JP2011201220A - インクジェット式記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易且つ安価にワイピング動作の際のノズル抜け誘発を抑制することができるインクジェット式記録装置を提供する。
【解決手段】複数のノズルの開口端が配列されたノズル面を有して該ノズルから記録媒体に水性インクを噴射するインクジェットヘッドと、上記ノズル面とワイプ部材とを当接させて上記ノズル面を払拭するワイピング動作を実行するワイピング装置と、を備え、上記水性インクに、オレイン酸、及び、該オレイン酸を乳化して水中に分散させる分散剤、が添加されている、インクジェット式記録装置を採用する。
【選択図】図4

Description

本発明は、インクジェット式記録装置に関する。
インクジェット式記録装置では、良好な噴射特性を維持または回復させるため、インクジェットヘッド(以下、記録ヘッドと称する場合がある)のメンテナンス処理を定期的に行っている。
このメンテナンス処理としては、例えば、記録ヘッドのノズル面を払拭(ワイピング)することでノズル近傍に付着したインクやゴミ、紙塵等を除去したり、ノズルのメニスカスを破壊してメニスカスを再調整させるパージ処理を行うワイピング動作がある。
特許文献1には、長期に亘り安定したワイピング性能を維持するべく、撥水処理をしたワイプ部材が開示されている。
特許文献2には、記録ヘッドのノズル周囲のフェイス(ノズル面)の撥水性の劣化対策として、該フェイスのみを払拭するワイプ部材に撥水性のグリセリンを塗布できるようなメカ構造が開示されている。
特開2006−159730号公報 特開2007−160549号公報
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
特許文献1では、ワイプ部材に撥水処理をしても長期使用の結果、撥水性が劣化し、ワイプ部材にインクが付着して、それが増粘、固化して堆積してしまう場合があり、ワイピング動作の際にノズルからインクを引き出して、所謂ノズル抜けを誘発させてしまう虞がある。
また、特許文献2では、ワイプ部材に撥水性のグリセリンを塗布するメカ構造を別途設けなければならず、コストや設置スペースの面、ワイピング動作の効率化の面で問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、簡易且つ安価にワイピング動作の際のノズル抜け誘発を抑制することができるインクジェット式記録装置を提供することを目的としている。
上記の課題を解決するために、本発明は、複数のノズルの開口端が配列されたノズル面を有して該ノズルから記録媒体に水性インクを噴射するインクジェットヘッドと、上記ノズル面とワイプ部材とを当接させて上記ノズル面を払拭するワイピング動作を実行するワイピング装置と、を備え、上記水性インクに、オレイン酸、及び、該オレイン酸を乳化して水中に分散させる分散剤、が添加されている、インクジェット式記録装置を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、水に難溶のオレイン酸を、分散剤を用いて乳化し、水性インクの溶媒中(水中)に分散させる。インク中に分散したオレイン酸は、インク水分が蒸発すると単分子膜に近い液体油膜として析出して、ワイプ部材の表面もしくはワイプ部材に付着しているインク表面に残りやすい。オレイン酸は、親油性かつ撥水性であるため、ノズル面をワイピングした時にノズル内部のノズル近傍にあるインクを引き出すことはないため、ノズル抜けが誘発され難くなる。
さらに、分散剤を用いることで、オレイン酸の水性インク中における分散安定化の作用がある。オレイン酸は、水中での溶解性や分散安定性が低く、例えば植物油を用いたドレッシングのように分離しやすい。このため、オレイン酸を添加したインクの消費期限は、数分〜数ヶ月程度と短くなってしまう。そこで、分散剤を用いて、オレイン酸を乳化して水中に安定して分散させることで、インク消費期限を長く延ばすことができる。
また、本発明においては、上記分散剤は、オレイン酸カリウム、または、オレイン酸ナトリウム、または、エタノールであるという構成を採用する。
オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、エタノールは、オレイン酸とも水とも溶解に関して相性がいいので、分散剤としてオレイン酸を乳化して水中に安定して分散させることができ、インク消費期限を長く延ばすことができる。
