JP2011148332A - 能動型振動騒音制御システム - Google Patents

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康統 小林
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Abstract

【課題】車両に発生する振動騒音を低減する能動型振動騒音制御装置の消音性能の異常を自動的に判定することが可能な能動型振動騒音制御システムを提供する。
【解決手段】能動型振動騒音制御システム12の故障診断装置50は、第1能動型振動騒音制御装置66の消音性能を評価するための参照音RSを第2出力部32により出力させると共に、第1能動型振動騒音制御装置66を作動させて第1打消音CS又は第1打消振動に基づく第1振動音により参照音RSを打ち消させることで、第1能動型振動騒音制御装置66の消音性能の異常を判定する。
【選択図】図1

Description

この発明は、能動型振動騒音制御装置の故障診断を行う能動型振動騒音制御システムに関し、より詳細には、車両に発生する振動騒音を低減する能動型振動騒音制御装置の消音性能の異常を判定する能動型振動騒音制御システムに関する。
車室内の振動騒音に関連して音響を制御する装置として、能動型騒音制御装置(Active Noise Control Apparatus)(以下「ANC装置」と称する。)が知られている。一般的なANC装置では、振動騒音に対する逆位相の打消音を車室内のスピーカから出力することにより、前記振動騒音を低減する。また、振動騒音と打消音の誤差は、乗員の耳位置近傍に配置されたマイクロフォンにより残留騒音として検出され、その後の打消音の決定に用いられる。ANC装置には、例えば、エンジンの作動(振動)に応じて車室内に生ずる騒音(エンジンこもり音)を低減するものや、車両走行中における車輪と路面との接触によって車室内に生ずる騒音(ロードノイズ)を低減するものがある(例えば、特許文献1、2参照)。
また、ANC装置の故障診断を行う方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3では、ANC装置の通常動作時と動作停止時との消音度合を作業者が比較することによりANC装置の故障の有無を判定する(同文献の段落[0055]〜[0058]参照)。
なお、車室内の振動騒音に関連して音響を制御する装置として、ANC装置以外にも、能動型振動制御装置(Active Vibration Control Apparatus)(以下「AVC装置」と称する。)が知られている(特許文献1)。一般的なAVC装置では、振動に対する逆位相の打消振動をアクチュエータから出力することにより、前記振動を低減する。また、振動と打消振動の誤差は、振動打消対象位置に配置された振動センサにより残留振動として検出され、その後の打消振動の決定に用いられる。これにより、結果として、車室内の振動騒音を低減することができる。以上を踏まえ、以下では、「能動型振動騒音制御装置」との語は、ANC装置及びAVC装置の両方を含む意味で用いると共に、「能動型振動騒音制御システム」との語は、ANC装置及びAVC装置の少なくとも一方を含むシステムの意味で用いる。
特開2004−361721号公報 特開平05−265471号公報 特許第4309919号公報
上記のように、特許文献3では、ANC装置の故障診断が行われるが、ANC装置の消音性能の異常を自動的に判定する構成は示されていない。
この発明は、このような問題を考慮してなされたものであり、車両に発生する振動騒音を低減する能動型振動騒音制御装置の消音性能の異常を自動的に判定することが可能な能動型振動騒音制御システムを提供することを目的とする。
この発明に係る能動型振動騒音制御システムは、車両に発生する振動騒音を打ち消す第1打消音又は前記車両に発生する振動を打ち消すことにより前記振動騒音を低減させる第1打消振動を表す第1制御信号を生成する第1制御信号生成部と、前記第1制御信号に基づいて前記第1打消音又は前記第1打消振動を出力する第1出力部とを有する第1能動型振動騒音制御装置と、前記振動騒音を打ち消す第2打消音又は前記振動を打ち消すことにより前記振動騒音を低減させる第2打消振動を表す第2制御信号を生成する第2制御信号生成部と、前記第2制御信号に基づいて前記第2打消音又は前記第2打消振動を出力する第2出力部とを有する第2能動型振動騒音制御装置と、前記第1能動型振動騒音制御装置の故障診断を行う故障診断装置とを備え、前記故障診断装置は、前記第1能動型振動騒音制御装置の消音性能を評価するための参照音を前記第2出力部により出力させると共に、前記第1能動型振動騒音制御装置を作動させて前記第1打消音又は前記第1打消振動に基づく第1振動音により前記参照音を打ち消させることで、前記第1能動型振動騒音制御装置の消音性能の異常を判定することを特徴とする。
この発明によれば、能動型振動騒音制御システムにおいて、第2能動型振動騒音制御装置から参照音を出力し、この参照音を第1能動型振動騒音制御装置からの第1打消音又は第1打消振動に基づく第1振動音により打ち消させることで、故障診断装置が、第1能動型振動騒音制御装置の消音性能の異常を判定する。従って、当該消音性能の異常の判定を作業者を介さずに自動的に行うことが可能となる。
また、第2能動型振動騒音制御装置からの参照音を擬似的な振動騒音とすれば、車両を走行させることなしに又はエンジンを始動させることなしに、走行時の状況を再現して第1能動型振動騒音制御装置の故障を診断することが可能となる。
前記第1能動型振動騒音制御装置は、前記参照音を表し前記第2出力部に入力される参照音信号に基づいて前記第1打消音又は前記第1打消振動を生成してもよい。
前記第1能動型振動騒音制御装置は、さらに、前記参照音と前記第1打消音又は前記第1振動音との誤差を検出し、当該誤差を示す第1誤差信号を出力する第1誤差検出部を備え、前記故障診断装置は、前記参照音が出力され前記第1打消音又は前記第1振動音が出力されていないときの前記第1誤差信号の振幅と、前記参照音及び前記第1打消音又は前記第1振動音が出力されているときの前記第1誤差信号の振幅とを比較することで前記第1能動型振動騒音制御装置又は前記第1誤差検出部における故障の発生を検出してもよい。
前記参照音信号は、複数の異なる固定周波数の正弦波信号としてもよい。これにより、参照音は複数の異なる固定周波数で出力され、第1能動型振動騒音制御装置の消音性能をその制御周波数毎に評価することが可能となる。
