JP2011137101A - カラーフィルター用非水系顔料分散体の製造方法 - Google Patents

カラーフィルター用非水系顔料分散体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット方式により製造されるカラーフィルター用に用いられる低粘度の非水系顔料分散体の製造方法、及びその方法によって得られる顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物を提供する。
【解決手段】有機顔料、高分子分散剤、及び沸点が170〜260℃の有機溶媒を、有機顔料と高分子分散剤からなる固形分濃度が30〜80重量%、かつ〔高分子分散剤/有機顔料〕の重量比が0.5〜2の条件下で混練し、混練物を得る工程(1)、得られた混練物を有機溶媒で希釈し、分散して顔料分散体を得る工程(2)、得られた顔料分散体から、顔料に未吸着の高分子分散剤の一部又は全部を除去する工程(3)を有する、インクジェット方式により製造されるカラーフィルター用非水系顔料分散体の製造方法、及びその方法によって得られる顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルター用非水系顔料分散体の製造方法、及びその方法によって得られる顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物に関する。
液晶表示装置に用いられるカラーフィルターは、顔料分散体に樹脂等を配合した着色組成物をガラス等の透明基板にスピンコーター等で塗布した後、露光・硬化、現像、熱硬化させるフォトリソ方式が行われていたが、生産性、製造装置の小型化の観点から、近年、インクジェット方式によるカラーフィルターの生産が盛んになっている。
インクジェット方式により製造されるカラーフィルターに用いられる顔料分散体は、吐出時のノズルの閉塞を防止するため、フォトリソ方式に用いられるものに比べ、高沸点の有機溶媒が用いられる。このような高沸点有機溶媒は一般的に粘度が高いものが多く、顔料分散体が高粘度になることが多い。しかし、ノズルでの吐出性を確保する必要性から、インクジェット方式により製造されるカラーフィルターに用いられる顔料分散体は、フォトリソ方式に用いられる顔料分散体と異なり、低粘度であることが求められている。
非水系顔料分散体の粘度に影響する有機溶媒以外の因子としては固形分濃度、すなわち顔料と分散剤の濃度がある。しかし、顔料濃度は必要とされる光学特性を維持するために低減することが難しいため、顔料分散体の粘度を低減する因子は分散剤濃度のみとなるが、一般に非水系では、分散剤量を、最終的に顔料の分散安定性が確保できる量に比べて過剰量で使用しなければ分散が進行しない。これは、分散剤が顔料に吸着するための推進力が分散剤の濃度であることによるものであり、この点が水系の顔料分散と大きく異なる点である。
以上の理由から、低粘度の非水系顔料分散体を調製するには、顔料に対する分散剤の過剰量を、できる限り少なくできる分散剤を開発するか、又は大過剰の分散剤量で分散した後に、過剰な分散剤を除去する以外に、適切な方法が存在しなかった。
特許文献1には、分散安定性、保存安定性等の改善を目的として、顔料と樹脂と該樹脂を溶解し得る有機溶剤とからなる顔料分散組成物であって、樹脂は、顔料に対して分散能を有する樹脂と分散能を有しない樹脂が特定割合で構成され、固形分比率、及び(樹脂/顔料)質量比が特定範囲にある顔料分散組成物100質量部に対して、有機溶剤80〜500質量部を添加して混合分散させるカラーフィルター用顔料分散液の製造方法が開示されている。しかしながら、この非水性顔料分散液は低粘度化が不充分である。
特許文献2には、保存安定性及び耐熱性の改善を目的として、顔料、顔料分散ポリマー、及び有機溶媒を含有する顔料分散体であって、顔料に未吸着のポリマー量が2重量%以下であるカラーフィルター用顔料分散体が開示されている。顔料に未吸着のポリマーを低減すれば若干低粘度化はするが、インクジェット法でカラーフィルターを製造する場合は、高沸点有機溶媒を用いるため顔料分散体の粘度は高粘度になり、未吸着ポリマーの低減による低粘度化の効果も充分でないという問題がある。
特開2006−111752号公報 特開2009−161692号公報
本発明は、インクジェット方式により製造されるカラーフィルター用に用いられる低粘度の非水系顔料分散体の製造方法、及びその方法によって得られる顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、有機顔料、高分子分散剤及び有機溶媒を、特定の固形分濃度と特定の〔高分子分散剤/有機顔料〕重量比の条件下で混練する工程等を有する方法によれば、前記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕及び〔2〕を提供する。
〔1〕下記工程(1)〜(3)を有する、インクジェット方式により製造されるカラーフィルター用非水系顔料分散体の製造方法。
工程(1):有機顔料、高分子分散剤、及び沸点が170〜260℃の有機溶媒を、有機顔料と高分子分散剤からなる固形分濃度が30〜80重量%、かつ〔高分子分散剤/有機顔料〕の重量比が0.5〜2の条件下で混練し、混練物を得る工程
工程(2):得られた混練物を有機溶媒で希釈し、分散して顔料分散体を得る工程
工程(3):得られた顔料分散体から、顔料に未吸着の高分子分散剤の一部又は全部を除去する工程
〔2〕前記〔1〕の製造方法によって得られる非水系顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物。
本発明によれば、インクジェット方式により製造されるカラーフィルターに用いられる低粘度の非水系顔料分散体の効率的な製造方法、及びその方法によって得られる顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物を提供することができる。
本発明の、インクジェット方式により製造されるカラーフィルター用非水系顔料分散体の製造方法は、下記工程(1)〜(3)を有することを特徴とする。
工程(1):有機顔料、高分子分散剤、及び沸点が170〜260℃の有機溶媒を、有機顔料と高分子分散剤からなる固形分濃度が30〜80重量%、かつ〔高分子分散剤/有機顔料〕の重量比が0.5〜2の条件下で混練し、混練物を得る工程
工程(2):得られた混練物を有機溶媒で希釈し、分散して顔料分散体を得る工程
工程(3):得られた顔料分散体から、顔料に未吸着の高分子分散剤の一部又は全部を除去する工程
以下、本発明に用いられる各工程、各成分等について説明する。
<有機顔料>
本発明に用いられる有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
赤系有機顔料としては、例えば、アゾ系顔料、ジアゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、アゾレーキ顔料、キナクリドン顔料、ペリレン系顔料、アンスラキノン系顔料、ジケトピロロロピロール系顔料等が挙げられる。
