JP2011177967A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】画像をオーバーコートする透明インクを必要以上に消費することなく、特定の波長による干渉色を発生させないオーバーコートを実現可能な、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】有色インクを用いて記録媒体171に画像を記録する工程の最中あるいは記録工程が終了した後に透明インクを記録する第1の付与工程と、ここで付与された透明インクが定着する時間をおいて、再び透明インクを記録する第2の付与工程とを用意する。これにより、第1の付与工程で形成された一様な透明インクの層175の上に、第2の付与工程で付与された透明インク滴による凸部174が形成され、記録物の反射光に様々な波長(色)の光が含ませることが出来る。
【選択図】図11

Description

本発明は、画像を記録するための有色インクおよび画像を保護するための透明インクを用いて記録媒体に画像を形成するインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録装置は、高密度かつ高速な記録動作が可能であること、ランニングコストが安く静かな記録方式であることなど様々な優位点を有しており、各種装置の出力機器あるいはポータブルプリンタ等として様々な形態に商品化されている。
このようなインクジェット記録装置では、出力後の画像の見栄えや耐候性を向上させるための要求が高まっており、近年では顔料インクを用いて画像を記録するものも多く提供されている。また、特許文献1には、顔料インクなどの有色インクによって記録した画像上に透明のインクを付与し、画像表面をオーバーコートすることによって画像の光沢性や擦れなどへの耐性(以下「耐擦性」という)等を高める技術が開示されている。
特開2005−081754号公報
しかしながら、このような透明インクを画像上にオーバーコートして得られた出力物においては、透明インク層における光の干渉が画像とは無関係な発色を起こし、画像品位を劣化させる場合がある。
図1は、顔料インクで記録した画像の上に透明インクを付与した際の記録媒体の層断面を示す模式図である。記録媒体1001上に顔料インクによって記録が成された顔料層1002が形成され、更にその上に透明インク層1003が形成されている。透明インク層1003は、一般に、約100nm〜500nm程度の厚みdを有している。
例えば太陽光や蛍光灯からの平行光1004は、透明インク層1003上で反射する反射光1005と透明インク層1003に透過し顔料層1002の表面で反射する光1006とに分けられ、両者の光路差に伴う光の干渉が起こる。そして、例えば、入射角をθ、入射光の波長をλ、透明インク層1003の屈折率をn、としたとき、
m×λ=n×2d×COSθ+λ/2(mは整数) (式1)
の関係が成り立つ波長λを有する光の強度が増し、当該光の干渉色が他色に比べて強く視認される。また上記関係式を満たす波長λは、透明インク層1003の膜厚dによって変化するので、透明インク層1003の厚みが一様でないと、虹色の反射光が認識される場合もある。このような画像とは無関係な発色は、記録物の品位を劣化させる。
上記干渉による弊害を抑えるための方法としては、一般に以下の3つの方法などが考えられる。(1)透明インク層1003の厚みdを極薄くする。(2)多くの可視光において干渉を起こさせる程に透明インク層の厚みdを厚くする。(3)透明インクの厚みが厚い部分と薄い部分を形成し、様々な干渉波長を発生させる。
しかし、(1)のように透明インク層を極薄くしてしまうと、透明インク層を付与することの本来の目的、すなわち画像表面において十分な光沢性や耐擦性が得られなくなる。また、(2)のように特定の干渉色が目立たなくなる程度に透明インク層を厚くするには、1μm程度の厚みが必要となるが、この場合、有色インクに比べて大量の透明インクが消費されることになる。このように、画像とは直接関係しない透明インクのために、装置の大型化や高価格化が招致されることは好ましくない。
一方、(3)のように透明インクの厚みが厚い部分と薄い部分を形成するためには、領域に応じて透明インクの付与量を変える必要が生じる。この場合、図14に示すように領域に応じて透明インクの記録率に偏りを持たせれば、図16(a)のように記録された透明インクの液滴212が記録媒体の表面で広がり、同図(b)に示すように厚みばらつき有する透明インク層213を作ることが出来る。しかし、十分な厚みの差を作る為には、やはり多量の透明インクが消費され、またこのような方法で作成した段差は、緩やか且つ大きな周期でしか得られないので、干渉色を十分に目立たなくすることは難しい。
本発明は上記従来技術の課題に鑑みてなされたものである。よってその目的とするところは、画像をオーバーコートする透明インクを必要以上に消費することなく、特定の波長による干渉色を発生させないオーバーコートを実現可能な、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することである。
そのために本発明は、画像データに従って画像を記録するための有色インクと、画像が記録された記録媒体をオーバーコートするための透明インクを用いて、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記有色インクを用いて記録媒体の単位領域に画像を記録する記録工程と、前記記録工程の最中あるいは前記記録工程が終了した後に、前記単位領域に前記透明インクを記録する第1の付与工程と、前記第1の付与工程が完了した後に該第1の付与工程で付与された前記透明インクが定着するための時間をおいて、前記単位領域に前記透明インクを記録する第2の付与工程とを有することを特徴とする。
