JP2011161327A - パターン状ポリイミド膜の形成方法、電子部品、電子部品の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】反応性の有機基を有するシランカップリング剤(A)、パーフルオロアルキル基あるいはポリシロキサン基から選ばれる基を少なくとも1つ有するシランカップリング剤(B)及びカチオン性有機基を有するシランカップリング剤(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する表面処理剤を用いて、基板上に前記表面処理膜を形成する工程、その後に、アミド酸誘導体及びそのイミド化物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有するインクジェットインクを前記表面処理膜上にインクジェット塗布方法によりパターン状に形成する工程、を有する、パターン状ポリイミド膜の形成方法。
【選択図】なし
Description
例えば、無機材料と、塗料用、接着剤用、成形用などのエポキシ樹脂との耐水接着性向上、ミクロボイドの抑制のための濡れ性向上を目的としたプライマー溶液が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。該プライマー溶液は、有効成分として一分子中に少なくとも2個のエポキシ官能基を持つエポキシ化合物と、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等の該エポキシ化合物の持つ該エポキシ官能基と反応しうる官能基を有するシリコン化合物との反応生成物を含有することを特徴とする。
しかしながら、該プライマー溶液で処理する技術は、ガラス板とエポキシ樹脂との接着性を改良させることに関しており、後述するインクジェット法のパターニングの精度を向上させるためのプライマー処理に関するものではなく、にじまない、濡れ広がらないといった効果は何ら記述されていない。
例えば、シランカップリング剤またはチタンカップリング剤にて、透明導電膜を表面処理した後、透明導電膜上の遮光層に重複する領域に部分的にインクジェット方式により硬化型樹脂組成物からなる液晶表示素子用スペーサーを付与する技術が検討されている(例えば、特許文献2参照。)。具体的には、シランカップリング剤として、3−アミノプロピルトリエトキシシランのエタノール溶液が用いられている。また、硬化型樹脂組成物として、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸、ジアセトンアクリルアミド、ベンゾイルパーオキシドまたは2−ブタノンを90℃で5時間溶液重合し、さらに2−ブタノンを加えて固形分が18重量%となるように希釈した溶液が用いられている。
式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の有機基であり、R3は、メチルあるいはOR3’(ここで、R3’は、炭素数1〜10の有機基である。)であり、R4は、ビニル、エポキシ、メタクリル、アクリル、アミノ、ウレイド、メルカプト、イソシアネート及びケチミンからなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する炭素数1〜20の有機基であり、R5は、炭素数1〜20の有機基であり、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の有機基であり、R9、R10及びR11は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の有機基であり、Rfは、フッ素数3〜41のパーフルオロアルキル基を含む炭素数1〜20の有機基であり、nは1〜1000の整数であり、A−は、−1〜−4のいずれかの価数を有し、単原子イオン、多原子イオン及び錯イオンからなる群から選ばれる少なくとも1つのアニオンである。
[2] 表面処理剤が、さらに溶媒(D)を含むことを特徴とする[1]に記載のパターン状ポリイミド膜の形成方法。
[3] 表面処理剤が、シランカップリング剤(A)、シランカップリング剤(B)及びシランカップリング剤(C)の全重量に対して、シランカップリング剤(A)の割合が0重量%〜90重量%であることを特徴とする[1]または[2]に記載のパターン状ポリイミド膜の形成方法。
[4] 表面処理剤が、シランカップリング剤(A)、シランカップリング剤(B)及びシランカップリング剤(C)の全重量に対して、シランカップリング剤(A)の割合が20重量%〜90重量%であることを特徴とする[3]に記載のパターン状ポリイミド膜の形成方法。
[5] シランカップリング剤(A)が、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランまたは3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のパターン状ポリイミド膜の形成方法。
[6]シランカップリング剤(B)が、ヘプタデカフルオロ−1−1−2−2−ヒドロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1−1−2−2−ヒドロデシルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−1−1−2−2−ヒドロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ−1−1−2−2−ヒドロオクチルトリエトキシシラン、パーフルオロドデシル−1H−1H−2H−2H−トリエトキシシラン、パーフルオロデトラデシル−1H−1H−2H−2H−トリエトキシシランまたは3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシランであることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のパターン状ポリイミド膜の形成方法。
