以下、本発明の実施例を添付図面に従って説明する。
図1から図10は本発明の誘導加熱調理器の一実施例を示している。図1に示されている調理器は、プレート3上に三ヶ所の鍋載置部6a,6b,6cを設けたビルトイン型の誘導加熱調理器である。
尚、本実施例は、キッチンに嵌め込むビルトイン型でなく、キッチンに載置する据置型の加熱調理器であっても差し支えない。
加熱調理器の本体2は、システムキッチン1の上面から落とし込んで設置することで組み込まれる。設置後は加熱調理器2の後述するロースター(グリル)4と操作部パネル5がシステムキッチン1の前面部から操作できるようになっている。
調理を行う際の調理鍋(図示せず)は、本体2の上面に配置された耐熱ガラス等からなるプレート3上に載置される。
図示しない調理鍋は、プレート3に描かれた載置部6に載置されることで調理可能となる。載置部6は、本体2上面のプレート3の上面手前に載置部右6aと載置部左6bが配置され、これら両載置部6aおよび6bの間の奥(中央後部)に載置部中央6cが配置されている。そして、プレート3を挟んで各載置部6の下に調理鍋を加熱するための後述する加熱コイルユニット25がそれぞれ設置されている。
載置部中央6cは位置的に調理者の手の届きにくい場所である。このため、手前の載置部右6a,載置部左6bに調理鍋が置かれた状態で、載置部中央6c部に手を伸ばすと、載置部右6a,載置部左6bに置かれた調理鍋から調理中に発生する蒸気により、載置部中央6cで手を動かす調理は行いにくい。したがって、載置部中央6cで行う調理の種類は調理者があまり手を動かさなくても良い料理、主に煮込みや保温などの調理に適している。また、煮込みや保温は火力も弱くて済み、最大消費電力も限りがあることから、載置部中央6cに設置する加熱コイル13cの火力を、載置部右6a及び載置部左6bに対応して設置されている加熱コイル右13a及び加熱コイル左13bより弱くし、消費電力が小さくなるよう設定されている。
図2において、三ヶ所全ての加熱部(コンロ)が誘導加熱コイルによることを示す表示97である。プレート3のほぼ中央や、加熱コイル右13aと加熱コイル左13bの中心を結ぶ直線上の位置に表示を設けることで、載置部に被調理鍋などを載せて販売店で展示を行ったとしても表示が隠れることが無く、またプレート3のほぼ中央部に配された表示を見て三ヶ所の加熱方式が誘導式であることを容易に視認することができる。
線98は表示97から三ヶ所の載置部へ繋がる線で、表示97の文字「3IH」に含まれる三の意味と三ヶ所の載置部へ繋がる3本の線を引くことで、各載置部の加熱方式が表示97で示されている誘導方式であることが、誰が見ても一目でわかるようになっている。
図1及び図2において、プレート3の周囲端面を保護するためにフレーム14が設けられている。プレート3の手前の上端縁に取り付けられるフレーム前14aと、プレート3の後方上端縁に取り付けられるフレーム後14bと、右側上端縁に取り付けられる14cと、左側上端縁に取り付けられるフレーム左14dから構成されている。本例は4ピースにフレームを分割しているが一体型でも2ピースでも何ピースでも可能であり、また、プレート3の4辺に取り付ける必要も無く、プレート3の手前だけ、後方だけ、前後の2辺だけ、もしくは左右の2辺だけでも良い。
本体2内部には、発熱部材である後述する加熱コイルユニット25や電子部品が設けられており、これらを冷却するために本体2の外部から空気を吸込むための吸気口7が設けられている。この吸気口7は、本体2上面のフレーム後14b上の後述する排気口8の向かって右側に位置する。
吸気口7で吸入した空気は、本体2内部で発熱する後述する加熱コイルユニット25や電子部品を冷却した後に、排気口8から本対外に排出される。また、この排気口8からは、後述するロースター4の廃熱も同時に排出され、この排気口8は本体2上面のフレーム後14b上にロースター4の位置する側に設けられている。
ロースター4は魚やピザ等を焼くためので、本体2前面部の左側もしくは右側に配置されている。本実施例では本体2前面に向かって左に配置されている。また、魚焼き専用ではないので、このロースター4をグリル若しくはオーブンと呼ぶこともある。
図7を用いてロースター4について詳説する。調理庫26は、前面が開口した箱型をしており、内部にシーズヒータ等の発熱体よりなる上発熱体27,下発熱体28が設置されている。この調理庫26の後方上部には排気出口29が設けられている。なお、発熱体として上発熱体27および下発熱体28を設けた実施例としたが、上発熱体27のみであってもよい。ただし、この場合は、調理物30を焼いている途中で裏返す必要がある。
調理庫26の前面開口部を塞ぐロースタードア32には、その表側にハンドル11が取り付けられ、裏側に受皿31が取り付けられている。受皿31は、調理庫26内に前面開口部から出し入れ自在に収納されている。一方、受皿31の中には焼網33が載置され、その上に魚等の調理物30を載せる。
調理庫26内は、調理物30を焼いたときに発生する煙や臭いを浄化する空気浄化用触媒34が設けられている。空気浄化用触媒34は、排気出口29から入った煙や臭いが必ず空気浄化用触媒34を通るように取り付けられている。
排気ファン36を動作させると、受皿31とロースタードア32との間に設けられた空気取入口42を介して調理庫26内に空気が流入する。流入した空気は調理庫26内部で発生した煙や臭いと共に空気浄化用触媒34,排気通路35を介して排気口8から外部に排出される。この空気浄化用触媒34の触媒作用により、調理庫26内で発生した臭いや煙が触媒の能力に応じて低減されつつ、強制的に排気口8から排気される。
