JP2013202812A - 断熱性能に優れたポリスチレン系樹脂押出発泡積層体 - Google Patents

断熱性能に優れたポリスチレン系樹脂押出発泡積層体 Download PDF

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JP2013202812A JP2012071554A JP2012071554A JP2013202812A JP 2013202812 A JP2013202812 A JP 2013202812A JP 2012071554 A JP2012071554 A JP 2012071554A JP 2012071554 A JP2012071554 A JP 2012071554A JP 2013202812 A JP2013202812 A JP 2013202812A
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Abstract

【課題】 顕著な断熱性能の改善効果を有するポリスチレン系樹脂押出発泡積層体を提供する。
【解決手段】 厚み方向に発泡層が非発泡層を介して積層された発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層の2種5層構造を有し、非発泡層の積層位置を表面から10〜20%の位置とする押出発泡積層体とすることにより、非発泡層の積層による発泡層を構成する気泡の熱打撃が抑制され、断熱性能の向上が図れる。発泡層を形成する気泡の厚み方向平均気泡を0.07〜0.15mmとし、発泡層の密度を45Kg/m以下、発泡層に熱線輻射抑制剤を含有することにより、軽量且つ、更なる断熱性能の改善効果を有する押出発泡積層体を得ることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、建築用、土木用、自動車用などの断熱材として好適に使用される押出発泡積層体に関する。
建材分野、自動車内装材分野等において、断熱材としてフェノール系樹脂発泡ボード、ポリウレタン系樹脂発泡ボード、ポリスチレン系樹脂発泡ボードが広く使用されている。
近年、居住空間の快適性、省エネルギーの要求が高まるなか、従来から使用されている断熱材の断熱性能向上が求められており、断熱材のひとつである発泡ボードの断熱性能改善のため、発泡ボードを構成する樹脂の検討、発泡剤種の検討、添加剤の検討、セル構造の検討等、様々な検討がなされてきた(特許文献1〜6参照)。
これら検討の結果、発泡ボードの断熱性能は飛躍的に向上し、前記従来技術の延長線上では、断熱性能の更なる向上は容易に見込めない領域に達した観があるのが現状である。
一方、発泡ボードに良好な断熱性能を付与する発泡剤の1種であるフロン類は、オゾン層を破壊する原因物質とされており、その使用、排出は制約を受け、更に地球環境的側面から、全廃が叫ばれて久しい。
このような状況下において、発泡ボードの更なる断熱性能改善を図るには、従来から行われてきた前記検討の視点とは異なるアプローチが必要である。
発泡ボードの断熱性能改善に関する新たな試みとして、特許文献7に開示の技術がある。これは、発泡層と非発泡層を共押出法を用いて交互に積層した多層押出発泡体に関するもので、非発泡層の構成樹脂を発泡層構成樹脂に対し、空気透過率の低い樹脂を1種以上包含することにより押出発泡体の断熱性の向上及び断熱性能の経時変化が抑制できるものである。
しかしながら、非発泡層を3つ以上構成し、実施例に記載されたような2種25層からなる超多層構造を構成しつつ、発泡層の中央層に非発泡層を積層するため、共押出法による多層発泡体形成時、押出発泡直後の厚み方向表層部からの冷却が発泡層中央部にまで行き渡らず、非発泡層樹脂の熱打撃によって、発泡層を構成する気泡が破泡、連通化によって、非発泡層−発泡層界面に空隙が生じ、その結果、非発泡層の多層積層による大幅な熱伝導率の向上を図るためには改善の余地があった。また、輻射抑制剤を非発泡層中に添加することにより、断熱性能改善するものであるが、多層押出発泡体厚み方向に占める非発泡層の厚み比が小さい(非発泡層厚みが発泡層厚みに対し非常に薄い)為、輻射抑制剤添加効果の十分な発現が認められず、断熱性能の経時変化抑制は達せられるものの、製造直後の断熱性能の大幅な改善を得るためには改善の余地があった。
一方、発泡層と非発泡層を共押出法を用いて、発泡体の断熱性能改善に関する試みとして、特許文献8に開示の技術がある。これは、発泡層と非発泡層からなる発泡成形体各層の積層構造の乱れを抑制する方法として、発泡層を構成する溶融樹脂と非発泡層を構成する溶融樹脂とを高圧下で厚み方向に合流させて積層溶融樹脂を得る第1工程、積層溶融樹脂を幅方向中央で分割して離反させて2つの分割積層溶融樹脂を得る第2工程、2つの分割積層溶融樹脂を厚み方向に離反させる第3工程、2つの分割積層溶融樹脂が分離した状態で上下に揃うように位置を合わせる第4工程及び上下の分割積層溶融樹脂を合流させて倍加積層溶融樹脂を得る第5工程を含み、前記第4工程と第5工程との間に、分割積層溶融樹脂が上下に揃うように位置合せされた左右方向の位置関係を保持してこれらが分離した状態のまま下流側へ所定長さ移動させることにより左右の流速差を低減させる整流工程を用いることが開示されており、安定した発泡層と非発泡層からなる多層構造体が得られる。
しかしながら、この方法を用いる場合においては、発泡層と非発泡層からなる発泡成形体各層の積層構造の乱れを抑制できる利点はあるものの、専用の分割積層装置及び5工程からなる整流工程を必要とし、製造管理の点において、改善の余地があった。
特開2008−13659号公報 特開2007−154006号公報 特開2001−114922号公報 特開2002−309030号公報 特開平8−231667号公報 特開2007−332203号公報 特開2011−173245号公報 特開2011−194697号公報
本発明は、前記課題を解決するものであり、発泡剤としてフロン類を使用することなく、顕著な断熱性能の改善効果を有する断熱材用押出発泡積層体を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記の事項等を見出し、本発明を完成するに至った。
・ポリスチレン系樹脂発泡積層体を構成する発泡層の厚み方向の気泡の大きさを0.07〜0.15mmと比較的小さく、かつ、均一化することにより、断熱性能が改善されると共に、形状の安定した発泡層の形成が容易になされること。
・非発泡層の積層位置を押出発泡積層構造体の厚み方向表層に近接し、かつ、構造体全体の厚みの表層部10〜20%の位置に積層することにより、非発泡層の積層による発泡層を構成する気泡の熱打撃が抑制され、断熱性能の向上を図ることができること。
すなわち、本発明は、
[1] 厚み方向に発泡層が非発泡層を介して積層された構造を有する発泡積層体であって、
発泡積層体の密度が50kg/m以下であり、
厚み方向に発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層の順に積層された2種5層の構造を有し、
押出積層体の厚み方向に積層される2つの非発泡層が、押出発泡積層体の全厚さに対し、表層から10〜20%の位置に積層されてなり、
発泡層を構成する樹脂がポリスチレン系樹脂であり、該樹脂に熱線輻射抑制剤を含有し、発泡層を形成する気泡の厚み方向の平均気泡径が0.07〜0.15mmであり、
非発泡層を構成する樹脂が、非発泡層構成樹脂全体を100重量%として、スチレン系樹脂10〜50重量%と、ニトリル系樹脂50〜90重量%およびスチレン−不飽和ニトリル共重合体系樹脂0〜40重量%から構成され、かつ、
製造後1日経過時の20℃における熱伝導率が0.026W/m・K以下、且つ製造後30日経過後の20℃における熱伝導率が0.029W/m・K以下であることを特徴とする、ポリスチレン系樹脂押出発泡積層体、
[2] 発泡層に包含される熱線輻射抑制剤がグラファイト、カーボンブラック、酸化チタン、酸化アルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、[1]に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡積層体、および
[3] 押出発泡積層体が共押出法により製造されたものであることを特徴とする、[1]、[2]に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡積層体、
に関する。
本発明の効果は、以下のとおりである。
・厚み方向に発泡層が非発泡層を介して積層された押出発泡積層構造体であって、発泡層の厚み方向の気泡径を均一且つ小さくし、特定の密度以下とし、発泡層に熱線輻射抑制剤を包含することにより断熱性能が改善される。
・非発泡層の積層位置を押出発泡積層構造体の厚み方向表層に近接し、かつ、構造体全体の厚みの表層部10〜20%の位置に積層することにより、非発泡層の積層による発泡層を構成する気泡の熱打撃が抑制され、断熱性能を向上が図れる。
上記効果は、発泡ボードの断熱性改善の従来技術との組合せが可能であるため、これらにより、従来にない優れた断熱性能を有する発泡ボードをより簡素な方法での提供を期待できるものである。
図1は、本発明の実施例の1例を示す押出発泡積層体の断面図である。 図2は、本発明の比較例の1例を示す押出発泡積層体の断面図である。 図3は、本発明における、非発泡層の積層位置に関する定義を説明する為の模式図である。非発泡層の積層位置は、中央の発泡層1−Cと非発泡層2−Aとの境界面、および、図示していないが、中央の発泡層1−Cと非発泡層2−Bとの境界面である。
本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡積層体は、
厚み方向に発泡層が非発泡層を介して積層された発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層の2種5層構造を有し、押出積層体の厚み方向に積層される2つの非発泡層の積層位置が、押出発泡積層体の全厚さを100%とした場合、押出発泡積層体の最表層から10〜20%の位置であり、発泡層を構成する気泡の厚み方向の径が0.07〜0.15mm、発泡層の密度が45kg/m以下であり、発泡層を構成するポリスチレン系樹脂中に熱線輻射抑制剤を含み、非発泡層を構成する樹脂として、ポリスチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂より空気透過率の低い樹脂を含むことが必要である。