[7] シランカップリング剤(C)が、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリ−n−ブチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルデシル−N,N,N−トリ−n−ブチルアンモニウムブロマイドまたはN−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライドであることを特徴とする[3]〜[6]のいずれかに記載のパターン状ポリイミド膜の形成方法。
[8] アミド酸誘導体が、式(6)で表される構成単位を有し、式(6−1)及び下記式(6−2)で表される分子末端基の群から選ばれる1以上の分子末端基を有する化合物、及び式(7)〜(10)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載のパターン状ポリイミド膜の形成方法。
式中、Xは、炭素数1〜100の4価の有機基であり、Yは、炭素数1〜100の2価の有機基であり、X’は、炭素数1〜100の2価の有機基であり、Y’は、炭素数1〜100の1価の有機基であり、Zは、炭素数1〜100の1価の有機基である。
[9] アミド酸誘導体が、式(6)で表される構成単位を有し、式(6−1)及び下記式(6−2)で表される分子末端基の群から選ばれる1以上の分子末端基を有する化合物、及び式(7)〜(10)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[8]に記載のパターン状ポリイミド膜の形成方法。
式中、Xは、炭素数1〜100の4価の有機基であり、Yは、炭素数1〜100の2価の有機基であり、X’は、不飽和結合を有する炭素数2〜100の2価の有機基、または式(a)で表される2価の有機基であり、Y’は、不飽和結合を有する炭素数2〜100の1価の有機基、または式(b)で表される1価の有機基であり、Zは、炭素数1〜100の1価の有機基である。
式中、Rは、水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、R’は、炭素数1〜20の3価の有機基であり、R”は、炭素数1〜20の2価の有機基である。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の形成方法により得られたパターン状ポリイミド膜を有する電子部品。
[11] [1]〜[9]のいずれかに記載の形成方法により得られたパターン状ポリイミド膜を形成する工程を有する電子部品の製造方法。
また、本発明のパターン状ポリイミド膜の形成方法によると、インクジェット塗布により必要な部分のみにポリイミド膜を描画することが可能となるため、インクジェットインクの使用量を圧倒的に少なくすることができる。さらにフォトマスクを使用する必要がないので、多品種・大量生産が可能であり、また、製造に要する工程数を少なくすることができる。
本発明のパターン状ポリイミド膜は、例えば、密着性、耐熱性、電気絶縁性が高いため、本発明のパターン状ポリイミド膜を有する電子部品は、信頼性が高く、歩留まりを低減させることができる。
式(1)で表わされる反応性の有機基を有するシランカップリング剤(A)は、基板に、微細なパターン状ポリイミド膜を形成するのに十分なパターニングの精度を向上させる機能を有する。
反応性の有機基有するシランカップリング剤(A)としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、4−アミノフェニルトリメトキシシラン、N, N’−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンなどが挙げられる。
式(2)、式(3)及び式(4)で表わされるパーフルオロアルキル基あるいはポリシロキサン基から選ばれる基を1つ以上有するシランカップリング剤(B)は、基板に、微細なパターン状ポリイミド膜を形成するのに十分なパターニングの精度を向上させる機能だけでなく、撥インク性を付与する機能を有する。
式(5)で表わされるカチオン性有機基を有するシランカップリング剤(C)は、基板に、微細なパターン状ポリイミド膜を形成するのに十分なパターニングの精度を向上させる機能だけでなく、撥インク性を付与する機能を有する。
本発明の表面処理剤に含有される溶剤(D)は基板から均一に蒸発し、ムラのない表面処理を行う機能を有する。
表面処理剤は、反応性の有機基を有するシランカップリング剤(A)、パーフルオロアルキル基あるいはポリシロキサン基から選ばれる基を少なくとも1つ有するシランカップリング剤(B)及びカチオン性有機基を有するシランカップリング剤(C)とを混合し、作製することができる。前記表面処理剤に、溶剤(D)を含有させてもよく、この場合、溶剤(D)に水が含まれていると反応性の有機基を有するシランカップリング剤(A)、パーフルオロアルキル基あるいはポリシロキサン基から選ばれる基を少なくとも1つ有するシランカップリング剤(B)及びカチオン性有機基を有するシランカップリング剤(C)が加水分解し、一部縮合生成物を作り、基板への密着力が高まるので好ましい。