前記第1制御信号生成部は、前記第1打消音を表す第1制御信号を生成し、前記第1出力部は、前記第1制御信号に基づいて前記第1打消音を出力するスピーカであり、前記第2制御信号生成部は、前記第2打消振動を表す第2制御信号を生成し、前記第2出力部は、前記第2制御信号に基づいて前記第2打消振動を出力する振動アクチュエータであってもよい。
前記振動アクチュエータは、例えば、前記車両のサブフレーム、ボディパネル、テールゲート又はトランクのいずれかに設置することができる。一般に、サブフレーム、ボディパネル、テールゲート及びトランクは、防振ゴムが配置されず、振動アクチュエータにより振動音を出力することが容易である。従って、参照音を好適に出力することが可能となる。
前記故障診断装置は、前記消音性能の異常の判定の可否を判断するための温度範囲、前記消音性能の異常の判定の可否を判断するための前記車両のエンジン回転数又はモータ回転数の閾値である回転数閾値、及び前記消音性能の異常の判定の可否を判断するための前記誤差の閾値である誤差閾値の少なくとも1つを設定し、前記車両の周囲温度が前記温度範囲外であるとき、前記エンジン回転数若しくは前記モータ回転数が前記回転数閾値を超えるとき、又は前記誤差が前記誤差閾値を超えるとき、前記消音性能の異常の判定を行わないこととしてもよい。これにより、第1能動型振動騒音制御装置の故障診断に適した条件でのみ故障診断を行うことができ、故障診断に適さない条件であれば、作業者に条件の改善を求めることが可能となる。
前記第1能動型振動騒音制御装置は、さらに、前記振動騒音と前記第1打消音との誤差又は前記振動と前記第1打消振動との誤差である第1誤差を検出し、当該第1誤差を示す第1誤差信号を出力する第1誤差検出部を備え、前記第2能動型振動騒音制御装置は、さらに、前記振動騒音と前記第2打消音との誤差又は前記振動と前記第2打消振動との誤差である第2誤差を検出し、当該第2誤差を示す第2誤差信号を出力する第2誤差検出部を備えてもよい。
また、前記第1制御信号生成部は、前記振動騒音又は前記振動に基づく第1参照信号を生成する第1参照信号生成部と、前記第1参照信号に基づいて前記第1制御信号を生成する第1適応フィルタと、前記第1出力部から前記第1誤差検出部までの伝達特性に基づいて前記第1参照信号を補正して第1補正参照信号を出力する第1参照信号補正部と、前記第1誤差信号と前記第1補正参照信号とに基づいて前記第1誤差信号が最小となるように前記第1適応フィルタのフィルタ係数を逐次更新する第1フィルタ係数更新部とを備えてもよい。
さらに、前記第2制御信号生成部は、前記振動騒音又は前記振動に基づく第2参照信号を生成する第2参照信号生成部と、前記第2参照信号に基づいて前記第2制御信号を生成する第2適応フィルタと、第2出力部から第2誤差検出部までの伝達特性に基づいて前記第2参照信号を補正して第2補正参照信号を出力する第2参照信号補正部と、前記第2誤差信号と前記第2補正参照信号とに基づいて前記第2誤差信号が最小となるように前記第2適応フィルタのフィルタ係数を逐次更新する第2フィルタ係数更新部とを備えてもよい。
この発明によれば、能動型振動騒音制御システムにおいて、第2能動型振動騒音制御装置から参照音を出力し、この参照音を第1能動型振動騒音制御装置からの第1打消音又は第1打消振動に基づく第1振動音により打ち消させることで、故障診断装置が、第1能動型振動騒音制御装置の消音性能の異常を判定する。従って、当該消音性能の異常の判定を作業者を介さずに自動的に行うことが可能となる。
また、第2能動型振動騒音制御装置からの参照音を擬似的な振動騒音とすれば、車両を走行させることなしに又はエンジンを始動させることなしに、走行時の状況を再現して第1能動型振動騒音制御装置の故障を診断することが可能となる。
この発明の一実施形態に係る能動型振動騒音制御システムを搭載した車両の概略的な構成図である。 前記能動型振動騒音制御システムにおいて故障診断を行うフローチャートである。 図2における故障診断処理の詳細を示す第1フローチャートである。 図2における故障診断処理の詳細を示す第2フローチャートである。 カウンタ値と参照音の周波数との関係を示す図である。 前記故障診断処理の際に参照音のみを出力する様子を示す図である。 前記故障診断処理の際に参照音と打消音の両方を出力する様子を示す図である。 前記故障診断処理において取得するデータの一例を示す図である。 前記故障診断処理の際に第2参照音としての打消音のみを出力する様子を示す図である。 前記故障診断処理において取得するデータの別の例を示す図である。
[A.一実施形態]
1.全体及び各部の構成
(1)全体構成
図1は、この発明の一実施形態に係る能動型振動騒音制御システム12(以下「制御システム12」ともいう。)を搭載した車両10の概略的な構成を示す図である。車両10は、ガソリン車であるが、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車等の車両としてもよい。
車両10は、制御システム12に加え、エンジン14と、エンジン14への燃料噴射を制御する燃料噴射制御装置16(以下「FI−ECU16」という。)と、車両10の周囲の温度(周囲温度Tc)[℃]を検出し、当該周囲温度Tcを示す周囲温度信号Stを出力する温度センサ20とを備える。FI−ECU16は、制御システム12に対して、エンジンパルスEpと、エンジン14の回転数(エンジン回転数Ne)[rpm]を示すエンジン回転数信号Sneとを出力する。
(2)制御システム12
制御システム12は、騒音/振動制御装置22(以下「騒音/振動ECU22」又は「ECU22」という。)と、第1増幅器24と、スピーカ26と、マイクロフォン28と、第2増幅器30と、振動アクチュエータ32と、振動センサ34とを有する。このうち、ECU22、第1増幅器24、スピーカ26及びマイクロフォン28により能動型騒音制御(ANC)を実行可能であり、ECU22、第2増幅器30、振動アクチュエータ32及び振動センサ34により能動型振動制御(AVC)を実行可能である。
ANCは、車両10に発生する振動騒音NZに対して逆位相の音(打消音CS)を生成することにより、消音対象位置(本実施形態ではマイクロフォン28)において振動騒音NZを打ち消す制御である。ここにいう振動騒音NZには、エンジンこもり音やロードノイズを含むが、本実施形態におけるANCが打消し対象とする振動騒音NZは、エンジン14によるエンジンこもり音である。