より具体的には、Colour Index(The Society of Dyersand Colourists 出版、1997年版)でピグメント(Pigment)に分類されている化合物等が挙げられる。例えば、C.I.ピグメント イエロー12、同13、同14、同17、同20、同24、同31、同55、同74、同83、同93、同97、同109、同110、同120、同128、同137、同139、同151、同153、同154、同155、同166、同168、同173、同174、同180、C.I.ピグメント オレンジ36、同43、同51、同71、同73; C.I.ピグメント レッド9、同48、同57:1、同97、同122、同123、同146、同149、同176、同177、同180、同184、同185、同188、同202、同215、同254、同255、同264、同270、同272; C.I.ピグメント バイオレット19、同23、同29; C.I.ピグメント ブルー15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同16、同60; C.I.ピグメント グリーン7、同36; C.I.ピグメント ブラウン23、同25; C.I.ピグメント ブラック1、同7等が挙げられる。
これらの中では、本発明の効果をより有効に発現させる観点から、下記一般式(1)で表される、C.I.ピグメント レッド254、同255等のジケトピロロピロール系顔料が特に好ましい。
Figure 2011137101
(式中、X1及びX2は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y1及びY2は、それぞれ独立して、水素原子又は−SO3H基を示す。)
一般式(1)におけるX1及びX2のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられる。
一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料の製造方法に特に制限はない。例えば、ベンゾニトリル又はハロゲン化ベンゾニトリルとブロモ酢酸エステル等のハロゲン化酢酸エステルを、亜鉛粉末等の還元剤の存在下で反応させることにより、又は得られた化合物を更にスルホン化することにより製造することができる。
ジケトピロロピロール系顔料の市販品としては、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、PR−254、商品名「Irgaphor Red BK−CF」、「Irgaphor Red BT−CF」、「Irgazin DPP Red BO」、「Irgazin DPP Red BL」、「Cromophtal DPP Red BP」、「Cromophtal DPP Red BOC」等が挙げられる。
上記の顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、顔料表面に対して有機溶媒との親和性を高め、分散安定性を高めるという観点から、樹脂や高分子、顔料誘導体等により予め表面処理を施した顔料を用いてもよく、顔料組成物中に含有させて分散処理を行ってもよい。
さらに、必要に応じて、無機顔料と体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。無機黒色顔料としてはカーボンブラック、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。色相は特に限定されるものではなく、赤色、黄色、青色、オレンジ、緑色、バイオレット等の有彩色顔料や白色顔料を用いることができる。
<高分子分散剤>
本発明で用いられる高分子分散剤は、顔料を有機溶媒中で安定に微細化した状態で分散させうるものであればよく、公知の高分子分散剤を使用することができる。高分子分散剤は、流動性を有するものであるか、又は予め有機溶媒により膨潤又は溶解し、流動性を有する状態にしたものであることが好ましい。高分子分散剤は、カラーフィルター等を形成する場合はバインダーとしての働きも有すると考えられる。
また、高分子分散剤は、該高分子を105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるものが好ましい。溶解量は、高分子が塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、高分子の塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
高分子分散剤としては、例えば、特開平3−277673号公報、特開平10−339949号公報、特表2003−517063号公報等に記載の主鎖にアミド系骨格を有し、側鎖がメタクリル酸エステルによるマクロモノマーからなるグラフトポリマー;特公平7−96654号公報、特開平7−207178号公報等に記載の脂肪族ヒドロキシカルボン酸残基を有するポリエステル系オリゴマー;オルガノシロキサンポリマー(信越化学工業株式会社製、KP341、KP575等);(メタ)アクリル酸系(共)重合体(共栄油脂化学工業株式会社製、ポリフローNo.75、90、95等);その他市販品として、ゼネカ社製のソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、20000、24000、26000、28000等の各種ソルスパース分散剤、味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーPB−821、PB−822、PB−880〔組成(重量比):ポリアリルアミン/ポリカプロラクトン=5/95、Mw:8,000〕、三洋化成株式会社製のイソーネットS−20、ビックケミー・ジャパン株式会社製のDISPERBYK−161、DISPERBYK−2001等が挙げられる。
特に、少なくとも顔料に吸着性を有するモノマーを含む構成単位と、有機溶媒に親和性を有するモノマーを含む構成単位からなるグラフトポリマーが、分散安定性を向上する観点から好ましい。これらは顔料や有機溶媒種により適宜選択して用いることができる。
例えば、顔料としてジケトピロロピロール系顔料、有機溶媒をBCAとした場合、主鎖にアミド基を有し、側鎖がマクロモノマーからなるグラフトポリマーが好ましく、より具体的には、主鎖にアミド基を有するモノマー由来の構成単位を有し、側鎖にメタクリル酸エステルのマクロマー由来の構成単位を有するグラフトポリマー(x)や、主鎖にメタクリル酸エステルマクロマー由来の構成単位を有し、側鎖にポリオキサゾリン由来の構成単位を有するグラフトポリマー(y)等が好ましい。
これらの中では、前記のグラフトポリマー(x)がより好ましい。
〔グラフトポリマー(x)〕
グラフトポリマー(x)は、下記の主鎖と側鎖とを有するものが特に好ましい。
主鎖:N−ビニル−2−ピロリドン由来の構成単位(a)と、水酸基含有モノマー由来の構成単位(b)とを含有し、グラフトポリマー(x)中の該構成単位(a)の含有量が2〜30重量%、該構成単位(b)の含有量が5〜30重量%である。
側鎖:数平均分子量が800〜4,000であるアルキル(メタ)アクリレート系マクロマー由来の構成単位(c)を含有し、グラフトポリマー(x)中の該構成単位(c)の含有量が65〜92重量%である。
グラフトポリマー(x)中の構成単位(a)、(b)及び(c)の含有量は、グラフトポリマー(x)を製造する際の構成単位(a)、(b)及び(c)それぞれに相当するモノマーの仕込み量に相当する。
