JP2011128584A - 位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶表示装置の正面コントラストを低下させることなく、視野角コントラストの改善に寄与する位相差フィルムの提供。
【解決手段】透明支持体、その片側に配向膜、該配向膜上に光学異方性層を有し、光学異方性層が、ハイブリッド配向したディスコティック液晶組成物からなり、且つかつ光学異方性層の配向膜側のディスコティック液晶分子の平均チルト角が45°以上であり、配向膜側と反対側のディスコティック液晶分子の平均チルト角が45°以下であり;透明支持体及び光学異方性層が、以下関係を満足する位相差フィルムである。なお、式中、Re(DLC):光学異方性層のRe、Re(透明支持体):透明支持体のRe、及びRth(透明支持体):透明支持体のRth透明支持体を意味する。(1) Re(DLC)<60nm;(2) (-0.5)×Re(透明支持体)+40 ≦ Re(DLC)≦(-0.5)×Re(透明支持体)+80;(3) 0.5×Rth(透明支持体)-10 ≦ Re(DLC)≦0.5×Rth(透明支持体)+30。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置、特にTN液晶表示装置、のパネル特性の向上に寄与する位相差フィルム、並びにそれを有する偏光板及び液晶表示装置に関する。
近年の液晶表示装置は、TV用途の拡大やサイズの大型化が一気に進んでおり、表示品質の要求は高まるばかりの状況である。特に正面(表示面に対して法線方向)からパネルを見た時のコントラスト(正面CR)や斜め方位からパネルを見た時のコントラスト(視野角CR)などはパネルにとって重要な特性であり、従来から様々な方法で改善について検討されている。例えば、特許文献1等に記載されているように、支持体上にディスコティック液晶をハイブリッド配向させた位相差フィルムをTNモード液晶表示パネルに貼合することで大幅に視野角コントラスト(CR)を向上させることができる。
また、同様の構成の位相差フィルムについては、種々提案されている(例えば、特許文献2及び3)。
しかしながら、このような構成の位相差フィルムを利用すると、視野角CRを向上させることはできるものの、正面CRは逆に低下するなどの問題が生じていた。
特開平8−50206号公報 特開2000−249835号公報 特開2002−122736号公報
本発明者が上記問題点について種々検討した結果、前記構成の位相差フィルムを利用した場合に生じる正面CRの低下は、パネルに入射する光を光学的に補償する為に用いている光学異方性層中のディスコティック液晶が、ごく微小な配向の乱れを有しており、その配向の乱れが光を散乱させることでフィルムの輝度漏れを増加させていることに起因していることがわかった。
本発明は、従来の位相差フィルムの前記問題点を解決し、正面CRを低下させることなく、視野角CRの改善に寄与する位相差フィルム、及び偏光板を提供することを課題とする。
また、本発明は、高い正面CR及び視野角CRを有する、表示品位に優れた液晶表示装置、特にTNモード液晶表示装置、を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ディスコティック液晶の微小な配向の乱れを抑制し、フィルムの輝度漏れを増加させることなしに、斜め視野における入射光を光学的に補償する位相差フィルムを見出し、これをパネルに用いることによって、正面CRの改善と視野角CRの改善が両立する液晶表示装置が提供可能となるとの知見を得、本発明を完成するに至った。
本発明は、本発明者の前記知見に基づくものであり、前記課題を解決する為の手段としては以下の通りである。
[1] 透明支持体、その片側に配向膜、該配向膜上に光学異方性層を有する位相差フィルムであって、
前記光学異方性層は、ハイブリッド配向したディスコティック液晶組成物からなり、かつ該光学異方性層の配向膜側のディスコティック液晶分子の平均チルト角が45°以上であり、配向膜側と反対側のディスコティック液晶分子の平均チルト角が45°以下であり;並びに透明支持体及び光学異方性層が、以下関係を満足する位相差フィルム:
(1) Re(DLC)<60nm
(2) (−0.5)×Re(透明支持体)+40 ≦ Re(DLC)
≦(−0.5)×Re(透明支持体)+80
(3) 0.5×Rth(透明支持体)−10 ≦ Re(DLC)
≦0.5×Rth(透明支持体)+30
Re(DLC):光学異方性層のRe、
Re(透明支持体):透明支持体のRe、
Rth(透明支持体):透明支持体のRth。
[2] 前記光学異方性層の微小な配向軸分布が、4以下である[1]の位相差フィルム。
[3] 前記透明支持体が、セルロースアシレートフィルムからなり、かつ透明支持体の遅相軸方向がMD方向に対して直交している[1]又は[2]の位相差フィルム。
[4] [1]〜[4]のいずれかの位相差フィルムを有する偏光板。
[5] 偏光板の透過軸と、位相差フィルムの面内遅相軸が平行である[4]に記載の偏光板。
[6] [1]〜[3]のいずれかの位相差フィルム、及び/又は[4]もしくは[5]の偏光板を有する液晶表示装置。
[7] 少なくとも電極を一方に有する対向配置された一対の基板、前記基板間に挟持された液晶層を有する液晶セルを有する液晶表示装置であって、前記液晶セルは透過主波長の異なるカラーフィルタが配置された少なくとも3つの絵素領域を含み、前記液晶層の厚みが少なくとも2つの絵素領域で異なる[6]の液晶表示装置。
本発明の位相差フィルム、及び偏光板を用いることで、高い正面CR及び視野角CRを示す、表示品位に優れた液晶表示装置、特にTNモード液晶表示装置、を提供することが可能となる。
以下に、本発明に係る液晶表示装置について詳細に説明する。
なお、本実施形態の説明において、「平行」あるいは「直交」とは、厳密な角度±5°未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。
また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。
また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味し、更に屈折率の測定波長は、特別な記述がない限り、可視光域(λ=550nm)での値である。
また、本実施形態の説明において「偏光板」とは、特別な記述がない限り、長尺の偏光板、及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された偏光板の両者を含む意味で用いている。なお、ここでいう「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする。また、本実施形態の説明では、「偏光子」と「偏光板」とを区別して用いるが、「偏光板」は「偏光子」の少なくとも片面に該偏光子を保護する透明保護膜を有する積層体のことを意味するものとする。
また、本実施形態の説明において「分子対称軸」とは、分子が回転対称軸を有する場合は、当該対称軸を指すが、厳密な意味で、分子が回転対称性であることを要求するものではない。一般的に、円盤状液晶性化合物において、分子対称軸は、円盤面の中心を貫く円盤面に対して垂直な軸と一致し、棒状液晶性化合物において、分子対称軸は、分子の長軸と一致する。
また、本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーション、及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH、又はWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。測定されるフィルムが、1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)が算出される。なお、この測定方法は、後述する光学異方性層中のディスコティック液晶分子の配向膜側の平均チルト角、その反対側の平均チルト角の測定においても一部利用される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50°まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH、又はWRが算出する。なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値、及び入力された膜厚値を基に、以下の式(A)、及び式(B)よりRthを算出することもできる。
Figure 2011128584
なお、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。また、式(A)におけるnxは、面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは、面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d・・・・・・・・・・・式(B)
測定されるフィルムが、1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法により、Rth(λ)は算出される。Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。また、上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
また、本明細書において、光学異方性層の「微小な配向軸分布」は、以下の方法で算出される。
液晶組成物からなる光学異方性層を有する位相差フィルムを、偏光板をクロスニコルにした偏光顕微鏡を用いて、400倍率でステージの角度を0.5度ずつ回転させながら、最も暗くなるステージの角度を中心に±10度の範囲でデジタルカメラで撮影する。その後、デジタルカメラ写真で撮影された画像の回転・平行移動処理を行うことにより、画像の位置を画素単位で正確に合わせる。その後、各画素ごとに最も暗くなった角度を記録し、横軸に角度を縦軸にその角度で最も暗くなった画素数をプロットしたヒストグラムを作成し、その半値幅を求める。なお、偏光顕微鏡としては公知のものを用いることができ、例えば、ニコン製エクリプスE600POLを用いることができる。また、上記の画像の回転・平行移動処理は市販のプログラムを用いて行うことが可能である。
また、本明細書において、光学異方性層中のディスコティック液晶分子の配向膜側の平均チルト角、その反対側の平均チルト角は、以下の方法で算出される値をいうものとする。
フィルム法線方向に対して−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値、入力された膜厚値、及びチルト角の想定値に基づいて、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
(位相差フィルム)
<位相差フィルムの構成>
本発明の位相差フィルムは、透明支持体と、配向膜と、光学異方性層とが少なくとも積層された構造を有する。具体的には、透明支持体、配向膜、及び光学異方性層がこの順に積層されており、各層の積層には、塗布、貼合、転写などのいずれの方法も利用することができる。
<<光学異方性層>>
本発明の位相差フィルムは、液晶化合物を含有する液晶組成物から形成された光学異方性層を、透明支持体上に有する。なお前記光学異方性層は、予め透明支持体上に配向膜を形成し、該配向膜上に形成することができる。また、別の基材に形成した光学異方性層を、粘着剤等を用いて、透明支持体上に転写することで、本発明の光学補償フィルム付き偏光板を作製することも可能である。その際、光学異方性層を仮に支持する支持体は、透明でなくてもよく、被転写支持体が透明支持体であればよい。
光学異方性層の形成に用いる液晶化合物としては、ディスコティック液晶化合物が挙げられ、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、更に、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
[ディスコティック液晶化合物]
ディスコティック液晶化合物には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
前記ディスコティック液晶化合物には、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、又は置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造の、液晶性を示す化合物も含まれる。分子又は分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。
ディスコティック液晶化合物から光学異方性層を形成した場合、最終的に光学異方性層に含まれる化合物は、もはや液晶性を示す必要はない。例えば、低分子のディスコティック液晶化合物が熱、又は光で反応する基を有しており、熱又は光によって該基が反応して、重合又は架橋し、高分子量化することによって、光学異方性層が形成される場合などは、光学異方性層中に含まれる化合物は、もはや液晶性を失っていてもよい。
