることになる。
押出ホース121は、一端が貯留タンク110内に挿入され、他端がドクターチャンバー130の導入部132と接続されたホースであり、貯留タンク110内の薬液Lを搬送する流路として機能する。供給ポンプ122は、押出ホース121に取り付けられ、図示しない駆動モータにより駆動されて、貯留タンク110内の薬液Lをドクターチャンバー130へ加圧送給する。調整弁123は、供給ポンプ122により押出される薬液Lの流量を弁の開閉により調整する。
引込ホース141は、一端が貯留タンク110内に挿入され、他端が後述のドクターチャンバー130の導出部133と接続されたホースであり、導出部133より導出される薬液Lを貯留タンク110に搬送する流路として機能する。
吸引ポンプ142は、引込ホース141に取り付けられ、図示しない駆動モータにより駆動されて、導出部133より導出される薬液Lを吸引させて貯留タンク110(外部)へ排出させる。
貯留部131aは、アニロックスロール151側の端部が開口し、導入部132及び導出部133と連結され、内部に貯留される薬液Lをアニロックスロール151に供給する。そして、アニロックスロール151への供給量が一定となるように、導入部132より貯留部131aに導入される薬液Lの一部が導出部133を介して導出されることで、循環されるよう構成されている。
従って、前述のアニロックスロール63A、63Bが、本実施形態ではアニロックスロール151とされることになる。
ブレード131b,131cは、アニロックスロール151と当接するように設けられ、アニロックスロール151に押しつけた状態で薬液Lの絞りを行う。
継手133aは、一端が本体部131に接続され、他端が引込部140の引込ホース141に接続され、引込部140と本体部131とを連結する管状の継手である。
つまり、継手133aに孔部133bが設けられているため、継手133a内の薬液Lは外気接触することとなる。そのため、導入部132より導入した薬液Lの一部を排出(導出部133から導出)して薬液Lを循環させる際に、吸引ポンプ142で薬液Lの吸引を行っても、上記孔部133bによって薬液Lが外気接触して、内圧を外気圧に近づけることができるので、ドクターチャンバー130内の内圧変動を抑えることができる。
なお、当該孔部133bは、ドクターチャンバー130内の内圧変動が抑えられればよいため、例えば、本体部131の上面に貯留部131aに連通するように形成してもよい。
つまり、上記チューブ133c内への流入が確認された場合は、貯留部131aに貯留される薬液Lの量が過多になっている(アニロックスロール151に対して薬液Lが過供給状態となっている)ことが把握できる。したがって、上記過多の状態を目視で確認した使用者は、例えば、調整弁123を操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することが可能となる。
なお、チューブ133cは、内部が空洞で上端側が外気に接触しているため、上記孔部133bの作用を相殺してしまうことはない。
つまり、前述の刷版ロール64A、64Bが、本実施形態では刷版ロール152とされることになる。
さらに、アニロックスロール151は、円柱状をなし、XY平面に直交する軸回りに回動可能に構成されているため、上記のように周面に吸着された薬液Lは、回動によって刷版ロール152に転写することができる。
そのため、刷版ロール152は、左端で当接する回動部160がr1方向に回動することでr2方向に回動するとともに、右端で当接するアニロックスロール151をr1方向に回動させる。つまり、刷版ロール152は、アニロックスロール151の周面に吸着された薬液Lを点P2にて取得し、r2方向への回動により点P1まで搬送して積層連続シートS2に転写することができる。
そのため、アニロックスロール151により吸着された薬液Lがアニロックスロール151の周面上に層状に不均一に残ってしまう場合でも、刷版ロール152の周面に移送させることで、積層連続シートS2に薬液Lを均一に転写することができる。
なお、回動部160の回動の向きは、図14においてr1方向としたが、r2方向に回動するように構成しても勿論良い。この場合、アニロックスロール151及び刷版ロール152は図14とは逆方向(つまり、アニロックスロール151:r2方向、刷版ロール152:r1方向)に回動する。
まず、供給ポンプ122を駆動させ、貯留タンク110より薬液Lを押出し、押出ホース121及びドクターチャンバー130の導入部132を介して本体部131の貯留部131aへ供給する。
次いで、回動部160を回動させてアニロックスロール151に貯留部131aの薬液Lを供給し、刷版ロール152を介して薬液Lを積層連続シートS2上に転写させる。
加えて、吸引ポンプ142を駆動させ、導出部133を介して貯留部131aの薬液Lの一部を貯留タンク110へ向けて排出して循環させる。この際、導出部133の継手133a内で、孔部133bを介した外気接触によりドクターチャンバー130内の内圧変動が抑えられる。
また、上記循環の際に、薬液Lのチューブ133c内への流入が確認された場合、調整弁123を操作して薬液Lの流量の調整を行う。