空気浄化用触媒34を加熱するための触媒ヒータ37は、調理庫26内で空気浄化用触媒34の近傍に設置されている。これにより空気浄化用触媒34が加熱され、触媒作用が発揮される。
調理庫26内の温度は、調理庫26の前面開口部側の上部と、受皿31の側面下部に設けられたサーミスタ等の温度検知手段38によって検知される。
上部にのみヒータを設けた片面焼きグリルの場合は、受皿31の温度上昇を防ぐため受皿31に水を入れて焼かなければならなかった。本実施例では、両面焼きとしたために、水を入れることができない。そこで、受皿31を冷却するために、受皿31の下部に冷却通路39を設けた。吸引ファン40が回転すると、空気取入口42から流入した空気が受皿31下部を流れて、受皿31を冷却した後、調理庫26の背面裏側を介して、排気口8から排気する。
排気フアン36及び吸引ファン40はフレーム後14bの下部に設けられたモータ41によって駆動される。排気ファン36及び吸引ファン40はモータ41の軸にダイレクトに取り付けられている。モータ41の冷却は、モータ41の他端側の軸に設けられた自冷ファン43により行う。
モータ41及び自冷ファン43は、フレーム後14bの下部であって、本体2の後部に設けた遮熱室44内に配置されている。遮熱室44には、本体2の底面及び側面側に空気流入口45が設けられ、この空気流入口45から空気を取り入れ、上面に設けられた排出孔46から冷却後の空気が流出される。
次に図5を用いて加熱コイルについて説明する。調理鍋(図示せず)を加熱するための加熱コイルユニット25は、加熱コイル13とコイルベース24とフェライト(図示せず)から構成されている。加熱コイルユニット25は、各載置部6のプレート3の下方であって、プレート3と加熱コイル13との間に一定の隙間が開くように設置されている。この隙間は、後述する冷却風が流れるようにするためである。載置部右6aの下方には加熱コイルユニット右25aが、載置部左6bの下方には加熱コイルユニット左25bが、載置部中央6cの下方には加熱コイルユニット中央25cが設けられている。
加熱コイル13の巻線は表皮効果を抑制するためリッツ線を採用している。この加熱コイル13には調理鍋(図示せず)を加熱するために後述するインバータ72から数十kHz、数百Vの電圧が印加される。
コイルベース24は、加熱コイル13を下から固定すると共に、コイルベース24にはフェライト(図示せず)が埋設されている。
自動調理時など鍋の温度検知は、加熱コイル13に埋設された温度検知素子21により行われる。鍋底の温度はプレート3を介して間接的な温度が検出される。なお、図において加熱コイルユニット右25aと加熱コイルユニット25bには温度検知素子21が設置されているが、加熱コイルユニット中央25cにも設置することでこの加熱コイルによる保温や煮込みを温度を管理できるようになる。
次に図6に基づいて、加熱コイルを励磁するインバータ及びその冷却について説明する。図6は加熱調理器本体2の縦断面図であり、中央下部にはインバータを搭載した基板及び発熱素子を冷却する冷却マスである放熱フィンが記載されている。最下部には、左右の加熱コイル13a,13bを駆動するインバータを搭載した左右インバータ基板18が配置され、その上段には、加熱コイル中央13c駆動する中央インバータ基板17が配置されている。一般的に上段は下段の熱を受けやすいが、加熱コイル中央13cは最大入力が他のコイルに比べて低いので発熱量が小さい。このため、加熱コイル中央13cを駆動するインバータ基板17を上段に配した。また、図10に示すように、インバータ基板18には、加熱コイル右13aと加熱コイル左13bを駆動するための電子部品が搭載され、後述するインバータ右72aとインバータ左72bとインバータ制御手段右73aとインバータ制御手段左73bが搭載されている。
図6に戻って、それぞれの基板には、電子部品で発熱した熱を効率よく冷却風と熱交換して電子部品の温度を下げるための放熱フィン22,23が設けられており、放熱フィン23は放熱フィン22より小さくなっている。
前述の如く、各加熱コイルの最大火力は加熱コイル右13a,加熱コイル左13bと比べ加熱コイル中央13cは小さく設定されており、そのために中央インバータ基板17での消費電力は左右インバータ基板18よりも小さい。このため、電子部品の発熱量も左右インバータ基板よりも少なく、冷却に使用する放熱フィンも小さく済む。このため、中央インバータ基板17に小さな放熱フィン23を使用し、左右インバータ基板18には大きな放熱フィン22を使用している。
発熱する各部品は送風ファン20により送られてきた空気によって冷却される。吸気口7から吸込まれた冷却用の外気は、左右インバータ基板18や中央インバータ基板17や制御基板19を納めるための基板ケース15内を通流し、放熱フィン22,23の熱を奪った後、各加熱コイルを冷却して排気口8から外部に排出する。
図5に示された基板ケース15は、ロースター4が設置されている加熱コイルユニットとは反対の加熱コイルユニット25の下方に設置されている。本実施例では加熱コイルユニット右25a下側に設置され、基板ケースに基板を収めることで調理時に加熱コイル13やロースター4からのふく射熱から基板を守り、また基板ケース15には段積みされた基板や加熱コイルユニットや上面表示部に冷却用空気が効率よく行き渡るように冷却用空気が通る風路が形成されている。
前記した基板ケース15内には全ての回路が収まりきらないので、極端に発熱しない回路の一部品,大電流を通電しない部品,加熱調理器のシステム全体を取りまとめる制御回路、及びインバータ回路の制御部を搭載した制御基板19が基板ケース15の上方に設置されている。