本発明の基板のパターニングの精度を向上させるための表面処理剤には、塗布均一性、表面処理膜の基板との密着性を向上させるために、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、フッ素系またはシリコン系の界面活性剤、アミン・ジアミン等の密着性向上剤などを挙げることができる。
本発明の表面処理剤は、−30℃〜30℃の温度範囲で遮光して保存すると、経時安定性が良好であり好ましい。保存する温度範囲が−10℃〜20℃であれば析出物が生じることもなくより好ましい。
本発明の表面処理剤による表面処理膜は、インクジェット分野において通常行なわれている方法や、その他の公知の方法により、ガラス等の基板上に表面処理剤を塗布することによって形成することができる。
本発明に適用可能な基板としては、例えば、FR−1、FR−3、FR−4、CEM−3、又はE668等の各種規格に適合する、ガラスエポキシ基板、ガラスコンポジット基板、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、グリーンエポキシ基板及びBTレジン基板が挙げられる。
また、本発明に適用可能な他の基板としては、例えば、銅、黄銅、リン青銅、ベリリウム銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、スズ、クロム、又はステンレス等の金属からなる基板(それらの金属を表面に有する基板であってもよい);酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ジルコニウムのケイ酸塩(ジルコン)、酸化マグネシウム(マグネシア)、チタン酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛(PT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、硫化カドニウム、硫化モリブデン、酸化ベリリウム(ベリリア)、酸化ケイ素(シリカ)、炭化ケイ素(シリコンカーバイト)、窒化ケイ素(シリコンナイトライド)、窒化ホウ素(ボロンナイトライド)、酸化亜鉛、ムライト、フェライト、ステアタイト、ホルステライト、スピネル、又はスポジュメン等のセラミックスからなる基板(それらのセラミックスを表面に有する基板であってもよい);PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、PCT(ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、テフロン(登録商標)、熱可塑性エラストマー、又は液晶ポリマー等の樹脂からなる基板(それらの樹脂を表面に有する基板であってもよい);シリコン、ゲルマニウム、又はガリウム砒素等の半導体基板;ガラス基板;酸化スズ、酸化亜鉛、ITO、又はATO等の電極材料が表面に形成された基板;αGEL(アルファゲル)、βGEL(ベータゲル)、θGEL(シータゲル)、又はγGEL(ガンマゲル)(以上、株式会社タイカの登録商標)等のゲルシートが挙げられる。
上記の基板上に表面処理剤を塗布し、メッキやインクジェット印刷法で配線形成し、さらにインクジェット印刷法などにて絶縁膜を形成した後に、さらにそれらの表面に表面処理剤を塗布して、均一な表面を作製してから、さらに配線や絶縁膜を形成するという重ね塗りを行うこともできる。
本発明の表面処理剤の塗布前後に基板の処理を行ってもよい。特に、複数の素材からなる基板は、素材が異なるとぬれ性も異なることが多いため、表面処理剤を塗る前に基板の処理を行うと均一に表面処理剤を塗布できる。この方法としては、例えば、プラズマ処理、コロナ処理、アッシング処理、ケミカルエッチングなどが挙げられる。
本発明の表面処理剤の塗布後に塗布するインクは、アミド酸誘導体及びそのイミド化物から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有するインクジェットインクであれば特に限定はされない。本発明のインクジェットインク中のアミド酸誘導体及び/またはそのイミド化物の濃度は、合計で、30〜80重量%であることが好ましく、30〜70重量%であることがさらに好ましい。
アミド酸誘導体及び/またはそのイミド化物の濃度が高いほど、本発明のインクから得られるポリイミド膜の膜厚が厚くなるため好ましい。しかし、その一方で粘度も高くなる傾向にあるため、場合によってはインクジェット印刷機でインクが吐出できなくなるという問題が生じる。特に上記の濃度範囲であれば、膜厚の大きなポリイミドの膜を形成可能で、問題なく吐出できるインクジェットインクが得られる。なお、本発明で用いられるインクジェットインクは、無色、有色のどちらであってもよい。
アミド酸誘導体としては、例えば、式(6)で表される構成単位を有し、式(6−1)及び下記式(6−2)で表される分子末端基の群から選ばれる1以上の分子末端基を有する化合物、及び式(7)〜(10)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
アミド酸誘導体のイミド化物としては、例えば、前記アミド酸誘導体のイミド化物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
式中、Xは、炭素数1〜100の4価の有機基であり、Yは、炭素数1〜100の2価の有機基であり、X’は、炭素数1〜100の2価の有機基であり、好ましくは、不飽和結合を有する炭素数2〜100の2価の有機基、または式(a)で表される2価の有機基であり、Y’は、炭素数1〜100の1価の有機基であり、好ましくは、不飽和結合を有する炭素数2〜100の1価の有機基、または式(b)で表される1価の有機基であり、Zは、炭素数1〜100の1価の有機基である。