したがって、薬液供給装置100は、ドクターチャンバー130から薬液Lを吸い出す際の、ドクターチャンバー130内の内圧変動を抑えるとともに、極力省スペースで設置できる薬液供給装置100であるといえる。
また、ドクターチャンバー130は、孔部133bに下端が連結され、上方に延伸した透明又は半透明のチューブ133cを備える。
また、チューブ133cの上端(自由端)を下向きにして設けることで、孔部133bへの紙粉等の異物の混入を防止することができる。
次に、ドクターチャンバー形式の実施形態3の薬液供給装置200について、図16を用いて説明する。
ドクターチャンバー形式の実施形態2の薬液供給装置100では、孔部133bに連結されたチューブ133c内への薬液Lの流入を目視により確認することで、アニロックスロール151に対して薬液Lが過供給状態となっていることを把握できるように構成したが、本実施形態の薬液供給装置200では、上記状態に至ったか否かを自動的に判別し、使用者に判別結果を報知するように構成する。
以下の薬液供給装置200の説明においては、ドクターチャンバー形式の実施形態2の薬液供給装置100との相違点を中心に説明し、一致する構成には、同一の符号を付し、説明を省略する。
センサ133fは、例えば、被検知体に向けて発光する発光素子(図示省略)と、被検知体からの反射光を受光する受光素子(図示省略)と、を含み、受光素子からの反射光の受光量に基づいて、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが、当該センサ133fの設けられた高さ位置(図16に示すy1)に達したか否かを検知するセンサである。
報知部133gは、例えば、スピーカ等であり、センサ133fにより、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが、上記センサ133fの設けられた高さ位置に達したと検知された場合に、音声により使用者への報知を行うように構成されている。
なお、円筒状部133dは、内部が空洞で上端側が外気に接触しているため、孔部133bの作用を相殺してしまうことはない。
まず、供給ポンプ122を駆動させ、貯留タンク110より薬液Lを押出し、押出ホース121及びドクターチャンバー130の導入部132を介して本体部131の貯留部131aへ供給する。
次いで、回動部160を回動させてアニロックスロール151に貯留部131aの薬液Lを供給し、刷版ロール152を介して薬液Lを積層連続シートS2上に転写させる。
加えて、吸引ポンプ142を駆動させ、導出部233を介して貯留部131aの薬液Lの一部を貯留タンク110へ向けて排出して循環させる。この際、導出部233の継手133a内で、孔部133bでの外気接触を介してドクターチャンバー130内の内圧変動が抑えられる。
また、上記循環の際に、センサ133fにより、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが、センサ133fの設けられた高さ位置に達したと検知され、報知部133gにより使用者へその旨が報知された場合、調整弁123を操作して薬液Lの流量の調整を行う。
次に、ドクターチャンバー形式の実施形態4の薬液供給装置300について、図17を用いて説明する。
ドクターチャンバー形式の実施形態2の薬液供給装置100及び実施形態3の薬液供給装置200では、孔部133bの開口量は固定値となるように構成したが、本実施形態の薬液供給装置300では、当該開口量を調整できるように構成する。
以下の薬液供給装置300の説明においては、ドクターチャンバー形式の実施形態2の薬液供給装置100及び実施形態3の薬液供給装置200との相違点を中心に説明し、一致する構成には、同一の符号を付し、説明を省略する。
バルブ本体133iは、上記孔部133jの開口の上方に配設され、先端がテーパ状で上下動可能なニードル軸(図示省略)を備え、当該ニードル軸を上下動させて、孔部133jのオリフィスと接触する際の開度に応じて孔部133jの開口量を調整できるように構成されている。
つまり、内圧変動を抑えることで、内圧変動によりもたらされるドクターチャンバー130内からの薬液Lの噴出や、アニロックスロール151上の薬液Lのドクターチャンバー130側への吸込み等が好適に防止されるので、薬液Lの循環が促進される。
まず、供給ポンプ122を駆動させ、貯留タンク110より薬液Lを押出し、押出ホース121及びドクターチャンバー130の導入部132を介して本体部131の貯留部131aへ供給する。
次いで、回動部160を回動させてアニロックスロール151に貯留部131aの薬液Lを供給し、刷版ロール152を介して薬液Lを積層連続シートS2上に転写させる。
加えて、吸引ポンプ142を駆動させ、導出部333を介して貯留部131aの薬液Lの一部を貯留タンク110へ向けて排出して循環させる。上記循環の際、センサ133fにより、円筒状部133dに流入する薬液Lの高さが、センサ133fの設けられた高さ位置に達したと検知され、報知部133gにより使用者へその旨が報知された場合、調整弁123の操作又は調整部133hによる孔部133jの開口量の調整により対処することができる。
