JP2011132907A - 圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧縮機構の吐出側に、圧縮された高圧ガス冷媒から潤滑油を分離する分離室を設けて、オイル循環率を低減した圧縮機において、スラスト隙間を確保することにより耐久性を向上させること。
【解決手段】後部側板7の高圧室15と貯油室17を仕切る高圧ケース14の区画壁18に相対する位置に凹部24を設けるとともにシールすることにより、高速高負荷運転時にロータ2と前部側板6及び後部側板7とのスラスト隙間が適度に拡大するので、圧縮機の耐久性を向上することができる。
【選択図】図1
【解決手段】後部側板7の高圧室15と貯油室17を仕切る高圧ケース14の区画壁18に相対する位置に凹部24を設けるとともにシールすることにより、高速高負荷運転時にロータ2と前部側板6及び後部側板7とのスラスト隙間が適度に拡大するので、圧縮機の耐久性を向上することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、ガス冷媒の圧縮を行う圧縮機に関するもので、例えば、自動車用空調装置などの圧縮機等に関するものである。
従来、この種の圧縮機においては、圧縮機構を潤滑する潤滑油が必要となる。この潤滑油は圧縮機内部で必要なものである。しかし、場合によっては圧縮された高圧ガス冷媒と共に圧縮機構を潤滑する潤滑油の一部を圧縮機から空調装置の冷凍サイクル中へ吐出してしまう。圧縮機より高圧ガス冷媒と共に吐出され循環する潤滑油の量が冷凍サイクル中に多くなればなるほど空調装置の冷房性能やシステム効率が低下する。
このため、冷凍サイクル中への潤滑油の吐出量を抑制し空調装置のシステム効率を向上させることを目的として、圧縮機構の吐出側に、圧縮された高圧ガス冷媒から潤滑油を分離する分離室を設けて、潤滑油の分離効率を向上させ冷凍サイクル中の冷媒に含まれるオイル循環率を減らす圧縮機が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
前記従来の圧縮機においては、図9に示すように圧縮機構により圧縮された高圧ガス冷媒が導かれる高圧ケース101に区画壁102を設けて、高圧室103と、潤滑油の一部が分離される分離室104と、潤滑油が貯えられる貯油室105とを仕切って区画している。その区画壁102が高圧ケース101をほぼ2分しているので高圧ケース101の剛性が大きくなり、区画壁102で後部側板106を強く押し付ける構成となっている。
また、この種の圧縮機は高速高負荷運転時に圧縮機の吐出温度が上昇すると圧縮機構が膨張し、ロータ107と前部側板108及び後部側板106とのスラスト隙間を拡大することにより、耐久性を確保している。
しかし図9に示す圧縮機では、高圧ケース101の区画壁102が後部側板106を強く押し付けているので、圧縮機構の後部側板106の膨張が抑制されて、スラスト隙間の拡大量が小さくなり、ロータ107と前部側板108或いは後部側板106とが局部的に接触することが懸念される。
さらに、圧縮機の高速高負荷運転時は、圧縮機の吐出温度が上昇し潤滑油の粘度が小さくなり、ロータ107と前部側板108或いは後部側板106との間の潤滑油の油膜が薄くなる。このため、潤滑性が厳しい状態になるので、ロータ107と前部側板108或いは後部側板106とが局部的に接触して摩耗が進展し、圧縮機の耐久性が低下してしまう懸念もある。
ここで、圧縮機の耐久性低下を補うために、高速高負荷運転時に適正なスラスト隙間を確保することが考えられる。すなわち、組立時のスラスト隙間設定を若干大きくするなどの方法が考えられる。しかしながら、そうするとスラスト隙間が大きくなるので、低速運転時に圧縮機構内のガス冷媒の漏れ量が大きくなり、性能が低下してしまうという課題が
あった。
あった。
