JP2011179054A - Al基合金スパッタリングターゲット - Google Patents

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Abstract

【課題】Al基合金スパッタリングターゲットを用いた場合に、高速成膜してもスプラッシュの発生を抑制し得る技術を提供すること。
【解決手段】Ni−希土類元素−Al基合金スパッタリングターゲットの表層部、1/4×t部、1/2×t部の各スパッタリング面法線方向の結晶方位<001>、<011>、<111>、<012>および<112>を観察したとき、下記(1)、(2)の要件を満足することを特徴とする。
(1)前記<001>、<011>、および<112>の±15°の合計面積率をRとしたとき、Rが、0.35以上、0.8以下であり、かつ
(2)R、R、Rが、R平均値[Rave=(R+R+R)/3]の±20%の範囲内にある。
【選択図】図2B

Description

本発明は、Ni、希土類元素を含有するAl基合金スパッタリングターゲットに関し、詳細には、スパッタリング面法線方向の結晶方位が制御されたNi−希土類元素−Al基合金スパッタリングターゲットに関するものである。以下では、Ni、および希土類元素を含有するAl基合金を、「Ni−希土類元素−Al基合金」、あるいは単に「Al基合金」と呼ぶ場合がある。
Al基合金は、電気抵抗率が低く、加工が容易であるなどの理由により、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD:Electro Luminescence Display)、フィールドエミッションディスプレイ(FED:Field Emission Display)、メムス(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)、タッチパネル、電子ペーパーの分野で汎用されており、配線膜、電極膜、反射電極膜などの材料に利用されている。
しかしながら、上記のようにバリアメタル層を介在させる方法は、製造工程が煩雑になって生産コストの上昇を招くなどの問題がある。
そこで、本願出願人らは、バリアメタル層を介さずに、画素電極を構成する導電性酸化膜を配線材料と直接接続することが可能な技術(ダイレクトコンタクト技術)として、配線材料に、Ni−Al基合金や、更にNdやYなどの希土類元素を更に含有するNi−希土類元素−Al基合金の薄膜を用いる方法を提案している(特許文献1)。Ni−Al基合金を用いれば、界面に導電性のNi含有析出物などが形成され、絶縁性酸化アルミニウム等の生成が抑制されるため、電気抵抗率を低く抑えることができる。また、Ni−希土類元素−Al基合金を用いれば、耐熱性が更に高められる。
ところで、Al基合金薄膜の形成には、一般にスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法が採用されている。スパッタリング法とは、基板と、薄膜材料の原料物質から構成されるスパッタリングターゲット(ターゲット材)との間でプラズマ放電を形成し、プラズマ放電によってイオン化した気体をターゲット材に衝突させることによってターゲット材の原子をたたき出し、基板上に積層させて薄膜を作製する方法である。スパッタリング法は、真空蒸着法やアークイオンプレーティング(AIP:Arc Ion Plating)法と異なり、ターゲット材と同じ組成の薄膜を形成できるというメリットを有している。特に、スパッタリング法で成膜されたAl基合金薄膜は、平衡状態では固溶しないNdなどの合金元素を固溶させることができ、薄膜として優れた性能を発揮することから、工業的に有効な薄膜作製方法であり、その原料となるスパッタリングターゲット材料の開発が進められている。
近年、FPDの生産性拡大などに対応するため、スパッタリング工程時の成膜速度は、従来より高速化する傾向にある。成膜速度を速くするには、スパッタリングパワーを大きくすることが最も簡便であるが、スパッタリングパワーを増加させると、アーキング(異
常放電)やスプラッシュ(微細な溶融粒子)などのスパッタリング不良が発生し、配線薄膜などに欠陥が生じるため、FPDの歩留りや動作性能が低下するなどの弊害をもたらす。
そこで、スパッタリング不良の発生を防止する目的で、例えば、特許文献2〜5に記載の方法が提案されている。このうち、特許文献2〜4は、いずれも、スプラッシュの発生原因がターゲット材組織の微細な空隙に起因するという観点に基づいてなされたものであり、Alマトリックス中のAlと希土類元素との化合物粒子の分散状態を制御したり(特
許文献2)、Alマトリックス中のAlと遷移元素との化合物の分散状態を制御したり(
特許文献3)、ターゲット中の添加元素とAlとの金属間化合物の分散状態を制御したり(特許文献4)することによって、スプラッシュの発生を防止している。また、特許文献5には、スパッタ面の硬度を調整した後、仕上機械加工を行うことにより、機械加工に伴う表面欠陥の発生を抑制し、スパッタリングの際に発生するアーキングを低減する技術が開示されている。
他方、特許文献6には、スプラッシュの発生を防止する技術として、Alを主体とするインゴットを300〜450℃の温度範囲で75%以下の加工率で圧延により板状にし、次いで圧延時温度以上で550℃以下の加熱処理を行い、圧延面側をスパッタリング面とすることにより、得られるTi−W−Al基合金等のスパッタリングターゲットのビッカース硬さを25以下とすることが記載されている。
更に、特許文献7には、スパッタリングターゲットのスパッタ面における結晶方位の比率を制御することにより、高い成膜速度でスパッタリングを行なう方法が記載されている。ここには、スパッタ面をX線回折法で測定したときの<111>結晶方位の含有率を20%以上と高くすると、スパッタ面と垂直の方向に飛翔するターゲット物質の比率が増加するため、薄膜形成速度が増加することが記載されている。特許文献7の実施例には、Siを1質量%、Cuを0.5質量%含有するAl基合金スパッタリングターゲットを用いたことが記載されている。
一方、本願出願人らは、高い成膜速度でもスパッタリング不良の発生を抑制する技術を開示している(特許文献8)。特許文献8では、スプレイフォーミング法で製造したNi含有Al基合金スパッタリングターゲットを対象とし、後方散乱電子回折像法により測定した、スパッタリング面法線方向の結晶方位<001>、<011>、<111>、および<311>の合計面積率(P値)がスパッタリング面全面積に対して70%以上であり、更にP値に対する<011>および<111>の面積率の比率を、それぞれ30%以上、10%以下に制御することによって、アーキング(異常放電)などのスパッタリング不良を抑制する技術を提案している。