式中、Rは、水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、R’は、炭素数1〜20の3価の有機基であり、R”は、炭素数1〜20の2価の有機基である。
本発明のアミド酸誘導体として、ジアミンと酸無水物基を2つ以上有する化合物とを用いて得られるポリアミド酸が挙げられる。
好ましくは、例えば、特開2009−35700号公報に記載されている、下記式(6)で表される構成単位を有し、下記式(6−1)及び下記式(6−2)で表される分子末端基の群から選ばれる1以上の分子末端基を有するポリアミド酸が挙げられるが、これに限定されるものではない。
式中、Xは、炭素数1〜100の4価の有機基であり、Yは、炭素数1〜100の2価の有機基である。X’は、炭素数1〜100の2価の有機基であり、好ましくは、不飽和結合を有する炭素数2〜100の2価の有機基、または式(a)で表される2価の有機基であり、Y’は、炭素数1〜100の1価の有機基であり、好ましくは、不飽和結合を有する炭素数2〜100の1価の有機基、または式(b)で表される1価の有機基である。
式(a)中、Rは、水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、R’は、炭素数1〜20の3価の有機基であり、式(b)中、Rは、水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、R”は、炭素数1〜20の2価の有機基である。
本発明のアミド酸誘導体として、分子内にアミド酸構造を有するシリコン化合物であるシリコンアミド酸が挙げられる。好ましくは、例えば、国際公開WO2008/123190号パンフレットに記載されている、分子内に少なくとも2つのアミド酸構造を有する、下記式(7)で表されるシリコンアミド酸、又は下記式(8)で表されるシリコンアミド酸、あるいは特開2009−144138号公報に記載されている、分子内に1つのアミド酸構造を有する、下記式(10)で表されるシリコンアミド酸が挙げられるが、これに限定されるものではない。
式中、Xは、炭素数1〜100の4価の有機基であり、X’は、炭素数1〜100の2価の有機基であり、不飽和結合を有する炭素数2〜100の2価の有機基、または式(a)で表される2価の有機基であることが好ましく、Yは、炭素数1〜100の2価の有機基であり、Y’は、炭素数1〜100の1価の有機基であり、不飽和結合を有する炭素数2〜100の1価の有機基、または式(b)で表される1価の有機基であることが好ましい。
式(a)中、Rは、水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、R’は、炭素数1〜20の3価の有機基であり、式(b)中、Rは、水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、R”は、炭素数1〜20の2価の有機基である。
本発明のアミド酸誘導体のイミド化物として、下記式(7)で表される化合物のイミド化物が挙げられる。
式中、X’は、炭素数1〜100の2価の有機基であり、不飽和結合を有する炭素数2〜100の2価の有機基、不飽和結合を有する炭素数2〜100の2価の有機基であることが好ましく、Yは、炭素数1〜100の2価の有機基である。
式(14)中、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたはベンジルのいずれかであり、nは1〜2の整数であり、
n=1のとき、R14は、水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のヒドロキシアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−{(CqH2q)Ot(CrH2rO)uCsH2sX}(ここで、q、r、sはそれぞれ独立に選ばれた2〜6の整数、tは0または1の整数及びuは1〜30の整数、Xは水素または水酸基である)で表されるポリオキシアルキレンアルキル、−(R)a−C6H4−R15(ここで、aは0または1の整数、Rは炭素数1〜4のアルキレン、R15は水素もしくは炭素数1〜4のアルキルを表す)で表される基、−C6H4−T−C6H5(ここで、Tは−CH2−、−C(CH3)2−、−CO−、−S−もしくはSO2−である)で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結した1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基であり、
n=2のとき、R14は、−CpH2p−(ここで、pは2〜20の整数)で表されるアルキレン、炭素数5〜8のシクロアルキレン、−{(CqH2qO)t(CrH2rO)uCsH2s}−(ここで、q、r、sはそれぞれ独立に2〜6の整数、tは0または1の整数及びuは1〜30の整数である)で表されるポリオキシアルキレン、炭素数6〜12のアリーレン、−(R15)a−C6H4−R16−(ここで、aは0または1の整数、R15及びR16は、独立に選ばれた炭素数1〜4のアルキレンである)で表される基、−C6H4−T−C6H4−(ここで、Tは−CH2−、−C(CH3)2−、−CO−、−O−、−OC6H4C(CH3)2C6H4O−、−S−、−SO2−)で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結する1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基である。
