JP2011181195A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 安全性やサイクル特性に優れるとともに、生産性および低コスト化が可能なリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】 正極、負極、有機電解液およびセパレータを有するリチウムイオン二次電池において、前記正極または負極の少なくともいずれかの電極の表面に耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む多孔質層を有しており、前記セパレータが、融点が100〜130℃の樹脂と繊維状物から構成されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池により、前記課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、安全性やサイクル特性に優れるとともに、生産性および低コスト化が可能なリチウムイオン二次電池に関するものである。
電気化学素子の1種であるリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いという特徴から、携帯電話やノート型パーソナルコンピューターなどの携帯機器の電源として広く用いられている。また、環境問題への配慮から、繰り返し充電できる二次電池の重要性が増大しており、携帯機器以外にも、自動車、電動工具、電動車椅子や、家庭用、業務用の電力貯蔵システムへの適用が検討されている。
前記のように電池に要求される特性は多岐に渡っており、用途別に様々な対応が必要とされている。例えば、使用時間を長くするための高エネルギー密度化や、大電流での使用時の高エネルギー密度化および充電時間の短縮化(すなわち高負荷機器への適応のために入出力特性の更なる向上)が要求されている。更に、繰り返しの充放電サイクルに耐えうる特性も要求されている。これら過酷な使用条件に耐えうる電池の安全性を確保するために、電極、セパレータ、電解液などの各種部材に関して種々検討がされている。
ところで、現行のリチウムイオン二次電池では正極と負極の間に介在させるセパレータとして、例えば厚みが20〜30μm程度のポリオレフィン系の微多孔膜が使用されている。また、セパレータの素材としては、電池の熱暴走温度以下でセパレータの構成樹脂を溶融させて空孔を閉塞させ、これにより電池の内部抵抗を上昇させて短絡の際などに電池の安全性を向上させる所謂シャットダウン効果を確保するため、融点の低いポリエチレンが適用されることがある。
こうしたセパレータには、例えば、多孔化と強度向上のために一軸延伸または二軸延伸したフィルムが用いられている。このようなセパレータは、単独で存在する膜として供給されるため、作業性などの点で一定の強度が要求され、これを前記延伸によって確保している。しかし、このような延伸フィルムでは結晶化度が増大しており、シャットダウン温度も、電池の熱暴走温度に近い温度にまで高まっているため、電池の安全性確保のためのマージンが十分とは言い難い。
また、前記延伸によってフィルムにはひずみが生じており、これが高温に曝されると、残留応力によって収縮が起こるという問題がある。収縮温度は、融点、すなわちシャットダウン温度と非常に近いところに存在する。このため、ポリオレフィン系の微多孔膜セパレータを使用するときには、充電異常時などに電池の温度がシャットダウン温度に達すると、電流を直ちに減少させて電池の温度上昇を防止しなければならない。空孔が十分に閉塞せず電流を直ちに減少できなかった場合には、電池の温度は容易にセパレータの収縮温度にまで上昇するため、内部短絡の危険性があるからである。
そこで、前記ポリオレフィン系の微多孔膜セパレータ上に、耐熱温度が150℃以上の無機フィラー等を耐熱層として積層し、熱収縮を抑制する耐熱性セパレータが提案されている。
国際公開第2007/66768号公報 特開2000−223120号公報 特開2000−340232号公報
セパレータとしての理想は、熱収縮をおこす前に細孔が閉塞してシャットダウンすることである。基材のシャットダウン温度と熱収縮開始温度がリンクする場合、例え前記公知例のように、耐熱層が積層されていても、耐熱層の熱強度が不足する(耐熱層が薄い、目付け重量が低い)などの問題があれば、シャットダウン前にセパレータが熱収縮してしまう。そうならないために耐熱層を多くすれば、シャットダウン前の熱収縮は抑えられる一方、セパレータとしては厚くなる。
さらには、前記ポリオレフィン系の微多孔膜セパレータは、その製法によって差はあるものの、電池の構成部材の中では比較的高価な部類にあることも問題であった。そこに前記耐熱層を積層することで、さらに加工費が加算されることになる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱収縮前に的確にシャットダウンするとともに、安全性と諸特性に優れ、さらに安価なリチウムイオン二次電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の電池用セパレータは、正極、負極、有機電解液およびセパレータを有するリチウムイオン二次電池において、前記正極または負極の少なくともいずれかの電極の表面に耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む多孔質層を有しており、前記セパレータが、融点が100〜120℃の樹脂を含んだ不織布であることを特徴とする。ここで、融点とは、JIS K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される、樹脂等の融解温度を意味する。
セパレータが熱収縮をおこすより低い温度で前記樹脂が溶融し、被膜化することで電池反応を抑制して電流を遮断し熱暴走を防止することができる。また、低融点の樹脂を担持する基材として安価な繊維状物(例えば不織布など)を用いることで低コスト化も実現できる。
また、正極または負極に設けた多孔質層は電極間の短絡防止機能もあり、また耐熱性が高いので、高温に曝されて前記セパレータが例え熱収縮しても両極が直接接触することがなく、短絡による電池の破裂・発火などの異常を防止することができる。
なお、本明細書でいう「耐熱温度が150℃以上」とは、少なくとも150℃において軟化などの変形が見られないことを意味している。
本発明によれば、異常時のシャットダウン特性と安全性に優れるとともに、安価なリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の一例を模式的に示す図で、Aはその平面図、Bはその部分縦断面図である。 図1に示すリチウムイオン二次電池の斜視図である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極または負極の少なくともいずれかの電極の表面に耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む多孔質層を有しており、またセパレータが、融点が100〜120℃の樹脂を含んだ繊維状物から構成されることを特徴とする
前記セパレータは、融点が100〜120℃の樹脂を含むとともに、この樹脂を保持する基材の繊維状物とともに構成され、両極間の短絡防止機能と、シャットダウン機能を確保するものである。本発明の電池の温度が、前記樹脂の融点以上に達したときには、樹脂が溶融して被膜化することでセパレータの空孔を塞ぎ、電気化学反応の進行を抑制するシャットダウンを生じる。