グラフトポリマー(x)の主鎖が、N−ビニル−2−ピロリドン由来の構成単位(a)を含有することにより、顔料の分散性に優れたものになると考えられる。その観点から、グラフトポリマー(x)中の該構成単位(a)の含有量は2〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。該構成単位(a)の含有量が2重量%以上であれば、顔料に十分に吸着することができ、顔料の分散性の向上に寄与することができ、構成単位(b)と(c)とのバランスの観点から、その上限が30重量%以下であれば本発明の効果を有効に発現できる。
グラフトポリマー(x)の主鎖に含有される構成単位(b)を形成する水酸基含有モノマーとしては、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
CH2=C(R1COO(R2O)nH (2)
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、R2はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、nは平均付加モル数を示し、1〜60の数である。)
式(2)において、R1の好適例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基等が挙げられ、R2のヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子及び硫黄原子が挙げられる。nは好ましくは1〜30の数である。
2O基の好適例としては、オキシエチレン基、オキシトリメチレン墓、オキシプロパン−1,2−ジイル基、オキシテトラメチレン基、オキシヘプタメチレン基、オキシヘキサメチレン基及びこれらの2種以上の組合せからなる炭素数2〜7のオキシアルカンジイル基(オキシアルキレン基)が挙げられる。
水酸基含有モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ。)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、顔料分散体の粘度安定性に優れる観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
グラフトポリマー(x)の主鎖が、水酸基含有モノマー由来の構成単位(b)を含有することにより、顔料分散体の粘度安定性が向上するものと考えられる。その観点から、グラフトポリマー(x)中の該構成単位(b)の含有量は5〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。該構成単位(b)の含有量が5重量%以上であれば、十分な粘度安定性に寄与することができ、構成単位(b)と(c)とのバランスの観点から、その上限が30重量%以下であれば本発明の効果を有効に発現できる。
また、グラフトポリマー(x)の側鎖が、数平均分子量が800〜4000であるアルキル(メタ)アクリレート系マクロマー由来の構成単位(c)を含有することにより、(A)有機顔料の分散性を向上し、顔料分散体の低粘度化に寄与しうると考えられる。その観点から、グラフトポリマー(x)中の該構成単位(c)の含有量は65〜92重量%であり、好ましくは65〜85重量%であり、より好ましくは65〜80重量%である。該構成単位(c)の含有量が65重量%以上であれば、(A)有機顔料を十分に分散させることができ、構成単位(b)と(c)とのバランスの観点から、その上限が92重量%以下であれば本発明の効果を有効に発現できる。
本発明のグラフトポリマーの側鎖に含有される構成単位(c)を形成するアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーは、アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有し、その片末端に重合性官能基を有するものである。アルキル(メタ)アクリレート系マクロマー由来の構成単位(c)を含有する側鎖は、この片末端に重合性官能基を有するアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーを共重合することにより得ることができ、該構成単位(c)は、側鎖に1種又は2種以上含まれていてもよい。
その具体例としては、片末端に重合性官能基を有する、アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体、又は片末端に重合性官能基を有する、アルキル(メタ)アクリレートと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、顔料分散体の低粘度化を促進する観点から、好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するものが好ましい。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、及び(イソ)プロピル(メタ)アクリレートが特に好ましい。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、本明細書にいう「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの双方を意味する。
アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートと共重合する他のモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマーや、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート系マクロマー中、アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量は、80重量%以上が好ましく、90重量%以上が更に好ましく、実質的に100重量%が特に好ましい。「実質的に」とは、不純物程度の量の他のモノマー由来の構成単位を含有してもよいことを意味する。
アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの数平均分子量は、顔料分散体の低粘度化を促進する観点から、800〜4,000であり、好ましくは1,000〜3,500であり、より好ましくは1,500〜3,000である。その数平均分子量が800以上であれば、十分な立体反発を生じて分散性を向上させることができ、4,000以下であることが顔料分散体の低粘度化に適している。
なお、アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのラウリルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー(GPC)法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定することができる。
〔グラフトポリマー(x)の製造〕
グラフトポリマー(x)は、N−ビニル−2−ピロリドン、水酸基含有モノマー、及びアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーを含有するモノマー混合物(以下、「モノマー混合物」という)を共重合して得ることが好ましい。モノマー混合物には、本発明を損なわない範囲内で、更にアルキル(メタ)アクリレート等を含有していてもよい。