また、本発明においては、上記水性インクに、上記オレイン酸が0.05wt%以上3.00wt%以下、上記分散剤が0.05wt%以上3.00wt%以下、添加されているという構成を採用する。
オレイン酸は、0.05wt%未満だと、ノズル抜け誘発の十分な抑制作用が発現し難くなる。一方、オレイン酸は、3.00wt%を超えると、分散安定性が低下し、ノズル抜け誘発の抑制作用に悪影響を及ぼす。
上記分散剤は、0.05wt%未満だと、オレイン酸の分散安定性が低下し、ノズル抜け誘発の抑制作用に悪影響を及ぼす。一方、上記分散剤は、3.00wt%を超えると、オレイン酸の油膜が安定せずに、ノズル抜け誘発の十分な抑制作用が発現し難くなる。
また、本発明においては、上記ノズル面は、上記ノズルが所定方向に配列されたノズル列を複数有しており、上記ノズル列のうち少なくともいずれか一列から噴射される上記水性インクに、上記オレイン酸及び分散剤、が添加されているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、オレイン酸が分散した水性インクを噴射するノズル列がノズル面に少なくとも一列あれば、ワイピング動作の度にワイプ部材が当該インクに触れて撥水性が付与されるため、他のノズル列からのノズル抜けの誘発を抑制することができる。
また、本発明においては、上記ノズル面は、上記ノズルが所定方向に配列されたノズル列を複数有しており、上記ワイピング動作の際に上記ワイプ部材が当接する最先の上記ノズル列から噴射される上記水性インクに、上記オレイン酸及び分散剤、が添加されているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、ワイピング動作をする際、ワイプ部材が、オレイン酸が分散した水性インクを噴射するノズル列と最先に触れて撥水性が付与されるため、後に触れる他のノズル列からのノズル抜けの誘発を抑制することができる。
また、本発明においては、上記ノズル面は、上記ノズルが所定方向に配列されたノズル列を、色調の異なるインク種毎に複数有しており、ブラックの色調に対応する上記ノズル列から噴射される上記水性インクに、上記オレイン酸及び分散剤、が添加されているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、ブラックの色調の水性インクは使用頻度が高いためミストとなって他の色調のインクよりもノズル面に付着しやすいが、当該インクにオレイン酸が分散して添加されているので、ワイピング動作の度にワイプ部材に撥水性が付与されやすく、また、ノズル面にも撥水性が付与されやすくなる。
本発明の実施形態におけるプリンターの構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態における記録ヘッドに設けられたノズルの配列を示す図である。 本発明の実施形態における記録ヘッドの内部構成を示す部分断面図である。 本発明の実施形態におけるワイピング動作の際のノズル面の様子を示す図である。
以下、本発明に係るインクジェット式記録装置の各実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。本実施形態では、本発明に係るインクジェット式記録装置として、インクジェット式プリンター(以下、プリンターと称する)を例示する。
図1は、本発明の実施形態におけるプリンター1の構成を示す斜視図である。
同図に示すように、プリンター1は、記録ヘッド(インクジェットヘッド)2を搭載すると共にインクカートリッジ3を着脱可能に装着するキャリッジ4と、記録ヘッド2の下方に配設され記録紙(記録媒体)6が搬送されるプラテン5と、キャリッジ4を記録紙6の紙幅方向に移動させるキャリッジ移動機構7と、記録紙6を紙送り方向に搬送する紙送り機構8とを有する構成となっている。加えて、プリンター1は、当該プリンター1全体の動作を制御する制御装置CONTを有している。なお、上記紙幅方向とは、主走査方向(ヘッド走査方向)である。上記紙送り方向とは、副走査方向(主走査方向に直交する方向)である。
インクカートリッジ3としては、本実施形態のようにキャリッジ4に装着するものには限らず、プリンター1の筐体側に装着してインク供給チューブを介して記録ヘッド2に供給するタイプのものを採用してもよい。インクカートリッジ3は、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)などの異なる色のインクが収容されている。