また、電極表面にある多孔質層も、セパレータと同様の両極の短絡防止機能を備えており、特に電池の内部温度が上昇した際にも正極と負極との直接の接触による短絡を防止する機能を備えたものであり、耐熱温度が150℃以上のフィラーによって、その機能を確保している。すなわち、電池が高温となった場合には、例えセパレータが収縮しても、収縮し難い多孔質層によって、セパレータが熱収縮した場合に発生し得る正負極の直接の接触による短絡を防止することができる。
セパレータに係る繊維状物は、電気絶縁性を有しており、電気化学的に安定で、更に後述する非水電解液等に対して安定であれば特に制限はないが、150℃で実質的に変形しないものが望ましい。なお、本発明でいう「繊維状物」とは、アスペクト比[長尺方向の長さ/長尺方向に直交する方向の幅(直径)]が4以上のものを意味している。
150℃でも実質的に変形しないものを用いた場合、例えば100〜120℃の加熱時にシャットダウンが起こった後、更に30℃以上セパレータの温度が上昇しても、その形状が安定に保たれるので、例えば従来のポリエチレンの多孔性フィルムで構成されるセパレータで生じていた熱収縮に起因する短絡の発生が防止される。
繊維状物は、繊維物の多数が集合してシート状物を形成している形式のもの、具体的にはセルロース、セルロース変成体(カルボキシメチルセルロースなど)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)など]、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアラミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール(PVA)などの樹脂;ガラス、アルミナ、シリカなどの無機材料(無機酸化物);などが挙げられる。繊維状物は、これらの構成材料の1種を含有していてもよく、2種以上を含有していても構わない。中でも、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類は、耐熱性が高く、また、加工性や価格的に優れるなどの特徴があるので好ましい。
また、繊維状物は、シート状物であることが望ましく、特に繊維の織布または不織布であることが望ましい。繊維状物がシート状物である場合、目付け(坪量)は、後述する樹脂の体積比率を確保するため、または引張りなどの機械的強度を確保するためにも3〜30g/m2が好ましく厚さは7〜20μmが好ましい。
セパレータに係る樹脂は、電気絶縁性を有しており、電気化学的に安定で、非水電解液等に安定で、かつ融点が100〜120℃の熱可塑性樹脂であれば特に制限は無い。中でも、低分子量ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンが前述の諸条件を満たす樹脂の例として好ましい。なお、シャットダウン機能に支障をきたさない範囲で、例えば前述の繊維状物の耐熱変形性を補強する、あるいは樹脂の耐酸化性を補うなどの目的で、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレートや共重合ポリエステルなどのポリエステル;など、高融点の樹脂や、アルミナ、シリカ、ベーマイトといった無機酸化物を適量加えてもかまわない。なお、無機酸化物を添加する場合は、多く加えすぎると衝撃や曲げなどの外部作用を加えた際に割れが生じる虞があるので、多くとも10体積%以下にすることが望ましい。
また、前記樹脂は、繊維状物との体積比において30〜80体積%であれば、好適にシャットダウン機能とセパレータ機能の両方を発揮することができるので望ましい。前記樹脂の粒径は、小さすぎると繊維状物への分散性が悪くなり、セパレータとしての細孔が部分的に大きくなって微短絡を起こしやすくなること、逆に大きすぎると、後述する塗布性に支障が生じるため、一次粒子径として0.1〜2μm程度であることが望ましい。
前述した繊維状物と樹脂を用いてセパレータを作製する方法として、例えば前記樹脂として、低分子量ポリエチレンを、繊維状物としてポリエチレンテレフタレートの不織布を用いた場合を一例として説明する。前記低分子量ポリエチレンの水系ディスパージョン(例えば固形分濃度が45重量%)に、必要に応じて媒体(例えば水)、有機バインダ、界面張力調整剤、分散剤、増粘剤などを添加し、これらをミキサーで混合してスラリーを作製する。このスラリーに不織布を浸漬して、摺り切り引き上げ型の塗布機で塗布、および乾燥して作製することができる。
媒体に水を用いる場合、井戸水、水道水などをイオン交換させたイオン交換水;これらを蒸留処理した精製水;が好ましく、前記のイオン交換水や精製水を、ガンマ線、エチレンオキサイトガスまたは紫外線などによって滅菌処理した水がより好ましく、前記の精製水に前記の滅菌処理した水が特に好ましい。前記有機バインダ、界面張力調整剤、分散剤、増粘剤などを添加して、スラリーを長期間貯蔵すると、その間に組成物中のバクテリアなどによって前記添加物が分解し、粘度等のスラリー物性が著しく変化する虞がある。しかしながら、媒体に前記の滅菌処理した水を使用することで、例えば、バクテリアなどにより分解しやすい天然多糖類を増粘剤として使用した場合であっても、組成物の貯蔵期間中での増粘剤の分解を抑制して長期貯蔵性に優れたスラリーとすることができる。
なお、媒体に使用する水に滅菌処理を施す場合、滅菌の度合いは、水中に含まれる真菌や生菌の数で判断すればよい。具体的には、日本薬局方の一般試験法に記載の無菌試験法により求められる真菌および生菌の個数が、水50mL中にそれぞれ50以下となるまで滅菌処理を施すことが好ましい。
有機バインダとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA、酢酸ビニル由来の構造単位が20〜35モル%のもの)、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリル酸共重合体、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられるが、特に、150℃以上の耐熱温度を有する耐熱性のバインダが好ましく用いられる。有機バインダは、前記例示のものを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記例示の有機バインダの中でも、EVA、エチレン−アクリル酸共重合体、フッ素系ゴム、SBRなどの柔軟性の高いバインダが好ましい。このような柔軟性の高い有機バインダの具体例としては、三井デュポンポリケミカル社の「エバフレックスシリーズ(EVA)」、日本ユニカー社のEVA、三井デュポンポリケミカル社の「エバフレックス−EEAシリーズ(エチレン−アクリル酸共重合体)」、日本ユニカー社のEEA、ダイキン工業社の「ダイエルラテックスシリーズ(フッ素ゴム)」、JSR社の「TRD−2001(SBR)」、日本ゼオン社の「BM−400B(SBR)」などがある。
また、スラリーが発泡しやすく、塗布性に影響する場合には、適宜消泡剤を用いることができる。消泡剤としては、ミネラルオイル系、シリコーン系、アクリル系、ポリエーテル系の各種消泡剤を用いることができる。消泡剤の具体的な例としては、日華化学社製「フォームレックス(商品名)」、日信化学社製「サーフィノール(商品名)シリーズ」、荏原エンジニアリング社製「アワゼロン(商品名)シリーズ」、サンノプコ社製「SNデフォーマー(商品名)シリーズ」などを用いることができる。