なお、ECU22には、エンジンこもり音の消音機能に加え、ロードノイズの消音機能を持たせることもできる。すなわち、ECU22に従前のロードノイズ用の構成(例えば、特許文献2)を併せ持たせることも可能である。
AVCは、車両10に発生する振動VNに対して逆位相の振動(打消振動CV)を生成することにより、制振対象位置(本実施形態ではサブフレーム36における特定位置)において振動VNを打ち消す制御である。ここにいう振動VNには、エンジン14の動作に伴うものや路面入力によるものがあるが、本実施形態におけるAVCが打消し対象とする振動VNは、エンジン14の動作に伴う振動である。なお、AVCが振動VNを打ち消すことによって振動騒音NZを打ち消すことが可能であるため、本明細書では、AVCをANCの一種として取り扱うと共に、AVCによる制振性能は、ANCによる消音性能の一種として取り扱う。また、AVCを行う構成としては、例えば、特開2007−269286号公報に記載のもの(図18)を用いることができる。
ECU22は、車両10に発生する振動騒音NZを打ち消すための打消音CSと振動VNを打ち消すための打消振動CVとを演算し、打消音CSを表す第1制御信号Sc1と打消振動CVを表す第2制御信号Sc2を出力する。
第1増幅器24は、ECU22からの第1制御信号Sc1を増幅してスピーカ26に出力する。
スピーカ26は、第1増幅器24により増幅された第1制御信号Sc1に基づいて、マイクロフォン28に対して打消音CSを出力する。これにより、振動騒音NZの消音効果が得られる。スピーカ26は、例えば、前席側のドア内壁内に配置されている。或いは、後席の後ろ側に設けることができる。
マイクロフォン28は、振動騒音NZと打消音CSとの誤差(第1誤差)としての残留騒音を検出し、当該残留騒音に対応した第1誤差信号e1をECU22に出力する。マイクロフォン28は、例えば、運転席の上方(乗員の頭上)に配置することができる。
第2増幅器30は、ECU22からの第2制御信号Sc2を増幅して振動アクチュエータ32に出力する。
振動アクチュエータ32は、第2増幅器30により増幅された第2制御信号Sc2に基づいて打消振動CVを生成する。本実施形態の振動アクチュエータ32は、サブフレーム36に接するように配置されている。
振動センサ34は、振動VNと打消振動CVとの誤差(第2誤差)としての残留振動を検出し、当該残留振動に対応した第2誤差信号e2をECU22に出力する。
(3)騒音/振動ECU22の詳細
ECU22は、図示しないマイクロコンピュータ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等から構成される。当該マイクロコンピュータは、打消音CSを決定する機能(打消音決定機能)、打消振動CVを決定する機能(打消振動決定機能)等の機能を、不揮発性メモリに記憶されたプログラムにより実行する。
図1に示すように、ECU22は、周波数検出部40と、参照信号生成部42と、基準テーブル44と、第1制御信号生成部46と、第2制御信号生成部48と、故障診断部50と、第1スイッチ52と、第2スイッチ54とを有する。なお、図1では、ECU22の各構成要素は、簡略化して記載されており、実際には、参照信号Sbが余弦波及び正弦波に分けて生成されること等から複数設けられる構成要素もある(例えば、特許文献1参照)。
周波数検出部40は、FI−ECU16からのエンジンパルスEpに基づいてエンジン回転周波数f[Hz]を検出し、このエンジン回転周波数fを示す回転周波数信号Sfを出力する。エンジン回転周波数fを60倍したものが上記エンジン回転数Neであり、以下ではエンジン回転周波数fとエンジン回転数Neを同義で用いることがある。
参照信号生成部42は、回転周波数信号Sfに基づいて基準テーブル44からデータを取得することにより、参照信号Sbを生成する。なお、参照信号Sbは、余弦波と正弦波の2つに分けられるが、図1ではまとめて記載している。
第1制御信号生成部46は、参照信号生成部42からの参照信号Sbとマイクロフォン28からの第1誤差信号e1とに基づいて第1制御信号Sc1を生成する。図1に示すように、第1制御信号生成部46は、第1適応フィルタ60と、第1参照信号補正部62と、第1フィルタ係数更新部64とを有する。
第1適応フィルタ60は、参照信号Sbに対して第1フィルタ係数W1を用いた適応フィルタ処理を行って、振動騒音NZを低減するための打消音CSを表す第1制御信号Sc1を出力する。第1適応フィルタ60としては、適応ノッチフィルタやFIR(Finite impulse response:有限インパルス応答)型のフィルタを用いることができる。
第1参照信号補正部62は、参照信号生成部42からの参照信号Sbに対して伝達関数処理を行うことで第1補正参照信号Sr1を生成する。第1補正参照信号Sr1は、第1フィルタ係数更新部64において第1フィルタ係数W1を演算する際に用いられる。また、伝達関数処理は、スピーカ26からマイクロフォン28への打消音CSの伝達関数C^1(フィルタ係数)に基づき参照信号Sbを補正する処理である。この伝達関数処理で用いられる伝達関数C^1は、スピーカ26からマイクロフォン28への打消音CSの実際の伝達関数C1の測定値又は予測値である。
第1フィルタ係数更新部64は、第1フィルタ係数W1を逐次演算・更新する。第1フィルタ係数更新部64は、適応アルゴリズム演算{例えば、最小二乗法(LMS)アルゴリズム演算}を用いて第1フィルタ係数W1を演算する。すなわち、第1参照信号補正部62からの第1補正参照信号Sr1とマイクロフォン28からの第1誤差信号e1に基づいて、第1誤差信号e1の二乗e12をゼロとするように第1フィルタ係数W1を演算する。
なお、参照信号Sbに基づいて打消音CSを生成する構成、すなわち、周波数検出部40、参照信号生成部42、基準テーブル44、第1制御信号生成部46、第1増幅器24、スピーカ26及びマイクロフォン28を含む構成を能動的騒音制御系66又はANC系66という。
第2制御信号生成部48は、参照信号生成部42からの参照信号Sbと振動センサ34からの第2誤差信号e2とに基づいて第2制御信号Sc2を生成する。図1に示すように、第2制御信号生成部48は、第2適応フィルタ70と、第2参照信号補正部72と、第2フィルタ係数更新部74とを有する。
第2適応フィルタ70は、参照信号Sbに対して第2フィルタ係数W2を用いた適応フィルタ処理を行って、振動VNを低減するための打消振動CVを表す第2制御信号Sc2を出力する。第2適応フィルタ70としては、適応ノッチフィルタやFIR型のフィルタを用いることができる。