また、画像データに従って画像を記録するための有色インクと、画像が記録された記録媒体をオーバーコートするための透明インクを用いて、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記有色インクを用いて記録媒体の単位領域に画像を記録する記録手段と、前記記録手段による前記有色インクの記録の最中あるいは前記有色インクの記録が終了した後に、前記単位領域に前記透明インクを記録する第1の付与手段と、前記第1の付与手段による前記透明インクの記録が終了した後に、前記第1の付与手段で付与された前記透明インクが定着するための時間をおいて、前記単位領域に前記透明インクを記録する第2の付与手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、第1の付与工程で形成された一様な透明インクの層の上に、第2の付与工程で付与された透明インク滴による凸部が形成され、記録物の反射光に様々な波長(色)の光を含ませることが出来る。よって、透明インクを必要以上に消費することなく、特定の波長による干渉色を発生させない記録物を出力することが可能となる。
顔料インク上に透明インクを付与した際の記録媒体の層断面図である。 本発明で使用可能なインクジェット記録装置の概観構成図である。 インクジェット記録装置の制御系の構成を説明するためのブロック図である。 第1の実施形態で使用する記録ヘッドを吐出口側から観察した模式図である。 透明インクの記録率と干渉色の観察結果を示す図である。 (a)〜(f)は、透明インクの記録タイミングと記録媒体での定着の様子を示す図である。 マルチパス記録方法を簡単に説明するための模式図である。 (a)〜(c)は、8パスのマルチパス記録の記録状態を示す図である。 有色インクの吐出口列に適用するマスクパターンを示す図である。 透明インクの吐出口列に適用するマスクパターンを示す図である。 (a)〜(f)は、マルチパス記録によってインクが付与される様子を説明するための断面図である。 (a)〜(e)は、記録状態を上面から説明するための模式図である。 (a)〜(e)は、画像データが存在しない単位領域の記録状態を示す断面図である。 領域に応じて透明インクの記録率に偏りを持たせる方法の説明図である。 従来の方法と本実施形態とで、記録物の比較結果を示す図である。 (a)および(b)は、透明インクの記録率に偏りを持たせた場合の記録状態を示す図である。 第2の実施形態で用いる記録ヘッドを吐出口側から観察した模式図である。 低階調領域における第1の付与工程後の記録状態を説明する断面図である。 第3の実施形態で用いる記録ヘッドを吐出口側から観察した模式図である。 第3の実施形態のシステムコントローラが実行するフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図2は本実施形態で使用するインクジェット記録装置の概観構成を説明するための図である。インクジェット記録ヘッドや複数色分のインクタンクを搭載するキャリッジ11は、キャリッジモータ12を駆動源として主走査方向に往復移動する。キャリッジ11の往復走査に追従するように取り付けられているフレキシブルケーブル13は、不図示の制御部とキャリッジ11に搭載された記録ヘッドとの間での電気信号の送受信を行う。キャリッジ11の移動位置は、主走査方向に延在して取り付けられているエンコーダ16を、キャリッジに備えられたエンコーダセンサが光学式に読みとることによって検出出来るようになっている。
外部に接続されたホストコンピュータより記録動作コマンドが入力されると、給紙トレイ15に積層されている記録媒体の1枚がキャリッジ11に搭載された記録ヘッドによって記録可能な位置まで給紙される。その後、記録信号に伴ってインクを吐出しながらの記録ヘッドの記録主走査と、該記録走査とは異なる方向への記録媒体の所定量の搬送動作を交互に繰り返すことにより、記録媒体に順次画像が形成されて行く。
キャリッジ11が移動する領域の端部には、記録ヘッドのメンテナンス処理を実行するための回復手段14が備えられている。回復手段14には、吸引および放置時に記録ヘッドの吐出口面を保護するためのキャップ141、吐出回復時の透明インクを受容する吐出受け142、吐出回復時の吐出した有色インクを受容する吐出受け143等が備えられている。ワイパーブレード144は、矢印の方向に移動しながら記録ヘッドの吐出口面をワイピングする。
図3は、図1に示したインクジェット記録装置の制御系の構成を説明するためのブロック図である。301は、受信した画像データを処理したり装置全体を制御したりするシステムコントローラである。システムコントローラ301の内部には、マイクロプロセッサを始め、制御プログラムや後述するマスクパターンなどを記憶した記憶素子(ROM)や、各種画像処理を実施する際のワークエリアとなるRAMが配置されている。12は主走査方向にキャリッジ11を移動させるためのキャリッジモータ、305は記録媒体を副走査方向に搬送するための搬送モータである。302及び303はドライバであり、システムコントローラ301から記録ヘッドや記録媒体の移動速度や移動距離などの情報を受け取り、夫々のモータ12及び305を駆動する。
306は外部に接続されたホストコンピュータであり、本実施形態のインクジェット記録装置に対して記録すべき画像情報を転送する。ホストコンピュータ306の形態としては情報処理装置としてのコンピュータとするほか、イメージリーダなどの形態とすることもできる。307は、ホストコンピュータ306からのデータを一時的に格納するための受信バッファであり、システムコントローラ301からデータの読み込みが行われるまで、受信データを蓄積しておく。
308は、記録すべきデータをイメージデータに展開するためのフレームメモリであり、記録に必要な容量のメモリサイズをインク色毎に有している。309は、記録すべきデータを各インク色用に、それぞれ一時的に記憶するためのバッファであり、記録ヘッドのノズル数に応じて記録容量は変化する。
310は記録制御部であり、システムコントローラ301からの指令により記録ヘッド17を適切にコントロールし、記録速度や記録データ数などを制御する。311は記録ヘッドドライバであり、記録制御部310からの信号によりコントロールされ、インクを吐出させるための記録ヘッド17を駆動する。
以上の構成において、ホストコンピュータ306から供給される画像データは、受信バッファ307に転送されて一時的に格納され、システムコントローラ301によって各色のフレームメモリ308に展開される。次に、展開された画像データは、システムコントローラ301によって読み出され所定の画像処理が施された後に、色毎にバッファ309に展開される。記録制御部310は、各バッファ内の画像データに基づいて記録ヘッド17の動作を制御する。