また、本願出願人らは、スパッタリングターゲットの表面を清浄に保つために仕上げ面の微視的平滑さを向上させる技術を開示している(特許文献9)。特許文献9では、スプレイフォーミング法で製造したAl−(Ni,Co)−(Cu,Ge)−(La,Gd,Nd)系合金スパッタリングターゲットのビッカース硬さ(HV)を35以上にすることにより、機械加工時の加工性を改善し、仕上げ面の微視的平滑さを向上させ、スパッタリングターゲットの使用初期段階でのスプラッシュの発生を軽減する技術を提案している。
特開2004−214606号公報 特開平10−147860号公報 特開平10−199830号公報 特開平11−293454号公報 特開2001−279433号公報 特開平9−235666号公報 特開平6−128737号公報 特開2008−127623号公報 特開2009−263768号公報
前述したように、スプラッシュやアーキングなどのスパッタリング不良はFPDの歩留まりおよび生産性を低下させ、特に高い成膜速度でスパッタリングターゲットを用いる場合に深刻な問題をもたらしている。これまでにもスパッタリング不良の改善および成膜速度向上のために種々の技術が提案されているが、一層の改善が求められている。
特に、Al基合金のなかでも前述したダイレクトコンタクト技術に有用なNi−希土類元素−Al基合金の薄膜形成に用いられるAl基合金スパッタリングターゲットにおいて、高速成膜してもスプラッシュの発生を効果的に防止できる技術の提供が望まれている。
前述した特許文献8に記載の方法は、スプレーフォーミング法によって得られる微細な結晶粒径を有するものを対象としており、またスプレーフォーミング法による場合、製造コストが高いという問題があることから更なる改善が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、Ni−希土類元素−Al基合金スパッタリングターゲットを用いた場合に、2.2nm/s以上での高速成膜においても、スプラッシュの発生を抑制し得る技術を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明のAl基合金スパッタリングターゲットは、Niおよび希土類元素を含有するAl基合金スパッタリングターゲットであって、後方散乱電子回折像法によって前記Al基合金スパッタリングターゲットの表層部、1/4×t(板厚)部、1/2×t部の各スパッタリング面の法線方向の結晶方位<001>、<011>、<111>、<012>および<112>を観察したとき、下記(1)、(2)の要件を満足するところに要旨が存在する。
(1)前記<001>±15°、前記<011>±15°および前記<112>±15°の合計面積率をR(各箇所のRは、前記表層部はR、前記1/4×t部はR、前記1/2×t部はRとする)としたとき、Rが、0.35以上、0.80以下であり、かつ
(2)前記R、前記R、および前記Rが、R平均値[Rave=(R+R+R)/3]の±20%の範囲内にある。
好ましい実施形態において、前記Al基合金スパッタリングターゲットのスパッタリング面を後方散乱電子回折像法によって結晶粒径を観察したとき、平均結晶粒径は40〜450μmである。
好ましい実施形態において、前記Niの含有量が0.05〜2.0原子%、前記希土類元素の含有量が0.1〜1.0原子%である。
また、好ましい実施形態において、更にGeを含有する。
好ましい実施形態において、前記Geの含有量は0.10〜1.0原子%である。
また、好ましい実施形態において、更にTiおよびBを含有する。
好ましい実施形態において、前記Tiの含有量が0.0002〜0.012原子%、前記Bの含有量が0.0002〜0.012原子%である。
また、好ましい実施形態において、前記Al基合金スパッタリングターゲットのビッカース硬さが26以上である。
本発明のNi−希土類元素−Al基合金ターゲットは、スパッタリング面法線方向の結晶方位が適切に制御されているため、高速で成膜しても、成膜速度を安定することができ、またスパッタリング不良(スプラッシュ)も効果的に抑制される。このように本発明によれば、成膜速度をターゲット使用開始から終了近くまで安定的に保持できるため、スパッタリングターゲットの成膜時に発生するスプラッシュや、成膜速度のばらつきを大幅に低減でき、生産性を向上できる。
図1は面心立方格子(FCC:Face Centered Cubic lattice)について、代表的な結晶方位と共に表示したものである。 図2Aは、実施例No.4のスパッタリングターゲットの1/4×t部の逆極点図マップである。 図2Bは、実施例No.5のスパッタリングターゲットの1/4×t部の逆極点図マップである。 図2Cは、実施例No.9のスパッタリングターゲットの1/4×t部の逆極点図マップである。
本発明者らは、スパッタリング成膜時に発生するスプラッシュを低減できるAl基合金スパッタリングターゲットを提供するため、鋭意検討してきた。特に本発明では、上述したダイレクトコンタクト技術に適用可能なNi−希土類元素−Al基合金スパッタリングターゲットを対象とし、また従来の溶解鋳造法によって製造したNi−希土類元素−Al基合金スパッタリングターゲットを用いて高速で成膜しても、スプラッシュの発生を効果的に抑制でき、かつスパッタリング成膜過程での成膜速度のばらつきを低減する技術を提供すべく検討を行なった。その結果、Ni−希土類元素−Al基合金スパッタリングターゲットのスパッタリング面法線方向の結晶方位を適切に制御すれば、所期の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
本明細書において、「スプラッシュの発生を抑制(低減)できる」とは、後記する実施例に記載の条件で成膜速度に応じたスパッタリングパワーを設定し、スパッタリングを行なったときに発生するスプラッシュ発生数(スパッタリングターゲットの表層部、1/4×t部、1/2×t部の3箇所での平均値)が21個/cm以下(好ましくは11個/cm以下、さらに好ましくは7個/cm以下)のものを意味する。なお、本発明では、スプラッシュの発生傾向をスパッタリングターゲットの厚さ(t)方向に対して評価している点で、厚さ方向におけるスプラッシュの発生を評価していない上記特許文献2〜9の技術とは、評価基準が相違している。
まず、図1を参照しながら、本発明のAl基合金スパッタリングターゲットを特徴付ける結晶方位について説明する。
図1は面心立方格子(FCC:Face Centered Cubic lattice)の代表的な結晶構造と結晶方位を示したものである。結晶方位の表示方法は一般的な方法を採用しており、例えば、[001]、[010]、および[100]は等価な結晶方位であり、これら3方位をまとめて<001>と表示している。