スラリーには、樹脂粒子や、あるいは補強剤として添加した無機酸化物粒子同士の凝集を防ぐ目的で適宜分散剤を使用することが可能である。分散剤の具体的な例としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の各種界面活性剤、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩などの高分子系分散剤などを用いることができる。より具体的には、ADEKA社製「アデカトール(商品名)シリーズ」、「アデカノール(商品名)シリーズ」、サンノプコ社製「SNディスパーサント(商品名)シリーズ」、ライオン社製「ポリティ(商品名)シリーズ」、「アーミン(商品名)シリーズ」、「デュオミン(商品名)シリーズ」、花王社製「ホモゲノール(商品名)シリーズ」、「レオドール(商品名)シリーズ」、「アミート(商品名)シリーズ」、日油社製「ファルバック(商品名)シリーズ」、「セラミゾール(商品名)シリーズ」、「ポリスター(商品名)シリーズ」、味の素ファインテクノ社製「アジスパー(商品名)シリーズ」、東亞合成社製「アロン分散剤(商品名)シリーズ」などがある。
またスラリーに、界面張力を制御する目的で、適宜添加剤を加えることができる。添加剤としては、媒体が有機溶媒である場合には、アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、または、モノメチルアセテートなどの各種プロピレンオキサイド系グリコールエーテルなど用いることができ。媒体が水の場合には、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、変性シリコーン系、疎水性シリカ系(例えばサンノプコ社製「SNウエット(商品名)シリーズ、SNデフォーマー(商品名)シリーズ」を用いて界面張力を制御することもできる。
スラリーには、粘度調整をする目的、または樹脂粒子や無機酸化物粒子の分散状態を安定化させるために、増粘剤を添加することができる。増粘剤の具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール、ウレタン変性ポリエーテル、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体等の合成高分子(例えばサンノプコ社製「SNシックナー(商品名)シリーズ」);カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体;キサンタンガム、ウェランガム、ジェランガム、グアーガム、カラギーナンなどの天然多糖類;デキストリン;アルファー化でんぷんなどのでんぷん類;モンモリロナイト、ヘクトライトなどの粘土鉱物;ヒュームドシリカ、ヒュームドアルミナ、ヒュームドチタニアなどの無機酸化物類;などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記の粘土鉱物や無機酸化物類の場合には、一次粒子の粒径が、樹脂粒子よりも小さいもの(例えば、数nm〜数十nm程度)を使用することが好ましく、また、一次粒子が多数繋がったストラクチャ構造を有するもの(ヒュームドシリカなど)が好ましい。
前記例示の増粘剤のなかでも、スラリーに好適な媒体である水に対する溶解性が高く、少量で増粘効果が高い点で、天然多糖類がより好ましく、キサンタンガム、ウェランガム、ジェランガムが更に好ましく、キサンタンガムが特に好ましい。また、スラリーにチクソ性を付与する場合には、ヒュームドシリカ、ヒュームドアルミナ、ヒュームドチタニアなどの無機酸化物類を添加することが好ましい。
さらにスラリーの貯蔵安定性を確保するために、適宜防腐剤や殺菌剤を添加して増粘剤の分解を抑制してもよい。これらの例としては、安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸エステル、エタノール、メタノール等のアルコール類、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素類、過酸化水素、ホウ酸、酢酸等の酸類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ類、窒素含有有機硫黄系化合物(例えばサンノプコ社製「ノプコサイド(商品名)シリーズ」などが挙げられる。
セパレータ全体の空孔率としては、電解液の保液量を確保してイオン透過性を良好にするために、乾燥した状態で、30%以上であることが好ましい。一方、セパレータ強度の確保と内部短絡の防止の観点から、セパレータの空孔率は、乾燥した状態で、70%以下であることが好ましい。なお、セパレータの空孔率:P(%)は、セパレータの厚み、面積あたりの質量、構成成分の密度から、下記(1)式を用いて各成分iについての総和を求めることにより計算できる。
P = 100−(Σa/ρ)×(m/t) (1)
ここで、前記式中、a:質量%で表した成分iの比率、ρ:成分iの密度(g/cm)、m:セパレータの単位面積あたりの質量(g/cm)、t:セパレータの厚み(cm)である。
また、本発明に係るセパレータは、JIS P 8117に準拠した方法で測定され、0.879g/mmの圧力下で100mlの空気が膜を透過する秒数で示されるガーレー値が、10〜300secであることが望ましい。透気度が大きすぎると、イオン透過性が小さくなり、他方、小さすぎると、セパレータの強度が小さくなることがある。前記の構成を採用することにより、前記の透気度を有するセパレータとすることができる。
セパレータの平均孔径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上であって、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
前記の構成を有するセパレータを有する本発明の電池のシャットダウン特性は、例えば、電池の内部抵抗の温度変化により求めることができる。具体的には、電池を恒温槽中に設置し、温度を室温から毎分1℃の割合で上昇させ、電池の内部抵抗が上昇する温度を求めることで測定することが可能である。この場合、150℃における電池の内部抵抗は、室温の5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがより好ましく、前記構成のセパレータを使用することで、このような特性を確保することができる。
また、本発明に係るセパレータは、150℃での熱収縮率を5%以下とすることが好ましい。このような特性のセパレータであれば、電池内部が150℃程度になっても、セパレータの収縮が殆ど生じないため、正負極の接触による短絡をより確実に防止することができ、高温での電池の安全性をより高めることができる。前記の構成を採用することで、前記のような熱収縮率を有するセパレータとすることができる。
なお、前記の「150℃の熱収縮率」とは、セパレータを恒温槽に入れ、温度を150℃まで上昇させて3時間放置した後に取り出して、恒温槽に入れる前のセパレータの寸法と比較することで求められる寸法の減少割合を百分率で表したものである。