モノマー混合物中におけるN−ビニル−2−ピロリドンの含有量は、顔料分散体中の(A)有機顔料の分散安定性の観点から、2〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。
モノマー混合物中における水酸基含有モノマーの含有量は、顔料分散体中の(A)有機顔料の分散安定性の観点から、5〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。
モノマー混合物中におけるアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの含有量は、顔料分散体中の(A)有機顔料の分散安定性を向上させる観点から、65〜92重量%であり、好ましくは65〜85重量%であり、より好ましくは65〜80重量%である。
グラフトポリマー(x)は、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、前記モノマー混合物を共重合させることによって製造することができる。これらの重合法の中では、顔料分散体に有機溶媒を用いる観点から、溶液重合法が好適である。
溶液重合法で用いる有機溶媒としては、グラフトポリマーと親和性の高い有機溶媒が好ましく、前記の有機溶媒を用いることができる。
重合の際には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、tert−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルペルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モル当たり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加することができる。
モノマー混合物の重合条件は、使用する重合開始剤、モノマー、有機溶媒の種類等によって異なるが、重合温度は、通常30〜100℃、好ましくは50〜80℃であり、重合時間は、重合温度等の条件により異なり一概に決めることはできないが、通常1〜20時間程度である。また、重合雰囲気は、窒素ガスやアルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離法、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
得られるグラフトポリマー(x)の重量平均分子量(Mw)は、顔料分散体中の(A)有機顔料、特にジケトピロロピロール系顔料の分散安定性を向上させる観点から、5,000〜200,000が好ましく、5,000〜100,000が更に好ましく、6,000〜70,000が特に好ましい。なお、ポリマーの重量平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのラウリルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー(GPC)法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
<有機溶媒>
本発明で用いられる有機溶媒は、カラーフィルターをインクジェット法により製造する場合におけるノズルの閉塞防止と、最終的に有機溶媒を蒸発させて乾燥固化する際の乾燥条件の観点から、沸点が170〜260℃のものである。この有機溶媒は、工程(2)で分散処理を行う条件下で液状の有機溶媒であることが好ましい。
沸点が170〜260℃の有機溶媒の好適例としては、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、ジイソブチルケトン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、ジアセトンアルコール等のケトン類、酢酸メトキシブチル、乳酸ブチル等のエステル又はエーテル類、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル又はエーテルアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジヒドロキジエチルエーテル、1,2−ジヒドロキシプロパン等のグリコール類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類、及び下記一般式(3)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2011137101
(式中、R3及びR4は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、R5は水素原子又はメチル基を示す。)
一般式(3)において、R3及びR4の炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基が挙げられる。これらの中では、メチル基及びエチル基が好ましい。
一般式(3)で表される化合物としては、例えば、(i)エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート(BCA)等のアルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテート、(ii)プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等のアルカンジイルグリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
これらの中では、高分子分散剤の溶解性又は分散性と、有機顔料、特にジケトピロロピロール系顔料の分散性の観点から、アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテートが好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート(BCA)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)がより好ましい。
上記の有機溶媒は、一種単独で、又は二種以上を混合して用いることができる。
<非水系顔料分散体の製造>
本発明のンクジェット方式により製造されるカラーフィルター用非水系顔料分散体の製造方法においては、下記の工程(1)〜(3)を行う。
工程(1):有機顔料、高分子分散剤、及び沸点が170〜260℃の有機溶媒を、有機顔料と高分子分散剤からなる固形分濃度が30〜80重量%、かつ〔高分子分散剤/有機顔料〕の重量比が0.5〜2の条件下で混練し、混練物を得る工程
工程(2):得られた混練物を有機溶媒で希釈し、分散して顔料分散体を得る工程
工程(3):得られた顔料分散体から、顔料に未吸着の高分子分散剤の一部又は全部を除去する工程
〔工程(1):混練工程〕
工程(1)は、有機顔料、高分子分散剤、及び沸点が170〜260℃の有機溶媒を、有機溶媒の濃度が20〜70重量%、かつ〔高分子分散剤/有機顔料〕の重量比が0.5〜2の条件下で混練し、混練物を得る混練工程である。
