JP2003266689A - 液滴吐出ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置

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JP2003266689A
JP2003266689A JP2002073465A JP2002073465A JP2003266689A JP 2003266689 A JP2003266689 A JP 2003266689A JP 2002073465 A JP2002073465 A JP 2002073465A JP 2002073465 A JP2002073465 A JP 2002073465A JP 2003266689 A JP2003266689 A JP 2003266689A
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 気泡の滞留を生じ易く吐出不良が発生する。 【解決手段】 加圧液室6等を形成する流路板1の加圧
液室6の振動板2に対向する壁面1aの表面粗さがRa
で2μm以下とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液滴吐出ヘッド及びその
製造方法並びにインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プ
ロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いる
インクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズル
と、このノズルが連通するインク流路(吐出室、圧力
室、加圧液室、液室等とも称される。)と、このインク
流路内のインクを加圧する駆動手段とを備えた液滴吐出
ヘッドとしてのインクジェットヘッドを搭載したもので
ある。なお、液滴吐出ヘッドとしては例えば液体レジス
トを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料
を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあるが、以
下ではインクジェットヘッドを中心に説明する。
【0003】インクジェットヘッドとしては、インク流
路内のインクを加圧するエネルギーを発生するエネルギ
ー発生手段として、圧電素子を用いてインク流路の壁面
を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化
させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの
(特開平2−51734号公報参照)、或いは、発熱抵
抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発
生させることによる圧力でインク滴を吐出させるいわゆ
るサーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参
照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対
向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によ
って振動板を変形させることで、インク流路内容積を変
化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平5
−50601号公報参照)などが知られている。
【0004】これらの各種ヘッドの内でも、ノズル開口
が形成されたノズルプレート(のズル形成部材)と振動
板とをスぺーサ(液室形成部材)の両面に接着して圧力
室(液室)を形成し、振動板を圧電振動子により変形さ
せる方式のインクジェットヘッドは、インク滴を飛翔さ
せるための駆動源として熱エネルギーを使用しないため
熱によるインクの変質がなく、特に熱により劣化しやす
いカラーインクを吐出させる上で利点がある。しかも、
圧電振動子の変位量を調整してインク滴のインク量を自
在に調節することが可能であるため、高品質なカラー印
刷のためのインクジェット記録装置を構成するのに最適
なヘッドである。
【0005】ところで、インクジェットヘッドは記録媒
体上のドットをインク滴により構成する関係上、インク
滴のサイズを小さくすることにより、極めて高い解像度
での記録、印刷が可能である。
【0006】しかしながら、効率よく記録するために
は、インク開口の数を多くする(ノズル数を多くする)
必要があり、特に、圧電振動子を駆動手段とするものに
あっては、圧電振動子のエネルギーを効率よく使用する
ために圧力室(加圧液室)を大きくする必要がある。こ
のことは、ヘッドの小型化要請とは相反することであ
る。このような相反する問題を解消するため、通常隣り
合う圧力室を区画している壁(隔壁)を薄くすると共に
圧力室の形状を長手方向に大きくして容積を稼ぐことが
行われている。
【0007】このような圧力室やリザーバは、振動板と
ノズルプレートの間隔を所定の値に保持する部材である
液室形成部材にて形成するが、上述したように、極めて
小さく、しかも複雑な形状を備えた圧力室を形成する必
要上、通常エッチング技術が使用されている。このよう
な液室形成部材を形成する材料としては、感光性樹脂膜
が使用されることが多いが、これは機械的強度が低いた
めクロストークや撓み等が生じ高い解像度を得ようとす
ると印字品質が低下するという問題がある。
【0008】そこで、比較的簡単な手法で微細な形状を
高い精度で加工が可能なシリコン単結晶基板の異方性エ
ッチングを用いた部品製作技術、いわゆるマイクロマシ
ニング技術を適用してインクジェットヘッドを構成する
部材を加工することが行われるようになっている。特
に、結晶方位(110)の単結晶シリコン基板を液室形
成部材に用いて、異方性エッチングを行って、圧力室や
リザーバを形成することが行われる。単結晶シリコンを
使用したスペーサは、機械的剛性が高いため、圧電振動
子の変形に伴う記録ヘッド全体のたわみを小さくできる
とともに、エッチングを受けた壁面が表面に対してほぼ
垂直であるため圧力室を均一に構成することが可能であ
るという大きな利点を備えている。
【0009】例えば、特開平7−178908号公報に
