JP2011194697A - 多層押出発泡成形体の製造方法及び製造装置 - Google Patents

多層押出発泡成形体の製造方法及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】成形体を構成する各層の層構造の乱れを抑制することができる多層押出発泡成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】発泡剤含有溶融樹脂Aと発泡剤非含有溶融樹脂Bとを高圧下で厚み方向に合流させて積層溶融樹脂Cを得る第1工程、積層溶融樹脂Cを幅方向中央で分割して離反させて分割積層溶融樹脂D1,D2を得る第2工程、分割積層溶融樹脂D1,D2を厚み方向に離反させる第3工程、分割積層溶融樹脂D1,D2が分離した状態で上下に揃うように位置を合わせる第4工程及び上下の分割積層溶融樹脂D1,D2を合流させて倍加積層溶融樹脂Eを得る第5工程を含み、前記第4工程と第5工程との間に、分割積層溶融樹脂D1,D2が上下に揃うように位置合せされた左右方向の位置関係を保持してこれらが分離した状態のまま下流側へ所定長さ移動させることにより左右の流速差を低減させる整流工程を設けた。
【選択図】図3

Description

本発明は、建築用、自動車用又は土木用等に好適に使用される、発泡層及び非発泡層を積層してなる多層押出発泡成形体に関する。
従来から、発泡層及び非発泡層を積層してなる多層押出発泡について、主にポリプロピレン系樹脂を用いたフィルム及びシート形状での検討がなされてきた(例えば、特許文献1〜4参照。)。
また、フィードブロックやマルチマニホールド等の積層装置の構造の複雑化、大型化を伴わずに層数を増加させる方法として、発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含有しない溶融樹脂を厚み方向に合流させた後に幅方向に2分割し、2分割した溶融樹脂の各々を厚み方向に圧縮した後、厚み方向に上下に合流させる積層2倍化方法が提案されており(例えば、非特許文献1参照。)、このような積層2倍化方法を多層化に使用することにより効率良く層数を増やすことができる(例えば、非特許文献1並びに特許文献5及び6参照。)。
特開平10−748号公報 特表平4−505594号公報 特公平7−98349号公報 国際公開第08/008875号パンフレット 特公昭54−23025号公報 特開平4−278323号公報
ADITYA P. RANADE, ANNE HILTNER AND ERIC BAER, "Structure-Property Relationships in Coextruded Foam/Film Microlayers", JOURNAL OF CELLULAR PLASTICS, November 2004, Vol.40, pp.497-507
上述の積層2倍化方法による多層化において、2分割した溶融樹脂層を厚み方向に上下に合流させる際に、上下の溶融樹脂層の樹脂圧力、流速等が異なると得られる成形体の各層の積層状態の乱れに繋がる懸念があり、超多層プロセスを経ることにより積層状態の乱れがさらに悪化する懸念がある。
特に、多層押出発泡成形体を断熱材用途に使用する場合には、上述のように積層状態の乱れが生じて成形体を構成する各層が厚み方向に斜めに積層されると、発泡層に比べて熱伝導率の高い非発泡層を伝って熱が移動することから断熱性能が大幅に低下するため所期の性能を得ることができないという問題がある。
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、成形体を構成する各層の層構造の乱れを抑制することができる多層押出発泡成形体の製造方法及び製造装置を提供する点にある。
本願の発明者は、上述の積層2倍化方法による多層化において、2分割した溶融樹脂を厚み方向に上下に合流させる際における積層状態の乱れに着目し、実験及び3次元流動解析シミュレーションを行った結果、上下に合流した直後の溶融樹脂層の厚み方向の流速差に起因して、得られた多層押出発泡成形体を構成する発泡層と非発泡層とが厚み方向に斜めに積層されるという知見を得、これに対する対策を実施することにより本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る多層押出発泡成形体の製造方法は、前記課題解決のために、加熱可塑化した溶融樹脂を流れ方向に押し出しながら金型で一定断面の形状に整えて連続的に成形する押出発泡成形体の製造方法において、発泡剤を含有する少なくとも1つの溶融樹脂と発泡剤を含有しない少なくとも1つの溶融樹脂とを高圧下で厚み方向である上下方向に合流させて積層溶融樹脂を得る第1工程と、この積層溶融樹脂を幅方向である左右方向中央で分割し左右方向に離反させて左右2つの分割積層溶融樹脂を得る第2工程と、これら左右2つの分割積層溶融樹脂を、一方の下端が他方の上端よりも上になるように上下方向に離反させる第3工程と、これら2つの分割積層溶融樹脂を左右方向に接近させ、これら2つの分割積層溶融樹脂の左右方向中央が、前記積層溶融樹脂の左右方向中央を通り前記流れ方向に平行な垂直平面内に位置するように上下に重なる位置まで、これら2つの分割積層溶融樹脂が分離した状態で上下に揃うように位置を合わせる第4工程と、これら上下2つの分割積層溶融樹脂を上下方向に合流させて倍加積層溶融樹脂を得る第5工程とを含む多層押出発泡成形体の製造方法であって、前記第4工程と第5工程との間に、前記2つの分割積層溶融樹脂が上下に揃うように位置合せされた左右方向の位置関係を保持して前記2つの分割積層溶融樹脂が分離した状態のまま下流側へ所定長さ移動させることにより、左右の流速差を低減させる整流工程を設けたことを特徴とする。
このような構成によれば、第4工程において分割積層溶融樹脂を左右方向に接近させてこれらが分離した状態で上下に揃うように位置を合わせることにより生じる左右の流速差を、上下の分割積層溶融樹脂が第5工程において合流する前に設けた整流工程により低減することができる。
したがって、第5工程において、流路の左端部及び右端部において流速の遅い溶融樹脂と流速の速い溶融樹脂とが上下に合流することがなくなり、倍加積層溶融樹脂の流路の左端部及び右端部で厚み方向の流速が逆転することがないことから、製造された多層押出発泡成形体を構成する発泡層と非発泡層とが厚み方向に斜めに積層されずに非発泡層が略水平になるため、所期の断熱性能を確保することができる。
ここで、前記第1工程と前記第2工程との間に、前記積層溶融樹脂の断面積を変化させずに幅を2倍に拡大する幅拡大工程を設けてなることが好ましく、前記第2工程と前記第3工程との間、前記第3工程と前記第4工程との間又は前記第4工程と前記第5工程との間に、前記分割積層溶融樹脂の各々について断面積を変化させずに幅を2倍に拡大する幅拡大工程を設けてもよく、前記第5工程の後に、前記倍加積層溶融樹脂の断面積を変化させずに幅を2倍に拡大する幅拡大工程を設けてもよい。
これらのような構成によれば、積層2倍化工程の前後、すなわち第1工程の下流側の流路断面積と第5工程の下流側の流路断面積(第5工程の後に幅拡大工程を設ける場合はこの幅拡大工程の下流側の流路断面積)とが同一になることから、積層2倍化工程を多段化する際に好都合であり、簡素な構成により積層2倍化工程の多段化流路を構成して成形体を多層化することができる。
本発明に係る多層押出発泡成形体の製造装置は、前記課題解決のために、加熱可塑化した溶融樹脂を流れ方向に押し出しながら金型で一定断面の形状に整えて連続的に成形する押出発泡成形体の製造装置において、発泡剤を含有する溶融樹脂を加圧して供給する発泡用押出機及び発泡剤を含有しない溶融樹脂を加圧して供給する非発泡用押出機、これらの押出機から供給された、発泡剤を含有する少なくとも1つの溶融樹脂と発泡剤を含有しない少なくとも1つの溶融樹脂とを厚み方向である上下方向に合流させて積層溶融樹脂とする積層装置、前記積層溶融樹脂を幅方向である左右方向中央で分割して2つの分割積層溶融樹脂とし、これら分割積層溶融樹脂を上下に重ね合わせるように合流させて倍加積層溶融樹脂とする積層2倍化装置、並びに、前記倍加積層溶融樹脂を大気圧下に開放して発泡剤を気化させることにより高倍化させる成形金型を備えた多層押出発泡成形体の製造装置であって、前記積層2倍化装置が、前記左右2つの分割積層溶融樹脂を、一方の下端が他方の上端よりも上になるように上下方向に離反させ、これら2つの分割積層溶融樹脂を左右方向に接近させ、これら2つの分割積層溶融樹脂の左右方向中央が、前記積層溶融樹脂の左右方向中央を通り前記流れ方向に平行な垂直平面内に位置するように上下に重なる位置まで、これら2つの分割積層溶融樹脂が分離した状態で上下に揃うように位置を合わせた後に、前記2つの分割積層溶融樹脂が上下に揃うように位置合せされた左右方向の位置関係を保持して前記2つの分割積層溶融樹脂が分離した状態のまま下流側へ所定長さ移動させる整流路を備え、この整流路により左右の流速差を低減させた後に前記分割積層溶融樹脂を上下に重ね合わせるように合流させることを特徴とする。