ガイドロッド9は、主走査方向に架設された支持部材である。キャリッジ4は、このガイドロッド9に支持された状態で取り付けられている。このキャリッジ4は、キャリッジ移動機構7によりガイドロッド9に沿って主走査方向に移動するようになっている。リニアエンコーダ10は、キャリッジ4の主走査方向上の位置を検出する。この検出信号は、位置情報として制御装置CONTに送信されるようになっている。制御装置CONTは、このリニアエンコーダ10からの位置情報に基づいて記録ヘッド2の走査位置を認識し、記録ヘッド2による記録動作(吐出動作)等を制御するようになっている。また、制御装置CONTは、キャリッジ4の移動速度を可変制御可能な構成となっている。
図2は、本発明の実施形態における記録ヘッド2に設けられたノズル17の配列を示す図である。
同図に示すように、記録ヘッド2は、インクを噴射する複数のノズル17が設けられたノズル面(ノズル形成面)21Aを有する。ノズル面21Aには、複数のノズル17が副走査方向に配列されたノズル列16が複数形成されている。各ノズル列16においては、例えば異なる色のインクを吐出可能になっている。本実施形態ではインクの色に対応して2列づつ(16(K),16(M),16(C),16(Y))が計8列設けられている。1つのノズル列16は、例えば、180個のノズル17によって構成されている。
図3は、本発明の実施形態における記録ヘッド2の内部構成を示す部分断面図である。
同図に示すように、記録ヘッド2は、ヘッド本体18と、ヘッド本体18に接続された流路形成ユニット22とを備えている。流路形成ユニット22は、振動板19と、流路基板20と、ノズル基板21とを備えると共に、共通インク室29と、インク供給口30と、圧力室31とを形成する。さらに、流路形成ユニット22は、ダイヤフラム部として機能する島部32と、共通インク室29内の圧力変動を吸収するコンプライアンス部33とを備える。ヘッド本体18には、固定部材26と共に駆動ユニット24を収容する収容空間23と、インクを流路形成ユニット22に案内する内部流路28とが形成される。
上記構成のピエゾ式の記録ヘッド2によれば、ケーブル27を介して駆動ユニット24に駆動信号が入力されると、圧電素子25が伸縮する。これにより、振動板19がキャビティに接近する方向及び離れる方向に変形(移動)する。このため、圧力室31の容積が変化し、インクを収容した圧力室31の圧力が変動する。この圧力の変動によって、ノズル17から、インクが噴射される。
図1に戻り、記録ヘッド2の移動範囲のうちプラテン5の外側の領域には、記録ヘッド2の走査起点となるホームポジションが設定されている。このホームポジションには、メンテナンスユニット(ワイピング装置)11が設けられている。メンテナンスユニット11は、印字動作以外で記録ヘッド2をキャップ部材12でキャッピングしてインクの蒸発を抑制する保湿動作と、記録ヘッド2の各ノズル17からインクをキャップ部材12に予備噴射させることで増粘インクによるノズル17の目詰まり防止やノズル17のメニスカスを調整して記録ヘッド2から正常にインクを噴射させるフラッシング動作と、キャップ部材12で記録ヘッド2をキャッピングした後に不図示の吸引ポンプを駆動させて各ノズル17から粘性が高くなったインクや付着したゴミ等を強制吸引してメニスカスを調整し、記録ヘッド2から正常にインクを噴射させる吸引動作(ヘッドクリーニング)と、記録ヘッド2のノズル面21Aをワイパーブレード(ワイプ部材)13で払拭(ワイピング)することでノズル17近傍に付着したインクや増粘したインク等を除去したり、ノズル17のメニスカスを破壊してメニスカスを再調整させるパージ処理を行うワイピング動作と、を実行する構成となっている。
続いて、記録ヘッド2から噴射するインクについて説明する。
本実施形態のインクは、超浸透性水性インクに関するものである。なお、超浸透性水性インクとしては、顔料インクや染料インクだけでなく、色素、金属微粒子、セラミック微粒子、半導体微粒子、樹脂のような機能性水性インクであってもよい。ここで、インクの超浸透とは、その表面張力がセルロース(紙)の臨界表面張力よりも低いことを指す。
また、この水性インクには、各種添加物が含まれていても良い。例えば、界面活性剤、保湿剤、PH調整剤、顔料、染料、色素、金属微粒子、セラミック微粒子、半導体微粒子、樹脂、有機溶剤、金属イオン、カール抑制剤、ブリード抑制剤、パドリング抑制剤、浸透調整剤、防腐剤、防カビ剤、溶解助剤、酸化防止剤、などが、用途に応じて複数種含まれていることが好まれる。