図4は、本実施形態で使用する記録ヘッド17の構成を吐出口側から観察した状態を示す模式図である。記録ヘッド17には、1インチ当たり1200個の密度で副走査方向に1280個配列する吐出口によって1色分の吐出口列が形成され、この吐出口列がインク色に対応した分だけ主走査方向に複数並列している。本実施形態では、ブラックインクを吐出する吐出口列4K、シアンインクを吐出する吐出口列4C、マゼンタインクを吐出する吐出口列4M、およびイエローインクを吐出する吐出口列4Yが、図の順番で並んでいる。これら4色の吐出口列に対し更に副走査方向の下流側には、透明インクを吐出するための吐出口列4CLが配置されている。各吐出口から吐出される液滴は約4.5plであるが、ブラックインクについては、高濃度の黒画像を実現するために、他よりも多い吐出量に設定されていてもよい。本実施形態の記録装置は、このような記録ヘッド17を主走査方向に走査しながら吐出させることにより、主走査方向に2400dpi(ドット/inch;参考値)、副走査方向に1200dpiの記録密度でドットを記録することが可能となっている。
次に、本実施形態で適用するインクセットの成分および精製方法を説明する。本実施形態では有色インクとして顔料を含有する4色の顔料インクを用いる。
<イエローインク>
(1)分散液の作製
まず、以下に示す顔料10部、アニオン系高分子30部、純水60部を混合する。
・ 顔料:[C.I.ピグメントイエロー74(製品名:Hansa Brilliant Yellow 5GX(クラリアント社製))]
・ アニオン系高分子P−1:[スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合比(重量比)=30/40/30)、酸価202、重量平均分子量6500、固形分10%の水溶液、中和剤:水酸化カリウム]30部
次に、以上に示す材料をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを150部充填し、水冷しつつ、12時間分散処理を行う。更に、この分散液を遠心分離機にかけ粗大粒子を除去した。そして、最終調製物として、固形分が約12.5%、重量平均粒径が120nmの顔料分散体1を得た。得られた顔料分散体を用いて、下記のようにしてインクを調製する。
(2)インクの作製
以下の成分を混合し、十分に攪拌して溶解・分散後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過して、インク1を調製する。
・上記で得た顔料分散体1:40部
・グリセリン:9部
・エチレングリコール:6部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH):1部
・1,2−ヘキサンジオール:3部
・ポリエチレングリコール(分子量1000):4部
・水:37部
<マゼンタインク>
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価300、数平均分子量2500のAB型ブロックポリマーを作り、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作成する。また、上記ポリマー溶液を100g、C.I.ピグメントレッド122を100gおよびイオン交換水を300gを混合し、機械的に0.5時間撹拌する。次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理する。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してマゼンタ分散液とする。得られたマゼンタ分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が5質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用する。これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度4質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製する。
上記マゼンタ分散液 40部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
(川研ファインケミカル製)イオン交換水 39.5部。
<シアンインク>
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価250、数平均分子量3000のAB型ブロックポリマーを作り、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作成する。また、上記のポリマー溶液を180g、C.I.ピグメントブルー15:3を100gおよびイオン交換水を220gを混合し、機械的に0.5時間撹拌する。次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理する。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してシアン分散液とする。得られたシアン分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が10質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記シアン分散液を使用する。これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度2質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製する。
上記シアン分散液 20部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
(川研ファインケミカル製)イオン交換水 53.5部。
<ブラックインク>
(1)分散液の作製