このような構成によれば、積層2倍化装置により分割積層溶融樹脂を左右方向に接近させてこれらが分離した状態で上下に揃うように位置を合わせることにより生じる左右の流速差を、上下の分割積層溶融樹脂が合流する前に設けた整流路により低減することができる。
したがって、積層2倍化装置における上下の分割積層溶融樹脂が合流する流路の左端部及び右端部において、流速の遅い溶融樹脂と流速の速い溶融樹脂とが上下に合流することがなくなり、倍加積層溶融樹脂の流路の左端部及び右端部で厚み方向の流速が逆転することがないことから、製造された多層押出発泡成形体を構成する発泡層と非発泡層とが厚み方向に斜めに積層されずに非発泡層が略水平になるため、所期の断熱性能を確保することができる。
以上のように、本発明に係る多層押出発泡成形体の製造方法及び製造装置によれば、成形体を構成する各層の層構造の乱れを抑制することができることから、製造された多層押出発泡成形体を構成する発泡層と非発泡層とが厚み方向に斜めに積層されずに非発泡層が略水平になるため、所期の断熱性能を確保することができるという顕著な効果を奏する。
本発明の実施の形態に係る多層押出発泡成形体の製造装置の構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態に係る多層押出発泡成形体の製造方法及び製造装置により製造された多層押出発泡成形体の例を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る多層押出発泡成形体の製造方法の工程説明図を流路断面の模式図と併せて示したものであり、幅拡大工程を第1工程と第2工程との間に設ける場合を示している。 同じく工程説明図を流路断面の模式図と併せて示したものであり、幅拡大工程を第2工程と第3工程との間に設ける場合を示している。 同じく工程説明図を流路断面の模式図と併せて示したものであり、幅拡大工程を第3工程と第4工程との間に設ける場合を示している。 同じく工程説明図を流路断面の模式図と併せて示したものであり、幅拡大工程を第4工程と第5工程との間に設ける場合を示している。 同じく工程説明図を流路断面の模式図と併せて示したものであり、幅拡大工程を第5工程と第6工程との間に設ける場合を示している。 図3に示す工程において、(a)は整流路の長さLが30mm(実施例1)、50mm(実施例2)、80mm(実施例3)、0mm(比較例)の場合について第5工程で合流直後の幅方向各部の流速分布のシミュレーション結果を示す図であり、(b)は積層2倍化装置の流路を示す模式図である。 図6に示す工程において、整流路の長さLが30mm(実施例4)の場合について第5工程で合流直後の幅方向各部の流速分布のシミュレーション結果を示す図であり、(b)は積層2倍化装置の流路を示す模式図である。 図7に示す工程において、整流路の長さLが30mm(実施例5)の場合について第5工程で合流直後の幅方向各部の流速分布のシミュレーション結果を示す図であり、(b)は積層2倍化装置の流路を示す模式図である。
以下において、左方及び右方は、溶融樹脂の流れ方向(上流側から下流側へ向かう方向。押出方向。図中矢印F参照。)の下流側へ向かっていうものとする。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る多層押出発泡成形体の製造装置は、加熱可塑化した溶融樹脂を流れ方向(図中矢印F参照。)に押し出しながら金型で一定断面の形状に整えて連続的に成形するものであり、発泡剤を含有する溶融樹脂を加圧して供給する発泡用押出機1及び発泡剤を含有しない溶融樹脂を加圧して供給する非発泡用押出機2、これらの押出機1,2から供給された、発泡剤を含有する少なくとも1つの溶融樹脂と発泡剤を含有しない少なくとも1つの溶融樹脂とを厚み方向である上下方向に合流させて積層溶融樹脂とする、例えばフィードブロックである積層装置3、前記積層溶融樹脂を幅方向である左右方向中央で分割して2つの分割積層溶融樹脂とし、これら分割積層溶融樹脂を上下に重ね合わせるように合流させて倍加積層溶融樹脂とする積層2倍化装置4、前記倍加積層溶融樹脂を大気圧下に開放して発泡剤を気化させることにより高倍化させる成形金型5、並びに、発泡成形体を引き取り上下方向に拘束しながら冷却して最終形状とする成形機6からなる。
ここで、発泡剤を含有する溶融樹脂中の発泡剤が、大気圧下に開放されるまでに経由する流路内で発泡すると、発泡層ではセル肥大化、低独立気泡率化が起こり、得られる多層押出発泡成形体は多層化によって期待される熱伝導率の低減効果が発現しないものとなる傾向がある。
したがって、発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含有しない溶融樹脂を高圧下で合流させることにより、発泡剤を含有する溶融樹脂中の発泡剤が大気圧下に開放されるまでに経由する流路内での発泡を抑える必要がある。
図2は、このような多層押出発泡成形体の製造装置により製造された多層押出発泡成形体7の一例を示す断面図であり、後述する図3〜図7の積層2倍化工程における整流工程、すなわち積層2倍化装置4の整流路10(図8(b)、図9(b)及び図10(b)参照。)による整流効果により、2層の非発泡層9,9が、厚み方向に斜めに積層されることなく、略水平に(多層押出発泡成形体7の表面と略平行に)上下の発泡層8,8の間に積層されている。
多層押出発泡成形体7の構造としては、図2に示すように、押出発泡成形体7の厚み方向に発泡層8,…が非発泡層9,…を介して積層されてなる構造を有することが好ましい。これは、非発泡層9の上下両面に発泡層8が積層された構造において、非発泡層9の膜厚が発泡層8を構成するセルの膜厚に対して厚いことにより、輻射伝熱の抑制に起因する熱伝導率低減効果が有効に作用することによる。
なお、上下に積層する層の構成が非発泡層/発泡層/非発泡層の如く、非発泡層の片面のみに発泡層が積層された構造では、非発泡層による輻射伝熱の抑制に起因する熱伝導率低減効果が十分発現しない傾向がある。
また、多層押出発泡成形体7の構造としては、図2に示すような上下に積層する層の構成が発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層の如く、非発泡層が複数層存在することがさらに好ましい。これは、押出発泡成形体7の厚み方向に非発泡層9を複数層設けることにより、1層の非発泡層9では得られない優れた熱伝導率の低減効果が発現することによる。
次に、本発明の実施の形態に係る多層押出発泡成形体の製造方法について、図3〜図7に示す工程説明図を用いて説明する。図3〜図7における工程において、第1工程は図1の押出機1,2及び積層装置3による工程を、第2ないし第5工程は図1の積層2倍化装置4による工程(積層2倍化工程)を、第6工程は図1の成形金型5及び成形機6による工程を示している。
また、図3〜図7における流路断面の模式図は、下流側から見た断面を示している。
先ず、図3に示す工程について説明する。
(第1工程)
第1工程は、発泡剤を含有する少なくとも1つの溶融樹脂の例として示す発泡剤を含有する上下2層の溶融樹脂A,Aと、発泡剤を含有しない少なくとも1つの溶融樹脂の例として示す1層の発泡剤を含有しない溶融樹脂Bとを高圧下で厚み方向である上下方向に合流させ、上下の溶融樹脂A,Aの間に溶融樹脂Bを介在させた積層溶融樹脂Cを得る工程である。
(幅拡大工程)
幅拡大工程は、第1工程で積層された積層溶融樹脂Cの断面積を変化させずに左右方向に拡大(例えば、β1/α1=2)する工程である。
(第2工程)
第2工程は、幅拡大工程で拡大された積層溶融樹脂Cを左右方向中央で分割し左右方向に離反させて左右2つの分割積層溶融樹脂D1,D2を得る工程である。
(第3工程)
第3工程は、第2工程で分割された分割積層溶融樹脂D1,D2を、一方の下端が他方の上端よりも上になるように(図3の例ではD1の下端がD2の上端よりも上になるように)上下方向に離反させる工程である。
(第4工程)
第4工程は、第3工程で上下に離反した分割積層溶融樹脂D1,D2を左右方向に接近させ、これら2つの分割積層溶融樹脂D1,D2の左右方向中央が、積層溶融樹脂Cの左右方向中央を通り流れ方向Fに平行な垂直平面内に位置するように上下に重なる位置まで、分割積層溶融樹脂D1,D2が分離した状態で上下に揃うように位置を合わせる工程である。
(整流工程)
整流工程は、第4工程で分割積層溶融樹脂D1,D2が上下に揃うように位置合せされた左右方向の位置関係を保持して2つの分割積層溶融樹脂D1,D2が分離した状態のまま下流側へ所定長さL(図8(b)参照。)移動させることにより、左右方向における流速分布の差を低減させる工程である。
(第5工程)
第5工程は、整流工程で左右方向における流速分布の差が低減した上下2つの分割積層溶融樹脂D1,D2を上下方向に合流させて倍加積層溶融樹脂Eを得る工程である。
(第6工程)
第6工程は、第5工程で得られた倍加積層溶融樹脂Eを大気圧下に開放して発泡剤を気化させることにより高倍化させ、発泡成形体を引き取り上下方向に拘束しながら冷却して最終形状(例えば図2参照。)とする工程である。
次に、図4〜図7に示す工程について説明する。