第2参照信号補正部72は、参照信号生成部42からの参照信号Sbに対して伝達関数処理を行うことで第2補正参照信号Sr2を生成する。第2補正参照信号Sr2は、第2フィルタ係数更新部74において第2フィルタ係数W2を演算する際に用いられる。また、伝達関数処理は、振動アクチュエータ32からサブフレーム36の振動打消対象位置への打消振動CVの伝達関数C^2(フィルタ係数)に基づき参照信号Sbを補正する処理である。この伝達関数処理で用いられる伝達関数C^2は、振動アクチュエータ32からサブフレーム36の振動打消対象位置への打消振動CVの実際の伝達関数C2の測定値又は予測値である。
第2フィルタ係数更新部74は、第2フィルタ係数W2を逐次演算・更新する。第2フィルタ係数更新部74は、適応アルゴリズム演算{例えば、最小二乗法(LMS)アルゴリズム演算}を用いて第2フィルタ係数W2を演算する。すなわち、第2参照信号補正部72からの第2補正参照信号Sr2と振動センサ34からの第2誤差信号e2に基づいて、第2誤差信号e2の二乗e22をゼロとするように第2フィルタ係数W2を演算する。
なお、参照信号Sbに基づいて打消振動CVを生成する構成、すなわち、周波数検出部40、参照信号生成部42、基準テーブル44、第2制御信号生成部48、第2増幅器30、振動アクチュエータ32及び振動センサ34を含む構成を能動的振動制御系76又はAVC系76という。
故障診断部50は、AVC系76(特に、振動アクチュエータ32)を用いてANC系66の故障診断を行う。すなわち、故障診断部50は、エンジン14が停止している状態で、第2増幅器30を介して振動アクチュエータ32に対して第3制御信号Sc3を出力し、振動アクチュエータ32によりサブフレーム36を振動させることで模擬的な振動騒音(模擬振動騒音)である参照音RSを生成させる。そして、この参照音RSをANC系66が生成する打消音CSにより打ち消させることでANC系66の消音性能を判定する(具体的な処理については後述する。)。
第1スイッチ52は、通常時(故障診断部50が故障診断を行っていないとき)は、周波数検出部40と参照信号生成部42とを接続し、故障診断部50が故障診断を行っているときは、故障診断部50と参照信号生成部42とを接続する。なお、第1スイッチ52の動作は、故障診断部50が制御する。
第2スイッチ54は、通常時(故障診断部50が故障診断を行っていないとき)は、参照信号生成部42と第2制御信号生成部48とを接続し、故障診断部50が故障診断を行っているときは、参照信号生成部42と第2制御信号生成部48とを切り離す。なお、第2スイッチ54の動作は、故障診断部50が制御する。
2.各部の制御
(1)打消音CSの生成(通常時)
通常時(故障診断部50による故障診断を行わない場合)の打消音CSの生成について説明する。周波数検出部40において、FI−ECU16からのエンジンパルスEpに基づいてエンジン回転周波数fが検出され、このエンジン回転周波数fを示す回転周波数信号Sfが出力される。
次いで、参照信号生成部42において、周波数検出部40からの回転周波数信号Sfに基づいて基準テーブル44からデータが取得されることにより参照信号Sbが生成され、第1制御信号生成部46に出力される。なお、上述の通り、ここでの参照信号Sbは、正弦波及び余弦波とが別々に生成される。
第1制御信号生成部46では、参照信号生成部42からの参照信号Sbとマイクロフォン28からの第1誤差信号e1とに基づいて第1制御信号Sc1が生成され、第1増幅器24を介してスピーカ26に出力される。
スピーカ26では、第1制御信号Sc1に基づいて打消音CSが出力される。そして、マイクロフォン28において、振動騒音NZと打消音CSとの誤差が残留騒音として検出され、この誤差に対応する第1誤差信号e1が第1制御信号生成部46に出力される。第1誤差信号e1は、第1制御信号生成部46においてその後の処理に用いられる。
(2)打消振動CVの生成(通常時)
通常時(故障診断部50による故障診断を行わない場合)の打消振動CVの生成について説明する。FI−ECU16からのエンジンパルスEpに基づいて参照信号Sbが生成されるまでは、打消音CSの生成の場合と同じである。
次いで、第2制御信号生成部48において、参照信号生成部42からの参照信号Sbと振動センサ34からの第2誤差信号e2に基づいて第2制御信号Sc2が生成され、第2増幅器30を介して振動アクチュエータ32に出力される。
振動アクチュエータ32では、第2制御信号Sc2に基づいて打消振動CVが生成される。そして、振動センサ34において、振動VNと打消振動CVとの誤差が残留振動として検出され、この誤差に対応する第2誤差信号e2が第2制御信号生成部48に出力される。第2誤差信号e2は、第2制御信号生成部48においてその後の処理に用いられる。
なお、通常の動作時において、ANC系66とAVC系76は並行して作動させることができる。
(3)ANC系66の故障診断
次に、ANC系66の故障診断について説明する。本実施形態において、当該故障診断は、工場出荷時やディーラーでの点検時になされるものであり、作業者が所定の操作を行うことで開始される。前記所定の操作としては、例えば、車両10の外部からECU22にコンソールを接続し、当該コンソールにおいて特定のキーについて行う所定の操作を挙げることができる。
図2には、ANC系66の故障診断を行うフローチャートが示されている。ステップS1において、ECU22の故障診断部50は、上記のような方法により車両10の外部から故障診断の開始指令を受ける。
ステップS2において、故障診断部50は、車両10の周囲温度Tcが故障診断を行うのに適したものであるかどうかを判定する。具体的には、故障診断部50は、温度センサ20が検出した周囲温度Tcが、下限閾値TH_t_l[℃]より高く上限閾値TH_t_h[℃]より低いかどうかを判定する。下限閾値TH_t_lは、故障診断を行うのに適した温度の下限値(例えば、−10℃)である。上限閾値TH_t_hは、故障診断を行うのに適した温度の上限値(例えば、40℃)である。
周囲温度Tcが故障診断を行うのに適したものでない場合(S2:NO)、ステップS3において、故障診断部50は、図示しないモニタにエラーメッセージを出力する。周囲温度Tcが故障診断を行うのに適したものである場合(S2:YES)、ステップS4に進む。