イエローインク1で使用したポリマー溶液を100g、カーボンブラックを100gおよびイオン交換水を300gを混合し、機械的に0.5時間撹拌する。次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理する。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してブラック分散液とする。得られたブラック分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が6質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記ブラック分散液を使用する。これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度5質量%、分散剤濃度3質量%の顔料インクを調製する。
上記ブラック分散液 50部
グリセリン 10部
トリエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
(川研ファインケミカル製)イオン交換水 25.5部。
<透明インク>
(1)樹脂溶液の作製
まず、下記のようにして樹脂水溶液を得る。その後、スチレン、及びアクリル酸で構成される樹脂を15.0質量%、前記アクリル酸を構成するカルボン酸に対して水酸化カリウムを1当量加え、残部を水で100.0質量%に調整した後、80℃で撹拌して樹脂を溶解する。その後、固形分の含有量が15.0質量%になるように水で調整して、樹脂水溶液を得る。樹脂は、重量平均分子量7,000である。
(2)インクの作製
下記に示す各成分を混合し、十分撹拌して、インクを調製した。得られた透明インクは無色透明であった。
・樹脂水溶液: 26.6部
・グリセリン: 9部
・エチレングリコール: 6部
・アセチレングリコールEO付加物: 1部
・(川研ファインケミカル製)イオン交換水:57.4部
以上のように作製された本実施形態の透明インクは、表面張力が低いため記録媒体に広がりやすい。また、離れた位置に記録された2つの液滴であっても、これらが定着する前に接触すれば互いに連結して、記録媒体の表面で一様な層を形成しやすい特徴を有している。
図5は、本発明者らが、上述した記録装置、記録ヘッドおよびインクを用いて画像を記録した場合の、透明インクの記録率と干渉色の観察結果を示す図である。本検討では、キヤノン製フォト光沢紙(商品名「フォト光沢紙[薄口]LFM−GP421R」)に対し、上記シアンインクを150%の記録率で記録した後に、透明インクをそれぞれの記録率で記録した。記録に関しては、8パスのマルチパス記録で行った。記録率とは、2400dpi×1200dpiの解像度で記録可能な単位領域に含まれる全画素のうち、インク液滴が記録(付与)される画素の割合を示す。上述したように本実施形態で使用する透明インクは表面張力が低いので、2400dpi×1200dpiの解像度で4.5plの吐出量であれば、25%程度の記録密度で透明インクの一様な層が形成される。図では、このように記録して得た出力物の干渉色を目視で確認した結果を示している。
図から判るように、透明インクの記録率が少ない(10%以下)場合は干渉色が見られない。これは、ドットが離散しているので、一様な層が形成されないためである。あるいは、層を形成したとしても、これが極薄い層であるので式1を満たす波長領域が可視光領域に存在しないためである。
記録率が25%程度になると、安定した透明インク層が形成され、干渉光が確認されるようになる。そして、透明インクの記録率、すなわち透明インク層の厚みが徐々に増加するにつれ、長い波長(λ)の干渉色が確認されるようになる。
以上の結果を踏まえ、本発明者らは、画像表面に凹凸を設けて透明インク層の厚みを一定にしなければ、反射光に様々な波長(色)の光が含まれ、特定の干渉色が目立ち難くなることに着目した。そしてそのためには、透明インクの付与のタイミングを調整することが有効であるという知見に至った。
図6(a)〜(f)は、本実施形態における透明インクの付与(記録)のタイミングと記録媒体での定着の様子を説明するための図である。図6(a)は、記録ヘッド17の吐出口列4Y〜4Kによって、まず記録媒体141上に有色インクの層142が形成された状態を示している。その後、透明インクの吐出口列4CLを用いたマルチパス記録によって、徐々に透明インクの層を形成していく。
図6(b)および(c)は、透明インクの第1の付与工程を示す。第1の付与工程では、透明インク滴143が、記録媒体141に着弾された隣り合う透明インク滴同士が接触する程度に高密度に記録される。先述したように透明インクは表面張力が低いので、このように高密度に記録されると記録媒体表面で一様に広がり易く、即座に図6(d)のような液体層144を形成する。
本実施形態では、このような第1の付与工程によって一様な透明インク層(液体層)144が形成されると、しばらく時間をおく。そして、透明インク層144が有る程度定着した後に、新たに、図6(e)に示すような第2の付与工程を実行する。第2の付与工程では、隣り合う透明インク滴143同士が接触しない程度に低密度に記録される。このように低密度で記録された透明インクの液滴145は、記録媒体表面で大きく広がることなく、図6(f)に示すように、離散した状態で定着する。
第1の付与工程と第2の付与工程によって形成された図6(f)に示すような透明インクの層は、第2の付与工程で透明インクが付与された位置と付与されなかった位置で層の厚みが異なり、記録媒体表面に凹凸を形成する。これにより、印刷画像を観察した場合でも、反射光に様々な波長(色)の光が含ませることが出来、特定の干渉色が視認されない記録物とすることが出来る。
本実施形態では、図6(a)〜(f)で示した記録を実現するために、図4に示した記録ヘッドによる8パスのマルチパス記録を行う。以下、マルチパス記録について簡単に説明する。
マルチパス記録では、記録ヘッドが1回の主走査で記録可能な画像データを予め用意されているマスクパターンに従って間引き、複数回の主走査によって段階的に画像を完成させていく。