図4〜図7に示す工程では、図3に示す工程と幅拡大工程の位置(全体工程における幅拡大工程を行う順序)が異なっている。
すなわち、図4に示す工程では第2工程と第3工程との間に、図5に示す工程では第3工程と第4工程との間に、図6に示す工程では整流工程と第5工程との間に、図7に示す工程では第5工程と第6工程との間に幅拡大工程を設けている。
そして、図4〜図6に示す工程では、幅拡大工程により、分割積層溶融樹脂D1,D2を、これらの断面積を変化させずに左右方向に拡大(例えば、β2/α2=2)しており、図7に示す工程では、幅拡大工程により、倍加積層溶融樹脂Eを、この断面積を変化させずに左右方向に拡大(例えば、β2/α2=2)している。
なお、第4工程と整流工程との間に幅拡大工程を設けてもよい。
ここで、図3に示す工程のようにβ1/α1=2とすることにより、あるいは、図4〜図7に示す工程のようにβ2/α2=2とすることにより、積層2倍化工程の前後、すなわち第1工程の下流側の流路断面積と第5工程の下流側の流路断面積(第5工程の後に幅拡大工程を設ける場合はこの幅拡大工程の下流側の流路断面積)とが同一になることから、積層2倍化工程を多段化する際に好都合であり、簡素な構成により積層2倍化工程の多段化流路を構成して成形体を多層化することができる。
また、図3〜図7に示す工程のように、第4工程と第5工程との間に、すなわち第4工程で2つの分割積層溶融樹脂D1,D2が上下に揃うように位置合せされた後、第5工程で分割積層溶融樹脂D1,D2が上下方向に合流する前に、第4工程で左右方向の位置関係を保持して2つの分割積層溶融樹脂D1,D2が分離した状態のまま下流側へ所定長さL(例えば、図8(b)、図9(b)及び図10(b)参照。)移動させることにより、左右の流速差(左右方向の中央から等距離左右に離間した位置における下流方向の流速差)を低減させる整流工程(例えば、図8(b)、図9(b)及び図10(b)の整流路10参照。)を設けているため、第5工程で合流直後の倍加積層溶融樹脂Eの左右方向各部での厚み方向の流速差が低減する。
したがって、本発明の多層押出発泡成形体の製造方法において、分割積層溶融樹脂D1,D2を第5工程で厚み方向に合流させる前に、左右方向における流速分布の差を低減させる整流工程を設けたことによる整流効果により、製造された多層押出発泡成形体は、例えば図2に示す多層押出発泡成形体7のように、上下の発泡層8,8にそれぞれ挟まれた非発泡層9,9が、厚み方向に斜めに積層されることなく、略水平に積層される。
これに対して、整流工程を設けない場合には、厚み方向に合流される2つの分割積層溶融樹脂D1,D2の左右の流速差に起因して、第5工程で合流した直後の倍加積層溶融樹脂Eの厚み方向に流速差が生じるため、製造された多層押出発泡成形体を構成する発泡層と非発泡層とが厚み方向に斜めに積層されたものとなる。
これは、図3〜図7に示すような積層2倍化方法では、第4工程において分割積層溶融樹脂D1,D2を左右方向に接近させてこれらが分離した状態で上下に揃うように位置を合わせることから、上側の分割積層溶融樹脂D1では、(右端の流路長さD1a)>(左端の流路長さD1b)となり、下側の分割積層溶融樹脂D2では、(右端の流路長さD2a)<(左端の流路長さD2b)となり、管路抵抗により、上側の分割積層溶融樹脂D1では右端の流速が左端の流速よりも遅くなり、下側の分割積層溶融樹脂D2では左端の流速が右端の流速よりも遅くなるため、このように左右の流速差が生じることによる。
すなわち、上側の分割積層溶融樹脂D1と下側の分割積層溶融樹脂D2とを比較すると、流路の左端部では、(上側の分割積層溶融樹脂D1の流速)>(下側の分割積層溶融樹脂D2の流速)となり、流路の右端部では、(上側の分割積層溶融樹脂D1の流速)<(下側の分割積層溶融樹脂D2の流速)となることから、整流工程を設けない場合には、第5工程において、流路の左右において流速の遅い溶融樹脂と流速の速い溶融樹脂とが上下に合流するとともに、このように合流した倍加積層溶融樹脂Eにおいて、その流路の左右で厚み方向の流速の方向が反転するため、製造された多層押出発泡成形体を構成する発泡層と非発泡層とが厚み方向に斜めに積層されたものとなるのである。
このように多層押出発泡成形体において成形体を構成する発泡層と非発泡層が厚み方向に斜めに積層される現象は、第5工程で合流した直後の倍加積層溶融樹脂Eの左右における厚み方向の流速差に起因するものであるため、これを解消するためには、合流直後の左右方向各部における倍加積層溶融樹脂Eの厚み方向の平均流速((厚み方向の流速の最大値+厚み方向の流速の最小値)/2)に対する厚み方向の流速差(厚み方向の流速の最大値−厚み方向の流速の最小値)の比率(厚み方向の流速差/厚み方向の平均流速)を小さくすればよい。
この比率(厚み方向の流速差/厚み方向の平均流速)としては、0.3以下が好ましく、0.2以下が更に好ましく、0.1以下が最も好ましい。
また、少なくとも1層の発泡剤を含有する溶融樹脂Aと、少なくとも1層の発泡剤を含有しない溶融樹脂Bを厚み方向に合流させることにより、多層化によって期待される熱伝導率の低減効果を発現しやすい構造を得ることができる。これは、断熱材の熱伝導率はJIS A9511に規定されるように断熱材の厚み方向で測定され、厚み方向に非発泡層が複数層存在することにより、発泡層間の輻射伝熱を抑制する効果が期待され、また、発泡層を被覆する非発泡層の面積が広くなることにより、効率的なガスバリアー効果が期待されることによる。
このため、発泡剤を含有する溶融樹脂Aと発泡剤を含有しない溶融樹脂Bとを厚み方向に合流させて得られる多層押出発泡成形体は熱伝導率が低い断熱性が良好なものとなる。一方、左右方向に合流させた場合は、得られる多層押出発泡成形体は、発泡層に比べて熱伝導率の高い非発泡層を熱量が伝熱する(熱橋として働く)ため熱伝導率が高く断熱性能に劣るものとなる傾向がある。
なお、本発明のような整流工程を設けない場合には、上述のとおり成形体を構成する発泡層及び非発泡層が厚み方向に斜めに積層されるが、このような積層状態においても、左右方向に合流させた場合に得られる多層押出発泡成形体と同様に、発泡層に比べて熱伝導率の高い非発泡層を熱量が伝熱する(熱橋として働く)ため熱伝導率が高く断熱性能に劣るものとなる傾向がある。
また、発泡剤を含有する溶融樹脂Aと発泡剤を含有しない溶融樹脂Bを合流させ大気圧下に開放する共押出発泡を使用することの意味は、経済的な有利性に加え、製造直後に発生する発泡層セル内への空気の侵入を非発泡層が抑止することにより高断熱化が期待されることによる。
本発明の多層押出発泡成形体の製造方法により得られる多層押出発泡成形体を構成する発泡層とは、複数の気泡が気泡壁(wall)及び気泡壁結合部(struts)によって結合された気泡構造を有する層をいう。その形状としては、特に限定されず、フィルム形状、シート形状、ボード形状が挙げられ、これらの中でも、断熱性能を発現しやすいこと、押出発泡成形体に軽量性を付与できることより、シート形状、ボード形状が好ましい。
前記発泡層の密度は、目的とする押出発泡成形体の密度にもよるが、500kg/m3以下が好ましい。
前記発泡層としては、平均気泡径の1.2倍未満の気泡径を有し、気泡径が0.25mm以下の小気泡と、平均気泡径の1.2倍以上の気泡径を有する大気泡よりなるが海島状に混在する特徴的な気泡構造を有してもよい。このような特徴的な気泡構造を有することにより、得られる成形体は低密度化が可能となり、断熱性、成形性に優れた発泡成形体を得ることができる。ここで、小気泡は主に断熱性能の向上に寄与し、大気泡は主に低密度化、成形性改善に寄与するものである。
なお、通常の均一な気泡径の気泡のみからなる発泡成形体においても、気泡径を小さくすることにより、断熱性能をある程度向上させることは可能である。ただし、均一な気泡径の気泡のみからなる発泡成形体では、気泡径が小さくなると、所定の厚さを出すためには、より多くの樹脂が必要となって高密度化し、結果として、断熱性能改善効果が低下する傾向となる。また、押出時の圧力が高くなる、吐出量が少なくなる等、成形性が低下する傾向となる。
これに対して、小気泡と大気泡が海島状に混在する前記特徴的な気泡構造では、断熱性能を向上させると共に、大気泡により得られる発泡層が低密度で厚み方向の拡大率が高い発泡成形体を得ることが可能となる。
小気泡と大気泡の気泡径の関係について、小気泡が平均気泡径の1.2倍未満であり、小気泡の平均気泡径が0.25mm以下であり、且つ、大気泡の平均気泡径が平均気泡径の1.2倍以上であれば、特に限定はされない。
前記発泡層において、小気泡と大気泡の気泡径の中間に位置する気泡が全く存在しないわけではないが、該気泡が目立って増加すると、小気泡と大気泡との区別がつきにくくなり、すなわち、異なる気泡径が連続的に存在する気泡構造となり、海島状に存在する前記の特徴的な気泡構造ではなくなることから、断熱性能と成形性のバランスが崩れる傾向となる。