Alは図1に示すように、面心立方格子(FCC:Face Centered Cubic lattice)の結晶構造を有しており、スパッタリングターゲットのスパッタリング面法線方向[対向する基板に向かう方向(ND)]の結晶方位として、主に、<011>、<001>、<111>、<012>、および<112>の5種類の結晶方位を含むことが知られている。原子密度が最も高い方位(最密方位)は<011>であり、次いで、<001>、<112>、<111>、<012>である。
Al基合金や純Alの中でも、特にAl基合金は合金系によって固溶・析出形態が異なることから、結晶の変形や回転の挙動に差異が生じて、結果的に結晶方位形成過程が異なってくると考えられている。工業的に使用されているJIS 5000系Al合金(Al−Mg系合金)やJIS 6000系Al合金(Al−Mg−Si系合金)等については、結晶方位の傾向や結晶方位制御を可能とする製造方法指針が明らかにされている。しかしながら、FPD用配線膜、電極膜、反射電極膜等に用いられるNi−希土類元素−Al基合金については、結晶方位の傾向も結晶方位制御を可能とする製造方法指針も明らかにされていない状況にある。
前述した特許文献7には、Si含有Al基合金スパッタリングターゲットを対象とした場合、<111>の結晶方位の比率を高めると薄膜形成速度が速くなることが記載されている。更に特許文献7の段落[0026]には、<111>方位面を有する結晶は、その方位のために、スパッタリングの際にスパッタリング面と垂直方向の速度成分を有するスパッタリングターゲット物質が多く発生することに起因すると考えられる旨記載されている。
ところが、本発明者らの実験によれば、本発明の如くNi−希土類元素−Al基合金スパッタリングターゲットを対象とする場合、前述した特許文献7に教示された結晶方位制御技術(<111>の比率を高める技術)を採用しても、所望の効果は得られなかった。
そこで、本発明者らは、Al基合金のなかでも、特に、Ni−希土類元素−Al基合金における結晶方位を制御する技術を提供するため、検討を行なった。
成膜速度を速くするためには、一般に多結晶組織からなるスパッタリングターゲットを構成する原子の線密度が高い結晶方位を、できるだけ、薄膜を形成する基板に向かうように制御することが良いといわれている。スパッタリングの際、スパッタリングターゲット材を構成する原子は、Arイオンとの衝突によって外に押し出されるが、そのメカニズムは、(a)衝突したArイオンがスパッタリングターゲットの原子間に割り込み、周囲の原子を激しく振動させる、(b)振動は、特に、互いに接している原子密度の高い方向に伝播され、表面に伝えられる、(c)その結果、高い原子密度を有する方向の表面にある原子が外に押し出される、と言われている。従って、スパッタリングターゲットを構成するひとつひとつの原子の最密方向が、対向する基板に向かっていると、効率の良いスパッタリングが可能となり、成膜速度が高められると考えられる。
また、一般に、スパッタリングターゲットの同一スパッタリング面内において、異なる結晶方位を有する結晶粒間ではエロージョン速度が異なるため結晶粒間に微小な段差が形成されると言われている。かかる段差は、スパッタリング面内に結晶方位分布の不均一や粗大結晶粒が存在する場合、特に形成されやすいと言われている。
しかしながらスパッタリングターゲット表面から空間に放出されたスパッタリングターゲットを構成する原子は、必ずしも対向する基板上にのみ堆積する訳ではなく、周囲のスパッタリングターゲット表面上にも付着し、堆積物を形成する場合がある。この付着および堆積が前記の結晶粒間の段差のところで起こりやすく、かかる堆積物がスプラッシュの起点となり、スプラッシュが発生しやすくなる。その結果、スパッタリング工程の効率およびスパッタリングターゲットの歩留まりが著しく低下すると考えられる。
そこで本発明者らは、上記観点から、Ni−希土類元素−Al基合金スパッタリングターゲットの結晶方位の分布、結晶粒径と、スプラッシュの発生原因との関係について検討を重ねたところ、溶解鋳造法によって製造されたNi−希土類元素−Al基合金スパッタリングターゲットの組織は、スパッタリング面内およびスパッタリングターゲット板厚方向において、不均一な結晶方位の分布や粗大な結晶粒が形成されやすいことを見出した。
さらに、板厚方向において結晶方位や結晶粒径の分布が変動することで、経時的にスパッタリングターゲット固有の成膜速度が変動し、そのために、スパッタリング時の成膜速度を高めるためスパッタリングパワーを増加させるとスパッタリングターゲット固有の成膜速度が速い部位ではスプラッシュが発生しやすくなり、一方で、スプラッシュを低減するためスパッタリングパワーを減少させるとスパッタリングターゲット固有の成膜速度が遅い部位で成膜速度が低下し、生産性が著しく低下する恐れがあることを見出した。
本発明者らが更に検討を重ねた結果、Ni−希土類元素−Al基合金スパッタリングターゲットでは、<011>と<001>と<112>の比率を出来るだけ高くし、さらにそれらのスパッタリングターゲット板厚方向におけるばらつきを出来るだけ小さくすれば良いこと、具体的には、後方散乱電子回折像法によってAl基合金スパッタリングターゲットの板厚(t)方向に向かって板表層部分、板厚tの1/4の厚さ部分、板厚tの1/2の厚さ部分の各スパッタリング面の法線方向の結晶方位<001>、<011>、<111>、<012>および<112>を観察したとき、(1)前記<001>±15°、前記<011>±15°および前記<112>±15°の合計面積率をR(各箇所のRは、表層部はR、1/4×t部はR、1/2×t部はRとする)としたとき、Rが、0.35以上、0.8以下であり(すなわち、R、R、Rの全てが0.35以上、0.80以下の範囲内)、かつ(2)前記R、前記R、および前記Rが、R平均値[Rave=(R+R+R)/3]の±20%の範囲内とすれば、所期の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
本明細書では、以下のようにしてNi−希土類元素−Al基合金の結晶方位を、EBSD法(EBSD:Electron Backscatter Diffraction Pattern)を用いて測定した。
まず、Al基合金スパッタリングターゲットの厚さをtとした時、スパッタリングターゲットの板厚方向に向って表層部、1/4×t部、1/2×t部について、測定面(スパッタリング面と平行な面)が縦10mm以上×横10mm以上の面積を確保できるように切断してEBSD測定用試料とし、次いで、測定面を平滑にするため、エメリー紙での研磨やコロイダルシリカ懸濁液等で研磨を行った後、過塩素酸とエチルアルコールの混合液による電解研磨を行い、下記の装置およびソフトウェアを用い、上記スパッタリングターゲットの結晶方位を測定した。
装置:EDAX/TSL社製後方散乱電子回折像装置