例えば、薬液供給装置100において、チューブ133cを設けない場合は、孔部133bの上部にエアーフィルタを設置し、孔部133bへの紙粉等の異物の混入を防止するように構成してもよい。また、孔部133bは、貯留部131aの薬液Lの液面より上方であれば、本体部131の側面に設けてもよい。
ここでは、フキレソ印刷方式における2ロール転写形式の一例を説明する。
図11及び図23に示すように一方のフキレソ印刷方式とされる薬液塗布部53Aは、薬液の入っている薬液タンク66Aにディップロールである絞りロール62Aが浸されつつ回転可能に設置されている。さらに、薬液タンク66A外において絞りロール62Aと接しつつアニロックスロール63Aが、回転可能に設置されており、また、このアニロックスロール63Aと接し且つ積層連続シートS2の一面とも接する刷版ロール64Aが回転可能に設置されていて、積層連続シートS2を挟んで対向している弾性ロール65Aとで積層連続シートS2に圧力を付与している。
そして、本実施の形態では、この薬液塗布部53Aが後述するコンタクトエンボス手段54のコロ54Aと対向し且つ、前述のワインディングドラム56Aとも対向する積層連続シートS2の面側に位置している。
そして、本実施の形態では、この薬液塗布部53Bがコロ54Aと非対向とされ且つ、前述のワインディングドラム56Aとも非対向となる積層連続シートS2の他の面側に位置している。
フキレソ印刷方式における1ロール転写形式とは、前述のフレキソ2ロール転写形式から絞りロール62A、62Bを省略したものである。この場合、アニロックスロール63A、63Bが、それぞれ薬液タンク66A、66Bに浸されつつ回転可能に設置される。また、これらのアニロックスロール63A、63Bに対しては、アニロックスロール63A、63B表面の薬液を掻き取るドクターブレード(図示せず)を設置しても良い。このようなフレキソ1ロール転写形式は、メンテナンスが比較的容易であるという利点や、ブレードの摩耗や薬液中の紙粉等の異物の混入状態を容易に目視できるという利点を有している。
ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1には、積層連続シートS2に対してコンタクトエンボスを付与するコンタクトエンボス手段54を設けることができる。
ここで、コンタクトエンボス手段54は、図13に示すように、金属ロール又は弾性ロールである受けロール54Bと表面に細かい凸部54Cを有する金属製で硬質のコロ54Aとが所定の圧力を有して相互に外周面同士を当接しつつ、それぞれ回転可能に設置されている。そして、積層連続シートS2におけるティシュペーパー製品の幅方向中央に該当する部分に対して、左右各2つずつ存在する凸部54Cと、受けロール54Bとの間で積層連続シートS2を挟みつつ搬送することで、積層連続シートS2に対して、積層連続シートS2の連続方向に沿って層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスCEを施すようになっている。
尚、このコンタクトエンボスCEを施すコロ54Aと対向した側の面を外周側として前述の巻取り手段56が、積層連続シートS2を巻取ることになる。
なお、コンタクトエンボス手段54の設置箇所は特に限定されないが、薬液付与手段53の後段であって且つスリット手段55の前段や、カレンダー手段52の後段であって且つ薬液付与手段53の前段とすることが考えられる。つまり、カレンダー手段52の後段であって且つスリット手段55の前段の何れかの箇所で有ればよいことになる。
さらに、接合する為の手段としては上記例に限定されず、凸部の先端形状が、点状、正方形、長方形、円形、楕円形等の形状のものをコロとして用いても良く、凸部の先端形状が、細長い線状、細く斜めに伸びる線状等のものをコロとして用いても良い。
他方、凸部の配列としては等間隔が考えられるが、千鳥状としたり、等間隔としなくとも良く、また、凸部を1列に配置してコンタクトエンボスを連続して付与する他に、凸部を2列以上の複数列配置することも考えられる。そして、コンタクトエンボスを緊密に複数列付与するように凸部が配置された群を複数並べて、複数のコンタクトエンボス群を付与するようにしても良い。尚、接合工程としては、上記のように機械的に圧力を加えて接合する他に、超音波等の他の手段により接合しても良い。
また、図19に示す形態のようにテンションコントロール手段57をもうける場合、第二次薬液塗布手段53の前段と、テンションコントロール手段57の後段とにカレンダー手段52を配置することも提案される。この場合、テンションコントロール手段57の後段に配置されたカレンダー手段52では、薬液塗布時には、カレンダーロール52Aを受けロール52Bから積層連続シートS2の紙厚以上の距離だけ離間させて、積層連続シートS2に対して平滑化処理を行なわず素通しさせることも提案される(第2のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備及び製造方法)。
一次連続シートS11、S12の原料パルプは、特に限定されず、ティシュペーパー製品の用途に応じて適宜の原料パルプを選択して使用することができる。原料パルプとしては、例えば、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