前記多層押出発泡成形体の厚み方向中央部に位置する発泡層の断面に占める小気泡の総面積の割合(単位断面積あたりの占有面積率)は、5〜95%が好ましく、10〜90%がよりに好ましく、20〜80%がさらに好ましく、25〜70%が特に好ましい。発泡層断面に占める小気泡の総面積の割合が5〜95%の場合、断熱性と成形性に優れた良好な押出発泡成形体が得られる。
小気泡と大気泡からなる特徴的な気泡構造の発泡層を作製する方法としては、発泡剤として物理型発泡剤と水を併用することがあげられる。
発泡剤として使用される水の添加量としては、小気泡及び大気泡の生成しやすさや加工性の面から、発泡層を構成する熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.1〜5.0重量部が好ましく、0.2〜4.0重量部がより好ましく、0.3〜3.0重量部が特に好ましい。
また、水の添加量は、発泡層剤全量に対して、1〜80重量%が好ましく、2〜70重量%がより好ましく、3〜60重量%が特に好ましい。
水の添加量が発泡層を構成する熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.1〜5.0重量部であり、且つ、発泡剤全量に対して1〜80重量%を満たす場合、得られる発泡層は容易に小気泡と大気泡からなる特徴的な気泡構造をとることが可能となり、結果、得られる多層押出発泡成形体は軽量性と断熱性、成形性に優れたものとなる。
小気泡と大気泡からなる特徴的な気泡構造の発泡層を作製する方法において、発泡層を構成する熱可塑性樹脂と相溶性のない水を如何に溶融樹脂中に均一に分散させるかが、重要となる。その方法としては、熱可塑性樹脂中にスメクタイト、膨潤性フッ素雲母等の吸水性または水膨潤性の層状珪酸塩類またはこれらの有機化処理品、吸水性高分子、日本アエロジル(株)製AEROSIL等のシラノール基を有する無水シリカ等(本明細書においては、これらの物質を「吸水性物質」と総称する)の1種または複数種を添加することがあげられる。これにより、発泡層中の小気泡及び大気泡の分散状態が安定化し、得られる多層押出発泡成形体の成形性、生産性及び断熱性能をさらに向上させることができる。
前記発泡層を製造する際に用いられる吸水性物質の添加量は、水の添加量等によって適宜調整されるものであるが、一般に、発泡層を構成する熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜8重量部がさらに好ましく、0.3〜7重量部が特に好ましい。吸水性物質の添加量が0.1〜10重量部の場合、押出機内で水が良好に分散されて、気泡ムラ、ボイド等の発生が無い良好なセル構造を有する発泡層が得られ、バラツキのない良好な断熱性能を有する押出発泡成形体を得ることができる。
前記発泡層を製造する際に用いられる層状珪酸塩とは、酸化ケイ素を主成分とする四面体シートと金属水酸化物を主成分とする八面体シートからなり、前記四面体シートと前記八面体シートが単位層を形成し、単位層単独構造の、または複数の単位層が層間に陽イオン等を介して積層された構造の一次粒子、及び、一次粒子の凝集体(二次粒子)として存在するものである。層状珪酸塩の具体例としては、例えば、スメクタイト族粘土及び膨潤性雲母等があげられる。
前記のスメクタイト族粘土は下記一般式(I)
0.2〜0.62〜3410(OH)2・nH2O・・・・・・・・・・・一般式(I)
(ただし、XはK、Na、1/2Ca、及び1/2Mgからなる群より選ばれる1種以上であり、YはMg、Fe、Mn、Ni、Zn、Li、Al、及びCrからなる群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、及びAlからなる群より選ばれる1種以上である。なお、H2Oは層間イオンと結合している水分子を表わすが、nは層間イオン及び相対湿度に応じて著しく変動する)で表される、天然または合成されたものである。
前記スメクタイト族粘土の具体例としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト及びベントナイト等、またはこれらの置換体、誘導体、またはこれらの混合物が挙げられる。
また、前記の膨潤性雲母は下記一般式(II)
0.5〜1.02〜3(Z410)(F、OH)2・・・・・・・・・・・一般式(II)
(ただし、XはLi、Na、K、Rb、Ca、Ba、及びSrからなる群より選ばれる1種以上であり、YはMg、Fe、Ni、Mn、Al、及びLiからなる群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、Ge、Al、Fe、及びBからなる群より選ばれる1種以上である)で表される、天然または合成されたものである。
これらは、水、水と任意の割合で相溶する極性のある有機化合物、及び水と該極性のある有機化合物の混合溶媒中で膨潤する性質を有する物であり、例えば、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、及びナトリウム型四ケイ素雲母等、またはこれらの置換体、誘導体、またはこれらの混合物が挙げられる。
前記膨潤性雲母の中にはバーミキュライト類と似通った構造を有するものもあり、この様なバーミキュライト類相当品等も使用し得る。該バーミキュライト類相当品には3八面体型と2八面体型があり、下記一般式(III)
(Mg,Fe,Al)2〜3(Si4-xAlx)O10(OH)2・(M+,M2+1/2)x・nH2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一般式(III)
(ただし、MはNa及びMg等のアルカリまたはアルカリ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=3.5〜5である)で表されるものがあげられる。
膨潤性層状珪酸塩は、単独で用いても良く、2種以上組み合わせて用いても良い。これらの内では、得られる多層押出発泡成形体中の分散性の点等から、スメクタイト族粘土、膨潤性雲母が好ましく、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、合成スメクタイト及び膨潤性フッ素雲母等の層間にナトリウムイオンを有する膨潤性雲母が、さらに好ましい。
ベントナイトの代表例としては、天然ベントナイト、精製ベントナイト等があげられる。また、有機化ベントナイト等も使用できる。本発明におけるスメクタイトには、アニオン系ポリマー変性モンモリロナイト、シラン処理モンモリロナイト、高極性有機溶剤複合モンモリロナイト等のモンモリロナイト変性処理生成物もその範疇に含まれる。
ベントナイト等のスメクタイトの含有量は、水の添加量等によって、適宜調整されるものであるが、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましくは0.2〜8重量部がさらに好ましく、0.3〜7重量部が特に好ましく、1〜5重量部が最も好ましい。
スメクタイトの添加量が0.1〜10重量部の場合、押出機内で水が良好に分散され、気泡ムラ、ボイドの発生が無い良好なセル構造を有する発泡層が得られ、バラツキのない良好な断熱性能を有する押出発泡成形体を得ることができる。
水/スメクタイトの混合比率は、重量比で、0.02〜20が好ましく、0.1〜10がさらに好ましく、0.15〜5が特に好ましく、0.25〜2の範囲が最も好ましい。
発泡層の密度としては、前記のように、500kg/m3以下であれば特に限定はされないが、軽量でかつ優れた断熱性及び曲げ強度、圧縮強度を付与するためには、20〜65kg/m3であることが好ましく、20〜50kg/m3であることが更に好ましく、20〜40kg/m3であることがより好ましい。密度が20〜60kg/m3の範囲では、軽量性、圧縮強度等機械的特性、断熱性に優れた発泡成形体が得られる。
前記発泡層を構成する樹脂(以降、「発泡層構成樹脂」と称する場合がある)は、押出発泡成形が可能な熱可塑性樹脂から任意に選択される。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等のビニル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体、シクロオレフィン系(共)重合体等のポリオレフィン系樹脂及びこれらに分岐構造、架橋構造を導入してレオロジーコントロールされたポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、MXDナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶樹脂等のエンジニアリングプラスチック;ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル系樹脂等が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
発泡層を構成する樹脂としてスチレン系樹脂を用いる場合には、特に限定されず、例えば、スチレン単量体のみから得られるスチレンホモポリマー、スチレン単量体とスチレンと共重合可能な単量体またはその誘導体から得られるランダム、ブロックまたはグラフト共重合体、後臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレン等の変性ポリスチレン、ABS樹脂等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