ディスコティック液晶化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報、特開2006−76992号公報明細書中の段落番号[0052]、特開2007−2220号公報明細書中の段落番号[0040]〜[0063]に記載されている。例えば下記一般式(DI)、(DII)で表される化合物が高い複屈折性を示すので好ましい。さらに下記一般式(DI)、(DII)表される化合物の中でも、ディスコティック液晶性を示す化合物が好ましく、特に、ディスコティックネマチック相を示す化合物が好ましい。下記化合物の詳細(式中の符号の定義、及びその好ましい範囲)については、上記公報に具体的記載がある。
Figure 2011128584
また、前記円盤状液晶化合物の好ましい例には、特開2005−301206号公報に記載の化合物も含まれる。
前記光学異方性層は、液晶化合物を少なくとも一種含有する組成物を、表面(例えば、配向膜表面)に配置し、液晶化合物の分子を所望の配向状態とし、重合により硬化させ、その配向状態を固定して形成するのが好ましい。固定する配向状態は、ハイブリッド配向状態であるのが好ましい。ハイブリッド配向とは、層の厚み方向で液晶分子のダイレクタの方向が連続的に変化する配向状態をいう。円盤状分子の場合はダイレクタは円盤面に垂直方向となる。
液晶性化合物の分子を所望の配向状態とするため、及び組成物の塗布性もしくは硬化性の良化のために、前記組成物は一種以上の添加剤を含んでいてもよい。液晶化合物(特に棒状液晶化合物)の分子をハイブリッド配向させるために、層の空気界面側の配向を制御し得る添加剤(以下、「空気界面配向制御剤」という)を添加してもよい。該添加剤として、フッ化アルキル基及びスルホニル基等の親水性基を有する低分子量もしくは高分子量の化合物が挙げられる。使用可能な空気界面配向制御剤の具体例には、特開2006−267171号公報等に記載の化合物が含まれる。
また、前記組成物を塗布液として調製し、塗布により前記光学異方性層を形成する場合は、塗布性の良化のために界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系化合物が好ましく、具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物が挙げられる。また市販の「メガファックF780」(大日本インキ製)などを用いてもよい。
また、前記組成物は、硬化性であるのが好ましく、当該態様では、重合開始剤を含有しているのが好ましい。前記重合開始剤は、熱重合開始剤であっても光重合開始剤であってもよいが、制御が容易である等の観点から、光重合開始剤が好ましい。光の作用によりラジカルを発生させる光重合開始剤の例としては、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等が好ましい。アセトフェノン系化合物としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4'−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン等が挙げられる。ベンジル系化合物としては、例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。ベンゾインエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーズケトン、4,4'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン等が挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。このような芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤の中でも、アセトフェノン系化合物及びベンジル系化合物が、硬化特性、保存安定性、臭気等の面で特に好ましい。これらの芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤は、1種又は2種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができる。
また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、及びチオキサントン等が含まれる。光重合開始剤は複数種を組み合わせてもよく、使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。液晶化合物の重合のための光照射は紫外線を用いることが好ましい。
前記組成物は、重合性液晶化合物とは別に、非液晶性の重合性モノマーを含有していてもよい。重合性モノマーとしては、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。なお、重合性の反応性官能基数が2以上の多官能モノマー、例えば、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレートを用いると、耐久性が改善されるので好ましい。前記非液晶性の重合性モノマーは、非液晶性成分であるので、その添加量が、液晶化合物に対して15質量%を超えることはなく、0〜10質量%程度であるのが好ましい。
前記光学異方性層は、前記組成物を塗布液として調製し、該塗布液を、例えば、支持体上に形成された配向膜の表面に塗布し、乾燥して溶媒を除去するとともに、液晶化合物の分子を配向させ、その後、重合により硬化させて、形成することができる。塗布方法としてはカーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーテティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられる。塗膜を乾燥する際には、加熱してもよい。塗膜を乾燥して溶媒を除去すると同時に、塗膜中の液晶化合物の分子を配向させて、所望の配向状態を得る。次に、紫外線照射等によって重合を進行させて、配向状態を固定化し、前記光学異方性層を形成する。重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100mJ/cm2〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。前記光学異方性層の厚さについては特に制限されないが、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜5μmであるのがより好ましい。
前記光学異方性層は、配向膜を利用して形成するのが好ましい。利用可能な配向膜の例としては、ポリビニルアルコール膜やポリイミド膜等が挙げられる。本発明で用いる液晶性化合物は、良好なモノドメイン性を示す液晶相を発現することが望ましい。モノドメイン性を良好なものとすることにより、得られる構造が、ポリドメインとなり、ドメイン同士の境界に配向欠陥が生じ、光を散乱するようになるのを効果的に防ぐことができる。更に、良好なモノドメイン性を示すと、位相差板がより高い光透過率を有するため好ましい。本発明で用いる液晶性化合物が発現する液晶相としては、カラムナー相、及びディスコティックネマチック相(ND相)を挙げることができる。これらの液晶相の中では、良好なモノドメイン性を示し、かつ、ハイブリッド配向が可能なディスコティックネマチック相(ND相)が特に好ましい。
本発明で用いる液晶性化合物は異方性の波長分散性が小さいほどよい。具体的には液晶性化合物が発現する位相差(波長λにおける液晶層の面内レターデーション値(nm))をRe(λ)としたとき、Re(450)/Re(650)が1.25未満であることが好ましく、1.20以下であることがより好ましく、1.15以下であることが特に好ましい。本発明で用いる液晶化合物は、支持体上に設けられた配向膜上で配向させるために、等方性転移温度Tisoが、100〜180℃であることが好ましく、100〜165℃であることがより好ましく、100〜150℃であることが特に好ましい。
[光学異方性層の光学特性]
前記光学異方性層のReは、60nm未満であることが好ましいが、特に55〜20nmであることがより好ましい。
また、前記光学異方性層は、ハイブリッド配向したディスコティック液晶組成物からなる。配向膜側のディスコティック液晶分子の平均チルト角が、反対側のディスコティック液晶の平均チルト角より大きいハイブリッド配向が特に好ましい。配向膜面側のディスコティック液晶(DLC)分子が45°以上傾いている(平均チルト角が45°以上である)のが好ましく、50°以上傾いているとラビングの方位角の方位角規制力に対する安定性が増し、微小な配向軸分布が改善される点で、より好ましい。一方で配向膜面側と反対側のDLC分子は45°以下の傾きを有する(平均チルト角が45°以下である)のが好ましく、40°以下の傾きであればハイブリッド配向が安定に形成され、斜め入射をより正確に補償することができ、より高い視野角CRを提供できるので、より好ましい。
ディスコティック液晶(DLC)分子が45°以上傾いている状態とは、分子の円盤面が平面方向となす角度が45°以上傾いていることを意味する。
配向膜側のDLC分子の平均チルト角を45°以上にする手段は、光学異方性層中にチルト角を調整可能な添加剤を添加して、平均チルト角を所望の範囲に調整する手段;配向膜を選択して、平均チルト角を所望の範囲にする手段;その他斜方蒸着、光配向などの手段;のいずれか1つ又は2以上を組合せて、実施することができる。
<<配向膜>>
本発明の位相差フィルムは、透明支持体上に形成された配向膜を利用する。該配向膜は、ディスコティック液晶化合物を含有する液晶組成物から光学異方性層を形成するのに利用される。配向膜の材料としては、上記光学異方性層の配向膜側の平均チルト角を所望の値にする為、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリイミド、変性ポリイミドの他、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、ポリスチレンなどを利用することができるが、所望の平均チルト角を達成できれば、上記範囲に限定されるものではない。例えば、特開2002−98836号公報段落番号[0014]〜[0016]、に記載のコポリマー化合物を用いることが好ましく、特に[0024]〜[0029]、及び[0173]〜[00180]に記載のコポリマー化合物を用いることが、光学異方性層の微小な配向軸分布を改善するという観点で、より好ましい。また、特開2005−99228号公報段落番号[0007]〜[0012]に記載のコポリマー化合物を用いることが好ましく、特に[0016]〜[0020]に記載のコポリマー化合物を用いることが微小な配向軸分布を改善するという観点でより好ましい。上記2つの公開公報に記載のコポリマー化合物は、配向膜と光学異方性層との密着性を改良する観点から各コポリマーの構成単位が、ビニル基などの重合性基で置換されていることがさらに好ましい。
<<透明支持体>>
本発明に用いる透明支持体は、光学異方性層のRe(Re(DLC))との関係で、以下の条件を満足する。
(2)(−0.5)×Re(透明支持体)+40 ≦ Re(DLC)
≦(−0.5)×Re(透明支持体)+80
(3) 0.5×Rth(透明支持体)−10 ≦ Re(DLC)
≦0.5×Rth(透明支持体)+30
Re(DLC):光学異方性層のRe、
Re(透明支持体):透明支持体のRe、
Rth(透明支持体):透明支持体のRth。
上記特性を満足する限り、前記透明支持体は、セルロースアシレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、アクリルなどいずれの材料からなるフィルムでもよいが、本発明では、横延伸処理が不要であり、コスト、製造の簡便性から、セルロースアシレートフィルムを用いるのが好ましい。
以下、透明支持体として利用可能なセルロースアシレートフィルムについて詳細に説明する。
[セルロースアシレートフィルムの製造方法]
本発明に利用可能なセルロースアシレートフィルムは、数平均分子量が200〜10000である可塑剤とセルロースアシレートとを含有するポリマー溶液を流延してウェブを形成する流延工程と、前記流延工程において形成された前記ウェブを残留溶媒量が100〜300質量%の状態で−30℃〜30℃で一方向に延伸する第一延伸工程と、前記第一延伸工程開始後から乾燥工程開始前までの間に残留溶媒量を100質量%以下に減少させる工程と、前記第一延伸工程後のウェブを膜面温度が200℃以上にならないように制御しながら残留溶媒量を10%以下とした後に、60℃〜200℃で前記第一延伸工程での延伸方向と異なる方向に延伸する第二延伸工程を含む製造方法により製造することができる。