本実施形態のインクは、この水性インクに、オレイン酸、及び、分散剤を添加している。
本実施形態のインクに用いられるオレイン酸は、セルロース(紙)の臨界表面張力よりも表面張力が低く、HLB=1の親油性で、撥水性を有する。セルロースの20℃における臨界表面張力は、40〜45mN/mであり、オレイン酸の20℃における表面張力は、35mN/mである。オレイン酸は、常温で液体であり、析出しても固化しない。
本実施形態のインクに用いられるオレイン酸に似た特性を有する脂肪酸としては、リノール酸やリノレイン酸、などがある。オレイン酸は、その酸化安定性から他の脂肪酸よりも好ましく、オレイン酸は精製されたものであっても、オレイン酸を主成分とするオリーブ油のような植物油であっても良い。
本実施形態の分散剤には、HLB>12の親水性のオレイン酸カリウムまたはオレイン酸ナトリウムを用いることができる。
親油性のオレイン酸だけでは、水にも水性インクにも安定して分散することは困難であるが、親水性のオレイン酸カリウム又はオレイン酸ナトリウムと同時に添加すると、親油性のオレイン酸を乳化させての安定分散が可能になり、オレイン酸の添加量を大幅に増加することができる。
また、本実施形態の分散剤には、エタノールを用いることができる。
親油性のオレイン酸だけでは、水にも水性インクにも安定して分散することは困難であるが、オレイン酸とも水とも溶解に関して相性のいいエタノールと同時に添加すると、親油性のオレイン酸を乳化させての安定分散が可能になり、オレイン酸の添加量を大幅に増加することができる。
本実施形態のインクに用いられるエタノールに似た特性を有するアルコールの種類としては、メタノール、エタノール、プロパノール等が上げられる。エタノールは、融点が78℃と取扱いも容易であり、オレイン酸の溶解性に優れるため、他のアルコールよりも好ましい。
本実施形態のインクは、上記関係を満足していれば、オレイン酸と分散剤をインク製造の最初から添加しても良いし、従来から用いられている超浸透性の水性染料インクや水性顔料インクや機能性水性インクに、上記関係を有するオレイン酸と分散剤を後添加したものであっても良い。むしろ後添加の方が、インク全体のバランスを崩したり、再設計する必要がなく、高速印字時のサテライトを容易に低減することができるため好ましい。
本実施形態のプリンター1は、オレイン酸を含むインクを用いるため、熱によるオレイン酸の酸化の懸念が少ないピエゾ式のインクジェットヘッドを用いることが好まれる。なお、オレイン酸の添加量が少なければサーマル式のインクジェットヘッドを用いても良いが、オレイン酸の酸化によるノズル詰りの懸念の少ないピエソ式であることがより好まれる。
続いて、図4を参照して、上記構成のプリンター1のワイピング動作の際のノズル抜け誘発抑制に係る作用及び効果について説明する。
図4は、本発明の実施形態におけるワイピング動作の際のノズル面21Aの様子を示す図である。
本実施形態のインクは、水性インクに、水に難溶のオレイン酸を、分散剤を用いて乳化し、水性インクの溶媒中(水中)に分散させたものである。インク中に分散したオレイン酸は、インク水分が蒸発すると単分子膜に近い液体油膜として析出して、ワイパーブレード13の表面もしくはワイパーブレード13に付着しているインク表面に残りやすい。オレイン酸は、親油性かつ撥水性であるため、ノズル面21Aをワイピングした時にノズル17内部のノズル近傍にあるインクを引き出すことはないため、ノズル抜けが誘発され難くなる。すなわち、本実施形態によれば、ワイピング動作の度に、ワイパーブレード13がオレイン酸と触れることで撥水性が付与されるため、インクの堆積によるワイパーブレード13の撥水性の劣化を抑制することができる。また、このワイパーブレード13がノズル面21Aを払拭することで、ノズル面21Aに油膜を転写して撥水性を付与することもできる。
なお、上記ノズル抜け誘発抑制の作用を発現させるためには、全てのノズル列16のインクにオレイン酸及び分散剤を添加する必要はなく、少なくとも一列のインクにオレイン酸及び分散剤を添加していれば良い。
例えば、ワイピング動作の際にワイパーブレード13が当接する最先のノズル列16(本実施形態ではノズル列16(Y))から噴射される水性インクに、オレイン酸及び分散剤、が添加されていれば、ワイピング動作をする際、ワイパーブレード13が、オレイン酸が分散した水性インクを噴射するノズル列16(Y)と最先に触れて撥水性が付与されるため、後に触れる他のノズル列16からのノズル抜けの誘発を抑制することができる。