本発明の発泡積層体を構成する発泡層とは、複数のハニカム状のセル構造を有するものをさし、構成材として熱線輻射抑制剤を含むものである。その形状としては、特に限定されず、フィルム形状、シート形状、ボード形状が挙げられ、これらの中でも、断熱性能を発現しやすいこと、発泡積層体に軽量性を付与できることより、シート形状、ボード形状が好ましい。
本発明の発泡積層体を構成する非発泡層とは、密度が500kg/m超の層をさし、構成材として非発泡層を構成する樹脂がポリスチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂より空気透過率の低い樹脂から構成されるものを含む。非発泡層の形状としては、押出発泡積層体に軽量性を付与できることから、フィルム形状、シート形状が好ましい。非発泡層の構成としては、特に限定されず、単層でも複層でも構わない。
本発明の押出発泡積層体を構成する発泡層の構成樹脂としては、断熱性能に優れ、成形性が容易なことから、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂などが挙げられる。これらのなかでも、加工性、経済性の点から、スチレン系樹脂が好ましい。
スチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン単量体のみから得られるスチレンホモポリマー、スチレン単量体とスチレンと共重合可能な単量体またはその誘導体から得られるランダム、ブロックまたはグラフト共重合体、後臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチレン、ABS樹脂などが挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
スチレンと共重合可能な単量体としては、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのスチレン誘導体、ジビニルベンゼンなどの多官能性ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系化合物、ブダジエンなどのジエン系化合物またはその誘導体、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和カルボン酸無水物、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−4−ジフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−4−ブロモフェニルマレイミド、N−1−ナフチルマレイミド等のN−アルキル置換マレイミド化合物;などがあげられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の押出発泡積層体を構成する発泡層を得る際に用いられる発泡剤としては、特に限定されず、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンなどの炭素数3〜5の飽和炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケトン、エチルn−ブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類;蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどのエステル類;塩化メチル、塩化エチルなどのハロゲン化アルキル類;水、二酸化炭素などの無機発泡剤、さらには、アゾ化合物、テトラゾールなどの化学発泡剤等が挙げられる。これら発泡剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これら発泡剤の中でも、発泡性、発泡体成形性などの点からは、n−ブタン、i−ブタン、プロパン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、塩化メチル、塩化エチルなどが好ましく、発泡剤の燃焼性、発泡体の難燃性または断熱性等の点からは水、二酸化炭素が好ましく、更に好ましくは、環境適合性に優れることより、n−ブタン、i−ブタン、プロパン、ジメチルエーテル、水、二酸化炭素である。
本発明の押出発泡積層体を構成するポリスチレン系樹脂からなる発泡層を製造する際に、ポリスチレン系樹脂中に添加または注入される発泡剤の量としては、発泡倍率の設定値などに応じて適宜選定されるが、通常、発泡剤の合計量を、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して1〜20重量部とするのが好ましく、3〜8重量部とするのがより好ましい。
発泡剤の合計添加量が1〜20重量部の場合、発泡層中にボイドが無く、難燃性が制御可能な、適度な発泡倍率の発泡層が得られ、発泡積層体として軽量、断熱などの特性が発現される。
発泡剤を添加または注入する際の圧力としては、特に限定されず、押出機などの内圧力よりも高い圧力であればよい。
本発明の押出発泡積層体を構成するポリスチレン系樹脂発泡層を構成する気泡の厚み方向平均径は、0.07〜0.15mmが好ましく、0.07〜0.12mmがより好ましく、0.07〜0.11mmがさらに好ましい。
発泡層における平均気泡径が0.07〜0.15mmの範囲では、熱線遮蔽効果を有効に発現でき、断熱性を備えた発泡層とすることができる。
なお、厚み方向の平均セル径が0.07mm未満の気泡構造となる場合、気泡壁、気泡壁結合部の厚みが薄くなり、セル壁、気泡壁結合部を熱線が通過することによる輻射抑制効果が低減し、断熱性が悪化する場合がある。
ここで、厚み方向の平均気泡径(X1)は、以下のように求める。
(1)中央部に位置する発泡層の断面写真を顕微鏡、例えばマイクロハイスコープ、走査型電子顕微鏡などを用いて倍率20〜200倍にて撮影する。このとき、厚み方向を縦方向、押出方向を横方向にて撮影する。また、測定倍率は気泡径により適宜選択される。
(2)断面写真の縦方向に任意に2mmの直線を3本引き、その直線に接する気泡の個数(X1)を測定する。次の式により、気泡の厚み方向の平均気泡径(X1)を求める。
X1[単位:mm]=2×3÷気泡の個数(Y1)
本発明においては、押出発泡積層体中の、発泡層における厚み方向の平均気泡径を制御する方法としては、溶融樹脂の樹脂選択、発泡剤量調整、可塑剤量調整、樹脂温度調整等による粘度調整、または、吐出量調整によって、溶融樹脂が積層装置に供給される際の樹脂圧力を調整することにより調整することが好ましい。
発泡層の厚み方向の平均気泡径を制御する別の方法としては、
(a)シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機化合物などに代表される造核剤や、層状珪酸塩をスチレン系樹脂に添加し、これらの添加量により調整する方法、
(b)溶融混練手段である押出機のスクリュー形状や、加熱温度、圧力、溶融混練されたスチレン系樹脂組成物がダイリップから吐出される量、ダイス形状、吐出の際の樹脂温度などによって調整する方法も、挙げられる。
本発明の押出発泡積層体を構成するポリスチレン系樹脂発泡層の密度は、45kg/m以下が好ましく、より軽量でかつ優れた断熱性を付与するためには、20〜40kg/mであることがより好ましい。
発泡層の密度が20〜40kg/mの範囲では、軽量性と断熱性を備えた発泡層を得ることができる。
本発明の押出発泡積層体を構成するポリスチレン系樹脂発泡層の厚みは、押出発泡積層体の厚み及び押出発泡積層体中の非発泡層の数(発泡層/非発泡層/発泡層からなるユニットの数)に応じて、適宜選択される。
本発明の押出発泡積層体である発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層の2種5層構造体の場合、ポリスチレン系樹脂発泡層の厚みは、例えば、建材などに使用される断熱材用途の場合、好ましい断熱性、曲げ強度および圧縮強度を付与するためには、シートのような薄いものよりも、通常の板状物のような厚さのあるものが好ましく、通常10〜200mm、好ましくは25〜150mm、より好ましくは30〜100mmである。
本発明の押出発泡積層体を構成するポリスチレン系樹脂発泡層に含まれる熱線輻射抑制剤とは、近赤外または赤外領域(例えば、800〜3000nm程度の波長域)の光を反射・散乱・吸収する特性を有する材料をいう。熱線輻射抑制剤としては、熱線反射剤、熱線吸収剤が挙げられる。
本発明のポリスチレン系樹脂発泡層に含有される熱線輻射抑制剤としては、具体的には、グラファイト、カーボンブラック、クロム黒、クロム酸銅、鉛白、酸化亜鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、リトポン(硫化亜鉛と硫化バリウムの混合物)、アンチモン白、雲母、酸化アルミニウム、アルミナホワイト、ホワイトカーボン、ハイドロタルサイト、シラスバルーン、セラミックバルーン、マイクロバルーン、パールマイカ等が挙げられる。これら熱線輻射抑制剤は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの中で、熱伝導率低減効果が大きいこと、コスト的に有利なこと、環境適合面、安全面を含めたハンドリング性が良好なこと、等により、グラファイト、カーボンブラック、酸化チタン、酸化アルミナが好ましい。
本発明のポリスチレン系樹脂発泡層に含有される熱線輻射抑制剤の添加量は、熱線輻射抑制剤の種類、熱線輻射抑制剤を含んだポリスチレン系樹脂発泡層の厚みによって適宜設定されるが、その指標としては、赤外線分光光度計(IR)にて測定したスペクトルの800〜3000nmの吸光度変化が殆ど無いような添加量を設定することが、押出発泡積層体の熱伝導率の低減効果とコストとのバランスが優れるため好ましく、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、0.3〜10重量部がより好ましく、0.5〜5重量部がさらに好ましい。
熱線輻射抑制剤として、グラファイトを用いる場合、グラファイトとしては、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛または熱分解黒鉛などの天然黒鉛であってもよい。グラファイトは、固定炭素数80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