図7は、マルチパス記録方法を簡単に説明するための模式図である。ここでは、簡単のため、16個の吐出口を有する吐出口列56を用い、4パスのマルチパス記録を行う場合を説明する。4パスのマルチパス記録の場合、吐出口列56は、4つずつの吐出口を含む4つの領域(領域1〜領域4)に分割して考えることが出来る。
57a〜57dは、領域1〜領域4の夫々に宛がわれるマスクパターンを示している。マスクパターン57a〜57dの夫々は、黒で示した記録許容画素と白で示した非記録許容画素を定めた4画素×4画素の領域を有しており、これら57a〜57dのマスクパターンを重ねあわせることにより、記録許容画素が補完される構成になっている。実際に記録を行う際には、個々の吐出口に宛がわれた画像データ(記録/非記録データ)とマスクパターンとの間で論理積演算を行い、その結果に基づいた吐出動作が実行される。なお、ここでは簡単のため4画素×4画素の領域を有するマスクパターンを示しているが実際のマスクパターンは主走査方向にも副走査方向にも更に大きな領域を有している。
58a〜58dは、記録走査を重ねていくことによって記録媒体に画像が完成されていく様子を示している。各記録走査において、吐出口列56の領域1〜4は、マスクパターン57a〜57dによって記録が許容された画素に対してのみ記録を行い、各記録走査が終了するたびに、記録媒体は副走査方向に各領域の幅に対応した分ずつ搬送される。このような構成よって、記録媒体の単位領域(吐出口列の各領域の幅に対応する記録媒体の領域)は4回の記録走査によって画像が完成される仕組みになっている。
このようなマルチパス記録を行えば、記録媒体の各単位領域が複数回の走査で吐出口列の複数の領域によって記録されるので、ノズル(吐出口)特有のばらつきや記録媒体の搬送精度のばらつきが分散され、濃度むらやすじを低減させることが出来る。
図7では、簡単のため、4パスのマルチパス記録の例を説明したが、本実施形態のように8パスのマルチパス記録を行う場合には、1つの吐出口列が8領域に分割され、各領域に対し互いに補完の関係にあるマスクパターンが宛がわれていればよい。このようなマスクパターンは、各領域の補完の関係が保たれていれば、記録許容エリアの配置を様々に変えることも出来る。例えば、本実施形態のようにインクの種類に応じた複数の吐出口列を備える場合には、インクの種類に応じてマスクパターンを異ならせることも出来る。
図8(a)〜(c)は、図4で示した本実施形態の記録ヘッド17を用いて8パスのマルチパス記録を行った場合の、記録媒体に対する記録状態を説明するための図である。図8(a)は、幅dの単位領域164に対し、有色インクKCMYによって1パス目の記録走査が行われた状態を示す。図8(b)は、同図(a)で示した記録走査と幅dの搬送動作が行われた後、単位領域164に対し有色インクによる2パス目の記録走査が、これに隣接する単位領域165に1パス目の記録走査が行われた状態を示す。以上のような記録走査を繰り返すことにより、164や165、またこれに続く単位領域に順次記録が行われ、個々の単位領域は記録走査が進むにつれて画像が完成されていく。
図8(c)は、8パス目の記録走査が行われ有色インクによる100%の記録が完成した単位領域164に対し、9パス目の記録が行われた状態を示している。このように各単位領域には、9パス目〜16パス目の記録走査によって透明インクが徐々に記録されて行く。
図9は、本実施形態の有色インクの吐出口列4Y〜4Kに適用するマスクパターンを示す図である。本実施形態では8パスのマルチパス記録を行うので、1280個の吐出口を有する1つの吐出口列は、160個ずつの吐出口を含む領域1〜領域8に分割される。ここでは、各領域に対し主走査方向16画素×副走査方向4画素のマスクパターン73a〜73hが宛がわれており、これら8つのマスクパターン73a〜73hは、互いに補完の関係を有している。また、各マスクパターンの記録許容率(16画素×4画素に含まれる記録許容画素の割合)は均等に12.5%になっている。すなわち、本実施形態によれば、12.5%ずつの8回の記録走査によって、単位領域に対する有色インクの記録が完成(100%)される。
一方、図10は、本実施形態の透明インクの吐出口列4CLに適用するマスクパターンを示す図である。透明インクについても、吐出口列4CLは160個ずつの吐出口を含む領域1〜領域8に分割され、それぞれについてマスクパターン90a〜90hが宛がわれている。透明インクのマスクパターンは、全てを足し合わせても50%の記録率になっており、補完はされない。これは、本実施形態の記録装置では、上述したように25%程度の記録密度で透明インクの一様な層は形成され、十分な光沢や保護を得るためであっても、50%程度の記録率で十分であるからである。
透明インクについては、各領域の記録許容率は一律ではなく、90a〜90fは6.25%、90gは0%、90hは12.5%になっている。但し、透明インクについては、特に透明インク用の画像データが存在するわけではなく、全ての画素に1ドットずつの記録を行う。従って、黒で示した記録許容画素の全てに対し、すなわち画像の全領域に対し50%の記録率で、透明インクが記録される。
以上説明したマスクパターンを使って8パスのマルチパス記録を行った場合、単位領域には1〜8パス目では12.5%の割合で有色インクが記録され、9〜14パス目では6.25%の割合で透明インクが記録される。その後、15パス目ではいずれのインクも記録されず、16パス目で12.5%の透明インクが記録される。その結果、本実施形態の場合は、9〜14パス目での記録が透明インクの第1の付与工程となり、透明インクの記録を行わない15パス目を挟んだ16パス目の記録が第2の付与工程となる。
図11(a)〜(h)は、上述したマスクパターンを用いたマルチパス記録によって記録媒体171の単位領域にインクが付与されて行く様子を説明するための断面図である。図11(a)および(b)は、1〜8パス目によって徐々に有色インクが記録される状態を示している。12.5%ずつの記録が行われた結果、図11(c)のように、記録媒体171には有色インクの層173が形成される。
図11(d)および(e)は、9〜14パス目によって徐々に透明インクが記録される第1の付与工程を示している。連続的に記録された透明インクは、互いに接触すると連結し、図11(f)のように、有色インクの層173の上で透明インクの層175を形成する。そして、このように形成された透明インクの層175は、透明インクの記録が行われない15パス目の間にほぼ定着する。