ステップS4において、故障診断部50は、エンジン14が停止中であるかどうかを判定する。具体的には、故障診断部50は、FI−ECU16から通知されたエンジン回転数Neが、回転数閾値TH_e[rpm]未満であるかどうかを判定する。回転数閾値TH_eは、エンジン14の停止を判定するための閾値(例えば、400rpm)である。
エンジン14が停止中でない場合(S4:NO)、ステップS3において、故障診断部50は、図示しないモニタにエラーメッセージを出力する。エンジン14が停止中である場合(S4:YES)、ステップS5に進む。
ステップS5において、故障診断部50は、車両10の内部が静粛であるかどうかを判定する。具体的には、故障診断部50は、スピーカ26及び振動アクチュエータ32が作動していない状態におけるマイクロフォン28からの第1誤差信号e1の振幅(振幅Ap)が、静粛性判定閾値TH_p未満であるかどうかを判定する。ここでの振幅Apは、マイクロフォン28からの出力を、例えば、32ビットに分けて示したものである。また、静粛性判定閾値TH_pは、マイクロフォン28の周囲が静粛であるかどうかを判定するための閾値である。
車両10の内部が静粛でない場合(S5:NO)、ステップS3において、故障診断部50は、図示しないモニタにエラーメッセージを出力する。車両10の内部が静粛である場合(S5:YES)、ステップS6において、故障診断部50は、故障診断処理を実行する。
図3は、故障診断処理の詳細を示す第1フローチャートであり、図4は、当該故障診断処理の詳細を示す第2フローチャート(図3の続きを示すもの)である。ステップS11において、故障診断部50は、参照音RSの周波数F[Hz]を選択する。参照音RSは、ANC系66の故障を診断するために、AVC系76から出力する音(擬似振動騒音)である。具体的には、故障診断部50からの第3制御信号Sc3に基づいて振動アクチュエータ32を作動させることにより、サブフレーム36を振動させ、このサブフレーム36の振動により参照音RSを発生させる。
本実施形態において、参照音RSの周波数Fは複数設定され、異なる周波数Fの参照音RSが順番に出力される。すなわち、図5に示すように、故障診断部50では、周波数Fを規定するためのカウンタ値iと、このカウンタ値iに応じた周波数Fを設定する。例えば、カウンタ値iが1のとき、周波数Fは30Hzであり、カウンタ値iが2のとき、周波数Fが50Hzであり、カウンタ値iが3のとき、周波数Fが80Hzであり、カウンタ値iがN(Nはカウンタ値iの最大値)のとき、周波数FがFnである。
図3に戻り、ステップS12において、故障診断部50は、ステップS11で選択した周波数Fの参照音RSの出力を開始する。続くステップS13において、故障診断部50は、参照音RSのみが出力されている状態におけるマイクロフォン28からの第1誤差信号e1の振幅(振幅Am1)を取得する。参照音RSを出力させる際、故障診断部50は、振動アクチュエータ32に対して周波数Fの正弦波としての第3制御信号Sc3を出力する。また、故障診断部50は、第1スイッチ52により故障診断部50と参照信号生成部42とを接続させ、第2スイッチ54により、参照信号生成部42と第2制御信号生成部48とを切り離させる。但し、故障診断部50から参照信号生成部42には何らの信号も出力されない。従って、この時点では、ANC系66からの打消音CSは出力しない(図6参照)。
ステップS14において、故障診断部50は、マイクロフォン28の出力が正常であるかどうかを判定する。具体的には、故障診断部50は、参照音RSが出力されている際の第1誤差信号e1の振幅Am1が、閾値TH_am1を超えるかどうかを判定する。閾値TH_am1は、マイクロフォン28の出力(第1誤差信号e1)が参照音RSの音量に対応したものとなっているかどうかを判定するための閾値であり、例えば、実験値又はシミュレーション値を用いることができる。
マイクロフォン28の出力が正常である場合(S14:YES)、ステップS15において、故障診断部50は、打消音CSの出力を開始する。この時点において、AVC系76からの参照音RSも出力され続けている(図7参照)。従って、マイクロフォン28には、打消音CSが参照音RSを打ち消した後の残留騒音が入力される。
参照音RSと打消音CSの両方を出力するため、故障診断部50は、第1スイッチ52により故障診断部50と参照信号生成部42とを接続させ、第2スイッチ54により参照信号生成部42と第2制御信号生成部48とを切り離させる。そして、故障診断部50は、第2増幅器30と参照信号生成部42の両方に同じ周波数Fの第3制御信号Sc3を出力する。これにより、第2増幅器30で増幅された第3制御信号Sc3に基づいて振動アクチュエータ32が振動し、サブフレーム36から参照音RSが出力される。また、参照信号生成部42において、参照音RSと同じ周波数Fの参照信号Sbが生成され、ANC系66において適応制御を用いて打消音CSが生成される。
ステップS16において、故障診断部50は、参照音RSと打消音CSの両方が出力されている際の第1誤差信号e1の振幅(振幅Am2)を取得する。続くステップS17において、故障診断部50は、参照音RSと打消音CSの出力を停止させる。すなわち、第2増幅器30及び参照信号生成部42に対する第3制御信号Sc3の出力を停止する。
ステップS18において、故障診断部50は、ANC系66の消音性能が正常であるかどうかを判定する。具体的には、本実施形態では、参照音RSと打消音CSの両方を出力しているときの第1誤差信号e1の振幅Am2が、参照音RSのみを出力しているときの第1誤差信号e1の振幅Am1の半分より小さいかどうかを判定する。なお、この判定の方法は適宜変更することができる。
ANC系66の消音性能が正常である場合(S18:YES)、ステップS19において、故障診断部50は、今回の周波数Fについての診断結果に関するデータ(ANC系66の消音性能が正常であると判定したもの)を図示しない不揮発性メモリ又は揮発性メモリに記憶する。
続くステップS20において、故障診断部50は、故障診断が完了したかどうかを判定する。具体的には、カウンタ値iがその最大値Nと等しいかどうかを判定する。故障診断が完了していない場合(S20:NO)、ステップS21において、カウンタ値iを1増加させた後、ステップS11に戻る。故障診断が完了した場合(S20:YES)、図2のフローチャートに戻る。
ステップS18に戻り、ANC系66の消音性能が正常でない場合(S18:NO)、ステップS22において、故障診断部50は、今回の周波数Fについての診断結果に関するデータ(ANC系66の消音性能が異常であると判定したもの)を図示しない不揮発性メモリ又は揮発性メモリに記憶した後、図2のフローチャートに戻る。