本発明のポリスチレン系樹脂発泡層に含有される熱線輻射抑制剤の平均粒径は、特に限定されるものではない。
例えば、熱線輻射抑制剤がカーボンブラックの場合、その平均粒径は、0.01〜0.3μmが好ましく、0.2〜0.25μmがより好ましい。
また、熱線輻射抑制剤がカーボンブラックの場合、そのの平均粒径は、1〜30μmが好ましく、発色性および赤外線領域での遠赤外線吸収/反射度合いに影響を与えるため、5〜15μmがより好ましい。
熱線輻射抑制剤が酸化チタンの場合、平均粒径は、樹脂への分散性、発色性の観点から、小粒径、すなわち、0.1〜0.5μmが好ましく、0.15〜0.3μmがより好ましい。酸化チタンの平均粒径が上記範囲であれば、分散性や発色性がよく、可視光域400〜800nm付近での発色度合いを向上させることができる。一方、近赤外線から遠赤外線領域において樹脂への赤外吸収を抑制したい場合には、酸化チタンの平均粒径は、大粒径、すなわち、0.8〜1.5μmが好ましく、0.8〜1.0μmがより好ましい。
本発明の押出発泡積層体を構成するポリスチレン系樹脂発泡層の製造において、必要に応じて、難燃剤、難燃助剤、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤;フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤;帯電防止剤;顔料などの着色剤などの添加剤を添加させることが好ましい。
また、より安定的に押出発泡するためには、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスフェート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイトなどのヒンダードフェノール系抗酸化剤;トリフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビスステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイトなどのリン系安定剤;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどのアミン系安定剤、3,3−チオビスプロピオン酸ジオデシルエステル、3,3’−チオビスプロピオン酸ジオクタデシルエステルなどのイオウ系安定剤を添加するのが好ましい。
本発明の押出発泡積層体を構成するポリスチレン系樹脂発泡層は、共押出法による押出発泡成形により製造されるのが好ましい。
押出発泡成形の成形方法としては、例えば、
(i)ポリスチレン系樹脂に、必要に応じて前記添加剤を混合した後、加熱溶融する、
(ii)ポリスチレン系樹脂に、必要に応じて前記添加剤から選ばれる1種以上を混合した後、加熱溶融し、これに残りの前記添加剤をそのまま、または必要により液体化または溶融させて添加し加熱混合する、
(iii)予めポリスチレン系樹脂に、必要に応じて前記添加剤からから選ばれる1種以上の添加剤を混合した後、加熱溶融した組成物を準備し、次いで、該組成物と残りの前記添加剤、必要に応じて熱可塑性樹脂を改めて混合し、押出機に供給して加熱溶融する、
等、ポリスチレン系樹脂、必要に応じて前記添加剤を加熱溶融押出機に供給し、その後、任意の段階において高圧条件下で発泡剤をポリスチレン系樹脂に添加し、流動ゲルとなし、押出発泡に適する温度に冷却し、該流動ゲルをフィードブロックなどの多層積層装置に供給し、発泡剤を含まない溶融樹脂と合流した後、ダイを通じて低圧領域に押出発泡して、発泡層を形成することにより製造することができる。
ポリスチレン系樹脂と発泡剤などの添加剤を加熱溶融混練する際の加熱温度、溶融混練時間および溶融混練手段については特に制限するものではない。
加熱温度は、使用する熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよいが、難燃剤などの影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度、例えば150〜280℃程度が好ましい。
溶融混練時間は、単位時間あたりの押出量、溶融混練手段などによって異なるので一概には決定することができないが、ポリスチレン系樹脂と発泡剤が均一に分散混合するのに要する時間が適宜選ばれる。
溶融混練手段としては、例えばスクリュー型の押出機などがあげられるが、通常の押出発泡に用いられているものであれば特に限定はない。ただし、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるため、スクリュー形状については、低剪断タイプのスクリュー形状を用いる方が好ましい。
また、発泡成形方法も特に制限されないが、例えば、スリットダイより圧力開放して得られた発泡体をスリットダイと密着または接して設置した成形金型および成形ロールなどを用いて、断面積の大きい板状発泡体を成形する一般的な方法を用いることができる。
本発明の押出発泡積層体を構成する非発泡層樹脂(以降、「非発泡層構成樹脂」と称する場合がある)としては、目的の熱伝導率、かつ、その経時変化が少ない押出発泡積層体を得るために、非発泡層構成樹脂が、スチレン系樹脂と、スチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂を含んでいる必要がある。
ここで、本発明における空気透過率としては、ガス透過率に関して定められた規格であるJIS K 7126(2006)に準拠して、23℃、50%相対湿度の環境下にて測定して得られた値をいう。
本発明においては、非発泡層を構成する樹脂が、スチレン系樹脂と、スチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂を含むことにより、発泡層と非発泡層との接着性および、非発泡層によるガスバリヤー性を両立することができる。
非発泡層構成樹脂が、スチレン系樹脂のみの場合、得られる押出発泡積層体は、非発泡層を有さない押出発泡体と同様に、押出発泡体内への速やかな空気の浸入が生じるため、目的とする低熱伝導率が維持できない傾向がある。また、非発泡層構成樹脂が、スチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂のみの場合、発泡層と非発泡層との界面で剥離が生じ、剥離箇所において発泡層内へ速やかな空気の侵入が生じるため、部分的に目的とする熱伝導率が維持できない上に、外観美麗な押出発泡積層体を得ることができない傾向がある。
非発泡層構成樹脂中の相構造が、スチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂を連続相として成ることにより、スチレン系樹脂のガスバリヤー性能の影響を小さくし、スチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂のガスバリヤー性能を有効に発揮することができる。
本発明においては、ガスバリヤー性の確保の観点から、非発泡層構成樹脂の相構造における、スチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂成分中の分散相を形成する成分比率は、30%未満が好ましく、20%未満がより好ましい。
非発泡層構成樹脂の相構造における、スチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂成分中の分散層を形成する成分比率が30%以上の場合、非発泡層構成樹脂の相構造は、スチレン系樹脂成分が連続相の海島構造となり、非発泡層構成樹脂の相構造における、スチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂成分のガスバリヤー性能が十分に発揮されず、得られた押出発泡積層体の熱伝導率の経時変化が大となる傾向がある。
更に、非発泡層構成樹脂の相構造における、スチレン系樹脂成分中の分散相を形成する成分比率は、30%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。更に好ましくは50%以上である。
非発泡層構成樹脂の相構造における、スチレン系樹脂成分中の分散相を形成する成分比率が30%未満であると、非発泡層構成樹脂の相構造は、共連続構造、またはスチレン系樹脂成分が連続相の海島構造となり、非発泡層構成樹脂の相構造における、スチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂成分のガスバリヤー性能が十分に発揮されず、得られた押出発泡積層体の熱伝導率の経時変化が大となる傾向がある。
本発明の非発泡層を構成する樹脂のうち、スチレン系樹脂は、不飽和ニトリル単量体に由来する単位を含有しない。それ以外に特に限定はなく、例えば、スチレン単量体のみから得られるスチレンホモポリマー、スチレン単量体および不飽和ニトリル単量体以外のスチレンと共重合可能な単量体またはその誘導体から得られるランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、後臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチレンなどが具体例としてあげられる。
スチレンと共重合可能な単量体としては、例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのスチレン誘導体、ジビニルベンゼンなどの多官能性ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル系化合物、ブダジエンなどのジエン系化合物またはその誘導体、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、桂皮酸などの重合性不飽和脂肪酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−P−ブロモフェニルマレイミド、N−O−クロルフェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和カルボン酸無水物類、アリルグリシジルエーテル、グリシジメタアクリレートなどのエポキシ基含有不飽和化合物、アリルアミン、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸−アミノプロピル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミドなどのアクリルアミド系化合物、2−ヒドロキシエチル−アクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、4−ヒドロキシ−2−ブテンなどの水酸基含有不飽和化合物などがあげられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を混合して使用してもよい。