「Orientation Imaging MicroscopyTM(OIMTM)」
測定ソフトウェア:OIM Data Collection ver.5
解析ソフトウェア:OIM Analysis ver.5
測定領域:面積1400μm×1400μm×深さ50nm
step size:8μm
測定視野数:同一測定面内において、3視野
解析時の結晶方位差:±15°
ここで、「解析時の結晶方位差:±15°」とは、例えば、<001>結晶方位の解析に当たり、<001>±15°の範囲内であれば許容範囲とみなし、<001>結晶方位と判断する、という意味である。上記の許容範囲内であれば、結晶学的に見て同一方位とみなしてよいと考えられるからである。以下に示すように、本発明では、すべて±15°の許容範囲内で各結晶方位を算出している。そして、結晶方位<uvw>±15°のPartition Fractionを面積率として求めた。
図2Aは、後記する実施例の欄に記載された表1のNo.4の1/4×t部における逆極点図マップ(結晶方位マップ)である。EBSDでは結晶方位の異なる結晶粒同士を、色調差によって区別することができる。図2Aに示すように、各結晶方位は色によって識別され、<001>は赤色、<011>は緑色、<111>は青色、<112>はマゼンダ色、<012>は黄色で表される。
以下、本発明の上記構成要件(1)〜(2)について説明する。
(1)<001>±15°、<011>±15°および<112>±15°の合計面積率をR(各箇所のRは、表層部はR、1/4×t部はR、1/2×t部はRとする)としたとき、Rが、0.35以上、0.80以下(すなわち、R、R、Rは全て0.35以上、0.80以下)
本発明で合計面積率とは、表層部(R)、1/4×t部(R)、1/2×t部(R)のそれぞれの箇所で測定した上記結晶方位の合計面積率(上記測定面積(1400μm×1400μmに対する比率)を意味し、本発明ではR〜Rをまとめて単にRで表記することがある。
まず、本発明では、前記Ni−希土類元素−Al基合金ターゲットの表層部分、1/4×t部分、1/2×t部分において、対象となるスパッタリングターゲット面法線方位方向に存在する主な結晶方位である5つの結晶方位、<001>、<011>、<111>、<112>、および<012>の面積率を各±15°の許容結晶方位差で上記EBSD法によって測定し、これらの結晶方位のうち、Al基合金の原子数密度が比較的高い結晶方位である、上記各箇所の<011>、<001>、<112>の合計面積率(R)が0.35以上、0.80以下となるように結晶方位を制御する(すなわち、R、R、Rは全て0.35以上、0.80以下の範囲内とする)。R値が0.35を下回ると、結晶方位分布が不十分であり、また粗大な結晶粒が形成されるためスプラッシュの発生を効果的に抑えることができない。一方で、R値が0.80を上回ると粗大結晶粒が形成されやすくなり、スプラッシュの発生を抑えることができない。R値を好ましくは0.4以上、0.75以下に制御すると、スプラッシュ発生をさらに抑制することができるので望ましい。
(2)前記R、前記R、前記Rが、R平均値[Rave=(R+R+R)/3]の±20%の範囲内
さらに、スパッタリングターゲットの厚さをtとしたとき、スパッタリングターゲットの板厚方向に向って表層部、1/4×t部、1/2×t部の3箇所において求めた各R値(各箇所のR値を表層部はR、1/4×t部をR、1/2×t部をRとする)が、R値の平均値[Rave=(R+R+R)/3]の±20%の範囲内にあることとした(すなわち、R、R、Rは全てRave±20%の範囲内)。これは、各測定位置でのR値(R、R、R)がR値の平均値Raveの±20%から外れると、スパッタリング面法線方向の結晶方位の分布にばらつきが生じ、スパッタリングターゲットの成膜速度が時間の経過と共に不安定になり、スパッタリング成膜過程での成膜速度のばらつきが生じたり、また、スプラッシュの発生頻度が増大する。
なお、上記<011>、<001>、<112>以外の本発明の測定対象である結晶方位(<111>、<012>)の比率は特に限定されない。スプラッシュ発生の抑制や成膜速度の向上にあたっては、<011>、<001>、<112>の結晶方位を前記(1)、(2)の要件を満たすように制御すればよく、他の結晶方位(<111>、<012>)による影響は、殆ど考慮しなくてもよいことを実験によって確認している。
以上、本発明を特徴付ける結晶方位について説明した。
次いで、本発明のAl基合金スパッタリングターゲットの好ましい平均結晶粒径とビッカース硬さについて説明する。
(平均結晶粒径)
本発明のAl基合金スパッタリングターゲットは、EBSD法によって測定される結晶方位差が15°以上のピクセル間の境界を結晶粒界としたときの平均結晶粒径を40μm以上、450μm以下とすることが好ましい。
上記EBSD法によって測定した結晶方位データ(1視野サイズ:1400μm×1400μm、step size:8μm)を解析し、結晶方位差が15°以上のピクセル間の境界を結晶粒界としたとき、前記解析ソフトウェアにて出力したGrain Size (Diameter)の結晶粒径分布から求めた円相当直径の平均値をDとする。スパッタリングターゲットの厚さをtとしたとき、スパッタリングターゲットの板厚方向に向って表層部、1/4×t部、1/2×t部の3箇所において求めた各箇所のDを、それぞれ表層部はD、1/4×t部をD、1/2×t部をDとする。本発明において「平均結晶粒径」とは、各箇所の前記D値の平均値[Dave=(D+D+D)/3]である。
スプラッシュ発生防止効果を一層有効に発揮するためには、平均結晶粒径が小さい方が望ましく、具体的には平均結晶粒径が450μm以下であることが好ましく、より好ましくは180μm以下、更に好ましくは120μm以下である。
一方、平均結晶粒径の下限は、製造方法との関係で決定すればよい。すなわち本発明では、製造コストや製造工程の低減化、歩留まりの向上などの観点からAl合金溶湯から鋳塊を製造する溶解鋳造法が望ましいとしているが、溶解鋳造法の場合、平均結晶粒径が40μm未満のAl基合金スパッタリングターゲットを一般的な溶解鋳造設備を使って製造することは不可能であるため、平均結晶粒径の下限は40μmとした。
(ビッカース硬さ)