図8には、ステップS22で記憶するデータの一例が示されている。図8の例では、周波数Fが30Hz、50Hz、80Hzのときは、ANC系66が正常に動作している、すなわち、振幅Am2が振幅Am1の半分よりも小さくなっている。これに対し、周波数Fが150Hzのときは、ANC系66が正常に動作していない、すなわち、振幅Am2が振幅Am1の半分よりも小さくなっていない。
図3のステップS14に戻り、マイクロフォン28の出力が正常でない場合(S14:NO)、その原因として、ECU22の故障診断部50の動作不良、ECU22から振動アクチュエータ32までの間での断線、第2増幅器30の動作不良、振動アクチュエータ32の動作不良、マイクロフォン28の動作不良、又はマイクロフォン28からECU22までの間での断線が考えられる。
そこでまず、図4のステップS23において、故障診断部50は、第2増幅器30に対する第3制御信号Sc3の出力を停止することで参照音RSの出力を停止する。また、ステップS24において、故障診断部50は、ANC系66を作動させて打消音CSの出力を開始させる(図9参照)。但し、ここにいう打消音CSは、参照音RSを打ち消すことを目的とするものではなく、故障部位を特定するための音(第2参照音RS2)である。
打消音CSを出力させる際、故障診断部50は、第1スイッチ52により周波数検出部40、故障診断部50及び参照信号生成部42を互いに切り離し、第2スイッチ54により参照信号生成部42と第2制御信号生成部48とを切り離す。そして、故障診断部50は、第1増幅器24に第4制御信号Sc4を出力する。これにより、第1増幅器24を介して第4制御信号Sc4がスピーカ26に出力され、第4制御信号Sc4に応じた打消音CS(第2参照音RS2)がスピーカ26から出力される。この打消音CSは、マイクロフォン28により検出され、当該打消音CSに応じた第1誤差信号e1がマイクロフォン28から故障診断部50に出力される。
ステップS25において、故障診断部50は、打消音CS(第2参照音RS2)のみが出力されている状態におけるマイクロフォン28からの第1誤差信号e1の振幅(振幅Am3)を取得する。続くステップS26において、故障診断部50は、打消音CSの出力を停止させる。
ステップS27において、故障診断部50は、マイクロフォン28の出力が正常であるかどうかを判定する。具体的には、故障診断部50は、打消音CS(第2参照音RS2)が出力されている際の第1誤差信号e1の振幅Am3が、閾値TH_am3を超えるかどうかを判定する。閾値TH_am3は、マイクロフォン28の出力(第1誤差信号e1)が打消音CSの音量に対応したものとなっているかどうかを判定するための閾値であり、例えば、実験値又はシミュレーション値を用いることができる。
上述の通り、マイクロフォン28の出力が正常でない場合(S14:NO)の原因としては、ECU22の故障診断部50の動作不良、ECU22から振動アクチュエータ32までの間での断線、第2増幅器30の動作不良、振動アクチュエータ32の動作不良、マイクロフォン28の動作不良、又はマイクロフォン28からECU22までの間での断線が考えられる。そして、ステップS27においてマイクロフォン28の出力が正常である場合(S27:YES)、上記原因のうち、ECU22の故障診断部50の動作不良、マイクロフォン28の動作不良及びマイクロフォン28からECU22までの間での断線の可能性は否定される。このため、当該原因としては、ECU22から振動アクチュエータ32までの間での断線、第2増幅器30の動作不良、又は振動アクチュエータ32の動作不良、すなわち、AVC系76の動作異常が考えられる。
そこで、ステップS27においてマイクロフォン28の出力が正常である場合(S27:YES)、ステップS28において、故障診断部50は、今回の診断結果に関するデータ(AVC系76の動作が異常であると判定したもの)を図示しない不揮発性メモリ又は揮発性メモリに記憶した後、図2のフローチャートに戻る。
ステップS27においてマイクロフォン28の出力が正常でない場合(S27:NO)、ステップS14においてマイクロフォン28の出力が正常でなかった原因としては、ECU22から振動アクチュエータ32までの間での断線、第2増幅器30の動作不良、及び振動アクチュエータ32の動作不良は高い可能性で否定される。このため、当該原因としては、故障診断部50の動作不良、マイクロフォン28の動作不良、又はマイクロフォン28からECU22までの間での断線、すなわち、ANC系66の動作異常が考えられる。なお、ステップS27においてマイクロフォン28の出力が正常でない場合(S27:NO)のみに着目すれば、ECU22からスピーカ26までの間での断線、第1増幅器24の動作不良及びスピーカ26の動作不良も原因として考えられるが、ステップS14の異常とは関係ないため、これらの故障が起こっている可能性は低い。
そこで、ステップS27においてマイクロフォン28の出力が正常でない場合(S27:NO)、ステップS29において、故障診断部50は、今回の診断結果に関するデータ(マイクロフォン28を含むANC系66の動作が異常であると判定したもの)を図示しない不揮発性メモリ又は揮発性メモリに記憶した後、図2のフローチャートに戻る。
図2に戻り、ステップS7において、故障診断部50は、故障診断処理からの経過時間を示すタイマTMR[秒]のカウントを開始する。ステップS8において、故障診断部50は、故障診断処理の終了から所定時間が経過したかどうかを判定する。具体的には、故障診断部50は、タイマTMRが閾値TH_tmr[秒]以上であるかどうかを判定する。
故障診断処理の終了から所定時間が経過していない場合(S8:NO)、ステップS8を繰り返す。故障診断処理の終了から所定時間が経過した場合(S8:YES)、ステップS9において、故障診断部50は、ステップS6で保存したデータに車両識別情報(車両ID)を付加する。そして、ステップS10において、故障診断部50は、診断結果を外部(工場であれば、例えば、車両管理サーバ)に出力する。
図10には、ステップS9で記憶するデータの一例が示されている。図10の例では、周波数Fが30Hz、50Hz、80Hz、FnHzのときのいずれもANC系66が正常に動作している、すなわち、参照音RSと打消音CSの両方を出力しているときの第1誤差信号e1の振幅Am2が、参照音RSのみを出力しているときの第1誤差信号e1の振幅Am1の半分よりも小さくなっている。また、車両IDが付加されている。