また、紙厚(尾崎製作所製ピーコックにより測定)は1プライで80〜250μm、好ましくは100〜200μm、より好ましくは130〜180μmとされる。
次に、本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法の一例を説明する。本形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法は、例えば、上述したティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1を用いて行うことができる。
図11に示すように、本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、プライ手段51で複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シート(図示例ではS11、S12)をその連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とし(積層工程)、この積層連続シートS2に対して一対の第二次薬液塗布手段53で薬液を塗布し(薬液塗布工程)、スリット手段55によって積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットし(スリット工程)、次に、スリット工程でスリットされた積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを、巻き取り手段56によって形成する。
薬液溜めトレイ70からディップロール71が一定量の薬液を取り上げ、ディップロール71のセルに残った薬液は、グラビアロール72に移される。次いで、グラビアロール72に移された薬液は、掻取ブレード73によって掻き取られながら、圧胴74をバックアップとする積層シートS2の表面に同時に移される。グラビアロール72の網点密度などは適宜選択できる。
上述のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備、製造方法で製造された二次原反ロールRは、マルチスタンド式インターフォルダに多数セットされ、セットされた二次原反ロールRから二次連続シートを繰り出して折り畳むと共に積層することによってティシュペーパー束が製造される。以下では、そのマルチスタンド式インターフォルダの一例について説明する。
ところで、前述したように、ティシュペーパー束30aを構成するティシュペーパーの紙の方向は、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となるため、図6(b)に示すように、ティシュペーパーTを収納箱Bから引き出す際には、その引き出し方向は、ティシュペーパーTの横方向(CD方向)と沿うようになっている。
〔第3のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備及び製造方法〕
図20に示すように、コンタクトエンボス手段54は、カレンダー手段52と第二次薬液塗布手段53との間に設置することもできる。このようなティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X3を用いてのティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法は次のようになる。
図20に示すように、本形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、プライ手段51で複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シート(図示例ではS11、S12)をその連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とし(積層工程)、この積層連続シートS2に対して一対のカレンダー手段52で平滑化処理し(平滑化工程)、平滑化処理された積層連続シートS2に対してコンタクトエンボス手段54でコンタクトエンボスを付与し(コンタクトエンボス工程)、コンタクトエンボスを付与された積層連続シートS2に対して一対の第二次薬液塗布手段53で薬液を塗布し(薬液塗布工程)、スリット手段55によって積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットし(スリット工程)、次に、スリット工程でスリットされた積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを、巻き取り手段56によって形成する。
なお、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X3で、薬液が塗布されないティシュペーパー製品を製造する場合、図20において二点鎖線で示すように、積層連続シートS2をコンタクトエンボス手段54からスリット手段55に直接移送し、第二次薬液塗布手段53を通さずに積層連続シートS2を流すだけで良い。