そこで本発明は上述の従来の課題に鑑み、高速高負荷運転時に温度が上昇して圧縮機構が膨張して後部側板を膨らませても高圧ケースの区画壁が突っ張らず、ロータと前部側板及び後部側板とのスラスト隙間を適度に拡大させることで耐久性を向上し、かつシステム効率の良い圧縮機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による圧縮機においては、圧縮機構により圧縮された高圧ガス冷媒が導かれる高圧室と、圧縮機構の後部側板との間に介在して高圧ガス冷媒を封止するガスケットと、高圧ガス冷媒に含まれる潤滑油の少なくとも一部が分離される分離手段と、分離手段にて高圧ガス冷媒から分離された潤滑油が貯えられる貯油室とを備え、後部側板の前記ガスケット側の面であって、高圧室と貯油室を仕切る高圧ケースの区画壁に相対する少なくとも一部に凹部を設けた構成としている。
このような構成によって、高速高負荷運転時に圧縮機の吐出温度が上昇して圧縮機構が膨張し、後部側板が高圧ケース側に膨らんでも、高圧ケースの区画壁の少なくとも一部に相対する後部側板の部分を凹めているため、区画壁が後部側板を固定する力が抑制される。これにより、ロータと前部側板及び後部側板とのスラスト隙間が確保でき、圧縮機の耐久性を確保することができる。
本発明による圧縮機においては、後部側板の高圧ケースの区画壁に対応する位置に凹部を設けたため、高速高負荷運転時に圧縮機の吐出温度が上昇して圧縮機構が膨張し、後部側板が高圧ケース側に膨らんでも、後部側板を突っ張ることがないため、ロータと前部側板及び後部側板とのスラスト隙間が適度に拡大することができる。
そのため、ロータと前部側板或いは後部側板とが局部的に接触することがなくなるのでロータ、前部側板及び後部側板の摩耗も進展することなく、圧縮機の耐久性を向上することができる。
第1の発明は、圧縮機構により圧縮された高圧ガス冷媒が導かれる高圧室と、圧縮機構の後部側板との間に介在して高圧ガス冷媒を封止するガスケットと、高圧ガス冷媒に含まれる潤滑油の少なくとも一部が分離される分離手段と、分離手段にて高圧ガス冷媒から分離された潤滑油が貯えられる貯油室とを備え、後部側板の前記ガスケット側の面であって、高圧室と貯油室を仕切る高圧ケースの区画壁に相対する少なくとも一部に凹部を設けるとともに、凹部に高圧室と貯油室との連通をシールするシール部材を設けた構成としてい
る。
る。
このような構成によって、高速高負荷運転時に圧縮機の吐出温度が上昇して圧縮機構が膨張し、後部側板が高圧ケース側に膨らんでも、高圧ケースの区画壁の少なくとも一部に相対する後部側板の部分を凹めているため、区画壁が後部側板を固定する力が抑制される。これにより、ロータと前部側板及び後部側板とのスラスト隙間が確保できるため、圧縮機の耐久性を確保することが可能となる。
さらに高圧室の吐出冷媒ガスの動圧が、貯油室に流入して、貯油室に溜まっている潤滑油を巻き上げて吐出口から冷凍サイクル中へ出難くなるので、冷凍サイクル中の冷媒に含まれるオイル循環率が減り、冷凍サイクルの性能や効率を向上することができる。
また、第2の発明は、圧縮機の圧縮機構は、シャフトに固定されたロータが回転することで圧縮室を形成してガス冷媒の圧縮を行うものであり、後部側板の凹部の幅は、高圧ケースの区画壁の厚みよりも大きく、かつ凹部の長さは、区画壁の位置におけるロータの回転軌跡の外周の幅以上としている。
このような構成によって、高速高負荷運転時に圧縮機の吐出温度が上昇して圧縮機構が膨張し、後部側板が高圧ケース側に膨らんでも、高圧ケースの区画壁の相対する殆どの後部側板の部分を凹めているため、区画壁がガスケットを押し込むだけで、後部側板を突っ張ることがない。これにより、ロータと前部側板及び後部側板とのスラスト隙間が適度に拡大されて、圧縮機の耐久性を向上することができる。
第3の発明は、シール部材を、ガスケットのビード部により構成している。このような構成によって、高圧室の吐出冷媒ガスの動圧が、貯油室に流入して、貯油室に溜まっている潤滑油が巻き上げて吐出口から冷凍サイクル中へ出難くなるので、冷凍サイクル中の冷媒に含まれるオイル循環率が減り、冷凍サイクルの性能や効率を向上することができる。また、部品点数を増加することなくシールできるとともに、加工も簡単に行うことができる