は、ノズル開口が列状に形成されたノズルプレートと圧
力発生室、インク供給口、およびリザーバを形成するス
ペーサと、蓋板とを備え、スペーサを形成する結晶方位
(110)のシリコン単結晶基板を異方性エッチングす
る際に、圧力発生室を形成する通孔を区画するノズル開
口近傍の壁面を、シリコン単結晶基板の表面に垂直で互
いに鈍角で接する4つの壁面とシリコン単結晶基板の断
面方向で鈍角に接する2つの壁面の計6つの壁面で形成
し、インクが停滞しやすいノズル開口近傍のインクの流
れを可及的に均一にして気泡の停滞を防止するようにし
たヘッドが記載されている。
【0010】また、特開平7−125198号公報に
は、結晶方位のシリコン単結晶基板を異方性エッチング
する際に、圧力発生室とリザーバとを形成する通孔をそ
れぞれ一方の壁面を同一面として形成し、また圧力発生
室を形成する通孔を区画するノズル開口近傍の壁面を相
互に鈍角で接する壁面で形成することにより、インク供
給口と圧力発生室を平滑な流路として構成して、インク
が停滞しやすいノズル開口近傍の壁面がノズル開口に対
して可及的に等距離になるようにしたヘッドが記載され
ている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シリコ
ンをエッチングして液室形成部材を形成する場合、エッ
チングがシリコンの結晶方位に依存するため、理想的な
形状に加工することが困難で、インクの淀みや停滞を招
き易い。
【0012】そのため、上述した公報に記載されている
ようなヘッドが提案されているが、エッチングによって
液室壁面を形成するシリコン表面に荒れが生じるため、
インクのスムーズな流れを確保できず、気泡が滞り易
く、吐出不良が生じるなど、安定した滴吐出を行えない
という課題がある。
【0013】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、安定した滴吐出を行うことができる液滴吐出ヘ
ッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置を
提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液室形成部材がシ
リコンから形成され、この液室形成部材の液流路の壁面
を形成する面の表面粗さがRaで2μmを越えない構成
とした。
【0015】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液室形成
部材がシリコンから形成され、この液室形成部材の振動
板に対向する液流路の壁面の表面粗さがRaで2μmを
越えない構成とした。
【0016】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液室形成
部材がシリコンから形成され、この液室形成部材のノズ
ル連通路の壁面の表面粗さがRaで2μmを越えない構
成とした。
【0017】これらの各本発明に係る液滴吐出ヘッドに
おいては、液室の壁面には酸化膜又は窒化チタン膜が形
成されていることが好ましい。
【0018】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法
は、本発明に係る液滴吐出ヘッドを製造する方法であっ
て、溶液濃度25%以上の水酸化カリウム水溶液を用い
て、処理温度80℃以上でシリコン基板をウエットエッ
チングして液室形成部材を形成するものである。
【0019】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法
は、本発明に係る液滴吐出ヘッドを製造する方法であっ
て、シリコン基板をウエットエッチングして液室形成部
材を形成し、この形成工程にはエッチング時に生じる気
泡がエッチング面に付着することを防止する工程を含む
ものである。
【0020】ここで、ウエットエッチングを行うときに
シリコン基板を揺動させる、あるいは、ウエットエッチ
ングを行うときにシリコン基板に超音波を加えることが
好ましい。
【0021】本発明に係るインクジェット記録装置は、
インクジェットヘッドが本発明に係る液滴吐出ヘッドで
ある構成としたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。本発明の液滴吐出ヘッドの第
1実施形態に係るインクジェットヘッドについて図1乃
至図4を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの分
解斜視説明図、図2は同ヘッドの液室長手方向に沿う断
面説明図、図3は同ヘッドの液室短手方向に沿う要部断
面説明図、図4は同ヘッドの液室形成部材の説明図であ
る。
【0023】このインクジェットヘッドは、単結晶シリ
コン基板で形成した液室形成部材である流路板1と、こ
の流路板1の下面に接合した振動板2と、流路板1の上
面に接合したノズル板3とを有し、これらによってイン
ク滴を吐出するノズル4がノズル連通路5を介して連通
する加圧液室6、加圧液室6に流体抵抗部となるインク
供給路7を介してインクを供給する共通液室8などの液
流路を形成し、流路板1のインクに接する面(液流路の
壁面)となる加圧液室6、インク供給路7、共通液室8
の各壁面には酸化膜又は窒化チタン膜、或いはポリイミ
ド膜などの有機樹脂膜からなる耐液性薄膜10を成膜し
ている。
【0024】そして、振動板2の外面側(液室6と反対
面側)に各加圧液室6に対応して積層型圧電素子12を
接合し、この積層型圧電素子12はベース基板13に接
合して固定し、この圧電素子12の列の周囲にはスペー
サ部材14(図1では図示を省略している。)をベース
基板13に接合している。
【0025】この圧電素子12は、例えば厚さ10〜5
0μn/層のチタン酸ジルコン酸(PZT)などの圧電
層15と厚さ数μm/層の銀パラジューム(AgPd)な
どからなる内部電極16とを交互に積層したものであ
る。なお、電気機械変換素子としてはPZTに限られる
ものではない。そして、この圧電素子の内部電極16を
交互に端面に取り出して端面電極として、ベース基板1
3上に形成した共通電極パターン及び個別電極パターン
に電気的に接続し、共通電極パターン及び共通電極パタ
ーンに接続したFPCケーブルを介してPCB基板と接
続して駆動波形を印加することによって積層方向の伸び
