JP2011127832A - 熱交換性能を向上させた蓄熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】蓄熱材から熱を効率的に移動するために、蓄熱材の熱伝導率を高くし、熱の移動が早い蓄熱装置を提供する。
【解決手段】蓄熱タンク内に敷設された熱交換用管が蓄熱材に直接接触することで熱交換を行う蓄熱装置において、蓄熱剤100体積部および、アスペクト比が10〜100であるピッチ系黒鉛化短繊維を10〜100体積部含む蓄熱材組成物を当該蓄熱材として用いることを特徴とする蓄熱装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、蓄熱装置に関わり、中でも蓄熱タンク内に敷設された熱交換用管が蓄熱材に直接接触することで熱交換を行う蓄熱装置に関し、蓄熱材に好適な配合物に関わるものである。本発明の蓄熱装置に用いる蓄熱材は、蓄熱剤に対して一定形状のピッチ系黒鉛化短繊維を添加した組成物であり、蓄熱剤そのものに比べ熱伝導率が高いため、熱の出し入れを速やかに行うことができるようになっており、迅速な熱交換を可能にするものである。
下水汚泥施設やごみ焼却施設など、熱を大量に発生するシステムを持つ施設では、廃熱の処理がカーボンニュートラルを目指す中で、近年特に重要視されている。蓄熱装置は、温水プールのような熱の利用方法が代表的であるが、熱を蓄熱タンクに貯蔵し、移動させ、然るべき別箇所にて熱を利用することが近年盛んに検討されている。
ところが、蓄熱タンクから熱を所望の場所に移動させる際には、蓄熱材として用いる蓄熱剤の熱伝導率が悪いために、廃熱利用のコンセプトとは裏腹に、多大なる時間が必要となり、熱効率が十分に活かせない状態にある。現在、この熱交換の速度が課題として顕在化している。
ここで、蓄熱装置について概観する。蓄熱装置では、熱交換器にて交換された熱を、熱媒を有する管を介して、蓄熱タンクへと導き、蓄熱タンク内の蓄熱材にそれを保存し、必要に応じて熱を取り出すという装置である。この装置は、200℃程度以下の比較的低いとされる温度の廃熱を保存したり、輸送したりすることに適している。しかしながら、蓄熱材として用いる蓄熱剤の熱伝導率が低いために、熱を蓄える時間(蓄熱時間)及び蓄熱した熱を放出する時間(放熱時間)が長くかかってしまっていた。
蓄熱装置における蓄熱性能は、蓄熱材として用いる蓄熱剤の比熱や相変化を伴う場合には潜熱で決まる。一方で、熱交換の速度に関する熱伝導率は、これらとは異なる物性である。熱伝導率に優れた材料としては、銅や銀といった金属をあげることができるが、これらは比重が大きく蓄熱剤への均一な混合が困難である。また、金属は種々の蓄熱剤と反応を起こす可能性があり、安全面からも好ましくない。この場合、熱交換用の管においても、反応を起こすような金属は使うことができず、不活性な金属種で熱交換用の管を作成せざるを得ない。しかし、最大の律速は、熱交換にかかる時間であり、これは蓄熱剤の熱伝導率に依存している。このため、種々の材料に対して不活性であり熱伝導率の高い蓄熱材の出現が、蓄熱タンクからの迅速な熱の出し入れを行うという観点より切望されていた。
ここで、熱交換の時間に関してもう少し詳細に考察する。一般に熱交換の迅速化を鑑みて実施されてきたのは、熱交換部を長くすることである。しかし、一定の蓄熱タンクの中で、熱交換部を長くすれば、蓄熱タンク内の蓄熱材の量が低減し、蓄えられる熱量に限界が生じてしまう。また、蓄熱材に接してなる熱交換部の管を最小にすると、蓄熱剤の熱伝導率が小さく、熱の移動に時間がかかってしまうという本来の問題に帰着してしまう。
このように、蓄熱装置における蓄熱タンク内の熱交換部の設計は、効率的な熱利用のために、必要不可欠である。ところが、上記考察のように部品による改良においても限界があることが明らかになっている。そこで、改良の矛先は熱を蓄えてなる蓄熱材に目を向けざるを得ない。炭素繊維は、金属に比較すると密度が小さく、また、熱伝導率が高いものもある。さらに、殆どの物質に対して不活性であるという特徴を持っている。
炭素繊維は、一般的な合成高分子に比較して熱伝導率が高いと言われているが、市販されているPAN系炭素繊維の熱伝導率は通常200W/(m・K)よりも小さい。よって、より高い熱伝導率を求める用途には、易黒鉛化炭素繊維と呼ばれているピッチ系炭素繊維が好ましいと考えられる。ただ、炭素繊維単体は融点が3000℃以上であり、そのものを蓄熱材とすることは困難である。そこで、他の蓄熱剤への添加により、全体の熱伝導率を向上させるという役割が期待される。