また、例えば、ブラックの色調に対応するノズル列16(K)から噴射される水性インクに、オレイン酸及び分散剤、が添加されていれば、ブラックの色調の水性インクは使用頻度が高いためミストとなって他の色調のインクよりもノズル面21Aに付着しやすいが、当該インクにオレイン酸が分散して添加されているので、ワイピング動作の度にワイパーブレード13に撥水性が付与されやすく、また、ノズル面21Aにも撥水性が付与されやすくなる。
なお、ワイパーブレード13に積極的に撥水処理をするべく、ワイパーブレード13に向けて定期的にオレイン酸及び分散剤が添加されているインクを噴射してもよい。
本実施形態では、20℃においてセルロースの臨界表面張力より表面張力が低いオレイン酸を用いている。このため、インク表面が、オレイン酸が析出した油膜で覆われても、吐出インクの1発目は、当該油膜を伴って吐出されるが、記録紙6への着弾後は、インク滴の表面に析出したオレイン酸が、速やかにセルロースへ浸透する。このため、記録紙6に着弾後は、インク全体の表面張力が支配的になり、インクの超浸透性を維持でき、インクの速乾性を維持できる。なお、吐出インクの2発目以降は油膜が形成されていないため、インクの浸透と蒸発を抑制することはない。
以上のように、本実施形態のプリンター1によれば、簡易且つ安価にワイピング動作の際のノズル抜け誘発を抑制することが可能となる。
[実施例]
以下、実施例により本発明の効果をより明らかにする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(顔料インクの製造方法)
インクは、文献(酒井真理、“ピエゾ方式インクジェットプリンティング技術とPXインク” 中部化学関係学協会支部連合秋季大会講演予稿集 p75、34、(2008))に記載されている、公知のEPSON製のPXインクを用いて改良を行った。
なお、PXインクについては、文献((社)色材協会、金谷美春、他 “印刷インキ講座” p.51 (社)色材協会 (2007))にも記載がある。
オレイン酸とオレイン酸カリウムと純水を、2:3:5の比率で攪拌および超音波混合し、オレイン酸分散液を作製した。作製した分散液を、EPSON製プリンターPX−B500に用いられているブラックの水性顔料インクに、2wt%添加し、攪拌および超音波分散を行った。なお、添加液に純水を加えているのは、インク添加前に水中でのオレイン酸の安定ミセル構造を形成させ、インク中でのオレイン酸の分散安定性を向上させるためである。
PX−B500のインク(以下、通常PXインクと称する場合がある)の表面張力は27mN/mであり、作製したインク(以下、改良PXインクと称する場合がある)の表面張力は28mN/mであった。
(ノズル抜け誘発の確認方法)
作製したインクを、EPSON製プリンターPX−B500のブラック色のインクカートリッジに入れ、印字可能状態にした。EPSON製プリンターPX−B500で、ワイピング動作のみをできるように改造した。
PX−B500に搭載されているヘッドクリーニングを行い、ノズル抜けチェックパターンでノズル抜け本数がゼロ本であることを確認した後、プリンターを1時間放置し、ワイピング動作を行いワイピング後のノズル抜け誘発本数を確認した。ノズル抜けは確率的な現象であるため、全て3回実験した平均の値を用いた。
表1は、インク組成と、オレイン酸入りインクを噴射するノズル列(符号○で示す)と、ワイピング後のノズル抜け誘発本数との関係を示す。
実施例1では、上記インク製造方法の手順に従って製造した改良PXインクについて、上記確認方法に従ってノズル抜け誘発本数を確認した。
実施例2〜4では、上記インク製造方法の手順に従って製造した改良PXインク(マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y))を一色ずつ対応するインクカートリッジに入れて、実施例1に従いノズル抜け誘発本数を確認した。
実施例5では、上記インク製造方法の手順に従って製造した改良PXインク(ブラック(K)、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y))を全色、対応するインクカートリッジに入れて、実施例1に従いノズル抜け誘発本数を確認した。
比較例1〜4では、インク組成を表1のように変更し、このインク製造方法の手順は、実施例1のインク製造方法の手順に従い、インクを作製した。ノズル抜け誘発本数は、実施例1と同じ確認方法を用いて確認した。なお、比較例2は、比較例1に用いたインクを1ヶ月放置したものを用いて、実施例1に従いノズル抜け誘発本数を確認した。