の変位を発生させるようにしている。
【0026】なお、ここでは、圧電素子12のd33方
向の変位を用いて加圧液室6内インクを加圧する構成と
しているが、圧電素子12のd31方向の変位を用いて
加圧液室6内インクを加圧する構成とすることもでき
る。また、図示は省略するが、外部から共通液室8にイ
ンクを供給するためのインク供給口を形成するための貫
通穴をベース基板13、スペーサ部材、振動板2に形成
している。
【0027】ここで、流路板1は、結晶面方位(11
0)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(K
OH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エ
ッチングすることで、各加圧液室6となる凹部、インク
供給路7となる溝部、共通液室8となる凹部をそれぞれ
形成し、ドライエッチングと異方性エッチングでノズル
連通路5を形成している。
【0028】振動板2はニッケルの金属プレートから形
成したもので、エレクトロフォーミング法で製造してい
る。この振動板2は加圧液室6に対応する部分に変形を
容易にするための薄肉部21及び圧電素子12と接合す
るための厚肉部22を形成するとともに、液室間隔壁2
0に対応する部分にも厚肉部23を形成し、平坦面側を
流路板1に接着剤接合している。この振動板2の液室間
隔壁20に対応する厚肉部23とベース基板13との間
には支柱部24を介設している。この支柱部24は圧電
素子12と同じ構成である。
【0029】ノズル板3は各加圧液室6に対応して直径
10〜30μmのノズル4を形成し、流路板1に接着剤
接合している。なお、ノズル4は2列形成して千鳥状に
配置している(図2は説明のため同一断面で示してい
る。)。このノズル板3としては、ステンレス、ニッケ
ルなどの金属、金属とポリイミド樹脂フィルムなどの樹
脂との組み合せ、シリコン、及びそれらの組み合わせか
らなるものを用いることができる。また、ノズル面(吐
出方向の表面:吐出面)には、インクとの撥水性を確保
するため、メッキ被膜、あるいは撥水剤コーティングな
どの周知の方法で撥水膜を形成している。
【0030】このように構成したインクジェットヘッド
においては、圧電素子12に対して選択的に20〜50
Vの駆動パルス電圧を印加することによって、パルス電
圧が印加された圧電素子12が積層方向(図3の場合)
に変位して振動板2をノズル5方向に変形させ、加圧液
室6の容積/体積変化によって加圧液室6内のインクが
加圧され、ノズル4からインク滴が吐出(噴射)され
る。
【0031】そして、インク滴の吐出に伴って加圧液室
6内の液圧力が低下し、このときのインク流れの慣性に
よって加圧液室6内には若干の負圧が発生する。この状
態の下において、圧電素子12への電圧の印加をオフ状
態にすることによって、振動板2が元の位置に戻って加
圧液室6が元の形状になるため、さらに負圧が発生す
る。このとき、インク供給口から共通液室8、流体抵抗
部であるインク供給路7を経て加圧液室6内にインクが
充填される。そこで、ノズル4のインクメニスカス面の
振動が減衰して安定した後、次のインク滴吐出のために
圧電素子12にパルス電圧を印加しインク滴を吐出させ
る。
【0032】ここで、インクジェットヘッドの液室形成
部材である流路板1は、図4を参照して、振動板3に対
向する加圧液室6を形成する凹部の壁面1a及びノズル
連通路5の壁面1bを表面粗さがRaで2μmを越えな
い表面性で形成している。なお、流路板1のみで加圧液
室6が形成されるものではないが、説明の便宜上、流路
板1の加圧液室6を形成する凹部のことを「流路板1の
加圧液室6」と表現する。
【0033】この点について図5ないし図10を参照し
て説明する。ここで、図5は本発明の実施形態に係る流
路板1のノズル板接合面の平面図及びノズル連通路の拡
大平面説明図、図6は同流路板1の振動板接合面の平面
図及び加圧液室の拡大平面説明図、図7は図6のA−A
線に沿う拡大断面説明図である。
【0034】また、図8は比較例に係る流路板1’のノ
ズル板接合面の平面図及びノズル連通路の拡大平面説明
図、図9は同流路板1’の振動板接合面の平面図及び加
圧液室の拡大平面説明図、図10は図9のB−B線に沿
う拡大断面説明図である。
【0035】なお、ここでは、流路板1、1’のノズル
板接合面には接着剤逃がし用凹部(肉抜き部)31を、
振動板接合面にも接着剤逃がし用凹部(肉抜き部)32
をそれぞれ形成している。
【0036】これらの図から分かるように、本発明の実
施形態に係る流路板1の加圧液室6の振動板に対向する
壁面1aの表面粗さはRaで2μmを越えない表面性に
形成している。これは、流路板1を形成するためのシリ
コンのエッチング時に発生する水素が壁面に付着するこ
とを防止する措置を施すことで得られるものである。こ
れは、例えば、エッチング時にシリコン基板を揺動させ
たり、あるいは、超音波を加えることで行うことができ
る。
【0037】これに対して、比較例に係る流路板1’の
加圧液室6’の振動板に対向する壁面1a’の表面粗さ
はRaで2μmを越える表面性になる。これは、流路板
1’を形成するためのシリコンのエッチング時に発生す
る水素(気泡)が壁面に付着して壁面1a’が荒れ、表
面粗さをRaで2μm以下にすることができないことに
よる。
【0038】このように、流路板1の振動板に対向する
壁面1aの表面粗さがRaで2μmを越えないことによ
り、加圧液室6を流れるインクの流れがスムーズにな
り、また、図7に示すように、気泡Baが壁面1aの微
細な凹凸に引っ掛かって滞留することが低減し、吐出不
良などを生じることが防止されて、安定した滴吐出を行
うことができる。
【0039】これに対して、流路板1’のように、振動
板に対向する壁面1a’の表面粗さがRaで2μmを越
えると、加圧液室6’を流れるインクの流れがスムーズ
でなくなり、また、図10に示すように、気泡Baが壁
面1a’の凹凸に引っ掛かって滞留し易くなるため、吐
出不良などを生じて、安定した滴吐出を行うことができ
なくなる。
【0040】なお、この第1実施形態における流路板1
は、ノズル連通路5、加圧液室6、流体抵抗部7及び共
通液室8を形成する各壁面の表面粗さがRaで2μmを
越えないようにしているが、少なくとも、加圧液室6の
壁面1a、あるいはノズル連通路5の壁面1bの表面粗