次に図9を用いて、加熱コイル13の操作について説明する。加熱コイル13の操作は、プレート3よりも手前のフレーム前14aに設けられた上面操作部9によって行われる。鍋を置く載置部右6a,載置部中央6c,載置部左6bに対応して右から、上面操作部右9a,上面操作部中央9c,上面操作部左9bが配置されている。これは、操作者が直感的に鍋と操作部との関係を理解できるような配置である。
図より明らかなように上面操作部右9aと上面操作部左9bは同じキー配列になっている。これは、加熱コイル中央13cの機能を他の加熱コイルよりも少なくした結果である。
以下、加熱コイル右13aの操作を代表して説明する。48は調理の開始や停止するための切/スタートキーで、調理中はLEDランプ53が点灯する。
調理の火力は火力キー49によって選定する。とろ火,弱火,中火,強火の四段階のキーに分かれ、必要な火力を一回の操作で設定できるように個別にキーが設けられている。各火力の目安は、例えば最大で12段階の火力調整ができた場合、各火力と消費電力の関係は、「1」段階は100W相当、「2」段階は200W相当、「3」段階は300W、「4」段階は400W、「5」段階は500W、「6」段階は800W、「7」段階は1.1kW、「8」段階は1.4kW、「9」段階は1.6kW、「10」段階は2kW、「11」段階は2.5kW、「12」段階は3kWである。各段階の数字は後述する上面表示部10に火力の目安として表示する数字である。また、火力表記と実際の段階表示の関係は、とろ火は「1」、弱火は「2」,「3」,「4」,「5」、中火は「6」,「7」,「8」、強火は「9」,「10」、ハイパワーは「11」,「12」が割り当てられる。火力キー49は四段階の火力の代表的な火力に直接設定でき、とろ火キー49aは「1」、弱火キー49bは「4」、中火キー49cは「7」、強火キー49dは「10」の火力に設定でき、設定したキー部分にあるLEDランプ54が点灯する。
51は主に煮込みや保温などタイマー調理を実施するときに選択するタイマーキーである。52は自動調理の炊飯,揚げもの,湯沸し等を選択するためのメニューキーで、メニューキー52を押すことで後述する上面表示部10にメニューが表示され、メニューキー52を押すたびに表示されているメニューが切り替わり、これによって使用するメニューを選択する。
また、火力の調節やタイマー調理時の時間の設定,炊飯時における米の量の設定,自動調理の仕上がり調整の設定,揚げものをする時の油温の設定を設定キー50により行うことができる。この設定キー50は、設定時の数量などを増やすUPキー50aと減らすDOWNキー50bからなっており、設定キー50部にあるLEDランプ55が点灯時は設定キー50が有効であることを示し、消灯時は無効でることを示している。
例えば、火力の調節を設定キー50で行う場合を説明する。まず中火キー49cを押下して火力を「7」に設定する。その後、設定キー50のUPキー50aを二回押すと、後述する上面表示部10に表示されていた火力を示す数字が「7」から「8」、「8」から「9」へと変更され、強火「9」が設定される。これに伴って、火力キー49部のLEDランプ54も、中火キー49cのLEDランプが消灯して強火キー49dのLEDランプが点灯する。他の設定についても同様で、たとえばタイマーキー51を押した以降の設定キー50の操作は時間設定用となる。なお、上面操作部左9bは上面操作部右9aと同じ操作,配列であるので説明を省略する。
次に上面操作部中央9cについて説明する。載置部中央6cの主な調理は保温や煮込みである。この理由は前述の如くである。従って、加熱コイル中央13cの火力も他の加熱コイルの火力よりも小さく設計されている。このため、火力表記としてはとろ火,弱火,中火までで足り、設定キー62をサイクリック式としても、最大3回押せば元に戻るので、手前2つの加熱コイル25a,25bのように火力毎に対応した火力設定キーを設けていない。これによって、キーの設置スペースを確保することができる。なお、自動調理メニューの内容は、火力が制限されている設計となっていることから煮込み、保温などに限定している。
図2及び図9を参照して、上面操作部9に配置された複数のキーは、フレーム前14aに本体2の幅方向に一列に並んで配置されている。そして、本体2の向かって右から上面操作部右9a,上面操作部中央9c,上面操作部左9bの順で配置されている。しかし、単に横一列に各キーを配列すると、その境が使用者にとって判り難くなってしまう。このため、各上面操作部毎に枠で囲う、色を分けて囲う、キーの色を分けるといった工夫が必要である。本実施例では、上面操作部毎に枠線で囲うと共に、上面操作部右9aと上面操作部中央9cとの間、および上面操作部中央9cと上面操作部左9bの間に、最低キーの幅1.5個分以上の間隔をあけた。これにより操作者は操作キーの分類が分りやすいといった視覚的,触覚的効果がある。
次に前述の操作の結果を反映する表示について説明する。上面操作部9のキー操作に対応した内容は、上面表示部10に表示される。表示する内容は、上面操作部9で設定した火力表示,タイマー調理用の時間表示,揚げもの用の設定油温の表示等々である。この上面表示部10は、本体2の上面に置かれたプレート3の手前側で、かつプレート3の裏側に配置されている。したがって、表示を見るときはプレート3を介してとなるため、プレート3越しに表示内容を見ることができるように上面表示部10の表示部分は加工が施されている。また、設定した火力がイメージで分りやすいように表示部のバックライトの色が設定されている。本実施例では、とろ火と弱火は緑色表示、中火がオレンジ色表示、強火とハイパワーが赤色表示されるようにしている。