更に本発明のAl基合金スパッタリングターゲットは、ビッカース硬さ(HV)が26以上であることが好ましい。本発明者らの検討結果によれば、Ni−希土類元素−Al基合金スパッタリングターゲットを用いたとき、このスパッタリングターゲットの硬さが低いとスプラッシュが発生し易くなることが判明したからである。その理由は、詳細には不明であるが、スパッタリングターゲットの硬さが低いと、スパッタリングターゲットの製造に用いるフライス盤や旋盤などによる機械加工の仕上げ面の微視的平滑さが悪化するため、すなわち、素材表面が複雑に変形し、粗くなるため、機械加工に用いる切削油等の汚れがスパッタリングターゲットの表面に取り込まれて残留する。このような残留汚れは、後工程で表面洗浄を行っても十分に取り除くことが困難であり、このようなスパッタリングターゲット表面に残留した汚れが、スプラッシュの発生起点になっていると推測される。したがってこのような汚れをスパッタリングターゲットの表面に残留させないようにするには、機械加工時の加工性(切れ味)を改善し、素材表面が粗くならないようにすることが必要である。そのため本発明では、スパッタリングターゲットの硬さを高めることが望ましい。
具体的には、本発明のAl基合金スパッタリングターゲットのビッカース硬さ(HV)は、スプラッシュ発生防止の観点からすれば高いほどよく、好ましくは26以上、より好ましくは35以上、更に好ましくは40以上、更により好ましくは45以上である。なお、ビッカース硬さの上限は特に限定されないが、高すぎると、硬度調整のための冷延の圧延率を増大させる必要があり、その場合、圧延が困難になるなど製造上の問題が生じることがあるため、ビッカース硬さは好ましくは160以下、より好ましくは140以下、更に好ましくは120以下とすることが望ましい。
以上、本発明のAl基合金スパッタリングターゲットの好ましい平均結晶粒径とビッカース硬さについて説明した。
次に本発明で対象とするNi−希土類元素−Al基合金について説明する。
前述したように、本発明では、Niと希土類元素を含有するAl基合金スパッタリングターゲットを対象にしている。上記特許文献1にも記載があるようにNi−希土類元素−Al基合金を用いて配線用に成膜した場合、耐熱性に優れているため、ダイレクトコンタクト用の配線材として極めて有用だからである。
Niは、Al基合金膜と、このAl基合金膜に直接接触する画素電極との接触電気抵抗を低減するのに有効な元素である。またスプラッシュ発生防止に有用な結晶方位および結晶粒径の制御にも有用である。
このような作用を発揮させるためにはNiは少なくとも0.05原子%以上含有させることが好ましい。より好ましいNi含有量は0.07原子%以上、さらに好ましくは0.1原子%以上である。一方、Niの含有量を多くし過ぎると、Al基合金膜の電気抵抗率が高くなってしまうため、好ましくは2.0原子%以下とする。より好ましくは1.5原子%以下であり、さらに好ましくは1.1原子%以下である。
また、希土類元素は、このAl基合金スパッタリングターゲットを用いて形成されるAl基合金膜の耐熱性を向上させ、Al基合金膜の表面に形成されるヒロックを防止するのに有効な元素である。またスプラッシュ発生防止に有用な結晶方位および結晶粒径の制御にも有用である。
このような作用を発揮させるためには希土類元素は少なくとも0.1原子%以上含有させることが好ましい。より好ましい希土類元素の含有量は0.2原子%以上、さらに好ましくは0.3原子%以上である。一方、希土類元素の含有量を多くし過ぎると、Al基合金膜の電気抵抗率が高くなってしまうため、好ましくは1.0原子%以下とする。より好ましくは0.8原子%以下、更に好ましくは0.6原子%以下である。
また、本発明では、NdやLaなどの希土類元素を更に含有するAl−Ni−Al基合金スパッタリングターゲットも対象としている。本発明において「希土類元素」とは、周期律表中のY、ランタノイド元素、およびアクチノイド元素を意味しており、特にLaやNdを含有するNi−希土類元素−Al基合金スパッタリングターゲットを用いたときに好適に用いられる。希土類元素は、単独で含有しても良いし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、希土類元素の合計含有量が上記範囲内となるようにすることが望ましい。
また本願発明のAl基合金スパッタリングターゲットには、Geを含有させることも好ましい。Geは、本発明のAl基合金スパッタリングターゲットを用いて形成されるAl基合金膜の耐食性を向上させるのに有効な元素である。またスプラッシュ発生防止に有用な結晶方位および結晶粒径の制御にも有用である。
このような作用を発揮させるためにはGeは少なくとも0.10原子%以上含有させることが好ましい。より好ましいGeの含有量は0.2原子%以上、さらに好ましくは0.3原子%以上である。一方、Geの含有量が多くなり過ぎると、Al基合金膜の電気抵抗率が高くなってしまうため、好ましくは1.0原子%以下とする。Geの含有量は、より好ましくは0.8原子%以下、更に好ましくは0.6原子%以下である。
更に上記本発明のAl基合金には、Ni、希土類元素、更に好ましくはGe以外にも、TiおよびBを含有させることも好ましい。TiおよびBは、結晶粒の微細化に寄与する元素であり、Ti、Bの添加により製造条件の幅(許容範囲)が広がる。ただし、過剰に添加するとAl基合金膜の電気抵抗率が高くなってしまう。Tiの含有量は好ましくは0.0002原子%以上、より好ましくは0.0004原子%以上であって、好ましくは0.012原子%以下、より好ましくは0.006原子%以下である。またBの含有量は好ましくは0.0002原子%以上、より好ましくは0.0004原子%以上であって、好ましくは0.012原子%以下、より好ましくは0.006原子%以下である。
TiおよびBの添加に当たっては、通常用いられている方法を採用でき、代表的には、Al−Ti−B微細化剤として溶湯中に添加することが挙げられる。Al−Ti−Bの組成は、所望となるAl基合金スパッタリングターゲットが得られるものであれば特に限定されないが、例えば、Al−5質量%Ti−1質量%B、Al−5質量%Ti−0.2質量Bなどが用いられる。これらは市販品を用いることができる。
本発明に用いられるAl基合金の成分は、Niと希土類元素を含有し、残部Alおよび不可避的不純物であることが好ましく、より好ましくはNi、希土類元素及びGeを含み残部Alおよび不可避不純物である。更に好ましくはNi、希土類元素、Ge、Ti、おおよびBを含み残部Alおよび不可避不純物である。不可避的不純物としては、製造過程などで不可避的に混入する元素、例えば、Fe,Si,C,O,Nなどが挙げられ、その含有量としては、各元素それぞれ0.05原子%以下とすることが好ましい。
以上、本発明で対象とするNi−希土類元素−Al基合金について説明した。
(スパッタリングターゲットの製造方法)
次に、上記Al基合金スパッタリングターゲットを製造する方法について説明する。
上述したとおり、本発明では、溶解鋳造法を用い、Al基合金スパッタリングターゲットを製造することが望ましい。特に本発明では、結晶方位分布や結晶粒径が適切に制御されたAl基合金スパッタリングターゲットを製造するため、溶解鋳造→(必要に応じて均熱)→熱間圧延→焼鈍の工程において、均熱条件(均熱温度、均熱時間など)、熱間圧延条件(例えば圧延開始温度、圧延終了温度、1パス最大圧下率、総圧下率など)、焼鈍条件(焼鈍温度、焼鈍時間など)の少なくともいずれかを、適切に制御することが好ましい。上記工程の後、冷間圧延→焼鈍(2回目の圧延→焼鈍の工程)を行ってもよい。