さがRaで2μmを越えないことが好ましい。
【0041】次に、同第2実施形態に係るインクジェッ
トヘッドについて図11を参照して説明する。なお、同
図は同ヘッドの液室形成部材である流路板を示す断面説
明図である。このヘッドにおいては、流路板41にノズ
ル板3のノズル4にインクが流れるための液流路とし
て、ノズル面側流路42と振動板側流路43とを形成し
ている。すなわち、第1実施形態のヘッドの流路板1が
振動板側流路のみの片面流路方式であるのに対し、この
第2実施形態のヘッドの流路板41は両面流路方式であ
る。
【0042】この流路板41を用いる場合、振動板側流
路43が圧電素子などに圧力発生手段によってインクが
加圧される加圧液室(加圧流路)となる。そして、ノズ
ル面側流路42と振動板側流路43とは連通路44、4
5でそれぞれ連通されている。
【0043】このように、ノズル板3のノズル4に対し
てノズル面側流路42と振動板側流路43とを有するこ
とにより、加圧流路である振動板側流路43で加圧され
たインクは連通路44及びノズル面側流路42を介して
ノズル4に至るとともに連通路45を介してノズル4に
至るので、高周波数での駆動時でもインクのリフィルを
十分に確保することができる。
【0044】次に、本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法
に係る第1実施形態として前記第1実施形態のヘッドの
流路板1を製造する工程について図12及び図13を参
照して説明する。先ず、図12(a)に示すように、厚
さ400μmで面方位(110)のシリコン基板(シリ
コンウエハを用いる。)61を用意し、このシリコン基
板61両表面に厚さ1.0μmのシリコン酸化膜62及
び厚さ0.2μmの窒化膜63を形成した。なお、窒化
膜63はLP−CVDで形成した。
【0045】次いで、同図(b)に示すように、シリコ
ン基板61のノズル板接合面側の窒化膜63表面に、ノ
ズル連通路5を形成するための開口とノズル板3との接
合時の余剰接着剤を流れ込ませる肉抜き部31を形成す
るための開口とを有するレジストパターン64を形成
し、その後、ドライエッチングを行って窒化膜63にノ
ズル連通路5を形成するための開口65とノズル板3と
の接合時の余剰接着剤を流れ込ませる肉抜き部31を形
成するための開口66とをパターニングする。このと
き、このノズル連通路形成パターンの開口65は鈍角で
接する6辺によって形成された形状となっている。な
お、レジストはエッチングしない面側にはベタ形成する
が、図示は省略する。
【0046】次に、同図(c)に示すように、窒化膜6
3の開口66を埋め込み、窒化膜63の開口65に対応
し、ノズル連通路5の形状に対応する開口を有するレジ
ストパターン67を形成し、このレジストパターン67
をマスクとしてドライエッチングを行って、シリコン酸
化膜62にノズル連通路5の形状に対応する開口68を
パターニングする。
【0047】その後、同図(d)に示すように、シリコ
ン基板61の振動板接合面側の窒化膜63表面に、加圧
液室6を形成するための開口と振動板2との接合時の余
剰接着剤を流れ込ませる肉抜き部32を形成するための
開口とを有するレジストパターン69を形成し、その
後、ドライエッチングを行って窒化膜63に加圧液室6
を形成するための開口70と振動板2との接合時の余剰
接着剤を流れ込ませる肉抜き部32を形成するための開
口71とをパターニングする。
【0048】そして、同図(e)に示すように、窒化膜
63の開口71を埋め込み、窒化膜63の開口70に対
応し、ノズル連通路5の形状に対応する開口を有するレ
ジストパターン72を形成し、このレジストパターン7
2をマスクとしてドライエッチングを行って、シリコン
酸化膜62にノズル連通路5の形状に対応する開口73
をパターニングする。
【0049】次に、図13(a)に示すように、ICP
ドライエッチャーを使用して、シリコン基板61に振動
板接合面側からノズル連通路5となる掘り込み74のパ
ターニングを行った。この際のレジスト72の膜厚は8
μmにて行った。ICPエッチャーを使用してのドライ
エッチングによる掘り込み74は300μmの深さまで
行った。
【0050】その後、同図(b)に示すように、レジス
ト72を除去して、水酸化カリウム水溶液によりシリコ
ンの異方性エッチングを行い、シリコン基板61を貫通
させてノズル連通路5となる貫通穴75を形成した。こ
の水酸化カリウム水溶液によるシリコン基板61のノズ
ル連通路5となる貫通穴75の形成工程(貫通工程)で
は、ノズル板接合面側及び振動板接合面側の両面よりエ
ッチングを行った。貫通穴75の貫通直後は異方性エッ
チングによる傾斜部が発生するが、本実施形態ではこの
傾斜部をこの貫通工程にて後退させることで傾斜部全て
のエッチングを行っている。
【0051】次いで、同図(c)に示すように、窒化膜
63をマスクとして希ふっ酸により酸化膜62のウェッ
トエッチングを行い、シリコン酸化膜62に加圧液室6
を形成するための開口76と肉抜き部31、32を形成
するための開口77、78とをパターニングする。
【0052】そして、同図(d)に示すように、再度水
酸化カリウム水溶液により、シリコン基板61の異方性
エッチングを行って、シリコン基板61に、加圧液室6
となる凹部80、及び肉抜き部31、32となる凹部8
1、82を形成した。
【0053】ここで、加圧液室部形成時のシリコンの異
方性エッチングは、水酸化カリウム水溶液として溶液濃
度30%のものを用いて、処理温度85℃で行った。さ
らに、シリコン基板61(シリコンウエハ)の揺動を機
械的に行った。このエッチング時のシリコン基板61の
揺動によって、エッチングで発生する水素が壁面に付着
することが防止されて、加圧液室6となる凹部80の底
面(振動板に対向する壁面)の表面粗さがRaで2μm
以下に抑えられる。
【0054】そして、同図(e)に示すように、窒化膜
63及びシリコン酸化膜62を除去し、その後図示しな
いが、耐インク接液膜(耐液性薄膜)10としてシリコ
ン酸化膜を1μmの厚さで形成して、インクジェット用
流路板1を得た。
【0055】このように、加圧液室6の振動板に対向す
る面の表面粗さをRaで2μm以下に抑えるように処理
を行ったため、インクの流れがスムースで、気泡の滞留
のない高信頼性のインクジェットを得ることができた。