ここで、膜面温度が200℃以上にならないように制御しながら残留溶媒量を10%以下とする工程を乾燥工程または結晶化処理(工程)とも言う。ここで、「ウェブ」とは、乾燥工程前のセルロースアシレートフィルムを意味する。前記製造方法によれば、前記第一延伸工程において、残留溶媒量が100〜300%のウェブを延伸するため、ドライ延伸に比べて延伸温度が低くてもウェブの破断が少ない。また、結晶化処理前に延伸倍率を上げておくことができるため、延伸後の結晶化処理工程においても結晶化度を高めることができる。
前記製造方法においては、前記第一延伸工程において残留溶媒量が100〜300%のウェブを延伸するため高倍率な延伸も可能である。このため、前記製造方法は、セルロースアシレートフィルムのReの制御範囲が広い。さらに、200℃以上にならないような平均膜面温度で乾燥する工程を含み、その乾燥工程初期のウェブの残留溶媒量が100質量%以下となるように前記第一延伸工程開始後から乾燥工程開始前までの間に残留溶媒量を100質量%以下に減少させる工程を含むことを特徴とする。この特定の範囲にすることにより下記で説明する光学特性を有するフィルムが得られる。
〈流延工程〉
前記製造方法では、流延工程においてセルロースアシレートを含有するポリマー溶液(以下、ドープとも言う)を流延してウェブを形成する。
[セルロースアシレート]
前記製造方法で製造されるセルロースアシレートフィルムは、フィルムを構成する主成分としてのポリマーがセルロースアシレートであるフィルムである。ここで、「主成分としてのポリマー」とは、フィルムが単一のポリマーからなる場合には、そのポリマーのことを示し、複数のポリマーからなる場合には、構成するポリマーのうち最も質量分率の高いポリマーのことを示す。
前記セルロースアシレートフィルムの材料として用いられるセルロースアシレートのアシル置換基は、例えばアセチル基単独からなるセルロースアシレートであっても、複数のアシル置換基を有するセルロースアシレートを含む組成物を用いてもよい。セルロースアシレートは、負の固有複屈折性を付与するために全置換度が2.7〜3.0であるものが好ましい。ここでいう負の固有複屈折とは、ポリマーフィルムを延伸した際に、延伸方向と直交方向に屈折率の最大値を持つ方向を持つ性質をいう。前記方法では、上記アシル置換度のセルロースアシレートを、下記で説明する延伸または結晶化処理工程を経ることにより必要な負の固有複屈折性を達成することが好ましい。
セルロースエステルは、セルロースと酸とのエステルである。前記エステルを構成する酸としては、有機酸が好ましく、カルボン酸がより好ましく、炭素原子数が2〜22の脂肪酸がさらに好ましく、炭素原子数が2〜4の低級脂肪酸が最も好ましい。前記セルロースアシレートは、セルロースを構成するグルコース単位の2位、3位および6位に存在するヒドロキシル基の水素原子の全部または一部が、アシル基で置換されている。前記アシル基の例としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、および、シンナモイル基が挙げられる。前記アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、ピバロイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基が好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基が最も好ましい。セルロースエステルは、セルロースと複数の酸とのエステルであってもよい。また、セルロースアシレートは、複数のアシル基で置換されていてもよい。
セルロースアシレートのセルロースの水酸基に置換されているアセチル基(炭素数2)の置換度をSAとし、セルロースの水酸基に置換されている炭素数3以上のアシル基の置換度をSBとしたとき、SAおよびSBを調整することにより、前記製造方法により製造されるセルロースアシレートフィルムのReの発現性、レターデーションの湿度依存性の調整を行うことができる。また、Tcも調整することができ、これにより、高揮発結晶化処理温度を調整することができる。なお、レターデーションの湿度依存性とは、湿度による可逆的なレターデーションの変化である。
セルロースアシレートフィルムに求める光学特性により、適宜、SA+SBを調整することとなるが、好ましくは2.70≦SA+SB≦3.00、より好ましくは2.88≦SA+SB≦3.00であり、さらに好ましくは2.89≦SA+SB≦2.99であり、さらにより好ましくは2.90≦SA+SB≦2.98であり、特に好ましくは2.92≦SA+SB≦2.97である。SA+SBを大きくすることにより、高揮発結晶化処理後に得られるReを大きく、Tcをより低くすることができ、レターデーションの湿度依存性も改善することができる。Tcを低く設定することにより、高揮発結晶化処理温度を比較的低く設定することが可能となる。また、SBを調整することにより、前記製造方法により製造されるセルロースアシレートフィルムのレターデーションの湿度依存性を調整することができる。SBを大きくすることにより、レターデーションの湿度依存性を低減させることができ、融点が下がる。レターデーションの湿度依存性および融点の低下のバランスを考慮すると、SBの範囲は、好ましくは0<SB≦3.0、より好ましくは0<SB≦1.0であり、特に好ましくは、SB=0である。なお、セルロースの水酸基がすべて置換されているとき、上記の置換度は3となる。
セルロースアシレートは公知の方法により合成することができる。例えば、セルロースアシレートの合成方法について、基本的な原理は、右田伸彦他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。セルロースアシレートの代表的な合成方法としては、カルボン酸無水物−カルボン酸−硫酸触媒による液相アシル化法が挙げられる。具体的には、まず、綿花リンタや木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸などのカルボン酸で前処理した後、予め冷却したアシル化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。前記アシル化混液は、一般に溶媒としてのカルボン酸、エステル化剤としてのカルボン酸無水物および触媒としての硫酸を含む。また、前記カルボン酸無水物は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。次いで、アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰カルボン酸無水物の加水分解を行うために、水または含水酢酸を添加する。さらに、エステル化触媒を一部中和するために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩、水酸化物または酸化物)を含む水溶液を添加してもよい。さらに、得られた完全セルロースアシレートを少量のアシル化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、20〜90℃に保つことにより鹸化熟成し、所望のアシル置換度および重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記中和剤などを用いて完全に中和するか、或いは、前記触媒を中和することなく水若しくは希酢酸中にポリマー溶液を投入(或いは、ポリマー溶液中に、水または希酢酸を投入)してセルロースアシレートを分離し、洗浄および安定化処理により目的物であるセルロースアシレートを得ることができる。
前記セルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で150〜500が好ましく、200〜400がより好ましく、220〜350がさらに好ましい。前記粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)の記載に従って測定することができる。前記粘度平均重合度の測定方法については、特開平9−95538号公報にも記載がある。
また、低分子成分が少ないセルロースアシレートは、平均分子量(重合度)が高いが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低い値になる。このような低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより行うことができる。また、低分子成分の少ないセルロースアシレートを合成により得ることもできる。低分子成分の少ないセルロースアシレートを合成する場合、アシル化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。前記硫酸触媒の量を前記範囲にすると、分子量分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。セルロースアシレートの重合度や分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等により測定することができる。
セルロースエステルの原料綿や合成方法については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、発明協会)7〜12頁にも記載がある。
セルロースアシレートフィルムを製造する際に原料として用いるセルロースアシレートとしては、粉末や粒子状のものを使用することができ、また、ペレット化したものも用いることができる。原料として用いる際のセルロースアシレートの含水率は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以下であることがさらに好ましく、0.5質量%以下であることが最も好ましい。また、前記含水率は場合により0.2質量%以下であることが好ましい。セルロースアシレートの含水率が好ましい範囲内にない場合には、セルロースアシレートを乾燥風や加熱などにより乾燥してから使用することが好ましい。
セルロースアシレートフィルムを製造する際には、単一種のポリマーを用いてもよいし、複数種のポリマーを用いてもよい。
[ポリマー溶液]
前記流延工程においては、前記セルロースアシレートや必要に応じて各種添加剤を含有するポリマー溶液を用いて溶液流延製膜方法によってウェブを形成する。以下において、前記方法に使用可能なポリマー溶液について説明する。
(溶媒)
前記方法に利用可能なポリマー溶液の調製に用いられる主溶媒としては、セルロースアシレートの良溶媒である有機溶媒を好ましく用いることができる。このような有機溶媒としては、沸点が80℃以下の有機溶媒が乾燥負荷低減の観点からより好ましい。前記有機溶媒の沸点は、10〜80℃であることがさらに好ましく、20〜60℃であることが特に好ましい。また、場合により沸点が30〜45℃である有機溶媒も前記主溶媒として好適に用いることができる。後述の溶媒群のうち、特にハロゲン化炭化水素を主溶媒として好ましく用いることができ、ハロゲン化炭化水素の中では塩素化炭化水素が好ましく、ジクロロメタンおよびクロロホルムがさらに好ましく、ジクロロメタンが最も好ましい。また、乾燥過程初期においてハロゲン化炭化水素とともに揮発する割合が小さく、次第に濃縮される沸点が95℃以上の溶媒を全溶媒に対し1〜15質量%含有する溶媒を用いることができ、1〜10質量%含有する溶媒を用いることが好ましく、1.5〜8質量%含有する溶媒を用いることがより好ましい。そして、沸点が95℃以上の溶媒は、セルロースアシレートの貧溶媒であることが好ましい。沸点が95℃以上の溶媒の具体例としては、後述する「主溶媒と併用される有機溶媒」の具体例のうち沸点が95℃以上の溶媒を挙げることができるが、中でもブタノール、ペンタノール、1,4−ジオキサンを用いることが好ましい。さらに、前記ポリマー溶液の溶媒はアルコールを5〜40質量%含有し、10〜30質量%含有することが好ましく、12〜25質量%含有することがより好ましく、15〜25質量含有することがさらに好ましい。ここで用いるアルコールの具体例としては、後述する「主溶媒と併用される有機溶媒」のアルコールとして例示されている溶媒を挙げることができるが、中でもメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールを用いることが好ましい。なお、前記の「沸点が95℃以上の溶媒」がブタノールなどのアルコールである場合は、その含有量もここでいうアルコール含有量にカウントする。このような溶媒を用いることにより、作製したセルロースアシレートフィルムの高揮発結晶化処理温度における力学強度を上昇させることができるため、高揮発結晶化処理中に必要以上に延伸されて、得られたフィルムが割れやすくなることを防ぐことができる。