図21に示すように、薬液塗布工程53は、コンタクトエンボス手段54は、プライ手段51とカレンダー手段52との間に設置し、カレンダー手段52を一段として第二次薬液塗布手段53とコンタクトエンボス手段54との間に設置することもできる。このようなティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X4を用いてのティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法は次のようになる。
図21に示すように、本形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、プライ手段51で複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シート(図示例ではS11、S12)をその連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とし(積層工程)、この積層連続シートS2に対して上下方向に並設された一対の第二次薬液塗布手段53で薬液を塗布し(薬液塗布工程)、一対のカレンダー手段52で平滑化処理し(平滑化工程)、平滑化処理された積層連続シートS2に対してコンタクトエンボス手段54でコンタクトエンボスを付与し(コンタクトエンボス工程)、スリット手段55によって積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットし(スリット工程)、次に、スリット工程でスリットされた積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを、巻き取り手段56によって形成する。
なお、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X4で、薬液が塗布されないティシュペーパー製品を製造する場合、図21において二点鎖線で示すように、積層連続シートS2をカレンダー手段52からコンタクトエンボス手段54に移送し、第二次薬液塗布手段53を通さずに積層連続シートS2を流すだけで良い。
図22に示すように、一対のカレンダー手段52を上下方向に沿って配置し、且つ、一対の第二次薬液塗布手段53を上下方向に沿って配置することもできる。
このようなティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X5を用いてのティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法は次のようになる。
図22に示すように、本形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、プライ手段51で複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シート(図示例ではS11、S12)をその連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とし(積層工程)、この積層連続シートS2に対して一対のカレンダー手段52で平滑化処理し(平滑化工程)、積層連続シートS2に対して一対の第二次薬液塗布手段53で薬液を塗布し(薬液塗布工程)、積層連続シートS2に対してコンタクトエンボス手段54でコンタクトエンボスを付与し(コンタクトエンボス工程)、スリット手段55によって積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットし(スリット工程)、次に、スリット工程でスリットされた積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを、巻き取り手段56によって形成する。
なお、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X5で、薬液が塗布されないティシュペーパー製品を製造する場合、図22において二点鎖線で示すように、積層連続シートS2をカレンダー手段52からコンタクトエンボス手段54に直接移送し、第二次薬液塗布手段53を通さずに積層連続シートS2を流すだけで良い。
実施例1は、抄紙段階でローターダンプニング方式による第一次薬液噴霧を行い、プライマシンでフレキソ印刷方式による第二次薬液塗布を行なったものである。第一次薬液噴霧:1プライごと1.0g/m2とする、第二次薬液塗布:片側当たり1.0g/m2としたものである。したがって、2プライ合計での薬液付与量は4.0g/m2となる。
実施例2は、抄紙段階でローターダンプニング方式による第一次薬液噴霧を行い、プライマシンでフレキソ印刷方式による第二次薬液塗布を行なったものである。第一次薬液噴霧:1プライごと0.4g/m2とする、第二次薬液塗布:片側当たり1.6g/m2としたものである。したがって、2プライ合計での薬液付与量は4.0g/m2となる。
実施例3は、抄紙段階でローターダンプニング方式による第一次薬液噴霧を行い、プライマシンでフレキソ印刷方式による第二次薬液塗布を行なったものである。第一次薬液噴霧:1プライごと1.4g/m2とする、第二次薬液塗布:片側当たり0.4g/m2としたものである。したがって、2プライ合計での薬液付与量は4.0g/m2となる。
