JP2011189260A - 液滴吐出装置および液滴吐出装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吐出液を供給する流路と、前記流路に連通する液室と、前記液室に連通するノズル孔と、前記液室に収納された吐出液に圧力を加える加圧手段と、を備え、前記流路、前記液室、前記ノズル孔からなる群より選ばれた少なくとも1種は、前記吐出液と接触する面の算術平均粗さRaが0.3μm以上、5μm以下とされたことを特徴とする液滴吐出装置が提供される。
【選択図】図1
Description
この液滴吐出装置に使用される吐出液中には、周囲の大気が溶解した溶存気体が存在する。そのため、周囲環境の温度変化や圧力変化などにより溶存気体が過飽和状態に達すると、吐出液中に気泡が発生する。また、吐出液容器(例えば、インクカートリッジなど)の交換などの際に吐出液中に気泡が混入する場合もある。
そのため、吐出液中の気泡を除去する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1に開示された技術によれば、吐出液中に含まれる気泡を円滑に除去することができる。
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、循環する吐出液の流れに乗せて液滴吐出装置の内部から気泡を除去し、バッファタンクの排出口から吐出液ごと気泡を排出するようにしている。
そのため、装置全体が大がかりとなるとともに製造コストの増加を招くことになる。また、排出された吐出液から気泡を除去することも必要となる。
図1は、本実施の形態に係る液滴吐出装置を例示するための模式断面図である。なお、図1は、図2のA−A方向の断面を拡大した図である。
図2は、液滴吐出装置の模式外観図である。
図2に例示をするように、液滴吐出装置1は、複数のノズル孔12を備えたいわゆるマルチノズル型の液滴吐出装置である。
ここで、液滴吐出装置1の駆動方式には、加熱により気泡を発生させ膜沸騰現象を利用して吐出液を吐出させる「サーマル型」と、圧電素子の屈曲変位を利用して吐出液を吐出させる「圧電型」と、があるが、一例として、ここでは「圧電型」を例にとって例示をする。
圧電素子4は、下部材6、駆動電極7、上部材5、駆動電極8の順に積層した後、一体焼成したものである。このように一体焼成された圧電素子4は、強度が高く取扱も容易となる。
流路10の開口部と対向する側には、複数の液室9の一端が連通している。液室9の他端(ノズル孔12が設けられる側の端)には、平坦部9aが設けられている。平坦部9aは、ノズル本体11の他方の端面に対して略平行となるようにして設けられている。平坦部9aには、ノズル孔12の一端に設けられたテーパ部12aが開口し、このテーパ部12aを介して液室9とノズル孔12とが連通するようになっている。ノズル孔12の他端は、ノズル本体11の端面に開口している。ここで、テーパ部12aの体積は小さいので、これをノズル孔12の一部と見なすことができる。そのため、平坦部9a(液室9の端面)からノズル本体11の端面までの寸法をノズル長さLとすることができる。
すなわち、ノズル本体11には、吐出液を供給する流路10と、流路10に連通する液室9と、液室9に連通するノズル孔12と、が設けられている。
例えば、それぞれの液室9は専用に設けられた流路に連通するようになっていてもよい。また、圧電素子4の構造上、下部材6が振動板、上部材5が圧電体となるが、これに限定されるわけではない。また、変位を生じさせる各種の駆動方式を採用することができる。また、図1では流路10の断面形状を矩形としたが、これに限定されるわけではなく角に丸みを有したものであってもよい。
本発明者は、検討の結果、液滴吐出装置に設けられた要素の吐出液と接触する面の表面粗さを所定の範囲内とすれば、液滴吐出装置内に滞留する気泡の排出を促すことができるとの知見を得た。
次に、吐出液と接触する面の表面粗さと、気泡の排出性との関係について本発明者が得た知見について説明する。
図3は、気泡の排出実験装置を例示するための模式斜視図である。
図4は、気泡の排出実験の手順を例示するための模式図である。