図11(g)は、16パス目によって透明インクが記録される第2の付与工程を示している。最後に記録される12.5%の透明インクは、隣接するインク滴同士が互いに接触することがないような配置になっており、図11(h)のように、既に定着している透明インク層175の上でインクの凸部174を形成して定着する。
図12(a)〜(e)は、上記記録状態を上面から説明するための模式図である。図12(a)は、単位領域に対し透明インクの液滴が記録される画素位置の順番を示している。すなわち、透明インクの1パス目(9パス目)で記録が行われる画素には「1」が、2パス目(10パス目)で記録が行われる画素には「2」が・・・8パス目(16パス目)で記録が行われる画素には「8」が、それぞれ示されている。
図12(b)は、1〜8パスによって有色インクの記録が完了し、有色インクの層173が形成されている状態を示している。図12(c)は、同図(b)のように形成された有色インクの層173の上に、第1の付与工程によって徐々に透明インクが記録されていく途中の様子を示している。図10にも示したように、本実施形態で透明インク用に用いるマスクパターンは記録許容画素が離散して配置されている。しかし、連続した記録走査によって隣接する位置に透明インクが記録されると、複数の透明インク滴同士は互いに連結し、一様な厚みの透明インクの層175を形成する(図12(d))。そして、このように形成された透明インクの層175は、透明インクの記録が行われない15パス目の間にほぼ定着する。
図12(e)は、第2の付与工程によって12.5%の透明インクが記録された様子を示している。図10からの判るように、領域8に宛がわれているマスクパターンの記録許容画素の配置は離散的であるので、隣接するインク滴同士が互いに接触することがなく、既に定着している透明インクの層175の上でインクの凸部174を形成して定着する。
以上では、有色インクの層173の上に透明インクが記録される場合について説明したが、画像データは全ての領域に存在するわけではなく、有色インクは全領域で層を形成するわけではない。記録媒体上には有色インクが記録されない白紙領域や、僅かな有色インクしか記録されない低階調領域も存在する。
図13(a)〜(e)は、上述したマスクパターンを用いたマルチパス記録によって記録媒体の画像データが存在しない単位領域に、インクが付与されて行く様子を説明するための断面図である。画像データが存在しない領域では、図8で示した有色インク用のマスクパターンと画像データとの間で論理積をとっても記録データは生成されないので、当該領域に対する1〜8パス目において有色インクの記録は行われない。但し、このような領域に対しても9〜16パス目における透明インクの記録は行われる。
図13(a)および(b)は、9〜14パス目によって、白紙の記録媒体181に徐々に透明インクが記録される第1の付与工程を示している。この第1の付与工程によって、図13(c)のように透明インクの層182が形成され、これは透明インクの記録が行われない15パス目の間にほぼ定着する。
図13(d)は、16パス目によって透明インクが記録される第2の付与工程を示している。最後に記録される12.5%の透明インクは、隣接するインク滴同士が互いに接触することがないような配置になっており、図13(e)のように、既に定着している透明インク層182の上でインクの凸部183を形成して定着する。
一方、図18は、低階調領域における第1の付与工程後の記録状態を説明するための断面図である。低階調領域では、有色インクが離散的にしか記録されないので図11に示すような有色インク層173は形成せず、インクによる凸部222が所々存在する上に、透明インクが記録される。このような記録状態であっても、本実施形態の透明インクは表面張力が低いため記録媒体に広がりやすく、均等な厚みの透明インク層223を形成する。よって、第2の付与工程で記録される透明インクは、図11や図13に示したように、均一な透明インク層223の上でインクの凸部を形成して定着する。
図15は、干渉色を抑えるために背景技術の項で上げた(1)〜(3)の方法を採用した場合と、本実施形態の方法でオーバーコートを行った場合とで、光沢性、耐擦性、透明インクの消費量、および干渉色の目立ち具合を比較した結果を示す図である。(1)のように透明インク層を極薄くすると、透明インクによる干渉色や透明インクの消費量は抑えられるが、透明インク層を付与することの本来の目的、すなわち画像表面において十分な光沢性や耐擦性が得られなくなる。(2)のように透明インク層を厚くすると、透明インクを付与する本来の効果である光沢性と耐擦性は向上するが、透明インクによる干渉色が目立ち、透明インクの消費量が増大する。(3)のように記録率分布を偏らせることによって、即ち図14や図16で説明した方法によって、透明インクの厚みが厚い部分と薄い部分を形成した場合、(2)よりも干渉色は目立ち難くなり透明インクの消費量も抑えられるが、十分ではない。これに対し、本実施形態の方法を採用すると、透明インクを付与することの本来の効果すなわち画像表面において十分な光沢性や耐擦性を実現しながらも、透明インクの消費や干渉色を十分に抑えることが出来る。
以上説明したように本実施形態によれば、マルチパス記録における記録ヘッドの1つの領域を非記録領域(領域7)とすることにより、透明インクのオーバーコートを第1の付与工程と第2の付与工程に分けることが可能となる。これにより、有色インクを記録した画像領域も有色インクを記録しない白紙領域も、反射光に様々な波長(色)の光を同じように含ませることが出来、観察した際に特定の干渉色が視認されない記録物を出力することが可能となる。
(第2の実施形態)
本実施形態においても、第1の実施形態と同様、図2および図3で示した記録装置を用いる。但し本実施形態では、透明インクの吐出口列は他の有色インクに対し副走査方向にずれておらず、主走査方向に並列している。