スチレンと共重合可能な単量体としては、例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン等のスチレン誘導体;ジビニルベンゼン等の多官能性ビニル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、アクリロニトリル等の(メタ)アクリル系化合物;ブダジエン等のジエン系化合物またはその誘導体;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−4−ジフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−4−ブロモフェニルマレイミド、N−1−ナフチルマレイミド等のN−アルキル置換マレイミド化合物;等があげられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
発泡層を構成する樹脂としては、これらの中でも、押出発泡成形が容易で軽量かつ断熱性に優れた押出発泡成形体が得られること等から、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、無水マレイン酸変性ポリスチレン、スチレン−不飽和ジカルボン酸無水物−N−アルキル置換マレイミド系共重合体、耐衝撃性ポリスチレン等のスチレン系樹脂、あるいは、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル系樹脂等のビニル系樹脂;ポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂の混合樹脂である変性ポリフェニレンエーテル系樹脂が好ましい。最も好ましくはポリスチレンホモポリマーである。
前記発泡層は、溶融状態にある発泡層構成樹脂に、高圧下で、水及び物理型発泡剤を圧入し、低圧領域に開放することにより得られる。
圧入する物理型発泡剤としては、特に限定されず、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン等の炭素数3〜5の飽和炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケトン、エチルn−ブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル類;塩化メチル、塩化エチル等のハロゲン化アルキル類;窒素、空気、二酸化炭素等の無機発泡剤、等が挙げられる。これら発泡剤は単独または2種以上混合して使用することができる。
前記発泡剤の中でも、押出発泡成形性と高断熱性を両立できるという点から、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン等の炭化水素が好ましい。また、低密度の押出発泡体が得られるという点から、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;塩化メチル、塩化エチル等のハロゲン化アルキル類が好ましい。さらに、不燃性であり環境適合性に優れるという点から、窒素、空気、二酸化炭素等の無機発泡剤が好ましい。
溶融した発泡層構成樹脂(熱可塑性樹脂)中に圧入される物理型発泡剤の量としては、発泡倍率の設定値等に応じて適宜選定されるが、通常、発泡剤の合計量を、熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜20重量部とすることが好ましく、3〜8重量部とすることがより好ましい。物理型発泡剤の合計圧入量が1〜20重量部の場合、発泡成形体中にボイドが無く、難燃性が制御可能な、適度な発泡倍率を有する発泡層が得られ、押出発泡成形体として軽量、断熱性等の特性が発現される。
発泡剤を圧入する際の圧力としては、特に限定されず、押出機等の内圧力よりも高い圧力であればよい。
発泡層の気泡径分布を調整する方法としては、発泡剤に水を用い、他の発泡剤の種類及び使用量、吸水性物質の種類及び使用量、押出発泡の成形条件等により調整できる。このような成形条件としては、例えば、溶融されたスチレン系樹脂組成物を大気中へ吐出する際の厚みの拡大率の調整(つまり、ダイリップのスリットの厚みと矩形にするための成形金型の高さの調整)、成形抵抗の調整、等が挙げられる。
発泡層の厚み方向の平均気泡径を制御する方法としては、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム等の無機化合物等に代表される造核剤や、前述された層状珪酸塩をスチレン系樹脂に添加し、これらの添加量を調整する方法があげられる。また、発泡剤の種類、組成及び添加量によっても、平均気泡径は調整される。さらに、溶融混練手段である押出機のスクリュー形状や、加熱温度、圧力、溶融混練されたスチレン系樹脂組成物がダイリップから吐出される量、ダイス形状、吐出の際の樹脂温度等によっても、平均気泡径は調整される。
発泡層の製造時において、必要に応じて、難燃剤、難燃助剤、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物等の加工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類等の耐光性安定剤、帯電防止剤、顔料等の着色剤等の添加剤を添加させることが好ましい。
また、より安定的に押出発泡するためには、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスフェート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイト等のヒンダードフェノール系抗酸化剤;トリフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビスステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト等のリン系安定剤;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のアミン系安定剤;3,3−チオビスプロピオン酸ジオデシルエステル、3,3’−チオビスプロピオン酸ジオクタデシルエステル等のイオウ系安定剤を添加するのが好ましい。
発泡層の厚みは、多層押出発泡成形体の厚み及び多層押出発泡成形体中の発泡層の数(発泡層/非発泡層/発泡層からなるユニットの数)に応じて適宜選択される。
本発明の多層押出発泡成形体の製造方法により得られる多層押出発泡成形体を構成する非発泡層とは、発泡層を構成する気泡の気泡壁あるいは気泡壁結合部のうち厚みの大きな部分よりも1.1倍以上の厚みを有する層をいう。非発泡層の密度は用いる樹脂、添加剤等の密度にもよるが、500kg/m3超であることが好ましい。非発泡層には発泡層より少ない数の気泡が含まれていてもよい。
非発泡層を構成する樹脂あるいは樹脂組成物(以降、「非発泡層構成樹脂」と称する場合がある)は、目的の高断熱性の多層押出発泡成形体を得るためには得られた発泡層と非発泡層とが良好に接着されていることが好ましいため、発泡層を構成する樹脂と相溶性を有する樹脂を選定することが好ましい。
発泡層を構成する樹脂と相溶性を有する熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレンランダム共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニル酢酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリレート、熱可塑性フェノール系樹脂等が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、前記発泡層を構成する樹脂との相溶性に優れること、成形性が容易なことから、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂が好ましく、スチレン系樹脂がより好ましい。
スチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン単量体のみから得られるスチレンホモポリマー、スチレン単量体とスチレンと共重合可能な単量体またはその誘導体から得られるランダム、ブロックまたはグラフト共重合体、後臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレン等の変性ポリスチレン、ABS樹脂等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