スチレン系樹脂のうちでは、加工性の面からスチレンホモポリマー、(メタ)アクリル酸共重合ポリスチレン、無水マレイン酸変性ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレンなどが好ましい。最も好ましくは、スチレンホモポリマーである。さらに、本発明の非発泡層構成樹脂のうち、スチレン系樹脂は、MFR、成形加工時の溶融粘度、溶融張力などを調整する目的で、分岐構造を有するスチレン系樹脂であってもよい。
本発明の非発泡層構成樹脂のうち、スチレン系樹脂は、単独で使用してもよく、共重合成分、分子量や分子量分布、分岐構造、メルトフローレート(以降、「MFR」と略す。)などの異なるスチレン系樹脂を2種以上混合して使用してもよい。
本発明の非発泡層構成樹脂のうち、スチレン系樹脂は、200℃におけるMFRが0.1〜50g/10分のものを用いることが、成形加工性および押出発泡積層体とした際の機械的強度、靱性などのバランスの点から好ましく、0.3〜30g/10分がさらに好ましく、0.5 〜20g/10分が特に好ましい。なお、本発明においてMFRは、JIS K7210(1999年)のA法、試験条件H により測定される。
本発明の非発泡層構成樹脂のうち、用いるスチレン系樹脂よりも空気透過率が低い樹脂としては、例えば、ニトリル系樹脂、スチレン−不飽和ニトリル共重合体系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エンジニアリングプラスチック、脂肪族ポリエステル系樹脂などが挙げられ、これらを単独もしくは2種以上混合して使用することができる。
これらのうちでも、ガスバリヤー性と加工性に優れる点から、ニトリル系樹脂およびスチレン−不飽和ニトリル共重合体系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有することが好適である。
本発明の非発泡層構成樹脂として、用いるスチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂であるニトリル系樹脂は、不飽和ニトリル単量体に由来する単位を50重量%以上含有するアクリロニトリルなどの不飽和ニトリルを主な重合単量体成分とする重合体である。不飽和ニトリルとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α− クロロアクリロニトリル等が挙げられる。好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリルである。
本発明の非発泡層構成樹脂として、用いるスチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂であるニトリル系樹脂としては、不飽和ニトリル単量体に由来する単位を50重量%以上含有する以外、特に限定はなく、例えば、不飽和ニトリル単量体のみから得られる樹脂、不飽和ニトリル単量体および不飽和ニトリルと共重合可能な単量体またはその誘導体から得られるランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体などが具体例としてあげられる。
不飽和ニトリルと共重合可能な単量体としては、例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのスチレン以外のスチレン誘導体、ジビニルベンゼンなどの多官能性ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、ブダジエンなどのジエン系化合物またはその誘導体、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、桂皮酸などの重合性不飽和脂肪酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−P−ブロモフェニルマレイミド、N−O−クロルフェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和カルボン酸無水物類、アリルグリシジルエーテル、グリシジメタアクリレートなどのエポキシ基含有不飽和化合物、アリルアミン、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸−アミノプロピル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミドなどのアクリルアミド系化合物、2−ヒドロキシエチル−アクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、4−ヒドロキシ−2−ブテンなどの水酸基含有不飽和化合物などがあげられる。これらは単独で使用してもよく、2 種以上を併用してもよい。
ニトリル系樹脂のうちでは、後述するスチレン−不飽和ニトリル共重合体系樹脂の加工温度にて溶融可能な、ニトリル系樹脂が好ましい。このようなニトリル系樹脂としては、共役ジエン系ゴム状重合体の存在下で、不飽和ニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、必要に応じて他の共重合可能な単量体をグラフト共重合して得られるニトリル系樹脂が挙げられる。
共役ジエン系ゴム状重合体は、共役ジエン50重量%以上および、これと共重合性の単量体、例えば、不飽和ニトリル、スチレン以外の芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸エステル等から選ばれた、少なくとも一種の単量体との共重合体が好ましい。
共役ジエン単量体としては、例えば、1 ,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジメチル− 1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。重合性が良い点などから、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。不飽和ニトリルとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等が挙げられ、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好ましい。
スチレン以外の芳香族ビニル化合物としては、例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのスチレン誘導体、ジビニルベンゼンなどの多官能性ビニル化合物などが挙げられる。
不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルなどのアクリル酸、メタクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルである。
共役ジエン系ゴム状重合体としては、具体的に1,3−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、1,3−ブタジエン−アクリロニトリル−メタクリロニトリル共重合体、1,3−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体、1,3−ブタジエン−スチレン共重合体が挙げられる。好ましくは、1,3−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、1,3−ブタジエン−スチレン共重合体である。ニトリル系樹脂100重量% 中の共役ジエン系ゴム状重合体は、3〜30重量% であることが好ましい。
共役ジエン系ゴム状重合体の存在下でグラフト共重合に用いられる単量体としては、不飽和ニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体が用いることが好ましい。これらの中でも、不飽和ニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることが、更に好ましい。
グラフト単量体として用いる不飽和ニトリルとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどが挙げられる。好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリルである。グラフト共重合に用いられる単量体100重量% において不飽和ニトリルは50重量% 以上含有することが、得られる押出発泡体の断熱性などの点から好ましい。更に好ましくは、55〜90重量% である。
グラフト単量体として用いる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルが好ましい。グラフト共重合に用いられる単量体100重量%において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは3〜50重量%含有することが、成形加工性、得られる押出発泡積層体の断熱性などの点から好ましい。更に好ましくは5〜40重量%である。
共重合可能な他の単量体としては、スチレン以外の芳香族ビニル化合物、ビニルエーテル、ビニルエステル、α−オレフィンなどが挙げられる。スチレン以外の芳香族ビニル化合物としては、例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等、ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオンビニル、酪酸ビニル等、ビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルイソプロペニルエーテル、エチルイソプロペニルエーテル等、α−オレフィンとしては、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、2−メチル−1−オクテン、2−エチル−1−ブテン、2−プロピル−1−ブテン等が挙げられる。