このような主溶媒としては、ハロゲン化炭化水素を特に好ましく挙げることができ、場合により、エステル、ケトン、エーテル、アルコールおよび炭化水素などが挙げることもでき、これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。また、前記主溶媒は、エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの官能基(即ち、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれかを二つ以上有していてもよい。さらに、前記エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。なお、前記製造方法に用いる前記ポリマー溶液の主溶媒とは、単一の溶媒からなる場合には、その溶媒のことを示し、複数の溶媒からなる場合には、構成する溶媒のうち、最も質量分率の高い溶媒のことを示す。主溶媒としては、ハロゲン化炭化水素を好適に挙げることができる。
これら主溶媒と併用される有機溶媒としては、ハロゲン化炭化水素、エステル、ケトン、エーテル、アルコールおよび炭化水素などが挙げられ、これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。また、前記有機溶媒としては、エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの官能基(即ち、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれか二つ以上を有していてもよい。さらに、前記エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。
前記ハロゲン化炭化水素としては、塩素化炭化水素がより好ましく、例えば、ジクロロメタンおよびクロロホルムなどが挙げられ、ジクロロメタンがさらに好ましい。前記エステルとしては、例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテートなどが挙げられる。前記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどが挙げられる。前記エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどが挙げられる。前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなどが挙げられる。好ましくは炭素数1〜4のアルコールであり、より好ましくはメタノール、エタノールまたはブタノールであり、最も好ましくはメタノール、ブタノールである。前記炭化水素としては、例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。前記2種類以上の官能基を有する有機溶媒としては、例えば、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルアセトアセテートなどが挙げられる。
前記セルロースアシレートフィルムを構成するポリマーは、水酸基やエステル、ケトン等の水素結合性の官能基を含むため、全溶媒中に5〜30質量%、より好ましくは7〜25質量%、さらに好ましくは10〜20質量%のアルコールを含有することが流延支持体からの剥離荷重低減の観点から好ましい。
アルコール含有量を調整することによって、前記製造方法により製造されるセルロースアシレートフィルムのReやRthの発現性を調整しやすくすることができる。具体的には、アルコール含有量を上げることによって、高揮発結晶化処理温度を比較的低く設定したり、ReやRthの到達範囲をより大きくしたりすることが可能となる。
また、前記方法では、水を少量含有させることも溶液粘度や乾燥時のウェットフィルム状態の膜強度を高めたり、ドラム法流延時のドープ強度を高めるのに有効であり、例えば溶液全体に対して0.1〜5質量%含有させても良く、より好ましくは0.1〜3質量%含有させてもよく、特には0.2〜2質量%含有させてもよい。
前記ポリマー溶液の溶媒として好ましく用いられる有機溶媒の組み合せの例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。なお、比率の数値は、質量部を意味する。
(1)ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブタノール=80/10/5/5
(2)ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブタノール=80/5/5/10
(3)ジクロロメタン/イソブチルアルコール=90/10
(4)ジクロロメタン/アセトン/メタノール/プロパノール=80/5/5/10
(5)ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン=80/8/10/2(6)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール=80/10/5/5
(7)ジクロロメタン/ブタノール=90/10
(8)ジクロロメタン/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/ブタノール=68/10/10/7/5
(9)ジクロロメタン/シクロペンタノン/メタノール/ペンタノール=80/2/15/3
(10)ジクロロメタン/メチルアセテート/エタノール/ブタノール=70/12/15/3
(11)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール=80/5/5/10
(12)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/ペンタノール=50/20/15/5/10
(13)ジクロロメタン/1,3−ジオキソラン/メタノール/ブタノール=70/15/5/10
(14)ジクロロメタン/ジオキサン/アセトン/メタノール/ブタノール=75/5/10/5/5
(15)ジクロロメタン/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブチルアルコール/シクロヘキサン=60/18/3/10/7/2
(16)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/イソブチルアルコール=70/10/10/10
(17)ジクロロメタン/アセトン/エチルアセテート/ブタノール/ヘキサン=69/10/10/10/1
(18)ジクロロメタン/メチルアセテート/メタノール/イソブチルアルコール=65/15/10/10
(19)ジクロロメタン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール=85/7/3/5
(20)ジクロロメタン/メタノール/ブタノール=83/15/2
(21)ジクロロメタン=100
(22)アセトン/エタノール/ブタノール=80/15/5
(23)メチルアセテート/アセトン/メタノール/ブタノール=75/10/10/5(24)1,3−ジオキソラン=100
(25)ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/水=85/18/1.5/0.5
(26)ジクロロメタン/アセトン/メタノール/ブタノール/水=87/5/5/2.5/0.5
(27)ジクロロメタン/メタノール=92/8
(28)ジクロロメタン/メタノール=90/10
(29)ジクロロメタン/メタノール=87/13
(30)ジクロロメタン/エタノール=90/10
(31)ジクロロメタン/メタノール/ブタノール=79/20/1
また、必要に応じて、非ハロゲン系有機溶媒を主溶媒とすることもでき、詳細な記載は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)に記載がある。
(溶液濃度)
前記ポリマー溶液中のセルロースアシレート濃度は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がさらに好ましく、15〜30質量%が最も好ましい。前記セルロースアシレート濃度は、セルロースアシレートを溶媒に溶解する段階で所定の濃度になるように調整することができる。また予め低濃度(例えば4〜14質量%)の溶液を調製した後に、溶媒を蒸発させる等によって濃縮してもよい。さらに、予め高濃度の溶液を調製後に、希釈してもよい。また、添加剤を添加することで、セルロースアシレートの濃度を低下させることもできる。
(添加剤)
前記ポリマー溶液は、各調製工程において用途に応じた各種の液体または固体の添加剤を含むことができる。前記添加剤の例としては、可塑剤(好ましい添加量はセルロースアシレートに対して2〜30質量%、以下同様)、レターデーション調整剤(0.01〜10質量%)、波長分散調整剤(0.1〜20質量%)、紫外線吸収剤(0.001〜20質量%)、平均粒子サイズが5〜3000nmである微粒子粉体(0.001〜1質量%)、フッ素系界面活性剤(0.001〜1質量%)、剥離剤(0.0001〜1質量%)、劣化防止剤(0.0001〜1質量%)、赤外線吸収剤(0.001〜1質量%)が含まれる。また添加剤は、該セルロースアシレートフィルムに残留溶媒量が1%以下の時のフィルムのTcが添加前後で20℃〜100℃変化(低下)することが、高前記乾燥工程での結晶化がより低温で進行し好ましい。
(ポリマー溶液の調製)
前記ポリマー溶液の調製は、例えば、特開昭58−127737号公報、同61−106628号公報、特開平2−276830号公報、同4−259511号公報、同5−163301号公報、同9−95544号公報、同10−45950号公報、同10−95854号公報、同11−71463号公報、同11−302388号公報、同11−322946号公報、同11−322947号公報、同11−323017号公報、特開2000−53784号公報、同2000−273184号公報、同2000−273239号公報に記載されている調製方法に準じて行うことができる。具体的には、ポリマーと溶媒とを混合攪拌し膨潤させ、場合により冷却や加熱等を実施して溶解させた後、これをろ過して、前記ポリマー溶液を得る。
ポリマーの溶媒への溶解性を向上させるため、ポリマーと溶媒との混合物を冷却および/または加熱する工程を含むことが好ましい。溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒との混合物を冷却する場合、混合物を−100〜10℃に冷却する工程を含むことが好ましい。また、冷却工程より前の工程に−10〜39℃で膨潤させる工程を含み、冷却より後の工程に0〜39℃に加温する工程を含むことが好ましい。
溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒との混合物を加熱する場合、下記(a)または(b)より選択される1以上の方法で溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程を含むことが好ましい。
(a)−10〜39℃で膨潤させ、得られた混合物を0〜39℃に加温する。
(b)−10〜39℃で膨潤させ、得られた混合物を0.2〜30MPaで40〜240℃に加熱し、加熱した混合物を0〜39℃に冷却する。
さらに、溶媒として非ハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒との混合物を冷却する場合、混合物を−100〜−10℃に冷却する工程を含むことが好ましい。また、冷却工程よりも前の工程に−10〜55℃で膨潤させる工程を含み、冷却よりも後の工程に0〜57℃に加温する工程を含むことが好ましい。
溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒との混合物を加熱する場合、下記(c)または(d)より選択される1以上の方法で溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程を含むことが好ましい。
(c)−10〜55℃で膨潤させ、得られた混合物を0〜57℃に加温する。
(d)−10〜55℃で膨潤させ、得られた混合物を0.2〜30MPaで40〜240℃に加熱し、加熱した混合物を0〜57℃に冷却する。
[ウェブの製膜]
前記ポリマー溶液を用いて溶液流延製膜方法を実施することにより、ウェブが形成される。溶液流延製膜方法の実施に際しては、従来の方法に従って、公知の装置を用いることができる。具体的には、溶解機(釜)で調製されたドープ(ポリマー溶液)を、ろ過後、貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製する。ドープは30℃に保温し、ドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延する(ドープ流延工程)。次いで、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブ)を金属支持体から剥離し、続いて乾燥ゾーンへ搬送し、ロール群で搬送しながら乾燥を終了する。溶液流延製膜方法の流延工程、乾燥工程の詳細については、特開2005−104148号公報の120〜146頁にも記載があり、適宜適用することができる。