スチレンと共重合可能な単量体としては、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン等のスチレン誘導体、ジビニルベンゼン等の多官能性ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、アクリロニトリル等の(メタ)アクリル系化合物、ブダジエン等のジエン系化合物またはその誘導体、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸無水物、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−4−ジフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−4−ブロモフェニルマレイミド、N−1−ナフチルマレイミド等のN−アルキル置換マレイミド化合物;等があげられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
特に、非発泡層の構成樹脂としてスチレン系樹脂を用いる場合には、発泡層との相溶性の点から、スチレンホモポリマー、スチレンアクリロニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸共重合ポリスチレン、無水マレイン酸変性ポリスチレン、スチレン−不飽和ジカルボン酸無水物−N−アルキル置換マレイミド系共重合体、耐衝撃性ポリスチレンを用いることがさらに好ましく、最も好ましくはスチレンホモポリマーである。
粘着性・接着性を有する樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系共重合樹脂、天然ゴム系樹脂、クロロプレン系樹脂及び、上記樹脂にロジン類、ロジン誘導体、石油系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂、ケトン樹脂等の粘着付与剤樹脂を配合してなる樹脂組成物等が挙げられる。
非発泡層の構造は、特に限定されず、単層、複層のいずれの構造も採りうる。
非発泡層の厚みは、押出発泡成形体の厚み及び多層押出発泡成形体中の発泡層の数(発泡層/非発泡層/発泡層からなるユニットの数)に応じて適宜選択されるが、10〜500μmが好ましく、20〜300μmがより好ましく、30〜200μmが特に好ましく、40〜100μmが最も好ましい。非発泡層の厚みが10〜500μmの範囲では、軽量性及び断熱性を備えた押出発泡成形体を得ることができる。
非発泡層の製造時において、必要に応じて、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物等の加工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類等の耐光性安定剤、帯電防止剤、顔料等の着色剤等の添加剤を添加させることが好ましい。
これらの添加剤のなかでも、可塑剤は、本発明の多層押出発泡成形体の製造方法により得られる多層押出発泡成形体製造の際、樹脂合流界面の流れを乱さないようにするため、また、非発泡層構成樹脂の溶融粘度を発泡剤含有樹脂の溶融粘度に近づける調整を行う際に有効に働くため、添加することが好ましい。
非発泡層構成樹脂に添加する可塑剤としては、特に限定されず、一般に可塑剤として使用されているいずれの化合物の使用も可能であり、例えば、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジノルマルオクチル(DNOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジノニル(DNP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸混基エステル(C6〜C11)等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジアルキル(C6,8,10)(610A)、アジピン酸ジアルキル(C7,C9)(79A)アゼライン酸ジオクチル(DOZ)セバシン酸ジブチル(DBS)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、リン酸トリクレシル(TCP)、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、エポキシ化大豆油(ESBO)、トリメリット酸トリオクチル(TOTM)、塩素化パラフィン等の非フタル酸エステル類、等が挙げられる。
非発泡層構成樹脂に対する可塑剤の添加量は、狙いとする溶融粘度によって適宜選択されるが、非発泡層構成樹脂100重量部に対して1〜20重量部が好ましく、2〜15重量部が更に好ましく、3〜12重量部が特に好ましく、4〜10重量部が好ましい。可塑剤の添加量が非発泡層構成樹脂100重量部に対して、1〜20重量部の範囲では、押出の際に吐出変動が無く、押出後の表面ブリードアウトの無い非発泡層が得られる。
本発明において、各々の溶融樹脂を積層装置にて多層状に合流させ積層する方法としては、特に限定されず、例えば、共押出フィルムで一般に使用されているフィードブロック法、マルチマニホールド法、特表2005−523831号公報、特開2004−249520号公報等に記載の複数の分割流を作った後、逐次積層する方法、等が挙げられる。
押出発泡体を製造する際の積層装置の温度は、積層装置に供給される発泡剤含有溶融樹脂の樹脂温度に等しいか、異なっていても±10℃以下が好ましい。温度差が±10℃以下の場合、発泡適正温度でダイによる成形加工が可能となり、高倍率で低独立気泡率の良好な発泡層を有する押出発泡体を得ることができる。
押出発泡体を製造する際の積層装置内の圧力は、積層装置に供給される発泡剤含有溶融樹脂が積層装置内で発泡を起こさない圧力に設定される。但し、積層装置内で発泡を起こさない圧力は、発泡剤種、発泡剤量、発泡剤含有溶融樹脂の温度に依存するため、一概には設定できない。
本発明において、発泡成形方法も特に制限されないが、例えば、スリットダイより圧力開放して得られた発泡体をスリットダイと密着または接して設置した成形金型及び成形ロール等を用いて、断面積の大きい板状発泡体を成形する一般的な方法を用いることができる。
なお、発泡層の構成樹脂の溶融混練に関しては、
(i)熱可塑性樹脂に、必要に応じて前記添加剤を混合した後、加熱溶融する、
(ii)熱可塑性樹脂に、必要に応じて前記添加剤から選ばれる1種以上を混合した後、加熱溶融し、これに残りの前記添加剤をそのまま、または必要により液体化または溶融させて添加し加熱混合する、
(iii)予め熱可塑性樹脂に、必要に応じて前記添加剤から選ばれる1種以上の添加剤を混合した後、加熱溶融した組成物を準備し、次いで、該組成物と残りの前記添加剤、必要に応じて熱可塑性樹脂を改めて混合し、押出機に供給して加熱溶融する、
等、熱可塑性樹脂、必要に応じて、前記添加剤を加熱溶融押出機に供給し、
その後、任意の段階において高圧条件下で発泡剤を熱可塑性樹脂に添加し、流動ゲルとなす。その後、該流動ゲルは、押出発泡に適する温度に冷却した後、積層装置に供給される。
熱可塑性樹脂と発泡剤等の添加剤を加熱溶融混練する際の加熱温度、溶融混練時間及び溶融混練手段については特に制限するものではない。加熱温度は、使用する熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよいが、難燃剤等の影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度、例えば150〜280℃程度が好ましい。溶融混練時間は、単位時間あたりの押出量、溶融混練手段等によって異なるので一概には決定することができないが、熱可塑性樹脂と発泡剤が均一に分散混合するのに要する時間が適宜選ばれる。また、溶融混練手段としては、例えばスクリュー型の押出機等があげられるが、通常の押出発泡に用いられているものであれば特に限定はない。ただし、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるため、スクリュー形状については、低剪断タイプのスクリュー形状を用いる方が好ましい。
また、非発泡層の構成樹脂の溶融混練に関しても、例えば、
(i)熱可塑性樹脂に、必要に応じて前記添加剤を混合した後、加熱溶融する、
(ii)熱可塑性樹脂に、必要に応じて前記添加剤から選ばれる1種以上を混合した後、加熱溶融し、これに残りの前記添加剤をそのまま、または必要により液体化または溶融させて添加し加熱混合する、
(iii)予め熱可塑性樹脂に、必要に応じて前記添加剤から選ばれる1種以上の添加剤を混合した後、加熱溶融した組成物を準備し、次いで、該組成物と残りの前記添加剤、必要に応じて熱可塑性樹脂を改めて混合し、押出機に供給して加熱溶融する、
等、熱可塑性樹脂、必要に応じて前記添加剤を押出機に供給し、加熱溶融混練を行う。その後、該溶融混練物は積層装置に供給される。