【0056】ここで、シリコンの異方性エッチングにつ
いて図14をも参照して説明する。同図は、シリコンの
異方性エッチング時の水酸化カリウム濃度と温度及び表
面性の関係を示すものである。
【0057】水酸化カリウム水溶液の濃度が高くなると
表面粗さを小さくすることができる。ただし、濃度を高
くしすぎると、マイクロピラミッドと呼ばれるSi(1
11)面で囲まれた突起物が生じることが知られてい
る。同図中、領域Aはマイクロピラミッドが生じない領
域である。また、領域Cはエッチング面の表面粗さがR
aで2μm以下となる領域である。領域Bはマイクロピ
ラミッドが生じなく、かつエッチング面の表面粗さがR
aで2μm以下となる領域である。したがって、シリコ
ンの異方性エッチング条件としては、気泡付着防止を行
うと共に上記領域Bに相当する条件で処理することが好
ましい。
【0058】また、シリコンの異方性エッチングを水酸
化カリウム水溶液にて行う場合、シリコンのエッチング
レートは水酸化カリウム水溶液の濃度が20〜25%の
ときに最大値となる。この濃度でシリコンエッチング面
の状態を上記領域Bとするには、処理温度を80℃以上
とすることが好ましい。エッチング時の処理条件(濃
度、温度)と、気泡の付着によるエッチングの進行ばら
つきを抑えることにより、より信頼性の高いインクジェ
ットヘッドを形成することができる。
【0059】次に、本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法
に係る第2実施形態として前記第2実施形態のヘッドの
流路板41を製造する工程について図15及び図16を
参照して説明する。先ず、図15(a)に示すように、
厚さ400μmで面方位(110)のシリコン基板(シ
リコンウエハを用いる。)91を用意し、このシリコン
基板91両表面に厚さ1.0μmのシリコン酸化膜92
及び厚さ0.2μmの窒化膜93を形成した。なお、窒
化膜93はLP−CVDで形成した。
【0060】次いで、同図(b)に示すように、シリコ
ン基板91のノズル板接合面側の窒化膜93表面に、ノ
ズル面側流路42を形成するための開口とノズル板3と
の接合時の余剰接着剤を流れ込ませる肉抜き部31を形
成するための開口とを有するレジストパターン94を形
成し、その後、ドライエッチングを行って窒化膜93に
ノズル面側流路42を形成するための開口95とノズル
板3との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる肉抜き部3
1を形成するための開口96とをパターニングする。こ
のとき、このノズル面側流路パターンの開口95は鈍角
で接する4辺によって形成された形状となっている。な
お、レジストはエッチングしない面側にはベタ形成する
が、図示は省略する。
【0061】次に、同図(c)に示すように、窒化膜9
3の開口96を埋め込み、ノズル面側流路42と振動板
側流路43とを連通する連通路44、45の形状に対応
する開口を有するレジストパターン97を形成し、この
レジストパターン97をマスクとしてドライエッチング
を行って、シリコン酸化膜92に連通路44、45の形
状に対応する開口98、98をパターニングする。
【0062】その後、同図(d)に示すように、シリコ
ン基板91の振動板接合面側の窒化膜93表面に、振動
板側流路43を形成するための開口と振動板2との接合
時の余剰接着剤を流れ込ませる肉抜き部32を形成する
ための開口とを有するレジストパターン99を形成し、
その後、ドライエッチングを行って窒化膜93に振動板
側流路43を形成するための開口100と振動板2との
接合時の余剰接着剤を流れ込ませる肉抜き部32を形成
するための開口101とをパターニングする。
【0063】そして、同図(e)に示すように、窒化膜
93の開口101を埋め込み、ノズル面側流路42と振
動板側流路43とを連通する連通路44、45の形状に
対応する開口を有するレジストパターン102を形成
し、このレジストパターン102をマスクとしてドライ
エッチングを行って、シリコン酸化膜92に連通路4
4、45の形状に対応する開口103、103をパター
ニングする。
【0064】次に、図16(a)に示すように、ICP
ドライエッチャーを使用して、シリコン基板91に振動
板接合面側から連通路44、45となる掘り込み104
のパターニングを行った。この際のレジスト102の膜
厚は8μmにて行った。
【0065】その後、同図(b)に示すように、レジス
ト102を除去して、水酸化カリウム水溶液によりシリ
コンの異方性エッチングを行い、シリコン基板91を貫
通させてノズル面側流路42と振動板側流路43とを連
通する連通路44、45となる貫通穴105、105を
形成した。
【0066】次いで、同図(c)に示すように、窒化膜
93をマスクとして希ふっ酸により酸化膜92のウェッ
トエッチングを行い、シリコン酸化膜62にノズル面側
流路42と振動板側流路43を形成するための開口10
6、107と肉抜き部31、32を形成するための開口
108、109とをパターニングする。
【0067】そして、同図(d)に示すように、再度水
酸化カリウム水溶液により、シリコン基板91の異方性
エッチングを行って、シリコン基板91に、ノズル面側
流路42となる凹部110及び振動板側流路43となる
凹部111、及び肉抜き部31、32となる凹部10
2、103を形成した。
【0068】ここで、シリコンの異方性エッチングは、
水酸化カリウム水溶液として溶液濃度30%のものを用
いて、処理温度85℃で行った。さらに、シリコン基板
91(シリコンウエハ)の揺動を機械的に行った。この
エッチング時のシリコン基板91の揺動によって、エッ
チングで発生する水素が壁面に付着することが防止され
て、加圧液室となる凹部111の底面(振動板に対向す
る壁面)の表面粗さがRaで2μm以下に抑えられる。
【0069】そして、同図(e)に示すように、窒化膜
93及びシリコン酸化膜92を除去し、その後図示しな
いが、耐インク接液膜(耐液性薄膜)10としてシリコ
ン酸化膜を1μmの厚さで形成して、インクジェット用
流路板41を得た。
【0070】このように、加圧液室となる振動板側流路
43の振動板に対向する面の表面粗さをRaで2μm以
下に抑えるように処理を行ったため、インクの流れがス
ムースで、気泡の滞留のない高信頼性のインクジェット