上記実施例では、各上面操作部9に対応して、上面表示部右10a,上面表示部中央10c,上面表示部左10bとに分け、各上面表示部の配置はフレーム前14aに沿って直線的に配置したが、視認性を上げるために上面表示部中央10cを上面表示部右10a及び上面表示部左10bより載置部中央6c側に寄せて配置してもよい。
上面操作部9と上面表示部10は、それぞれプレート3上の載置部6毎に設けられており、各載置部6から目線を直線的に手前側に移すと、概ねその直線上に各載置部6に対応した上面操作部9と上面表示部10が存在するように配置され、なおかつ上面表示部10よりも上面操作部9の方が調理者側に位置するように配置されている。
次にロースター4関連の操作部について説明する。図1に示すように、ロースター4の向かって右隣には、ロースター4の加熱具合を操作する後述するロースター操作部12とロースター表示部65を配置した操作パネル5が配置されている。操作パネル5は、本体2の前面に位置しカンガルー式開閉機構となっている。図1は操作パネル5を閉じた状態が示され、図2は操作パネル5を開いた状態が示されている。調理時に操作者が立った状態でロースター操作部12の操作やロースター表示部65の確認ができるようになっている。
図8に基づいて各種キーについて説明する。グリル選択メニューキー66によって魚焼きとグルメ(各種自動調理)を選択する。魚焼きキー66aを押す度に、ロースター表示部65に表示された丸焼き,切身・ひもの,つけ焼き、手動のLEDランプがサイクリックに切り替わり、点灯しているメニューが選択される。同様に、グルメキー66bをサイクリックに押下することによりピザ,ホイル焼き,グラタンのLEDの点灯状態が切り替わり、点灯しているメニューが選択される。
メニューを選択した後、調理の仕上がり(焼き加減)を、設定キー68によって設定することができる。アップキー68a若しくはダウンキー68bを押下するたびに、ロースター表示部65の弱・中・強のLEDランプが点灯することで選択可能となる。そして、タイマーキー69を押下して調理時間を選択することができる。このときも設定キー68によってタイマー時間(加熱終了時間)を選択することができる。各種の設定が済むと、選択したメニューの調理を開始,停止,取消するための切/スタートキー67を押下することによって、調理が開始される。なお、タイマーが設定されている場合であっても、この切/スタートキーを押下することによって、調理を停止することができる。
また、本実施例に係る加熱調理器においては、子供によるいたずらを防止する機能が設けられている。チャイルドロック71を3秒間押し続けることでロックし、再び3秒間押し続けることで解除することができる。
次に制御について図10を用いて簡単に説明する。操作・表示部75は、これまで説明した上面操作部9,ロースター操作部12,上面表示部10、及びロースター表示部65から構成されている。操作・表示部75の操作部で入力されたメニュー,火力情報,調理のスタート・切情報等を後述する制御手段74に入力信号80として送り、制御手段74で認識した情報,調理の進行状況などの処理状況を表示信号79として操作・表示部75に送り、上面表示部10とロースター表示部65で表示される。
制御手段74は、前記操作・表示部75で設定された内容及び事前に組み込まれた自動調理などのプログラムに基づき加熱部を制御する。設定された内容に基づいて調理の開始,停止,火力の設定情報を制御信号78(制御信号85)を経て後述するインバータ制御手段73若しくはヒータ制御手段82に送る。そして、加熱部に設けられた温度を検出する温度検知素子21(温度検知手段38)から温度情報を乗せた制御信号78(制御信号85)を受信することで温度情報を受ける。また、同ブロック図に図示していないが送風ファン20の制御も行い、調理中は送風ファンを動作させる。
インバータ制御手段73は、制御手段74の指示に基づいて加熱コイル13への電力の設定,通電の開始及び停止,加熱コイル13の消費電力を監視し補正する。そして、インバータ72に対してインバータ制御信号76を送出することでインバータ72を制御(後述)する。加熱コイル13の消費電力を監視し補正することについては、後述するインバータ72から検出信号77によって送られてくる各加熱コイル13の入力電流及び入力電圧から消費電力を算出し、火力が設定値になるようにインバータ制御信号76により後述するインバータ72を制御する。
インバータ72は、加熱コイル13に電力を供給するための手段であり、インバータ制御手段73からの指示に基づいて加熱コイル13の電源の供給を行う。インバータ72はインバータ制御手段73同様に各加熱コイル13毎に設けられ、インバータ右72a,インバータ左72b,インバータ手段72cが設けられている。そして、各加熱コイル13の入力電圧及び入力電流を検出して各検出信号77に乗せてインバータ制御手段73に送る。ヒータ制御手段82は、制御手段74からの信号を元に、ロースター4の調理庫26内の温度を監視しながらヒータ81のON/OFFを制御する。調理庫26の温度を温度検知手段38により検出し、検出信号83によってヒータ制御手段82に入力され、制御手段79からの制御信号85による指示により上発熱体27と下発熱体28への通電のON/OFFを制御している。
なお、ヒータ81は、ロースター4の上発熱体27,下発熱体28,調理庫26内の温度情報を検出するための温度検知手段38とを含めた総称としている。
次に制御手段74の働きの1つである消費電力の管理について図11に基づいて説明する。