特許文献1には、密閉容器の外側に熱交換器を配置し、蓄熱材を入れた密閉容器内に炭素繊維を入れることが開示されている。
特開2004−36964号公報
本発明は、通常の蓄熱装置における熱移動時間を短縮することを課題としており、極めて高い熱伝導率を有する特定のピッチ系黒鉛化短繊維を蓄熱剤に分散させた蓄熱材組成物を当該蓄熱材として用いることで、蓄熱材の熱を円滑に出し入れできるような蓄熱装置を提供するものである。
熱伝導性の高い材料は銅や銀のような金属をはじめとし、多くの材料がある。これに対して通常用いられる蓄熱剤は、イオン性の材料など金属に対してアフィニティーの高い材料が多い。そのため、このような蓄熱剤に対して熱伝導付与を目的に銅や銀を添加すると、化学反応を引き起こし、危険である。これを解決するためには、化学的に不活性で尚且つ熱伝導率の高い材料が求められていた。
我々は化学的に不活性で熱伝導率が高い材料で尚且つ分散性に優れた材料を検討した結果、ピッチ系黒鉛化短繊維が最も好適に用いることができ、中でも、特定の形状などを持つことが必要であることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、蓄熱タンク内に敷設された熱交換用管が蓄熱材に直接接触することで熱交換を行う蓄熱装置において、蓄熱剤100体積部および、アスペクト比が10〜100であるピッチ系黒鉛化短繊維を10〜100体積部含む蓄熱材組成物を当該蓄熱材として用いることを特徴とする蓄熱装置である。なかでも蓄熱剤との分散性に優れた特定のピッチ系黒鉛化短繊維を用いることで、蓄熱材の熱伝導率を高め、高性能の蓄熱装置が提供できることを特徴とする。すなわち本発明は、蓄熱剤100体積部および、アスペクト比が10〜100であるピッチ系黒鉛化短繊維を10〜100体積部含む蓄熱材組成物である。
本発明の蓄熱装置は、蓄熱材として熱伝導率に優れた特性の形状のピッチ系黒鉛化短繊維を含んだ蓄熱材組成物を用いることを特徴とし、当該ピッチ系黒鉛化短繊維は、蓄熱材組成物を構成する蓄熱剤への分散が良好である。蓄熱剤とピッチ系黒鉛化短繊維とを混合し、見かけの熱伝導率を高くすることで、蓄えられてなる熱は、熱交換用の管と蓄熱材とを効率的に移動できる。このため、平均的な熱交換速度が高くなり、熱交換装置からの熱の出し入れの時間を短縮することが可能となり、作業効率を飛躍的に向上させることができる。
次に、本発明の実施の形態について説明する。
本発明は、蓄熱タンク内に敷設された熱交換用管が蓄熱材に直接接触することで熱交換を行う蓄熱装置において、蓄熱剤100体積部および、アスペクト比が10〜100であるピッチ系黒鉛化短繊維を10〜100体積部含む蓄熱材組成物を当該蓄熱材として用いることを特徴とする蓄熱装置である。
また本発明は、蓄熱剤100体積部および、アスペクト比が10〜100であるピッチ系黒鉛化短繊維を10〜100体積部含む蓄熱材組成物である。
本発明における蓄熱材組成物は高熱伝導率を有することが重要であるので、蓄熱材組成物中ピッチ系黒鉛化短繊維が10体積部より少ない場合は、十分な熱伝導性を得ることが困難になる。100体積部より添加量を多くすると、蓄熱材組成物の流動性が損なわれ始めることに加え熱容量が小さくなり始める。より好ましくは、10〜60体積部である。アスペクト比が10より小さいと、熱交換用管との接触面積が小さくなり、効果が小さくなる。一方、アスペクト比が100より大きい場合、繊維長が長すぎてハンドリング性が悪くなり、混合性が悪くなる。10〜50の範囲が好ましく、10〜25の範囲がさらに好ましい。
本発明の蓄熱材組成物を構成する蓄熱剤は、エリスリトール類、水、パラフィン、酢酸ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、および塩化マグネシウムよりなる群より選ばれる少なくとも1種からなるが、蓄熱剤とピッチ系黒鉛化短繊維とを混合する際には、各材料の融点以上で混合してもよいし、固体の状態が粉体状であれば、粉体同士で混合することができる。混合には、パドル型の攪拌機や、自公転型の攪拌機などを用いることができる。また、ドライブレンドの要領で混合することもできる。また、エリスリトール類としては、ジペンタエリスリトール等を用いることができる。