熱可塑性樹脂と添加剤を加熱溶融混練する際の加熱温度、溶融混練時間及び溶融混練手段については特に制限するものではない。加熱温度は、使用する熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよいが、溶融樹脂が供給される積層装置の設定温度と等しいか、異なっていても温度差が±10℃以内であることが好ましい。温度差が±10℃以下の場合、発泡層と非発泡層の界面部分に破泡がなく接着不良のない良好な押出発泡体を得ることができる。溶融混練時間は、単位時間あたりの押出量、溶融混練手段等によって異なるので、一概には決定することができないが、熱可塑性樹脂と添加剤が均一に分散混合するのに要する時間が適宜選ばれる。また、溶融混練手段としては、例えばスクリュー型の押出機等があげられるが、通常の樹脂押出に用いられているものであれば特に限定はない。ただし、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるため、スクリュー形状については、低剪断タイプのスクリュー形状を用いる方が好ましい。
本発明の多層押出発泡成形体の製造方法により得られる多層押出発泡成形体の厚みは、特に限定されず、用途に応じて適宜選択される。例えば、建材等に使用される断熱材用途の場合、好ましい断熱性、曲げ強度及び圧縮強度を付与するためには、シートのような薄いものよりも、通常の板状物のような厚さのあるものが好ましく、通常10〜150mm、好ましくは20〜100mmである。
本発明の多層押出発泡成形体の製造方法により得られる多層押出発泡成形体の20℃での等価熱伝導率は、0.034W/(m・K)(0.0292kcal/(m・h・℃))以下が好ましく、0.032W/(m・K)(0.0275kcal/(m・h・℃))以下がより好ましく、0.030W/(m・K)(0.0258kcal/(m・h・℃))以下が特に好ましい。
等価熱伝導率が0.034W/(m・K)以下である発泡成形体は、建築用部材用途として好適に使用され、快適な居住空間の提供に貢献する。
本発明の多層押出発泡成形体の製造方法により得られる多層押出発泡成形体は、その優れた軽量性、断熱性の点から、種々の用途、例えば、床材、壁材、屋根材等の建築用部材、保冷車用断熱材、車両バンパー、自動車天井材等の自動車用部材、地盤の凍上防止剤等の土木用部材等に好適に使用できる。
次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、「%」は重量%を表わす。
実施例及び比較例に対する評価方法は、以下のとおりである。
(1)押出発泡成形体の寸法[単位:mm]
時間間隔をおいてサンプリングした3つの多層押出発泡成形体について、幅方向(押出方向と直交する水平方向。左右方向。)における中央部(幅方向の中点)での厚みを測定し、平均値を算出した。
時間間隔をおいてサンプルングした3つの多層押出発泡成形体について、厚み方向における中央部(厚み方向の中点)での幅を測定し、平均値を算出した。なお、多層押出発泡成形体の上表面から前記厚みの1/2の値、左側面から前記幅の1/2の値に位置する部分を中央部分とした。
(2)押出発泡成形体の密度[単位:kg/m3
時間間隔をおいてサンプリングした3つの押出発泡成形体に対して、JIS K7222−1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」に記載の方法に則り、発泡体密度を測定して、その平均値を算出した。
(3)押出発泡成形体の熱伝導率[単位:W/(m・K)]
押出発泡成形体の熱伝導率を、熱伝導率測定装置(栄弘精機製、HC−074−300)を用いて測定した。押出発泡成形体気泡内の空気の分圧が51kPa時の熱伝導率を実施例に示した。
(4)押出発泡成形体気泡内の空気の分圧
押出発泡成形体を切り出し面から10mmの部分を削除した後、幅方向における中央部より幅方向25mm、長さ方向25mm、厚み方向は成形体のままの厚さで切り出し、押出発泡成形体中の空気量を、ガスクロマトグラフ(島津製作所製 GC−14A)を用いて分析測定し、平均値を算出することにより、押出発泡成形体気泡内の空気の分圧を求めた。
(5)流速分布
有限要素法流動解析ソフトウェアPOLYFLOWを用いて下記仮定のもと流速分布を測定した。
・発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含有しない溶融樹脂の区別は行わず、ダイ内での発泡は無視する。
・層流は高粘性流(粘度1.7×106Pa・sのニュートン流)とし慣性項は無視する。
・装置内の温度は一定とし等温流とする。
(実施例1)
[発泡剤を含有する溶融樹脂Aの製造方法]
ポリスチレン(PSジャパン株式会社製、商品名:PSJ−ポリスチレン680、MFR=7.0g/10分)100重量部に対して、タルク(林化成株式会社製、商品名:TALCAN PAWDER PK−Z)0.5重量部、ステアリン酸カルシウム(堺化学工業株式会社製、商品名:SC−P)0.3重量部、流動パラフィン(新日本石油株式会社製、商品名:ポリブテンLV−50)0.1重量部からなる混合物をドライブレンドしてスチレン系樹脂組成物とした。該スチレン系樹脂組成物を、口径65mmの第1押出機と口径90mmの第2押出機とを直列に連結した二段式押出機に対して、60.5kg/時間で供給した。
第1押出機に供給したスチレン系樹脂組成物を、180℃に加熱して混練を行い、第1押出機の先端付近(第2押出機に接続される側)において、発泡剤として、スチレン系樹脂組成物100重量%に対して、i−ブタン(三井化学株式会社製)4.0重量%、ジメチルエーテル(大洋液化ガス株式会社製)4.0重量%を、溶融されたスチレン系樹脂組成物に圧入した。この際、第1押出機の先端における樹脂圧は15.2MPaであり、これに対して、発泡剤の圧入圧力は13.3MPaであった。
第1押出機に連結された第2押出機において、樹脂温度を121℃に冷却した後、2つに分流し、発泡剤を含有する溶融樹脂Aを第2押出機の先端に設けられた2種3層多層積層用フィードブロック(株式会社プラ技研製)に供給した。
[発泡剤を含有しない溶融樹脂Bの製造方法]
ポリスチレン(PSジャパン株式会社製、商品名:PSJ−ポリスチレン679、MFR=18g/10分)100重量部に対して、可塑剤としてジメチルフタレート(大八化学工業株式会社製、商品名:DMP)8.0重量部を添加して予めマスターバッチ化した。得られた樹脂を、口径50mmの押出機へ2.3kg/時間で供給した。供給した樹脂を125℃に加熱して溶融混練を行い、分流することなく、発泡剤を含有しない溶融樹脂Bを前記2種3層多層積層用フィードブロックに供給した。
[第1工程:発泡剤を含有する溶融樹脂Aと発泡剤を含有しない溶融樹脂Bを厚み方向に合流させ積層溶融樹脂Cを得る工程]
120℃に温調された前記2種3層多層積層用フィードブロック内で、3.1MPaの圧力下にて、厚み方向に、発泡剤を含有しない溶融樹脂Bを、2つに分流された発泡剤を含有する溶融樹脂Aで挟み込むようにして、それぞれ、11mm/3mm/11mmの厚みで合流させ積層溶融樹脂Cを得た。
[第2工程2〜第5工程:積層2倍化工程により倍加積層溶融樹脂Eを得る工程]
積層溶融樹脂Cを、図3に示す積層2倍化工程からなる120℃に温調された積層2倍化装置(株式会社プラ技研製)に供給して倍加積層溶融樹脂Eを得た。なお、整流工程の長さL(図8(b)参照。)は30mmとした。
また、分割積層溶融樹脂D1,D2を第5工程で合流させた直後の幅方向各部における倍加積層溶融樹脂Eの厚み方向の平均流速((厚み方向の流速の最大値+厚み方向の流速の最小値)/2)に対する厚み方向の流速差(厚み方向の流速の最大値−厚み方向の流速の最小値)の比率(厚み方向の流速差/厚み方向の平均流速)を前記有限要素法流動解析ソフトウェアにより算出した結果(図8(a)参照。)、最大値は0.28であった。
[第6工程:多層押出発泡成形体を得る工程]
倍加積層溶融樹脂Eを厚さ方向1.6mm、幅方向50mmの長方形断面の空隙を有し、80℃に温調されたダイリップより、合流された多層流を大気中へ押し出し、上下にベルトコンベアを配置した装置に挟み込んで引き取り、例えば図2のような断面の、厚み29mm、幅230mmの直方体状で発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層の5層構造からなる多層押出発泡成形体を得た。
得られた多層押出発泡成形体は、成形体を構成する発泡層及び非発泡層が厚み方向に若干斜めに積層された構造を有し、成形体密度は33kg/m3であり、空気分圧51kPaにおける熱伝導率は0.0283W/(m・K)であった。
(実施例2)
積層2倍化工程において、整流工程の長さL(図8(b)参照。)を50mmとした以外は、実施例1と同様とし、厚み25mm、幅235mmの直方体状で発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層の5層構造からなる押出発泡成形体を得た。
得られた多層押出発泡成形体は、成形体を構成する発泡層及び非発泡層が厚み方向に水平に積層された構造を有し、成形体密度は35kg/m3であり、空気分圧51kPaにおける熱伝導率は0.0279W/(m・K)であった。