この図は、消費電力の合計が製品の最大消費電力を超えないように制御手段74が管理するための概略フローである。操作・表示部75から火力の変更要求が指示された時、制御手段74は、変更要求時点の消費電力の合計(Ws)が製品の最大電力(Wmax)を超えているか否かを確認し、最大電力を超えていない場合は、操作・表示部75の火力表示の変更、インバータ制御手段73もしくはヒータ制御手段82に調理のスタート及び火力の変更を指示し、反対に条件が満たされない場合はこの変更の設定を受け付けないことを示したものである。
ステップ91は、現時点での消費電力の合計と操作・表示部75の操作の監視を行い、新たな調理の追加要求や現行の火力変更要求に伴う消費電力の変更後の合計を監視する火力監視工程であり、火力変更要求時点での消費電力の総和(Ws)を求める。
ステップ92は、火力監視工程で求められた火力変更要求時点での消費電力の総和(Ws)と製品の最大消費電力(Wmax)を比較する工程で、比較した結果、最大使用費電力(Wmax)より火力変更要求時の消費電力の合計(Ws)が小さければ後述する火力変更工程93に移行し、それ以外は後述する自動調理確認工程94に移行する。
ステップ93は、火力変更要求を承諾する火力変更工程で、火力変更要求通りに火力を変更する。
ステップ94は、載置部左6bで調理している設定が手動設定による調理なのか、自動メニューを使用した自動調理なのかを確認する自動調理確認工程であり、手動調理の場合は後述する自動火力変更工程95に移行し、自動調理時は火力の変更ができないので、最終判断として火力変更要求の拒否工程96に移行する。
ステップ95は、載置部左6bでの調理が手動による調理なので、火力変更要求時の消費電力の合計(Ws)が製品の最大消費電力(Wmax)に収まるように自動的に載置部左6b側の火力を調整する自動火力変更工程である。このように、火力を自動的に変更させた時は、調理者に変更を知らせるための報知音を鳴らしたり、変更された内容がわかるような表示をする。
ステップ96は、火力の変更要求を認めない拒否工程である。この場合も、受け付けない旨の警告が必要である。
この説明は、載置部左6b側の火力の維持に対する優先度を低く設定した例である。各載置部で必要となる火力の優先度は、使用している組み合わせなどによって自動的に変更される。例えば、載置部右6aと載置部左6bの両方で加熱して、ロースター4もしくは載置部中央6cを調理に使用し始める場合、載置部左6bで自動調理を行っていたとすると、載置部右6a側の優先度が低く設定される。
また、載置部中央6cは自動調理(保温,煮込み),手動に関係なく優先度は低くなる。
本実施例は以上の構成よりなるもので、次にその動作について説明する。
例えば、使用者が初めは強火の火力を使用し、その後は中火で煮込む料理を作ろうとしている状況で説明する。載置部右6aに鍋を置いて、上面操作部右9aの中火の火力キー49cを押すと押したキー信号が入力信号80となって制御手段74に送られ、制御手段74は、火力キー49cが入力されたことを認識し、この内容を表示信号79として操作表示部75に伝達し、表示部である火力キー49cのLEDランプ54を点灯させる。そして、上面表示部右10aに中火の火力であることを示す「7」の数字が点灯し、バックライト色はオレンジ色となり中火に設定されたことを示す。次に上面操作部右9aの切/スタートキー48を押すと同じ伝達経路(以後同じ信号経路の説明は省略する)を経てLEDランプ53が点灯して加熱が開始される。
制御手段74が、調理開始を指示すると、制御信号右78aによってインバータ制御手段右73aに設定された火力が「7」であることを伝送し、これを受けたインバータ制御手段右73aは設定された火力になるようにインバータ右72aの制御を行い加熱コイル右13aの電力制御を行う。インバータ右72aは、入力電圧及び入力電流の検出値を検出信号右77aに乗せてインバータ制御手段右73aに伝達し、インバータ制御手段右73aでは検出値から消費電力を求め、設定された火力が「7」で決められている消費電力になるように加熱コイル右13aの電力制御を行う(以後同じ信号経路の説明は省略する)。
また、制御手段74は、調理のスタートを認識すると送風ファン20をONする。送風ファン20がONすると、送風ファン20は吸気口7から本体2外側の空気を吸込み、送風ファン20から送風される風量は各発熱する部品に分配され、各部品を冷却しながら排出口8から排出される。
送風ファン20から送風される空気は主に基板ケース15内の左右インバータ基板18,中央インバータ基板17,加熱コイルユニット25a,加熱コイルユニット左25b,加熱コイルユニット中央25cに通風される。左右インバータ基板18と中央インバータ基板17を冷却した空気は制御基板19と表面表示部10と上面操作部9と加熱コイルユニット25へと送られ、加熱コイルユニット25では送風ファン20からの直接の空気と基板を通ってきた空気とが一緒になって冷却し、これらの空気は全て排気口8から排出される。送風ファン20はシロッコファン,ターボファンの何れでも良い。
次に火力を中火から強火に変える場合を説明する。上面操作部右9aの強火の火力キー49dを押すと、火力キー49dのLEDランプ54が点灯し、上面表示部10aの強火の火力を示す10の数字が点灯し、かつバックライトの色は赤色になる。
煮込みに移る場合、このまま載置部右6aが長時間煮込み調理に独占されると他の料理を作る効率が大変悪くなる。そこで、煮込みは載置部中央6cで行うこととする。各載置部はプレート3により構成されており、平らになっているので鍋の移動は、大変楽に行うことができる。
移動の前に載置部右6aの火力を上面操作部右9aの切/スタートキー48を押して切設定し、LEDランプ53の消灯と上面表示部右10aの火力数値とバックライトの消灯を確認する。調理を終了させると送風ファン20も停止する(以後同じ動作時については送風ファンの動作説明は省略する)。