蓄熱材組成物は基本的には、蓄熱剤とピッチ系黒鉛化短繊維との混合物であるが、さらに第3成分を任意に添加することが可能である。ただ、蓄熱剤と反応する可能性があるので、その点には注意が必要である。
蓄熱材は熱交換用管が通った蓄熱タンク内に充填されるが、蓄熱タンクの材質などは、価格や安全性などから総合的に判断される。蓄熱剤には相転移を伴うものがあり、多少なりとも体積変化が起こるので、自動圧力調整弁などで内圧を制御することが好ましい。熱交換用管の中には、アルコールなどの気化熱が大きな材料が好適に用いられる。
本発明のピッチ系黒鉛化短繊維は、密度が1.9〜2.3g/cmの範囲である。この範囲であれば、蓄熱剤と密度の値が近く、分散させた後に沈降が抑制される。1.9g/cmより密度が小さい状態では、結晶化が十分でなく、熱伝導性が高くない。密度が2.3g/cmより大きいと沈降する場合が発生する。より好ましくは、2.0〜2.3g/cmである。
本発明に好適に用いられるピッチ系黒鉛化短繊維の形状は直線ではなく、曲率を有している。このことも蓄熱材組成物中で分散性がよく、沈降が抑制できるという効果がある。
ここで、ピッチ系黒鉛化短繊維とは、ピッチ系の炭素繊維において、特に3000℃以上の高温で黒鉛化を行った短繊維のことを指す。以下ピッチ系黒鉛化短繊維について詳細に述べる。
ピッチ系黒鉛化短繊維の原料ピッチとしては、ナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物、石油系ピッチや石炭系ピッチといった縮合複素環化合物等が例示できる。その中でもナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物が好ましく、特にメソフェーズピッチが好ましい。メソフェーズピッチのメソフェーズ率としては少なくとも90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは99%以上である。なお、メソフェーズピッチのメソフェーズ率は、溶融状態にあるピッチを偏向顕微鏡で観察することで確認出来る。更に、原料ピッチの軟化点としては、235℃以上335℃以下が好ましい。不融化処理は、軟化点よりも低温で処理する必要がある。このため、軟化点が235℃より低いと、少なくとも軟化点未満の低い温度で不融化処理する必要があり、結果として不融化に長時間を要するため好ましくない。一方、軟化点が335℃を超えると、紡糸に335℃を超える高温が必要となり、ピッチの熱分解を引き起こし、発生したガスで糸に気泡が発生するなどの問題を生じるため好ましくない。軟化点のより好ましい範囲は250℃以上320℃以下、更に好ましくは260℃以上310℃以下である。なお、原料ピッチの軟化点はメトラー法により求めることが出来る。原料ピッチは、二種以上を適宜組合せて用いてもよい。組合せる原料ピッチのメソフェーズ率は少なくとも90%以上であり、軟化点が235℃以上335℃以下であることが好ましい。
本発明におけるピッチ系黒鉛化短繊維は、光学顕微鏡で観測した平均繊維径(D1)が5〜20μmであることが好ましい。D1が5μmを下回る場合、急激にかさ高くなり、ハンドリングが困難になる。逆にD1が20μmを超えると、添加量あたりのピッチ系黒鉛化短繊維の数が少なくなり、熱交換の頻度が小さくなる。D1の好ましい範囲は5〜15μmであり、より好ましくは7〜13μmである。
本発明におけるピッチ系黒鉛化短繊維は、光学顕微鏡で観測したピッチ系黒鉛化短繊維における繊維径分散(S1)のD1に対する百分率(CV値)は5〜15%であることが好ましい。CV値は小さい程、工程安定性が高く、製品のバラツキが小さいことを意味している。CV値が5%より小さい時、繊維径が極めて揃っているため、隙間埋めの効果が低減し、添加量に対する熱伝導効果が低減する。逆にCV値が15%より大きい場合、蓄熱剤成分への分散性が悪くなり、熱伝導率に分布が生じ、円滑な熱移動が出来なくなる。CV値は好ましくは、5〜12%である。