基部101は、板状を呈し、長手方向に延在する溝部101aが設けられている。溝部101aの長手方向の長さ寸法は5cm程度、深さ寸法は1mm程度としている。溝部101aの長手方向の一方の端部近傍には、孔部101bが設けられている。孔部101bは、基部101の厚み方向を貫通し、基部101の端面に開口している。また、基部101の材質はステンレスとしている。
なお、孔部101bと孔部102aは、溝部101aに水、気泡103を入れる際の入口となるとともに、いわゆる空気抜きの孔ともなる。
基部101と蓋部102とは液密になるように接合されている。例えば、基部101と蓋部102とを液密となるように接着剤で接合するようにすることができる。また、基部101と蓋部102とを接合する前に、溝部101aの紫外線洗浄を行うことで有機物などを分解除去するようにしている。
まず、図4(a)に示すように、溝部101aに水を充填し、直径寸法が1mm程度の気泡103を1つ入れた。
次に、図4(b)に示すように、排出実験装置100を45°傾け、蓋部102を介して気泡103の動きを観察することで気泡103の排出性を評価した。
すなわち、吐出液と接触する面の算術平均粗さRaを0.3μm以上とすれば、気泡の排出性を向上させることができることが判明した。
すなわち、液滴吐出装置1に設けられた要素の吐出液と接触する面の算術平均粗さRaが0.1μm、0.3μm、0.5μm、1μm、5μm、7μm、10μmのものを作成し、吐出液の吐出実験を行った。この場合、吐出液はインクジェットプリンタなどで用いられるインクとした。
駆動電極7または駆動電極8に電圧を印加すると上部材5が下方に凸の屈曲変位をし、これに伴って積層構造の圧電素子4が下方に凸の屈曲変位をする。この屈曲変位は、図1中に波線で示すように、可撓性膜3を下方に押し下げ、液室9内の吐出液をノズル孔12の方向に向かって加圧する。そのため、屈曲変位に応じて吐出液がノズル孔12から吐出される。
そのため、周囲環境の温度変化や圧力変化などにより吐出液中において気泡が発生したり、図示しない吐出液容器の交換などの際に吐出液中に気泡が混入したりした場合であっても気泡の排出を促すことができる。また、気泡の排出性とともに吐出液の吐出性を向上させることもできる。
また、気泡を排出させるために吐出液を循環させる装置を設ける必要がない。そのため、装置全体が大がかりとなったり装置の製造コストが増大することもない。
また、気泡の排出性を向上させるために親水化処理などの特殊な処理を必要としないため、経時変化、処理のムラなどにより気泡の排出性が変化することがない。また、親水化処理などの特殊な処理工程を必要としないため、製造工程の簡素化や製造コストの低減を図ることができる。
図5は、液滴吐出装置1の製造方法を例示するための模式工程図である。
まず、図5(a)に示すように板材の外周を加工し、いわゆるブランク状態のノズル本体11を作成する。
次に、図5(b)に示すように、このブランク状態のノズル本体11に流路10を加工する。この際用いられる工具19aは、溝を切るのに適したものを使用することができる。
図5(c)に例示をした工具19bは、ドリルであるが、これに限定されるわけではなく、孔をあけるのに適したものを適宜選択することができる。この加工段階では、液室9の底面側には円錐状の凹部が残ることになる。
図5(d)は、液室9を加工する工具19cとしてエンドミルを用いた場合である。この場合においては、液室9の底面側には円錐状の凸部が残ることになる。
次に、図5(g)に示すように、ノズル孔12の加工を行う。このとき、略V字状の凹み29のセンタリング作用により工具19fが案内されるので工具19fの振れが押さえられる。また、いわゆる食いつきが良くなるので加工当初の切削性も良好となる。
次に、必要に応じて仕上げ加工を行い吐出液と接触する面の表面粗さが所定の範囲内(算術平均粗さRaで0.3μm以上、5μm以下)に収まるようにする。例えば、流路10、液室9、ノズル孔12からなる群より選ばれた少なくとも1種は、吐出液と接触する面の算術平均粗さRaを0.3μm以上、5μm以下とする。
図6は、加熱を行うことで吐出液を吐出させるいわゆる「サーマル型」の液滴吐出装置を例示するための模式断面図である。