特に本発明では、Al基合金スパッタリングターゲットのビッカース硬さを適切に制御するには、上述した2回目の圧延→焼鈍の工程を行うと共に、冷間圧延(冷延率など)条件を制御するなどして硬度を調整することが好ましい。
もっとも、Al基合金の種類により適用し得る結晶方位分布、結晶粒径制御手段、および硬度調整手段も相違するため、Al基合金の種類に応じ、例えば上記手段を、単独または組み合わせるなどして適切な手段を採用すればよい。以下、本発明の上記Al基合金ターゲットの好ましい製造方法について、工程毎に詳しく説明する。
(溶解鋳造)
溶解鋳造工程は特に限定されず、スパッタリングターゲットの製造に通常用いられる工程を適宜採用し、Ni−希土類元素−Al基合金鋳塊を造塊すればよい。例えば鋳造方法として、代表的にはDC(半連続)鋳造、薄板連続鋳造(双ロール式、ベルトキャスター式、プロペルチ式、ブロックキャスター式など)などが挙げられる。
(必要に応じて、均熱)
上記のようにしてNi−希土類元素−Al基合金鋳塊を造塊した後、熱間圧延を行なうが、必要に応じて、均熱を行ってもよい。結晶方位分布および結晶粒径制御のためには、均熱温度をおおむね300〜600℃程度、均熱時間をおおむね1〜8時間程度に制御することが好ましい。
(熱間圧延)
上記の均熱を必要に応じて行なった後、熱間圧延を行なう。結晶方位分布および結晶粒径制御のためには、熱間圧延開始温度を適切に制御にすることが望ましい。熱間圧延開始温度が低すぎると変形抵抗が高くなり、所望の板厚まで圧延が継続できなくなることがある。好ましい熱間圧延開始温度は210℃以上、より好ましくは220℃以上、更により好ましくは230℃以上である。一方、熱間圧延開始温度を高くしすぎると、スパッタリング面法線方向の結晶方位の分布にばらつきが生じたり、結晶粒径が粗大化するなどして、スプラッシュの発生数が多くなることがある。好ましい熱間圧延開始温度は410℃以下、より好ましくは400℃以下、更に好ましくは390℃以下である。
また熱間圧延終了温度が高すぎるとスパッタリング面法線方向の結晶方位分布にばらつきが生じたり、結晶粒径が粗大化することがあるので、好ましくは220℃以下、より好ましくは210℃以下、更に好ましくは200℃以下である。一方、熱間圧延終了温度が低すぎると変形抵抗が高くなり、所望の板厚まで圧延が継続できなくなることがあるので、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは90℃以上である。
熱間圧延時の1パス最大圧下率が低すぎると、スパッタリング面法線方向の結晶方位の分布にばらつきが生じたり、結晶粒径が粗大化するなどして、スプラッシュの発生数が多くなることがある。好ましい1パス最大圧下率は3%以上、より好ましくは6%以上、更に好ましくは9%以上である。一方、1パス最大圧下率が高すぎると、変形抵抗が高くなり、所望の板厚まで圧延が継続できなくなることがある。好ましい1パス最大圧下率は25%以下、より好ましくは20%以下、更に好ましくは15%以下である。
また総圧下率が低すぎると、スパッタリング面法線方向の結晶方位の分布にばらつきが生じたり、結晶粒径が粗大化するなどして、スプラッシュの発生数が多くなることがある。好ましい総圧下率は68%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは75%以上である。一方、総圧下率が高すぎると、変形抵抗が高くなり、所望の板厚まで圧延が継続できなくなることがある。好ましい総圧下率は95%以下、より好ましくは90%以下、更に好ましくは85%以下である。
ここで、1パス当たりの圧下率および総圧下率は、それぞれ下記式で表される。
1パス当たりの圧下率(%)={(圧延1パス前の厚さ)−(圧延1パス後の厚さ)}/(圧延1パス前の厚さ)×100
総圧下率(%)={(圧延開始前の厚さ)−(圧延終了後の厚さ)}/(圧延開始前の厚さ)×100
(焼鈍)
上記のようにして熱間圧延を行なった後、焼鈍する。結晶方位分布および結晶粒径制御のためには、焼鈍温度を高くすると、結晶粒径が粗大化する傾向にあるため、450℃以下とすることが好ましい。また焼鈍温度が低すぎると、所望の結晶方位が得られなかったり、結晶粒が微細化されずに粗大な結晶粒が残留することがあるので250℃以上とすることが好ましい。焼鈍時間はおおむね1〜10時間程度に制御することが好ましい。
(必要に応じて、冷間圧延→焼鈍)
上記の製法によりNi−希土類元素−Al基合金スパッタリングターゲットの結晶方位分布および結晶粒径を制御することができるが、その後に、更に冷間圧延→焼鈍(2回目の圧延、焼鈍)を行なってもよい。結晶方位分布および結晶粒径制御する観点からは、冷間圧延条件は特に限定されないものの、焼鈍条件を制御することが好ましい。例えば焼鈍温度は150〜250℃、焼鈍時間は1〜5時間の範囲に制御することが推奨される。
一方、上記Ni−希土類元素−Al基合金スパッタリングターゲットの硬度を制御するには、冷間圧延での圧延率が低すぎると十分に硬度を高めることができないため、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上とすることが望ましい。一方、圧延率を高くし過ぎると、変形抵抗が高くなり、所望の板厚まで圧延が継続できなくなることから35%以下とすることが好ましく、より好ましくは30%以下とすることが望ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されず、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適切に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
(実施例1)
表1に示す種々のNi−希土類元素−Al基合金を用意し、厚み100mmの鋳塊をDC鋳造法によって造塊した後、表1に記載の条件で熱間圧延および焼鈍を行って圧延板を作製した。参考のため、作製した圧延板の厚さを表1に示す。
なお、TiおよびBを含むNi−希土類元素−Al基合金は、TiおよびBを微細化剤(Al−5質量%Ti−1質量%B)の形で溶湯中に添加して作製した。例えば、表1のNo.5のNi−希土類元素−Al基合金(Ti:0.0005原子%、B:0.0005原子%)を作製するときは、Ni−希土類元素−Al基合金全体の質量に対して上記の微細化剤を0.02質量%の割合で添加した。また、表1のNo.6のNi−希土類元素−Al基合金(Ti:0.0046原子%、B:0.0051原子%)を作製するときは、Ni−希土類元素−Al基合金全体の質量に対して上記の微細化剤を0.2質量%の割合で添加した。