混練に用いる混練装置に特に限定はなく、一般的なブレード形混練機を用いることができる。代表的なブレード形混練機としては、(i)ニーダ、オーガ混練機、ヘリカルロータ等の高粘性用混練機、(ii)パドルミキサ、ミックスマスタ、リボンミキサ、スクリューミキサ、ジグザグミキサ、タービュレントミキサ、マルチミックス、コンクリートミキサ、スパイラルフローミキサ、サーマルプロセッサ、ホーバーグミキサ、フードミキサ等の中速・横軸混練機、(iii)スパイラルミキサ、プラネタリーミキサ、クッキングミキサ、ポニーミキサ、ペースマスタ、ユニミックス、真空逆流ミキサ、ナウタミキサ、ボルテックスミキサ、ハイスラッジャ、ウェイストミキサ、ギロミキサ、アイリッヒミキサ、ファインミキサ、コントラミックス等の中速・縦軸混練機が挙げられる。特に、混練物が高粘度領域の場合はニーダが好ましく、また低粘度領域の場合は処理能力(1バッチ当たりの処理量)の向上と良好な混合性の両立が可能である点から、スパイラルミキサやプラネタリーミキサが好ましい。
原料の種類や組み合わせによっては、混練開始における原料、すなわち顔料、高分子分散剤、有機溶媒の混和性が悪く、撹拌軸や撹拌翼に原料が絡まない問題が起こりうる。このような場合は、原料を強制的に撹拌軸に押し付けながら混練する加圧ニーダ等が好ましい。
ニーダの例としては、シグマニーダ(佐竹化学機械工業株式会社、株式会社トーシン、不二パウダル株式会社等、商品名)、2軸加圧ニーダ(株式会社トーシン、商品名)、双腕型ニーダ、加圧双腕型ニーダ(以上、株式会社森山製作所、商品名)、KRCニーダ(株式会社栗本鐵工所、商品名)、バタフライミキサ(株式会社井上製作所、商品名)、HKS、HKD(以上、IKA社、商品名)等が挙げられる。また、スパイラルミキサーやプラネタリーミキサーの例としては、プラネタリーミキサ(株式会社井上製作所、浅田鉄工株式会社等、商品名)、トリミックス、RDミキサ(以上、株式会社井上製作所商品名)等が挙げられる。
混練機への原料の仕込みは、各原料を混練機にそれぞれ直接に仕込むことができるが、混練機の外で予め混合したものを混練機に仕込むこともできる。各原料を混練機にそれぞれ直接に仕込む場合、各原料の仕込み順序には特に制限はない。
高分子分散剤の仕込み時は、高分子分散剤が100重量%の固体又は液体を用いることができるが、高分子分散剤が固体又は極めて高粘度の液体の場合、原料の混合時又は混練開始時に、原料の混和性が悪い等の問題が起こりうる。このため、高分子分散剤を予め有機溶媒により膨潤又は溶解、更に希釈することにより流動性を向上し、混和性を高めることができる。
有機溶媒による膨潤又は溶解又は希釈後の液体中の高分子分散剤の濃度は、配合比率を自由に設定するための自由度の点からは高い方が好ましいが、混和性向上の観点からは90重量%以下が好ましく、混和性向上の観点から80重量%以下が好ましく、70重量%以下が更に好ましい。
混練物が高粘度の場合、混練中に摩擦熱等により温度が上昇し、原料の品質に熱劣化等の悪影響が生じる可能性があるため、混練機には、冷却ジャケットに冷却水等の冷媒を通液する等の冷却機構があるものが好ましい。冷却する温度は、混練物の温度に応じて判断する必要がある。混練物の温度は、高過ぎると高分子分散剤や顔料や有機溶媒の熱劣化の懸念があり、低過ぎると混練物が極めて高粘度になり撹拌の過負荷が発生することや、結露により水分が混入する等の懸念がある。よって、混練中の混練物の温度は0〜120℃が好ましく、撹拌動力の安定化や原料の熱劣化防止の観点から5〜100℃が好ましい。
原料の混合物における有機顔料と高分子分散剤からなる固形分濃度は、顔料への分散剤の吸着を促進させるのに充分に高い分散剤濃度を確保する観点から、30重量%以上であり、顔料の濡れ性向上や原料同士の混和性向上、更に高粘度化抑制の観点から、80重量%以下である。すなわち、有機顔料と高分子分散剤からなる固形分濃度は30〜80重量%であり、有機溶媒の濃度は70〜20重量%である。更に生産性向上の観点から、有機顔料と高分子分散剤からなる固形分濃度は40〜79重量%が好ましく、50〜77重量%がより好ましく、有機溶媒の濃度は60〜21重量%が好ましく、50〜23重量%がより好ましい。
〔高分子分散剤/有機顔料〕の重量比は、顔料表面に不足なく吸着させるため、0.5以上であり、過剰な高分子分散剤を除去する際の負担軽減の観点から、2以下である。また、生産性向上の観点から、〔高分子分散剤/有機顔料〕の重量比は、0.55〜1.75が好ましく、0.6〜1.5がより好ましい。
一般に、非水系の顔料分散では、最終的に顔料の分散安定性が確保される分散剤量に比べ過剰な分散剤を使用しなければ分散が進行しない。これは、分散剤が顔料へ吸着するための推進力が分散剤の濃度であることが原因である。この分散剤の濃度が推進力になるところが、水系の顔料分散と大きく異なる点である。
水系の顔料分散では、分散剤が顔料へ吸着するための推進力は、分散剤と顔料の静電相互作用であり、大きな濃度差は必要としない。したがって、非水系と水系では、顔料に対する最適な分散剤量の考え方は大きく異なり、非水系の分散において水系での最適な分散剤量を参考にすることはできない。
混練時間は特に限定されないが、充分に混合が進行する必要性と生産能力の確保の必要性から、0.1〜48時間が好ましく、0.5〜24時間がより好ましい。混合性が不十分な場合は動力が変動しやすく、混合性が進むにつれて動力が安定する傾向があるため、動力の安定性を混合性の指標として撹拌動力をモニタリングすることが有効である。
混練工程では、有機溶媒を低減することにより有機溶媒中の分散剤濃度を高め、顔料への吸着を促進する効果、さらに顔料表面に分散剤を、より好ましい状態で吸着させる効果がある。これらの効果により、顔料分散体の粘度を著しく低減することが可能となる。
〔工程(2):分散工程〕
工程(2)は、工程(1)で得られた混練物を有機溶媒で希釈し、分散して顔料分散体(以下、「顔料分散体(1)」ともいう)を得る分散工程である。
分散方法としては、メディアミル分散機を用いて、撹拌・混合によるせん断力・摩擦力、メディア同士の衝撃力等により、粒子を解砕・粉砕する方法が挙げられる。
用いることのできる分散装置としては、スターミル(アシザワ・ファインテック株式会社、商品名)、ウルトラアペックスミル(寿工業株式会社、商品名)、ピコミル(淺田鉄工株式会社、商品名)、DCPスーパーフロー、コスモ(日本アイリッヒ株式会社、商品名)、MSCミル(三井鉱山株式会社、商品名)等のビーズミル、ペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社、商品名)が、顔料の小粒子径化の観点から好ましい。また更に、高圧分散を行ってもよい。
高圧分散装置としては、高圧ホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリ、商品名)、ミニラボ8.3H型(Rannie社、商品名)に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社、商品名)、ナノマイザー(ナノマイザー株式会社、商品名)、アルティマイザー(スギノマシン株式会社、商品名)、ジーナスPY(白水化学株式会社、商品名)、DeBEE2000(日本ビーイーイー株式会社、商品名)等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。これらの中では、顔料(A)の微細化の観点から、ペイントシェーカーやビーズミル及び高圧ホモジナイザーが好ましい。
工程(2)では、混練物に有機溶媒及び必要に応じて高分子分散剤を追加して行う。追加する有機溶媒及び高分子分散剤は、工程(1)で使用したものと同じものを使用することができるが、それ以外のものを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