実施例4は、抄紙段階でノズル方式による第一次薬液噴霧を行い、プライマシンでフレキソ印刷方式による第二次薬液塗布を行なったものである。第一次薬液噴霧:1プライごと1.0g/m2とする、第二次薬液塗布:片側当たり1.0g/m2としたものである。したがって、2プライ合計での薬液付与量は4.0g/m2となる。
実施例5は、抄紙段階でローターダンプニング方式による第一次薬液噴霧を行い、プライマシンでグラビア印刷方式による第二次薬液塗布を行なったものである。第一次薬液噴霧:1プライごと1.0g/m2とする、第二次薬液塗布:片側当たり1.0g/m2としたものである。したがって、2プライ合計での薬液付与量は4.0g/m2となる。
比較例1は、抄紙段階で第一次薬液噴霧を行なわないで、プライマシンでフレキソ印刷方式による薬液塗布を行なったものである。塗布量は片側当たり2.0g/m2とし、2プライ合計での薬液付与量は4.0g/m2としたものである。
比較例2は、抄紙段階で第一次薬液噴霧を行なわないで、プライマシンでフレキソ印刷方式による第一次薬液塗布を、片側当たり1.0g/m2の塗布量(両面では2.0g/m2)で行なった後、続いてにフレキソ印刷方式による第二次薬液塗布を、片側当たり1.0g/m2の塗布量(両面では2.0g/m2)で行なった、二段階塗布方式によるものである。2プライ合計での薬液付与量は4.0g/m2としたものである。
原紙を構成するパルプは、NBKP30%、LBKP70%とした。また、クレープ率19%のものを使用した。各実施例及び各比較例については、同じ組成の薬液を、粘度が110mPa・s(40℃)となるように調製した。
参考例1は出願人が市販している非保湿系の汎用ティシュペーパー、参考例2は出願人が市販しているローションタイプのティシュペーパーであるが、参考例3及び参考例4は他社の市販品であるので、不明内容を含む。
米坪・・・JIS P 8124(1998)に準じて測定した。2プライのティシュー製品の場合、2プライのシートの平均米坪を記載した。
紙厚・・・JIS P 8111(1998)の条件下で、ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて測定されるものである(JIS P 8118(1998)に準じる)。
製品密度・・・製品の密度は、JIS P 8111 条件下において調湿させたティシュペーパー製品米坪を2倍した値(C)を、「PEACOCK G型」によるティシュペーパー(2プライ)での紙厚(D)で除した値で、単位をg/cm3、小数点3桁で表す。
乾燥引張強度・・・JIS P 8113(1998)の引張試験方法に準じて測定されるものである。
湿潤引張強度・・・JIS P 8135(1998)に準じて測定されるものである。
伸率・・・ミネベア株式会社製「万能引張圧縮試験機 TG−200N」を用いて測定されるものである。
ソフトネス・・・JIS L1096 E法に準じたハンドルオメータ法に基づいて測定されるものである。但し、試験片は100mm×100mmの大きさとし、クリアランスは5mmで実施した。1プライで縦方向、横方向の各々5回ずつ測定し、その全10回の平均値を小数点1桁とし、cN/100mmを単位として表した。
静摩擦係数・・・JIS P 8147(1998)に準じて次記の方法で測定されるものである。1プライにはがしたティシュペーパーを、紙の表が外側に来るようにアクリル板に張り付ける。2プライのまま100gのおもりにティシュペーパーを巻きつけ、アクリル板上のティシューに乗せる。アクリル板を傾け、おもりが滑り落ちる角度を測定する。角度測定は8回実施し、平均角度を算出し、そのタンジェント値を静摩擦係数とする。
MMD・・・静摩擦係数の平均偏差MMDである。MMDは滑らかさの指標の一つであり、数値が小さいほど滑らかであり、数値が大きいほど滑らかさに劣るとされる。なお、MMD値の測定方法としては、図23(a)に示すように、摩擦子212の接触面を所定方向(図23(a)における右斜め下方向)に20g/cmの張力が付与された測定試料であるティシュペーパー211の表面に対して25gの接触圧で接触させながら、張力が付与された方向と略同じ方向に速度0.1cm/sで2cm移動させる。このときの、摩擦係数を、摩擦感テスター KES−SE(カトーテック株式会社製)を用いて測定し、その摩擦係数を摩擦距離(移動距離=2cm)で除した値をMMD値とした。なお、摩擦子212は、直径0.5mmのピアノ線Pを20本隣接させてなり、長さ及び幅がともに10mmとなるように形成された接触面を有している。接触面には、先端が20本のピアノ線P(曲率半径0.25mm)で形成された単位膨出部が形成されている。なお、図23(a)には、摩擦子212を模式的に表し、図23(b)には、図23(a)における一点鎖線で囲まれた部分の拡大図を示すものとする。
水分率・・・JIS P 8111(1998)に準じて測定されるものである。