第4の発明は、後部側板の凹部と区画壁の間に合成樹脂製のシール材を挿入することで、高圧室と貯油室が連通しないように構成している。このような構成によって、高圧室と貯油室との連通を確実に防いで、冷凍サイクルの性能や効率を向上することができる。
第4の発明は、後部側板の凹部と区画壁の間に合成樹脂製のシール材を挿入することで、高圧室と貯油室が連通しないように構成している。このような構成によって、高圧室と貯油室との連通を確実に防いで、冷凍サイクルの性能や効率を向上することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の本発明の実施の形態1における圧縮機の横断面図、図2は同圧縮機のA−A断面図、図3は同圧縮機後部(貯油室側)から見たガスケットのB矢視図、図4は同圧縮機後部から見た後部側板のB矢視図である。
図1は本発明の本発明の実施の形態1における圧縮機の横断面図、図2は同圧縮機のA−A断面図、図3は同圧縮機後部(貯油室側)から見たガスケットのB矢視図、図4は同圧縮機後部から見た後部側板のB矢視図である。
図1〜4に示したように、この圧縮機においては、円筒内壁を有するシリンダ1に略円柱状のロータ2がその外周の一部がシリンダ1の内壁と微少隙間を形成するように回転自在に収容されている。ロータ2には複数のベーンスロット3が等間隔に設けられており、ベーンスロット3内には、摺動自在にベーン4がそれぞれ挿入されている。
ロータ2はこれと一体的に形成された駆動軸5が回転駆動されることにより回転する。シリンダ1の両端開口部はそれぞれ前部側板6及び後部側板7により閉塞され、シリンダ1内部に作動室8が形成される。
作動室8には吸入口9及び吐出口10が連通している。吐出口10は高圧通路11に接続され、吐出口10と高圧通路11との間には吐出弁12が配設されている。後部側板7にはガスケット13を介して高圧ケース14が取り付けられている。高圧ケース14内には高圧室15、分離室16及び貯油室17が形成されている。高圧ケース14には後部側板7側へ延出した区画壁18を設けて高圧室15と貯油室17を仕切り区画形成している。
高圧室15は導入孔19を介して分離手段である分離室16と連通している。分離室16は、圧縮された高圧ガス冷媒に含まれる潤滑油を分離するために設けられている。分離室16は排油口20を介して貯油室17と連通している。
貯油室17に貯められた潤滑油は、給油路入口21aから給油路21を介して、圧縮機構を構成するロータ2、ベーン4、シリンダ1内壁等に供給される。潤滑油は、各部を潤滑すると共に、ベーン背圧室22に供給され、その圧力によりベーン4をロータ2の外側へ押し出す働きをする。
給油路21の途中には、ベーン背圧調整装置23が設けられている。ベーン背圧調整装置23は、圧縮機構へ供給する潤滑油の給油圧力や給油量を、圧縮機構周辺の冷媒圧力に応じて制御する。
さらに、図3に示すように、後部側板6には、ガスケット13側の面であって、高圧室15と貯油室17を仕切る高圧ケース14の区画壁18の少なくとも一部に相対する位置に、凹部24を設けた構成としている。
エンジンなどの駆動源より動力伝達を受けて、駆動軸5及びロータ2が、図2において時計方向に回転すると、これに伴いガス冷媒が吸入口9より作動室8内に流入する。ロータ2の回転に伴い圧縮された高圧ガス冷媒は吐出口10より吐出弁12を押し上げて高圧通路11に吐出され、高圧室15内に流入する。さらに、高圧ガス冷媒は導入孔19から分離室16に流入し、分離室16で高圧ガス冷媒に含まれる潤滑油が分離される。
ところで、分離室16は円筒状の空間が設けられている。この円筒空間に高圧ガス冷媒を導く導入孔19は、この円筒空間の接線方向に高圧ガス冷媒を導くように形成される。このため、高圧ガス冷媒はこの円筒空間を旋回する。高圧ガス冷媒に含まれる潤滑油は円筒空間を旋回中に、遠心力により、分離室16の円筒状部の内周面に接触しながら冷媒ガスから分離される。