工程(2)における分散体中の顔料の量は、分散時の生産性を向上させる観点から、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上である。また、分散時のハンドリング性を確保する観点から、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下、更に好ましくは40重量%以下である。
工程(2)における分散体中の高分子分散剤の量は、分散安定性を向上させる観点から、分散処理過程で不足することのない添加量とすることが好ましい。具体的には、顔料重量に対して、5重量%以上、好ましくは7重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。また、分散体の適度な粘度が得る観点から、顔料重量に対して、200重量%以下、好ましくは100重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。
工程(2)における分散体中の溶媒の量は、顔料濃度や高分子分散剤、その他添加剤を除いた量であり、分散処理時の操作性を向上させる観点から、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上である。
〔工程(3):精製工程〕
工程(3)は、工程(2)で得られた顔料分散体(1)から、顔料に未吸着の高分子分散剤の一部又は全部を除去する精製工程である。
顔料に吸着していない高分子分散剤を除去する方法としては、顔料分散体を、遠心分離処理又はろ過処理する方法が挙げられる。この遠心分離処理又はろ過処理によって、顔料に未吸着の高分子分散剤の含有量を低減し、顔料分散体を精製することができる。以下、工程(3)で得られた顔料分散体を「顔料分散体(2)」ともいう。
(遠心分離処理)
遠心分離処理においては、工程(2)で得られた顔料分散体を、遠心分離機を用いて遠心分離し、液分と固形分とに分離し、液分を除去して固形分を回収する。顔料に未吸着の高分子分散剤は液分(有機溶剤)中に存在するため、遠心分離中ないし遠心分離後に、液分(上澄み液)の全部又は一部を除去することにより、顔料に未吸着の高分子分散剤を適切に取り除くことができる。また、回収される固形分は、主として高分子分散剤が顔料に吸着した粒子からなり、遠心分離後にスラリー状ないしケーキ状となって、遠心分離機の側壁ないし底部に残存しているので、容易に回収することができる。
液分を除去して固形分を回収し、顔料に未吸着の高分子分散剤を除去することで、得られる顔料分散体の粘度を低減することができる。
用いることのできる遠心分離機に特に制限はなく、例えば、丸善株式会社発行、化学工学会編「化学装置便覧」改訂二版第2刷(798頁参照)等に記載されている遠心沈降管型、円筒型、分離板型、バスケット型、スクリデカンター型等の遠心分離機を用いることができる。これらの中では、品種切り替え時の洗浄を容易に行うことができる等の操作性の観点から、バスケット型遠心分離機が好ましく、無孔壁バスケット型遠心分離機がより好ましく、特に、特開2003−93811号公報等に記載されているような、上澄み液にノズルを挿入し、該上澄み液を排出させる機能(スキミング機能)を備えているバスケット型遠心分離機が、上澄み液を連続的に排出することができるとともに、効率よく遠心分離を行うことができることから好ましい。
無孔壁バスケット型遠心分離機の市販品としては、例えば、株式会社関西遠心分離機械製作所製のKBS型、タナベウィルテック株式会社製のS型の遠心分離機等が挙げられる。
遠心分離機の運転方法にも特に制限はない。(i)原液分散体を供給しながら分離液層を排出する連続式、及び(ii)原液分散体を供給した後、分離液層が形成されたところで該液層を排出するバッチ式のいずれの運転方法であってもよい。
遠心分離処理における遠心加速度としては、分散工程で発生した顔料に吸着していない不安定な水不溶性高分子分散剤の含有量を低減させるとともに、顔料粒子同士の凝集を抑制することによって保存安定性を高める観点から、1,000G以上が好ましく、1,500G以上がより好ましく、2,000G以上が更に好ましい。一方、固形分の損失を抑制して歩留りを高めるとともに、遠心分離機の耐久性を高める観点から、60,000G以下が好ましく、40,000G以下がより好ましく、30,000G以下が更に好ましい。これらの観点から、1,000〜60,000Gが好ましく、1,500〜40,000Gがより好ましく、2,000〜30,000Gが更に好ましい。
なお、遠心加速度は、下記式に基づいて求められるa値を、重力加速度(9.8m/s2)で除した値を用いる。
a[m/s2]=N2×π2×r/900
〔式中、Nは回転速度(min-1)、rは回転半径(m)、πは円周率を示す〕
遠心加速度と処理時間との積としては、前記遠心加速度の好適範囲の理由と同様の観点に吐出信頼性及び印字濃度を高める観点から、5,000〜50,000G・hrが好ましく、10,000〜40,000G・hrがより好ましく、15,000〜30,000G・hrが更に好ましい。
(再分散処理)
遠心分離処理後は、必要に応じて、得られた固形分を再分散処理する工程を行うことができる。再分散処理は、顔料の凝集体を解砕・安定化することを目的とする。顔料は、微粒化に伴って、表面積、表面エネルギーが増加し、この表面エネルギーを低下させようとして顔料は再凝集を始めることから、この顔料を更に解砕し、顔料粒子を安定化するため、再分散処理を行うことが好ましい。
再分散処理には、ホモジナイザーを使用することができる。ホモジナイザーは、その高衝撃力と瞬間的な高圧を伴うキャビテーション現象を発現することで、顔料凝集体を解砕し、再凝集を抑制することにより、粗粒(顔料凝集体)を低減し、顔料粒子を安定化させることができると考えられる。
ホモジナイザーとしては、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等が挙げられる。超音波ホモジナイザーを使用する場合は、真空引き、脱泡、脱気を行ってから分散処理することが望ましい。また、投入する分散エネルギーの使用効率の観点からは、高圧ホモジナイザーがより好ましい。
用いることのできる市販の高圧ホモジナイザーとしては、前記のものが挙げられる。
顔料粒子の再凝集を抑制し分散安定化を図る観点からは分散圧力は20MPa以上であることが好ましく、50MPa以上がより好ましい。また、同様の観点から、処理パス数は少なくとも1パス以上、好ましくは3パス以上、より好ましくは5パス以上である。パスさせる運転方式としては、循環方式、連続方式があり、パス回数分布が生じにくい観点から連続方式がより好ましい。
分散処理時の温度は特に限定されないが、5〜80℃が好ましい。
(ろ過処理)
ろ過処理の方式は特に制限はなく、全量ろ過方式でもクロスフローろ過方式でもよいが、供給する分散体中の懸濁物質等が膜面に堆積するのを防止等の観点から、クルスフローろ過方式が好ましい。用いるろ過膜の孔径としては、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、逆浸透膜(RO膜)、ナノフィルター(NF膜)等の孔径域を使用し得る。ろ過膜の孔径は、好ましくは1〜50nm、より好ましくは2〜30nm、更に好ましくは3〜20nmである。