本発明のリチウムイオン二次電池に係る正極には、従来から知られているリチウムイオン二次電池に用いられている正極、すなわち、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質を含有する正極を用いることができる。例えば、正極活物質には、Li1+xMOで(−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mnなど)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物;LiMnなどのリチウムマンガン酸化物;LiMnのMnの一部を他元素で置換したLiMn(1−x);オリビン型LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Fe);LiMn0.5Ni0.5;Li(1+a)MnNiCo(1−x−y)(−0.1<a<0.1、0<x<0.5、0<y<0.5);などを適用することが可能であり、これらの正極活物質に公知の導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料など)や、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、SBR、フッ素ゴムなどの結着剤や、増粘剤などを適宜添加した正極合剤を、集電体を芯材として成形体(正極合剤層)に仕上げたものなどを用いることができる。
正極の集電体としては、アルミニウムなどの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、厚みが10〜30μmのアルミニウム箔が好適に用いられる。
正極側のリード部は、通常、正極作製時に、集電体の一部に正極合剤層(正極活物質を有する層)を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、リード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体にアルミニウム製の箔などを後から接続することによって設けてもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池に係る負極には、従来から知られているリチウムイオン二次電池に用いられている負極、すなわち、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質を含有する負極を用いることができる。例えば、負極活物質には、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などの、リチウムを吸蔵、放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、Si、Sn、Ge、Bi、Sb、Inなどの元素およびその合金、リチウム含有窒化物、または酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物、もしくはリチウム金属やリチウム/アルミニウム合金も負極活物質として用いることができる。
負極活物質には、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1のピーク強度に対する1360cm−1のピーク強度比であるR値(I1360/I1580)が0.1以上0.5以下であり、002面の面間隔d002が0.338nm以下である黒鉛を使用することがより好ましい。このような負極活物質を含有する負極を使用することで、低温でも優れた充電特性を維持し得るリチウムイオン二次電池とすることができる。
R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛としては、例えば、表面が低結晶性の炭素材で被覆された黒鉛が挙げられる。そのような黒鉛は、d002が0.338nm以下である天然黒鉛または人造黒鉛を球状に賦形したものを母材とし、その表面を有機化合物で被覆し、800〜1500℃で焼成した後、解砕し、篩を通して整粒することによって得ることができる。なお、前記母材を被覆する有機化合物としては、芳香族炭化水素;芳香族炭化水素を加熱加圧下で重縮合して得られるタールまたはピッチ類;芳香族炭化水素の混合物を主成分とするタール、ピッチまたはアスファルト類;などが挙げられる。前記母材を前記有機化合物で被覆するには、前記有機化合物に前記母材を含浸・混捏する方法が採用できる。また、プロパンやアセチレンなどの炭化水素ガスを熱分解により炭素化し、これをd002が0.338nm以下の黒鉛の表面に堆積させる気相法によっても、R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛を作製することができる。
電池には、これらの負極活物質に導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料など)やPVDFなどの結着剤を適宜添加した負極合剤を、集電体を芯材として成形体(負極合剤層)に仕上げた負極が用いられる他、前記の各種合金やリチウム金属の箔を単独、若しくは集電体上に形成した負極を用いてもよい。
負極に集電体を用いる場合には、集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、また、下限は5μmであることが望ましい。
負極側のリード部も、正極側のリード部と同様に、通常、負極作製時に、集電体の一部に負極合剤層(負極活物質を有する層)を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、この負極側のリード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体に銅製の箔などを後から接続することによって設けてもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池において、正極または負極の少なくともどちらか一方の電極の表面に、耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体とした多孔質層を設けていることを特徴とする。この多孔質層は、両電極の短絡防止をする本来のセパレータとしての機能と、電池が高温に曝された場合、例えセパレータが熱収縮をおこしても、正極と負極の短絡を防止することができる機能も有している。
多孔質層に係るフィラーは、耐熱温度が150℃以上で、リチウムイオン二次電池の有する電解液に対して安定であり、更に電池の作動電圧範囲において酸化還元されにくい電気化学的に安定なものであれば、有機粒子でも無機粒子でもよいが、分散などの点から微粒子であることが好ましく、安定性(特に耐酸化性)などの点から無機微粒子がより好ましく用いられる。
前記フィラーは板状であることが好ましい。多孔質層が板状フィラーを含有することで、例え合剤層の表面が粗い電極と組み合わせても、電池の生産性の低下をより良好に抑制できる。例えば、負極活物質として、前述の表面が低結晶性の炭素材で被覆されたR値が0.1〜0.5で、d002が0.338nm以下の黒鉛を用いた場合、この種の黒鉛は粒子表面が硬くなる傾向があり、この黒鉛で負極合剤層を形成させると、負極表面が粗面化することが多かった(例えば、算術平均粗さとして0.3〜1.2μmくらい)。これを負極とし、正極およびセパレータとともに捲回体を作製すると、特にポリオレフィン系微多孔膜セパレータを用いた場合では、負極の凸部がセパレータにくい込み、正極との電極間距離が部分的に縮まって、サイクル特性の低下を誘引したり、安全性に問題が生じる時があった。しかし、負極表面に板状のフィラーを含有した多孔質層を設けることで、負極表面が平滑化する効果が生じたり、あるいは正極表面に前記多孔質層を設けた場合においても、その多孔質層が電極間距離の縮まり度合いを抑制し、電池として高い諸特性と安全性を確保することができる。