高圧ガス冷媒はガス排出口25より圧縮機外に吐出され、分離された潤滑油は分離室16の内周面に沿って下方に移動する。分離室16の下端部には、分離された潤滑油を貯油室17に導く導油路26が形成されている。導油路26は鉛直下方に向かって形成されており、導油路26の排油口20は貯油室17に貯まった潤滑油の油面より鉛直方向において下方の潤滑油中で開口している。
ここで、圧縮機の高速高負荷運転時は圧縮機の吐出温度が上昇するので、熱膨張により、前部側板6、後部側板7が膨らむ傾向となる。しかし、上述のような構成により、後部側板7が圧縮機の後方(貯油室側)へ膨らんだとしても、高圧ケース14の区画壁18が突っ張ることがない。
次に、図5を用いて凹部24に設けたシール部材の詳細について説明する。
図5に示すように、区画壁18に相対する後部側板7の凹部24はガスケット13に設
けたビード部13−aにてシールされ高圧室15と貯油室17が連通しないよう構成している。
けたビード部13−aにてシールされ高圧室15と貯油室17が連通しないよう構成している。
ここで、高圧ケース14の区画壁18は、ガスケット13を押えて、ガスケット13に設けたビード13−aが凹部24に密着する構成となっている。したがって、後部側板7の凹部24とガスケット13の隙間をビード13−aによってシールし、高圧室15側から凹部24を通って貯油室17へ高圧ガス冷媒が侵入しないように封止されている。そのため、高圧室15の高圧ガス冷媒が貯油室17側へ漏れこむことがない。
このような構成によって、高圧室15の吐出冷媒ガスの動圧が、貯油室17に凹部24を介して貯油室17の油面にかかることを防止できる。このため、吐出高圧ガス冷媒が貯油室17に直接流入して、貯油室17に溜まっている潤滑油を巻き上げて吐出口25から冷凍サイクル中へ排出されることがなくなる。したがって、冷凍サイクル中の冷媒に含まれるオイル循環率が減るので冷凍サイクルの熱交換が良くなり、冷凍サイクルの性能やシステム効率を向上することができる。
また、ビード形状は、図5に示すように、区画壁18の上方に設けるとは限らず、高圧室15と貯油室17とがシールされる位置であれば良い。
以上のように本実施の形態における圧縮機では、高圧ケース14の区画壁18の少なくとも一部に相対する後部側板7を凹めているため、区画壁18が後部側板7を固定する力が抑制される。このため、ロータ2と前部側板6及び後部側板7とのスラスト隙間が組立初期より若干拡大でき、圧縮機の耐久性を確保することができる。
また、ガスケット13に設けたビード13−aによって、高圧室15と貯油室17とをシールすることができ、貯油室17に動圧がかかるのを防止して冷凍サイクル中の潤滑油の量を適度に保つことができる。
なお、凹部24は後部側板7に鋳抜き形状で形成できるので、コストアップとはならず安価に製作できる。
また、ビード13−aはガスケット13を用いて構成できるので、部品点数を増加することなくシールできるとともに、加工も簡単に行うことができる。
(実施の形態2)
実施の形態2における圧縮機は、実施形態1の区画壁18に相対する後部側板7の凹部24は合成樹脂製のシール材25でシールされ、高圧室15と貯油室17が連通しないよう構成している。ここで、合成樹脂性のシール部材としてはゴム製のものや、シリコン樹脂などが利用できる。
実施の形態2における圧縮機は、実施形態1の区画壁18に相対する後部側板7の凹部24は合成樹脂製のシール材25でシールされ、高圧室15と貯油室17が連通しないよう構成している。ここで、合成樹脂性のシール部材としてはゴム製のものや、シリコン樹脂などが利用できる。