薬液含有量・・・薬液付与量とは、JIS P 8111の標準状態におけるティシュペーパーの単位面積に対し含まれる乾燥状態(絶乾)の薬液成分の含有量を示し、具体的には、付与した薬液中の水分以外の成分の含有量を示すものとする。このティシュペーパーの単位面積とは、プライされたシートを平面に垂直線上にある視点から見た面積であり、プライされた各シート、およびその表裏面の合計面積を意味しない。
薬液含有率・・・薬液付与率とは、JIS P 8111 条件下において調湿させた所定質量のティシュペーパー製品を分母(A)(g)とし、所定質量のティシュペーパー製品中に含まれる薬液中の水分を除いた質量(B)(g)を分子として、(B)を(A)で除した比率を(%)で表す。(薬液含有率%)=(B)÷(A)×100(%)
官能評価・・・実施例1〜5、比較例1、2及び参考例1〜4について、消費者87人を対象に、やわらかさ、なめらかさ、厚み感、しっとり感について下記の基準に基づく官能評価を行った。
なお、評価基準は、薬液が付与されていない非保湿系の汎用ティシュペーパー(比較例1)の成績をすべて「3」とし、「大変優れている」と感じたものについては「5」、「優れている」と感じたものについては「4」、「基準と同等」と感じたものについては「3」、「劣る」と感じたものについては「2」、「顕著に劣る」と感じたものについては「1」とした。さらに、薬液付与ティシュペーパーについては、ベタつき感の有無についても評価を行い、評価基準は、「ベタつき感が少ない」ものを「○」とし、「明らかにベタつき感がある」ものを「×」とした。
さらに、官能評価のばらつきとは、各官能評価が幅方向及び流れ方向で安定しているか否かを、シートの幅方向及び流れ方向において、前記消費者87人に供したサンプルの採取位置との相関で調べたものである。評価は、比較例1における各官能評価の幅方向及び流れ方向での安定性を基準にし、比較例1の場合を「1」、優れているを「2」、顕著に優れているを「3」としたものである。
また、結果を表中に記載をしていないが、実施例1〜実施例5のいずれにおいても、製造現場において、比較例2のフレキソ方式の二段塗布と比較して、紙粉の発生がきわめて少なく、安定した製造が可能であることが判った。また、実施例と比較例1との比較においては、実施例の方が、官能評価のばらつきが少ないことが判る。比較例2のフレキソ方式の二段塗布においても官能評価のばらつきが少ない。実施例と比較例2のフレキソ方式の二段塗布との比較では、「厚み感」において高い評価となる。なお、実施例1〜5内において比較すると、第一次薬液噴霧手段及び第二次薬液塗布手段での付与量は、0.5〜1.5g/m2とするのが望ましいことが判る。
〔発明1〕
紙料を抄造し湿紙とし、この湿紙を脱水し、脱水された湿紙を、ヤンキードライヤーにおいて乾燥した後にドクターブレードで前記ヤンキードライヤーから剥がして乾紙とし、これを巻取り装置により巻き取り一次原反ロールを得、この一次原反ロールから連続的にティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールを製造するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造装置であって、
前記ヤンキードライヤーと前記一次原反ロールの巻取り装置との間において、前記乾紙に対して薬液を噴霧状態で付与する第一次薬液噴霧手段と、
前記一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層手段と、
前記積層連続シートに対して薬液をフレキソ印刷方式又はグラビア印刷方式によって塗布する第二次薬液塗布手段と、
前記積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット手段と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する二次原反ロール巻取り手段と、を有することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造装置。
一次原反ロールの軸と乾紙を案内するワインディングドラムとの間に乾紙を案内しながら、前記ヤンキードライヤーの反ドライヤー面が前記軸側に対向するように前記一次原反ロールの巻き取りを行なう巻取り装置を有し、前記第一次薬液噴霧手段による薬液の付与を、前記ヤンキードライヤーの反ドライヤー面のみに行なうものである発明1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造装置。
前記第二次薬液塗布手段が、前記積層手段の後であって、且つ、前記スリット手段の前に行われる、発明1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造装置。
前記積層手段と前記薬液噴霧手段との間に、カレンダーにて平滑化処理する平滑化手段を有する、発明3に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造装置。
前記薬液噴霧手段と前記スリット手段との間に、前記積層連続シートに対して層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス手段を有する、発明3に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造装置。