比較例5では、通常PXインクを用いて、実施例1に従いノズル抜け誘発本数を確認した。
Figure 2011201220
表1によれば、オレイン酸とオレイン酸カリウムはセットでノズル抜け誘発抑制の効果を発現することが分かる。また、表1によれば、ワイパーブレードが最初に当接するY色にオレイン酸があると、すべてのノズルでノズル抜け誘発本数がゼロ本となって、高いノズル抜け誘発抑制の効果があることが分かる。また、表1によれば、使用頻度が高くノズル抜けし易いK色にオレイン酸があると、すべてのノズルでノズル抜け誘発本数がゼロ本となって、高いノズル抜け誘発抑制の効果があることが分かる。また、表1によれば、添加するものがオレイン酸のみの場合、短期では比較例1のようにノズル抜け誘発抑制の効果があるが、分散安定性がないため比較例2のように1ヶ月放置するとノズル抜け誘発抑制の効果が無くなることが分かる。また、表1によれば、添加するものがオレイン酸カリウムだけでは、ノズル抜け誘発抑制の効果が無いことが分かる。
表2は、インク組成と、オレイン酸入りインクを噴射するノズル列(符号○で示す)と、ワイピング後のノズル抜け誘発本数との関係を示す。
実施例6〜10では、分散剤をオレイン酸カリウムからエタノールに換えて、上記インク製造方法の手順に従って改良PXインクを製造し、実施例1〜5と同様に実験を行った。ノズル抜け誘発本数は、実施例1と同じ確認方法を用いて確認した。
比較例6では、オレイン酸なしでエタノールと純水を添加し、実施例1と同様に実験を行った。ノズル抜け誘発本数は、実施例1と同じ確認方法を用いて確認した。
Figure 2011201220
表2によれば、オレイン酸の分散剤としてエタノール用いても、ノズル抜け誘発抑制の効果が発現することが分かる。また、表2によれば、オレイン酸のないエタノール添加の比較例6の場合、エタノールによりインク乾燥が促進され、ノズル抜け誘発本数が大幅に悪化することが分かる。
表3は、インク組成と、オレイン酸入りインクを噴射するノズル列(符号○で示す)と、ワイピング後のノズル抜け誘発本数との関係を示す。
比較例7〜14、実施例11〜20では、オレイン酸とオレイン酸カリウムの添加比率を変えて改良PXインクを作製し、実施例1に従いノズル抜け誘発本数を確認した。
Figure 2011201220
表3によれば、オレイン酸が0.05wt%未満だと、ノズル抜け誘発抑制の効果が発現し難くなることが分かる。また、表3によれば、オレイン酸が3wt%を超えると、分散安定性が低下し、ノズル抜け誘発抑制の効果に悪影響を及ぼすことが分かる。
表4は、インク組成と、オレイン酸入りインクを噴射するノズル列(符号○で示す)と、ワイピング後のノズル抜け誘発本数との関係を示す。
比較例15〜22、実施例21〜30では、オレイン酸とエタノールの添加比率を変えて改良PXインクを作製し、実施例1に従いノズル抜け誘発本数を確認した。
Figure 2011201220
表4によれば、分散剤をエタノールに換えても、オレイン酸が0.05wt%未満だと、ノズル抜け誘発抑制の効果が発現し難くなることが分かる。また、表4によれば、分散剤をエタノールに換えても、オレイン酸が3wt%を超えると、分散安定性が低下し、ノズル抜け誘発抑制の効果に悪影響を及ぼすことが分かる。また、表4によれば、オレイン酸が少なくエタノールが多くなると、インク乾燥が促進され、ノズル抜け誘発本数が大幅に悪化することが分かる。
表5は、インク組成と、オレイン酸入りインクを噴射するノズル列(符号○で示す)と、ワイピング後のノズル抜け誘発本数との関係を示す。
比較例23〜30、実施例31〜40では、オレイン酸とオレイン酸カリウムの添加比率を変えて改良PXインクを作製し、実施例1に従いノズル抜け誘発本数を確認した。
Figure 2011201220
表5によれば、オレイン酸カリウムが0.05wt%未満だと、オレイン酸の分散安定性が低下し、ノズル抜け誘発抑制の効果に悪影響を及ぼすことが分かる。また、表5によれば、オレイン酸カリウムが3wt%を超えると、オレイン酸が溶解して油膜が安定せずに、ノズル抜け誘発抑制の効果が発現し難くなることが分かる。
表6は、インク組成と、オレイン酸入りインクを噴射するノズル列(符号○で示す)と、ワイピング後のノズル抜け誘発本数との関係を示す。
比較例31〜38、実施例41〜50では、オレイン酸とエタノールの添加比率を変えて改良PXインクを作製し、実施例1に従いノズル抜け誘発本数を確認した。
Figure 2011201220