液滴吐出装置32は、ノズル本体11の一方の端面に設けられた保護膜34と、保護膜34の表面に設けられた発熱素子33とを備えている。「サーマル型」の液滴吐出装置32の場合は、保護膜34と発熱素子33とが、液室9に収納された吐出液に圧力を加える加圧手段となる。発熱素子33は電気抵抗材料からなる抵抗薄膜から形成され、図示しない電圧印加手段から電圧が印加されるとジュール熱を発生させる。保護膜34は酸化珪素や窒化珪素などの無機材料により形成されている。保護膜34は厚さが2μm程度、発熱素子33は厚さが3μm程度とすることができる。ただし、これらの配列、形状、寸法、材質は図6に例示をしたものに限定されるわけではなく、種々の変更が可能である。
図示しない電圧印加手段から発熱素子33に電圧が印加されると発熱素子33が発熱する。発熱素子33の発熱により吐出液中に気泡35が発生する。発生した気泡35の圧力により液室9内の吐出液がノズル孔12方向に加圧される。そのため、吐出液はこの圧力に応じてノズル孔12から吐出される。吐出により減少した吐出液は、流路10を通じて図示しない吐出液容器から補充される。発生した気泡35は周囲の吐出液に熱を奪われるので収縮するように消滅する。この一連の過程で印加電圧を制御すれば気泡35の大きさやその発生のタイミングを制御することができるので、図示しない制御装置により印加電圧を制御して吐出量や吐出タイミングの制御をすることができる。
液滴吐出装置32の製造方法は、可撓性膜3が保護膜34に、圧電素子4が発熱素子33に代わるほかは前述したものと同様であるためその説明は省略する。
また、例示をした要素に限定されるわけではなく、他の要素を設けるようにすることもできる。例えば、リストリクタを有するリストリクタプレートを流路10に設けるようにすることもできる。
なお、液滴吐出装置に種々の要素が設けられる場合には、各要素の吐出液と接触する面の算術平均粗さRaを0.3μm以上、5μm以下とすることができる。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、液滴吐出装置1、液滴吐出装置32などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
Claims (5)
- 吐出液を供給する流路と、
前記流路に連通し、吐出液を貯留する液室と、
前記液室に連通し、対象物へ吐出液を吐出するノズル孔と、
前記液室に貯留された吐出液に圧力を加える加圧手段と、
を備え、
前記流路、前記液室、前記ノズル孔からなる群より選ばれた少なくとも1種は、前記吐出液と接触する面の算術平均粗さRaが0.3μm以上、5μm以下であることを特徴とする液滴吐出装置。 - リストリクタを有するリストリクタプレートをさらに備え、
前記リストリクタプレートは、吐出液と接触する面の算術平均粗さRaが0.3μm以上、5μm以下であることを特徴とする請求項1記載の液滴吐出装置。 - 前記加圧手段は、圧電素子または発熱素子を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
- 前記圧電素子または前記発熱素子は、前記液室の軸方向に設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の液滴吐出装置。
- 吐出液を供給する流路と、
前記流路に連通し、吐出液を貯留する液室と、
前記液室に連通し、対象物へ吐出液を吐出するノズル孔と、
前記液室に貯留された吐出液に圧力を加える加圧手段と、
を備えた液滴吐出装置の製造方法であって、
前記流路、前記液室、前記ノズル孔からなる群より選ばれた少なくとも1種は、前記吐出液と接触する面の算術平均粗さRaを0.3μm以上、5μm以下とする工程を有することを特徴とする液滴吐出装置の製造方法。
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CN103977932A (zh) * | 2014-05-16 | 2014-08-13 | 清华大学深圳研究生院 | 集成结构预润湿涂胶喷嘴 |
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