図6の(a)を用いて、詳細の構成について説明する。図6の(a)に示すように、高圧ケース14の区画壁18に相当する部分のガスケット13に孔部を設け、後部側板7の凹部24に合成樹脂製のシール材25を挿入し、高圧ケース14の区画壁18と後部側板7の凹部24が合成樹脂製のシール材25を押える構成となっている。したがって、後部側板7の凹部24と高圧ケース14の区画壁18のスキマを合成樹脂製のシール材25によってシールし、高圧室15側から凹部24を通って貯油室17へ高圧ガス冷媒が侵入しないように封止されている。そのため、高圧室15の高圧ガス冷媒が貯油室17側へ漏れこむことがない。
このような構成によって、高圧室15の吐出冷媒ガスの動圧が、貯油室17に凹部24
を介して貯油室17の油面にかかることを防止できる。このため、吐出高圧ガス冷媒が貯油室17に直接流入して、貯油室17に溜まっている潤滑油を巻き上げて吐出口25から冷凍サイクル中へ排出されることがなくなる。したがって、冷凍サイクル中の冷媒に含まれるオイル循環率が減るので冷凍サイクルの熱交換が良くなり、冷凍サイクルの性能やシステム効率を向上することができる。
を介して貯油室17の油面にかかることを防止できる。このため、吐出高圧ガス冷媒が貯油室17に直接流入して、貯油室17に溜まっている潤滑油を巻き上げて吐出口25から冷凍サイクル中へ排出されることがなくなる。したがって、冷凍サイクル中の冷媒に含まれるオイル循環率が減るので冷凍サイクルの熱交換が良くなり、冷凍サイクルの性能やシステム効率を向上することができる。
さらに、高速高負荷運転時に圧縮機の吐出温度が上昇して圧縮機構が膨張し、後部側板7が高圧ケース14側に膨らんでも、合成樹脂製のシール材25の弾性によって、高圧ケース14の区画壁18が突っ張ることがない。
すなわち、区画壁18が合成樹脂製のシール材25を変形して凹部に押し込むだけで、後部側板7を突っ張ることがない。これにより、ロータ2と前部側板6及び後部側板7とのスラスト隙間を適度に拡大することができる。このため、ロータ2と前部側板6及び後部側板7とのスラスト隙間が組立初期より若干拡大でき、圧縮機の耐久性を確保することができる。
なお、図6の(b)に示すように、ガスケット13に孔部を設けず、ガスケット13と後部側板7の凹部24の間に合成樹脂製のシール材25を挿入しても良い。この場合、組立時において合成樹脂製のシール材25をガスケット13の面で押さえることとなるため、組み立てやすくなる。
(実施の形態3)
本実施の形態における圧縮機では、後部側板7の凹部24の幅を高圧ケース14の区画壁18の厚みよりも大きくしている。さらに、凹部24の長さは、区画壁18の位置におけるロータの回転軌跡2aの外周の幅以上としている。
本実施の形態における圧縮機では、後部側板7の凹部24の幅を高圧ケース14の区画壁18の厚みよりも大きくしている。さらに、凹部24の長さは、区画壁18の位置におけるロータの回転軌跡2aの外周の幅以上としている。
後部側板に設けた凹部24について、図7及び図8を用いて詳しく説明する。図7に示すように、凹部24の長さ(図7では横の長さ)は、後部側板7の区画壁18の位置におけるロータの回転軌跡2aの外周の幅以上の長さの範囲に形成される。
また、図8に示すように、凹部24の幅(図8では縦の長さ)は、高圧ケースの区画壁18の厚みよりも大きくしている。
寸法設定としては、例えば、凹部24については幅4mm、深さ0.5mmの溝を、鋳抜き製法で形成し、かつ、区画壁18の厚みは2mmとして凹部24の幅より狭くして、直接区画壁18と後部側板7が当たらないようにしている。
このような構成によって、高速高負荷運転時に圧縮機の吐出温度が上昇して圧縮機構が膨張し、後部側板7が高圧ケース14側に膨らんでも、高圧ケース14の区画壁18が突っ張ることがない。
すなわち、高圧ケース14の区画壁18の相対する殆どの後部側板7の部分を凹めているため、区画壁18がガスケット13を押し込むだけで、後部側板7を突っ張ることがない。これにより、ロータ2と前部側板6及び後部側板7とのスラスト隙間を適度に拡大することができる。したがって、ロータ2と前部側板6或いは後部側板7とが局部的に接触することがなくなるのでロータ2、前部側板6及び後部側板7の摩耗も進展することなく、圧縮機の耐久性を向上することができる。