表6によれば、エタノールが0.05wt%未満だと、オレイン酸の分散安定性が低下し、ノズル抜け誘発抑制の効果に悪影響を及ぼすことが分かる。また、表6によれば、エタノールが3wt%を超えると、オレイン酸が溶解してオレイン酸の油膜が安定せずに、ノズル抜け誘発抑制の効果が発現し難くなることが分かる。
表7は、インク組成と、オレイン酸入りインクを噴射するノズル列(符号○で示す)と、ワイピング後のノズル抜け誘発本数との関係を示す。
実施例51では、PXインクを、EPSON製プリンターEP−802Aに用いられている水性染料インクに変更した。
(染料インクの製造方法)
オレイン酸とオレイン酸カリウムと純水を、2:3:5の比率で攪拌および超音波混合し、オレイン酸分散液を作製した。作製した分散液を、EPSON製プリンターEP−802Aに用いられている水性染料インクに、2wt%添加し、攪拌および超音波分散を行った。
実施例51では、上記作製したインクを、上記の改造したEPSON製プリンターPX−B500のインクカートリッジに入れ、ノズル抜け誘発本数は、実施例1と同じ確認方法を用いて確認した。
比較例39では、EPSON製プリンターEP−802Aに用いられている水性染料インクを上記の改造したEPSON製プリンターPX−B500のインクカートリッジに入れ、ノズル抜け誘発本数は、実施例1と同じ確認方法を用いて確認した。
Figure 2011201220
表7によれば、染料水性インクにおいても、ノズル抜け誘発抑制の効果が発現することが分かる。
表8は、インク組成と、オレイン酸入りインクを噴射するノズル列(符号○で示す)と、ワイピング後のノズル抜け誘発本数との関係を示す。
実施例52、53では、オレイン酸カリウムを、オレイン酸ナトリウム、エタノールに変更し、ノズル抜け誘発本数は、実施例1と同じ確認方法を用いて確認した。
比較例40〜47では、分散剤としてオレイン酸カリウム、エタノールを用い、オレイン酸を、オレイン酸ナトリウム、オレイルアルコール、オレイン酸エチル、ソルビタントリオレエートに変更し、ノズル抜け誘発本数は、実施例1と同じ確認方法を用いて確認した。
Figure 2011201220
表8によれば、オレイン酸とオレイン酸カリウム、オレイン酸とオレイン酸ナトリウム、オレイン酸とエタノール、の組合せで最も効果があることが分かる。
以上のことから、水性インクにオレイン酸と分散剤との同時添加には、次のような相乗効果がある。
(1)ワイピング助剤
オレイン酸は20℃における粘度が35mN/mと高く、かつ、水やインクには溶解しないため、ノズル面に直接塗布すると簡単にノズル詰まりを引き起こしてしまう。
本発明では、オレイン酸と、オレイン酸カリウムまたはオレイン酸ナトリウムまたはエタノールとの水溶液の状態だと、水分が蒸発した時に、オレイン酸が単分子膜に近い油膜状態となるためノズル詰まりを起こさないことを見出した。また、グリセリンのようにワイパーに塗布するワイピングの助剤として効果がありながら、インク中に添加しても効果があることを見出した。
(2)ワイピングによるノズル誘発の抑制
オレイン酸は親油性でワイパーブレードのゴムやプラスチックスと相性が良く、かつ撥水性でもある。よって、ワイパーブレード上にオレイン酸が残りやすく、かつ水性インクが残っていても水分が蒸発してインク表面にオレイン酸が液体単分子膜に近い油膜状態で析出している。そのため、ワイパーブレード上にインクの存在部分と無い部分があったとしてもほぼ均一な撥水性を有し、ノズルの中から一部だけインクを引き出したりすることがなく、ノズル抜けの誘発を起こしにくくなる。
(3)ワイピングによるブレードとヘッドの長寿命化
オレイン酸は潤滑剤でもあるため、ワイパーブレードとヘッドの摩擦抵抗を低減し、ワイピング機構の長寿命化の効果がある。
(4)オレイン酸が入っていないインクのノズルのノズル抜け誘発低減
上記のように、1色でもオレイン酸を分散させたインクを用いたインクジェットヘッドは、ワイパーにオレイン酸が残るため、オレイン酸を含まない他の色のノズルも含めてワイピングによるノズル抜け誘発が大幅に低減する。
(5)オレイン酸を含むインク
ワイピング動作でワイパーブレードに最初に当接するノズルのインクに、オレイン酸が含まれていると、オレイン酸を含まない他のノズルのノズル抜け誘発の低減に優れた効果がある。
また、ブラックインクは、印字頻度やワイピング頻度が高く、かつ他の色のノズルに引き込まれ、混色するとフラッシングやクリーニングが必要となってしまうため、ブラックインクにオレイン酸が含まれていると大きな効果がある。