本発明のインクジェットインクは、溶媒を含んでもよい。前記溶媒は、アミド酸誘導体及び/またはそのイミド化物を溶解することができる溶媒であれば、特に限定されない。
また、単独ではアミド酸誘導体及び/またはそのイミド化物を溶解しない溶媒であっても、他の溶媒と混合することによってアミド酸誘導体及び/またはそのイミド化物を溶解するようになるのであれば、そのような混合溶媒を、上記溶媒として用いることが可能である。
溶媒の具体例としては、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、エチルラクテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル(1−ブトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(1−エトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びγ−ブチロラクトンを挙げることができる。
なお、以上、例示した溶媒の中で、インクジェットヘッドの耐久性の点から、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのアミド系溶媒は、溶媒全重量に対して、20重量%以上含まないことが好ましく、全く含まない、すなわち溶媒が非アミド系の溶媒であることがより好ましい。
溶媒は、1種で使用してもよく、また、2種以上を併用してもよい。
インクジェットインクには、目的とする特性によっては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、エポキシ硬化剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー、顔料、染料などの添加剤を含んでもよい。
a−1:3−アミノプロピルトリエトキシシラン
b−1:ヘプタデカフルオロ−1−1−2−2−ヒドロキシでしるトリメトキシシラン
c−1:N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(50重量%メタノール溶液)
d−1:純水
d−2:エタノール
四つ口フラスコに、反応性の有機基を有するシランカップリング剤(A)として3−アミノプロピルトリエトキシシラン、溶剤(D)として純水とエタノールを下記重量割合で仕込み、25℃で3時間攪拌を行ない、表面処理剤(S1)を得た。
d−1:49.995g
d−2:49.995g
四つ口フラスコに、反応性の有機基を有するシランカップリング剤(A)として3−アミノプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロアルキル基あるいはポリシロキサン基から選ばれる基を少なくとも1つ有するシランカップリング剤(B)として、ヘプタデカフルオロ−1−1−2−2−ヒドロキシデシルトリメトキシシラン、溶剤(D)として純水とエタノールを下記重量割合で仕込み、25℃で3時間攪拌を行い、表面処理剤(S2)を得た。
b−1:0.001g
d−1:49.995g
d−2:49.995g
作製例1と同様にして、下記の成分を下記の重量割合で仕込み、攪拌を行い、表面処理剤(S3)を得た。
d−1:49.995g
d−2:49.995g
<表面処理膜の形成>
実施例1〜3として、作製例1〜3で得られた表面処理剤をカプトン基板上にワイプし、80℃のホットプレート上に5分間静置することで、カプトン基板上に表面処理膜を形成した。比較例1として表面処理膜が形成されていない、カプトン基板そのものを使用した。
1)接触角測定
得られた表面処理膜またはカプトン基板のパターン性は、協和界面化学社製のDropMaster500にて25℃で、純水とジヨードメタンの接触角を測定することにより評価した。着滴1秒後の値を接触角とした。得られた結果を表1に示す。
ここで、接触角(ジヨードメタン)(度)は、25度以上が好ましく、30度以上がより好ましい。また、接触角(純水)(度)は、44度以上が好ましく、45度以上がより好ましい。
チッソ社製インクジェット用インク(PIN−6302−001)を、インクジェット塗布法によって、カプトン基板上に1ドットの間隔でインクを吐出し、ライン状に塗膜を形成した。また、インクジェット塗布は、FUJIFILM Dimatix社製インクジェット塗布装置DMP−2831(型番)を用いた。
インクジェット塗布の条件は次のとおりである。
1ドット幅のドットピッチを20μmに、インクジェットヘッドのヒーターを30℃にし、ピエゾ電圧を20Vに、駆動周波数を10kHzに設定し、常温(25℃)でパターン膜の塗布を行った。
次に、各基板上に形成された塗膜を80℃のホットプレートで5分間乾燥した後、230℃のオーブンで30分間加熱し、ライン幅を測定した。
Claims (11)
- 式(1)で表される反応性の有機基を有するシランカップリング剤(A)、式(2)、(3)または(4)で表されるパーフルオロアルキル基あるいはポリシロキサン基から選ばれる基を少なくとも1つ有するシランカップリング剤(B)及び式(5)で表されるカチオン性有機基を有するシランカップリング剤(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する表面処理剤を用いて、基板上に前記表面処理膜を形成する工程、その後に、アミド酸誘導体またはそのイミド化物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有するインクジェットインクを前記表面処理膜上にインクジェット塗布方法によりパターン状に形成する工程、を有する、パターン状ポリイミド膜の形成方法。