グラフト共重合に用いられる単量体100重量%において、共重合可能な他の単量体は、0〜20重量%含有することが好ましい。20重量%以下であれば、得られるニトリル系樹脂の特性に影響を及ぼさず、目的に応じて使用可能である。
共役ジエン系ゴム状重合体の存在下で不飽和ニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、必要に応じて他の共重合可能な単量体をグラフト共重合したニトリル系樹脂の重合方法は、乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、またはこれらの組合せ等公知の重合方法が適用できる。しかし、重合熱の除去の容易さ、重合後の後処理の容易さ、有機溶媒の回収・再生等の付帯設備の簡易化等を考慮すると乳化重合が好ましく適用される。
乳化重合法の場合は、重合体生成物はラテックス状で得られるので、従来公知の方法、例えば、電解質または溶媒による凝集法、または凍結法等により重合体を凝固、分離し、水洗の後、乾燥して重合体を得る方法が上げられる。グラフト重合の温度には特に制限はなく、0〜100℃の任意の温度において実施できる。重合速度、転化率、生産性等を考慮すると、30〜70℃の温度範囲が好ましい。また、可塑剤、安定剤、潤滑剤、染料及び顔料、充填剤等を、必要に応じて重合後に添加することも可能である。
本発明の非発泡層構成樹脂として、用いるスチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂であるニトリル系樹脂は、不飽和ニトリル単量体に由来する成分を50重量%以上含有することが、得られる押出発泡積層体の断熱性などが良好になることから好ましく、さらに好ましくは55〜95重量%である。
ニトリル系樹脂で好ましくは、(メタ)アクリロニトリル単量体が50重量%以上の(メタ)アクリロニトリル−スチレン共重合体、あるいは、共役ジエン系ゴム状重合体の存在下で(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチルおよび/または(メタ)アクリル酸エチル、必要に応じて他の共重合可能な単量体をグラフト共重合したニトリル系樹脂であって、(メタ)アクリロニトリルに由来する成分を50重量%以上含有したニトリル樹脂である。
本発明の非発泡層構成樹脂として用いるスチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂であるニトリル系樹脂は、メルトフローレート(MFR)、分子量や分子量分布、分岐構造、その他の共重合成分、分子構造などの異なるニトリル系樹脂などを、1種または2種以上組み合わせて用いるができる。
本発明の非発泡層構成樹脂として用いるスチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂であるニトリル系樹脂は、その構造が特に限定されるものではなく、ランダム共重合体、ブロック共重合体もしくはグラフト共重合体のいずれかであっても良い。
本発明の非発泡層構成樹脂として用いるスチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂であるスチレン−不飽和ニトリル共重合体系樹脂としては、スチレンおよび不飽和ニトリル単量体を含有する単量体を重合してなるランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体であり、その他の単量体を共重合しても良い。
不飽和ニトリル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α − クロロアクリロニトリル等が挙げられる。これらのうちでも、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリルである。
共重合可能なその他の単量体としては、例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのスチレン誘導体、ジビニルベンゼンなどの多官能性ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチルなどの( メタ) アクリル系化合物、ブダジエンなどのジエン系化合物またはその誘導体、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、桂皮酸などの重合性不飽和脂肪酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−P−ブロモフェニルマレイミド、N−O−クロルフェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和カルボン酸無水物類、アリルグリシジルエーテル、グリシジメタアクリレートなどのエポキシ基含有不飽和化合物、アリルアミン、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸−アミノプロピル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミドなどのアクリルアミド系化合物、2−ヒドロキシエチル−アクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、4−ヒドロキシ−2−ブテンなどの水酸基含有不飽和化合物などがあげられる。
これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の非発泡層構成樹脂として用いるスチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂であるスチレン−不飽和ニトリル共重合体系樹脂のうちでは、押出発泡成形性や発泡体中への経時的空気侵入抑制、熱伝導率の経時的上昇抑制の面から、スチレン−アクリロニトリル共重合体およびスチレン−メタクリロニトリル共重合体が好ましく、入手のしやすさの点から、最も好ましくは、スチレン−アクリロニトリル共重合体である。
本発明におけるスチレン−不飽和ニトリル共重合体系樹脂は、不飽和ニトリル単量体に由来する単位を1重量%以上50重量%未満含有し、かつ、スチレン単量体に由来する単位を50重量%以上99重量%未満含有することが好ましく、不飽和ニトリル単量体に由来する単位を5重量%以上40重量%未満、スチレン単量体に由来する単位を60重量%以上95重量%未満含有することがさらに好ましく、不飽和ニトリル単量体に由来する単位を10重量%以上35重量%未満、スチレン単量体に由来する単位を65重量%以上90重量%未満含有することが特に好ましい。スチレン−不飽和ニトリル共重合体系樹脂が、これらの組成範囲外では、押出発泡成形性および発泡体中への経時的空気侵入、熱伝導率の経時的上昇の改善に対し、十分な効果が得られない場合がある。
さらに、本発明の非発泡層構成樹脂として用いるスチレン−不飽和ニトリル共重合体系樹脂は、MFR 、成形加工時の溶融粘度、溶融張力などを調整する目的で、分岐構造を有するスチレン−不飽和ニトリル共重合体系樹脂であってもよい。これらは、単独で使用してもよく、共重合成分、分子量や分子量分布、分岐構造、MFRなどの異なるスチレン−不飽和ニトリル共重合体系樹脂を、2種以上混合して使用してもよい。
本発明の非発泡層構成樹脂における混合比率は、用いる各樹脂成分の組成、MFR 、分子量、分岐構造にもよるが、ガスバリヤー性、成形加工性、発泡層との接着性を有する所望の非発泡層の相構造を得るために、非発泡層を構成する樹脂全量を100重量%として、スチレン系樹脂が10〜50重量%、およびスチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂が50〜90重量%であることが好ましく、スチレン系樹脂が10〜45重量%およびスチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂が55〜90重量%であることがより好ましく、スチレン系樹脂が10〜40重量%およびスチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂が60〜90重量%であることが特に好ましい。
非発泡層構成樹脂における混合比率を当該範囲とすることにより、本発明において所望する非発泡層の相構造が得られ、断熱性改善効果、および成形加工性を有する良好な押出発泡積層体を得ることができる。
本発明の非発泡層構成樹脂として用いるニトリル系樹脂は、それのみを用いても良いが、スチレン部位とニトリル部位の両方を有するスチレン−不飽和ニトリル系樹脂を併用した場合、分散相となる成分の比表面積を大きくできるために、ニトリル系樹脂およびスチレン−不飽和ニトリル共重合体形樹脂の連続相中にスチレン系樹脂の分散相を形成し易い傾向があり、スチレン系樹脂よりも空気透過率の低い樹脂であるニトリル系樹脂のガスバリヤー性とスチレン系樹脂の接着性を両立できる非発泡層の相構造形成が容易となるため、より好ましい。
本発明の非発泡層構成樹脂における混合比率に関して、さらに詳しくは、非発泡層構成樹脂全量を100重量%として、スチレン系樹脂10〜50重量%、ニトリル系樹脂50〜90重量%およびスチレン−不飽和ニトリル共重合体系樹脂0〜40重量%であることが好ましく、スチレン系樹脂10〜45重量%、ニトリル系樹脂55〜90重量%およびスチレン−不飽和ニトリル共重合体系樹脂0〜40重量%であることがより好ましく、スチレン系樹脂10〜40重量%、ニトリル系樹脂60〜90重量%、およびスチレン−不飽和ニトリル共重合体系樹脂0〜30重量%であることが特に好ましい。
本発明における押出発泡積層体における発泡層および非発泡層は、流れ方向および幅方向に平坦であって、それぞれの層が概ね平行な状態で広がっていることが、目的の高断熱性の発泡積層体を得るために、好ましい。このため、押出発泡積層体の製造方法として、後述する共押出法を採用する場合、非発泡層構成樹脂は、成形温度での溶融状態において、発泡層構成樹脂と発泡剤および任意の添加剤からなる溶融状態の樹脂組成物と、できる限り同程度の溶融粘度とすることが好ましい。この手段としては、例えば、非発泡層構成樹脂の分子量を調整する方法、非発泡層構成樹脂に対して可塑化能力を有する添加剤を添加する方法、非発泡層構成樹脂に対して溶融粘度を向上させる添加剤を添加する方法、などが挙げられる。
非発泡層構成樹脂の溶融粘度を調整する為に添加される添加剤としては、可塑剤、非発泡層構成樹脂よりも溶融粘度が低く、かつ、相溶性がある化合物などが挙げられる。