また、板状フィラーを用いることで正極負極間の経路、すなわち所謂曲路率が大きくなる。そのため、デンドライトが生成した場合でも、該デンドライトが負極から正極に到達し難くなり、デンドライトショートに対する信頼性を高めることができる。
前記の板状フィラーとしては、各種市販品が挙げられ、例えば、旭硝子エスアイテック社製「サンラブリー(商品名)」(SiO)、石原産業社製「NST−B1(商品名)」の粉砕品(TiO)、堺化学工業社製の板状硫酸バリウム「Hシリーズ(商品名)」、「HLシリーズ(商品名)」、林化成社製「ミクロンホワイト(商品名)」(タルク)、林化成社製「ベンゲル(商品名)」(ベントナイト)、河合石灰社製「BMM(商品名)」や「BMT(商品名)」(ベーマイト)、河合石灰社製「セラシュールBMT−B(商品名)」[アルミナ(Al)]、キンセイマテック社製「セラフ(商品名)」(アルミナ)、斐川鉱業社製「斐川マイカ Z−20(商品名)」(セリサイト)などが入手可能である。この他、SiO、Al、ZrO、CeOについては、特開2003−206475号公報に開示の方法により作製することができる。これらの中でも、ベーマイト、アルミナ、シリカ(SiO)が好ましい。
板状の前記フィラーの形態としては、アスペクト比(板状フィラー中の最大長さと板状フィラーの厚みとの比)が、好ましくは5以上、より好ましくは10以上であって、好ましくは100以下、より好ましくは50以下である。板状フィラーにおけるアスペクト比は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した画像を画像解析することにより求めることができる。
また、板状の前記フィラーは、板厚が薄いと衝撃によって割れやすいという問題があることから、その平均厚みが、0.02μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましい。ただし、板状の前記フィラーの厚みが大きすぎると、多孔質層厚くなりすぎて割れやすくなったり、電池のインピーダンスが過度に増加して電池特性に悪影響を与えることから、その平均厚みは、0.7μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
板状の前記フィラーの平均厚みは、多孔質層または電極の断面をSEMにより観察し、フィラー100個の厚みの平均値(数平均値)として求めることができる。
フィラーは、前記の板状フィラーと共に、板状以外の形状のフィラー(例えば、球状や略球状などのフィラー)を含有していてもよい。板状以外の形状のフィラーも、板状フィラーと同様に耐熱温度が150℃以上であることが好ましく、例えば、このような耐熱温度を有する無機粒子または有機粒子が挙げられる。さらに、シャットダウン機能をより強化するなどの目的で、多孔質層の耐熱性に支障をきたさない範囲で、セパレータに使用するものと同様の融点が100〜120℃の樹脂を加えてもよく、添加量は多くとも10体積%であることが望ましい。
無機粒子の構成材料の具体例としては、例えば、酸化鉄、Al(アルミナ)、SiO(シリカ)、TiO、BaTiO、ZrOなどの無機酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの無機窒化物;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶;モンモリロナイトなどの粘土;などが挙げられる。ここで、前記無機酸化物は、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、マイカなどの鉱物資源由来物質またはこれらの人造物などであってもよい。また、金属、SnO、スズ−インジウム酸化物(ITO)などの導電性酸化物、カーボンブラック、グラファイトなどの炭素質材料などで例示される導電性材料の表面を、電気絶縁性を有する材料(例えば、前記の無機酸化物など)で被覆することにより電気絶縁性を持たせた粒子であってもよい。中でも前記の無機酸化物の粒子(微粒子)が好ましく、中でも、アルミナ、シリカおよびベーマイトが特に好ましく用いられる。
また、有機粒子(有機粉末)としては、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリスチレン、架橋ポリジビニルベンゼン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体架橋物、ポリイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物などの各種架橋高分子粒子や、ポリスルフォン、ポリアクリロニトリル、アラミド、ポリアセタール、熱可塑性ポリイミドなどの耐熱性高分子粒子などが例示できる。また、これらの有機粒子を構成する有機樹脂(高分子)は、前記例示の材料の混合物、変性体、誘導体、共重合体(ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)、架橋体(前記の耐熱性高分子の場合)であってもよい。
また、フィラーは、前記の板状フィラーと共に、一次粒子が凝集した二次粒子構造を有する微粒子を含有していてもよい。前記二次粒子構造のフィラーも、前記の板状前記フィラーと同様の熱収縮抑制作用や、デンドライトショートの抑制作用を有している。前記二次粒子構造のフィラーの例としては、大明化学社製「ベーマイト C06(商品名)」、「ベーマイト C20(商品名)」(ベーマイト)、米庄石灰工業社製「ED−1(商品名)」(CaCO)、J.M.Huber社製「Zeolex 94HP(商品名)」(クレイ)などが挙げられる。
なお、フィラーが、前記の板状フィラーと共に、板状以外の形状のフィラーも含有する場合には、前記の板状フィラーの使用による前記の効果をより良好に確保する観点から、多孔質層が含有するフィラーの全量中、前記の板状フィラーが、80体積%以上であることが好ましく、90体積%以上であることがより好ましい。
多孔質層に係る耐熱温度が150℃以上のフィラーの平均粒子径(板状フィラーおよび他形状フィラーの平均粒子径。以下同じ。)は、小さすぎるとイオンの透過性が低下することから、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上である。また、大きすぎると電気特性が劣化しやすくなることから、耐熱温度が150℃以上のフィラーの平均粒子径は、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下である。
多孔質層における耐熱温度が150℃以上のフィラーの量[板状フィラーと共に板状以外の形状のフィラーを用いている場合には、それらの合計量。多孔質層における耐熱温度が150℃以上のフィラーの量について、以下同じ。]は、多孔質層の構成成分の全体積中[ただし、後記の多孔質基体を使用する場合には、多孔質基体を除く構成成分の全体積中。多孔質層の各構成成分の含有量について、以下同じ。]、50体積%以上であり、70体積%以上であることがより好ましい。多孔質層中のフィラーを前記のように高含有量とすることで、正極と負極との直接の接触による短絡の発生をより良好に抑制することができ、特に高温下で樹脂および繊維状物からなる前記セパレータが熱収縮をおこすことになっても、多孔質層の存在により電極間の短絡を良好に防止することができる。