本発明におけるピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長(L1)は、50〜500μmであることが好ましい。ここで、平均繊維長は個数平均繊維長とし、光学顕微鏡下で測長器を用い、複数の視野において所定本数を測定し、その平均値から求めることができる。L1は目的によって適した値があるが、本発明では蓄熱材組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維について熱交換用の管との接触を増大させることを鑑み、L1は50〜500μmの範囲が好ましい。L1が50μmより小さい場合、熱交換用の管との接触は変らないものの、熱を伝達する距離が小さく好ましくない。逆に500μmより大きくなる場合、溶融時の蓄熱材の粘度が増大し、せん断が発生し熱ロスを生じてしまう。より好ましくは、50〜300μm、さらに好ましくは50〜250μmの範囲である。
本発明におけるピッチ系黒鉛化短繊維は、六角網面の厚み方向に由来する結晶子サイズが30nm以上であり、さらに六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが50nm以上であることが好ましい。結晶子サイズは六角網面の厚み方向、六角網面の成長方向のいずれも、黒鉛化に対応するものである。高い熱伝導性を発現するためには、一定以上の結晶サイズが必要である。六角網面の厚み方向に由来する結晶子サイズ及び六角網面の成長方向の結晶子サイズは、X線回折法で求める事ができる。測定手法は集中法とし、解析手法としては、学振法を用いることができる。六角網面の厚み方向の結晶子サイズは、(002)面からの回折線を用いて求め、六角網面の成長方向の結晶子サイズは、(110)面からの回折線を用いてそれぞれ求めることができる。
本発明におけるピッチ系黒鉛化短繊維は走査型電子顕微鏡での側面の観察表面が実質的に平坦であることが好ましい。ここで、実質的に平坦であるとは、フィブリル構造のような激しい凹凸をピッチ系黒鉛化短繊維表面に有しないことを意味する。ピッチ系黒鉛化短繊維の表面に激しい凹凸のような欠陥が存在する場合には、マトリクスとの混練に際して表面積の増大に伴う粘度の増大を引き起こし、成形性を悪化させる。よって、表面凹凸のような欠陥はできるだけ小さい状態が望ましい。より具体的には、走査型電子顕微鏡において1000倍で観察した像での観察視野に、凹凸のような欠陥が10箇所以下であることとする。
本発明のピッチ系黒鉛化短繊維は、透過型電子顕微鏡による繊維末端観察において、グラフェンシートの端面が閉じていることが好ましい。グラフェンシートの端面が閉じている場合、余分な官能基の発生や、形状に起因する電子の局在化が起こり難い。このため、ピッチ系黒鉛化短繊維に活性点が生じず、蓄熱剤に予期せぬ反応を起こすことがない。また、水などの吸着も低減でき、水和のような余分な熱過程を低減できる効果がある。
本発明で言うグラフェンシートの端面が閉じているとは、透過型電子顕微鏡による繊維末端のグラフェンシート端面の全長が50nmを超え300nm未満である5本の繊維末端を観察したときに、式(1)で表される閉鎖率の平均値(平均閉鎖率)が80%を超え100%以下である状態である。
閉鎖率(%)=B/A ×100 (1)
(Aは繊維末端のグラフェンシート端面の全長(nm)、Bは端面がU字状に湾曲している部分の長さ(nm)を表す)
閉鎖率が80%未満であると余分な官能基の発生による、蓄熱剤との化学反応の可能性が増大する傾向となる。グラフェンシート端面の閉鎖率は90%以上が好ましく、更には95%以上が更に好ましい。
グラフェンシート端面構造は、黒鉛化の前に粉砕を実施するか、黒鉛化の後に粉砕を実施するかにより、大きく異なる。すなわち、黒鉛化後に粉砕処理を行った場合、黒鉛化で成長したグラフェンシートが切断破断され、グラフェンシート端面が開いた状態になり易い。一方、黒鉛化前に粉砕処理を行った場合、黒鉛の成長過程でグラフェンシート端面がU字上に湾曲し、湾曲部分がピッチ系黒鉛化短繊維端部に露出した構造になり易い。このため、グラフェンシート端面閉鎖率が80%を超えるようなピッチ系黒鉛化短繊維を得るためには、粉砕を行った後に黒鉛化処理することが好ましい。
本発明におけるピッチ系黒鉛化短繊維の好ましい作製方法を以下に示す。
原料ピッチは溶融法により紡糸され、その後不融化、焼成、ミリング、黒鉛化によってピッチ系黒鉛化短繊維となる。場合によっては、ミリングの後、分級工程を入れることもある。本発明のピッチ系黒鉛化短繊維は透過型電子顕微鏡によるフィラー端面観察においてグラフェンシートが閉じていることを特徴とするが、このようなピッチ系黒鉛化短繊維は、ミリングを行った後に黒鉛化処理を実施することによって、好ましく得ることができる。これは、黒鉛化後にミリングを行うと、黒鉛化に伴い生成したグラフェンシートが切断端面にて開いたままになるのに対して、炭化ピッチ繊維ウェブをミリングしピッチ系炭化短繊維とした後で黒鉛化を行うと、ピッチ系炭化短繊維端面のグラフェンシートがループ状に閉じるという黒鉛の成長過程を用いたものである。以下各工程の好ましい態様について説明する。