用いられるろ過膜としては、有機溶媒及び温度により劣化しないものであれば特に限定されない。例えば、セルロース膜、304及び316ステンレススチール膜、漂白コットン膜、ポリスルホン(PS)膜、ポリプロピレン(PP)膜、ポリエーテルサルフォン(PES)膜、ポリエチレンテレフタレート(PET)膜、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)膜、ポリカーボネイト(PCTE)膜、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)等の各種の材料を主原料とするろ過膜が挙げられる。これらの中でも、ポリスルホン(PS)膜、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)膜、ポリエーテルサルフォン(PES)膜、ポリエチレンテレフタレート(PET)膜、ポリフッ化ビニルデン膜及びポリカーボネイト(PCTE)膜が好ましく、ポリエーテルサルフォン(PES)膜が更に好ましい。
精密ろ過に用いられるろ過膜としては、ろ材の内部で異物を捕捉するデプスタイプ(厚みろ過型)や、ろ材の表面で異物を捕捉するサーフェスタイプ(面ろ過型)が挙げられる。精密ろ過に用いられるろ過膜の市販品としては、サーフェスタイプについては、エポセル(株式会社日本触媒製)、ポールセル(日本ポール株式会社製)等のセルロース膜、リジメッシュ(日本ポール株式会社製)等の304ステンレススチール膜、ミクロピュア(ロキテクノ株式会社製)等のポリプロピレン膜、サスピュア(ロキテクノ株式会社製)等の316ステンレススチール膜、TCP、TCPE、TC(東洋濾紙株式会社製)等のポリプロピレン膜が挙げられる。また、デプスタイプについては、プロファイル(日本ポール株式会社製)等のポリプロピレン膜、マイクロシリア(株式会社ロキテクノ製)等の漂白コットン、ダイア、ダイアII(P)、ダイアII(C)、ピュアロン、シリアクリーン、SL、SLN、グラスロン等のポリプロピレン膜、TCPD、TCW−PP、TCW−CS、TCW−EP(東洋濾紙株式会社製)等のポリプロピレン膜が挙げられる。
限外ろ過は、加圧又は減圧下で行うが、用いられるろ過膜の市販品としては、例えば、NTUシリーズの商品名:2020、2120、3520、3150、3006、3050、3250、3550、4208、4220、NFSシリーズの商品名:100、101、103、NTM−9002、RS−30(日東電工株式会社製)等のポリスルホン膜、AIP−0013、ACP−0013、ACP−0053、AHP−0013、AIVシリーズの商品名:3010、5010、ACVシリーズの商品名:3010、3050、5010、5050、SIW−3054、SEP−0013、SAP−0013、SIP−0013、SLP−0053、マイクローザ(旭化成工業株式会社製)等のポリフッ化ビニルデン膜、ミニクロス、クロスフロモジュール(東洋紡績株式会社製)等のポリプロピレン膜、ミリポア社製の限外濾過モジュール(Pellicon 2、PES膜)が挙げられる。
膜の形状としては、中空糸状型、管型、平板型、モノリス型等が挙げられ、分散体を流す方式としては、内圧ろ過方式でも外圧ろ過方式でもよい。
上記の中では、限外ろ過膜を用いたクルスフローろ過方式がより好ましい。また、有機溶媒を加えながらろ過する透析ろ過(ダイアフィルトレーション)方式も好ましい。
ろ過温度を上げることにより分散体が減粘し、ろ過効率が上昇する。ろ過温度としては10〜150℃が好ましく、より好ましくは25〜125℃、さらに好ましくは40〜100℃である。
本発明においては、遠心分離処理又はろ過処理により、顔料に吸着していない高分子分散剤を除去するが、粘度を低減させる観点から、分散体中の顔料に吸着していない高分子分散剤の濃度は、好ましくは1.8重量%以下、より好ましくは1.5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下であり、未吸着の高分子分散剤が存在しないことが更に好ましい。また、その下限は特に制限はないが、生産性及び保存安定性の観点から、0.01重量%以上が好ましい。
以下の実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。なお、実施例及び比較例で得られた顔料分散体の平均粒径と粘度の測定は、以下の方法により行った。
(1)平均粒径
顔料分散体の調製直後の粒径を、マルバーン社製のゼータサイザー(粒子径、ゼータ電位、分子量測定装置)を用いて測定した。
(2)粘度
顔料分散体の調製直後の粘度を、E型粘度計〔測定温度:20℃、測定時間:1分、回転数:20rpm、標準ローター(1°34′×R24)〕を用いて測定した。
(3)顔料に未吸着の高分子分散剤の濃度
顔料分散体40部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート(BCA)80部で希釈し、遠心分離機(日立工機株式会社製、himac CP56G)を用いて約50000Gで24時間遠心分離した後、上澄み液中の固形分を未吸着高分子分散剤として測定し、下記式により未吸着高分子分散剤量(濃度)を算出した。
未吸着高分子分散剤の濃度(%)=[未吸着高分子分散剤比率]×[分散体中の高分子分散剤濃度]
なお、未吸着高分子分散剤比率は、下記式より求められる。
未吸着高分子分散剤比率(%)=[(上澄み液中の固形分比率/遠心分離前の顔料分散体中の高分子分散剤比率)]×100
ここで、上澄み液中の固形分比率は、上澄み液をアルミカップに1g精秤し、150℃のオーブン中で12時間真空乾燥した後の重量から測定でき、下記式より求められる。
上澄み液中の固形分比率(%)=(乾燥後の総重量−アルミカップ重量)/(乾燥前の総重量−アルミカップ重量)×100
また、遠心分離前の顔料分散体中の高分子分散剤比率は、下記式より求められる。
遠心分離前の顔料分散体中の高分子分散剤比率(%)=顔料分散体量×高分子分散剤濃度/(顔料分散体量+追加BCA量)×100
製造例1(高分子分散剤の製造)
窒素導入管を備え付けた反応容器に、メタクリル酸メチル50部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート(有機溶媒:以下「BCA」という)25部、3−メルカプトプロピオン酸(連鎖移動剤)5部を量り込み、窒素シールをしながら75℃まで昇温した。次に、メタクリル酸メチル200部、BCA100部、前記連鎖移動剤16.7部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)2部の混合物を3時間で滴下した。その後、BCA 125部、前記連鎖移動剤0.9部、前記重合開始剤2部の混合物を1時間かけて滴下し、更に2時間熟成し、数平均分子量2,080、重量平均分子量3,350のメタクリル酸メチルマクロマー前駆体を合成した。
次いで、窒素導入管を空気導入管に切替え、得られたマクロマー前駆体に気体ポンプで空気を吹き込み、グリシジルメタクリレート23.3部、テトラブチルアンモニウムブロミド7.9部、p−メトキシフェノール0.8部、BCA 17部を添加し、90℃で10時間反応し、数平均分子量2,200、重量平均分子量3,500、固形分(有効分)含有量60%のメタクリル酸メチルマクロマーを得た。