ウェブの製膜の際に用いる金属支持体として金属バンドまたは金属ドラムを使用することができる。前記ポリマー溶液を、金属支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に単層液として流延してもよいし、2層以上の複数のセルロースアシレート液を流延してもよい。複数のポリマー溶液を流延する場合、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報などに記載の方法が適応できる。
また、2つの流延口からポリマー溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および特開平6−134933号の各公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度ポリマー溶液の流れを低粘度のポリマー溶液で包み込み、その高,低粘度のポリマー溶液を同時に押出すセルロースアシレートフィルム流延方法でもよい。さらにまた、特開昭61−94724号および特開昭61−94725号の各公報に記載の外側の溶液が内側の溶液よりも貧溶媒であるアルコール成分を多く含有させることも好ましい態様である。或いはまた2個の流延口を用いて、第一の流延口により金属支持体に成型したフィルムを剥離し、金属支持体面に接していた側に第二の流延を行なうことにより、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20235号公報に記載されている方法である。流延するポリマー溶液は同一の溶液でもよいし、異なるポリマー溶液でもよく特に限定されない。複数のセルロースアシレート層に機能を持たせるために、その機能に応じたポリマー溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。さらにポリマー溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
従来の単層液では、必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のポリマー溶液を押出すことが必要であり、その場合ポリマー溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多かった。この解決として、複数のポリマー溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に金属支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なポリマー溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができた。
共流延の場合、内側と外側の厚さは特に限定されないが、好ましくは外側が全膜厚の1〜50%であることが好ましく、より好ましくは2〜30%の厚さである。ここで、3層以上の共流延の場合は金属支持体に接した層と空気側に接した層のトータル膜厚を外側の厚さと定義する。共流延の場合、前述の可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤等の添加物濃度が異なるポリマー溶液を共流延して、積層構造のセルロースアシレートフィルムを作製することもできる。例えば、スキン層/コア層/スキン層といった構成のセルロースアシレートフィルムを作ることができる。例えば、マット剤は、スキン層に多く、またはスキン層のみに入れることができる。可塑剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多くいれることができ、コア層のみにいれてもよい。また、コア層とスキン層で可塑剤、紫外線吸収剤の種類を変更することもでき、例えばスキン層に低揮発性の可塑剤および/または紫外線吸収剤を含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤、或いは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することもできる。また、剥離促進剤を金属支持体側のスキン層のみ含有させることも好ましい態様である。また、冷却ドラム法で金属支持体を冷却して溶液をゲル化させるために、スキン層に貧溶媒であるアルコールをコア層より多く添加することも好ましい。スキン層とコア層のTgが異なっていても良く、スキン層のTgよりコア層のTgが低いことが好ましい。また、流延時のセルロースアシレートを含む溶液の粘度もスキン層とコア層で異なっていても良く、スキン層の粘度がコア層の粘度よりも小さいことが好ましいが、コア層の粘度がスキン層の粘度より小さくてもよい。
〈第一延伸工程〉
前記セルロースアシレートフィルムの製造方法においては、前記流延工程において形成された前記ウェブを搬送しながら残留溶媒量が100〜300質量%の状態で−30℃〜30℃で一方向に延伸する。前記第一延伸工程がフィルム搬送方向への延伸であることが、Re発現性の観点から好ましい。この際、ウェブの前記第一延伸開始時の残留溶媒量は100〜300質量%である。第一延伸工程での温度の好ましい範囲は、−30℃〜30℃、より好ましくは−10℃〜0℃の温度で乾燥を行う。
[残留溶媒量]
この第一延伸開始時におけるセルロースアシレートウェブの残留溶媒量は、下記式に基づいて算出することができる。また、後述する乾燥工程や第二延伸工程開始時における残留溶媒量についても同様に算出することができる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
[式中、Mは、延伸ゾーンに挿入される直前のセルロースアシレートフィルムの質量、Nは、延伸ゾーンに挿入される直前のセルロースアシレートフィルムを120℃で2時間乾燥させたときの質量を表す]
前記第一延伸工程において、ウェブの第一延伸開始時における残留溶媒量は、100〜300質量%であり、剥ぎ取り、ウェブの判断、延伸温度、延伸倍率等のバランスを考慮すると、200〜300質量%がさらに好ましい。前記ウェブの第一延伸開始時における残留溶媒量が100質量%未満であると、延伸温度を低くすると延伸の際にウェブの破断が生じやすい。このため、延伸温度を高く設定する必要があり、エネルギー効率が低下してしまう。また、延伸温度を高くしても、高倍率で延伸しようとするとやはりウェブに破断が生じてしまう。さらに、前記残留溶媒量が100質量%未満であるとフィルムが硬くなり延伸が難しくなるため、目的の光学特性が得られない。また、残留溶媒量が300質量%を越えると、ウェブの剥ぎ取り性や延伸適正(シワ、ハンドリングなど)、回収性が著しく低下してしまう。特に前記残留溶媒量が、200〜300質量%の範囲内にあると、延伸倍率を上げやすく、さらに、ウェブの破断をより効果的に抑制することができる。
前記第一延伸工程開始時におけるセルロースアシレートウェブの残留溶媒量は、ポリマー溶液の濃度、金属支持体の温度や速度等を変更することにより、適宜調整することができる。また、第一延伸工程開始前に乾燥を行うことも可能であるが、この前記第一延伸工程開始前の乾燥ではフィルムの結晶化が進まない程度の温度である必要があり、具体的には30℃以上にならない範囲であれば乾燥を行ってもよい。
また、前記第一延伸工程中においてセルロースアシレートウェブ中の残留溶媒量は徐々に減少していくこととなるが、前記第一延伸工程が終了するときには、後述の乾燥工程における好ましい乾燥開始時の残留溶媒量まで低下していることが好ましい。例えばこのような前記第一延伸工程中における残留溶媒量の制御は延伸中における自然乾燥の他、乾燥風の導入によって延伸と同時に行うことができる。
前記第一延伸工程において、ウェブは搬送されながら、搬送方向に延伸される。この際、ウェブの延伸倍率としては、高い延伸倍率を達成しつつウェブの破断を防止する観点から、5〜100%が好ましく、15〜50%がさらに好ましい。前記延伸の際のセルロースアシレートウェブの延伸倍率(伸び)は、金属支持体速度と剥ぎ取り速度(剥ぎ取りロールドロー)との周速差により達成することができる。例えば、2つのニップロールを有する装置を用いた場合、入口側のニップロールの回転速度よりも、出口側のニップロールの回転速度を速くすることにより、搬送方向(縦方向)にセルロースアシレートフィルムを好ましく延伸することができる。このような延伸を行うことによって、レターデーションの発現性を調整することができる。 なお、ここでいう「延伸倍率(%)」とは、以下の式により求められるものを意味するが、直接長さを測定する方法に制限されるものではなく、下記式で求められる延伸倍率と同等の結果が得られるその他の方法を採用することもできる。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/延伸前の長さ
前記第一延伸工程において、延伸時におけるウェブの膜面温度(延伸温度)は延伸効率および残留溶媒量変化を小さくする観点から、−30℃〜30℃に制御する。このような制御は、金属支持体及びゾーン温度の温度を調節することで達成できる。以下であることが好ましい。また、延伸工程におけるウェブの延伸速度は、特に限定されるものではないが、延伸適正(シワ、ハンドリングなど)の観点から、1〜1000%/minが好ましく、1〜100%/minがさらに好ましい。延伸は1段で実施しても、多段で実施してもよい。前記第一延伸工程を経たウェブは、続いて乾燥(結晶化)処理工程へ搬送する。
〈乾燥(結晶化処理)工程〉
延伸処理が完了したウェブは乾燥工程の開始時における残留溶媒量が100質量%以下になるように制御された後、膜面温度が200℃以上にならないように温度制御しながら残留溶媒量を10%以下とするフィルムを乾燥する工程で処理する(結晶化処理)。この上記特定の条件を満たす事により、流延したウェブ内の分子動きが低温でありながら十分であり、かつ、結晶化を阻害するような分子も結晶化する条件としては十分少ないため、結晶化が効率的に低温で進行する。膜面温度をこれより低くした場合には、分子運動が十分得られず、高くした場合には分子運動が激しくなりすぎるため結晶化が進行しない。
さらに、前記第一延伸工程の後に、前記ウェブの膜面温度を好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜100℃に制御ながら、残留溶媒量を10%以下にすることが、光学発現性の観点からより好ましい。前記乾燥工程の開始時における残留溶媒量は、100質量%以下であり、10〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜100質量%の範囲である。残留溶媒量が100質量%以下の場合には、分子運動が十分起こり、結晶化する条件としては阻害分子の存在する数が減少するため結晶化が進行しやすくなる。また、残留溶媒量が10質量%以上の場合には、低温で十分な分子運動が得られる。
前記第一延伸工程開始後から乾燥工程開始前までの間に残留溶媒量を100質量%以下に減少させる工程は、前記第一延伸工程中に延伸と同時に行ってもよい。前記第一延伸工程終了時おいて前記乾燥工程の開始時における好ましい残留溶媒量の範囲に制御できていなかった場合は、第一延伸工程終了から乾燥工程開始までの間に残留溶媒量を減少させるその他の工程を実施する。このような残留溶媒量を減少させる工程としては、前記第一延伸工程開始前の乾燥のような乾燥工程を挙げることができ、具体的には、乾燥温度が30℃以上にならない範囲で乾燥を行うことができる。
前記残留溶媒量を減少させるその他の工程としては、具体的には例えば以下の態様を挙げることができるが、以下の態様に限定されるものではない。テンター内においてウェブ自体の発泡やウェブが保持手段に付着するのを防止するために、テンター乾燥装置において、ウェブの両側縁部保持ピンを吹出型冷却器でウェブの発泡温度未満に冷却すると共に、ウェブを喰い込ます直前のピンをダクト型冷却器でのドープを0℃以下に冷却する事が好ましい。
前記乾燥(結晶化処理)工程は、セルロースアシレートフィルム(ウェブ)を搬送しながら行うことが好ましい。セルロースアシレートフィルムの搬送手段は特に制限されないが、乾燥工程においてウェブは、例えばテンターで両端をクリップやピンで固定されたりしながら乾燥される。典型的な例としてニップロールやサクションドラムにより搬送する手段、テンタークリップで把持しながら搬送する手段(空気圧で浮上搬送する手段)などを挙げることができる。好ましいのは、ピン状テンターで固定しながら搬送する手段、隙間が狭い複数の搬送ローラにより搬送する手段であり、より好ましいのは、ピン状テンターで固定しながら搬送する手段である。
ピン状テンターで固定しながら搬送する手段は、具体的には、搬送方向に直交する線上にあるセルロースアシレートフィルム両端部をそれぞれピン状テンターで固定し、一方の端部を固定したテンターと他方の端部を固定したテンターとの間の距離を制御しながら搬送することにより行うことができる。テンター間の距離は、テンターレールパターンを適宜設定することにより制御することが可能である。このようにして、テンター間の距離を制御することにより、幅方向の寸法変化率を所望の値に抑制しながらセルロースアシレートフィルムを乾燥処理することができる。ウェブの破断、シワ、搬送不良を防止するために、ピンテンターのピンにおいて、内側のピン密度を大きく、外側のピン密度を小さくすると好ましい。