また、分割積層溶融樹脂D1,D2を第5工程で合流させた直後の幅方向各部における倍加積層溶融樹脂Eの厚み方向の平均流速((厚み方向の流速の最大値+厚み方向の流速の最小値)/2)に対する厚み方向の流速差(厚み方向の流速の最大値−厚み方向の流速の最小値)の比率(厚み方向の流速差/厚み方向の平均流速)を前記有限要素法流動解析ソフトウェアにより算出した結果(図8(a)参照。)、最大値は0.15であった。
(実施例3)
積層2倍化工程において、整流工程の長さL(図8(b)参照。)を80mmとした以外は、実施例1と同様とし、厚み26mm、幅232mmの直方体状で発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層の5層構造からなる押出発泡成形体を得た。
得られた多層押出発泡成形体は、成形体を構成する発泡層及び非発泡層が厚み方向に水平に積層された構造を有し、成形体密度は37kg/m3であり、空気分圧51kPaにおける熱伝導率は0.0277W/(m・K)であった。
また、分割積層溶融樹脂D1,D2を第5工程で合流させた直後の幅方向各部における倍加積層溶融樹脂Eの厚み方向の平均流速((厚み方向の流速の最大値+厚み方向の流速の最小値)/2)に対する厚み方向の流速差(厚み方向の流速の最大値−厚み方向の流速の最小値)の比率(厚み方向の流速差/厚み方向の平均流速)を前記有限要素法流動解析ソフトウェアにより算出した結果(図8(a)参照。)、最大値は0.09であった。
(比較例1)
積層2倍化工程において、整流部の長さ(図8(b)参照。)を0mmとした以外は、実施例1と同様とし、発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層の5層構造からなる押出発泡成形体を得た。
得られた多層押出発泡成形体は、成形体を構成する発泡層及び非発泡層が厚み方向に斜めに積層された構造を有し、成形体密度は35.5kg/m3であり、空気分圧51kPaにおける熱伝導率は0.0295W/(m・K)であった。
また、分割積層溶融樹脂D1,D2を第5工程で合流させた直後の幅方向各部における倍加積層溶融樹脂Eの厚み方向の平均流速((厚み方向の流速の最大値+厚み方向の流速の最小値)/2)に対する厚み方向の流速差(厚み方向の流速の最大値−厚み方向の流速の最小値)の比率(厚み方向の流速差/厚み方向の平均流速)を前記有限要素法流動解析ソフトウェアにより算出した結果(図8(a)参照。)、最大値は0.90であった。
(実施例4)
積層2倍化工程を図6に示す工程(図9(b)も参照。)とし、それ以外は実施例1と同様とし、倍加積層溶融樹脂Eを得た。
得られた多層押出発泡成形体は、成形体を構成する発泡層及び非発泡層が厚み方向に水平に積層された構造を有し、成形体密度は36kg/m3であり、空気分圧51kPaにおける熱伝導率は0.0275W/(m・K)であった。
また、分割積層溶融樹脂D1,D2を第5工程で合流させた直後の幅方向各部における倍加積層溶融樹脂Eの厚み方向の平均流速((厚み方向の流速の最大値+厚み方向の流速の最小値)/2)に対する厚み方向の流速差(厚み方向の流速の最大値−厚み方向の流速の最小値)の比率(厚み方向の流速差/厚み方向の平均流速)を前記有限要素法流動解析ソフトウェアにより算出した結果(図9(a)参照。)、幅方向各部全てにおいて流速差(左右の流速差)は認められなかった。
(実施例5)
積層2倍化工程を図7に示す工程(図10(b)も参照。)とし、それ以外は実施例1と同様とし、倍加積層溶融樹脂Eを得た。
得られた多層押出発泡成形体は、成形体を構成する発泡層及び非発泡層が厚み方向に水平に積層された構造を有し、成形体密度は37kg/m3であり、空気分圧51kPaにおける熱伝導率は0.0277W/(m・K)であった。
また、分割積層溶融樹脂D1,D2を第5工程で合流させた直後の幅方向各部における倍加積層溶融樹脂Eの厚み方向の平均流速((厚み方向の流速の最大値+厚み方向の流速の最小値)/2)に対する厚み方向の流速差(厚み方向の流速の最大値−厚み方向の流速の最小値)の比率(厚み方向の流速差/厚み方向の平均流速)を前記有限要素法流動解析ソフトウェアにより算出した結果(図10(a)参照。)、幅方向各部全てにおいて流速差(左右の流速差)は認められなかった。
以上の実施例1〜5並びに比較例1により、積層2倍化工程における第4工程と第5工程との間に、2つの分割積層溶融樹脂D1,D2が上下に揃うように位置合せされた左右方向の位置関係を保持して2つの分割積層溶融樹脂D1,D2が分離した状態のまま下流側へ所定長さ(整流工程の長さL)移動させる、左右の流速差を低減させる整流工程を設けたことにより、第5工程で合流後の倍加積層溶融樹脂Eにおいて、その幅方向各部での厚み方向の流速差が低減し、得られた多層押出発泡成形体において成形体を構成する発泡層及び非発泡層が斜めに積層される現象を解消できるとともに、断熱性能を改善できることが確認できた。
A 発泡剤を含有する溶融樹脂
B 発泡剤を含有しない溶融樹脂
C 積層溶融樹脂
D1,D2 分割積層溶融樹脂
E 倍加積層溶融樹脂
F 流れ方向
L 整流路の長さ
1 発泡用押出機
2 非発泡用押出機
3 積層装置
4 積層2倍化装置
5 成形金型
6 成形機
7 多層押出発泡成形体
8 発泡層
9 非発泡層
10 整流路

Claims (5)

  1. 加熱可塑化した溶融樹脂を流れ方向に押し出しながら金型で一定断面の形状に整えて連続的に成形する押出発泡成形体の製造方法において、発泡剤を含有する少なくとも1つの溶融樹脂と発泡剤を含有しない少なくとも1つの溶融樹脂とを高圧下で厚み方向である上下方向に合流させて積層溶融樹脂を得る第1工程と、この積層溶融樹脂を幅方向である左右方向中央で分割し左右方向に離反させて左右2つの分割積層溶融樹脂を得る第2工程と、これら左右2つの分割積層溶融樹脂を、一方の下端が他方の上端よりも上になるように上下方向に離反させる第3工程と、これら2つの分割積層溶融樹脂を左右方向に接近させ、これら2つの分割積層溶融樹脂の左右方向中央が、前記積層溶融樹脂の左右方向中央を通り前記流れ方向に平行な垂直平面内に位置するように上下に重なる位置まで、これら2つの分割積層溶融樹脂が分離した状態で上下に揃うように位置を合わせる第4工程と、これら上下2つの分割積層溶融樹脂を上下方向に合流させて倍加積層溶融樹脂を得る第5工程とを含む多層押出発泡成形体の製造方法であって、
    前記第4工程と第5工程との間に、前記2つの分割積層溶融樹脂が上下に揃うように位置合せされた左右方向の位置関係を保持して前記2つの分割積層溶融樹脂が分離した状態のまま下流側へ所定長さ移動させることにより、左右の流速差を低減させる整流工程を設けたことを特徴とする多層押出発泡成形体の製造方法。
  2. 前記第1工程と前記第2工程との間に、前記積層溶融樹脂の断面積を変化させずに幅を2倍に拡大する幅拡大工程を設けてなる請求項1記載の多層押出発泡成形体の製造方法。
  3. 前記第2工程と前記第3工程との間、前記第3工程と前記第4工程との間又は前記第4工程と前記第5工程との間に、前記分割積層溶融樹脂の各々について断面積を変化させずに幅を2倍に拡大する幅拡大工程を設けてなる請求項1記載の多層押出発泡成形体の製造方法。
  4. 前記第5工程の後に、前記倍加積層溶融樹脂の断面積を変化させずに幅を2倍に拡大する幅拡大工程を設けてなる請求項1記載の多層押出発泡成形体の製造方法。
  5. 加熱可塑化した溶融樹脂を流れ方向に押し出しながら金型で一定断面の形状に整えて連続的に成形する押出発泡成形体の製造装置において、発泡剤を含有する溶融樹脂を加圧して供給する発泡用押出機及び発泡剤を含有しない溶融樹脂を加圧して供給する非発泡用押出機、これらの押出機から供給された、発泡剤を含有する少なくとも1つの溶融樹脂と発泡剤を含有しない少なくとも1つの溶融樹脂とを厚み方向である上下方向に合流させて積層溶融樹脂とする積層装置、前記積層溶融樹脂を幅方向である左右方向中央で分割して2つの分割積層溶融樹脂とし、これら分割積層溶融樹脂を上下に重ね合わせるように合流させて倍加積層溶融樹脂とする積層2倍化装置、並びに、前記倍加積層溶融樹脂を大気圧下に開放して発泡剤を気化させることにより高倍化させる成形金型を備えた多層押出発泡成形体の製造装置であって、
    前記積層2倍化装置が、前記左右2つの分割積層溶融樹脂を、一方の下端が他方の上端よりも上になるように上下方向に離反させ、これら2つの分割積層溶融樹脂を左右方向に接近させ、これら2つの分割積層溶融樹脂の左右方向中央が、前記積層溶融樹脂の左右方向中央を通り前記流れ方向に平行な垂直平面内に位置するように上下に重なる位置まで、これら2つの分割積層溶融樹脂が分離した状態で上下に揃うように位置を合わせた後に、前記2つの分割積層溶融樹脂が上下に揃うように位置合せされた左右方向の位置関係を保持して前記2つの分割積層溶融樹脂が分離した状態のまま下流側へ所定長さ移動させる整流路を備え、この整流路により左右の流速差を低減させた後に前記分割積層溶融樹脂を上下に重ね合わせるように合流させることを特徴とする多層押出発泡成形体の製造装置。
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