また、後部側板7に設けた凹部24の長さを、特に、高速負荷運転時に膨張するロータ2の外周に対応する幅以上に設定しているため、ロータ2と後部側板7との局部的な接触
を効果的に防止することが可能である。
を効果的に防止することが可能である。
以上のように、本実施の形態の圧縮機は、高速高負荷運転時の耐久性の低下を懸念する必要がないため、組立時のスラスト隙間設定を狭くすることができる。これにより、低速運転時のスラスト隙間が小さくなるので、圧縮機構内のガス冷媒の漏れ量が少なくなり、圧縮機の性能を向上することが可能となる。
また、実施の形態1及び2と同様に、後部側板7の凹部24に、ガスケット13に設けたビード13−aや、合成樹脂製のシール材25といったシール部材を形成することが可能である。これによって高圧室15と貯油室17がシールされ、高圧室15の吐出冷媒ガスの動圧が、貯油室17に凹部24を介して貯油室17の油面にかかることを防止できる。このため、吐出高圧ガス冷媒が貯油室17に直接流入して、貯油室17に溜まっている潤滑油を巻き上げて吐出口25から冷凍サイクル中へ排出されることがなくなる。したがって、冷凍サイクル中の冷媒に含まれるオイル循環率が減るので冷凍サイクルの熱交換が良くなり、冷凍サイクルの性能やシステム効率を向上することができる。
以上のように、本発明にかかる圧縮機は、後部側板の高圧ケースの区画壁に対応する位置に凹部を設けたため、高速高負荷運転時にもロータと前部側板及び後部側板とのスラスト隙間が適度に拡大することができ、ロータ等の回転部材と前部側板及び後部側板の摩耗も進展することなく、圧縮機の耐久性を向上することができるので、各種の圧縮機にも適用できる。
1 シリンダ
2 ロータ
2a ロータの回転軌跡
3 ベーンスロット
4 ベーン
5 駆動軸
6 前部側板
7 後部側板
13 ガスケット
13−a ビード部
14 高圧ケース
15 高圧室
16 分離室(分離手段)
17 貯油室
18 区画壁
24 後部側板の凹部
25 合成樹脂製のシール材
2 ロータ
2a ロータの回転軌跡
3 ベーンスロット
4 ベーン
5 駆動軸
6 前部側板
7 後部側板
13 ガスケット
13−a ビード部
14 高圧ケース
15 高圧室
16 分離室(分離手段)
17 貯油室
18 区画壁
24 後部側板の凹部
25 合成樹脂製のシール材
Claims (4)
- 潤滑油を含むガス冷媒を圧縮する圧縮機構と、前記圧縮機構により圧縮された高圧ガス冷媒が導かれる高圧室と、前記圧縮機構の後部側板との間に介在して前記高圧ガス冷媒を封止するガスケットと、高圧ガス冷媒に含まれる潤滑油の少なくとも一部が分離される分離手段と、前記分離手段にて前記高圧ガス冷媒から分離された潤滑油が貯えられる貯油室とを備え、前記後部側板の前記ガスケット側の面であって、前記高圧室と前記貯油室を仕切る高圧ケースの区画壁の少なくとも一部に相対する部分に凹部を設けるとともに、前記凹部に前記高圧室と前記貯油室との連通をシールするシール部材を設けたことを特徴とする圧縮機。
- 前記圧縮機構は、シャフトに固定されたロータが回転することで圧縮室を形成してガス冷媒の圧縮を行うものであり、前記凹部の幅は、前記区画壁の厚みよりも大きく、かつ前記凹部の長さは、前記区画壁の位置における前記ロータの回転軌跡の外周の幅以上であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
- 前記シール部材は、前記ガスケットのビードにより構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の圧縮機。
- 前記シール部材は、合成樹脂製のシール材であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧縮機。
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