隙間が狭い複数の搬送ローラにより搬送する手段は、具体的には、隣り合う搬送ロール間の隙間が0.1cm〜50cmとなるように結晶化処理ゾーン内に設置された複数の搬送ロールにセルロースアシレートフィルムを通して搬送することにより行うことができる。隣り合う搬送ロール間の隙間とは、搬送されるフィルムが1つの搬送ロールから離れてから次の搬送ロールにラップされるまでの間の距離を指す。このような搬送ロール間の隙間の狭い一群の搬送ロール(いわゆる密ロール)の間を通すことにより、フィルム幅方向に搬送ロールによる保持力が作用し、フィルムの幅方向への寸法変化率を抑制することができる。この方法では、テンタークリップ法のような幅方向の拡幅は不可能だが、収縮を最小限に抑制することができる。
前記乾燥(結晶化処理)工程におけるフィルム搬送の速度は、通常は1〜500m/分であり、5〜300m/分が好ましく、10〜200m/分がより好ましく、20〜100m/分がさらに好ましい。搬送速度が、前記の下限値である1m/分以上であれば産業上、十分な生産性を確保することができるという点で好ましくなる傾向があり、前記の上限値である500m/分以下であれば実用的な結晶化処理ゾーン長で十分に結晶成長を進行させることができるという点で好ましくなる傾向がある。搬送速度を速くすればフィルムの着色を抑制することができる傾向があり、搬送速度を遅くすれば結晶化処理ゾーン長を短くすることができる傾向がある。結晶化処理中の搬送速度(搬送速度を決定するニップロールやサクションドラム等の装置の速度)は一定にしておくことが好ましい。
前記乾燥(結晶化処理)方法として、例えば、セルロースアシレートフィルムを搬送しながら温度Tのゾーン内を通過させる方法、搬送されているセルロースアシレートフィルムに熱風をあてる方法、搬送されているセルロースアシレートフィルムに熱線を照射する方法、セルロースアシレートフィルムを昇温されたロールに接触させる方法などを挙げることができる。好ましくは、セルロースアシレートフィルムを搬送しながら温度Tのゾーン内を、熱風をあてながら通過させる方法である。この方法によれば、セルロースアシレートフィルムを均一に加熱することができるという利点がある。ゾーン内の温度は、例えば温度センサでモニターしつつヒーターで一定温度に制御することにより温度Tに維持することができる。温度Tのゾーン内のセルロースアシレートフィルムの搬送長は、製造しようとするセルロースアシレートフィルムの性質や搬送速度によって異なるが、通常は(搬送長)/(搬送するセルロースアシレートフィルムの幅)の比が0.1〜100となるように設定することが好ましく、より好ましくは0.5〜50であり、さらに好ましくは1〜20である。この比は、本明細書において縦横比と略すこともある。温度Tのゾーンの通過時間(結晶化処理の時間)は、通常0.01〜60分であり、好ましくは0.03〜10分であり、さらに好ましくは0.05〜5分である。前記範囲とすることにより、レターデーションの発現に優れ、フィルムの着色を抑制することができる。
また、溶液流延法により速度を上げたり、テンターにてウェブの幅を広げたりする時の平面性等の品質低下を防止するために、前記流延工程において、テンター内でウェブを乾燥する際には、風速を0.5〜20(40)m/s、横手方向温度分布を10%以下、ウェブ上下風量比を0.2〜1とすることが好ましい。また、乾燥ガスの吹き出し延長方向に位置するフィルム表面上での風速分布を風速の上限値を基準にした時、上限値と下限値との差を上限値の20%以内にして、乾燥ガスを吹き出し、ウェブを乾燥させることが好ましい。
乾燥(結晶化処理)工程は、前記製造方法において1回のみ行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回行うとは、前の乾燥(結晶化処理)が終了した後に再び温度を200℃未満の初回の乾燥工程終了時以上の温度に設定して、搬送しながら結晶化処理を行うことを意味する。複数回結晶化処理を行う場合は、すべての結晶化処理が完了した段階で前記の延伸倍率の範囲を満たすことが好ましい。前記製造方法における結晶化処理は、3回以下が好ましく、2回以下がより好ましく、1回が最も好ましい。
[第二延伸工程]
前記製造方法では、前記第一延伸工程後のウェブを膜面温度が200℃以上にならないように制御しながら残留溶媒量を10%以下とした後に、60℃〜200℃で前記第一延伸工程での延伸方向と異なる方向に延伸する第二延伸工程を含む。前記第二延伸時の延伸温度は、60〜200℃であり、90〜140℃であることがさらに好ましい。60℃以上であると延伸が十分となり、また、200℃以下であると泣き出しや揮散の問題の発生が顕著に少なくなる。
このような条件下での第二延伸の実施により、結晶部分を大きく動かすことなく、配向した非晶部分を減少させることができると考えられる。したがって、Reを大きく動かすことなく、Reの湿度依存性を低減させることが可能となる、また、波長分散をコントロールできる。このような第二延伸工程は、配向した非晶部分を効率的に減少させる観点から、搬送方向に対し異なる方向で延伸を行い、直交方向への延伸を行うことが好ましい。
また、TD方向(フィルム搬送方向に直行する方向)に延伸することが、最終的に得られる透明フィルムのレタデーション(特にRe)の湿度依存性を効果的に低減する観点からも好ましい。この湿度依存性の改良により、表示の湿度変化による変動が低減し、さらに表示安定性が向上する。
ここで、前記乾燥工程理後に上記条件を満たす第二延伸工程を行うことにより、得られるフィルムの湿度依存性の改良および波長分散をも調整することができる。フィルムの湿度依存性および波長分散は、主に、非晶部と添加剤(波長分散調整剤)の配向によって決定する。一方、フィルムの遅相軸の向き、およびReとRthの絶対値は、主に、結晶部の配向によって決定する。ここで、前記フィルムの延伸前の配向方向を検討すると、結晶化処理のみを行ったフィルムでは、結晶部、非晶部および添加剤が結晶化処理工程時のフィルム搬送方向に配向している。これらの乾燥(結晶化処理)工程後のフィルムに対し、前記特定の範囲で第二延伸工程を行うことに特徴があり、乾燥工程後の延伸では結晶部の配向よりも非晶部と添加剤の配向の変化速度が速いことを新たに見出したことにも特徴の1つを有する。すなわち、結晶部分を大きく動かすことなく、非晶部分等の配向を支配的に変化させることができる。前記製造方法によれば乾燥(結晶化処理)工程後の延伸により、非晶部と添加剤の配向が結晶部の配向と直交した状態にすることができ、遅相軸の向きを変えずに湿度依存性および波長分散を自由に制御することも可能となる。
前記第二延伸工程がTD延伸である場合、TD延伸の方法としては、例えば、セルロースアシレートフィルムの両端をピン状テンターで固定し、これを搬送方向と直交する方向(横方向)に延伸または収縮しながら加熱ゾーンを通過させる方法等を採用することができる。TD延伸は1段で実施しても、多段で実施してもよい。好ましいのは、ポリマーフィルムの両端をピン状テンターで把持してこれを搬送方向と直交する方向に広げることより延伸する方法である。
前記第二延伸工程における延伸倍率はセルロースアシレートフィルムに要求するレターデーションに応じて適宜設定することができ、35%未満であることが好ましく、1%以上35%未満であることがより好ましく、1〜30%が特に好ましく、1〜5%がさらに好ましい。また、前記TD延伸における延伸速度は1〜1000%/分が好ましく、より好ましくは10〜500%/分であり、さらに好ましくは10〜200%/分である。なお、前記乾燥(結晶化処理)工程が終わった後、前記第二延伸工程を行う前の状態のセルロースアシレートフィルムのReやRthは特に制限されない。
(後乾燥・ハンドリング)
前記セルロースアシレートフィルムの製造方法において、前記第二延伸工程終了時から後の乾燥工程における乾燥温度は40〜180℃、特に70〜150℃が好ましい。さらに残留溶媒を除去するために、50〜150℃で乾燥され、その場合逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることが好ましく用いられている。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量および乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組合せに応じて適宜選べばよい。最終仕上がりフィルムの残留溶媒量は2質量%以下、さらに0.4質量%以下であることが、寸度安定性が良好なフィルムを得る上で好ましい。
また、乾燥後のフィルムの残留溶媒量に関しては、特開2002−241511号公報に、20〜60μmの薄手フィルムであっても経時的の変形をなくし、光学的に等方性で、且つ擦り傷が起こらず、気泡や未溶解物をなくすことを目的として、巻き取り時の残留溶媒量を0.05質量%以下とすることが好ましい。さらに、幅手方向で残留溶媒量の最大値と最小値との差が0.02質量%以下あること、残留溶媒量は好ましくは0.04質量%以下、特に好ましくは0.02質量%以下であること、そのために乾燥温度としては、100〜150℃、乾燥時間としては5〜30分とすること、等が好ましい。また、添加剤の泣き出しや揮散が問題ない範囲であれば、200℃程度の温度で前記第二延伸工程終了後に処理し、さらに結晶化度を向上させても良い。
また、安定搬送、面状良化、必要な光学特性、熱収縮を下げるために、特開2003−053751号公報には、乾燥時におけるベース中の残留溶媒量(乾量基準)を3〜7質量%の時、残留溶媒量における貧溶媒比率が0.01〜95質量%とする発明が記載されている。
また、曇りの発生しないフィルムを得るための発明である特開2003−071863号公報には、フィルムの乾燥工程においては、ベルトより剥離したフィルムをさらに乾燥し、残留溶媒量を0.5質量%以下にすることが好ましく、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、最も好ましいのは0〜0.01質量%以下であることが記載されている。
また、特開平5−278051号公報に、生産性に優れた、溶質の表裏差の少ない物性を目的として、溶質とポリマーとの相互作用パラメータχが0.9以下になるように溶質を選択し、かつ流延した膜中の溶媒のポリマーに対する重量比23%以下になるまでの乾燥を、溶媒のポリマーに対する膜の表面の重量比を12%以上に維持しつつ行う溶液製膜法が記載されている。以上記載した方法は、本発明においても適用できるものである。
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。乾燥のために遠赤外線や特開平8−134336号、特開平8−259706号、特開平8−325388号の各公報に記載されているように、マイクロ波を用いて乾燥することもできる。
また、特開2002−283370号公報には、乾燥装置、或いは熱矯正装置への導入前および/または搬出後にフィルムクリーン化装置を配置して、ウェブに付着している粉塵などを除去することが記載されている。クリーン化手段としては、振動・高圧風供給・吸引方法以外の方法として、火炎処理(コロナ処理、プラズマ処理)を行なう方式、粘着ロールを設置する方式など用いることが開示されている。また、さらなる異物の混入を阻止するための、好ましい態様として、・巻取元巻接線内に巻き込む位置に除電器を設置すること、・除電器は、元巻を再繰り出しした際の帯電電位が<±2KVとなるように巻取時に除電装置或いは強制帯電装置により逆電位を与える構成で行なうこと・強制帯電電位が、1〜150Hzで正負交互に変換される除電器により除電する構成とすることもこと、・イオン風を発生させるイオナイザーや除電バーを利用することが開示されている。
[ムラ]
上記方法で作製した透明支持体用のセルロースアシレートフィルムは、膜厚により結晶化レベルが変化することが判り、支持体を作製する際の膜厚ムラを抑制するのが非常に重要となる。具体的には、膜厚がどの任意の点においても平均膜厚に対して3μ以内である事が好ましく、さらには1μ以内である事が特に好ましい。膜厚ムラは延伸工程や、ドープ流延工程で発生する事が多く、流延工程の精度アップや、延伸工程の速度制御などによる膜厚ムラ低減が非常に重要となる。
なお、上記方法によれば、流延方向(本明細書では「MD方向」という)に対して直交する方向に遅相軸を有するセルロースアシレートフィルムを製造することができる。
<位相差フィルムの製造方法>
次に、本発明の位相差フィルムを連続的に製造する方法の好ましい例について説明する。
<<ロール状位相差フィルムの製造方法>>
ロール状位相差フィルムは、下記工程(1)〜(4)により製造することができる。各工程は一つの連続した設備で一貫して実施してもよく、また別々の設備で逐次実施してもよい。
工程(1):透明支持体を作製する工程。
工程(2):長手方向に搬送される透明支持体上に配向膜を形成する工程。
工程(3):配向膜の表面にラビングロールによりラビング処理を施し、その直後に液晶性化合物を含む塗布液を前記ラビング処理面に塗布する工程。