火力の停止を確認したら鍋を載置部中央6cに移動し、今度は上面操作部中央9cの設定キー62を使用して上面表示部中央10cを見ながら火力を中火の「7」に設定する。その時バックライトはオレンジ色となる。さらにタイマーキー64を押し、設定キー62でタイマー時間を設定して、切/スタートキー61を押してLEDランプ89の点灯を確認する。点灯確認の後、タイマー時間がゼロになるまで放置する(鍋内部の食材はこの時間まで煮込まれる)。
次に載置部中央6cで料理を煮込んでいる間に自動調理でご飯を炊く場合を説明をする。載置部左6bに鍋(既に研いだお米を浸水させて入れておく)を置いて、上面操作部左9bのメニューキー60で上面表示部左10bの表示を見ながら炊飯を選択し、設定キー58でお米の量(カップ数)を設定する。設定が終わったら切/スタートキー56を押すとLEDランプ86が点灯して炊飯が開始する。お好みにより炊き加減を調節する場合は、設定キー58にあるLEDランプ88が点滅している間にUPキー58aもしくはDOWNキー58bで調節する。その表示は上面表示部中央10cに弱め設定時はL表示、強め設定時はH表示が点灯する。自動調理では鍋の中の食品温度を鍋とプレート3を介して温度検知素子左21bで検出し、検出されたデータは、検出信号左77bからインバータ制御手段左73bを通り、次に制御信号左78bを通って制御手段74に伝送される。そして、制御手段74で食品(鍋)の温度が制御される。また温度データの変化により調理の進行状況を確認している。
炊飯の調理が進行して残時間が確定すると上面表示部中央10cの表示は残時間表示になり1分きざみで減っていく。
次に空いている載置部右6aでさらに追加して調理する場合を説明する。既に炊飯と煮込みを行っているため消費電力の合計は3.6kWとなっている。消費電力の合計は火力設定時(自動調理の設定時)に決定されており、特に自動調理においては調理の進行で使用する予め決められた最大消費電力が基準となる。例えば、炊飯では炊き上げ時の火力が工程内で使用する最大消費電力とすると、その炊き上げ時の火力のハイパワーの2.5kWが基準となる。煮込みでは火力設定が「7」に設定されているので、この時の消費電力は1.1kWとなる。以上が設定時の消費電力でその合計は3.6kWとなり、本体2の最大消費電力を5.8kWとすると残り2.2kWまで使用することが可能となる。
この状態で載置部右6aで設定を強火の「10」(消費電力2kW)にして調理を始め、次に設定をハイパワーの「11」(消費電力2.5kW)に設定変更すると、消費電力の合計が6.1kWになり最大消費電力の5.8kWをオーバーしてしまう。
そこで制御手段74は、消費電力の合計が最大消費電力以内になるように、載置部中央6cの火力「7」を自動的に「6」(消費電力800W)に設定を変更し(変更時ブザーにより報知する)、載置部右6a側の火力がハイパワーの「11」に設定変更が可能となる。
この時、載置部左6b側は自動調理中のため変更は受けつれられない状態であったが、自動調理でも例えば煮込み,保温など火力を少し弱くしても、それほど料理に影響しない場合もあり、メニュー毎に火力の途中変更を可能,不可能としても良い。
また、自動調理の途中で火力が変更になった場合、最大消費電力に余裕が出たら、火力を元の設定に戻しても良い。
さらに、最大消費電力まで細かく計算し調理者の希望に沿う火力を提供することも可能であるが、あらかじめ使用する載置部(ロースター部)と火力の組み合わせを決めて、使用できる載置部と使用可能な火力を事前に表示部に表示して明確にすることで、調理者に事前に使用できる火力の範囲を知らせることも可能である。
次にロースターについて説明する。使用者がロースター4の焼網33上に魚等の調理物30を載せて、ロースター操作部12の魚焼きキー66aを操作して自動調理の丸焼きを選択する。そして、切/スタートキー67を押すと、切/スタートキー67のLEDランプが点灯し、上下発熱体27,28および触媒ヒータ37が通電を開始する。なお、このとき焼網33を載置する受皿31内には水を張らなくともよい。
次に、モータ41が駆動されて、同軸の排気ファン36及び吸引ファン40が回転する。この結果、魚等の調理物30から発生する煙が調理庫26の後方上部に設けた排気出口29から空気浄化用触媒34を通る間に脱煙,脱臭され、排気通路35を通して本体2上面のフレーム後14bの左側に位置する排気口8から外部(室内)に排出される。
一方、前記モータ41の駆動によって吸引ファン40も回転し、調理庫26の前面下部の空気取入口42から冷却通路39内に室内の空気を吸引し、その冷却通路39内を流通させる間に受皿31を冷却し、その後、空気吐出口47を通して排気口8に至り排出される。
また、このとき、モータ41の他端側の軸に設けられた自冷ファン43も一緒に回転し、遮熱室44内に本体2側の底面及び側面に設けた空気流入口45から空気を吸引し、モータ41を冷却した後、上面排出孔46から排出される。
このとき、自冷ファン43によって空気流入口45から吸引される空気は、調理庫26側からの熱が遮熱室44によって遮熱されることにより、モータ41の自己発熱温度である約60〜70℃より低く抑えられ、モータ41の過熱を抑えることができる。
調理庫26と本体2の排気口8を連絡する排気通路35の排気出口29の近傍に空気浄化用触媒34を設け、また、受皿31の下部に冷却通路39を形成し、この冷却通路39の空気取入口42を調理庫26の前面側に設け、空気吐出口47を前記排気口8に連ねるようにし、さらに、排気通路35と冷却通路39に夫々排気ファン36及び吸引ファン40を配置し、それらの排気ファン36及び吸引ファン40を同軸のモータ41に連結するようにしたので、受皿31はその下部の冷却通路39を流通する外気によって十分に冷却され、受皿31に水を張らなくとも油の発煙や引火を防ぐことができ、使用時の手間を省くことができる。