を得ることができた。また、この流路板41は、ノズル
面側にもノズルへインクを供給するノズル面側流路42
が形成されており、高周波駆動時でのインクのリフィル
が十分確保することができ、高速印字が可能であった。
【0071】ここで、上述した第1実施形態に係るイン
クジェットヘッドを作製して噴射評価を行った結果を図
17に示している。この噴射評価においては、液室面
(振動板に対向する面)の表面粗さがRaで2μmの液
室形成部材を構成要素とする本発明の実施形態に係るヘ
ッドと、水酸化カリウム水溶液の濃度、温度、気泡付着
防止条件を変えて、表面粗さ(Ra)を3μm、4μ
m、5μmに変化させた液室形成部材を構成要素とする
比較例に係るヘッドとを製作した。
【0072】その結果、同図に示すように、加圧液室上
面(振動板に対向する壁面)の表面粗さがRaで2μm
を越える液室形成部材を用いたヘッドでは噴射ダウンビ
ットが発生し、表面粗さ(Ra)が大きくなるに従って
不良率が増加することが確認された。これに対して、加
圧液室上面の表面粗さ(Ra)が2μm以下の本発明に
係るヘッドでは噴射ダウンビットが生じないことが確認
された。
【0073】次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドとして
のインクジェットヘッドをインクタンクと一体にしたイ
ンクカートリッジについて図18を参照して説明する。
このインクカートリッジ200は、ノズル孔201等を
有する上記各実施形態のいずれかのインクジェットヘッ
ド202と、このインクジェットヘッド202対してイ
ンクを供給するインクタンク203とを一体化したもの
である。
【0074】このようにインクタンク一体型のヘッドの
場合、ヘッドの信頼性はただちにインクカートリッジ全
体の信頼性につながるので、上述したように不良率が少
なく安定した滴吐出を行い得るヘッドとインクタンクと
を一体化することで、インクカートリッジの歩留まり、
信頼性が向上する。
【0075】次に、本発明に係るインクジェットヘッド
(インクカートリッジ一体型ヘッドを含む)を搭載した
インクジェット記録装置の一例について図19及び図2
0を参照して説明する。なお、図19は同記録装置の斜
視説明図、図20は同記録装置の機構部の側面説明図で
ある。
【0076】このインクジェット記録装置は、記録装置
本体211の内部に主走査方向に移動可能なキャリッ
ジ、キャリッジに搭載した本発明に係るインクジェット
ヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給
するインクカートリッジ等で構成される印字機構部21
2等を収納し、装置本体211の下方部には前方側から
多数枚の用紙213を積載可能な給紙カセット(或いは
給紙トレイでもよい。)214を抜き差し自在に装着す
ることができ、また、用紙213を手差しで給紙するた
めの手差しトレイ215を開倒することができ、給紙カ
セット214或いは手差しトレイ215から給送される
用紙213を取り込み、印字機構部212によって所要
の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ2
16に排紙する。
【0077】印字機構部212は、図示しない左右の側
板に横架したガイド部材である主ガイドロッド221と
従ガイドロッド222とでキャリッジ223を主走査方
向(図20で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、この
キャリッジ223にはイエロー(Y)、シアン(C)、
マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を
吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェ
ットヘッドからなるヘッド224を複数のインク吐出口
を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方
向を下方に向けて装着している。またキャリッジ223
にはヘッド224に各色のインクを供給するための各イ
ンクカートリッジ225を交換可能に装着している。な
お、上述したインクカートリッジ一体型ヘッドを搭載す
るようにすることもできる。
【0078】インクカートリッジ225は上方に大気と
連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへイン
クを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多
孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジ
ェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持
している。
【0079】また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘ
ッド224を用いているが、各色のインク滴を吐出する
ノズルを有する1個のヘッドでもよい。
【0080】ここで、キャリッジ223は後方側(用紙
搬送方向下流側)を主ガイドロッド221に摺動自在に
嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッ
ド222に摺動自在に載置している。そして、このキャ
リッジ223を主走査方向に移動走査するため、主走査
モータ227で回転駆動される駆動プーリ228と従動
プーリ229との間にタイミングベルト230を張装
し、このタイミングベルト230をキャリッジ223に
固定しており、主走査モーター227の正逆回転により
キャリッジ223が往復駆動される。
【0081】一方、給紙カセット214にセットした用
紙213をヘッド224の下方側に搬送するために、給
紙カセット214から用紙213を分離給装する給紙ロ
ーラ231及びフリクションパッド232と、用紙21
3を案内するガイド部材233と、給紙された用紙21
3を反転させて搬送する搬送ローラ234と、この搬送
ローラ234の周面に押し付けられる搬送コロ235及
び搬送ローラ234からの用紙213の送り出し角度を
規定する先端コロ236とを設けている。搬送ローラ2
34は副走査モータ237によってギヤ列を介して回転
駆動される。