工程(4):塗布された塗布液を乾燥するのと同時に又は乾燥した後に、液晶転移温度以上の温度で前記液晶化合物を配向させ、その配向を固定して光学異方性層を作製し、長尺状の積層体を巻き取る工程。
なお、これらの各工程の詳細は、特開平9−73081号公報に記載されている。また前記製造方法の各工程の諸条件、使用可能な装置等の詳細については、特開平9−73081号公報に記載の諸条件、装置を適用することができる。
(偏光板)
本発明は、本発明の位相差フィルムと、偏光子とを少なくとも有する偏光板にも関する。本発明の偏光板を液晶表示装置に組み込む際は、本発明の位相差フィルムの光学異方性層側を液晶セル側にして配置するのが好ましい。また、本発明の位相差フィルムの表面(透明支持体側表面)と偏光子の表面とを貼り合わせるのが好ましく、本発明の位相差フィルムの配向膜のラビング方向と、偏光子の透過軸との交差角は、略90度として貼り合せるのが好ましい。厳密に0度である必要はなく、製造上許容される±5度程度の誤差は、本発明の効果に影響するものではなく、許容される。また、偏光子の他方の面にも、セルロースアシレートフィルム等の保護フィルムが貼り合せられているのが好ましい。
<偏光子>
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があり、本発明にはいずれを使用してもよい。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
<保護フィルム>
偏光膜の他方の表面に貼合される保護フィルムには、透明なポリマーフィルムを用いることが好ましい。透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。保護フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム、およびポリオレフィンを含むポリオレフィンフィルム、アクリルフィルムが好ましい。セルロースアシレートフィルムの中でも、セルローストリアセテートフィルムが好ましい。また、ポリオレフィンフィルムの中でも、環状ポリオレフィンを含むポリノルボルネンフィルムが好ましい。前記保護フィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることがさらに好ましい。
<偏光子の製造方法>
偏光子は、バインダーを偏光子の長手方向(MD方向)に延伸した後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。延伸法の場合、延伸倍率は、2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍が更に好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍が好ましい。延伸工程は、数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。延伸前に、横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる工程で行うことによって実施できる。上記二軸延伸は、通常のフィルム製膜において行われている延伸方法と同様である。
(TN液晶表示装置)
本発明の位相差フィルムは、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の位相差フィルムの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置とについては、従来からよく知られているが、液晶セルのΔn・dは300〜500nm程度である。TN型液晶表示装置に用いる位相差フィルムについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号および特開平9−26572号の各公報の他、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.143や、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.1068)に記載がある。
本発明のTNモード液晶セルは、セル基板の内面に少なくとも3つの絵素領域に対応するように透過主波長の異なるカラーフィルタが形成されることが好ましい。前記絵素領域は、R、G、Bの3つの絵素領域からなることが好ましい。本発明では、左右方向の黄色味変化を抑制するために、各絵素領域に対応する液晶層の厚みが少なくとも2つの絵素領域で異なることが好ましい。各絵素領域の好ましい液晶層の厚みは、液晶セルのΔnd、液晶の波長分散、カラーフィルター透過率等により異なるが、B絵素の厚み≦G絵素の厚み≦R絵素の厚みの関係であることが好ましい。また、dB(B絵素厚み)/dR(R絵素厚み)は、0.95以下であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.8以下であることがさらに好ましい。液晶層の厚みの調整は特に限定されないが、例えば、各色のカラーフィルタの厚みを変えることにより、対応する液晶層の厚みを変えることができる。また、液晶層厚み調整によるB絵素とR絵素のΔndの比、ΔndB(波長450nm)/ΔndR(波長630nm)は、1.05以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましく、0.9以下であることがさらに好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
《測定法》
まず、実施例、参考例、および比較例において用いた特性の測定法および評価法を以下に示す。
(1)置換度
セルロースアシレートのアシル置換度は、Carbohydr.Res.273(1995)83−91(手塚他)に記載の方法で13C−NMRにより求めた。
(2)結晶化熱(ΔHc)
DSC測定装置(DSC8230:(株)リガク製)を用い、DSCのアルミニウム製測定パン(Cat.No.8578:(株)リガク製)にセルロースアシレートフィルムを5〜6mg入れ、これを50mL/分の窒素気流中で25℃から120℃まで20℃/分の昇温速度で昇温して15分保持した後、30℃まで−20℃/分で冷却し、さらにこの後、再度30℃から320℃まで20℃/分の昇温速度で昇温した際に現れた発熱ピークと試料のベースラインとで囲まれる面積をセルロースアシレートフィルムの結晶化熱とした。
[実施例1]
(1) セルロースアシレートフィルムの作製
(1−1)ドープの調製と流延
下記の組成のポリマー溶液Aを30℃に加温し、流延ギーサーを通して直径3mのドラムである鏡面ステンレス支持体上に流延した。支持体の表面温度は−5℃に設定し、塗布幅は200cmとした。流延部全体の空間温度は、15℃に設定した。
─―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ポリマー溶液Aの組成
─―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100.0質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 293.0質量部
メタノール(第2溶媒) 71.0質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5質量部
シリカ微粒子 0.8質量部
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
下記レターデーション上昇剤 1.7質量部
─―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2011128584
(1−2)第一延伸工程
そして、流延部の終点部から50cm手前で、流延して回転してきたセルロースアシレートフィルム(ウェブ)を残留溶媒量270%でフィルム(ウェブ)をドラムから剥離し、ピンテンターによって搬送し、フィルム搬送方向に20%延伸した。なお、第一延伸工程におけるフィルムの延伸倍率(%)は、ドラム速度とテンター搬送速度の比より求めた。また、延伸温度(ウェブの膜面温度)が−5℃となるようにドラムの温度を冷媒によって制御することで調節した。延伸速度は1000%/分で行った。
その後、乾燥(結晶化処理)工程として乾燥温度(フィルム膜面温度)が80℃となるように乾燥を行い、残留溶媒量が7%となった時に、第二延伸工程を行うためにピンテンターによって搬送した。なお、前記乾燥温度は延伸ゾーンの温度を乾燥風によって制御することで調節した。その後、第二延伸工程開始前の残留溶媒量を乾燥ゾーンにおけるウェブの一部をサンプリングして、上述の方法によって120℃で2時間乾燥させる前後の質量変化から求め、下記表2に測定した結果を記載した。その後、ピンテンターを用いてフィルム搬送方向と直交する方向に135℃で4%延伸した。延伸温度(フィルムの膜面温度)は乾燥風によって制御することで調節した。延伸速度は60%/分で行った。なお、第二延伸工程におけるフィルムの延伸倍率(%)は、第二延伸工程開始前のピンテンター間の距離と延伸後のピンテンター間の距離の差により求めた。
(1−3)後乾燥工程、巻き取り
さらに第二延伸工程後のフィルムを140℃で20分乾燥した。こうして、幅1400mm、および膜厚73.8μmのセルロースアシレートフィルムを得て、巻取り機により巻き取った。得られたセルロースアシレートフィルムは、Re=20nm、Rth=100nmであった。なお、この状態での膜厚はどの任意の点においても平均膜厚に対して2μ以内であった。
(2)液晶組成物よりなる光学異方性層の形成
(2−1)セルロースアシレートフィルムの鹸化処理
上記で得られたセルロースアシレートフィルムを温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、下記に示す組成のアルカリ溶液をバーコーターを用いて14ml/m2で塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外線ヒーター((株)ノリタケカンパニー製)の下に10秒滞留させた後に、同じくバーコーターを用いて純水を3ml/m2塗布した。この時のフィルム温度は40℃であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に70℃の乾燥ゾーンに2秒滞留させて乾燥した。
────────────────────────────────────
鹸化処理用のアルカリ溶液の組成
────────────────────────────────────
・水酸化カリウム 4.7質量部
・水 15.7質量部
・イソプロパノール 64.8質量部
・プロピレングリコール 14.9質量部
・界面活性剤(C1633O(CH2CH20)10H) 1.0質量部
────────────────────────────────────
(2−2)配向膜の形成
鹸化したセルロースアシレートフィルムの鹸化処理面に、下記の組成の配向膜形成用塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2塗布し、100℃の温風で120秒乾燥した。配向膜の厚さは1.2μmであった。次に、フィルムの長手方向(搬送方向)を0°とし、形成した配向膜に幅2000mmのラビングローラを用いて、ラビングローラの回転数400rpmで0°方向に、ラビング処理を実施した。この際、搬送速度は40m/分であった。続いてラビング処理面を超音波除塵した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
配向膜形成用塗布液の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記の配向膜用ポリマー 40質量部
・水 700質量部
・メタノール 300質量部
・トリエチルアミン 20質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2011128584
(2−3)光学異方性層の形成
除塵後の配向膜のラビング処理面に、下記表に示した組成の光学異方性層用塗布液をワイヤーバーで塗布した。その後、130℃の恒温槽中で120秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、80℃で160W/cm高圧水銀灯を用いて、40秒紫外線照射し架橋反応を進行させて、ディスコティック液晶化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層形成用塗布液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・メチルエチルケトン 270質量部
・下記A1のディスコティック液晶性化合物 100質量部
・下記B1の空気界面配向制御剤 1.0質量部
・光開始剤 イルガキュア907 チバ・ジャパン(株)製 3.0質量部
・増感剤 カヤキュア DETX 日本化薬製 1.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2011128584