更に、上記圧延板に対して冷間圧延および焼鈍(200℃で2時間)を行った。ここで、No.1〜6、9〜22については、冷間圧延時の冷延率を22%とし、それ以外のNo.7、および8については、冷延率を5%とした。
続いて機械加工(丸抜き加工および旋盤加工)を行い、1枚の圧延板から、圧延板の厚さ(t)方向に向って表層部、1/4×t部、1/2×t部がスパッタリング面となるように、旋盤加工で厚さを調整した、3枚の円板状のNi−希土類元素−Al基合金スパッタリングターゲット(サイズ:直径101.6mm×厚さ5.0mm)を製造した。
(結晶方位、平均結晶粒径)
上記のスパッタリングターゲットを用い、前述したEBSD法に基づき、スパッタリング面法線方向の結晶方位を測定し、解析してR、R、R、Rave値と平均結晶粒径を求めた。R、R、Rのいずれかの値がRave±20%を外れた場合を、R値のスパッタリングターゲットの厚さ方向におけるばらつきが大きいと判断した。
(ビッカース硬さ)
上記各スパッタリングターゲットのビッカース硬さ(HV)は、ビッカース硬度計(株式会社明石製作所製、AVK−G2)を用いて測定した。
また上記各スパッタリングターゲットを用いて、スパッタリング時の成膜速度測定およびスプラッシュの発生率を測定した。
(成膜速度の測定)
下記の条件でスパッタリングを行い、ガラス基板上に薄膜を成膜した。得られた薄膜の厚さを触針式膜厚計によって測定した。
スパッタリング装置:株式会社島津製作所製HSR−542S
スパッタリング条件:
背圧:3.0×10−6Torr以下、
Arガス圧:2.25×10−3Torr、
Arガス流量:30sccm、
スパッタリングパワー:DC260W、
極間距離:52mm、
基板温度:室温、
スパッタリング時間:120秒、
ガラス基板:CORNING社製#1737(直径50.8mm、厚さ0.7mm)、
触針式膜厚計:TENCOR INSTRUMENTS製alpha−step 250
成膜速度は、下式に基づいて算出した。
成膜速度(nm/s)=薄膜の厚さ(nm)/スパッタリング時間(s)
各実施例の成膜速度は2.2nm/s以上の高速成膜とし、任意の3箇所で測定し、各測定位置での成膜速度がそれらの平均値から8%以上変動した場合、成膜速度のばらつきがあると判定した。
(スプラッシュの発生数の測定)
本実施例では、高スパッタリングパワーの条件下で発生しやすいスプラッシュの発生数を測定し、スプラッシュの発生を評価した。
まず、表1に示すNo.4のスパッタリングターゲットの表層部について、2.74nm/sの成膜速度で薄膜を成膜した。ここで、成膜速度とスパッタパワーDCとの積Y値は、以下のとおりである。
Y値=成膜速度(2.74nm/s)×スパッタリングパワー(260W)
=713
次に、表1に示すスパッタリングターゲットについて、前述したY値(一定)に基づき、表1に併記する成膜速度に応じたスパッタリングパワーDCを設定してスパッタリングを行なった。
例えば、No.6のスパッタリングターゲットの表層部のスパッタリング条件は以下のとおりである。
成膜速度:2.77nm/s
下式に基づき、スパッタリングパワーDCを257Wと設定
スパッタリングパワーDC=Y値(713)/成膜速度(2.77)
≒257W
このようにして、上記のスパッタリングを行なう工程を、ガラス基板を差し替えながら連続して行い、スパッタリングターゲット1枚につき16枚の薄膜を形成した。従って、スパッタリングは、120(秒間)×16(枚)=1920秒間行なった。
次に、パーティクルカウンター(株式会社トプコン製:ウェーハ表面検査装置WM−3)を用い、上記薄膜の表面に認められたパーティクルの位置座標、サイズ(平均粒径)、および個数を計測した。ここでは、サイズが3μm以上のものをパーティクルとみなしている。その後、この薄膜表面を光学顕微鏡観察(倍率:1000倍)し、形状が半球形のものをスプラッシュとみなし、単位面積当たりのスプラッシュの個数を計測した。
上記16枚の薄膜について、スパッタリングターゲットの表層部、1/4×t部、1/2×t部の3箇所において上記スプラッシュ個数の計測を同様に行い、計測した3測定箇所のスプラッシュの個数の平均値を「スプラッシュの発生数」とした。本実施例では、このようにして得られたスプラッシュの発生数が7個/cm以下のものを◎、8〜11個/cmのものを○、12〜21個/cmのものを△、22個/cm以上のものを×と評価した。本実施例では、スプラッシュ発生数が21個/cm以下(評価:◎、○、△)をスプラッシュ発生を抑制する効果がある(合格)と評価した。
(電気抵抗率の測定)
薄膜の電気抵抗率測定用サンプルは、以下の手順で作製した。上記の薄膜表面上に、フォトリソグラフィによってポジ型フォトレジスト(ノボラック系樹脂:東京応化工業製TSMR−8900、厚さ1.0μm、線幅100μm)をストライプパターン形状に形成した。ウェットエッチングによって線幅100μm、線長10mmの電気抵抗率測定用パターン形状に加工した。ウェットエッチングにはHPO:HNO:HO=75:5:20の混合液を用いた。熱履歴を与えるため、前記エッチング処理後に、CVD装置内の減圧窒素雰囲気(圧力:1Pa)を用いて250℃で30分保持する雰囲気熱処理を行なった。その後、四探針法により電気抵抗率を室温で測定し、5.0μΩcm以下のものを良好(○)、5.0μΩcm超のものを不良(×)と評価した。
上記のスパッタリングターゲットの特性と薄膜特性の結果から、総合的な性能を評価し、「総合判定」とした。スパッタリングターゲットの特性の判定が◎、○、あるいは△のもので、薄膜特性が○のものはそのまま◎、○、あるいは△と評価した。スパッタリングターゲットの特性の判定が◎、○、あるいは△のもので、薄膜特性が×のものは全て×と評価した。スパッタリングターゲットの特性の判定が×のもので、薄膜特性が○のものは×と評価した。スパッタリングターゲットの特性の判定が×のもので、薄膜特性が×のものは×と評価した。
これらの試験結果を表1、2に併記する。
表1より、以下のように考察することができる。
まず、No.2は、合金組成、結晶方位分布(R〜R値およびRave値の範囲)、およびビッカース硬さが本発明の要件を満足する例であり、スプラッシュの発生数は21個/cm以下に抑制され、スプラッシュの発生を抑制する効果が認められた。ただしNo.2は本発明で推奨される焼鈍温度の上限(450℃)を超えたため、また平均結晶粒径は本発明で推奨される上限値(450μm)を超えており、平均結晶粒径が好ましい範囲に制御された例に比べると、スプラッシュの発生抑制効果が低下した。