紡糸方法には、特に制限はないが、所謂溶融紡糸法を好ましく挙げることができる。具体的には、口金から吐出した原料ピッチをワインダーで引き取る通常の紡糸延伸法、熱風をアトマイジング源として用いるメルトブロー法、遠心力を利用して原料ピッチを引き取る延伸紡糸法などが挙げられる。中でもピッチ繊維の形態の制御、生産性の高さなどの理由からメルトブロー法を用いることが望ましい。このため以下本発明におけるピッチ系黒鉛化短繊維の製造方法に関してはメルトブロー法について記載する。
本発明においては、ピッチ系黒鉛化短繊維の原料となるピッチ繊維を形成するための紡糸ノズルの形状については特に制約はない。通常真円状のものが使用されるが、適時楕円などの異型形状を用いても何ら問題ない。ノズル孔の長さ(LN)と孔径(DN)の比(LN/DN)としては2〜20の範囲が好ましい。LN/DNが20を超えると、ノズルを通過する原料ピッチに強いせん断力が付与され、繊維断面にラジアル構造が発現する。ラジアル構造の発現は、黒鉛化の過程で繊維断面に割れを生じることがあり、機械特性の低下を引き起こすことがあり好ましくない。一方、LN/DNが2未満では、原料ピッチにせん断を付与することが出来ず、結果として黒鉛の配向が低い繊維となる。このため、黒鉛化しても黒鉛化度が十分に上がらず熱伝導性を向上させ難くなり好ましくない。機械強度と熱伝導性の両立を達成するためには、原料ピッチに適度のせん断を付与する必要がある。このため、ノズル孔の長さ(LN)と孔径(DN)の比(LN/DN)は2〜20の範囲が好ましく、更には3〜12の範囲が特に好ましい。
紡糸時のノズルの温度についても特に制約はなく、安定した紡糸状態が維持できる温度、即ち、原料ピッチの粘度を1〜100Pa・sの範囲にせしめる温度が好ましい。原料ピッチの粘度が1Pa・s未満の状態では、粘度が低すぎて糸形状を維持することが出来ないため好ましくない。一方、原料ピッチの粘度が100Pa・sを超えると、ノズルを通過する際に強いせん断力が付与され、生成されるピッチ繊維断面にラジアル構造が発現するため好ましくない。せん断力を適切な範囲にせしめ、かつ繊維形状を維持するためには、原料ピッチの粘度を適切に制御する必要がある。このため、原料ピッチの粘度は1〜100Pa・sの範囲が好ましく、更には3〜30Pa・sが好ましく、5〜25Pa・sがより好ましい。
本発明におけるピッチ系黒鉛化短繊維は、平均繊維径(D1)が5〜20μmであることが好ましいが、ピッチ系黒鉛化短繊維の繊維径の制御方法は、ノズルの孔径を変更する、あるいはノズルからの原料ピッチの吐出量を変更する、あるいはドラフト比を変更することで可能である。ドラフト比の変更は、100〜400℃に加温された毎分100〜10000mの線速度のガスを細化点近傍に吹き付けることによって達成することができる。吹き付けるガスに特に制限は無いが、コストパフォーマンスと安全性の面から空気が望ましい。
紡糸されたピッチ繊維は、金網等のベルトに捕集されピッチ繊維ウェブとなる。その際、ベルト搬送速度により任意の目付量に調整できるが、必要に応じ、クロスラップ等の方法により積層させてもよい。ピッチ繊維ウェブの目付量は生産性及び工程安定性を考慮して、150〜1000g/mが好ましい。
このようにして得られたピッチ繊維ウェブは、公知の方法で不融化処理し、不融化ピッチ繊維ウェブにする。不融化は、空気、或いはオゾン、二酸化窒素、窒素、酸素、ヨウ素、臭素を空気に添加したガスを用いた酸化性雰囲気下で実施できるが、安全性、利便性を考慮すると空気中で実施することが望ましい。また、バッチ処理、連続処理のどちらでも処理可能であるが、生産性を考慮すると連続処理が望ましい。不融化処理は170〜300℃の温度で、一定時間の熱処理を付与することで達成される。より好ましい温度範囲は、170〜295℃であり、さらに好ましくは、180〜290℃の範囲である。昇温速度は1〜10℃/分が好適に用いられ、連続処理の場合は任意の温度に設定した複数の反応室を順次通過させることで、上記昇温速度を達成できる。昇温速度のより好ましい範囲は、生産性及び工程安定性を考慮して、3〜8℃/分であり、さらに好ましくは4〜6℃/分である。