Figure 2011128584
(3)偏光板の作製
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光膜を得た。
作製したフィルムのセルロースアシレートフィルム側の露出面(液晶組成物よりなる光学異方性層が形成されていない側の表面)を1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬して希硫酸水溶液を十分に洗い流し、最後に120℃で十分に乾燥させた。
前記のように鹸化処理を行ったフィルムを、同じく鹸化処理を行った市販のセルロースアセテートフィルムと組合せて前記の偏光膜を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて、鹸化処理面を貼り合せることにより偏光板を得た。ここで市販のセルロースアセテートフィルムとしてはフジタックTF80UL(富士フイルム(株)製)を用いた。このとき、偏光膜および偏光膜両側の保護膜はロール形態で作製されているため各ロールフィルムの長手方向が平行となっており連続的に貼り合わせた。従ってフィルムの長手方向(フィルムの流延方向)と偏光膜の吸収軸とは平行な方向となった。得られた偏光板を実施例1の偏光板とした。
(4)TNモード液晶表示装置の作製
TNモード液晶セルを使用した液晶表示装置(AL2216W、日本エイサー(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記の作製した偏光板を、光学異方性層が液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。このとき、観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とが直交するように配置した。このようにして、実施例1のTNモード液晶表示装置を作製した。
[参考例1]
(1)セルロースアシレートフィルムの作製
実施例1と同様にフィルムを作製した。
(2)液晶組成物よりなる光学異方性層の形成
(2−1)セルロースアシレートフィルムの鹸化処理
実施例1と同様に鹸化処理を行った。
(2−2)配向膜の形成
鹸化したセルロースアシレートフィルムの鹸化処理面に、下記の組成の配向膜形成用塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2塗布し、100℃の温風で120秒乾燥した。配向膜の厚さは1.2μmであった。次に、フィルムの長手方向(搬送方向)を0°とし、形成した配向膜に幅2000mmのラビングローラを用いて、ラビングローラの回転数400rpmで0°方向に、ラビング処理を実施した。この際、搬送速度は40m/分であった。続いてラビング処理面を超音波除塵した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
配向膜形成用塗布液の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記の変性ポリビニルアルコール 40質量部
・水 700質量部
・メタノール 300質量部
・グルタルアルデヒド(架橋剤) 2質量部
・クエン酸エステル(AS3、三共化学(株)) 0.7質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2011128584
(2−3)光学異方性層の形成
除塵後の配向膜のラビング処理面に、下記表に示した組成の光学異方性層用塗布液をワイヤーバーで塗布した。その後、130℃の恒温槽中で120秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、80℃で160W/cm高圧水銀灯を用いて、40秒紫外線照射し架橋反応を進行させて、ディスコティック液晶化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層形成用塗布液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・メチルエチルケトン 270質量部
・下記A2のディスコティック液晶性化合物 100質量部
・フルオロ脂肪族基含有共重合体 0.3質量部
(メガファックF780 大日本インキ(株)製)
・光開始剤 イルガキュア907 チバ・ジャパン(株)製 3.0質量部
・増感剤 カヤキュア DETX 日本化薬製 1.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2011128584
(3)偏光板の作製
実施例1と同様に作製した。
(4)TNモード液晶表示装置の作製
実施例1と同様に作製した。
[実施例2〜7、比較例2〜3及び5〜10、並びに参考例4]
実施例1における透明支持体の添加剤、延伸、乾燥条件の調整、及び光学異方性層の膜厚を、下記表に記載した通りに変更した以外は、実施例1と同じ条件で、実施例2〜7、比較例2〜3及び5〜10、並びに参考例4のフィルムをそれぞれ作製した。さらに実施例1と同様にして、各フィルムを組み込んだTNモード液晶表示装置を作製した。
また、
[実施例8〜10]
具体的には、ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が90°交差する配置で向かい合わせ、液晶セルの間隙にΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、5インチの液晶セルを作製した。作製した液晶セルの視認側及びバックライト側に、実施例1で作製した偏光板を実施例1と同じ構成になるように貼り合わせた。液晶セルの厚みは、実施例8、9及び10でそれぞれ、3.2μm(Δnd447nm)、2.86μm(Δnd399nm)、及び2.15μm(Δnd300nm)に設定し、それ以外は同じ条件で液晶表示装置を作製した。上記作製した位相差フィルムの特性、及び液晶表示装置の特性結果を、以下の表に示す。
[実施例11〜18]
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング
処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が90°交差する配置で向かい合わせ、液晶セルの間隙に波長550nmにおけるΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、5インチの液晶セルを作製した。一方の透明ガラス基板に特開平10−221518号公報の実施例に記載の方法で富士フイルム社製のトランサーカラーフィルタを形成したものを使用した。トランサーカラーフィルタの表面凸凹は0.2ミクロン以下であった。このとき、R、G、Bのカラーフィルタの厚みを変えることによって、下記表に示す通りに、各絵素の液晶層の厚みを調整した。また、各絵素におけるΔndはそれぞれ下記表に示す通りの値であった。ここで、B絵素のΔndB(450nm)は波長450nm、G絵素のΔndG(550nm)は波長550nm、R絵素のΔndR(630nm)は波長630nmにおけるΔndを示す。実施例11〜14では、作製した液晶セルの視認側及びバックライト側に、実施例1で作製した偏光板を実施例1と同じ構成になるように貼り合わせた。実施例15〜18では、支持体のRthを表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして作製した偏光板を実施例1と同じ構成になるように貼り合せた。
作製した各液晶表示装置の評価は、以下の基準で行った。
(正面CRの評価)
◎:下記表に記載したように、正面CR(フィルム輝度漏れ量)が40未満、
○:同じく正面CR(フィルム輝度漏れ量)が40以上80未満
×:同じく正面CR(フィルム輝度漏れ量)が80以上、
の基準で評価した。
なおフィルム輝度漏れ量は、2枚のクロスニコル偏光板の間に位相差フィルムを挿入し、位相差フィルムを回転させ最も輝度が低い値をBM5(トプコン社製)にて測定した。
(視野角CRの評価)
◎:表示装置の左右上下方向でのCR10以上となる角度がそれぞれ平均しておよそ80°以上、
○:同じくCR10以上となる角度が平均しておよそ70°以上80°未満、
△:同じくCR10以上となる角度が平均しておよそ60°以上70°未満、
×:同じくCR10以上となる角度が平均しておよそ60°未満、
の基準で評価した。
なお表示装置のCR値は「EZ−Contrast160D」(ELDIM社製)を用いて、黒表示(L0)及び白表示(L7)で視野角を測定し、上下左右でコントラスト比(白透過率/黒透過率が10以上となる領域を求めた。
(左右黄色味変化)
BM−5(トプコン社製)を用いて、正面輝度が白表示の1/7となる階調(L1)において、正面から右視野角60°まで極角を変化させたときの色味変化量Δu'v'を測定した。
上記作製した位相差フィルムの特性、及び液晶表示装置の特性結果を以下表に示す。
なお、下記表中、支持体の(遅相軸方向)が「Pol透過軸」であるとは、支持体の遅相軸がPol透過軸(偏光子の透過軸)方向と平行であることを意味する。また下記表中、チルト角については単位は「°」、Re及びRthについては単位は「nm」である。
Figure 2011128584
注)参考例1は、光学異方性層の微小配向軸ズレが4を超えていて、実施例より大きい例であり、比較例2は式(3)を満足せず、比較例3は、式(1)〜(3)を満足しない例である。
Figure 2011128584
注)実施例は、支持体の面内遅相軸と偏光膜の透過軸とが平行なのに対して、参考例4は、支持体の面内遅相軸が、偏光子の吸収軸方向と平行である例であり、比較例5は、式(2)を満足しない例であり、比較例6及び7は式(3)を満足しない例である。
Figure 2011128584
注)比較例8及び9は式(2)を満足しない例、比較例10は式(3)を満足しない例である。
Figure 2011128584
Figure 2011128584
なお、上記表中の「パネル透過率*1」は以下の式から算出される。
パネル透過率(%)=白表示時の輝度 ÷ バックライト輝度 × 100
白表示時の輝度をBM5(トプコン社製)で計測し、実施例9を100とした時のパネル透過率の比率を実施例8及び実施例10のそれぞれの欄に記載した。実施例10の構成は視野角CRを確保しながらパネル透過率を向上させることができ、白表示時の輝度が向上する。また、バックライト輝度を低減させることで白表示時の輝度を低減させることなく、省電力化を図ることが可能となる。
本発明の実施例の位相差フィルムを光学補償に利用したTNモード液晶表装置は、正面CR、視野角CRともに好ましい結果が得られた。また、各絵素の液晶層の厚みを変えることにより左右の黄色味を改良できる結果が得られた。

Claims (7)

  1. 透明支持体、その片側に配向膜、該配向膜上に光学異方性層を有する位相差フィルムであって、
    前記光学異方性層は、ハイブリッド配向したディスコティック液晶組成物からなり、かつ該光学異方性層の配向膜側のディスコティック液晶分子の平均チルト角が45°以上であり、配向膜側と反対側のディスコティック液晶分子の平均チルト角が45°以下であり;並びに透明支持体及び光学異方性層が、以下の関係を満足する位相差フィルム:
    (1) Re(DLC)<60nm
    (2) (−0.5)×Re(透明支持体)+40 ≦ Re(DLC)
    ≦(−0.5)×Re(透明支持体)+80
    (3) 0.5×Rth(透明支持体)−10 ≦ Re(DLC)
    ≦0.5×Rth(透明支持体)+30
    Re(DLC):光学異方性層のRe、
    Re(透明支持体):透明支持体のRe、
    Rth(透明支持体):透明支持体のRth。
  2. 前記光学異方性層の微小な配向軸分布が、4以下である請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 前記透明支持体が、セルロースアシレートフィルムからなり、かつ透明支持体の遅相軸方向がMD方向に対して直交している請求項1又は2に記載の位相差フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルムを有する偏光板。
  5. 偏光板の透過軸と、位相差フィルムの面内遅相軸が平行である請求項4に記載の偏光板。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム、及び/又は請求項4もしくは5に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
  7. 少なくとも電極を一方に有する対向配置された一対の基板、前記基板間に挟持された液晶層を有する液晶セルを有する液晶表示装置であって、前記液晶セルは透過主波長の異なるカラーフィルタが配置された少なくとも3つの絵素領域を含み、前記液晶層の厚みが少なくとも2つの絵素領域で異なる請求項6に記載の液晶表示装置。
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