(6)親油性のオレイン酸の分散安定化
水中やインク中で安定分散しない親油性のオレイン酸であるが、親水性の脂肪酸カリウム又は脂肪酸ナトリウム、あるいはエタノールを同時添加すると、水中で安定分散することがわかった。
なお、オレイン酸カリウムやオレイン酸カリウムだけの水溶液では、オレイン酸の油膜はできない。親油性のオレイン酸であるが、親水性のオレイン酸カリウム又はオレイン酸ナトリウム、あるいはエタノールの同時添加によって、油膜形成と安定分散が両立する相乗効果が発現する。
(7)脂肪酸の酸化安定性とオレイン酸
多くの不飽和脂肪酸は酸化されやすい。それは2重結合が2つ以上あって、2重結合に挟まれたメチレン水素が引き抜かれて容易に酸化されるからである。リノール酸やリノレイン酸がそれに当てはまる。2重結合が1つの不飽和脂肪酸は、メチレン水素がないため大幅に酸化安定性がある。オレイン酸がそれに当てはまる。
(8)脂肪酸の融点とオレイン酸
脂肪酸がノズル面上に析出した場合、脂肪酸が液体であると、ノズル詰りの確率が低下する。常温で、液体で二重結合が一つ以下の脂肪酸としてはオレイン酸がある。酸化安定性のある飽和脂肪酸は常温で固体のものが多くインク中への添加には向かないものが多い。よって、オレイン酸であることが好まれる。
(9)オレイン酸カリウム又はオレイン酸ナトリウム
水中で脂肪酸がインク中で安定分散するには、1価の金属イオンの金属石鹸であることが望まれる。2価のイオンが多くあると析出沈澱の懸念があるからである。また、インク中で脂肪酸と金属脂肪酸を同時に溶解・分散させた時、同種類の脂肪酸を用いると、その区別がつかなくなり、脂肪酸の増量と安定分散の両立という相乗効果が発現できる。特に、オレイン酸と、オレイン酸カリウム又はオレイン酸ナトリウムを同時添加したときに効果が大きくなる。
以上のように、本発明によれば、簡易且つ安価にワイピング動作の際のノズル抜け誘発を抑制することが可能となる。
1…プリンター(インクジェット式記録装置)、2…記録ヘッド(インクジェットヘッド)、6…記録紙(記録媒体)、11…メンテナンスユニット(ワイピング装置)、13…ワイパーブレード(ワイプ部材)、16…ノズル列、17…ノズル、21A…ノズル面

Claims (6)

  1. 複数のノズルの開口端が配列されたノズル面を有して該ノズルから記録媒体に水性インクを噴射するインクジェットヘッドと、
    前記ノズル面とワイプ部材とを当接させて前記ノズル面を払拭するワイピング動作を実行するワイピング装置と、を備え、
    前記水性インクに、オレイン酸、及び、該オレイン酸を乳化して水中に分散させる分散剤、が添加されていることを特徴とするインクジェット式記録装置。
  2. 前記分散剤は、オレイン酸カリウム、または、オレイン酸ナトリウム、または、エタノールであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
  3. 前記水性インクに、前記オレイン酸が0.05wt%以上3.00wt%以下、前記分散剤が0.05wt%以上3.00wt%以下、添加されていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット式記録装置。
  4. 前記ノズル面は、前記ノズルが所定方向に配列されたノズル列を複数有しており、
    前記ノズル列のうち少なくともいずれか一列から噴射される前記水性インクに、前記オレイン酸及び分散剤、が添加されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット式記録装置。
  5. 前記ノズル面は、前記ノズルが所定方向に配列されたノズル列を複数有しており、
    前記ワイピング動作の際に前記ワイプ部材が当接する最先の前記ノズル列から噴射される前記水性インクに、前記オレイン酸及び分散剤、が添加されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット式記録装置。
  6. 前記ノズル面は、前記ノズルが所定方向に配列されたノズル列を、色調の異なるインク種毎に複数有しており、
    ブラックの色調に対応する前記ノズル列から噴射される前記水性インクに、前記オレイン酸及び分散剤、が添加されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット式記録装置。
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