不融化ピッチ繊維ウェブは、500〜1500℃の温度で、真空中、或いは窒素、アルゴン、クリプトン等の不活性ガスを用いた非酸化性雰囲気中で焼成処理され、炭化ピッチ繊維ウェブになる。焼成処理は、コスト面を考慮して、常圧かつ窒素雰囲気下での処理が望ましい。また、バッチ処理、連続処理のどちらでも処理可能であるが、生産性を考慮すれば連続処理が望ましい。
焼成処理された炭化ピッチ繊維ウェブは、所望の繊維長にするために、切断、破砕・粉砕等の処理が実施される。また、場合によっては、分級処理が実施される。処理方式は所望の繊維長に応じて選定されるが、切断にはギロチン式、回転式等のカッター、1軸、2軸及び多軸回転刃式等が好適に使用され、破砕、粉砕には衝撃作用を利用したハンマ式、ピン式、ボール式、ビーズ式及びロッド式、粒子同士の衝突を利用した高速回転式、圧縮・引裂き作用を利用したロール式、コーン式及びスクリュー式等の破砕機・粉砕機等が好適に使用される。所望の繊維長を得るために、切断と破砕・粉砕を多種複数機で構成してもよい。処理雰囲気は湿式、乾式のどちらでもよい。分級処理には、振動篩い式、遠心分離式、慣性力式、濾過式等の分級装置等が好適に使用される。所望の繊維長は、機種選定のみならず、ロータ・回転刃等の回転数、供給量、刃間クリアランス、系内滞留時間等を制御することによっても得ることができる。また、分級処理を用いる場合には、所望の繊維長は篩い網孔径等を調整することによっても得ることができる。
上記の切断、破砕・粉砕処理、場合によっては分級処理を併用して作成したピッチ系炭化短繊維は、2500〜3500℃に加熱し黒鉛化して最終的なピッチ系黒鉛化短繊維とする。黒鉛化は、アチソン炉、電気炉等にて実施され、真空中、或いは窒素、アルゴン、クリプトン等の不活性ガスを用いた非酸化性雰囲気下等で実施される。
本発明におけるピッチ系黒鉛化短繊維は、蓄熱剤との親和性をより高めることを目的として、表面処理やサイジング処理をしても良い。また、必要に応じて表面処理した後にサイジング処理をしても良い。表面処理の方法として特に限定は無いが、具体的にはオゾン処理、プラズマ処理、酸処理などが挙げられる。サイジング処理に用いるサイジング剤に特に限定は無いが、具体的にはエポキシ化合物、水溶性ポリアミド化合物、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、酢酸ビニル、水、アルコール、グリコールを単独又はこれらの混合物で用いることができる。サイジング剤はフィラーに対し0.01〜10重量%、付着させても良い。しかし、サイジング剤付着ピッチ系黒鉛化短繊維は蓄熱剤に対して反応活性点を持つ可能性もあることから、サイジング処理は極力少ない事が好ましい。どうしても付着させる必要があるのであれば、その際の好ましい付着量は0.01〜2.5重量%である。
本発明では、蓄熱剤にピッチ系黒鉛化短繊維を加えて蓄熱材組成物を作製するが、その際、予期せぬ化学反応が起こらないのであれば、熱伝導性材料としてさらに金属化合物フィラーを含んでもよい。金属化合物フィラーとしては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、窒化ホウ素、石英、炭化珪素、酸化珪素、窒化珪素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、金属酸化物、金属化合物、合金等が挙げられる。
金属化合物フィラーは、そのサイズに特に制限はないが、ピッチ系黒鉛化短繊維の形成する隙間を埋める効果を期待する時には、平均粒径が10μm程度のものが好ましい。また、金属化合物フィラーを用いて、絶縁性などを付与したい場合には、粒径の大きなものが望ましく、平均粒径が50μm程度の金属化合物フィラーが用いられる。
金属化合物フィラーの添加量は、蓄熱剤100体積部に対して、1〜100体積部の範囲で添加することができる。1%未満では、期待する効果が得られ難い。100体積部より大きい場合は、ピッチ系黒鉛化短繊維の場合と同じで、蓄熱材の流動性が損なわれ、対流ができなくなる。求める効果により添加量は適宜変えることができる。
また、ピッチ系黒鉛化短繊維や金属化合物フィラー以外の熱伝導性材料としては天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、ダイヤモンドなどの炭素材料などを適宜用いることができる。