また、前記の板状フィラーの多孔質層中での板状粒子の存在形態は、平板面が電極面に対して略平行であることが好ましく、より具体的には、電極表面近傍における前記の板状フィラーについて、その平板面と電極面との平均角度が30°以下であることが好ましい[最も好ましくは、当該平均角度が0°、すなわち、電極表面近傍における板状の平板面が、電極面に対して平行である]。ここでいう「表面近傍」とは、電極の表面から全体厚みに対しておよそ10%の範囲を指す。板状フィラーの存在形態が前記のような状態となるように板状フィラーの配向性を高めることで、前記の多孔質層の熱収縮抑制作用をより強く発揮させることが可能になり、また、電極表面に析出するリチウムデンドライトや電極表面の活物質の突起により生じ得る内部短絡をより効果的に防ぐことができる。なお、多孔質層中における前記の板状フィラーの存在形態は、電極の断面をSEMにより観察することにより把握することができる。
多孔質層の厚みは、前記の各作用をより有効に発揮させる観点から、1μm以上であることが好ましい。ただし、多孔質層が厚すぎると、電池のエネルギー密度の低下を引き起こすなどの虞があることから、多孔質層の厚みは、5μm以下であることが好ましい。また、多孔質層の平均孔径は、0.05〜1μmであることが好ましい。
多孔質層は、前記フィラーの他に、必要に応じて媒体(例えば水)、有機バインダ、界面張力調整剤、分散剤、増粘剤など、セパレータを構成するためのスラリーと同様の組成物を添加して、同様の手法で多孔質層を形成するための組成物(スラリーなど)を作製し、これを正極または負極の表面に塗布し、乾燥する工程を経て製造することができる。
前述の通り、本発明のリチウムイオン二次電池においては、前記多孔質層が少なくとも正極または負極のいずれかに積層されていればよく、例えば、正極または負極のどちらか一方の片面のみに多孔質層が積層された形態、正極または負極のどちらか一方の電極の両面に多孔質層が積層された形態、正極と負極の両面にそれぞれ多孔質が積層された形態、正極および負極の片面にそれぞれ多孔質層が積層された形態、正極の両面と負極の片面に多孔質層が積層された形態、正極の片面と負極の両面に多孔質層が積層された形態をそれぞれ挙げることができる。
多孔質層の形成用組成物の塗布に用いる塗工機としては、例えば、ダイコーター、グラビアコーター、リバースロールコーター、スクイズロールコーター、カーテンコーター、ブレードコーター、ナイフコーターなどの、従来から知られている各種塗工機が挙げられる。
電極は、多孔質層を積層した前記の正極と、前記の負極とを、セパレータを介して積層した積層電極体や、更にこれを巻回した巻回電極体の形態で用いることができる。
詳細な理由は不明であるが、負極の両面にセパレータを直接対面させるなど、負極にポリエチレンなどの溶融樹脂を対面させた配置とした場合には、正極側に配置した場合よりも、シャットダウンを生じた場合に、セパレータ(あるいは融点が100〜120℃の樹脂を含んだ多孔質層)から溶融した樹脂のうち、電極合剤層に吸収される割合が少なくなり、溶融した樹脂がセパレータあるいは多孔質層の細孔を閉塞するのに、より有効に利用されるため、シャットダウンによる効果がより良好となる。
また、温度上昇によりリチウムイオン二次電池の内圧が上昇した際に、電池内部のガスを外部に排出して電池の内圧を下げる機構を有する場合には、この機構が作動した際に、内部の非水電解液が揮発して、電極が直接空気に曝される状態となる虞がある。電池が充電状態にある場合に、前記のような状態となり、負極と空気(酸素や水分)が接触すると、負極に吸蔵されたLiイオンや負極表面に析出したリチウムと空気とが反応して発熱し、時には発火することもある。また、この発熱により電池の温度が上昇して正極活物質の熱暴走反応を引き起こし、その結果、電池が発火に至ることもある。
しかしながら、溶融樹脂を含むセパレータ(あるいは融点が100〜120℃の樹脂を含んだ多孔質層)を負極に面するように構成したリチウムイオン二次電池の場合には、高温時になると樹脂が溶融して負極表面を覆うことから、前記の電池内部のガスを外部に排出する機構の作動に伴う負極と空気との反応を抑制することができる。そのため、前記の電池内部のガスを外部に排出する機構が作動することによる発熱の虞をなくし、電池をより安全に保つことができる。
また、多孔質層に用いる耐熱温度が150℃以上のフィラーとして、耐酸化性に優れた材料(例えば、無機酸化物)を用いた場合、多孔質層を正極に積層させることによって、正極によるセパレータの酸化(特に樹脂の酸化)を抑制することが可能となり、高温時の保存特性や充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池とすることができる。また、多孔質層を正極に積層せずに、セパレータを正極に直接対面させる場合には、セパレータに無機酸化物などの耐酸化性材料を一部含有させることで、セパレータの酸化防止効果が同様に得られる。
非水電解液には、例えば、有機溶媒にリチウム塩を溶解させた溶液が使用される。非水電解液に係る有機溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸メチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールサルファイト、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどの1種のみからなる有機溶媒または2種以上の混合溶媒を使用することができる。また、リチウム塩には、例えば、LiClO、LiPF 、LiBF 、LiAsF 、LiSbF 、LiCFSO 、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などのうちの1種または2種以上を用いることができる。リチウム塩の非水電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/lとすることがより好ましい。
また、非水電解液には、電池の安全性や充放電サイクル特性、高温貯蔵性といった特性を更に向上させる目的で、無水酸、スルホン酸エステル、ジニトリル、ビニレンカーボネート類、環状硫黄化合物(1,3−プロパンサルトン、1,4−ブタンスルトン、3−フェニル−1,3−プロパンサルトン、4−フェニル−1,4−ブタンスルトンなど)、ジフェニルジスルフィド、ビフェニル、ビニルエチレンカーボネート、フルオロベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤(これらの誘導体も含む)を適宜加えることもできる。
本発明の電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶などを外装缶として使用した筒形(角筒形や円筒形など)などが挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池とすることもできる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、加熱時の安全性に優れるのみならず、サイクル特性など電池の重要特性に優れていることから、こうした特性を生かして、携帯電話などのモバイルデバイスや、パワーツール用の電源用途を始めとして、従来から知られているリチウムイオン二次電池と同様の用途に好ましく適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<負極の作製>