また、No.7は、合金組成、結晶方位分布、および平均結晶粒径が本発明の要件を満足する例であり、スプラッシュの発生数は21個/cm以下に抑制され、スプラッシュの発生を抑制する効果が認められた。ただしNo.7は冷間圧延率が本発明で推奨される下限(15%)を下回っているため、ビッカース硬さが26を下回り、ビッカース硬さが26以上に制御された例に比べてスプラッシュの発生抑制効果が低下した。
また、No.8は、合金組成、および結晶方位分布が本発明の要件を満足する例であり、スプラッシュの発生数は21個/cm以下に抑制され、スプラッシュの発生を抑制する効果が認められた。ただし、No.8は圧延開始温度が本発明で推奨される上限(410℃)を超えているため、平均結晶粒径は本発明で推奨される上限値(450μm)を超え、また、冷間圧延率が本発明で推奨される下限(15%)を下回っているため、R値のスパッタリングターゲットの厚さ方向におけるばらつきが大きくなり、ビッカース硬さも26を下回り、平均結晶粒径とビッカース硬さが好ましい範囲に制御された例に比べると、スプラッシュの発生抑制効果が低下した。
また、No.3〜6、13、14、17、18、20、21は、2回目の圧延時の冷延率を適切に制御した例であり、合金組成および平均結晶粒径に加え、ビッカース硬さも本発明で推奨される要件を満足している。そのため、スプラッシュの発生数が一層抑制されており(スプラッシュ発生個数:11個/cm以下)、より高いスプラッシュの発生を抑制する効果が認められた。
これに対し、本発明の要件のいずれかを満足しない下記例は、スプラッシュの発生を効果的に防止することができなかった。
詳細には、まず、No.1は、Ni量が少なく、また本発明で推奨する総圧下率の下限(68%)を下回る条件で製造した例である。この実施例では、Rの合計面積率が0.80を超えると共に、R値のスパッタリングターゲットの厚さ方向におけるばらつきが大きくなり、かつ結晶粒径は粗大になり、スプラッシュの発生数が増加した。
No.9は、熱間圧延開始温度(410℃)と圧延終了温度(220℃)を本発明で推奨する上限よりも高い温度とし、総圧下率も本発明で推奨する下限(68%)を下回る条件で製造した例である。この実施例ではR、Rの合計面積率が0.35を下回ると共に、R値のスパッタリングターゲットの厚さ方向におけるばらつきが大きくなり、かつ結晶粒径は粗大になり、スプラッシュの発生数が増加した。また成膜速度のばらつきが生じた。
No.10は、熱間圧延時の1パス最大圧下率が本発明で推奨される下限(3%)を下回る範囲で製造した例であり、また圧延開始温度が本発明で推奨される上限(410℃)を超えている。Rの合計面積率が0.80を超えると共に、R値のスパッタリングターゲットの厚さ方向におけるばらつきが大きくなり、かつ結晶粒径は粗大になり、スプラッシュの発生数が増加した。
No.11は、熱間圧延時の総圧下率が本発明で推奨される下限(68%)を下回る範囲で製造した例であり、R、Rの合計面積率が0.35を下回ると共に、R値のスパッタリングターゲットの厚さ方向におけるばらつきが大きくなり、かつ結晶粒径は粗大になり、スプラッシュの発生数が増加した。また成膜速度のばらつきが生じた。
No.12は、Ge量が少なく、かつ熱間圧延時の総圧下率が本発明で推奨される下限(68%)を下回る範囲で製造した例であり、R、Rの合計面積率が0.80を超えると共に、R値のスパッタリングターゲットの厚さ方向におけるばらつきが大きくなり、かつ結晶粒径は粗大になり、スプラッシュの発生数が増加した。また成膜速度のばらつきが生じた。
No.16は、Nd量が少なく、かつ熱間圧延時の総圧下率が本発明で推奨される下限(68%)を下回る範囲で製造した例であり、R、Rの合計面積率が0.80を超えると共に、R値のスパッタリングターゲットの厚さ方向におけるばらつきが大きくなり、かつ結晶粒径は粗大になり、スプラッシュの発生数が増加した。また成膜速度のばらつきが生じた。
また、No.15(Ge)、19(Nd)、および22(Ni)は、合金元素の含有量を多くした例であり、スプラッシュの軽減効果が認められたが、薄膜の電気抵抗率が増大した。
参考のため、図2AにNo.4の1/4×t部、図2BにNo.5の1/4×t部(以上、本発明例)、並びに図2CにNo.9の1/4×t部(比較例)について、逆極点図マップ(結晶方位マップ)を示す。これらの図に示すように、No.4、およびNo.5では、<001>、<011>、および<112>の結晶粒が微細に分散しているのに対し、結晶方位が適切に制御されていないNo.9では、粗大な結晶粒が形成されていることが分かる。

Claims (8)

  1. Niおよび希土類元素を含有するAl基合金スパッタリングターゲットであって、後方散乱電子回折像法によって前記Al基合金スパッタリングターゲットの表層部、1/4×t(板厚)部、1/2×t部の各スパッタリング面の法線方向の結晶方位<001>、<011>、<111>、<012>および<112>を観察したとき、下記(1)、(2)の要件を満足することを特徴とするAl基合金スパッタリングターゲット。
    (1)前記<001>±15°、前記<011>±15°および前記<112>±15°の合計面積率をR(各箇所のRは、前記表層部はR、前記1/4×t部はR、前記1/2×t部はRとする)としたとき、Rが、0.35以上、0.80以下であり、かつ
    (2)前記R、前記R、および前記Rが、R平均値[Rave=(R+R+R)/3]の±20%の範囲内にある。
  2. 前記Al基合金スパッタリングターゲットのスパッタリング面を後方散乱電子回折像法によって結晶粒径を観察したとき、平均結晶粒径が40〜450μmである請求項1に記載のAl基合金スパッタリングターゲット。
  3. 前記Niの含有量が0.05〜2.0原子%、前記希土類元素の含有量が0.1〜1.0原子%である請求項1または2に記載のAl基合金スパッタリングターゲット。
  4. 更にGeを含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載のAl基合金スパッタリングターゲット。
  5. 前記Geの含有量が0.10〜1.0原子%である請求項4に記載のAl基合金スパッタリングターゲット。
  6. 更にTiおよびBを含有するものである請求項1〜5のいずれかに記載のAl基合金スパッタリングターゲット。
  7. 前記Tiの含有量が0.0002〜0.012原子%、前記Bの含有量が0.0002〜0.012原子%である請求項6に記載のAl基合金スパッタリングターゲット。
  8. 前記Al基合金スパッタリングターゲットのビッカース硬さが26以上である請求項1〜7のいずれかに記載のAl基合金スパッタリングターゲット。
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