3.本実施形態における効果
以上のような本実施形態によれば、制御システム12において、AVC系76から参照音RSを出力し、この参照音RSをANC系66からの打消音CSにより打ち消させることで、故障診断部50が、ANC系66の消音性能の異常を判定する。従って、当該消音性能の異常の判定を作業者を介さずに自動的に行うことが可能となる。
また、AVC系76からの参照音RSを擬似振動騒音としたため、車両10を走行させることなしに又はエンジン14を始動させることなしに、走行時の状況を再現してANC系66の故障を診断することが可能となる。
本実施形態において、参照音RSを表す第3制御信号Sc3は、複数の異なる固定周波数Fの正弦波信号である。これにより、参照音RSは複数の異なる固定周波数Fで出力され、ANC系66の消音性能をその制御周波数毎に評価することが可能となる。
本実施形態において、振動アクチュエータ32は、車両10のサブフレーム36に設置される。一般に、サブフレームには防振ゴムが配置されず、振動アクチュエータ32により振動音を出力することが容易である。従って、参照音RSを好適に出力することが可能となる。
本実施形態において、故障診断部50は、周囲温度Tcの上限閾値TH_t_h及び下限閾値TH_t_lを設定し(図2のS2)、周囲温度Tcが下限閾値TH_t_l以下又は上限閾値TH_t_h以上前記温度範囲外であるとき(S2:NO)、消音性能の異常の判定を行わない。これにより、ANC系66の故障診断に適した条件でのみ故障診断を行うことができ、故障診断に適さない条件であれば、作業者に周囲温度Tcの改善を求めることが可能となる。
また、故障診断部50は、エンジン回転数Neの閾値である回転数閾値TH_eを設定し(図2のS4)、エンジン回転数Neが回転数閾値TH_eを超えるとき(S4:NO)、消音性能の異常の判定を行わない。これにより、エンジン回転数Neが回転数閾値TH_eを超えるとき、作業者にエンジン14の停止を待つよう促すことが可能となる。
さらに、故障診断部50は、スピーカ26及び振動アクチュエータ32を作動させない状態における第1誤差信号e1の振幅Apの閾値である静粛性判定閾値TH_pを設定し(図2のS5)、振幅Apが静粛性判定閾値TH_pを超えるとき(S5:NO)、消音性能の異常の判定を行わない。これにより、車両10内部の静粛性が確保できないとき、作業者に故障診断の中止又は車両10周囲の騒音低減を促すことが可能となる。
[B.この発明の応用]
なお、この発明は、上記実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下に示す構成を採ることができる。
上記実施形態では、ANC系66は、エンジンこもり音を打ち消すものであったが、ロードノイズを打ち消すもの、又はエンジンこもり音及びロードノイズの両方を打ち消すものであってもよい。
上記実施形態では、ANC系66とAVC系76を1つのECU22で構成したが、ANC系66用のECUとAVC系76用のECUに分けて構成することもできる。
上記実施形態では、ANC系66とAVC系76を備える制御システム12において、AVC系76を用いてANC系66の消音性能の異常を判定したが、反対に、ANC系66を用いてAVC系76の制振性能の異常を判定することも可能である。すなわち、ANC系66から参照音RSを出力し、AVC系76からの打消振動CVに基づく打消音CSを出力することで、AVC系76の制振性能の異常を判定することもできる。或いは、ANC系66からの打消音CSにより打消振動CVを生成する構成であれば、ANC系66からの打消音CSに基づく参照振動RVを生成し、この参照振動RVをAVC系76からの打消振動CVにより打ち消すことで、AVC系76の制振性能の異常を判定することも可能である。
また、ANC系66とAVC系76の組合せの代わりに、複数のANC系66の組合せ、複数のAVC系76の組合せを用いることもできる。
また、上記実施形態では、スピーカ26、マイクロフォン28、振動アクチュエータ32及び振動センサ34をそれぞれ1つずつしか示していないが、発明の理解の容易化のためであり、ECU22の用途に応じて複数のスピーカ26、マイクロフォン28、振動アクチュエータ32及び振動センサ34を用いることもできる。その場合、その他の構成要素の数も適宜変更される。
上記実施形態では、参照音RSの周波数Fを複数設定したが1つでもよい。また、異なる周波数Fの参照音RSを順番に出力したが、例えば、調波を構成するものであれば(例えば、30Hzと60Hz)、同時に出力してもよい。さらに、参照音RSは正弦波ではなく、別の音(例えば、チャイム音、メロディ音、単音、和音、又は前記車両の走行状態を想起させる音)であってもよい。
上記実施形態では、振動アクチュエータ32をサブフレーム36に設けたが、これに限らない。例えば、振動アクチュエータ32を、車両10のボディパネル、テールゲート又はトランクのいずれかに設置してもよい。
上記実施形態では、周囲温度Tcの上限閾値TH_t_h及び下限閾値TH_t_lと、エンジン回転数Neの閾値である回転数閾値TH_eと、第1誤差信号e1の振幅Apの閾値である静粛性判定閾値TH_pとを設定したが(図2のS2、S4、S5)、いずれか1つ又は2つのみでもよく、また全く用いないことも可能である。さらに、別の基準により消音性能の異常の判定の可否を判定してもよい。
10…車両 12…能動型振動騒音制御システム
22…騒音/振動ECU(第1制御信号生成部、第2制御信号生成部)
26…スピーカ(第1出力部) 28…マイクロフォン(第1誤差検出部)
32…振動アクチュエータ(第2出力部) 34…振動センサ(第2誤差検出部)
36…サブフレーム
40…参照信号生成部(第1参照信号生成部、第2参照信号生成部)
50…故障診断部(故障診断装置) 60…第1適応フィルタ
62…第1参照信号補正部 64…第1フィルタ係数更新部
66…ANC系(第1能動型振動騒音制御装置)
70…第2適応フィルタ 72…第2参照信号補正部
74…第2フィルタ係数補正部
76…AVC系(第2能動型振動騒音制御装置)
Am1…ANC系66が作動していないときの第1誤差信号e1の振幅
Am2…ANC系66が作動しているときの第1誤差信号e1の振幅
CS…打消音(第1打消音) CV…打消振動(第2打消振動)
e1…第1誤差信号 e2…第2誤差信号
NZ…振動騒音 RS…参照音