図17は、本実施形態で使用する記録ヘッド241の構成を吐出口側から観察した状態を示す模式図である。記録ヘッド241には、第1の実施形態と同様、1インチ当たり1200個の密度で副走査方向に1280個配列する吐出口によって1色分の吐出口列が形成され、この吐出口列がインク色に対応した分だけ主走査方向に複数並列している。本実施形態では、ブラックインクK、シアンインクC、マゼンタインクM、イエローインクY、および透明インクCLの各吐出口列が、互いに副走査方向にずれることなく、図の順番で主走査方向に並列している。本実施形態の記録装置は、このような記録ヘッド241を用いて8パスのマルチパス記録を行う。
本実施形態では、透明インクの第1の付与工程と第2の付与工程を成立させるため、有色インクの吐出口列において記録に使用する領域を限定する。具体的には、領域242に含まれる吐出口のみ用いて記録を行い、これ以外の領域に含まれる吐出口では記録を行わない。このような記録は、再度図9を参照するに、領域1〜領域6で約16.7%、領域7および8で0%の記録許容率を有するマスクパターンを使用することにより実現できる。一方、透明インクについては、領域243および領域244に含まれる吐出口では記録を行い、領域245に含まれる吐出口では記録を行わない。このような記録は、図10で示したマスクパターンを使用することによって実現される。
本実施形態の場合、第1の付与工程における透明インクは、有色インクと同じ記録走査で記録される。すなわち、透明インクの第1の付与工程は有色インクの記録工程の最中に行われる。よって、マルチパス記録では、有色インクが記録された上に透明インクは記録される部分や、透明インクが記録された上に有色インクが記録される部分が記録媒体上で混在する。しかし、表面張力の低い透明インク滴は互いに連結して層を形成するのに十分な量が記録されているので、第1の付与工程では第1の実施形態と同様に表面が滑らかな透明インク層を形成することが出来る。そして、このように形成された透明インク層が定着した後に、第2の付与工程によって透明インクの凸部を形成することにより、観察した際に特定の干渉色が視認されない記録物を出力することが可能となる。
(第3の実施形態)
本実施形態においても、第1の実施形態と同様、図2および図3で示した記録装置を用いる。また、記録ヘッドについては、第2の実施形態と同様の記録ヘッドを用いる。但し、本実施形態では、有色インクの吐出口列に非記録領域を設けることなく全領域で記録を行う。
図19は、本実施形態で使用する記録ヘッド251の構成を吐出口側から観察した模式図である。各色の吐出口列の配列状態は第2の実施形態で説明した図17と同様である。但し、本実施形態では、有色インクについては、領域252に含まれる全ての吐出口を用いて記録を行う。
本実施形態では、透明インクの第1の付与工程と第2の付与工程を成立させるため、有色インクのマルチパス記録を完成させた後、記録媒体をフィードバックしてから透明インクの付与工程を実行する。
図20は、本実施形態のシステムコントローラ301が実行する記録工程を説明するためのフローチャートである。ホストコンピュータ306から記録コマンドが入力されると、システムコントローラ301は、まず、ステップS230にて、給紙トレイ15に積載されている記録媒体の1枚を装置内部に給紙する。次に、ステップS231にて有色インクの全吐出口領域252を用いて、入力された画像データに従った8パスのマルチパス記録を行う。このとき、透明インクの記録は行わない。
画像データに従った記録が完了すると、システムコントローラ301は、搬送モータを逆方向に回転し記録媒体をフィードバックする。そして、ステップS233にて、透明インクによる8パスのマルチパス記録を行う。透明インクの吐出口列は図10で示したマスクパターンを用いているので、領域253(領域1〜6)によって第1の付与工程が行われ、領域255(領域7)では定着のための非記録走査が行われ、領域254(領域8)によって第2の付与工程が行われる。このような透明インクの付与工程が終了するとステップS234に進み、記録媒体を装置外へと排紙する。以上で本処理が終了する。以上説明した本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の層構造を有する記録物が得られる。すなわち、有色インクを記録した画像領域も有色インクを記録しない白紙領域も、反射光に様々な波長(色)の光を同じように含ませることが出来、観察した際に特定の干渉色が視認されない記録物を出力することが可能となる。
(その他の実施形態)
以上説明した実施形態では、8パスのマルチパス記録における7パス目(領域7)だけ、すなわち1回分の走査を透明インクを記録しない走査(領域)としたが、本発明はこれに限定されるものではない。定着のために更に多くの時間が必要であれば、この時間に相当する連続する2パス以上のN回分(Nは1以上の整数)の走査を、透明インクを記録しない走査としてもよい。また、第2の付与工程のための記録走査も1回分に限定されるものではない。例えば再度図10を参照するに、領域5および6の記録許容率を0%とし領域7および8の記録率を0%としなければ、領域1〜領域4までの記録を第1の付与工程、領域7および8による記録を第2の付与工程とすることが出来る。
更に、以上の実施形態では記録ヘッドの走査と記録媒体の搬送動作とを交互に繰り返すことにより画像を形成するシリアル型のインクジェット記録装置を例に説明してきたが、本発明はこの形態に限定されるものではない。本発明は、記録物をオーバーコートするための透明インクを、透明インク層を形成するための第1の付与工程と、形成された透明インク層の上に凸部を形成するための第2の付与工程に分けて記録することに特徴がある。よって、記録媒体の幅に相当する吐出口列を有する固定された記録ヘッドに対し、記録媒体を所定の速度で搬送する形態のいわゆるフルマルチ型の記録装置でも、本発明を有効に機能させることは出来る。フルマルチ型の記録装置の場合は、例えば透明インクの吐出口列によって第1の付与工程を行った後に、記録媒体のフィードバックを行い、改めて第2の付与工程を実行するようにすればよい。