ピッチ系黒鉛化短繊維よりも、モース硬度が高い材料と混合する場合に関しては、ブレンドの際に、ピッチ系黒鉛化短繊維を壊し、繊維長を著しく短くする可能性があるので、ブレンド順が重要となる。金属化合物フィラーを共存させる場合には、蓄熱剤とピッチ系黒鉛化短繊維を先にブレンドする方法以外に、金属化合物フィラーを先にブレンドし、最後にピッチ系黒鉛化短繊維をブレンドするというような時間差をつけたブレンド方法を取ることが出来る。またブレンドの指標としては、長いものから順にブレンドすることが好ましい。
本発明の蓄熱材組成物には、必要に応じて他の添加剤を適宜添加しても構わない。他の添加剤としては難燃剤、乳化剤、軟化剤、可塑剤、界面活性剤を挙げることができる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(1)ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維径及び繊維径分散:
黒鉛化を経たピッチ系炭素繊維フィラーをJIS R7607に準じ、光学顕微鏡下でスケールを用いて60本測定し、その平均値から求めた。
(2)ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長:
平均繊維長は、個数平均繊維長に標準偏差の平方根を加えたものであり、黒鉛化を経たピッチ系黒鉛化短繊維を光学顕微鏡下で測長器で2000本以上測定し、その平均値から求めた。倍率は繊維長に応じて適宜調整した。
(3)結晶子サイズ:
X線回折法にて求め、六角網面の厚み方向に由来する結晶子サイズは(002)面からの回折線を用いて求め、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズは(110)面からの回折線を用いて求めた。また、求め方は学振法に準拠して実施した。
(4)ピッチ系黒鉛化短繊維の熱伝導率:
粉砕工程以外を同じ条件で作製した、黒鉛化後のピッチ系炭素繊維ウェブから糸を抜き出し抵抗率を測定し、特開平11−117143号公報に開示されている熱伝導率と電気比抵抗との関係を表す下記式(1)より求めた。
K=1272.4/ER−49.4 (1)
ここで、Kは熱伝導率W/(m・K)、ERは電気比抵抗μΩmを表す。
(5)ピッチ系黒鉛化短繊維のグラフェンシートの端面微細構造:
ピッチ系黒鉛化短繊維の透過型電子顕微鏡による繊維末端観察において、繊維末端の50〜250万倍のグラフェンシート端面像を5本観察し、繊維末端のグラフェンシート端面の全長A(nm)と端面がU字状に湾曲している部分の長さB(nm)を計測し、閉鎖率(%)=B/A ×100により、閉鎖率を求めた。
(6)実質的に平坦な表面の確認:
ピッチ系黒鉛化短繊維の側面を走査型電子顕微鏡にて1000倍で観察した像に、凹凸のような欠陥が何箇所あるかを数えた。10箇所以下の場合平滑とした。
(7)密度:
JIS M8717に準拠しガス置換法にて求めた。
(8)熱伝導率:
熱伝導率は、蓄熱材組成物を溶解し、その後100mm×50mm×2mmtの型に流し込み、QTM−500(京都電子社製)で測定した。
[参考例1:ピッチ系黒鉛化短繊維の作製]
ピッチ系黒鉛化短繊維は以下の手順で作製した。縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が280℃であった。直径0.2mmの孔の紡糸口金を使用し、スリットから加熱空気を毎分7000mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均直径10.4μmのピッチ繊維を作製した。紡出された繊維をベルト上に捕集してピッチ繊維ウェブとし、さらにクロスラッピングで目付450g/mとした。
このピッチ繊維ウェブを空気中で170℃から290℃まで平均昇温速度6℃/分で昇温して不融化ピッチ繊維ウェブとした後、更に800℃で焼成を行い炭化ピッチ繊維ウェブとした。この炭化ピッチ繊維ウェブをカッター(ターボ工業製)を用いて粉砕し、3000℃で黒鉛化した。