さらに、空気浄化用触媒34による脱臭効果を十分に発揮して本体2外に排気することができ、この結果、調理庫26の隙間、特に、前面のロースタードア32部から本体2外へ煙が漏れるのを防止し、キッチンをクリーンに使用することができる。
ロースターを使用した時の調理可能な載置部と火力は、例えば載置部左6bで自動調理の炊飯をすると消費電力の合計はロースターが1.5kW、炊飯が2.5kW、合計で4kWとなる。ロースターと自動調理は火力の変更ができないので、残り1.8kW使用できる、載置部右6aで使用できる最大の火力は強火の「9」となる。
また、載置部中央6cと載置部右6aで保温や煮込み等、合計四ヶ所を使用することができる。または、ロースター4と載置部中央6cは選択として最大3ヶ所を使用するようにすることもできる。
次に、上記説明した加熱コイル13の制御について詳細を説明する。図12は、図10に示した加熱コイル13,インバータ72,インバータ制御手段73の具体的回路図である。三つの加熱コイル13共に同様であるので、一つを示して説明する。
インバータ72について説明する。交流電源117を整流手段102で直流に変換し、スイッチング素子103,105の直列体で構成するスイッチング部に接続する。スイッチング素子103,105にはそれぞれ逆並列にダイオード104,106が接続され、スイッチング素子103,105の接続点と直流電圧の基準点間に加熱コイル13と共振コンデンサ107で構成する共振回路部が接続される。また、スイッチング素子103,105にはそれぞれスナバコンデンサ108,109が接続されている。
スイッチング素子103,105をそれぞれ排他的に高周波でオンオフすることによって、加熱コイル101と共振コンデンサ107で構成する共振回路部に高周波共振電流を供給し、加熱コイル101近傍に配置した負荷を加熱する。
制御部110は、制御手段74(図10)から負荷に印加する目標となる電力レベル指示を入力し、インバータの出力電力が目標値になるようスイッチング部103,105を制御する。
入力電流変換手段112は交流電源117から入力する電流を検出する検出手段111の出力信号を適切なレベルに変換して制御部110に出力する。
入力電圧検出手段113は交流電源117の電圧を検出し適切なレベルに変換して制御手段110に出力する。
インバータ電流検出手段115は共振回路部に流れる電流を検出する検出手段114の出力信号を適切なレベルに変換して制御部110に出力する。
制御部110はこれらの信号を入力し、負荷に投入される電力であるインバータ電力の計算,負荷の状態,加熱の適否等を判断し、スイッチング素子103,105を排他的にオンオフ制御するための信号を出力し、レベル変換部116によってスイッチング素子103,105に対して適切な駆動レベルに変換し、スイッチング素子103,105を駆動する。また、制御部110はこれらの状態を制御手段74に出力する。
図15は、インバータ72の駆動周波数と負荷に投入されるインバータ電力の関係を示す模式図であり、周波数を可変することでインバータ電力を調節する可変周波数出力制御方式を採用している。インバータ72の負荷は、加熱コイル101と鍋で構成される等価インダクタンスおよび等価抵抗と、共振コンデンサ107の組み合わせとなり、共振周波数f0で電流が流れるときに最大電力Wpeakを投入することができる。この周波数よりも高い周波数でスイッチング素子103,105を駆動すると、投入する電力は低下していく。実際には、等価インダクタンスと等価抵抗は負荷の材質によって変化するため、共振周波数f0よりも高い周波数f1を可変周波数の限度として設定し、その点で所定の負荷に定格電力Wmaxを入力することができるように設定されている。
また、駆動周波数を高く設定していくとインバータ電力は低下していくが、スイッチング素子103,105の遮断電流が低下していくためにスイッチング素子103,105の損失が増加していき、スイッチング素子103,105やスナバコンデンサ108,109の発熱が大きくなってしまう。このため、高い周波数側も所定の周波数(あるいは所定の最低電力Wminのときの周波数)を可変周波数の限度f2とする。その結果、実際のインバータ72の駆動周波数の関係は、f0<f1<f2となる(例えば、f0=18kHz,f1=20kHz,f2=40kHz)。
なお、f2におけるインバータ電力は、インバータ72が電力を連続制御できる最低電力となるが、これよりも低い電力を負荷に投入する場合にはインバータ72の通電のオンオフ制御を併用した方法を採る。また、いずれのコンロも、被加熱対象である鍋は鉄,ステンレスのような磁性体鍋を加熱することができ、アルミニュウム,銅といった被磁性体鍋の使用はできない。
このように、インバータ72a,72bは駆動周波数範囲f1〜f2(20kHz〜40kHz)で加熱コイル13a,13bに供給する電力を制御している。
また、後述する理由により、インバータ72cは、駆動周波数範囲f1〜f2として(60kHz〜90kHz)が選択されており、この周波数範囲で加熱コイル13cを制御している。
ところで、本体2は、システムキッチン1のカウンタートップ(天板)に設けられた開口部から、その中に上方から挿入される。システムキッチン1の天板と本体2の上部とが略同位置一面となるように設置される。このように本体2の外形寸法は、システムキッチン1の規格によって規制されている。このため、図13に示すように、耐熱ガラス板やその周囲を覆う金属製の縁部とを有するトッププレート3は、横幅約60cm,奥行き約40cm程度の寸法からなる横長矩形状のガラス面となっている。このトッププレート3は、本体2の上面開口部を覆い、本体2に固定してある。なお、このトッププレート3は、システムキッチン7との関係で奥行き寸法は変わらないが、横幅が約75cmのものもある。