可塑剤としては、特に限定されず、一般に可塑剤として使用されているいずれの化合物の使用も可能であり、例えば、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジノルマルオクチル(DNOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジノニル(DNP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸混基エステル(C〜C11)等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジアルキル(C6,8,10)(610A)、アジピン酸ジアルキル(C,C)(79A)アゼライン酸ジオクチル(DOZ)セバシン酸ジブチル(DBS)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、リン酸トリクレシル(TCP)、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、エポキシ化大豆油(ESBO)、トリメリット酸トリオクチル(TOTM)、塩素化パラフィン等の非フタル酸エステル類、等が挙げられる。
非発泡層構成樹脂に対する可塑剤の添加量は、狙いとする溶融粘度によって適宜選択されるが、非発泡層構成樹脂100重量部に対して1〜20重量部が好ましく、2〜15重量部が更に好ましく、3〜12重量部が特に好ましく、4〜10重量部が好ましい。可塑剤の添加量が非発泡層構成樹脂100重量部に対して、1〜20重量部の範囲では、押出の際に吐出変動が無く、押出後の表面析出の無い非発泡層が得られる。
非発泡層構成樹脂よりも溶融粘度が低く、かつ、相溶性がある化合物としては、例えば、トリフェニルホスフェートなどの燐酸エステル類などが挙げられるが、難燃剤、難燃助剤、安定剤、他の種類の非発泡層構成樹脂の中にも、同様の効果が得られる化合物がある。
本発明の押出発泡積層体を構成する非発泡層を構成する樹脂には、必要に応じて、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を添加することができる。
本発明の押出発泡積層体を構成する非発泡層の構造は、特に限定されず、単層、複層のいずれの構造も採りうる。また、非発泡層の厚みは、押出発泡積層体の厚みおよび押出発泡積層体中の非発泡層の数(発泡層/非発泡層/発泡層からなるユニットの数)に応じて適宜選択されるが、本発明の発泡積層体である発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層の2種5層構造体の場合、軽量性と断熱性を備えた発泡積層体を得るためには、非発泡層の厚みは、1〜500μmが好ましく、20〜300μmがより好ましく、30〜200μmが特に好ましい。
本発明の押出発泡積層体の構造としては、発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層からなる構造が好ましい。
押出発泡積層体の厚み方向に熱線輻射抑制剤を含む発泡層に非発泡層を2枚設けることにより、熱線輻射抑制剤を含む発泡層単層、並びに1枚の非発泡層を積層した押出発泡積層体では得られない優れた熱伝導率の低減効果が発現できる。しかしながら、積層枚数が増加することにより、発泡層への非発泡層の均一かつ平滑な積層制御が難しくなる傾向があり、さらに、非発泡層積層加工時の熱履歴により、発泡層を構成する気泡が熱打撃を受け、気泡の肥大化に伴う熱伝導率の悪化が発生する。優れた熱伝導率の低減効果を発現しつつ、非発泡層の積層制御を容易にするためには、発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層の5層構造とすることが好ましい。さらに、5層構造からなる押出発泡積層体を構成する3層の発泡層を同一樹脂とし、2層の非発泡層を同一樹脂とする、つまり、2種5層構造とすることで、各層を積層する設備及び製法を簡素化できることから好ましい。
本発明の押出発泡積層体の積層構造としては、図1に示すように、2つの非発泡層2−A、2−Bは、厚み方向において表層を形成する発泡層1−A、1−Bの内側に積層され、中央層を形成する発泡層1−Cを挟み込む構造となっている。
非発泡層2−A、2−Bの積層位置は、押出発泡積層体全体の厚みを100%とした場合、押出発泡積層体の厚み方向の最表層から10〜20%の位置に積層することが好ましく、さらには、厚み方向の最表層から15〜20%の位置に積層することがより好ましい。ここで、非発泡層の積層位置とは、図3に示すように中央層を形成する発泡層1−Cと非発泡層2−A、2−Bとの境界面の位置のことです。
非発泡層の積層位置が厚み方向の最表層から20%より大きいと、表層部を形成する発泡層を介した冷却賦型が効果的に行われなくなり、非発泡層積層加工時における熱蓄積にて、発泡層を構成する気泡の熱打撃を抑制できなくなり、断熱性能が悪化する傾向がある。
一方で、例えば、建築用断熱材として用いる場合、寸法精度が要求される用途では、押出発泡積層体の表層部を切削して、厚みを均一かつ精度向上させたカットボードの形態として適用される場合がある為、非発泡層の積層位置が厚み方向の最表層から10%未満とすると、表層部の切削により非発泡層が消失する可能性があり、非発泡層が有するガスバリヤー性の有効な機能が発現できなくなる。
本発明の押出発泡積層体の製造方法、特に発泡層と非発泡層との積層方法については、生産性に優れることから、非発泡層と発泡層の構成樹脂を各々異なる押出機を用いて溶融混練し、各々の溶融樹脂を多層状に合流させ積層する方法、例えば、特開平4−278323号公報等に記載の複数の層からなる積層流を作った後、分割・積層を繰り返す方法、特表2005−523831号公報、特開2004−249520号公報、等に記載の複数の分割流を作った後、逐次積層する方法が挙げられる。
本発明の押出発泡積層体の厚みは、特に限定されず、用途に応じて適宜選択される。例えば、建材などに使用される断熱材用途の場合、好ましい断熱性、曲げ強度および圧縮強度を付与するためには、シートのような薄いものよりも、板状物のような厚さのあるものが好ましく、通常10〜150mm、好ましくは20〜100mmである。
本発明の押出発泡積層体の密度としては、50kg/m以下が好ましく、25〜45kg/m以下がより好ましく、30〜40kg/m以下がさらに好ましい。押出発泡積層体の密度が50kg/mより大きいと、軽量性に劣る。
本発明の押出発泡積層体の製造後1日経過時の平均温度20℃における等価熱伝導率は、0.026W/m・K以下が好ましく、0.024W/m・K以下がより好ましく、0.023W/m・K以下が特に好ましい。さらに、本発明の押出発泡積層体の製造後の30日経過時の平均温度20℃における等価熱伝導率は、0.029W/m・K以下が好ましく、0.028W/m・K以下がより好ましい。
製造後1日経過後の等価熱伝導率が0.026W/m・K以下かつ、製造後30日経過後の等価熱伝導率が0.029W/m・K以下の場合、押出発泡積層体は建築用部材用途として好適に使用され、快適な居住空間の提供に貢献することはもとより、製造後の押出発泡積層体の熱伝導率の経時変化が著しく小さく、建築用部材用途として住宅耐用年数を想定した長期断熱性能が保持できることにより、長期的な省エネルギー化への寄与が可能となる。
本発明の押出発泡積層体は、その優れた軽量性、断熱性の点から、種々の用途、例えば、床材、壁材、屋根材などの建築用部材、保冷車用断熱材、車両バンパー、自動車天井材などの自動車内装用部材、地盤の凍上防止剤などの土木用部材などに好適に使用できる。
次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、「%」は重量%を表わす。
実施例および比較例に対する評価方法は、以下のとおりである。
(1)押出発泡積層体の平均温度20℃での等価熱伝導率(単位:W/m・K)
得られた押出発泡積層体の平均温度20℃での等価熱伝導率は、JIS A9511(2003年)に準じて測定した。
測定には、熱伝導率測定装置[英弘精機製HC−074]を用い、押出発泡積層体から約300mm長×100mm幅×25mm厚の直方体を3個切り出し、これを並べて300mm長×300mm幅×25mm厚の形としてHC−074にセットして測定した。
なお、測定は製造直後、表面から2mmの部分を削除した(カットボード形態)後、1日及び30日経過した押出発泡積層体について行った。
(2)押出発泡積層体の密度(単位:kg/m
得られた押出発泡積層体を、約200mm長×100mm幅×25mm厚の直方体を切り出し、この重量を測定すると共に、ノギスを用い、長さ、幅、厚みの寸法を測定し、発泡体の密度を以下の式にて算出した。
押出発泡積層体の密度(g/cm)=押出発泡積層体の重量(g)/押出発泡積層体の体積(cm
算出した値を、単位換算(kg/m)した。
(3)発泡層での厚み方向の平均気泡径
中央部に位置する発泡層の断面写真を、デジタルマイクロハイスコープ[ソニック製、BS−8000]を用いて倍率200倍にて撮影する。このとき、厚み方向を縦方向、押出方向を横方向にて撮影する。また、測定倍率は気泡径により適宜選択される。次に、断面写真の縦方向に任意に2mmの直線を3本引き、その直線に接する気泡の個数(X1)を測定する。次の式により、気泡の厚み方向の平均気泡径(X1)を求める。
X1[単位:mm]=2×3÷気泡の個数(Y1)
次いで、別の2箇所においても、同様の操作により厚み方向の気泡径を求め、それらの値を相加平均して、厚さ方向の平均気泡径とした。
(4)非発泡層の厚み方向での積層位置
発泡層厚み方向の平均気泡径の測定で用いたデジタルマイクロスコープ[ソニック製、BS−8000]を用いて、押出発泡積層体の厚み方向を10倍に拡大した画像をパソコンに取り込み、厚み方向表層部からの2つの非発泡層積層位置を測定した。
(実施例1)
[発泡剤を含有する溶融樹脂の製造方法]
ポリスチレン[PSジャパン(株)製、商品名:G9401、MFR=2.2g/10分]100重量部に対して、カーボングラファイト[西村黒鉛製、商品名:PS−85、鱗片状、粒径10μm]を用い、カーボングラファイト含有比率が10重量%となるようポリスチレン樹脂[PSジャパン製グレード9401]に添加して、予めマスターバッチ化したカーボングラファイト含有ポリスチレン樹脂組成物25.4重量部、タルク[林化成株式会社製、商品名:TALCAN PAWDER PK−Z)0.1重量部、ステアリン酸カルシウム[堺化学工業株式会社製、商品名:SC−P]0.3重量部、流動パラフィン[新日本石油株式会社製、商品名:ポリブテンLV−50]0.2重量部、酸化ケイ素[日本アエロジル(株)製、AEROSIL]0.1重量部、ベントナイト[(株)ホージュン製、ベンゲルブライト11]1.0重量部からなるカーボングラファイト含有比率2.0重量%のスチレン系樹脂組成物を作製した。