さらに、上記実施形態では、透明インクの記録率を50%とするマスクパターンを用いたが、本発明はこれに限定されるものでもない。透明インクは、十分な厚みを有する層が形成される分だけ記録されれば良く、必要以上に多量の透明インクを消費する必要はない。従って、透明インクの記録率は、個々の吐出口から吐出される液滴の量(吐出量)、記録装置の記録解像度、あるいは記録媒体の種類等に応じて適切な値に調整されればよく、50%以上であっても以下であっても構わない。
171 記録媒体
173 有色インクの層
174 凸部
175 透明インクの層

Claims (13)

  1. 画像データに従って画像を記録するための有色インクと、画像が記録された記録媒体をオーバーコートするための透明インクを用いて、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記有色インクを用いて記録媒体の単位領域に画像を記録する記録工程と、
    前記記録工程の最中あるいは前記記録工程が終了した後に、前記単位領域に前記透明インクを記録する第1の付与工程と、
    前記第1の付与工程が完了した後に該第1の付与工程で付与された前記透明インクが定着するための時間をおいて、前記単位領域に前記透明インクを記録する第2の付与工程と
    を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記第1の付与工程では記録された前記透明インクが記録媒体上に透明インクの層を形成する程度の記録率で記録され、前記第2の付与工程では、前記透明インクの層の上に凸部を形成する程度であって前記第1の付与工程よりも低い記録率で、前記透明インクが記録されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記有色インクを吐出する吐出口列と前記透明インクを吐出する吐出口列が記録媒体に対して移動する走査と、該走査と異なる方向に記録媒体を搬送する搬送動作とを、交互に行うことによって、前記単位領域の画像を複数回の前記走査により完成させるインクジェット記録方法であって、
    前記第2の付与工程は、前記第1の付与工程が完了した前記単位領域に対し、前記透明インクの記録を伴わないN回分(Nは1以上の整数)の走査を行った後に、前記透明インクの記録を伴う走査を行うことによって前記透明インクを記録することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記第1の付与工程は、前記記録工程が終了した前記単位領域に対し、前記搬送の方向の下流に位置する前記透明インクの吐出口列によって行われることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記第1の付与工程は、前記記録工程と同じ走査で行われることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記第1の付与工程は、前記記録工程が終了した前記単位領域に対し、前記記録媒体のフィードバックを行った後に行われることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記有色インクは顔料を含有するインクであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  8. 画像データに従って画像を記録するための有色インクと、画像が記録された記録媒体をオーバーコートするための透明インクを用いて、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、
    前記有色インクを用いて記録媒体の単位領域に画像を記録する記録手段と、
    前記記録手段による前記有色インクの記録の最中あるいは前記有色インクの記録が終了した後に、前記単位領域に前記透明インクを記録する第1の付与手段と、
    前記第1の付与手段による前記透明インクの記録が終了した後に、前記第1の付与手段で付与された前記透明インクが定着するための時間をおいて、前記単位領域に前記透明インクを記録する第2の付与手段と
    を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  9. 前記第1の付与手段は、記録媒体上に前記透明インクの層を形成する程度の記録率で前記透明インクを記録し、前記第2の付与手段は、前記透明インクの層の上に凸部を形成する程度の前記第1の付与手段よりも低い記録率で、前記透明インクを記録することを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記有色インクを吐出する吐出口列と前記透明インクを吐出する吐出口列が記録媒体に対して移動する走査と、該走査と異なる方向に記録媒体を搬送する搬送動作とを、交互に行うことによって、前記単位領域の画像を複数回の前記走査により完成させるインクジェット記録装置であって、
    前記第2の付与手段は、前記第1の付与手段による前記透明インクの記録が終了した前記単位領域に対し、前記透明インクの記録を伴わないN回分(Nは1以上の整数)の走査を行った後に、前記透明インクの記録を伴う走査を行うことによって前記透明インクを記録することを特徴とする請求項8または9に記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記第1の付与手段は、前記搬送の方向の下流に位置する前記透明インクの吐出口列を用い、前記記録手段による前記有色インクの記録が完了した前記単位領域に対して前記透明インクを記録することを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記第1の付与手段は、前記記録手段による前記有色の記録と同じ走査で前記透明インクの記録を行うことを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置。
  13. 前記第1の付与手段は、前記記録手段による前記有色インクの記録が終了した前記単位領域に対し、前記記録媒体のフィードバックを行った後に、前記透明インクの記録を行うことを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置。
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