このような寸法内に、3口とも誘導加熱コイルとすると、ビート音(干渉音)の問題が発生する。複数の誘導加熱コイルを動作させて鍋を加熱調理すると、異なる火力で鍋を加熱している場合、夫々の鍋は夫々の誘導加熱コイルから異なる周波数の交番磁界を受けて振動する。この振動の周波数は可聴周波数よりも高いため問題にならないが、複数の鍋の振動周波数の差が可聴周波数帯域に掛かると、不快なビート音が発生する。
システムキッチンの規格から、図13に示すように、誘導加熱コイル13a,13b(載置部右6aの下に誘導加熱コイル13aが、載置部右6bの下に誘導加熱コイル13bが配置してある)のコイル中心間の距離は約30cmとなっている。また誘導加熱コイル13c(載置部右6cの下に誘導加熱コイル13cが配置)と誘導加熱コイル13aおよび13bとのコイル中心間の距離は約20cmとなっている。
図14に誘導加熱コイル間の距離とビート音との関係を示した。前部左右の誘導加熱コイル間の距離(誘導加熱コイル13aと誘導加熱コイル13bの中心間距離)、本実施例では約30cm、におけるビート音の音圧レベルは、送風ファン20のファンモータ音よりも低いので、ビート音は使用者にとって気にならないレベルとなっている。換言すると、誘導加熱コイル13aと誘導加熱コイル13bの中心間距離を、ビート音の音圧レベルが送風ファン20の音圧レベルより低くなる距離とした。
一方で、誘導加熱コイル13cは、誘導加熱コイル13aと誘導加熱コイル13b間の中央であって、本体2の奥に配置されなければならない関係から、誘導加熱コイル13cと他のコイルとの中心間距離を狭くすることはできない。このため、前部誘導加熱コイルと後部誘導加熱コイル間距離(誘導加熱コイル13cと誘導加熱コイル13aとの間の距離、誘導加熱コイル13cと誘導加熱コイル13bとの間の距離)で発生するビート音は、送風ファン20が発生する音圧レベルよりも高くなってしまう。因みに、現在この送風ファン20の音圧レベルは、約38dBと比較的低い値となっている。
この問題を解決するため、本実施例においては、誘導加熱コイル13cに供給する電力の最低周波数を、誘導加熱コイル13a,13bに供給する電力の最大周波数よりも高くした。
具体的には、誘導加熱コイル13cには、誘導加熱コイル13a,13bに供給される発振周波数である略20kHzから40kHzの高周波電力よりも高い発振周波数である略60kHzから90kHzの高周波電力を供給する。
このように、周波数差の最小値を可聴周波数より略高い周波数である20kHzとしたので、ビート音が使用者にとって気にならなくなる。一般に、可聴周波数は、20Hz〜15kHzと言われている。超音波と言われる20kHz以上は殆どの場合、聞き取ることができない。15kHzから20kHzは、個人差があり聞き取ることができる人と、できない人が存在する。本実施例では、確実さのため、周波数差の最小値を殆どの人が聞き取ることができない20kHz以上としたが、15kHz以上としてもビート音が大半の人にとって気にならないものとなる。
なお、本実施例では、誘導加熱コイル13a,13bの発振周波数をほぼ同じ周波数帯の20kHzから40kHzとしたが、ずらしても上記距離の関係からビート音は問題にならない。ただし、誘導加熱コイル13cの最低周波数との差を確保する必要がある。
ところで、ビート音を使用者が気にならないようにするためには、誘導加熱コイル13a,13bの周波数を誘導加熱コイル13cに用いる周波数よりも高くしても目的は達成される。しかしながら、本実施例においては、誘導加熱コイル13cの周波数を高く設定した。この理由を説明する。誘導加熱コイル13a,13bは、本体2の手前に配設されるコイルであり、誘導加熱コイル13cは、奥に配設されるコイルである。前述したように、使い勝手の面から、手前に配設されたコイルの最大火力を高く設定している。周波数を高くするためには、コイルのインダクタンスを小さくしなければならない。インダクタンスを小さくするためには、コイルの巻回数を減らす必要がある。コイルの出力は巻回数と電流の積の2乗に比例しているため、巻回数を減らした分、電流を大きくしなければ出力を得ることができない。コイルの抵抗は周波数に比例しており、損失は抵抗と電流の2乗の積で表される。以上のことから、出力が大きいコイルの周波数を上げようとすると、損失が大きくなってしまい、限られた入力以内に押さえるためには損失を低減する必要があることから、本実施例では、最大出力が小さく設定されたコイル,本体2の奥に配置された誘導加熱コイル13cの周波数を上げることで、ビート音の対策を行っている。
しかし、この損失さらに低減して、可能な限り入力を有効利用したい。誘導加熱コイル13a,13bの素線径φを0.4mmとして、この電線を28本撚り合わせたコイル導線を巻いて直径約20cmの略円盤状のコイルとした。一方、誘導加熱コイル13cは、素線径φを0.2mmとし、この電線を90本撚り合わせたコイル導線を巻いて直径約20cmまたはそれより小径の略円盤状のコイルとした。
これにより、誘導加熱コイル13cのコイル導線の表面積を増やすことができるので周波数増加に伴って増大する表皮抵抗を低減することができ、損失であるコイル温度の上昇を抑えることができる。なお、コイル導線は素線径φ=0.2mm以下のもので、90本以上撚り合わせたものであればよい。