該スチレン系樹脂組成物を、口径65mmの第1押出機と口径90mmの第2押出機とを直列に連結した二段式押出機に対して、40kg/時間で供給した。
第1押出機に供給したスチレン系樹脂組成物を、樹脂温度180℃に加熱して混練を行い、第1押出機の先端付近(第2押出機に接続される側)において、発泡剤として、スチレン系樹脂組成物100重量%に対して、イソブタン[三井化学(株)製]6.0重量%、ジメチルエーテル[大洋液化ガス(株)製]2.0重量%を、溶融されたスチレン系樹脂組成物に圧入した。この際、第1押出機の先端における樹脂圧は10MPaであり、これに対して、発泡剤の圧入圧力は12MPaであった。
第1押出機に連結された第2押出機において、樹脂温度を120℃に冷却した後、3つに分流し、発泡剤を含有する溶融樹脂を第2押出機の先端に設けられた2種5層多層積層用フィードブロック(株式会社プラ技研製)に供給した。
[発泡剤を含まない溶融樹脂の製造方法]
ポリスチレン(PSジャパン株式会社製、商品名:679、MFR=18g/10分、空気透過率=3.9×10−10cc・cm/cm・S・cmHg)樹脂40重量部、スチレン−アクリロニトリル共重合体(電気化学工業株式会社製、商品名:XGS、MFR=2.0g/10分、空気透過率=4.7×10−11cc・cm/cm・S・cmHg)10重量部、ポリアクリロニトリル(三井化学株式社製、商品名:バレックス2090MN、アクリロニトリル−アクリル酸アルキル−ブタジエン共重合体、MFR=9.0g/10分、空気透過率=6.5×10−12cc・cm/cm・S・cmHg)50重量部から成る混合物をドライブレンドし、ブレンド樹脂とした。該ブレンド樹脂100重量部に対して、可塑剤としてジメチルフタレート(大八化学工業株式会社製、商品名:DMP)6.0重量部を添加して予めマスターバッチ化した。
得られた樹脂を、口径50mmの押出機へ5.0Kg/時間で供給した。供給した樹脂を140℃に加熱して溶融混練を行い、分流することなく、前記2種5層多層積層用フィードブロックに供給した。
[発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含まない溶融樹脂を厚み方向に合流させ、押出発泡成形体を製造する方法]
135℃に温調された前記2種5層多層積層用フィードブロック内で、4.5MPaの圧力下にて、厚み方向に、2つに分流された発泡剤を含まない溶融樹脂(2層)を、3つに分流された発泡剤を含有する溶融樹脂(3層)で挟み込むようにして、それぞれ、5.2mm/1.4mm/5.2mm/1.4mm/5.2mmの厚みとなるよう合流させた。
その後、厚さ方向2.8mm、幅方向50mmの長方形断面の空隙を有し、90℃に温調されたダイリップより、合流された多層流を大気中へ押し出し、厚み25mm、幅210mmの直方体状で発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層の5層構造からなる押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
Figure 2013202812
(実施例2)
[発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含まない溶融樹脂を厚み方向に合流させ、押出発泡成形体を製造する方法]において、135℃に温調された前記2種5層多層積層用フィードブロック内で、4.5MPaの圧力下にて、厚み方向に、2つに分流された発泡剤を含まない溶融樹脂(2層)を、3つに分流された発泡剤を含有する溶融樹脂(3層)で挟み込むようにして、それぞれ、4.2mm/1.4mm/7.2mm/1.4mm/4.2mmの厚みとなるよう合流させた以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
(実施例3)
[発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含まない溶融樹脂を厚み方向に合流させ、押出発泡成形体を製造する方法]において、135℃に温調された前記2種5層多層積層用フィードブロック内で、4.5MPaの圧力下にて、厚み方向に、2つに分流された発泡剤を含まない溶融樹脂(2層)を、3つに分流された発泡剤を含有する溶融樹脂(3層)で挟み込むようにして、それぞれ、6.2mm/1.4mm/3.2mm/1.4mm/6.2mmの厚みとなるよう合流させた以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
(実施例4)
[発泡剤を含有する溶融樹脂の製造方法]において、タルク0.2重量部、ステアリン酸バリウム[堺化学工業株式会社製、商品名:SB]0.3重量部とした以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
(実施例5)
[発泡剤を含有する溶融樹脂の製造方法]において、タルク0.075重量部、ステアリン酸カルシウム0.3重量部とした以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
(実施例6)
[発泡剤を含まない溶融樹脂の製造方法]
ポリスチレン(PSジャパン株式会社製、商品名:679、MFR=18g/10分、空気透過率=3.9×10−10cc・cm/cm・S・cmHg)樹脂10重量部、スチレン−アクリロニトリル共重合体(電気化学工業株式会社製、商品名:XGS、MFR=2.0g/10分、空気透過率=4.7×10−11cc・cm/cm・S・cmHg)10重量部、ポリアクリロニトリル(三井化学株式社製、商品名:バレックス2090MN、アクリロニトリル−アクリル酸アルキル−ブタジエン共重合体、MFR=9.0g/10分、空気透過率=6.5×10−12cc・cm/cm・S・cmHg)80重量部から成る混合物をドライブレンドし、ブレンド樹脂とした。該ブレンド樹脂100重量部に対して、可塑剤としてジメチルフタレート(大八化学工業株式会社製、商品名:DMP)8.0重量部を添加して予めマスターバッチ化した。
得られた樹脂を、口径50mmの押出機へ5.0Kg/時間で供給した。供給した樹脂を160℃に加熱して溶融混練を行い、分流することなく、前記2種5層多層積層用フィードブロックに供給した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡積層体を得た。
(実施例7)
[発泡剤を含まない溶融樹脂の製造方法]
ポリスチレン(PSジャパン株式会社製、商品名:679、MFR=18g/10分、空気透過率=3.9×10−10cc・cm/cm・S・cmHg)樹脂30重量部、ポリアクリロニトリル(三井化学株式社製、商品名:バレックス2090MN、アクリロニトリル−アクリル酸アルキル−ブタジエン共重合体、MFR=9.0g/10分、空気透過率=6.5×10−12cc・cm/cm・S・cmHg)70重量部から成る混合物をドライブレンドし、ブレンド樹脂とした。該ブレンド樹脂100重量部に対して、可塑剤としてジメチルフタレート(大八化学工業株式会社製、商品名:DMP)6.0重量部を添加して予めマスターバッチ化した。
得られた樹脂を、口径50mmの押出機へ4.9Kg/時間で供給した。供給した樹脂を140℃に加熱して溶融混練を行い、分流することなく、前記2種5層多層積層用フィードブロックに供給した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡積層体を得た。
(実施例8)
[発泡剤を含有する溶融樹脂の製造方法]において、酸化チタン含有ポリスチレン樹脂[石原産業株式会社製、商品名:タイペーク R−780−2、酸化チタン含有量88重量%、平均粒径0.24μm]をドライブレンドして、酸化チタン含有スチレン系樹脂組成物(酸化チタンの含有比率が4.0重量%)を作製した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
(実施例9)
[発泡剤を含有する溶融樹脂の製造方法]において、熱線輻射抑制剤として酸化アルミナペースト[昭和アルミパウダー株式会社製、商品名:SAP CS420]を用いて、酸化アルミナ含有比率が5.0重量%である酸化アルミナ含有スチレン系樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
(比較例1)
[発泡剤を含有する溶融樹脂の製造方法]
ポリスチレン[PSジャパン株式会社製、商品名:G9401、MFR=2.2g/10分]100重量部に対して、カーボングラファイト[西村黒鉛製、商品名:PS−85、鱗片状、粒径10μm]を用い、カーボングラファイト含有比率が10重量%となるようポリスチレン樹脂[PSジャパン製グレード9401]に添加して、予めマスターバッチ化したカーボングラファイト含有ポリスチレン樹脂組成物25.4重量部、タルク[林化成株式会社製、商品名:TALCAN PAWDER PK−Z)0.1重量部、ステアリン酸カルシウム[堺化学工業株式会社製、商品名:SC−P]0.3重量部、流動パラフィン[新日本石油株式会社製、商品名:ポリブテンLV−50]0.2重量部、酸化ケイ素[日本アエロジル(株)製、AEROSIL]0.1重量部、ベントナイト[(株)ホージュン製、ベンゲルブライト11]1.0重量部からなるカーボングラファイト含有比率2.0重量%のスチレン系樹脂組成物を作成した。
該スチレン系樹脂組成物を、口径65mmの第1押出機と口径90mmの第2押出機とを直列に連結した二段式押出機に対して、40.0kg/時間で供給した。
第1押出機に供給したスチレン系樹脂組成物を、樹脂温度180℃に加熱して混練を行い、第1押出機の先端付近(第2押出機に接続される側)において、発泡剤として、スチレン系樹脂組成物100重量%に対して、イソブタン[三井化学(株)製]6.0重量%、ジメチルエーテル[大洋液化ガス(株)製]2.0重量%を、溶融されたスチレン系樹脂組成物に圧入した。この際、第1押出機の先端における樹脂圧は10MPaであり、これに対して、発泡剤の圧入圧力は12MPaであった。