式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の有機基であり、R3は、メチルあるいはOR3’(ここで、R3’は、炭素数1〜10の有機基である。)であり、R4は、ビニル、エポキシ、メタクリル、アクリル、アミノ、ウレイド、メルカプト、イソシアネート及びケチミンからなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する炭素数1〜20の有機基であり、R5は、炭素数1〜20の有機基であり、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の有機基であり、R9、R10及びR11は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の有機基であり、Rfは、フッ素数3〜41のパーフルオロアルキル基を含む炭素数1〜20の有機基であり、nは1〜1000の整数であり、A−は、−1〜−4のいずれかの価数を有し、単原子イオン、多原子イオン及び錯イオンからなる群から選ばれる少なくとも1つのアニオンである。 - 表面処理剤が、さらに溶媒(D)を含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン状ポリイミド膜の形成方法。
- 表面処理剤が、シランカップリング剤(A)、シランカップリング剤(B)及びシランカップリング剤(C)の全重量に対して、シランカップリング剤(A)の割合が0重量%〜90重量%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン状ポリイミド膜の形成方法。
- 表面処理剤が、シランカップリング剤(A)、シランカップリング剤(B)及びシランカップリング剤(C)の全重量に対して、シランカップリング剤(A)の割合が20重量%〜90重量%であることを特徴とする請求項3に記載のパターン状ポリイミド膜の形成方法。
- シランカップリング剤(A)が、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランまたは3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパターン状ポリイミド膜の形成方法。
- シランカップリング剤(B)が、ヘプタデカフルオロ−1−1−2−2−ヒドロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1−1−2−2−ヒドロデシルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−1−1−2−2−ヒドロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ−1−1−2−2−ヒドロオクチルトリエトキシシラン、パーフルオロドデシル−1H−1H−2H−2H−トリエトキシシラン、パーフルオロデトラデシル−1H−1H−2H−2H−トリエトキシシランまたは3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシランであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のパターン状ポリイミド膜の形成方法。
- シランカップリング剤(C)が、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリ−n−ブチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルデシル−N,N,N−トリ−n−ブチルアンモニウムブロマイドまたはN−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライドであることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のパターン状ポリイミド膜の形成方法。
- アミド酸誘導体が、式(6)で表される構成単位を有し、式(6−1)及び下記式(6−2)で表される分子末端基の群から選ばれる1以上の分子末端基を有する化合物、及び式(7)〜(10)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項8に記載のパターン状ポリイミド膜の形成方法。
式中、Xは、炭素数1〜100の4価の有機基であり、Yは、炭素数1〜100の2価の有機基であり、X’は、不飽和結合を有する炭素数2〜100の2価の有機基、または式(a)で表される2価の有機基であり、Y’は、不飽和結合を有する炭素数2〜100の1価の有機基、または式(b)で表される1価の有機基であり、Zは、炭素数1〜100の1価の有機基である。
式中、Rは、水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、R’は、炭素数1〜20の3価の有機基であり、R”は、炭素数1〜20の2価の有機基である。 - 請求項1〜9のいずれかに記載の形成方法により得られたパターン状ポリイミド膜を有する電子部品。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の形成方法により得られたパターン状ポリイミド膜を形成する工程を有する電子部品の製造方法。
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