窒素導入管を備え付けた反応容器に、BCA 10部を計り込み、窒素シールをしながら80℃まで昇温した。この反応容器に得られたメタクリル酸メチルマクロマーを固形分として72.5部、N−ビニル−2−ピロリドン12.8部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート14.7部、BCA 120部の混合液230部、前記重合開始剤2部、及び2−メルカプトエタノール(連鎖移動剤)の0.4部を、2時間にわたって滴下し、滴下終了後さらに3時間反応させ、固形分(有効分)含有量40%のグラフトポリマー(高分子分散剤)溶液を得た。
得られたポリマーのゲルクロマトグラフィー(GPC)法によりポリスチレンを標準物質として測定した結果、数平均分子量(Mn)5,200、重量平均分子量(Mw)28,000であった。
実施例1
(1)工程(1):混練工程
ジケトピロロピロール系顔料(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「IRGAPHOR RED BK−CF」)、製造例1で得られた高分子分散剤、BCAの混合物計0.250kgを、混練機(IKA社製、HKD−T06D)の試料室に仕込み、カバーを取り付けた。仕込み組成は、固形分(高分子分散剤+顔料)濃度が76.0%、〔高分子分散剤/有機顔料〕の重量比が0.5であった。冷却ジャケットに7℃に調整した冷却水を通水し、混練を開始した。混練は2枚翼で行い、回転数は36r/mと18r/mであった。混練を4時間継続し、停止後カバーを取り外して混練物(1)を回収した。
(2)工程(2):分散工程
容量250mLのポリ容器に、工程(1)で回収した混練物(1)と製造例1で得られた高分子分散剤、さらにBCAを計0.125kg、顔料濃度10%、高分子分散剤濃度10%となるように調製し仕込んだ。同時にΦ50μmのジルコニアビーズ0.250kgを仕込み、ペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)で24時間分散することにより顔料分散体(1)を得た。顔料分散体(1)について、粒径測定と粘度測定を行った。
(3)工程(3):精製工程
分散工程で得られた顔料分散体(1)を限外ろ過膜装置(ミリポア社製、ペリコンII、バイオマックス、Vスクリーン、材質:PES、分画分子量500kD、膜面積0.1m2)を用いて、透過流量と同じ流量で母液にBCAを連続的に滴下するダイアフィルトレーション方式でクロスフロー濾過しながら、顔料未吸着の高分子分散剤の濃度測定用のサンプルを逐次、透過液から採取した。ろ過は透過液中の高分子分散剤濃度がほぼゼロになるまで継続し、顔料分散体(2)を得た。得られた顔料分散体(2)の粘度を測定した。結果を表1に示す。
実施例2〜7
実施例1(1)において、固形分(高分子分散剤+顔料)濃度、〔高分子分散剤/有機顔料〕の重量比、及び混練時間を表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして顔料分散体(2)を得た。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1と同じジケトピロロピロール系顔料、製造例1で得られた高分子分散剤、BCAの混合物計0.250kgを、混練機(IKA社製、HKD−T06D)の試料室に仕込み、カバーを取り付けた。仕込み組成は、固形分(高分子分散剤+顔料)濃度が81.7%、〔高分子分散剤/有機顔料〕の重量比が0.7であった。冷却ジャケットに7℃に調整した冷却水を通水し、混練を開始したところ、高粘度のため混練できなかった。
比較例2
比較例1(1)において、表1に示す条件に変更した以外は、比較例1と同様にして混練を開始したところ、高粘度のため混練できなかった。
比較例3(分散工程のみ)
容量250mLのポリ容器に、実施例1と同じジケトピロロピロール系顔料、製造例1で得られた高分子分散剤、BCAの混合物計0.125kgを顔料濃度10%、高分子分散剤濃度10%となるように調製し仕込んだ。同時にΦ50μmのジルコニアビーズ0.250kgを仕込み、ペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)で24時間分散することにより顔料分散体(3)を得た。顔料分散体(3)について、粒径測定と粘度測定を行った。結果を表1に示す。
比較例4(分散、精製工程のみ)
容量250mLのポリ容器に、ジケトピロロピロール系顔料(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「IRGAPHOR RED BK−CF」)、製造例1で得られた高分子分散剤、BCAの混合物計0.125kgを顔料濃度10%、高分子分散剤濃度15%となるように調製し仕込んだ。同時にΦ50μmのジルコニアビーズ0.250kgを仕込み、ペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)で24時間分散することにより顔料分散体(1)を得た。顔料分散体(1)について、粒径測定と粘度測定を行った。
(2)精製工程
分散工程で得られた顔料分散体(1)を限外ろ過膜装置(ミリポア製、ペリコンII、バイオマックス、Vスクリーン、材質PES、分画分子量50kD、膜面積0.1m2)を用いて、透過流量と同じ流量で母液にBCAを連続的に滴下するダイアフィルトレーション方式でクロスフロー濾過しながら、顔料未吸着の高分子分散剤濃度測定用のサンプルを逐次、透過液から採取した。ろ過は透過液中の高分子分散剤濃度がほぼゼロになるまで継続し、顔料分散体(2)を得た。得られた顔料分散体(2)の粘度を測定した。評価結果を表1に示す。
Figure 2011137101
表1から、工程(1)〜(3)(混練、分散、精製工程)を有する本発明の実施例で得られた顔料分散体は、低粘度であることが分かる。
一方、混練工程を行わないと、分散工程後の粘度低下が不十分であり(比較例3)、顔料に未吸着の分散剤を除去することにより粘度は低下するが、混練工程を経ていないと、混練工程を経た場合の分散後の粘度と比較すると高粘度である(比較例4)ことが分かる。

Claims (5)

  1. 下記工程(1)〜(3)を有する、インクジェット方式により製造されるカラーフィルター用非水系顔料分散体の製造方法。
    工程(1):有機顔料、高分子分散剤、及び沸点が170〜260℃の有機溶媒を、有機顔料と高分子分散剤からなる固形分濃度が30〜80重量%、かつ〔高分子分散剤/有機顔料〕の重量比が0.5〜2の条件下で混練し、混練物を得る工程
    工程(2):得られた混練物を有機溶媒で希釈し、分散して顔料分散体を得る工程
    工程(3):得られた顔料分散体から、顔料に未吸着の高分子分散剤の一部又は全部を除去する工程
  2. 工程(1)における有機顔料と高分子分散剤からなる固形分濃度が40〜79重量%である、請求項1に記載の非水系顔料分散体の製造方法。
  3. 工程(1)における〔高分子分散剤/有機顔料〕の重量比が0.55〜1.75である、請求項1に記載の非水系顔料分散体の製造方法。
  4. 高分子分散剤が、流動性を有するものであるか、又は予め有機溶媒により膨潤又は溶解し、流動性を有する状態にしたものである、請求項1に記載の非水系顔料分散体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法によって得られる非水系顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物。
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