平均粒子径D50%が18μm、d002が0.338nmで、R値が0.18であり、BET法による比表面積が3.2m/gである黒鉛Aと、平均粒子径D50%が16μm、d002が0.336nmで、R値が0.05の黒鉛Bとを、85:15の質量比で混合した混合物:98質量部、粘度が1500〜5000mPa・sの範囲に調整された1質量%の濃度のCMC水溶液:1.0質量部、およびSBR:1.0質量部を、比伝導度が2.0×10Ω/cm以上のイオン交換水を溶剤として混合して、水系の負極合剤含有ペーストを調製した。
前記の負極合剤含有ペーストを、銅箔からなる厚さ10μmの集電体の両面に間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って全厚が142μmになるように負極合剤層の厚みを調整して負極を得た。また、前記負極を幅44mmになるように切断し、更に銅箔の露出部にタブを溶接してリード部を形成した。
<正極の作製>
正極活物質であるLiCoO:70質量部およびLiNi0.8Co0.2:15質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:10質量部、並びにバインダであるPVDF:5質量部を、NMPを溶剤として均一になるように混合して、正極合剤含有ペーストを調製した。このペーストを、集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が135μmになるように正極合剤層の厚みを調整した。
二次凝集体ベーマイト5kgにイオン交換水5kgと分散剤(水系ポリカルボン酸アンモニウム塩、固形分濃度40%)0.5kgとを加え、内容積20L、転回数40回/分のボールミルで10時間解砕処理をして分散液を調製した。処理後の分散液を120℃で真空乾燥し、SEM観察をしたところ、ベーマイトの形状はほぼ板状であった。また、レーザー散乱粒度分布計(HORIBA社製「LA−920」)を用い、屈折率1.65としてベーマイトの平均粒子径(D50%)を測定したところ、1.0μmであった。
前記分散液500gに、増粘剤としてキサンタンガムを0.5g、バインダとして樹脂バインダーディスパージョン(変性ポリブチルアクリレート、固形分含量45質量%)を17g加え、スリーワンモーターで3時間攪拌して均一なスラリー(多孔質層形成用スラリーa、固形分比率50質量%)を調製した。
ダイコーターを用い、前述の通り作製した正極の両面に、前記多孔質層形成用スラリーaを塗布、乾燥して多孔質層を形成した。多孔質層の厚みは両面とも3μmずつであった。
多孔質層を両面に設けた正極を、幅43mmになるように切断して、多孔質層形成の正極を作製した。更にこの正極のアルミニウム箔の露出部にタブを溶接してリード部を形成した。
<セパレータの作製>
熱溶融性の樹脂として低分子量ポリエチレンのディスパージョン(固形分含量45%、融点110℃、平均粒子径0.6μm)500gに、バインダとして樹脂バインダーディスパージョン(変性ポリブチルアクリレート、固形分含量45質量%)15gを加え、スリーワンモーターで3時間攪拌して樹脂層形成用スラリーbを得た。ポリエチレンテレフタレート製不織布(幅200mm、厚さ13μm、目付け10g/m)を繊維状物として用い、これを前記樹脂層形成用スラリーb中に1m/minの速度で浸漬および引き上げをして塗布し、乾燥してセパレータを得た。得られたセパレータの厚さは15μmであった。また空孔率は50%、ガーレー値は200secであった。これを幅47mmになるよう切断した。
<電池の組み立て>
前記のようにして得た正極と負極とセパレータを用い、渦巻状に巻回して巻回電極体を作製した。得られた巻回電極体を押しつぶして扁平状にし、厚み6mm、高さ50mm、幅34mmでのアルミニウム製外装缶に入れ、電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを体積比で1:2に混合した溶媒にLiPFを濃度1.2mol/lで溶解させ、更にビニレンカーボネートを3質量%添加したもの)を注入した後に封止を行って、図1に示す構造で、図2に示す外観のリチウムイオン二次電池を作製した。なお、この電池は、缶の上部に内圧が上昇した場合に圧力を下げるための開裂ベントを備えている。
ここで図1および図2に示す電池について説明すると、図1のAは平面図、Bはその部分断面図であって、図1のBに示すように、正極1と負極2は前記のようにセパレータ3を介して渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状の巻回電極体6として、角筒形の外装缶4に電解液と共に収容されている。ただし、図1では、煩雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使用した集電体としての金属箔や電解液などは図示していない。また、セパレータの各層も区別して示していない。
外装缶4はアルミニウム合金製で電池の外装体を構成するものであり、この外装缶4は正極端子を兼ねている。そして、外装缶4の底部にはPEシートからなる絶縁体5が配置され、正極1、負極2およびセパレータ3からなる扁平状巻回電極体6からは、正極1および負極2のそれぞれ一端に接続された正極リード体7と負極リード体8が引き出されている。また、外装缶4の開口部を封口するアルミニウム合金製の封口用蓋板9にはPP製の絶縁パッキング10を介してステンレス鋼製の端子11が取り付けられ、この端子11には絶縁体12を介してステンレス鋼製のリード板13が取り付けられている。
そして、この蓋板9は外装缶4の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、外装缶4の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。また、図1の電池では、蓋板9に非水電解液注入口14が設けられており、この非水電解液注入口14には、封止部材が挿入された状態で、例えばレーザー溶接などにより溶接封止されて、電池の密閉性が確保されている(従って、図1および図2の電池では、実際には、非水電解液注入口14は、非水電解液注入口と封止部材であるが、説明を容易にするために、非水電解液注入口14として示している)。更に、蓋板9には、電池の温度が上昇した際に内部のガスを外部に排出する機構として、開裂ベント15が設けられている。
この実施例1の電池では、正極リード体7を蓋板9に直接溶接することによって外装缶4と蓋板9とが正極端子として機能し、負極リード体8をリード板13に溶接し、そのリード板13を介して負極リード体8と端子11とを導通させることによって端子11が負極端子として機能するようになっているが、外装缶4の材質などによっては、その正負が逆になる場合もある。
図2は前記図1に示す電池の外観を模式的に示す斜視図であり、この図2は前記電池が角形電池であることを示すことを目的として図示されたものであって、この図1では電池を概略的に示しており、電池を構成する部材のうち、特定のものしか図示していない。また、図1においても、電極群の内周側の部分は断面にしていない。
実施例2
<セパレータの作製>
実施例1で作製した多孔質層形成用スラリーa;350gに、ポリプロピレンのディスパージョン(固形分含量45%、融点150℃、平均粒子径1μm);150gを加え、スリーワンモーターで3時間攪拌して樹脂層形成用スラリーcを得た。以下、実施例1と同様にしてセパレータを得た。得られたセパレータの厚さは15μmであった。また空孔率は50%、ガーレー値は200secであった。これを幅47mmになるよう切断した。