【0082】そして、キャリッジ223の主走査方向の
移動範囲に対応して搬送ローラ234から送り出された
用紙213を記録ヘッド224の下方側で案内する用紙
ガイド部材である印写受け部材239を設けている。こ
の印写受け部材239の用紙搬送方向下流側には、用紙
213を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送
コロ241、拍車242を設け、さらに用紙213を排
紙トレイ216に送り出す排紙ローラ243及び拍車2
44と、排紙経路を形成するガイド部材245,246
とを配設している。
【0083】記録時には、キャリッジ223を移動させ
ながら画像信号に応じて記録ヘッド224を駆動するこ
とにより、停止している用紙213にインクを吐出して
1行分を記録し、用紙213を所定量搬送後次の行の記
録を行う。記録終了信号または、用紙213の後端が記
録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を
終了させ用紙213を排紙する。この場合、ヘッド22
4を構成する本発明に係るインクジェットヘッドは滴吐
出効率が高いので、安定して高い画像品質の画像を記録
することができる。
【0084】また、キャリッジ223の移動方向右端側
の記録領域を外れた位置には、ヘッド224の吐出不良
を回復するための回復装置247を配置している。回復
装置247はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手
段を有している。キャリッジ223は印字待機中にはこ
の回復装置247側に移動されてキャッピング手段でヘ
ッド224をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に
保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。
また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出す
ることにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、
安定した吐出性能を維持する。
【0085】吐出不良が発生した場合等には、キャッピ
ング手段でヘッド224の吐出口(ノズル)を密封し、
チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに
気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等
はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復され
る。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された
廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のイ
ンク吸収体に吸収保持される。
【0086】このように、このインクジェット記録装置
においては本発明を実施したインクジェットヘッド(ヘ
ッド一体型インクカートリッジを含む)を搭載している
ので、安定したインク滴吐出特性が得られて、画像品質
が向上する。
【0087】なお、上記実施形態においては、本発明に
係る液滴吐出ヘッドをインクジェットヘッドに適用した
が、インク以外の液体の滴、例えば、パターニング用の
液体レジストを吐出する液滴吐出ヘッド、遺伝子分析試
料を吐出する液滴吐出ヘッドなどにも適用することでき
る。また、上記各実施形態においては圧電素子を用いる
ヘッドで説明したが、前述したようなサーマル型、ある
いは静電型のヘッドにも同様に適用できる。
【0088】さらに、液室形成部材は液流路を形成する
部材であればよいので、例えば流路形成部材に蓋部材を
接合するタイプのヘッドの当該蓋部材をシリコンで形成
する場合には本発明にいう液室形成部材に含まれるもの
である。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る液滴
吐出ヘッドによれば、液室形成部材がシリコンから形成
され、この液室形成部材の液流路の壁面を形成する面の
表面粗さがRaで2μmを越えない構成としたので、信
頼性が向上し、安定した滴吐出を行うことができる。
【0090】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、液
室形成部材がシリコンから形成され、この液室形成部材
の振動板に対向する液流路の壁面の表面粗さがRaで2
μmを越えない構成としたので、信頼性が向上し、安定
した滴吐出を行うことができる。
【0091】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液室形成
部材がシリコンから形成され、この液室形成部材のノズ
ル連通路の壁面の表面粗さがRaで2μmを越えない構
成としたので、信頼性が向上し、安定した滴吐出を行う
ことができる。
【0092】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法に
よれば、本発明に係る液滴吐出ヘッドを製造する方法で
あって、溶液濃度25%以上の水酸化カリウム水溶液を
用いて、処理温度80℃以上でシリコン基板をウエット
エッチングして液室形成部材を形成するので、容易に、
表面粗さがRaで2μmを越えない液室形成部材を形成
できる。
【0093】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法に
よれば、本発明に係る液滴吐出ヘッドを製造する方法で
あって、シリコン基板をウエットエッチングして液室形
成部材を形成し、この形成工程にはエッチング時に生じ
る気泡がエッチング面に付着することを防止する工程を
含むので、表面粗さがRaで2μmを越えない液室形成
部材を形成できる。
【0094】本発明に係るインクジェット記録装置は、
インクジェットヘッドが本発明に係る液滴吐出ヘッドで
ある構成としたので、信頼性が向上し、安定して高品質
画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出ヘッドの第1実施形態に係る
インクジェットヘッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図
【図3】同ヘッドの液室短手方向に沿う要部断面説明図
【図4】同ヘッドの液室形成部材の説明図
【図5】本発明の実施形態に係る流路板のノズル板接合
面の説明図
【図6】同流路板の振動板接合面の説明図
【図7】図6のA−A線に沿う拡大断面説明図
【図8】比較例に係る流路板のノズル板接合面の説明図
【図9】同流路板の振動板接合面の説明図
【図10】図9のB−B線に沿う拡大断面説明図
【図11】本発明の液滴吐出ヘッドの第2実施形態に係
るインクジェットヘッドの流路板の説明図
【図12】本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法の第1実
施形態に係る流路板の製造工程の説明に供する説明図
【図13】図12に続く工程を説明する説明図
【図14】シリコンの異方性エッチング時の水酸化カリ
ウム濃度と温度及び表面性の関係の説明に供する説明図
【図15】本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法の第2実
施形態に係る流路板の製造工程の説明に供する説明図
【図16】図15に続く工程を説明する説明図
【図17】液室表面粗さと不良率の評価結果の説明に供
する説明図
【図18】本発明に係る液滴吐出ヘッドを一体化したイ
ンクカートリッジの斜視説明図
【図19】本発明に係る液滴吐出ヘッドを搭載したイン
クジェット記録装置の一例を示す斜視説明図
【図20】同記録装置の機構部の側面説明図
【符号の説明】 1、41…流路板、2…振動板、3…ノズル板、4…ノ
ズル、5…ノズル連通路、6…加圧液室、7…流体抵抗
部、8…共通液室、10…耐液性薄膜、12…圧電素
子、13…ベース基板、42…ノズル面側流路、43…
振動板側流路、44、45…連通路、214…記録ヘッ
ド。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズルが連通する液流路を形成する液室
    形成部材を備えた液滴吐出ヘッドにおいて、前記液室形
    成部材がシリコンから形成され、この液室形成部材の前
    記液流路の壁面を形成する面の表面粗さがRaで2μm
    を越えないことをことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 ノズルを形成するノズル形成部材と、前
    記ノズルが連通する液流路を形成する液室形成部材と、
    前記液流路の壁面を形成する振動板とを備えた液滴吐出
    ヘッドにおいて、前記液室形成部材がシリコンから形成
    され、この液室形成部材の前記振動板に対向する前記液
    流路の壁面の表面粗さがRaで2μmを越えないことを
    特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 ノズルを形成するノズル形成部材と、前
    記ノズルが連通する液流路及びこの液流路と前記ノズル
    との間を連通するためのノズル連通路を形成する液室形
    成部材と、前記液流路の壁面を形成する振動板とを備え
    た液滴吐出ヘッドにおいて、前記液室形成部材がシリコ
    ンから形成され、この液室形成部材の前記ノズル連通路
    の壁面の表面粗さがRaで2μmを越えないことを特徴
    とする液滴吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の液
    滴吐出ヘッドにおいて、前記液流路の壁面には酸化膜又
    は窒化チタン膜が形成されていることを特徴とする液滴
    吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の液
    滴吐出ヘッドを製造する方法であって、溶液濃度25%
    以上の水酸化カリウム水溶液を用いて、処理温度80℃
    以上でシリコン基板をウエットエッチングして液室形成
    部材を形成することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし4のいずれかに記載の液
    滴吐出ヘッドを製造する方法であって、シリコン基板を
    ウエットエッチングして前記液室形成部材を形成し、こ
    の形成工程にはエッチング時に生じる気泡がエッチング
    面に付着することを防止する工程を含むことを特徴とす
    る液滴吐出ヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6に記載の液滴吐出ヘッド
    の製造方法において、前記ウエットエッチングを行うと
    きに前記シリコン基板を揺動させることを特徴とする液
    滴吐出ヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5又は6に記載の液滴吐出ヘッド
    の製造方法において、前記ウエットエッチングを行うと
    きに前記シリコン基板に超音波を加えることを特徴とす
    る液滴吐出ヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 インク滴を吐出させるインクジェットヘ
    ッドを備えたインクジェット記録装置において、前記イ
    ンクジェットヘッドが請求項1ないし4のいずれかに記
    載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とするインクジェ
    ット記録装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008110585A (ja) * 2006-10-31 2008-05-15 Kyocera Mita Corp インクジェット記録ヘッドおよび記録装置
JP2011126271A (ja) * 2009-11-18 2011-06-30 Canon Inc 液体供給部材、液体供給部材の製造方法、液体吐出ヘッドおよび液体吐出ヘッドの製造方法
JP2011189260A (ja) * 2010-03-12 2011-09-29 Toshiba Corp 液滴吐出装置および液滴吐出装置の製造方法

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