第1押出機に連結された第2押出機において、樹脂温度を120℃に冷却した後、3つに分流し、発泡剤を含有する溶融樹脂を第2押出機の先端に設けられた2種5層多層積層用フィードブロック(株式会社プラ技研製)に供給した。
[発泡剤を含まない溶融樹脂の製造方法]
発泡剤を含まない樹脂は使用しなかった。
[発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含まない溶融樹脂を厚み方向に合流させ、押出発泡体を製造する方法]
135℃に温調された非発泡層流路を閉じた前記2種5層多層積層用フィードブロック内で、4.5MPaの圧力下にて、厚み方向に3つに分流された発泡剤を含有する溶融樹脂のみを合流させた後、厚さ方向2.0mm、幅方向80mmの長方形断面の空隙を有し、90℃に温調されたダイリップより、合流された多層流を大気中へ押し出し、厚み25mm、幅210mmの直方体状で発泡層/発泡層/発泡層の3層構造からなる押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
(比較例2)
[発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含まない溶融樹脂を厚み方向に合流させ、押出発泡成形体を製造する方法]において、135℃に温調された前記2種5層多層積層用フィードブロック内で、4.5MPaの圧力下にて、厚み方向に、2つに分流された発泡剤を含まない溶融樹脂(2層)を、3つに分流された発泡剤を含有する溶融樹脂(3層)で挟み込むようにして、それぞれ、7.0mm/1.4mm/1.6mm/1.4mm/7.0mmの厚みで合流させた。
その後、厚さ方向2.8mm、幅方向50mmの長方形断面の空隙を有し、90℃に温調されたダイリップより、合流された多層流を大気中へ押し出し、厚み25mm、幅210mmの直方体状で発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層の5層構造からなる押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
(比較例3)
[発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含まない溶融樹脂を厚み方向に合流させ、押出発泡成形体を製造する方法]において、135℃に温調された前記2種5層多層積層用フィードブロック内で、4.5MPaの圧力下にて、厚み方向に、2つに分流された発泡剤を含まない溶融樹脂(2層)を、3つに分流された発泡剤を含有する溶融樹脂(3層)で挟み込むようにして、それぞれ、1.9mm/1.4mm/11.8mm/1.4mm/1.9mmの厚みとなるよう合流させた以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
(比較例4)
[発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含まない溶融樹脂を厚み方向に合流させ、押出発泡成形体を製造する方法]において、135℃に温調された前記2種5層多層積層用フィードブロック内で、4.5MPaの圧力下にて、厚み方向に、2つに分流された発泡剤を含まない溶融樹脂(2層)を、3つに分流された発泡剤を含有する溶融樹脂(3層)で挟み込むようにして、それぞれ、6.7mm/1.4mm/2.6mm/1.4mm/6.7mmの厚みとなるよう合流させた以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
(比較例5)
[発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含まない溶融樹脂を厚み方向に合流させ、押出発泡成形体を製造する方法]において、135℃に温調された前記2種5層多層積層用フィードブロック内で、3.0MPaの圧力下にて、厚み方向に、2つに分流された発泡剤を含む溶融樹脂(2層)を、3つに分流された発泡剤を含有しない溶融樹脂(3層)で挟み込むようにして、非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層の5層構造(各々の厚みは、1.4mm/5.2mm/1.4mm/5.2mm/1.4mm)とした以外は実施例1と同様の操作を実施し、押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
(比較例6)
[発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含まない溶融樹脂を厚み方向に合流させ、押出発泡成形体を製造する方法]において、135℃に温調された2種7層多層積層用フィードブロックを用い、該フィードブロック内で、5.8MPaの圧力下にて、厚み方向に、3つに分流された発泡剤を含まない溶融樹脂(3層)を、4つに分流された発泡剤を含有する溶融樹脂(4層)で挟み込むようにして、それぞれ、3.9mm/1.0mm/3.9mm/1.0mm/3.9mm/1.0mm/3.9mmの厚みとなるよう合流させた以外は、実施例1と同様の操作により押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
(比較例7)
[発泡剤を含有する溶融樹脂の製造方法]において、タルク0.02重量部、発泡剤として、スチレン系樹脂組成物100重量%に対して、イソブタン4.0重量%、ジメチルエーテル4.0重量%とした以外は、実施例1と同様の操作を実施し、押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
(比較例8)
[発泡剤を含有する溶融樹脂の製造方法]において、タルク0.3重量部、ステアリン酸バリウム0.4重量部とした以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
(比較例9)
[発泡剤を含有する溶融樹脂の製造方法]において、タルク0.05重量部、ステアリン酸カルシウム0.3重量部とした以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
(比較例10)
[発泡剤を含まない溶融樹脂の製造方法]において、ポリスチレン(PSジャパン株式会社製、商品名:679、MFR=18g/10分、空気透過率=3.9×10−10cc・cm/cm・S・cmHg)樹脂100重量部に対して、可塑剤としてジメチルフタレート(大八化学工業株式会社製、商品名:DMP)6.0重量部を添加して予めマスターバッチ化した以外は、実施例1と同様の操作を実施し、押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
(比較例11)
[発泡剤を含まない溶融樹脂の製造方法]において、ポリスチレン(PSジャパン株式会社製、商品名:679、MFR=18g/10分、空気透過率=3.9×10−10cc・cm/cm・S・cmHg)樹脂75重量部、スチレン−アクリロニトリル共重合体(電気化学工業株式会社製、商品名:XGS、MFR=2.0g/10分、空気透過率=4.7×10−11cc・cm/cm・S・cmHg)10重量部、ポリアクリロニトリル(三井化学株式社製、商品名:バレックス2090MN、アクリロニトリル−アクリル酸アルキル−ブタジエン共重合体、MFR=9.0g/10分、空気透過率=6.5×10−12cc・cm/cm・S・cmHg)15重量部から成る混合物をドライブレンドし、ブレンド樹脂とした。該ブレンド樹脂100重量部に対して、可塑剤としてジメチルフタレート(大八化学工業株式会社製、商品名:DMP)6.0重量部を添加して予めマスターバッチ化した以外は実施例1と同様の操作を実施し、押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
(比較例12)
[発泡剤を含有する溶融樹脂の製造方法]において、輻射抑制剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様の操作を実施し、押出発泡積層体を得た。
得られたサンプルの測定結果を、表1に示す。
1−A、1−B 2種5層構造における表層を形成する発泡層
1−C 2種5層構造における中央層を形成する発泡層
2−A、2−B 2種5層構造における非発泡層
10−A,10−B 2種7層構造における表層を形成する発泡層
10−C,10−D 2種7層構造における内部層を形成する発泡層
2−A,2−B,2−C 2種7層構造における非発泡層

Claims (3)

  1. 厚み方向に発泡層が非発泡層を介して積層された構造を有するポリスチレン系発泡積層体であって、
    発泡積層体の密度が50kg/m以下であり、
    厚み方向に発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層の順に積層された2種5層の構造を有し、
    押出積層体の厚み方向に積層される2つの非発泡層の積層位置が、押出発泡積層体の全厚さを100%とした場合、厚み方向の最表層から10〜20%の位置にあり、
    発泡層を構成する樹脂がポリスチレン系樹脂であり、該樹脂に熱線輻射抑制剤を含有し、
    発泡層を形成する気泡の厚み方向の平均気泡径が0.07〜0.15mmであり、
    非発泡層を構成する樹脂が、非発泡層構成樹脂全体を100重量%として、スチレン系樹脂10〜50重量%、ニトリル系樹脂50〜90重量%およびスチレン−不飽和ニトリル共重合体系樹脂0〜40重量%から構成され、かつ、
    製造後1日経過時の20℃における熱伝導率が0.026W/m・K以下、且つ、製造後28日経過後の20℃における熱伝導率が0.029W/m・K以下であることを特徴とする、ポリスチレン系樹脂押出発泡積層体。
  2. 発泡層に包含される熱線輻射抑制剤が、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン、酸化アルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡積層体。
  3. 押出発泡積層体が共押出法により製造されたものであることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡積層体。
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