<電池の組み立て>
実施例1で作製した負極、正極と、前記作製したセパレータを用い、以下、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例3
<負極の作製>
実施例1で作製した多孔質層形成用スラリーa;500gに、実施例1で作製した樹脂層形成用スラリーb;15gを加え、スリーワンモーターで3時間攪拌して樹脂層形成用スラリーdを得た。カレンダー処理を行って全厚が142μmになるように負極合剤層の厚みを調整した実施例1で作製したものと同様の負極両面に、作製した多孔質層形成用スラリーdを実施例1と同様の手法で塗布して多孔質層を形成した。多孔質層の厚みは両面とも3μmずつであった。
<正極の作製>
多孔質層を形成していないこと以外はすべて実施例1と同様にして正極を作製した。
<セパレータの作製>
実施例1で作製した多孔質層形成用スラリーa;100gに、実施例1で作製した樹脂層形成用スラリーb;400gを加え、スリーワンモーターで3時間攪拌して樹脂層形成用スラリーeを得た。以下、実施例1と同様にしてセパレータを得た。得られたセパレータの厚さは15μmであった。また空孔率は50%、ガーレー値は200secであった。これを幅47mmになるよう切断した。
<電池の組み立て>
前記作製した負極、セパレータと、正極を用い、以下、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例4
<正極の作製>
カレンダー処理を行って全厚が135μmになるように正極合剤層の厚みを調整した実施例1で作製したものと同様の正極両面に、実施例3で作製したものと同様の多孔質層形成用スラリーdを実施例1と同様の手法で塗布して多孔質層を形成した。多孔質層の厚みは両面とも3μmずつであった。
<電池の組み立て>
前記作製した正極と、実施例1で作製したものと同様の負極、実施例3で作製したものと同様のセパレータを用い、以下、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例5
<電池の組み立て>
実施例1で作製したものと同様の負極およびセパレータと、実施例4で作製したものと同様の正極を用い、以下、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例6
<電池の組み立て>
実施例1で作製したものと同様の負極および正極と、実施例4で作製したものと同様のセパレータを用い、以下、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
比較例1
多孔質層を設けていない実施例1の負極と、多孔質層を設けていない実施例3の正極と、通常のリチウムイオン二次電池に使われるポリエチレン製微多孔膜(厚み20μm、空孔率40%、ガーレー値170sec、融点135℃)を用いた以外はすべて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
比較例2
比較例1で用いたものと同様の負極および正極と、実施例1で用いたものと同様のセパレータを用いた以外はすべて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
比較例3
通常のリチウムイオン二次電池に使われるポリエチレン製微多孔膜(厚み16μm、空孔率40%、ガーレー値170sec、融点135℃)を用いた以外はすべて実施例2と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1〜6および比較例1〜3のリチウムイオン二次電池について、下記の過充電試験、サイクル試験、加熱試験、および耐電圧試験を行った。これらの結果を表1に示す。
<過充電試験>
作製したリチウムイオン二次電池について、1C(1200mA)で3.0Vまで電池を放電させた後、23℃の環境下で、上限電圧を15Vとして0.5C(600mA)の充電を行い、そのときの各電池の表面温度を測定し、その最高温度を求めた。
<サイクル試験>
作製したリチウムイオン二次電池について、25℃で、1Cの定電流および電圧4.2Vの定電圧による定電流−定電圧充電(総充電時間:2.5時間)を行った後、1Cで定電流放電(放電終止電圧:2.5V)を行った。これを1サイクルとして、前記条件で500サイクル充放電を繰り返し、容量保持率(=500サイクル目容量/1サイクル目容量×100%)として算出した。
<加熱試験>
作製したリチウムイオン二次電池のそれぞれ10個づつについて、1Cの電流値で電池電圧が4.25Vになるまで定電流充電を行い、次いで、4.25Vでの定電圧充電を行う定電流−定電圧充電を行った。充電終了までの総充電時間は2.5時間とした。前記条件で充電した各電池を恒温槽に入れ、150℃まで毎分5℃の割合で昇温、その後引き続き150℃で3時間放置し、電池の表面温度を測定した。表1では、前記の電池表面温度が、160℃以上に上昇した電池の個数(過昇温度数)を記載した。
<耐電圧試験>
非水電解液注入前の実施例および比較例のリチウムイオン二次電池各50000個に対して、500V(AC60Hz)の電圧を印可し、7mA以上の電流が流れた電池を不良とし、その発生個数を調べた。
Figure 2011181195
通常のリチウムイオン二次電池に使われるポリエチレン製の微多孔質膜をセパレータとして使用した比較例1および比較例3の電池は、他の電池より最高温度がやや高くなった。このセパレータの融点は135℃であり、シャットダウン機能が働く温度が高いことが起因しているものと考えられる。また、サイクル試験による容量保持率は全体的に実施例の電池が良好な値を示した。比較例の電池はすべてポリエチレン膜または粒子が正極と直接対面しており、充放電サイクルを繰り返すことで、ポリエチレンが徐々に酸化したことが原因と考えられる。加熱試験と耐電圧試験の結果は、電極の表面に多孔質層を設けていない比較例1および2の電池を除けばすべて良好であった。
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 外装缶
5 絶縁体
6 巻回電極体
7 正極リード体
8 負極リード体
9 封口用蓋板
10 絶縁パッキング
11 端子
12 絶縁体
13 リード板
14 非水電解液注入口
15 開裂ベント

Claims (3)

  1. 正極、負極、有機電解液およびセパレータを有するリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極または負極の少なくともいずれかの電極の表面に耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む多孔質層を有しており、
    前記セパレータが、融点が100〜120℃の樹脂と繊維状物から構成されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 前記多孔質層が、融点が100〜120℃の樹脂を含んでいることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  3. 前記セパレータが、耐熱温度が150℃以上のフィラーを含んでいることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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