前記薬液の付与がノズル式噴霧方式によるものである、発明1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造装置。
前記薬液の付与がローターダンプニング噴霧方式によるものである、発明1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造装置。
前記発明のいずれか1項の発明によって得られた前記二次原反ロールを多数用意し、これらをマルチスタンド式インターフォルダにおいてライン方向に沿って配置し、各二次原反ロールから繰り出される複数の二次連続シートをその連続方向に沿って移送すると共に、その移送過程で折畳みながら積み重ね、その後、所定枚数の積層シートを所定長さ切断してティシュペーパー束とし、この積層を収納箱内に収納することを特徴とするティシュペーパー製品の製造装置。
52・・・カレンダー手段(平滑化工程)
53・・・第二次薬液塗布手段(薬液塗布工程)
54・・・コンタクトエンボス手段(コンタクトエンボス工程)
55・・・スリット手段(スリット工程)
56・・・第2巻取り手段(二次原反ロール巻取り工程)
115・・・ヤンキードライヤー(乾燥工程)
119・・・第1巻取り手段(第1巻取り工程)
153・・・薬液噴霧手段(薬液噴霧工程)
190・・・搾水手段(搾水工程)
W・・・湿紙
S1・・・乾紙
S11、S12・・・一次連続シート
S2・・・積層連続シート
JR・・・一次原反ロール
R・・・二次原反ロール
Claims (8)
- 紙料を抄造し湿紙とし、この湿紙を脱水し、脱水された湿紙を、ヤンキードライヤーにおいて乾燥した後にドクターブレードで前記ヤンキードライヤーから剥がして乾紙とし、これを巻取り装置により巻き取り一次原反ロールを得、この一次原反ロールから連続的にティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールを製造するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法であって、
前記ヤンキードライヤーと前記一次原反ロールの巻取り装置との間において、前記乾紙に対して薬液を噴霧状態で付与する第一次薬液噴霧工程と、
前記一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
前記積層連続シートに対して薬液をフレキソ印刷方式又はグラビア印刷方式によって塗布する第二次薬液塗布工程と、
前記積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する二次原反ロール巻取り工程と、を有することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。 - 一次原反ロールの軸と乾紙を案内するワインディングドラムとの間に乾紙を案内しながら、前記ヤンキードライヤーの反ドライヤー面が前記軸側に対向するように前記一次原反ロールの巻き取りを行なう巻取り装置を有し、前記第一次薬液噴霧工程による薬液の付与を、前記ヤンキードライヤーの反ドライヤー面のみに行なうものである請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
- 前記第二次薬液塗布工程が、前記積層工程の後であって、且つ、前記スリット工程の前に行われる、請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
- 前記積層工程と前記薬液噴霧工程との間に、カレンダーにて平滑化処理する平滑化工程を有する、請求項3に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
- 前記薬液噴霧工程と前記スリット工程との間に、前記積層連続シートに対して層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス工程を有する、請求項3に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
- 前記薬液の付与がノズル式噴霧方式によるものである、請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
- 前記薬液の付与がローターダンプニング噴霧方式によるものである、請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
- 前記請求項のいずれか1項の請求項によって得られた前記二次原反ロールを多数用意し、これらをマルチスタンド式インターフォルダにおいてライン方向に沿って配置し、各二次原反ロールから繰り出される複数の二次連続シートをその連続方向に沿って移送すると共に、その移送過程で折畳みながら積み重ね、その後、所定枚数の積層シートを所定長さ切断してティシュペーパー束とし、この積層を収納箱内に収納することを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
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