Sb…参照信号(第1参照信号、第2参照信号)
Sc1…第1制御信号 Sc2…第2制御信号
Sc3…第3制御信号(参照音信号) Sr1…第1補正参照信号
Sr2…第2補正参照信号 Tc…周囲温度
TH_e…回転数閾値 TH_p…静粛性判定閾値
TH_t_h…周囲温度Tcの上限閾値 TH_t_l…周囲温度Tcの下限閾値
VN…振動 W1…第1フィルタ係数
W2…第2フィルタ係数

Claims (8)

  1. 車両に発生する振動騒音を打ち消す第1打消音又は前記車両に発生する振動を打ち消すことにより前記振動騒音を低減させる第1打消振動を表す第1制御信号を生成する第1制御信号生成部と、前記第1制御信号に基づいて前記第1打消音又は前記第1打消振動を出力する第1出力部とを有する第1能動型振動騒音制御装置と、
    前記振動騒音を打ち消す第2打消音又は前記振動を打ち消すことにより前記振動騒音を低減させる第2打消振動を表す第2制御信号を生成する第2制御信号生成部と、前記第2制御信号に基づいて前記第2打消音又は前記第2打消振動を出力する第2出力部とを有する第2能動型振動騒音制御装置と、
    前記第1能動型振動騒音制御装置の故障診断を行う故障診断装置と
    を備え、
    前記故障診断装置は、
    前記第1能動型振動騒音制御装置の消音性能を評価するための参照音を前記第2出力部により出力させると共に、前記第1能動型振動騒音制御装置を作動させて前記第1打消音又は前記第1打消振動に基づく第1振動音により前記参照音を打ち消させることで、前記第1能動型振動騒音制御装置の消音性能の異常を判定する
    ことを特徴とする能動型振動騒音制御システム。
  2. 請求項1記載の能動型振動騒音制御システムにおいて、
    前記第1能動型振動騒音制御装置は、前記参照音を表し前記第2出力部に入力される参照音信号に基づいて前記第1打消音又は前記第1打消振動を生成する
    ことを特徴とする能動型振動騒音制御システム。
  3. 請求項1又は2記載の能動型振動騒音制御システムにおいて、
    前記第1能動型振動騒音制御装置は、さらに、前記参照音と前記第1打消音又は前記第1振動音との誤差を検出し、当該誤差を示す第1誤差信号を出力する第1誤差検出部を備え、
    前記故障診断装置は、
    前記参照音が出力され前記第1打消音又は前記第1振動音が出力されていないときの前記第1誤差信号の振幅と、前記参照音及び前記第1打消音又は前記第1振動音が出力されているときの前記第1誤差信号の振幅とを比較することで前記第1能動型振動騒音制御装置の消音性能の異常を判定する
    ことを特徴とする能動型振動騒音制御システム。
  4. 請求項2又は請求項2に従属する請求項3記載の能動型振動騒音制御システムにおいて、
    前記参照音信号は、複数の異なる固定周波数の正弦波信号である
    ことを特徴とする能動型振動騒音制御システム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の能動型振動騒音制御システムにおいて、
    前記第1制御信号生成部は、前記第1打消音を表す第1制御信号を生成し、
    前記第1出力部は、前記第1制御信号に基づいて前記第1打消音を出力するスピーカであり、
    前記第2制御信号生成部は、前記第2打消振動を表す第2制御信号を生成し、
    前記第2出力部は、前記第2制御信号に基づいて前記第2打消振動を出力する振動アクチュエータである
    ことを特徴とする能動型振動騒音制御システム。
  6. 請求項5記載の能動型振動騒音制御システムにおいて、
    前記振動アクチュエータは、前記車両のサブフレーム、ボディパネル、テールゲート又はトランクのいずれかに設置される
    ことを特徴とする能動型振動騒音制御システム。
  7. 請求項3又は請求項3に従属する請求項4〜6のいずれか1項に記載の能動型振動騒音制御システムにおいて、
    前記故障診断装置は、
    前記消音性能の異常の判定の可否を判断するための温度範囲、前記消音性能の異常の判定の可否を判断するための前記車両のエンジン回転数又はモータ回転数の閾値である回転数閾値、及び前記消音性能の異常の判定の可否を判断するための前記誤差の閾値である誤差閾値の少なくとも1つを設定し、
    前記車両の周囲温度が前記温度範囲外であるとき、前記エンジン回転数若しくは前記モータ回転数が前記回転数閾値を超えるとき、又は前記誤差が前記誤差閾値を超えるとき、前記消音性能の異常の判定を行わない
    ことを特徴とする能動型振動騒音制御システム。
  8. 請求項1記載の能動型振動騒音制御システムにおいて、
    前記第1能動型振動騒音制御装置は、さらに、前記振動騒音と前記第1打消音との誤差又は前記振動と前記第1打消振動との誤差である第1誤差を検出し、当該第1誤差を示す第1誤差信号を出力する第1誤差検出部を備え、
    前記第2能動型振動騒音制御装置は、さらに、前記振動騒音と前記第2打消音との誤差又は前記振動と前記第2打消振動との誤差である第2誤差を検出し、当該第2誤差を示す第2誤差信号を出力する第2誤差検出部を備え、
    前記第1制御信号生成部は、
    前記振動騒音又は前記振動に基づく第1参照信号を生成する第1参照信号生成部と、
    前記第1参照信号に基づいて前記第1制御信号を生成する第1適応フィルタと、
    前記第1出力部から前記第1誤差検出部までの伝達特性に基づいて前記第1参照信号を補正して第1補正参照信号を出力する第1参照信号補正部と、
    前記第1誤差信号と前記第1補正参照信号とに基づいて前記第1誤差信号が最小となるように前記第1適応フィルタのフィルタ係数を逐次更新する第1フィルタ係数更新部と
    を備え、
    前記第2制御信号生成部は、
    前記振動騒音又は前記振動に基づく第2参照信号を生成する第2参照信号生成部と、
    前記第2参照信号に基づいて前記第2制御信号を生成する第2適応フィルタと、
    第2出力部から第2誤差検出部までの伝達特性に基づいて前記第2参照信号を補正して第2補正参照信号を出力する第2参照信号補正部と、
    前記第2誤差信号と前記第2補正参照信号とに基づいて前記第2誤差信号が最小となるように前記第2適応フィルタのフィルタ係数を逐次更新する第2フィルタ係数更新部と
    を備える
    ことを特徴とする能動型振動騒音制御システム。
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