黒鉛化後のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維径は8.1μm、平均繊維径に対する繊維直径分散の比は12%であった。平均繊維長は170μmであった。六角網面の厚み方向に由来する結晶サイズは43nmであった。六角網面の成長方向に由来する結晶サイズは105nmであった。ピッチ系黒鉛化短繊維の走査型電子顕微鏡で観察した表面は平滑であった。また、透過型電子顕微鏡で観察した端面の像にはグラフェンシートが閉じている構造のみが観察され、端面の閉鎖率は100%であった。炭化ピッチ繊維ウェブを粉砕せずに3000℃で黒鉛化したピッチ系炭素繊維ウェブから抜き出した単糸の電気伝導率より求めた熱伝導率は800W/(m・K)であった。アスペクト比は、21であった。密度は2.2g/ccであった。
[実施例1]
蓄熱剤としてジペンタエリスリトール(和光純薬製、比重1.3g/cm、融点210℃)を用い、蓄熱剤100体積部に対して参考例1で得られたピッチ系黒鉛化短繊維50体積部を添加し、ドライブレンドを行い蓄熱材組成物とした。断熱材で被覆され、熱交換用の管が敷設された100mm×100mm×30mmのステンレス製の箱に蓄熱材組成物を投入し、脱気しながらバンドヒーターで250℃に加熱し、溶解した。この蓄熱材組成物の熱伝導率は、0.6W/mKであった。
熱交換用の管を通じて、蓄熱材組成物の熱を移動したところ、0.75時間で熱の移動を終えた。熱の移動の終了は、熱交換用の管の温度が150℃になった状態とした。
[実施例2]
実施例1で、蓄熱剤としてパラフィンを用い、加熱温度を150℃とした以外は、同じとした。この蓄熱材組成物の熱伝導率は、0.7W/mKであった。熱交換用の管を通じて蓄熱材組成物の熱を移動したところ、0.5時間で熱の移動を終えた。熱の移動の終了は、熱交換用の管の温度が50℃になった状態とした。
[比較例1]
実施例1でジペンタエリスリトールのみを用いた場合、1.2時間の熱移動時間が必要であった。この蓄熱剤の熱伝導率は、0.2W/mKであった。熱の移動の終了は、熱交換用の管の温度が150℃になった状態とした。
[比較例2]
実施例2でパラフィンのみを用いた場合、0.8時間の熱移動時間が必要であった。この蓄熱剤の熱伝導率は、0.2W/mKであった。熱の移動の終了は、熱交換用の管の温度が50℃になった状態とした。
本発明の蓄熱装置は、熱伝導率が高い蓄熱材組成物を蓄熱材として用いているために熱交換が円滑に実施され、熱を移動する時間の短縮が可能である。

Claims (6)

  1. 蓄熱タンク内に敷設された熱交換用管が蓄熱材に直接接触することで熱交換を行う蓄熱装置において、蓄熱剤100体積部および、アスペクト比が10〜100であるピッチ系黒鉛化短繊維を10〜100体積部含む蓄熱材組成物を当該蓄熱材として用いることを特徴とする蓄熱装置。
  2. 当該ピッチ系黒鉛化短繊維がメソフェーズピッチを原料とし、平均繊維径が5〜20μmであり、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)が5〜15%であり、平均繊維長が50〜500μmであり、走査型電子顕微鏡での観察表面が実質的に平滑であり、かつ透過型電子顕微鏡での端面観察においてグラフェンシートが閉じていることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱装置。
  3. 蓄熱剤が、エリスリトール類、水、パラフィン、酢酸ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、および塩化マグネシウムよりなる群より選ばれる少なくとも1種からなる請求項1または2に記載の蓄熱装置。
  4. 蓄熱剤100体積部および、アスペクト比が10〜100であるピッチ系黒鉛化短繊維を10〜100体積部含む蓄熱材組成物。
  5. 当該ピッチ系黒鉛化短繊維がメソフェーズピッチを原料とし、平均繊維径が5〜20μmであり、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)が5〜15%であり、平均繊維長が50〜500μmであり、走査型電子顕微鏡での観察表面が実質的に平滑であり、かつ透過型電子顕微鏡での端面観察においてグラフェンシートが閉じていることを特徴とする請求項4に記載の蓄熱材組成物。
  6. 蓄熱剤が、エリスリトール類、水、パラフィン、酢酸ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、および塩化マグネシウムよりなる群より選ばれる少なくとも1種からなる請求項4または5に記載の蓄熱材組成物。
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